平成18年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成18年10月16日(月)
   
1 開会 午前10時3分
1 出席委員 別紙出席簿のとおり
1 事務局職員
  事務局長    藤  原  健  一
  議事課長    切  金     精
  議事課長補佐   千  田  利  之
  主任主査    保  原  良  和
  主査    小  船     進
  主査    石木田   浩  美
  主査    佐々木   ユ  カ
  主査    菊  池  芳  彦
  主査    渡  辺  謙  一
1 説明員
  知事    増  田  寛  也
  副知事    竹  内  重  徳
  出納長    上  村  俊  一
  企画理事    酒  井  俊  巳
  総合政策室長   相  澤     徹
  首席政策監    千  葉  茂  樹
  政策推進課
  総括課長    熊  谷  俊  巳
  政策担当課長   岩  間     隆
  経営評価課
  総括課長    高  橋  嘉  行
  政策評価担当課長 保     和  衛
  地域振興部長   藤  尾  善  一
  地域企画室長   望  月  正  彦
  地域振興支援室長 田  中  正  武
  市町村課総括課長 浦  上  哲  朗
  総務部長    川  窪  俊  広
  総務室長    瀬  川     純
  参事兼予算調製課
  総括課長    菅  野  洋  樹
  副出納長兼
  出納局長    平  澤  石  郎
  総務課総括課長  佐  藤  文  男
  出納課総括課長  渡  邉  和  男
  監査委員    菊  池  武  利
  監査委員    谷  地  信  子
  監査委員事務局長 高  橋  公  輝
  総務課長    大  森  勝  雄
  監査課長    門  口  正  雄
   
〇藤原議会事務局長 委員の皆様御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、藤原泰次郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 藤原泰次郎委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員藤原泰次郎君委員長席に着く〕
〇藤原泰次郎年長委員 ただいま紹介されました藤原泰次郎であります。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に吉田昭彦君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した吉田昭彦君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました吉田昭彦君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました吉田昭彦君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 吉田委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長吉田昭彦君委員長席に着く〕
〇吉田昭彦委員長 ただいま、委員各位の御推挙により、決算特別委員長に御指名いただきまして、大変光栄に存じておるところであります。
 委員各位の御協力により円滑な委員会運営に努め、責務を全うしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
 引き続いて、副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推薦の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に小野寺研一君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名しました小野寺研一君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました小野寺研一君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました小野寺研一君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 小野寺副委員長、ごあいさつをお願いします。
〇小野寺研一副委員長 ただいまは、委員各位の御推挙によりまして、決算特別委員会の副委員長を仰せつかりました。
 御指名をいただきました以上、委員長を補佐しながら、委員会運営のために、円滑な運営ができるよう最大限努力をしてまいりたい、そのように思います。委員各位の御協力を切にお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえます。
 ありがとうございました。(拍手)
〇吉田昭彦委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から20日まで、23日及び24日の7日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算15件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月24日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇吉田昭彦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成17年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成17年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計決算までの15件を一括議題といたします。
 これより、出納長に決算の総括説明を求めます。
〇上村出納長 それでは、平成17年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。
 岩手県総合計画に掲げる施策の基本方向に基づいて編成されました平成17年度一般会計歳入歳出予算は、当初予算が7、671億6、500万円余で、前年度の当初予算に比べまして126億6、491万円余、1.6%の減となりました。また、9月補正予算以降におきまして、災害復旧費や中小企業者向け融資制度に係る貸付金の減少などによりまして、122億1、360万円余の減額補正が行われました。これに、前年度からの繰越額271億9、780万円余を加えた結果、予算現額は7、821億4、920万円余となり、前年度に比べますと334億362万円余、4.1%の減となったものであります。
 歳入歳出決算書の2ページ及び3ページをお開き願います。まず、歳入についてでありますが、収入済額は7、683億983万円余で、前年度と比べますと303億6、045万円余、3.8%減少し、予算現額に対して98.2%、調定額に対して99.2%となりました。
 なお、収入未済額は58億4、479万円余で、前年度に比べまして14億4、349万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入であります。
 次に、4ページ及び5ページをお開き願います。歳出についてでありますが、支出済額は7、558億9、985万円余で、前年度に比べますと297億6、741万円余、3.8%減少し、予算現額に対する支出済額の割合は96.6%となりました。また、翌年度繰越額は240億4、496万円余で、前年度に比べまして31億5、283万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは、土木費、農林水産業費及び民生費であります。なお、不用額は22億438万円余で、前年度に比べまして4億8、336万円余減少いたしました。
 次に、歳入歳出決算事項別明細書・実質収支に関する調書の459ページをお開き願います。実質収支に関する調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は7、683億983万円余、歳出総額は7、558億9、985万円余であり、歳入歳出差引額は124億998万円余となったものであります。また、歳入歳出差引額から翌年度へ繰り越すべき財源104億2、835万円余を差し引いた実質収支額は19億8、163万円余の黒字となりました。
 次に、一般会計の決算の特色についてでございますが、恐れ入りますけれども、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、国庫支出金、県債、諸収入などの減少により、前年度を303億6、045万円余、3.8%下回り、歳出におきましては、土木費、農林水産業費、商工費などの減少により、前年度を297億6、741万円余、3.8%下回ったものであります。
 第2には、実質収支が黒字となったことであります。厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めた結果、実質収支は19億8、163万円余の黒字となりました。
 第3には、自主財源、依存財源とも減少したことであります。貸付金元利収入などの減少により諸収入が前年度に比べ65億9、633万円余、8.3%減少したことなどによりまして、自主財源が前年度に比べ61億6、598万円余、2.3%減少いたしました。また、義務教育費国庫負担金の一般財源化などによりまして、国庫支出金が前年度に比べ199億63万円余、14.9%減少しております。この結果、依存財源が前年度に比べ241億9、446万円余、4.5%減少しております。
 第4には、投資的経費が減少したことであります。投資的経費は、河川激甚災害対策特別緊急事業などの減少に伴い、普通建設事業費が減少したことなどによりまして、前年度に比べ216億4、977万円余、11.9%減少しております。
 第5には、義務的経費の構成割合が増加したことであります。義務的経費は、人件費、公債費などが減少したことによりまして、前年度に比べ90億1、959万円余、2.4%減少しております。一方で投資的経費が大幅に減少したほか、商工関係などの貸付金が前年度に比べ42億7、276万円余、6.6%減少するなど、義務的経費以外の経費の減少が大きかったことなどによりまして、歳出総額に占める義務的経費の構成割合は49.1%となり、前年度の48.4%を0.7ポイント上回っております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の決算内容について御説明申し上げます。特別会計歳入歳出決算総括表により御説明申し上げますので、歳入歳出決算書の20ページをお開き願います。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入合計額は、25ページに記載されておりますとおり、319億8、706万円余であり、収入未済額は18億4、174万円余となりましたが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などであります。
 また、歳出合計額は、28ページに記載されておりますとおり、272億1、186万円余であります。実質収支は、県民ゴルフ場事業特別会計を除き、各会計とも黒字となりました。
 以上で決算の概要説明を終わりますけれども、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしておりますので、御参照いただきたいと存じます。
 なお、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。また、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでありますけれども、会計事務の適正な執行につきましては、今後とも、各部局への指導や適切な出納審査を行うなど、万全を期してまいりたいと存じております。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
〇吉田昭彦委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うこととなっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が35分、次に、自由民主クラブが35分、次に、政和・社民クラブが16分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属高橋博之委員の順に、それぞれ6分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること。この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
 これより総括質疑に入ります。佐々木博委員。
   〔佐々木博委員質問者席に着く〕
〇佐々木博委員 それでは、民主・県民会議を代表いたしまして、平成17年度決算について総括的に質疑を行いたいと思います。
 今回、初めて、この9月の定例会で、一般会計を含めての決算の認定になったわけでありますが、これは、議会改革の一環として、決算委員会でいろんな意見が交わされる、それを翌年度の予算編成に反映していただきたいということで、こういったことになったわけでありますけれども、決算の作成に当たりまして、執行部は時間的に大変タイトだったのではないかと思います。そこを乗り越えてこのようにやっていただいたことに対しまして感謝を申し上げながら、来年度の予算編成に生かせるような活発な議論を行いたいと思いますので、ぜひとも前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
 それでは、最初に、岩手県の総合計画前期実施計画の評価と、増田県政11年の総括について伺います。
 岩手県総合計画の前期実施計画は、平成17年度が前期の期間満了だったわけでありますけれども、掲げられた228の主要な指標のうちの測定可能な226指標がございます。その進捗状況でありますが、達成度区分が、達成とされたものが117指標51.8%、おおむね達成が33指標14.6%、未達成が76指標33.6%となっており、社会別に見ますと、創造性あふれ、活力みなぎる産業が展開する社会のおおむね達成以上の割合が58.2%と低くなっているわけであります。
 そこで、この進捗状況をどのように評価しているか、まずお伺いいたします。
 また、いわゆる三位一体の改革だとか、あるいは交付税ショック等を受けまして、平成15年度から18年度まで40の政策を掲げ、重点的に取り組んでこられたわけでありますが、このことが前期実施計画の達成度にどのような影響を与えているのか、あわせてお伺いします。
 また、知事もあと半年で任期を迎えるわけでありますが、11年余にわたる増田県政を御自分でどのように総括されているのか、所見もお伺いしたいと思います。
〇増田知事 今、3問御質問がございましたので、順次、お答えを申し上げたいと思います。
 まず、総合計画の達成状況でございます。全体では3分の2が数値目標の目標水準をおおむね達成しておりますので、総じて着実に推進されたと評価はしておりますが、今、委員から御指摘をいただきましたとおり、特に産業分野のおくれがある。これについては、中身を分析してみますと、自動車関連産業の集積などは、特に最近になりまして順調に進んできておりますが、農林水産業が、これはいろいろ原因があると思います。担い手が減少したり、高齢化などの影響もあると思いますが、生産額が著しくやはり減少していたり、中心市街地の商業活動が依然として停滞をしている。それから、観光分野も伸び悩んでいるといったようなことがございます。そういったことで、今御指摘いただきましたように、産業分野の達成状況がおくれている、このように感じております。特に平成15年度からは、40の政策ということで、これは背景としては財政状況が悪化したということもございますが、特に重点を絞り込んで、その40の政策に特に重点的に取り組んで、全体の選択と集中を図っていこうということで進めてまいりました。第3社会のところ、いわゆる産業分野がおくれているということもございましたので、40の政策の中では、地産地消の積極的な展開ですとか、産学共同での新技術開発といったようなことで、その産業分野にいろいろといい影響が出るような、そういう選択と集中を行ったわけではありますが、ただ、いかんせん、自動車産業の集積などは最近になって効果がやっと出てきたということでありまして、全県レベルでそれが効果が出てくる、波及していくためには、今しばらくやはり時間がかかるだろうということでございますので、第3社会いわゆる産業分野の全体を底上げするまでには至っていない。そういったこともありまして、先般、特におくれている県北・沿岸の産業振興なり、あるいは最近になりまして産業成長戦略をさらにつくって、この分野をさらに強化していきたい、こういう流れでございます。
 それから、最後に、私の11年間の総括ということでお尋ねをいただきました。大きく分けまして、11年の主に前半の方は、東北新幹線や高速道路といった高速交通体系、あるいは県立大学といったいわゆる公共資本の整備を進めて、生活基盤の充実の方に努めたり、あるいは行政の仕組みづくりのところにいろいろ手を入れて、例えば情報公開条例をつくって行政全体の透明性を向上させたり、行政評価のシステムづくりといったようなところに力を入れてきたわけでありますが、後半の方では、そういったことによって整備されました基盤を生かしながら、できるだけ民間、地域の力、そういったものを引き出すような施策、これはソフト的なものが結構多いんですが、そうしたものに力を入れて取り組みを進めてきました。前半の方で申し上げましたように、まだ、産業分野でさらに成果を上げていく必要がございますので、今後、そうした整備された社会基盤、公共資本の活用を図って、さらにそうしたところに力を入れていきたいと考えております。
〇佐々木博委員 続いては、三位一体の改革による影響について、ちょっとお伺いしたいわけでありますが、平成17年度といいますと、いわゆる三位一体の改革の議論が盛んにされていたときでありまして、まだその形がすっかり定まっていないときだったと思います。したがいまして、予算編成もいろいろ御苦労なさったときではなかったかと思うんですが、この17年度の一般会計の歳入を見ますと、国庫支出金の決算額というのが1、135億4、875万円で、前年度対比199億63万円、14.9%減少しているわけです。そして、その一方で国庫補助負担金の一般財源化がありましたので、所得譲与税が増額されたことなどによって地方譲与税は120億3、610万円、これは前年度対比49億4、590万円、69.8%の増、それから地方特例交付金が、義務教育費の国庫負担金の一般財源化に係る所要額を暫定的に税源移譲予定特例交付金として措置されたことによりまして94億708万円、これも前年度対比で56億5、352万円、150.6%増加するということで、前年度と比べて三位一体改革の影響が大きくあらわれた、そういった決算であろうと思います。
 そこで、この17年度決算を見て、いわゆる三位一体の改革というものが本県財政に及ぼした効果をどのように検証されているのか、そのことについて伺いたいと思います。
 また、この改革による効果ですけれども、当然、市町村財政にもかなり大きな影響を与えているわけでございますので、そのことについてもあわせてお伺いしたいと思います。
〇川窪総務部長 まず、17年度の決算においてでございますが、御指摘のように、国庫支出金が対前年度比で199億円という大幅な減になってございますけれども、この中には普通建設支出金関係、いわゆる公共事業に関する国庫補助金などが減った分でありますとか、あと、県を経由した市町村補助金が改革の影響で減った分もございまして、逆に、補助金ではございませんけれども、国民健康保険に都道府県負担が入ったというような影響もございます。これらを勘案いたしますと、三位一体改革の補助金改革で県の方の負担がふえた額が17年度で117億円程度であったと見ております。
 これに対しまして、歳入の増におきましては、御指摘のとおり、所得譲与税の51億円の増と、予定特例交付金の58億円の増、合わせまして109億円の増となっておりますので、117億円の負担の増に対し、明確な財源措置としての所得譲与税等で109億円ということでございました。ただ、残る8億円につきましては、理論的には基準財政需要額に正確に算入されておると確認しておりますし、地方交付税が対前年度トータルで20億円程度増額になっておりましたので、その内訳としては措置をされているのではないかと考えているところでございます。結果といたしまして、補助金改革と税源移譲につきましては、金額的には措置をされているけれども、補助金改革の中身が、自主性拡大、自由度拡大という面から見ると、不十分だったのではないかという印象を持っております。合わせまして3年間、全体ではなりますけれども、地方交付税の抑制方向での改革というものが、財政状況の厳しさに一つ大きな影響を与えているのではないかと認識しているところでございます。
〇藤尾地域振興部長 三位一体改革が市町村財政に与えた影響についてでございますが、国庫補助負担金の改革と税源移譲についてでありますけれども、16年度から18年度までの3カ年、国全体では約4.7兆円の国庫補助負担金改革と、税源移譲については約3兆円ということでございましたが、県内市町村におきましては、国庫補助負担金の廃止については約90億円、税源移譲につきましては、これは所得譲与税相当額が配分されておるわけですけれども、約96億円となっておりまして、これまでと比較しますと、行財政運営における裁量や自由度がある程度高まったと言われております。しかしながら、児童扶養手当、児童手当の国庫負担率の引き下げなど単に補助率を引き下げたり、国の関与を残した見直しが多く含まれているということは極めて残念でございまして、第2期改革の取り組みの方向性をしっかりと位置づけていく必要があると認識しております。
 一方、地方交付税についてでございますが、これは、16年度から18年度までの3カ年で、国全体で約5.1兆円の総額の抑制となっておるわけですが、県内市町村では普通交付税、これは臨時財政対策債の発行可能額も含みますけれども、約245億円、マイナス11.3%という状況でございます。こういった地方交付税の改革によって、県内市町村が一層厳しい財政運営を迫られているというのは事実でございまして、各市町村におきましては、合併による規模拡大のメリットを生かした経費の節減とか、あるいは集中改革プランに基づく行財政改革の一層の推進が求められているものと認識いたしております。
〇佐々木博委員 県に限って言えば、財政の金額的には余り影響はなかったと。ただ、その中身が問題で、不十分だったという御答弁でありますけれども、私は、この改革によって、19年度からは、税源の移譲については、個人住民税の10%比例税率化によって決着がついたわけでありますけれども、これからいろいろと地域間の格差が広がっていくのではないかと個人的には考えております。この問題については、後でちょっと、いろいろな格差についてまとめてお聞きしたいと思いますので、そのことで再度質問させていただきたいと思います。
 次に、決算規模の推移について、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
 平成17年度の一般会計の歳入歳出決算額を見ますと、歳入は7、683億983万円余で、これは平成13年度から5年連続の減であります。一方、歳出はといいますと、7、558億9、985万円余で、これは平成14年度から4年連続の減になっているわけです。平成13年度を指数100といたしますと、17年度の歳入は79.3、歳出は80.0と、ともに大幅に減少しております。加えて、平成18年度も当初予算が5年連続で前年度を下回っていますから、恐らく、来年度の決算も歳入歳出ともに減少するということは間違いないと思われるわけであります。
 そういった中にあって、この中身がどうかといいますと、例えば歳出ですが、義務的経費の割合というのは毎年増加しておりまして、平成13年度は38.9%だったものが、17年度では49.1%、逆に投資的経費は年々減少してきておりまして、13年度は34.3%だったものが、17年度には21.3%まで減少してきているわけです。このまま推移しますと、まさしく危機的状況に陥ることとなるわけでありまして、まず、財政規模の縮小に歯どめをかけることが可能なのかどうか。といいますのは、財政の規模が小さくなって、さらに投資的経費が小さくなっているということは、ほとんど政策的な事業運営が行えないといった事態にだんだん近づいているわけでありまして、そういった意味で大変危機的な状況である。したがって、この財政規模の縮小に歯どめをかけることは可能か、その見通しと対策についてお伺いしたいと思います。
〇増田知事 今後の財政の関係でありますが、私の方からお答え申し上げます。
 まず、本県の財政構造でありますが、委員御案内のとおり、3割自治などと言われているとおり、多くを依存財源に頼っているわけでありますが、今、御指摘をいただきましたとおり、その中で地方交付税総額が、この16、17、18年度の間で5.1兆円削減ということになっておりまして、市町村財政のみならず県の方もやはり大変な影響を受けてきております。したがって、財政規模をずっと圧縮し続けてきたわけでありますが、先般、7月に策定されました骨太の方針を見ておりますと、その中で、とりあえず地方交付税については総額を確保となっておりますけれども、投資的経費については3ないし1%削減というような方針が書かれておりますし、その後の動きを見ておりましても、どうも交付税については抑制の懸念が大分強まってきております。したがって、その影響を我が県でも今後受けてくるのではないか。
 それから、8月に県の方で公表した中期財政見通しでございますが、現在のままの歳出構造ですと、多額の財源不足が見込まれると考えられますので、そうした状況を考えあわせますと、今後、やはり財政規模の縮小ということが十分想定されるわけであります。ただ、こうした状況ではございますけれども、やはり一方で県民の利便性とか安全性の向上を図っていくためには、必要な事業はしっかりとやらなければいけないということでありますので、事業のやり方ですとか、必要な事業の見きわめはしっかり行っていきたい。それから、特に投資的分野については、既存ストックの有効活用をさらに図るといったようなことも必要だろうと思いますので、そうした工夫を通じて、全体としての社会資本の整備にも取り組みたいと思いますし、健全財政の方向を目指していきたい、このように考えております。
〇佐々木博委員 そうしますと、財政の規模の縮小に歯どめをかけるのはなかなか厳しい。今後、当分こういった経緯でいくと。ましてや人口減がこれから出てくるわけであります。そういった認識だということでよろしいですね。(増田知事「はい」と呼ぶ)
〇佐々木博委員(続) 次に、県税についてお伺いしたいと思います。
 17年度の県税収入は、前年度対比0.2%減の1、090億3、400万円余であったが、全国的には景気が回復していると言われる中にあって、若干とはいえ、マイナスになったということは、実は非常に意外な感じがいたします。本県以外にはマイナスになった県というのはないのではないのかと思っていますけれども、いかがでしょうか。本県がマイナスとなった要因、それから本年度の見通しについても、あわせてお伺いしたいと思います。
 それから、県税の収入未済額ですけれども、20億8、900万円余で、そのうちの個人県民税が半分以上の11億3、600万円余を占めているわけであります。来年度からは、三位一体の改革によりまして税源移譲分は個人住民税で措置されることになるわけでありますが、この収入率の向上というものが喫緊の課題だと思っております。特に、今の制度では市町村が集めるということになっておりますから、その連携が大変大切だと思われます。この収入率向上に向けての具体策としまして、本年の10月に、税収確保のため、市町村と共同で設置した岩手県地方税特別滞納整理機構ですか、何か、こういった組織を立ち上げたと伺っておりますが、この組織と業務の内容について、あわせてお伺いします。
〇川窪総務部長 まず、17年度の県税収入でございますが、都道府県で見てみますと、対前年度マイナスとなりましたのは、本県のほか北海道と熊本県、合わせて3道県のみとなってございます。本県がマイナスとなった主な要因でございますけれども、景気の回復を背景にいたしまして、法人二税が本県におきましても対前年度で5.0%増ということで伸びてはおるのですが、全国の伸び率13.6%の増に比べまして、この伸び率が低いということ。それから、法人二税が税収全体の中に占めております割合が、全国では37.2%でございますが、本県では27.5%にとどまっているということで、伸びてはいるけれども、伸び率が低いということと、伸びている税目が相対的に小さいシェアであったということが影響した原因かと考えております。
 一方で、全国に比べて税収シェアが高い軽油引取税が前年度を下回る結果になっているというようなことが影響しているものと思います。
 本年度の税収の見通しにつきましては、8月末現在の調定実績を見ますと、自動車税や軽油引取税がなおマイナス方向でございますけれども、法人二税が16.2%という形で対前年増の数字が出ておりますので、また、個人県民税、地方消費税も前年度を上回る数字で推移しておりますので、8月末時点では、前年同時期比で5.4%の増という数字になっております。今後、このような状況で推移すれば、本年度は17年度実績を一定程度上回る税収が確保できると考えております。
 それから、個人住民税の収入率向上対策の必要性は、まさに御指摘のとおりでございまして、10月からスタートいたしました県・市町村によります特別滞納整理機構におきましては、個人住民税を中心といたしまして、大口・特殊滞納事案の整理を専門的に行うということで、県の職員と市町村の職員が相互に併任の発令をいたしまして、県庁職員がいわば市町村職員の身分をもって、市町村の仕事であります個人住民税の滞納整理の仕事に打って出るというような仕組みをとることにいたしまして、当面、今年度は県の職員3名と、市町村から派遣された4名で、併任発令のもとでの機構組織をスタートさせたところでございます。来年度からはもう少し体制を強化して、さらに取り組みを強めてまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木博委員 次に、県内市町村の財政状況と実質公債費比率について伺いたいと思います。
 財政状況については先ほども若干伺ったわけでありますが、本年度から地方債の許可制度が協議制に移行したと。それに伴いまして従来の起債制限比率にかわって、新しい指標であります実質公債費比率で起債の制限を受けることになったわけであります。
 そこで、この数字が18%を超えますと地方債の許可団体となるわけでありますけれども、本年7月の総務省発表によりますと、岩手県は13.7%ということで、なかなか数字はいいんですね。一般に起債制限比率よりも上がるだろうと言われておりましたけれども、岩手県は13.7%ということでなかなかよかったわけでありますが、全国的に見ますと、北海道、長野、兵庫、岡山が18%を超えているようであります。
 ただ、都道府県のレベルで見ますとそうなんですけれども、県内の市町村に目を転じますと、実質公債費比率18%以上の市町村が、藤沢町の25.9%を筆頭に11市町村あるんですね。そういった点で言いますと、市町村の財政状況というのはやはり非常に厳しいのではないかと思われるわけでございます。
 そこで、17年度の県内市町村の決算状況についてお伺いします。あわせて、そういった状態の中で、今後、県はどのようなことに留意されながら市町村財政について指導されていく考えなのか、御所見を伺いたいと思います。
 それから、この実質公債費比率ですけれども、過去3年間の平均値でございますので、直近の決算の内容が悪ければ、なお、これからこの数字が悪くなる、そういった懸念があるわけですけれども、その辺の見通しがどうなのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇藤尾地域振興部長 県内市町村の平成17年度の決算状況についてでありますが、歳入面を見ますと、全国の市町村普通会計決算におきましては、対前年比0.8%減となっておりますけれども、本県市町村の場合につきましては、地方税、地方譲与税、国庫支出金の増等によりまして、対前年比197億円、3.1%増の5、971億円となっております。
