平成18年6月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(吉田昭彦君) 民主・県民会議の吉田昭彦でございます。
 通告に従い、順次質問をさせていただきますので、知事初め、当局の積極的な答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 初めに、三位一体改革の評価と今後の動向についてお伺いします。
 地方分権改革は、日本社会の目標を成長優先の政策から生活重視の政策へと転換し、生活に身近な地方公共団体の役割を高めることであり、そのことによって、ゆとりと豊かさを実感できる社会の実現を図ることと言われていますが、現実には、日本社会は格差と不安が拡大する社会となり、中央と地方の地域格差、都市と地方の所得格差が提起されているところであります。
 少子・高齢社会が進展する中、経済規模が拡大する地域は大都市圏や政令指定都市が多く、人口の減り方が大きい地域の地方ほど、経済の縮小幅も大きくなる傾向にあるようであります。
 地方分権改革の推進のもと進められている三位一体改革は、中央に集中する権限、財源を住民に身近な自治体に移し、地域及び住民のニーズに応じた行政サービスを提供できる仕組みに改めるもので、国、地方を通じて効率的な行財政システムを構築するとともに、国と地方の役割を明確にするもので、地方分権改革のかなめとなる改革と位置づけられています。
 結果としては、第1次の三位一体改革の評価は、補助金の削減の中身を見ると、義務教育費国庫負担金の削減などが中心で、学校や公営住宅、道路関係など地方の裁量が拡大するものについては、地方の要望が受け入れられずに決められており、国の財政再建を中心に据えて、地方側の自由度や裁量をふやすという地方分権推進の観点からは、極めて不十分であると言わざるを得ないと思います。
 このことについて、知事はどのように評価されているのか、お伺いいたします。
 また、ポスト三位一体改革では、交付税の見直しが焦点になっており、全国知事会など地方6団体が設置した有識者らによる新地方分権構想検討委員会は、地方に関する国の政策立案に地方6団体の代表が参加する地方行財政会議の設置や地方共有税の創設、国庫補助金の半分を廃止し一般財源化するなど、国と地方の役割分担の明確化について提起をされています。
 また、地方分権は、身近な行政サービスは全国一律の基準で国が補助金を交付して行うより、地方の責任で行う方が効率的であることから、そのための権限も税財源も地方に渡すべきであり、地方分権を進めて効率化を図り、あわせて財政再建を具体化することで、国から地方への三位一体改革を実現すべきと思いますが、最近の全国知事会の動向などと増田知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、増田県政の政策課題の評価についてお伺いします。
 知事は、平成15年の知事選で、全国から注目され、全国に先駆けてマニフェスト、岩手をこう変えます―私の政策を発表し、その内容は、自立を進める4年間と位置づけ、自立への政策として、環境、雇用、福祉、教育等の各種の施策、事業に重点的に取り組み、財政構造の改革と産業の活性化を図ることを提起されています。
 これをもとにして、岩手県総合計画との整合性を図り、誇れるいわて40の政策を取りまとめ、4年間の任期中に取り組む各種施策の目標値と施策の事業化の工程表を示したところであります。
 その中で最優先に取り組む緊急課題として、第1に雇用対策、第2に青森県境産業廃棄物不法投棄事案への取り組みと循環型社会の形成を提起し、七つの重点施策として、21世紀型の新しい産業先進県、環境首都を目指す環境先進県、新しい時代を担う人づくり教育先進県、安心して暮らせる社会先進県、スローライフを基調とした食と森先進県などを提起しております。
 また、行政機構の簡素・効率化を中心とした、いわゆる行革の取り組みに加えて、これまで以上に質の高い行政サービスを提供できる行政経営体に変えていこうとする行財政構造改革プログラムを策定しております。
 40の政策と行財政構造改革プログラムは、岩手の進むべきグランドデザインを描いている岩手県総合計画の施策を具体化する車の両輪となるものと理解するものであります。
 そこで、何点かお伺いします。
 初めに、知事のマニフェストは、地方分権時代のローカルマニフェストの先駆的モデルとして評価されていますが、政策評価に関する条例に基づく内部評価による達成度をどのように評価され、それを踏まえての今後のマニフェストのあり方についての御所見と今後の対応についてお伺いいたします。
 次に、知事は、改革派知事の代表格の一人として全国的にも注目され、地方分権、道州制などへの取り組みに加えて、対外的にスローライフ、がんばらない宣言、地元学などを地域政策理念として掲げ、情報発信を積極的に行ってきたと思いますが、岩手県総合計画の目標に対して、県勢発展の実態をどのように政策評価し、今後のあるべき姿をどのように展望、政策展開される考えでありましょうか。生活環境水準、経済水準、教育水準等について、全国水準との対比並びに県内の広域生活圏別の動向についてお示し願います。
 次に、効率的な行政組織機構を目指してのトヨタ式改善を運用したIMS――いわてマネジメントシステムの実施効果の現状を費用対効果の観点でどのように評価し、今後どのように進めていくか、お考えをお伺いしたいと思います。
 次に、平成15年度から17年度までの行財政構造改革プログラムの取り組みの成果をどのように評価されているか、お伺いいたします。
 また、昨年10月にまとめました県財政の中期収支の見通しによりますと、平成19年度から4年間の財源不足額は2、354億円、単年度で約600億円になると試算され、しかも国の財政制度審議会の財政再建の意見書によると、平成19年度以降、さらに交付税の削減が心配されていますが、今後、重点的に取り組まなければならないと考えておる課題は何でありましょうか、お伺いいたします。
 終わりに、平成19年度は、予算編成方式の見直しについて、各部局への予算配分方式を改めるということでありますが、従来方式の課題は何であったのでしょうか。また、どういう観点で見直しをされるのか、お伺いいたします。
 次に、広域振興圏の設定に伴う諸課題への対応についてお伺いいたします。
 岩手県総合計画の変更により、九つの広域生活圏から四つの広域振興圏に再編されました。平成22年度を目標とする現総合計画の基調は県民生活を最重点に置いて構築したものでありますが、このたびの広域振興圏の設定は、産業振興政策を県の重点的施策として展開しようとするものであると理解するところでありますが、産業振興の積極的な取り組みを評価しつつも、本県行政執行の基本理念としての県土の均衡ある発展の最も基本的な尺度であるシビルミニマムの維持向上に係るものについても留意されることを提起しながら、幾つかお伺いいたします。
 初めに、岩手県総合計画の地域別計画の改定に当たっての基本的な考え方、スケジュールについてはどのようになっているのか、お伺いいたします。
 次に、広域振興圏別の地域振興ビジョンは、各地方振興局で関係市町村と連携しながら取りまとめられると思いますが、その内容として盛り込まれるものはどういうものなのでありましょうか。産業振興のみならず、地域振興に係る各分野にわたるものについてと理解してよろしいか、お伺いいたします。
 次に、広域振興局と地方振興局の分担業務内容の本庁とのかかわり方がどのように明確にされておるのか、お伺いいたします。
 終わりに、本県産業振興の重点施策となる関東自工の下請関連の集積対応に関する業務の担当は、本庁と県南広域振興局とでどのように役割分担をされ対応されるのか、お伺いいたします。
 次に、県北・沿岸振興対策についてお伺いします。
 県北・沿岸振興対策については、昨年度、岩手県総合計画の変更により、従来の九つの広域生活圏による区域の設定が、四つの広域振興圏に再編されたことにより、いろいろな分野で整備のおくれが見える県北及び沿岸地域の振興を図ることを目的に提起されたもので、関係地域の方々にとっては、大変注目し、その施策効果に期待を大きく持っているところであります。
 岩手県地域統計指標によりますと、所得、純生産、観光客の入り込みなどの経済基盤、労働力人口、失業率などの労働、診療所、医師数などの健康・医療分野で、県北・沿岸地域の格差が明らかになっております。このことから、今後の振興対策については、産業振興を重点にしつつも、県土の均衡ある発展を基本に、生活環境面の格差を解消するための施策の推進についても、計画として示すことを提起するものであります。
 沿岸部については、農業・漁業でも、生産形態などの実態をもとに、地域性から来る違いをもとに地方振興局単位のきめ細かな計画とすべきと考えますが、いかがでありましょうか。
 また、関連して、次のことについてお伺いいたします。
 初めに、いずれ県北・沿岸振興に関する産業振興の基本的方向も示されると思いますが、県北・沿岸圏域で策定される地域振興ビジョンは、どのようなスケジュール、体制で、どのような内容が盛り込まれるのでありましょうか。また、具体的な施策はどのように示されるのか、お伺いいたします。
