平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(高橋雪文君) 自由民主クラブの高橋雪文でございます。
 先輩議員の特段の御配慮と同僚議員の応援のもとに、4回目の登壇をさせていただきます。以下、質問に沿って御答弁をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、マニフェストと3期11年半の増田県政についてお伺いいたします。
 改選期を来年の4月に控え、選挙の情報も交差する時期となりました。増田知事は、11年半のこれまでの在任期間、最年少知事として、また改革派知事として、岩手県政、ひいては日本の地方自治を引っ張ってまいりました。さらには、さきの改選期には、これまでの経験から、県政の方向性を大きく変え、地方分権と自立を大きく掲げながら、将来に持続可能なプライマリーバランスの均衡を図る財政を目標にマニフェストを掲げました。
 当選後は、この御自身が掲げたマニフェストを県行政の政策として具体の計画に落とし込むために、マニフェストに掲げられた二つの緊急課題と七つの重点施策を取り込んだ誇れるいわて40の政策、自立した地域社会の形成に向けてを作成し、県政を運営して今日に至っております。
 周知のとおり、本県は、自主財源が3割しかない典型的な3割自治体です。補助金など財源を国に握られているから純粋なマニフェストは書けないと多くの地方の首長が言う中で、増田知事は、マニフェスト型選挙の先駆けを行い政策本位の選挙に近づけたことは、私自身も高く評価するものであります。
 しかし、広義のマニフェストの意義は評価すべきとする一方、4年前と比較して、概して岩手県の財政や経済、さらには人口など、活力が低下していると感じる部分が多く、増田知事が描く理想的な自立に反して、県民生活は冷え込んでいると言わなければなりません。21世紀臨調など闘う知事会活動を通じて政府と対立しているように見える間に、首都圏との格差が他県よりも拡大していると見えるのは、私だけでしょうか。
 本県の景気動向が期待値より低いことや平成17年度の統計で1年間の人口の自然減が3、752人に対し、岩手県の転入より転出が上回り5、715人規模に拡大している現状。そのほとんどは雇用を求めての転出だと言われております。平成15年選挙当時と比較して、明らかに後退している分野が見受けられるわけであります。
 そこで、増田知事に質問をいたしますが、3割自治の本県が真の自立を果たすためには、この現状をどのように変えていくべきでしょうか。また、真の自立とは、どのような財源をもとに運営していくことなのでしょうか、お伺いいたします。
 さらには、近年、知事が多用している身の丈とは、自主財源をもとに運営していくことなのでしょうか。これまで知事は、県立美術館やアイーナなど、大型の施設整備事業を行いましたが、これらの事業は、真の自立を目指す増田知事にとって身の丈に合った事業だったのかをお聞かせ願います。
 また、マニフェストを書いたということは、自己決定をしていくという一方で、自己責任をとるということでもあります。これらの評価は、いつ、どこで、だれが行い、どのように県民に示していくのでしょうか。また、知事御自身、マニフェストの到達をどのように評価されておられるのか、お知らせください。
 マニフェストでは、公共工事を2年間で30%減らして、それをベンチャー企業育成の財源に充てて1万5、000人の新規雇用を生み出すと掲げ、さらには、4年間で一般財源を200億円捻出して、それで新たな政策、いわゆる政策形成プロジェクトに充てるということも示しておりました。
 今日、増田知事が掲げた公共事業は30%以上の削減になっておりますが、これはマニフェスト違反に当たるのではないかと思われますが、いかがお考えでしょうか。
 また、華々しく雇用拡大の数値を掲げている割には、実感として雇用拡大が実現しているのか、はなはだ疑問であります。人口減少は労働者世代であり、失業率は微減でありますが、就業者の実数は、平成15年と変わらずか、むしろ減少しているのではないかと思われます。県内の実数とその評価についてどのようになっているのか、改めてお伺いいたします。
 また、平成15年10月に、増田知事は中期財政見通しを示し、4年間で1、750億円の財源不足を明らかにいたしました。そして、ことし8月に公表された中期財政見通しでは、平成19年度からの4年間で2、579億円の不足が拡大されるとされております。このように多額の財源不足が生じている危機的な財政状況の中で、一般財源を200億円捻出し政策形成プロジェクトを進めてきたところでありますが、その成果は一体どうなったのでありましょうか。
 また、一層硬直した財政状況の中で、知事が掲げるマニフェストの自由度はどれだけあるものなのでしょうか。次期知事選には、各陣営にマニフェストが必要と考えますでしょうか、お知らせください。
 その作成には、政権与党や、特に今回の総裁選で安倍晋三氏が掲げる選挙公約にも大きく依存していくと考えられますが、その関連をどのように模索しようとしているのでしょうか。
 さらには、今後進めていく道州制やセーフティネットの構築には、政府との対立ではなくて協働が不可欠だと思いますが、その点をどのように考えているのか、まずはお示しいただきたいと思います。
 次に、中心市街地の活性化について質問をさせていただきます。
 平成10年にいわゆるまちづくり三法が制定されたものの、地方都市を中心に、中心市街地の衰退は深刻化しており、その再生は緊急の課題と言えます。また、郊外型の大店舗や公共施設の無秩序な拡散も見られ、各種公共サービスの低下や後追いのインフラ整備や管理コストの増大、むだと思われるような公共投資も見えるようになり、都市機能が薄く広がることに伴う都市構造上の問題も指摘され始めました。国は、このまちづくり三法を見直し、本年5月から6月にかけて改正法が成立、公布されるとともに、やる気のある市町村を支援する体制も構築されつつあります。
 まずは、今回の都市計画法や中心市街地活性化法の改正のねらいと、今後議論すべき留意点をどのように把握されておられるのか、お尋ねいたします。
 また、盛岡市においては、現都心部から盛岡駅西口地区及び盛南地域を結ぶ軸状都心計画のもとにまちづくりが進んでおりますが、このようなまちづくりは、三法改正に掲げられているコンパクトシティの理念に即しているのでしょうか。県の考えをお示しください。
