平成19年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(小野寺研一君) 自由民主クラブの小野寺研一であります。
 12月定例会で一般質問の機会を与えていただいた同僚各位に感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い、順次質問してまいりますので、明快な答弁をお願いいたします。
 まず、県内の地域間格差についてお伺いをいたします。
 今、我が国においては、首都圏や中京圏など、戦後最長の景気拡大期の恩恵に浴する圏域がある一方、地方の多くは、人口減少や高齢化、地域経済規模の縮小が加速的に進行するなど、中央と地方の格差が我が国の構造的で根深い問題になっております。そしてまた、本県においても、例えば内陸圏域と県北・沿岸圏域、さらには同じ圏域内における東北本線沿線部と周辺部との間には、市町村民所得や有効求人倍率の格差、医療資源の偏在など、県民の日常生活に深くかかわるさまざまな分野で格差が顕著になっております。これは極めて憂慮すべきことであり、今後、真剣に取り組んでいかなければならない緊急かつ重要な課題であります。
 顧みるに、一昨年、当時の増田知事は、本県の将来を見据えて、地域の自立に向けた取り組みが必要であるとし、それまでの九つの広域生活圏を四つの広域振興圏に再編し、より広く資源や人材を結集して産業振興に取り組むべきことを訴えてまいりました。県議会でもこの提案を重く受けとめ、中でも、人口流出が進み、地域経済の縮小や地域活力の低下が懸念される県北・沿岸圏域の将来がどうなるのか、党派の枠を超え、危機感を持って議論が交わされたところであります。
 県では、その経緯を踏まえ、県北・沿岸振興本部を設置して直ちに取り組みを始めたところであり、我々も県北・沿岸振興議員連盟を立ち上げ、知事に提言を行うなど、県とともに県北・沿岸振興に力強く取り組む決意を示しました。
 その後就任された達増知事も、マニフェストに新地域主義戦略を掲げ、明確な顔を持つ四つの広域振興圏の確立を政策の柱の一つとし、中でも県北・沿岸振興は重要な施策であるとしておられます。しかし、現状を見ますと、必ずしもそのように進んでいるとも思えません。もちろん、受け皿としての県北・沿岸地域の結束の脆弱さが起因しているとも思われます。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、県北・沿岸圏域と県央・県南圏域との格差、とりわけ経済的な格差をどのように認識されているのでしょうか。そして、そうした認識を踏まえた上で、県北・沿岸振興施策の現状と成果をどのように評価され、今後どのように進めようとされておられるのかをお伺いいたします。また、これら政策の財源的裏づけがどうなっているのか、あわせてお示し願います。
 また、地域内の格差という観点では、とりわけ県民生活のよりどころであり、地域活力の根源的要素である地域コミュニティ機能については、住んでいる地域によって決して格差を生じさせてはならないものであり、中山間地域を中心として、その機能が低下・衰退し、存続そのものが懸念されている状況にかんがみれば、遅きに失しないように早急に対応策を講じていく必要があると思われます。
 そこで、今後、とりわけ中山間地域におけるコミュニティを守り、そこに住む県民の希望の灯を消さないために、どのような具体的な取り組みを進めていくおつもりなのか、知事の決意とあわせてお示しをいただきたいと思います。
 次に、市町村合併についてお伺いをいたします。
 平成の大合併により、岩手県においても58市町村が35市町村にと大きくさま変わりしてまいりました。特にも、県南地域に大型合併が進み、10万人以上の市が新たに三つ誕生いたしました。一方、県北・沿岸地域においては比較的小規模の合併であったと認識しております。必ずしも合併をして大きくなればいいとは思いませんが、このようなアンバランスの状態で、県は、均衡ある県土の振興、発展を遂行できるとお考えなのでしょうか。
 去る9月の県議会決算特別委員会の審査においても合併問題が議論されました。合併市町村と非合併市町村の財政比較は、歳入で、合併市町が3.7%の増、非合併市町村で3.6%減、歳出でも、合併市町が3.2%増、非合併市町村が4.1%減と、いずれも7%台の大きな格差がここにつきつつあります。血のにじむ行政改革を断行し、人件費、維持費、補修費まで削減し、努力をしているにもかかわらず、小規模町村の財政状況はますます厳しさを増すことが予想されます。加えて、少子・高齢化に伴う人口減少、産業振興が進まず、働く場を求めて県内外へ出ていく若者、人口流出が加速する状況にあります。過疎に歯どめがなかなかききません。合併にはそれぞれの自治体の合意が必要ですが、特にも、中核となる市の首長、市民の方々の隣接町村民への配慮も必要と思われますし、苦労も大変なものがあると思いますが、辛抱強く説得することも必要と思います。
 そこで伺いますが、県南地域と県北・沿岸地域で市町村の規模がアンバランスな状態となった県全体の合併をどのようにとらえ、その上で、平成22年3月の合併新法期限までにどのように取り組んでいくおつもりか、詳細に説明をいただきたいと思います。特にも、県北・沿岸の釜石を中心とする上閉伊、宮古を中心とする下閉伊、久慈を中心とする九戸、二戸を中心とするカシオペア連邦の合併をどのように考えておられるのか。推進の方向で一生懸命頑張っておられるようですが、どのように進めていくのか、お伺いをいたします。
 次に、岩手競馬についてお伺いします。