 終わりに、沿岸部の地域特性を活用し、農林水産業との連携によるグリーンツーリズムの振興、団塊の世代の受け入れ基盤の整備等のため、各種の補助基準の緩和による対策が必要と考えますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。
 次に、新市町村合併構想の取り組みについてお伺いいたします。
 財政支援の優遇措置がある旧合併特例法の適用を受ける市町村合併によって、従来の59市町村が35市町村に再編されたところであります。本年度スタートする新合併特例法のもとで合併を推進しようとの新たな合併推進構想では、8地域の枠組みが示されました。
 新合併特例法によると、旧法にあったような合併特例債など各種の財政支援措置がなく、財政的なメリットが余り期待できないことから、関係自治体においては、地域住民に対してより説得力のある資料を整備し、地方分権時代において、住民に身近な事務はできる限り市町村が処理できるよう、行財政基盤の強化が必要であることの理解を深める必要があります。
 県が示した8地域においては、合併できかねた自治体や積極的に当面自立の道を選んだ自治体など、それぞれの事情があるわけでありますが、少子・高齢化社会が進展する中で、行財政運営の一層の効率化と広域行政の運営を目指すことが必要であることからも、地域の将来像と地域の活力をいかに維持強化するかの観点で議論が必要であると思うのであります。
 最近の情報によりますと、気仙地域を初め各地域で、振興局を主体に、研究会の設置によって関係市町村と一体となっての取り組みは評価するものでありますが、まちづくりのあり方、合併による将来ビジョンなど、地域住民の判断資料を提示できるようにするなど、県当局、振興局の役割は極めて大きいと思いますが、どのような方策で、どのように対処されるか、お伺いいたします。
 次に、地震・津波防災対策についてお伺いします。
 今後30年以内に99%の確率で発生すると予想されております宮城県沖地震による地震・津波対策は、本県防災対策の喫緊の課題であります。県当局は、これまでシミュレーションや被害想定調査を行って、津波到達時間、浸水区域、人的被害、建物被害などの想定をもとに、津波浸水予測図等の防災マップの作成、耐震化対策、防災情報通信体制の整備などに積極的に取り組んでおられることに敬意を表するものであります。
 あわせて、沿岸各市町村で設置されております潮位計、波高計のネットワーク化については、県においても津波情報をリアルタイムかつ広域的に情報を共有して避難を迅速に行うために必要があることは、十分認識されているものと思いますが、国で計画されておりますGPS波浪計の設置とあわせて、避難情報通信体制整備の観点で、整備の促進に向けてどのような対処をされているのか、お伺いいたします。
 また、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく特別推進地域の指定により、その施策としては観測体制の整備が重点とのことでありますが、ハード面の対策についても支援策が講じられるよう、特にも避難路、防潮堤の補強、水門の遠隔操作設備の整備について、国の財政支援措置を明確にするよう要望を強化すべきと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
 次に、農林水産業の振興と担い手対策についてお伺いします。
 農林水産業は、食料供給という第一義的な使命を持っておりますが、農林水産業に携わる人々の減少と急速な高齢化の進行、農林水産物の輸入の増加など、農林水産業を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。
 このような情勢の中で、本県の基幹産業として振興発展を図るためには、農林水産業に携わる人々の意欲と創意工夫を生かした取り組みを支援することが、安全で良質な農林水産物を安定的に供給できる体制を整備することになるとともに、活力に満ちた農山漁村を構築することになると考えます。
 そこで、農林水産業のそれぞれの分野ごとに、振興発展の中心的役割を担う担い手対策の現状と課題、将来に向けての方策についてお伺いいたします。
 まずもって農業についてでありますが、国では、昨年3月に今後10年の農政の指針となる食料・農業・農村基本計画の改定計画を策定しました。その中心となっているものが、食料自給率目標の45%達成と担い手を明確にした施策の集中と経営安定対策の導入、担い手への集約による農地の有効利用の促進などであります。
 担い手の基本原則は、認定農業者は4ヘクタール、集落営農組織では20ヘクタールとなっております。本県においては、国の基本原則の条件を満たすものはどれほどになると考えておるか、また、国の対策を効果的に受け入れるためには、面積要件の緩和など特例措置の適用についても検討する必要があると思いますが、どのように考えておられるか、お伺いいたします。
 次に、本県農業の一層の発展を図るためには、適地適作を基本として、米と野菜、果樹、花卉の振興など、米、園芸、畜産のバランスのとれた総合産地の形成が必要と考えますが、国の品目横断的経営安定対策の対策品目となっていない施設園芸、畜産についても、所得安定対策として県独自の施策を講じる必要があると思いますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。
 あわせて、野菜、果樹、花卉、畜産等の広域振興圏別の主産地形成の現状と今後の拡大施策について、お伺いいたします。
 次に、地産地消の取り組みについて伺うわけでありますが、地産地消の発信基地とも言える産地直売所の現状と課題についてお伺いします。
 さらに、食育に関連して伺うわけでありますが、学校給食における県産食材の利用状況と今後の推進課題はどのようになっているか、お伺いします。
 また、本県では、本年2月に食育推進計画を策定したと聞いておりますが、子供たちへの食育活動の現状と今後の具体的な推進策についてお伺いします。
 次に、林業についてであります。
 森林は、木材生産のみならず、県土の保全や水資源の涵養、レクリエーションの場としての利用など、多くの機能を持っております。また、地球温暖化防止対策としても、極めて重要な役割を果たしております。
 そこでお伺いしますが、民有林の杉人工林においては、間伐の促進が喫緊の課題となっていると思いますが、どのような状況にあり、今後の推進策をどのように考えておられるのでありましょうか。本県における県産材の需給状況並びに利用促進のための施策の効果と今後の課題、推進策はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 次に、水産業についてでありますが、漁業経営体数並びに漁業就業者数も減少傾向にあり、平成15年は1万472人となっており、平成10年対比で16%減となっております。また、男性就業者のうち60歳以上の高齢者の占める割合は45%となっており、高齢化がさらに進行しております。
 漁業生産面では、サケ、アワビ、ウニなどの栽培漁業やワカメ、コンブ、カキ、ホタテガイなどの養殖業等つくり育てる漁業を推進しており、全国に安全で安心な水産物を供給しておるところであります。全国統計では、ワカメ、アワビは1位、サケ、ウニは2位と上位を独占し、カキについても、価格面で証明されているように、質的には中央市場で高い評価を得ていることは、御案内のとおりであります。
 また、水産業や漁村は、単なる水産物の供給にとどまらず、都市住民に対する健全なレクリエーションの場を提供するなど、その重要性が見直されてきております。
 そこでお伺いいたしますが、本県水産業の中枢を占めている海面養殖業は、沿岸部の振興のためにも、また、いわてブランドとして中央に紹介されている位置づけからいっても大変重要な産業でありますが、これを維持発展させるためには、漁業経営体、就業者をいかに安定的に確保するかが大きな課題と考えますが、どのように対処される考えか、お伺いいたします。
 次に、関連して伺います。
 県漁連など県内の水産関連6団体が、5月18日に日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の試運転開始に伴う本県沿岸域周辺での海洋調査実施及び放射性廃液の情報開示などを求める要望書の提出をされましたが、それに対しての対応はどうされておるのでありましょうか。
 また、本県ブランドの水産物に影響が出るような風評被害が発生しないよう、国の安全性を証明する広報活動の徹底を望むものでありますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、教育に係る諸課題についてお伺いいたします。
 中高一貫教育校については、6年間の計画的・継続的な指導により基礎学力の定着が図れること、生徒や保護者の選択の幅を拡大して、中等教育のより一層の多様化を推進することができるものであります。
