令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(高橋穏至君) 自由民主党の高橋穏至でございます。さきの岩手県知事選挙、岩手県議会議員選挙におきまして、2期目の議席をいただくこととなりました。県民の負託に応えられるよう活動してまいります。そして、4年前同様に、改選後初となる定例会での登壇の機会をいただき、感謝申し上げます。
 さて、私は、1期目の4年間で人口減少対策を岩手県の最重要課題と捉え、その原因分析と対策について一般質問で取り上げ、また、予算や決算の審査においても、関連事業について質問、提言してきました。
 2期目の選挙に当たり、私は、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすをスローガンに、人口減少対策を最重要課題として、人口流出が大きい若者、女性が活躍できる環境をつくり、家庭を築き、子育てをし、世代間がきずなでつながれ、高齢者も暮らしやすい地域をつくり、そんな地域の魅力を発信することから、人が集まる持続可能な社会が実現しますを公約として掲げました。
 一方で、達増知事も、人口減少と少子化対策を最重要課題として捉え、マニフェストプラス39を公約に掲げており、目指す方向は、私だけではなく、多くの議員も同じではないかと思います。その実現に向けて議会として議論を深めたいと思います。
 そこで、今回の一般質問は、知事の公約と今定例会での知事演述を中心に質問いたします。昨日からの質問と重複する項目もありますが、御容赦いただきたいと思います。
 今回、私は、人口減少対策についてほか6項目の質問を通告しておりますが、各項目に入る前に、令和5年8月4日発行の希望郷いわて通信号外で示された岩手県政の軌跡について、昨日も質問がありましたが、知事の認識を伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 6項目について数値がよくなったとPRしております。その中で、1人当たりの県民所得について、平成23年が約241万円から令和元年に約278万円と13.6%伸びた。医師数については、平成18年が2、569人から令和2年には2、700人と131人ふえた。県内の有効求人倍率は、平成22年の0.46人から令和3年に1.26人にふえた。大学進学率は、平成26年42.4%から令和4年46.7%に上がったと掲載されております。
 しかし、これらの数値は実数のみで、全国の中でどれほどのものなのか示されておりません。県民所得は、全国の中では下位に安定しており、医師数の増加率は全国平均の10分の1、有効求人倍率は全国的に上がっており、東北6県中5位、大学進学率は、むしろ41位から44位に悪化しております。そして、令和5年度共通テスト都道府県別平均点は、岩手県が5教科総合最下位です。
 知事選告示前、8月4日発行の号外が新聞折り込みされ、知事は、さまざまな指標をPRし選挙で当選されましたが、知事は、県民がこの指標をどう評価したとお考えでしょうか。また、知事自身、折り込みに記載された数値をどのように捉えているのかを伺います。
 以降は質問席から質問いたします。
   〔19番高橋穏至君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋穏至議員の御質問にお答え申し上げます。
 岩手県政の軌跡についてでありますが、希望郷いわて通信号外は、希望郷いわてを実現する会が発行したものでありますが、その関係者からは、達増知事は自分の仕事の成果を余り語ってこなかった。これまで達増県政がやってきたことが県民に浸透しておらず、それを浸透させたいということを聞いており、そういう趣旨でまとめられたものと認識しております。
 号外に挙げられた岩手県政の軌跡は、主要な論点にかかわる取り組みや数字を簡潔にまとめて発信したものであります。県あるいは知事としての県行政の評価については、政策等の評価に関する条例の規定に基づき、評価レポートなどが毎年度公表されています。
 今回の希望郷いわて通信号外については、岩手県政の軌跡を一定の紙面で伝えようとまとめられたものであり、県民の皆様の知事選挙に際しての議論に資するものであったと思います。
〇19番(高橋穏至君) この数値は自分が直接発行したわけではないが、この数値によって県民がしっかりと判断できたと捉えていると思っているのかどうかでございます。要は、数値は先ほど申し上げましたとおり、実数でありまして、全国的な立ち位置、評価は決して入っていないわけで、この数値で県民はいいと思ったということなのかどうか。そして、この数値自体は、知事本人はいいものだと思っているのかどうか、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) 1人当たり県民所得の上昇につきましては、読んだ県民の皆さんの中には、なるほど、うちの会社も頑張った、また、自分も給料が上がってきた、やはりこれだけのことをやってきたのだなと感じるのではないかと思いますし、県内誘致企業事業所数の増加に関しましても、特に北上市の皆様を初め、住宅も、アパートを1、000戸用意してすぐ埋まってしまったしなとか、そういう感想を持つのではないかと思います。
 医師数の増加につきましても、そこにかかわった、これは市町村でも医師確保にはかなり尽力されてこられたわけで、そういう人たち、または病院関係者は、それぞれの苦労を思い出したのではないかと思いますし、県内有効求人倍率の上昇につきましては、かつて有効求人倍率0.46、就職を希望する人の半分は県外に出なければならなかった状況と比較し、今は、希望する仕事を選ばなければ必ず県内に就職できる状況というものを、特に上の世代の方々も含めて感慨も持たれるような数字だったのではないかと思います。
 大学進学率の上昇については、やはりそれぞれ頑張って入学した人、そういう子供を支援した親たちの思いもあったと思いますし、県財政の状況については、これは他県と比較しながら、悪化している県もあるわけでありまして、岩手県は改善してきているのだなという感想などを県民の皆さんは抱いたのではないかと思います。
〇19番(高橋穏至君) 県民は、そう思った人もいるでしょうが、それでは、知事はこの数字をどう思っているのですか。
〇知事(達増拓也君) 選挙においては、さまざまな個人やさまざまな団体が、自由な意見を交わしながら、候補者の中から選んでいくという作業でありますので、そうした岩手県の選挙を活発に行うのに資する数字だったと思います。
〇19番(高橋穏至君) これは非常に大事な論点でありまして、県民が今の状態でいいや、満足しているのだと捉えてしまえば、それ以上の努力をしなくてもいいということになりかねない。
 そして、先ほどそれぞれの事業の成果については、今回も決算審査があるわけですが、決算審査の際、幸福指標、例えば出生率はD評価であります。要は、目標は達成できていないわけですね。この達成できていない部分を県民に知らせないで、数字だけ上がったというのはいかがなものかと思うわけです。
 これ以上は個別の内容に入りますので、次に進みます。
 初めの項目、人口減少対策について伺います。
 岩手県の人口減少対策に関するこれまでの取り組みの成果と現状認識に関して質問いたします。
 人口減少に直接関係する指標に合計特殊出生率があります。昨年9月の決算特別委員会の総括質疑で、達増知事に、平成19年の知事就任以降、岩手県の子育て支援や結婚支援策の実効性が低く、岩手県の子供を産み育てる環境が全国で最も悪化しており、他の都道府県からおくれをとっていることのあらわれではないかと知事の所見を伺いました。
 それに対して、知事は、本県では、平成19年度にいわて希望創造プランを策定し、いち早く人口減少対策を進めて取り組んできた。令和2年の国勢調査データでは、20代女性の有配偶率は全国平均より上位にあるが、30歳以上の有配偶出生率は全国平均を下回っている。これは、全国に比べて年間総実労働時間が長い中、共働き世帯の妻に家事、育児の負担が偏っていることなどが影響していると考えられる。このような出産や子育てに関連するさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、子供を産み育てたいと思える岩手県にしていくため、県の総力を結集して取り組む必要があると考えていると答弁がありました。
