平成18年12月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案に対する反対討論を行います。
 議案第9号と第18号は、都南の園を県立療育センターとするとともに、指定管理者制度を導入し、社会福祉法人岩手県社会福祉事業団を指定管理者に指定しようとするものであります。
 反対する第1の理由は、都南の園を県立療育センターとして機能と役割を強化充実させることは県民の願いにこたえるものでありますが、経済的な効率性を優先させる指定管理者制度の導入は、県立療育センターの理念にも、機能と役割の強化にも反するものだということであります。県立療育センターは、肢体不自由児施設と身体障害者更生施設から成る都南の園を総合的な障害者の相談や地域支援の機能を備えた県内療育の拠点として再編しようとするものであります。医療施設を持ち、障害者(児)の相談や地域支援を強化することは、経済効率性と両立しない課題であります。まして契約期間が5年間では、まともな人員体制を構築することもできません。県立療育センターは、指定管理者制度になじまない施設だと言わなければなりません。だからこそ指定管理者には同じような活動に取り組んでいる法人は応募せず、県の意向を受けた社会福祉法人岩手県社会福祉事業団だけの応募、申請となったのであります。
 第2の理由は、社会福祉事業団の事業計画と収支計画は、県立療育センターとしての機能強化についても人員体制についても具体的な根拠を欠く極めて不十分なものとなっていることであります。現在の都南の園の人員体制は、常勤換算で83人、療育センターではさらに10人の増員との答弁がありましたが、経費は、今年度の9億8、500万円から9億7、300万円の計画となっています。県の一般財源からの支出も減額であります。医師や看護師、OT、PTなどの専門的職員は、県職員の派遣であるとしています。人員は増員する、専門的な県職員は派遣するが、経費は削減するでは成り立つものではありません。県職員の派遣は3年間が原則となっていますが、5年間の収支計画は全く同じであり、ただ事業計画、収支計画を提出しただけのものであります。県立療育センターとしての機能と役割も極めて不十分な内容となっています。
 第3に、県立療育センターの運営、機能と役割の強化充実のかぎは、医師、看護師、OT、PTや指導員などの人材の確保であります。この責任は、県が果たすべきであります。ところが、二つの議案のどこにも県が果たすべき具体的な責任と役割が明記されていないのであります。
 議案第11号は、県立大迫病院と県立伊保内病院を診療所化しようとする県立病院等事業の設置等に関する条例の一部を改正するものであります。また、請願陳情第75号、第79号は、県立大迫病院と県立伊保内病院の診療所化に反対し、病院の存続と充実を求める請願であります。特に大迫病院の存続には、地域の人口を超える8、000人の署名が寄せられました。請願は4回にわたって継続となり、今県議会には、請願の採択を求めてさらに4、900人余の署名が寄せられたのであります。
 第1に、この二つの請願を不採択とし、診療所化を強行することは、何よりも県民の切実な願いに背を向けることであります。県立大迫病院の存続を求める請願には、民主、自民、政和・社民の会派からも紹介議員となっていますが、本来なら採択されるべきものであります。これを不採択とすることは、政党会派の責任が問われる問題であります。増田知事は私の質問に、地域の皆さんに御心配をおかけして大変申しわけなく思っていると答えました。さらに本会議では、県立病院の改革を進めるには、県民の皆さんの御理解と御協力が不可欠と述べています。県民、地域住民の多くの方々の理解を得ることなく診療所化を強行することは、民主主義に反すると言わなければなりません。地域の医療、住民の命と健康にかかわる重大な問題については、あくまでも地域住民の理解と納得を得て進めるべきであります。
 第2に、診療所化の強行は、地域医療の後退、地域医療の格差を拡大するということであります。今年度、診療所化となった花泉病院と紫波病院の実態は、医師がそれぞれ2人もやめるとともに、入院患者も、花泉で33人から11人に、紫波病院では31人から13人に激減しています。19床さえ大幅に下回っているのが実態です。救急患者も、それぞれ3分の2以下に激減をしています。診療所化は、地域医療の後退となっているのが実態なのであります。地域医療に格差があってはなりません。命の重さに格差をつくってはなりません。医師不足の根本には、医療費削減を優先させる自民、公明による貧困で冷たい医療政策があることは明らかであります。しかし、厳しい状況にあるものの、県立病院の医師は決して減ってはいないのであります。問われているのは、県立病院の創業の精神である、県下にあまねく医療の均てんをという問題であります。
 第3に、県立大迫病院は県立中央病院の附属地域診療センターとするとのことですが、県立大迫病院は、医療圏では岩手中部医療圏であります。北上病院と花巻厚生病院は統合となり、平成20年開業の計画ですが、無理やり中央病院の附属とせず、統合して落ち着くまで診療所化を延期すべきであります。その中で、地域住民が納得する医療、福祉の対策を講じるべきであります。
 議案第12号は、県立病院の療養病床に入院している70歳以上の患者に対して新たに食事代の負担を求めようとするものであります。
 国の悪政によるものでありますが、1日910円、1カ月では2万7、000円を超える負担を押しつけるものであります。耐えがたい負担増で、事実上、療養病床からの退院、追い出しを目指すものであり、高齢者いじめの典型的な冷たいやり方であります。
 議案第15号は、旧職業訓練校跡地を処分、売却しようとするものであります。
 この用地は、盛岡市内では数少ない、中心部でのまとまった用地であります。本来なら、県民、市民が求める保健、福祉、介護、教育などの施設に活用すべきものと考えるものであります。県財政、市財政の危機的状況のもとで、極めて低価格で売却されることは残念なことであります。
 議案第16号は、県営住宅の50万円以上の家賃滞納者10人に対して、県営住宅の明け渡し等の請求訴訟を提起しようとするものであります。
 しかしながら、この滞納者の中には、生活保護受給者や母子家庭で無職の家族も含まれています。十分な相談や対応がなされていないことは問題ですが、住宅の明け渡しを強行するならホームレスになりかねないのが実態です。福祉事務所や児童家庭課など、福祉の分野と本当に連携して対応すべきであります。憲法25条で明記をされた、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するという原則は何よりも優先するべきものであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第75号岩手県立大迫病院の充実を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第75号岩手県立大迫病院の充実を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第79号岩手県立伊保内病院の充実を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第79号岩手県立伊保内病院の充実を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第11号県立病院等事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第11号県立病院等事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第9号、議案第12号、議案第15号、議案第16号及び議案第18号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、議案第9号、議案第12号、議案第15号、議案第16号及び議案第18号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第8号まで、議案第10号、議案第13号、議案第14号、議案第17号、議案第19号、議案第20号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第8号まで、議案第10号、議案第13号、議案第14号、議案第17号、議案第19号、議案第20号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
日程第23 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第23、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
総務委員会
受理
番号
   件             名  
88県出資等法人の整理統廃合にかかわる職員の雇用確保を求める請願