 併設型の中高一貫教育校の設置については、県立高等学校新整備計画後期計画において、設置について引き続き検討することにされ、昨年度、中高一貫教育校検討委員会において検討され、モデル形態としての次世代リーダー育成タイプ、芸術・スポーツタイプ、中山間地担い手育成タイプと三つのモデルタイプについて検討し、最終的にスペシャリスト育成のための普通科タイプの設置について報告され、それを受けて、県教委として、設置方針、設置場所を今年度明らかにし、2年間の準備期間を経て開校することになっていると伺っております。
 そこでお伺いしますが、検討委員会においては、三つのタイプについていろいろな角度から論議があったと思いますが、四国4県に匹敵する本県の特殊性を考え、いろいろなモデルタイプの設置で検証を行うことが、教育効果を判断する上で必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、県立病院の役割と医師確保対策についてお伺いします。
 平成17年度県立病院等事業会計の決算概要によると、単年度黒字計上との内容が示されておりますが、その要因はどういう内容であったのでありましょうか。県立病院改革プランの推進の成果と見てよいのか、お伺いします。
 医師確保、医師の地域的偏在の解消については、いろいろな角度から努力を傾注されていることには敬意を表したいところでありますが、依然として、産婦人科、小児科はもちろんでありますが、地域医療の中心とも言える内科、外科についても、地域によっては充足に至っておらず、特にも県北・沿岸地域で医師不足が顕著になっています。
 県立病院別の地域内での県立病院の依存度合いをお示し願います。
 県においては、医師確保対策アクションプランの策定による各種の取り組みや臨床研修医の県内への定着を図るための後期臨床研修体制の整備を行っていると伺っておりますが、その動向と成果についてお伺いいたします。
 医師不足、地域偏在の問題は、医師不足の地域に対する国の認識、取り組みが甘いのではないかと考えざるを得ませんが、昨年8月、厚生労働省、総務省、文部科学省等の連携による医師確保総合対策の緊急提言を行い、医学部定数の地域枠拡大、自治医大の定数の見直し、診療報酬上の適切な評価を検討課題にするとのことと伺っていましたが、今般の医療制度改革などでの検討も含め、どのような形で具体化されているものなのか、お伺いいたします。
 また、医師不足が顕著な北海道、東北が連携を密にして国に要求すべきと考えますが、このことについて県はどのように考えておられるか、お伺いいたします。
 終わりに、地域における諸課題についてお伺いします。
 まず初めに、高速交通体系をアクセスする幹線道路整備の促進についてお伺いします。沿岸部を縦貫する三陸縦貫自動車道の早期整備は、防災対策上、医師不足解消策など地域の諸問題の解決と振興発展のために一日も早い全線完成を望むものでありますが、推進策をお伺いいたします。
 次に、津付ダム建設事業についてお伺いします。昨年、地権者との損失補償協定書の調印を経て、地権者との補償交渉も順調に進んでいるとのことであり、ダム整備の推進とあわせ国道397号の整備の促進が望まれ、このことで気仙地域と県南内陸地域との連携が活発化することで大きな経済効果が期待されるものでありますが、どのように対処される考えか、お伺いします。
 次に、シカ、カモシカの食害対策についてお伺いします。農林産物のシカによる食害被害は、依然として農家、農林業者の頭を痛めているところであります。農林業被害額はひところよりは減っているので対策の効果と評価したいところでありますが、実態は、関係者が生産意欲をなくして生産縮小していることからの結果であり、生息頭数は減っていないというのが地域の方々の声であります。適正頭数に向けた実態の把握と根本的対策を求めるものであります。
 カモシカについては、特別保護管理計画の策定により捕獲できるようになったことに対しては対策の手だてを評価されているようでありますが、根本的な対策措置として適正頭数に向けての抜本的な対処が必要と考えますが、どのような対策になっているか、お伺いします。
 以上をもって私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 吉田昭彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革でありますが、本来の三位一体改革とは、国に集中しております権限、そして税財源を住民に身近な地方に移して、地方が自立的な行財政運営を行えるような仕組みに切りかえていくということ、また、国と地方の二重行政を解消して、国、地方を通じた財政再建につなげていくもの、このように認識しているところであります。しかしながら、これまで行われました改革は、3兆円規模の税源移譲が初めて実現するといったような部分はございますが、単なる補助率の切り下げ、交付金化といった国の関与が残る手法で行われておりますし、地方交付税につきましては、大幅な削減が行われるなど国の財政再建に軸足が置かれておりまして、極めて不十分と受けとめている、ここはまさに議員の認識と一致しているところでございます。
 次に、今後のこの改革の推進のためには、近々に決定される骨太の方針2006に今後の改革の方向性をしっかりと位置づけることが重要である、このように考えておりますが、このために、地方6団体におきましては、新地方分権構想検討委員会からの中間報告を受けまして、地方共有税制度の整備など七つの提言を盛り込んだ意見書を取りまとめて、今月の7日に地方自治法に基づく意見提出権を12年ぶりに行使して、内閣、衆・参の両議長に提出したところであります。今後とも、地方6団体が結束をして、またあわせて国民の支持を得て、分権改革のさらなる推進のために取り組む必要がある、このように考えております。
 次に、マニフェストについてでありますが、誇れるいわて40の政策というものが県の政策として私のマニフェストを具現化したものとしてございます。平成16年度の達成状況は、全体としてややおくれている、このような評価でありますが、平成17年度までの達成状況につきましては、ことし8月に県議会へ報告をして公表する予定にしております。
 なお、現時点で私なりに評価いたしますと、21世紀型の新しい産業先進県という部分につきましては自動車関連産業の集積などで成果が上がってきておりまして、こうした産業分野などでおくれを取り戻しながら進展してきている、このように認識しております。本年度はこの40の政策の最終年度でありますので、産業振興の中で、ものづくり人材の育成、さらには学力向上などの重点施策に現在全力を傾注して取り組んでいるところであります。
 マニフェストにつきましては、数値目標を明示しておりますので達成度の検証が容易でございまして、その結果を踏まえて、次の選挙でまたマニフェストを作成し、有権者の審判を仰ぐ、こういうマニフェストをぐるっと回すマニフェストサイクルというのが重要と認識しておりまして、そうしたものが何度か回されていくことによりまして、マニフェストの内容、実行過程についても改善され、有権者の意識も高まっていく、こういうふうに考えております。
 次に、総合計画の進捗状況についてですが、これにつきましては、平成16年度の主要な指標の到達度によりますと、おおむね順調と、このように評価しております。
 次に、具体的にお尋ねのございました本県の生活環境や経済分野についてでありますが、汚水処理人口普及率、それから1人当たりの県民所得などを見ますと、いずれも全国平均を下回っておりますものの、着実にその水準が向上してきております。特に生活環境分野におきましては、河川、海域などの水質環境が全国平均を上回るほか、犯罪認知件数が全国で2番目に少ないなど、総じて良好な水準を維持しております。こうしたことを見ますと、本県は、豊かな自然環境が維持されて、安全・安心な暮らしが営まれているなど、従来の経済的な尺度だけではとらえられない、高い価値を有する地域である、このように認識しております。
 今後、こうした岩手の現在持っております優位性を一層伸ばしながら、同時に、あわせて地域の経済的な自立に向けた産業経済基盤の強化、そして社会的な弱者の立場にある人々を地域で支えるセーフティネットの構築が重要と考えております。とりわけ県北・沿岸圏域におきましては、経済基盤がまだ十分でない、このように考えておりますので、地域の産業強化にしっかりと取り組んでいく考えであります。
 次に、IMS――いわてマネジメントシステムについてであります。
 現状評価のお尋ねがございましたが、まずこの目的は、むだを省いて、最小のコストで質の高い行政サービスを提供できる仕組みづくり、あわせて、常に改革改善を求め続ける組織風土を目指した人づくり、この両面をねらっているものでございまして、昨年、農林水産部と総務部で取り組みました。執務環境を改善し、業務プロセスを改善するということで、これらの活動によりまして、事務の改善で生み出された時間をより付加価値の高い新規事業にシフトしたり、超過勤務時間でいいますと、前年度比ですが、農林水産部で25%、総務部で20%の削減といった成果があったところでございます。