 岩手競馬は、今年度から赤字を拡大しないことが事業継続の条件とされ、昨年11月に策定した新しい岩手県競馬組合改革計画、いわゆる新計画に沿って、年度を通じて経常損益で黒字または収支均衡が実現できるよう、売り上げに応じたコスト調整が実施されてきました。現在まで計3回のコスト調整で7億8、500万円の削減が実施されたのであります。競馬組合を初めとする競馬関係者が、年度途中であっても、売り上げの動向に弾力的に対応したコスト削減を実施したことは、新計画のルールに沿ったものとはいえ、これまでの岩手競馬には欠けていたものであり、関係者の努力を多とするものであります。しかしながら、私は、コスト削減とされているもののうち、賞典費の削減については、必ずしも削減には当たらないのではないかと考えています。
 そこで伺いますが、今年度途中から削減をされた賞典費2億8、200万円のうち、一部は岩手県競馬振興公社が基本財産を取り崩して1億3、800万円補てんされることになると聞きましたが、公社が基本財産を取り崩し、コスト削減分を補うことについてどのように考えておられるのか、所見をお伺いします。
 また、発売額は前年度に引き続き今年度も低調に推移しております。既に年度途中のコスト調整を3回にわたって実施しているような状況にありますが、来年度の岩手競馬の存続について、現時点でどのように見通しているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、新しい地域経営の計画に掲げられている重点目標についてお伺いをいたします。
 今般、岩手県総合計画の後期実施計画として位置づける新しい地域経営の計画の案が公表されました。この計画の総論においては、県民一人一人が希望を抱く県土づくりに向け、4年間の重点目標を、県民の所得と雇用、安心な暮らしを守るとし、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出の歯どめ、地域医療の確保という四つの具体的な目標を掲げています。とりわけ県民所得の向上については、知事がこれまで機会あるごとに述べてこられた、平成12年度以降約2兆円の県民所得が失われたことは県民にとって耐えがたい痛みであり、まさに本県の危機であるとの考えを反映されたものと思料されますが、平成13年度に大きく落ち込み、その後、回復せずに低迷を続けている県民所得を平成12年度の水準にまで引き上げるとした目標は、県民にとって身近でわかりやすいものであるからこそ、その内容を丁重に説明していく必要があると思われます。
 そこでお伺いいたしますが、県民所得の向上という目標を掲げた基本的な考え方や、設定した目標水準の根拠を改めてお示し願います。また、この目標は、さまざまな外的要因に左右されるマクロ的な指標であり、その達成には大きな困難が予想されると思われますが、知事の県民に対する主要な約束の一つであるという観点に立てば、その達成に向けた道筋をしっかりと示し、県民や企業と一体となった総合的な取り組みを進めていくことが重要であると思われますが、これに関する知事の基本的考え方をお伺いいたします。
 次に、4広域圏の地方振興局のあり方について伺います。
 地域編の冒頭には、4広域振興圏がそれぞれの自立性を高め、明確な顔を持った圏域として進化していくため、圏域ごとに地域との協働に取り組むべき具体的な施策について取りまとめたと記述しております。また、県北広域振興圏の将来像に異議を唱えるつもりもありませんし、4広域振興圏を否定するものでもありません。しかし、何としても、どうにも納得のいかないのが広域振興局の体制についてであります。
 この前、私どもの同僚、工藤勝子議員が9月議会において、現在の県南広域振興局は、総合支局、行政センターと中二階の体制であり、非効率な体制ではないかと思うと質問をいたしました。全くそのとおりだと私も思っております。それに対して知事は、最終的には広域振興局本局と行政センターからなる体制を目指すと発言をいたしました。そういうことになれば、将来、県北地域は、二戸地方振興局と久慈地方振興局のどちらかが広域振興局あるいは行政センターとなるわけであり、上閉伊も下閉伊も同様の混乱が起きると考えられます。このことは到底納得できるものではありませんし、沿岸地域であっても同様だと考えるところであります。
 県は、厳しい行財政環境下で、総人件費の抑制を図るために徹底した職員体制のスリム化を図り、平成22年度には知事部局の職員を4、000人にすると言っておられます。そうするのであれば、県の権限を市町村に移譲するのはもちろんですが、振興局に部分的に移した権限を県庁に戻して業務の集約化を図り、振興局はスリム化して同じレベルにするほうが、よほど私たちも、また多くの県民にも、地域民にもわかりやすい組織体制になると思います。振興局にランクづけは絶対にあってはならないと、そのように考えます。地域の協力体制にも支障が出てきかねません。知事には、ぜひもう一度御検討をいただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
 次に、東北新幹線新青森開業に伴う並行在来線対策についてお伺いいたします。
 平成22年度に見込まれている東北新幹線八戸-新青森間の開業までに、列車の運行を管理する指令システムを新たに構築するためには、来年度の予算等を考えれば、指令システムの仕様、所要経費やJR貨物との負担割合を決定する時期にあると考えます。県においては、鋭意、この指令システムの構築経費について、JR貨物や国に応分の負担を求めているとのことであり、県の主張は私も賛同するところでありますが、さきの9月定例会において、知事は、国土交通省からJR貨物を含めた3者協議を行う用意があるとの回答を受け、今後、国土交通省とJR貨物に対して強い姿勢で交渉を進めていくと答弁されております。
 そこで、知事にお伺いいたしますが、3者協議を含めたその後の交渉状況と今後の見通しについてお示し願います。
 次に、県北地域への企業誘致についてお伺いいたします。