 また、令和4年の決算特別委員会総括質疑では、人口減少対策の項目で、令和3年度の合計特殊出生率の達成度がDにとどまっていることに関して、111ある指標のうち、Aが59事業、Bが25事業、Cが16事業、Dが11事業となっており、事業の達成度が目標の成果につながっていないのではないかということについても質問いたしました。
 岩手県の合計特殊出生率は、近年、全国平均を下回っており、令和4年は1.21と全国の1.26から0.05ポイント下がっております。また、いわて県民計画第2期アクションプランでは、令和5年度1.35、そして令和8年度には1.58を目標値としていますが、このことに対する所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) 高橋穏至議員が御指摘されました令和4年における合計特殊出生率の大きな下落は、大変深刻なものだと思っておりますし、これは今定例会、きのうも出生数の全国最大の減少率ということでも指摘されております。
 令和3年には出生数の減少が246人のマイナス、さらにその前年は256人のマイナス、そのくらいずつのマイナスだったのが、去年、急にマイナス684人になっているということで、これは極めてゆゆしいことだと思います。
 令和4年の出生数は、令和3年の出生のもとになるようなさまざまな行動によって決まるものと思うのですが、令和3年は、自殺死亡率、また自殺者数が全国の平均を下回るといいますか上回るといいますか、かつてワーストのほうでずっと来ていたのが、突如上から数えたほうが早い順位に上がったということです。令和3年は、コロナ禍の2年目、アルファ株、ベータ株、そういった感染の危険性や重症化の危険性などが多く、岩手県でも唯一、県独自の非常事態宣言による盛岡市の飲食店への行動制限をかけた年だったのですけれども、やはりこの年に、岩手県民のさまざまな行動が大きく制約されていたことを推測させるような数字だと思います。
 一方、平成30年には、やはりマイナス641人、マイナス560人と昨年に近い出生数の落ち込みがあり、一方、その前の平成29年には166人の落ち込みしかなかった。この辺には平成から令和に変わることが、結婚や出産という行動に影響を与えた可能性が指摘されているところもあり、平成27年には岩手県の出生数は11人ふえているという、この10年の間に出生数がプラスになった年もあるのですね。ただ、この辺は、団塊ジュニア世代の駆け込み出産ということで、日本全体で出生率が上がった時期でもございます。
 そういった全国的な社会経済環境、そして、近年のコロナ禍、また岩手県独自の要因などから出生数の低下、出生率の低下ということが起きているわけです。岩手県が特に落ち込んでいるというのは非常にゆゆしい事態でありまして、これを回復させるためにも、きのう、きょうと随時答弁しているところでありますけれども、若者の生きにくさを生きやすさに変えていくような、所得面の改善、働き方の改革、そして子育て支援といったところに力を入れて、新型コロナウイルス感染症による行動制限が自粛、さらに萎縮という形で婚姻や出産を抑制することがないようにしていくことが、今後重要と考えております。
〇19番(高橋穏至君) 全国的な状況の話を聞いているわけではなくて、岩手県の取り組みとの因果関係をしっかりと、県内の状況がどうなのか、これは全国的な傾向とかそういうのはわかりますので、そこをしっかり捉えているのかどうかが大事だと思います。
 以下、その部分に関係するような質問をしていきたいと思います。
 合計特殊出生率は、女性の年齢別の出生率を合計したもの、1人の女性が生涯に産む子供の数の平均ですので、この数値を上げるためには、子供を産み育てる環境を整える施策が重要です。
 たっそ拓也マニフェストプラス39では、1番目の政策、子育て支援策の展開と拡充に関して、2023年度から3歳未満の保育料を第2子から所得制限なしに無料にするなど、全国トップクラスの子育て支援策がスタートします。「第1子から第2子へ、そして…、」経済的な制約等にとらわれず「2人目の壁」を越え、すべての人の希望が叶うように、必要な財源を確保し、市町村の現状把握にも努め、施策のフル稼働と一層の拡充を図りますと掲げ、本定例会冒頭の知事演述でも、全国トップクラスの施策を一層拡充すると述べております。
 しかし、3歳未満の保育料の無償化は、第2子以降については他県でも実施を開始しており、また、県内市町村では、所得制限を設けず第1子からの完全無償化を令和4年度では7市町村、令和5年度では、7月開始の岩泉町を含め12市町村が実施しております。また、北上市は9月から、半額ですが減額を実施しております。
 人口減少の現状は危機的状況で、その対応は待ったなしの課題であり、市町村間の争いではなく、県全域で取り組むべきであります。このような危機感から、令和5年2月定例会の予算特別委員会において、第1子からの保育料無償化についての組み替え動議を提出しましたが、知事を応援する議員の反対により否決された経緯があります。
 改めて、全国トップクラスの施策と言うためにも、第1子からの支援をスタートさせる考えがないか伺います。
 また、当選後初議会となる9月20日の臨時会で、政策を進めるに当たり、人口規模の小さい町村への配慮を行うと言いましたが、具体的にどのような配慮なのか伺います。
〇知事(達増拓也君) 保育料無償化については、国の調査によりますと、子育てや教育に係る経済的負担が出生数減少の主な要因であり、複数の子供を養育するにはさらに負担が増すこと、夫婦の理想の子供数は2.25人であるのに対し、最終的な出生子供数は1.90人とギャップがあること等から、県民の皆さんが希望する子供数を実現できるよう、第2子以降を支援することとしたものであります。
 第1子を含む幼児教育、保育の完全無償化については、本来、自治体ごとの財政力に応じて地域間格差が生じることのないよう同等の水準で行われるべきものであることから、引き続き、国に対して強く働きかけてまいります。
 また、子供子育て支援の充実に早くから取り組んできた小規模町村を初め、市町村に対して、現場の状況や意見をこれまで以上に丁寧に酌み取り、各市町村が地域課題に即した少子化対策に取り組めるよう、支援策について検討してまいります。
〇19番(高橋穏至君) 確かに、全国的にやれば一番いいわけですが、全国トップクラスの施策と言いますが、ことしの10月から実は東京都もやっているわけでございます。東京一極集中が叫ばれる中、子育て環境、地方をよくしようと思っても、東京都がもうやってしまっている。これでは差別化にもならない、そういう状況であります。
 岩手で育てるを目指しても、利便性の高い東京都のような都市と対抗するためには、やはり一歩先に取り組むべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 東京都との関係では、やはり雇用の問題、そして賃金を含む労働環境の問題などで、岩手県で生活して働くことを選ぶか、東京都で生活して働くことを選ぶかということが大きいと思っております。
 子育て支援のあり方につきましては、議員御指摘の内容は、東京都より悪いわけではないという内容だったと思いますけれども、東京都との差別化という点では、半導体産業振興、自動車産業振興といった産業政策で、東京都とは違った豊かな自然やまちのにぎわいとともに、工場での労働ができるような新しいタイプの産業地域をつくっていくことが、東京都との差別化になるのではないかと考えます。
 また、先ほど申し上げましたように、希望する出生数は2人以上なのに、実際には2人未満という統計の中から、1人から2人へというところを支援していこうという趣旨も、この第2子以降の保育料等無償化にはあるところであります。
〇19番(高橋穏至君) 先日発表された令和4年の合計特殊出生率のデータですが、出生率の減少傾向は、第2子の減少傾向より第1子の減少のほうが大きいんですね。まず1人目にためらっているという現実もあるということで、その辺をしっかりと捉えながら、あと、実際に市町村でやり始めている、それくらい危機感があるということを共有しながら取り組んでもらいたいと思います。
 次に、合計特殊出生率にかかわるのが婚姻率で、若い男女が家庭をつくる数をふやす必要があります。岩手県の未婚率は男女とも増加しており、この件に関しても、昨年の決算特別委員会総括質疑や12月定例会の一般質問で、知事就任以降の結婚支援事業の取り組みに関する見解を伺いました。
