平成18年6月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
 本定例会におきまして登壇する機会をいただきましたことに対して感謝を申し上げ、通告に従い順次質問してまいりますので、知事初め、関係部局長には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 知事は、3期目の任期最終年度を迎えるに当たって、2月議会定例会の知事演述の中で、人口が減少する社会へ突入していくという社会経済環境が激変する時代を迎える中で、夢県土いわての確かな実現のために今後とも全力をもって県政の運営に取り組んでいかなければならないと決意を述べられました。しかし、県民のニーズの多様化とともに、地方分権による三位一体改革の決着による交付税の削減、急激な少子・高齢化社会の進行、内陸部と県北・沿岸部との地域格差の拡大、雇用問題、地方自治における財政の硬直化など、県土の均衡ある発展を目指すには、財政、環境、人、地域力など総合的な政策が求められると思いますが、3期12年間の総まとめとなる今年度の夢県土いわての発展にかける知事の熱い思いをお伺いいたします。
 また、3期目の知事選挙においてマニフェストを作成し、その政策を誇れるいわて40の政策としてまとめ、任期最終年度を迎えました。政策評価の中で事業の進捗状況を示しながら、岩手らしさの食を中心に果敢に取り組んでこられたと思っております。その中でおくれている分野として、ものづくり産業や農林水産業の振興、人づくりや地域力の発揮といった政策分野に力を発揮し、県政の重要課題として取り組むこととありますが、県の具体的政策が見えてこないという県民の声に対して、最終年度にかける知事の決意をお伺いいたします。
 人づくりや地域力の発揮は、単年度で評価するわけではありませんが、予算編成に十二分に反映させると決意を述べられておりますが、財源不足が一層深刻になる見通しの中で、また、収支の見直しをも検討される中で、おくれている分野の主要政策に影響が出ないのか、あわせてお伺いいたします。
 人づくりは教育力であり、地域の産業振興を将来的に支えるエキスパートの育成は、今後のものづくり産業を推進する中で重要な課題でもあります。教育に力を入れ、すぐれた人材を育成しても、地場産業の振興や企業誘致など産業振興が進まなければ、若者は中央に目を向け、県内に定着しません。人材育成だけに終わらないよう、人づくりと産業振興が一体となる政策が重要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 岩手のものづくり産業といえば、北上川流域を中心とする自動車関連産業、半導体などが示されますが、広い県土の中にあって、これは産業の一部であり、県民の多くが就業するのは1次産業の農林水産業であります。岩手の食を中心として、食品製造業や外食産業、農業・農村の伝統文化を紹介する観光産業など、多種多様に富む食料供給県として、また、付加価値をつける加工促進など、ものづくり産業として同時に推進されてこそ地域格差のない県土の均衡ある発展に結びつくと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 合併によって35市町村となった各自治体との連携、支援や合併によって再編が進んだ各団体、各組織、NPOとの協働、地域力となる県民との協働について、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、県南広域振興局の体制について、県南広域振興局長も兼務している酒井企画理事にお尋ねいたします。
 昨年6月に広域生活圏と地方振興局の見直し案が公表され、市町村長との意見交換も重ねられ、県南においては、県南広域振興局、総合支局、行政センターの新体制でスタートいたしました。その基本的な考え方として、住民に身近なところで行政サービスが完結すること、市町村を補完、支援する役割を担う県としてのあり方、地域密着型地域別の広域行政、市町村行財政基盤の整備に向けた支援、産業振興などが提案されました。三位一体による行財政改革の必要性、地方分権型社会のあり方、市町村合併の進展など、理解する部分もありました。しかし、市町も県民も理解を示しながらも、検討課題が残ったままスタートしたのではないかと思っております。中でも、行政センターとなりました遠野は花巻総合支局の縦割りの業務となり、地域の方々のサービスを低下することなく、利便性が損なわれないよう十分な配慮をするとの説明があったわけですが、これは総合支局のことであって、行政センターのことではないと思われます。住民の窓口相談や相談受け付けについては行政センターでも受け付けできるシステムではありますが、現地における対応については即答や完結性に結びつくものではなく、特にも、市や各種団体との協議等については総合支局、業務内容によっては広域振興局または本庁となり、市職員や住民の不安と県に対する不信感が広まっている現状をどう認識しているのか、お伺いいたします。
 また、平成18年度がスタートし、既に4分の1の3カ月が経過しようとしている中で、18年度県南広域振興局地域振興方針の策定の考え方の説明を受けました。これは、県南広域振興局における総合基本方針であり、市町や住民との協働でワークショップを開催し、地域振興ビジョンの策定の作業に入るということです。産業の振興、市町中心の行政、安全・安心な社会づくり、環境の維持保全等が主なテーマでありますが、政策策定スケジュールを含め、今後、ビジョンの実効性をどのように確保していくのか、お伺いいたします。
 県南地方は、市町村の合併が大きく進行し、中央、県北、沿岸の広域圏に先駆けて、モデルとして広域振興局体制がスタートいたしました。今ここでこの体制のあり方が県民から、各市町村から理解され、理想とする独立した予算や政策権限を持つ地域振興ビジョンが実行されていかなければ、今後10年を目途に、県北、沿岸、中央の広域体制を進行することは厳しいと思われますが、お考えをお伺いいたします。
 また、振興局から行政センターに再編されたことによる課題について、遠野市各課より調査いたしました。その中で、申請、決定権は花巻総合支局となり、時間的な問題、交通費の増加、課によっては事務手続等に総合支局から広域振興局、本庁へと出向く項目もあり、必ずしも総合支局においての完結性になっておらず、今後の一層の改善が望まれますが、市町を補完しながら支援するといった説明の趣旨と今後の改善策についてお伺いいたします。
 県南広域振興局における市町への権限の移譲は、一関市で200項目、遠野市で125項目となっており、今後は、住民と身近で直結する市町への1、000項目ぐらいの権限の移譲を考えていると聞いておりますが、権限だけではなく、県と市町との役割分担を明確にしながら、必要な人材、財源も伴わなければならないと考えます。権限移譲の進まない市町に対してどのように指導するのかも含め、御所見をお伺いいたします。
 次に、農林業対策についてお伺いいたします。
