平成18年12月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇 8 番(木戸口英司君) 民主・県民会議の木戸口英司でございます。
 登壇の機会をいただきましたことに感謝申し上げ、知事の大きな決断、任期もあとわずか、このときの質問にさまざまな思いを込めて早速進めてまいります。
 政府は、10月末、地方分権改革推進法案を閣議決定いたしております。内閣府に有識者による委員会を設置し、国と地方の役割分担の見直し、地方への権限や税財源の移譲等の論議を進め、2010年に地方分権改革一括法を提出するとしています。安倍首相が政権発足から間もないこの時期に分権改革に取り組もうとしていることは、強い意欲のあらわれと評価したいところですが、首相みずから分権の理念と具体的な姿を示し、強力な指導力を発揮しない限り、昨年まで繰り広げられた三位一体改革の喧騒が、結果、補助率の引き下げという数字合わせで終わったことを想起させられます。
 マニフェストの冒頭も行財政構造改革のキーワードも地域主権型の社会形成とし、知事は、分権を構造改革の本丸、地域を再生させる手段として位置づけ、知事会を主導し国にその実現を迫り、本県においては市町村への権限移譲を進めるなど、岩手県版分権型社会の構築を推進してきました。これまでの分権改革についての評価を総括的に知事に伺います。思うように進捗が見られないとすれば、何が課題だったのでしょうか。
 政府の経済財政諮問会議が新しい委員のもとで再スタートし、分権改革について論議がなされております。国と地方の税収比を見直し、地方へ税財源移譲を図ることが提案されたのとともに、財政が悪化した地方自治体を国の管理下で再建する再生型破綻法制の2年以内導入、人口と面積で配分額を決める新型交付税の来年度一部導入が示されたことは前内閣の路線継承であり、地方への権限、財源の移譲が進められる前に地方の行革努力を強く促す内容と言えます。頑張る地方を応援するとして、改革意欲のある自治体に交付税を手厚く配分する方針も出されましたが、国は、何を基準に地方の頑張りを評価するのか。これら国の分権改革第2ラウンドの方向性について知事はどう評価しているのでしょうか。
 こういった国の動きの中で、全国知事会等地方6団体の新地方分権構想検討委員会は、第2期地方分権改革に臨む方向性を最終報告としてまとめました。この内容について、知事の評価と実現への工程と優先順位についての考えをお聞かせください。報告では、住民自治の確立、そして改革への世論の喚起の重要性を唱えています。まさに分権実現のかなめと言え、むしろ地方側の責任、県の役割が大きいと考えますが、いかがでしょうか。
 改革の意義を市町村や県民と議論し、共有することなしに、現在、県が進める分権改革、地方振興局の再編や市町村に対する権限移譲などへの理解は深まらず、実現への意欲は高まらないものと考えます。分権改革は国のありようを変えることであり、改革が実現した社会像と県民生活がどのように変わっていくのか、改めて知事の考えを披瀝ください。
 次に、他県で発生した不祥事への対応について伺います。
 談合事件に絡んだ知事の逮捕など相次ぐ不祥事の発生を受け、全国知事会はプロジェクトチームを立ち上げ、知事もメンバーとなりました。問題の原因をどう分析し、再発防止策を打ち出していくのか、知事にお聞きいたします。
 談合事件発生を受けて、知事の記者会見で、本県の入札制度をいろいろな観点で見直し、新しい制度を取り入れていくという発言を聞き、少し首をひねりました。一連の問題は官製談合であり、他県での事件発生を理由に新たな入札制度を取り入れるには、最近の本県での制度改革はさまざまな事態の中で大きく進んできたこと、それが少し行き過ぎではないかと感じているのは私だけではないと思います。県民が本当に望んでいるのは、安値受注でもなく、我が町の現場で、県内業者とはいえ全く知らない遠くの会社が仕事をしていることでもなく、入札制度に公平性、透明性、競争性が担保されることは当然として、税金が有効に使われ、適正な金額で後世に残る立派な成果物が完成することと、工事はその地域の会社が行うことで雇用と地域経済に波及効果が生まれることではないでしょうか。事件が続発する中で全国的には制度の厳格化が図られるものと思いますが、品確法もスタートして2年目を迎えた中で、本県の実情に合った制度を検討していく勇断も必要と考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、医療制度改革への対応と地域医療の確保についてお伺いいたします。
 医療制度改革関連法案が本年6月、さきの通常国会で成立いたしました。しかし、国民から一番に要望が高い、良質な医療の提供を実現する方向性はそこに見えず、財政対策、医療費の抑制に大きくウエートが置かれたものとなりました。高齢者を中心に、負担の増、在院日数短縮に向けた療養病床の廃止削減など、医療へのフリーアクセスが制限されかねず、たび重なる診療報酬の改定で特にも地方の公立病院は経営が悪化し、より深刻化する診療科や地域による医師の偏在と不足の問題は、医療崩壊への道を着実に歩んでいる感がいたします。医療制度改革の方向性、それが本県の医療に与える影響について知事の所見をお伺いいたします。
 県においては、平成19年度末までに新医療計画を策定することとしております。さらに、健康増進計画策定とも絡めながら医療費適正化計画の策定が進められ、糖尿病などの有病者、予備群の減少や、健診、保健指導の実施率等の数値目標の設定と進行管理は、患者の負担増にのみ頼る手法から転換し、疾病予防に着目したことは評価できますが、医療費抑制への効果は不透明と言えます。平均在院日数の短縮、また、療養病床の再編については地域の実情に合わせた計画が必要であり、急性期から回復期までの医療連携、福祉施設の整備と連携、在宅療養体制の確立などが急がれます。施設転換への公費負担も発生し、介護保険の給付と負担のあり方への影響が懸念されます。
 県は、全国に先駆けて、知事を本部長とする医療制度改革推進本部を立ち上げております。厚生労働省が医療費抑制に資するよう都道府県に組織設置を求めたもので、同本部が国の制度改編に対応することのみにとどまらず、厳しい本県医療の将来像を示していくことに成果を上げていただきたいと要望するものです。知事は、本県の医療の現状と制度改革の課題をどうとらえ、計画の策定にどう取り組んでいくのか、考えをお聞かせください。
 平成16年2月、県立病院改革実施計画が示されました。この改革を確実に進めていくには県民の理解と協力が不可欠であることは当然であり、医療の現状と改革の方向をしっかりと説明していく責任があります。同時に、限られた医療資源の中で、今後の医療提供体制をいかに確保し、高めていくかを県民に示していくことも必要です。本年より紫波、花泉が、来年度は大迫、伊保内が診療所化の予定となっておりますが、案が示されるたび地域住民から反対の声が強く上げられてきた状況は、地域の不安を払拭するための県側の説明と説得の努力を大きく欠いていたと言えます。この事態に県当局の猛省を促すところですが、知事の所見があればお伺いいたします。
 本県の地域医療の中核である県立病院の改革は、県民の安心な生活を維持向上させる上でも最優先の課題と言えます。県立病院改革の進め方とその方向性について知事の所見を伺います。
 知事は、全国自治体病院開設者協議会の会長も務めておられます。自治体病院の厳しい現状は自助努力だけでは限界があることは明白であり、国の政策によるところが大きいと考えますが、その立場から、国に対してどのような問題意識を持って要望活動をされてきたのかをお伺いいたします。
 昨今の勤務医の環境は、医療技術の進歩や臨床研修制度などの影響、さらに、患者の権利意識の高まり、医療安全対策の充実が求められるなど、大変激務となっております。結果、退職・開業が進み、さらに勤務環境が悪化するという負の連鎖に陥っている現状は、医療の質を維持するどころか、県立病院の存続そのものにかかわる危機的な状況と認識しております。医師の絶対数の確保については、県において部局横断の医師確保対策室を立ち上げたところであり、国では、地域医療に関する関係省庁連絡会議が新医師確保対策を示し、日本医師会も医師不足対策を提言するなど危機感が共有されてきたと言えますが、現状を打破する決定打はなく、根本的な問題解決は望めないものと考えます。よって、勤務医がやめずに残ってもらえるように、勤務環境を整えること、限りある医療資源を有効に活用することで医療の質を維持向上させ、県民の医療に対する高まるニーズにこたえていく姿を構築していくことが命題となります。そのためには、医師の重点配置及び県立病院の集約・拠点化は大きな流れであり、県立病院改革を進める上では、先ほど触れたとおり、県民の理解を得ることがまず重要です。その一つとして、医療の専門分化が進んでいることから、高度・専門医療を担う病院と医師の配置について情報を開示していくことを図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 一方で、開業医の有効活用を図り、大きな役割を担っていただくことをシステムとして構築すべきではないでしょうか。かかりつけ医制度の普及定着を一層進めること、開業医が県立病院の検査部門等施設を利用できるようにすることはもちろん、外来主治医として治療にも加わる、いわゆるオープンシステムの導入を検討するべきと考えますが、いかがでしょうか。クリティカルパスを県立病院と開業医で共有し、退院後の回復期治療へスムーズな移行が図られる効果もあります。かかりつけ医を定着させることで、中核病院の外来患者のアクセスを原則紹介に限定していくことも考えてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 組織面で、医師の扱う事務量が年々増大していることから、それをフォローアップする職員の養成と配置、また、医療や福祉との地域連携について、その中核は県立病院が担うものであり、全県立病院に担当職員を配置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、患者の権利意識の高まりと変容により、さまざまな医療クレームが寄せられることがふえてきていると聞きます。安全対策に医療局を挙げて取り組むことは当然であり、医療クレームに組織的に対応する仕組みを構築するべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、県立病院の経営と改革、医師確保対策が現場主義、患者本位に立脚し推進されるためには、病院長や勤務医の問題意識からの声、意見が大事であり、医療局としてその声をどのようにとらえ、これからの対策に生かしていく考えか、伺います。