 このいわてマネジメントシステムですが、組織風土の変革、それから行政サービスの内容の質的な向上を目指すものでありますので、短期間におけるコスト削減といったものをねらうものではございませんので費用対効果を金額的に検証することは難しいんですが、これを続けていくことによりまして組織風土の変革が生ずるということで、中長期的に非常に大きな効果を期待しているものであります。
 今年度は、各部局、各振興局ごとに業務量を30%以上削減するという目標を掲げまして、このことによりまして生み出した時間で、より県民から期待されるニーズの高い事業を実施するなど、県民サービス向上につながる業務を積極的に遂行することとしておりまして、現在、全庁挙げてこの活動に取り組んでいるところでございます。今後も、こうしたことによりまして、改革改善の組織風土づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、行革プログラムの取り組みの評価についてのお尋ねでございます。
 この行革プログラムでございますが、歳入・歳出全般にわたる改革でございまして、特にこれまでの成果としては、プログラムに掲げております目標を上回る徹底した全体の体制のスリム化を進めてまいりました。そうしたことによりまして、平成18年度当初予算におきまして、財政面ではプライマリーバランスの黒字化を達成することができましたし、40の政策の取り組みを強力に下支えする、こういうふうに考えております。目標を上回る徹底したスリム化ということでございますが、特に人件費の抑制などでは440億円に上る額を達成いたしまして、そのほか、それぞれ所要の経費を圧縮したところであります。今後も厳しい財政環境が続くと予想されまして、その中でさらなるスリム化が必要だと考えておりますが、あわせまして、市町村中心の行政の仕組みを構築していくということ、それから、地域にあります民間活力や地域力が発揮されるような仕組みづくりを進めていくということ、また、何といいましても地域経済活性化のための確かな産業振興などについて重点的に取り組むことによりまして、ねらっております自立的な行財政基盤の確立を図っていきたいと考えております。
 次に、予算編成方式の見直しでありますが、現行の方式は、あらかじめ各部局に部局の予算枠ということで財源を配分いたしまして、その中で優先順位を部局ごとに判断してもらってそれを予算化する、こういうやり方をしております。各部局の自己決定、自己責任という考え方のもとに、現場主義による予算編成、現場における迅速な対応を目指してこのようなやり方をとったものであります。
 しかしながら一方で、現在、特にここ数年ですが、配分できる財源が年々減少してきております。これまでのような部局枠の一律削減をそれに対応して続けておりますと、県の施策全体の重点化が進めにくくなる、こういった懸念が最近特に起こってまいりました。したがいまして、平成19年度以降の予算編成につきましては、現場主義と迅速な対応という考え方を維持しつつ、それに加えて、県の施策全体について、より一層の選択と集中が進められるような予算編成を行いたい、このように考えておりまして、それをどのような具体的なやり方で行うかということについては、現在検討しているところでございます。
 次に、県北・沿岸圏域の振興についてでございますが、県北・沿岸圏域はすぐれた地域資源があるわけでありまして、そうしたものを活用した産業の振興を図って雇用の創出をしていく。そのことによって人口の社会減に歯どめをかけ、地域が安定的に発展するための基盤を構築していく、こういうことが今の県にとりまして最大の課題と認識して、今、本部も設けて進めているものでございます。
 この内容といたしましては、当然のことながら、産業の振興、地域の生活を支える経済基盤の強化が優先されるわけでございまして、産業振興の成果を着実に上げていくという観点から、それぞれの地域にございます産業の連続性や類似性を踏まえながら、県境あるいは隣県、隣接圏域といったようなところの特徴も視野に入れて、長期的な観点から4広域振興圏を設定いたしました。この広域振興圏域ごとに産業振興を核とした全般の目標や、それに向けての具体的な取り組みなどを内容とする地域振興ビジョンを今年度中に策定することとしておりまして、その中に汚水処理など基礎的な生活基盤の取り組みについても盛り込みたいと考えておりまして、圏域全体に共通する取り組みはもちろんのことでありますが、その圏域の中でも地域の特性というものがございますので、地域の特性を十分に踏まえながら、それぞれの地域、地域の具体的な取り組みにつきましてもきめ細かくその中に盛り込んでいく、このような考え方で進めることとしております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、地域計画の改定についてでありますが、新しい地域計画は、少子・高齢化、人口減少社会の到来や市町村合併の進展など社会経済情勢の変化に対応するため、1、新たに設定した4広域振興圏ごとに、2、地域の特性に応じた産業振興分野を中心として、3、達成すべき成果目標を明確にしながらその具体的な推進方策を掲げるものと位置づけております。その策定に当たりましては、市町村や地域住民の皆さん、NPOや企業などさまざまな分野の方々との意見交換やインタビューなどを通じて地域と協働しながら作業を進め、県の後期実施計画である新しい政策推進プランの策定と歩調を合わせながら、来年度のできるだけ早い時期に成案を得たいと考えております。
 次に、広域振興圏別の地域振興ビジョンの内容につきましては、議員御指摘のとおり、産業振興を大きな柱としながらも、教育、保健福祉、環境など各種の生活環境分野につきましても、広域振興圏ごとの課題を踏まえながら、その取り組みの方向性を盛り込むものであります。
 次に、広域振興局等と本庁の役割分担についてでありますが、県南広域振興局につきましては、市町村合併の進展などにより行財政基盤が強化されつつあることや、高度な産業基盤が整備されてきている状況から、今後、市町村との適切な役割分担のもと、より広域的、専門的な業務にシフトしていくとともに、地域振興施策を自己決定し、実施できる体制を整備していくことが必要であります。このため、本年度から課の設置など組織編成の権限を初め、247件に及ぶ権限や業務を本庁から移譲し、業務の完結性を高めたところであります。一方、地方振興局、特に県北・沿岸地域の地方振興局については、県南・県央地域に比較して産業基盤等が総じて弱いことから、県北・沿岸振興本部を中心に、本庁と地方振興局とが一体となって、市町村の行財政基盤強化に向けた支援や産業振興を一層推進するための取り組みを重点的に行っているところであります。
 次に、地域振興ビジョンのスケジュール等についてでありますが、県北・沿岸圏域の地域振興ビジョンは、関係地方振興局と県北・沿岸振興本部が一体となり、地域住民、NPO、市町村、企業などとの意見交換、インタビュー等を行い、地域と協働しながら、秋ごろまでに素案づくりを進め、それをもとに改めて議論を深め、今年度内に策定したいと考えております。
 地域振興ビジョンの内容としましては、産業振興を大きな柱としながらも、それぞれの広域振興圏にとって重要な課題については、その方向性と取り組みの内容を盛り込むものであります。
 次に、県北・沿岸振興対策としての補助基準の緩和についてでありますが、これまでも、企業立地関連補助制度や市町村総合補助金などにおきまして、地域区分や財政力指数などにより、県北・沿岸圏域においては補助要件や補助率などの補助基準の緩和を行ってきているところであります。今後においても、このような特別な支援策も念頭に置いて取り組みを進めていきたいと考えております。
 新市町村合併構想の取り組みについてでありますが、県におきましては、本年4月に策定いたしたわけでありますけれども、その趣旨は、地方分権の進展、生活圏域の広域化、少子・高齢化等の社会情勢の変化に対応するため、市町村の行財政基盤の充実強化はもとより、人口減少社会において持続可能な地域社会を構築していくため、各市町村の地域資源を有機的に連携させた産業振興や新しいまちづくり等を進めていくことが必要であると考えますことから、今後の市町村のあり方について地域における議論を深めていただこうとするものであります。
 県としては、合併構想を一つのたたき台として、それぞれの市町村で方向性を見出していただくことを期待いたしておりまして、各市町村長におかれましては、的確な行財政見通しはもちろんのこと、将来のまちづくりのために必要な情報を住民に提供していただきたいと考えております。そのため、県といたしましても、合併支援プランにより合併に取り組む市町村を支援するとともに、地域住民や当該市町村に必要な情報をわかりやすく積極的に提供してまいります。また、各地域で広域振興局などを中心としまして、意見交換会を行うなど地域でのコーディネーターとしての役割を果たし、地域における議論を促していきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 関東自工の下請関連の集積対応に関する業務の担当についてであります。
