令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(佐々木朋和君) いわて新政会の佐々木朋和です。改選後初の登壇の機会をいただいた先輩、同僚議員、負託をいただいた県民の皆様に感謝申し上げ、質問をさせていただきます。
 私は、選挙において、かゆいところに手が届く県政を訴えてまいりました。財政逼迫の中でも、人口減少対策に結果を出していかなければならない現状です。県の事業や制度が県民にとってより使い勝手のよいものとなるよう、県予算の執行がより効果的であるように議論してまいりたいと思いますので、達増知事を初め、執行部の皆様、4年間よろしくお願いいたします。
 まず、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン及び第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の質問の冒頭に、達増県政5期目の大きな方向性についてお聞きいたします。
 知事は、知事演述の中で、5期目となる知事を選ぶという県民の決断には特別な思いがあったものと受けとめている。こうした特別な思いにふさわしい仕事をしていかなければならないと述べられました。
 知事は、県民が向けた特別な思いとは、具体的にどのような思いだと認識されていますか。また、それに応えるふさわしい仕事とは、どのようなものと認識をされていますか、伺います。
 さらに、7月に行われたいわて県民集会において、泉前明石市長は、自分も12年市長を担う中で、種をまき、水をやり、最後の4年間で花が咲いて、明石市が人口減少について結果が出て世間からも評価されるようになった。達増知事も、今度の4年こそが花を咲かせるときだとお話されていました。
 知事が、これまで重点的に種をまき、水をやり、そして、今後4年間で花を咲かせようとしている政策課題をお示しください。
 いわて県民集会の知事と泉前市長とのクロストークにおいて、明石市の人口減少対策について議論がありました。明石市では五つの無料化、中学校給食の無償化、保育料の第2子以降完全無料化、医療費18歳まで完全無料化、公共施設の入場料の親子無料化、満1歳までおむつ定期便の実施を政策の軸として、その波及効果で子育て世帯の域内消費がふえ地域経済が回るようになる。施策が評判になり、周りの自治体から移住もふえる。税収がふえ、高齢者施策にもお金が使えるようになるという好循環を生み出すという考え方で結果を出されております。
 このクロストークの中で、知事は、人口減少対策、子育て支援を軸に政策を展開すれば、福祉、社会政策に広がりも出て、経済もよくなっていくと発言されています。
 今、本県では、保育料の第2子以降の3歳未満児無償化、医療費助成の18歳までの現物給付化に加え、公共施設の利用料等の親子無料化にも一部着手しています。
 一方、明石市と岩手県では、市と県の違いや外的、内的環境の違いがあります。岩手県においても、支援を受けた子育て世帯が域内消費に意識が向き、子育て政策の充実により県をまたいで移住者をふやすことができるのか、検証が必要と思います。
 また、政府は、仕事のためベビーシッターを利用した際の費用を一部補助する割引券について、配布を再開すると発表しましたが、本県においてはベビーシッター事業者が少なく、利用できない地域もあります。本県独自でも在宅育児支援金月1万円給付を行っていますが、ベビーシッターサービスや一時預かりを行う事業者がいなければ、経済的支援にはなっても、肉体的、精神的な負担軽減にはつながりません。医療的ケア児が使えるサービスも不足しています。本県には、都会の事情とは異なり、事業者育成にも力を入れなければならない事情が存在します。
 知事は、この4年間の大きな方向性として、人口減少対策、子育て支援を県政の軸として五つの無償化を県内市町村と連携し拡大させ、その成果によって、税収増やほかの福祉政策の充実、地域経済の好循環につなげていくというお考えなのでしょうか、お尋ねいたします。
 加えて、子育て支援から人口増、経済、税収アップへ波及効果を高めていくための課題や今後の見通しも含め、お示しください。
 中学生の学校給食無償化には、人口30万人の明石市で約3億5、000万円。人口3倍強の岩手県なら10億円超。市町村と半分補助でも5億円超の予算がかかると予想されますが、子育て世帯の負担軽減には効果的と思われ、試してみる価値のある施策と感じます。
 また、本県では、直接、自治体がまちの給食センターを活用し高校での給食提供に取り組んでいる事例もあります。財源はかかりますが、1.21という合計特殊出生率を2040年までに2.07としていくためには、どこかで決断をし、思い切った政策をとる必要があります。
 明石市では、財源捻出のために老朽化した大規模事業の建設をやめて、子育て支援に振りかえる等、大胆な歳出の変更を行いました。本県の中期財政見通しを見ても、大変厳しい状況があり、令和5年度以降の一般会計で約71億円から153億円の歳入不足が見込まれ、令和9年度末に財政調整基金が枯渇する計算となっています。政策推進費、広域振興局予算などにシーリング枠を設けて、人口減少対策強化等の重要施策にその3倍相当の予算要求を認める令和6年度予算編成方針のような方法を続けて、今の本県の人口減少問題を好転させるような十分な予算確保が可能なのでしょうか。
 さらに、人員体制についても、明石市では、子育て支援強化のために担当人員を約3倍にしたそうです。今のところ、本県では少子化対策監の兼務発令などで対応していますが、今後の子育て施策にかかわる予算の確保、人員の配置の考え方について伺います。
   〔27番佐々木朋和君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県民が向けた特別な思い等についてでありますが、今般の知事選挙において多選をめぐってさまざまな議論がありましたが、結果として、あえて5期目の知事を選ぶという県民の決意を感じたところであります。
 今まで岩手県民が負託したことのない5期目の知事を選び、今までやったことのないことをやり、見たことのない景色を一緒に見るということを県民も決断したと受けとめております。
 このような県民の思いに応えるためには、いわて県民計画(2019〜2028)を基軸とし、新たな領域に挑戦し、さまざまな分野で県民一人一人をエンパワーする仕事を進めてまいります。
 次に、今後4年間の政策課題についてでありますが、東日本大震災津波という未曽有の大災害では、ビルド・バック・ベターの考え方に基づく復旧、復興を進め、新しい道路交通ネットワークの形成や地域経済を担う経営人材の育成などハード、ソフト両面の施策を進めることで、種をまき、水やりをしている最中に、コロナ禍による住民の行動制限や地域経済の落ち込みなどにより、さまざまな花が咲くには至っていない点もあります。
 また、東日本大震災津波やコロナ禍、そこにさらに戦後国際秩序を揺るがす戦争の影響などにより、種すらまけなかった分野もあり、こうした課題については、社会経済がコロナ禍から回復しつつあり、岩手県が世界から注目されている今こそ絶好の機会であることから、岩手県で暮らし、学び、働くことの魅力、価値に関する情報発信、戦略的なプロモーションによるインバウンドを初めとした交流人口の拡大、農林水産物を初めとした県産品のトップセールスによる戦略的な輸出促進など、全国や世界に改めて打って出るため、さまざまな施策を展開してまいります。
 次に、人口減少対策の軸となる政策についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、人口の自然減・社会減対策の推進、GX―グリーントランスフォーメーションの推進、DX―デジタルトランスフォーメーションの推進、安全・安心な地域づくりの推進を重点事項として掲げています。
 こうした人口減少対策は、県民一人一人の生きやすさにつながるとともに、さまざまな産業の効率化や地域の持続可能性の向上につながり、ひいては地域経済の活性化をもたらすものと考えています。
 このためには、地域の暮らしとなりわいの調和を図り、これにより地域経済の好循環をもたらすことが重要であり、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方改革や労働環境の改善、賃金水準の向上など、若者、女性に魅力ある職場環境づくりとともに、仕事と子育ての両立に向けた県民、企業、大学、NPO、関係団体、市町村など、さまざまな主体との連携、協働や県民理解の醸成、ものづくり産業の一層の集積と高度化、産業のDX化とリスキリングの推進によるさらなる生産性向上や高付加価値化などにより、地域の産業振興と経済の好循環を図り、ひいては税源の涵養などにつなげていきたいと考えております。
 次に、子育て支援にかかわる予算確保と人員配置についてでありますが、人口減少対策は、その効果が十分に発現されるには、総合的で息の長い取り組みが必要となることから、子育て支援策においても、継続的かつ安定的な財源を確保し、取り組みを続けていくことが重要であります。
