平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇 2 番(亀卦川富夫君) 政和・社民クラブの亀卦川でございます。
 冒頭に、去る7日、発達した低気圧により大きな損害が発生しました。一日も早い復興を願い、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
 それでは、さきに通告しております項目について順次質問いたします。
 最初に、地方分権改革と地域間格差是正についてお伺いいたします。
 去る9月26日、安倍新内閣がスタートしました。新政権のもと、地方のいわゆる格差是正にどのような政策が打ち出されるのか、大きな関心が寄せられるところであります。これまで、地方分権社会への対応として、平成の市町村大合併や三位一体の改革などが進められました。
 そこでお伺いする第1点は、我が国の地方分権改革の進捗状況と成果及び問題点、特にも地域間格差が大きく指摘されておりますが、これらについて御所見をお伺いいたします。
 第2点目は、岩手県及び県内市町村の変容についてであります。地方分権は、自立できる地方としての力が求められます。岩手県では産業育成などに取り組んでまいりましたが、地方分権に照らした政策の進捗、成果、問題点などをお伺いいたします。自立の一方、責任も伴います。結果は財政にあらわれますが、県の財政は厳しい状況が続き、財源不足対応のため、より一層の行財政改革が求められております。今日までの取り組みにより本県の体質はどのように変わってきたのか、お知らせ願います。また、合併により岩手県の市町村の枠組みは大きく変わりました。まだ合併効果を検証するには時期尚早かもしれませんが、現状認識をお伺いいたします。
 第3点目は、地方自治体の財政力評価を基準とした資金調達力についてお伺いいたします。市場公募地方債は年々増加しており、平成18年度の地方債計画においては、市場公募債の地方債全体に占める割合は25%に達しております。この市場公募地方債の発行に先月から市場原理が強く反映されるようになりました。これまで統一交渉により同一金利であったものが、個々の自治体が金融機関等と個別に交渉する方式に変わり、自治体の財政力評価が金利差としてあらわれる仕組みとなりました。具体の例で言うと、9月債の表面利率では大阪府が2.0%、埼玉県が1.8%で、実に0.2%の差が生じています。こうした財政力評価、格付が基準とされる資金調達力について、本県財政が非常に厳しい状況の中、今後の対応についてお伺いいたします。
 第4点目として、増田知事の描く分権時代の社会像をお示し願いたいと存じます。今後、目指すべき国の仕組みや社会のあり方をどのように描いておられるのか、また、安倍政権下、道州制についても議論がなされるようでありますが、御所見をお伺いいたします。あわせて、今後、岩手県はいかにあるべきか。増田知事は、これまでいわて地元学を提唱されてこられました。私は、岩手の地元学にこれからの岩手の姿の原点があると思います。知事のこだわり、思いといったものを御披瀝ください。
 第5点目は、知事会の役割であります。これまで闘う知事会として、国に対し分権改革を主張し、地方自治法に定める意見提出権を使い改革を求めるなど努力をしておりますが、道半ばであります。今後、分権改革を推進するため、地方分権推進法・一括法の整備や道州制の論議など、全国知事会の役割は非常に大きいと思います。小泉内閣から安倍政権にかわった現在、まさに知事会の役割が問われるときであります。物言う知事のメンバーの交代もあり、これまで中心的役割の一端を担ってきた増田知事の存在はさらに大きなものになったと思います。安倍内閣の地方政策に対する感想、さらに、安倍新政権に対し臨む知事会での増田知事の役割及び知事会としての今後の政策提言の内容や対応についてお伺いいたします。
 次に、人口減少社会への対策についてお伺いいたします。
 人口減少は、社会の活力の喪失や年金、医療など社会保障制度の破綻が指摘される大きな課題であります。我が国は予想より早く人口減少社会へ入りましたが、岩手県の人口減少は全国より速いペースで進んでおります。その要因は、少子化もありますが、雇用の場が少ない、あるいは進学先などの産業構造、社会構造によるものも大きい要因であります。そこで以下、人口減少への対応、対策についてお伺いいたします。
 お伺いする1点目は、少子化対策であります。ことし3月から7月まで全国統計では連続して出生数が前年対比増加しております。岩手県ではどうでしょうか。少子化の原因の大きな要因として経済的負担や育児施設の不足などが挙げられておりますが、県としての取組状況と今後の見通しをお知らせください。特に、出産、小児医療に取り組む医療機関の整備が喫緊の課題ですが、状況はどうでしょうか。
 2点目は、岩手への移住促進策についてであります。来年迎える団塊世代の退職、いわゆる2007年問題に関し、さまざまな対応策が論じられております。ふるさとへの回帰あるいは田舎の暮らしへの誘いなど、移住による定住人口の増加策であります。施策のポイントは、住んでみたい、住んでよかったといった生活の場の提供であります。そのためには、医療福祉や農林水産業あるいは文化、スポーツなど多岐多様な観点からの試みが必要と思います。さらに、このような取り組みは、観光や仕事のため岩手を訪れる、いわゆる交流人口と言われる人々への岩手の魅力アピールや移住につながるのではないでしょうか。本県の取組状況はいかがでしょうか。また、この対策には部局横断的連携作業が肝要ではないかと思いますが、組織的な対応はどうなっておりますか、御所見と今後についてお伺いいたします。
 3点目は、これからの時代を担う若者をいかにふやすかであります。岩手で学び、岩手で働き、岩手で暮らすといった視点での若者の定住化促進政策が必要ではないでしょうか。岩手の人口減少の要因を減らすために、進学先の多様化、高度化、また、より魅力ある雇用の場の確保を政策目標に掲げる必要性があると思います。産業振興についてはしっかりした取り組みが進められておりますが、進学先の観点では希薄であるようであります。産学官のさらなる連携、協働の実を上げ、産業振興のみならず、他県、他地区からも学生を岩手に呼び込むような教育の場の確立など、攻めの姿勢、具体的な政策が求められると思います。御所見と今後についてお伺いいたします。
 次に、県南広域振興圏設定、広域振興局再編後の取組状況についてお伺いいたします。
 この施策の意義は、これまでただしてきた地方分権、人口減少社会への対応であると理解しております。昨年構想発表後直ちに作業に入り、まず、市町村合併が進んだ県南地区において4月からスタートいたしました。まずもって増田知事からは、今日までの経過を見て、目的の方向性に向かって進んでいるのか、現状認識と今後の進め方についてお伺いいたします。
 さらに、このたび2010年までの経済成長施策をまとめた産業成長戦略案が発表されましたが、今後の取り組みの具体と、さきに提出された県北・沿岸の振興策や、ただいま策定中の県南広域振興圏の地域振興ビジョンとの関係、位置づけについてお伺いいたします。
 その上で、初代県南広域振興局長でもある酒井企画理事から現場での進捗状況や課題など、具体的に以下数点にわたりお伺いいたします。
 第1点目であります。最重要の産業振興に関しては県南の特徴を生かした振興を目指すとしておりますが、以下ジャンル別に進め方の内容をお知らせください。一つは、自動車、半導体、精密機械など北上川流域のものづくり基盤整備、二つには、世界遺産に指定予定の平泉文化遺産や岩手の資源を生かした観光について、三つには、すぐれたブランド品として付加価値の高い農林業の展開、四つには、産業間の連携による振興策、特に農業分野における食品製造・流通分野での連携が期待されますが、その推進についてお尋ねいたします。
 お伺いする第2点目は、産業基盤の整備を図るため、産学官のさらなる連携強化や人材育成、また、商談会などの情報交換、さらには資金調達など直接間接の支援策が大切でありますが、これまで現場に赴き、直接必要性を感じた点もあると思います。今後の進め方をお伺いします。また、圏域内の地場産業、地元企業への波及効果をどのように導いていくのか、育成策とともにお伺いいたします。
 第3点目は、市町村への権限移譲の推移についてであります。県南の自治体の大半は市町村合併間もなくであり、合併直後の職員間あるいは地域間の意思疎通など、県からの権限移譲の受け皿として機能発揮ができ得る状況であるのかどうか、お伺いいたします。また、県からの人的支援が望まれているのではと思いますが、状況はどうでしょうか。その上で、権限移譲の現状と今後の予定など見通しをお示しいただきたいと思います。
 第4点目は、行財政構造改革の一環として、本局、総合支局、行政センターなどの広域振興局再編を進めましたが、現状認識と課題についてお知らせください。
 次に、産業振興と社会資本整備についてお伺いいたします。
 ただいま県南広域振興圏のビジョンや見通しについてお尋ねいたしましたが、政策の中心をなす産業振興にとって、社会資本整備は欠かすことのできない大切な施策であります。その整備は、財政上の制約もありますが、構想、計画、事業実施の道筋は早急につけなければなりません。社会資本整備のロードマップ、工程表が明示されていることが、立地するにも投資を考えるにしても、企業経営の見通しを立てる上に肝要なことであります。このような観点から、以下お尋ねいたします。