 達増知事は、県では、結婚支援を強化するため、平成27年度に“いきいき岩手”結婚サポートセンターを設置し、開設以降、拠点の増設や出張サービスの順次拡大、AIを用いたシステム導入などにより支援を拡充してきた。政策推進プランの目標値に達しなかった要因としては、会員数の伸び悩みやコロナ禍において直接対面する機会が減少したことなどが考えられる。昨年度末からオンラインお見合いを開始し、今年度は、地域の企業や団体と連携したi−サポの周知や出会いの場の創出と連動した広報などに取り組んでいると答弁しております。
 あれから1年、令和4年度主要施策の成果に関する説明書、いわて県民計画実施状況報告書では、結婚サポートセンター会員における成婚者数は、目標440件に対して163件とD評価になっています。そして、特記事項には、結婚サポートセンター会員における成婚者数、AIの活用によりマッチング件数やお見合い、交際件数は増加しているものの、コロナ禍における外出、行動制限等の影響のため、交際開始後、直接会うことができず、交際が深まらないなどの理由により、令和4年度の成婚者数は37人になりましたとあります。
 若者が出会うきっかけをつくる事業は、コロナ禍だからこそ重要になると思われます。たっそ拓也マニフェストプラス39では、“いきいき岩手”結婚サポートセンター―i−サポについて、利用者増から成婚数が高まるよう拡充を図りますとだけ書いてありますが、今定例会での知事演述では触れられておりません。これまでの取り組みをどう変えていくのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 今年度、会員登録料無料キャンペーンを実施し、また、結婚支援コンシェルジュの配置、市町村や民間企業との連携によるイベントの開催など、結婚支援の取り組みを強化しているところであります。
 この結果、会員数の増大が見られておりまして、これまで以上にマッチング機会の増加が期待されますことから、マッチング精度の向上、交際から成婚に至るまでのフォローアップの充実といったところで、成婚者の増加につながるよう、会員等の意見も踏まえながら検討し、結婚支援の充実を図ってまいります。
〇19番(高橋穏至君) これ以上の内容については、決算特別委員会で行いたいと思います。
 次に、人口減少対策の鍵は若者、女性の県内定着にあります。県外への流出を少なくし県外からの流入をふやすことにかかっております。
 婚姻率を上げても、子供を産み育てる年齢層の人口がなければなりません。岩手県の年代別人口構成を見ても、20歳から35歳にかけての人口が少なくなっています。これは、進学や就職で岩手県を離れる人が入ってくる人より多いことにより生じます。中でも、大学進学等により県外で学んだ学生が県内に就職しないことが大きな課題であり、いかに県内に呼び込むかがポイントになります。
 そこで、県外で学び、働いている若者を岩手県に呼び戻すには、そのニーズを知る必要があると思いますが、そのような調査はしているのでしょうか。
 令和5年度いわてで働こう推進協議会における県の取り組みでは、岩手に帰り、地元で働き、暮らすことの魅力発信として、帰省時期に合わせたUターンプロモーションを実施しているようですが、情報発信とともに、ニーズの把握は行われているのか伺います。
 また、県外にいる学生等へのアンケートは難しいのも実情です。そこで、地元に帰ってくる大きな行事である成人式、二十歳を祝う会等の機会を利用して、意識調査を行ってはどうでしょうか。
 若い人材の確保は、市町村にとっても大きな課題であります。私の住む北上市に伺ったところ、20歳のつどい等でアンケート等は実施していないということでありました。
 この二十歳を祝う会等の招待状とともに、携帯電話等で答えられるアンケートを送り、答えていただいた方にふるさとの記念品を贈るなどして、ふるさとで働くことへの考え方をつかむために、そのような調査を市町村と連携して行ってはいかがでしょうか、所見を伺います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) ニーズ把握の一つといたしまして、まず、県の就職マッチングサイト、シゴトバクラシバいわての登録に当たりまして、岩手とのかかわりやU・Iターンを考える動機、また、希望職種などを入力していただいているところです。
 8月に実施いたしましたいわておかえりサマーキャンペーンの期間に、新たに157人の方に登録いただいておりますが、その結果を見ますと、U・Iターンを考える動機として、岩手出身であるが62人となっている一方で、祖父母や親戚が岩手に住んでいるが34人、岩手県内の学校に通っていたことがあるが32人であったことなどから、いわゆる関係人口を移住に結びつけていくことが重要であると受けとめているところでございます。
 また、これとは別に、盛岡広域振興局において、八幡平市、葛巻町、岩手町と連携したニーズ調査も行っております。
 U・Iターンの推進に当たりましては、先日も首都圏において、9月30日に移住フェアを県と33全市町村が一緒に開催するなど、日ごろから連携して取り組んでいるところでございますが、これを一層連携していくということで、成人式や二十歳を祝う会等の機会におけるニーズ把握につきましても、市町村が実施した結果の共有を図るなど、一層の連携強化を図っていきたいと考えております。
〇19番(高橋穏至君) 北上市ではやっていなかったということで、ぜひ、調査は全県的に各市町村と連携してやっていただきたいと思います。北上市に伺ったときも、転入者に対するアンケートは県の依頼でやっているという回答もいただいておりますが、特に学生時代、何がきっかけで職業選択をしているかとか、一旦就職する前にどういう活動をしたらいいかという動向を調査するために、ぜひ進めていただければと思います。
 知事演述では、岩手で学び、岩手で暮らすこと、県外で学び、岩手で暮らすこと、県外で身につけた力を岩手で発揮すること、県外で暮らし、岩手とつながること、県外出身でも岩手で暮らすこと、多様なライフステージに応じた支援を強化していきますと述べております。
 若者、女性の社会減対策が重要になると考えますが、どのような支援をして県内定着に結びつけようとしているのかお伺いします。
〇政策企画部長(小野博君) 若者、女性の県内定着に向けた支援策についてでありますが、本県の人口の社会減は、10代後半から20代前半の就職期に当たる若年層の転出が大きな要因となっておりますので、若者、特に女性の県内定着を図ることが重要と考えております。
 このため、先般開催いたしました人口問題対策本部会議におきまして、女性が活躍できる多様な雇用の場の創出や、若年層を初めとした所得のさらなる向上などの今後の施策の方向性を確認したところでございます。
 現在、県といたしましては、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方改革や労働環境の改善、賃金水準の向上など、若者、女性に魅力ある職場環境づくりや、女性の活躍推進に向けて積極的に取り組む企業等のいわて女性活躍企業等としての認定など、若者、女性の県内定着促進に取り組んでおります。
 来年度以降の取り組みに向けましては、こうしたこれまでの取り組みを一層強化、拡充するとともに、デジタル技術などを活用した柔軟で多様な働き方の普及、それから、性別や年齢に基づくアンコンシャスバイアスの解消、若者や女性が生き生きと活躍できる環境づくりなどの観点を重視しながら、効果的な事業の検討を進めていくこととしております。
〇19番(高橋穏至君) 取り組むべき方向、施策はいろいろな分野がございます。その分野の何点かについてお伺いしたいと思います。
 たっそ拓也マニフェストプラス39では、若者女性活躍支援で県民誰もが活躍できる環境づくりの中で、若者同士の交流の場である「若者カフェ」を県央のほか県南・沿岸・県北にも設置しとありますが、これも県内定着の取り組みでしょうか、県央の実績と効果はどうなっているのかお伺いします。
〇環境生活部長(福田直君) いわて若者カフェは、若者同士やカフェマスターとの交流などを行うため、平成29年9月から岩手県公会堂の一部に設置しているもので、若者が実現したいことについて、カフェマスターを初めとする大人が寄ってたかって支援するような姿を目指しております。