 関東自動車工業岩手工場関連の取引支援につきましては、全県を対象といたしまして、県南広域振興局工業技術集積支援センターが担当しており、取引情報の収集や、それら情報の関連企業への提供のほか、自動車関連技術展示商談会の開催、人材育成の支援事業など、地場企業等の参入促進に向けた施策を実施しているところであり、特にも、同センターに企業OBを複数配置するなどスタッフを充実させ、グループ化による共同受注に向けた支援や技術的指導に加え、発注側からの視点による取引拡大に向けた専門的指導や助言を行っているところであります。
 また、本庁におきましては、自動車関連産業の集積に向けた施策全体の総合的な企画立案、調整を基本的な役割とし、また、県域を越えた連携による自動車関連産業集積への推進など、国や他県との連携調整も行っているところであります。
 なお、本県における自動車関連産業の集積促進に向けましては、県の機関のみならず、取引あっせんや工程改善の分野など、財団法人いわて産業振興センターなどとも連携協力を図りながら取り進めているところであります。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 津波観測の潮位計、波高計のネットワーク化についてでございますが、隣県を含めた広域的な整備をすることによりまして、沿岸市町村にとって津波の襲来を早期に把握することができ、避難のための初動対応に有効であるという観点から検討を続けているところでございます。現時点におきましては、ネットワークの整備運営主体に関する課題ですとか、設置機器の形式、それから情報の処理方法等の技術的な課題、また、機器の整備、運営等の財政負担など幾つか課題が残っておりますけれども、引き続き検討をさせていただきたいと思っております。
 また、GPS波浪計につきましては、国におきまして、今年度、三陸沖の2カ所を初めとして全国で6カ所の設置を予定してございまして、来年度以降も順次設置を計画するとともに、今後、関係機関から成る協議会を設置し、観測体制等を含めた利活用を検討することと聞いております。GPS波浪計につきましても、避難のための初動対応に有効であると認識しているところでございますので、今後、国との連絡を密にとりながら、そうした協議会の場などを通じまして、潮位計、波高計のネットワーク化との関係なども含め、観測体制の充実に向けて、国や市町村などの関係機関と協議を進めてまいりたいと存じます。
 防災対策のハード整備に係る国の財政支援についてでございますが、特別措置法におきまして、国は、必要な財政上及び金融上の配慮をするものと定められておりますけれども、推進地域指定による財政的な支援につきましては、百貨店、旅館等の不特定多数の者が利用する施設に関する税の軽減など極めて限定的な支援に限られているのが現状でございます。このため、県といたしましても、推進地域の指定を受けた市町村とともに、避難路、防潮堤などのハード整備につきまして、国の財政支援措置を明確にするよう、全国知事会や北海道東北自治協議会等を通じまして国の財政支援を要望してまいりたいと存じます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、品目横断的経営安定対策に係る国の条件を満たす農家等についてでございますが、本年4月末時点の調査結果によりますと、認定農業者6、915人のうち、米の経営が主体の方が3、700人、このうち約6割に当たる2、100人が対策の面積要件を満たしております。また、現在の集落営農組織406組織のうち、面積要件を満たしているものは約180組織となってございます。
 次に、面積要件の緩和など特例措置の適用の検討についてでございますが、国の経営規模要件のガイドラインによりますと、地形的な制約に応じた特例や生産調整に応じた特例など各種の特例が措置されてございます。例えば、中山間地域の個別経営体では2.6ヘクタール、集落営農組織では10ヘクタールまで緩和が可能となっておりますことから、県といたしましては、地域の実情に応じた特例基準を設定すべく、現在、市町村等と協議を進めてございまして、7月20日までに国に特例を申請することといたしております。
 次に、国の対策品目となっていない施設園芸、畜産の所得安定対策についてでございますが、これらの作目につきましては、転作作物として導入した園芸・飼料作物への産地づくり交付金による助成や、国による野菜や肉用牛の価格安定対策、さらには、小規模の野菜産地や花卉産地に対する県独自の青果物等価格安定事業などにより助成をしているところでございます。今後とも、こうした事業を効果的に活用することによりまして農家所得の安定を図ってまいりたいと考えております。
 次に、野菜、果樹、花卉、畜産等の主産地形成の現状と今後の拡大施策についてでございますが、本県では、これまでの産地形成の取り組みによりまして、県央・県南広域圏では、野菜、花卉、果樹などの園芸作物や肉用牛、県北広域圏では、高冷地野菜や酪農、ブロイラー、沿岸広域圏では、施設園芸や養豚、ブロイラーなど多彩な産地が形成されております。今後におきましても、適地適作を基本としながら、園芸部門では、冬春野菜の導入による周年産地化、畜産部門では、優良牛の生産やキャトルセンターの整備による飼養頭数の拡大などを進め、岩手らしさを生かした、厚みのある多品目複合産地の形成に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、産地直売所の現状と課題についてでございますが、昨年の県の調査によりますと、販売員が常駐しております産地直売所は251施設で、その販売額はおよそ92億円と見込まれております。
 また、産地直売所の販売拡大に向けましては、商品の品ぞろえの充実等による地域の消費者が求める商品の提供が課題となっておりますことから、県といたしましては、産地直売所のネットワーク化などによる品ぞろえの充実等を積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、学校給食における県産食材の利用状況と推進課題についてでございますが、平成16年度の県産食材の利用率は全品目平均で52%となってございまして、調査を開始した平成11年度の30%と比べ、大幅に県産食材の利用が拡大いたしております。
 また、今後の推進課題といたしましては、ニンジンなど一部の品目で利用率が低く、安定した食材供給の仕組みづくりが課題となっておりますことから、県といたしましては、学校給食における県産食材の利用拡大に向けて、利用率の低い品目の新たな生産体制の確立や産地直売所の連携などに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、民有林の杉人工林における間伐の促進についてでございますが、県内の杉人工林で間伐を必要とする森林は、平成16年度末には10万ヘクタールでございまして、このうち、間伐材の利用が可能であるにもかかわらず、手入れがおくれ、緊急に間伐を必要とする森林は、約4割の4万ヘクタールとなってございます。
 このため、県といたしましては、国の補助事業等を活用した間伐の促進、合板工場等の大口需要先へ間伐材を供給する体制の整備などにより、今後とも間伐を促進し、多面的機能を十分に発揮できる健全な森林の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、木材需給についてでございますが、近年、本県の木材需要量は約160万立方メートルとほぼ横ばいでございまして、その内訳は、県産材が約6割、外材・県外材が約4割となってございます。
 県では、県産材を率先利用しているほか、市町村の木造施設等に対する助成により、平成17年度の県内公共事業等の県産材利用量は約2万4、000立方メートルと前年の1.2倍となってございます。また、間伐材等を構造用合板の原料として供給する取り組みを支援してまいりました結果、平成13年度から17年度の5年間で県産材の利用量が約17倍に増加してございます。
 また、今後の課題と推進策でございますが、大口需要者への原木の安定供給や地域の特性を生かした加工・販売体制の確立が課題となっておりますことから、素材供給者の協同による安定供給の取り組みを県内に拡大するとともに、木材業界と建築業界との連携による県産材利用の促進などに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、海面養殖業の経営体、就業者の確保についてでございますが、海面養殖業は、本県漁業生産の3割を占め、沿岸地域の振興上、重要な役割を担っているものの、近年、漁業者の減少と高齢化などにより生産額が減少いたしており、海面養殖業の振興を図るためには、漁業担い手の確保、育成が喫緊の課題となってございます。
