平成18年6月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信でございます。順次質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 私が7年前に議員になったときの県の土木費は約1、460億円だったと記憶しております。平成18年度は約800億円と当時の約半分近くまで落ち込み、県内の建設業者はまさに氷河期を迎え、大変苦しんでいる状況にあります。こうした中、県では、平成18年度当初予算資料の中で、公共事業予算について、事業効果の早期発現を図るため、選択と集中を徹底するとともに、国庫補助金の活用を図るなどして単独事業を抑制したことにより、前年度当初予算と比較して、公共事業全体で166億9、300万円の減額となったと説明しております。さらに、県が昨年10月にまとめた岩手県中期財政見通しによると、平成19年度から4年間の財源不足額は2、350億円、単年度で約600億円に上ると推計されているところであります。このように厳しい財政環境のもと、国からの地方交付税削減がさらに拡大する見通しとなっており、県では、昨年10月に策定した中期財政見通しの見直し作業の検討に入ったとのことであります。
 そこでお尋ねしますが、今後も予想される地方交付税の削減が来年度以降の公共事業予算編成に与える影響について県はどのように考えているのか、お聞かせください。
 県内建設業者は、県内各地の公共投資を担う一方、災害時などにおいては昼夜を分かたず復旧等に取り組んでおります。また、地域の方々の雇用を通じて地域経済の活性化へも大きく献身しており、地域において果たす役割は極めて重要であると認識しているところでございます。しかしながら、最近の県内建設業を取り巻く環境は、県や市町村の公共事業予算が年々大幅に減少していることもあり、過去にない厳しさを増しております。例えば、平成16年度の県内建設投資を見た場合、ピーク時の平成8年の1兆780億円に比べ40%も減少する時代となっております。このことを背景とした県内建設業の厳しさは倒産状況にもあらわれており、民間調査機関によると、昨年1年間の倒産は35件、負債総額は70億円近くに上り、ことしに入ってからも毎月倒産が続き、長く経営を続けてきた企業を含めて、5月末までに既に12件、負債総額も40億円になっていると伺っております。このような情勢の中で、県は、これまでの建設業協会への取り組み支援に加え、建設業の構造改革の一層の推進と建設従事者の雇用の安定を図っていくことを目指して、先般、建設業対策中期戦略プランを発表しました。
 そこでお尋ねします。建設業の窮状を見るとき、今、業界のニーズを的確にとらえながら実効ある取り組みを早急に行っていくことが何よりも求められていると考えますが、このプランの大要と、これによってどのような支援を行っていこうとしているのか、お示しください。
 また県は、平成16年度に策定したいわて汚水適正処理ビジョン2004において、平成22年度末の汚水処理人口普及率を80%にすることを掲げて、衛生的で快適な生活環境の確保や公共用水域の水質保全のため整備を進めていると承知しております。
 そこでお尋ねしますが、本県を初めとする汚水処理施設の整備状況はどうなっているのかについて、全国の状況と比較してお示しください。また、国、県、市町村とも厳しい財政環境が続き、公共事業費が縮減されておりますが、平成22年度末の汚水処理人口普及率80%の達成見通しと今後の取り組みについてお示しください。
 次に、県北・沿岸地域の振興対策についてお尋ねします。
 平成17年岩手県毎月人口推計によりますと、平成16年10月から平成17年9月までの1年間における広域生活圏間の人口の出入りを転入者から転出者を引いた社会増減で比較しますと、盛岡広域がプラス737人、岩手中部広域がプラス538人となっているのに対し、他の広域生活圏はいずれもマイナスとなっております。特にも県北・沿岸地域から他地域への人口流出が顕著で、宮古広域はマイナス485人と他地域への人口流出が最も多く、続いて久慈広域がマイナス250人、釜石広域が228人、二戸広域がマイナス170人となっております。このような県北・沿岸地域から他地域への人口流出は、地域の若者が地元に残って就労しようとしても、安定的な収入が得られる魅力ある雇用の場が他地域と比較して不足していることが背景にあるものと思われます。地域で生活する若者の他地域への人口流出に歯どめをかけ、地域力の維持向上を図るためには、地域の特性を生かした産業振興に特に力を注いでいく必要があると考えます。県においては、ことし1月に副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部を立ち上げ、本庁の部局長を本部員として、今後の県北・沿岸地域の振興策について部局横断的な検討を行っているとのことであります。
 そこでお伺いしますが、県政の当面の重要課題であります県北・沿岸地域振興を進める上で、県では、今後どのような対策に重点的に取り組んでいこうとしているのでしょうか、知事の基本的なお考えをお聞かせください。また、現在取り組み中の対策で、何か成果があらわれつつあるものがありましたら、あわせてお聞かせください。
 この振興施策の策定に当たっては、県主導の案ではなく、実際に地域で生活している地元市町村や関係団体等の意見を十分に反映した内容となることが何よりも重要であると考えます。知事は、平成18年1月14日の記者会見において、県北・沿岸振興本部を県の職員だけで議論する場とせずに、関係する団体、特に民間、経済界の人たちとよく意見交換をして内容を詰めるようにと発言しております。また、平成18年6月12日の記者会見においては、当該市町村とか地元の中には、県となかなか情報交換が密にできないという不満もあるとの記者からの質問に対し、各市町村、地域の団体などと今後早急にやるということで進めていきたいと発言しております。
 そこでお尋ねしますが、今後の地元の市町村や関係団体との意見交換等のスケジュールはどうなっているのか、お示しください。
 次に、いわていきいきプランについてお尋ねします。
