平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第9号から第14号、第18号、24号から27号に反対の討論を行います。
 議案第1号は、平成18年度岩手県一般会計補正予算(第2号)であります。補正予算の中には、教員に対する新昇給制度導入のための教職員人事管理費319万円余が計上されています。県教育委員会が導入しようとしている新昇給制度は、教員の業績を評価・選考し、極めて優秀な教員を5%、優秀な教員20%を上限に評価・選考して、特別昇給と勤勉手当に反映させようとするものであります。極めて優秀と評価された教員と、良好であると評価された教員との昇給と勤勉手当の差額は平均で約20万円に及びます。これは、県教委がどんなに言いわけをしても、教員を業積で評価し、ランクづけする成果主義賃金制度そのものであります。こうした新昇給制度を、何の準備もなく、仕組みもなく、試行も研修もなく、県内1万4、000人余のすべての教職員に突然導入しようとすることは、全国的にも例のない無謀なものであります。教職員の協力と共同で成り立つ学校と教育の現場になじまないと、小・中・高の校長会や市町村の教育長らが、不安と強い危惧の念を明らかにしていることは当然であります。現場の教職員も、職場投票で93%が反対の意思表示をしていることは重大であります。
 ところが、県教委は、こうした強い反対の声に対してまともにこたえることなく、あくまでも成果主義賃金の導入に固執し、ごり押しの態度を変えておりません。新昇給制度の運用を検討する検討会を設置しましたが、これは非公開で、その内容も資料も、県議会にも県民にも明らかにしない密室での協議を進めています。教員に対して成果主義賃金を導入することは、どんな形であれ教職員を分断し、教職員の協力体制を破壊して、子供と学校に大きな混乱をもたらすものであります。だからこそ、全国でも日の丸・君が代の異常な強制を行っている東京都だけしか実施されていないものであります。
 私は、県立学校長会議などで示された関係資料の提出を県教委に要求するよう求めましたが、商工文教委員会で否定されました。これは、行政をチェックする県議会の役割を否定し、県教委の密室協議を容認する重大な問題であることを厳しく指摘するものであります。
 補正予算のその他の内容については、基本的に賛成するものであります。
 議案第9号から第14号は、建設事業に要する経費の一部を関係市町村に負担させるものであり、反対するものであります。
 議案第18号と26号は、県職員と市町村学校職員に対して、国に準じて休息時間を廃止しようとするものであります。これによって昼休みは45分に短縮され、3時の休息時間も廃止となります。これは、労働者の健康維持はもとより労働効率にとっても悪影響をもたらすものであり、国に準じる以外に何の理由もないものであります。異常な労働強化を進めている民間企業を見習うことは全く必要のないものであります。それどころか、県庁でも労働強化によって精神的疾患にかかる労働者が増加しています。メンタルヘルス問題に真剣に取り組むべきであります。
 議案第24号は、岩手県立学校設置条例を一部改正しようとするものであります。県立久慈工業高校の土木科の募集を停止し、建設環境科を設置するとしています。今年度の入学者が少なかったことを理由にしていますが、学級数を維持したまま、土木科を廃止し建設環境科を新たに設置する理由は全くありません。当該校の校長も、地元の自治体も土木科の維持を求めており、県教委が上から一方的に土木科を廃止することは異常なことであり、全く教育的でもありません。また、県立釜石工業高校についても、学級減もなく、土木科を廃止して電子機械科を新たに設置しようとしていますが、機械系の学科を2学科にする理由もありません。場当たり的なこうした学科改編は根本的に見直すべきであります。
 議案第25号は、認定こども園の認定の基準を定めるものであります。認定こども園は6月15日の国会で決められたもので、十分な審議もなく、内容もたくさんの問題を抱えたものであります。さらに、10月実施としたことは二重の問題であります。県の対応と提案は、必要な専門家による検討委員会も設置することなく、国に準じただけのものであります。
 第1に、認定こども園を設置するとしていますが、新たな財政支援は全くありません。保育園型、幼稚園型の認定こども園は財政支援がなく、保育料によって幼稚園児、保育園児を預かるもので、その影響は、保育士さんや幼稚園の先生の待遇と保育の低下となってあらわれざるを得ないものであります。
 第2に、待機児童が解消されない中で、保育に欠ける子供が認定こども園に入園を申請し、定員を超えた場合、市町村が新たに他の保育園に措置しなければなりません。複雑になるばかりであります。
 第3に、認定こども園の保育料は自由に設定できるとされています。実際に認定こども園を目指している幼稚園の動向を見ますと、財政支援がない中で、比較的低額の保育料が設定されています。保育料の引き下げ競争と労働条件の悪化が予想され、結局、保育の低下が心配されるものであります。また、低所得者や障害児などが排除されることも懸念されるものであります。
 第4に、岩手県独自に認定こども園には子育て支援事業が義務づけられていますが、何の財政的支援策もありません。毎日の開園日に実施するとなると、保育士等の人的配置、相談室などの施設が必要です。施設に新たな事業だけを押しつけるのでは、新たな犠牲を強いるだけであります。
 第5に、こうした規制緩和は、子供の保育と教育の充実を求める立場からではなく、保育事業を大手の民間に市場開放させようとする規制緩和・民間開放の立場から出されたものだということであります。実際、規制改革・民間開放推進会議は、7月31日、中間報告を出しました。その内容は、規制緩和の重点課題として保育事業を挙げ、認可保育園にも直接契約と保育料の自由設定を広げ、措置制度を破壊して民間に市場開放すべきとしています。これは、子供の保育に対する国の責任、地方自治体の責任を投げ出すものであり、認定こども園をその先兵にしようとしているのであります。
 議案第27号は、一般国道455号北山トンネル築造工事の請負契約を変更しようとするものであります。6月県議会で既に述べたように、5回にも及ぶ契約変更によって事業費は1.7倍に増加しました。これは異常なことであり、設計のあり方が問われる重大問題であります。
 最後に、請願第78号と83号の不採択に反対するものであります。
 請願第78号は、県立福岡工業高校の都市工学科を含めた3学科の存続を求めるものであります。1万274人の署名が寄せられ、自民、民主の議員の紹介議員によって提出されたものであります。都市工学科の廃止は、公表されるまで当該校でも議論されることなく、PTAや同窓会にも知らされずに示されたものであります。商工文教委員会では1万人余の署名の重みを踏まえて継続審査としたものでありますが、県教委による異例の要請で再び委員会を開催して不採択としたものであります。紹介議員を出した政党・会派の責任が厳しく問われるものであります。