 農業は、土を耕し、心を耕し、命を耕すとともに、私は、夢をも耕す総合的な生命産業だと思っております。冷災害など厳しい自然条件に打ちのめされても、国の農政が大転換しようと、毎年恵まれた大地に種をおろし、収穫の喜びを実感し、あすへの活力へと結びつけていると思っております。6月14日に担い手経営安定新法が国会で可決、成立し、戦後の一律価格政策が終わり、担い手への所得政策へと大転換することになりました。担い手や規模拡大が難しい中山間地域へも道を開いてくれることを期待しておりますが、この法案成立に対して知事の御所見をお伺いいたします。
 農政の大転換によって、国においては、将来にわたって食料を安定供給できる生産体制の構築と食料自給率45%に向けた達成度など、その成否は厳しく検証されるものと思われます。県においては、数多くの中山間地域が点在し、担い手と言われても60代が多くなり、経営安定対策の要件を満たせない地域や政策対象外農家をどう支援し、農地、水源、環境など多面的機能を今後どのように保全していくのか、今後の大きな課題だと思っております。IT産業で億の金額が飛び交うときに、食料と生活のための所得を得るために、田畑で汗を流し、まさに土を耕し、心を耕し、命を耕し続けてきた小規模農家、兼業農家への要件緩和についての県の取り組みの考え方をお伺いいたします。
 全国に1万カ所と言われる農産物直売所、これは国の政策ではなかったと思っています。農家の女性や高齢者が小規模経営の中で、庭先や畑の近くに販売所を設け、安全・安心な農産物を少量多品目で消費者に販売し始めたことが、今では全国1兆円産業とも言われております。国の大きな政策からは外れても、恵まれた自然と資源を生かしながら、知恵とアイデアで生き残れる中山間地農業を県、市町村、農業団体、農業者が一体となって振興することを願いながら御所見をお伺いいたします。
 また、農業就業人口の約6割を担っていると言われる女性農業者を育成指導するとともに、家族経営協定をさらに推進し、経営に女性が参画し、共同経営者として女性の認定農業者が多く生まれることを願っております。品目横断的経営安定対策における担い手の位置づけに女性認定農業者も加わり、新たな活路を見出せないか、農業におけるさらなる男女共同参画を進める上からも県としての考え方をお伺いいたします。
 次に、ポジティブリスト制度がスタートいたしました。この制度のポイントは、食品に残るすべての農薬などに残留基準を設けるものです。基準値の設定が難しい農薬は一律0.01ppmの基準値が設定されますが、同じ農薬でも作物ごとに基準値が異なり、残留基準を超す食品は原則として流通禁止となるものです。国内で登録されている農薬成分は5月31日現在で531成分ありますが、今後は、国内で登録のある成分だけでなく、海外で登録のある成分を含めたすべてが検査対象となるものです。生産現場、流通現場が最も恐れているのが他の圃場からの農薬飛散であります。散布方法の徹底やさらなる低農薬栽培が求められるとともに、万が一問題が発生したときの対応も求められると思っております。この制度によって初の違反が中国産スナップエンドウで、回収と販売禁止となったという報道がありました。制度の運用は各都道府県において行うということですが、今後の農家指導も含め、課題についてお伺いいたします。
 次に、農協合併についてお尋ねいたします。
 県農協中央会は、現在の17ある県内の農協組織について、2009年3月までに6農協体制を実現するとの合併案を盛り込んだ経営基盤強化方策案を了承し、総会において正式決定されました。農協組織は本来、地域農業を振興し、農家個々の健全経営を促し、営農指導に力を入れ、農畜産物の集約、販売を担う、まさに農家のための協同組織であると思っております。戦後、荒廃した農地を復興させ、あらゆる作物の営農指導を強化し、営農資金の支援を進めながら多種多様な農産物を流通に乗せました。そして、政府との価格交渉の先頭に立ち、まさに農協組織あっての農業であり、農業を営むための共同体組織でありました。今日においては、農産物の貿易自由化、市場開放による国際競争の激化、農業のグローバル化の潮流にどう対応するのか、また、担い手経営安定新法の制定によっての農政の大転換に農協組織がどう指導力を発揮できるのか期待するところでもあります。全国中央会は、財政基盤の強化を求め、大型合併を推進しております。農業者が期待する農協の姿でない事実をどう受けとめているのでしょうか。経営ありきが先頭に立ち、大型合併によってさらなる農業者の農協組織離れが進行しないのでしょうか。知事は、今後の農協組織のあり方への提言を含め、現状をどう認識しているのか、お伺いいたします。
 次に、林業振興についてですが、今年度から導入された新税、いわて森林づくり県民税によっての事業がスタートすると思います。本州一の森林県として、緑豊かな森林を県民みんなの共有財産として守り育てながら、水源の涵養や県土の保全、温暖化防止の役割と機能を持つ森林を整備するものと理解しております。しかし、県土の77%が森林であり、広大な面積を有する中で、整備事業はその一部と思われます。さらに、整備促進は、林業経営者を初め、牧野組合など個々の山林所有者もともに整備を進める必要があると思いますが、支援も含め、御所見をお伺いいたします。
 木材の低迷が続き、法人税の支払いにも苦慮している牧野組合もあると聞いております。木材の活用による人体への安全性や、木のぬくもり、環境へのPR、そして木工団地で生産される集成材の活用など、学校、公民館、福祉施設など公共施設への木材の利用を含め、地域材の利用拡大についての新たな政策に期待をしながら御所見をお伺いいたします。
 昨年の12月の大雪による被害は、アカマツを中心に、遠野市、花巻市、紫波町に発生いたしました。被害面積135ヘクタール、被害額2億3、000万円余となっていますが、山林所有者や環境に与えた影響はもっと大きいと思っています。所有者が災害助成を受けられることは理解していても、高齢化のため被害木の整理ができないとか、被害を受けたアカマツに松くい虫が侵入する危険性の高い箇所等もあり、早期の整備が必要となっていますが、現在の状況と支援対策についてお伺いいたします。
 次に、医師確保対策についてですが、すべての県民が、どこに住んでいても適時適切な保健、医療、福祉など総合的サービスを受けることができる体制と、安心して暮らせる社会の構築が求められております。特にも医療に関しては、高齢化とともに、地域における診療を望む声が高まっています。県においても、地域病院における医師確保を重点施策と位置づけ、御努力されておりますことには深く敬意を表します。
 県立遠野病院においては、交通事故や農作業事故など緊急患者を診療する整形外科の医師が不在となる事態も発生いたしました。医療局の御努力もあり、今は診療を開始されておりますが、今後は、地域病院の医師不足に対して柔軟に対応できるシステムづくりが求められております。今後の医師確保対策の見通しについてお伺いいたします。