 国を上回って高齢化が進んでいる本県にあって、少子・高齢化社会に適切に対応していくことが急務であります。そこで県では、本年3月、平成18年度から20年度までの3カ年を計画期間とするいわていきいきプラン2006~2008を策定し、今後取り組むべき高齢者の総合的な保健福祉施策を示されたところであります。このプランでは、新たに重点的取り組み事項として、予防重視型システムへの転換、総合的な介護予防の推進、地域包括支援センターを核とした地域包括ケアシステムの構築、高齢者の尊厳の保持と権利擁護、総合的な認知症対策の推進の3点を掲げ、県として積極的に取り組んでいくこととされております。
 そこで、これらの重点的取り組み事項についてお尋ねします。第1に、予防介護についてであります。介護予防への取り組みは、従来まであった介護を要する方に必要なサービスを提供するという概念から、介護にならないようにする。主に軽度者の増加に歯どめをかけるという一歩進めた取り組みであり、運動機能向上などの予防のメニューを受けた方の1割から2割程度の方に効果が発揮されると試算されております。しかし、これが効果を生むには、その対象者の選定からプランの作成、そして事業の実施、評価のあり方などさまざまな問題があると思われますが、県として、実施主体である市町村をどのように支援していく考えなのか、お聞かせください。
 第2に、地域包括ケアシステムの構築についてであります。地域包括ケアシステムを構築する中核機関である地域包括センターは、地域福祉のワンストップサービスの機関として、総合相談や介護予防、権利擁護などの機能を担うこととされております。本県の地域包括支援センターは、本年4月1日で50カ所発足したと伺っております。私は、地域福祉のワンストップ機能を果たすには、地域の実態を的確に把握し、迅速に対応していく必要があると思っておりますが、地域包括ケアシステム構築についての県の考えと支援方法についてお聞かせください。
 第3に、権利擁護についてであります。昨年度から高齢者が消費者被害に巻き込まれる事件や認知症高齢者に対する財産侵害が全国で頻発しております。そこで、早期に高齢者の権利を擁護していく仕組みをつくっていく必要があると思いますが、高齢者の権利擁護の仕組みづくりに対し、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
 次に、農林・畜産振興についてお尋ねします。
 いわての森林づくり県民税条例が4月1日から施行されました。いわての森林づくり県民税は、水源の涵養、県土の保全等の森林の公益的機能を維持増進し、良好な状態で次の世代に引き継ぐため、県民の理解と協力のもとに、森林環境の保全に関する施策を実施するため、県民税に上乗せする形で個人及び法人から徴収するもので、本県の税収は約7億円と見込まれておりますが、今年度は、条例施行の初年度であることから5億6、000万円余りと聞いております。この新税は、特定の事業・施策を行うために創設されたものである以上、納税者である県民に対し、この税金がどういう事業に使われているかについて、県では、事業の検証や評価も含め、わかりやすいきちんとした説明責任を果たしていく必要があると考えます。
 そこで、この税収を充当して実施されるいわての森林づくり推進事業の今年度の事業概要及び現在の進捗状況並びに今後の事業予定についてお聞かせください。また、今後の事業の評価・検証方法のスキームについてもあわせてお聞かせください。
 平成17年10月27日に決定された経営所得安定対策等大綱においては、対象を担い手に絞り、その経営の安定を図る品目横断的経営安定政策の創設などの内容が盛り込まれており、この対策の導入に向け、平成18年6月14日に国会において農政改革関連3法が成立しました。同日発表された中川農林水産大臣談話によりますと、この3法の中でも、とりわけ担い手経営安定新法は、農業従事者の減少や高齢化等が進む中で、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う力強い農業構造の実現に向けて、これまでの政策のあり方を大胆に見直し、やる気と能力のある担い手を対象とした直接支払いを導入するというものであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、この戦後農政の大転換と言うべき対策に、できる限り多くの農業者に参加していただけるよう、担い手の育成確保に全力を尽くしてまいりたいとしております。ところが、この制度の対象者要件は、認定農業者が経営面積4ヘクタール以上、集落営農が20ヘクタール以上とハードルが非常に高いものとなっているため、平成19年度の制度導入時に果たしてどれだけの農業者が要件を満たすのかが懸念されております。そこで農林水産省では、本対策の平成19年度からの導入に向け、品目横断的経営安定対策の導入に向けた担い手育成確保の取り組みの推進方針を策定し、要件を満たす担い手確保対策に取り組んでいると承知しております。
 そこでお尋ねします。県では、この国の方針を受け、これまで県内の市町村、関係団体、農業者等に対し、この対策の周知のため、どのような取り組みを行ってきたのか、お示しください。
 また、先ほどの農林水産大臣談話にある戦後農政の大転換と言うべき対策を絵にかいたもちにしないためには、これからの農業の牽引者として期待される本県のほとんどの認定農業者が初年度に要件を満たし、新しい船出をしてほしいものだと願っております。
 そこでお尋ねします。平成19年度の制度導入時までに要件を満たしそうな認定農業者の割合、全農業者の割合についての試算があればお示しください。
 本県の酪農及び肉用牛生産は、飼養頭数、産出額においてトップクラスの地位にあり、本県農業の基軸でもあるとともに、中山間地域の振興上重要な役割を担っており、今後とも、国際化に対応できる体質の強い産地の確立に向け、一層の生産振興を図っていく必要があります。県では、ことし1月に、計画期間を平成18年から平成27年までとする岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画を策定し、平成27年度の肉用牛の飼養頭数を平成15年度対比で13%増の12万3、000頭との目標設定を掲げております。最近の新聞報道では、県や農業団体などが県畜産協会副会長を長とする肉用牛生産振興協議会を設立し肉用牛の増頭運動に取り組んでいくとのことであり、今後の成果について大いに期待しているものでございます。さきの2月定例会の予算特別委員会においても、旧玉山村薮川地区の広大な牧野を活用して強力に畜産振興を展開すべきだと問いただしたところでありますが、本県には豊富な草資源とまだまだ多くの公共牧野があり、一層の肉用牛の増頭が可能と思われます。