 これまでの実績としては、例えば、自己資金の乏しい若者が、カフェマスターの助言のもとでクラウドファンディングを行い、空き店舗を改修して飲食店をオープンさせた事例があるほか、若者のアイデアを実現するための補助金も用意しており、県産原料100%のクラフトビールづくりの立ち上げを支援するといったことも行っております。
 また、今年度は、盛岡市の移住、定住促進拠点との連携に着手しているほか、いわてスタートアップ推進プラットフォームと連携したイベントも予定するなど、若者が実現したいことを支援する体制をさらに整えてまいります。
 そのほか、現在の若者は、これまでの世代とは異なる価値観を持つとも言われておりまして、そのような若者に選ばれる地域社会とはどのようなものか、来月開催するいわてネクストジェネレーションフォーラムのテーマに据えて議論を行ってまいります。
〇19番(高橋穏至君) そこで交流によってまちづくりが始まる拠点のようなイメージを持ったのですけれども、これに関係しては、次の項目でも関係するところがありますので、またそこで触れたいと思います。
 岩手で暮らすには、若者が岩手県で働く場があるということです。岩手で働きたいと思うには、魅力ある職場が岩手県にあるか、または、みずから起業する環境が整っているかにあります。そして、魅力ある企業の条件は、自分に合った職業、職種があるかということに加え、労働条件、特に収入が得られるかが問われます。
 冒頭の岩手県政の軌跡の中で、県民所得は全国の中で下位安定であることを指摘しましたが、ことしの最低賃金は全国最下位であります。たっそ拓也マニフェストプラス39では、中小企業の振興について、県内中小企業の持続的な発展に向け、採用や賃上げ、働き方の改革、生産性向上に向けた設備の整備などに係る国の助成事業への上乗せ補助を行うなど、企業が行う人材の確保・定着や設備整備などの取組への支援を拡充しますとありますが、国のメニューへの上乗せだけでしょうか。県独自の取り組みはないかお伺いします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 中小企業者が賃上げや人材確保などの直面する課題を乗り越えて持続的に発展していくためには、生産性向上や若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の構築を図っていくことが重要であるとの考え方のもと、県においても、関係機関と連携し、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、今年度、生産性向上や賃上げに取り組む中小企業者の新たな設備投資や人材育成などに要する経費を支援する中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助や、柔軟で多様な働き方改革の普及を図り、若者や女性に魅力ある雇用、労働環境の整備に向けた中小企業者の取り組みを支援する魅力ある職場づくり推進事業費補助を県独自の事業として実施しているところでございます。
 今後におきましても、中小企業者の経営課題を的確に捉えつつ、国の交付金の動きなどを見据えながら、適時適切に必要な施策を検討してまいります。
〇19番(高橋穏至君) 若者、女性が岩手県に希望する企業がない場合に、みずから起業し、岩手に暮らすことが考えられます。
 昨年12月23日、岩手県立産業技術短期大学校矢巾校での県民と県議会との意見交換会に参加しました。産業技術短期大学校からは、五つの学科の2年生と産業技術専攻科から合わせて6名の参加をいただき、次世代のものづくり産業を担う若者の地元定着についてをテーマに意見交換いたしました。
 既に全員の就職先が内定しており、就職先選びのポイントや、将来どんな活躍をしたいかなど、多くの貴重な意見を伺うことができました。県外への就職の方もいましたが、自分のビジョンをしっかり持っていて、自分の技術を生かせる企業が県内にないので、関東地方に就職するが、何年か後には地元に戻って起業し、後輩の受け皿になりたいという頼もしい学生もおり、感銘を受けました。
 今定例会での知事演述では、今年度設立したいわてスタートアップ推進プラットフォーム等により、若者の起業、スタートアップ支援の取り組みを強化し、本県を舞台に、若者や女性が、さまざまなビジネスや社会活動の分野で、それぞれの思いやアイデアを形に変えていく環境を構築しますと述べております。
 いわてスタートアップ推進プラットフォームの中で取り上げられている事業として、いわてイノベーションスクールの令和5年度の取り組みは、起業を目指す大学生等に対する起業に必要な知識等を習得させる実務教育の実施です。受講者数は47名―岩手大学、岩手県立大学、盛岡大学―となっていますが、県外に学ぶ学生への働きかけ、仕掛けが必要ではないかと考えますが、所見をお伺いします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) コロナ禍におけるデジタル化の急速な進展によりまして、地方を舞台にした新しい挑戦の機会が生み出されており、こうした中、起業、スタートアップ支援の取り組みの強化を図りまして、広い岩手県をフィールドに自分の夢を実現できるような環境を整えまして、U・Iターンや移住の推進にも結びつけていく必要があると考えております。
 具体的には、地方創生起業支援事業費補助や無利子、無保証の若者・女性創業支援金など、起業希望者に対する支援を展開しており、これらの支援策は県外の方が県内で起業する場合も活用できることから、首都圏に設置している岩手県U・Iターンセンターやいわて暮らしサポートセンターにおいて、積極的に情報提供を図っております。
 また、本県の起業支援拠点の一つであります岩手イノベーションベースでは、首都圏で活躍する本県出身の起業家が、本県にゆかりのある県内外の学生のメンターとして交流を図るなど、本県での起業に向けた機運醸成に向けた取り組みも行われております。
 さらに、県内の起業支援策を効果的に情報発信するためのポータルサイトを今月開設予定としているほか、先ほど答弁した、9月30日も行っており、また今後、行います首都圏での移住フェア等において、本県の起業支援に関する情報を積極的に発信することなどにより、県外の方の本県での起業の拡大に取り組んでいきたいと考えております。
   
〇議長(工藤大輔君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇19番(高橋穏至君) 情報発信をしっかりとして、県外にいる方へと届くようにぜひお願いしたい。非常に頼もしい学生がたくさんおりますので、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、持続可能で希望ある医療体制の部分に入ります。
 たっそ拓也マニフェストプラス39では、持続可能で希望ある医療提供体制を構築するため、周産期医療やがん・脳血管疾患など重要な疾病対策をはじめ、全県的な医療提供体制と県立病院の体制等の一層の充実を図りますとあり、知事演述では、持続可能で希望ある医療体制の構築に向け、周産期医療やがん、脳血管疾患などについて、全県的な医療提供体制と県立病院の体制等の一層の充実を図ります。また、国が責任を持って地域医療を守ること等を定めた地域医療基本法の制定を働きかけます。あわせて、12の医師少数県で構成する地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の会長として、実効性のある医師不足、医師偏在対策の実現を目指しますと述べております。
 医師の働き方改革が進む中で、医師の確保をどのように進めるのか。冒頭の岩手県政の軌跡の中で、医師数の増加は全国平均の10分の1であります。国への働きかけは必要ですが、県としてのさらなる取り組みが必要ではないでしょうか。所見を伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 県では、奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘などの取り組みを進めておりまして、県内への養成医師の配置は、平成28年度の16名から令和5年度には151名に増加し、また、奨学金の貸付者数は、本年4月までに741名に達することから、今後も着実な増加が見込まれるところでございます。
