平成18年6月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 発議案第1号、県議会議員の定数等に関する条例の一部を改正する条例に賛成の討論を行います。
 第1に、改正案では、県議会議員の定数が51人から48人に3人削減するとしています。その理由は、逼迫する県財政の状況を踏まえ、行財政改革の一環として、率先して削減を行う必要があるとしています。本来、危機的な県財政の状況を理由とするなら、県議会のチェック機能の強化こそ求められるのであります。
 私は、財政問題を理由とするなら、年間2、000万円余の予算が計上されている県議会議員の海外視察費こそ見直すべきだと指摘してきました。1人当たり4万3、120円の海外視察支度料は、4年間で26人分、112万円余が支給されていますが、直ちに廃止すべきものであります。また、実態と乖離している費用弁償の改善も必要です。政務調査費の適正支出のためのさらなる改善も必要であります。
 こうしたことに手をつけずに、県議会議員の定数だけを削減するのでは、県議会の機能と役割を後退させるものであります。しかしながら、県財政の危機的状況に対する県民の不安と県議会に対する県民感情を踏まえ、議員定数等調査特別委員会が決定した定数3人の削減を是とするものであります。
 第2の問題は、選挙区ごとの定数配分の問題であります。
 議員定数等調査特別委員会の報告書では、公職選挙法第15条第8項の規定に基づき、原則どおり、人口に比例した配分によることとし、同条同項ただし書きの規定は適用しないとしています。これは、特別委員会でも最も時間をかけて議論されたところであり、妥当なものと考えるものであります。
 県議会議員の選挙区は、この間の市町村合併によって郡市の区域が大幅に変わり、選挙区も変わりました。こうしたときの定数配分は、原則である人口に比例した配分とすることが最も妥当であると考えるものであります。
 自由民主クラブは、議員定数等調査特別委員会において、定数削減には賛成しながら、県北・沿岸地域の選挙区が定数減となったら激変緩和措置を求め、さらには、人口と定数が多い盛岡選挙区、奥州選挙区、一関選挙区の定数を、それぞれ1人ずつ削減する対案を出してきました。しかし、これは道理の立たない暴論であります。盛岡区も奥州区も一関区も、合併による新たな選挙区となるものでありますが、実際上、定数は前回と比べてふえることはなく、現状の定数のままであります。これらの選挙区の定数を削減する理由は全くないのであります。
 これまで、岩手県議会が議会ごとに定数と選挙区について検討してきましたが、定数が増加するところをそのままにして減員区の激変緩和措置をとったことはありますが、現行の定数を削減する対応をとったことはありません。全国の都道府県議会の状況を見ても、定員が増加する選挙区の定数をそのままにして、定数減の選挙区に配慮している例はありますが、現行の定数を削減している例は見当たりません。
 そもそも、公職選挙法第15条第8項は、人口に比例した議席の配分を原則としており、同条同項のただし書きの規定は、特別の事情がある場合に限り、慎重に検討されるべきものであります。
 県議会は、これまで県議会議員選挙のたびごとに選挙区と定数について審議してきましたが、問題の性格上、全会一致を旨としてきました。自由民主クラブが議員定数等調査特別委員会で、県北・沿岸の定数が削減される選挙区の定数を確保するために、人口と定数が多い選挙区の議員定数の削減を主張し、最後まで固執したことは残念な事態でありました。また、盛岡選挙区や奥州選挙区、一関選挙区の有権者の権利に背を向けるという意味でも、慎重さと合理性を欠いたものと言わなければなりません。もちろん、県北・沿岸地域の振興は、県政の重要な課題として、県議会全体で取り組むことは当然のことであります。
 以上申し上げ、発議案第1号に対する討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、発議案第1号県議会議員の定数等に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、発議案第1号県議会議員の定数等に関する条例の一部を改正する条例は、原案のとおり可決されました。
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後1時49分 散 会

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