 県がことし1月に実施した県の施策に関する県民意識調査の中で、満足、やや満足と感じている県民は21.4%で、不満、やや不満は46.5%となり、最近の厳しい社会情勢を反映しているとありました。中でも、子供を産み育てられる環境については年々重要度の順位を上げ、小児科、産婦人科の休診や医師不在に対する今日の状況が調査にあらわれていると思っています。また、遠野市におけるアンケートにおいても、産婦の3人に1人は次の妊娠を控えたいと思っています。さらに、市内に出産できる医療機関がないことで90%が不安と答え、その理由は、お産のとき遠い、経済的負担が大きい、通院が大変などでした。このような県民意識調査の結果や、子供を産み育てる母親たちの声をどう受けとめているのか、今後の小児科医、産婦人科医の確保についてお伺いいたします。
 1.25、この数字を見た小泉首相、厳しい数字ですね、自民党中川政調会長、ショックですよ、公明党井上政調会長、衝撃を禁じ得ない。1.25は、1人の女性が生涯に産む子供の数の推定値である合計特殊出生率であり、本県も大幅低下して1.36となり、4年連続の最低とあります。少子化対策は、小児科医、産婦人科医の充実、子育て世代への経済支援、若者の雇用の充実など、子育て支援の財政問題も含め国策の重要課題と思いますが、日本における少子化対策にかける費用は国内総生産の0.6%で、フランスの2.8%、スウェーデンの2.9%と比べ日本は低く、この点も含めて県としての対策をお伺いいたします。
 次に、建設業対策についてお尋ねいたします。
 県内建設産業は、長引く不況と、地方まで中央における景気回復が届かず、また、財政は三位一体改革での交付税削減により一層深刻になるなど、大変厳しい経営環境になっています。特にも公共事業への依存度が高いため、建設業は、今後の経営において、自己責任と創意工夫による自助努力、新分野進出、異業種転換と、一層の経営努力が求められております。建設業における現在の経営の状況と新分野への進出状況についてお伺いいたします。
 また、県が取り組む支援制度の内容や、環境整備の方向性を建設業対策中期戦略プランとしてまとめられ、建設業との地域懇談会も開催しております。その戦略プランが理解されておりますでしょうか。特にも、平成22年度までの建設業は、現在の6、800社から5、000社となり、1、800社の廃業等を見込んでおります。仕事が減少すれば倒産にもなりますし、建設業も廃業となります。県は、社会資本整備の担い手として重要な基幹産業と認めておりますが、地域経済と雇用に与える影響や、建設業で働いて所得を上げてきた兼業農家に与える影響も大きいと考えられますが、中期戦略プランも含め、建設業の支援対策についてお伺いいたします。
 次に、社会資本整備についてであります。
 遠野市は、本県を縦断する北上高地の中南部に位置し、内陸と沿岸を結ぶ重要な地域であります。道路交通網の整備は、地域で暮らす住民の生活や産業経済活動に与える影響も大きいところです。県内の中にあっても、民話のふるさとという独自の文化を有し、ネットワーク型の社会資本整備を推進する必要に迫られております。その一つが東北横断自動車道の釜石・秋田線で、その中でも遠野-東和間の整備であります。高次医療機関へのアクセスや緊急輸送など、安全・安心の生活基盤でもあり、産業経済基盤でもあります。今後における整備促進についてお伺いいたします。
 また、昨年の県議会定例会において、私がこの場にいる限り質問させていただきますと宣言いたしました一般国道340号土淵地区道路整備促進と立丸峠のトンネル化改良促進についてお伺いいたします。
 県土整備委員会においても、土坂峠とともに立丸峠の道路状況を視察していただきました。幅員の狭さ、急カーブの連続と、交通の難所でもあり、改良の必要性は認識していただいたものと思っております。国道4号、東北自動車道、花巻空港へのアクセス道路として、また、災害代替道路として、地域経済の活性化、住民生活の利便性の向上など、1本の道づくりが、社会に、経済に、毎日の生活に与える影響ははかり知れないものがあります。道づくりは、物と物が流れ、人が行き交い、そして情報が伝わると思っております。集中と選択によって、長い時間がかからず、きっと朗報が聞けることを信じ、御所見をお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 私が知事に就任して以来ちょうど11年間、地方分権改革の大きな流れの中で行政を進めてきたわけでありますが、とりわけこの4年間を自立を進める4年間と位置づけをいたしまして、40の政策を軸とした取り組みを行ってまいりました。その最終年度となる本年度でございますが、4広域振興圏の特色を生かした産業振興、それから、地域を支え未来を担う人づくり、地域コミュニティの力を最大限に生かした地域づくり、こうした政策分野に特に力を入れているところであります。
 具体的には、ものづくり産業につきましては、自動車関連産業への県内企業の参入の促進や、補助、融資、県税の減免をセットにした企業誘致制度の創設、農林水産業につきましては、官民を初めとして、大学や金融機関が一体となった食産業振興や、生産から加工・流通までの一貫した県産材供給体制の構築、人づくりにつきましては、教員の指導力の向上による学力向上や、工業高校、産業技術短期大学校への専攻科の設置による産業人材の育成、地域づくりにつきましては、福祉や雇用など地域力を活用して、社会的に弱い立場にある人々を支える仕組みづくりなどの取り組みを進めているものでございます。
 また、これらの取り組みの成果を早期に生み出すことが求められておりますので、私も先頭に立って強力に推進していく決意でありますが、財政状況が厳しいので、その財源不足による影響がないか、こういう御質問でございましたけれども、本年度におきましても、一般財源50億円の政策推進枠をあらかじめ確保した上で、事業を選択と集中で重点化を図って進めておりますので、最少のコストで最大の効果が得られるように、主要施策の推進に全力を傾注していきたいと思っております。
 また、最近の中央における動向を踏まえまして、仮に地方交付税の抑制が一層強まるといった場合には、こうした主要事業の推進に支障が生じることも懸念されますので、そうした場合には、地方側の今抱えております実情を国や世論に対してしっかりと主張していくということも必要と考えております。
 次に、人づくりと産業振興についてでありますが、本県のものづくり産業の振興に当たりましては、企業経営の高度化から次世代技術の開発支援、そして企業誘致、人材育成までの施策を総合的に推進しております。
 中でも、今申し上げました中で人材育成につきましては、地域産業の要望に即応したすぐれた人材を継続的に育成していくことが重要でありまして、ことしの5月に産学官による北上川流域ものづくりネットワークというのを立ち上げたわけでありますが、工業高校の生徒・教師の企業内研修の支援などに取り組んでおりますほか、来年の4月には、黒沢尻工業高等学校に専攻科の開設を予定するなど、産業振興と人材育成とがしっかりとつながる形で進むように、今取り組んでいるところであります。