 県北地域の産業の振興を図り、今回の新しい地域経営の計画案に重点目標として示された所得水準の引き上げ、雇用環境の改善、人口転出への歯どめのための方策としては、地元企業の活性化はもちろんでありますが、新たな企業の誘致はどうしても必要であることは言うまでもないと思います。
 そうしたときに、県北圏域の製造品出荷額は、平成3年の1、015億円から、平成18年の1、030億円と1.5%増加しているものの、全県に占めるシェアは4.7%から4.2%に低下しており、また、圏域には10カ所、168.4ヘクタールの工業団地が造成されていますが、平成18年度末で工業団地内への誘致企業数は24社、分譲率は26%にとどまっていると聞いております。それでも、県の努力で二戸市に興亜製薬株式会社が20年4月からの操業を目指して進出されたと聞き、当局の努力は評価するものでありますが、県南、県央に比較すると、相当見劣りをしております。
 そこでお伺いしますが、県は、県北地域への企業誘致についてどのように取り組んでおられるのでしょうか。どうしても北上川流域地域とのハンディはあるとは思いますが、きれいな水、きれいな空気、天然資源、自然環境に恵まれた冷涼な気候を利用するとか、いろいろな県北ならではの売り込みも全力を挙げてやっていただいております。県は今まで、企業に対して県北地域の売り込みをどのような方針で行ってきたのでしょうか。また、今後どのように推進していくつもりなのか、ぜひ、担当部長の熱意ある御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、農林水産業の活性化についてでありますが、本県の農林水産業は、産業別就業者数の約14%を占めるなど、本県産業の基盤をなす重要な産業と認識しております。しかしながら、海外からの安価な輸入農林水産物の増加などによる農林水産物の価格低迷や従事者の高齢化が進行する中で、農林水産業の産出額は減少傾向で推移しており、特に平成17年度は16年度に比較し、マイナス4.2%と大きく落ち込んでいるところであります。このような状況のもと、新しい地域経営の計画では、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立を目指した施策を展開することとしていますが、農林水産業の活性化へ向けて、それぞれの重点項目においてどのような政策を展開し、日本の食を守る食料供給基地岩手の確立を実現しようとしているのか、お伺いします。
 さらに、地域編によると、県北圏域における農林水産業の平成22年度産出目標額について、農業産出額は現状より25億円増加させ、林業にあっては7億円、さらに水産業にあっては8億円の増加を目指すとしております。全県的に農林水産業の総生産額が落ち込んでいる現状にあって、これらの目標を達成するためには相当の困難が予想されるところでありますが、その内容には余り目新しいものもなく、実現が危惧されるので、それぞれの目標を達成するための取り組みについて具体的にお示しいただきたいと存じます。
 次に、県境産廃についてお伺いをいたします。
 二戸市と青森県田子町にまたがり、国内最大級の規模で不法投棄がされた産業廃棄物は、早期全量撤去に向け、平成15年11月に行政代執行による撤去が始まって、もう5年を迎えております。この間、県当局においては、四つの基本的な対応方針、すなわち原因者の責任追及、排出事業者等の責任追及、排出事業者による自主撤去の推進、新たな責任追及手法の導入とし、それぞれについて着実に業務を進めていると伺っております。いずれの業務についても大変難しい困難な業務と見込まれ、しかも途方もない規模の廃棄物であり、国、県のしっかりした対応を従来どおり願うものであり、また、二戸振興局に立ち上げた各種委員会は延べ42回の会議を開催し、住民への詳しい状況報告、意見交換、提言等、その他多くのことで御苦労をされていることに対しては敬意を表するものであります。しかし、この近くで生活をしている岩手県民、また青森県民にとって、河川や地下水への影響などを考えると、一刻も早く撤去していただきたいと考えるのは当然であると思われます。
 そこでお伺いいたしますが、県が前に示していた平成22年度までの全量撤去、24年度までの原状回復という目標達成に向けて、その進捗状況と今後の見通しはどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。
 また、このような不法投棄を、この自然豊かな広い県土に再び繰り返させては絶対にならないと信じておりますが、それらの対策をどのように行っているのか、お示し願いたいと存じます。
 最後に、知事の政治姿勢についてお伺いをいたします。
 4月の統一地方選挙で当選されてから半年が過ぎようとしております。その間、知事におかれては、県内の市町村をくまなく回られて現地視察を重ね、要望懇談会を重ねてまいられたと承知しております。恐らく、その要望の多さ、難しさは予想をはるかに超えるものであったと推察されますが、知事には、どのような所見をお持ちなのでございましょうか。
 国会議員を長く務められ、突然首長に転じられたわけですが、あらゆることが180度転換を余儀なくされた心境、加えて速やかな決断、その結果に対する責任の重大さなど、議員時代よりもはるかに大きな重い職務と考えられます。岩手県が抱える行政問題も、財政再建、行政改革、少子・高齢化に伴う福祉・医療、医師の確保、公共事業減少による業界の悲鳴、県土の均衡ある振興など難問が山積しております。危機的状況にある諸問題をいかに希望に変えていくおつもりなのか、知事から所感を伺いたいと思います。