 そこでお尋ねします。本県肉用牛振興の基本的な考え方をお示しください。
 次に、農林業者にとってシカやカモシカによる農作物や林産物の被害は深刻な問題でありますが、ここ数年の被害額及び対策費の推移はどうなっているのか、また、対応をどう評価しているのか、お示しください。
 また、昨年はクマの出没情報が数多く寄せられたようでありますが、クマによる被害額と、これにどう対応していくのか、お示しください。
 次に、警察における災害対策への取り組みについてお尋ねします。
 岩手県沿岸は有数の津波常襲地帯であり、明治三陸地震津波等たびたび大津波に襲われ甚大な被害をこうむっており、また、近い将来、極めて高い確率で宮城県沖地震の発生が予想されるなど、県民を挙げて防災対策に取り組んでいかなければならない状況にあります。県土の治安を担う県警本部では、去る5月31日、過去に例のない抜き打ちによる全県的な地震・津波対応訓練を実施し、その結果を今後の災害対策に反映させるとのことであります。
 そこで、今回の訓練の成果を踏まえ、今後の防災対策に警察としてどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、御所見をお伺いします。
 また私は、かねてから災害に備えた県とアマチュア無線クラブとの連携について提唱してまいりましたが、国が日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域として一関警察署管内の藤沢町と一関市を指定したことを受け、警察署が一関市を中心に活動するアマチュア無線クラブに連携協力を依頼し、県内で初めて防災協力趣意書が提出されたとのことであります。私は、このような警察と民間との協力体制を全県的に広めていくべきと考えますが、防災に関する警察と民間との協力体制の構築についての御所見をお伺いします。
 次に、交通安全・駐車禁止対策についてお尋ねします。
 本県の死亡事故率は年々低下傾向にあるものの、平成16年度の本県の死亡事故率は18.4ポイントで、全国値の7.4ポイントを大きく上回り、全国で最も高くなっております。
 そこでお尋ねしますが、本県の死亡事故率が高い要因についてどのように分析しておられるのか、お示しください。また、これまで死亡事故率低減のため、県警としてどういう取り組みを行い、どのような成果が上がっているのか、お聞かせください。
 新たな駐車対策法制が本年6月1日から施行されました。放置駐車違反は、市街地の都市機能の低下、生活環境の悪化等につながるものであり、良好な駐車秩序の確立のため、違反車両に対する取り締まり等の強化を目的としたものと理解しておりますが、一方で、市街地での駐車場の不足、荷物の積みおろしなど短時間駐車の需要に対応するため、放置違反の取り締まり強化と対をなす形で駐車禁止規制の緩和の検討も必要と思われます。
 そこでお尋ねしますが、盛岡市大通等では朝の時間帯の規制緩和も行われているようですが、県内における駐車禁止規制の見直しはどのようになっているのか、お聞かせください。
 次に、携帯電話の不感地域の解消への取り組みについてお尋ねします。
 携帯電話は、県内でも約半数の県民が保有し、日常的な情報の受発信手段としてその重要度を増しております。平成11年度までに全市町村の役場周辺地域で携帯電話が利用できるようになりましたが、中山間部等では依然として携帯電話が使用できない地域が数多く残っており、事故発生時の連絡手段の確保等の観点から、受信エリアの拡大に対する県民や市町村からの要望が多いと聞いております。
 ところで、旧玉山村薮川地区は、春先の山菜とり、夏にはたくさんの家族連れがキャンプなどで訪れる風光明媚な観光地であります。また、岩洞湖には、冬場は氷上ワカサギ釣りのため、たくさんの釣りファンが訪れます。玉山村は、本年1月に岩手県の県庁所在地である盛岡市となりましたが、旧玉山村薮川地区は、残念ながらいまだに携帯電話の不感地域となっております。私は、このように人が集う観光地においては、急病人や事故等が発生した際の迅速な救急車等の手配のため、不感の解消が急務であると思っております。
 そこでお尋ねしますが、今年度における不感地域解消のための整備計画はどうなっているでしょうか。盛岡市薮川地区の見通しとあわせてお伺いします。
 次に、盛岡駅西口にオープンしたいわて県民情報交流センターアイーナに入居している岩手県立視聴覚障害者情報センターについて幾つかお尋ねします。
 1点目は、施設の利用状況についてであります。まだオープンして2カ月余りでございますが、現在の利用状況はどうなっているでしょうか。
 2点目は、職員の配置状況についてであります。施設には、視聴覚障害者への情報提供などのため、どのような職員をどの程度配置して対応しているのでしょうか。特にも、県内で初めての設置となる聴覚障害者部門においては手話のできる職員の配置は欠かせないと思われますが、具体的な配置状況はどのようになっているのか、お伺いします。
 3点目は、施設を訪れる方のための駐車場の確保についてであります。このアイーナを訪れる方のための無料駐車場は、車いす利用者など、歩行が困難な方の専用駐車場として5台分、ボランティアスタッフの専用駐車場として30台分が確保されているようであります。しかしながら、アイーナの4階に入居している岩手県立視聴覚障害者情報センターを訪れる視聴覚障害者専用の駐車場は整備されておらず、近隣の有料駐車場を利用せざるを得ない状況にあります。私は、社会的弱者である視聴覚障害者への配慮として、無料駐車場を数台分でも整備すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