 こういった視点を重視しながら、今後においても、地域の学校と企業が一体となった人材の育成を進めますとともに、そうした人材が地域に就職・定着できるように、経営基盤のしっかりとした地場産業の育成や企業誘致を積極的に推進していく考えであります。
 次に、食産業を中心とした産業政策でありますが、ものづくり産業の振興とあわせまして、地域の特色を生かした食品を中心とした農林水産業を初めとする関連産業全体の付加価値を上げていくことが、地域の雇用と所得を確保していく上でも重要というふうに考えております。
 このため、地域の農林水産資源や食関連産業の集積状況などを十分に生かしながら、成果を生むための仕組みの構築に今取り組んでおります。
 ことしの4月に食産業を推進する庁内での部局横断のチームを設置したわけでありますが、産学官に、あと金融も入れて、産学官金連携のもとで、例えば、有力企業が持っておりますマーケットを活用する観点から、生産者と大手スーパーが一体となった商品開発や販売手法の開発による販路の拡大、あるいは山ブドウなど地域の特産物に着目して、加工メーカーや外食・観光産業への連携発展によるクラスター形成といったようなことで、県がやはり積極的にかかわって、今、付加価値を上げていく上での多様な取り組みを推進しております。
 今、議員お話ございましたような食関連産業の振興というものを本県産業政策の重要な柱の一つと位置づけをいたしまして、今後とも強力に推進していく考えでございます。
 それから、次に、市町村、各種団体、NPO等との連携・協働についてのお尋ねでありますが、人口が減るという時代、そして少子・高齢化が進展する、また国際化が進展する、さらには財政制約などが生じてくる、こういった状況の変化を踏まえて、県や市町村といった行政だけでなくて、住民やNPO、経済団体などと一体となって、創意と工夫による自立した地域社会の構築を進めていく必要があるというふうに思っております。
 とりわけ本県におきましては、古くから結いの精神というものが根づいておりまして、地域が結束して解決できる土壌がある、このように考えております。
 こうした地域特性が本県にはございますので、それを生かし、今後とも、地域や産業振興の課題などに応じて、市町村、関係団体、産業界やNPOなどとの連携・協働について、積極的に取り組んでいく考えであります。
 次に、農業の関係であります。
 今般の担い手経営安定新法は、価格政策から所得政策への転換という、平成11年に制定されました食料・農業・農村基本法で示された政策方向を具体化するものでありまして、これまでの全農家を対象として、品目ごとの価格に着目して講じてまいりました対策から、担い手の対象を一定規模の認定農業者と集落営農に絞っておりまして、その経営全体に着目した対策に転換するものでありますので、いわば戦後農政の大転換と言えるものととらえております。
 今回の改革でありますが、農業従事者の減少・高齢化、耕作放棄地の増大など、農業生産構造の脆弱化が進行する中で、兼業農家、高齢農家などを初めとする多様な構成員から成る地域農業を、担い手を中心として、地域の合意に基づき再編しよう、こういうものでございます。
 ただ、この新法は、米、麦、大豆など、海外との生産条件格差の大きい土地利用型の作物を対象としたものでございまして、本県の米以外の基幹作目である園芸や畜産の経営安定対策の充実・強化など、残された課題もあるもの、このように考えております。
 したがいまして、県としては、この品目横断的な経営安定対策を契機として、意欲と能力のある担い手が、将来にわたり安定して農業を営めるような、その足腰の強い農業生産構造を構築していきたい、このように考えております。
 次に、農業政策の中で、農協の役割と課題についてのお尋ねであります。
 今、農業・農村が大きく変化している中で、農協が、今後とも組合員の利益増進や地域農業の振興など、その役割を果たしていくためには、農協の原点でございます営農指導や経済事業の改革、そして経営基盤の強化が喫緊の課題でありまして、組合員や消費者の視点に立った自己変革を遂げることができるかどうか、まさに、農協系統組織の真価が問われているところと考えております。
 農協合併は、この課題解決のための有力な手段の一つと考えておりまして、系統組織が目指す今回の農協合併が、組合員の十分な理解と合意のもとに進められ、生産者はもとより、消費者からも信頼される組織が確立されることを期待しておりますし、県としても、こうした系統組織の主体的な取り組みを促進してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 県南広域振興局の体制についてのお尋ねでございます。
 まず、この4月からスタートした県南広域振興局体制に関する不安・不信についての現状認識ということでございますが、このことにつきましては、マスコミの報道、あるいは市町から、広域振興局移行後の体制、対応等に関し、さまざまな御意見をいただいているところであり、また、広域振興局としても、独自に、問題・課題の調査を実施いたしているところでございます。
 こうした御指摘や独自の調査結果から、現状において生じている問題等は、今回の再編によって、例えば、補助金の交付申請や工事の入札等のため、これまでより距離的に遠い総合支局または本局まで行く必要が生じたケース、つまり、本局または総合支局へ一部の業務を集約化したことによるもの、あるいは事前の説明が不十分であって、申請、届け出の対応窓口が徹底されていなかったことなど、新しい組織の発足に伴う業務フローの変更に関する住民や関係者等への周知不足や職員のふなれなどを主たる原因として、住民の皆さんに不安や不信感が生じているものと認識しているところでございます。
 現在、こうした御指摘や調査結果をもとに、一つ一つその対応・改善策について、鋭意検討を進めているところでございます。
 次に、地域振興ビジョンの策定スケジュールと実効性の確保についてのお尋ねについてでございますが、御案内のとおり、地域振興ビジョンは、四つの広域振興圏ごとに、産業振興を中核として各種の目標や戦略の方向性を示すもので、今後の地域振興施策の大きな柱となるものでございます。
 地域振興ビジョンの策定に当たっては、地域の方々と十分に議論しながら、地域の現状を的確に把握・分析するとともに、地域が目指すべき姿を明確にすることが重要であることから、県南広域振興局におきましては、既に5月以降、産業振興分野に関しては、地域のキーマン人材や事業体等に対しインタビューを始めているほか、6月19日からは、まちづくりや良好な水循環の構築などをテーマとしたワークショップを開催しているところでございます。
 スケジュールとしては、こうした形での議論、検討を進めながら、さらに、ホームページによる意見募集や市町照会などを組み合わせて、本年秋ごろまでに素案づくりを進め、それをもとに改めて検討を深め、年度末までに策定する考えであります。