 政策の協議をしたり、連日の話し合いをしたことは、決して間違っていたとは思わない。国民は喜んでくれたのではないか。しかし、党内がだめと言うのだから連立の話はなし。政策協議もなし。小沢民主党党首が、11月20日、テレビインタビューに答えておられました。志を同じくする者を結集して、行く行くは政権を樹立しようとした小沢構想挫折の瞬間を見た思いでありました。最初の党首会談を終え、持ち帰って役員会を招集し、会談内容を説明、考えを示したところで思いもよらない強硬な反対に遭い、翌日の辞任表明に至った経緯を考えれば、残念無念の心境であったことと思います。師と仰ぐ小沢党首でさえ、党のため、関係者のためであれば信念を曲げる場合もあることを示しておられます。
 知事におかれては、選挙以来今日まで、記者会見においても議会での知事の政治姿勢に対する答弁においても、一貫して政府・政権与党に対して反対の態度をとり続けてまいったと私は承知いたしております。しかし、国会議員時代と違い、小なりといえども一国一城のあるじ、岩手県知事として137万県民生活者の声を国政に反映させ、よりよい県政を行っていくのが義務であり、責任であると考えます。首長としては、政府・政権与党への敵対は決して得策ではないと考えます。もし政権交代があった場合は、そのときの政府・与党と緊密な関係を保つことは首長として当然と考えます。県民の多くもそれを望んでいると私は思います。知事の政治姿勢に対する所感、本心の御意見、感想をお聞かせいただきますようにお願いを申し上げます。
 以上をもって私の一般質問を終わります。場合によっては再質問をよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野寺研一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県北・沿岸圏域と県央・県南圏域との経済的な格差についてでありますが、平成17年度の市町村民所得推計によれば、全県での純生産が前年比マイナス0.7%であるのに対し、県北圏域ではマイナス2.5%、沿岸圏域マイナス1.1%となっており、全県もさることながら、特に県北・沿岸圏域の経済情勢はより厳しいものと認識しております。また、1人当たり市町村民所得では、県平均を100として、県央圏域が113.3、県南圏域が98.7であるのに対し、沿岸圏域は87.2、県北圏域は77.7であり、県北・沿岸圏域においては所得向上に向けた実効的な取り組みが求められているものと強く認識しております。
 一方、平成18年工業統計調査速報によれば、県全体での製造品出荷額等は前年比4.1%の増加であるのに対し、沿岸圏域は7.3%、県北圏域では23.5%と大幅な伸びを記録しており、県北・沿岸圏域の経済情勢にも明るい変化の兆しが見え始めているのではないかと考えているところでございます。こうした動きが、近い将来、市町村民所得にも反映されていくことを期待しているところでございます。
 次に、県北・沿岸振興に係る施策の現状と成果についてでありますが、県北・沿岸圏域の振興に向け、各地域がもともと持っているすぐれた資源を活用し、地域の魅力を高める内発的な取り組みに重点を置くとともに、市町村や地域と県が協働する取り組みを進めているところであります。
 例えば、二戸地域を中心に、地域に根差した食資源である雑穀を活用した産業振興に取り組み、地域が一体となって二戸地域雑穀振興戦略を策定し、生産から加工・販売までの一貫した取り組みを推進しており、その結果、生産量は平成16年から平成18年にかけ2倍強に増加し、また、商品開発支援等により、市販雑穀加工商品数も21品目から34品目に増加する等の成果を上げているところでございます。また、県北・沿岸地域中小企業振興特別資金貸付金を活用し、商品の需要増に対応して水産加工施設の新設や冷蔵施設の更新などが各地で行われているほか、コネクター部品の金型製造工場が業務の拡大に伴い圏域内に新設されるなど、ものづくり産業のさらなる集積も進みつつあるところでございます。こうした各地域での県と地域が共有する取り組み工程表に基づいた新たな動きは着実に成果を上げつつあり、広がりも見られるようになってきていると考えているところでございます。
 私は、市場に目を向けた地域の魅力や新たな価値を引き出す仕組みづくり、いわばマーケットイン志向の主体的な取り組みによってこそ持続的な産業振興が実現できると考えておりまして、今後とも、市町村を初め地域住民の方々、民間企業、NPOなどさまざまな地域の主体と県が協働し、取り組みを点から線へ、さらには面へと広げた産業振興を進めてまいりたいと考えております。
 財政的裏づけについてのお尋ねでありますが、地方交付税の大幅削減など、今後の財政状況を的確に予見しがたい現段階にありましては確たる財政上の見通しを申し上げることは困難でございますが、私としては、県北・沿岸振興については優先度の高い施策として取り組むべきものと考えておりますので、毎年度の予算編成においては、さまざまな財源確保の手だてを講じた上で、必要な施策については最大限予算化できるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、コミュニティを守る具体的な取り組みについてでありますが、とりわけ中山間地域のコミュニティは、食料供給はもとより、県土の保全、自然環境の維持、伝統文化の継承など多面的な機能を有していることから、県としても市町村と連携し、その維持・再生に取り組む必要があるものと認識しております。
 具体的には、今年度実施しています草の根コミュニティ再生支援事業において県内約3、700カ所の自治会等の活動や課題などの実態を調査しているところでございまして、これまでのところ、コミュニティの維持・再生を図るため、1、元気なコミュニティ活動の実践例を学びたい、2、コミュニティ活動の後継者を育成したい、3、他のコミュニティとの連携・交流を進めたいといった声が多数寄せられているところでございます。