 県では、あらゆる手法により独自で財源を確保し、第2子以降の3歳未満児を対象とした保育料無償化などの新たな取り組みを進めているところです。また、国においても、こども未来戦略方針の中で、地方財源について検討が進められています。
 人員配置については、今年度、関係部局の室課長等で構成する少子化対策監を設置し、全庁挙げた取り組み体制を強化するとともに、子ども子育て支援室に特命課長を配置するなど、体制も拡充し、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた総合的な施策の充実に対応しているところです。
 今後、岩手県人口問題対策本部での議論を踏まえ、現在実施している事業の効果や課題等を検証しながら施策の充実を図っていくこととしており、全国トップレベルの子供子育て施策をさらに効果的に展開できるよう、国の動向も注視しながら、引き続き、あらゆる選択肢から検討を行い、財源を確保するとともに必要な人員配置と体制強化に努めてまいります。
〇27番(佐々木朋和君) ただいまの点について再質問させていただきます。今、さまざまな子育て支援という話がありましたけれども、知事の出していらっしゃるマニフェストプラス39の中に、先ほど明石市で紹介したような子育て支援の拡充メニューは、具体的には出ておりませんでした。この点について、先ほど国の動向を見ながらという話もありましたが、しばらくは今の支援策を維持していくという意味なのでしょうか。
 また、子供子育て施策の令和4年度の予算が201億円、令和5年度が217億円でございました。これからの中期財政見通しもありますが、この部分についても、キープしていくというような予算規模で考えていらっしゃるのか、それとも年々拡充していく考えなのか、お知らせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 第2子以降の3歳未満児への保育料無償化と育児支援金支給につきましては、今年度スタートということで、まず、これをしっかり軌道に乗せていくことが必要と考えております。
 また、子供の医療費助成の現物給付化にしましても、4年前の選挙においては中学生までを公約にしていたのですけれども、任期中に高校生まで拡大ということで、まずは、そこを市町村と連携しながら、しっかり軌道に乗せていくことが肝要と考えております。
〇27番(佐々木朋和君) わかりました。県民集会の動画も見せていただいて、給食の無償化も含めて期待したのですが、今のところは、まだそこまでは行かないと。これから財源をしっかり見つけていくという話だと思いますけれども、これまでの議論の中でも、今回、あらゆる手段を使って財源を確保していくという中で、ふるさと納税の話もありました。しかしながら、今、全体像としては1億8、000万円ぐらいの寄附ということで、また、ブルーボンド/グリーンボンドについても、やはりこれは公債でありますから、しっかりと財源を確保していくというのは、私は、王道的には産業振興などを通じてしっかりと税収を上げていく、こういった部分が必要なのだと思います。
 一方で、予算のこれからの組み方の中には、ほかの県では、産業振興をしてしっかりと税収を上げていくために、3倍のシーリングにかからない部分で産業振興なども入れているところもあるのですが、岩手県では、人口減少とGX、DX、あと安全・安心なまちづくりとなっています。
 知事の先ほどの御答弁は、先ほど私が御指摘させていただいた子育て支援から経済を回していこうということなのか、子育て支援に加えて産業振興にもしっかりと力を入れて税収を確保していこうということなのか、もう一度確認させてください。
〇知事(達増拓也君) 基礎自治体である市町村と比べまして、広域自治体、そして専門性の高さが求められる県といたしましては、DX、GX、デジタル化と気候変動対策部分については、市町村以上に県が積極的に施策を展開していかなければならないと考えております。こうしたデジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションということも、地域の生活のしやすさ、また、さまざまな新たな雇用の創出にもつながり、社会減対策、自然減対策の中心的な政策と相まって人口減少対策として機能し、それが経済の活性化、税収増といったことにもつながるものと考えております。
〇27番(佐々木朋和君) なかなか理解ができませんでしたけれども、1年前の新聞記事にも、各首長からの知事の評価で、評価をするけれども、やはり経済対策についてもう一歩お願いしたいという話もありました。
 私は、人口減少対策として、プラスシーリングになることはいいのですけれども、さらに追加して、今、税収を確保するためあらゆる手段として、やはりプラスアルファの部分で、厳しい財政であっても、しっかりと産業振興に予算を振り向けていかなければいけないと考えております。
 その中で、先ほど市町村との連携強化という話もございました。知事は、このクロストークの中で、震災を経験した強みとして、岩手県では市町村との連携が既にできているというお話もありました。一方、近年の国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や物価高騰対策関連予算の事業化については、市町村が県の施策に合わせた予算化、事業立案に苦心する姿も見てとれました。
 このような協調補助を市町村と一体となって実現していくためには、県がどのような方向性で考えているのか、事前の協議の場の設定やより綿密な情報共有、県に合わせて市町村も早急に予算措置ができるよう、日程を調整するなど抜本的連携強化も必要と思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 人口減少対策を初め、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに掲げるさまざまな施策等を推進していくためには、県と市町村の連携が重要であります。
 県ではこれまで、県・市町村トップミーティングや県・市町村連携推進会議の開催等により、市町村長、副市町村長などのトップレベルによる重要施策の情報共有や意見交換を行うとともに、各施策の実施においては、部局単位での課長会議等の開催により、市町村と連携した施策の推進を図ってまいりました。
 今年度から、第2期アクションプランの推進に当たり、人口減少対策については、県・市町村トップミーティングや県市町村人口問題連絡会議を活用し、市町村、県のトップレベル、実務レベルで意見交換を行う仕組みを整えました。
 さらに、その他の重要課題の推進に向けて、県市町村GX推進会議、いわてDX推進連携会議等により、意見交換や情報共有の取り組みを強化しております。
 引き続き、これらの会議等を活用しながら、市町村と一層の情報共有や連携強化を図ってまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 知事は知事演述の中で、今後4年間の県政運営の基本的な考え方として、これまでの成果を土台として、これまで以上に県民一人一人を起点とし、県民とともに歩む施策を展開する。岩手が、全ての県民と岩手にかかわる人々を幸福にできる県になることを目指すと述べられました。
 県民一人一人の事情に合わせた事業を設計していくためには、その事業のディテールにこだわり、県民が使いやすいような事業にしていくこと。運用についても、それぞれの事情に沿うように柔軟に対応していくことが望まれます。
 これまでも知事は、県民一人一人に寄り添う、誰ひとり取り残さないというフレーズを使われてきましたが、それは、震災の経験から得た岩手県の強みである一人一人に寄り添った形での政策立案の方法を、今後の県民計画の推進や人口減少対策の推進に生かし、さらに際立たせたいというのが知事のお考えと推察します。しかし、ここ数年の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した事業の設計に、それは生かされてきたのか疑問が残ります。
 具体的に、この一人一人に寄り添った形での政策立案の手法は、一般的な政策立案の手法と比べてどのような特徴があるのでしょうか。
 また、震災から12年、一人一人に寄り添った形での政策立案が、それぞれの職員の経験や能力によって支えられているのだとしたら、職員の入れかえによってその強みは失われてしまいます。このような手法が今後も受け継がれていくよう体系化、制度化するべきと思いますが、所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) 一人一人に寄り添った形での政策立案は、東日本大震災津波からの復旧、復興の場面で見られたように、例えば住む場所を失った人たちへの仮設住宅の提供のほか、持ち家の再建や災害公営住宅への入居など、一人一人のニーズを踏まえながら柔軟に対応することが求められます。
 また、いわて県民計画(2019〜2028)に取り入れた幸福度といった横断的な視点は、縦割りになりがちな政策を総合化することに通じると言われており、部局横断的に解決策を探ることが重要になります。
 このような一人一人に寄り添った形での政策立案の手法については、東日本大震災津波の経験を踏まえ、幸福度指標を導入したことにより、県のPDCAサイクルに既に組み込まれているところであります。