 県北・沿岸圏域の振興についてでありますが、これまで農業、製造業、観光などに代表される六つの分野を対象に、過去の取り組みにつきまして多角的に検証を行い、成果や課題、さらには今後の取り組みについて、今、本部会議などで議論を重ねているところでございます。現在、検討の状況を地域の皆様方にお示しして幅広く意見を伺っている段階でありますが、例えば農業におきましては、畑地かんがいなどの基盤整備や生産設備への助成を行いながら、これまで生産拡大を中心に取り組んできたわけでありますが、高次加工や流通・販売対策への取り組みがおくれておりますこと、水産業については、ワカメ養殖などで空き漁場が生じていることなどが具体的な課題として浮き彫りになってきているところであります。こうした課題を踏まえまして、県北圏域の農業振興におきましては、高冷地野菜の大規模経営体の育成を強力に支援しているところでございまして、また、ヤマブドウやワサビなどの優良な加工業も芽を出しておりますので、これらへの支援体制を強化いたしますとともに、乳牛・肉牛の産地拡大、ブロイラー産業などへの支援を強化していくことが重要と認識しておりますし、また、農産物加工企業の誘致を促進するとともに、高次加工企業へのより効率的な農産品の供給と生産体制の強化を行いますほか、量販店や消費者がどのような製品を望んでいるかを重視した戦略的な流通体系構築への支援が必要と考えております。
 沿岸の水産業振興につきましては、既にブランドとなりつつありますワカメやアワビ、ウニなどの生産拡大と加工の高度化を進めますとともに、産直や大手量販店との直接契約方式などによります販路の拡大に取り組むほか、新たな戦略品目としてのナマコの生産加工や中国市場への輸出拡大を図るなど、これら地元や民間で先導的に取り組まれている活動を強力に支援していく考えであります。
 また、空き漁場問題につきましても、今年度、区画漁業権行使のあり方に関する漁協へのアンケート調査を実施して、基本的な方向を取りまとめた上で、平成20年度の漁業権切りかえを機会に、その弾力的運用に道を開きたい、このように考えております。
 現時点での成果としては、県北・沿岸振興策として、補助制度の創設も含めて企業誘致を進めてまいりました結果、この5月、北日本造船株式会社の久慈工場が操業開始して、操業時には79名の雇用が実現いたしました。関連産業への波及効果も含め、久慈地域の経済に一部明るい兆しも見え始めたところであります。
 また、県北・沿岸圏域の中小企業を対象とした新たな制度資金についてでありますが、新事業活動への取り組みなど前向きな資金として活発に利用されているところでございます。10億ほど用意したんですが、今はもうその枠を超えるということでございます。県としても、さらなる雇用創出と地域経済の活性化を図るために、誘致企業が望む人材育成、そして周辺環境の整備などに尽力をしていく考えであります。
 また、大船渡地域におきましては、長年にわたり外貿定期航路開設のための地域ぐるみの取り組みが続けられてまいりましたが、この1月に、民間企業16社により大船渡国際港湾ターミナル協同組合が設立されまして、同組合が大船渡港にコンテナクレーンを設置することによりまして、ことしの秋には外貿定期航路開設が実現の運びになったところであります。県では、このような動きに対応して、現在、クレーンの稼働に必要な港湾施設の整備に着手したところであります。このように、地域、地元市町村、民間企業、そして行政が一体となって行われております取り組みは確実に県北・沿岸地域の強みとなりつつある、このように考えておりまして、今後も県北・沿岸振興本部を的確に指揮しながら、その振興に全力を注いでいきたいと考えております。
 次に、意見交換等のスケジュールでありますが、地元市町村を初め関係団体や担い手、企業の皆さんとともに共通の目標を持って産業振興に重点的に取り組み、早期に成果を上げることが重要であると思っておりまして、ことし1月の本部設置以来、県では、市町村の産業担当者、民間の産業関係者などと随時個別にこの強化策について意見交換を重ねてきております。現在は、本部で検討を進めている検証と、それに基づく具体の取り組みにつきまして、地域の実態を踏まえて、各種の振興策を実効性のあるものとするために、本部長である副知事を初め本部事務局に加えて関係部、地方振興局が、市町村長や市町村の産業関係職員、農林水産業団体、担い手生産組織、地域の優良な食品関連企業やものづくり企業、観光事業者などと、今、それぞれ直接意見交換を行っているところであります。意見交換におきましては、例えば水産業における空き漁場対策として、先ほど申し上げました漁業権の見直しが必要ではないか、あるいは農業関係では産地づくりを担う農協の財務体質が脆弱で、本来の営農指導が弱体化している点をどうすればいいか、また、加工品のマーケットの開拓・拡大にどのような機関や人材が必要か、どのような媒体に働きかければいいのかなど、これまで必ずしも踏み込んでいなかった内容について、今、真摯に議論しているところであります。こうした議論を踏まえて、私も7月半ばから、市町村ごとに特に重要な産業振興のための取り組みに絞りまして、再度、市町村長と仕上げの意見交換を行いまして、議会の方での御意見も承りながら取り組みの内容を固めていきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 交付税の動向と公共事業予算についてでございますが、平成19年度以降の中期財政見通しにつきましては、今後、今年度の交付税の決定状況や国の骨太の方針などの動向を踏まえつつ、検討を進めてまいたいと考えておりますが、今後の公共事業予算のあり方につきましては、次期の行財政構造改革プログラムの内容などとあわせて検討していくことが必要でございますので、現時点におきましては、仮に交付税が削減された場合という仮定での公共事業予算への影響等を予測いたしますのは困難という状況でございます。いずれにいたしましても、多額の財源不足が見込まれます中、公共事業については必要性・緊急性等を精査いたしまして、引き続き重点化・効率化を図っていく必要があるものと認識いたしております。
