平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(阿部富雄君) 県立高校における必履修科目の不足については教育長から報告がありましたが、実態を正確に把握していないことから、明確にされない部分が多いところです。県教委も、突然の発覚で事実関係の調査、対応に苦慮していることと思いますが、教育現場が県教委に虚偽の報告を行ってきた事実はゆゆしきことと思います。
 以下、具体に事実関係、対応策をお聞きいたします。
 履修が不足とされている科目について、県教育委員会に提出された教育課程表での履修計画はどのようになっていたのか。そして、履修報告はどのようになされていたのか、お聞きします。計画は履修させる、報告は履修させたということであれば、まさに確信犯と言えます。県教委と現場の信頼関係がなくなっているという現実をどう認識されているのか、お聞きいたします。
 履修させなかったのはだれの判断によるものなのか。履修報告は直接校長が書いているものではないと思いますし、進路の担任、教科担任、学級担任など学校全体が承知して行われてきたのではないかと思われますが、どうとらえているのか、お聞きします。
 今回の事案は内部告発によるようですが、ふだんに問題を学校内で指摘できるような学校の状況、雰囲気になかったのではないでしょうか。どう認識されているのか、お聞きいたします。
 県教委は、校長の報告だけに頼ってきたことが、問題を発生させたのではないでしょうか。今までも、学校での問題、不祥事については、県教育委員会は、現場を正確に把握することなく、学校長の報告に頼ってきたことが多々ありました。現場査察、業務査察など日常的な検証がなされてこなかったことが誘発したと思いますが、認識をお伺いいたします。
 今後の対応として、生徒、保護者の不安を解消することがまず第一であります。そして、履修不足の授業時間の確保などを早急に示して、生徒の進路に支障を来さないようすべきですが、対応についてお聞きいたします。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 何点かございましたが、まず、県教委に提出された教育課程表の計画はどうなっているのかということですが、これにつきましては、盛岡一高の場合は、この必履修科目を履修するようにその計画がなされ、また、履修したように報告がなされているものであります。
 それから、次に、いわばだれの判断かということでございますが、最終的には学校長がカリキュラム等の編成の責任者でありますが、御指摘のとおり、校長が判断、決定するに当たっては、そうした学校の中での、それぞれの担当等のそうした検討等を経てなされたのではないかと考えられますが、これについても確認をしたいと思います。
 それから、内部告発というようなお話がございましたが、本県の場合は、内部告発というようなことは聞いておりません。報道機関が盛岡一高に取材して、その内容が明らかになったものでございます。
 それから、現場の査察等ということでございますが、いずれ、これまで学校から提出されたそうした計画、報告というものを信頼して、私どもは報告を受理していたわけですが、やはり今回の事態にかんがみ、その辺の状況については、今後、しっかりと確認するために、指導主事等を派遣するなどして、適正に取り組むよう指導を徹底してまいりたいと思います。
 それから、生徒、保護者の不安等の解消でございますが、いずれ、まずは何より生徒、保護者の方々に、これまでのそうした取り扱い、実態、こういうものがどういう事情、背景、理由でなされていたものかきちんと説明し、その理解を得て、そしてまた御意見も伺いながら、今後、卒業に支障が出ないように、必履修科目の履修時間の確保をするなどして、全員が卒業できるように努めていくことが何より大事でございますので、このように指導してまいりたいと思います。