 内陸工業集積地と港湾を結ぶ東西線、内陸部を縦走する南北線などの幹線は、産業道路としてどのような構想、計画になっているのかお尋ねいたします。特にも東西線の一つである国道397号は、金ケ崎町の岩手中部、江刺中核などの工業団地と岩手県の重要港湾である大船渡港を結ぶ産業道路として重要であり、地元からも具体的な要望がなされておりますが、その認識と整備の見通しをお示しください。あわせて、南北線の一つである主要地方道一関北上線の整備箇所とスケジュールをお示しください。
 第2点目は、北上川の架橋整備であります。国道397号のかなめである奥州市の小谷木橋は幅員が狭く、自動車関連産業を初め、増大著しい物流上、その整備が強く望まれております。加えて、建設後既に50年以上たち老朽化が進んでおり、早急な整備が必要であります。今日までかけかえあるいは国道のつけかえによる新橋構想など地元協議が重ねられてきたところでありますが、どのような状況でありますでしょうか。数年前まで当時の水沢市との間でかなり計画の具体化に向けて進んだものと理解しておりますが、なぜそれがとんざしたのでしょうか。県南広域振興の観点からも早急に方針を立てる必要があると思いますが、その方策及び年次計画などロードマップをお示しください。
 第3点目は、金ケ崎町の岩手中部工業団地には自動車関連の企業進出が進み、大きな投資がなされておりますが、それに伴う周辺の道路整備及び国道4号北上-金ケ崎間の整備について地元自治体から強く要望されております。その状況と今後の進め方をお伺いいたします。また、奥州市江刺区と金ケ崎町を結ぶ新金ケ崎大橋構想が提唱されておりますが、産業振興の見地からの御認識をお尋ねいたします。
 第4点目に、光通信などブロードバンドの整備が産業界から強く望まれております。グローバルな経済活動の中で企業を立地し、維持・発展を図る上では今や欠かすことができない社会資本であります。しかし、岩手県全体の整備は大きく立ちおくれているのが現状であります。ちなみに、本年6月総務省発表の都道府県別の統計によれば、ブロードバンドゼロ地域の世帯比率は全国46位、光サービス利用可能世帯では最下位であります。県南広域振興圏は利用可能な地域にあるのかもしれませんが、過日の知事を囲む県南の産業界有識者の懇談会では光サービス利用の要望が出されたと記憶しております。岩手県の場合、医療映像伝達などでは高く評価されておりますが、いわば官と官の間のネットワークの成果評価であり、民が使えるネットワーク形成がおくれているのではないでしょうか。情報整備だけでの観点では投資効果の上で整備が消極的になると思いますが、産業振興や岩手の文化など横断的見地からいえばこれ以上おくれることは岩手県発展の阻害要因になると思います。国内の地域格差を考えるならば、やる気のある地域支援の国策にぜひ乗るべきと思いますが、現状認識と国の政策の情報と今後の進め方をお伺いいたします。
 また、県内に9局あるCATVはブロードバンドシステムとして活用できるのではないでしょうか。その場合、拡張に対する適切な支援策が必要と考えますが、御認識をお伺いいたします。
 次に、県立高校新整備計画後期計画の進捗状況についてお伺いいたします。
 後期計画策定の過程で、専門学科高校のあり方については時代の要請にこたえる内容が吟味されました。計画策定後も、県南広域振興圏設定に見られるような産業振興、なかんずくものづくり産業分野での人材育成が重要かつ喫緊の課題となり、ものづくり人材ネットワークなどが提案されました。
 お伺いする第1点目は、これに対応した教育現場での対応策と進捗状況についてであります。また、専門学科高校の就職状況など現状と今後の課題があると思いますが、お尋ねいたします。
 第2点目は、多部制・単位制高校の設置についてお伺いいたします。多部制・単位制高校は、従来の定時制と異なり、夜間に限らず、勤務の形態や自己の状況に合わせて科目や時間帯を選択することができる学校で、設置の要望が高いものであります。後期計画において、現在ある杜陵高校のほかに、全県的バランスから久慈ブロックと胆江ブロックに設置するものとして計画されました。しかし、胆江ブロックにおいては水沢商業高校と水沢工業高校の統合をベースにしての設置計画でありましたが、専門学科高校の充実の観点からそれぞれ独立校として整備されることになり、設置場所については今日まで練り直してきたものと認識しております。設置場所としては、多部制・単位制高校の性格上、交通の要所、あるいは夜間にわたることから市街地での設置が望ましく、これまで幾つかの候補を挙げ、検討されてきたものと承知しております。後期計画中の設置が望ましいとの要望が強くありますが、多部制・単位制高校の設置場所や整備の進め方についてお示しください。
 次に、病床削減の影響についてお伺いします。
 7月から始まった医療制度の改革により、病床削減が現実のこととなりました。厚生労働省は療養病床38万床を15万床に、実に23万床削減を目指しております。その結果、社会的入院患者、社会的入所利用者とみなされる23万人は介護難民と言われる境遇になるのではと危惧する声もありますが、どうでしょうか。病床削減は国の一貫した政策であり、一般病床も近い将来には約半分に削減されるのではとの見方もあります。これを岩手県に当てはめますと、まず、療養病床は平成24年3月末までに2、200床の削減、一般病床も全国並みに考えれば数年後に大幅な削減となるおそれはないのでしょうか。制度改革による影響及び予測についてお知らせください。
 第2点目に、廃止される療養病床は、老人保健施設などの有料老人ホームへの転換を勧められております。しかし、県内市町村の平成18年からの第3期介護保険事業計画の中に介護老人保健施設整備計画はあるのでしょうか。なければ、3年後の第4期の計画策定に組み込まれなければ老健施設にも移行できないことになります。また、特定施設入居者生活介護に該当する有料老人ホームの枠も本県では整備目標に対し抑制するとも仄聞しておりますが、いかがでしょうか、今後の見通しをお知らせください。
 第3点目に、岩手県の現状は、県立病院など自治体病院や特養などの介護施設整備は全国でもトップグループにあると言われておりますが、反面、病床利用率は80%ほど、また、老健や療養病床に空きが見られる、裏を返せば介護ベッドや医療ベッドの過剰との見方ができるとの指摘もあります。さらに今後、入院患者の平均在院日数の短縮化により一般病床の需要が少なくなると見込まれております。これらの理由から、岩手県では療養病床が削減されても介護難民は出ないとの御見解でしょうか。広い県土の本県では在宅者を訪問するにも時間がかかり、さらなる介護施設の充実や療養病床の老健や有料老人ホームなどへのスムーズな転換が望まれますが、御見解をお尋ねいたします。
 最後に、岩手競馬再生についてお伺いします。
 岩手競馬の経営は、存廃を含め大きな問題になっておりますが、このたび廃止の基準を設定したぎりぎりの経営再生計画案が示されました。今後、県民の理解を得ることが大切であります。理解を得る上で大切なことは、なぜ構成団体が融資しなければならないのか、また、融資の結果、本当に経営が成り立つのかなどの検証であります。それには、岩手競馬の成り立ち、仕組みを踏まえた説明が基本として必要であります。私なりにまとめた経緯を申し述べますが、管理者である知事の御所見を改めてお伺いします。
 まず、競馬組合の経緯であります。戦前の地方競馬は、畜産や軍馬育成を目的とする産馬組合などが有する競馬場を使用するクラブ形式の民間経営でありましたが、戦後、占領軍の指令により、競馬場をいわば接収という形で公営競馬に変わりました。現在の財政競馬であります。岩手においては、岩手県営競馬、水沢市営競馬などであります。この間、アイオン・カザリン台風の甚大な被害を受けた一関市の復興資金を得るための競馬開催等を経て、昭和39年に経営の効率化という国の指導により、県及び市の議会議決のもと、一部事務組合としてそれぞれの経営を引き継ぎ、設立されたものであります。したがって、出資あるいは補助を受けるということは、設立以来、一昨年に37億円の融資を受けるまで全くありませんでした。設備投資も組合独自で行ってきたものであります。この間、組合は、各構成団体による議会の議決に基づいた組合規約により、岩手県5.5、水沢市2.5、盛岡市2.0の割合で配分金を構成団体に約407億円納入してきたものであります。
 一方、経費は組合の事業から生ずる収入などで支弁し、なお不足のあるときは構成団体が利益配分の割合でその不足額を分賦するというものでありますが、これまで分賦したことはありませんでした。不足は繰り上げ充用として措置されてまいりました。これが累積赤字分であります。今回提示された構成団体の融資の理由はここにあると存じます。さらにこの間、岩手競馬は、本県の雇用の場として、また、産業として地域経済に多くの経済貢献をなしてまいりました。今、破綻することのマイナスは年間約100億円と推計されております。これが融資の第2の理由であると思います。
 これらについて県民の理解を得ることが大事な点と思いますが、今日までその経緯、内容についてのお知らせが極めて少なかったのではないでしょうか、御所見をお尋ねいたします。
 次に、融資をして経営は成り立つのかどうかでありますが、二つの見方ができると思います。一つは、組合内部の抜本的な改革であり、もう一つは、国の進める地方競馬の運営の一元化による連携での大幅なコストカットであります。組合自体の改革案は、法律で決められている売り上げの25%を賞典費など競馬競争の経費と馬券発売に要する運営経費及び償還などに伴う経費をそれぞれ経営指標に定めて運営するというものであります。これは一般企業でいえば、いわゆる粗利の約25%の範囲内で経費構造を確立するということで当然の行為でありますが、今回初めて改革案に盛り込まれました。しかし、現実の問題は、収支均衡にこだわる余り、縮小均衡のスパイラルに落ち込んではいないかという心配であります。御存じのように、縮小均衡の手法で再生された企業は1社もないと言っても過言ではありません。このことの現状をお聞かせください。