 一方、歳出は、全国の普通会計決算は同様に対前年比0.9%減となっておりますけれども、本県市町村の場合におきましては、合併に関連したシステム統合事業費等の単独事業の増による普通建設事業費の増等、あるいはまた扶助費の増等が原因となりまして、対前年比193億円、3.4%増の5、868億円となっております。
 財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、人件費、扶助費、公債費等の経常経費充当一般財源を、地方税、交付税、譲与税等のそういった一般財源総額で割った割合でございますが、これは低ければ弾力性があると言われているんですけれども、全国市町村平均90.2%と比べますと、89.2%と1ポイント低いわけでございますけれども、とはいえ、前年度に比べ0.2ポイントほど上昇しており、本県の市町村財政は硬直化が進んできておりまして、極めて厳しい状況になっていると認識いたしております。
 それから、実質公債費比率の見通しでございますが、これは、それぞれの団体の標準的な財政規模を分母にいたしまして、公営企業の地方債償還に対する繰出金などを含めたいわゆる実質的な公債費を分子にした割合でございますけれども、委員御案内のとおり、本年度から導入された新しい指標でございます。この指標が18%以上でございますと、地方債の発行に当たっては知事の許可を要し、未満の場合には知事協議ということでございますけれども、本県は11市町村こういった団体が出ておりますが、それらについて分析いたしますと、特に公営企業の一つである下水道事業への繰り出しが比率を高めている傾向にあります。地方債の元利償還金の額につきましては、18年度の911億円余をピークといたしまして、減少に転ずるものと見込まれております。
 一方、今後の人口減少、あるいは税収の減や交付税の削減が見込まれる中で、各市町村が持続可能な財政運営を確保する観点に立って、新たな地方債をどの程度抑制していくのかが、実質公債費比率を改善するためのかぎとなると考えておりまして、そのためには集中改革プランに基づく行財政改革の取り組みを一層推進していかなければならないと考えております。
 県としては、市町村が策定する、今申し上げた集中改革プランに掲げられた行財政改革の実施状況を定期的にフォローいたしまして、適切な助言などに努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 いわば、この実質公債費比率というのは連結決算みたいな形になったわけでありますけれども、今も下水道の比率がかなり影響しているというお話がありました。本県はその下水道の整備が全国レベルから比べますと大分おくれておりまして、したがって、そういう点では、これから下水道の整備状況が、結構この実質公債費比率に影響している部分があるのではないか、そのように思われますので、なお一層、指導方を徹底していただきたいと思うところでございます。
 それでは、次に市町村合併の成果と今後の見通しについてお伺いします。
 平成17年3月31日に期限を迎えました市町村の合併の特例に関する法律のもとで、いわゆる平成の大合併というものが行われました。本県におきましても、いろいろ規模の大小はございますが、12の新市町が新しく生まれ、18年3月には59から35市町村となったわけでございます。そして、それぞれ順調にスタートを切ったところでございます。ただ、その後、合併新法というものがありまして、それに基づきまして、岩手県市町村合併推進審議会から答申が出されまして、知事を本部長とする岩手県市町村合併推進支援本部は、八つの市町村合併の組み合わせを新たに提示されたわけであります。合併を望んでいながら、平成の大合併に乗りおくれたところも確かにありますが、そうではなくて、自立を選んで合併をしなかったところも県内の市町村の中にはあるわけであります。それで、一番の問題は、合併して、新しく合併建設計画をつくって、順調にスタートを切った新しく合併した新市町が、今、新たな枠組みを示されても、すぐ簡単にそれに乗ることができるだろうか。私は、ここは大変難しい問題ではないかと思っているところなんです。
 そこで、今後、この市町村合併に対してどのように対処していくお考えか、御所見を伺いたいと思います。また、この合併新法によっては、いわゆる合併協議会の設置の勧告なども知事ができることになっておりますけれども、そういったことも含めて考えていらっしゃるのかどうか、これもあわせてお考えを伺いたいと思います。
〇増田知事 合併の関係でありますけれども、旧合併特例法のもとで市町村合併が一定程度進みましたので、それなりの成果が上がったところでありますけれども、今後の人口減少社会、生活圏域の広域化といった動きがありますので、さらには、それに加えまして骨太の方針などにも示されているような、やはり地方財政に対しての厳しい環境といったことも考えあわせますと、市町村の行財政基盤をより充実強化させていかなければならないといったようなこと、あるいは産業圏域が、今、非常に広域化してきていますので、そういった中で、各市町村が持っている地域資源をお互いに連携させるような産業振興をより広域で考えていかなければならない。それから、新しいまちづくりも、やはり生活圏域が広がるということで、広域化を念頭に、その中で新しいまちづくりというものを考えていかなければならないだろうということがありますので、今後も市町村合併というのはやはり避けて通れない課題であると私どもは考えて、今お話にございましたとおりの構想を先般示したわけであります。
 したがいまして、その中には、今委員からお話がございましたとおり、さまざまな市町村があって、合併を希望しながらも合併に至らなかったような町村もありますし、あるいは先般合併したばかりといったところもあるわけでありますが、今後、置かれている状況を考えますと、そのほか、当面の自立を選択した市町村も含めて、押しなべて、やはり今後の地域の将来像というものもはっきりとお示しする必要があるのではないかと。そして、その中で最終的には合併という選択肢を今後も十分に念頭に置いておかなければいけない場合もあるだろうということで、組み合わせをお示ししてございます。今は地域のそういった合併に向けての熟度というのはかなりばらつきがあるのは事実でありますが、まず、前回の旧法下での合併の反省にもかんがみて、やはり住民からの議論がもっと深まるようにしていかなければならない。前回、余りしてない地域も実際にはございますので、住民からの議論が深まるように、今、各地域で振興局が中心となった意見交換会を開いておりますので、そうした中で今後の将来の方向性というものを、まず住民の皆様方にいろいろと考えていただくということが必要かと思っております。
 それから、今回の新法下ですと、合併協議会設置の勧告を都道府県知事の方で行うことができるような、そういう少し強い規定が入っているわけでありますが、これにつきましては、やはり自主的な市町村の合併であるということは十分に留意する必要があるだろうと。それから、議論の状況を十分に見きわめる必要があるのではないかと思っておりますので、私どもも、現段階ではこういった勧告という発動については慎重に対応していきたいと考えております。
〇佐々木博委員 次に、格差社会についてちょっとお伺いしたいと思います。
 小泉内閣5年半で日本は格差社会になったと言われておりますけれども、格差といってもいろいろございます。所得の格差から、地域間の格差から、学力の格差からいろいろあるんですが、ただ、この格差というのはすべて関連しているのだと思んですけれども、このうちの幾つかについてお伺いしたいと思います。
 まず、人口問題についてでありますが、平成18年度の地価の公示価格、あるいは都道府県の地価調査を見ますと、バブルの崩壊後にずっと下がり続けてきた地価が、3大都市圏では、商業地、住宅地ともに、16年ぶりですか、上昇に転じました。地方でも仙台やあるいは福岡など、いわゆる地方ブロックと言われるところでは上昇地点が増加したと言われております。ほかは全部まだ下がっているわけでありますけれども、私は、これが将来の日本の姿を暗示しているのではないかと思えてならないわけであります。実は、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、この地価の推移と同じように将来の人口がなるだろうということが言われているわけであります。例えば南関東ブロック、これは東京だとか、千葉だとか、神奈川ですけれども、ここの人口のシェアは、2000年で26.3%だったものが、2030年には28.5%に相対的に上昇するだろうと。また、政令指定都市を有する宮城だとか、愛知だとか、福岡などは、やはり相対的に上昇するだろうと。
 一方、本県はどうかといいますと、2005年の人口というのは138万5、000人で、前年に比べて0.7%減少しております。それで、2000年には141万6、000人であった人口でありますけれども、同じ社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2030年には123万2、000人まで、13%ですか、減少するという推計が出されています。しかも、あわせて言えば、少子・高齢化が進んで、いわゆる生産年齢人口は、2005年の85万5、000人が、2030年には68万8、000人になるだろうと推計された数字が出ているわけであります。
 先日県が策定いたしました産業成長戦略(案)ですか、あれを見ましても、労働力人口や消費人口が減少して地域の経済が縮小していく、そういった懸念が示されているわけでありますけれども、本当に人口対策というのは、ある面では一番の経済対策でもあります。県として、この人口減少社会に対してどのような対処をしていこうとされているのか、まずそのことについてお伺いしたいと思います。
〇増田知事 今お話のとおり、今後の人口予測についてはさまざまな機関、それから県の方でも行っておりますが、いずれもかなりの人口減が生ずるということでございます。その中で、まず第一に取り組まなければならないのは地域経済基盤というもの、平たく言いますと、働く場などでございますが、そうしたものをしっかりと構築して、若年者を中心とした県外への人口流出、これは今、そういったものが見られているわけでありますが、こうした県外への人口流出を抑制するような方策をとっていきたい。先般御説明いたしました産業成長戦略も、そういったものの考え方の一環でございまして、特に基幹産業であります製造業や農林水といったような産業、それから観光産業、そうしたものについて重点的に手を入れて、県外から安定的に外貨を獲得するような、いわゆる生きがい市場産業を強化するという考え方に立っておりますが、これはいずれも、その上で若年者の県外流出をできるだけ抑制したい、そういった効果を期待しているものであります。
 それから、もう一つ考えておりますのは、女性の就労環境整備や子育て支援といったような形で、これはかなり長期的な視線に立った上での出生率の向上につながるものと考えておりますので、こうした中で出生率の向上に向けた取り組みも当然進めていかなければならない。
 それから、3点目は、そうは言いながら、やはり人口減少というのは今後さまざまな面で生じていくであろうと。そうしたときに、仮に人口が減少していく中であっても、豊かさですとか、住まい方の面でゆとりを感じられるような、そういう都市構造――各地域で、特に中山間地域を中心として、集落が崩壊するようなことになることが、大変懸念されるわけでありますが、例えばコンパクトシティーのような考え方で中心市街地に人口を誘導するような都市づくりをして、人口が減少していく中であっても、十分にコミュニティーの力が形成されるような、そして、豊かさがその中で感じられるような、そういう住まい方の切りかえということも必要であろうと思います。
 総じて今3点申し上げましたけれども、こうしたことによって、この岩手県としての今後直面をいたします人口減少社会に備えていきたい、このように考えております。
〇佐々木博委員 自治体間の財政力の格差というものもすごく広がってきているような気がしております。
 17年度の一般会計決算で、東京都は歳入が6兆1、359億8、000万円。これは前年度に比べまして、額にして958億3、300万円、率にして1.6%増。内訳を見ますと、都税が4兆5、995億円もあるんですね。額にして、前年度と対比しますと3、467億円もふえているわけであります。とても、同じ国の同じ自治体同士の決算とは思えないような数字なわけでありますけれども、今後この三位一体の改革で、実は私は、個人住民税があることによって税源の偏在が広がるかと思ったら、そうではなくて、若干偏在は是正されるということを伺いました。ただ、その理由というのが、岩手県は所得が低くて、個人住民税を10%納める人が少ない。東京都は所得が多いから、10%以上納めている人が多い。したがって、10%で比例化すると偏在が小さくなるという、考えてみると情けない話なんですけれども、いずれ偏在が小さくなると。
 それから、昨年度の税制改正で、法人事業税の分割基準の見直しが行われておりますから、これで事業税が若干偏在是正を助けている。こういったことはありますが、ただ、今、人口問題のこともお話ししましたけれども、いずれ、都会と言われるところに人口が集中していって、そして地方のところの人口がそのことによって少なくなっていけば、当然、この偏在がまた広がっていくわけであります。そういった点では、やはり地域間の財政力の格差というものは広がっていくのではないかと思われます。
 一番の問題は地方交付税でありまして、どうも今の論調を見ていますと、これ確実に削減されるのではないか。そして、このことによって、持てる自治体と持たざる自治体との格差がますます拡大することになっていくのではないか。三位一体改革で、地方6団体、歩みをそろえていろいろやったわけでありますが、こういったことになりますと、今後、要するに自治体間の利害が一緒になってまいりませんので、いわゆる持てる自治体と持たざる自治体とで分かれてくるのではないか。地方6団体が一緒になって、例えば国と議論をするとか、そういったことが難しくなっていくのではないかと思われるわけですが、その辺についての御所見をお伺いしたいと思います。
〇増田知事 自治体間格差が拡大をいたしますと、例えば知事会の中、これは御承知のとおり東京都あるいはその周辺の富裕の団体、あるいは今度愛知県も不交付団体に変わったと聞いておりますが、そうしたところも入っておりますので、47の都道府県の中で意見を集約するのは、確かにいろいろな利害対立が今後激化するであろう、こういうことが予想されるわけでありますが、岩手県を代表する私知事としては、その中で、今後、基礎自治体である市町村が行政全体の主役になっていく、そういうことでなければいけないのでありますので、市町会や町村会とできるだけ連携をとった動きをとっていくということが必要ではないか。市長会、町村会、6団体の中では。知事会も、私の中では市長会、町村会とできるだけ連携をとって、そういった市長会、町村会がさまざま自治を展開していく上で、やはり困らないような制度構築を知事会も支援するような、そういう動きをしていくべきではないかということを主張したいと思っております。
 形としては、数では、市長会、町村会の中で富裕団体というのはごく一部でありまして、実際には非常に財政運営に困っているところが多い。それから、都道府県の中でも、そういう財政運営に窮している自治体の数は多いわけでありますので、全体として市長会、町村会と連携を強めるということは、結果として、東京包囲網でもないですけれども、大都市包囲網でもないですけれども、富裕団体に対してかなりの圧力になるのではないか。やはりそういった形の議論を進めていって──先般6団体として、地方交付税に代わるというか、それを進化させたものとして地方共有税の提案を出したわけですが、これは各自治体間で連帯の精神で、富める団体も、いろいろな意味で連帯の精神でそういう弱小団体を応援する、こういう考え方に立っているわけですが、これに東京都も賛成をしたわけでありますので、やはりそうしたスタンスをとって、6団体の意見ができるだけ一致するようにしていくことが必要ではないかと考えております。
〇佐々木博委員 次に、これが一番問題と思いますけれども、所得格差について伺いたいと思います。
 平成16年度の岩手県県民経済計算の概要によりますと、県内総生産は名目で4兆6、005億円、経済成長率は名目で0.3%、実質2%の増加であり、また、1人当たりの県民所得は236万3、000円で、前年度対比0.6の増加となっております。この1人当たりの所得は、全国平均の83.6%でありまして、その推移を見ますと、16年度は前年度と同じで、平成12年度の89.0%をピークに低下傾向となっています。
 平成16年の都道府県比較はまだできないのですが、平成15年で比較しますと、この県民所得は全国で第37位、東京都の56.5%にとどまっているという状況にあります。この要因の一つとして、建設業、サービス業、卸売・小売業を中心に賃金が減少したため、雇用者報酬が減少したということが挙げられておりますが、県民所得の分配と増加率の推移を見ますと、平成14年度以降、企業所得が増加しているのに雇用者報酬が減少していることから、雇用の質、すなわち、非正規雇用が増大していることも一つの要因ではないかと思うのですが、御所見をお伺いします。
 また、雇用の質の改善やニート対策が急務と思われますが、取組状況についてお伺いします。
 それからもう一つ、県職員の給与についてでございますが、昨年度の人事委員会勧告を受けまして、本年度から平均4.8%の削減を行う給与構造改革を実施しているところでありますけれども、本年の3月公表されました総務省の地方公務員の給与のあり方に関する研究会の報告書では、国家公務員に準拠すべきでなく、より地域の給与を反映すべき制度とすべきとされており、当然と言えば当然なわけでありますが、その中身というのは、給与の一層の削減を求めたものだと言えると思います。しかし、本県の民間企業では、反対に、給与水準を、公務員給与を参考に決めているところも多いわけでありまして、公務員給与の一層の引き下げは連鎖して民間の給与を引き下げ、今以上に中央との所得格差を拡大し、地域経済を縮小させる危険もあるのではないかと思うわけでありますが、地方公務員の給与に対する風当たりが非常に強いわけでありますけれども、この報告書に対する御所見を伺いたいと思います。
〇竹内副知事 所得の格差についてのお尋ねでございますが、国内景気が回復しつつある昨今におきましても、正規雇用が減少しておりまして、非正規雇用が増加しております。こうしたことから、委員御指摘のように、このことが全体の雇用報酬の上昇を抑制している要因の一つになっているのではないかと考えております。
 こうしたことに伴う雇用の質の改善についてでございますが、非正規雇用は、家庭の状況に応じて働くことができるなど、いろいろな雇用・就業形態を実現したという側面もございます。その一方で、雇用される側から見ますと、正規雇用に比べて立場が弱いとか、それから賃金や待遇が公平ではないとか、将来の選択肢が狭まる、そういったいろいろな問題がありまして、企業側から見ましても、中長期的な競争力の低下が危惧されるなど、いろいろな問題があると認識をいたしております。地域経済に活力を与えるためには、正規雇用の拡大が必要でありまして、ひいては、これが企業の発展につながっていくものと考えます。
 県といたしましては、こうしたことに対する啓発資料の作成配布などを行っておりますが、今後も、シンポジウムの開催などを通じまして、企業経営者に対して正規雇用の拡大を呼びかけてまいりますとともに、処遇の均衡化など、いわゆる制度面での改善、これにつきましても、国に対して積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 それから、ニート対策についてでございますが、県におきましては、昨年6月に策定したいわて青少年育成プランにおきまして、ニート対策のため、幅広い分野の連携による支援施策を講じていくことといたしております。このために、現在、関係部局で構成する対策会議におきまして、情報交換と問題の共有化を図りますとともに、県内における実態を把握するための調査を実施しているところでございます。
 今後におきましては、この実態調査の結果や有識者の意見、国の施策の動向等を踏まえながら、具体的な対応方策を検討してまいりたいと考えております。
〇川窪総務部長 後段の公務員の給与の関係でございますけれども、総務省の研究会の先般の報告に対する所感というお尋ねでございましたが、この研究会におきましては、国民や住民から理解が得られるような公務員の給与制度のあり方はいかがであろうかというような観点から、さまざまな検討が行われたと承知しておりまして、今後の本県職員の給与のあり方につきましても、やはり県民からの理解と納得が得られるものとしていくということがポイントでございますので、今回の研究会の議論というのは、参考となるものかなとは考えてございます。ただ、今回の研究会の中におきましては、これまで以上に、地域の民間給与との水準の均衡を図っていくという方向性が重視をされているというようなところがございますけれども、一方で、国家公務員との準拠ということにつきましても、引き続きそういう原則はあるというところでございまして、そこのバランスを、今後、総務省の方でどのように検討していくのかということにつきまして、県といたしましても注目をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、県職員の給与につきましては、県の人事委員会からいただいた勧告を尊重しつつ、制度化していくということでございますので、今後とも、人事委員会勧告を尊重しながら、地方公務員法が定める給与決定の諸原則を踏まえまして、また、本県の財政事情なども勘案しつつ、慎重かつ適切に決定をしていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木博委員 時間がないので次に行きますけれども、学力の格差についてもちょっとお伺いしたいと思います。
 小中学生に対して、学習定着度状況調査を実施してきているわけでありますけれども、学力向上についてどのような成果が上がっているのかということを、具体的にお伺いしたいと思います。
 昨年実施した宮城、和歌山、福岡との4県統一テストでは、小学校5年生は4科目とも1番だったけれども、中学校2年になると、国語と理科は1番だが、数学と英語は最下位。あるいはまた、何といいますか大学入試試験というんですか、高校生による大学入試センターの自己採点でありますけれども、大手予備校の採点では、本県の高校生は、英語だとか数学が最下位だというお話を伺っております。小学校のときは優秀なわけですけれども、中学、高校と、英語、数学の成績が向上しないのはどういうわけなのか。一部には、教師の質が低下しているのではないかという話もあるようですが、この要因をどのように分析されているのか、そしてまた、どのように対処されるお考えなのか、具体的にお伺いしたいと思います。
 それからもう一つですけれども、いずれ、この学力の格差は、今、所得の格差が生み出しているのではないかと。特にも、東京なんかは小学校から私立でありまして、要するに私立の中高一貫校に行って、そしていわゆる有名大学に進学するというのが一つのルートになっていて、大変学費もかかると伺っております。そういった中にあって、本県も今年度からそれぞれ学校、高校を選抜して学力の向上にも取り組んでいるわけでございますが、私が一番よくないのと考えますのは、格差が固定するというのが一番よくない。やはり機会は平等に与えるということでなければいけないと思っておりまして、そういった意味で言いますと、奨学金制度が今ありますけれども、特にも無利息の第1種奨学金ですね、これを全員が希望してもらえるわけではありません。そういった中にありまして、今全国の自治体を調べてみますと、県独自で大学生に対して奨学金制度を持っているところもかなりありまして、私は、これは県内の意欲を持っている子供たちにチャンスを与えるためにも、県独自で、今高校生はあるわけですけれども、大学生に対する奨学金制度の創設というものも必要ではないかと考えるところでありますが、そのことについての御所見をお伺いしたいと思います。
〇竹内副知事 学力格差の問題でございます。
 学習定着度状況調査、これは児童一人一人の学習の定着状況を把握いたしまして、その結果をもとにした指導の充実をねらいとして実施しているものでございまして、教員が調査結果を検証することによりまして、指導方法の改善ができること、それから、児童生徒のつまずきに対応した補充学習ができる、そして児童生徒にとっても、みずからの学習成果を把握する機会になっていること、そういった効果がありまして、ここ2、3年ですが、この学習定着度状況調査の平均正答率が毎年1ないし2ポイントずつ上昇するという成果を得ております。しかしながら、御指摘のように、学年進行とともに正答率が低下する傾向や、中学校の英語、数学の正答率が他県と比べて低いということが大きな課題となっております。この要因といたしましては、英語、数学の学習時間の不足、それから、家庭学習時間の不足などいろいろございますが、教員の指導面では、中学校においては、生徒一人一人の学習定着度に応じた実践的な指導力が不足しているのではないか。それから高校におきましては、生徒の進路希望の実現に向けた専門的な指導が不足しているのではないか。それから、中高の連携による指導の継続性と一貫性が確立されていない、そういったようなことが挙げられるところでございます。
 こうしたことに対応するために、中学校におきましては、教員同士の情報共有による授業力ブラッシュアッププランというのをやっております。それからボランティア等によりまして、地域おさらい教室支援事業、これはいわゆる補修ですけれども、そういった一人一人の学習定着度に応じた事後指導や繰り返し学習の徹底を図っております。
 それから、このほか中高の連携につきましては、本庁に、英語と数学の学力向上担当指導主事をそれぞれ2名配置いたしまして、現場教員に実践交流をさせながら授業改善への取り組みをするなど、学校訪問指導の強化に現在取り組んでおります。
 それから、高校における進学希望の生徒に対しましては、外部講師を活用した進学目標達成事業というのをやっておりまして、進路希望に応じた指導の充実に取り組んでおります。
 今後は、特に積み重ねの学習が必要な英語、数学につきまして、極力、選択教科によって習熟時間をふやしていくほか、家庭学習もより積極的に取り組ませるよう指導を強化するなど、児童生徒の学力の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
 それから、奨学金制度についてでございますが、委員御案内のように、本県におきましては、高校生のみを対象にしておりまして、大学生向けの奨学金制度を独自に有している都道府県、これ現在のところ、東北では青森、秋田、福島、ほか全国で21県となっております。このうち、2県では、19年度にその募集を停止することが決まっておりまして、平成16年度に旧日本育英会から各都道府県に高校生の奨学金が移管されて、それ以降は、全国的には、大学生は国が、それから高校生は県が、という役割分担が進みつつあると認識をいたしております。
 本県出身の大学生が活用している制度としては、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度がございますが、18年度の岩手県関係者の予約選考状況について調べましたところ、無利息と利息付がありますけれども、これをあわせれば、希望者の9割程度に奨学金が貸与されている状況になっております。借りられなかった残りの1割につきましては、利息付の奨学金を辞退した人がほとんどでございますので、これは、自己資金で足りたのか、あるいは子供の将来負担を考慮してやめたのかなど、こういったことが大学進学そのものにどの程度影響しているのか、これは調査が必要ではないかと考えております。
 大学生に対する独自の奨学金制度につきましては、こうしたことを踏まえながら、そのニーズ等につきまして検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 奨学金の制度について、日本学生支援機構ですか、高校生については都道府県で、大学生についてはそちらの方でやるという流れで、何県かやめる予定があるところがあるということは聞いております。ただ、本県の場合、今までもやってこなかったわけですし、それからさっきも言いましたけれども、所得格差で、どうしても本県の場合下の方にあるわけですから、私はまだまだ需要は実はあるのではないかと思っております。その辞退した方だけではなくて、遠慮して希望しない方もいるでしょうし、あるいはそれが周知していないためにあきらめている方もいるでしょうし、もしそういった状態であれば、あるいはそんなに希望者が多くないのであれば、そんなに予算も必要ない話でもありますし、さっきも申し上げましたけれども、この格差社会で、私は格差が固定してしまうということが一番悪いと思うんですね。やはり機会は平等に与える。平等な機会を生かして、あとは本人の努力で頑張れる、そういった社会でなければいけないと思っていまして、そういった点では、この奨学金制度については、ぜひとも、今後、大学生について検討していただきたいと考えます。
 次に、介護サービスの充実について伺います。
 介護老人福祉施設については計画的に整備されておりまして、重度層の在宅の特養待機者は、平成14年度末の1、013人から16年度末では1、161人。すなわち、待機者がふえている状況にあります。それから、老健施設だとか、あるいは入院している人の中にも、相当数の入居希望者もいると思われます。
 このような状況下、昨年の12月、厚労省は、介護型療養病床13万床を2011年度末で全廃。医療型療養病床25万床も、2012年までに大幅に削減し、15万床にするという方針が出されたわけでありますが、県内でも先日の亀卦川委員の本会議の質問によると、2、200床ぐらいの影響があると実は御答弁いただいてわかったわけでありますが、こういった2、200床も削減されるということになりますと、介護難民、あるいは何というんですか、療養難民というんですか、そういった方々がこれからふえてくるのではないか。介護型療養病床が削減されて、それが老健施設や特定施設へ順調に転換が100%できるとはとても思えませんので、そういった難民が出てくるのではないかと思うのですが、その辺の見通しと対応策についてもう一度お伺いしたいと思います。
〇竹内副知事 療養病床の老人保健施設への転換についてでございますが、ことしの7月、県におきましては、療養病床の円滑な再編と利用者の不安解消を図るために、医療機関を対象とする療養病床の窓口を設置いたしまして、これまでに再編とかあるいは利用者の不安に対応する相談を22件受け付けたところでございます。
 一方、転換に当たっての財政的な支援策もございまして、ハード整備に当たりましては、新たに医療提供体制施設整備交付金や地域介護・福祉空間整備交付金、こういった助成措置が設けられております。さらには、円滑な老人保健施設等への転換を進めるために、平成23年度までの経過措置として、設備要件や人員配置要件を緩和するなどの措置も講じられておりまして、こうした取り組みについて引き続き関係者に情報提供するなど、医師会や市町村とも連携しながら、円滑な転換の促進に努めてまいりたいと考えております。
 介護難民、療養難民をふやさないようにということでございましたが、これは今後示される予定の国の地域ケア整備指針(仮称)というのがございまして、これを踏まえて、本県におきましても、来年の秋ごろを目途に、地域ケア整備構想(仮称)というのを策定する予定としております。
 平成21年度から次期の介護保険事業計画というのを予定しておりますが、これにおきましては、この地域ケア整備構想に基づいて、必要な施設整備量や居宅サービス整備量を定めることといたしておりますので、療養病床から介護保険への確実な転換が進むように、これらの計画をより確実なものにしていきたい、そして医療や介護を必要とする方々が、住みなれた地域で必要なサービスを確実に受けられるよう、これは厚く支援をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 次に、コンサルタントの活用と委託料について伺います。