 県としては、コミュニティの維持・再生を支援するため、コミュニティ活動の先駆的な実践例を元気なコミュニティ100選として取り上げ、県内の他のコミュニティに紹介するとともに、県内外に情報発信を行うこととしております。また、後継者の育成や他コミュニティとの連携・交流を図るために草の根コミュニティ大学を開設し、地域活動をリードする人材の養成や地域の活性化策を検討する場を設けることとしております。
 なお、こうした元気な活動を実践しているコミュニティには、県政懇談会の一環といたしまして、私みずから出向き、元気の秘訣を伺うとともに意見交換を行っているところでございます。今後とも、市町村との連携のもと、コミュニティの維持・再生に向けた取り組みを進めてまいりたいと思います。
 次に、市町村合併についてでありますが、いわゆる合併旧法下での県内の市町村合併についての総括でありますが、県内の市町村は59市町村から35市町村となり、合併市町にあっては、将来のまちづくりに向けて行財政基盤の強化が進んだものと評価しております。
 一方で、県北・沿岸地域においては小規模町村が多く残っており、将来にわたって持続的、安定的な行財政運営ができるのか危惧しているところでございます。県北・沿岸地域においては、これまで培った歴史、伝統、文化、景観や食材などの多くのすぐれた資源を有していますが、相互のよさを認め合いながら資源を持ち寄り、力を合わせていくことこそが危機を希望に変えることになることから、合併により行財政基盤を強化し、地域コミュニティを守りながら将来を見据えたまちづくりに取り組むべきものと考えております。合併新法の期限まで残り2年4カ月を切った今、市町村合併について真剣に議論をする時期に来ていると認識しております。
 御質問のあった県北・沿岸4地域の合併についてでありますが、宮古地域においては、先日、宮古市と川井村が合併に関する検討会を設置して新たな合併に向けて動き出しており、県として最大限の支援をしてまいる所存でございます。釜石・久慈・二戸地域においては、具体的な動きは見られないものの、合併推進を表明している首長もおられるところでございます。
 なお、二戸地域におきましては、ことし8月、私と4市町村長が参加して岩手県北振興公開シンポジウムが開催されましたが、青年会議所会員など若い世代の方々が地域の将来を真剣に考えておられ、非常に頼もしく感じたところでございます。
 各地域においては、各首長はもとより、市町村議会議員やこうした熱いエネルギーを持った方々がともに一つのテーブルに着いて、将来世代に対し持続的で安定的な行政サービスの提供を行うためには市町村がどうあるべきかということを真剣に議論する必要があるものと認識しております。県としては、現在、市町村合併推進審議会で調査・審議いただいている合併効果の検証結果等の情報や将来のまちづくりに必要な情報等を提供することにより、地域における議論を強力に促してまいりたいと思います。
 次に、新しい地域経営の計画に掲げられている重点目標についてでありますが、県民所得の向上は、今後4年間でその実現を図っていかなければならない最も重要な課題であると認識しているところでありますが、さまざまな政策課題が横断的にかかわるマクロ的な目標であることや、国の経済財政政策や地域産業政策といった外的要因が目標値に及ぼす影響が大きいことなどから、計画の素案段階では国民所得との格差の縮小を図ることとし、具体の目標設定をしていなかったところでございます。
 一方で、素案公表後、県議会での質疑や県内各地で開催した地域説明会の中で、特にも重点目標に掲げた県民所得の向上に数値目標を掲げるべきといった御意見を多数いただきました。このような御意見を踏まえ、私は、県民の皆様と明確な目標を共有した上で、危機を希望に変えるための取り組みを展開していくために、改めて今般、平成12年度の所得水準260万円台までの引き上げを図るとする数値目標を設定したところでございます。この数値目標設定に当たりましては、国が示している今後の物価上昇率や人口推計を前提とした上で、昨年策定しました産業成長戦略において見込んだ本県の平均経済成長率をその根拠としたものでございます。
 議員御指摘のとおり、この目標の達成には多くの困難が伴うところでありますが、自動車や半導体等のものづくり産業の集積促進や本県の特性を生かした農林水産業や観光産業の振興を初め、この計画に盛り込んださまざまな取り組みについて、産学官を全県的にネットワーク化する組織を新たに設立するなどして、県民の総力を結集しながらしっかりと推進していく必要があると認識しております。
 次に、4広域圏の地方振興局のあり方についてでありますが、地方分権の進展に伴い、県と市町村の新しい役割分担として、基礎自治体である市町村は、基本的に住民の日常生活に関する行政サービスを提供する一方で、県においては、市町村ではなし得ない産業の振興や基盤整備、防災など広域的、専門的な業務を担っていくこととなるものと認識しております。
 このような中で、特に広大かつ多様性に富む県土を有する本県においては、それぞれの圏域が明確な顔を持った自立した地域として発展していけるよう、地域ごとの特性を生かした施策の効率性、実効性をより高めていくことが必要であり、現場に近いところで意思決定し、機動的に実践していく体制が求められていると考えております。このようなことから、県としては、平成17年12月の県議会において県南広域振興局以外の広域振興局についても可能な限り早期に設置されたい旨の附帯意見をいただいていることもあり、現行の振興局体制を見直し、より完結性の高い広域振興局体制に早期に移行する必要があると認識しております。
 なお、広域振興局体制への移行については、先行した県南広域振興局の成果と課題の検証を進めるとともに、市町村長や県民の皆様の御意見なども伺いながら総合的に検討してまいりたいと思います。