 また、ここ数年、岩手競馬は、廃止などの先行きの不安感や悲観的な暗い話題が多く伝えられ、売り上げの減少に拍車をかけているのではないでしょうか。したがって、再生に当たっては、明るい、かつ明確なメッセージを伝える再生の旗印が必要であると考えますが、いかがでしょうか。これは、賞典費の8%枠の指標を関係者に理解してもらうについても、レースの中身を含めた内容と再生の旗印に同意していただくものであって、縮小均衡につながるコストカットの延長線上からの同意要請では理解を得られないのではと思うのですが、いかがでしょうか、御所見をお聞かせください。
 また、現在、本県でも実施されている勝馬投票券のインターネット発売は、通信キャリアの手数料が粗利の50%を占めるシステムであります。これは、売り上げが一定の閾値を超えない限り売り上げ増に寄与しないものであります。そこで今後、JRAのように粗利のすべてが収入になるような新たな発売ツールを考えられないものか、お伺いいたします。
 次に、地方競馬全国協会の共同法人化に伴い、全国的な視野に立った、いわゆる競馬のセーフティネットの必要性と、その構築に本県としても努力すべきではないかと思われますが、この点での情報や御所見をお聞かせください。
 最後に、多岐多様にわたる競馬事業の再生の論点を整理し、かつ的確な再生の指針を導き出すために、オール岩手とでも言うべき総力を結集した経営改革断行が必要であります。
 この際、金融あるいは労務などのエキスパートを網羅、特にも競馬に通暁した人材を登用し、客観的かつ専門的な立場で審議、協議する再生チームとでもいう機関を設置し、JRAや全国の関係団体と緊密に連携を図りながら改革に当たることが肝要であると考えます。組合の実行力、県庁の頭脳を最大限引き出すためにも必要と思います。御所見をお伺いいたします。
 以上、登壇しての質問を終わりますが、なお、答弁次第では、再質問させていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 亀卦川富夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権改革についてでありますが、我が国のこの分権改革は一定の前進が図られてまいりましたが、今後さらなる分権推進のため税源移譲を進めるべきでありまして、その上で、地域の経済基盤をしっかりと強化して、自主財源の充実を図って、本県として財政的自立を目指していきたい、このように考えております。
 しかし、地域の経済基盤づくりには相当程度の時間を要し、また、税源の地域偏在自体は完全には解消できないものでございますので、本来の財政調整機能を持つ地方交付税制度への再構築が必要、このように考えております。
 次に、地方分権に照らした政策の進捗状況についてでございます。
 この4年間を県として自立を進める4年間と位置づけて、地域の自立に向けた取り組みを進めてきたところでありますが、特にも、経済的な自立を進めるための産業育成、それから地域コミュニティーの力を生かす取り組みなどについて一層強化してきたところであります。
 その成果として、自動車産業を中心としたものづくり産業の集積、それから、結いの精神を生かしたご近所介護ステーションの設置など、こうした岩手ならではの取り組みが確実に進んできたと認識しております。
 次に、行財政構造改革の取り組みについてであります。
 財政運営におきましては、歳入歳出全般にわたる改革に取り組みました。平成18年度におきまして、初めてプライマリーバランスの黒字化を達成して、県債残高が減少に転じたところであります。
 また、行政運営におきましては、組織のフラット化の導入や民間手法を活用した業務プロセスの改善など、仕事の仕組みや進め方を見直ししてまいりました。そして、事務事業のコストダウンなどの効果があらわれてきている、このように考えております。
 次に、分権時代の社会像についてでありますが、これは、内政の多くを地方が担うべきものでありまして、その中で、基礎自治体がしっかりとした行財政基盤を確立して、住民生活に密接に関係する行政サービスを総合的に提供する、広域自治体は、産業振興や大規模な社会資本の整備などを担っていくもの、こういう役割分担を考えるべきと思います。
 分権型国家の実現は、国のかたちの抜本的な変革でありますので、地方自治の保障・地方分権の確立を憲法の基本原理に加えますことや、国家組織の再編などについて踏み込んだ議論を行う必要がございます。
 安倍政権下において、道州制ビジョンの策定が予定されておりますが、この関係については、国の力を強める、中央統治を強めるという視点ではなくて、分権型国家を構築するという視点で議論が行われることが重要と考えております。
 次に、地元学への思いということであります。
 地元学とは、その地域に住む人々が、自分たちの暮らしや地域を見つめ直して、そこにしかない伝統文化、地域資源を再発見して、これらを地域の発展可能性として大切に守り育てながら、地域らしさを追求して、地域の生活や文化などを創造していくということであると考えております。
 議員御指摘のように、いわて地元学の実践が重要と私も認識しておりまして、人口減少、そして少子・高齢化社会において、こうしたいわて地元学の取り組みが、コミュニティー再生のきっかけや地域を支える交流人口の拡大にも大きく寄与するものと期待して、今後も積極的に支援していく考えであります。
 次に、全国知事会の役割でありますが、安倍総理の所信表明演説では、地方の行財政改革を進めて、自治体の再建法制の整備に向けた検討など、地方の自律を求める、こう述べられているものの、具体的な姿はこれから、そういう印象を持っております。
 そこで、知事会としては、安倍首相が今の臨時国会に提出することを明言いたしました新たな地方分権推進法の早期成立を図って、今後の分権改革の理念や目指すビジョンを国と地方、そして国民との間でしっかりと共有した上で、各政策分野ごとの国と地方の役割分担の見直し作業を行って、さらなる地方分権改革に向けて関係法令の一括した見直しにつなげていきたい、このように考えております。
 こうした取り組みの中で、国民世論に訴えながら議論をリードするとともに、地方6団体の結束を図っていくようなリーダーシップを発揮することが、知事会の役割であると認識しておりまして、私もその一翼を担っていきたいと考えております。
 次に、広域振興局についてでございます。
 県南の広域振興局は、これまでに県南広域振興圏の特色を生かした産業の振興、市町村への権限移譲の推進による行財政基盤の強化などの目標を掲げて、重点的な取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、北上川流域ものづくりネットワークといわて自動車関連産業集積促進協議会の設置、それから、この地域の地域資源を生かした産業振興戦略の策定、さらには市町村への権限移譲1、000項目を目標とした市と町との研究会の設置など、いわば現場主義にのっとりまして、広域課題の解決に向けた取り組みを着実に推進してきておりまして、所期の目的の方向に進みつつあるもの、このように考えております。
 とりわけこの圏域は、人口、それから域内総生産ともに県全体の約4割を占めておりまして、県勢発展の大きなかぎを握る地域であるとともに、将来の1広域振興圏1広域振興局体制への移行を見据えた先行モデルとしての重要な役割を担っておりますので、引き続き、広域振興局の機能強化や組織体制の整備に努めていく考えであります。
 また、産業成長戦略でありますが、これは、ものづくり産業を初めとして、食産業や観光産業、農林水産業などを付加価値の高い産業として育成して、商業、サービス業を含めた本県産業全体の力強い成長を実現しようとするものでございます。
 この戦略において、本県が先駆的に取り組んできた産業人材の育成をより一層強化していくほか、例えば、県立大学の周辺にIT産業の集積を進める構想を提示するなど、この産業成長戦略の内容は、今後策定する新しい政策推進プラン――後期実施計画でありますが、こうしたプランや地域振興ビジョンに反映させていくものでございますが、県北・沿岸圏域につきましては、早急に取り組みを強化する観点から、この戦略と一体的に産業振興策を取りまとめ、もう既に着手しているところでございます。
 次に、情報通信基盤の整備についてでございますが、ブロードバンドの整備は、産業成長を促進する上でも、今般策定した産業成長戦略において示したとおり、極めて重要であると認識しております。
 しかしながら、このブロードバンドの整備は民間主導で進められるのが原則でありまして、議員ただいま御指摘いただきましたとおり、広大な県土を有する本県では、採算面から民間通信事業者が投資しにくいという現状がございまして、結果として、都市部との情報格差の拡大が懸念されております。
 国では、2010年までにブロードバンドゼロ地域の解消を目指す方針として、IT新改革戦略というものを掲げて、今年度、地域情報通信基盤整備推進交付金を創設して、また、来年度政府予算概算要求では、同交付金の増額を要求しております。44億円ほどの今要求をしている――44億円ほどの増額の要求ですね、合わせまして97億円と100億円近い金になりますが、その予算要求をしているところでございます。
 県では、こうした国の交付金の積極的な活用を念頭に置きながら、東北総合通信局などと東北地域ブロードバンド推進会議を設置して、県内市町村、民間通信事業者と共同したロードマップを作成するとともに、地域の実情に沿った適切な整備モデルや財源モデルを検討しながら、今後も未整備地域の解消に鋭意取り組んでいく考えであります。