 次に、障害者自立支援法への対応について伺います。
 国の費用負担を義務化する一方で、利用者にも利用量や所得に応じて負担を求める制度は、10月より新たな施設や事業体系への移行が段階的に進められることとなります。障害者福祉の大きな政策転換であるにもかかわらず、国の財政対策優先が透けて見え、制度への十分な理解が進んだとは言えず、拙速と言わざるを得ません。制度の詳細は政省令によるところが多く、小出しの上、ぎりぎりの時期の決定で、サービスを実施する市町村、そして施設や障害者の皆さんは厳しい対応を余儀なくされました。多くの不満の声を受け、政府・与党がここに来て支援策を予算化することとしたのは若干でも負担軽減につながるものと言えますが、本法律が問題をはらんでいることをみずから認めた形と言えます。県は、制度スタートに当たり、県内の状況についてどのような認識を持っていますでしょうか。
 市町村が行う地域生活支援事業について、国から市町村への統合補助金となり、どの事業にどれくらい配分を行うかは市町村の判断にゆだねられるため、事業内容に格差が生じることとなります。サービス利用者は市町村の域を超えている場合が少なくなく、各市町村においても近隣自治体との調整を県に期待したところが多かったのではないでしょうか。事業の体系が決定に至る経過とその結果について県の評価を伺います。また、統合補助金は国の裁量的経費となり、これまでの補助制度と比較するとおおむね2分の1程度の交付額となるようですが、その影響と対策について伺います。
 今後、市町村で障害福祉計画の策定が進められます。当然障害者へのサービスは市町村内で完結できるものではなく、県による広域的な調整や指導が必要と考えますが、基本的な考え方を伺います。
 地域生活支援事業において市町村は相談支援事業を行うこととなりますが、これまで県が行ってきた身体・知的相談員の委託事業を市町村の制度拡充への支援に切りかえるべきと考えますが、いかがでしょうか。何より、サービス利用者の負担増、サービス提供事業者の収入減の影響について、また、新たな障害程度区分によりこれまでのサービスを受けられなくなる利用者の状況について早急に実態調査を行うこと、そして、県としての対策を示していくことが肝要だと思いますが、今後の取り組みを伺います。
 国は、2011年までに現在の入所施設の入所者の1割が地域生活に移行すること、福祉施設から一般就労に移行する者を現在の4倍とすることなどの数値目標を示しています。就労支援が重要であり、課題であります。これは、市町村の取り組みのみで実現するものではなく、県としてもこれまで以上に新たな施策に取り組んでいく必要がありますが、考えをお聞きいたします。
 障害者の自立は、受け入れる社会の体制が整っていることでこそ実現するものと考えます。私は、障害者が地域で共生していく社会環境づくりを地域全体で進めていく理念条例として、千葉県で制定された障害者差別禁止の条例に関心を持つ者ですが、いわゆるノーマライゼーション、障害者が自立し得る社会のあり方、本県としてどのように取り組みが必要か、知事の所見を伺います。
 次に、教育改革と教育委員会制度について伺います。
 相次ぐいじめ問題と自殺者の発生、全国で発覚した履修漏れ騒動と、これら問題の根底にある教育のあり方そのものへの議論が深まることを期待しますが、教育界も世論も責任の所在探しに終始しているとの感がいたします。本県での未履修問題発覚とその後の対応は、県教委が学校現場とともにあるのか、もっぱら国の政策を学校現場に指導監督する立場か、どちらに立脚したとしても、役割を果たしていないのではないかとの指摘は避けられないと思います。
 10月末、教育基本法改正案が国会において審議入りしております。安倍首相は所信表明で、教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくることと述べていますが、だれのための教育か、改革の方向性は国家、社会ありきであります。一方で、首相の諮問機関として教育再生会議も発足しました。教育免許の更新制度、学校・教員の外部評価制度、学校選択制、教育バウチャー制度などの検討内容は、民と経済の視点で競争原理を導入し、教育の質の向上を図るという規制改革の流れを強くにじますもので、教育現場の声、窮状がどこまで反映されるものか。これまで進められてきたゆとり教育の総括もなされないまま、再生の名のもとに国家百年の計の改革が急ピッチで推し進められようとしております。知事は、国が進めようとしている教育改革についてどのような所感をお持ちでしょうか。
 多くの問題発生から、教育委員会制度について国は強い指導監督機能を持たせるとともに、教育長任命の際の認可権を文科相に付与するなど、教育に関する国の指導監督権限強化を図ることを検討するとしています。国、都道府県、市町村、学校と多重構造をなす教育行政は、上意下達、中央集権的とも言われ、構造的に責任や権限をあいまいにしていると言えます。国の責任は、教育制度全般のナショナルミニマムの設定と整備すること、そして、市町村や学校への分権を図っていくことこそ改革のあるべき方向と言え、教育委員会の必置規定の撤廃、選択制の検討もされている中で、国の関与を高めることは逆行するものと言えます。今の教育行政と教育委員会へのさまざまな批判を受け、現状をどのように認識されているか、教育長の所見を伺います。
 選択制がとられるとしても、教育行政への住民参画を確保することで多様な意見を反映していくことは担保されるべきであり、それを前提に、教育委員会改革の論点は次の3点であると思います。
 一つ目、市町村教育委員会へ採用・人事、1学級当たりの児童生徒数の決定等権限移譲を進めていくこと。財源のあり方については、三位一体改革により義務教育費国庫負担金の率が引き下げられましたが、むしろ市町村へ安定的な交付を保証するために全額国庫負担が望ましいと考えます。二つ目、教育行政に対する首長のビジョンと指導力の重要性は増してきており、定期的な首長と教育委員会との協議の場を義務づけるなど、連携のあり方、首長の責任の所在が明らかになるよう制度化していくこと。三つ目、委員会運営の弾力化を図る観点から、委員の選任方法、例えば公選制の導入や委員の人数等、各自治体で選択できるようにすること。それにより、委員会の性格、委員会と教育長の役割も明確化され、各自治体の教育の方向性が住民に明らかになると考えます。いずれ、国の制度改革によるところが大でありますが、教育行政への首長の関与と責任のあり方について知事の所見を伺います。
 また、これら改革の論点に対する所感とあわせ、本県の現状をとらえ、県民の期待にこたえていく教育と教育行政制度の構築に独自に取り組むべきと考えますが、その課題と方向性について教育委員長にお伺いいたします。
 次に、品目横断的経営安定対策と農地・水・環境保全対策について伺います。
 農政の大転換と言われる品目横断的経営安定対策が来年度よりスタートするに当たり、一部秋まき麦を作付する農家から加入手続が進められてきました。米政策改革に始まる地域農業の担い手に集約を図る急激な制度改変に、農業現場は明確な将来像を描けないまま、さまざまな地域事情を抱え、不安と焦燥感を持って対応に追われている姿があります。貿易自由化で国際競争力の波にさらされる中で自給率の向上を図っていく、高齢化と耕作放棄の進行に対し、担い手への集約で営農活動を維持し、農村社会を守り、国土保全という農業の多面的機能を保持していく、この命題が今次の対策で達成されるのか。認定農業者の営農類型の分布を見ると、当然稲作を主体とする経営数の割合が高く、他の経営と比較しても高齢化が進んでいる現状で、近年の米価の大幅な下落は本年も一層進む傾向にあり、国の補てん対策があったとはいえ、認定農業者の経営のこれからに暗い影を落としていると言えるのではないでしょうか。知事は、農業の現状をどのようにとらえ、国の農業政策をどう評価されておりますでしょうか。また、生産現場の声をどのように聞き、岩手型農業の将来像を描き、県としてその確立にいかに取り組むのか、所見を伺います。
 これまでの対策は麦、大豆の転作作目が対象で、おおむね順調と考えますが、米の集落営農組織化への取り組みについて伺います。