 なお、交付税につきましては、地方財政に支障を来すことがないように所要額を確保すること及び地方6団体の提言の方向での再構築に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 建設業対策中期戦略プランについてでありますが、部局横断的な組織であります建設業対策クロス・ファンクショナル・チームにおきまして全庁的に検討を行い、県が取り組む支援制度や環境整備の方向性を取りまとめたものであります。このプランにおきましては、今後、県内建設投資額が、国・公団マイナス3%、県・市町村マイナス10%、民間横ばいで、引き続き減少していくと大胆に仮定した上で、技術力・経営基盤強化や企業合併・連携、経営多角化・業種転換、縮小・撤退等の視点から、関係機関と連携して総合的な建設業対策に取り組むこととしております。
 具体の支援内容についてでありますが、5月までに本庁に総合支援本部を、広域振興局等に総合相談センターをそれぞれ立ち上げ、相談支援体制を構築したところであります。現在、各振興局等におきましても、建設企業への説明会の開催や個別相談に取り組んでおり、今後は、引き続き新分野進出の意向調査や業界団体等とのワークショップの開催、地域の実情に応じた調査・研究の支援等に積極的に取り組むこととしております。
 また、これらに加えまして、今年度新たに建設業総合対策事業を創設したところであり、新分野進出等に必要な製品開発や販路開拓、人材養成等に要する経費に対しまして支援を行うこととしております。今後とも、岩手県建設業協会が設置した経営支援センターや関係機関と一層緊密な連携を図りながら、建設業の構造改革の取り組みと雇用の安定が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、汚水処理施設の整備状況でありますが、全国の普及率が公表されております平成16年度末の汚水処理人口普及率は、本県は62.3%、全国平均は79.4%であり、本県は全国35位であります。また、平成17年度末の本県の汚水処理人口普及率は64.8%となっております。平成22年度末80%の達成見通しでございますが、公共下水道並びに農業集落排水事業等につきましては、おおむねビジョンの計画どおり推移してございますが、浄化槽につきましては計画値を下回っております。厳しい予算状況にはありますが、関係市町村と緊密に連携を図りながら、目標達成に向け取り組んでまいりたいと考えております。今後の取り組みについては、建設費や維持管理費のコスト縮減に努めながらも、財政力の弱い市町村に対する県代行制度や下水道事業債償還基金費補助等の支援を引き続き行っていくほか、浄化槽PFI事業等につきましても積極的に導入が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
   
〇副議長(藤原泰次郎君) 本日の会議時間は議事の都合により、あらかじめ延長いたします。
   
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) いわていきいきプランの重点的な取り組み事項について、3点お尋ねがあったわけでございますが、まず、介護予防につきましては、介護保険の実施主体でございます市町村が、一般の高齢者及び虚弱な高齢者に対しましては地域支援事業により、支援を要する高齢者に対しましては新予防給付により取り組むこととなっております。県としては、これまでも各種の介護予防研修会を開催してきたところでございますが、実施主体である市町村が介護予防の効果を上げられるように、今後とも必要な支援をしていくことが重要であると考えております。
 そのための取り組みといたしまして、介護予防に関する各分野の専門家からなる岩手県介護予防市町村支援委員会を先月に設置したところでございまして、今後、介護予防に関するさまざまな課題について専門的な見地から検討していただきまして、その成果を市町村にお示ししたいと考えております。また、市町村職員等を対象とした介護予防研修会の開催により、介護予防事業に携わる人材の育成にも努めることとしております。こうした取り組みにより市町村を支援してまいりたいと考えております。
 二つ目の地域包括ケアシステムの構築についてでございますが、このシステムの構築には、地域包括支援センターの早期の立ち上げと円滑な運営が重要であると考えておりまして、本県では、先ほど御指摘がありましたように、このセンターは全市町村に設置されておりまして、これまでセンターが50カ所、センターの支所が94カ所整備されたところでございます。今後、地域包括支援センターと支所が協働しまして、地域の第一線で活動されております民生委員の方々などとも十分に連携を図っていただきながら、地域の社会資源のネットワークを形成し、適切に相談・援助を行える体制を整備していただくことが重要であると考えております。
 県による支援についてでございますが、本年8月に、仮称ではございますが、岩手県地域包括支援センター連絡会議を設置する予定としておりまして、先進的な取り組み等についての情報の共有と、運営上の課題の解決方法などについて協議することとしております。このため、現在、県内のすべての地域包括支援センターを訪問させていただいておりまして、運営の現状や課題について調査をしているところでございます。こうした取り組みを通じて、地域包括支援センターがより適切にその機能を発揮していただけるよう支援してまいりたいと考えております。
 3点目の権利擁護についてでございますが、昨年の介護保険法の改正及び高齢者虐待防止法の制定によりまして、高齢者の権利擁護事業は市町村の必須事業となったところでございます。そして、地域包括支援センターが地域の相談窓口として位置づけられてきたところでございます。このため県では、このセンターの職員等を対象として、家庭裁判所とも連携させていただきながら、成年後見制度・高齢者権利擁護研修会を県内各地で開催し、認知症などにより判断能力が不十分な高齢者の相談・支援を行うとともに、関係機関とのコーディネーターとなり得るような人材の育成を図っているところでございます。