 次に、岩手競馬についてでありますが、まず、県民の理解ということであります。
 この競馬組合が、設置以来、構成団体に407億円の利益金を配分し、その利益金は産業振興、医療福祉、教育など、広く活用されてまいりました。また、地方競馬全国協会を通じて、県内の畜産振興に76億円の補助がなされるなど、この岩手競馬が財政競馬として果たした役割は、非常に大きいものがございます。
 また、競馬には、約2、500人に及ぶ競馬関係者の存在や約100億円の直接的な経済効果など、地域の雇用・経済に大いに貢献をしてきたものである、このようにとらえております。
 しかしながら、これまで、このように岩手競馬が具体的に構成団体の財政や地域へ貢献してきたことを、県民・市民の皆様にお伝えする機会は、確かに不足していたものと認識しています。
 今後、新計画(案)の内容について、県民・市民の皆様への周知を図る取り組みを進める中で、この競馬がこれまで果たしてきた役割等についても、一層の周知を図ってまいります。
 次に、この事業の縮小均衡ということであります。
 今後、競馬事業を継続していくためには、赤字を拡大しないことが条件であると考えておりまして、このため、発売収入の25%の範囲内で事業運営が持続できるコンパクトな競馬への転換を図りますとともに、一方で、単なる縮小均衡のスパイラルに陥らないように、既存ファンの確保、新規ファンの拡大によるファン層の拡大や自場発売に加えて、広域受委託発売の拡大など、発売形態の見直しによりまして、事業収入の確保・拡大策も重要な取り組み、このように考えております。
 このような取り組みを通じて、岩手競馬再生の道筋がつけられるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、再生の旗印ということでありますが、今述べましたように、経営指標を設定して収支の均衡を図るとともに、あわせてファン層の拡大や発売形態の見直しによって事業収入を確保する、いわば攻めの姿勢の具体策をしっかりと構築することが、競馬再生に向けた明確なメッセージになるもの、このように考えております。
 また、関係者への理解ということでありますが、この発売収入の25%の事業収益ですべての経費を賄える収支構造に転換するという、この新しい計画(案)の経営管理手法について、まずもって関係者に御理解いただくことが重要でございまして、その上で、賞典費についても、限られた財源の中で工夫を凝らして、優勝劣敗というこのレースの本質に立った賞金体系を構築することが重要と考えております。
 今後も、基本的な考え方について十分御説明して、競馬関係者の御理解と協力を得ていきたいと考えます。
 次に、新たな発売ツールということでございました。
 粗利益のすべてが競馬組合の収入となるようなインターネット発売を実現するためには、JRAと同様に、単独でシステムを構築して運営していく必要がございます。
 その実現には多大な費用を要するということでありまして、当面、組合が単独でシステムを構築・運営することは困難でありますが、将来的には、ことしの8月に導入したフォーメーション投票システムの例のように、他の地方競馬主催者と連携して、地方競馬全国協会が実施する競馬連携補助事業を活用しながら、新たな発売ツールの導入や利用者の利便性の向上を図っていくことを検討していきたいと考えております。
 それから、共同法人化に伴います全国的視野に立った競馬のセーフティネットの必要性と構築についてでございます。
 さきの競馬法改正で、地方競馬事業の経営改善に資するものとして、競馬連携補助事業が創設されて、岩手競馬でも、インターネット銀行での決済、それからフォーメーション投票の導入など、購入者の利便性の向上に活用してまいりました。
 今後、新たな法人が設立される場合でありましても、これまで以上に地方競馬が連携を図りながら、経営改善を進める事業が実施されて、地方競馬の将来展望が開かれるよう、他道県と連携しながら、国に対して引き続き要請をしていく考えでございます。
 次に、再生チームの設置についてでありますが、今回、新たな局面を迎えたということで体制を刷新いたしました。また、経営改革を進めるに当たって、競馬事業運営の専門的ノウハウを有する職員を中心に、構成団体の職員も加えて、レース編成など競争関係、発売の確保・拡大関係、そして経営計画関係の三つのプロジェクトチームを設置して、今、課題解決に取り組んでいるところでございます。
 今後も、構成団体や競馬関係者も一体となって、その総力を挙げて競馬組合の経営改革に取り組みますとともに、必要に応じて、広く人材の登用についても検討していきたいと考えています。
 また、JRAや地方競馬全国協会などのいわゆる競馬関係団体との連携につきましても、岩手競馬の再生を図っていく上で、このことは大変重要であると考えておりまして、機会をとらえて、協議を重ねて、具体的な連携の実現を図っていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 県南広域振興局に関するお尋ねにお答えいたします。
 まず、県南圏域の産業振興の進め方についてでございますが、産業振興分野につきましては、しっかりとした戦略を持って取り組むことが重要だと認識してございまして、このため、現在、各産業分野別に、県南広域振興局としての産業振興戦略といったものを策定しているところでございます。これらを平成19年度の予算編成、あるいは今後策定することとなります県南広域振興圏における地域振興ビジョンというものに反映させていきたいと考えてございます。
 お尋ねの各ジャンル別の進め方につきまして簡単に申し上げたいと思いますが、まず、ものづくり基盤の整備につきましては、自動車関連産業の集積を核として、ものづくりの基盤技術の強化と人材育成の取り組みを進めてまいりましたが、加えて、今後大きな成長が見込まれる分野、また自動車関連産業とも、自動車とも、今後電子部品等の割合がふえるということからも、半導体分野といったものに着目いたしまして、これらに関連する企業集積にも取り組み、県南圏域を中心とした厚みのあるものづくり基盤の構築を目指したいと考えてございます。
 また、観光につきましては、国内外の観光地との競争が激化しているという中にありまして、農業など他産業との連携、あるいは地域資源を生かした旅行商品を地域が主体となって提案する、こういったことが求められておりますほか、観光関連企業自体の経営力の強化が重要と認識してございまして、こうした観点での取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 また、平泉の世界遺産登録の関係でございますが、この平泉の文化遺産を有効に活用するということが、重要かつ喫緊の課題でございますので、平泉の文化遺産観光活用推進アクションプランというものを今月中に取りまとめることにしているところでございます。
 それから、農林業につきましては、担い手を持続的、安定的に育成確保することが何よりも重要だと認識してございますので、現在、担い手への農地等の利用集積や集落営農の推進に重点的に取り組んでございますが、今後とも一層推進する考えでございます。
 また、マーケット、市場に的確に対応した農産物の生産振興に取り組むほか、農業分野における他産業との連携、食品製造業、あるいは外食・中食産業、そういったものとの取引の開拓、あるいはマッチング、こういった支援などに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、広域振興局の産業基盤の整備に関するお尋ねでございますが、4月に県南広域振興局長に就任して以来、私も圏域内の幾つかの現場、農業、工業、観光、そういった事業所、生産者等を訪問させていただきました。また、局職員に対しては、できるだけ多くの生産者、企業等を直接訪問し、ヒアリング調査あるいはインタビューをするようにというような指示をいたしておりまして、現場主義の徹底に努めてきたところでございます。
 こうした現場主義の徹底を通じて得た情報、経営課題等をもとに、現在、先ほど申し上げましたとおり、各産業分野別に産業振興戦略、これも10月中を目途に作業してございますが、この中で、産学官連携を初め、人材育成、企業間マッチングなどの各種支援策について具体化を図ってまいりたいと考えてございます。
 地元の中小企業への波及につきましても、こうした取り組みの中で効果が発揮されるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、市町村への権限移譲についてでございますが、市町と協働で研究会等を設置いたしまして、移譲事務にかかわる具体的な内容について協議を行ってきたところであり、現在、各市町において、来年度から移譲を受ける項目の検討が行われるところでございます。早いところでは既に出ておりますが、今月の上旬、近々、各市町から具体的な移譲を受けたいという項目がリストアップされる予定でございます。いずれ、今後、各市町からの提案を受けまして、移譲に当たっての課題等を検討いたしまして、県南広域振興局が今年度目標としている1、000項目移譲達成に向けて努力をしてまいりたいと考えてございます。
 権限移譲は、住民に必要な行政サービスを最も住民に身近な自治体である市町村において提供するということになるものでございまして、合併市町においては、大きな合併効果の一つとして住民に示すことができるものと認識しております。管内の合併市町におきましては、首長さんの強いリーダーシップのもとに、こうした観点からの議論が本庁、支所の枠を超えて活発に議論が行われて、移譲が大きく進展していくことを期待しているところでございます。