 一方で、人口10万人当たりの医師数は全国平均と本県との格差は拡大しておりますが、その背景には、国による臨床研修制度や専門医研修制度によりまして、医師数の増加が首都圏などの3大都市圏に集中する傾向が強まっておりまして、医師不足、地域偏在の根本的な解消には国レベルでの取り組みが必要であるとの考えから、地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会の活動などによりまして、国に対して地方から具体的な提言を行っているところでございます。
 現在、県では、次期岩手県医師確保計画の策定を進めており、これまでの奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘などに加えまして、臨床研修や専門医研修の指導体制の充実などによる養成医師の県内定着を促進する取り組みについて検討を行っており、引き続き、医師の育成確保と偏在解消に努めてまいります。
〇19番(高橋穏至君) ハイボリュームセンターはきのうもきょうも取り上げられておりますが、たっそ拓也マニフェストプラス39では、県立病院の計画的な更新と併せて、症例数や手術数が多い病院(ハイボリュームセンター)の整備を進めますとあります。
 このハイボリュームセンターの必要性は、昨年9月に報告された持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書に、基幹病院の統合による症例数や手術数の多い病院―ハイボリュームセンター整備の必要性として取り上げられた項目です。
 この提言を受け、私は12月定例会で、本県の二次保健医療圏のあり方について、検討スケジュール、見直し後の二次保健医療圏の人口規模など、見直しの考え方を質問しました。
 当局からは、二次保健医療圏のあり方について、令和6年度からの6年間を計画期間とする次期岩手県保健医療計画の策定に向け、今年度から関係する協議会などで議論を始めているところと答弁をいただいております。
 ハイボリュームセンターの整備は、二次保健医療圏を広域化して、専門人材や高度医療機器の重点化を図っていくことであり、既存の県立病院の統合等も必要と考えますが、今知事のマニフェストに記載があることから、今期4年間の任期でハイボリュームセンターの整備を実現するということなのか、次期岩手県保健医療計画への記載の方向性とともに改めて伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 私から、次期岩手県保健医療計画への記載の方向性について御答弁させていただきます。
 人口減少に伴う患者数の減少、医療の高度、専門化などの環境の変化を踏まえまして、地域において身近な医療を受けられる体制を確保するとともに、がんや脳卒中、心血管疾患などについては、二次保健医療圏とは別に、広域的な疾病、事業別の医療圏の設定を検討しているところです。
 検討に当たりましては、専門人材や高度医療機器の配置の重点化などにより、県民に提供する高度、専門的な医療のさらなる質の向上とともに、今後も持続的に提供していくため、症例数や手術数の確保による専門教育機能が充実した研修体制の整備を図り、医師確保、定着につなげていく観点からも検討を進めていく考えであります。
 引き続き、県民や地域の医療関係者の意見を伺いながら、急性期医療から在宅医療に至るまで、切れ目のない持続可能な医療体制の構築を進めてまいります。
〇医療局長(小原重幸君) ハイボリュームセンターの整備についてでありますが、人口減少や医療の高度、専門化等、医療を取り巻く環境の変化の中で、身近な医療を地域で受けられる体制を確保しつつ、限られた医療資源を効率的に活用していくことが必要であると考えております。
 いわゆるハイボリュームセンターの整備につきましては、県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくため、まずは、中核となる病院に疾病・事業別医療圏の設定等に対応して一定の機能集約を図り、症例数や手術数を確保していくことについて検討を進めていきます。
 こうした取り組みを進めながら、将来のさらなる施設整備につきまして検討してまいります。
〇19番(高橋穏至君) きのうからこの議論がされておりまして、私の認識では、ハイボリュームセンターは、さまざまな専門的な部分を取り扱うところを集中してどこかにつくるのかとイメージしていたのですが、そうではなくて、例えば圏域ごとに、この圏域では脳疾患、この圏域では周産期と分散するというイメージなのでしょうか、お伺いします。
〇医療局長(小原重幸君) 先ほども答弁させていただいたとおりでございますけれども、県内で高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくということで、まずは、中核となる病院に次期岩手県保健医療計画で検討が進められております疾病・事業別医療圏の設定等に対応して一定の機能集約を図り、症例数や手術数を確保していくことについて検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 その上で、将来のさらなる施設整備につきましては、こうした取り組みを進めながら、施設更新のタイミング等も見計らいつつ、総合的に検討する必要があると考えているところでございます。
〇19番(高橋穏至君) ハイボリュームセンターを整備して、医療圏ごとに設定してというのはよく意味がわからないのですが、これはまた後の議論にしたいと思います。
 次に、地域医療情報連携ネットワークについて、これまで何度も取り上げてきましたが、医療資源が限られる中で、広い県土を持つ岩手県にとってなくてはならない仕組みであります。昨年の一般質問でも、DXの推進と地域医療情報連携ネットワークの推進についてとして質問しましたが、国が構築を進めている全国医療情報プラットフォームの動向も踏まえながら、今後とも地域における協議の場に参画し、先行事例の紹介といった技術的助言や導入経費の補助といった財政的支援により、地域の主体的な取り組みを支援してまいるという答弁でしたが、改めて検討状況を伺います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 本県では、住みなれた地域での医療、介護の支援が円滑に受けられるよう、二次医療圏域におきまして、医療機関と介護施設等を連携する地域医療情報ネットワークシステムの構築を推進しており、これまでに5圏域においてシステムが整備されたところであります。
 こうした中、本年6月に国から医療DXの推進に関する工程表が初めて示されたところであり、この工程表によりますと、医療、介護等の情報連携基盤である全国医療情報プラットフォームについて、令和8年度から全国的に運用を開始することとされ、現在、国において実証事業等を実施しているところであります。
 県としては、国が進めております全国医療情報プラットフォームの検討を踏まえまして、全県的な医療情報連携体制の構築について検討を進める考えであります。
〇19番(高橋穏至君) ぜひ情報をしっかり早くとっていただいて、いち早く進めていただきたいと思います。
 圏域ごとの情報連携の支障になっているのが、システムの違いで、うまくつなげるのにまたコストがかかるということのようですので、その部分は、情報を聞くだけではなくて、県としてしっかりと情報を出して、まだない地域もありますので、連携できるようにして進めていただきたいと思います。
 次に、持続可能な農業の確立について質問します。
 農業従事者が高齢化する中で、後継者の確保、若者が農業という職業につくことが重要であり、その条件整備が重要です。その条件の一つに、作業環境となる圃場整備を進める必要があります。
 たっそ拓也マニフェストプラス39では、持続可能な農業の確立に関して、農業生産基盤の着実な整備を進めますとあり、このたびの知事演述では、食料安全保障の重要性が高まる中、我が国の食料供給基地としての役割を果たしていくため、海外依存度の高い麦、大豆等の生産拡大や農業生産基盤の着実な整備等を進めますと述べております。