 農地や農業用水等を社会共通の資本と位置づけ、一般の住民を加え組織化し、地域ぐるみで保全する活動を支援する農地・水・環境保全対策は、制度への農村の理解も、地域住民の農村に対する理解と議論も、深めていくには余りにも短い準備期間の中で導入されようとしております。県、市町村において多大な財政負担が生じることから、各県で独自の基準を設ける動きが広がっており、本県でも対象地域を絞り込むこととしております。地域での制度の理解が進んでいるとは言えないこと、財政的に厳しいのは市町村も同様であり、要望を取りまとめる段階で事業実施への抑制が働かないとは言えないことから、本当に必要としている地域に当対策の導入が進むのか、地域要望の動向と今後の見通しについて認識を伺います。
 次に、岩手競馬について伺います。
 厳しい県政に重くのしかかる県競馬組合の存廃問題は、その結論を導き出すときが近づいてまいりました。330億円融資と存廃基準の設定が柱となる新しい改革計画は、収支均衡の条件となるコスト削減は、交渉が進みつつも、その成否はこれからという不確定なものとなりました。収支均衡を存廃基準としたことは、赤字の増加はもはや許されないことは当然であり、当初の改革計画でも来年度収支均衡の達成を見込み、また、知事の発言、06年度までの結果をもとに岩手競馬の最終的なあり方を考えたいとは、収支均衡に存廃がかかることを十分に意識した発言だったと受けとめておりました。もともと売り上げ計画の過大さを議会も再三指摘してきたところであり、指摘どおり、計画の初年度から目標を大きく割り込んだ事態を受け、ここに来てコスト削減を各関係団体と交渉中であることは遅きに失したと言え、県民の競馬事業に対する不信と批判はきわまっていると言わざるを得ません。収支均衡が可能か、融資の是非を議論する以前の問題と考えます。
 知事は、管理者の第一義的責任として、負担を最小限にしていくこととしています。しかし、県民への説明責任を果たすこと、なぜこのような事態を引き起こしたのか、経営責任の所在を明かにすることなしに、競馬事業の継続、融資とはいえ巨額の税金投入は到底理解が得られないものと考えます。赤字が発生してから改革計画策定までの期間、そして、改革計画策定からこの2年間、それぞれの期間において原因と責任を外部的、環境的要因に求めるのではなく、組合の経営と組織の問題としてとらえ、総括すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 私は当初より、競馬を存続させるには、賛否は別にして、抱える負債を構成団体で肩がわりしていくことなしにはあり得ないと考えておりました。今回の改革計画は2年前にこそ示すべきだったと考えますが、いかがでしょうか。知事は記者会見において、あの時点で巨額の融資に理解が得られるのは難しかったと思うと言っておりますが、案を示すこともせず、説得される側の理解度に理由を求める発言はむしろ理解しがたく、この2年間で赤字が拡大したことからも、政策判断のミスと指摘されてもいたし方ないと思いますが、いかがでしょうか。
 また、返済見込みの立たない融資より、規約どおり債務を構成団体で分賦する方が問題を先送りにしない方法だと思いますが、検討はされたのでしょうか、伺います。
 次に、いわて花巻空港の整備と利活用について伺います。
 産業振興と交流人口の増を促進していくことは県の政策の柱であり、空港の整備と利活用を図っていくことがますます重要となることは言をまたないところです。しかし、現在のターミナルビルは、利活用を高めるにも、利用形態の変化に対応するにも有効な手だてを打てない状態になっております。昨今、利用者が増加している国際線を受け入れるための機能が不足しているため、現に誘致活動に支障が生じ、マイナスの経済効果をもたらしております。また、その狭隘さからユニバーサルデザインに対応できないなど、航空機を利用して我が県に来訪する方に多大な不便を強いております。
 空港新ターミナルビル着工の延期の理由の1点目、事業費の縮減と資金調達のあり方について、検討状況を伺います。事業費を縮減しても新ビルに必要な機能は十分確保されるのか、また、見直し後の事業費でビル会社の経営はどのように見通せるのか、伺います。
 2点目、利用促進について、これまでの取り組みの総括と新たな取組状況について伺います。確かに、国内定期便の利用者数は昨今伸び悩んでおります。全体の利用者数そのものも大事ですが、利用の内容を高めていくこと、我が県への経済効果をより高めていく視点が重要です。具体的な計画と数値目標を設定し、例えば、空港を利用して平泉や三陸、盛岡地域を訪れる観光客、あるいは誘致企業等のビジネス客の誘導に取り組んでいく、地域や関係団体を巻き込んでいくことの効果も大きいと考えますが、いかがでしょうか。
 いずれ、新ビルを整備し、定期便、チャーター便とも利用者の利便性を高めるとともに、新たな利用促進策を展開していくことが急務であります。知事は、条件が整い次第、早期に着工したいと述べていますが、着工への見通しについて伺います。
 これで質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 木戸口英司議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権改革についての御質問でございますが、総括的な評価といたしまして、これまでの分権改革を顧みますと、平成7年の地方分権推進法からの分権改革では、機関委任事務制度の廃止などによりまして、法的には国と地方が対等の関係になりまして、その後の三位一体改革によりまして、初めて3兆円規模の基幹税による税源移譲にこぎつけたと、こうしたことについて一定の評価をしております。しかし、これまでの状況を見ますと、地方の自主性、自立性を高めるという、地方分権推進という観点からは極めて不十分と。これは、この議会でも何度か申し上げたところでございまして、こうしたことにつきましては、幾つかの要因が考えられますが、国と地方が改革の理念をしっかりと共有できなかった。また、強力な権限を持つ中央省庁がその権限を手放さず、地方側もそれを打破できなったということ。さらには、国民の理解と支持を十分に得られたとは言えず、それを改革推進の追い風にできなかった、こうしたことが課題であった、このように考えております。
 次に、国の方で、今、頑張る地方応援プログラムということを言っているわけでありますが、これについての見解でございます。
 この頑張る地方応援プログラムについては、具体的な制度内容についてはまだ明らかにはなっていないわけでありますが、地方交付税の政策誘導的な活用につきましては、交付税が地方固有の財源として、財政調整など本来的機能をしっかりと果たすことが期待されていることにかんがみても、決して好ましいことではない、このように受けとめております。むしろ、地方自治体がみずからの権限、責任、財源において、頑張れる環境を整備していくことが、本来の改革の方向である、このように考えておりまして、やはり国から地方への権限や税財源の移譲、さらには国の規制・関与の見直しなど、行財政制度の改革に力点を置いていくことが必要である、このように考えます。
 次に、6団体でまとめました新地方分権構想検討委員会の最終報告についてでありますが、この最終報告、分権型社会のビジョンといいますものは、分権型社会の将来像を示して、住民から信頼される自治体の姿を具体的に描いたものでございます。今後は、この最終報告の理念や目指すビジョンを国と地方、そして国民の間でしっかりと共有することが重要と考えます。その上で、まずは医療、福祉、産業などの各政策分野ごとに国と地方の役割分担の徹底した見直しを行い、国庫補助負担金の廃止、税財源の移譲、地方に対する規制・関与の廃止を進めるなど、分権型社会の道筋をはっきりと示していくべきであります。
 こうした改革について、国民の理解を得るために、分権が進めば、福祉や教育などの分野における住民生活がこのように変わるという、具体的な姿を住民に説明していくべきでありまして、これらは、いずれも住民に身近な我々県や市町村が十分に議論し、共通した認識を持ちながら取り組んでいくべきものであり、また、我々の責務と、このように考えております。
 さらに、地方分権改革が目指しているものは、国は国家の基本的機能に専念して、地方が、地域の産業振興、住民福祉の向上など、住民生活にかかわりの深い内政の大部分を担うということでございまして、特にも、福祉、子育て、教育やまちづくりなど、身近な部分は基礎的自治体が担う、そういう仕組みに変えていくということが重要と思います。このことによって、地域に最もふさわしいサービスが多様な形で提供されるようになるなど、住民にとりましては、受けるサービスと負担の関係がわかりやすくなることから、自分たちのまちのことは自分たちで決めるという、そういう地域主権型の社会につながっていくものと、このように期待をしております。
 次に、談合事件の発生とそれから再発防止策でございます。
 分権を一層進めていかなければならない中で、今回、立て続けに、複数の県において入札をめぐる不祥事が起きているということは、極めて残念な思いであります。このようなことを二度と繰り返してはならないとの強い思いから、都道府県全体で徹底した対応を行うため、今般、全国知事会で公共調達に関するプロジェクトチームを立ち上げたわけでございまして、私もそのメンバーの一人であります。