 それから、人的支援につきましても、新しい人的支援制度を創設することとしたところでございます。今後、市町と十分な協議を行い、人的支援も含めた移譲の推進と、そのフォローアップをしっかりやってまいりたいと考えてございます。
 次に、県南広域振興局の現状と課題に関するお尋ねでございますが、県南広域振興局は、県南広域振興圏において、圏域全体の戦略的な広域行政を一体的、効率的に推進するため設置されたものでございます。
 このため、県南広域振興局におきましては、広域の局長、それから総合支局長等で構成いたします経営戦略会議というものを設置してございますが、この中で、県南広域振興局全体の重要な取り組みについて協議、意思決定を行っているというところでございます。
 また、さまざまな広域課題につきまして、本局、総合支局、行政センターの職員で構成する横断的グループを設置いたしまして、課題解決に向けて一体的な取り組みを行っているところでございます。
 一方、率直に申し上げまして、現在の県南広域振興局の組織体制は、今後予定されております総合支局の行政センター化に至るまでの過渡的な体制ということで、これまでの地方振興局の体制を基本的に維持・継承しているというところもございまして、スピードを持って解決するという点では、組織上の問題は若干有しているというふうに考えております。
 いずれ、4月以来の組織運営の現状、それから県民の皆さんへの行政サービスのレベルの評価も含めまして、現在、評価・検証作業を行っております。この結果を踏まえながら、広域振興局設置の目的を確実に実施し得る組織・運営体制の確立に努力してまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、市町村合併効果の現状認識についてでありますが、合併間もない現段階においてではありますが、合併によって、地方分権の進展に対応した行財政基盤の充実強化が期待されているところであり、特に合併前の町村単独ではなし得なかったような大胆な行財政改革を行うことによって、将来とも持続可能な財政運営が確保され得るものと認識いたしております。
 合併市のうち、集中改革プラン、これは平成18年度から21年度までの期間のものでございますけれども、これを策定した5団体を見れば、宮古市においては19億円余、大船渡市においては12億円余、久慈市、遠野市においてはそれぞれ33億円余、二戸市においては14億円余の経費節減等の財政効果が見込まれているところであります。
 また、花巻市の総合防災部、奥州市の少子人口対策室、一関市の文化振興課の設置など、合併によって新たに専門の組織を設置するなど、さまざまな課題への対応力が強化されたところであります。
 さらに、平成18年度に県から市町村に権限移譲した延べ425事務のうち、合併した新市町にあっては405事務の移譲を受けるなど、合併市町において権限移譲が進んでいることによって、新市町の自己決定力の強化や住民サービスの向上が図られているところであります。
 合併効果については、このほかにも、各市町村の強みを生かし合うような産業振興や、地域相互の資源も融通し合うことによるまちづくりや住民の利便性の向上などが考えられるところであります。
 県としては、今後とも、新市町まちづくりサポートセンターの活動や新市町運営懇談会などにより、新市町の合併効果が早期に発現され得るよう、新市町の取り組みを積極的に支援してまいる考えであります。
 次に、岩手への移住促進策についてでありますが、人口減少・少子高齢社会が到来し、国勢調査によると平成12年に142万人であった本県の人口は、平成17年約139万人に減少し、今後とも確実に減少していくと予想され、特にも、県北・沿岸では著しい減少が見込まれております。
 このような中で、団塊世代は、さまざまな技術や経験、ノウハウを持った方々であるということでございますので、退職を契機に、岩手に移住し活躍していただくことは、県北・沿岸地域を初めとして、地域の活性化に効果的な方策であると考えております。
 その獲得に当たりましては、各県との激しい競争を意識しながら、岩手県としての特徴を出していくことこそが重要であると考えておりまして、そのためには、まず、地域の歴史や風土、伝統文化、自然などの岩手ならではの魅力、よさを積極的に発信し、興味を持ってもらうファンづくりに始まり、次は、グリーンツーリズムなどによる体験など、実際に来ていただき、体験していただくという交流に進み、さらには農業、安全な食などの地域資源を活用した田舎暮らしと起業を組み合わせたいわて型定住に結びつけていくという、それぞれのステージに応じた戦略が必要であると考えております。
 したがって、このような取り組みの実効性を高めるためには、委員御指摘のとおり、庁内関係部局間の連携はもとより、市町村、NPO、関係団体等との協働を進めることによって、中長期的に取り組んでいくことが必要であると考えております。
 庁内間の連携におきましては、本年2月にプロジェクトチームを設置したところでございますし、また、市町村との間では、いわて定住・交流推進プロジェクト会議をこの6月に立ち上げておるところでございます。
 また、受け皿となる市町村の積極的な取り組みが不可欠でありますが、県内では、八幡平市や遠野市、釜石市など先進的な取り組みが出てきており、県としては、農業や起業などの専門家による――これは仮称でございますけれども――定住交流アドバイザーの設置や、各振興局に総数100名ほどの定住交流サポーターズを設置し、市町村の支援に取り組んでいく考えでございます。今後、10年間で1万人の移住という高い目標を掲げ、他県に負けないように、積極的に、かつ粘り強く取り組んでいく考えであります。
 次に、ケーブルテレビのブロードバンドシステムとしての活用策等についてでありますが、ケーブルテレビは、衛星放送や地上デジタル放送など多チャンネル放送や自主番組放送などのほか、高速インターネットサービスも提供しており、地域の重要な総合的情報通信基盤となっております。本県においてケーブルテレビを活用したインターネットサービスにつきましては、ケーブルテレビ利用世帯約7万5、000世帯のうち11%に当たる8、200世帯ほどが利用しておりますが、ケーブルテレビ会社によっては、その利用率が32%となっているところもございます。ブロードバンドゼロ地域を解消していく上でケーブルテレビのサービスエリアの拡大は大きな力となるものでございますが、ケーブルテレビ事業の多くは、採算面から、これ以上の単独での設備投資は厳しい状況にあると伺っております。そのため県といたしましては、関係市町村、ケーブルテレビ事業者とともに、国の支援制度である地域情報通信基盤整備推進交付金事業を活用したケーブルテレビのサービスエリアの拡張促進に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 自治体の財政力に対する評価と地方債の発行についてでございますが、地方債は、貸し倒れの心配がなく、償還リスクによって金利等に格差が生じるわけではございませんけれども、市場公募地方債の現状を見ますと、その発行の時期や規模などの影響を含めまして、発行条件に若干の差が生じてきているところでございます。今後も、全体の流れといたしましては、地方債の発行条件や市場におけるその後の流通条件の差が生じることは見込まれることでございまして、本県はまだ市場公募債を発行してございませんけれども、こうした動きに十分留意しつつ、安定的に良質な資金調達を図っていく必要があると考えておりまして、そうした観点から、財政指標などに注意いたしまして、県民に加え、市場からも信頼を得られるような財政運営を行うとともに、毎年度の地方債の発行に当たりましては、市場の動向や金利水準、既発の県債を含めた将来にわたる償還見通し等を総合的に勘案いたしまして、できるだけよい条件で資金調達ができるように努めていく考えでございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 少子化対策についてでございますが、まず、本県の出生数の最近の動向についてでございますが、国の人口動態統計速報によりますと、平成18年1月から7月までの本県の出生数は6、331人で前年同期比で91人減となっておりましたが、18年5月から7月までの3カ月間の月別出生数に限って見ますと連続して増加しているということでございます。3カ月間で158人増加しているということでございます。
 本県における少子化対策の取り組みと今後の方向についてでございますが、昨年3月に見直しをいたしましたいわて子どもプランに基づいて多様な取り組みを総合的に推進しているところでございまして、子育てを支え合う地域づくり、安心して産み育てられる環境づくり、子供が健全に育っていける環境づくりを施策の柱として取り組んでいるところでございます。
 本年度は、これまでの取り組みに加えまして、保育所待機児解消のための保育所分園設置の支援でありますとか、働き方の見直しという観点から、新たに次世代育成支援対策のための中小企業における事業主行動計画策定支援やパパ子育て手帳――これは仮称でございますが――の作成、配布などによる父親の育児参加の促進などに取り組んでいるところでございます。また、ことし4月にアイーナ内に設置した子育てサポートセンターを中核として、地域子育て支援センター等と連携しながら、育児不安に対応した子育て相談、情報提供、交流の場づくりなど子育て支援のネットワークづくりにも取り組んでいるところでございます。県としては、新しいいわて子どもプランを着実に推進することを基本とし、社会、親、子供の三つの視点を柱として、多様な施策を組み合わせながら、男女がともに安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、出産、小児医療に取り組む医療機関の関係でございますが、小児科・産婦人科医師の不足は全国的な問題でありまして、本県においても直ちに解消できる状況にはないところでございます。