 私は、圃場整備事業の推進について、昨年の決算特別委員会総括質疑と続く12月定例会の一般質問で、令和4年9月に岩手県農林水産部の資料では、岩手県の水田整備率は53%で全国平均の67%を大きく下回り、東北地方では最下位となっている現状について取り上げましたが、当局からは、年300ヘクタールの水田整備を目標としており、5年前に比べ県の予算を倍の約100億円とし、予算の重点化を図るとともに、国へ予算の確保をお願いしながら、地域の希望に応えられるよう取り組んでいくとの答弁でした。しかし、年間300ヘクタールの整備率では全国平均まで44年かかる計算です。
 現在、県内で、圃場整備事業の採択に向けて計画策定を進めている地区は27地区、2、555ヘクタールという情報をいただいておりますが、私の住む地区でも地域の話し合いが進められており、約360ヘクタールの規模ですが、この面積は含まれておりません。
 そして、この計画を進めるに当たり、一度には工事ができないので、3期に分ける可能性があるとの話があると聞いております。3年の工事ならともかく、3期となると、事業完成まで10年から15年かかる。世話人を初め、農業者はもう引退し、もしくはもう生きていないという声でした。基盤整備が整う前に担い手がいなくなってしまいます。事業のペースを拡大すべきと考えますが、所見をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 本県農業が地域経済を支える基幹産業として持続的に発展していくためには、地域農業の核となる担い手の確保、育成とともに、生産性、収益性の高い農業の実現に資する生産基盤の整備などを着実に進めていくことが重要であります。
 農業従事者の減少、高齢化が進行する中、地域からは、農作業の省力化や効率化など、担い手がスマート農業の導入等による生産性の高い農業に取り組むことが可能となるよう、圃場整備事業への要望が多く寄せられています。
 このため県では、今年度は5年前に比べ約2倍となる約70地区で圃場整備を実施するとともに、約30地区で圃場整備の事業化に向けた調査を実施するほか、約40地区で事業の前提となる地域の合意形成を進めているところであります。
 圃場整備事業に当たりましては、地域の合意形成に要する期間のほか、事業化に向けた調査に平均で4年、事業採択から完了までに平均で10年を要していますことから、事業の見通しなどを地域に丁寧に説明し、生産者の皆さんの不安を払拭するよう努めるとともに、市町村と連携し、地域の話し合いに参画しながら、将来の作付作物や担い手を明確化するなど、地域の思いをしっかり反映した営農計画が作成されるよう支援しているところであります。
 さらに、国の補正予算を積極的に活用し、農業農村整備事業のうち、圃場整備事業に予算を重点化するほか、資材価格の高騰等により事業費が増嵩する中、建設コストの縮減を図りながら、生産基盤の整備や事業実施地区の拡大に努めているところであり、今後とも、国に対し十分な予算措置を繰り返し求めていくとともに、地域のニーズに応じた基盤整備が早期に進むよう取り組んでまいります。
〇19番(高橋穏至君) 実はそういう時間がかかる作業を地域でやっているわけでして、その待っている面積が多いということ、事業着手までに県で用意できる予算、これは予算特別委員会のときにも聞きましたが、年間300ヘクタール分の予算は、要は、圃場整備事業は国が半分持って、そして県と市町村と受益者で持つという仕組みになっているのですが、まず国のほうが最初に割り振るわけではなくて、県がこれくらいやりたいという申請から入っていくわけですね。その段階でもう予算が絞られている。だから、私の住んでいる地域では、360ヘクタール、これは1回には無理だから3期に分けてという話もされている。3期に分けるということは、もう世話人の方は70歳を過ぎていますので、俺はもう生きていないよという話になるわけです。
 結局、県で枠をしっかり確保して、国の予算確保はその次になりますので、確かに財政出動はありますので大変でしょうが、それをやっていかないと地域の農業を後継者に渡せないという状況になっていると思うのですが、担当部長でもいいですので答弁をお願いします。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 圃場事業の事業費の予算の確保、そして、事業面積の拡大ということでございますけれども、これにつきしては、やはり本県は中山間地域が非常に多いということもございまして、1年間に実施できる工事の数量が一定程度限られるところもあります。また、国の公共予算の配分が、こちらから希望を上げるところもありますし、また、公共事業の伸び率によって配分されるところもありますので、私も2カ月に1遍程度、国に予算確保をお願いしながら枠拡大に努めているところでございます。
 また、1地区の面積が大きくなることによって、やはり工期が長くなるという傾向もあるので、そういったところについては、分割することによって採択地区数をふやすというテクニカルなことをして、全体的に地区の工期を短くすることもできるので、そういったことで3期に分けるという提案をさせていただいたということも聞いております。
 そういったさまざまな予算の重点化あるいは地区数の拡大、国の予算確保、さらに、事業費が高くなる中での建設コストの縮減など、あらゆることに取り組みながら、皆さんの期待に応えられるような圃場整備事業のスピードアップに取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇19番(高橋穏至君) 済みません、私は聞く部署を間違えました。これから予算の配分に入ります。やはり県の中でどういう位置づけにするかということで、農林水産部はしっかり頑張ろうということですが、農業農村整備の部分をどれくらいの重きにするかという全体のバランスの中でということだと思いますので、ぜひ、そこは将来の農業のために頑張っていただきたいと思います。
 次に、観光振興について伺います。
 たっそ拓也マニフェストプラス39では、ニューヨークタイムズ紙で世界的に注目された盛岡を起点とし、県北・沿岸など県内全域に周遊を促す観光・交流人口拡大策を展開します。また、インバウンドや富裕層も視野に入れた誘客拡大に向け、県、市町村、地域DMO等が一体となった広域的な観光推進体制を整備しますとあります。
 昨年、私は、港湾、三陸鉄道と連携した観光振興の推進について一般質問で取り上げ、三陸ジオパークは重要な観光資源であり、教育活動や交流人口拡大だけでなく、観光サイドからも三陸DMOセンターとの連携や、港湾、三陸鉄道と連携し、観光コンテンツとしても観光振興に活用すべきではないかと質問しました。
 当局からは、今年度、三陸DMOセンターを沿岸地域へ移転するとともに、三陸ジオパーク推進協議会と連携協定を締結し、観光コンテンツの開発やフォーラム開催などを行っている。また、三陸鉄道では、震災学習や教育旅行など、観光振興に向けた取り組みを進めている。さらに、港湾は、水族館や遊覧船の発着場、飲食店などが立地しており、これらの観光資源としてのさらなる活用を図っていくとの答弁でした。
 一方、知事演述では、三陸復興国立公園、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパークなどの地域の魅力を生かした観光振興の促進に取り組みます。東日本大震災津波からの復旧、復興の視点と、三つの世界遺産や二つの国立公園等の地域資源を生かした県内全域の周遊など、より広域的な観光の振興を進め、交流人口を拡大しますと述べておりますが、岩手県にとって観光振興は全県的に取り組むべき成長産業となる可能性があります。
 しかし、その多岐にわたる資源を生かして取り組みを推進するには、広範な調整力と強力なリーダーシップが必要であります。県、市町村、地域DMO等が一体となってとありますが、とりわけ県の役割が重要と考えますが、県ではその体制づくりをどのように進めていくのか伺います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 県では、市町村、関係団体、事業者等を構成員とするいわて観光キャンペーン推進協議会を設置して、各種キャンペーンなどを通じて国内外からの誘客拡大を図り、内陸地域から沿岸、県北地域など、県内全域への周遊促進、各地域の受け入れ態勢の整備を進めているところです。
 こうした取り組みをさらに発展させていくためには、各地域のDMOの活動を活性化させ、地域が主体となって、それぞれの地域に新たな観光需要を創出していくことが重要であると考えております。