 来年度以降の予算編成は、現在、本庁サイドにおいて、より一層の選択と集中が進められるよう検討されるところでありますが、県南広域振興圏は、県下で最も産業集積が進んだ地域であることから、その強みを生かし、県政の最重要課題である産業振興を初め、今後、地域振興ビジョンに盛り込むこととなる施策の実現、ビジョンの実効性の確保に向けて、県南広域振興局における人材の育成、組織能力の向上を図るとともに、所要の財源を確保できるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、地域振興ビジョン実行に関する予算権限等についてのお尋ねでありますが、広域振興局には、産業振興などに関する重要業務を本庁から移管するなど、機能強化と業務の完結性の向上を図ったところであり、また、予算原案の作成・調整方法について具体的な検討が始められたところでありますことから、今後策定する地域振興ビジョンに掲げる施策・事業を実施する場合においても、その実効性は十分に確保できるのではないか、確保するように努めてまいりたいと考えております。
 次に、再編による課題についての改善対応でありますが、広域振興局は、市町村中心の行政システムの構築を推進しつつ、市町村の枠組みを越えた広域的な産業振興や雇用対策、社会資本の整備、環境保全、災害対策など、より広域的・専門的な行政サービスを提供することを目指して設置されたものであります。
 この広域振興局の運営に関し、先般、遠野市から御意見や改善の要望が出されたところでございますが、そのうち、遠野市の業務に関するものとしては、補助金交付にかかわる事務に関するもの、事業実施にかかわる協議等に関するものなどがございますが、大半は、遠野地方振興局を廃止し、行政センター化し、花巻総合支局及び本局に業務を移管したことによって生じた距離と所要時間の増加を主な要因とするものでございます。
 これらの御意見・御要望への対応についてでございますが、確かに距離、所要時間の増加という不便をおかけすることにはなりますが、今回の広域振興局の再編は、行政のスリム化・効率化を図りつつ、集約化を通じて、総体として、これまで以上に提供する行政サービスの質の向上を図ることを目的としていることでありますことから、このことを御理解いただけるよう、距離・時間の壁を遠野市と総合支局、行政センター間で十分なコミュニケーションを図りながら、解消するように努めていきたいと思っておりますし、また、改善すべきものにつきましては、できるだけ速やかに改善をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、権限移譲に関するお尋ねでございますが、県南広域振興局では、御質問にございましたとおり、約1、000の項目を目標に権限移譲を推進したいと考えております。
 昨年度においては、比較的合併時期の早かった一関市と遠野市において、権限移譲に関する研究会を設置することができ、結果的に大幅な権限移譲につながったというところでございます。
 そこで、今年度、県南広域振興局におきましては、こうした昨年度の実績・事例を踏まえまして、各総合支局単位に権限移譲推進チームを設置いたしました。また、管内のすべての首長の御理解をいただきながら、市町との研究会等の組織化を進めているところでありまして、現在、各市町にふさわしいと思われる移譲項目の選定作業を始めているところでございます。
 権限移譲に伴う財源については、事務処理に必要な所要額を措置するとともに、市町村側の不安要素でございます経験やノウハウを補うため、事務に精通した県職員の派遣をセットで行うなど、人事交流等を通じた人的支援を積極的に進めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 農林業対策についてのお尋ねについてでございますが、まず、品目横断的経営安定対策への移行に伴う要件緩和についてでございます。
 国の経営規模要件のガイドラインによりますと、中山間地域の個別経営体では2.6ヘクタールまでの面積要件の緩和が可能とされているほか、有機栽培や複合経営により、市町村の目標所得の2分の1以上の農業所得を確保している場合は、制度の対象とすることができることとなっているなど、各種の特例措置が設けられておりますことから、県といたしましては、市町村と協議の上、地域の実情や個別の経営事情に応じた特例基準を申請することといたしております。
 また、小規模農家や兼業農家につきましても、個々の経営面積が小さくとも、集落営農組織に参加することによりまして制度の対象となることが可能となっておりますことから、この対策のメリットを享受できる集落営農組織の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、中山間地域農業の推進についてでございますが、中山間地域の農業は地域の基幹産業でありますが、近年、農家戸数の減少や高齢化の進行などから、農業生産が減少し、地域の活力低下が懸念されているところでございまして、中山間地域の活性化を図るためには、地域ぐるみの主体的な取り組みにより、農業生産のみならず地域資源を活用した農産加工、産直施設、農家レストランなどの起業化によって付加価値をつくり出し、地域全体で所得の向上を目指すことが重要であると考えております。
 このため、県といたしましては、このような地域資源を活用した取り組みに対して、中山間地域等直接支払制度や活力ある中山間地域構築支援事業などを活用して支援してきたところでございまして、今後とも、市町村、農業団体等と一体となって、中山間地域の持つ資源を最大限に生かした地域の主体的な取り組みを積極的に支援し、活力に満ちた中山間地域の形成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、女性認定農業者の育成についてでございますが、女性の認定農業者につきましては、平成15年から、家族経営協定を締結した場合は、夫婦での共同申請が可能となったことなどから、関係機関との連携を図りながら家族経営協定の締結を促進いたしまして、女性認定農業者の育成に努めてきたところでございます。この結果、昨年度末には全国第3位となる324人に増加しております。
 県といたしましては、来年度から品目横断的経営安定対策の導入を契機として、経営改善計画の策定指導や一層の啓発活動を展開いたしまして、経営感覚にすぐれた女性認定農業者の積極的な育成に努めることにより、女性の集落営農組織への参画や女性の視点での加工販売への取り組みを促進し、地域農業の発展に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、ポジティブリスト制度についてでございますが、この制度につきましては、生産現場における制度の周知徹底、農薬の飛散や誤使用などの防止対策、さらには、違反発生時における速やかな原因究明と再発防止対策の徹底などが課題となってございます。
 このようなことから、県といたしましては、全農家へのチラシの配布、それから延べ700回以上にわたる現地説明会の開催、農業改良普及センターへの相談窓口の設置などにより、制度の周知と農薬の適正使用、生産履歴の記帳の徹底などについて指導してきているところでございます。