 先日、売り場面積3万7、000平米のイオン盛岡南店がオープンし、大変なにぎわいを見せております。奥州市にも新たに出店を希望しているとお聞きしております。特に、盛岡市内の商店街は大変な脅威に感じており、自助努力も限界だと感じておられるようであります。その声とは反して、岡田イオン社長は、共存共栄は可能と地域密着路線を明確に打ち出しております。
 そこで質問をいたしますが、経済活動は自由競争が原則でありますが、中心商店街の声と大型店の共存をどのように図っていけるものでしょうか。まちづくり三法からの取り組みと県の行政指導の基本的な考えについてお知らせください。
 また、福島県では、条例制定によって、実質大型店の郊外出店規制を行いました。この点についてどのように考えておられるのか質問をいたします。
 今回の改正の中では、特にやる気のある地域を応援すると政府は強く打ち出しております。その基準は一体どこにあるのでしょうか。今後、商店街や市街地の意識改革が非常に重要になるのは言うまでもありません。その点についてどのように考え、今後どのように指導していくつもりなのでしょうか。
 また、有識者懇談会の中での主な論議の方向性についても、あわせてお聞きいたします。
 次に、政策的な入札業務と分離発注について質問をいたします。
 平成12年の大船渡振興局の県道改良工事をめぐっての談合問題を契機に、これまで土木部が担当していた県営建設工事の入札業務を総務部に切り離し、より公平と公正、客観性を持って入札業務に当たっていただいていることに、深く敬意と感謝を申し上げます。しかしながら、公共工事はピーク時の43%まで低下し、新規事業はもとより、補修、改修工事も減少し、県内の公共工事に関連する業種の運営は、厳しさを増している状況にあります。
 このような中にあって、県議会としても何度か建設業界の救済の決議をしておりますが、特に、平成15年12月定例会では、発議案として、公共工事の県内建設業者への優先的発注による県内建設産業の振興を求める決議を採択し、その中には、県内建設業者に対する公共工事の受注機会を最大限確保することは、技術力や経営基盤を強化する上で重要であり、地域経済の活性化と雇用の拡大などを図るための喫緊の課題となっている。よって、本県議会は、公共工事の発注に当たっては、工事種別ごとの分離発注の活用を図るなど、これまで以上に県内業者への優先的発注に努めるよう強く求めるものであるとの議会の意思を示したところであります。
 このような実情を踏まえ、県では、県内業者ができる工事は、なるべく県内業者に、さらに、分離発注をできる工事には、なるべく分離発注を原則としているとお聞きしておるところでございます。
 県では、このような政策的な意味合いも含め、入札制度を運用しながら、その中でも入札制度の公平・公正・客観性を維持していると、その試行錯誤と担当課の努力には感謝いたしますが、今日、技能士・技術者を抱え育成している専門業者が、その恩恵を与えられない機会が多くなっているとの相談がありました。
 そこで、増田知事に質問をいたしますが、もともと政策的な入札を県では施行しているわけですが、その基本的な県としての哲学、理念を改めてお示しください。
 さらには、一般的にコストがかかる分離発注には、その理念が着実に達成されるように政策的な配慮が必要だと考えますが、いかがでしょうか。常勤の技術者・技能者を抱え育成している県内業者を育てていける環境を維持することこそが、県内優先発注を原則とする県営公共工事の役割だとも思いますが、いかがでしょうか。その点をどのように考えておられるのか、お知らせください。
 また、分離発注の判断は、各部局ごとにゆだねられ、一定の規則や基準に基づくものではないと知りました。その点、分離発注にもっと努力できる部分があるのだと感じております。突き詰めて部局担当の方々のお話をお聞きいたしますと、経験と蓄積にのっとった形での判断ということで、各部局の担当者の認識によって、分離発注に対する配慮が大きく異なるということもわかりました。この分離発注する判断基準について、現行のままでよいと考えるのでしょうか、また、県の政策的な方針について、今後、各部局にどのように周知徹底していくのか、お知らせください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、公的機関の職員や役職者の社会的な責務について質問をいたします。
 福岡市の公務員による飲食を伴った交通事故が契機となって、飲酒運転の撲滅が改めて社会問題となりました。県内でも飲酒運転は増加傾向にあり、県警も取り締まり強化を宣言しているところであります。先月の記者会見では、増田知事も、酒気帯びも懲戒免職の対象にするとの強い姿勢を打ち出しました。当たり前のことが当たり前にできない今日、罰則規定を強化していくことは、大変むなしいことですが、仕方ないことだと思います。その後、どのように応対し、どのように県職員の意識を向上させようと検討しているのか、まずはお知らせください。
 また、ここ数年は、本庁の職員よりも、教職員の飲酒、酒気帯び運転の報告が多く、その認識の甘さが議会でも問題になっているところです。当然、教職員も対象になると思いますが、教育現場では、どのように対応し、どのように職員意識を向上させているのか、お尋ねいたします。
 私は、社会的なモラルの低下、モラルハザードが常態化、一般化してきたことに危機感を覚えるものですが、近年、法を遵守するはずの公務員にもこの傾向があらわれているように感じます。
 岩手県職員の横領やわいせつ物所持など犯罪によって逮捕されるという恥ずべきことが発生しております。役職などを問わず、公務員にはそれなりの責務があるはずです。戦後教育の高まりの中で自由や人権がもてはやされ、本来の意図とはかけ離れたわがままや身勝手なことがまかり通る日本の社会的な風潮に、公務員の自覚すら低下しているのだと、個人的には大変残念に感じているところです。
 公的機関の職員は、労働者であるとともに、県民の生活を守る義務もあり、言うなれば、社会の模範となるべき存在になる努力が必要だと思います。さらには、教職員は、かつての組合運動のもとに、聖職者ではない労働者だと公言してはばからない者もいたようですが、やはり次代を担う人材を育てるという崇高な使命の大きさに、身を慎み、自分のことよりも他を思いやり、情熱を持って取り組む子供たちや社会のリーダーとしての責務があり、限りなく聖職者に近い存在だろうと思います。また、そうあろうと努力することが求められる職責であります。