 こうした中において、これまで安全な出産と必要な小児科医療を提供するため、岩手医科大学を中核とした周産期医療システム、県医師会等の御協力をいただきながら小児救急体制の充実などを図ってきたところでございまして、最近では、県立病院等を中心に助産師外来の取り組み、あるいはITを活用した遠隔妊婦健診の試みなども進められております。本県としては、こうした取り組みを総合的に進めるとともに、国から当面の対応として集約化、重点化の方向が示されております小児科・産科医療体制、これは医療機関の連携を含むわけでございますが、そのあり方について、県土の広さなど本県の特性を考慮しながら、関係者の御意見をいただき対応してまいりたいと考えておりますし、新たに策定する医療計画にその方向性を示すように検討してまいりたいと考えております。
 次に、病床削減の影響についてでございますが、療養病床の制度改革による影響及び予測についてでございますが、国の数値を岩手県に置きかえて、あらあらな試算でございますが約2、200床が病床転換の対象となると推計しております。国では、来年3月までに地域ケア整備指針を策定いたしまして――これは仮称でございますが――療養病床の再編成を踏まえた地域ケア体制の整備の基本方針を示すこととしております。本県ではこれを踏まえ、地域ケア整備構想を平成19年秋までに策定する予定としておりまして、関係者の御意見も伺いながら、医療や介護が必要な方が必要なサービスを受けられる仕組みづくりに取り組むこととしております。
 なお、我が国の人口当たりの病床数はOECD諸国に比して多いと言われておりますけれども、今般の医療制度改革の関連で、一般病床を将来大幅に削減するといったことについては伺っていないところでございます。
 療養病床の再編と有料老人ホーム等の整備枠についてでございますが、平成20年度までの第3期計画期間内に療養病床から老人保健施設等に転換する場合は、その計画に定めるベッド数の範囲内で転換を進めることとなります。このベッド数は、いわゆる介護3施設と、これに準じる扱いとなります有料老人ホーム等における特定施設入居者生活介護の合計で約800床となっております。
 なお、特定施設入居者生活介護の有料老人ホームについては抑制する方向としておりませんで、当然のことながら介護保険に係るさまざまな計画との整合性が求められるわけでございますけれども、整備について御相談があった場合には個別に対応してまいりたいと考えております。
 介護施設の充実及び円滑な転換移行についてでございますが、県としては、介護ニーズに対応するため、施設、在宅両面から介護サービス基盤の整備を着実に行っていく必要があると認識しておりまして、療養病床が老人保健施設等へ転換する場合におきましては、国から示されているさまざまな支援措置や経過措置を活用しながら、医療や介護が必要な方々の受け皿づくりが着実に進められるよう、市町村とも連携しながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕
〇総合政策室長(相澤徹君) 若者の定住促進についてでございますけれども、人口減少が急速に進む中、若者を中心とした定住促進が不可欠であり、県内外からの県内の大学への進学を促進することは重要な取り組みの一つ、このように考えております。そのためには、産業界との連携による特色ある教育と研究の充実、さらには、優秀な研究者の確保などによって特色ある大学づくりを進めることが重要ではないか、このように考えております。例えば、今般の産業成長戦略に掲げました県立大学のIT産業集積構想あるいは岩手大学の意欲的な産学共同研究などは、大学としての着実な取り組みの一つ、このように考えているところであります。
 さらに、今後におきましても、単位互換制度の充実など県内の五つの大学間の連携の強化あるいは高校への出前講義や教員の相互派遣など高等学校と大学との連携の強化など、県内の大学の総合的な評価を高めていく取り組みを県として大学との連携のもとで努めてまいりたい、このように考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 国道397号の整備の見通しについてでございます。
 国道397号は、大船渡港の物流を支える幹線道路でもあることから、現在4地区で整備を進めてございます。整備の状況でございますが、奥州市の分限城から赤金地区につきましては、全体延長15.5キロメートルのうち伊手工区の延長4.2キロメートルを平成16年度に供用し、現在は赤金工区の4キロメートル区間について集中的に整備を進めており、平成20年度の供用を目指しております。住田町の高屋敷地区につきましては、全体延長3キロメートルのうち大船渡市側の1.5キロメートル区間の整備を進めてございます。引き続き、残る区間につきましても早期に工事着手したいと考えております。また、住田町の津付道路及び奥州市の石淵道路につきましては、ダム事業との調整を図りながら整備促進に努めてまいりたいと考えております。
 このほか、奥州市胆沢区辻地区、愛宕地区などの要望箇所につきましては、今後の交通量の推移などを見ながら、県全体の道路整備計画の中で検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、一関北上線の整備箇所とスケジュールについてでございます。
 今年度は、冠水対策として一関市舞川地区、圃場整備関連の北上市下門岡地区、奥州市稲瀬地区における橋梁整備、羽田地区での街路整備、黒石地区での歩道整備による交通安全対策など、7地区で事業を実施しております。これらの事業箇所のうち、北上市下門岡地区につきましては平成20年度、奥州市稲瀬地区につきましては平成21年度の完成を目指して工事を進めており、他の地区につきましても用地補償などの進捗を図り、早期完成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、小谷木橋についてであります。
 小谷木橋のかけかえにつきましては、議員御指摘のように、地元奥州市――当時の水沢市と平成12年度から協議を進めてまいりましたが、奥州市のまちづくりとのかかわりや市街地における国道のあり方などにつきまして、関係機関との協議、調整を踏まえさらに検討する必要があり、また、工事には膨大な事業費を要すると見込まれることから、現時点では早期の着手は難しいものと考えております。今後とも、小谷木橋の整備のあり方につきましては、さまざまな角度から地元奥州市や関係機関とも十分意見交換を行いながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、岩手中部工業団地周辺の道路整備の状況についてでございますが、県道北上水沢線は工業団地への通勤者のアクセス道路となっており、円滑な交通の確保を図るため、金ケ崎町掛越地区の600メートルにつきまして平成17年度から改良工事を実施しているところであり、19年度の完成を目指しております。また、同じ路線の六原地区では、平成17年度から延長1.8キロメートルの歩道設置及び拡幅改良事業に着手しております。
 国道4号の拡幅整備状況についてでございますが、現在、国において、北上拡幅として、北上市飯豊から北上市と金ケ崎町の市町境までの延長12.2キロメートルの4車線化が進められております。これまでに7.8キロメートルが供用されてございます。
 今後の予定でございますが、平成19年度には県道北上和賀線との交差点から北へ600メートルについて完成させ、さらに平成21年度には同交差点から南へ800メートルを完成させる予定と伺ってございます。残りの区間の3キロメートルにつきましては、引き続き整備が行われる予定でございます。金ケ崎町内の拡幅整備につきましては、早期に事業化が図られますよう、金ケ崎町と連携を図りながら国に対して要望してまいりたいと考えてございます。
 最後に、新金ケ崎大橋構想についてでありますが、現在の金ケ崎橋は幅員が6メートルで、特に大型車の交通の隘路となっていることや、県道沿いに昔からの建物や住家が密集し、拡幅は困難な現状にあることから、地元には産業振興の観点から別ルートによるかけかえの構想があることは承知しておりますが、現時点ではかけかえは難しいものと考えてございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、ものづくり産業分野の人材育成についてですが、いわて産業人材育成会議から提言のありましたものづくり産業を担う人材を育成するため、黒沢尻工業高校に専攻科を、水沢工業高校に自動車工学コースを平成19年4月にそれぞれ設置することといたしております。黒沢尻工業高校の専攻科は、工業高校で学んだ基礎の上にさらに2年間の専門教育を行うもので、7月には前期選抜試験を実施し12名が内定済みであり、後期は12月末に2名を募集する予定です。現在、企業ニーズに合ったカリキュラムの作成、講師陣の確保、高度な資格取得に適応した設備の充実に努めているところです。水沢工業高校の自動車工学コースは、自動車について幅広く学べるよう、現在の4学科の2年次、3年次に自動車関連科目を選択することが可能となるカリキュラムの準備や実習用設備の充実に努めているところです。また、自動車関連産業でのインターンシップや関連企業からの社会人講師の招聘なども計画しているところです。