 今後とも、消費者に安全・安心な農作物を提供するため、関係機関・団体と連携し、制度の一層の周知と農薬の飛散防止対策の徹底等に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、山林所有者に対する支援についてでございます。
 県では今年度から、森林づくり県民税を活用し、県が森林所有者と協定を締結し、所有者にかわって間伐を行ういわての森林づくり推進事業を行うこととしておりますが、森林所有者が行う植林や除・間伐等の森林整備につきましては、これまで国庫補助事業等を活用して推進してきてございまして、今年度も17億6、000万円余の助成を行うこととしております。
 また、森林所有者等の森林管理を支援するため、今年度7億7、000万円余の森林整備地域活動支援交付金を交付することといたしております。
 今後とも、これらの助成制度を積極的に活用することによりまして、森林所有者を支援し、本県の森林整備を適切に推進してまいりたいと考えております。
 次に、地域材の利用拡大についてでございますが、県産材の利用を拡大することは、適切な森林整備の促進と林業生産活動の活性化に寄与するとともに、地球温暖化の防止や資源循環型社会の形成を図る上からも、大変重要であると認識いたしてございます。
 このようなことから、県といたしましては、平成15年に全庁的な体制で3カ年の行動計画を策定いたしまして、公共施設等での県産材利用を積極的に推進するとともに、顔の見える木材での家づくりを地域材活用の戦略といたしまして、木材業界と建築業界の連携による利用拡大を図ってきているところでございます。
 また、国におきましては、本年4月に、環境負荷の少ない物品の調達を推進する、いわゆるグリーン購入法の規定に基づく基本方針を改定いたしまして、政府が調達する物品に違法伐採された木材を使用しないこととしたところでございます。
 これを受けまして、本県の県産材証明制度におきましても、本年4月から伐採の合法性を証明することとしたところでございます。今後とも、これらの取り組みを推進いたしまして、県産材の利用拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、大雪被害の状況と支援策についてでございますが、昨年12月以降の大雪による森林被害は、最近10年間では3番目に大きな被害でございます。このことから、県といたしましても、森林整備事業等を優先的に導入いたしまして、雪害木の処理を行うこととしております。
 また、雪害地に松くい虫被害木が近接する場合には、松くい虫の感染が懸念されますことから、松くい虫被害防除監視員による監視を強化するとともに、感染が確認された箇所につきましては、駆除を徹底するなど、被害森林の早期復旧に努めてまいりたいと考えてございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医師の確保対策に関連しまして2点お尋ねがございましたが、まず、医師確保対策の見通しについてでございますが、本県の人口10万人当たりの医師数で見ますと、これは平成16年の調査でございますが、全国の平均の211.7人に対しまして、本県では179.1人と大きく下回っているところでございます。県内においても地域偏在の状況にありまして、先ほど申し上げました179.1人という県の平均を上回っているのは、盛岡医療圏だけといったような状況になってございます。
 こうしたことから、平成17年3月に、総合的な医師確保対策として岩手県医師確保対策アクションプランを策定し、順次、各般の取り組みを実施しているところでございます。こうした取り組みの結果、臨床研修医の増加等の具体的な成果があったところでございますが、今年度は、これまでの取り組みに加えまして、新たな医師確保策としまして、県が医師を募集・採用し、地域からの医師派遣要請にこたえようとするドクターバンクといったものを設置することとしておりますし、それから、女性医師の働きやすい環境の整備などの新たな取り組みを加え、アクションプランを拡充し、地域医療の確保に向けた取り組みを実施することとしております。
 こうしたアクションプランに掲げます取り組みを通じて、医師の確保にさらに努力してまいりたいと考えております。
 2点目の小児科医、産科医の確保対策でございますが、本県の小児科、産婦人科の医師数につきましても、全国平均を下回り、不足している状況にあると認識しております。お産や子育てについて不安を感じている方が少なくないという声は、多くの方々から伺っているところでございまして、医療面からも、安心して子供を産み育てる体制を構築することは、大変重要であると考えております。
 こうした状況を受けまして、県としては、臨床研修医の確保や修学資金の貸与により、将来の小児科医でありますとか、産科医の確保につなげる取り組みをしているところでございますし、また、女性医師は、比較的小児科でありますとか、産婦人科を選択することが多いとされておりますことから、女性医師等への育児支援や職場復帰支援について新たな取り組みを実施することとしております。
 さらに、産婦人科につきましては、不足している医師の勤務の負担軽減を図るとともに、妊婦の健康管理を支援する助産師外来の取り組みを進めているところでございます。
 なお、国においては、小児科、産科医療提供体制の集約化を図る方向とされておりまして、県においても、平成19年度までに新たに策定することとなります医療計画の中で検討する必要があると考えております。
 次に、少子化対策についてでございますが、我が国においては、社会保障給付費におきましても、少子化対策関連費用の割合は先進諸国に比較して低レベルとなっているところでございまして、人口減少時代を迎えつつある現在、この点につきましても、国において長期的視点からの議論を行い、的確に対応していただくことが必要と考えております。
 こうした中、6月20日に国の少子化社会対策会議で決定された新しい少子化対策には、経済的支援などの子育て支援策や働き方の改革などの対策が盛り込まれており、県としては、今後、こうした方向での国における議論及び対策の動向について注視し、対応してまいりたいと考えております。
 なお、本県でも少子化対策は重要な県政課題であると認識しており、県としても、昨年3月に見直しましたいわて子どもプランに基づいて、多様な取り組みを総合的に推進しているところでございます。
 本年度は、これまでの総合的な医師確保策や保育サービスの充実に加え、働き方の見直しという視点から、新たに次世代育成支援対策のための中小企業における事業主行動計画の策定支援でありますとか、父親の育児参加の促進などに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、社会各層の参画をいただきながら、少子化対策に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 建設業における現在の経営状況についてでありますが、公共事業の減少や民間景気動向等を背景として、県内建設投資額がピーク時から約4割減少するなど、本県建設業を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、また、倒産を余儀なくされる企業も出るなど、企業経営者の方々の改善に向けた努力にもかかわらず、総じて極めて厳しい経営状況にあるものと認識しております。