 県南広域振興局設置の成果と課題について
環境福祉委員会
岩手・青森県境不法投棄事案への対応状況について
青森県六ヶ所村核燃料再処理工場に係る環境放射線調査の状況について
 
商工文教委員会
受理
番号
   件             名  
80財団法人新渡戸基金に対する岩手県の出捐協力について請願

農林水産委員会
 産地魚市場の情報化について
県土整備委員会
 平成18年災害の概要について
〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
日程第24 議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第24、議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕
〇副知事(竹内重徳君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第21号は、収用委員会の委員であります野村弘氏及び八木橋伸之氏の任期が12月24日で満了となりますので、両氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(伊藤勢至君) この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後 3 時16分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川   富  夫 君
3  番 五日市      王 君
4  番 小田島   峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口   英  司 君
9  番 高  橋  比奈子  君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子  君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎  君
20  番 新居田   弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
30  番 佐々木   順  一 君
31  番 佐々木      博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺   研  一 君
36  番 小野寺      好 君
38  番 伊  沢  昌  弘 君
39  番 小  原  宣  良 君
40  番 阿  部  敏  雄 君
41  番 佐々木   一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木   大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎  君
48  番 菊  池     勲 君
49  番 藤  原  良  信 君
51  番 佐々木   俊  夫 君
欠席議員(1名)
50  番 佐  藤  正  春 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時47分再開
〇議長(伊藤勢至君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 知事から、議案の提出がありました。お手元に配付いたしてありますから、御了承願います。
〔参照〕
                    予 第  181  号
                    平成18年12月11日
 岩手県議会議長 伊 藤 勢 至  様
                岩手県知事 増 田 寛 也
   議案の送付について
 平成18年11月28日開会の岩手県議会定例会に提出する下記の議案を別添のとおり送付します。

議案第22号 監査委員の選任に関し同意を求めることについて
   〔議案の登載省略〕
議案第22号 監査委員の選任に関し同意を求めることについて
〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。この際、ただいま提出のありました議案第22号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを日程に追加し、日程の順序を変更して直ちに議題としたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、この際、議案第22号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを日程に追加し、日程の順序を変更して直ちに議題とすることに決定いたしました。
 議案第22号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。竹内副知事。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕
〇副知事(竹内重徳君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第22号は、監査委員のうち、議員のうちから選任されていた川村農夫氏から辞任の申し出がありましたので、その後任として中平均氏を選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、これより、議案第22号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第22号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、議案第22号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
日程第25 発議案第 1 号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例から日程第33 発議案第 9 号地域医療の確保が図られる医療提供体制の構築を求める決議まで
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第25、発議案第1号から日程第33、発議案第9号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各会派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第2号道路特定財源の確保を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、発議案第2号道路特定財源の確保を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
 次に、発議案第1号及び発議案第3号から発議案第9号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、発議案第1号及び発議案第3号から発議案第9号までは、原案のとおり可決されました。
   閉 会
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第22回県議会定例会を閉会いたします。
   午後3時52分 閉 会

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