 また、今年度の新規事業としまして、障害者・高齢者のあんしんネット形成支援事業を実施しておりまして、岩手県社会福祉士会等と連携しながら、成年後見制度の利用を支援する組織の育成に取り組むこととしております。こうした取り組みにより市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に、県立の視聴覚障害者情報提供センターについて2点お尋ねがありましたが、まず、施設の利用状況についてでございますが、4月開館後、来館での利用、図書等の貸し出し利用を合わせまして、4月には延べ2、360人ほど、5月には延べ2、950人ほどの方に利用していただいておりまして、開館前の利用見込み数、大体2、100人から2、200人程度と把握しておりましたが、それを上回り、順調に推移しているところでございます。このほか、今年度からこのセンターの事業といたしました手話通訳者の派遣については、月平均14回利用していただいておりまして、昨年度に比べて2回の増、要約筆記者の派遣につきましては、これまでの3カ月間だけでもう既に11回の実績となっております。昨年の年間実績29回に比べて大きく伸びているところでございます。
 2点目は、このセンターにおける職員の配置状況についてでございますが、このセンターには二つの部門がございまして、一つ目の点字図書館部門には情報支援員、点字校正員、音訳校正員等8人の職員を、二つ目の聴覚障害者情報提供施設部門には情報支援員、手話通訳支援員、ビデオ製作専門員等8人の職員を配置しているところでございます。このほかに管理・運営に当たる職員とIT技術専門員を加えまして、合計19人の職員により施設の運営に当たっているところでございます。
 なお、手話ができる職員につきましては、聴覚障害者情報提供施設部門8人中6人となっておりまして、開館時間中は交代勤務により、1名は手話ができる職員が対応できるよう配置しているところでございます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、いわての森林づくり推進事業についてでございますが、この事業は大きく二つの事業で構成されておりまして、一つは、森林の公益的機能の維持・増進を図るため、特に間伐がおくれている森林を対象に、県が森林所有者にかわって強度の間伐を行ういわて環境の森整備事業、そしてもう一つは、森林環境保全に対する機運を醸成するため、地域住民による森林づくり活動を支援する県民参加の森林づくり促進事業を内容とするものでございまして、これまで県の広報媒体などを活用いたしまして、広く県民の方々への周知に努めてきたところでございます。これらのうち、まず、いわて環境の森整備事業につきましては、今年度、1、000ヘクタールの間伐を計画いたしております。現在、間伐の適期となる秋以降の事業着手に向けて、森林所要者に対する事業内容の説明や意向確認などの準備作業を進めているところでございます。
 また、県民参加の森林づくり促進事業につきましては、去る6月22日に、公募委員や学識経験者で構成する事業評価委員会で御審議いただきまして、地域住民団体等から応募のありました13件のうち、9件の企画が採択されたところでございます。また、今後の事業の評価・検証方法のスキームについてでございますが、今年度の事業につきましては、来年2月の事業評価委員会におきまして、事業の効果や施策の方向性等について評価・検証していただくとともに、その内容を公表することで事業の透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、担い手育成対策についでございますが、県といたしましては、昨年10月に、関係課職員で構成する担い手育成クロス・ファンクショナル・チームを設置いたしまして、市町村、JA、振興局等の職員で構成する市町村支援チームと一体となって、県内各地で、農家組合長や認定農業者等を対象に、これまで延べ2、300回に及ぶ研修会や集落座談会を開催いたしまして、広く農業者への周知に努めてきたところでございます。さらに本年4月からは新たに400名の集落コーディネーターを県内各地に配置いたしまして、対策の周知や集落営農組織の設立など、集落の状況に応じたきめ細かな支援を実施しているところでございます。
 また、対策の要件を満たす認定農業者等の割合についてでございますが、本年4月時点での調査結果によりますと、県内の認定農業者は約6、900人いらっしゃいますけれども、このうち米が経営の主体となっている認定農業者はその約半分の3、700人いらっしゃいます。このうち、来年4月の対策導入時には、その6割の2、100人の方については個別での対策の加入を見込んでおりまして、残り4割の1、600人については、集落営農の担い手としての加入を見込んでいるところでございます。また、来年4月の対策導入時の加入見込み農家数につきましては、集落営農での加入が見込まれるものを含めまして、米以外を販売している農家も含めました全販売農家の約3割に当たる2万1、000戸を見込んでおります。県といたしましては、今後とも、品目横断的経営安定対策の加入要件を満たす認定農業者や集落営農組織の育成に向けまして対策の一層の周知を図るとともに、きめ細かな相談活動などを通じまして、本県農業を担う意欲と能力のある担い手の育成・確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
 次に、本県肉用牛振興の基本的な考え方についてでありますが、肉用牛振興に当たりましては、公共牧場などの豊富な粗飼料基盤を有効に活用するとともに、肉用牛を経営の柱とする担い手の育成やいわて牛のブランド確立に努め、産地力を強化していくことが重要であると考えております。このため、県といたしましては、キャトルセンターの整備による飼養規模の拡大、優良な子牛生産と肉質向上を図るための県有種雄牛の造成と飼養管理技術の改善、さらには新たに設立されましたいわて肉用牛生産振興協議会による増頭運動の推進等によりまして安定的な生産出荷に取り組むとともに、東京食肉市場を初め県内外の市場などでの銘柄牛産地としての地位を生かしながら、安全・安心で質の高いいわて牛の販路拡大に努め、本県肉用牛の振興を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) シカ、カモシカ、クマによる農林業被害と対応についてでございますが、まず、シカにつきましては、個体数調整や防護さく設置などの対策費は、ここ数年は2、500万円前後で推移しております。これに対しまして農林業被害は、ピーク時であります平成5年度約6億7、500万円ございましたが、これから減少しておりまして、ここ数年は5、000万円前後で推移しております。しかし、平成17年度、昨年度は農業被害だけで6、400万円余に増加しておりまして、個体数の増加あるいは生息域の拡大が指摘される状況にございます。