 このため県といたしましては、本年3月に策定いたしました漁業担い手育成ビジョンに基づき、関係団体等との連携を図りながら、漁協の地域営漁計画の策定支援を通じた意欲と能力のある担い手への漁場集積の促進、作業の機械化によるワカメ養殖の規模拡大、漁業者グループによる販売活動への支援、さらには、漁協と地元水産加工業者等との連携強化などに取り組みまして、養殖漁場の生産性の向上と水産物の高付加価値化を図り、担い手の所得向上を実現し、海面養殖業の担い手の確保、育成に努めてまいりたいと考えてございます。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) まず、子供たちへの食育についてでございますが、子供のときから食事の大切さや楽しさを学び、元気な体と豊かな心をはぐくむ食育を進めることは、重要であります。
 このため、県といたしましては、まず、食育の原点であります家庭での取り組みが重要でありますことから、朝御飯や家庭団らんの食事の大切さの啓発などを進めるほか、小・中学校におきましては、総合学習の時間等を活用した健全な食生活や栄養バランスに関する学習、農作業を通じた体験学習などに取り組んでおります。
 また、地域におきましては、収穫祭や健康まつり等を通じた子供たちの学習成果の発表、PTA、地域の団体などに対する食育の出前講座などを行っております。
 今後の推進策についてでありますが、こうした取り組みをすそ野の広い運動とするため、家庭、学校、地域、生産者・事業者、行政がそれぞれの立場から取り組むとともに、一体となった活動となるよう、県内各地で活動しているこうした関係者によるネットワークの強化と、全県的な運動推進組織の設置を進めてまいりたいと考えております。
 次に、使用済み核燃料再処理工場についてでありますが、去る5月18日に、県内水産関係6団体から、本県沿岸域での海洋環境調査の実施、漁業者の不安解消のための積極的な情報開示、水産物の安全・安心に係る責任の明確化の3点についての要望を受けたところでございます。
 これを受けまして、速やかに国及び日本原燃株式会社に対しまして、要望の内容を伝えるとともに、特に漁場環境の安全性を確認し水産物の安全・安心を確保する観点から、現在、文部科学省が六ケ所村沖合を中心に行っております海洋環境調査につきまして、岩手県沖合まで調査海域を拡大するよう、文部科学省に対して要望を行ったところでございます。
 また、漁業者の不安を解消するためには、施設の安全性に関して幅広い理解が得られるようなわかりやすい広報と情報の提供が重要でありますことから、国及び日本原燃株式会社が、責任を持って対応されるよう働きかけたところでございます。
 県といたしましては、施設の安全性については事業者が責任を持って取り組むとともに、法令に基づいて一元的に安全規制を行っております国が、その役割を果たすことが基本であると考えておりますので、今後におきましても、引き続き、広報活動の強化と安全性の確保を求めてまいりたいと考えております。
 次に、シカ・カモシカの食害についてでございますが、シカ・カモシカにつきましては、保護管理計画を策定いたしまして、それをもとに適正な個体数調整や農林業被害対策などを行っております。
 まず、シカにつきましては、五葉山地域における適正生息数をおおむね2、000頭と定めまして、そのときどきの被害状況等に応じて、狩猟期間の延長、あるいは被害を及ぼす里ジカの有害駆除を重点的に実施するなどの対応を講じているところでございます。
 しかしながら、個体数の増加や生息域の拡大が指摘されておりますことから、平成19年度からの新しい保護管理計画の策定に向けまして、来年3月にヘリコプターによる生息数調査を行いまして、これをもとに、計画対象区域あるいは狩猟期間、捕獲頭数の制限等の見直しなど、より効果的な対策について検討してまいりたいと考えております。
 また、カモシカにつきましては、ここ数年被害が増加しておりますことから、国の特別天然記念物ではありますが、個体数調整もやむを得ないと判断いたしまして、昨年度は、防除対策を講じてもなお被害が顕著な地域に限定して、農作物に被害を与えている8頭について捕獲したところでございます。
 こうした個体数調整は、本県では初めての取り組みでありますので、この効果を検証しながら、今後の適正な保護管理のあり方について検討してまいりたいと考えております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 平成17年度県立病院等事業会計決算の黒字要因などについてでありますが、県立病院の運営に当たっては、平成14年度からの大幅な患者数の減少にかんがみて、平成16年度から県立病院改革に着手し、病棟休止などの病床規模の適正化や医療圏内の県立病院群を一体的・効率的に運営する仕組みを構築して業務の集約化を進めているほか、職員の意識改革、医療の質の向上と効率化、収入の確保、外部委託の推進、給与費の抑制など、総合的な経営改善を図りながら、医療の質的向上を目指し、県民の皆様の理解を賜りながら職員一丸となって取り組んでいるところであります。
 その成果として、平成17年度決算においては、収入の面では、医療の技術と質の向上を目指したクリニカルパスの推進などにより平均在院日数の短縮を図るとともに、外来療法の推進や手術、注射料等の増加により患者1人1日当たり平均単価が増加し、総収益では前年度に比較して16億3、000万円増加した一方、費用の面では、材料費の増加があったものの、病棟休止などに伴う職員配置の適正化や外部委託の推進により費用が減少したこと、さらには、特別損失が10億7、600万円減少したことなどから、総費用が前年度に比較して3億6、700万円減少し、差し引きでは4億9、200万円余の剰余が生じ、平成13年度以来4年ぶりとなる単年度黒字となったものであります。
 今後とも、病院改革を着実に進めながら、県立病院の効率的運営と医療の質の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地域における県立病院への依存度合いについてでありますけれども、これを端的に示す適切な統計や指標は見当たりませんが、参考までに、平成17年における診療所を除く県内の病院の患者数に占める県立病院の割合で見ますと、全体では、精神を除く入院患者数で約34%、外来患者数で約48%となっております。
 なお、二次保健医療圏別に見た場合には、盛岡以南の内陸部では、民間病院等も相当数あることから県立病院が占める割合は相対的に低く、一方、県北・沿岸地域においては、民間病院等が少なく、県立病院がいずれの圏域においても過半を占め、特に、他に一般病院がない気仙保健医療圏においては、入院で100%、外来で約99%、同様に、二戸保健医療圏においては、入院、外来ともに100%を占める状況にあります。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 医師確保に関連しまして3点お尋ねをいただいたわけでございますが、第1点目の、医師確保対策アクションプランと臨床研修医の関係でございますが、県では、このアクションプランに基づきまして、県内外の医学生を対象に、県内臨床研修病院をPRいたします臨床研修病院合同説明会、あるいは6年次医学生と臨床研修病院のマッチングのための臨床研修病院合同面接会などを開催してきたところでございます。
 こうした取り組みを行ってまいりました結果、本県の臨床研修医の受け入れ数は、平成16年度の58名、17年度は65名、18年度は75名と着実に増加し、成果を上げていると考えております。
 また、こうした臨床研修医の県内定着を図るために、県内のすべての臨床研修病院において、総合診療医や専門医の養成プログラムを作成するなど、魅力ある後期臨床研修の体制をアクションプランによる取り組みの一環として整備したところでございます。この結果、この春、2年次臨床研修を終了した54名の方のうち、現時点において44名の方―81.5%になります―が本県に引き続き残っていただいておりまして、県内病院での勤務や後期研修、あるいは大学院進学などを行っているところでございます。後期研修体制の整備が、臨床研修医の県内定着に対し一定の効果を上げたものというふうに考えております。
 また、こうした臨床研修医の受け入れ及び定着につきましては、各臨床研修病院の担当医師の御尽力によるところも大きいと考えております。臨床研修医の受け入れは、県内の医師確保・定着に重要であり、今後とも、関係者との連携協力のもとに、力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。
 2点目の国の医師確保総合対策の検討課題の具体化についてでございますが、国においては、平成18年4月の診療報酬改定におきまして、小児科、産婦人科への評価を行ったところでございます。このほか、へき地支援医療機構による代診医の派遣への財政的支援、あるいは女性医師バンクの設立などを本年度予算化しているところでございます。
 また、医療制度改革関連といたしまして、地域医療確保のための医療関係者による協議組織として、都道府県における医療対策協議会の設置が、今般、法制化されたところでございます。