 17年度決算によると、土木建築工事の設計業務等を除いた調査業務や計画策定、研修実施等のコンサルタントへの委託料は、1億8、631万9、000円が支出されております。コンサルについては、その内訳を見ますと、総務部所管では、いわてマネジメントシステム推進支援事業業務委託に3、759万円、総合政策室所管では、戦略的政策形成実践支援業務委託に884万3、000円、行政品質向上運動支援業務委託に344万8、000円、教育委員会所管では、学校アセスメント研修等業務委託に703万5、000円などでありますけれども、これらは17年度だけというわけではなくて、以前から継続して同じコンサルに委託し続けられ、しかも契約はすべて随意契約で透明性がありません。コンサルを委託するに当たって、契約先や価格が妥当かどうか、どのようにチェックされているのか、伺います。
 また、コンサルの活用についてでありますけれども、以前、農業公社が所有する南畑の活用策や、あるいは岩手競馬再建計画策定時に、コンサルに多額の委託料を支払ったことがあるわけですが、ほとんど見るべき成果はなかったと私は評価しております。これら毎年継続している事業は、どのような成果が上がっているのか、お伺いします。
 財政状況が厳しくなっており、県民感情から言っても、基本的に行政改革のような内向きのことについては、職員の知恵や創意、あるいは以前にコンサルを受けた熟達した職員を活用するなどして、コンサルの活用は基本的に控えるべきではないかと思うのですが、御所見を伺います。
〇上村出納長 契約先とか価格が妥当かどうかというチェックでございますけれども、私どものところには、これまでは、各部局から1件の金額が3、500万円以上の随意契約の支出負担行為の合議が参ります。そういった段階で、案件がまず競争入札によることができるかどうか。できないと認められる場合は、随意契約の理由は妥当であるかどうか。あるいは契約の相手方は履行できる資質──専門知識とか実績を有するか、誠実に実行できるか、価格の積算方法や予定価格については、契約の目的物件または役務が履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等に応じて適正かどうかということに着眼しまして、地方自治法等関係法令及び会計規則に従って審査しているところであります。
 冒頭申し上げましたとおり、これまでは3、500万円以上の随意契約について回ってきましたけれども、この9月から実施しておりますけれども、これまで各部局で審査、決裁していた3、500万円以下のものについても、これはただし100万円以下は除きますけれども、3、500万円未満の委託事業に係るものについても、より競争性、公平性、透明性を確保する観点から、また、公費の適正執行を図るため、会計規則に基づき、期日を定めない書面検査として、9月から随時検査をしているところでございます。
〇竹内副知事 コンサルタントの活用でございますけれども、県におきましては、地方分権改革が進展する中で、質の高い行政サービスを提供するために、職員の意識改革あるいは能力開発、これが大変重要であると考えておりまして、こうした観点から、行政品質向上運動や政策形成能力の向上を図る一連の取り組みを推進しているところでございます。これらの持続的取り組みに外部のコンサルタントのノウハウを活用いたしております。こうした取り組みの結果、みずからの仕事を絶えず見直して改革するという意識が職員に浸透してきておりまして、業務推進に当たってのPDCA、いわゆるプラン・ドゥ・チェック・アクションという、このサイクルの確立、それから勤務時間の縮減の取り組み、そういったものが多くの職場でいわゆる業務の効率化、それからお客様への対応の改善、コストダウン、そして政策立案能力の向上といった具体的な成果が見られるようになってきていると評価をいたしております。
 コンサルの活用を控えたらどうかということでございましたが、もともと県におきましては、体系的な職員研修やOJTを通じまして職員の能力開発に取り組んできておりましたが、大変財政事情等も厳しくなってきておりまして、行政側からの視点だけではなくて、民間の経営管理手法など、いわゆる専門的知識を持つ人材を擁するコンサルタント、これを活用いたしまして、相当期間、そのノウハウについて繰り返し移入を試みるという、民間的手法を取り入れた業務展開を継続的にトレーニングしていくことが必要であると考えているところでございます。
 一方、御指摘のように、明確な成果を求めながら事務事業を推進していく、そういった視点は絶えずこれは持っていなければならないと考えておりまして、例えば平成17年度、コンサルを活用しながら、IMS、これは、いわてマネジメントシステムと言っておりますが、これに先行的に取り組んだ農林水産部や総務部におきましては、超過勤務時間を前年比で20%以上縮減をいたしたほか、職員数も82人縮減できたという効果も上がっておりますので、今後とも、職員の創意工夫を十分に引き出していくとともに、外部のコンサルタントにつきましては、費用対効果を十分に考慮しながら、その活用のあり方や成果の度合いなどにつきまして、慎重に検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員 9月から改革が進んだということで一定の評価をさせていただきますが、民間なんかでもそうなんですけれども、ISOなんかよくコンサルを使ってやるわけでありますが、やっぱり同じところと継続しているとマンネリ化してだめなんですよ。ですから、例えば2年以上は継続してやらないとか、そういう原則を決めて、そして取り組むべきだと思います。
 次に、岩手競馬についてお伺いします。
 岩手県競馬組合の改訂実行計画というものが破綻したわけであります。県の27億円を含めまして構成団体で37億円融資していたわけでありますが、当初から売り上げが過大で、達成の見通しが難しいのではないかという議論がかなりありました。知事は、100%達成できると議会で断言しておったわけでありますが、2年も経ずして計画は破綻し、資産売却を除きますと、この2年で構成団体が融資した金額と同額、約37億円の損失が生じたということでございます。そういった責任をどのように認識しているか、まずお伺いします。
 また、普段から知事は、身の丈に合った経営ということをおっしゃっておりますが、今度の競馬組合のリストラの一環を見ていますと、いわゆる自分たちの組織の縮小というのは一つも入っていない。東京競馬場の場外を初めとして、県外のテレトラックなどある程度切り込まなければいけないと思うのでありますが、その辺の組織の縮小の見直しが進んでいないことについてどう考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
〇増田知事 競馬組合の経営の関係でございますが、まず、競馬組合の以前の改革計画についてであります。今回新計画の見直しをしたわけでありますけれども、これについては当初から、17年度、18年度で一定の赤字を見込んではおりましたものの、それが拡大をしている、こういう実態があるわけでございます。さらに、売り上げの方でございますけれども、これにつきましては、見込みよりも大幅に売り上げが低下をしている、こういった状況にございます。
 コスト削減につきましては、17年度で申し上げますと、計画で16億円ほど予定してございましたが、実績として16億円ほどが達成をされておりますので、これは中身についてのいろいろな、コスト削減の内容についての御議論はあろうかと思いますが、額とすれば、ほぼ同額のコスト削減は出てきている、こういったような状況でございます。
 いずれにいたしましても、従来の計画がいわゆる過去債務をどのように取り扱うかということで、できるだけ売り上げ増などで解消するような、そういう考え方に立っていたのは事実でございまして、それが結果として、我が岩手競馬商圏内の購買力の大幅な低下などといったようなことで、計画策定時に比べ、想定を超えた発売額の減少といったようなことで、実際には達成が難しくなってきているということでありまして、こうしたことは私が競馬組合の管理者でございますので、いろいろな御批判があろうかと思いますけれども、これは私がきちんと受けとめなければならない、このように考えております。その上で、特に今後再生に向けた、きちんとした道筋をつけなければいけないと考えておりますので、今回御提案を申し上げております新計画につきましては、さらに細部を詰めて、そして再生の道筋をつけるということを行っていきたいと考えているわけでありますが、今、その県外のテレトラックの見直しなどの話もございました。東京競馬場の発売所なども人員配置を見直したりして、最近は収支が改善をされているという状況ではございますが、こうしたトレトラックについても、今後も施設運営の効率化に努めなければならないと思っておりますし、今、新計画の中でさらに詰めておりますが、人件費の削減、こういったことも中で取り組むことを考えておりますし、まだ詳細は、そのあたりを今詰めているところでありますが、こうした今御指摘の点も重く受けとめながら、新しい計画の細部を詰めていきたい、このように考えております。
〇佐々木博委員 この競馬の新しい改革計画案が出てきて私はびっくりして、今の知事の答弁も聞いて、やっぱり認識が違うと思っているのは、最初の改訂実行計画というのは、売り上げが伸びていく計画だったんですね。それで、全国どこの競馬も売り上げが下がっていて、中央競馬も売り上げが下がっている。岩手競馬だけが売り上げが伸びるなんていうことはあり得ないだろうというのが、議会の議論だったわけですよ。それを、100%達成する自信があるとおっしゃって、結局できなかった。岩手競馬の商圏が予想に反して環境が悪くなったのでも何でもありませんよ。初めから悪かったのを、見通しを誤っただけなんですよ。もっと正確に言えば、私は、多分達成できないだろうけれども、こういう数字を出さないと数字が合わないということで、ああいう計画をつくったのではないかと思っているわけであります。そして、それが結局、構成団体がいろいろ議論をして、全部で37億円を融資した。あの融資分が、資産売却しなければ丸々消えてしまった。そういった結果につながってしまったのではないか、そのように思っているわけであります。
 時間がないですから先に行きますけれども、この競馬の廃止の影響についてちょっとお伺いしたいわけでありますが、この見直し計画によりますと、競馬を廃止すると構成団体が負う債務は372億円、このよう試算されると。また、2、500人の雇用が失われると書いてあります。しかし、この競馬関係者は2、500人と書いてありますが、695名の馬主がいるわけですね。私は、馬主は少なくとも、競馬関係者ではありますけれども雇用者ではないと思いますよ。ですから、これも含めて2、500名の雇用が失われると騒ぐのはおかしいし、あわせて言えば、関係会社・団体で360名とあるんですけれども、これも競馬組合の仕事を受託しているから競馬場に人が派遣されているだけであって、なくなればほかに行く方々ですから、ですから、少し誇張しているんじゃないかと私は思うんです。
 それからあわせて、この372億円の債務、潜在化していたのが一気に顕在化するとおっしゃっていますけれども、一時に支払わなければいけない債務ではないと私は思うんですね。競馬組合が確かに借り入れしている中には、短期と、それから起債しているものがあるわけですけれども、短期で、一時で払わなければいけないものも確かにあります。しかし、153億円については、これは起債分ですね。これは競馬組合の返済計画に従って、年度年度で返済していけばいいはずでありまして、一時的にその分を即出さなければいけないという、そういった性格のものではないと私は思っていますけれども、いかがでしょうか。
 今やらなければいけないことは、前回のリストラ計画が失敗したのと同じ轍を踏まないことですよ。前回なぜ失敗したかといいますと、リストラの相手方の了解を得てきちんと詰めてその数字を入れなければいけないのに、競馬組合が作文だけして、全然相手と協議をしないで数字を入れたから、結局、理解を得られないで失敗したと。
 今度も、例えばまだ賞典費の問題なんか残っているわけですが、むしろ再建計画で幾ら融資するかという話よりも、きちんとまず馬主さんたちの同意を得られるかどうか。そこが先でして、そこが得られないと、来年、週3回の開催ができるかどうかもわからないわけですから、むしろ、そこの部分について全力を挙げていただきたいと思うんですね。
 それから、債務についても言いますが、結局私は330億円の融資でなくて、今構成団体として背負わなければいけないのは、繰り上げ充用している約138億円、これは既に義務があるわけですから、これは要するに融資じゃなくて、構成団体としてやはり肩がわりするという、そういった責任の取り方をしなければいけないんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
〇増田知事 まず、例の盛岡競馬場、あの関係で起こした起債があって、今それの関係がまだ残として153億円ある。その点については、計画どおり今後も償還をしていけばいいのではないか、こういう御指摘がございました。この起債の約153億円分の取り扱いでございますけれども、仮に、これについて競馬事業を廃止した場合には、公営企業金融公庫の貸し付け規定、それからその後、私どもも向こうの公庫の方に何回か照会をしているわけでございますが、事業が廃止となった場合には、これは原則として繰り上げ償還をする、こういう回答を持っております。
 それから、民間の金融機関分がございます。この分については、その契約上、みずから営業の廃止を表明したときは直ちに債務を弁済するもの、こういう形になっておりまして、いずれにいたしましても、仮にこの競馬事業を廃止した場合には、両者足し合わせると153億円でございますけれども、一時にこの起債分の償還が求められる。したがって、その分のそれぞれの構成団体に与える影響を回避したい、こういうことで申し上げているものでございます。
 それから、この関係について、それ以外のいわゆる繰り上げ充用分、こちらの方をそれぞれ構成団体に分賦をすると、そういうことでいいのではないか、こういうお話もございました。分賦というのは確かに一つのやり方でございますので、決められたやり方となるわけでございますが、今回、全体を融資という形に仕組んでございますのは、分賦になりますと本県だけでなくて、特に両市にとってかなり大きな──分賦割合で考えますと、137億円の繰り上げ充用分を対象にして分賦割合で計算しますと、奥州市で34億円、それから盛岡市27億円となりますけれども、財政運営上、両市にとって非常に大きな支障が生じるのではないか、こういうことがありますのと、それから、仮に分賦した場合は、競馬組合の自助努力による債務の返済ということが要らなくなって構成団体の方が全部責任を負う、こういう形になりますので、競馬組合の自助努力という面が出てこないと考えています。やはり融資で将来償還をさせるというような形にすることよって、競馬組合も、そのために利益を計上できる収支構造への転換ということで、みずから努力をするであろうということで、その点については両用の考え方があるわけでありますが、私どもとしては、融資の方が全体としてはいいのではないか、こう判断をしているわけでございます。
 今、御指摘をいただいております点について、372億円、廃止の場合の試算でございますけれども、これは競馬組合議会の中でもその372億円の想定の中身について、いろいろ前提を置いた試算でございますので、競馬組合議会の中でもそれだけにとどまらないのではないかといったような御議論、御意見もいただいたこともございますし、ある一定の前提を置いた試算だということで御理解を賜りたいわけでありますが、その中で、特に今申し上げました過去債務のうちの盛岡競馬場建設に伴います起債の残の部分について融資とした理由については、そうした繰り上げ償還ということが避けられないものですからぜひ御理解いただきたい、このように思います。
〇佐々木博委員 時間がありませんが、その起債分の金融機関、民間分の100億5、000万円、私はこれは十分話し合いの余地があると思いますよ。いずれ、これは議論、平行線でしょうからやめますけれども、問題は330億円の融資についてですが、本会議によりますと、基金条例の改正は行わないで、それぞれの基金の目的に沿った取り崩しをして、その分浮いた一般財源で基金をつくるという話だったわけでありますが、私、これは脱法行為で禁じ手ではないかと思うんですね。それで、実際行政改革プログラムに引き続いて、ポスト行革のプログラムをやらざるを得ない状況なわけでありますけれども、やっぱりこういったやり方ですと、私は県民の理解というのはなかなか得られないのではないか、そのように思っているところであります。
 いずれ、この基金の取り崩しについて本会議でも知事の答弁がありましたけれども、再度お伺いをして終わりたいと思います。
〇増田知事 この基金の取り崩しでございますが、当然主要3基金の残高が減少いたしますので、そのために今後の財政運営に一層気をつけていかなければならないということでありますし、やはりこの点について、やり方として別の形で、目的に合った形で取り崩し、その分で一般財源を充当するという迂回的な手段はとりますが、そのことは一つの手段としてのやり方の話でございますので、やはり大事なことは、競馬組合融資のために基金を取り崩すという、そのことが県民の理解を得られるかどうか、今議員御指摘の、まさにその一点にかかっているのではないかと。基金の取り崩しはやはり手段でございますので、そんなふうに私も思うところでございます。
 この点について改めて申し上げるわけでございますが、やはり県民の皆さん方に御理解をいただくためには、第1に、競馬事業について、それぞれの構成団体の負担を最小にとどめることが間違いなく必要であると。今回は融資案を提案しているわけでございますが、融資をして競馬事業を存続させるということが、廃止をする場合と比較をいたしますと、その方が負担が最小になるということで、優位であるということが1点でございます。
 それから第2点として、仮に、しかし競馬事業を存続した場合にあっても、それが赤字をふやすようなことであっては、県民の皆さん方の御理解をいただけませんので、この点については新しい計画案の中で事業存廃の基準を定めて、その範囲の中で運営する仕組みを構築して赤字は拡大をしないようにすると、その上で事業を継続していくことがいいと、こう判断をしたものでございます。
 さらに、今申し上げましたことのほか、競馬組合融資のもう一つの理由といたしまして、実際に赤字拡大を避けるために、事業の存廃基準を定めるといったようなことをいたしますと、金融機関からのその後の融資の道というのは事実上断たれる、金融機関も融資をしないということになります。それから、現実に今現在、毎年5億円ですとか生じております多額の利子負担、それから、今後発生をいたします元金の償還の問題に対応するためには、安い利子での構成団体の融資に切りかえるということが不可欠である、こういったこともございまして、今回、新計画(案)にお示ししておりますような融資という考え方を取り入れたものでございます。
 冒頭申し上げましたとおり、この点についての県民の皆様方の広い御理解がないとこの問題はいけないと思っておりまして、議会はもちろんでございますが、関係者のみならず、広く県民の皆さん方にこうした考え方を御説明して御理解を求めていくように、今後ともさらに努力をしていきたいと考えております。
〇吉田昭彦委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時55分 休 憩
午後1時3分再開
〇吉田昭彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。樋下委員。
   〔樋下正信委員質問者席に着く〕
〇樋下正信委員 自由民主クラブの樋下正信でございます。
 会派を代表いたしまして、平成17年度決算につきまして総括的に質問をさせていただきます。また、決算に関連して、県政の各般の状況についてもお伺いしたいと思いますので、あらかじめ御了承をお願いします。なお、これまでの佐々木委員との質問と何点か重複する部分もあろうかと思いますが、よろしく御答弁をお願い申し上げます。
 まず、増田県政の評価についてお伺いします。
 増田県政は、県政運営に当たりまして、3期目の任期を、自立を高める4年間と位置づけ、地域の活性化や経済的な自立を図るため、岩手ならではの地域社会の創造や地域の活力を高めることによって、少子・高齢化や人口の地域偏在などの課題を乗り越えるとし、さまざまな取り組みを行ってきました。
 そこでお伺いします。
 1点目でございますけれども、自立の4年間に向けた施策を顧みて、どう評価しているでしょうか。県政運営最高責任者として自己採点をするとすれば、100点満点で何点ぐらいになるのか。特にも地域の活力を高めるための取り組みはどの程度進捗して、どのような成果があらわれたのでしょうか、具体的にお答えをお願いできればと思います。
 2点目として、今まで予想しないような人口減少、少子・高齢化社会が到来してきたのではないかと思われますが、知事は、このような現象を想定していたのでしょうか。そして、今後どのようなビジョンを描き、着実に実行していくべきと思われますか、お示しをお願いします。
 そして、3点目として、平成17年11月の内外情勢調査会において、知事は、国における先般の総選挙において小さな政府路線が支持されたということで、少なくとも行政体制のスリム化は避けられないとして、次期行財政構造改革プログラムの策定に着手すると話されました。今後、厳しい行財政環境の中においても、行政サービスの質の確保は必要と考えますが、次期行財政構造改革プログラムの策定に当たり、県はさらに小さな政府を目指すのでしょうか、お考えをお伺いします。
〇増田知事 まず、3期目の私の県政でありますが、具体的な政策は、特に40の政策というものを掲げまして、これに基づいて実施しております。その考え方でありますが、特に産業集積に取り組む、そして産業振興に取り組むというのが一つの考え方でありまして、これは、自立に向けて経済基盤を強化していくということが大変重要であるからということでございますが、その結果、自動車産業を中心としたものづくり産業の集積の成果は出てきていると思っております。ただ、先ほどの佐々木委員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、農業分野とか観光などについてはまだ不十分なところがございまして、今後、そうしたものの取り組みを強化していかなければならないと思っております。
 それから、もう一つ申し上げておきたいのは、できるだけ地域力、コミュニティーの力を発揮させていくことが、こういったいわゆる過疎も含む地域では大事でありますので、そういった意味で、ご近所介護ステーションですとかモデル介護支援ハウスなどの設置を促進してきました。そういった結いの精神を生かした事業の考え方でございますが、こうしたものも成果としては出てきていると思っております。
 それも含めて、施策の成果を自己採点せよと。100点満点で幾らかということなんですが、これは、私から申し上げるというよりは県民の皆さんに評価をいただくべきではないかと考えておりまして、私は、いずれにしても、最大限政策の実施に努力をしていきたいと考えております。
 それから、あと、人口減少の関係について予測をしていたかどうかというお話がございましたが、これは、知事就任当時から問題意識を持っておりまして、急激な人口減少社会が到来するということを申し上げておりまして、そうした中で、就任当初は、いわゆる公共資本、ハード部門の整備に力を入れてきたんですが、それは、今後予想される中で、経済基盤を強化することにつながるであろうということであったわけで、今後、人口減少社会に間違いなく到来していくわけですが、その中では確かな経済産業基盤を築くことに特に重点を置いていく。それから、もう一つはいわゆるコンパクトシティーのような、人口が減少している中でも住まい方として豊かさが実現できるような、そういうまちづくりの方向を目指していくということも、人口減少社会では必要であろうと。
 あと、これはもう常にどの時代でもそうでありますが、特に人口減少の中で、福祉や雇用などの分野でいわゆる社会的弱者にある人たちに対してのセーフティネットの構築ということが大変大事であると思いますので、そうしたことに重点を置いていきたいと思います。
 それから、御質問の3点目ですが、小さな政府というのを今後目指すのかということですが、確かに昨年の自由民主党は小さな政府路線ということで、これは国民から支持をされて、中央政府については、今、小さな政府を目指すということになっているわけでありますが、地方自治体の場合には、すべてを小さな政府という形では、特に社会的弱者にある人たちのセーフティネットの構築ですとか、地域コミュニティーの維持などの場面でやはり不十分であって、そういった分野では地方自治体が果たしていくべき役割というのはまだまだあるだろう。決してむだですとか肥大化をさせることはいけませんので、今後も、行財政環境も厳しいわけでありますので、自治体の大きさとしては、県の大きさももっとスリムにして効率性は追求していきたいと思っておりますが、地方政府の場合にも、市場万能主義で小さな政府一辺倒で進めるというわけにもなかなかいかない。そこは分野ごとに考えていくべきと思いますが、ほどよい大きさというものがその中で出てくると思っております。
 あと、自治体がすべて主体となって行うというよりも、今、NPOなどが大分成熟してまいりましたので、そうした主体の活動ということとも連携をすることによりまして公共サービスを提供する、こういう仕組みの構築も大事だと思いますので、そうしたことも行いながら、実際の政策について、できるだけ地域に沿った形での効果を上げていきたいと考えております。
〇樋下正信委員 次に、平成17年度岩手県一般会計予算附帯意見についてお伺いします。
 平成17年3月の岩手県議会において、平成17年度一般会計当初予算に対して次のような附帯意見をつけました。今後の財政運営に当たっては、自主財源の確保に努めるとともに、政策評価、事業評価、包括外部監査等の結果を踏まえ、県民の視点に立った成果重視、現場重視の行政運営ができるよう、さらなる創意と工夫を凝らして、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図られたい。特にも、県の出資等法人の経営改善や競馬組合の改革については、県民の理解が得られるよう最大限の努力を求めるものであるなどといった附帯意見を申し上げました。
 そこでお伺いしますが、この附帯意見にどのように対応し、その成果についてどのような認識をお持ちなのでしょうか、次の点についてお伺いをいたします。
 一つ目は、重点的に取り組む政策として、四つの政策が掲げられましたが、その具体的な成果について、評価結果とあわせてお示し願います。
 二つ目として、出資等法人の経営改善への取り組みの結果について、その成果とあわせてお示し願います。
〇相澤総合政策室長 まず最初に、重点政策の評価についてお答えを申し上げます。
 平成17年度、災害への万全な備えなど四つの政策について、特に重点的に取り組んだところでございまして、各政策の成果及び評価結果について具体的に申し上げたいと思います。
 まず、1番目の災害への万全な備えについては、衛星系無線設備のデジタル化や洪水浸水予測図の作成・提供が予定どおり進むなど、防災対策が充実したところでございます。しかしながら、自主防災組織の設立など地域防災力の向上については、ややおくれが見られるところでございます。
 2番目の地域を支える人づくりにつきましては、いわて産業人材育成会議が設立され、産業人材育成支援体制が構築されました。また、若年者の就職率の改善なども進んだところであります。しかし、農林水産業においては担い手が減少しているほか、学力向上についてはおくれが見られているところでございます。
 3番目の産業でございますけれども、自動車関連産業の集積により関連産業の進出がふえたことから、輸送用機械器具製造業の出荷額や従業者数が大幅に増加したところであります。大連経済事務所を開設し、海外市場開拓の取り組みを本格化いたしました。
 4番目の豊かな暮らしの確保についてでありますけれども、ご近所介護ステーション設置などによりまして、介護サービス提供拠点の整備が進んだところであります。食育の推進により、健全な食生活の重要性について普及啓発が図られました。県境産業廃棄物不法投棄事業につきましても、撤去作業のおくれが取り戻されたところであります。厳しい財政状況下ではありましたが、おおむね順調に成果を上げられたと認識しております。
 次に、出資法人改革について申し上げたいと思います。岩手県出資等法人改革推進プランに基づいて、法人の整理合理化、経営改善を進めてまいりました。具体的には、廃止対象法人の6法人のうち、肉牛生産公社など4法人を廃止済みであります。林業公社、住宅供給公社については、廃止に向けて所要の準備を進めているところであります。出資引き揚げ対象法人につきましては、7法人でありますけれども、いずれも引き揚げに向けた準備を進めているところであります。経営改善を要する法人、9法人ございますけれども、赤字体質からの脱却など、法人ごとの経営改善計画に基づいて取り組みを強力に推進していく覚悟であります。いわて産業振興センターなど3法人については、単年度収支が黒字に転換しているところであります。それから、25%以上出資している法人すべてについて、16年度から新たに運営評価制度を導入して、経営改善全般に取り組んでいるところであります。17年度決算で申し上げますと、単年度収支がマイナスとなった法人は13法人で、16年度に比較して11法人減少しております。これは、各法人がいろいろ経営改善に取り組んだ成果であると考えておりますが、まだ道半ばの状況にございまして、引き続き法人改革を進めてまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 ぜひ改革を加速して進めてほしいと思います。
 次に、平成17年度の決算の評価についてお伺いをします。
 総務省は9月に、都道府県の財政状況を迅速に示すため、平成17年度の都道府県普通会計決算を公表しました。これによると、特色として、厳しい歳出削減努力により、人件費、普通建設事業費を合わせて1兆円近い削減となっております。地方税は全体で約8、300億円増加したが、税収の伸びが大きい東京都、愛知県及び大阪府を除くと、約3、500億円の増加にとどまっております。実質収支の合計は黒字を維持したものの、7割以上の団体において黒字額が減少しているという厳しい状況となっております。
 そこで、本県及び県内市町村における決算状況について、その分析と評価をお伺いします。
 まず、この中で、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は92.6%、起債制限比率は12.1%と、ともに高い水準にとどまっているということですが、本県についてはどのような状況でしょうか。また、地方債協議制度への移行に伴って、新たに導入された実質公債費比率については、東北6県と比べて本県はどのような状況でしょうか。
 次に、東北6県の一般会計決算状況を見ると、本県の場合、歳入で県債の占める割合が17.6%、歳出では公債費の占める割合が20.5%となっており、他県に比べて最も高くなっております。このことについてどのように認識しておりますか。また、将来的には公債費はいつごろから減少するのでしょうか。
 そして、3点目として、県内市町村の決算状況についての、先ほどもお話があったわけでございますけれども、評価をお伺いします。また、実質収支で赤字となっている市町村はありますでしょうか。
 4点目として、県では地域活性化事業調整費や市町村総合補助金により、地域に密着したさまざまな施策の展開を支援してきました。このことについてどのように分析・評価し、また、具体的な成果を上げてきたのでしょうか、お伺いします。