〇25番(阿部富雄君) 現場と県教委の関係ですけれども、明らかに県教委の言うことを聞かない、現場は好き勝手にやっているというふうな受けとめ方しか、もう県民の皆さんはしないと思うんですよね。まさに現場と県教委の関係の信頼関係も、指導力もなくなってきているというふうに見る人が多いんじゃないかというふうに私は思いますし、私自身も、こんな形で教育が成り立っていくのかという心配をするわけですよ。ですから、やっぱり現場と県教委がきちっと信頼関係を保っていけるような、そういうものを確立していくということが、まず大事じゃないでしょうか。そういうところが欠けてきたことが、今回の虚偽報告になり、問題を発生させてきた、そういう要因になっているというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
 それから、内部告発云々は別にして、教員の皆さんだって、これをよしとする人だけではなかったと思うんですよね。やっぱり学習指導要領に定められているものについては、それなりにきちっと対応しなければならないというふうに思っている、そういう方々もたくさんいたと思います。しかし、それを現場の中で声に出して言えない、あるいは言わせられないという、こういう学校管理のあり方といいますか、学校の雰囲気といいますか、そういう意思疎通のできないところも、やっぱり学校としての問題があるのではないか。そういうところを県教委としてもきちっと把握をしながら検証を進め、そして指導するところは校長に対して指導していく、こういう姿勢があっていいと私は思うのでありますけれども、その2点についてお伺いいたします。
〇教育長(照井崇君) やはり教育は、何よりもその地域の皆さん、県民の皆さんの信頼の上に成り立っているものです。したがいまして、教育を預かる私ども教育行政と現場が、県民の皆様から、やはりそうしたお互いに信頼関係にあるというようなことが認められないようでは、しっかりとした教育を進めることはできません。私は、昨年からできるだけ学校現場を回り、また、特に各責任者である校長との、いろいろ学校経営上の問題、今後どう学校経営を進めていくのか等々、何回も意見交換を重ねてまいりましたけれども、やはりまだまだこうしたことがあるということでございますので、いわば私ども行政と現場の対話をなお一層促進し、双方がお互いに信頼し合って岩手県の教育を進めていかなければならないと強く今思っているところです。
 また、責任者の校長ばかりでなく、やはり実際現場で子供たちの指導を担っている教員との関係についても同様であり、私ども行政と、現場の第一線で御苦労しているそうした教員の皆さんとの対話も今やっているところですが、さらにこれも促進し、いずれ、行政と学校がまさに一体となって、子供たちのために教育を真剣に進めているということを、県民の皆さんにも十分に伝わるように、また、そう見ていただけるように、いずれ、今後、そうしたお互いの信頼関係、さらに県民の皆様との信頼関係の確保に努めてまいりたいと思います。
〇25番(阿部富雄君) そこで、現場と教育委員会、それから学校内での問題というのは、私は学校長の考え方によるところが非常に大きいと思っています。学校長は、校長にはなったけども、わずか数時間ぐらいの研修を受けて、学校運営といいますか、学校経営をすべて任される。それはエキスパートの方であれば、それでも対応できるだろうと私は思いますけれども、ほとんどの新任の校長さんというのは、校長としての管理能力といったって、私は十分に備わっているとは言い切れないだろうと思うんですよね。ですから、校長を悪いというふうに責めるのじゃなくて、もう少し現場の長をきちっと指導するなり管理するなりという、それが教育委員会の仕事であって、それが今まで置き去りにされてきている部分が、こういう具体の形で問題としてあらわれてきているのではないかなというふうに私は思うんです。ですから、そこをもっともっと、県教委の仕事として、校長との綿密な連携を図る、あるいは助言指導をきちっとやっていくという体制をとるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
 
〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は議事の都合により、あらかじめ延長いたします。
 
〇教育長(照井崇君) 今、御指摘いただきましたけれども、やはり学校経営のトップである校長の考え方、それから経営手腕、これが学校教育を進めるに当たってのまずは根本となるものですが、とりわけ今はマネジメント能力といいましょうか、この辺も特に重要とされております。したがいまして、今、例えば研修等いろいろございますけれども、さまざまな場を活用して、校長のこうした特にマネジメント能力の向上につながるよう、さまざまな取り組みを進めているところです。やっぱり学校というのは地域に支えられて運営がなされていますので、まずは子供たち、保護者はもちろんですけれども、そうした地域の皆様方の声というものをしっかりと把握して、そうした地域のニーズ、それからもちろん学校としての教育、進路の考え方、これらをしっかりと説明して、そして地域から信頼される学校経営を進めるよう、私ども教育委員会も、各校長のそうした取り組みについて指導、助言してまいりたいと思います。
 
〇議長(伊藤勢至君) この際、斉藤議員等から要求のありました件について、調査状況を把握の上、報告させたいと思いますので、暫時休憩いたします。
   午後 4 時48分 休 憩
 
出席議員(47名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川   富  夫 君
3  番 五日市      王 君
4  番 小田島   峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口   英  司 君
9  番 高  橋  比奈子  君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子  君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎  君
20  番 新居田   弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木   順  一 君
31  番 佐々木      博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺   研  一 君
36  番 小野寺      好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 阿  部  敏  雄 君
40  番 吉  田  昭  彦 君
41  番 佐々木   一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木   大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎  君
48  番 菊  池     勲 君
49  番 藤  原  良  信 君
欠席議員(2名)
50  番 佐  藤  正  春 君
51  番 佐々木   俊  夫 君
 
説明のため出席した者
休憩前に同じ
 
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
 
午後5時17分再開
〇議長(伊藤勢至君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 
県教育委員会に届け出た教育課程と異なった教育課程の実施状況等について
〇議長(伊藤勢至君) この際、教育長から発言を求められておりますので、発言を許します。照井教育長。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 県教育委員会に届け出た教育課程と異なった教育課程の実施状況につきまして、本日17時現在の状況につきまして御報告いたします。
 県教育委員会に届け出た教育課程と異なった教育課程を実施している教科がある学校は、全県立高等学校76校中31校であります。約40%であります。その実施していると答えた中で、問題となっている必履修科目の中で実施していない科目があるかどうかにつきましては27校、全体の約35%であります。速報でございます。
 それから、卒業までに修得させる単位数と、問題となっている必履修科目の単位との関係につきましては、皆様のお手元に、これは文部科学省が編集した高校の学習指導要領の解説の中から関係部分を抜粋して配付させていただきました。
 
〔参照〕
 2  卒業までに修得させる単位数(第 1 章第 7 款の 2 )
2 卒業までに修得させる単位数
 学校においては、卒業までに修得させる単位数を定め、校長は、当該単位数を修得した者で、特別活動の成果がその目標からみて満足できると認められるものについて、高等学校の全課程の修了を認定するものとする。この場合、卒業までに修得させる単位数は、74単位以上とする。なお、普通科においては、学校設定科目及び学校設定教科に関する科目に係る修得単位数は、合わせて20単位までを卒業までに修得させる単位数に含めることができる。
 ところで、総則第3款に掲げる必履修教科・科目及び総合的な学習の時間の単位数については、卒業までに履修させる各教科・科目の単位数に含めることが求められている(総則第2款の1)が、ここではそのような定めはなく、国の基準上は、卒業までに修得させる単位数の中に、必履修教科・科目や総合的な学習の時間の単位数を含めるべきこととはされていない。すなわち、生徒は必ず必履修科目を履修し、かつ、必ず総合的な学習の時間における学習活動を行わなければならないが、学校がそれらの単位を修得すべきものと定めていない場合には、それらの履修や学習活動の成果が単位修得に至らなくても、再度修得を目指して履修したり学習活動を行ったりすることは求められない。
       [出典]
        高等学校学習指導要領解説 総則編
 
 上の方の2の卒業までに修得させる単位数は、箱の中にございますけれども、74単位以上とされております。下の方にまいりまして、これは解説ですけれども、アンダーラインを引かせていただきましたけれども、国の基準上は、卒業までに修得させる単位数の中に、この必履修教科・科目を含めるべきこととはされていない。すなわち、生徒は必ず必履修科目を履修しなければならないが、学校がそれらの単位を修得すべきものと定めていない場合には、それらの履修が単位修得に至らなくても、再度修得を目指して履修したり学習活動を行ったりすることは求められないというふうにされております。
 そこで、この解説につきまして、ただいま文部科学省に、このとおりの解釈といいますか、このとおりでよろしいかどうかを照会しております。それからまた、既に卒業を認定された者の取り扱いにつきましても照会いたしておりますが、全国から問い合わせが殺到しておりまして、なかなか文部科学省からいまだ回答をいただけておりません。いずれ、この確認と、卒業した者の取り扱いについてを引き続き照会いたします。
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって緊急質問を終結いたします。
 
   閉 会
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第21回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後 5 時22分 閉 会XXXXXXXX

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