 このような社会的な期待にこたえられる心の育成や社会的ルールの徹底、さらには公務員の社会的な責務について、どのように指導、徹底していくのでしょうか。その基本的な理念、指導方法、さらには恒常的な取り組みについて、一般職、教育職の立場から、それぞれお聞きいたします。
 また、今回のように事件事故があったときの場当たり的な対応が目立ちますが、定期的な啓蒙制度も必要なのではないでしょうか。その取り組みについてもお知らせください。
 次に、教育について質問をいたします。
 教育は、国家百年の計と言われるように、国家の基盤と活力になるものであり、発展途上国が、乏しい財源の中でも教育行政を最優先にし、国家を安定させようと努力していることは、周知のとおりです。
 我が国は資源のない国であり、人材育成こそが基礎となるべきもので、平和と安寧、持続可能な経済活動を維持する上で不可欠なものであります。
 この教育行政にかかわるものとして、大きく三つについて質問をいたします。
 先日、東京都と都教育委員会を相手取った教職員による訴訟が行われました。国旗・国歌に関する裁判でしたが、国旗への起立や国歌斉唱を教職員に強制することは違憲と判断した東京地裁の判決が申し渡されました。都知事や教育長は控訴するとのことで、今後裁判は続いていくようですが、こうした認識が広がることは、教育現場に混乱をもたらすものではないかと私は大変危惧するものであります。
 国旗・国歌をめぐる現場の混乱については、岩手県では鎮静化しているといいますが、その実態はどうなのか、お示しください。
 今回の判決文の結論は、国旗国歌法の施行されている現行法下において、生徒に、日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、国旗・国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てることは重要なことだとする一方、懲戒処分をしてまで起立させ、斉唱させることは、いわば、少数者の思想良心の自由を侵害し、行き過ぎた措置であるというものでした。しかし、学校現場で指導する側の少数意見を認めていくことによって、生徒指導の混乱は生じないものなのでしょうか。また、公務員は、一定の基準に従う必要があり、思想信条を超えて指導しなければならない教育的配慮があるはずです。
 そこで、教育長は、今回の判決をどのように考えておられるのでしょうか。また、国や教育委員会の指導が、思想信条の自由を根拠に無視されることがあるとすれば、大きな問題ではないのか質問いたします。
 判決文にある子供たちに国を愛する心を育てるとともに、正しい認識と尊重する態度を育てるために、このような教職員が教育目標を達成することができるのか、質問をいたします。教育目標の到達を無視し、さらには自由に振る舞う教職員は、今日指摘されている指導力欠如にも当たるとも思えますが、その認識と応対についてお聞きいたします。
 次に、学校教育現場における性教育の指導についてお聞きいたします。
 県教育委員会は、このたび、学校における健やかな心と体をはぐくむ性教育の進め方という教師用のリーフレットを作成いたしました。この問題は、私自身、何度か県議会で問題提起をさせていただき、その早急な対応に深く感謝したいところです。
 性に対する問題は、どちらかというと閉ざされた中での問題とされ、公に議論することは、一種タブーとされていた感がありました。しかしながら、性教育は、単に性の問題だけではなく、今日指摘されている生命尊重の教育にも深くかかわることであり、また、政府が進める正しい男女共同参画を形成する上で、人間尊重と正しい男女平等の精神を学ぶ機会を与えるものであります。
 県医師会の先進的な取り組みから少しおくれましたが、県教育委員会が積極的にかかわるという意思表示をした点でも、大変前進したものと感じます。
 この冊子は、小・中・高校生の発育段階に応じた性教育の指導項目が明記されており、これまで先生や学校によってあいまいだった指導から、一応の目安を提示するもので、今後のその活用が期待されるものです。また、特色として、すべての教員が共通理解を持つことや性教育を組織的に進める体制づくりや、家庭や地域の協力を得ながら連携していくことをうたっていることも評価すべき点です。
 そこで質問いたしますが、このリーフレットの配布状況と今後の活動について、どのように考えておられるのでしょうか。
 また、この指針を実効力あるものとするために、どんなことをすると考えておられるのでしょうか。性教育は継続が重要ですが、それをどのように生々発展させていくのでしょうか。
 さらには、運用に当たって、学校現場だけではなく、父兄や医師会との連携が必須ですが、どのようにするのか、お伝えください。
 いずれ性教育は、子供の、生命を守る教育です。ぜひともしっかり推進していただきたいと心から願います。
 最後に、地元の先人教育についてお聞きいたします。
 盛岡市は、先人の偉業を最大限活用する先人教育に力を入れようとしております。同じ土地で暮らし、同じ風土に生き、歴史を共有する地元の偉人は、業績だけではなく、非常に共感できる身近な存在でもあります。
 今、学校現場では、夢を持つことの重要さとともに、生きる力を養うことが求められています。子供たちには、大きな夢はあるけれども、その夢は、現実にはすぐにできないのであきらめてしまう、苦労し、身近な成功を積み重ねながら夢に近づくことを感じられない子供も多くいるということであります。身近な先人の生き方を知ることは、人生観や死生観、使命感などを学ぶ機会がほとんどない学校現場で、大変意義あることだと思います。
 本年は、原敬生誕150周年、石川啄木生誕120周年、宮沢賢治生誕110周年など、記念の年にも当たります。また、国際連盟の初代事務次長を務めた新渡戸稲造博士が記した「武士道(ソウル・オブ・ジャパン)」は、今日の国際化の高まりの中で、日本人が持つべき精神哲学を示唆するものであり、今こそ学ぶ内容であります。
 盛岡市では、副読本などを作成したり、さまざまな工夫をしておりますが、この先人教育について県はどのように考えておられるのでしょうか。また、県としてどのような支援や普及を考えていくべきか、その施策についてお知らせください。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
 
〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
 