〇川窪総務部長 まず、県の方の財政指標についてでございますが、経常収支比率につきましては、17年度決算で93.0%、前年度より2.1ポイントの上昇でございました。また、起債制限比率につきましては11.0%、前年度より1.9ポイントの低下でございました。それから、実質公債費比率についてでございますけれども、これは、御指摘のとおり、18年度から地方債の協議制に移行したことに伴いまして新設された指標でございます。先ほど申し上げました起債制限比率とは異なりまして、公営企業の元利償還金に対する普通会計からの繰り出しでありますとか、満期一括償還方式に係る積立金を算入するといったことをやりまして、今まで以上に財政状況をなるべく的確に把握できるようにという観点から見直された指標だと理解しておりますが、この指標につきましては、本県におきましては、これが初めての数字になりますが、13.7%という数字でございました。これは、東北6県の中で比較をいたしますと、低い方から2番目ということになっております。この比率が低いのは、ある意味、財政状況がいいことを本来あらわす指標でございますけれども、注意しなければいけませんのは、本県の場合、現行の行財政構造改革プログラム期間におきまして、過去の起債の償還負担を平準化するための借換債というものを発行するという形で財政運営を何とか回している状況にございますので、この借換債を発行することによって起債を返す償還負担に充てている部分が一部ございますので、その分だけ、今申し上げました起債制限比率や実質公債費比率が低目に出ているということがございますので、東北6県の中で本当に財政が楽な方から2番目であるというわけではないということを認識しておく必要があるかと考えております。
 それから、その同じ流れでございますが、一般会計の決算同士を比べますと、歳入に占める県債の発行額、歳出に占めます公債費、それぞれの構成比が高いという数字が出てまいります。
 まず、歳出に占める公債費の比率が高いことにつきましては、これは、これまでに行ってきた投資的経費等の財源として発行した県債残高が非常に高い水準に今ございますので、1兆4、000億円程度という県債残高は東北6県の中で一番多いという状況にございます。この結果といたしまして、毎年度返さなければいけない公債費の額もどうしても高く出てまいります。これが1点ございます。
 それに比べまして、今度は歳入に占めます県債の構成比率が高いことにつきましては、その高い水準で返さなければいけない公債費の一部を、先ほど申し上げました借換債の形で再度起債を発行しているということもございまして、例えば基金を取り崩して起債を返すのに比べますと、借換債を発行して起債を返すということをやりますと、どうしても歳入に占める県債の割合というものが高くなってくるということがございまして、その結果として、歳入に占める県債の割合も東北6県で最高レベルになるというようなことになっているのではないかと考えております。
 最後に、公債費がいつから減少するかという点につきましては、今申し上げましたような形での公債費負担の平準化の観点からの借換債というものを発行しておるということもございまして、なだらかにいわば公債費の高い水準が続くと考えておりますので、微妙な数字になると思いますが、どの時点からはっきりとした減少に転じるかというのを、現時点ではちょっとまだ見きわめることができない状況であるというのが正直なところでございます。
〇藤尾地域振興部長 県内市町村の平成17年度の決算状況でありますけれども、歳入の決算規模につきましては5、971億円で3.1%の増、歳出につきましては5、868億円ということで3.4%の増となってございますが、この歳出につきましては、合併に伴う情報システムの統合、あるいは一部事務組合の事務の承継等によって、物件費、扶助費、投資単独などが増加したことによるものでございます。
 歳入において見ますと、地方債が占める割合が、全国との対比でございますけれども、全国が9.2%に対し、本県の場合は10.3%。それから、歳出に占める公債費の割合ですが、全国が13.4%に対し、本県は15.4%となっておりまして、財政運営における地方債のウエートが全国と比較して高目になっているといったようなことで、さらに地方債残高と債務負担額を足したものから基金残高を差し引いた実質的な財政負担といったようなことについて見ますならば、前年度比で0.6%ほど増加しているといったような状況でございます。
 それから、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、前年度を0.2ポイント上回る89.2%となっておりまして、全国の平均が前年度から0.3ポイントほど改善されている状況と比較いたしますと、本県の市町村財政は硬直化が一層進んでおるということで、極めて厳しい財政状況と認識いたしております。
 それから、実質収支でございますが、これは財政運営の良否を判断する重要なポイントということでございますけれども、全市町村が黒字ということでございまして、その実質収支比率で見ますならば、最高が4.5から最低1.0ということで、いずれも全団体が1%を超えているというような状況にございます。
 それから、地域活性化事業調整費等の評価でございますが、地域活性化事業調整費は、地域の振興施策の支援誘導等を図る事業ということで、昭和61年度から平成17年度までの20年間で6、345事業、金額で104億4、000万円余の事業を実施してきているところでございます。それから、市町村総合補助金は、市町村の創意工夫によって裁量的に活用できる制度として12年度に創設いたしたわけでございますが、17年度までに全市町村で1、946事業、73億8、000万円余が活用されてきたところでございます。これら二つの制度は、地方振興局が、現場主義の視点で、産業振興はもちろんですが、市町村支援といった地域課題に対応しまして、完結性の高い広域行政を推進していくための手段として、また、市町村等が地域づくりを主体的に実施するための支援策として必要不可欠な制度としてあると認識いたしておりまして、市町村はもちろんですが、地域づくり団体等の方々からも一定の評価を得ているものと認識いたしております。
 これまでの具体的な成果として、市町村総合補助金におきましては、テレビ難視聴地域の解消、防災情報等の提供を行うための情報基盤整備などの事業、地域活性化事業調整費におきましては、平泉の世界遺産登録を見据えた観光ボランティアの育成、産学官の連携による新たな製品・技術開発への支援など、市町村等との協働によりまして、豊かさと魅力にあふれた地域づくりの一助になっているものと考えておるところでございます。
〇樋下正信委員 次に、平成17年度の県税収入についてお伺いします。先ほど申し上げましたように、東京都や愛知及び大阪などは税収が大きく伸びて、景気の好調さがあらわれているところでございます。一方、本県の県税収入は1、090億円と、前年度に比べて0.2%の減となり、低調でした。
 そこでお伺いしますが、このような県税収入の状況について、どのように認識しているのでしょうか。また、収入未済額のうち、県税未済額の状況についてはどのような状況でしょうか、あわせてお答え願います。
 2点目として、県税収入の落ち込みが続いているという状況を見ると、これも先ほど質問があったわけでございますけれども、税収確保を図るためには徴収率を上げることが重要であると考えますが、このためにどのような対策を講じているのでしょうか、お伺いします。
〇川窪総務部長 県税収入についてでございますけれども、県税収入につきましては、御指摘のとおり、全国に比べて伸び率が低かったといいますか、若干ではございますが、減になってしまったわけでございますが、その原因といたしましては、5%という伸びはございましたけれども、法人二税関係が全国の伸び率に比べ低かったということ及び法人関係税のシェアが少なかったということ、そして、全国に比べてシェアの高い軽油引取税が前年度を下回るという結果になったことなどが原因だと考えております。
 また、収入未済額についてでございますが、県税の収入未済額が17年度末で20億9、000万円余となっておりまして、この額は前年度に比べまして1億3、000万円余り減少しております。収入未済額が少し減っておるということでございまして、歳入確保に向けた取り組みの成果が、少しではございますが、あらわれてきているのかなと感じているところでございます。
 また、この県税収入未済額の縮減でございますけれども、これにつきましては、行財政構造改革プログラムの中でも重要な課題と位置づけまして、目標収入率を99.0%という形で設定して取り組んでまいっております。この収入未済額のうちの2割を占めておりますのが自動車税でございまして、自動車税につきましては、滞納の初期段階においてなるべく納めていただくことがポイントであるということで、初期段階で滞納整理を行ういわゆる初動集中整理の作業でありますとか、土・日における納付窓口の開設などを行っておりますほか、今年度からは自動車税の納税通知書の発行を早めまして、納期を1カ月間に拡大するということで取り組んでおります。こうしたことを通じまして、収入未済額の縮減に取り組んでまいりたいと考えておりますし、また、個人県民税につきましては、今度の税源移譲によりまして税収の規模が膨らむことがございますので、市町村としっかり連携をいたしまして、10月に設置いたしました特別滞納整理機構などもしっかり活用しながら、滞納の防止と早期の収納に取り組んでまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 次に、歳計現金の運用状況とゼロ金利政策の解除についてお伺いします。
 ことし7月、日銀は、我が国の景気拡大が今後も継続する見込みであるとして、2001年3月から継続していたゼロ金利政策を解除することを決定いたしました。このことは預金金利や貸出金利にも影響を与え、県の資金運用面でも影響があると思われます。
 そこでお伺いします。平成17年度の歳計現金における平均残高や平均運用利回りなどの運用実績と一時借入金の実績についてお示し願います。また、そのピーク時の額についてもお示し願います。また、ゼロ金利政策が解除されたことによって、どのような影響が見込まれるのか、今年度の上半期、9月末までの状況を踏まえてお示し願います。
〇上村出納長 平成17年度の歳計現金の運用実績ですけれども、歳計現金を運用した結果、預金の平均残高は653億円で、その平均運用利回りは0.038%でありました。それから、17年度の一時借入金の平均残高は30億円でありますが、ピークの額は、平成18年3月31日の372億円であります。これは、3月末及び4月当初の支払い資金を確保するために、指定金融機関への預金の範囲内で借り入れたものであります。
 それから、ゼロ金利政策解除の影響及び平成18年度9月末までの状況でございますけれども、本県の一時借り入れにつきましては、指定金融機関に預け入れている定期性預金の額の範囲までの借り入れにつきましては、指定金融機関との契約において、借入利率が当該預金の利率と同率とされておりまして、一時借り入れはおおむね基本預金の額の範囲内でありますことから、ゼロ金利政策の解除による影響は現時点では出ておりません。なお、18年度9月末までの一時借り入れの平均利回りは0.024%と、平成17年度と同率となっております。
 一方、ゼロ金利政策の解除に伴い、指定金融機関の短期プライムレートが引き上げられまして、定期性預金の額を超える借り入れ、いわゆる信用借り越しでありますけれども、これが発生した場合の適用利率が従来よりもプラス0.250%、改定されて上がっておりますので、今後、仮に信用借り越しが発生した場合には、こういった金利で借り入れとなりますので、その影響は出ると存じます。
〇樋下正信委員 次に、建設業対策についてお伺いします。県内公共事業に係る決算額の推移を見ると、平成10年の約2、900億円から、平成17年は約1、200億円規模と、約1、700億円も減少しております。
 一方、今般策定された建設業対策中期戦略プランによりますと、建設投資額は、平成8年の1兆780億円をピークに減少、建設業許可業者は平成10年度以降5、000社の水準となっております。これは投資額の減少に比べ許可業者数がそれほど減少せず、アンバランスの状態となっていることを示していると思われます。
 そこでお伺いしますが、建設投資額と許可業者数のアンバランスの状態が続いているという現状を踏まえて、これまでの対策と今後の具体の対応策をお答え願います。また、県土整備部における直轄事業について、どのように推移してきているのかお示し願うとともに、国と県との調整がどのように図られ、事業の規模や内容が決定されているのか。あわせて、県財政が厳しくなる中で、県の意向がどう反映されているのか、お伺いします。
〇増田知事 これまでの建設業対策でありますけれども、建設業からの業種転換を図ること、それから建設業を続ける場合でも、公共事業から民間市場へのシフトを積極的に推進すること、そしてトータルとして公共事業に過度に依存しない建設業の構造改革を図るということで、今、委員からお話がございました建設業対策中期戦略プランというものを立てたわけでありますが、具体的には、県内の各地方振興局に設置いたしました総合相談センターというものがございますが、ここと、それから建設業協会の経営支援センター、これは以前からあるものでございますが、ここと連携をとって、個別の企業からの相談に対して、適切な、専門的な立場からでの助言をするということ。それから、企業が共同して取り組む企業共同による調査研究の支援をしていく。もう一つは、今年度の新しい事業として行っているわけでありますが、特に環境や福祉分野などのそうした新分野に進出するということに意欲を見せている企業に対して、製品開発や販路開拓に対して経費の一部を補助する、こういったことを行っております。しかし、それだけで、こうしたねらいとするところが実現するものとはなりませんので、今後のさらに追加的な対策が必要であると考えておりまして、今後は、先日お認めをいただきましたいわて建設業経営革新特別資金貸付金制度がございましたけれども、こうした貸付金制度を創設して、新分野や新技術・新工法に取り組む企業に対しては資金面から支援を行っていきたい。それから、中小企業診断士のアドバイザーを派遣する国の制度をより積極的に活用する。これはまだ周知が不十分でありますので、その周知を行って、その活用を推進していく。それから、建設業協会の中の経営支援センターのコーディネーターの体制を強化して、より具体的な助言をしていく。こういったことで企業の支援をしていきたいと考えております。
〇竹内副知事 直轄事業の推移についてですが、現在、東北横断自動車道釜石・秋田線の遠野-東和間や三陸縦貫自動車道、一関遊水地、胆沢ダム、釜石や久慈の湾口防波堤、国道4号、46号の改築事業、そういったものの整備が進められております。
 県では、事業を進めるに当たって、所定の負担割合に基づきまして直轄事業負担金を拠出いたしておりますが、平成13年度の220億円をピークに負担金額は減少しておりまして、平成17年度の負担金額は約163億円となっております。
 それから、直轄事業の県との調整についてでございますが、平成16年度から国土交通省東北地方整備局主催で岩手県直轄事業連絡会議が開催されておりまして、その中で、翌年度の直轄事業の見通しや県の予算の見込み等に関する意見交換を行っておりまして、そこで県の意向を伝えることにしているところでございます。
 県内の社会資本につきましては、これは、徹底した集中と選択に基づいて、より重点的な整備を進めるために、基幹的な事業を実施する国直轄事業とも、こういった場で必要な調整を行いながら取り組むこととしているところでございまして、今後もこの調整会議を通じて国と密接に協議を行って、直轄事業が、県の事業とのバランス上、最も効果的な展開となるよう努めてまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 次に、産業成長戦略についてお伺いします。
 県では、自立した地域社会の実現に向け、40の政策を推進してきました。さらに平成17年度においては、地域経済・雇用情勢の低迷といった社会経済の動向などを十分に踏まえ、特に重点的に取り組む政策として、産業の振興を柱の一つとしました。さらに、ことし9月、本格的な人口減少社会に向け、労働力人口や消費人口が減少することによりまして地域経済が縮小する懸念があることから、地域産業の力強い実現に向け、産業成長戦略(案)が示されたところでございます。
 そこでお伺いしますが、産業成長戦略に至るこれまでの取り組みはどのようなものだったでしょうか。取り組んできた実績とその成果をお示し願います。また、企業の成長段階においてお金が必要と思われますが、産学官金において、金融機関はどのような役割を果たすのでしょうか、お示し願います。
〇増田知事 産業振興でのこれまでの取り組みの実績でありますが、まず、いわゆる2次産業のものづくり産業であります。この分野につきましては、自動車組み立て工場の生産規模が大きく増加する、それから、関連産業の立地や県内企業の参入が進むといったことがございまして、そして、輸送用機械の製造品出荷額、この中に自動車が入っているわけでありますが、それをひっくるめた全体の輸送用機械の製造品出荷額も、平成17年は平成14年に比べ約1.8倍と、これは急激な成長を見せているということが言えようかと思います。
 それから、観光分野でございますが、ここでは、成果としてはグリーンツーリズムの定着化、外国人観光客の増加ということでございまして、グリーンツーリズムは、14年と16年の比較でありますが、14年比で125%、それから外国人観光客の入り込み数ですが、これは14年と17年の比較でありますが、157%という数字になっておりまして、いずれもかなり伸びております。農林水産業では、トレーサビリティーシステムの導入や地産地消の取り組みを進めてまいりまして、その対象となっているトレーサビリティー導入延べ品目数で言いますと、17年度では51品目がその対象となるといったようなこと。それから、例えば地産地消では、学校給食での県産農林水産物利用割合が、平成11年の古い調査ですが、そのときは30%だったものが、16年には55%とかなり伸びているといったようなところで成果が出てきていると思います。それから、農林水産業では輸出もふえてきておりまして、平成10年に3億6、200万円だったものが、平成16年では農林水産物輸出額が5億2、100万円ということで44%伸びておりますから、かなり伸びている分野かと思います。
 しかし、一方で、総合計画の評価でお話し申し上げましたとおり、産業振興の分野がまだ目標の数値に達してないという分野が多くて、今後の人口減少時代のことを考えますと、この分野のさらに着実な成果というものが望まれます。また、今の置かれている状況から考えますと、中国など東アジアとの今後の競争ということもさらに進んでくると思われますので、こちらもそうした海外との関係、これは連携するところもあると思いますし、競争していく分野も多々あると思っていますが、そうした海外のマーケットということも念頭に置きながら、特に産業成長を力強く進めていきたいということで、今回の産業成長戦略の策定に当たったものでございます。
 それから、金融機関の役割でございますが、企業への資金供給を行うのが金融機関の果たすべき役割でございますけれども、具体的には、成長意欲のある中小企業が行う設備投資に必要な資金を供給していただきたい。特に、県の融資制度もさまざまありますので、そういったものとの協調も含めて、円滑な供給に取り組んでいただく。
 それから、産学官の共同研究で成果が出てきているものがございます。今度は、次に事業化を進めていくという段階になりますので、例えばいわて産学連携推進協議会、リエゾン-Iと呼んでおりますが、そこに県内の金融機関も入っておりますけれども、そういったところの中での取り組みの一層の拡大や、ベンチャー企業育成のためのファンドへの参画など、多様な形で企業への資金供給の取り組みの強化を期待したいと思います。そうしたところが一番メーンでありますけれども、そのほか、金融機関としてはさまざまなノウハウを蓄積しておりますので、個別の企業への情報提供や、相談を持ちかけられたときの経営相談、さらには商談会の開催といったところでも力を発揮し得るのではないか。こういった分野での取り組みの展開にも大いに期待しているところであります。
〇樋下正信委員 それでは、次に水田農業の振興と担い手対策についてお伺いします。
 過去5年間の農林水産業費の決算額を見ると年々減少しており、平成17年度は839億円となっております。農業産出額の推移を見ても、平成10年に3、000億円を割り込んで、今なお減少傾向が続いているところです。これは、とりもなおさず、近年の米の消費減退を背景とした米価の低迷によるところが大きいものと考えられますが、同時に農業従事者の減少や高齢化が依然として急速に進んでおり、本県の農業の振興を図る上で大変深刻な問題であると認識しております。本県が我が国の総合食料供給基地としての役割を果たし、また、将来に夢が持てるような農業を実現していくためには、耕地の約6割の9万ヘクタールを占める水田を、米以外の作物も含めて有効活用するとともに、本県農業を支える担い手を着実に育成していくことが重要であるものと考えています。国では、こうした農業生産構造の改革、担い手育成などをねらいとして、平成16年度から米政策改革推進対策をスタートさせ、さらに平成19年度からは品目横断的経営安定対策を導入することとしております。
 そこでお伺いします。まず、平成16年度から実施してきた米政策改革推進対策において、本県ではどういう取り組みを行い、今後どのような推進をしようとしているのでしょうか。また、品目横断的経営安定対策に対応するため、これまで具体的にどのような支援を行ってきたのでしょうか。さらに、品目横断的経営安定対策に加入できない稲作農家に対してはどのように支援していくのでしょうか、お伺いします。
〇竹内副知事 水田農業の振興についてでございます。米政策改革大綱の推進に当たりましては、集落みずからが目標と戦略を持って実践することが大事ではないかと認識をいたしておりまして、平成15年度から本県独自、これは岩手県が全国に先駆けてやったものでございますが、集落水田農業ビジョンの策定を誘導いたしまして、産地づくり交付金の活用によってビジョンの実践を支援してきたところでございます。その結果、集落の徹底した話し合いによりまして集落営農組織づくりの基礎が築かれ、生活面でも、土地利用型の作目を基幹とした大規模経営体が育成されますとともに、安全・安心な特別栽培米の生産拡大、さらに花巻地方の雑穀、東磐井地方の小ぎく、そういった新たな産地が形成されたところでございます。
 その一方で、より効率の高い生産体制の構築に向けまして、担い手への農地の利用集積の促進や、麦、大豆、野菜等の転作作目の単収と品質の向上、そういったことが課題となっておりますことから、今後は、国の品目横断的経営安定対策の導入を契機といたしまして、担い手や集落営農組織の育成を図りますとともに、生産の団地化や排水対策の徹底などによりまして、麦、大豆や野菜などの収益性の向上を促進し、米と転作作目を組み合わせた生産性の高い産地づくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、品目横断的経営安定対策についてでございますが、この対策の導入は、集落営農組織の育成に向けた地域の主体的な取り組みを加速させる好機ととらえまして、昨年10月の国の経営所得安定対策大綱の決定と同時に、市町村、農協、振興局等の職員で構成する市町村支援チームを設置いたしまして、県内各地での集落座談会等の開催によって制度の周知徹底を図りますとともに、認定農業者の育成や集落営農の組織化に取り組んできたところでございます。ことしの4月からは、県内に約400名の集落コーディネーター、これも全国で一番数が多いわけですけれども、このコーディネーターを配置いたしまして、地域の実情に応じた農地の利用集積や経理の一元化など、集落営農の組織化に向けた合意形成を支援しているところでございます。今後とも、市町村、農協等と連携して、こうした支援活動の効果的な展開によって担い手の育成に努め、平成19年産からの品目横断的経営安定対策の導入に向けて万全を期してまいりたいと考えております。
 それから、平成19年産からスタートする品目横断的経営安定対策に直ちに加入できない稲作農家への支援についてでございますが、これは、市町村や農協などとの連携をさらに強めながら、引き続き平成20年産から加入できるようにこれを誘導いたしますとともに、加入できない農家を対象とした米の価格下落時の価格補てんのため、平成19年度から新設される稲作構造改革促進交付金の活用や、転作作目の産地づくりを促進する産地づくり交付金、さらには中山間地域等直接支払い交付金なども活用しながら、品目横断的経営安定対策に加入できない農家も含めまして、稲作経営の安定化に努めてまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 ぜひ、農家の方々の理解を得ていただくような方策で進めていただきたいと思います。
 次に、本県の災害への対応についてお伺いします。
 まずもって、今般の低気圧により被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 10月6日から8日にかけて、低気圧が猛烈に発達しながら関東の南海上から三陸沖へ進んだ影響で、海岸・海上では暴風や猛烈なしけとなり、沿岸部や二戸・盛岡地域では大雨となったと報じられています。過去にも災害対応経費を計上していると思いますが、県土整備部と農林水産部における災害復旧事業費と、農林水産物や、それら生産施設に対する災害対策に充てた経費についてお示し願います。また、今般の低気圧は、県北と沿岸では公共土木施設や漁業施設に甚大な被害をもたらし、内陸部ではリンゴ等の農作物などにも大きな被害があったようで、出荷前の大事な時期にとっては憂慮すべき状況となっているのではないでしょうか。現段階においてまだ調査中とは思いますが、現時点での被害状況と、その対策の見通しについてお伺いします。
〇竹内副知事 過去の災害対策経費についてでございますが、農林水産部が計上した災害復旧事業費と、農林水産物及び施設等災害復旧費を合わせた災害対策経費の過去5年間の決算総額は109億3、700万円余となっております。中でも15年度は、前年の台風6号による農地・農業用施設被害や、15年3月の異常な高波による漁港施設被害などによりまして、46億4、200万円余と多額の災害復旧費を計上しております。それから、県土整備部が過去に実施した公共土木施設の災害復旧事業費は、過去5年間で総額381億円余となっておりまして、中でも平成14年度は127億円、平成15年度は130億円と多額になっております。これは、平成13年の凍上災と、平成14年の台風6号等への対応のための災害復旧事業費であります。
 それから、去る10月6日から8日にかけての大雨と暴風に伴う本県における被害状況でございますが、10月13日現在で、被害総額は93億1、800万円余となっておりまして、被害は、葛巻町、岩泉町、久慈市など沿岸部や県北部を中心といたしまして、ほぼ県内全域に及んでおります。被害の内訳としては、公共土木施設被害が57億800万円余、水産関係被害が13億6、700万円余、漁港関係被害が9億8、000万円余、農業関係被害が8億5、700万円余、林業関係被害が2億5、000万円余となっております。
 このうち、農林水産部関係の現時点での対策の見通しですが、漁港施設、農地・農業用施設及び林業施設などの復旧につきましては、これは早期に国の災害査定を受けますとともに、国の災害復旧事業対象基準に満たない漁港施設につきましては、県単独事業で随時工事着手することとしておりまして、市町村管理分につきましては早期の復旧を指導しているところでございます。また、被害を受けた農林漁家に対する共済金や漁船保険金の早期支払い、災害関係資金の融通を関係機関・団体等に要請いたしますとともに、パイプハウスや養殖施設など農林水産関係施設の被害につきましては、市町村や関係団体と連携をとりながら、可能な限り補助事業や制度資金の活用に努めてまいりたいと考えております。
 それから、現時点で57億800万円余の被害が見込まれる土木関係施設でございますが、年内に国の災害査定を受けまして、順次発注するなど早期復旧に努めますとともに、迂回路のない市町村道、こういった緊急を要する箇所につきましては直ちに応急工事に着手するなど、全体的な地域の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 ぜひ、迅速な対応をお願いしたいと思います。
 次に、他県との連携についてお伺いします。
 知事は、これまで、平成9年の北東北知事サミットを契機といたしまして、青森県や秋田県、さらには北海道との県境を越えた広域連携に取り組んできました。
 そこでお伺いしますが、環境対策や広域観光振興などにおけるこれまでの他県との連携の実績はどうなっているのでしょうか。また、現在、自動車関連産業を中心とした宮城県や山形県との連携にも取り組んでおりますが、経済界も含めた今回の取り組みは、これまでの県同士の連携の枠組みを越えた新しい取り組みとも考えられるところでございます。そこで、今後の県の広域連携の取り組み方針について、あわせてお伺いします。
〇増田知事 各県との連携でありますが、まず、北海道・北東北3県との連携でありますが、これにつきましては、成果としては、産業廃棄物税に関する共通の条例を制定したり、観光面で共同の誘客宣伝活動を実施したり、さらには福岡など県外事務所、ソウルなどの海外事務所の共同設置、そして、地方債の、これはミニ公募債でありますが、共同発行ということで、多くの分野で連携の実績を積み上げてまいりましたし、その効果もプラスの面で大変大きかったと判断をしております。また、ことしの8月には、宮城・山形県と合同で自動車関連分野の展示商談会を開催いたしましたが、来場者が目標を大きく上回っておりまして、こうした南東北各県との連携、特に分野ごとにメリットがある部分は今後も積極的に進めていきたいと考えております。なお、この自動車関連の分野での各県連携については、秋田・青森県も参加の意向を示しているところでありまして、やはり東北全体として、この分野は取り組むべき問題である、このように判断をしております。
 今後でありますが、今、委員からお話がございましたとおり、経済界の皆さん方との連携した取り組みということが大事でありまして、そうした関係では東北全体、あるいは物によっては北海道・東北全体を含めた広域的な視点に立って、地域経済にプラスの影響があるものについては積極的に取り組みたいと考えております。そのために、北海道・東北の各県知事と経済界のトップで構成する北海道・東北未来戦略会議というものをことしの5月に既に立ち上げておりますが、来月、札幌でこの会議を開くことになっておりまして、そこでは、海外からの観光客誘致を初め、観光振興の取り組みをテーマに取り上げたいと考えておりますが、その分野のみならず、ほかの分野も、今後、議題にのせていきたいと思っておりますけれども、そうした場において、今後、広域連携の取り組みも強化していきたい、このように考えております。
〇樋下正信委員 次に、競馬組合の問題についてお伺いします。
 先ほども御質問があったわけでございますけれども、万が一岩手競馬が廃止されるような場合、債務や廃止に伴う費用など、372億円と試算される多額の債務などの支払いは、構成団体にとって極めて大きな財政負担となります。また、雇用問題や直接的な経済効果が喪失されるというような、地域経済への影響なども大きな問題として考えられます。こうしたことをかんがみて、競馬事業を継続するという新しい岩手県競馬組合改革計画(案)を策定したところであります。その中では、競馬組合への融資スキームとして債務を全額繰り上げ償還し、構成団体ごとに新たに造成する運用型基金からの融資スキームに切りかえるというものであります。
 そこでお伺いしますが、構成団体である盛岡市と奥州市、両市との債務問題などの協議の状況はどのようになっているのでしょうか。また、両市において、この融資スキームが受け入れられないとした場合、競馬組合改革はどのような方向というんでしょうか、どのようになるのでしょうか、お聞かせ願います。
〇増田知事 競馬組合の問題でありますけれども、構成団体である盛岡市と奥州市との協議状況について今御質問がございました。
 去る9月16日に新しい計画案を競馬組合議会に提案をしたわけでありますが、これを受けて、各構成団体におきましては、議会などの場でさまざまな議論が行われておりまして、その中には、当然、融資スキームについても意見が出されているわけであります。
 両市の市長などとも私も何回か会って協議をしているわけでございますが、その中で両市長の方からも、両市において、それぞれの議会や市民の皆さん方の御意見、さらには、平成18年度の決算見込みや19年度の財政見通しを踏まえて、融資スキームについて考え方を取りまとめる、こうお聞きをしているわけでございまして、この点につきましては、構成団体間で合意できる内容の取りまとめに向けてぜひ両市で御検討いただきたい、私どもはそのように考えております。県でも、こうした両市の考え方をその上で十分に伺いながら、構成団体融資の実現に向けて──問題になりますのは融資割合、それから融資条件、それから基金造成の額などでありますけれども、そうした基金造成などの具体的な内容の調整を図っていきたいと考えております。