 こうした考え方のもと、昨年度から公益財団法人岩手県観光協会に観光地域づくり支援チームを設置いたしまして、専門人材を配置した上で、DMOの登録に必要となる計画の策定支援や、既に登録された法人に対するフォローアップ支援などを行っているところでございます。
 また、コロナ禍を契機とした旅行スタイルの変化やデジタル技術の急速な進展に的確に対応していく必要がありますことから、県では、観光データを多角的に分析するための、いわて観光データ・マネジメント・プラットフォームを構築し、運用を開始しているところでございます。
 今後、県として、こうした取り組みを効果的に連動させ、オール岩手による魅力ある観光地域づくりに取り組んでまいります。
〇19番(高橋穏至君) 先ほどもこのやりとりの中で同じ答弁をいただいたところですが、岩手県観光協会につくるそのチーム、各地域のDMOを支援しながら育てるというのはもちろん大事ですけれども、やはり岩手県として観光商品のパッケージ化、それは一つ一つやるよりも、大きな岩手県としてのメニューをつくって、大きく海外へ発信することが必要ではないか。そのためには、やはり一つ大きな企画をつくるブレーンが欲しくなってくるわけで、それを岩手県観光協会がやるのかと思って今話を聞いていたのですが、支援だけですので、実際に観光を企画し、売り込むプロジェクトチームが欲しいのではないか。そこがリーダーシップをとりながら、それぞれのDMOと役割分担をしてやるというのが、圏域全体の売り込みには必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 失礼いたしました。説明が足りなかった部分があると思います。
 各地域ごとにそういうDMOを核とした観光地域づくりを進めまして、その各地域の観光資源を結びつけて広域的に回るようなルート構築をするのが県の役割になってまいりますので、そこはしっかりと県がリーダーシップを持ってやっていきたいと思います。特に、インバウンドになりますと、県を越えて東北地方全域で取り組んでいかなければいけない部分も出てきますので、そういうものも県が主体的になって連携を図りながら、しっかりと取り組んでいくようにしてまいります。
〇19番(高橋穏至君) ぜひコーディネートするリーダーシップをしっかりととっていただきたいと思います。
 次に、学力向上についてお聞きします。
 たっそ拓也マニフェストプラス39では、岩手の子どもたちがそれぞれの人間形成と自己実現に向け、知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」を身につけていく学校教育の充実をめざします。児童生徒の確かな学力と一人ひとりの資質・能力の育成のため、学校におけるICT機器の効果的な活用を推進しますとあります。
 冒頭に質問した岩手県政の軌跡で取り上げた学力に関して、大学進学率、そして全国共通テストの結果などを述べました。
 北上市は、キオクシア岩手株式会社などの誘致企業による工業集積が進み、トヨタ自動車東日本株式会社が立地する金ケ崎町にも隣接し、転入者数が多いため、人口の社会減にはなっていないものの、少子化は県内同様に進んでいます。
 その原因の一つに、北上市に転勤してくるにしても、家族そろって北上市に移住してこないのではないかということが考えられます。北上市の担当者にお話を伺ったところ、市では、転入時の世帯構成、人員について統計をとっていないが、人口の減少に対する世帯数の増加という事実から単身世帯が多いとイメージしているとのお話でした。岩手県で子供を育てることに対して、岩手県の学力の低さが家族そろっての移住の妨げになっている一因ではないかとも考えられます。
 教育長は、この岩手県の学力の現状をどのように捉えているのでしょうか。また、学力に関する目標をどう立てているのでしょうか、伺います。
〇教育長(佐藤一男君) 学力の向上についてでありますが、本県では、子供たちが学びにより将来に向かって可能性を伸ばし、自分の夢を実現できるよう、学校、家庭、地域が連携しながら、確かな学力、豊かな心、健やかな体を総合的に育むことを目指した取り組みを進めております。
 生徒が自己のあり方、生き方を考え、主体的に進路を選択し、進学や就職などの希望を実現できるようにすることが重要であり、いわて県民計画(2019〜2028)に、社会で活躍するために必要な資質・能力の育成や生徒の進路実現の推進を位置づけて、義務教育と高校の円滑な接続、多様な大学入試制度に対応した進学支援の充実、産業界等との連携による専門的知識、技術等の習得などに取り組んでおります。
 一方で、令和5年度全国学力・学習状況調査の結果では、中学校の英語や数学で全国の平均正答率を下回るなど、教師の指導の改善、充実や児童生徒の学習状況の改善等が必要と考えております。このため、現在、今回の調査結果の原因分析や、これまでの施策や指導のあり方などについて点検を進めているところであります。
 児童生徒の確かな学力の育成のためには、まず、基礎的、基本的な内容の確実な定着が必要であり、そのための効果的な指導法や教員研修のあり方、家庭学習の充実に向けた方策などについて、市町村教育委員会等と連携しながら、検討、対応してまいります。
 今後も、社会で活躍するために必要な資質、能力の育成や、進学、就職など生徒の希望する進路を実現するために、確かな学力の育成に取り組んでまいります。
〇19番(高橋穏至君) やはり、しっかりと足元の学力はつけて、その上で多様な生き方の経験をさせる、そして、岩手県の魅力を伝えるというのが大事かと思います。
 次の地域教育力に関係する部分ですが、大学進学率が上がることはよいのですが、一方で、県内の人口は流出しやすくなるとも考えられます。県外で学んだ後、岩手県で働くには、さきに質問した岩手県の働く場、環境が大事ですが、それと同時に、県外進学以前に地域に関する知識を学ぶこと、地域教育が重要であると考えております。
 若者の県内定着やU・Iターンの取り組みは、いわてで働こう推進協議会の中で取り組んでいることは承知しておりますが、その構成は、大学や専修学校、高等学校等であり、小中学校段階の関係は入っておりません。小中学校の義務教育課程は市町村の担当であり、身近な地域のよさ、地域の資源を学ぶためには、より身近な市町村との連携が欠かせません。
 地域の資源、魅力を十分に理解し、ふるさとに対しての誇りを持つことが重要と考えますが、地域教育、ふるさと教育の取り組みを県教育委員会ではどのように考えているか伺います。
〇教育長(佐藤一男君) 小中学校段階での地域教育の取り組みについてでありますが、岩手県教育振興計画では、郷土に誇りと愛着を持つ心を育み、岩手で、世界で活躍する人材を育成することを掲げており、各学校において、社会科、総合的な学習の時間を中心に、地域資源を積極的に活用し、創意工夫しながら地域にかかわる学習に取り組んでおります。
 例えば小学校社会科では、各市町村で作成している社会科副読本を活用して、身近な地域の地理的環境や歴史などを学びながら、地域社会に対する誇りや愛着を育んでおります。
 また、総合的な学習の時間では、いわての復興教育とかかわらせながら、地域の産業や伝統文化等にかかわる探求課題を設定し、地域課題の解決に向けてみずから考え、実際に活動するなど、地域の特色に応じた学習が展開されているところであります。
 県教育委員会としましては、地域にかかわる学習は社会を創造する人づくりにつながる重要なものであると捉えており、引き続き、市町村教育委員会と連携しながら、各学校の取り組みを支援してまいります。
〇19番(高橋穏至君) 地域の誇りをしっかりと育てることが、やはり東京一極集中、便利さと快適さだけ求める子供ではなく、しっかりとした自分の価値観を持てるような子供を育てるという意味で非常に大事だと思います。
 次に、若者の定着は県内市町村にとっても重要な課題であります。例えば、北上市では、郷土芸能の伝承や景観学習、先ほどもありました郷土に誇りを持てる取り組みとして、学校と連携しながら、高校生を対象とした未来塾や世界塾、多岐にわたる事業が、学校の協力のもとで、地域の団体やNPOなどとの連携で実施されております。
 そこで、広域振興局には地域経営推進費がありますが、地域に若者が定着する、または地域外から呼び込むための事業などについて、全市町村が取り組めるよう、広域振興局単位に、これまでの地域経営推進費を拡充するなどして取り組みを強化してはいかがでしょうか。