 次に、専門高校の就職状況と今後の課題についてですが、ことし3月の専門高校卒業生の就職状況は内定率が96.4%であり、前年同月比1.8%増となっております。来年3月卒業生については、去る9月16日から就職試験が始まったばかりであり、まだその就職状況は把握できておりませんが、8月末の求人状況調査によりますと、全体の求人数では前年同月比27.3%増と大幅に上向いてきていることから、専門高校の就職率も向上するものと見込んでおります。
 企業からは、専門に関する知識や技術・技能はもとより、特にコミュニケーション能力を含む基礎学力が求められていることから、今後、基礎・基本の定着を図るため、教育内容や指導方法の見直しを進めてまいります。また、今後の産業の動向を踏まえ、企業から求められる人材を育成できるように、カリキュラムの見直しや学科の適正配置により一層努めてまいります。
 次に、胆江地区の多部制・単位制高校の設置についてですが、県立高校新整備計画後期計画では、胆江ブロックにおいてもできるだけ後期計画中の整備に努めることとしております。その設置場所については、交通の利便性、多部制高校にふさわしい教育環境、そして夜間部もあることから、夜間の安全性などの観点からこれまで地元との協議を進めてきましたが、その具体的な設置場所については、平成21年3月廃止予定の県立水沢高等看護学院を活用する方向で現在検討しているところです。今後、カリキュラムの検討や施設改修などを行い、平成21年4月に開校できるよう準備を進めてまいります。
〇 2 番(亀卦川富夫君) 丁寧な御答弁ありがとうございました。
 何点か再質問いたしますが、一つは、一貫して私はこの間、地方分権社会への対応あるいは人口減少社会への対応という観点で施策を点検、あるいは今後についてただしてきたつもりであります。そういうことで増田知事には、新政権のもと、さまざま地方の課題が論議されると思いますが、ぜひ全国知事会で大いに頑張っていただきたいと思います。
 一方、県内におきましては、これまでの答弁の中で私感じたのは、自立というところがいかに大切か、あるいは大事な点だということで、いろいろ答弁、各部長からありました。この辺では皆さん御認識は一緒だろうと思います。やはり県民あるいは全国に岩手が情報発信するということが大切だろうと思いますが、その場合、岩手のアイデンティティーと申しますか、先ほども答弁にありましたが、地域の特色、独自色、そういったものの部分が大変大切だと思います。
 そこで一つは、岩手のイメージ、私かつて、いつころのことでしょうか、各県のイメージを色彩――カラーであらわせばという話があったような気がして、私非常に残念だったのは、当時の岩手県は灰色のイメージ、グレーじゃなかったかというような気がしております。それが今、総合発展計画等では緑――グリーンになっているんじゃないかというような話も私聞いておりましたが、今、現状はどうだというよりも、今後目指す、そういった意味のイメージというのはどんな色を知事、目指していくんでしょうか。この辺ひとつお聞きしてみたいと思います。これは重要なことだと思うんですよ、このイメージというのは。
 それともう一つは、地元学という意味で、恐らく日本の知事の中で地元学というのを提唱したのは増田知事が初めてじゃないかというような認識でおりますが、非常に岩手県ではそういったものが伝播してきているのかなと。
 ちょっと御紹介いたしますが、私の地元胆江地区には胆江日日新聞という新聞がございます。そこの連載のコラムにおもしろいものが載りました。奥州おもしろ学というNPO法人が今度できます。これはまさに地元学であります。当初奥州学という名前だったようですが、これは生まじめ過ぎて一般化しにくいというようなことで奥州おもしろ学という名称でやったと。ちなみに、このNPOは奥州学検定試験を行って級を認定するほかに、公式のテキストもつくる。テキストには歴史や文化、産業経済などまで幅広く地域のことを盛り込む。旅館やホテル、タクシーなど観光にかかわる人たちから小・中・高校生まで地元通になってもらって、事あるごとにふるさと自慢ができるようになったら楽しい。関係者はそういう願いでおもしろ学というような名前をつけたと。それには、率先する、これをリードしていく側は明るくなければならないと。そこで、孔子の言葉にこんなものがあるということで御紹介があります。孔子の言葉に、近き者喜ばば遠き者来たらん、こういうことがあるので、私たちが楽しくやっていることがまずは魅力になると。不満ばかり言ったって何も始まらないと、こういうようなコラムがあります。
 先ほどの岩手のイメージ、かつては灰色だったものが今どのような色を目指すのか、あるいはこういうふうな地元地元で非常に有意義な動きが出てきたのではないか、このようなことを思いますので、先ほど定住交流アドバイザーとか、あるいは定住交流サポーターでしょうか、そういった協働というものを今後盛んにしていきたいと、まことに適切なことだろうと思いますが、この辺の御所見をもう少ししっかりお聞きして決意を聞いておきたい、このように思います。
 それから、社会資本の部分でございます。確かに財政の問題がありますから、現時点では進まないといいますか、現時点では、認識はあるけれども難しいと、こういうことで何かとまっているような気がするんです。そこで、これはどちらにお伺いするのか、広域振興局長でもある企画理事にお聞きするのか部長にお聞きするのか判断に困りますのでお任せいたしますが、振興局では、今、産業振興というのが最も大切なものだと。それのインフラとしての社会資本整備になりますとまだとまってしまって、せいぜい市町村と協議するというようなところがあるようであります。産業道路としての位置づけをもう少しはっきりして、どこをどうやって企業の物流に資するとか、そういったものをやはりロードマップとしてしっかり示して、それをもって財政というものを考えていく。財政がなければ進まないというのではなくて、そういう点をはっきりしていきたい、このように考えるんですが、その辺の今後の進め方についてひとつお尋ねいたします。
 それから、総務部長からは、先ほど市場公募地方債、当面予定がないということでありますが、この市場公募地方債、年々ふえておりますし、多分こういうふうな観点で、さっきはそういう御答弁でございましたので理解いたしますが、不断にシミュレーションしておく必要があるのではないかと。格付というような形で、これはしょっちゅう世の中に出てきます。岩手県は発行しないからいいんだということではなくて、発行した場合にどうなんだろうということは必要じゃないかと。
 承りますと、かなりこの格付作業、会社によってそれぞれ違うので、お金も相当かかるんだと。そういった費用をかけてまでという部分があるとすれば、国の方に、これは先ほどの知事会の方ででも、こういったものを評価するマニュアルのようなものをつくってもらって、そういったものを当てはめて、岩手県が常に検証できるような、そういったことも必要じゃないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
 それから、岩手競馬でございます。
 融資によりまして明らかに経営改善になる部分は、先ほど25%の経費、これの分け方なんですが、三つに分けることができると思うんですね。馬を走らせる競争の分と馬券を売る発売の分――運営費ですね、それと償還の分。償還の分については、金利が5億とか6億円どんと減りますから、これははっきりわかってきます。あとの二つの部分というのは、恐らく関係者との折衝ということが非常に大切だろうと思います。
 これは、非常に内部で努力するにしても、もう一つの観点は、全国地方競馬の、私は、恐らく来年の通常国会には立法化という動きになるんだろうと思いますが、その辺の情報を含めて、こちらが動いていけば、どちらについても、日程の問題とか、そういった問題で競争の分野の経費、それから馬券を売る方の分も、全国をまたにかけたといいますか、全国に通用するもので、これに対しては連携ということで、これまでも法改正の中で、私の聞いている範囲では100億円ほどの補助金等も用意していると。
 そういったこともあるわけでございますので、ぜひ全国の共同法人化と申しますか、こちらをしっかり意識して、この融資というものも県民の理解を得るように、その辺もあわせて考えていく必要があるのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
 それから、組織、場合に応じてと申しますか、そういったことで、一つの、第三者といいますか、いろいろ考えるようなお話でありましたが、確かに県の方は、今一生懸命人的に出して頑張っております。組合の方もしっかりやろうということで、恐らく相当意識改革をやっているんだろうと思いますが、それをやはり背中を押すといいますか、しっかり支える、そういった意味での金融、労務、あるいは全国的に競馬に関してお話のできる人、そういった方々を一つの組織にして、そして大いに県庁の、先ほどは頭脳と申しましたが、県庁の能力と、それから組合の人的な人たちを大いに動かす、こういうことが必要だろうと思いますが、この辺の考え方をお尋ねしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 私の方から二つ、岩手のイメージカラーの話とか地元学のお話がありましたので、その点と、競馬についてお答え申し上げたいと思います。
 まず、岩手のイメージですとか、色ですとか、そういうものですが、以前のことはちょっとわからないんですが、平成9年に県の方で全国の皆さんを対象にアンケート調査をしたことがありました。そのときの答えを見ますと、岩手県のイメージカラーというのは緑色が一番多くなっておりまして、次いで青色、こういう形になっておりました。