 それからもう一点の御質問で、この融資スキームが受け入れられないとした場合に、この改革が一体どのようになるかということでございますが、新計画案に盛り込んでございますこの融資スキームでございますけれども、これは競馬事業の廃止といった場合に生ずるであろう影響も考えながら、構成団体に大きな負担をもたらす、その競馬事業の廃止という事態を避ける場合の取り得る最善の方策として提案をしているものでございまして、この融資スキームが受け入れられないという場合には、事業を継続することは困難になる、こう認識をしております。
 現状の売り上げということを前提にいたしますと、今年度末の資金需要への対応が困難ということになるということと、それから、翌年度以降の収支均衡を見込むことが大変難しくなるということがございまして、その場合には、事業を継続することは困難である、こう認識をしております。
 こうしたことがございますので、融資スキームを含みます新計画案につきまして、もちろん各構成団体議会に十分説明いたしますのは当然でございますが、市民あるいは県民の皆さん方にも十分に御説明をして、そしてこの競馬の再生に向けて御理解と御協力が得られるように努力をしていきたい、このように考えております。
〇樋下正信委員 最後に、2巡目の国体開催についてお伺いをします。
 来年度の国体は、秋田わか杉国体と称し、秋田県で開催することになりました。このことは、東北においても2巡目の国体開催が始まってきたと言えると思います。いよいよ本県での開催も望まれるところであります。
 そこでお伺いしますが、2巡目の国体開催について、これまで開催に向けた準備など、どのような施策を行っているのでしょうか。また、今後、国体開催に向けて、選手の強化策の基本的な考え方をお示し願います。あわせて、このような厳しい財政状況下での開催方法や平成11年の岩手インターハイ会場の活用など、具体的な方策をお伺いします。
〇増田知事 2巡目国体の関係でありますが、順番から言いますと、2巡目国体の本県開催は平成28年、そして和歌山県の次の開催になると、当県では、平成28年の開催になると考えております。
 その開催に当たりましては、県民の皆様方の意向、それから、本県の財政状況の将来的な見通しというものを踏まえる必要がございますのと、それから、日本体育協会の国体改革の動向、それから、前年に開催されます和歌山県など、それ以前のところはもう開催の順番が大体決まっておりますので、今後開催する開催予定県の取組状況、こういったことを十分に調査する必要がございまして、今、そうした各種の調査を鋭意行っているところであります。
 本年度から教育委員会の事務局の方に特命課長を配置しておりまして、その者を中心にして、2巡目国体の本県開催誘致に向けて、今、準備を進めているところでございます。
 それから、選手強化の関係でありますが、この選手強化については、できる限りの配慮といいましょうか、財政的には県財政全般に厳しいわけですが、その中で、やはり財政的な支援ということが必要でございますので、できる限り配慮してきたところでございまして、特に成年層やジュニア層などについては、国体のみならず、世界を見据えた長期的な展望に立って計画的な施策展開が重要と、このように考えております。そのためには、何といいましても、産業経済界の理解と協力が必要であろうと。従来からそういった優秀選手の育成や、それから、チームの運営などに経済界の理解と協力をいただきながら進めてきた、そして本県の競技・スポーツが強化されてきたという歴史もございますので、そうした産業経済界の理解と協力をいただいて、優秀選手の受け皿づくりなど、競技力向上のための環境づくりを進めていく必要があると。そういうことで、私も出席をして、今、懇談会を何回か経済界の皆さん方とやっております。そのほか、スポーツ特別強化指定校制度によって、選手育成指導体制の強化などに今後も努めていきたいと思っております。
 この競技力向上のための環境づくりとしては、ポイントはやはり指導者の派遣、これは県内大学との連携をとるということも視点に入れて、優秀な指導者を派遣するということ。それからトレーニング方法ですが、科学的見地からのトレーニング方法を順次導入していくと。そして、スポーツ医・科学サポート体制を構築すると。特に3点目のスポーツ医・科学サポート体制といったところが最近は特に重要視をされますので、そういったところに十分な知識を得ている人を得て、競技力向上のための環境づくりをしていきたいと思います。
 それから、施設の活用などについてでありますけれども、当面厳しい財政状況が続くわけでございますが、平成11年の岩手インターハイで使用した施設など、既存の施設を活用することを基本に進めていきたい。そして、既存の施設ではどうしても対応できない、こういう場合もあろうかと思いますので、その場合には、近接県の協力も仰ぐということも視野に入れながら、一方で、今後の財政状況の見通しなども勘案していきたいと考えております。そして、平成19年度、来年でございますが、平成19年度の早い時期に、本県への開催誘致の方向性を出していきたい、このように考えております。
〇樋下正信委員 終わります。丁寧な御答弁をいただきまして、知事以下、本当にありがとうございました。
 あとの残りの時間は、佐藤正春委員に譲りたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
〇吉田昭彦委員長 次に、佐藤正春委員。
   〔佐藤正春委員質問者席に着く〕
〇佐藤正春委員 ただいまはまた、我が党のエースの質問でございまして、大したものだった。その前の民主党もよかったよ。
 知事、私の任期中の最後の知事対決ということになるわけでございまして、あとやらないから、質問は。
 そこで、まず最初に申し上げたいことは、平成17年度の監査委員の意見書。この意見書を開くと、代表監査委員は菊池武利さん。これは、前職から言うと、相当びりびり来るんじゃないかと思ったら、あけてみたら案外さらっとしたものだ。ただ、審査の結果の中で、例えば不適正な執行が見受けられたと。これ森のトレーのことだからね、これは。それから、より質の高い行政運営を展開されるように期待するものでありますと。これは、むだをしちゃいけないですよと、むだはやめなさいよと、こういうことなんですね。
 そこで知事にお伺いしますが、監査委員の意見書というものは、私も監査請求なんか出したんですが、どうですか、これは100%そのとおりだと、やりますというのか、あるいは聞き置く程度なんだか、無視なんだか、これはどうですか。
〇増田知事 監査制度の重要性、それから、その監査制度にのっとって出されました監査委員の意見などについては、これは我々執行部としては、常に重く受けとめなければいけないもの、そして、そこでいただきました御意見については、私どもで最大限尊重して実現を図っていかなければならないもの、このように考えているところでございます。
〇佐藤正春委員 知事、尊重してやらないのもあるからね。尊重してやるのかやらないのか。
 例えば森のトレーは、監査請求2回もあのとおり出て、結果出ているんですよ、意見書が。久慈との合意が得られないで、それでまた予算をつけた。この間農林水産委員会で農林水産部長に聞いたら、また予算を、裁判費用、つけるような答弁だった。これは全く監査意見を無視していますよ、これは。実際、森のトレーなんかでまたつけるんですか、これ、あのまま。それが一つ。
 出納長、どうですか、監査意見というのは、あなた無視しますか。100%やるんですか、無視ですか。90%ですか、どうですか。お2人にひとつ御答弁願います。
〇増田知事 今の御意見は、森のトレーで、久慈市とそれから我が県との裁判費用の負担割合がまだ決まっていないということの監査委員から御指摘をいただいておりまして、その関係からの御質問かと思いますが、私も久慈市長と何回か直接会いまして、久慈市長も私のところに来られたり、私も久慈市役所の方にお伺いして、今、監査委員の方からいただきました御指摘を重く受けて、その負担割合の決定に向けて努力をしております。いまだ合意を見ていないということで、今、委員から御指摘をいただきましたように、監査委員の御指摘に添う形になっていないところでございますが、今年度中には、この負担割合について合意をして、裁判の今後の行く末にもかかってまいりますけれども、恐らく来年度以降も継続をするであろうと思いますので、そのための裁判費用は、適正な額は計上しなければいけないと思っておりますが、まず、何よりも監査委員の御指摘を踏まえた対応をとることが重要でございますので、何とか市長とのお話を合意に向けて結論を得るように努力をしていきたい、このように考えております。
〇上村出納長 監査委員からいただきました御指摘等につきましては、それぞれの関係する部局等において必要な措置を講じているところでありまして、適切な出納事務の執行につきましては、出納局が行う会計実地検査あるいは事務調査指導、各種研修等のほか、日常の審査事務等を通じまして、各部局等に対して、今後とも指導に努めてまいりたいと考えております。
〇佐藤正春委員 知事、最初に申し上げたとおり、私、任期中最後だから、対決は、ちょっとしつこく聞くようだけれども、監査意見を聞いて、今おわかりのとおり、久慈とのやりとりがあるんだけれども、問題は監査委員の意見を聞くのか聞かないのか。100%実行するのか。するとすれば、来年の裁判費用をつけられないわけですよ。久慈の市議会では、これは通さないですよ。話し合ったところで、久慈と話し合いつきませんよ。その場合、どうするんですかということです、しつこいようだけれども。それちょっと聞いておく。
〇増田知事 いろいろ議会経験のおありの委員の御質問でございまして、久慈市の議会の状況もお話しございましたが、何とか、市長とお話し合いをして、それで意見の合意を見たいと。まだ、年度内時間がございますので、今も久慈市といろいろな情勢分析も含めて、市長もその点は大変心配をしておりますので、そういったこともあってなかなか合意ができないわけでありますが、久慈市と十分に話し合いをした上で、やはり監査委員の指摘を満たさないまま予算計上をするということは、私どもとしても何としても避けたいと思っておりますので、まだ時間がございますので、よく話し合いを久慈市と行いたいと。県議会からも大変厳しい意見をいただいているということも久慈市も十分承知しておりますので、そのことも含めて、今後も誠心誠意、話をしていきたいと考えております。
〇佐藤正春委員 菊池代表監査委員、今の答弁を聞いたでしょう。あなたの趣旨と合わないんだから、こういうことでやらなかったら断固けって、監査委員やめたらいいよ、もう。そのくらいの気概でやってください。そのためにお入りになったんだから。
 さて、そこで聞きますが、競馬問題でやれとかやめろとか、きょうもお2人からあったわけですね。議論が非常に深刻でございます。
 そこで私が聞きたいのは、知事自身のレースの出馬はどうなっているんですか、同じ馬っこでも。どうなっているんですか。今までのお話のとおり、責任を持ってこの問題を解決するためには、来年度も知事は現職でなかったら解決できませんよ。それを含めてはっきりお答えください。
〇増田知事 私自身のレースへの出馬と、こういうことでございますが、今さまざまな課題がございまして、職務に今全力投球ということでございますが、いずれ、この点については大変重要な問題でございますので、適切な時期に適切な判断をしていかなければならない、このように考えております。
〇佐藤正春委員 競馬場を置いて逃げ馬じゃだめですよ。ちゃんと責任を持ってやってくださいよ。
 新聞で競馬場問題が報じられる中で、県民からは、議会は何しているんだと。今まで、何でも知事の言っていることに賛成賛成、万歳で、今さら何を言っているんだというようなおしかりもいただいております。なるほどなと。私ども議員としての責任論というのも問われているわけでございます。
 そこで──私も少し長いものですから、ここが、議員が──競馬場だけでなくて、これからの県財政の足かせになるものには、県立大学、花巻空港、西口ビルなどがございます。建てるのも金がかかるけれども、これからも金がかかるから。私自身はこの盛岡競馬場建設には、こんな大きなものは必要なしということで反対しました、当時。県立大学でも、当初は御案内のとおり、最初は看護大学だったんです。看護師が不足しているというので、看護大学をつくろうという計画でしたが、いつの間にか総合大学になり、花巻空港では、当局発表の乗降客数のデータには疑問があると。どうもバラ色の計画には疑問があるということで、何回も私は質問を繰り返してまいりました。ローカル空港、乗り継ぎ空港でいいのではないかということで反対してきたわけでございます。滑走路も知事とやりとりをして反対してきました、私は。西口も同様。すべて入り口は小さく、始まればとめどもなく膨らむ方式は、だれが見ても、全く県民の目をごまかす、こそくなやり方としか言わざるを得ません。
 これは知事の責任ではないかもしれないけれども、ここにデータがございます。盛岡競馬場は、当初予算236億円に対し最終整備額は404億円、71%のアップですよ。167億円の増ですよ。これ、議員の皆さん聞いてください。入り口は小さい、最後は167億円ふえてしまった。これが今の競馬の赤字の足かせになっているんですよ。県立大学は、当初予算462億円に対して、最終整備費が466億円、1%のアップ。それでも4億円ですよ。これからまだまだかかります。花巻空港、当初予算278億円に対して、最終整備費が318億円で14%のアップ。40億円ももうふえているんですよ。
 いいですか、知事。知事はこれを見て、いわゆるあなたのおっしゃる身の丈政治の中で、どのように反省しこれからいかに対応されるのか、御見解を伺いたい。
〇増田知事 今、特に大規模事業などについて幾つか事例を挙げられて御見解がございました。それぞれの施設については、その時々の財政環境の中で必要性や効果を判断してきたもの、このように思うわけでありますが、その計画段階とそれから事業が完成する段階で、確かにさまざまな事情はそれぞれあるとは思いつつも、かなり事業費がアップしているものもあるといったような状況もございます。それで、特にいずれの施設も後年度に多額の財政負担を伴うような事業でございますので、今後も多くの財政的な面では、いわゆる経常的な経費となって財政硬直化の原因につながってくる、こう考えておりますので、やはり計画段階からの事前評価制度というものを一層しっかりと構築をして、その中で、県民の皆さん方に必要があるものについてはよく説明をした上で、事業に取り組むという必要があろうかと考えております。また、そうした大規模事業だけにかかわらず、やはり県が行う事業については事業効率、費用対効果ということをよく考える必要があると思っているわけでございますが、特に大規模事業については、今も例えば公共事業で50億円以上の場合、あるいは施設整備等の事業、これは非公共のものがございますが、それについては25億円以上のもの。いずれにつきましても、事前評価のみならず、事後評価によって、その後の維持管理のやり方についても十分工夫をするようにしているところでございまして、今後は、こうした制度の適正な運用、それから、さらに精緻な制度の構築ということに努めていきたい、このように考えております。
〇佐藤正春委員 新しい議員には本当に申しわけないけれども、167億円も水増しされたのだから、これは赤字になるのは当たり前ですよ。私はこの場でやっぱり質問したことがあった。何で競馬場に、1億円もする絵だとかブロンズが必要なんだと。そのときの副知事は何と言ったか。県民の教養のためだと。あれはばくち場でしょう、競馬場といのうは。ばくち打ちが行くところに何で教養が必要なの。そんなことを言っているんだ。そういうことで、やはり赤字になる結果責任というものは負わなければいけない。こういうところに赤字の原因があるんだということを、今まで議論の中では余り出てこなかったんだけれども、ぜひ議員の皆さんも知ってほしいと思うんですね。
 それから、アイラブ障害者、見たことある、これ。──ある。あるならいいけれども。
 このアイラブ障害者、見たことあるそうですが、これは振興局から補助金をいただき、障害者に対する偏見と差別をなくそうとするキャンペーン推進事業で、去る5月、一関において酒井県南広域振興局長も出席して、1万枚を各事務所の協力を得て車に張ったステッカーであります。さらに、この10月1日から、障害者の自立支援法が本格的に施行されるに当たって、その柱となる就労支援でございますが、この就労支援の一番の問題が、いわゆる障害者に対する偏見と差別なんですね。これ、意外とインテリほどわからないんだ、これは。障害者に対する偏見と差別。自分が言っていること、気がつかない。したがって、この差別化がなくならない限り、一般社会、一般企業、事業所での就労はまことに困難でございます。
 私は、知的・精神の障害者の福祉の現場にいる人間として、同僚議員に、かねてから障害者差別のないまちづくり条例案を示して、御議論と御検討を現在いただいているところでございます。
 10月6日の東京紙によりますと、千葉県では、知事提案の、障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例が、11日の本会議で全国初の条例として可決、成立されたようでございます。このような状況を踏まえて、知事の障害者に対する思いやりと、県としての対応についてお伺いをいたします。
〇増田知事 障害者施策でありますけれども、障害者自立支援法が成立をすると。それから今お話がございましたとおり、千葉県で条例が制定をされるということでございまして、この障害者福祉に対して一つのいろいろ議論をする、そういう時期に来ていると考えております。
 我々のあるいは私の願っておりますのは、やはり障害者の皆さん方が生き生きと働くということ、そして、それを障害者みずからの力というのは当然限度がございますので、周囲の皆さん方が懸命にそうした障害者の自立のためにその活動を支えていく、こういうことが必要であると思うわけでありまして、今、県内各地域でさまざまな福祉作業所や小規模事業所等もございますけれども、そうしたところをお伺いするたびに、大変厳しい中で、理解ある人々のもとでそういった作業所の維持・運営がなされているわけでございますが、私も佐藤委員がかかわっておりますところにもお伺いしたこともございますけれども、ああいった活動を見るにつけても、やはり私ども自治体も含めて、社会全体でもっともっと、こうした問題に真正面から目を向けていかなければならない、このように考えているところでございます。
 そこで、その中で、そういった理念を実現するために、今後も努力をしていくべき私どもも責任、責務があるわけでございますが、今お話がございましたとおり、社会の中には残念ながら、まだいわゆる偏見などの存在も指摘をされているところでございまして、それまで何の問題もなく働いていた人間が、例えば精神病院に通院をしているといったようなことが雇用主に伝わると、その雇用所から首を言い渡されるといったような、いわばこれも一つの偏見であろうかと思いますが、こうしたものは今後もできるだけなくしていく、偏見や差別が生まれにくい環境を整えていくことが必要かと考えております。
 そこで、その自治体としての努力が千葉県の条例であろうと思うわけでございまして、私も担当課の方に、あの条例についてよく調査をするように指示をしているわけでございますが、理念は私も大賛成でございます。運用面につきましては、いろいろと工夫や困難が予想されると思うところもあるんですけれども、しかし、その条例の制定のようなことが理念の実現に、前に進むのであれば、そうした運用面での難しさを克服していかなければならないと思いますので、担当課の方には、条例についてよく調査をするように指示をしてございますので、今後もよくそうした動きも検討しながら、この問題を考えていきたいと思います。
〇佐藤正春委員 後で、決算で、同僚議員から質問があろうかと思いますが、この自立支援法によるところの入所者の1割負担、これが非常に問題になっているんですね。これは県によっちゃ、県が補助しようというところもあれば、各市町村がやろうというところ、ばらつきがあるんですよ。そうなってくると、なおこれは困難になってくるんですね。
 そこで、本県では、県としてこれにどのように対応するのか、あるいは市町村で対応した場合にはどうするのか、県として補助を出すのかどうか、この点だけひとつお伺いしておきます。
〇増田知事 障害者の1割負担の関係でございますが、今の私どもの考え方は、国のさまざまな軽減措置がございますので、この利用をできるだけ図っていただくと。そのことを市町村にもよく周知をさせて、そして利用促進をしていくということが基本に立っているところでございます。
〇佐藤正春委員 それではちょっと大きな問題。北朝鮮の核実験に対して、知事は、強く抗議したいと。我が国が追加経済制裁を行うこともやむを得ない、こうコメントしております。問題は、日本を核から守る、岩手県民を守る対策でございます。多くの非難は、その現象面に対して、すなわち、国連決議に反し強行した北朝鮮の暴挙に対してでございます。
 私は、北朝鮮の問題を知る一人として一番危惧していることは、現在、食料不足、餓死者が出ている中で、水害で痛めつけられ、その上、金融制裁、米支援の停止という中で逃げ場を失い、必ず暴発することが予想されるわけでございます。そのときに、一番被害を受けるのは日本であり、地続きの韓国ですが、韓国は同じ民族でございますから。そこで瀬戸際の状況にあります。三陸沖にミサイルの投下を受けた本県では、抗議と同時に、先ほど来防災対策は主に県土整備部の問題がございましたが、この防災対策、極端に言えば防核対策はどうなっているんでしょうか。まさかの対策を怠ってはならない、こう思っているのでお伺いしておきます。
〇増田知事 まず、今回の事案につきましてですが、これにつきましては、国から情報が流れてきておりますものを、速やかに市町村それから消防本部に提供して、各自治体と情報共有に努めたところでございます。また、本県としても、これまで以上に、北朝鮮の動向にも注視していく必要があると思っております。
 また、放射能汚染ですけれども、これが一番今後心配されますので、現在、環境保健研究センターで環境放射能水準調査の測定をしてございます。これについては今後も監視を続けていく、そして、何か異常があればすぐ県民にお知らせをするということでございます。
 一般的にこうしたいわば非常時、危機の場合の管理体制、情報伝達体制などについてはマニュアルがございまして、危機管理対応方針というものに基づいて対応をしていくことになっているところでございますが、管理職により24時間宿直態勢ということも今庁内でしいてございますので、特にこうした今回の北朝鮮の問題、今後についても、そうした運用に万全を期していきたいと考えています。
〇佐藤正春委員 知事、これは今までないことなので、まさかなんです。このまさかの対策が、何かあれば大変でございますので、ぜひ対策を立ててほしいと思うわけでございます。
 さて、最後でございます。
 私は、知事にこれで最後の質問になるわけでございますが、私は知事室に地元の陳情で1回か2回行ったきり、行ったことがないんです。ですから、知事と直接話をしたこともなければ、知事の酒飲みパーティーにも行ったこともございません。だけれども、私は常に心というものは知事室にあったということだけは申し上げておきます。心だけは知事室にあった。
 それはなぜかというと、あなたの御尊父の増田盛先生は、私は門下でございますから、ずっと一緒について歩いた。そして教えられたことは、何と教えられたかというと、正春君やと、権力にこびるなよと。金力や権力におもねるなよと。そして、名誉や地位を追うなと、求めるなと。これが私の師匠である、あなたの御尊父に教えられたことでございます。これだけは今はっきり申し上げておきます。
 どうぞ知事、これからの岩手県政に対してひとつ誠実に、私に答弁いただいたように、常に誠実にひとつこたえていただきたい、御期待を申し上げて終わりといたします。
〇増田知事 大変長い政治歴、議員歴をお持ちの佐藤議員のお話でございました。特に最後の段落のそういった富、栄誉、名誉、そういったものを求めるのではなくて、やはり誠実に対応するということが肝要かと思っておりますので、私もそうした議員の言葉、お考えを十分重く受けとめて今後体していきたい、このように考えております。ありがとうございました。
〇吉田昭彦委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後 2 時44分 休憩
午後3時3分再開
〇吉田昭彦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。田村誠委員。
   〔田村誠委員質問者席に着く〕
〇田村誠委員 政和・社民クラブの田村でございます。
 平成17年度決算に対し、総括的に質問を行います。
 平成17年度は、岩手県にとって、地殻の変動とも言えるような将来にわたるさまざまな出来事があった年でありました。国勢調査が行われ、県内人口は138万5、041人と、前回調査から3万人余も減少し、本格的人口減少社会に入り、また、市町村の合併が進み、新たな市として八幡平市の誕生、人口10万人を超える市も新たに3市誕生するなど、市町村の行財政基盤の整備に向けた取り組みが進み、県行政としては、これらに対応すべく、地域地域での産業基盤の確立のために、広域地方振興局の設置に向けた取り組みや、県北・沿岸振興本部の立ち上げ等を行い、さらには行財政構造改革を推進しているところであります。
 このように人口減少社会に向けた未来の岩手県の基盤づくりへの改革が進む中で、県民意識調査を見ますと、地域経済の活性化、能力を生かし働ける環境、障害者の自立支援、子供を産み育てられる環境、犯罪・不安が少ない地域社会など、産業振興、安心して暮らせる地域社会への対応に対して県民ニーズ度が高まっております。私は、人口が減少に向かう今日、行政構造改革を進めながらも、県土が個性ある地域社会を形成するため、地域地域で特色ある産業を育成するとともに、生活の質の向上を目指して、雇用の安定や福祉・医療の充実を進め、暮らしていける安全・安心な社会を形成していくことこそが、県政の喫緊の課題であると認識をしております。
 以下、順次、このような観点から行財政改革に関しての財政問題や産業振興などについて質問いたしますので、当局の御答弁をお願いいたします。
 まず、財政問題についてお伺いをいたします。
 構造改革を進めていく上で、県は、県勢の規模を示す一つの数値目標として、予算規模を7、000億円、4、000人規模の職員を挙げておりますが、県の財政規模が7、000億円を超えた平成3年度の財政状況を性質別に見ると、人件費比率は28.7%、普通建設事業費は30.3%、補助費と公債費はともに7.9%となっており、経常収支比率は66.3%となっております。これに比較して、平成17年度決算は、経常収支比率は26.7ポイント上昇し、財政構造も、人件費比率は28.6%、普通建設事業費は22.2%、補助費等は15.7%、公債費は16.3%となっております。公債費、補助費の上昇のために財政の硬直化を招き、基金の活用などにより、ようやく予算を組めるという大変厳しい財政運営を余儀なくされております。かねて県は、公債費の将来的な増高は、新幹線整備などの大型事業の推進や、国の財政不足のために行われた財源対策債や、経済対策として発行された補正予算債等の償還費が増加することが要因であり、その償還費はおおむね5割弱が地方交付税で措置される予定となっており、財政への影響は大きくないと説明されてきました。
 そこでお伺いをいたしますが、これら財源対策債の償還費用は今後どのように推移し、その償還に充てる財源はどういう見通しなのか、まずお伺いをいたします。
 財政規模として7、000億円を目指すとしても、平成3年度との財政構造は格段に異なり、その弾力性を一刻も早く対策をしなければ、縮小再生産的な財政運営を余儀なくされるものと考えられます。この財政構造をどのように改善し、財政の弾力性を回復させていかれるのか、お伺いをいたします。
 また、県債管理基金の取り崩しは、積み立ててきた経緯にかんがみ、財源対策債の償還等にあわせて取り崩していくべきものと考えますが、県債管理基金などの県の基金の活用について、基本的な考え方をお伺いいたします。
〇川窪総務部長 まず、一つ目の財源対策債等の償還についてでございますけれども、本県の県債残高は、現時点での1兆4、000億円のうち、御指摘にあったような地方債、財源対策債ですとか補正予算債、それから新幹線建設関係の地方債、また、経済対策として臨時経済対策債等の起債があったわけでございますが、こういったものを選んでみまして、合計してみますと、残高1兆4、000億円のうち5、400億円程度、全体の残高の約4割ぐらいと、今、把握しているところでございます。
 これらにつきましては、まだ償還の途上であるものが多いわけでございますけれども、一方、今年度も含めまして、財源対策債等につきましては、引き続き地方債における財源確保の一環として使っているという状況もございますので、当面、この残高の4割程度という水準は大きな変動なく推移するのではないかと思っておりまして、結果におきまして、償還いわゆる公債費、支出の方の負担におきましても、償還額の4割程度がこういった財源対策債等で占められるという状況が当面続くのではないかと考えております。その財源といたしましては、もともと予定されておりました普通交付税措置につきましては、引き続き普通交付税の需要額に算入されるものと考えておりますけれども、県全体で公債費全体を賄っていけるような財政運営は必要でございますので、県の自主財源を合わせまして償還に当たっていく必要があると考えております。
 それから、硬直化の要因ということでございますが、この点につきましては、御指摘のとおり、補助費と公債費が大きくふえているところがございますが、中でも公債費につきましては、中長期的に公債残高、各年度の公債費の負担を順次縮小していくような財政運営を心がけていかないと、なかなか弾力性を回復するのは難しいだろうと考えておりますが、一定の時間はかかるものと思いますけれども、そうした方向で県債残高をふやさないで、何とか運営していくことを中心に考えていきたいと思っております。
 また、年々の財政運営につきましては、その時々の経済情勢や税収の動向等を見きわめながら慎重な運営をしていく必要があると思っておりますし、さらに、地方の財政基盤の強化を図るという観点から、国レベルでの制度改正につきましても働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
 最後に、県債管理基金等の基金の活用の考え方でございますが、基金にはそれぞれ設置目的がございますので、目的に沿って活用していくということでございますが、一方、やむを得ない支出に対しまして、支出が必要という場合には、財源措置全体の工夫の中で基金を一部取り崩すというようなことも必要な場面が出でくるかもしれないというところがございます。
 御指摘のありました県債管理基金につきましては、平成元年度から4年度ごろ、過去におきまして、その前に発行しておりました財源対策債等につきまして、まとめて交付税措置をするので、各都道府県においてそれを積み立てておいて、償還時点で崩しながら財政運営するようにという形での交付税措置があったことがございますけれども、その対象となった平成元年度以前の起債につきましては、ほとんど償還が終わっておりますので、現時点での県債管理基金は、平たく申しまして、いわゆる貯金に当たるものが県債管理基金として存在しているわけでございますので、これから先の財政運営のそれぞれのときの事情とか歳出の必要性を見ながら、基金の設置目的に沿った活用を考えていきたいと考えているところでございます。
〇田村誠委員 これからも引き続き財政状況は厳しいということが予想されるわけでございます。しかし、県民の皆さんは、増田県政に寄せる期待というものは大変大きいわけでございますので、ぜひ、こうした財政状況を、一岩手県のみならず、他県におかれましても、あるいは国においてもそういう状況なわけですから、ぜひ、金の問題だけではなくて、やっぱり取り組む姿勢、行動あるいは文言、そうしたものの県民に与える影響というのは大変大きいものがあると思います。ぜひ、意欲的な県政運営を御期待申し上げる次第であります。
 次に、県北・沿岸振興についてお伺いをいたします。