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 高橋雪文議員の御質問にお答え申し上げます。
 本県が真の自立を実現するためには、さまざまな分権改革をさらに進めるとともに、産業経済基盤の構築に向けた取り組みを強力に推進することで、企業活動の活発化や新たな雇用の創出などを実現し、また、必要に応じて課税自主権の活用も図りながら自主財源の中核となる税収をしっかりと確保していくことが重要であると考えます。今後においても、自主的な財政運営を続けていくためには、地方税収と基礎的な行政サービスの財源を保障するための地方交付税、さらに、後年度に多額の負担を生じさせない範囲での地方債、地方税収と地方交付税、そして地方債、この三つをいわゆる身の丈の財源の中心と考え、これらの規模を踏まえて施策の取捨選択を図っていく必要がある、このように考えております。また、県立美術館、アイーナなどの施設整備につきましては、その時々の財政状況を踏まえて、必要性、効果を判断して整備を進めてきたものでございます。
 次に、マニフェストについてでありますが、私のマニフェストは、4年間の政策につきまして県民の皆さんと約束をした選挙公約でありまして、これまで取り組んだ成果については、私自身が検証して、現任期中のしかるべき時期に評価結果を公表いたしますが、その際には、さまざまなメディアなどを通じてわかりやすくお伝えする工夫をしたいと考えております。また、到達度につきましては、私の検証結果に対して、政策本位の県政運営を確立していく観点から、幅広い県民の皆さんから評価を行っていただくことが望ましい、このように考えております。
 公共事業の削減についてでありますが、私の3期目のマニフェストの中で、公共事業の投資規模を平成14年度当初予算から30%段階的に縮小、こういうふうに記載したわけでありますが、この意味ですけれども、これは、マニフェスト作成時点では、縮小が大変困難な課題、公共事業を30%減らすというのはその時点では困難な課題でありました。それを高い数値目標として示して、それによって新たな財源を生み出そう、こういう趣旨で記述したものでございます。したがいまして、これは、財政環境が大きく変化した場合にもそれだけの公共事業量を保障するという趣旨ではないものでございます。現時点では実際の数字は4割強の削減、このようになっているわけでありますが、それは、その後、国の公共事業関係予算の一層の抑制、それから、いわゆる交付税ショックと呼ばれる地方交付税総額の削減など財政環境が激変したわけでありまして、それは、その時点その時点で適切に判断をしてそこまでの削減を行った結果によるものでございます。
 就業者の状況でございますが、本県の就業者の実数は、総務省の労働力調査のモデル推計値を用いて直近の第2・四半期のデータで比較いたしますと、平成15年は69万1、000人、16年は67万7、000人、17年は66万9、000人と減少しておりましたが、18年は69万1、000人と、ちょうど平成15年の水準まで回復しております。これまでの減少傾向に歯どめがかかった、このように認識しております。
 それから、政策形成プロジェクトでございますが、これは平成15年度から18年度の4年間で一般財源200億円を確保して40の政策などを推進しているわけでございます。17年度までの達成状況はおおむね順調という評価結果でございますが、具体的に申し上げますと、誘致企業と地場企業の連携によって自動車関連産業を核としたものづくり産業の集積ができ上がってきたり、あるいは福祉の分野では地域コミュニティーの力を生かしたご近所介護ステーションの設置事業を始めるなど、地域の力を生かした取り組みが今進んできているもの、このように考えております。
 それから、マニフェストの自由度がどれだけあるかというお尋ねでございましたが、厳しい財政環境に今あるわけでございますが、そうした中で、政策の優先度をはっきり示すことがマニフェストの本来の意義であると思います。従来は、政策の公約となりますとあれもこれもということを盛りだくさんその中に入れたわけでありますが、あれもこれもからあれかこれかという政策の優先度を示すことがマニフェストの本来の意義でございますので、こうした硬直した財政運営の中でこそさらにマニフェストを示す意義が高まってくる。限られた資源を最大限生かすように、徹底した政策の選択と集中という方向性をマニフェストに盛り込むことが大切である、このように考えております。
 また、今後の県政は、その経営の最高責任者である知事がみずからの政策を県民に明確に示して、理解、合意を得た上で推進することが一層求められる、このように考えておりまして、次期知事選挙においてもマニフェスト型選挙の意義は大きいもの、このように考えております。
 政権与党や政府との関係についてでありますが、各候補者は、県政に対するそれぞれの基本方針、目標、重点政策等を踏まえてマニフェストを作成すべきものと考えておりますが、その内容につきましては、政府などの政策との連携を図る部分あるいは対立する部分、それぞれさまざま出てくるもの、このように理解しているものでございます。
 入札制度の関係でございますが、政策的な入札制度、その入札の基本的な哲学、理念についてのお尋ねがございました。
 県営建設工事の入札につきましては、良質な社会資本をより安く調達することを基本に、納税者でございます県民の視点に立って、公正性、透明性、競争性、これを十分に確保するとともに、適正な施工の確保や談合など不正行為の排除にも十分留意しながら執行しなければならないもの、このように認識しております。また、県が発注する工事でございますので、県内企業の育成、地域経済の活性化、雇用の確保等にも配慮することが必要と考えておりまして、今後も、県内業者で施工が可能と認められる工事につきましては県内優先発注を基本といたしまして、公正性、透明性、競争性が十分に確保されることを前提としつつ、県内建設業者の受注機会の確保に努めていく考えでございます。
 その政策的配慮についてでございますが、こうした公共工事の発注に当たりましては、国の中小企業者に関する国等の契約の方針におきまして、効率的な執行を通じたコスト縮減を図るという観点から、適切な発注が確保されることを前提として分離発注に努めることとされております。また、当該公共工事の特性を考慮しながら、市場競争が確保される範囲内で可能な限り地元専門工事業者等を活用した分離発注を行うことへの配慮も求められております。これは国土交通省の事務次官通知によるところでございます。このため県では、これらの趣旨を十分踏まえつつ、専門の技術力を備えた企業に直接発注することが公共工事の良質な品質の確保や県内企業等への受注機会の拡大につながることも考慮して、これまで建築工事における電気や機械設備等の専門工事において、それぞれの特性を十分配慮しながら可能な限り分離発注に努めてきたところでございます。