 さらに、コロナ禍で広まったプッシュ型通知やリモートでの相談支援のように、最近のデジタル技術の進展により一人一人に政策を届けることが可能となる環境も整ってきており、こうした手法も取り入れながら、県民一人一人をエンパワーできるような政策立案につなげていきたいと考えております。
〇27番(佐々木朋和君) 今、御説明いただきましたけれども、部局横断的な視点というのはわかりましたが、それが一人一人に寄り添うというところ、どのように政策立案の場で生かされているのか、なかなか見えてこなかったかと思います。
 知事は、人口減少問題の背景には生きにくさがあり、それを生きやすさに変えることが重要と常々話されています。それをどのように政策立案過程に落とし込んでいくのかこれまで明らかにされておりませんでしたが、令和5年度第2回の岩手県人口問題対策本部会議にて、個人に着目した事業立案のポイントとして、進学と暮らしにまつわる生き方の選択を五つの希望として示し、知事演述で、その選択を尊重しながら、多様なライフステージに応じた支援を強化していくとしたことは、大いに評価いたします。
 しかし、その後の子育て支援のくだりでは、これまで同様の施策の羅列であり、県民がどこのライフステージで、今どのような生きにくさを抱え、それをそれぞれの施策でどのように生きやすさに変えていくのか見えてきませんでした。
 岩手県少子化対策監作成の自然減対策の取組状況と今後の方向性では少子化の要因に係る詳細な分析がなされておりますが、社会減対策のような個人に着目した事業立案のポイントを示して課題解決に取り組むべきと思います。
 そして、社会減対策の五つの希望で、県内で学ばなくても、岩手県で暮らさなくても、その選択を尊重しながら支援していくことを示したように、自然減対策においても、結婚や出産のライフステージにおける支援を、結婚や出産をしない選択をした県民も含めて、その選択を尊重しながら支援していくことを示すべきと思いますが、所見を伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 人口の自然減には、結婚、妊娠、出産、子育てのしにくさといった生きにくさが背景にあると考えられ、少子化要因の分析では、子育てや教育への経済的負担感や仕事と子育ての両立の難しさなどが、結婚行動や出生行動に影響している可能性が認められたところであります。
 こうした生きにくさに着目して、自然減対策の今後の方向性として、有配偶率の向上に向けた若者のライフプラン形成支援や賃金等向上策の強化、有配偶出生率の向上に向けた子育て支援サービスの充実、雇用労働環境の安定、女性が活躍できる職場の創出などを掲げたところであり、女性の社会減対策との相乗効果も図りながら、効果的かつ効率的な事業展開を図っていく考えであります。
 県ではこれまでも、結婚や出産は個人の決定に基づくものであることを基本としつつ、地域社会全体で子育てをする方々や子供を温かく見守るという考えのもと、取り組みを展開してきたところであり、全ての県民が、自由に自己実現でき、希望をかなえられるよう、ライフステージに応じた取り組みを推進してまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 今、議論になっております詳細分析についてですけれども、岩手県人口問題対策本部会議で出された詳細分析の令和6年度当初予算編成における位置づけはどのようになっているのでしょうか。
 また、令和6年度当初予算編成方針によると、人口減少対策など重点事項について、政策推進費等に係る削減額の3倍に相当する額の範囲内で予算要求を認めておりますが、特に、この詳細分析の方向性に沿った施策となるようインセンティブを働かせるべきと思いますが、御所見を伺います。
〇総務部長(千葉幸也君) 詳細分析を踏まえた施策へのインセンティブについてでありますが、本年9月に開催した人口問題対策本部会議において、一人一人の生きにくさを生きやすさに変えるため、若年層を中心とした所得の向上や仕事と子育ての両立を実現するための働き方改革、女性の雇用労働環境の安定と活躍できる職場の創出などの方向性が示され、事業立案に向けた検討を進めているところでございます。
 議員御指摘のとおり、人口減少対策については、重点事項として捻出した額の3倍の予算要求を認めるインセンティブを設けているところであり、今後の予算編成過程において、これらの方向性に沿った効果的な事業への予算の重点化に配意してまいります。
〇27番(佐々木朋和君) これまでも、ふるさと振興総合戦略でさまざまな事業があって、人口減少対策といいながら総合的な計画になっております。せっかくこういう詳細分析が出たのですから、それに沿った形でぜひ予算が配分されるように、しっかりと進めていただきたいと思います。
 この第1期岩手県ふるさと振興総合戦略を作成したのが平成27年10月で、今8年が経過しております。また、昨年はいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの策定年だったわけでありますけれども、なぜこれまでこのような詳細分析がなされてこなかったのか、なぜ今の時期にこのような詳細分析を行ったのか、あわせて伺います。
 また、今般、ふるさと振興総合戦略の期間の延長と社会減の目標達成時期の後ろ倒しをするとの素案が出されております。県は、計画期間を第2期政策推進プランの周期と合わせるための変更としておりますが、それならば、令和6年度を上回る具体的な数値を令和8年度の目標として示せばよいわけで、目標達成時期を後ろ倒しにした理由にはなりません。目標達成時期を後ろ倒しとした理由を説明願います。
 また、岩手県人口ビジョンの中で、2040年に100万人程度の人口を維持するとしておりますが、戦略期間の延長による影響をどのように見ていますか。さらに、戦略を改定するならば、今般の詳細分析により示された令和6年度以降の方向性に関連した指標を追加するべきと思いますが、指標はそのままとなっております。あわせて説明願います。
〇政策企画部長(小野博君) 大きく4点御質問をいただきました。まず、詳細分析についてでありますが、昨年度の人口問題対策本部会議では、人口動態、社会動態に関する県内の動向等の分析をもとに、全庁的な議論を行い、第2期アクションプランでは、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、今年度、全国トップレベルの子供子育て予算により施策を推進しているところです。
 今年度は、直近の合計特殊出生率が過去最低となったことを受け、直ちに岩手県人口問題対策本部会議を開催し、さらに効果的かつ踏み込んだ対策を行うため、施策の早期実行の決定や詳細分析を進めてきたところであり、それらを踏まえ、先般開催した本部会議におきまして、今後の方向性を明らかにしたところです。
 現在、市町村とも連携しながら全庁で具体の事業立案に向けた作業を進めているところでございます。市町村ごとの要因分析等も同時に行いながら、総合的かつ効果的な事業を推進していきます。
 次に、2点目、社会減の目標達成時期についてでありますが、岩手県人口ビジョンでは、本県の社会減について、地域ブロック別で東京圏への社会減が最も多いこと、また、本県の社会減が最も少なかった平成7年は、東京圏に対し本県は社会増となっていることなどを明らかにしており、こうしたことを踏まえ、国が掲げる地方と東京圏との転入・転出を均衡との達成目標に呼応しながら、県独自の施策を進めることで社会減ゼロを達成することを、平成27年に策定いたしました第1期岩手県ふるさと振興総合戦略からの基本的な考え方としております。
 このような中、国においては、東京圏と地方との転出入均衡はいまだ達成しておらず、昨年改訂した国の総合戦略では、転出入均衡の達成時期を令和6年度から令和9年度に変更しております。
 このため県といたしましては、こうした国の改定、それから第2期アクションプランの内容を踏まえまして、県の総合戦略の計画期間の延長を含む改定作業を進めております。
 社会減ゼロについて、先ほどお話し申し上げました基本的な考え方に基づき、さらに対策を一層強化することで、国よりも1年早い令和8年度の達成を目指そうと考えているものでございます。
 また、3点目、令和元年に改定いたしました現行の岩手県人口ビジョンでは、2024年に社会減ゼロ、2040年に合計特殊出生率2.07の前提を踏まえまして、平成27年国勢調査の人口を起点に県全体の将来人口を推計いたしまして、2040年に100万人程度の人口を確保することを展望しております。
 この推計につきましては、近年、首都圏の有効求人倍率が本県を上回る中で、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの世界的な危機に相次いで見舞われ、合計特殊出生率の低下や東京一極集中の再加速などが見られているため、今回の戦略の期間延長にかかわりなく、当初の見込みよりかなり厳しい状況にあるものと考えております。