 これは、あわせて岩手県の魅力は何かというものをそのときに聞いたときに、山や海などの自然条件に恵まれているというのが、回答が大変高くなっておりました。次いで、のどかで落ち着きがある、こういう回答でございましたので、自然環境の多様性ですとか、それから、暮らしにゆとりなどを感じる、そういったことが回答の中にあらわれてきたのではないかというふうに思うわけであります。
 今、議員の方からもお話ございましたが、そういった、岩手県には他から見ても高く評価される要素というものがあって、これは、いわて地元学と称していますが、まず、我々が地元のそういったよさを十分に学んで、またそれを、より可能性を現実のものにさせていくような、その地域づくりの取り組みということによって、さらによさが引き出されると思います。今、地元学、孔子の言葉などの引用もございましたけれども、やはり我々自身がふるさと自慢ができるような、そういう地元学にこれからも一層励む、そして地域の、地域づくりのよさをつなげていきたい、そういったことについて県も積極的に支援をしていきたい、こういうふうに考えております。
 それから、競馬の関係でありますが、全国の共同法人化の動きがあるわけで、やはり私も、地方競馬というのは、こうした競馬主催者がそれぞれ個別にやるのではなくて、全国の主催者同士が連携して経営改善に取り組んでいく、そういう方向性にあると認識をしております。
 それぞれ各主催者ごとによっていろいろ状況は確かに違うんですが、その主催者によって、例えば今お話にございました競争関係で十分な職員が確保されていない、それから、経営改善に関しての十分なノウハウを持っていないとか、いろいろ強さ、弱さというものがございます。
 岩手競馬でいいますと、専従職員がおりまして、運営できる体制というのは、他の主催者に比べるとかなり数は確保しているわけでございますが、そういう中でも、全体として共同化の方向にございますので、やはり十分その効果を見定めながら、今、大きな流れで進んでいる方向に乗りおくれないように、あるいはそういった大きな方向が我々にとって望ましい仕組みになるように、関係の国などに、あるいはJRAなどに働きかけをしていきたい。当然、他の道県とよく連携を図ることが大事でありますが、その上で、しっかりと関係機関あるいは国などに働きかけをしていきたい、このように考えます。
 それから、組織、人材についてでありますが、県を初め、構成団体の方からも人を出したり、それから組合の中の、やはりここも専門的なノウハウをそれぞれ有する職員が、それぞれ分野別におりますので、そのあたりを結集したチームをつくって、今、再生に取り組んでおりますが、今お話ございましたとおり、やはり幅広く人材というのは常に確保しながら、効果が出るようにしていかなければならないと思っていますので、そういった視点で、人も十分に得た上で、それぞれの課題に取り組んでいきたいと考えております。
〇企画理事(酒井俊巳君) 社会資本整備の関連についてのお尋ねにお答えいたします。
 私も県南広域振興局長という立場もございますが、岩手県企画理事という立場でもございまして、余りその地域の話ばかりしますと差し支えるところがありますが、ただ、やはり当然、振興局というのは現場に一番接しているわけでございまして、社会資本整備に関しても、特に産業政策とかそういったものとの関連から言いますと、振興局の方が、どういった社会資本整備が一番県で目指している大きな政策の中に合致するのかというようなことはわかっているということになると思います。
 したがいまして、現状では、いろいろな箇所づけというのは、基本的には本庁のマターでやっているわけでございますけれども、やはりそういったいわゆる産業政策なり、そういった大きな政策との関連の中での社会資本整備というものについて、それを具体な箇所に反映させるような仕組みというものが必要だろうと思います。
 単なる地方からの要望とか、そういう形じゃないものが必要だと思いますが、公共事業調整会議というものがございまして、これは、三役と公共事業関連の部長等で構成しているわけでございます。そういった仕組みがきちんとあるわけでございますので、そういった中で、私も企画理事という立場で参画してございますが、県南広域振興局だけじゃなくて、やはり他の地方振興局の分も含めて、地域の声、あるいは産業政策との関連の中で、必要な社会資本整備の箇所づけ等については、それが実現されるようにしていくように私ども努めたいと思っておりますし、当然、そういう形になっていると考えてございます。
〇総務部長(川窪俊広君) 自治体の財政力についてでございますけれども、格付会社によりましてそれぞれ評価をされるということのみでなく、やはり各自治体がみずから点検し、予測をしていくことができるという観点からも、客観的で比較可能な基準に従った評価というものが重要であろうと考えております。
 国におきましても、平成18年度からは、実質公債費比率という指標が新たに導入されまして、私どももその数字をはじいたりしておるわけでございますが、総務省の研究会におきましては、さらに、こういったフローの指標のみでなく、将来負担にかかわりますストック指標につきましても、財政指標の一つとして整備していこうという動きが既に始まっているところでございます。
 こうした国の動向も踏まえながら、各自治体間での比較が可能な形で、私どもも財政状況を広くお知らせするとともに、そういった財政指標の推移を把握いたしながら、良質な資金の確保と安定的な県民サービスの提供に努めてまいりたいと思っております。
〇 3 番(亀卦川富夫君) 一定の御答弁が出ました。ひとつしっかりお願いしたいと思います。
 そこで、教育長にお尋ねいたしますが、今お聞きのとおり、産業振興とか、あるいは若者の岩手への定住、こういったことでいろいろお話ありましたが、今度予定している多部制・単位制高校、これは、今までの定時制がもっと便利になるというようなものとか、自己都合によって選べる、いわゆる単位制、こういう多部制・単位制高校ということでありますが、せっかく新しく設置するわけでありますので、今までの全般にわたるお話を十分踏まえて、カリキュラムですとか、あるいは学校運営、そういったものに資するようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そういった意味で、平成21年4月開校を目指して、これから準備ということのようでありますが、そういった部分と、それから、実際、先ほど高看を使うというようなお話でございましたが、どの程度の規模になるものか、もしおわかりになれば、その辺のところも明らかにしていただきたいと思います。
 そういったことで、来年度予算に、これは一定の財源措置を求めるというふうに理解してよろしいのか、お伺いいたします。
〇議長(伊藤勢至君) 亀卦川富夫君に申し上げます。
 議会運営委員会の申し合わせにより、2回目の再質問は、1回目の再質問に対する答弁に係るものに限るものとされておりますので、ただいまの質問については、執行部に答弁を求めないことといたします。
 
〇議長(伊藤勢至君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 3 時27分 休 憩
 
出席議員(45名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川   富  夫 君
3  番 五日市      王 君
4  番 小田島   峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口   英  司 君
9  番 高  橋  比奈子  君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子  君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎  君
20  番 新居田   弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木   順  一 君
31  番 佐々木      博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
36  番 小野寺      好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 阿  部  敏  雄 君
40  番 吉  田  昭  彦 君
41  番 佐々木   一  榮 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
46  番 佐々木   大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎  君
48  番 菊  池     勲 君
49  番 藤  原  良  信 君
51  番 佐々木   俊  夫 君
欠席議員(4名)
35  番 小野寺   研  一 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
45  番 千  葉     伝 君
50  番 佐  藤  正  春 君
 
説明のため出席した者
休憩前に同じ
 
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
 
午後3時44分再開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。三浦陽子さん。
   〔5番三浦陽子君登壇〕(拍手)

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