 それから、県発注の建設工事について、県内企業の育成や地域経済の活性化に留意するとともに、高い施工能力を有する健全な建設業の育成を図る観点から、技術者の確保やその能力の向上にも配慮していくことが必要、このように考えております。このため、県内企業の受注機会の確保に努めますとともに、各工事に配置される技術者につきましては3カ月以上の雇用関係が継続していることを条件としているところでございまして、このような条件のもとで公共工事を担当することを通じて県内における常勤の技術者の確保・育成が進むことを期待しているところであります。
 分離発注の判断基準と方針の周知についてでございますが、対象となる工事の種類や施工条件など、それぞれの工事で発注の事情が異なっておりますので、一律的な基準を策定して運用することは困難と考えているところでございます。今後も、公共工事の発注に当たりましては、分離発注の趣旨を十分に踏まえながら、各工事の特性に応じた適切な発注に一層努めていくことといたしまして、この旨関係部局に対し改めて周知いたしますとともに、県内企業の受注機会の拡大にも配慮した分離発注に努めていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、改正まちづくり三法のねらいと今後の留意点についてであります。
 今回の法改正では、都市計画法において床面積1万平方メートルを超える大規模集客施設の郊外立地を抑制するとともに、中心市街地活性化についても、単に商業振興にとどまらない総合的なまちづくりの観点から、国の認定を受けた計画を持つ市町村に重点的支援を行うなど、拡散型から集約型の都市構造への転換と、選択と集中による中心市街地の活性化を図ることをねらいとしているものと認識しているところでございます。
 一方で、改正都市計画法における、市町村が決定または変更する都市計画に対しての知事の同意に関する具体的基準など法運用面での課題や改正法に加え、大規模集客施設に対する本県独自の立地抑制、誘導制度などが必要かどうか、また、高い認定ハードルを持つ改正中心市街地活性化法を活用する地域のほかに、主体的に中心市街地活性化を進める地域への支援のあり方などを検討していく必要があるものと考えております。
 次に、中心市街地と大型店の共存についてでありますが、改正法におきましては、都市計画法により大規模集客施設の郊外立地を抑制し、郊外、中心市街地を通じた都市構造全体の適正化を図るとともに、中心市街地活性化法により、中心市街地での大店立地法上の出店手続の緩和制度も新たに設け、大型店を含む都市機能の適正立地を基本とした中心市街地づくりの環境を整えようとしているところでございます。
 県としても、このような三法の仕組みを活用し、中心市街地と郊外のバランスのとれたまちづくりを進める市町村の取り組みを支援していく考えでありますが、現在、有識者による懇談会において、大規模集客施設に関し、本県独自の立地抑制と誘導の制度や地域貢献活動への対応を求める制度の必要性などを議論いただいているところであり、今後これらの議論なども踏まえ、持続的なまちづくりに向けての仕組みづくりを検討していくこととしております。
 次に、福島県の条例についてでありますが、福島県の条例では、県として大規模集客施設の立地に関する一定の考え方を示しているなど、まちづくりに向けた主体的な取り組みの一つであると考えております。一方、全国の都道府県でも初めての条例であり、また、条例が施行間もないことから、今後の具体的な出店計画に対する運用状況や制度効果、課題などについて十分把握していく必要があると考えており、県としてもその動向を注視し、本県における中心市街地活性化施策の参考としてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、やる気のある地域の支援基準と商店街等の意識改革についてであります。
 改正法の支援を受けるためには、総合的なまちづくりの視点から熟度の高い計画を作成する必要があり、計画に対する国の認定基準の中には、居住人口や事業所数などの数値目標の設定や準工業地域への大規模集客施設の立地抑制等土地利用の制限などが求められているところであります。このことから、市町村としてまちづくりに相当の主体性を持つことが必要であり、高い認定基準のハードルをクリアするためには、数値目標の達成や住民を巻き込んでのコンセンサスづくりなどに向けての具体的かつ意欲的な取り組みが求められるものと考えております。
 また、商店街などの意識喚起は大変重要なものと考えておりますが、商業者などの直接当事者だけではなく、中心市街地にかかわる生活者などさまざまな関係者が議論、連携、活動する中で、みずからのまちづくりに対する共通の意識をつくり出していくことが特にも重要であると考えております。有識者懇談会でも同様の議論をいただいているところでありますが、今後、懇談会の議論も踏まえて、まちづくりにさまざまな主体が参加しながら意識を高め、主体的に活動を行っていく体制の構築などに対して、県としても積極的な支援を行うよう検討してまいる考えであります。
 次に、有識者懇談会の議論の方向性についてでありますが、懇談会はこれまで3回の開催となっておりますが、現時点における議論の方向性としては、大規模集客施設に対して積極的な地域貢献活動への対応を求める制度や、商店街のみならず、生活者なども含め、さまざまな主体の連携強化などに力点を絞った中心市街地活性化施策の展開など、これらの点について対応していくべきとの多くの意見をいただいているところであり、また、独自の大規模集客施設の立地抑制、誘導制度の必要性につきましては、懇談会でさらに議論を継続していく方向にあります。今後、年内に中間提言をいただく予定としておりますが、提言あるいは議論の中での必要な部分については可能なものから施策に結びつけていきたい、このように考えておるところでございます。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 盛岡市の市街地開発とコンパクトシティーについてでございます。