 こうした状況を踏まえまして、現在改訂作業を行っております県の総合戦略では、若年層の県内就職やU・Iターン促進、それから、若者、女性が活躍できる環境づくりなど社会減対策を一層強化、拡充するとともに、デジタル技術の活用、ニューヨークタイムズ効果の県全域への波及などの新しい視点も取り入れまして、県独自の施策を充実させながら、国の東京一極集中是正の取り組みに呼応することで社会減ゼロの早期の達成を目指すこととしております。
 最後に、4点目でございます、指標の追加についてですが、今回の改定では、第2期アクションプランの内容やDX、交流人口の施策に関連する指標の追加も予定しているところではございますが、佐々木朋和議員の御意見も踏まえまして、最終案への反映に向けてさらに検討を進めてまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 指標の追加、例えば女性の社会減などについては、やはり今回の柱として出てきたものでありますし、しっかりと加えていただきたいと思います。
 また、社会減ゼロの目標の後ろ倒しの大きな課題としては、岩手県は、北上川バレーに誘致企業を集積させている。そういう中で、今岩手県内の中小企業を初めとした人手不足感が高まっている状況にあります。目標値を後ろ倒しにすることにあわせて、やはり人手不足の部分へのしっかりとした対応も必要ではないかと思いますが、知事はどのようにお考えですか。
〇知事(達増拓也君) 人手不足問題は、今、目の前の喫緊の課題として取り組んでいるところでありますけれども、いずれ、国として東京一極集中を、本来であればまち・ひと・しごと創生法の5年後、今から3年ぐらい前には、東京都への人口流入はゼロになっているべきだったのですが、コロナ禍で一時的にそのような状況にはなったものの、新型コロナウイルス感染症が5類移行の段階に入って、逆に、東京一極集中がV字回復しているような現状であります。
 いずれ、今のような状況では地方での働く人の確保は非常に厳しいものがあるわけですけれども、国が東京一極集中をゼロにするという目標を堅持していることで、その国の政策と呼応して、岩手県においても社会減ゼロを目指すことがますます重要になり、その中で働く人の確保を進めていきたいと思います。
〇27番(佐々木朋和君) もちろん国のそういう状況があるというのは承知しております。一方で、県の施策として、高校生の県内就職率を84.5%にするという目標を掲げながら、今は74.2%。高まってきてはいますが、そういった中で、やはり北上川バレープロジェクトで企業集積をさせている。そのことによって、多くの地場企業―そのことによってというのは言い過ぎかもしれませんが、地場企業では人手不足感が高まっているというのは、やっぱり県の施策の影響もあると思うのです。しっかりとその部分についてもケアをしていただきたいと思いますし、もう一度言いますけれども、社会減ゼロを後ろ倒しにするのであれば、岩手県内の人手不足感をどのように解決していくのか、あわせて取り組んでいただきたいと思います。
 女性の社会減対策にお話を移させていただきたいと思います。
 女性の社会減対策の総括と今後の方向性について伺いたいと思います。
 令和6年度以降の少子化対策の方向性、3つの柱プラス1において、自然減対策として女性の社会減対策を掲げたことを評価いたします。
 令和4年9月定例会の一般質問で、公益財団法人東北活性化センターの人口の社会減と女性の定着に関する意識調査を紹介させていただいて、女性にとって多様な雇用先、職場を多く創出することと地方の閉塞感や退屈なイメージを払拭するような取り組みをすることの重要性を指摘いたしました。県の回答として、これまでの取り組みにより過去最高の高卒者県内就職率、U・Iターン就職者や移住、定住者数の着実な増加等の実績につながっている。第2期アクションプランにおいても、従来の取り組みを一層強化、拡充すると答弁がありました。
 しかし、人口問題対策本部会議の詳細分析によれば、2015年から2020年で女性の社会減は拡大、令和元年から令和4年にかけて20歳から24歳までの女性の社会減は、コロナ禍で縮小するも1、000人を超えています。
 県は、コロナ禍で、県内にいい職場があれば若年者や女性の流出が抑えられることが裏づけられたと新聞にコメントしていますが、いい職場とはどのようなものか、誰の立場に立ってその定義をどう立てるかが重要ではないでしょうか。
 県は、女性の働く場の確保として、ものづくり誘致企業や建設業、1次産業の場での女性活躍の推進を図ってきましたが、それによって若年女性の働く場のどの程度がカバーできたのか。学生が望む職種という観点からのアプローチは十分だったのか。さきに申し上げた閉塞感、アンコンシャスバイアス払拭への対応は十分だったのか。
 さらに、県はこれまで、いわてで働こう推進協議会を通して県内企業の労働環境の整備に取り組んできましたが、実効性はどうだったのでしょうか。女性の社会減対策については、総合的な検証とさらなる詳細分析が必要と感じます。県のこれまでの女性の社会減対策の総括と今後の方向性をお示しください。
〇政策企画部長(小野博君) 女性の社会減対策についてでありますが、本県の人口の社会減は、10代後半から20代前半の就職期に当たる若年層の転出が大きな要因となっておりますことから、若者、特に女性の県内定着を図ることが重要でございます。
 これまで、いわてで働こう推進協議会、いわて女性の活躍促進連携会議等を中心といたしまして、官民一体で、魅力ある雇用環境の構築やトップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけ、就職情報マッチングサイトによるマッチング支援などに取り組んできており、高卒者県内就職率の向上やU・Iターン就職者、移住、定住者数の着実な増加等の実績につながっているところでございます。
 一方、女性の社会減が、本県の人口減少問題における大きなポイントとなっております。先日、人口問題対策本部会議を開催し、女性人口の減少要因は、女性の出生数の減少と女性の転出超過に分解されるとの分析結果が示されたところでございます。
 これをもとに同会議で今後の人口減少対策の方向性、出生数の増加に向けた自然減対策と女性の県内定着につながる施策等について議論を行い、女性が活躍できる多様な雇用の場の創出や、若年層を初めとした所得のさらなる向上などの今後の施策の方向性を確認したところでございます。
 これを踏まえ、来年度以降の取り組みに向けて、従来の取り組みを一層強化、拡充するとともに、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方改革、デジタル技術等を活用した柔軟で多様な働き方の普及や性別、年齢に基づくアンコンシャスバイアスの解消、若者や女性が生き生きと活躍できる環境づくりなどの観点を重視しながら、効果的な事業の検討を進めてまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 1年前の一般質問の回答では、成果が出ているというような回答だったわけですよ。それが、今回の詳細分析によって180度違う答弁になったと思っております。先ほども申し上げましたけれども、やはり早くなぜこういう詳細分析がなされなかったのだろうと思うところです。
 次の質問に移りますが、言及はありませんでしたけれども、いわてで働こう推進協議会という産官、労使が岩手の女性や若者の労働環境について協議する場がありながら、今般、岩手県の最低賃金が単独全国ワーストとなったことは、大変残念に感じます。労働者だけではなく、中小企業経営者からは、労働力の県外流出を懸念する声も聞かれます。
 知事は、9月25日の岩手県人口問題対策本部会議において、若者への県内就職や事業者に対する一定水準の賃金確保をメッセージとして発信しておりますが、もう少し早く発信できなかったのかと思います。
 県の最低賃金が全国ワーストとなったことへの受けとめと、今後の取り組みの方向性について伺います。
〇知事(達増拓也君) 今回の地域別最低賃金は、公益、労働者、使用者の代表から構成される岩手地方最低賃金審議会におけるさまざまな議論を踏まえて、岩手労働局において決定したものと認識しております。
 令和4年の毎月勤労統計調査における岩手県の所定内給与額は、全国で33番目となっています。また、令和4年就業構造基本調査に基づいて試算すると、本県の10代後半の正社員の年収中央値は全国の中央値を上回る水準であり、県内の企業の多くは、最低賃金にかかわらず実際の賃金を決めているものと考えております。
 県においては、令和5年6月補正予算で中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助を措置し、経営革新計画に基づいて生産性の向上を図り、賃上げに取り組む事業者の設備投資等を支援することとしたところであります。
 また、この補助事業の実施に当たっては、適切かつ円滑な価格転嫁を実現するためのパートナーシップ構築宣言を行うことを要件としたところであり、7月12日には、県内の経済団体、労働団体及び行政機関の連名で、価格転嫁の円滑化による地域経済の活性化に向けた共同宣言を行うなど、適切な価格転嫁に向けた環境整備を図っております。