 新分野への進出についてでありますが、岩手県建設業協会の経営支援センターと連携して取り組んだケースといたしましては、平成17年度末現在で、農林水産業や環境リサイクル、保健福祉等の分野で24件延べ38社となっており、さらに、現時点で研究会を立ち上げるなど具体的な動きのあるものも含めますと、27件延べ46社となっております。
 次に、支援策でございますが、県としましては、岩手県建設業協会の経営支援センターと連携しまして、コーディネーターによる相談指導や経営革新講座への参加などを支援してきたところでございます。しかしながら、今後さらなる公共事業の削減も想定されることから、新たに建設業対策中期戦略プランを取りまとめ、本庁と広域振興局等に相談支援体制を構築したところでございます。現在、建設業地域懇談会などを通じましてプランを説明するとともに、各振興局等におきまして個別相談に取り組んでおります。今後は、引き続き新分野進出の意向調査やワークショップの開催、調査研究の支援などに積極的に取り組むことにしております。これらに加えまして、新たに建設業総合対策事業を創設し、新分野進出などに必要な製品開発や販路開拓、人材養成などに支援を行うことにしております。
 次に、東北横断自動車道釜石秋田線遠野-東和間の整備促進についてでございますが、宮守から東和間につきましては、国において、昨年度からの継続工事を含めまして19カ所でトンネル工事や橋梁工事などを進める予定であり、遠野から宮守間につきましては、現在、測量・調査及び設計を進めていると国から伺っております。県では、整備促進が図られるよう、花巻総合支局において用地担当職員を8人体制とし、今年度も引き続き国からの委託を受け、積極的に用地取得に努めてまいります。県といたしましては、引き続き本路線の早期の整備促進につきまして国に強く要望してまいりたいと考えております。
 次に、立丸峠のトンネル化についてでありますが、これまでの調査により、地形が急峻であるため、複数のトンネルを含む大規模な事業になると見込んでおりますことから、交通量の推移や地域開発の動向も踏まえ、県全体の道路整備計画の中で、整備のあり方も含めて検討してまいりたいと考えております。当面は交通の隘路箇所の解消を図ることとし、待避所の設置やカーブの緩和など局部的な改良について今年度既に調査設計を開始しており、一部工事に着手しております。
 土淵地区の道路整備でございますが、本地区は、伝承園、カッパ淵などの遠野を代表する観光地を有しているほか、土淵小学校、土淵中学校の通学路ともなっております。しかし、道幅が狭く、歩道も一部区間を除いて設置されていない状況にあります。このため、整備の必要性が高い区間であると認識しておりますが、具体的な整備計画につきましては、周辺の開発状況などを勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
〇22番(工藤勝子君) 御答弁大変ありがとうございました。2点ほど再質問させていただきたいと思います。
 広域振興局における地域振興方針が策定されて、御説明を受けました。これは、県南広域振興局の内部だけではなくて、やはり本庁、県の職員の方々も、きちっとこういう体制でやるというようなことを認識する必要があるのではないかなと思っております。その中で、本庁としての役割、それから県南広域振興局としての役割、さらには総合支局の役割、行政センターの役割とあるわけですけれども、この辺の役割をきちっと明確にする必要があるのではないかなと思います。特にも、本庁と広域振興局の本局の役割分担というものを明確にしていただきたいと思いますし、県南広域振興局から各市町村に対していろいろ権限が移譲されるわけですけれども、では、県から県南広域振興局の方に権限が移るものというようなことを今後どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
 それから、知事にお聞きいたしますけれども、結局、今こういう体制でスタートしたことに対して、知事は現段階で、各首長さんとの懇談会も開かれているわけですけれども、この体制をどう受けとめているのか、それから今後、次の三つの広域圏における進め方を、10年後を目途としているわけですけれども、私は、本来ならば岩手県として同時にスタートするべきだという提言をしたはずですけれども、特に県北・沿岸振興なんかが入ってきて県南広域振興局のモデルというのが何となく薄れてきたような感じもするわけですけれども、どう受けとめているのか、その点をお聞きしたいと思います。
 それから、建設業対策についてもう1点だけお伺いしたいと思います。
 新分野に進出した業者が、価格の低迷というようなことで、特に農業分野に進出した業者が農産物の価格の低迷によってなかなか所得を上げられない状況にあると聞いております。生産費が100円かかるのに市場価格が例えば22円とか23円という話も聞きました。業者さんは、もうやめたいと。建設業界さんは新分野に進出したんですけれども、もう限度だと。このままの価格で推移するならばやめざるを得ないと。自分の事業も、もとの建設業の事業も新分野に進出したことによって引っ張られるようなこともあるというようなことを聞いているんです。ですから、例えば譲りたいとか、だれかこの施設をそのままそっくり受けてくれる人はないでしょうかというような話まで聞かされました。今、県はどのような支援をしているのですかと聞いたら、支援は今のところありませんという答えもありました。なぜ建設業界がこの新分野に進出が進まないものなんでしょうか。
 それから、今後の体制といいましょうか、いろいろ中期プランにも書かれているわけですけれども、そういう部分で、もうちょっとスタートした人たちに対してのいろんな支援、それから、今スタートしている人たちの経営がどうなっているのかというようなことを県がきっちりと把握しながら支援をしていくものと考えられますが、その点についてお伺いいたします。
〇知事(増田寛也君) 県南の広域振興局の関係についてお尋ねがございましたが、市町村長さん方との意見交換会の場におきまして、遠野市長さんから具体的にいろいろな懸念の話を私もお伺いすることがございました。ほかの市町村長さん方から特にこの話は出ておりませんけれども、遠野市長さんからそういう話があって、恐らく遠野の場合には、遠野市に1振興局があるという1市1振興局の体制でございまして、大変振興局と市の距離が近かったので、それが花巻の広域支局の方に移ったということがあって、スタートの時点でいろいろ混乱した状況があったのではないか、こういうふうに理解をしたところであります。