 まず、コンパクトシティーの理念は、成長社会から成熟社会への転換の中で、環境負荷の抑制、総合交通政策などの観点から、持続可能な都市の形成を目指すものであると理解しております。
 一方、盛岡市の都市計画の基本的な考え方は、市の東西の丘陵地や森林を保全しながら、市街地の発展を南の平野部に誘導するものであります。また、市街地の中心部につきましては、それぞれの地区の適切な機能分担を図り、連続的に軸状都心を形成し、北東北の拠点都市としての機能集積を図ろうとするものであります。この都市構造は、周辺の自然環境を保全しながら計画的な市街地の形成と都市機能の集積を図るものであり、コンパクトシティーの理念に沿うものと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 公務員の飲酒運転による痛ましい事故が発生いたしまして、飲酒運転を初めとする悪質な交通違反に厳しい目が向けられております中、知事部局におきましては、酒酔い運転は懲戒免職処分としていたところでございますが、今後は、酒気帯び運転も原則として懲戒免職処分とするほか、飲酒運転に係る同乗者についても原則として停職処分、特に悪質なものについては懲戒免職処分とすることとしたところでございます。あわせまして、各職場において組織的な防止に取り組み、飲酒運転を絶対に許すことのない職場風土の構築を図っていくよう、改めて道路交通法の遵守につきまして、飲酒に係る処分を重くすることも含めて周知徹底を図ることとしております。
 交通法規に限らず、社会的ルールの徹底や社会的責務に関する意識醸成を図るため、法令の遵守にとどまることなく、社会の規範やルールまで含めて遵守することで県民の期待にこたえていくということを基本的な理念といたしましたコンプライアンスマニュアルを昨年12月に策定しているところでございます。これに定められている職員としての基本使命、行動規範及び行動指針などが日常の業務を遂行する過程で職員がとるべき行動の確かなよりどころとなりますように、毎月15日をコンプライアンス確立の日に設定いたしまして、所属長が職員に対し継続的に注意を喚起する節目としているところでございます。今後も、このような取り組みを重ねながら、職員一丸となって県民の信頼にこたえていく組織を確立してまいりたいと考えているところでございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、教職員の意識の向上策と指導の徹底についてですが、飲酒運転などの不祥事を防止するためには、何よりも管理監督者が強いリーダーシップを発揮し、教職員との対話を通じて、繰り返し繰り返しコンプライアンスの意識の醸成を図るとともに、不祥事を絶対許容しないという、そういう職場づくりに努めていく必要があります。また、教職員一人一人が常に法令等の遵守に強い自覚を持って行動することが大事であります。
 各学校では、職員会議や朝会で管理監督者が法令等の遵守について指導、注意喚起を行っているほか、学年団や教科担当ごとの話し合いなどを通じてお互いに注意し合うなど、日常的に法令遵守の意識を高める取り組みを行っております。こうした学校現場での取り組みを支援するため、ことしに入ってから、教職員の日常の行動指針となるコンプライアンスマニュアルや不祥事撲滅に向けた取り組み事例集、交通違反事例集などを作成し、配付したところです。各学校においては、このマニュアルを活用して教職員一人一人が自己の意識や行動について自己チェックを行うとともに、事例集を職場内研修などで活用するなど、コンプライアンス確立に向けて自発的、継続的な取り組みを行っているところです。
 特に教職員は、児童生徒に対して社会のルールやマナーを教える立場にあり、より高い倫理観が求められることから、初任者研修や教職経験者研修において、今年度から教育公務員としての心構えや服務規律、公務員倫理などについての内容を充実し、その使命と社会的責任の重さを深く自覚して行動するよう指導しているところです。また、管理監督者に対しては、会議や研修などさまざまな場においてコンプライアンスの確立についての心構えや教職員に対する指導のあり方などについて徹底を図っているところです。さらに、経営指導主事などによる学校訪問の際などを活用して、コンプライアンス確立に向けた各学校の取り組みについて助言指導しているところです。今後も、あらゆる機会をとらえてコンプライアンスの徹底を図り、全学校、全教職員を挙げて不祥事の撲滅に取り組んでまいります。
 次に、国旗・国歌についてですが、本県においては、平成3年度以来すべての小・中学校、高等学校において入学式、卒業式で国旗を掲揚し、国歌を斉唱しているところです。入学式、卒業式においては、学習指導要領に基づき、その意義を踏まえ、国旗掲揚及び国歌斉唱が各学校において適切に行われる必要があると考えております。本県においては、国旗掲揚及び国歌斉唱にかかわっての混乱等はありませんが、今回の判決については、当時者である東京都の対応などを今後注視していきたいと考えています。
 ただいま申し上げましたように、本県においては国旗掲揚、国歌斉唱は特に問題なく定着していることから、校長及び市町村教育委員会の適切な指導のもと、各学校において教職員間の意思疎通や共通理解を図りながら、全教職員が一致協力して指導を行っているものと認識しています。教育公務員は、法令や上司の職務上の命令に従って教育指導を行わなければならない職務上の責務を負っております。教育目標を達成するためには、学習指導要領の趣旨に基づいて、校長、市町村教育委員会に対し適切な学校運営がなされるよう指導してまいります。
 次に、性教育リーフレットについてですが、このリーフレットは、8月に各教育事務所、各市町村教育委員会、そしてすべての公立小・中学校、高等学校、盲・聾・養護学校にそれぞれ学級数分配付したところです。これは、各学校で性教育を行う際に、児童生徒の発達段階に配慮すること、保護者との連携を図ること、使用する教材を工夫することなどについて教職員全員が共通理解を図り、適切な指導が行われるための教材として作成したものであり、各学校において効率的に活用されるよう指導してまいります。この資料で示した方針を実効力あるものにするためには、教員の指導力の強化と資質向上を図ることが必要であり、各学校において適切な指導が行われるよう、教職員を対象とした学校保健講習会や各教育事務所ごとに行われる研修会等において指導してまいります。