 なお、医学部定数の地域枠拡大、あるいは自治医科大学関連の見直し等につきましては、まだ具体策が出ていない状況でございまして、これらにつきましては、早期に実現するよう、本県としても、厚生労働省、総務省、文部科学省に要望を行っているところでございます。
 3点目の北海道・東北の連携についてでございますが、医師確保の問題は、北海道・東北地区の共通の重要課題と認識しておりまして、昨年9月には、北海道・北東北4道県における知事サミットで、医師等の人材の育成支援について決議をしたところでございまして、医学部入学定員の拡大と地域枠の創設でありますとか、産婦人科等特定診療科医師の確保策などが主な内容となっております。
 また、毎年開催しております北海道・東北7県の保健福祉主管部長会議でも、こうした事項について国に対し要望を行っているところでございます。
 今後も、国に対する働きかけを含め、各道県と密接に連携して取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 幹線道路の整備につきましてのお尋ねがございました。
 三陸縦貫自動車道は、豊富な資源を有する三陸沿岸地域の振興を図り、県勢の発展に大きく寄与する極めて重要な道路であり、その整備促進を国に働きかけてきたところであります。
 県では、事業が円滑に進むよう、大船渡三陸道路、釜石山田道路や宮古道路において、インターチェンジへのアクセス道路の整備を国と調整を図りながら進めているところであります。
 今後とも、早期の全線供用に向けまして、引き続き、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 国道397号の整備につきましては、現在、住田町高屋敷地区や奥州市の分限城-赤金地区等で整備を行っているところであります。津付ダム建設事業に伴う付替区間につきましては、平成17年度に事業着手し、今年度は、付替国道の工事用道路に着手することとしております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 併設型中高一貫教育校の設置についてでありますが、本年3月に、新しいタイプの学校に関する検討委員会から、本県においてふさわしい併設型中高一貫教育校の設置タイプとして、本県の医師や弁護士などの不足を解消し、将来、本県に貢献できる人材の育成を目指すようなタイプが望ましいこと。芸術やスポーツ分野のような育成に時間のかかる分野でのスペシャリストの育成も必要であることから、次世代リーダー育成タイプをベースに、芸術・スポーツタイプを加味したようなタイプが望ましいこと。中山間地域の担い手育成タイプについては、導入地域における児童生徒や保護者の学校選択の幅を狭くすることや適正な規模の確保が困難なことが考えられることなどから、本県で導入する学校のタイプとしては適切でないこと。
 また、導入の具体化に当たっては、児童生徒の減少の動向とそれに応じた本県高等学校及びその学科の配置の見通しを踏まえ、県立高等学校新整備計画の後期計画に位置づけながら、通学が容易な東北本線沿線部にまず1校を導入することが適当であり、そして、導入後の成果と課題の検証を十分行いながら、次の導入について検討することが適当であるとの提言をいただいたところです。
 この併設型中高一貫教育校について、本県にとってどのようなタイプがふさわしいかについては、検討委員会において十分御議論していただいたことから、その報告の内容を踏まえ、既存高等学校の有効活用を基本としながら、まずは1校目の導入を目指して、現在、その導入タイプや導入地域、学校の規模などについて、具体的に検討を進めているところでございます。
〇40番(吉田昭彦君) 知事初め、関係部局長の御答弁ありがとうございました。何点か再質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず第1点ですけれども、県北・沿岸振興対策にかかわりましてお伺いいたします。
 知事は、ある報道機関の投稿の中で、県北・沿岸振興は永遠のテーマであり、何としても成果を出さなくてはいけないというかたい決意をあらわしておられました。それとの関連でお伺いしますが、先ほども、産業基盤を整備しながら、産業振興を図って経済の自立を図っていきたいという趣旨のお答えをいただきました。
 そこで、県北・沿岸振興、いろいろな角度から今までのおくれを取り戻していかなければならない。私は、沿岸部について限定して申し上げさせていただきますけれども、沿岸部は、高速交通体系のおくれがあります。それから、医療施設の整備のおくれがあります。それから、教育環境のおくれがあります。この3点が、私は最も大切な項目ではないか、そのように思うわけでありますが、沿岸部の振興発展、課題解決のためには、この高速交通体系とのアクセス、高速交通体系の整備、医療施設・医療環境の整備、それから教育環境の整備、今いろいろ関係部局長からお答えをいただきましたが、どうも、まだそれに対する熱意が感じられない。
 そういうことで、知事、どうでしょうか。これからおやりになる県北・沿岸振興対策の中の沿岸部については、三陸縦貫自動車道を初め、あるいは内陸とのアクセス、高速交通体系とのアクセス、それとあわせて、医療機関、それから教育環境、これらについて重点的に取り組んでいただきたいわけでありますが、知事のお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
 それから、先ほど中高一貫教育校について教育長から答弁をいただきました。どうも伺っていますと、検討委員会の答申に沿って教育委員会としても検討しようという姿勢のように伺いましたけれども、これでは教育の機会均等にはなりません。もっと、やっぱり沿岸部、それから県北―と言っては県北の方々に失礼に当たるかと思いますが、もっと周辺部に、四国4県に匹敵する県土ですから、その中で教育の機会均等をどうするかという観点に立てば、中央部に1校では、それではならないはずであります。やっぱりブロックごとに、モデル校ですから、そういう形で検証するということでモデル校の価値があるわけです。
 そういう意味で、我が気仙の住田町から―住田町だけではないですから―その中山間の中高一貫教育校の提案をされたのは、そういう提案は、やっぱり謙虚に受けとめて、これを真摯に受けとめて対処するのが県の行政ではないですか。もう一度、教育長のお答えを伺います。
 それから、県立病院の役割と医師確保対策に関連して、医療局長から、気仙地域、それから県北は、県立病院に対する依存度が100%―99%という数字もありますけれども、そういう形で示されたわけでありますが、県立病院の中で、先ほども本質問で申し上げましたが、県立病院で、内科、外科でさえも充足されていないという病院があるんです。そういうところについては、やっぱり県立病院の依存度合いの強い地域に優先的に医師を配置するという考え方が、県下にあまねく医療の均てんの創業精神じゃないですか。そういうことを考えた上で医師の配置も考えていただきたい。もう一度、医療局長の御答弁をお願いします。
 それから、津波防災対策に関連しまして総務部長からお答えをいただきました。各沿岸14市町村に設置してあります潮位計・波高計、これについてのネットワーク化というのは、避難情報を的確に、迅速に県民に、沿岸部の地域住民に知らせるために最も大切なことではないかと思うわけであります。これを引き続き、今、機種の違いとか、いろいろな問題、課題があるので、もう少し検討を加えなければならないというお話は、大分前から聞いているんですよ。それで、きょうの御答弁も、引き続き検討するということでありました。幾らか前進されているのかどうか、このことについてお伺いしたい。
 それから、ハード面の整備については、国に対して要望を強化するというお答えをいただきました。これについては多といたしますが、しかし、御案内のように、三陸沿岸部に防潮堤が張りめぐらされてあります。チリ地震津波後に整備されました。そうすると40年以上経過しております。この中はどういうふうな状態になっているのか、定期的に点検をされているという答えは聞いておりますが、やっぱりもっと防潮堤の整備、それから、今、地震が起きると消防団が水門を閉めに行きます。そういうことで大変危険なことになるわけでありますが、そういうことをなくすためにも、水門の遠隔操作などは、私はぜひ必要であると。
 それから、避難路の整備、これは、それぞれ我が陸前高田では海水浴場も控えておりますが、やはりそのお客さんを迅速に避難させるためには、そのための避難路のルートはそれぞれ決めておるわけでありますけれども、その整備を急がなければならない。
 そうすると、今、公共事業の抑制が言われておりますけれども、そういう防災対策の面での整備は、これは急いでやらなければならない。そういう観点で、国に対して、そういう面の防災対策上の公共事業は優先的にやられるように、今度、特別推進地域の指定も受けたことですから、そういうことをぜひ国と県、それから市町村もちろん一体となってやらなければならないわけですが、そういう財政支援措置は、ぜひ強力に国に対して求めるべきであると思いますが、県土整備部長のお考えもお聞かせいただきたいと思います。