 去る11月24日に第1回目の会議を開催いたしまして論点について協議をしたわけでありますが、入札契約適正化法に基づく導入拡大を求められております一般競争入札の範囲拡大を初めとする入札制度の改善など、談合が行われにくい制度設計を検討いたしますとともに、今回の事件では、官のかかわりが問題となりましたので、例えば指名理由等に対する情報公開、職員の再就職のあり方、違法な働きかけを受けた職員からの通報の仕組みなどについても議論をしていくこととしております。このプロジェクトチーム、1月の全国知事会に最終報告ができるよう、今、検討を進めているところでございまして、私もその取りまとめについて力を尽くしていきたいと考えます。
 本県の入札制度でありますが、本県では、昨年の県内91社に対する公正取引委員会の排除勧告などを踏まえて、条例設置の外部諮問機関であります岩手県県営建設工事入札契約適正化委員会に意見を伺うなどして、公正性、透明性、競争性が高く、不正行為の起こりにくい入札制度に向けての改善に、鋭意努めてきております。
 今後、全国知事会のプロジェクトチームにおける検討を踏まえ、全国知事会としての対応策の取りまとめが進められると考えておりまして、本県でも、より公正性、透明性、競争性が高く、官側の関与が生じにくい仕組みとなるように、知事会での検討結果に沿って改善を進めていきたいと考えます。
 なお、公共工事における品質の確保や県内企業の受注機会の確保は、今後とも重要な課題でございますので、品確法に基づく総合評価落札方式の拡大などを通じて、良質な社会資本の整備が進められるように、その点留意していきたい、このように考えます。
 医療制度改革の方向性についてでございますが、この医療制度改革、国の基本的方向は、安心・信頼の医療の確保と予防の重視、医療費適正化の総合的な推進、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現、これを基本的な考え方としております。
 この改革の本県に与える影響としては、従来よりも質の高い保健医療の提供が求められているということ。そして医療人材の確保において、これまでにも増して強力な取り組みが必要となってくること。それから、療養型病床の転換に対応した医療との連携のもとでの介護サービスの提供体制の充実、こうしたことが求められる、こんなことが考えられます。
 また、本県の医療の現状と課題でありますが、本県では、脳血管疾患や自殺などの死亡率が高くて、早世率が全国より高いといったことが挙げられます。健康づくりや疾病予防、それから、介護予防と連携した医療提供体制の一層の充実が必要でありますし、広い県土というものを抱えておりますので、その中で県民ニーズに対応したサービスを提供する、こうした問題がございます。特に、増加傾向にあるがんなどに対応するよう、医療機能の集中・高度化もその中では必要になると思います。また、医師の偏在、不足が顕著でございまして、地域医療を支える医療人材の確保が重要と、こうした今申し上げましたことが本県の大きな課題でございます。
 今回の国の医療制度改革においては、生活習慣病対策の導入や、また、がんなどの9疾病・事業に対する地域医療連携体制の構築などが中心テーマとなっていまして、こうしたテーマに取り組んでいくことは本県の課題解決にも重要だと、このように考えておりまして、健康づくりから高度医療まで、事前対応、重症化防止、健康寿命の延伸といった視点から、新たな計画策定に取り組んでいきたい。また、医療と介護の連携のあり方についても、十分に検討していくこととしてございます。
 いずれにしても、こうした医療の確保は県民生活に直結する課題でございますので、多くの御意見を伺いながら、来年度末、19年度末までに、医療計画などに関連する計画の策定を進めていく考えでございます。
 次に、県立病院改革での特に説明責任、こういうことのお尋ねがございました。
 この改革は、県民の皆さんの御理解と御協力が不可欠でございまして、そのため、平成15年度に地元の説明あるいは意見交換を行う、それからパブリックコメントを行う。さらには、議員の皆さん方の論議も承る、そういったようなことで、特に大迫それから九戸といったような地域での改革の点につきましては、無床の診療所へ移行する当初計画を有床の診療所に変更するなど、県民の意見を踏まえた見直しを行った上で計画を策定したという経緯がございます。しかし、診療所化の実施に際しまして請願が出ておりまして、まだ十分に御理解いただけない面があったということもございまして、本年度の9月から10月にかけまして、大迫そして九戸村におきまして、地区ごとに説明会を開催したわけであります。これまでの説明どおりの診療機能を維持していくことで地域の皆さん方の不安の解消に努めていきたい、このように考えております。
 そして、今後の進め方と方向性でございますが、今後の県立病院改革、現在勤務しているお医者さんの労働環境の改善というのが急務になっております。また、患者数の減少や診療報酬の大幅な引き下げといったようなこと。これは、病院経営環境がさらに厳しさを増しているということでございますので、今進めている改革について、可能な限りスピードアップを図るということ、それから、さらに新たな改善にも取り組んでいく必要がある、このように考えておりまして、さらに、今後主要な疾病・事業ごとの県内における医療連携体制の構築を推進するとともに、地域における医療と介護の連携体制の充実を図るなど、他の医療機関や介護・福祉分野と役割分担・連携をしながら、地域医療の確保に努めていきたい、このように考えます。
 それから、私は全国自治体病院開設者協議会の会長を仰せつかっているわけでございますが、その立場から申し上げますと、昨今の自治体病院をめぐる環境、僻地はもとより、地域における拠点病院等においても、医師不足や診療科偏在が顕著になってきておりまして、さらに勤務医不足に起因した医師の過重労働の問題が一層深刻化していくというような状況でございます。
 それから、先ほど申し上げましたが、ことし4月の過去最大の診療報酬のマイナス改定、これが病院の経営環境を著しく圧迫をしているわけでございまして、こうした問題は、開設者であります首長とそれから病院だけで改善することは極めて困難、このように考えます。こうした認識のもとで、全国知事会それから全国自治体病院協議会などの団体とともに、医師確保等につきまして、年数回、自治体病院議員連盟、これは国会議員の方の議員連盟でありますが、この自治体病院議員連盟の協力を得ながら、関係省庁への強い要望活動を行っておりまして、その結果、ことし8月に、厚生労働省、総務省、文部科学省の3省による新医師確保総合対策というのが取りまとめられまして、緊急的に大学における医師の養成数の増員、年間10名でありますけれども、こういった増員が認められたといったようなことなど、これまでのたび重なる要望活動によりまして、地域における危機感がようやく少しずつでありますが国に認識されてきているものと、このように考えているところであります。
 次に、障害者自立支援法への対応でありますが、本県の障害者福祉施策の基本的な考えを踏まえて、今後の取り組みとして、これまでにも増して障害者が地域社会で自立し、安心して生活ができるように、グループホームそしてケアホームの整備による施設から地域への移行促進、日中活動の場の確保や訪問系サービスなどの在宅サービスの充実、就労による自立の支援、権利擁護の仕組みづくりなどに取り組んでいく考えでありまして、また、これらについては、今年度末を目途に、見直し中の障害者プランにこの方向を位置づけていく予定でございます。
 教育関係でありますが、教育改革につきまして、近年、子供のモラルや学ぶ意欲、それから家庭、地域の教育力の低下といったようなことで、教育をめぐる社会状況が大きく変化をしておりまして、新しい教育のあるべき姿について、幅広い観点から議論を深めることは重要であります。これからの新たな教育体制の構築は、現場の実情や意見を十分に踏まえて行われるべきもの、このように考えますが、大事なことは、児童生徒や保護者、地域住民に軸足を置いた開かれた教育行政を進めていくことでございまして、地方分権が進展する中で、国の関与が拡大されるようなことは避けるべきと、このように考えます。
 教員免許の更新制や、国、教育委員会、学校間の権限等の見直し、そして教育委員会、学校の組織・運営の見直しなどさまざまな教育課題がございますが、やはり十分な時間をかけて議論を深めつつ、改革を行っていくということが大切と考えております。
 それから、教育委員会制度の見直しでございます。この制度の見直しを考えるに当たりまして、教育に対する地方が担う役割と責任というのは、ますます重要となってきておりまして、自主的・自立的な教育を実施することができるような教育制度にしていく必要がある、この点をしっかりと押さえる必要があると考えておりまして、今後、教職員人事権などの市町村への権限移譲を進めていくことも必要になる、このように思っております。ただし、小規模な市町村というものが県内にも数多くあるわけでありまして、必要な人材の確保などで課題がございますので、市町村相互の人事交流ということも、その際にあわせて留意をしていくべきであります。
 また、教育委員会の設置や委員数などについては、やはり地域の実情に応じて地方自治体が選択できるような弾力的な制度の検討がなされるべきと、このように考えます。
 さらに、今後も教育委員会の中立性と自主性を確保していくべき、このように考えておりまして、一方で、選挙で選ばれました首長も教育に対する地域の声をより一層反映させるため、教育行政を積極的に支援していくということも重要と、このように考えているものであります。