 このたび、地域資源の多様な活用と産業連携による高付加価値型の産業集積を図ることを目的にした県北・沿岸の産業振興策を構築し、食産業の構築と展開、ものづくり産業の集積と展開、地域ぐるみ観光の仕組みづくりと展開を柱として、その工程表を明らかにいたしました。県北・沿岸の振興は、岩手県政の最重点課題として、過去数次にわたりさまざまな計画が策定され、沿岸固有の計画としても、三陸沿岸マリノゾーンを初めすばらしい計画が樹立されてまいりました。しかしながら、現状は、今般計画を策定するに当たりさまざまな検証が行われ、大変厳しい結果となっております。私は、計画を樹立することはもとより、やはり着実に成果を上げていくことが必要であり、例えば人口の30%の減少をこの政策で抑えながら産業振興により労働生産性を高め、地域の活性化を図るというようなできる限りの数値目標を掲げ、それに向けて資源を集中していくことが必要と考えております。県は、今後、施策を展開する上で、この数値目標についてどのように設定し、県北・沿岸の未来の姿をどのように描いておられるのか、お伺いをいたします。
〇竹内副知事 県北・沿岸圏域の振興についてでございますが、この地域におきましては、ここ数年、年間2、500人から3、000人程度の社会減が続いておりまして、地域の安定的な発展のためには、まずもってこれに歯どめをかけるということが重要であると認識いたしております。このため、早急に産業振興対策に取り組み、雇用の場を創出していくことが必要で、官民一体となって、地域の特性を生かした多様な取り組みを大胆に展開していくことが求められております。
 今後、施策を展開するに当たりましては、知事と市町村長、産業界の方々が意見交換を重ねて策定いたしました取り組み工程表というものがございますが、これにできる限り数値目標を掲げまして、そのための具体的な取り組み方策を盛り込んでおりますので、地域の方々と連携して、着実に成果を上げてまいりたいと考えております。
 例えば気仙地域におきましては、花卉等の園芸産地づくりなどを進めることとしておりますが、特に主要な生産地である大船渡市の花卉園芸におきましては、平成17年度に約8、000万円の出荷額であったものを、3年後の平成20年度には1億円を超える出荷額にすることを目標として掲げております。それから、釜石地域におきましては、地域の中核企業の事業展開を軸といたしまして関連企業の集積を図るなどによりまして、平成16年に製造品出荷額が1、078億円であったものを、平成22年には1、240億円とする、そういった目標を掲げております。沿岸漁業1経営体当たりの生産額を、これは平成15年の実績では378万円になっておりますが、これを将来的には660万円とすることを目標としておりまして、今回の取り組み工程表におきましては、この目標を達成するため、各漁協が地域営漁計画を策定いたしまして、さまざまな対策を講ずることとしております。
 県といたしましては、地域と協働しながら、恵まれた自然環境や、安全・安心で高品質な農林水産物など、県北・沿岸地域ならではのすぐれた地域資源を活用した産業の振興を集中的に支援していく考えでありまして、このことによって、住民が自信と誇りを持って定住できる、持続可能な地域社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
〇田村誠委員 今般、議会でも、内陸の議員方の御理解もいただいて、県北・沿岸振興議員連盟を設立いたしまして、いろいろ要望書を取りまとめたり、新たな県北・沿岸振興に対する意見を取りまとめている最中でございますが、高齢化が進み、あるいは情報の格差、所得の格差等々が広がっている中で、御期待を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に進まさせていただきます。
 次に、障害者の自立支援についてお伺いをいたします。障害者自立支援法が施行されてから6カ月が過ぎ、いよいよ10月から本格施行されております。しかしながら、この障害者自立支援法の施行に当たっては、全国的に、応益負担制度への切りかえに伴う負担増を理由に、施設や事業の利用を控える傾向が明らかとなってきており、また、支援法に定められた事業所の報酬は40%以上も減額となる事例も紹介され、施設や事業、スタッフの賃金削減や非常勤化を含めたリストラが進んでいること、さらには施設報酬の算定が日払い方式に変更されたことにより、通所施設の経営が急激に悪化しているなど、さまざまな課題が浮き彫りになってきていると言われております。
 そこでお伺いをいたしますが、本県における障害者自立支援法の施行に当たって、このような現状はないものか。もし、そのような全国的傾向が本県にもあるならば、円滑な施行のために十分な低所得者対策を行うとともに、施設の経営が圧迫されないよう、県単独の措置を講じていく必要があると考えますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。加えて、障害者の雇用対策の取り組み状況についてもお示しをいただきたいと思います。
 なお、療養病床の削減については、さっきの答弁で理解をいたしましたので、割愛をさせていただきたいと思います。
〇増田知事 障害者の自立支援の関係であります。私どもの方で調査をいたしましたところ、この自立支援法施行に伴う影響につきまして、8月末までに障害福祉サービスの利用を中止された方は、入所施設利用者で12名、通所施設利用者で19名、グループホーム利用者で2名となっております。それから、通所施設の中で利用日数を短縮したという人もいまして、この人は10名ということでございます。
 利用者負担の関係ということで、今、委員の方から、そういったものについての軽減措置といったようなお話があったわけでございますが、この利用者負担についてのいわゆる低所得の皆さん方に対しての対策は、今、国の制度でさまざま軽減策が講じられております。定率負担については、所得に応じて4段階に月額の負担上限額が設定されておりまして、さらに個別の事情によって減免がなされたり、それから、入所施設の食費、光熱水費について補足給付があります。食費負担を軽減するといったようなさまざまな策がございますので、こういった各種の軽減策が確実に実施されるよう、市町村の方を指導していきたいと考えております。
 また、施設の円滑な事業運営ということも大事でございますので、利用日数の低い施設でも、大幅な収入減とならないよう、従前収入をある一定程度保障する激変緩和加算というものの措置もございますので、そうしたことなどによって施設の円滑な事業運営に向けて指導していきたいと考えております。
 それから、雇用対策の取り組みということで御質問もございましたけれども、この障害者の雇用対策でありますが、国の方でハローワーク等を中心にして実施されているものがございますが、県の方では、チャレンジド就業支援事業として、障害者を対象にした職業訓練を実施しておりますほか、障害者就業・生活支援センターの支援機能を強化するということで、92名の障害者の皆さん方が平成17年度には就職しているといったことがございます。それから、雇用優良事業所、優秀勤労障害者の表彰といった表彰制度を活用して、障害者雇用の啓発に努めておりまして、障害者就職件数というのは過去最高の就職件数で、これは17年度でございますが、467件ということになっているところでございます。今後、さらに、県内各地でそうした啓発活動なり、それから支援事業ということを展開いたしまして、障害者雇用に関する理解の促進に努めていきたいと考えております。法律の施行に伴いまして、福祉施設から一般就労を目指すということでございまして、その支援事業というものが創設されたわけでありますので、今後は、県として、すべての市町村にそうした事業を実施する事業所を確保して、福祉的な就労から一般就労への移行を促進していきたいと考えております。
〇田村誠委員 先ほど、知事の方から、その数字的なものを出していただきました。これは、実際、入所者の方々は無理をしながら、まだ負担をして入っている方というのも非常に多いようであります。したがって、今後、年数を重ねるごとに大変な負担増になってくるわけですから、県としても、もっとこのことについてはシビアに、施設あるいは障害者の方々と対話を通じながら、無理のない、そして安心して入所できるような制度というものをぜひ相談に乗っていただきたいし、そういう窓口をぜひ大きく広げていただいて、安心させられるような、そういう施策というものを考えていただきたいと思います。
 次に参りますが、時間の関係で一つ飛ばさせていただきまして、雇用問題についてお伺いをさせていただきます。
 総務省の労働力調査によれば、非農林業における正規雇用は、95年2月の3、762万人から、04年の3、393万人に369万人減ったのに対し、非正規雇用者は同じ期間に988万人から1、547万人と559万人ふえ、非正規雇用者は、配偶者がいる女性ばかりでなく若年層でも急増し、在学生を除く24歳以下の非正規比率は、この間、男性で10%から27%に、女性で16%から39%に上昇いたしております。非正規雇用増加の背景には、人件費を削減し、固定費化を避けたいとする企業心理が働き、さらには産業構造や技術構造の変化により、高度で専門的な技術を要する仕事と要さない仕事の技能格差の拡大があります。これにより、非正社員の賃金は低く抑えられ、人員の削減された正社員では長時間労働者がふえてきております。再チャレンジの推進といえども、現実の人生はいつでもリセットし、対等な立場で次の仕事を始められるわけではなく、それゆえに不利な立場の人を支援し、機会均等を図る必要があります。非正規労働者の場合、今日の頑張りがあすの仕事につながらず、挑戦したいと思うチャンスが与えられないといった問題が起きております。非正規労働者が増加し、就労形態の多様化、二極化が進んでいる中で、良質な雇用が確保されるよう、いかなる施策を進めようとしておられるのか、お伺いをいたします。
 また、サービス関連産業における雇用創出が順調で、若年者の就職率も改善傾向にありますが、離職率もまた高位にあり、若年者の早期離職防止対策をさらに進めていく必要があります。例えばキャリアアドバイザーの活用など、学校教育における対応の強化についての本県の取り組みの方向はどうなっているものか。また、企業においても、若者の人材育成という視点から、従来にも増して取り組みを強化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 正規雇用、非正規雇用のお話がございましたけれども、労働者側から見ますと、確かに立場が非正規雇用の場合には弱いわけでありますし、賃金や待遇が公平でない、将来の選択肢も狭まるといった問題を抱えております。それから、雇用する側から見ても、中長期的には競争力の低下が懸念されるということで、やはりこの問題の解決を図ることが差し迫った課題である、このように思うわけであります。
 国の方でこの問題を取り上げて、いい労働環境を整備していくという姿勢を出してきておりますが、県としても、やはりこの問題に努力をしていく必要があるわけでございまして、これまでジョブカフェや県立職業能力開発施設等でセミナーを開催するなど、こうした離転職者の能力を高めたり、再就職を支援する活動を行ってきておりますし、一方、企業経営者に対しても、啓発資料を作成・配付したり、それから、直接商工関係団体や各事業所に私どもの方から要請を行って、正規雇用というものの拡大を呼びかけてきたところでございます。これは、今後もさらに強力に進めていかなければならないと思っておりまして、特に個別の事業所等にも、私どももいろいろな関係で足を運んだ際に、さらに正規雇用をぜひ拡大するようにということで要請を行っていきたいと思いますし、シンポジウムの開催なども行っていきたい。この雇用関係というのは、国と地方の役割分担の中では、地方自治体の方でやるべき範囲というのは一定程度制約を受けていますので、どうしてもこうした課題を解決するために必要な制度改正を国に対して十分働きかけをしていきたいと思います。
 それから、お尋ねの後半の関係でございますが、若年者の早期離職防止の関係でございます。これについては、さまざまな段階での取り組みが必要かと思っておりますけれども、学校の中で勤労観や職業観を育成するキャリア教育ということの必要性があると思います。しかも、それは小学校段階から計画的に推進をしなければならないと考えておりますので、小中高キャリア教育地域ぐるみ推進事業というものを教育委員会の方でつくりまして、それによってキャリア教育を進めていきたい。多くの学校が、地域でいろいろ職業人がおりますので、そういった皆さん方をキャリアアドバイザーとして採用して活用していくということでございます。そのほか、高校生のキャリアアップ支援事業というのを、これは高校生段階で地域の企業経営者を講師とした講座を開催して、その中でいろいろなお話をしていただく中で、就職希望の生徒の資質とか意欲の向上を今図っているところであります。
 また、企業に対して働きかけをする必要がございますので、一たん就職した就職先企業の方を、今年度の年度当初から重点的に訪問をする。これは、就職支援相談員に直接訪問させている場合もありますし、エリアジョブコーディネーターという、振興局などで置いておりますコーディネーターがいますので、そういった者に高校新卒者の就職先企業の方を訪問させて、向こうの方とよく意見交換をさせる。そして、また、ジョブカフェとも連携して、そういう高校新卒者、いわゆる新入社員向けのフォローアップセミナーを開催しているところもございます。そうした事業によって職場定着への取り組みを進めてきたところでございます。今後、こうした事業をさらに進めて、今お話にございましたとおり、高卒ですと、3年以内の離職率が大体平均で50%とも言われておりますけれども、そういった率が少しでも低下するように取り組みを進めていきたいと考えております。
〇田村誠委員 次に、漁業の振興についてお伺いをいたします。
 県北・沿岸振興対策の検証において、水産業は、漁業者の規模拡大のおくれと漁場の生産性の低下、漁協・漁業者の販売力が弱く、加工業者の高付加価値化へのおくれなどが課題として挙げられて、漁場利用の新たなルールを含む地域営漁計画を策定するとともに、魚市場と消費市場とのマッチング支援等を進め、意欲ある担い手を中心とした漁業の生産力の向上及び高次加工による付加価値向上及び食産業への展開を目指すとされております。
 そこでお伺いをいたしますが、県は、漁場利用についてどのように指導していくお考えなのか。また、ナマコの増養殖技術の開発についてどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いいたします。
 また、近年、ホヤや早どりワカメ、メカブ等の需要増が見られますが、これらへの対応を含め、漁家の生産性向上対策の取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。
〇竹内副知事 漁場の利用に関するお尋ねでございますけれども、本県の養殖漁場は、就業者の減少と高齢化によりまして空き漁場が出現し、生産が減少しております。このため、県といたしましては、漁協の地域営漁計画の策定と実行を積極的に支援いたしまして、平成20年度の漁業権免許更新時には、意欲ある担い手への漁場集積や協業体の育成等を促進いたしまして、適切な漁場利用を実現していきたいと考えております。
 それから、ナマコの増養殖技術の開発についてでありますが、現在、先進的な増養殖技術を有している中国の大連水産学院の協力のもとに、北里大学を中心とする産学官連携研究プロジェクトを進めておりまして、この中で、完全養殖技術や種苗の量産化技術の開発に取り組んでいるところでございます。今後は、こうした取り組みに加え、増養殖事業の経済性や漁具・漁法の検討などを行い、ナマコを本県漁業の有望な増養殖品種として育成してまいる考えでございます。
 また、漁家の生産性向上の取り組みについてでございますが、広田湾漁協においては、現在、メカブの増産や集荷体制の構築に取り組んでおりまして、大船渡市や大槌町を初めとしてワカメやホヤの相対取引、あるいはむき身のカキの契約栽培などを促進しておりまして、漁協と水産加工業者との連携強化を図っているところでございます。今後、こうした取り組みに加えまして、地域営漁計画の実行による意欲ある担い手への漁場集積、ワカメ養殖の機械化による作業の効率化などを推進いたしまして、漁家の生産性の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇田村誠委員 それでは、最後になりますが、港湾整備についてお伺いいたします。
 港湾整備のために、県の港湾ビジョン、あるいはそれぞれの各港のアクションプランが作成されまして、平成16年度から平成18年度までの3カ年とされてまいりました。今後、公共事業が減少し、より選択と集中が求められている中で、港湾取引貨物量は年間約296万トンで、岩手県内の4港中で最も取扱量が多く、また、大型客船の飛鳥の寄港や、官民が一体となってクレーンの設置に取り組む等、大船渡港の発展の可能性は大きいことから、さらに積極的にアクションプランを進め、早期実現を図っていくべきものと考えますが、大船渡港湾の今後の整備方向と、永浜・山口地区へ造成中の工業団地への企業誘致等の計画をあわせてお伺いいたします。
〇増田知事 大船渡港湾の今後の整備方向についてでありますが、まず、その前提となるアクションプランというものがございまして、これは、内陸部における集荷体制の確立、CIQ機能の強化、海と陸との物流ネットワークの構築、物流情報の共有化、本県港湾への寄港提案、この5本柱となっておりまして、これを受けて具体的な各港の政策を進めているということでございます。成果として、大船渡港で外貿コンテナ定期航路が開設される予定でございまして、この関係では、今、岸壁使用料の減免や保安対策施設等の整備も大船渡港で進めております。
 それから、港湾と内陸間の安全かつ確実な物流実現ということで、道路環境の改善に取り組んだり、集荷体制を内陸部で確立する必要があるので、岩手県倉庫協会などを通じて具体的な事務的協議を行っているということでございまして、そういった取り組みによってアクションプランの実現を図ることとしてございます。
 具体的に大船渡港の今後の整備方向について、今取り組んでいます永浜・山口地区、委員から今御質問があったこの地区の岸壁整備について申し上げますと、今年度末の事業費ベースでの進捗見込みは、国が整備している水深13メートル岸壁の方が77%、県が整備している水深7.5メートル岸壁・埠頭用地造成が進捗で74%という数字になります。そして、国の直轄でやっております13メートル岸壁の方でございますが、こちらについては、平成19年度に一部供用を開始する予定と聞いているところでございます。今後、先ほど申し上げましたポートセールスの取り組みを進めて、こうした港湾施設の一層の利活用に努めていきたいと考えております。また、今、数字を申し上げましたとおり、まだ残事業がございますので、現在整備中の施設については着実に整備を推進していきたい、このように考えております。
 それから、企業誘致の関係についてお答え申し上げます。永浜・山口地区の企業誘致の関係でございますが、ここは今現在、造成工事中でございまして、具体的な企業誘致等の計画は現段階ではないところでございますが、地元市、それから港湾利用促進協議会という民間もいろいろ入った協議会がございますので、そこと連携しながら、今後さらに情報収集を行いたい。ポートセールスの際にも、多くの企業の皆さん方に、大船渡港湾のこうした工業団地の現在の造成の計画などについてもお知らせをしておりますので、そうした中でさらにPRに努めまして、企業誘致に努めていきたい、そのように考えております。
〇田村誠委員 ありがとうございました。
〇吉田昭彦委員長 次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 貧困と格差拡大の根本にあるワーキングプアの問題、派遣・請負・期間工の実態と改善の課題について質問します。
 一つ、県内における派遣事業者、従業員の実態はどうなっているでしょうか。この間の推移を含めて示していただきたい。派遣料金、賃金はどうなっているか。
 二つ、関東自動車など県内誘致企業の正規・非正規労働者の実態と、正規労働者を拡大する取り組みはどうなっているでしょうか。誘致企業の非正規労働者の形態、労働条件を含めて示していただきたい。
 三つ、雇用対策を県政の最重要課題として取り組み、総合雇用対策局もジョブカフェの取り組みも拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 順次お答え申し上げます。
 まず、県内での派遣事業者、従業員のさまざまな実態ということでありますが、これは岩手労働局の労働者派遣事業許可・届出状況によりますと、県内の派遣事業所数が16年度末で130事業所、17年度末で177事業所、本年の18年度は、10月1日現在の数字ですが、207事業所という形になっております。それから、労働者派遣事業報告書の集計結果というものが、これは厚生労働大臣に提出された資料がございまして、それによりますと、本県では派遣労働者数は平成14年度が6、387人でありましたのが、16年度は7、108人という形になっております。それから、派遣労働者の1人1日当たりの派遣料金というものがございまして、1日といいますのは8時間でございますけれども、その料金は、16年度におきまして、一般労働者派遣事業で平均1万235円、特定労働者派遣事業で平均で1万3、678円という形になっております。今のは派遣料金です。それから、派遣労働者の賃金の方でございますが、これは平成16年度でございますが、同じく一般労働者派遣事業で平均7、669円、特定労働者派遣事業で平均9、907円というのが実態でございます。
 それから、お尋ねの二つ目の正規・非正規労働者の実態でございますが、関東自動車工業の岩手工場ですけれども、ここでは社員数がことしの9月末現在で約2、850人おりますけれども、その2、850名のうち正社員が約1、400名弱と、このように会社側から聞いております。
 それから、正規労働者を拡大するという取り組みについて、これは県の方で企業の方に拡大について申し入れをしておりますし、私も、関東自動車の上層部に、正規労働者の拡大ということについて直接要請をしております。その後、向こうの方から連絡がございまして、今年度は40名以上を正社員へ登用するという返事をもらっているところでございます。
 それから、非正規労働者の労働条件ということでございますが、これは、関東自動車岩手工場を例にとって申し上げますと、あの工場は、正社員と期間社員という呼び方をしているようですが、正社員と期間社員などで構成されておりまして、このうち、正社員の方は問題ないわけですが、期間社員については雇用期間を12カ月としております。最長3年間を基本に再雇用を行って、その中から正社員への登用制度があると聞いているところでございます。いずれにしても、これは関東自動車を例にとってのお話でございますけれども、企業の正社員への登用や雇用条件の改善ということについては、私どもも、今後とも機会あるごとに企業の方に要請をしていきたいと思っています。
 それから、総合雇用対策局とジョブカフェの関係についてのお尋ねでございますが、内陸部と県北・沿岸地域で雇用環境に差があるということで、雇用対策は依然として重要であると認識をしております。そこで、総合雇用対策局自体については、これは緊急の課題に対応するということで、時限で設置してきているところでございますけれども、今の県内の雇用情勢とか、あるいは若年者の就業状況を見ながら、組織体制を含め、雇用対策のあり方をどうしていくかということの中で検討していきたいと思います。
 それから、ジョブカフェの関係でございますが、これも経済産業省のモデル事業を導入して設置し、順次、サテライトを県内各地域に設置してきたということがございます。このモデル事業自体は3年間ということで、今年度でこのモデル事業が終了ということですが、これまで若年者の就業支援に関する種々のノウハウが蓄積されてきたということもございます。そこで、このジョブカフェについては、やはり地域の産業人材を育成していくという観点から、地域と密着した形で、そうした蓄積されたノウハウが生かされるように、ジョブカフェいわて、これは盛岡の菜園のところにあるものですが、あと、県内6カ所にあるジョブカフェサテライトについて、今後どういう形でそのノウハウを生かしていくのか、そのあり方を今検討しているところでございます。
〇斉藤信委員 関東自動車の非正規の実態が明らかになりました。そして、本当にささやかですけれども、正社員の登用の道を開いたというのは、私は評価したいと思うんです。ぜひ、これを県内の大手誘致企業に広げていただきたい。実態を明らかにすることと、そして、非正規の労働者の正規雇用への拡大をぜひ明らかに示していただきたいんですが、いかがですか。
〇増田知事 非正規社員を正規社員の方にしていく、そういった正規社員としての雇用形態を拡大していくということについて、今後とも努力していきたい。企業の方にも、そういったことについては、私どもとしては働きかけをしていきたいと思っています。
〇斉藤信委員 次に、弱い者いじめの典型である障害者自立支援法の本格実施の実態についてお聞きします。
 障害児、障害者の利用者負担増をどう把握されているでしょうか。負担増による入所、通所をやめた障害児(者)の実態、県としての軽減策を実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 全国的な県・市町村の軽減策はどう実施されているか、把握しているでしょうか。
 小規模作業所の実態と地域活動支援事業への移行、県助成と対応策についてお聞きをします。
〇増田知事 障害者施策についてでありますが、利用者負担の関係でございます。これはケースがさまざまあるわけでありますけれども、応能負担が1割の応益負担に切り変わったということに伴いまして、一例を申し上げますと、知的障害者の更生施設入所者で、障害基礎年金1級受給の方の場合には、これは年間99万円ですが、国の制度としての個別減免や補足給付を適用すれば、これまで4万9、800円という負担が5万5、000円となるということでございます。また、在宅で月125時間、ホームヘルプサービスを利用している障害者、これは年金1級受給の場合でございますが、この場合は、ゼロ円だったものが1万2、300円と切り変わっていくということでございます。そして、県の調査で利用状況を調査いたしましたところ、これは8月末時点の数字でございまして、先ほど、田村委員の御質問にも申し上げましたが、改めて申し上げますと、障害福祉サービスの利用を中止された方は、入所施設利用者12名、通所施設利用者が19名、グループホーム利用者2名という調査結果になっております。県では、こうした障害者の皆様方に、国の講じております制度的な軽減策が種々ございますので、そうした軽減策が確実に実施されるように、市町村に助言をしているところでございます。
 それから、全国的な軽減策についてお尋ねがございましたが、東京都や滋賀県など七つの都府県でホームヘルプサービスや通所施設の利用負担についての軽減が行われている、このように聞いているところでございます。
 それから、お尋ねの3点目の小規模作業所の実態でございますが、これは9月に県の方で実態について調査をした数値でございますが、県内に58カ所のこうした小規模作業所がございますが、このうち10月から地域活動支援センターなどのいわゆる法律に基づく新事業体系に移行する作業所が5カ所、19年度当初に移行予定の作業所が42カ所、残りの11カ所は、今現在のところは未定という形になっております。
 私どもの方では、こうした作業所が、法律に基づく新事業体系に円滑に移行できるよう、施設整備の補助や事業所改修費用の補助を行ってきております。施設整備の方は国庫補助がございますし、事業所改修費用の補助は県単補助ということで行ってきておりますが、そのほか、事業所の法人格取得などを支援するアドバイザーを派遣する事業、これも県単でございますが、こうしたことも今行っているところでございます。
 現在の作業所に対して助成している制度がございますが、これは法律が10月に施行された後も、年度内は継続ということでございまして、また、作業所の主な移行先と考えられる地域活動支援センターについての職員の加配ですとか、専門職員の配置が必要な、いわゆる機能強化事業というものがございますが、これについては県として助成をしていきたい、このように考えております。
〇斉藤信委員 入所・通所施設で退所された方は、その後、どこに行っているんでしょうか。
〇増田知事 今、私のところにはちょっと資料の持ち合わせをしておりませんので、それについては、後ほど資料を担当課に指示をして調べたいと思います。
〇斉藤信委員 31人中25人が自宅に帰っているんですよ、障害者が。本当にこれは大変なことですよ。答えられないのは残念だった。
 それで、利用者負担なんですけれども、二十未満の学齢期の子供は、低所得者の場合、1、100円から1万2、600円、11.4倍です。知事の公約で、7つの重点施策にバリアのないユニバーサル社会先進県とあるが、私は経済的バリアだと思いますが、岩手としても経済的軽減策をとるべきじゃないでしょうか。
〇増田知事 障害者の皆様方の利用者負担についてですけれども、これについては、今、新しい法律が施行されて、国の制度的な軽減策がございますので、ぜひ、そういうものの周知を徹底して、確実に実施されるようにしていきたい。
 また、今、委員の方はご存じのようでございましたけれども、そういった障害者の利用を中止された方などがどういった実態にあるのかということを私どももよく調査して、それでまた生じてきた問題については考えていきたい。例えば医療費の自己負担分などにつきましては、従来は個人負担がなかった知的障害者の施設と入所者の医療費について、確かに医療負担が今回生ずるんですが、そういった分については、県の方で、重度心身障害児(者)の医療費助成制度、これは、御案内のとおり、従来から県で持っていた制度ですが、この対象とすることにして、それでこちらの方で負担軽減措置を図るとか、県としてできるいろいろな工夫もしているところでございますので、またよく実態も調査した上で考えていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 では、競馬組合問題について。
 競馬組合の経常的収支はいつから赤字になったんでしょうか。その総額は幾らでしょうか。実態は競馬事業の破綻を示しているのではないでしょうか。改善できなかった責任はどこにあるのでしょうか。
〇増田知事 競馬組合の経常的な収支でございますが、これについては平成11年度から損失が生じてございます。そして11年度から17年度までの経常的損失でございますが、これは年度によって、経常収支ですから、いろいろな状況が、諸要因は違っておりますが、その数字を単純に足し合わせますと、累積額としては135億4、000万円程度となっているところでございます。
 それから、こうした運営状況あるいは経営状況を招いた要因でございますが、これについては、盛岡競馬場施設整備の巨額な投資負担が生ずるといったような状況もございますし、長期的な発売額の減少といったこともございます。それから、事業を実施していく上でのコスト削減等も不十分だといったような要因がございまして、そうしたものが積み重なって生じてきている、このように考えております。
〇斉藤信委員 7年間にわたって、地方財政に貢献すべき競馬組合が、逆に年間20億円前後の赤字を続けてきたと。これはとんでもないことですよ。こんな企業の破綻状態というのを放置してきた責任は極めて重大ですよ。どうですか、何で7年間も放置したんですか。
〇増田知事 この間、経営改善策等の策定に取り組んでまいりましたけれども、十分な効果が出てきてないという実態にございまして、委員の方の今の御指摘については重く受けとめたいと考えております。
〇斉藤信委員 それで、2年前に改訂実行計画を立てました。この計画と実績はどうなっているでしょうか。今年度の見通しを含めて、経常的収支ではどれだけ赤字をふやすことになるか。私は、2年間の実績から見たら、破綻がさらに深刻になって、存続の条件はないと言わなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 17年の2月に策定いたしました改訂実行計画と実績の関係でありますが、経常損益で申し上げますと、17年度は計画額で13億円の経常損失ということでございましたが、実績では、これが5億円拡大して、18億円の損失ということになっております。それから、18年度は計画額では7億円の損失ということでございましたが、これは、現在の見込みでありますが、大体20億円ほどの損失見込みということでございます。したがいまして、この2年間で、一応、計画上は20億円ほどの経常損失ということで考えておりましたけれども、38億円ほどの経常損失見込みで、これは先ほど佐々木委員からも御指摘をいただいたわけでございますが、そういった経常損失見込みとなっているところでございます。