 次に、新幹線新青森開業に伴う並行在来線対策についてでありますが、これまで、国土交通省、JR貨物に対し、線路使用料等の見直しを求めて再三再四3者協議開催の要求を行ってきたところでございます。これに対し国土交通省は、線路使用料の当事者であるIGRまたは県とJR貨物との徹底した協議が先であるとして、3者協議の開催には至っていない状況であります。しかしながら、JR貨物は負担拡大を伴う見直しには応じてきませんでしたが、これまでの粘り強い交渉の結果、先ごろ、新システムの構築経費の貨物列車が走行することによる増加分についてはIGRが負担すべきものではないとの認識を示したところでございます。ただし、その経費についてはJR貨物みずからが財源を調達し負担すべきではなく、国の調整金制度で解決すべきであると主張しているところであります。
 一方、調整金制度の所管官庁であります国土交通省は、整備新幹線の新規着工区間の問題を抱えているため並行在来線対策への動きは極めて鈍く、本格的な検討が開始された与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチーム等の動向を見守っている状況です。
 私は、JR貨物に係る安定的な輸送ルートの確保を含め、鉄道貨物輸送のあり方はまさに国の運輸政策上の課題であると認識しており、国土交通省はその当事者としてこの問題の解決に向け責任のある対応をとるべきと考えております。平成22年度中の新青森開業に合わせて新指令システムを構築するためにはもはや先送りは許されないことから、沿線市町村や青森県を初めとする関係道県と連携して、早期に解決が図られるよう、政府・与党関係者を初め各方面への働きかけを一層強める等、精力的に交渉を進めてまいりたいと思います。
 次に、岩手県内を回った感想についてでありますが、私は、知事就任以来、県内全市町村長さんとの個別の意見交換や県政懇談会などの場を通じて県民の皆さんの声をお聞きしてきたところでございます。また、先月から、県政懇談会の一環として、いわゆる草の根としての地域を訪問し、そこで積極的に活動されている方々から直接お話を伺っているところであります。
 私は、これまでもさまざまな機会を通じて、本県が抱える課題である地域経済の低迷や雇用の確保、医師不足の問題などを伺ってきたところでありますが、県内各地を回り、現実を目の当たりにしたとき、その問題の大きさや深刻さを改めて実感したところでございます。
 一方、岩手県は、世界に通ずる技術を有するものづくり産業の集積や高品質で安全・安心な農林水産物、すぐれた自然景観や伝統文化に代表される多彩な観光資源、勤勉ですぐれた能力を持つ多くの人的資源など、地域経済の成長や県民生活の向上にとって非常に高い可能性を有しており、また、地域団体による活動も活発化するなど、各地で個性豊かな地域づくりが進んできていると感じているところであります。
 私は、このような岩手県が有する地域の個性や豊かな資源を最大限に生かし、県民や企業、NPO、さらには市町村などと一体となって、本県が抱える諸課題を乗り越えながら、県民一人一人が確かな希望を抱く県土づくりを目指し、しっかりと取り組んでいきたいと考えているところであります。
 次に、私の政治姿勢についてでありますが、まず、小沢一郎民主党代表は信念を曲げたのではないかとの御指摘についてでございますが、代表の辞意表明をめぐる一連の動きの後、小沢代表はみずからの考えや行動についての説明を整理して公表していますが、そこではまず、14年前の自民党離党以来、政権交代が可能な二大政党制の確立を通じて日本に議会制民主主義を定着させ、国民のための政策を実現する仕組みをつくることを唯一の行動原理としてきたこと、そして、その考え方は今後も不変であることを示しています。その上で小沢代表は、次の総選挙での民主党政権の実現に決死の覚悟で臨んでいることを述べつつ、この7月の参議院議員選挙で国民から参議院第一党という極めて重い地位を付与された瞬間から二つの思いを深くしてきたと説明しています。その一つ目は、今の民主党内の楽観的な空気のままでは、必勝を期すべき次の総選挙での勝利が難しくなるとの危機感であり、そして二つ目は、衆議院では自民党が圧倒的多数というねじれ国会の中で、マニフェストで約束した農業政策、年金、子育てなどの国民生活重視政策をどうやって実現するのかという思いであったと述べています。
 こうした中、福田総理が、政策協議の最難関である安全保障政策での最大限の譲歩、具体的には、連立するならテロ特措法でも譲歩し、憲法解釈の180度転換も可能との認識を示しつつ連立を要請してきたことを受け、この二つの課題の同時解決を模索していた小沢代表としては、自民党との政策協議や政権参加を行えば、民主党の国民生活重視政策を直ちに実現でき、同時に政権担当能力を明確に示すことで日常の政治活動を補うこともでき、総選挙での勝利の可能性が高まるのではないかと考えて政策協議に応じることを党の役員会で提案することとしたと説明しています。結果的に、民主党の役員会では、あくまでも総選挙での勝利で政権交代と政策実現を目指すべきとの意見が大勢を占めたことから、小沢代表は直ちに福田総理に対して連立や政策協議は受け入れられないと回答するとともに党代表の辞意を表明したが、これについては、混乱へのけじめという思いが先に立って辞職願を提出したが、不器用なやり方であったと振り返りつつ、新たな覚悟を持って再度代表の任に当たるとの覚悟が述べられています。
 この経緯を見ますと、私はむしろ小沢代表の信念の一貫性を感じるものでありまして、私もリーダーとして信念を貫いていくことが重要であると改めて感じているところでございます。