 以上について、質問をさせていただきます。
〇知事(増田寛也君) 県北・沿岸振興との関係で、高速道路、それから医療、教育について、今、特に考え方についてお尋ねがございました。
 この高速道路は、産業基盤ということで、沿岸部、県北地域で今、まだまだ弱い地域の経済を支えるものとして重要であると考えております。
 それから、医療、教育でありますが、こうしたものは、やはり、でき得る限り格差が生じないように考えていかなければならないもの、生まれた地域によっていろいろな差が生じてはいけないものというのは、やはりあるわけで、今、特に御指摘あった医療や教育などについては、そうしたことが生じないように、でき得る限り丁寧に配慮していかなければならないものであると考えております。
 そのために、やはり県あるいは地域などでさまざまな工夫が必要であろう。県立病院のネットワークをできるだけ生かして効率的な医師配置をするだとか、さまざまな工夫が必要だろうと思うんですが、あわせて、最近、こういった地域、特に岩手県でいえば沿岸・県北地域に当たるようなところに対して、かつては国の方でも全国さまざま地域をいろいろ見ながら、できるだけ均衡ある発展を遂げるような政策がとられてきましたけれども、最近は必ずしもそうではなくて、そうした地域に今まで行われておりました政策を断ち切るような、あるいはそれを下支えしていた交付税を大きく減額するような動きも出てきておりますので、やはりこうした地域での工夫と同時に、よほど強力にそうした本当に苦しんでいる実情を国に対して、物事を大きく決めるところに対して実情を強く訴えないと、なかなか今そういった場所にいる人たちに、医者不足だとか、そういった声がどうもまだ届いていないような気がします。今、議員の方から大変貴重な御指摘をいただきましたので、さらにまた県としてもこういった問題についてはよく考える必要があると思いますが、あわせて、ぜひ国の方にこうした地域のさまざま抱えている問題を大きく、格差という形で今非常に顕在化してきている、あるいはその危惧が強いものですから、そういうところに声高に主張していきたいというふうに考えております。
〇教育長(照井崇君) ただいまの併設型中高一貫教育校の県北・沿岸地域への導入についてのお尋ねでございますけれども、現在は、まず検討委員会の答申を踏まえて、1校目の導入に向けて具体的な検討を進めているところでございますが、その後につきましては、この1校目の導入後の成果と課題というものを速やかに検証しまして、県北・沿岸地域での導入も含めて全県的な視野に立って検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
〇医療局長(法貴敬君) 先ほどは、端的なデータがないということで病院のデータのみを参考までに依存度を申し上げましたけれども、県立病院への地域における依存度については、県立病院が配置されてきた歴史的背景、その時々の他の医療機関の配置など、さまざまな要因によって相対的に変動していくのではないかというふうに考えています。
 県立病院の医師の配置についてでありますけれども、基本的には、地域における医療を確保していく上で、医療資源総体の中で、急性期、回復期、慢性期、さらには福祉との連携を含めて、それぞれの機能をどのように担っていくべきかなどの論議を通じて考慮すべきでありまして、今後、平成20年度からの新たな医療計画制度への対応を通じて、地域でそのあり方について十分議論していく必要があると認識しております。
 当面、県立病院としては、県立病院改革において取り組んでおります広域基幹病院への医師の重点配置を進めながら、県立病院間のネットワークで地域の病院などを支援することにより、地域の医療を確保していきたいと考えております。
〇総務部長(川窪俊広君) 潮位計等のネットワーク化についてでございますが、津波災害につきましては、迅速な避難、それから初動体制、こういったものの確立が何よりも重要であるという認識で対応してまいりたいと考えておりまして、今年度は、国のGPS波浪計が設置され始めるということで、そういったものとの連携についても協議していこうという段階になってきているところでございまして、こういった事態の進展を踏まえつつ、検討をしっかりやっていきたいというふうに考えております。
 また、ハード面につきましての国への要望につきましてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(西畑雅司君) 岩手県におきましては、津波対策が防災上非常に大事なものだと認識してございます。防潮堤の整備は、現在約7割という状況でございます。定期的に点検も実施してございます。しかし、議員御指摘のとおり、水門あるいは陸閘を閉めるということを今まで人手でやってきたわけでございますが、これにつきまして遠隔操作も必要であるということで、現在、大船渡で水門、陸閘をあわせて11基、これは港湾で7基、漁港で4基でございますが、これを大船渡消防署の敷地に防災ステーションを設けて、そこから遠隔操作をしようという整備を進めてございます。今後とも、避難路の標識でありますとか、ハード、ソフト連携して津波対策に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
〇40番(吉田昭彦君) 時間も大分経過していますから、済みません、1点だけ。
 教育長、中高一貫校、こだわるわけではないですが、やっぱり1県1校でモデル地区、私は、検討委員会においても全寮制の形態でもいいのではないかという意見もあったやに聞いているんですが、やっぱりそういう集約されたことだけに絞って考えるのではなく、もっと幅広く考えるべきではないか。それから、市町村から提案のあったことについては真摯に受けとめて、そういう形での対応、それも必要ではないかなと。これからの教育のあり方を考える場合、そういう形のものでの検討も必要ではないかと思いますが、今後2年間、いろんな角度から設置場所も含めて検討されるんだと伺っておりますが、その過程で、やはりもっと、四国4県といえば4カ所あってもいいわけですから、岩手県は大県岩手を言うのであれば、そういう観点で物事を考えなければいけないと思いますが、もう一度教育長、お願いします。
〇教育長(照井崇君) 併設型中高一貫教育校については、やはり教育の機会均等あるいは教育の水準の維持向上、そういった観点からも、広い県土の岩手県でございますので、いずれ適切に今後そうしたことで配置していきたい、このように考えているところでございます。
   
〇議長(伊藤勢至君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 2 時42分 休 憩
   
出席議員(46名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川  富  夫 君
3  番 五日市     王 君
4  番 小田島  峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口  英  司 君
9  番 高  橋  比奈子 君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子 君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎 君
20  番 新居田  弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木  順  一 君
31  番 佐々木     博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺  研  一 君
36  番 小野寺     好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 阿  部  敏  雄 君
40  番 吉  田  昭  彦 君
41  番 佐々木  一  榮 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木  大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎 君
48  番 菊  池     勲 君
51  番 佐々木  俊  夫 君
欠席議員(3名)
42  番 伊  藤  勢  至 君
49  番 藤  原  良  信 君
50  番 佐  藤  正  春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
  
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
   午後 2 時58分 再 開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。工藤勝子さん。
   〔22番工藤勝子君登壇〕(拍手)

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