 そういったこともございまして、今回の新計画案では、収支が均衡して、赤字がこれ以上拡大しないということを条件とする存廃基準を設定して、それで収支均衡を実現していこうということでございまして、今、関係する各所とさまざまな協議、交渉をしているところでございますが、こうした存廃基準を設定して赤字の拡大を防ぎたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 7年間赤字を続けて、2年前に改訂実行計画をつくっても38億円赤字をつくった。パルソビルの7億円が足される。2年間改善されたら、来年存続の条件が出てくるけれども、改善されるどころか、悪化したと。だとしたら、存続の条件はないんだと私は思うんですよ。だから、冷静に見なきゃだめだと思うんです。
 それで、借入金、赤字の総額と資産総額はどうなっているか。破綻した場合の県民負担は、実際に相殺してどのぐらい予想されるか、示していただきたい。
〇増田知事 県民負担についてでありますけれども、借入金については、これは17年度末でございますが、一時借入金が約142億円、公営企業金融公庫、民間金融機関が引き受けている起債でございますが、これが約153億円ということで、合わせて借入金の総額が約295億円という数字になっております。それから、資産総額は、同じく17年度末の帳簿価格でございますが、309億円となっております。万が一、競馬事業を廃止した場合、債務や廃止に伴う費用として約372億円ということで競馬議会の方に試算をお示しをいたしました。これは、いろいろな前提条件を置いて試算をしているということで、議会の方にも御説明をしたところでありますが、実際にこうした場合にどういう負担になるのかということについては、資産の処分をどうしていくのか、資産処分状況によっても変わりますし、それから、廃止に伴います費用の発生状況、これは過去において廃止をした競馬場の中の話を聞いてみますと、そういった廃止に伴います費用の発生についてはさまざまあるようでございますので、それによって増減をするということでございますので、正確な数字といいましょうか、今、表に出しております試算でございますが、それ以上のものを現時点でお示しするのは私どもは困難である、このように考えております。
〇斉藤信委員 そうすると、372億円の負担が構成団体にかかるから、継続しなきゃだめなんだ、融資しなきゃだめなんだと。これは全く虚構の論理ですよ、資産もあるんだから。私は、こんなことでなくて、だめならだめで、やっぱり破綻救済スキームを考えるべきだと。
 それで、新しい競馬組合改革計画についてお聞きします。
 賞典費を8億円も引き下げて、17億7、000万円のリストラ・削減を行って、来年度の売り上げを284億円とした具体的根拠はありますか。馬資源の確保の見通しはありますか。
〇増田知事 新しい計画の中で、発売額についでありますけれども、これは、ことしの8月末までの発売動向を踏まえて、それを年間の発売額と置きかえて見通したというものでございます。計画を公表いたしましたのが9月の半ばでございましたので、計画策定時点の一番新しい数字を使うということで、8月末までの、現在の、今毎日日々やっておりますあの馬資源を前提に積み上がってきた数字を年間の発売額ということで見通した、こういう数字でございます。
 それで、今回は賞典費を削減する、こういう提案をしているわけでございますので、当然、馬資源の確保にそのことによって影響が生じるであろう、この可能性は私ども持っているわけでございますが、一方で、やはり事業を継続していくためには、そういった事業を実施するについてのコストの圧縮ということは図っていかなければならないわけでありまして、そもそもは優勝劣敗ということで、その下がった分は縮小する、それからふえた分は、そういったものにもっと充てるというのがレースの本質かと考えております。したがって、賞典費の削減ということが、先ほど申し上げましたように馬資源の確保に影響が生じるのではないかという可能性を認識しているわけですが、今ここまで、瀬戸際に来ている岩手競馬でございますので、馬主のみならず、関係する皆さん方の御理解をいただいて、そこを何とか賞典費の削減の影響を克服して魅力あるレースを展開する、そして、また売り上げがふえてくれば当然その分は賞典費にと、全体の中でパーセンテージを決めていますので、それでもっといい馬資源を確保する、そういうようなレースの本質に立っていきたい、こう考えております。
〇斉藤信委員 残念ながら、全く具体的根拠は示すことはできなかった。大体、今年度280億円の売り上げ、さらに下がると思いますよ。284億円なんか夢の夢ですよ。馬の確保も見通しないですよ。
 それで、330億円融資、この財源はどこにあるのですか。返済計画はないのですか。破綻の救済では赤字をふやすだけにしかなりませんが、どうですか。
〇増田知事 この融資の財源でありますが、これについては今、主要3基金を初めとする既存の基金の活用を図って、それで対応していきたい。技術論としては一般財源をそれに充てるということになりますが、結局は、主要3基金による活用ということになるわけでございます。これはきょうも、先ほどの委員の御質問にもあったとおりでございます。こうした基金を使うということで融資をしたいということを考えているわけでございますが、この融資の返済については、当然のことながら、まず利息については、競馬組合の経常収支の中で毎年毎年返していただく。これは経常収支の中で賄うということ。それから、元本返済については、競馬事業の経常収支の黒字分から順次償還をしていく、こういうことを考えております。競馬組合と構成団体間で、今後、具体的な条件等を協議して決定をしていきたいと思っておりますが、融資の利息については毎年の経常収支の中で賄う。それから、元本返済については、経常収支の黒字分から順次償還と、こういうことで枠組みを考えているところでございます。
〇斉藤信委員 330億円というのは、競馬組合のすべての借金ですよ。すべての借金をチャラにして、それを県民の税金で対応する。そして返済計画はない。あるとき払いの催促なし。私、公営ギャンブルにこんな融資はできないと思いますよ。県民の命を守る、教育を守る、福祉を守るんだったら大義あるけれども、公営ギャンブルに、借金全部チャラにして返済計画のない融資、こんなのあるんですか、知事。
〇増田知事 融資についての御理解は、私どもも県民の皆さん方に対して十分得ていきたい。それで、きょうの当委員会の中でもその必要性について申し上げたところでございますが、そうした融資の必要性について構成団体の負担を最小限にする、あるいは、さまざま出てくる影響を回避する、そして将来、融資のお金も返していただく、こういうことで私どもは考えるのが最善の策と思っているところでございますし、また、この融資の返済計画について一体どう考えるのか、こういうお話でございましたが、元本返済については、当然、黒字分から順次償還ということでございますので、長い時間がかかると私どもも考えておりますけれども、分賦という形でこれを処理するというのではなくて、時間がかかっても競馬組合の経営体質というものを改善して、そして少しずつであっても競馬組合から返していただいて、そしてなおかつ事業を継続していく、そういうことをこの新しい計画の中でぜひ実現をしていきたい、このように考えております。
〇斉藤信委員 2、500人の雇用の実態、常勤、非常勤を含めて詳しく示していただきたい。
 雇用対策、地域経済対策と言うなら、継続して、収支均衡がだめだったら全部だめなんですね。私は1場体制への移行、縮小、ソフトランディングというのを真剣に考えるべきだと、そういう余裕の中で対策をとるべきだと思いますが、いかがですか。
〇増田知事 この2、500人の雇用の実態でございますが、主な内訳でありますが、競馬組合関係者が540名。それから振興公社の関係者が450名。それから厩舎関係者、これが290名。そして食堂関係者が134名。委託警備員が131名。大どころでございます。あと、いろいろな方がございますが、大どころではそういったものが今の数字でございます。
 それから常勤、非常勤の内訳についてでございますけれども、これは馬主とか食堂関係者、これは常勤、非常勤という概念ございませんので、全体で約2、500名と申し上げていますが、それを除くと大体1、697名、約1、700名ぐらいになります。そのうち、常勤の者が534人、それから非常勤が1、163人、こういう数字でございます。
 それから、1場体制についてのお話がございました。これは本会議の方でも農林水産部長が答弁を申し上げましたとおりでございますけれども、今のこの段階でございますと、1場体制ですと現状の2場体制よりも収益が悪化する、こう試算をされます。それからあと、どういう体制を考えるかによっても条件はさまざま異なるんですが、いずれにしても、1場体制にいたしますと、どちらに集約化するにしても設備投資が生じてまいります。今の段階では、そういった新たな多額の設備投資をするという余裕がございませんので、この点についてもいろいろ議論をしていく必要があろうと考えているところでございますので、これはまた時間もかかる話でございますが、新計画ではそうしたこともございましたので、2場体制維持ということで取りまとめをしたものでございますが、私どもの方では、中でもいろいろ議論してございますが、まずこの2場体制の中で競馬組合の経営の安定化を図ると、それが今の一番大事なことでありまして、そういった競馬組合の経営の安定化が図られますと、次のステップとしては一体どういう体制で事業をしていくのか、当然また検討の必要性がその段階で出てくるであろうと。今の段階では、赤字体質から脱却をして、まず経営の安定化を図るということに全力を注ぎたい、このように考えております。
〇斉藤信委員 19年度の事業計画はいつまでに立てるのでしょうか。私は、見通しがないと言わざるを得ない。競馬議会の議員の責任もこれは見過ごせないですが、競馬組合破綻の責任、これは12年間管理者であった知事に一番大きな責任がありますよ。知事の退職金の返還を含めて、責任ある幹部職員による赤字返済を私は検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇増田知事 19年度の事業計画の関係でございますが、まず、新しい計画について細部を詰めていろいろ御議論いただくと。それから、19年度の詳細な開催計画については、その上でまた作成をしていく必要がございますが、これについては、今年度の開催が年を明けてまだ続きますので、そういったものが最終的にどういう今年度の数字になるか等も踏まえた上で、19年度の詳細な開催計画はつくっていきたい。ただ、年間のレースの日数などは農水省の方にいろいろ届け出をするといったような関係もありますので、そういったところについては、もう、ことしじゅうからめどをつけていかなければならないので、一遍に19年度の計画ができるというよりは、順次やっていかなければならないものから作業をしていく、こういう形になろうかと思います。
 それから、最後に私の責任の話を含め、幹部職員によるさまざまな責任についてのお話がございました。私もこの競馬組合の管理者として11年半、この間携わってきておりますので、議会のみならず、県民の皆さん方からの御批判も、十分にそういった管理者の立場で受けとめなければならないと考えております。その上で、今こういった構成団体の負担を最小にするということをやらなければいけないわけでございますので、競馬組合の管理者としてそういった責任、次に向けてのしっかりとした再生計画の樹立ということに全力を挙げていきたい、このように考えております。
〇斉藤信委員 前の副管理者の退職金については、私は自主的な返納を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 あと最後に、2月に条例を提案するというんだけれども、2月では全然だめですよ。私は12月議会にこの競馬組合の存否を問う提案をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 前任の副管理者、その関係については条例で支給が定められておりますので、そうした条例の規定に従って支払いをする、こういう考え方でおります。
 それから、あと条例の提案の時期でございますが、これについては、予算に関連をする条例でございますので、私どもとしては、2月の時期にそういった関係する議案を提案するのが一番適切ではないかと判断をしております。内容については、この競馬問題について大きな問題でございますので、競馬議会に考え方を説明しつつ、今お話がございましたとおり、12月の議会の中でもその問題について御議論をいただけるような、そういった内容を御説明申し上げたいと思っておりますが、条例としての議会の提案は、2月の予算関係の議案を審議していただくときに提案をするというのが一つはルールではないか、このように考えているところでございます。
〇斉藤信委員 副管理者の退職金は幾らになるんでしょうか。
 終わります、これで。
〇増田知事 前常勤副管理者の退職金でございますけれども、条例で決められております額で、763万2、000円という額でございます。
〇吉田昭彦委員長 先ほど斉藤委員から質疑のありました項目に関連しての資料は、後日、部局別審査の際に配付できるよう、執行部はあらかじめ準備の上、対応願います。
 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党小野寺好であります。
 平成17年度末県債残高が1兆4、000億円、歳出の2割が公債費で、民生費はわずか6.6%、しかも毎年600億円を超える財源不足が見込まれるとあって、今後に大きな危機感を抱いており、県民生活に影響が出てくることを危惧しつつお尋ねいたします。
 まず、雇用対策について伺います。
 これからの社会を担っていくのは青年でありますが、若年無業者が問題になっています。学校を卒業後は、仕事について収入を得、やがて結婚して子を育てる。従来当たり前に思われていたことが、苦労回避のためか、社会構造が悪いせいか、いつまでも親の庇護を受けている例が珍しくなくなりました。県内における20代、30代の無業者数、50歳未満の未婚者数はいかがであるか。地域的偏りがあれば、あわせてお示しいただきたいと思います。
 また、家計を支える世帯主の失業もふえていると感じておりますが、昨年からことしにかけての全県の失業実態はいかがであったか。県は雇用対策を緊急の県政課題として取り組んできましたが、その成果をお伺いいたします。
〇増田知事 私の方からは、雇用対策の今の御質問のうち、失業者の実態と、それから県の雇用対策の方についてお答え申し上げたいと思います。
 本県の失業実態でございますが、総務省の労働力調査のモデル推計値というものを用いまして、直近の第2・四半期の完全失業者数を見ますと、これは歴年ですね、平成18年は約3万4、000人、17年も3万4、000人でございまして、それ以前の数字は16年が3万5、000人、15年は4万人となっておりますので、完全失業者の数はやや減少の傾向ということが言えようかと思います。
 それから、県の雇用対策でございます。これは総合雇用対策ということで実施をしているわけでございますが、17年度までに3万1、980人の雇用創出実績ということになっておりまして、それを受けて、ことしの4月には雇用創出目標を3万600人から3万6、000人ということで、5、400名ほどプラスの上方修正をしたということでございます。
 この雇用対策でございますけれども、中身を見ますと、サービス関連産業での雇用創出はかなり順調でございまして、若年者の就職率も改善傾向にあるといった状況でございます。また、最近自動車関連産業の集積による雇用の拡大ということもございまして、これは今後も見込まれる部分もあろうかと思いますので、雇用対策は全体としてはおおむね順調に進んでいる、このように理解をしてございます。
〇相澤総合政策室長 無業者の数等についてお答えを申し上げたいと思います。
 若年無業者の数につきましては、就業構造基本調査、これは5年ごとでございますので平成14年のデータでありますけれども、通学をしている方、あるいは家事をしている方を除いたいわゆる無業者は、20代で9、200人、30代で8、700人、こういうことであります。
 未婚者の数でありますけれども、17年の国政調査でありますが、県内の20歳以上50歳未満の未婚者数は18万人となっております。これは、20歳以上50歳未満の方の総数47万9、000人ございまして、37.5%という数字になっております。
 地域的な偏りについては、特に特徴的なものは見当たらないところでございます。
〇小野寺好委員 生活が苦しくなると食費を最優先にし、公共料金等は後回しになろうかと思います。具体例として、自動車税滞納、県営住宅使用料滞納、県立病院未収金、県立高校授業料未収金について、昨年までの傾向をお示しいただきたいと思います。
 また、13年連続で生活保護世帯が増加し、昨年は全国で100万世帯を超え、ことしは2兆7、000億円の予算が与えられているとのことでしたが、本県の保護世帯数の増減、その理由はいかがでしょうか。
〇竹内副知事 自動車税等の未収金についてでございますが、まず自動車税につきましては、平成15年度に過去最高の滞納となっておりましたが、平成16年度からは減少に転じまして、平成17年度決算では4億1、200万円になっております。これは、滞納の初期段階に滞納整理に当たる初動集中整理や土・日納税窓口の開設など、そういった対策を講じたことによりまして、平成16年度に比較して2、800万円減少したものであります。本年度におきましても、納期を1カ月に拡大して、納期内納付率の向上を図るなどの対策を講じております。
 それから、県営住宅の使用料ですけれども、これは平成15年度まで未収金が増加しておりましたが、平成16年度から減少に転じまして、平成17年度決算では、1億7、400万円となっております。この額は、集中的な督促や法的措置による分割納入、連帯保証人への請求の実施などによりまして、平成16年度と比較して2、000万円の減少となっております。
 それから、県立病院の平成17年度末の未収金は4億5、400万円で、16年度よりも12.4%の増となっております。医療費の支払いが困難と認められる患者につきましては、医療相談や医療費助成制度等の指導・助言を行うほか、いろいろな支払い方法の環境整備に努めておりまして、未収金の回収に当たっては、院内の連携体制の強化や、新たに回収専門員を配置するなどの対策を講じております。
 それから、県立高等学校授業料未収金の状況ですけれども、平成17年度決算では1、100万円となっておりまして、これはわずかではあるが増加傾向になっております。未納対策としては、保護者への授業料支払い義務の周知徹底のほか、授業料免除制度や奨学金制度の周知を行いまして、未納者に対しては文書や保護者召喚、家庭訪問を行い、収納確保に努めているところでございます。
 それから、生活保護世帯数の増減状況ですが、本県の被保護世帯数は平成10年度から増加してきておりまして、平成17年度の被保護世帯数は7、530世帯、被保護人員は1万760人となっておりまして、前年度に比べましていずれも5.8%の増加となっております。
 この世帯数の増加の理由でございますが、保護世帯数の最も少なかった平成9年度における保護開始の理由は、定年、失業、事業不振、倒産等による就労収入の減少の割合が9.0%であったものが、平成17年度は15.9%に増加しております。平成9年度には、傷病による保護開始理由が5割を超えておりましたが、近年は傷病による保護開始理由は、平成17年度で35.7%と減少しております。
〇小野寺好委員 県の会計には各種貸付金がありますが、競馬組合への27億円融資のように、3月31日に返済していただいて、翌日4月1日に、同額あるいは同額に近い額を貸し付けているものが見受けられます。この手の貸し付けは、全体ではどれほどの額になるか。そのうち、返してもらえそうになく、債権放棄せざるを得ないものはいかほどでしょうか。
 また、昨年の林業公社の元利返済は著しく均衡を欠いておりますが、これはどのような理由によるものでしょうか、伺います。
〇川窪総務部長 前段の貸付金についてお答え申し上げます。
 18年度の当初予算を見ますと、その中の貸付金が630億円ほどございますが、その中で御指摘のあった1年以内に貸して返してもらうという形になっておりますものが、38事業で610億円ほどございます。ただ、このうちの大宗は、中小企業向け制度融資の金融機関への預託金など、貸付先を経由したいわゆる制度融資ものでございまして、その額が478億円ございます。
 それ以外の貸付金でございますけれども、それが135億円強あるわけでございますけれども、これは競馬組合への貸付金を含め8件で135億円強ございますが、このうち98億円は、県立病院等事業会計への貸し付け、要するに、県の会計間の貸し借りということでございますので、これを除きました県以外の法人への貸し付けは、競馬組合を含めまして7件で37億8、500万円ということになってございます。そのうちの27億円が、競馬組合への貸し付けでございます。ですので、競馬組合以外への貸し付けが10億円強でございますが、そのうちの大半を占めておりますのが、財団法人クリーンいわて事業団運営資金貸付金の8億円というものでございます。
 返済の見通しにつきましては、競馬組合への貸し付けにつきましては、現在その全額を構成団体融資に切りかえるという方向での検討を行われているところでございますが、これ以外の貸付金につきましては、返済が困難で債権放棄せざるを得ないというような状況になっているものは見当たらないと考えております。ただ、本年度の予算ではございませんが、昨年度まで同様の方法で単年度貸し付けを行ってきた岩手県肉牛生産公社経営改善資金貸付金16億5、300万円につきましては、17年度の2月補正におきまして、1年を越える貸し付けに変更いたしました関係で、18年度の貸付金には含まれておりませんけれども、この公社の解散に伴う清算処理に伴いまして、今後、債権放棄を行う可能性が高いという認識でございます。
〇竹内副知事 林業公社への貸付金についてでございますが、県では、林業公社に対して分収造林事業を実施するために必要な経費を林業経営資金として貸し付けをいたしております。この資金は、貸し付けた当時、これは昭和40年度から49年度ですが、このときの条件が、償還期間が40年となっておりまして、この償還期間40年のうち元利償還が30年間据え置きで、据え置き期間終了後、利息を含めて10年間の元利均等償還となっております。それから、貸し付け利息が年5.5%の複利となっております。このことから、元金に比較して利息が多くなっているものでございます。
〇小野寺好委員 住宅事情が悪かった時代、転勤をする県職員のため、あるいは給与の少ない独身職員のために、各地に職員公舎がつくられたと思いますが、最近のメンテナンスと入居状況を伺います。
 民間の快適な賃貸住宅に移っているせいか、空室、管理の悪さが気になる職員公舎が目につきます。財政難を嘆きながら、このように、一方では財産をむだに扱っているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇川窪総務部長 県公舎の入居状況等でございますけれども、入居状況につきましては、総務部で所管しております職員公舎が、18年4月1日現在1、414戸ございまして、そのうち、1、111戸が入居しております。入居率78.6%という状況でございます。これにつきましては、17年度におきましても、いわゆる補修工事また改修工事、宿舎によりましては通称2戸1と呼んでおりますが、2戸に分かれていたものを1戸の形で使えるようにする工事などを実施してきておるところでございます。
 管理の状況につきましては、民間アパートが少ない地域等におきましては、引き続き公舎の需要が多い状況でございますけれども、これは地域によって公舎需要につきましてばらつきがございます。本県の厳しい財政状況にかんがみまして、当分の間、公舎の新築は行わないということにしておりまして、耐用年数満了まで何とか維持保全をしながら、必要な公舎数を確保していきたいということで、いわばストックの有効活用ということで対応していきたいと考えております。
 なお、老朽化等によって利用が見込まれない公舎につきましては、積極的に用途廃止を行いまして、地元市町村の意向を確認した上、取得の希望等がない場合には、いわゆる売却処分ということで、処分していきたいと考えているところでございます。
〇小野寺好委員 不慮の事件・事故が相次いで発生しておりますが、人命最優先の立場から、救急体制はこれでいいということはないと思います。限られた高度な医療資源は県都盛岡市に集中していますが、全県的な病気や事故の搬送実態、特に冬季間の対応実績、及び今後の整備計画を伺います。
 また、救急救命士の業務内容が拡大し、さらなる技術力の向上が求められていますが、救急救命士の養成実績と今後の計画をお伺いいたします。
〇川窪総務部長 救急搬送の実態等についてでございます。
 毎年国の消防庁で実施しております調査の結果に基づいて県内分を確認してみますと、17年中の県内の救急出場件数は4万3、127件でございまして、搬送された傷病者は4万1、438人となっております。経年的な状況で見ると、増加の傾向にあるということでございます。そのうち冬場でございますが、平成17年の冬季、これは統計の関係で1月、2月、飛んで12月となりますが、この3カ月間の搬送実績は、出場件数が1万1、235件で、全体の26.1%、搬送人員も1万753名、全体の25.9%ということでございまして、3カ月間で全体のちょうど4分の1程度の実績が生じているところでございます。
 今後、救急業務の高度化を積極的に推進したいということで、本県におきましても、岩手県総合計画によりまして、高規格救急自動車の導入を進めております。この計画における中間年でございます17年度までに、計画の75台につきましては計画どおり配備済みでございまして、本年度から、あと3カ年で3台を整備する計画となっているところでございます。
 また、救急救命士につきましては、制度創設から平成18年4月1日までに、本県におきまして255名の救急救命士の養成を行ってきておりまして、今後の計画といたしましては、22年度までに新たに57名を養成する計画としているところでございます。
〇小野寺好委員 救急については、かねてから提言していますドクターヘリを導入していただければと期待しております。
 最後ですけれども、夢県土いわてを目指した結果についてお伺いいたします。
 自立、参画、創造による持続的な地域づくりは、人生や暮らしの充実感、満足感を求めて意欲的に行動していくことでありましたが、現実は経済苦、社会不安が日ごと、年ごとに増幅しているように感じられます。
 生活レベルについてでありますが、地価の高い首都圏での生活は住居費が高くなりますが、地価の低い岩手では、低い所得でも生活できるよう考えなければなりませんが、東京と同じような便利さを求めるところにひずみが生じるかと思います。
 1人1台ずつの車を持ち、徒歩や自転車で用が足りる距離でも車を使う。結果として、ふえ過ぎた車のために行う道路整備。1分1秒を争う仕事をするわけでもないのに、各自で携帯電話を持ち、つながりにくいとの苦情で、電話会社が設備すべき電波塔を電気通信格差是正事業と称して税金で行う整備等々、個人も行政も、収入がなければないなりに、使い方を考えなければならないと思います。食べ残し食料、生産手段であるはずの遊休農地、バラ色の人生を錯覚させる有名校主義、衝動的殺傷等々、やり場のないむなしさを呈している社会でありますが、知事は、わかりやすい実践例として、スローライフ、スローフードを推進してきました。これは単なる地産地消の提唱ではなく、生き方を考え直す契機であると好感を持ってまいりましたが、どのようにこれを総括していましたか、お伺いいたします。
〇増田知事 今、具体的な例でお話がございましたとおりの、例えば携帯電話の不感地帯をなくすための事業なども、やはり全県の広さ、それから地形上を考えると全県無理でありますし、そういった事業の実施─実は私は、経済基盤を確立していくということは、暮らしの豊かさにつながるわけでありますので、特に県内のさまざまな資源を、特に眠っている資源を活用して、そして経済基盤を確立するということに努力することは、これは大変大事なことである、こういうふうにも思うわけでございますし、そういった経済基盤を確立し、企業の収益性を増すためにも高速通信網の整備といったようなことも、それは民間会社がどうしても条件不利ということで、手を出さないところに行政が乗り出していく、一方での意味もあると思うわけでありますが、ただ、冒頭申し上げましたよう、全県をそれでカバーするといったようなこと、これは到底無理なことでありますし、そこはよく事業の適性ですとか、それから実施効果というものを見分けをして、そのことによっての県民負担が過大になるといったようなことを避ける必要があるだろうと。そうしたことを一方でやると同時に、この岩手県で、先人が築き上げてきたような、そういう土地土地に適した暮らしをつくり出していくということについて、私どもはこの岩手に住む者として、たぐいまれなる英知を県民の皆さん方がお持ちになっているのではないか、こう思っているわけであります。
 例えば、いわて型のペレットストーブといったようなものをぜひ普及させたいと思っておりますが、これも我々の県内あるいは地域内にいる人たちの努力で、少しペレットの購入に費用がかさむかもしれませんけれども、そういったことによる林業振興に及ぼしていく効果あるいは環境に及ぼすいい影響、さらには、一家の家庭での団らんということに及ぼすまた大変な効果があるということで、こうした必ずしも経済成長一辺倒ではない従来の拡大思考ではない生き方を、この岩手県として、岩手での価値を確立していくべきではないか。
 そういうことでございまして、スローフード、スローライフも今議員からお話がございましたとおり、ただ単なる地産地消ということを超えた新しい生き方の提唱ということでございまして、このことについては、世代間でも、それからその同じ世代の中でも、とらえ方は価値観が多様化しておりますので多々あると思いますけれども、しかし全体としては、この21世紀がそういう方向に向かっておりますので、この岩手県で唱えております、そうした提唱あるいは提案というものは、逆に21世紀をリードする提案ではなかったのか。これを根づかせるために、もちろん時間もかかりますけれども、我々自信を持ってこういうことを今後も展開していくべきではないか、このように考えております。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。
〇吉田昭彦委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問者席に着く〕
〇阿部富雄委員 誇れるいわて40の政策の2つの緊急課題のうち、雇用対策についての評価は、サービス関連産業における雇用創出が順調で、若年者の就職率も改善傾向にあること。さらに、自動車関連産業の集積による雇用の拡大もあり、雇用対策は全体としておおむね順調に進んでいるとしています。これまでの雇用創出実績は3万1、980人と、雇用創出目標3万6、000人に対する進捗率は88.9%になったとしていますが、正社員、有期雇用などの雇用形態の内訳はどのような状況にあるのでしょうか。また、雇用後、離職している人はどのような状況にあるのか、お聞きします。
 18年度は4、567人の常用雇用創出を計画していますが、分野別目標をより少なく計画しているのはどのような理由によるものなのか、お聞きいたします。
〇増田知事 私どもでつくりました総合雇用対策での雇用創出実績でございますが、この数値でございますけれども、この場合の雇用の形態は、常用雇用を前提とした雇用創出ということでとらえておりまして、したがって、期間のない雇用であったり、あるいは統計上の4カ月以上の雇用と、こういう形でこの常用雇用というのをとらえているわけですが、それを前提とした雇用創出ということで、今議員の方からお話がございました正社員であるか有期雇用かと、こういう区分での把握はしていないものですから、ちょっと数字としては3万1、000名強の内容を区分けすることは今難しいという状況でございます。
 なお、本県での正規、非正規の状況については、別途就業構造基本調査の数字がございますので、それで平成14年の正規労働者が71%、それから非正規の労働者が29%となっているという統計がございます。
 それから、就職後あるいはそういう雇用についた後の離職などの状況については、これも追跡調査を特に行っておりませんので、別途、高校卒の離職状況などについて把握してございますが、そうした高卒者の離職状況などから推計をすると、3年以内には大体50%近くが離職をしているという実は残念な状況がございます。