 次に、私の政治姿勢に関して、県民の声を国政に反映させ、よりよい県政をとの叱咤激励をいただきました。知事就任以来、これまでにも菅、増田両総務大臣や舛添厚生労働大臣、冬柴国土交通大臣、町村官房長官等に面会に赴き、本県の抱える課題について率直に意見交換を行っており、これらを通じて一定の理解を得てきたものと認識しております。また、全国知事会や北海道・東北知事会等の場でも、さまざまな政治スタンスを有する他県の知事とも連携を強めながら、地方重視、生活本位の政策への転換を政府に求めてきており、来年度予算編成に向け、一層こうした取り組みを強化していきたいと考えております。
 いずれにしても、私は、常に県民の生活を守ることを最優先に、県民本位をみずからの政治姿勢として貫いてまいる所存でございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、岩手競馬についてのお尋ねでございますが、競馬振興公社の基本財産の取り崩しにつきましては、収支均衡を図るためのコスト調整によって賞典費が引き下げられたことにより、岩手競馬から馬資源が流出し、レース編成や厩舎関係者の雇用などに影響が及ぶことが懸念され、調騎会及び厩務員会から馬資源の流出を防止するために公社の基本財産を活用すべきとの要望があったところでございます。こうした中で、公社の基本財産1億5、800万円のうち1億3、800万円は調騎会と厩務員会からの寄附により造成されたものであることや、公社の設立目的が岩手競馬の振興に寄与することであることなどを考慮し、公社において検討いたしました結果、公社の設立目的である岩手競馬の振興のためには馬資源の流出を防止する必要があるとの認識のもと、出走した競走馬に公社が独自に奨励金を交付しているものであり、この措置はやむを得ないものと考えております。
 次に、来年度の存続の見通しについてでございますが、岩手競馬の継続に向けては、今年度の収支均衡の実現と来年度の収支均衡の見通しがポイントとなりますが、このうち、今年度の収支均衡につきましては、今回のコスト調整で、ほぼ年間を通じての収支均衡の見通しは立ったものと考えております。また、来年度の収支均衡の見通しにつきましては、競馬組合議会から、自主再建の可能性を12月20日までに判断し、報告するよう求められており、現在、競馬組合では、今年度の発売実績も踏まえながら来年度の収支見通しを検討しているところでございます。その中で、来年度の収支均衡の見通しを立てるためには、今年度の最終的なコスト調整後の状態をベースとして、さらなる収支改善の方策も検討しながら収支見通しを取りまとめる必要があると考えており、これは厳しい課題でございますが、競馬組合や競馬関係者は、厳しい環境の中にあっても岩手競馬を存続させたいという強い思いを持っておりますことから、関係者の理解を得て、持続可能な収支見通しをまとめ、来年度も競馬事業を継続することは可能と考えておりますし、また、岩手競馬の存続に向けて必ずそうしなければならないと考えております。
 次に、農林水産業の活性化についてでありますが、新しい地域経営計画におきましては、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立するため、農林水産業をリードする経営体の育成、生産性、市場性の高い産地の形成、消費者・実需者ニーズに対応した販路の拡大を重点的に推進することといたしております。
 このうち、経営体の育成につきましては、農業では、集落ビジョンの見直しとその実践支援による地域ぐるみ農業の確立、林業では、地域の森林経営を担う地域牽引型経営体の育成、水産業では、地域営漁計画の策定支援と零細経営体の協業化支援による中核的な経営体の育成などに取り組むことといたしております。
 また、産地形成につきましては、県版農業生産工程管理、いわゆるGAPの作成と導入や産地魚市場の衛生管理基準への適合化の促進などにより、岩手らしい安全・安心なサプライチェーンを確立するとともに、農業では、環境負荷低減や収益性の向上に向けた高度な生産技術の開発・普及、冬春野菜などの導入促進、林業では、大口木材需要者への安定供給体制の整備や市場ニーズに対応した特用林産物の生産技術の普及促進、水産業では、サケやアワビの増殖効率の向上やナマコ増養殖技術等の開発などを推進することといたしております。
 さらに、販路の拡大につきましては、民間ノウハウを活用した積極的なマーケティングの展開や、食産業など関連産業との連携による農林水産物の高付加価値化などに取り組むことといたしております。
 次に、県北圏域の農林水産業の産出額の目標達成に向けた取り組みについてでありますが、この目標を達成するためには、県北圏域の多様な地域特性や資源を活用して農林水産業の振興を図ることが重要と考えております。
 このため農業では、雑穀や肉用牛、養豚等の生産拡大を図るとともに、新たにレタスの高標高地帯への作付拡大や冬春期の促成アスパラガス、菌床シイタケの拡大などに取り組むことといたしております。
 また、林業では、合板・集成材工場への地域材供給の拡大や干しシイタケ等の生産技術の向上に努めるとともに、新たにアカマツの販売戦略を策定し、地域間の連携による南部アカマツの販路拡大や製品開発等に取り組むことといたしております。
 さらに水産業では、サケの回帰率向上やアワビの回収率向上に努めるとともに、新たに漁協の地域営漁計画の実行支援による養殖ホタテガイ等の増産に取り組み、県北圏域の農林水産業の産出額の拡大を図ってまいりたいと考えております。
  〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 県北地域の企業誘致についてでありますが、これまでの誘致活動につきましては、人的・経済交流の強い八戸経済圏へのアプローチや、豊富な農林水産資源を生かした機能性食品関連企業など、県北地域の地域特性を生かした企業の誘致に取り組んできたところであり、また、昨年9月には、企業立地推進課の職員3名を増員し、新たに県北・沿岸チームを設置して、県北・沿岸地域の企業誘致の体制を強化するとともに、企業立地促進奨励事業費補助につきましては北上川流域地域より高い補助率を設定し、新設のみならず増設をも対象とするなど、優遇措置を講じてきたところであります。