 引き続き、いわてで働こう推進協議会の場において、こうした取り組みの普及拡大を進めるとともに、賃上げを含め、若者、女性に魅力ある雇用、労働環境の構築に向けた取り組みを推進してまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 最低賃金のニュースが大きかったですけれども、今、知事の説明で、よい要素、ニュースもあるということをお聞きしました。しっかりと発信していただきたいと思いますし、このいわてで働こう推進協議会は、会議体にさまざまな団体、すばらしい皆さんが集まっておりますせっかくの会議なのですけれども、日本の会議の悪いところとも言われております、その場だけではなくて、その場で共有されたことを各団体、各会員の皆さんにも周知徹底されるように、県としてもしっかりとこの会議体を活用していただきたい、改善してもらいたいと思います。
 次に、企業誘致と地場企業の振興について伺いたいと思います。
 令和4年9月定例会の一般質問で、北上川バレープロジェクトを展開し、自動車、半導体の大型工場の集積により若年者の県外流出のダム機能を担っている一方、大型工場の誘致は、水資源が豊富な県央、県南の一部地域に限られ、それ以外の地域から見れば、若年層流出の要因ともなっていると指摘いたしましたが、今般の詳細分析によりそれが証明された格好となりました。
 同じ北上川バレーに位置づけられている一関管内においても、高卒者の県内就職率は向上しているものの、管内就職率は伸び悩んでいる状況が見てとれ、同広域圏内でも同じ傾向があると考えられます。
 県は、このような一極集中の状況を重く受けとめ、ものづくり、誘致企業だけではなく、非製造業や地場企業にも目を向けた均衡ある産業振興を行うべきです。
 政策推進プランにおいて、指標に高卒者の県内就職率だけではなく広域圏内、管内就職率を置く。誘致企業に通勤距離制限撤廃を求める。水資源の利用が難しい地域にも企業誘致ができるよう、企業立地促進奨励事業費補助金の対象業種を広げる。地域を限定せずに地場企業の増設支援を認める。令和5年度第2号補正予算で2億円の予算規模で措置した中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金を恒常化、拡充を図る。それらの財源として、誘致企業の親会社に企業版ふるさと納税の寄附をお願いするなど、本年度で津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金の終了が見込まれるタイミングで、誘致企業の支援の仕方、地場企業の支援の仕方を抜本的に見直し、社会減対策の精度を高めていくべきと思いますが、所見を伺います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 県では、自動車、半導体など、国際競争力が高く地域の産業、雇用に好循環をもたらすものづくり産業の発展を目指すとともに、広く県内各地の地域資源や特性を生かした産業振興を図るため、地場企業、誘致企業を問わず、生産性、技術力の向上や人材の育成、確保などに対する支援を行いながら、地域産業の高度化に取り組んでいるところでございます。
 いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる安定した雇用が確保され、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手を実現していくためには、地場企業の成長支援が重要であることから、業容拡大等に当たっては、国のものづくり補助金や事業再構築補助金の採択に向けた支援等を行っているところでございます。
 地場企業、誘致企業それぞれに対する支援のあり方につきましては、産業の動向や企業のニーズ、市町村の意向なども十分に踏まえながら、全県的な視野に立ち、限られた財源の中で最大限の効果が発揮できるよう、引き続き検討してまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 今、地場企業も含めた振興についてお話をいただきましたけれども、この補正予算で組んだ賃上げ環境整備支援事業の恒常化という話もさせていただきました。今回、補正予算案で組んでいるわけでありますけれども、先ほど最低賃金の話もありました。やはり、これは恒常化についてもしっかりと検討していくべきだと思います。
 また、知事のマニフェストにも国との協調補助の話もありました。この点については、現在どのような検討が進んでいるのか、お話いただければと思います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 中小企業等賃上げ環境整備事業費補助は、物価高騰に対応した国の交付金を財源として実施しているところでございまして、現在検討が進められている国の経済対策の動向も見きわめながら、適時適切に必要な支援策を展開できるよう努めてまいります。
〇27番(佐々木朋和君) なかなかまだ財源が見えないということでありましたけれども、しっかりと検討していただきたいと思います。
 次に、コミュニティー支援について伺いたいと思います。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の素案には、盛岡市のニューヨークタイムズ紙掲載を契機とした観光振興や関係人口の創出が盛り込まれております。
 知事は演述の中で、評価されたポイントとして、景観だけではなく住民や生活文化の豊かさを挙げ、岩手県全体にも当てはまると指摘しています。NHKのクローズアップ現代でも、盛岡市のまちづくり、コミュニティーが評価されておりました。
 岩手県の持つ生活文化やコミュニティーは、観光や移住、定住施策にとって大きな強みとなっておりますが、それは未来永劫保証されるものではなく、世界文化遺産と同じように、守っていく努力が必要なものです。
 県は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいて、10の政策分野の一つとして、居住環境・コミュニティを、50の政策項目の一つとして、つながりや活力を感じられる地域コミュニティを守り育てることを掲げ、取り組みを進めてきました。
 いわて幸福関連指標である地縁的な活動への参加割合は、平成29年の36.9%から令和4年は32.6%へと下がり、特記事項として、その要因をコロナ禍による活動中止などとしておりますが、コロナ禍後のトレンドとして、参加者がふえていくのか、そもそも活動が継続していくものか注視が必要です。
 具体的推進方策指標の活動中の元気なコミュニティ特選団体の数は増加傾向にあるものの、担い手不足や物価高の影響等により活動に不安を覚える団体もあり、現状をつぶさに調べる必要があります。
 ニューヨークタイムズ紙掲載を契機に関係人口、交流人口の拡大に努めること、効果を県内全土に広げることは重要ですが、評価された生活文化やコミュニティーという強みが今後も維持されていくのか、その持続可能性を検証すること、生活文化やコミュニティーを守る取り組みを強化することも重要と考えます。県の現状認識と今後の地域活動、コミュニティー支援の方向性を伺います。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) コミュニティー支援についてでございます。人口減少や高齢化が進行する中、地域コミュニティーの役割が高まっていますが、昨今は、コロナ禍の影響等により地縁的な活動の参加割合が低下傾向にあり、地域コミュニティーの機能低下や担い手不足が課題と認識しております。
 地域コミュニティーへの支援については、市町村において、地域づくり団体の活動に対する補助などを通じ、地域コミュニティーの活性化に取り組んでおります。
 県では、活力ある小集落実現プロジェクトにおきまして、アクティブシニアを活用したコミュニティーづくりを推進するとともに、地域で抱えている課題に主体的に取り組む団体を元気なコミュニティ特選団体に認定し、優良事例の普及啓発に取り組んでおります。
 このほか、地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する地域運営組織の形成支援や、地域おこし協力隊などの地域の担い手となる人材の育成支援、また、地域づくり人材の確保につながる特定地域づくり事業協同組合の設立支援にも取り組んでおります。
 今後も、持続可能なコミュニティーづくりのため、市町村と連携しながら、地域運営組織や特定地域づくり事業協同組合の持続的な運営に向けた取り組みの後押しを行うなど、地域コミュニティーを守り育てる取り組みを進めてまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 特選団体も、認定するだけで、その後のケアが十分ではないのではないかと感じております。しっかりとケアをする、また、継続のために県としても支援を考える、こういうことをしていただきたいと思います。
 来年は、中尊寺金色堂建立900年の節目の年であり、令和6年1月23日から4月14日まで、東京国立博物館にて特別展中尊寺金色堂が開催され、ニューヨークタイムズ紙掲載に続き、日本人や訪日外国人へアピールする機会が訪れます。町だけではなく、あわせて県としても、三つの世界文化遺産を関連づけた県内周遊をPRする等の動きが必要と感じます。