 それから、もう一つの御質問の今年度の目標が4、600人で、その次の計画が4、567人、こういうことでございますが、これは目標数値3万6、000人を達成するために、それぞれの分野でどのような計画を持っているかということで、各部局の方にその割り振りをしまして積み上げた参考数値を計画として挙げたもので、これは4、600人に対して33人下回る4、567人という計画でございまして、これは我々行政の方で目指しますのは、目標数値の4、600人ということ、あくまでもこの数値が目標でございますので、今後さらにこの目標数値を上回るように計画数値の積み上げを行っていきたい、そして目標数値以上の成果を出していきたい、このように考えているところでございます。
〇阿部富雄委員 今答弁いただいたわけですが、常用雇用については4カ月以上を目指すんだということですけれども、4カ月と言えば、臨時的業務と言っても私はいいと思うんですよ。少なくとも、県がやってきた雇用対策というのは、知事がマニフェストに掲げた二つの緊急課題、40の政策という形で具体化した中身でしょ。県としてやってきた雇用対策ですから、国がやってきたとか労働局がやってきたというならわかりますけれども、県としてやってきた対策について、正社員や有期雇用は把握していないとか、4カ月程度の雇用以上のものをやっているんだという、しかも、離職の追跡調査もしていない。これではただ数字を出しただけということで、数字合わせだけの私はマニフェストの具体化にしかならないんじゃないか。やっぱり中身のあるそういう対策にきちっとやるべきだと思うんです。それは知事がやるというのではなくて、担当部局の方にきちっと、そういうところも含めて対応すべきだということを、私は知事の方から指示すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
〇増田知事 御指摘のとおりでございまして、その御趣旨は私どもも十分理解をするところであります。常用雇用については、期間のない雇用、それから4カ月以上の雇用ということで、これを常用雇用と考えておりますが、願わくは、正社員でありきちっとした雇用形態で、しかもなおかつ、離職のない、就職する側にとっても適せる職場を確保していくと、こういうことでございますので、この問題については私どもも、今後、今委員からお話があったような、こういう考え方ができるだけ実現するように努力をしていきたい。これは、教育委員会も含めて県総体で取り組む話でございますので、私の方も、よくそういった指示を出しておきたいと思います。
〇阿部富雄委員 次に、青森県境産業廃棄物不法投棄の取り組みの評価については、撤去スケジュールのおくれを回復するよう全力で取り組んでいる。県民負担の軽減や不法投棄の再発防止を図るため、引き続き原因者及び排出事業者等の責任追及を徹底して行う必要があるとしています。産廃特措法制定のおくれを要因としておりますけれども、どのような状況にあるのか。
 投棄量の大幅増が見込まれているようでありますが、産廃特措法は時限立法であり、期限内の搬出が可能か、また、投棄量の増に伴う事業費に変更が伴うのかお聞きします。
 産廃特措法は、特定支障除去等事業を行う場合であっても、引き続き措置命令、特定支障除去等事業に要する費用の徴収を、不適正処分の行為者に対して行っていくこととされているが、排出事業者に対する措置命令の状況はどのようになっているのか。措置命令による排出処分費用はどの程度に及んでいるのか、お聞きします。
 排出事業者等の把握については、約1万2、000の事業者に対して報告徴収を行っているが、精査状況についてお聞きいたします。
 原状回復及び排出事業者等の責任については、精査に相当の時間を要していること、費用対効果を勘案するとき、早期の終了を目指す必要がありますが、環境省と協議を進めていくことが必要ですけれども、今後の対応についてお聞きいたします。
 本事案は、青森県の対応のおくれ、まずさが被害を拡大させました。警察押収資料の三栄化学への返還を見過ごし、当該資料が廃棄され、把握できた事業者が一部にとどまったこと。最終処分の許可は青森県が出し、監視がおろそかにされてきたことが、岩手県への不法投棄を誘発しました。青森県に相応の責任を明確化させ、費用を補てんさせるべきですが、対応をお聞きいたします。
〇増田知事 まとめてお答え申し上げますが、まず撤去の現状でございますけれども、9月末現在で約6万3、000トンの撤去が完了ということで、進捗率は計画に対して約34%、約3分の1ということでございます。
しかし、当初想定していなかったのり面部分で、一番高いところのわきのところでございますが、あそこののり面部分で、新たな不法投棄物が発見されたことなどから、現時点で不法投棄の廃棄物量、総量でございますが約18万8、000トンと見込んでおりましたものが、25万7、000トン程度に膨れ上がりまして、したがって、その計画の見直しを現在行っている、こういう状況でございます。これまでの撤去実績から見まして、年に4万5、000トンから5万トン程度の排出処分が可能と見込んでおりますので、先ほど言いましたような廃棄物量の、投棄量の増加があっても、当初計画どおり平成22年度までには廃棄物の撤去の完了は可能と考えております。
 それから、事業費につきましても、処理単価が当初見込みよりも安く現状の段階で処理できておりますので、量の増加はいたしますけれども、事業費の増嵩にはつながらないと考えております。
 それから、措置命令の状況についてお尋ねでございましたが、これは青森と岩手側でやり方が多少異なっておりますが、私どもの方では、早期に全量撤去をすると。それから、現場からの廃棄物の撤去、しかも早期の全量撤去を基本としております。その量が現在のところ、措置命令は24事業者に対して出しておりまして、388トン撤去いたしました。それから、自主撤去は8事業者から、こちらは2、657トンの申し出があった、こういうことでございます。
 それから、排出処分費用についてでございますが、これは経費に換算をいたしますと、これまでの代執行の実績から、これは推計でございますが約1億4、000万円相当、このように考えております。
 それから、排出事業者の精査の状況でございまして、先ほど委員からお話しございましたとおり、全体が1万2、000社ほどになりますので、これ青森県と分担をいたしておりまして、本県担当分が約5、200社、こういうことになっております。この5、200社に対しまして、文書での報告徴集の結果、特に法律違反が疑われる100社程度を優先的に調査、追及することとしておりまして、今、詳細調査を行っております。
 それから、当然こういった責任追及の迅速化と効率化、それから事務処理のコスト縮減も図る必要がありますので、これまで措置命令を出すときには、両県の連名で措置命令を出してきましたので、若干それぞれの県の内部手続が異なっておりますと、出す時期がおくれるなどということがあったので、今後は原則として、それぞれの県が、単独でも責任追及を進めるということで分担をいたしました。したがって、岩手県分については、岩手県の判断だけで直ちにできるということで迅速化が図られているところでございますが、その上で、先ほどの措置命令の実績等で申し上げましたとおり、やはり自主撤去によりますと公的な負担が軽減されますし、それから、非常に撤去量も多くなりますので効果が大きいということで、排出事業者みずからによる自主撤去の推進に重点を置きたい、こんなことを今考えているところでございます。そして、この後事業者への責任追及の関係では、環境省とも当然いろいろと協議をしているところでございますが、環境省の方からも、具体的な法律違反がなくとも、必要な確認を怠ったなどの注意義務についての違反があった場合にも措置命令を出せる、こういう見解が示されておりますので、こうした注意義務違反があった排出事業者に対して、原状回復義務を負わせることができるかどうかなどについて、今協議を行っていると。もし、そういったことが可能ということであれば、より前向きに対応していきたいと考えております。
 それから最後に、青森県の責任ということでございますけれども、この青森県の責任を問うことについては、私どもも法律専門家などに相談をしているところでございますけれども、法律専門家などからは、許可を与え続け監視が不十分であったことのみをもって損害賠償請求などの法律上請求を行うことは難しいと、こういう話を彼らからもらっております。今は法律上の責任について、第1番目に、不法投棄実行者、それから2番目に、違法な委託をしていた排出事業者、それから3番目に、先ほど環境省も前向きだと言いました注意義務違反のあった排出事業者、こういう順番で今法律上の責任について問うているところでございますので、これら有責事業者の責任追及を徹底して行うことが優先される、こう考えているころでございます。
〇阿部富雄委員 青森県への責任追及ですけれども、知事は以前から、この問題が発覚してから、ずっと推移を見ながら追及していくんだという、こういう答弁をしてきたわけですね。ところが、環境省は、そういうことはなかなか難しいだろうというような見解のようでありますけれども、やっぱり青森県の怠慢が岩手県側の誘発を招いたということは明らかですから、それは知事の今の任期中にきちっと青森県の方に責任追及はさせるという、そういう対応に取り組んでいただきたいと私は思います。
 次に、林業公社についてお伺いいたしますが、林業公社は造成に要した借入金が618億円、これの返済のために市町村からの借り入れが大変だと、こういうことから県有林事業に一元化するということにしているわけでありますけれども、ただ、現在の木材価格が低迷しておりまして、ことし4月時点での木材価格で試算した場合の販売収益見込みというのは、現行の55年伐採では176億円、経営改善後の80年伐採でも428億円と、簿価の624億円にはるかに及ばない金額になっているわけであります。今後、約定利息が86億円、保育作業など管理費が15億円、さらに災害や生育不良森林を解約することとしておりまして、その規模は森林の約4割。無償解約を想定すれば、247億円の分収林勘定が消滅をして、新たに348億円の費用が見込まれるわけでありますけれども、追加費用は幾らになると試算されるのか、お伺いいたします。
 それから、一元化に当たっては、森林の評価は簿価評価によることなく減損会計によることとして、緑資源機構が19年度を目途に減損会計を導入するという、こういう考え方でありますから、その導入状況を見きわめて一元化すべきですが、対応をお聞きいたします。
〇増田知事 林業公社の関係でありますが、この林業公社事業を県有林事業への一元化を図るということで、事業終了までに必要となる費用でありますが、これは平成15年度時点の試算によりますと、農林漁業金融公庫の利息が74億円、それから除間伐など保育に要する経費が15億円、そのほか人件費等の管理費でございますがこれが30億円で、あわせて119億円、こうなっているところでございます。
 なお、分収造林契約の解約分でございますが、これについては、分収造林勘定を減額するということになるわけでございますが、この金額については、現在実施しております森林資源の現況調査の結果を踏まえて具体的に確定をさせる、こういうことになります。
 それから、もう一つのお尋ねでございますが、減損会計についての関係で、これは緑資源機構が19年度を目途に導入の可否を検討中と、こう聞いているわけでございますが、私どもの林業公社の方は、自主財源がこれはないわけでありますので、公庫や県、それから市町村からの融資で整備を進めてきたわけですけれども、今委員からお話がございましたとおり、年々借入金がふえてその償還が困難となっている。そういったこともございまして、外部包括監査などの意見も得て抜本的な経営改善を図るべきと、こういうことで考えてきたものでございます。これについては、県有林事業との一元化ということでございますが、こうした一元化により一層の経営の効率化を進めていく。それで、管理費などの大幅なコスト削減を実現する。これは大体管理費として30億円ほど削減予定にしてございますが、そういったことが図られる。それから、関係市町村長が来られていろいろ県の方にこの問題について要望していかれましたけれども、関係市町村からも、これ以上の財政負担はできないということで、強く県有林事業への一元化の要請があったということもございました。
 こうしたことから、3年間の猶予期間というのを設けたわけでございますが、この間に、林業公社と県有林事業の一元化を図ると、こういう方向をとったものでございまして、ぜひ、こうした県有林事業への一元化について御理解を賜りたいと思っております。
 それから、減損会計の導入についてでございまして、これは3点あるわけでございますけれども、今、公社造林については、平均林齢が岩手県の場合に若いということがございます。それから、分収造林事業を県が継続して行うということ、さらには、専門家の方からの見解も私ども問うているわけでございますが、そちらの方の専門家の見解も問いただした上で、やはり簿価で引き継ぐことが適当と、こう判断をしてございまして、この減損会計の導入の可否については、緑資源機構の方で今後議論が進められると思いますけれども、私どもは、一元化した後、経営改善を進める中で検討していきたい、こういうのが私どもの考え方でございます。
〇阿部富雄委員 最後に、ツキノワグマの出没状況、被害、捕獲はどのように推移しているのか、お聞きいたします。そして、ツキノワグマの保護管理対策をどのように講じていくのか。特に現在は捕獲、射殺という残忍な方法でやっているわけでありますけれども、生息を前提とした、例えば捕獲、深山への解放といった保護管理対策に改めるべきですが、対応をお聞きいたします。
〇増田知事 ツキノワグマの出没状況でございますが、実はことしは大変多くなっております。過去3年間は、年間平均280件程度でございましたが、ことしは9月末現在でもう既に516件になっておりますので、昨年同期に比べても、もう既に2倍以上ということでございます。過去に最も多かったのが、平成13年の年間435件でございますから、それももう既に9月末現在で大幅に上回っているという状況でございます。
 それから、被害状況でありますが、人身被害は、当然のことながら大変心配されるわけでございますが、過去3年は年平均12件程度でございました。今年度は、10月13日現在、先週の金曜日現在で13件ということで、これから、残念ながらまだ期限が残っておりますので、そういった可能性も出てくると思いますが、年間の平均をもう既に10月の段階で上回っているということであります。
 それから、農業被害でございますが、これについては、まだ今年度の集約はしてございませんで、これは来年の初めに、農業被害については結果報告をもらうことにしてございますので、今年度はまだちょっと把握してございません。ただ、15、16年度は年間2、000万円弱、17年度は余り多くなくて670万円と減少してございましたが、出没状況を見ますと、ツキノワグマの活動が大分活発化しているようでございますので、危惧される状況ではあろうかと思います。
 それから、捕獲状況でございますが、これは、過去3年は年間平均130頭程度でございましたが、今年度は9月末現在で、有害捕獲だけで205頭を捕獲という数字でございます。この捕獲状況についても、過去に例を見ない捕獲頭数となっているということでございます。
 以上が、まだ途中でございますが、現在の最新の状況でございます。
 この保護管理対策などについてどういう対応をしていくかということでございますが、県では生息数調査というのを過去に行いまして、これは平成13年度から14年度にかけての生息数調査でございまして、約1、100頭が県内に生息していると推定をしたわけでございます。その後は、毎年度、捕獲個体調査と行動調査、ブナなどの豊凶調査を行っておりまして、その生息や生態の状況把握に努めているということで、その結果、ことしの初めに、ことしはどうも活動が大変活発化しそうだということで、3月に、ツキノワグマの出没に関する注意報というのを全国で初めてその段階で発して、注意喚起と被害の未然防止に努めているということでございます。
 それから、保護管理対策の方でありますが、先ほど申し上げました13年度から14年度にかけての生息数調査を踏まえて、15年3月にツキノワグマ保護管理計画というものを策定して、その計画に基づいて、電気柵設置などの被害防除対策ですとか、捕獲上限数を定めての個体数管理などを行っているわけでございます。このツキノワグマ保護管理計画というのは、計画期間が今年度末ということになっておりまして、次の新しい計画の策定をしなければいけないという状況に今現在ございます。
 そこで、調査としては4年ぶりになりますけれども、今、4年ぶりとなる生息数調査を行っているところでございまして、それから、生息数の算定方法も、DNA解析を活用した新たな方法というものを導入して、より正確性を期す、より精度の高い個体数の把握に、今努めているところでございます。それで、ブナの実などの豊凶と出没頻度との関連性を調査分析して、できるだけ早期の出没予測につなげるといったようなことで、被害防除対策に結びつけていきたいと思っております。
 それから、奥山・深山の方への放獣の話でございますが、有害捕獲したクマについては、可能な限り、そうした奥山の方に移動放獣するというのが原則でございます。これは、できるだけ住民の皆さん方に御理解をいただきつつ、今後も進めていきたいと考えているわけですが、当然のことながら、出没情報が、随分、今出てきておりますので、そういった被害地域や、今度は放獣先の住民等からの同意が得られないという場合が大変多くございまして、なかなか放獣が進んでいないという一方での現実もございます。今回の新しい調査の中でよく実態を把握した上で、計画をつくるときに、その点もよく議論したいと考えておりますが、移動放獣というのは保護管理の上では有効な対策であると考えておりますので、やはり地域住民や森林所有者の皆さん方の御理解をいただくべく啓発に努めて、そうした移動放獣の普及を今後も図っていきたいと考えております。
〇吉田昭彦委員長 次に、高橋博之委員。
   〔高橋博之委員質問者席に着く〕
〇高橋博之委員 無所属の高橋博之でございます。
 平成17年度決算は歳出規模4年連続の減となりましたが、総括質疑に当たりまして、施策の選択と集中という観点から、まずは我が国の経済社会の現状と認識について、3点お尋ねをいたします。
 今後の日本は、人口の減少、高齢化の速度が速過ぎることから、労働者数の減少率が、技術進歩による労働生産性の上昇率を上回ることは確実で、どうあっても日本経済の縮小は避けることができないと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、安倍政権は成長路線を打ち出しましたが、現実には、いかにしても日本経済が、早晩縮小に向かうことは避けられません。条件が失われつつあるときに、いたずらに成長を目指した構造改革を行うことは、日本経済の先行きを危うくすると私は考えます。縮小のもとでの豊かさとはいかなるものか。そして、その豊かさはいかなる基盤のもとで生まれるのかといった観点から、制度を変えていくことが必要だと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、これまでの人類の理念は、拡大、拡張、増大などの言葉で表現できる方向が成功であり、発展であると信じられておりましたが、地球の面積や資源が有限であるという条件のもとでは、いずれ行き詰まるのは自明であります。まして地球温暖化が主因と見られます異常気象が世界各地で頻発をし、人類の生活環境が脅威にさらされるなど、量的拡大路線が引き起こしている地球環境問題は待ったなしとなっております。教育は国家百年の計といいますが、環境は人類千年の大計と言っても過言ではありません。縮小していくことは、これまでの成長一辺倒の価値観に照らし合わせて考えれば失敗であり、衰退を意味しましたが、まさに施策の選択と集中という言葉が意図するように、例えば、物流の際限なき拡張を抑制する地産地消が食の安全性を高め、足元にある当たり前の価値に気づかせるなど、量的には縮小しても質的には向上するという新しい価値観を打ち立てるべきであると考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。
〇増田知事 まず、委員の方から、日本経済が早晩縮小することは避けられないのではないかという御意見があったわけでございますが、この点については、今後の政府の経済運営のハンドリング次第ということでもあろうかと思いますけれども、やはり目指す方向としては、人口が減少していく中にあって、かつてのような大変成長率の高い右肩上がりの経済成長ということはなかなか難しいとは思いますけれども、グローバル化が進んでいく国際市場の中で、日本人が最も得意とする技術革新ですとか、あるいはこれから新たな企業の生産性向上につながっていくような情報処理技術を高度に利用していくですとか、それから、日本人の特性として最もすぐれている人材としての特性をさらに磨くような取り組みを強化して、国全体としては安定的な成長を目指すような施策をいろいろとやはり取り組んでいくといった方向性というのは、私は大事なことではないかと思うわけであります。大きな経済運営全体の話ですから、これは特に国・中央政府の方で主として取り組む分野が大変多いと思うわけでありますが、そういった経済成長が、そういった方向で安定的ながらも成長する、あるいは今委員からお話があったように、必ずしもそうではなくて縮小するか。成長するか、縮小するか、そういったことにかかわらず、いま一度、我々の生き方とか価値観をもう一度見詰め直す。確かに従来は経済成長、拡大、膨張一辺倒で、とにかく所得向上ということが、すべての金銭的な価値がメルクマールになっていたという時代だったかもしれませんが、やはり真の豊かさというものが何かということについてもう一度考え直しをする、画一的で固定化した概念を変えていくということも、私は必要であろうとも思うわけであります。制度も、そういった意味では古い制度、あるいは経済を縛っているような制度について、いろいろと手を加えていくということが、今さまざま言われている構造改革の議論であろうと思いまして、その点についてのさまざまな議論はあろうかと思いますが、やはり新しい価値観を持つということも考えていく必要があろうかと思います。
 その点について言いますと、先ほど、小野寺好委員のときの御質問にも若干ございましたが、岩手の新しい価値ということ、そして、本県が持っている資源や潜在力というものを十分に生かしていくということ、このことは、これからの多様な時代の中での生き方として大変すぐれたものであると私は思っておりますし、やはり今委員からお話がございましたとおり、質的にすぐれた、そういう生き方を追求していくということ、そのためにさまざまな提案をしていくということが必要と、このように認識をしております。
〇高橋博之委員 そういった現状認識の中で、次に、岩手県が目指す姿について、3点お尋ねをいたします。
 従来の成長一辺倒の価値観の転換を目指したのががんばらない宣言であり、これまで、この理念を基本とした取り組みが行われてきたと認識しております。今般、この宣言は取りやめになりましたが、知事が目指す岩手の基本的な方向性に変わりはないでしょうか。
 次に、公共事業の削減、戻す公共事業の実践、ご近所介護ステーション、地元学の推進、バイオマスエネルギーの普及、地産地消の啓蒙、トレーサビリティーシステムの導入などが、まさにがんばらない宣言の理念に沿う施策でありました。こうした岩手の強みを生かす分野の施策をもっと重点的かつ集中的に展開するなど、岩手の優位性に磨きをかけていくべきだと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 最後に、がんばらない宣言は他県には好評でありました。県に届いたはがきや電子メールは約1万7、000件で、そのほとんどが、価値観の転換を目指した点に共感すると好意的な内容でありました。所得は低くても満足度は高いという価値観があることを内外に示し、岩手県のイメージを向上させた同宣言は、費用対効果の面から考えても、私は効果が大きかったと考えます。団塊世代の大量退職に対応した県の移住促進策の一環として、この岩手県のイメージアップにつながった同宣言の宣伝広告を復活させることはできないのでしょうか。
〇増田知事 がんばらない宣言について、今御質問がございましたが、その内容については、今、委員からお話がございましたとおり、新しい価値観を提案するということで、特に21世紀のこれからの生き方を見通した上で、必ずしも経済成長一辺倒の社会では評価し得なかった、評価されなかったものについて新しい光を当てていくという趣旨で、言葉としては刺激的な言葉かもしれませんが、問題提起をしたものでございました。こういった考え方に基づいて、本県の中で、ともすれば埋もれがちになっているものを発掘して、そして取り組みを進めていくということは、これは地域の自信や誇りにもつながりますし、私はぜひ進めていきたいと考えているところでございますし、そういったものの具体化をどのようにしていくのか。先ほど、これも前の委員の御質問のときもございましたが、ペレットストーブなどは、やはり経済的な価値観から言えば、はるかに化石燃料の方が便利ではありますけれども、ああしたものを地域でしっかりとみんなの支えで普及させていくというものは、こうした宣言の考え方にもつながるものがあると思うわけであります。
 それから、この宣言をもう一度復活したらどうかというお話がございました。これは、実は最初、こうしたものを普及させるためには、やはり全国的な広告媒体、新聞などを使って知らせる必要があるわけでありまして、コストをその分かけて行ってまいりました。反響も大きかったですし、県内外にその趣旨がかなり着実に浸透したということでありまして、そのコストをずうっと引き続き負担しながら価値観を発信するというのは、それもがんばらない宣言の趣旨にちょっと反するかなということもあるのと、趣旨が着実に浸透したという、ある種、こちらも自信があるということと、それから、5年程度それをやったものですから、少しそのことについては、マンネリ化でもないですが、やっぱり次の新しい価値観を創造するだけのこちらもエネルギーとか知恵を持たなきゃいけないということがございましたので、この精神の考え方は、今お話にございましたとおり、私も、大事なものであるということで引き継いでいきたいと思いますが、宣言そのものを復活するということは考えていないところでございます。
〇高橋博之委員 新しい価値観を発信するためには、経済的自立が欠かせません。国からの財源移譲を目指す一方で、財政の健全化に取り組んでまいりました。自動車関連産業の育成を通じた産業振興を通じて、長期的に担保できる歳入の確保を目指し、一方で政策の優先順位をつけ、聖域なき歳出削減を行ってきました。
 花巻空港については、これまで段階的な整備を行ってきていますが、新ターミナルビルの建設については、事業費の見直しなど、整備時期の繰り延べを繰り返しています。これは、県政課題の中で優先順位が低いとの判断でしょうか。
〇増田知事 花巻空港でありますけれども、確かに、御指摘いただきましたとおり、整備時期の繰り延べということを行っているわけでございますが、人・物・情報の交流拠点ということで、高速交通ネットワークが持っている機能というのは大変重要なものがある。その中で、空の玄関口ということでございますので、したがって、どの程度の整備をするか、あるいは費用対効果をどういうふうにするかというのは、個々の財政事情の中で考えていかなければならないわけでございますが、空港自体の整備ということは、それ自体は県の発展の上で必要な施設と位置づけておりますので、そこの点については、私どもの認識を申し上げておきたいと思うところでございます。
 その上で、整備時期について、いろいろと繰り延べなどをしているわけでございますが、これは、事業主体の空港ターミナルビル株式会社が今後運営主体となっていくということもございまして、ビル会社の自立的な経営が見通せるということもあるものですから、そこで最近の財政事情も勘案して、今、慎重にその整備計画を見直しているという状況でございます。
〇高橋博之委員 今年度も空港の利用客が減少する見込みであります。知事は、空港利用客がふえなければ建設に着手するのは難しいという考えを示しておりますが、その考えに変わりはありませんでしょうか。
〇増田知事 利用客でございますが、これは、できれば、空港を建設するという意味でも、ぜひふえてほしいと思いますし、それだけでなくて、やはり観光の観点からも、ぜひ空からお迎えする観光客の皆さんが大勢ふえてほしいので、私どももまだまだ努力が足りないかもしれませんが、利用数はぜひふえてほしいというか、ぜひふやしたいと思っております。その上で、空港のターミナルビルの整備との関係で言いますと、もちろん利用数がずっと減る状況ですと、その整備をするということについて県民理解をいただくということは難しいと思いますので、それは慎重に考えなければいけないと思うんですが、一方で、利用客は大変重要な要素ではありますが、航空会社の使用機材とか運航形態が変化をしてきて、今、外国からの航空会社の機材、中型機の長距離型のものから上のものはあそこに入れない。他空港に回避をしているという状況も現実にはございます。そういう今後増加を図らなければいけない国際線の関係、外国人利用者数ということを考えますと、今、そこの部分は伸びているわけですが、空港のターミナルビルの制約といったようなことも影響が出ているのではないかと思っていますので、そういうことについて慎重に考える必要がある。それから、ユニバーサルデザインというようなことにも対応していかなければならないということなので、利用者数、特に国内線の利用者数ということは大変重要な要素ではございますが、すべてをそれだけで判断するというよりは、そのほかの今後の国際客の見通しなども含めて、やはりこの点は総合判断をしていかなければならない。今、ターミナルビルの整備計画の中で、建設費の圧縮・縮減をいろいろと検討してございますので、その検討結果も踏まえて、全体の計画をどうするかということは適切な判断をしていきたい、このように考えております。
〇高橋博之委員 空港の利用客がふえることにこしたことはないんですが、やはりとらぬタヌキの皮算用であってはいけないと私は思います。
 我が国は狭い国土に過剰なまでに航空網を張りめぐらせてきました。国内には98の空港があります。この東北だけでも九つであります。新幹線網しかりであります。国内の大手航空会社は、規制緩和、石油高騰のあおりを受け、不採算路線から撤退や減便の姿勢を強めております。こうした中、採算がとれずに税金で下支えを始めている地方空港が既に出始めております。こういった情勢の中で、花巻空港の利用客をふやしていくことは可能だとお考えでしょうか。
〇竹内副知事 利用客をふやすことが可能かというお尋ねでございますが、航空会社固有の事情や原油高騰、それから地域経済の状況などいわゆる外的な要因、あるいはダイヤ編成などの利便性の良否などによりまして、その時々に相応の影響を受けながら、利用客数は推移するものと考えております。
 本県におきましては、ただいま知事が申し上げましたように、国際線の利用客の増加が期待されておりますし、それから、産業集積の進展に伴いまして、首都圏、名古屋圏、大阪圏へのビジネス使用は大変根強いものがあると考えておりまして、これらものづくり産業のさらなる振興に伴って、今後、運航頻度の向上、ダイヤの見直し、季節的な需要に応じた臨時便の運航など利便性を向上することによりまして、利用者が増加することは可能と考えております。県といたしましては、利便性の向上に向けて、現在も継続的に航空会社に働きかけや、あるいは情報交換を行っておりますので、さらに利用客の増につきまして頑張っていきたいと思っております。
〇高橋博之委員 国際チャーター便への対応ということで、空港の整備が必要なんだという先ほどの御見解でありましたが、ことし上半期、4月、5月の花巻空港の外国人利用客は、台湾の影響で確かに減りました。しかし、同じ時期、花巻温泉の外国人観光客はふえているわけです。つまりほかの空港から入ってきたお客さんを引っ張ってきているわけですけれども、いずれ、とらぬタヌキの皮算用であってはいけませんから、しっかりと、中止も含めて慎重に考えていただきたいと思います。
〇吉田昭彦委員長 これをもちまして総括質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 明日以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 5 時29分 散 会

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