 次に、農業の関係でございまして、品目横断的経営安定対策でございますが、兼業農家、高齢農家などを初めとする多様な構成員からなる地域農業を、担い手を中心として地域の合意に基づき再編しようとするものでございまして、本県のこれまでの取り組みと方向性が同じでありまして大筋で評価できる、このように考えます。しかし、本県農業の実情を踏まえると、この対策の導入に当たって課題がございます。小規模、兼業農家をどう取り込んでいくか、そして、本県の基幹品目であります園芸や畜産の経営安定対策の充実・強化、こうした課題があると考えております。いずれにしても、本県農業を、地域特性を最大限に生かして、基幹をなす産業として育て上げていかなければなりません。また、我が国の食料自給率向上の一翼を担う総合食料供給基地としても育てていかなければならないわけで、今後もその振興に一層努めていきたい、このように考えております。
 次に、岩手競馬の関係であります。この赤字発生の原因と責任ということでございますが、岩手競馬につきまして、長期的な発売額の減少といったようなことを踏まえて、まず平成12年12月に、テレトラックの整備による売り上げの拡大、施設整備を基調とした売り上げ拡大策をその当時模索をいたしまして、テレトラックの整備による売り上げの拡大などを内容とする改善計画を策定して経営改善に取り組んだわけでありますが、発売額の減少に歯どめがかからなかった。また、当時、盛岡競馬場の設備投資負担などによりまして、現在のような運営状態を招いてきているものと認識します。こうした状況を踏まえて、平成17年2月に策定をした改訂の実行計画では、コスト削減の徹底による財務体質の改善、それからインターネット発売とか三連勝式かけ式といった、施設整備に依存しない売り上げの拡大というものを模索いたしまして、組合の自助努力で債務が解消できるように経営改革に取り組むこととしたわけであります。しかし、コスト削減には所期の成果が見られましたが、新たな発売方法を導入した平成18年度におきましても、自場発売を中心に発売額が減少して、収支改善が見込みを下回るという状況になっておりまして、これはまさしく、ファンの動向など諸情勢の認識が極めて不十分であった、このように考えております。
 競馬組合の抱える負債の構成団体の切りかえについてでございますが、改訂実行計画では、コスト削減の徹底、新たな発売方法を導入して発売の拡大を図るということで、借入金の償還も含めて、岩手競馬の再生は可能という見通しで策定しておりました。
 その時点での考え方でありますが、他主催者の三連勝式かけ式の導入などを勘案すると、今現在の実績のような発売額の低下というのは想定をしておりませんで、そういった発売の拡大ということで再生可能と、このような考え方にのっとったわけでございます。
 今回の新しい計画の融資スキームのように、競馬組合の債務全額を構成団体が融資とするまでの必要性はないというふうに考えまして、組合の自助努力主体による経営改善によるべきものと、このように認識をいたしました。そしてその間、この2年間で赤字が拡大をしているということとの政策判断についてでございますが、これにつきましては、競馬組合の過去の債務を構成団体融資に切りかえるという時期もさることながら、やはりコスト削減や売り上げ拡大に対する取り組みが十分であったかどうか、そこがポイントでありまして、結果として、その取り組みが十分ではなかった結果が赤字としてあらわれていると、このように考えております。
 当然、組合の管理運営の最高責任者である管理者が私でございますので、その時々の情勢の変化を踏まえ、最良のものとなるよう努めてはきておりますけれども、結果として、現在のような運営状況に至っているわけで、今議員からいただきましたような御批判はきちんと受けとめなければいけない、このように考えております。その上で、今後、新しい改革計画を構成団体を初め関係者や県民、市民の皆様方に十分説明し御理解をいただいて、競馬の再生に道筋をつけていかなければならない、このように考えているものでございます。
 それから、構成団体の分賦についてでございまして、分賦についての考え方ですが、今回は新しい計画をまとめるに当たって、分賦することについても一方で検討してございますが、仮に分賦した場合には、組合の債務の返済が不要となりまして、自助努力という面が弱くなるということ。それから、時間を要するにしても、廃止に至らない限り構成団体に返済を続ける必要があるもの、このように位置づけられる融資の方が、より県民、市民の皆様方の御理解を得やすいと考えられる、このように判断をいたしました。融資の方が適当であると判断して、計画に盛り込んだものでございます。
 次に、いわて花巻空港の整備と利活用についてであります。特に新ターミナルビルの整備につきまして、今見直しをしているわけでありますが、この整備事業費の見直しにつきましては、国内線と国際線の旅客の動線の分離による混雑の解消、狭隘な待合室の解消、それから出入国管理や税関等の業務環境の改善によるセキュリティー対策、ユニバーサルデザインへの対応など、空港ビルの機能の充実を図るとともに、この運営の主体が空港ターミナルビル株式会社という民間でございますので、その株式会社の自立的な経営が見通せる計画規模とするということを、今目的といたしております。このため、ターミナルビルにつきましては、必要な機能を確保しつつ、建設規模を必要最小限にとどめる簡素な構造にするなど、事業費の縮減を図った上で、会社の長期的な収支が見通せる計画となるよう、県の財源負担のあり方、それから金融機関の融資の可能性等を考慮して今検討しております。
 それから、利用促進の取組状況でございますが、これは岩手県空港利用促進協議会、これ公共団体、民間団体により構成していますが、ここを主体として行っておりまして、県内企業を対象とした動態調査の実施、それから誘致企業への訪問調査、就航先の旅行代理店からの情報収集、それからエバー航空が撤退した後の台湾における観光需要の把握等に努めておりまして、これを踏まえて、航空会社への働きかけ、他のチャーター便の新たな誘致、それから就航先の旅行代理店への商品造成の支援等々を事業実施しております。
 今後も、こうした事業を行いまして、利用促進に努めていきたいと考えております。
 それから、着工の見通しでありますが、国内線につきましては、今利用が伸び悩んでおります。これは、使用機材や運航形態の変化といったことがございますが、一方で、国際チャーター便につきましては、外国からの中型機材が就航できず、他空港に回避をしているという事態が発生しているものの、海外の航空会社から根強い運航希望が今認められております。我々にもいろいろ話が来ております。こうした状況を踏まえて、今後、長期的な県勢発展の観点から、国際交流の活発化や国際観光の振興を図っていくために、本県への国際チャーター便のニーズにこたえられる環境に改善していく必要がございまして、可能な限り、早期に空港ターミナルビルの機能の強化を図りたい。このため、先ほど申し上げましたターミナルビルの整備計画の見直しが終わり次第、速やかに着工したい、このように考えているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 医療制度改革と地域医療の確保についてでありますが、まず、高度・専門医療を担う病院と医師の配置についての情報開示については、病院診療案内などを作成して、地域の開業医などへの配布や県立病院のホームページに診療科、医師の名前等を掲載するなど、情報の公開に努めているところであり、今後とも、医療施設の情報の提供について充実してまいります。
 次に、開業医の有効活用を図り、大きな役割を担っていただくシステムの構築と、外来主治医として治療にも加わるいわゆるオープンシステムの導入についてでありますが、今後の地域医療を確保するに当たっては、地域医療資源の有効活用が必要であり、現在行われている病院と病院との連携、病院と診療所の連携を充実させるとともに、条件の整った地域については、病院のオープン化についても進めてまいりたいと考えております。
 なお、千厩病院では、平成18年8月から開放病床として5床を整備したところであります。また、尾道方式と言われるような地域連携パスなどについても、その導入について、さらに研究を進めてまいりたいと考えております。
 次に、中核病院の外来患者のアクセスを原則紹介に限定していくことについてでありますけれども、病院機能を外来の紹介、入院に絞るのは、勤務医の負担軽減について有効な手段と考えておりますが、現実の問題として、地域の医療圏ごとの事情が異なることなどから、直ちに原則紹介に限定していくことは困難だと考えています。
 なお、病院機能を入院に限定するという論議の動きもあることから、それを注視してまいりたいと考えています。
 次に、増大する医師の業務をフォローアップする職員の養成と配置についてでありますが、医師の業務負担軽減のためには、まずもって医師の絶対数の確保が望ましいと考えておりますが、これが非常に困難な状況にあることから、これまで医師が実施してきた超音波検査などの生理検査業務を臨床検査技師に行わせるなど、医療技術職員を活用して診療支援業務の拡大に努めているほか、助産師外来などを実施しているところであり、今後とも、医師の業務内容を精査しながら、代替可能な業務についてもさらに検討を重ねてまいりたいと考えています。