 また、10月、一関市藤沢町大籠のキリシタン殉教公園と資料館に、韓国から巡礼旅行に約400名の方がお越しになる案件をお聞きしました。宮城県、山形県、岩手県の巡礼地を2コースに分かれて3泊4日で回るそうです。一方、ライバルは九州地方で、インバウンド用の宿泊助成があり、巡礼地としてはとてもよいが、価格で一歩負けるとのお話を関係者からいただきました。
 本県においても、花巻空港利用の場合の宿泊補助はありますが、九州地方対東北地方という地域間競争に打ちかつ観点からは、隣県と手を組んだ形での助成制度の検討も必要と感じます。
 さらに、全国では、コロナ禍のお客様が少ない状況を利用して、廃ホテルの撤去や高付加価値化のための設備投資を戦略的に進めました。一方、本県では、観光庁の目玉事業であった地域と一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業の採択者は4件にとどまっています。
 今後、各宿泊施設が人材不足の中、観光消費額を向上させていくためには、高付加価値化とそのための施設整備が重要であり、68%の事業者が債務過剰感を抱える宿泊業界がどのように進めていけるのか、大きな課題であり、県の支援が待たれます。
 また、財源の確保の観点からは、宮城県では、コロナ禍によりストップしていた観光振興の安定的な財源を求めるための宿泊税について、議論が再開しました。
 このように、観光客増のチャンスとともに課題を抱える観光振興について、県はどのように課題認識を持ち、手を打っておこうとしているのか、所見を伺います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 今回のニューヨークタイムズ紙掲載の効果として、特に、欧米からの個人旅行客が増加していることが大きな特徴であると捉えており、今後、これらの方々の旅行ニーズや、旅行スタイルに的確に対応した情報発信や受け入れ環境の整備に向けた取り組みの強化を図り、あわせまして、東北観光推進機構と連携して、東北全体としての魅力の発信や周遊を拡大していく必要があると考えております。
 また、観光産業を本県経済の活性化へと結びつけていくためには、各地域のDMOを中心に、さまざまな分野の企業や主体を巻き込んだ観光地域づくりを進めていくことも重要であると考えております。
 このような考え方のもと、データに基づくマーケティング分析の活用を進めつつ、外国人目線での観光コンテンツの洗い出しや磨き上げ、情報発信などの取り組み強化を図ってまいります。
 また、市町村との連携のもと、地域の観光戦略の策定や各地域におけるDMOの立ち上げ、フォローアップなどの支援を進めることで、観光地域づくりの体制強化を図っていきたいと考えております。
 加えまして、宿泊施設を初めとした観光事業者の生産性向上、経営革新を進めて経営基盤の強化を図っていくことも重要であると認識しておりまして、関係団体と連携した支援を展開してまいりたいと考えております。
〇27番(佐々木朋和君) 最後にハード面の整備についても言及いただきましてありがとうございます。今回のような国からの目玉となるような事業があったときには、ぜひ、協調補助も含めて検討いただきたいと思います。
 次に、GX推進に係る住宅政策について伺いたいと思います。
 令和5年度のいわて木づかい住宅普及促進事業は、森林環境譲与税を活用し、約8、700万円の予算規模で展開されており、県土整備部の住みたい岩手の家づくり促進事業と連動して、省エネ加算、バリアフリー加算も行い、新築は100万円を上限に140戸、リフォームは45万円を上限に20戸を想定し実施しておりますが、窓口が一本化されていることは評価する一方、申請手続が別など課題も残ります。
 長野県では、令和5年度当初予算に3億8、000万円の予算措置をして、県産材の利用を条件としながら、住宅オールZEH化推進事業として、新築は200万円を上限として170戸を想定、リフォームは100万円を上限として110戸を想定して、建設部が事業展開しております。
 住宅の新築、改修等への支援は、県産材の利用促進と社会減対策に資する居住環境の整備、住宅の断熱化によるカーボンニュートラルへの貢献、地域内経済循環の推進、ヒートショック予防と効果が多岐にわたります。
 3倍相当を予算要求できる重点項目であるGX関連事業として予算を拡充して取り組むべきと思いますが、県のGX推進に係る住宅施策の方向性を伺います。
〇県土整備部長(加藤智博君) GX推進に係る住宅政策についてでありますが、県では、現在、県産木材を活用した省エネ住宅である岩手型住宅の普及に取り組んでおり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、設計者や工務店等の事業者の技術力向上や省エネ住宅のメリットなどの県民への周知に加え、ZEH水準を上回る基準による省エネ住宅の普及が重要と認識しております。
 このため、省エネ住宅について、施工技術の向上や県民への周知を目的とした講習会を実施するほか、岩手型住宅ガイドラインを改定し、この中にZEH水準を上回る高い省エネ性能の基準を盛り込む予定としております。
 引き続き、これらの取り組みにより省エネ住宅の普及に取り組んでいくとともに、長野県などの先進県の取り組みについて研究し、省エネ住宅の普及に効果的な事業について検討してまいります。
〇27番(佐々木朋和君) ありがとうございます。力強い答弁であったと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、物価高騰対策について伺いたいと思います。
 本定例会提案の補正予算案における物価高騰対策は、国の方針を見きわめるということで少額のものとなりました。今後一刻も早い予算化が望まれます。
 エネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査結果によれば、8月期の結果として、現在、エネルギー価格、物価高騰等による影響が継続している事業者が87.3%、売上原価が上昇している事業者が約85%、価格転嫁できていない事業者が72.9%という結果が出ました。
 一方、約10億円の予算を確保した中小企業者等事業継続緊急支援金支給事業は、コロナ禍前同月から売り上げが20%以上減少していることを要件としており、その割合は全体の25%程度となっております。
 これまで県は、要件や運用の変更には慎重な態度をとられてきましたが、これまで以上に県民一人一人を起点とした事業を行うというのであれば、事業者の実態と制度要件に差異が認められたなら、機動的に対応すべきと思います。
 また、令和5年6月補正予算で措置した配合飼料価格安定緊急対策費補助、酪農経営支援緊急対策費補助も活用が進んでおりますが、今後の支援が見えておりません。山形県では、令和5年度第3・四半期―10月から12月―の配合飼料価格上昇分と配合飼料価格安定制度等の補填金との差額の2分の1補助を令和5年9月補正予算に計上しました。畜産、酪農を含め農業者の負担感は商工業者以上に大きく、支援の継続、事業者に行っているようなアンケート調査やそれに基づく農業者の状況に寄り添った制度設計が求められます。
 県の物価高騰対策の方向性と補正予算の提案時期をお示しください。
〇知事(達増拓也君) 本県においても物価高騰対策は喫緊の課題であることから、これまで、迅速かつ機動的に累次の補正予算案を編成し、全国に先駆けて対策を進めてきたところであり、今定例会においても、追加対策として、三陸鉄道に対する運行支援や指定管理施設における光熱費等の負担軽減策などを盛り込んだ補正予算案を提案しております。
 まずは、これまで実施してきた支援策を必要な方に迅速かつ確実に届けていくとともに、今般の知事選挙を通じまして、継続的な支援を求める声を低所得世帯や子育て世帯、中小企業者や運輸、交通事業者、介護、福祉、医療施設や農業者等から多くいただきましたことから、現在、検討が進められている国の経済対策の動向を見きわめつつ、県としても、これに呼応し、補正予算案の編成を含め速やかに対応してまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 時期については言及がありませんでしたけれども、やはり、先が見えないということで不安になっている農業者が多くいらっしゃいますので、早急な事業化をお願いしたいと思います。
 次に、第1次産業の振興について伺いたいと思います。
 全国的な猛暑の影響で、米どころと言われているところで、米粒の色が白濁するなど高温障害が広がっております。あきたこまちの栽培が多いJA秋田おばこでは、9月28日までの検査で約9割が2等米、コシヒカリが多いJA新潟かがやきでは、1等米が0.6%で、7割近くが3等米という報道がありました。
 近年、秋田県ではサキホコレ、山形県ではつや姫、新潟県では新之助など、食味に加えて暑さに強い品種が開発され、今後、従来品種からの転換が進むようです。