 性教育を行うに当たっては、指導内容について学校において十分話し合い、毎年、各学校の年間指導計画に組み入れ計画的に指導を進めていくこと、また、性教育実施後、児童生徒や保護者からのアンケート調査を行うなどし、その評価を踏まえて次年度の指導計画に反映させるよう、今後もさまざまな機会をとらえて指導してまいります。
 性教育については、適切な情報提供等を行うことにより学校と保護者との共通理解を図りながら指導を進めることが大切であり、また、専門的立場から医師などの指導助言をいただくことも効果的であります。そこで、保護者や地域の医師会や保健所などの関係機関と連携し、その御協力をいただきながら指導を行うよう各学校を指導してまいります。
 次に、先人教育についてですが、県下の小・中学校における先人教育は、各市町村において編集された地域の歴史や先人を取り上げた社会科の副読本や、盛岡市のように地域の先人の業績を紹介した副読本などを効果的に活用し、行われているところです。子供たちがこの先人教育を通じて地域社会の発展に尽くした先人の働きを学習し、その生き方に触れることは、地域社会に対する誇りと愛情をはぐくむことにつながり、大変意義のある取り組みであると考えております。
 県教育委員会では、これまで平成2年と平成12年に地域の発展に尽くした先人を取り上げた道徳資料を作成し、それを県内全小・中学校に配付し、先人教育の充実を図ってきているところです。今後は、これらの資料の改訂に取り組んでまいりたいと考えております。また、教師が地域の先人に対する理解を一層深めるために、資料館や史跡の見学などを取り入れた体験的な研修に取り組んでいる市町村もありますので、こうした先進的な取り組みの情報を提供するとともに、各市町村教育委員会で行われている地域の先人を取り上げた副読本の作成の取り組みやその効果的な活用方法について積極的に支援指導してまいりたいと考えております。
〇10番(高橋雪文君) 短く4点について再質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、知事のマニフェストについてでございますが、マニフェストサイクルというものがございまして、PDCAサイクルとも言われますけれども、やはりその検証の後アクションがあると。当然そのアクションが非常に重要な要素になってくるんではないかなという思いがあります。選挙ですからいろいろあると思いますが、増田知事は当初、マニフェストは、選挙で、県民に対してこの選挙を通じて負託を得たんだということで、それが一つの基準のように今まで御説明しておりました。そういった点からすると、その評価というのは、やはりしっかりと選挙、できれば選挙で示すということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 そして、2点目でございますが、入札業務についてでございます。
 今お伺いしますと、地元業者でできるところはできるだけ地元業者に、そして、分離発注できるものについては分離発注に、これが、非常にそういう理念を持って取り組んでいただいている、それは感謝するところでございます。
 ただし、やはり部局ごとに分かれていて、そこの認識の深さ、浅さによって、この分離発注が徹底されていない、こういうところがやはり指摘できるのではないかと思います。特に、今後は新築よりも改修、改築、こういうものが県にとって重要な公共工事の一つになるだろうと思うわけであります。ぜひその点にも配慮いただいて今後進めていただきたいと強く要望するものであります。
 また、実は、今回業種についてはお伝えはしませんけれども、やはり専門業者以外の一般の建設業が入札業務に入れるという、非常に枠が緩いために、この分離発注の理念から少しかけ離れた形で入札が行われているという事例があるようでございます。専門業者は、技能士を抱えるために、それ相応の負担をしているわけでございますし、県も、能力開発協会に2分の1支援をして、国が2分の1でございますが、技能士・技術者の育成を図っているわけでございますけれども、そういうものにある程度配慮する政策的な思いを形にしていかなければならないのだと思いますが、その点、もう一度、その意思があるのか、ないのか、今までのままでいいのかどうか、その点についてもお聞きしたいと思います。
 3点目でございます。中心市街地活性化でございますが、まちづくり三法ができまして、これから本当の意味で中心市街地活性化、そして商店街の再生、こういうものに国を挙げて取り組んでいくわけでございますが、この三法が施行されて、実施されたとしても、実際に影響がうまく機能して、そしてそれが、その商店街や中心市街地が活性化されるところまで至るのは、やはりタイムラグがかなりあるんだろうと。その間の県や市町村の取り組みが、これからは大きなポイントになるのではないかと思うわけであります。
 しかしながら、昨年度からこの議論をさせていただいているところでありますが、いずれ検討しているとか、議論しているとか、こういう非常に対応が遅い、これは、やはり大きな問題であるのではないか。やはり自分たちの町、今まで形成してきた商店街をどうにかするということが、実は大切なんだと思います。
 この夏に、実は、県内の商店街をいろいろと訪問させていただきました。どこの地域の商店街も、今まで活力があった商店街も、やはりシャッターをおろしている店舗が非常に多くなって、非常に危機感を感じておられる。これはもうどこに行ってもそうであります。これが大型店とどういう関連をしているのか、これは、その地域によって検証していかなければなりませんけれども、やはり県が積極的にそのイニシアチブをとっていく、リーダーシップをとっていくという姿勢が、私たちに安心を与えてくれる施策につながっていくのではないかと思うわけであります。ぜひその点をもう一度お聞かせいただきたいというふうに思います。
 最後に、教育長に再度お聞かせいただきたいのでございますけれども、私の質問の中で、いわゆる教育目標到達を無視して、そして自由に振る舞う、今回の判例をもとに、やはりある程度自分たちの思想信条のもとに活動してくるというのが、私は、若干なりとも出てくるのではないかという非常に危機感を持っているわけであります。その対応について、ある程度明確なものがいただきたいと思いまして、その点再質問させていただいて、終わらせていただきたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 私の方で2点お答え申し上げたいと思います。
 初めに、マニフェストの関係であります。