 次に、医療や福祉との地域連携を担当する職員の全県立病院への配置についてでありますが、医療や福祉との地域連携については、現在、広域基幹病院等に医療相談室を設置して医療社会事業士等の福祉専門職員を配置し、後方医療機関や社会福祉施設等とも連携しながら、患者の医療福祉相談や退院援助などの業務に当たらせているところでありますが、平成19年4月から施行される改正医療法においても、病院の務めとして保健医療サービス、または福祉サービスとの連携が盛り込まれていることから、その適切な運用にも努めてまいりたいと考えています。
 次に、医療クレームに組織的に対応する仕組みの構築についてでありますが、医療局本庁及び全病院に医療安全管理委員会、医療相談コーナーを設置しているほか、本年4月から医療安全管理専門員を配置するなど医療安全対策の充実を図ってきているところであり、さらには、国に対して、医療事故調査機構の設置あるいは無過失賠償制度の創設について要望しているところであります。
 次に、病院長、勤務医の声の反映についてでありますが、県立病院の運営及び経営に関する主要事項を協議する場として、県立病院の全院長が参加する全病院長会議を、県立病院の診療及び医師の待遇等について協議する場として、医師の代表から成る医師協議会を設置しており、それぞれ年数回会議を開催し、病院長や勤務医の声、意見を聞き、県立病院の事業運営に反映させるとともに、医師の労働環境の改善等に努めてきたところであります。さらには、平成17年度から私を初めとして医療局幹部職員が広域基幹病院に出向き、病院長あるいは勤務する医師並びに病院幹部職員との懇談会を開催し、病院現場の実態や要望等を把握し、事業運営や経営改善に生かしてきたところであります。今後においても、病院現場と情報の共有をしながら、病院長や勤務医の声を可能な限り取り入れ、現場の視点に立った県立病院の経営改革を進めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 障害者自立支援法に関連してでございますが、まず、制度スタートに当たっての県の認識についてでございますが、新たな制度が本格実施されて約2カ月経過いたしましたが、各市町村の対応状況を見る限りにおきましては、一応は大きな混乱もなく制度がスタートしたものと考えております。
 一方、この夏以降、県内4カ所で私どもが開催した当事者、家族との意見交換の場、私どもわいわいトークと呼んで開催しておりますが、こうした場でありますとか、各障害保健福祉圏域で開催しました当事者団体等との話し合いの場では、利用者負担の負担感が大きくなったという声でありますとか、障害程度区分認定に対する懸念の声が寄せられていることも事実でございます。こうしたことも受けまして、新たな負担軽減策の検討や、より信頼性の高い障害程度区分判定システムの開発等について、北海道、東北7県とも連携しながら国に要望してきたところでございます。
 また、制度の本格施行直前になりまして、国から利用者負担の一部見直しや定員規制の緩和などの対策も示されたことから、従来からの負担軽減策にあわせまして、これらの対策も確実に運用されるよう、市町村や事業者を支援してまいりたいと考えております。
 次に、地域生活支援事業法についてでございますが、地域生活支援事業は、従来の補助事業を統合し、市町村が地域ニーズに応じて柔軟に事業を実施できるようにするために今般制度化されたものでございます。市町村が新制度の趣旨を生かし、障害者のニーズにより的確に対応した支援サービスを展開するよう期待しているところでございます。今年度の統合補助金の国庫内示状況は、県全体といたしまして市町村協議額のおおむね6割程度となっておりまして、今申し上げましたこの事業制度の趣旨に照らしても必ずしも十分な状況とは言えない実態と考えております。県では、北海道、東北各県とも連携し、十分な財政措置を講ずるよう国に対し要望してきたところでございまして、引き続き要望してまいりたいと考えております。
 市町村障害福祉計画策定に係る広域調整でございますが、市町村の障害福祉計画は、障害者の御意見も入れながら各市町村に策定していただくことが原則でございますが、県では、地域の障害福祉システムにおける中核として、市町村が設置します地域自立支援協議会の圏域市町村による合同設置でありますとか、この協議会における広域的調整などについて支援しているところでございます。また、現在、作業を進めております岩手県障害者プランの見直しにおきましても圏域ごとの計画を策定いたしまして、それぞれの圏域において必要なサービス基盤が確実に整備されるよう、市町村や事業者との調整を図ってまいりたいと考えております。
 身体・知的障害者相談員の委託事業についてでございますが、これら相談員は、それぞれの福祉法に位置づけられた法定事業でございまして、また、身近なピアカウンセラーとして相談相手となっているといった事例もございまして、現時点で見直しや廃止等の考えはございませんが、活動状況等の実態をさらに把握してまいりたいと考えております。
 利用者負担増や事業者収入減の影響、新たな障害程度区分認定による利用者への影響についてでございますが、8月時点の県が行いました調査では、利用中止は、入所施設12名、通所施設19名の計31名、通所施設の利用日数の短縮が10名となっております。事業者の収入につきましては、昨年7月と本年7月の県内施設全体の報酬支払い額を比較いたしますと5.9%の減額となっております。また、新事業体系に移行した施設が少ないこともありまして、県内において新たな障害程度区分認定により利用対象外となる方は出ていないところでございます。県としては、利用実態や事業所経営実態の把握に引き続き努めてまいりますとともに、個別減免や補足給付等の負担軽減策や、利用者が減少しました施設への激変緩和加算など、国が制度化した各種措置が確実に実施されるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、障害者の就労支援対策についてでございますが、障害者が地域で自立して生活していくためには、就労、特に一般就労の実現が重要と認識しておりまして、新たな制度の中では、福祉施設から一般就労への移行を進めるための就労移行支援事業が創設されたところでございます。障害者の一般就労実現に当たりましては、市町村の取り組みだけではなく、広域的な取り組みの視点も重要でございまして、各障害保健福祉圏域に労働、教育、福祉等の関係者から成る障害者の就労を支援する仕組みを整備することも急務と考えております。こうしたことから、地域における障害者の就労支援体制の整備、障害者就業・生活支援センターの充実、障害者雇用に関する意識の啓発などの取り組みを通じ、障害者の一般就労の促進を図っていくこととしております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、米の集落営農組織への取り組みについてでございますが、米の集落営農につきましては、組織に参加する農家の経理の一元化に対する不安や米の個別生産へのこだわり等から、麦、大豆に比べて組織化への合意形成がおくれているところでございます。このため、引き続きこの対策のメリットの周知に努めるとともに、集落コーディネーターの活動を通じて集落の話し合いをさらに加速化し、対策への加入を促進してまいりたいと考えております。
 次に、農地・水・環境保全向上対策についてでございますが、県におきましては、市町村や集落への説明会等を通じ対策内容の周知に努めるとともに、あわせて、市町村から要望の強い地方財政措置について、機会あるごとに国に提案してきたところでございます。これまでの要望量調査の結果では、県内30市町村から水田面積の5割に相当する約4万7、000ヘクタールの実施要望が寄せられておりますが、来年度からの実施に向けまして、引き続き市町村との連携のもと、対策内容の一層の周知を図るとともに、地域の組織づくりや活動計画の策定支援などにより、本対策を必要としている地域への導入を促進してまいりたいと考えております。
   〔教育委員会委員長安藤厚君登壇〕
〇教育委員会委員長(安藤厚君) 教育と教育行政制度の課題と方向性についてでありますが、現在の教育行政は、教育委員会が合議制の執行機関であることや、人事権が県と市町村で二元的な仕組みになっていることもあり、今日的な教育の諸課題について、迅速な対応や責任ある対応、さらには地域の声が反映されにくく、住民のニーズに的確に対応ができないことなどに対して種々の批判があることは承知いたしておりますが、地方教育行政を担っている教育委員会制度の見直しについては、国と地方の役割分担を含め、県及び市町村教育委員会の実情や意見を十分に踏まえて行われるべきものであると考えております。
 県教育委員会においては、現場主義の視点に立って、児童生徒や保護者、地域住民のニーズに応じた教育施策を推進することを基本としてきたところでありますが、教育委員もこれまで以上に学校や地域に足を運び、地域の皆様の生の声を教育行政に反映させていくよう努めていくことが大事であると考えております。
 今後、小規模な市町村においては、必要な人材の確保などで課題はありますが、より一層学校や地域に軸足を置いた開かれた教育行政の推進のためには、権限や責任をより現場に近い市町村教育委員会へ移譲していくことが望ましいと考えており、市町村との十分な理解のもとに取り組みを進めていくことが大事であると考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 教育行政と教育委員会の現状に対する認識ですが、現在、教育行政や教育委員会に対しさまざまな批判が寄せられていますが、これは、教育委員会が合議制であるため、ともすれば責任の所在が不明確になりやすいと言われていること、県と市町村の教育委員会の役割分担が必ずしも明確になっていないこと、小・中学校の教職員は市町村職員でありますが、その任命権は県教育委員会にあるという二元的な構造になっていることなどから、地域住民の声が教育行政にストレートに反映されにくく、そのニーズに迅速かつ的確に対応できていない面があること、また、問題が発生した場合の対応に適切を欠く場合があることなどに起因しているものと認識しています。