 県では、農家への高温対策の呼びかけを徹底し、影響は今のところ最小限とお聞きしておりますが、本県の主力米の高温耐性は十分か、これからの気候を考えると不安が残ります。
 県では、令和5年度新規事業として、地球温暖化適応品種開発プロジェクト事業をスタートさせましたが、品種改良には通常10年かかると言われており、現在の気候に対応するため開発の時間短縮も求められます。
 また、品種の開発は、水稲、リンゴ、リンドウ、雑穀とされておりますが、記録的猛暑により、県内ではピーマン、レタス、ホウレンソウ、トマトなどの野菜にも影響がありました。より広い範囲での開発が望まれますが、1、400万円余の予算措置で十分なのでしょうか。
 岩手県主要農作物等の種子等に関する条例の基本理念に、栽培適地、用途その他の栽培上又は利用上の特徴が本県の自然的経済的条件に適合した主要農作物等の品種の種子等が生産され、及び普及されることの文言があります。主要農作物とは、稲、大麦、小麦、大豆、ソバ、雑穀に加えて、野菜、果樹及び花卉の奨励品種を指します。
 県は、種子条例の基本理念にのっとり、本県の現在の気候に即した品種開発を促進させるべきと考えますが、県の品種改良、開発の状況と今後の方向性について伺います。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 県の品種開発についてでありますが、県では、本県の立地条件や気象特性を踏まえ、収量や食味にすぐれ、病気や冷害に強いなど、生産性、市場性の高い農作物の品種開発や選定を進めています。
 これまでの取り組みにより、水稲では、金色の風や銀河のしずく、リンゴでは、9月下旬に収穫可能な紅いわてや11月上旬に収穫が可能な大夢などの品種を開発しています。
 また、国や民間での品種開発が先行している麦や大豆、野菜等については、本県の立地条件や気象特性等への適応性を確認し、優良な品種を選定しています。
 近年、夏季の高温により、水稲では粒が白く濁る白未熟粒や、リンゴでは果実の着色不良などが発生し、農作物の品質に影響を及ぼしています。
 このため、今年度創設した地球温暖化適応品種開発プロジェクト事業により、DNAマーカー等の先端技術を活用し、高温のもとでも、水稲の白未熟粒やリンゴの着色不良の少ない品種の早期開発に着手したところです。
 今後においても、本県の立地条件や気象特性、さらに気候変動にも対応した生産性、市場性の高い品種開発を進めるなど、農作物の安定的な生産と品質の確保が図られるよう取り組んでまいります。
〇27番(佐々木朋和君) これまで産業振興について横断的に質問させていただきました。人口減少下で財源が厳しい中にありますけれども、やはり税収をとっていくためには産業振興にも予算を振り向けていかなければいけないと思っております。ぜひ、そういう部分にもしっかりとケアをした予算編成になるようにお願いしたいと思います。
 次に、岩手県の教育問題について伺いたいと思います。
 学力の向上についてです。
 令和5年度全国学力テストの結果が公表され、本県は、小学校の国語で全国平均を上回ったものの、それ以外の小学校の算数、中学校の国語、数学、英語のいずれも全国平均を下回る結果となりました。
 詳細を見れば、小学校の算数は全国平均をわずかに下回りましたが、中学校の数学が5ポイント、英語が9ポイント、特に、英語の文法や時制を理解して正確に文章を書く問題では16ポイント以上全国平均を下回り、中学校での学習のおくれが顕著です。
 平成30年地域政策研究センターの岩手県の中高生の学力やキャリア形成に関する調査研究では、特に中学に入って成績が振るわなくなっていること、市町村間の差が特に相対的に広がっていること。中学校の生徒において、平日、授業以外に3時間以上自主学習をしている生徒の割合が全国で最も低い。非通塾率、部活動の参加率が全国で最も高い。中学校への質問で、生徒は熱意を持って勉強しているかに対して、そのとおりだと思うと回答した割合や、学校支援ボランティアの仕組みにより、保護者や地域の人が教育によく参加している割合が、全国で最も低いことが指摘されています。
 県教育委員会では、諸調査結果の積極的利用、授業研究の活性化、家庭学習の内容の充実と習慣化、言語能力の育成を掲げ、確かな学力育成プロジェクトを展開し、努力されていることに敬意を表しますが、調査結果を見れば、部活動のあり方や地域との連携、地域間格差についての分析など、その努力の外側の課題、環境整備が必要とも感じます。
 県は、本県の学力の状況をどのように分析し、どのように改善を図っていくのかお示しください。
〇教育長(佐藤一男君) 本県の学力の状況とその改善についてでありますが、今年度の全国学力・学習状況調査の結果におきまして、小学校国語では全国の平均正答率を上回り、また、意欲を持って自ら進んで学ぼうとする児童生徒の割合や、授業で、自分の考えを深めたり広げたりしている児童生徒の割合が全国平均を上回るなど、一定の成果は見られたところです。
 一方で、議員御指摘のとおり、中学校の英語や数学では全国の平均正答率を下回り、特に英語におきましては、聞くこと、読むこと、書くこと、いずれにおいても全国の平均正答率を下回っており、基礎的、基本的な知識及び技能の確実な定着が課題となっております。このため、教師の指導の改善、充実や児童生徒の学習状況の改善等が必要であると考えております。
 これまで県教育委員会では、毎年度、学校教育指導指針を定め、確かな学力の育成に向けて、児童生徒のつまずきに着目し、児童生徒の学習改善や教師の指導改善により一人一人の資質、能力の向上を図ることを推進してきたところですが、今回の調査結果を踏まえ、検討すべきさまざまな課題があるものと考えております。このため、現在、今回の調査結果の原因分析や、これまでの施策や指導のあり方などについて点検を進めているところです。
 児童生徒の確かな学力の育成のためには、まず、基礎的、基本的な内容の確実な定着が必要であり、そのための効果的な指導方法や教育研修のあり方、学校、家庭、地域の連携による家庭学習の充実に向けた方策などについて、市町村教育委員会等と連携しながら検討、対応してまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 授業等の工夫、研究については、忙しい中で大変御苦労さまですと申し上げたいと思います。一方で、この調査結果を見ると、平成30年から前に進んでいるというのはいいのですけれども、やはり子供たちの生活実態、家で3時間勉強する子が少ないと。それだけの時間がとれているのか、時間があるけれども、そういった習慣がついていないのか、そういった生活実態も含めた詳細の調査が必要だと思います。これは意見にさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問ですけれども、ちょうど1年前の一般質問において、県立水沢工業高校と県立一関工業高校の統合については、現在、立地候補地選定のための基礎調査を行っているというような答弁でございましたが、検討の進捗は今どの段階まで進んでいるのでしょうか。
 新しい工業高校の開校について、県は、令和7年度以降と計画で示しておりますが、住民からは、現在の検討段階が見えず不安の声も聞こえます。設置場所の選定などについて現在の検討状況をお示しください。
〇教育長(佐藤一男君) 県南地域に設置する新たな工業高校についてでありますが、県南地域においては、今後の中学校卒業予定者数の減少が見込まれる一方で、ものづくり産業等を担う人材育成に対する高校教育の役割への期待が高まっていることを踏まえ、新たな県立高等学校再編計画後期計画において、両校を統合し、校舎や産業教育施設などを新たに整備した上で、1学年6学科6学級の大規模な工業高校を設置することとしたものであります。
 新設する工業高校については、令和7年度までの後期計画期間中に設置場所や統合時期、教育内容等の検討を進めるとしており、昨年度には、新しい校舎の立地候補地選定のための基礎調査を行い、現在、候補地選定に向け、外部有識者を構成員とする検討会議において御意見を伺っているところです。
 立地候補地選定に当たっては、当該校はブロックを越えた広域の統合となることから、地域の産業振興の動向や通学する生徒の利便性等、多角的かつ客観的な観点から慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
〇27番(佐々木朋和君) 今の答弁の確認ですけれども、今、実際に場所を、候補地を何個か選定して、それについての調査、検討している段階ということでよろしいですか。
〇教育長(佐藤一男君) 昨年度実施した立地候補地選定のための基礎調査において、奥州市、一関市及び平泉町から6カ所程度の候補地を抽出ということで、この候補地をベースに、有識者から御意見を伺っている状況でございます。
〇27番(佐々木朋和君) 今意見を伺っているということでしたけれども、地域としては令和7年度以降というざっくりとした期間を与えられている状況の中で、今後の進み方と、時期的なところも大変気になるところです。令和7年度以降ということは、スタートが令和7年度よりもさらに先という可能性があるということなのか。あとは、今の検討状況がいつまで続いて、いつぐらいに決定となるのか。この辺のスケジュール感についてもお示しいただきたいと思います。