 議案第83号は、県立こまくさ幼稚園の来年度の3歳児募集と第三者を含めた検討委員会の設置を求めるものであります。昨年も同様の請願が9月県議会に提出され、これは本会議で全会一致で採択をされました。その理由は、子供や父母にとって突然の閉園の提案で、既に入園している子供と父母にとって重大な契約違反に当たる問題だということでありました。また、県立こまくさ幼稚園が県内の幼稚園教育をリードするすばらしい幼稚園教育が実施されていることも強く指摘されました。このことは、1年たっても変わっていないばかりか、県教委の対応は、話し合いはしたというものの、ほとんどの父母が納得できない、極めて不誠実なものでありました。県教委は、県立こまくさ幼稚園の存在意義はなくなったとしていますが、決してそうではありません。
 第1に、県立こまくさ幼稚園は、平成11年以降も県教委に移管され存続してきましたが、その理由は、研究成果を県内に広げることであり、研修センター的役割が必要だということでありました。この役割は今でも立派に果たしているのが県立こまくさ幼稚園の実態であります。
 第2に、県立こまくさ幼稚園は、岩手の幼稚園教育のモデルであり、目標でもあります。その役割は、預けている子供と父母だけでなく全県的役割を果たしているのであります。子供が喜んで通園したい幼稚園であり、子供も父母も育てられる幼稚園だと皆さんが訴えています。夫が単身赴任しても、県立こまくさ幼稚園があるから岩手で子育てすることにしたという方もおられました。岩手県の誇りと言うべき幼稚園であります。
 第3に、増田県政は、公営ギャンブルの競馬事業には破綻しても330億円も財政支援をするが、子供にとっても、父母にとってもかけがえのない県立幼稚園は廃止してしまう。こういうことは逆立ちした県政だと言わなければなりません。子供の権利条約は、子供に最善の利益を第一に考えるとしています。少子化の時代だからこそ、子供の利益を第一に考えた県政を進めるべきではないでしょうか。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第83号岩手県立こまくさ幼稚園の存続について請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第83号岩手県立こまくさ幼稚園の存続について請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第78号県立福岡工業高等学校の都市工学科を含めた3学科の存続に関する請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第78号県立福岡工業高等学校の都市工学科を含めた3学科の存続に関する請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第25号認定こども園の認定の基準を定める条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第25号認定こども園の認定の基準を定める条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号、議案第9号から議案第14号まで、議案第18号、議案第24号、議案第26号及び議案第27号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第9号から議案第14号まで、議案第18号、議案第24号、議案第26号及び議案第27号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第28号財産の処分に関し議決を求めることについてを採決いたします。
 本件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第28号財産の処分に関し議決を求めることについては、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第8号まで、議案第15号から議案第17号まで、議案第19号から議案第23号まで、議案第29号から議案第31号まで及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第8号まで、議案第15号から議案第17号まで、議案第19号から議案第23号まで、議案第29号から議案第31号まで及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 
   日程第33 委員会の閉会中の継続審査の件
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第33、委員会の閉会中の継続審査の件を議題といたします。
 
〔参照〕
環境福祉委員会
受理番号 件             名
75 岩手県立大迫病院の充実を求める請願
79 岩手県立伊保内病院の充実を求める請願
商工文教委員会
受理番号 件             名
80 財団法人新渡戸基金に対する岩手県の出捐協力について請願
 
〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査の件につきましては、先ほど環境福祉委員長及び商工文教委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
 
日程第34 発議案第 2 号雪害対策の充実を求める意見書から日程第41 発議案第 9 号トンネルじん肺根絶の抜本的な対策を求める意見書まで
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第34、発議案第2号から日程第41、発議案第9号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第5号仕事と生活の調和推進基本法(仮称)の制定を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、発議案第5号仕事と生活の調和推進基本法(仮称)の制定を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第2号から発議案第4号まで及び発議案第6号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、発議案第2号から発議案第4号まで及び発議案第6号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
 
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 2 時11分 散 会

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