 このため、教育委員会や学校現場は、より一層地域住民の方々のニーズにしっかりとこたえていくとともに、問題が発生した場合には、迅速かつ適切に対応すること、教育環境の変化などにも的確に対応していくことがますます重要であると考えております。
 県教育委員会では、児童生徒や保護者、地域住民、さらには現場主義の視点に立って、学校評価の導入や学校評議員の設置など開かれた学校づくりや情報公開、県民や地域のニーズを踏まえた教育施策の推進などに努めているところですが、今後なお一層学校現場や市町村教育委員会、地域の方々との連携を大事にしながら、教育行政に対する県民の皆様の期待にこたえることができるよう、教職員の意識改革を進め、岩手の教育の充実のために一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
〇 8 番(木戸口英司君) ありがとうございました。
 何点か再質問させていただきます。
 まず知事に、私、今回、医療と教育について特に重点的に取り上げたつもりなんですが、そして、あえて知事に質問をさせていただきました。医療と教育を一くくりにして聞くのもどうかと思うんですが、いずれどちらのテーマも今日的な課題でありますし、国の制度改革も進んでおります。県民の関心も高いものでありますし、当然国においても地方においても、政治的マターといいますか、大きなウエートが占められてきている。当然選挙などにおいても、我々議会もそうでありますし、首長もそうでありますし、訴えの大きなテーマ、もちろんマニフェストという言い方であれば大きく盛り込まれていくべきテーマであろうと思います。
 知事のこの間のマニフェスト、教育については人づくりという大きな項目を設けて取り上げられておるわけでありますけれども、この4年間で、例えば県立高校再編問題とか、いろいろ教育現場の改革が進んできたのでありますが、大変申しわけありませんが、ほかのテーマと比べれば、知事からのメッセージといいますか、知事自身のビジョンといいますか、弱かったのではないか、見えづらかったのではないか、そう思うのであります。これは当然教育委員会という制度に起因するものもあると思います。また、医療については、マニフェストを読みますとわずかに触れておる現状でありまして、この4年間を振り返りますと、県立病院改革という大きな進展があったわけでありますが、これもマニフェストには書き込まれていない。そういう中で、医療局も、知事部局との関連では当然独立性があるわけですし、専門性もあるということで、こういう組織的なものに起因する問題もあると思うんですが、住民が首長のビジョン、そしてリーダーシップを期待する大きなテーマの中で、知事もそういう観点はあるんだろうと思いますが、こういう県の組織上の問題の中にあって、知事がこれまでを振り返って、余りまだ振り返りたくないという御発言もあったんですけれども、県民のそういう声、求めてきたものに対して十分こたえてきたのかどうかということ。先ほど、教育行政については首長の関与もこれから必要だという御答弁がありましたが、教育、そして医療という点について御所見をお伺いしたいと思います。
 今後、新たな知事候補はマニフェストを示してと、知事のそういう強い要望もあるわけでありますけれども、当然これはマニフェストに取り上げて、そしてそれを実行し、そして検証していくテーマとしてこの医療と教育をどのように知事としてとらえておられるか、御提言も含めていただきたいものだ、そう思います。やはりいろいろ制度改革が今、国の方で進んでいるということでありますが、県民は、岩手県の医療、そして岩手県の教育というものは、やはりこういう方向で進んできたという、そういう柱といいますか、ビジョンといいますか、やっぱりそういったものを大きく求めているんだろうと思います。また、それが見えないところにいろいろと不安があったり不満があったりしてくるのではないかと思いますので、そういう観点で知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 また、いわて花巻空港の利用促進について、速やかにというお話をいただきました。速やかにお願いしたいところでありますが、いずれ300億円を超える大規模事業でありますので、当然これは完成をしても、空港が有効に利活用されて県内への経済波及効果が最大限発現していくこと、それを目指して県挙げての利用促進策ということにもっともっと取り組んでいくべきであろうと。また、そう要望したいところでありますが、そういう意味で、組織面で、官と民と両方あるわけですが、この役割をそれぞれ強化していくことと、分担、連携を図っていくこと、今もあるわけですけれども、最近観光行政もそういった視点で見直されておりますけれども、こういった面がもう一つ必要なのではないかという感をいたしております。
 官、いわゆる県庁の部局としては県土整備部、いろいろ大変御努力をされて苦労されていることは私もよく話を聞いております。それは大きく認めるところでありますが、今後は、やはり部局横断的な取り組みが必要だと、重要になってきているという観点から、現在のあり方で十分なのかと。他県では空港対策室のような例もあるわけでありますけれども、この点について知事の所見をお伺いしたいと思います。
 また、民の面では、先ほど知事も触れられました岩手県空港利用促進協議会があるわけで、これはもちろん独自に民の立場でやられておる組織でありますが、この協議会のあり方、また、利用促進運動のあり方ということ、もう少し機動性を持っていくこと、また、専門性を持っていくことという意味で、このあり方を検証して今後の方向性をもう少し協議していく、そういうことも必要な時期に来ているのではないかと思いますけれども、この点知事の考え方をお聞きしたいと思います。
 最後になりますけれども、障害者自立支援法の問題で細かく聞かせていただきましたが、ちょっと私心配しているものがありまして、まあ、全体的に心配なんですけれども、特に精神障害者がこの制度に新たに組み込まれたということで、この点はよい方向性ではあると思うんですけれども、2012年までに国としては、精神障害者のうち、条件が整えば退院可能な者を7万人という数値目標を立てているんですけれども、これが果たして実現可能か。県に数値目標が示されているわけではありませんけれども、これに向けて今の状況をどう分析されているか。社会復帰に必要な通所施設の運営が、障害者自立支援法への移行で新事業体系に移行した場合は日払い方式の導入ということで、通所率がどうしても低い分野だと聞いておりますので、大変施設運営も他の施設と比べても厳しいものがあるのではないかと思いますので、この点どのように考えておられるか。
 また、障害児、都南の園の話も随分議論があったわけでありますけれども、これが措置制度から契約制度になるということで、利用者負担制度が導入されるということであります。知的障害児通園施設などで利用が抑制される動きがあるとすれば早期の的確な療育を受ける機会が奪われることが懸念されますけれども、県内における就学前障害児の療育の現状をどう認識され、今後どのように対応されていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。
〇副議長(藤原泰次郎君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇知事(増田寛也君) 木戸口議員の質問にお答え申し上げます。
 今、医療と教育の関係について再度お尋ねがありまして、特にこの分野、医療と教育の分野について、私の行ってまいりました取り組みがメッセージ性が弱かったのではないか、こういうお話でございまして、これは、やはりその点についてそう受けとめておられるとすれば私の力不足と言わざるを得ないわけでありますが、医療も教育も大変大事なテーマでありますので、いずれも、医療、そして教育分野、今後も県として大変重きを置いて取り組んでいくべき問題であろうと。特に地域間の格差が今非常に拡大してきている中で、この分野は特に心配される分野でありますので、このことについては取り組みを重点化していく必要があるだろうと私は思います。
 教育については、確かに教育委員会制度というものがあって、今、教育について、極端な意見としては、教育委員会制度をもう廃止しよう、こういう話があって、それは制度の形骸化ということなどが背後にあるようですが、私自身は、これは記者会見などでも申し上げていますけれども、いきなり廃止ということではなくて、やはり中立性を担保する上でのすぐれた制度であるということがありますので、首長部局の中で教育をつかさどるということは大変政治性を帯びてくるということにもなりかねませんので、教育委員会制度を有効に活用していくということをやはりもっと考えていくべきではないかと。委員の人選も含めて、任命権者の努力に係るところも多々ございますけれども、そういう思いもあって、教育委員会制度がしっかりと機能した上で、そこの独自性の中で岩手の教育をしっかりと形づくっていく、ぜひ今後もそういう力を発揮していただきたいと思っております。