 このマニフェストの評価でありますが、仮に私のマニフェストについて言えば、私自身が検証する、それから、それに県民の評価ということ、今、恐らく選挙に出馬して、それで県民の選挙での評価を受けるのがいいのではないかという御趣旨だと思うんですが、そういうマニフェストに対しての県民の評価、これは一つの考え方だと思うわけでありますが、初当選とか、2期目、3期目ぐらいまではそういうサイクルで回っていけばいいと思うんですが、だんだんやがて例の、きのうも少し議論がありました多選の問題も新たに出てくるものですから、そういったことで、マニフェストを作成して、それで、それを政策に落とし込んで、実行して、それで検証する。次の選挙をどうするか、これは、また別によく考えたいと思っているところでございます。
 あと、入札制度の関係でございますが、この入札制度につきましては、制度としては、これは、現在の制度でも、そういった技能職を抱える専門業者の皆さん方にも公平に入札の機会を設定しておりますので、制度としてはいいのではないかと思っているわけです。先ほど申し上げました閣議決定の趣旨や国土交通事務次官の通知などにも書いてありますけれども、やはり一定の条件のもとに分離発注をできるだけ進めていく、そういう努力をするようにというようなことが言われているわけでありますので、この、今議員の方から御懸念がございました、どうも部局ごとに趣旨のとらえ方が違っているのではないかというお話がございました。よく私どもの方でも、実際の発注は知事部局であったり、あるいは教育委員会の方でも発注行為などが行われておりますので、部局によってその趣旨の理解に違いのないように、中で十分周知徹底をして、そして、原則可能なものは分離発注をできるだけするように、そういうことにこれからも努力をしていきたいと考えております。
〇商工労働観光部長(阿部健君) 三法の効果といいますか、これが出てくるまでにタイムラグがあるというお話で、県の積極的な取り組み、この必要性についてお話をいただいたところでございます。
 7月から8月にかけまして、県内のTMOが24、それから市町村の数にしますと19でありますけれども、そこを私どもの方でいろいろと回って、いろいろな話を伺ったところでございます。そこにおきまして、一番何を支援してほしいのかという話の中で、商店街のいわゆる主体の強化といいますか、人材育成、商店街を強くする主体の強化、それから個々の店舗の強化、それからイベントも出ましたか、そして、国の認定から、それを受けないところの支援措置といいますか、そういった話が出たところでございます。
 やはり、今大型店の抑制とか、あるいは中心市街地への誘導、いろいろありますが、一番この中心市街地のまちづくりの中で課題になりますのは、いかに中心市街地、商店街が消費者、地域と一緒になって強くなっていくのか、そこが一番基本になっていると思います。
 それで、県の積極的な取り組みのところなんですが、いわゆるそういった7月、8月に回ったときの話にも出ましたが、主体性の強化といいますか、まさに地域、消費者と一体となった商店街の強化、ここの部分に向けて、私どもとしても、市町村あるいは中央会とか、いろいろな関係団体がありますが、そういったところに出ていって、いろいろこういった主体の強化に向けて、これは余りお金のかかることではなくて、まさにみんなが協力してやればいいことでありますので、この辺は、議員御指摘ありましたとおり、積極的に動いていきたいと考えております。
 それから、なお、今年度でありますが、事業としては、成功モデル店舗の事業を展開しておりまして、これは、昨年水沢地区でやりまして、5店舗、成功モデル店という形で、いろいろなノウハウとか、マーケティングの関係とか、売り方とか、経営とか、そういった指導をしているところでございますが、ここの店舗、今年度5店舗ともすべて売り上げが上昇しているという状況でございます。まさに成功店でありますが、これは、ことし北上でこれからやる予定にしてございます。
 こういった情報もいろいろと外にきちんと出しながら、取り組んでまいりたいと考えております。
〇教育長(照井崇君) 現在、各学校におきましては、教育目標を達成するために、校長以下、全教職員一致協力して指導に当たっているものと認識しておりますが、もし仮に御懸念のような問題となるような教職員がいる場合には、校長や市町村教育委員会におきまして、学習指導要領の趣旨等を十分理解させて、児童生徒の指導に当たるよう当該教員を指導するように、校長や市町村教育委員会を指導してまいりたいと考えております。
 
日程第 2  認定第 4 号平成17年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第13 認定第15号平成17年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算まで
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第2、認定第4号から日程第13、認定第15号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。川窪総務部長。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) ただいま議題とされました議案につきまして御説明いたします。
 認定第4号は、平成17年度岩手県一般会計歳入歳出決算を認定に付するものであります。17年度の一般会計決算は、歳入総額7、683億900万円余、歳出総額7、558億9、900万円余で、差引残額から繰越財源額を差し引いた実質収支は19億8、100万円余の黒字となっているものであります。
 認定第5号から認定第15号までは、平成17年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計ほか10特別会計の歳入歳出決算を認定に付するものでありますが、各特別会計とも実質収支は黒字となっているものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、各決算を御認定くださるようお願いいたします。
 
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 5 時32分 散 会

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