 次に、カモシカにつきましては、市町村が行う防護網設置や忌避剤散布などの事業費はここ数年漸減傾向にございまして、今年度の県補助額等は350万円余となっております。これに対しまして農林業被害は、ピーク時の昭和55年度の約3億7、600万円と比較すると減少してはおりますが、平成14年度の2、000万円台から増加に転じておりまして、平成16年度は5、000万円余となっております。このため昨年度は、被害の顕著な地域に限りまして、本県では初めてとなります8頭の個体数調整を行ったところでございます。
 次に、クマによる農業被害でございますが、例年2、000万円前後で推移しておりましたが、昨年度は700万円弱ということで減少しております。これは、クマのえさとなる山の実などが豊作だったことが要因と考えられますが、ことしはブナの実などの豊凶調査の結果、クマの出没がふえると見込まれておりまして、被害の拡大が懸念される状況にございます。
 今後の対応についてでございますが、県では、それぞれの種ごとに適正に保護・管理するための計画を策定しておりますが、現在の計画は本年度末で計画期間が満了するということになりますので、今後実施予定の生息状況の調査の結果、あるいはただいま申し上げましたような被害の状況等を勘案しながら、新しい計画の策定を通じまして、農林業被害の防止につながる対策について検討してまいりたいというふうに考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、携帯電話不感地域の解消についてのお尋ねですが、携帯電話の通信網の整備につきましては、これまでも県単独補助事業である携帯電話エリア拡大推進事業などを活用して不感地域の解消に努めてきております。今年度のそういった補助制度を活用した整備計画につきましては、市町村からの要望を踏まえ、一定以上の居住人口を有する地域や観光地を有する地域で、かつ通信事業者との調整が図られた県内6カ所を予定しておるところでございます。具体的には、盛岡市藪川地区――岩洞湖周辺になります――宮古市の重茂南部、住田町坂本、岩泉町有芸、洋野町和座、田野畑村沼袋であります。お尋ねの盛岡市藪川地区につきましては、年度内の携帯基地局整備を目指し、現在、盛岡市や通信事業者等と準備を進めているところであります。
 次に、いわて県民情報交流センター、愛称アイーナのいわゆる視聴覚障害者の駐車場確保についてでございますが、アイーナには、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、いわゆるハートビル法に基づきまして、身体障害者用の無料駐車場として5台分を整備したところであります。この駐車場は車いす使用者を想定しているものですが、ドアを広くあける必要のある妊婦や松葉づえを使用する方々なども利用できるものでありますが、今後は、施設に近接した場所で乗降が必要な視聴覚障害者の方々などにも利用いただけるようにしてまいりますので、お互い譲り合いながら御利用いただきたいと考えております。
 なお、アイーナは、県民の皆様方のニーズに柔軟に対応しながら成長する建物の実現を目指しており、今後とも利用者の方々の御意見もちょうだいしながら、一層利用しやすい施設となるよう改善に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山下史雄君登壇〕
〇警察本部長(山下史雄君) 県警察の災害対策への取り組みについてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、宮城県沖地震の切迫性が指摘される中、災害警備計画について具体的に検証することを目的として、先般、全職員を対象とした抜き打ちでの災害対応訓練を実施したところでございます。その結果、被害情報の伝達や人命救助などの現場活動要領について点検することができたほか、全職員が災害に対する危機意識を共有することができたものと考えております。
 一方、各種装備資機材の充実の必要性、また警察署、交番、駐在所が被災した場合の対応等の教訓事項が確認されたところであり、今後必要な検討・対策を講じてまいりたいと考えております。また、これからもさまざまな被害想定に基づく訓練を継続するとともに、各防災関係機関や地域住民との一層の連携の強化を図るなど、より実効性のある災害対策に万全を期してまいる所存であります。
 次に、災害時における警察と民間との協力体制の構築についてでございますが、議員御指摘のとおり、一関市と藤沢町を含む沿岸14市町村が国の防災対策推進地域に指定されたことを受け、先般、一関警察署が地元のアマチュア無線団体との間で、災害発生時におけるアマチュア無線による被災状況等の伝達を内容とする協力体制を構築したところであります。アマチュア無線は、地震等で通信インフラが破壊された場合の情報伝達には有用な手段でありますから、今回の協力体制の構築は、県警察の災害対策上、大変意義あるものと受けとめております。今後、こうした取り組みを含む災害時における民間との協力体制について、現在、協定を締結している警備業者等を含めまして、一層の拡充に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、交通安全、駐車禁止対策についてお答えをいたします。