 それから医療の関係でありますが、従来は医療制度というのは、国が制度構築をした上で、やはり国の大きな制度の中で制度設計がなされるという点があって、都道府県のこの問題についてのかかわりというのはやはり弱かっただろうというふうに思いますが、今回、医療制度改革の中で、特に医療費適正化計画等を都道府県が策定をするということに見られるがごとく、個々の市町村で医療を考えるのではなく、もっと広域で医療を考えるということ。今の医療制度改革の中では、県の役割というのが大変重く出てきております。平成20年以降は、やはり県が相当な覚悟を持って医療制度改革に取り組むということが求められておりますので、県の方ではそれへの対応の本部をつくっておりますが、やはり医療費適正化計画なども含めて、もっと広い観点で、医療と福祉のさらに質の高い連携ですとか、医療分野、病院改革だけをとってみましても、もっと病院と地域の医師会との連携、病診連携とか、それからかかりつけ医の制度をどのように機能を発揮させていくかとか、いろいろ課題がございますので、その中で県が主要な役割を担っていくのは間違いないことであります。県立病院改革も今後進めていかなければなりませんが、特に一番気になりますのは、やはり何といいましても医師不足の関係でありますので、これについては議員連盟等とも連携して、相当この医師不足については私も力を入れて制度改革について取り組んできたつもりではございますが、いまだ十分ではない点もありますし、また、今行われている対策も効果が出てくるのはかなり先の状況でございますが、それにしてもある程度閣議決定に穴をあけるような形になってきていますので、今後、医師不足、まだ残された任期がございますので、この点の解決については全力を挙げて取り組んでいきたい。今やはり医療面については、どうしても国の医療費抑制という大きな流れの中で物事をすべて解決しようという、こういう強い意思が一方で国の方に働いているようでございますが、それだけではなくて、やはり地域として、格差の中でも受ける医療に差があるというのは最たる格差の一つだと思いますので、この点については今後とも全力を尽くして取り組んでいきたいと思います。
 それから、花巻空港でございますが、体制面でありますけれども、以前は県の中で、今でいうと地域振興部の中に利用促進の部局があって、整備関係は県土整備部と、こう分かれていたのを、やはりどうしても一体性がなかったものですから、整備する側で利用促進もしっかりと責任を持って取り組むということで、県土整備部の方に業務を移管して一体化して取り組むと。ただ、観光面などとのかかわりがあるので、ただ、観光面などとのかかわりがあるので、商工労働観光部なども含めて全庁的で取り組んでいる、そういう組織構成に2年ほど前から変えたところでありますが、よくその効果なども検証して、必要であれば、また組織面のあり方なども考えていきたいと思います。
 それから、利用促進協議会でありますが、経済界の取り組み、こちらの利用促進協議会を中心にして行っているわけでございますが、花巻の地元の経済界の方も大変熱心でありますけれども、利用促進の取り組みが全県的に行われているかといいますと、やはり少し足りないところが率直に言ってあるのではないか。盛岡の皆さん方も、経済界の皆さん方も含めて、全県の県の空港という形、どうも意識がまだなっていない点もあると思いますが、その点については、よく経済界全体にもお話をして利用促進に努めていかなければならない、こういう問題意識を持ってここ一、二年、よく経済界の人たちに私も話をしてきたところでございます。
 組織のあり方も含めて、空港の利用促進、大変大事なテーマでございますので、今後ともよくあり方を検証しつつ、改善するところは前向きに改善するようにしていきたいと思っています。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 障害者自立支援法に関連して3点再質問をいただいたわけですけれども、精神障害者の入院中の方の退院の件でございますけれども、本年7月に、県内の精神科病院の御協力をいただいて県が調査した結果では、退院可能な方は267人いらっしゃるという結果となっております。実は、県では、平成15年度から精神障害者退院促進支援事業といった事業をモデル的にやってまいりまして、こうした退院可能な方が社会に出ていくためには、どういった取り組みが必要なのかということを先行的にいろいろな取り組みをしてきております。これまで、3地域でこうした取り組みをやってきまして、19人の方が病院から地域生活へ移行したところでございます。この促進支援事業で蓄積されたノウハウでありますとか、あとは退院後の住まいをどうするかとか、日中活動の場をどうするかといった基盤の整備の関係、あるいは権利擁護の仕組みとか、日常的な相談支援体制をどうするかといったようなことについても、取り組みを進めなければならないと考えておりまして、そうした取り組みにより、退院可能な方の地域移行を進めてまいりたいと考えております。こうした点について、現在策定中の障害者プラン、障害福祉計画にも位置づけてまいりたいと考えております。
 何よりも、精神医療関係者との連携が一番重要だと考えておりまして、先ほど申し上げました促進支援事業におきましても、これからの退院の取り組み、地域移行の取り組みにつきましても、精神医療関係者との連携を深めながら進めてまいりたいと考えております。
 2番目の精神障害者の通所施設の運営についてでございますが、確かに精神障害の方の場合には、体調等の影響もありまして、いわゆる通所の率が必ずしも高くないといったようなことで、非常に御心配の向きがあるというふうに伺っております。利用率によっては、運営が厳しくなるといったこともあるのではないかなと考えておりますが、8月の末になりまして、通所施設の定員規制の緩和があったとか、あるいは休んでいる方への支援加算の措置があったというふうなことがございます。また、ごく最近になってでございますが、国において、従来報酬の9割補償といったような新たな激減緩和策も検討しているというふうなことでございますので、そうしたことも注視してまいりたいと考えております。
 それから、障害児療育の件でございますが、本年10月に、措置から契約制度に移行した3施設において、不安増を理由として利用を中止した方はいらっしゃらないんですが、利用日数、通所日数を減らした方が、99名中11名となっているというふうに伺っております。
 今後とも、制度上の各種負担軽減策の確実な適用を図っていくほか、先ほど申し上げましたように、国において、社会福祉法人減免を、これまでの2分の1減免から4分の1まで減免するといったような、さらなる軽減策の検討がなされているというふうに伺っておりまして、こうした動向も注視してまいりたいと考えております。
 また、今議会に県立療育センターの件について御提案申し上げているわけですけれども、このセンターを県内療育の拠点施設として位置づけ、巡回相談でありますとか地域療育機関の支援等を行う機関として、障害児療育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 4 時54分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川   富  夫 君
3  番 五日市      王 君
4  番 小田島   峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口   英  司 君
9  番 高  橋  比奈子  君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子  君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎  君
20  番 新居田   弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木   順  一 君
31  番 佐々木      博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺   研  一 君
36  番 小野寺      好 君
38  番 伊  沢  昌  弘 君
39  番 小  原  宣  良 君
40  番 阿  部  敏  雄 君
41  番 佐々木   一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
46  番 佐々木   大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎  君
48  番 菊  池     勲 君
49  番 藤  原  良  信 君
51  番 佐々木   俊  夫 君
欠席議員(2名)
45  番 千  葉     伝 君
50  番 佐  藤  正  春 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後5時14分再開
〇議長(伊藤勢至君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。平沼健君。
   〔23番平沼健君登壇〕(拍手)

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