 このような取り組みを通じ、これまでに二戸地域の健康食品製造、電子部品・酸化亜鉛関連など、地域の核となる企業の立地や増設が進むとともに、今般の製薬会社の立地のように、先に進出した企業の関連企業の立地など波及効果も出ているところであります。この10月には、企業立地促進法に基づき、県北地域の今後の産業集積に係る基本計画について国から同意を得たところであり、今後におきましては、この計画に掲げる集積業種の食産業、電子部品産業等を中心として、また、地域の核となっている企業の関連企業を対象として、地域の技術力も高めながら、新たな企業の立地、既立地企業の増設に向けて、より強力に取り組んでまいる考えであります。
  〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 県境産廃についてでありますが、進捗状況は、昨年度、新たな廃棄物が発見され、総量が増加したことにより、当初計画に比べるとおくれはありますものの、本年10月末における進捗率は約44%となっており、おおむね順調に進んでいるものと考えております。
 今後の見通しとしましては、増加した廃棄物については新たな受け入れ先を確保し、ことし10月から搬出、処分を行っているほか、これまで委託している処理施設に対する受け入れ量の増加を図っており、また、新たに取り組む汚染土壌対策につきましては、処理方針が決定し、契約に向けた作業を進めている段階でございます。これらにより計画どおりのスケジュールで原状回復できるものと考えております。
 また、この事案を教訓といたしまして、不法投棄の防止を図るため、平成14年度に循環型地域社会の形成条例を初めとする3条例を制定し、監視体制を強化するなど総合的な対策を講じているところでございます。具体的には、県内各地にいわゆる産廃Gメンの配置、警察、隣県等と協力したスカイパトロール等の実施、優良な産業廃棄物処理業者の育成制度の創設などに取り組んだところでございます。
 また、条例施行後5年が経過しましたので、状況の変化等を踏まえて条例を改正いたしまして、産廃を排出する企業が自主的に管理するための施策、悪質事案に対し県がより早期に対応するための措置、情報公開の促進による透明性の向上などを追加したところであり、来年4月1日からの施行に向けて、現在、県内すべての排出事業者に対する説明会等を行っております。今後とも、こうした取り組みの周知に努めながら、再発防止を図っていく考えでございます。
〇44番(小野寺研一君) 御答弁ありがとうございました。
 二、三お聞きしたい、あるいは御意見を申し上げたいと思っておりましたが、知事の政治哲学を拝聴して、もうその方針は事実上固まっているんだなということを痛感したところであります。我々の、何といいますか、協力はどの辺を目指して行っていけばいいのか、そういうことも余り見えてまいりません。民主党のその政権交代を終わるまでは断固として戦うというお話のように受けとめましたので、ぜひひとつ、県民の皆様方の声も十分反映されながら、県のために、県民のためになるような県政をよろしくお願いを申し上げたいということを申し上げて、質問を終わります。
〇議長(渡辺幸貫君) それでは答弁は不要でございますね。
〇44番(小野寺研一君) はい。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時10分 休憩
出席議員(46名)
1 番 木 村 幸 弘 君
2 番 久 保 孝 喜 君
3 番 小 西 和 子 君
4 番 工 藤 勝 博 君
5 番 岩 渕   誠 君
6 番 郷右近   浩 君
7 番 高 橋   元 君
8 番 喜 多 正 敏 君
9 番 高 橋 昌 造 君
10 番 菅 原 一 敏 君
11 番 小野寺 有 一 君
12 番 熊 谷   泉 君
14 番 高 橋 博 之 君
15 番 亀卦川 富 夫 君
16 番 中 平   均 君
17 番 五日市   王 君
18 番 関 根 敏 伸 君
19 番 三 浦 陽 子 君
20 番 小田島 峰 雄 君
21 番 高 橋 比奈子 君
22 番 高 橋 雪 文 君
23 番 嵯 峨 壱 朗 君
24 番 及 川 あつし 君
25 番 飯 澤   匡 君
26 番 田 村   誠 君
27 番 大 宮 惇 幸 君
28 番 千 葉 康一郎 君
29 番 新居田 弘 文 君
30 番 工 藤 大 輔 君
31 番 佐々木 順 一 君
32 番 佐々木   博 君
33 番 工 藤 勝 子 君
34 番 平 沼   健 君
35 番 樋 下 正 信 君
36 番 柳 村 岩 見 君
37 番 阿 部 富 雄 君
38 番 斉 藤   信 君
39 番 吉 田 洋 治 君
40 番 及 川 幸 子 君
41 番 佐々木 一 榮 君
42 番 伊 藤 勢 至 君
44 番 小野寺 研 一 君
45 番 千 葉   伝 君
46 番 佐々木 大 和 君
47 番 菊 池   勲 君
48 番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43 番 渡 辺 幸 貫 君 
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時24分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。伊藤勢至君。
   〔42番伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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