 それに対しての対応策は、先ほど企画理事の方から答弁申し上げましたが、できるだけ早期に見直すべきところは見直しをしたい、こういうふうに考えておりますが、やはり県の今後の仕事として産業振興が大変大きな仕事になってくるであろうと。そしてまた、そのほか、生活圏域もかなり広域化をしてきていますので、県の行政を広域行政の単位で進めていくというのが一つの今後の県としての方向であろう。そういう意味で大きく四つの広域圏単位に区分けを変えたわけでありますので、10年様子を見て、いろいろ今後、他の振興局の動向も考えていきたいと思いますが、ぜひ県南の広域振興局でいい成果を出して、そして県民の皆さん方にもそうしたことを御理解をいただいた上で、他の地域についても、できるだけ早くそうした広域振興局体制の中で、産業振興などダイナミックな仕事に大きくウエートを移して、そして成果を出していきたい、このように考えております。
〇企画理事(酒井俊巳君) 地域振興方針についてのお尋ねでございますが、地域振興方針は、平成18年度のものを今回策定いたしまして公表したわけでございます。これまでの地域振興方針と大きく違うところは、これまで地域振興方針は各地方振興局ごとにつくっていたわけでございますけれども、今度の県南広域局の地域振興方針というのは、これまでの地方振興局で挙がっていたものにプラスをいたしまして、広域振興局の設置目的でございます広域的な課題、そういったものも入れ込んでつくったということでございます。
 実際のところを申しますと、やはり今年度の部分は平成17年度から引きずっている部分が多くございます。つまり、地域活性化事業調整費等の関係で既に地域に平成17年度に約束したもの等がございますので、そういったものも入れ込んでいるわけでございまして、中身としては、広域的な課題と、それからやはり地域の、これまでの地方振興局があったときの課題が一緒に入り込んでいるという状況でございます。これにつきましては、総合支局の方から一応入れ込む内容等を入れてもらい、さらにそれを首長さん等に説明をしながら、御意見をいただいて修正をした上で出させていただいたということでございまして、やや中身的に、先ほど言いました事情もございまして、よく整合性がとれていないところも実は率直に言ってございます。
 ただ、この振興方針の中身につきましては本庁の方にも地域振興部を通じて渡しているわけでございますし、それから各業務分野につきましても、本庁とは十分に連絡をとりながら地域振興方針をつくり、そしてそれを実行していくというふうに考えているところでございます。そうしたことで地域振興方針を策定し、本庁との連携等につきましてはそういうことで進めていきたいと考えております。
 それから、権限移譲につきましては地域振興部長の方から答弁をしていただきますので、よろしくお願いいたします。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 権限移譲についてでございますけれども、本庁と広域振興局の役割分担ということを前提として、今後も権限移譲を進めていくわけですけれども、県南広域振興局におきましては、市町村の機能強化に向けた支援だとか、あるいはまた、産業振興等広域的、専門的な業務を担うということでございまして、今年度におきましても、組織編成の権限等247に及ぶ権限を移譲いたしたところでございます。
 今後、こういった広域振興局の体制の充実強化、いわゆる業務の完結性を高める方向での権限を移譲していくということでございまして、あわせて、本庁の業務につきましては、いわゆる全県的な企画調整だとか、あるいはまた広域振興局への支援、広域防災あるいは危機管理、はたまた国、他県との調整といったようなものに特化する、そういう前提のもとで大幅な権限移譲を今後とも進めて、住民本位の広域行政の実現を目指していきたい、そのように考えております。
〇県土整備部長(西畑雅司君) 議員御指摘のとおり、新分野に進出された建設企業のその後のフォローということは非常に大事な視点であるというふうに認識してございます。本年度つくりました本庁並びに振興局の相談窓口で、そういった企業の方々の経営者の方々の意見もよく聞いて今後の対策に生かしていきたいというふうに思っております。
 これまでは、相談支援あるいはフォーム等の支援というような形でございましたが、今年度から、額は少額ではございますけれども、実際に、製品開発でございますとか、販路開拓でございますとか、人材養成につきまして補助金を交付するという制度もつくったわけでございます。こういったものも御利用いただいて建設業の振興に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
   
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 4 時16分 休 憩
   
出席議員(47名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川  富  夫 君
3  番 五日市     王 君
4  番 小田島  峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口  英  司 君
9  番 高  橋  比奈子 君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子 君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎 君
20  番 新居田  弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木  順  一 君
31  番 佐々木     博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺  研  一 君
36  番 小野寺     好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 阿  部  敏  雄 君
40  番 吉  田  昭  彦 君
41  番 佐々木  一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木  大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎 君
48  番 菊  池     勲 君
51  番 佐々木  俊  夫 君
欠席議員(2名)
49  番 藤  原  良  信 君
50  番 佐  藤  正  春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
   午後 4 時29分 再 開
〇議長(伊藤勢至君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。工藤大輔君。
   〔28番工藤大輔君登壇〕(拍手)

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