〇教育長(佐藤一男君) まず、後期計画の期間外の令和7年度以降の統合について現後期計画に位置づけている理由でございますが、まず、ブロックを越えた統合によるものであること、それから、立地場所の選定、用地の確保は今申し上げたとおりでございますが、学びの内容の検討、それから施設設備の検討など相当程度の期間を要するということで、5年の計画期間内では整備できませんが、統合の方向性を後期計画に位置づける必要があったということで位置づけたものでございます。
 今年度、外部有識者の検討会議で御意見をいただき、その後、教育委員会議で協議いたしますが、さらに外部の意見を伺いながら教育内容の検討を進めていくことになります。計画上も、令和7年度までの間に設置場所、統合時期、教育内容の検討を進めることをうたっておりますが、具体の設置は令和7年度以降になるということでございます。
〇27番(佐々木朋和君) わかりませんけれども、わかりました。これ以上攻めてもというところがありますので、しっかりと検討していただきたいと思います。
 次に、今後の地域医療の方向性について伺いたいと思います。
 現在、令和6年度から11年度を期間とする岩手県保健医療計画を策定するため、各地域で医療懇談会が開催されております。両磐地域においても8月に開催されておりましたが、その中で県民の受療動向が明らかにされ、入院の受療動向は、盛岡以外の各圏域について、二次医療圏内に入院している割合は7割台が多く、圏域によっては6割を切る状況にあり、県外への流出も一定程度見られる状況が明らかになりました。
 県は、この状況に人口減少を加えた医療需要と医療の高度化、専門化、デジタル化の推進、医師の働き方改革を含めた医療提供の状況を勘案し、岩手県保健医療計画策定の方向性の中で、これまでの二次医療圏、三次医療圏に加え、疾病・事業別医療圏を設けて、がん医療、脳卒中、心血管疾患については二次医療圏よりも広い範囲で対応する方針が示されました。
 参加した医師からは、医師の負担軽減と医師招聘の観点から、ハイボリュームセンターの設置を望む声も聞かれましたが、一方で、関係自治体からは、患者の圏域外への流出は、専門医、診療科不足によるものであり、潜在的な医療ニーズはあるとの指摘もあります。
 今般、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、千厩病院の稼働病床数が削減されました。現状1日の入院患者数から見て影響はないとの判断でしたが、専門医、診療科不足による患者の圏域外流出を加味した潜在的医療ニーズに合った判断なのかどうかの検証なくしては、地域の納得は得られません。
 同じように、疾病・事業別医療圏の導入についても、潜在的な医療ニーズを勘案しながら、疾病・事業別医療圏の設置が、医師の負担軽減に加えて、二次医療圏内における医療完結率の向上や医師確保、偏在解消につながるよう配慮すべきと思いますが、所見を伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 現在策定を進めております次期岩手県保健医療計画では、人口減少に伴う患者数の減少、医療の高度化、専門化などの環境の変化を踏まえまして、身近な地域で安心して医療を受けられる体制の確保に向けて取り組むとともに、がんや脳卒中、心血管疾患などについては、県民に提供する高度、専門的医療のさらなる質の向上のため、二次保健医療圏とは別に、広域的な疾病、事業別の医療圏の設定を検討しているところであります。
 疾病・事業別医療圏の検討に当たりましては、高度、専門的医療については、限られた医療資源のもと、発症リスクが高い高齢者が今後も一定程度増加していく状況を踏まえまして、複数分野の専門医などによる質の高い医療が速やかに提供できるよう、専門人材や高度医療機器の配置の重点化とICTを活用した医療画像の共有や助言などによる医療連携体制の構築について、現在検討しているところでございます。
 また、今後におきましても、県民に高度、専門的な医療を持続的に提供していくため、症例数や手術数の確保による専門教育機能の充実した研修体制の整備を図り、医師確保、定着につなげていく観点からも検討を進めております。
 引き続き、県民や地域の医療関係者の意見を伺いながら、急性期医療から在宅医療に至るまで、切れ目のない持続可能な医療体制の構築を進めてまいります。
〇27番(佐々木朋和君) 新しい医療圏とハイボリュームセンターの議論と地域病院の存続についての関係性をしっかりとテーブルの上に出して、議論をした上で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、地方ローカル線の利用促進について伺いたいと思います。
 JR東日本は、経営が苦しい輸送密度1、000人未満の本県の関係路線については、国主導の再構築協議会は設置しない方針となりました。県は、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプラン政策推進プランの指標に、三セク鉄道やバス利用の数値目標は掲げてきましたが、JR路線はその外でした。指標設定についても検討するなどするべきです。
 ダイヤの見直しや老朽化対策、電子マネー対応、Wi−Fiの設置等、利用促進のための設備投資もJRに促しながら、県としても利用促進策を打つべきだと思います。
 県の地方ローカル線に対するスタンス、今後の方向性について伺います。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 地方ローカル線の利用促進についてでございますが、昨年11月には、JRローカル線維持確保連絡会議を開催し、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきこと、県及び沿線市町が連携を強化して、さらなる利用促進に向けた取り組みを実施していくことについて、沿線市町と認識を共有したところであります。
 このため県では、今年度新たに沿線市町等が実施する利用促進策に対する補助制度を創設し、利用促進の取り組みを強化したところであり、定期券、回数券の購入支援、モデルツアーの実施、プロモーション動画の作成などの事業が展開されております。
 さらには、サイクルトレインや貨客混載の導入、企画列車の運行など、さまざまな取り組みについて、沿線自治体首長会議等の場などを通じ沿線市町と議論しているところです。
 また、地方ローカル線の利用促進には、沿線地域の取り組みとともに、議員御指摘のとおり、利便性の向上が重要であると認識しており、毎年実施しておりますダイヤ改正要望に加え、スイカの導入エリアの拡大など利用促進に必要な設備投資についても、JR東日本に対し働きかけてまいります。
〇27番(佐々木朋和君) ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって佐々木朋和君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時29分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番田 中 辰 也君
2  番畠 山   茂君
3  番大久保 隆 規君
4  番千 葉 秀 幸君
5  番菅 原 亮 太君
6  番村 上 秀 紀君
7  番松 本 雄 士君
8  番鈴 木 あきこ君
9  番はぎの 幸 弘君
10  番高橋 こうすけ君
11  番村 上 貢 一君
12  番工 藤   剛君
13  番小 林 正 信君
14  番千 葉   盛君
15  番上 原 康 樹君
16  番菅野 ひろのり君
17  番柳 村   一君
18  番佐 藤 ケイ子君
19  番高 橋 穏 至君
20  番佐々木 宣 和君
21  番臼 澤   勉君
22  番福 井 せいじ君
23  番川 村 伸 浩君
24  番ハクセル美穂子君
25  番高 田 一 郎君
26  番木 村 幸 弘君
27  番佐々木 朋 和君
28  番吉 田 敬 子君
29  番高 橋 但 馬君
30  番岩 渕   誠君
31  番名須川   晋君
32  番軽 石 義 則君
33  番神 崎 浩 之君
34  番城 内 愛 彦君
35  番佐々木 茂 光君
36  番佐々木   努君
37  番斉 藤   信君
38  番中 平   均君
39  番工 藤 大 輔君
40  番郷右近   浩君
41  番小 西 和 子君
42  番高 橋 はじめ君
43  番五日市   王君
44  番関 根 敏 伸君
45  番佐々木 順 一君
46  番岩 崎 友 一君
47  番千 葉   伝君
48  番飯 澤   匡君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時48分 再開
〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。大久保隆規君。
   〔3番大久保隆規君登壇〕(拍手)

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