令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第14号について反対討論を、請願陳情受理番号第2号に反対、受理番号第5号の不採択に反対の討論を行います。
 議案第14号は、岩手県立学校設置条例の一部を改正する条例であります。その中身は、新たな県立高等学校再編計画後期計画を一部見直し、福岡工業高校と一戸高校を統合し、新たに県立北桜高校を設置するものであります。
 県立福岡工業高校と県立一戸高校の統合計画については、令和3年年5月に策定された高校再編後期計画では、工業学科が1学科、総合学科が3学科で統合する計画が決められました。しかし、県北地域で唯一の専門高校である福岡工業高校の2学科での存続を求める声が、学校、生徒、自治体の関係者等から強く要望されてきました。
 福岡工業高校は、2学科の小規模な専門高校でありますが、令和3年度には、ジュニアマイスターの特別表彰が5名、ゴールド認定が13名を含め33名が認定され、国家資格取得でも延べ227名が合格するなど、県内でも全国的にもトップクラスのすばらしい実績を上げております。
 地元二戸市は、県立福岡工業高校と県立福岡高校の存続と魅力の向上を目指し、県立福岡工業高校等の実績、魅力を紹介するパンフレットの作成と通学費の2分の1補助など1、000万円の予算で取り組みを行いました。その結果、福岡工業高校の入学者は、令和2年度は39人だったものが、令和3年度には57人、令和4年度には60人と、2学級規模を維持する入学者となりました。
 高校再編計画の基本方針は、生徒の希望する進路の実現と地域で地域産業を担う人づくりであります。この基本方針と福岡工業高校の実績、自治体の取り組みを評価するなら、福岡工業高校を2学科で存続することは当然のことではなかったでしょうか。
 昨年7月の県議会文教委員会で、県教育委員会は地元の要望を一部受け入れ、工業学科を2学科で統合する計画に見直すことを表明しました。一歩前進でありましたが、統合計画は変わらず統合が進められてきました。その結果、令和5年度の入学者は福岡工業高校で33人に激減しました。一戸高校も前年の80人から66人に減少しました。統合が生徒の期待を広げるどころか、背を向けられているのではないでしょうか。
 県北地域で唯一の実績も伝統もある県立福岡工業高校の存続の願いに反した統合であることが、議案第14号県立学校設置条例の一部を改正する条例に反対する理由であります。
 請願陳情受理番号第2号は、児童、生徒及び保護者に向けたマスク着用の影響についての情報の周知徹底を求める請願であります。
 新型コロナウイルス感染症対策については、政府が科学的根拠もなく2類から5類への移行を強行しました。その結果、新型コロナウイルス感染症の感染状況も正確に把握せず、国民に情報発信もしない、感染対策に対する政府の補助も縮小、廃止する事態となっています。
 しかし、沖縄県はことし7月に、県内では8月から9月にかけて、第9波というべき感染拡大が起こりました。その感染拡大の規模は、ピーク時では盛岡医療圏で第8波を超え、全県でも第8波にほぼ匹敵する感染拡大となりました。
 学校における感染状況は、第9波のピーク時の9月で、学級閉鎖が40件、学年閉鎖が22件、学校閉鎖が2件でした。第8波のピーク時の12月は、学級閉鎖23件、学年閉鎖11件、学校閉鎖2件となっており、学校における新型コロナウイルス感染症の感染は、第8波を上回る規模でありました。
 新型コロナウイルス感染症の感染状況は、国内でも県内でも収束というべき状況ではなく、冬にかけて第10波の到来も予想される事態であります。こうした中で、新型コロナウイルス感染症対策で最も重要なことは、感染状況を正確に把握して、正確なデータに基づく情報発信を行い、感染状況に応じて必要な感染防止対策を徹底することであります。
 マスクの着用問題で最も重要なことは、感染拡大の状況を正確に把握し、情報発信を行って、感染拡大の状況に応じてマスク着用も含めた必要な感染防止対策を徹底することであります。
 政府は、マスクの着用は個人の判断に委ねることを基本としています。当然のことであります。文部科学省は、マスクの着用を求めないことを基本とするとしていることは、新型コロナウイルス感染症の感染が、第9波が到来し、第10波も予想される中では、極めて楽観的な無防備なものだと言わなければなりません。
 今回の請願は、マスク着用の影響について情報の周知徹底を求める請願ですが、今、県教育委員会と学校に求められている新型コロナウイルス感染症対策の課題は、いまだに収束していない新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対し、正確に感染状況を把握し、情報発信すること、感染状況に応じて児童生徒の命と健康を守る感染防止対策の徹底であるとの立場から、反対するものであります。
 請願陳情受理番号第5号は、「令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)」の継続と拡大を求める請願であります。
 政府は、令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染症をインフルエンザと同等の5類に移行しました。その結果、これまでは感染拡大防止や医療提供体制の整備等について、地域の実情に応じて柔軟かつ機動的に実施できる新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)が交付されてきましたが、大幅に縮小されています。昨年度の岩手県に対する交付額は193億7、244万円、今年度は9月末時点で15億2、597万円となっています。
 重大なことは、ことし8月から9月にかけて、第9波というべき新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起こったことであります。第9波は、盛岡医療圏では第8波を超える規模で、全県的にも第8波に匹敵するものでありました。新型コロナウイルス感染症は、収束するどころか、感染拡大の波が引き続き起こっており、冬に向けて第10波の可能性もあり得るという状況であります。
 新型コロナウイルス感染症の感染力は変わらず、絶えず変異しているのが特徴であります。医療現場では、これまでどおり、新型コロナウイルス感染症患者に対しては、防護具を着用して最大限の注意を払い対応しています。こうした医療現場への支援を縮小、廃止することは、医療機関の医療と経営にとっても医療従事者の特別の対応に対しても何らの支援もしないという、自己責任を押しつけ経営を悪化させるものであります。
 国の財政事情を理由に、新型コロナウイルス感染症感染拡大の波が収束していない状況で、必要な新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を縮小、廃止することは、許されるものではありません。
 一方で、軍事費は2倍にする大軍拡は、国民の暮らしも医療、福祉も破壊するものだということを指摘し、請願不採択に対する反対の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 次に、高橋はじめ君。
   〔42番高橋はじめ君登壇〕

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