 初めに、本県における死亡事故率、すなわち人身交通事故1、000件当たりの交通死亡事故件数でございますが、平成16年は、議員御指摘のとおり18.4、また、昨年も同じ18.4という数字でございまして、いずれも全国平均を大きく上回っておる状況でございます。この要因でございますけれども、岩手県の地勢から来る各都市間の距離の長さに加えまして、郊外部においては比較的走行車両が少ないことから、走行車両の実勢速度が上がるため事故直前速度が高いということ、また、対向車線はみ出しによる正面衝突事故や高齢歩行者の被害事故が多いことなどが考えられます。県警察としては、死亡事故率減少のため、幹線道路における速度超過、信号無視など重大事故に直結する違反や、シートベルト着用義務違反の取り締まりを強化しているほか、交通安全施設整備、また高齢者に対する交通安全指導活動などの諸対策を推進しております。なお、本年中の死亡事故率につきましては、こうした対策の結果、5月末現在で10.8と低下しておりますことから、引き続き、これら諸対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、県内における駐車禁止規制の見直しについてでございますが、新たな駐車対策法制の施行を見据えて、平成16年から駐車禁止規制の見直し作業を進めております。本年5月末までに、県全体の駐車禁止規制区間2、337.3キロメートルの約19%、444.8キロメートルを規制解除しております。最終的には全体の約48%、約1、122キロメートルを解除することといたしております。また、県内の中心市街地につきましては、短時間の駐車需要に対応するため、パーキングチケット、ハーキングメーターのある区間4カ所のうち、宮古市、釜石市、奥州市の3カ所については、規制を廃止して駐車ができるように見直しをしております。もう1カ所の盛岡市につきましては、物流車両の需要・利便性を考慮し、内丸地区及び大通地区のパーキングチケットのある区間につきまして、午前6時から午前10時までの間、駐車枠内に限り、貨物の積みおろし車両が駐車できるように規制を見直ししております。今後とも、各種要因で変化する交通実態の把握に努めながら、きめ細かな見直しを進めてまいる所存でございます。
〇33番(樋下正信君) ただいまは懇切丁寧な御回答をいただきまして、大変ありがとうございます。
 何点かお聞きしたいんですけれども、最初に西畑土木部長にお聞きしたいんですけれども、先ほどの答弁の中で、建設業の振興に対してさまざまな形で支援しているというようなお話がございました。その中で、何というんでしょうか、建設業から別な分野に仕事をシフトしたりというようなお話もあったわけでございます。そういうふうな支援もしていくというようなお話があったわけでございますけれども、そういった形の中で、どの程度、何件程度の相談があったのか、お聞きしたいと思います。
 それから、これは知事だったでしょうか、県北・沿岸振興の対策ということでございますけれども、漁業関係といいますか、海産物関係のお話があったわけでございますけれども、去年は中国・大連の方に事務所をお出しになったわけですし、また、その前にはソウルとかに事務所を出しているわけでございます。県北・沿岸の振興対策につながるかどうかはあれですけれども、その輸出というようなものが実際行われているのか。行われていなければ、特産品をそういうふうな事務所を通じて輸出する考えがあるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
 それから、最後の質問のアイーナの駐車場整備ですが、車いすとか歩行困難な方々に対して5台分確保しているということですけれども、視聴覚障害者の方々にもきちっとした形で設けてもらえるのか、設けていただけないのか。仲よく使っていただきたいというようなお話がありましたけれども、その辺、明確に確保していただけるのかということをお聞きしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 今、樋下議員からお尋ねの水産業関係の輸出の関係でありますが、具体的には、向こうの関係者にも岩手の方に調査に来ていただきまして、それでいろいろな注文が出ております。サケにつきましても、ワカメにつきましても、特にナマコについては非常に需要が高かったということがございます。高値で売れているので、こちらからも戦略的にこれの輸出拡大を図っていきたいと思っていますし、幾つか、そうした重点的な品目が出てきておりますので、できれば高く、付加価値をつけて向こうの方に出していきたいので、そのためのまたさらに検討、そしてナマコなどについては技術向上も必要ですので、それを行っていきたい。いずれ、中国での食生活も大分変化してまいりまして、もう一つは、内陸も含めてマーケットが大変大きいということがございますので、中国の事務所、あと、韓国の事務所も同じような役割も持っておりますので、そうしたところを通じてよく市場調査、それから関係者との商取引などの調査もした上で、今後、輸出のための条件整備に私どもとしても携わっていきたい、このように考えております。
〇県土整備部長(西畑雅司君) 議員御案内のとおり、県では建設業協会に設置されました経営支援センターを通じて支援してまいったわけでございます。15年、16年、17年の3年間で約450件ぐらいの相談がございました。そのうち事業化になったものが17年度末で24件、延べ38社に上ってございます。また、研究会をつくるなど具体的な動きのあるものも含めますと、27件、延べ46社というような形になってございます。
 それから、5月に立ち上げました振興局あるいは本庁の相談センターへの相談でございますが、まだ5月、6月でございますが、9社10件程度の相談がございます。
 以上でございます。
〇地域振興部長(藤尾善一君) アイーナの駐車場についてでありますけれども、いわゆる近接した場所で乗降が必要な視聴覚障害者の方々には、現在、ハートビル法で整備した5台分をお使いいただきたいということでございまして、今後、そういった利用状況なども見ながら、いろいろと他に確保する必要があるかどうかといったようなことについては研究してまいりたい、そのように考えております。
   
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 5 時23分 散 会

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