 また、県内全域にその取り組みの効果を波及させるため、その実績、成果を県内で共有してはいかがでしょうか。所見を伺います。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 若者の県内定着やU・Iターンの取り組みなどの人口減少対策については、広域振興局と市町村が連携を密にし、地域の特性を踏まえながら取り組んでいくことが重要だと考えております。
 広域振興局では、市町村要望や市町村との意見交換などにより地域の課題やニーズの把握に努めながら、地域経営推進費や広域振興事業を活用して、地域の課題の解決や市町村の取り組みの支援を行っております。
 今年度は、市町村が行う郷土芸能の後継者育成事業への支援のほか、若者の県内定着などの取り組みとして、高校生等を対象とした企業見学会、職業体験や管内市町村と連携した移住相談会の開催などを実施しているところでございます。
 また、各広域振興局においては、市町村と連携して人口減少対策を進めるためのワーキンググループによる検討を実施し、それぞれの特性を生かした人口減少対策に取り組み始めているところでございます。
 引き続き、地域の課題やニーズを踏まえた事業を実施していくとともに、実績や成果については、県・市町村地方創生推進連絡会議などを活用いたしまして、共有を図ってまいりたいと考えております。
〇19番(高橋穏至君) この質問を考えるときに、どこが担当課になるのかということでいろいろ苦労したのですが、要は、県内全域で同じくらいの枠を使って、人口減少、小中学生を初めとした若年層に働きかけるような取り組みを県内一律に予算化できないかという構想が最初にありました。ところが、そうなるといろいろな事業があり、どこが担当課になるかなかなか難しいと思います。
 例えば、県内全市町村と連携をとれる広域振興局を単位として、町村も大きい市も同じくらい人口減少対策に一定額を使えます、小さい町ほど濃く使えます。大きいところはもともと自主的な、北上市もいろいろな取り組みをしていますけれども、いずれ県内全域で取り組む、そして、県内一つ一つの積み重ねが県全域の人口減少対策になるというような仕掛けをしていきたいという思いで今質問しております。
 そういった枠を拡大する。要は、広域振興局の今ある枠では単独の事業一つ一つを選ばざるを得ない。そうすると漏れる市町村もある。そうではなくて、県内全市町村が、同じ目標に向かって取り組むための財源をそこに確保できないかということで今回取り上げました。
 これから来年度予算の査定に入ると思います。そういった働きを広域振興局を通して市町村にする。そうすることによって、逆に、必ず全市町村が実施するので、広域振興局の少子化対策の担当が、市町村の担当とノウハウを共有しながら、小さい村で担当者を置けない場合は、NPOを使ってもいいです。地域のまちづくり団体を使ってもいいです。そうして、まちを活性化しながら人を残していく働きかけをしたらどうかということで伺っているんですが、所感がございましたらお願いします。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 地域経営推進費は、令和5年度の当初予算でいきますと、県事業が1億6、000万円、市町村事業が2億7、000万円、それから、広域連携事業といたしまして2、000万円と、県全体で合計4億5、000万円という予算規模で、それぞれ、県事業は、地域経営のために必要な、細かい部分にも局長裁量で手当てできる事業、市町村分につきましては、市町村のほうで地域づくり、人口減少対策も含めまして、市町村で事業を考えて、それに対して補助できる制度という形で運用しているものでございます。
 先ほども申し上げましたとおり、それぞれの市町村から御提案いただきました事業を採択して、県内の定着、いわゆる首都圏、外からの移住、定住に資するような事業もやっているところでございます。
 そして、今は、広域振興局で各市町村とワーキングを開催いたしまして、来年度の方向性等について協議しているところでございます。引き続き、各広域振興局が、機動的に地域の特色ある事業を展開できるように、必要な予算を確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
〇19番(高橋穏至君) 冒頭に、人口減少対策で市町村、特に小さい町村との連携ということが出てきました。いずれ、そういった人口減少のための予算の枠がしっかりとあるのだということをPRして、やはり県内全域で取り組まないと、県全体の人口減少対策にはならない。要は、成果がなかなか上がってこないと思いますので、ぜひそういった枠組みでやってほしいと思います。今まで実施している事業はそうですけれども、人口減少に特化した取り組みも必要ではないかということで御提言いたしたところです。
 最後に、工業団地とインターチェンジを結ぶ道路関係についてもたくさん質問が出ております。
 たっそ拓也マニフェストプラス39では、沿岸と内陸を結び、安全・安心を支え産業の基盤となる道路ネットワークの整備で、災害に強く、物流の基盤となる道路ネットワークを岩手県全域に網羅していくため、北・北道路(久慈内陸道路)、国道343号線(新笹ノ田トンネル)、国道107号線・国道340号線(大船渡市〜遠野市)におけるトンネル整備や道路改良など、沿岸と内陸が一体となった産業振興の基盤となり、高規格道路を補完する緊急輸送道路としての役割を担う路線の整備に取り組みますとあります。
 これまで、港湾のさらなる利用促進や産業振興の観点から、北上川バレープロジェクトの中心となる北上南部工業団地、岩手中部工業団地、江刺中核工業団地から、江刺田瀬インターチェンジまでの区間を北上金ケ崎パシフィックルートとして提案してきましたが、この区間も整備を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
〇県土整備部長(加藤智博君) 工業団地とインターチェンジを結ぶ道路整備についてでありますが、県南地区の工業団地から江刺田瀬インターチェンジへのアクセスについては、国道4号から国道456号などを経由するルートにおいて、いずれも2車線が確保されているものの、地元市町から、幅員が狭い区間などに対し拡幅などの要望をいただいているところであります。
 県といたしましては、港湾のさらなる利用促進や産業振興のためには、インターチェンジへのアクセス向上が重要であると認識しております。釜石自動車道全線開通後の物流の変化や周辺の開発動向、要望区間の交通状況などを見きわめつつ、現在、北上金ケ崎パシフィックルート整備促進期成同盟会が実施しているルートの需要調査の結果も注視し、引き続き、地元市町とも情報交換しながら、江刺田瀬インターチェンジから北上、金ケ崎地区へのアクセスのあり方について検討してまいります。
〇19番(高橋穏至君) 引き続き、しっかりと、かつ提言していきたいと思います。
 これまで知事公約を中心に今回の知事演述とともに取り上げてまいりましたが、今期第5期目に入るに当たり、知事は、いわて県民計画の着実な実現に向けて決意を新たに立候補し、そして再選されたということで、いわゆる、いわて県民計画(2019〜2028)の着実な遂行が公約そのものではないかと思います。
 そのためには、これは予算特別委員会でも決算特別委員会でも私は言っているのですが、その中に書いてある目標値、数値にしっかりコミットしていくことを今までも言っていましたが、これまで以上にしっかりとそれを見ていかなければならないと思っております。
 これから決算審査がございますし、年が明ければ予算審査、目標とする達成すべき幸福関連指標にしっかりとたどり着いているのか、この事業が有効なのか、議会としてそういった中身を精査しながら、また、今回のように新たな提案等があれば、それを事業にしてはどうかというような提案をしながら、議会としてしっかりとその成果をチェックしながら活動してまいりたいと思います。
 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって高橋穏至君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時34分 散 会

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