令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(佐々木宣和君) 自由民主党の佐々木宣和です。改選後初めての一般質問の機会をいただきました同僚、先輩議員の皆様に心から感謝を申し上げ、通告に従って質問いたします。
 我々の地域の課題の第1は人口減少問題です。達増知事は、初当選された年、平成19年5月の臨時会で、県北、沿岸地域における急速な人口減少に言及されています。また、国においては、経済財政諮問会議において、平成26年1月に「選択する未来」委員会が設置され、その後、いわゆる地方創生の取り組みが始まりました。岩手県でも岩手県人口ビジョンの策定、岩手県ふるさと振興総合戦略の策定があり、今につながります。
 私自身も、人口減少にどう向き合うかが、議員として最大の課題と認識しております。人口減少が常態化している社会の中で、課題を整理し、その解決に取り組んでいくことが、地域の活力の向上につながりますし、活路を切り開いていくことになります。
 先人の血のにじむような努力により岩手県は発展してきました。その積み上げてきたものを将来へどうつなげていくのか、我に似せる者は生き、我をかたどる者は死すの教えのとおり、大切なものは守り、変えなければいけないものは変えていくことをおそれず、新たな時代の郷土建設に向けて取り組まなければなりません。
 そして、人口減少対策の性質上、その政策範囲が多岐にわたることにも注意が必要であり、岩手県として、将来に対する構想を県民に広く浸透させていくことが重要だと考えます。
 さて、5期目の達増県政がスタートしました。人口減少が進む中でも県民が活躍できる環境をつくっていかなければいけませんが、改めて、人口減少下でどういう岩手県の将来像を描いているのか、大きな政策の転換など、避けては通れない、変えていかなければいけないことにどう取り組んでいくのか、県民理解の促進も含めて伺います。
 次に、令和5年度第2回岩手県人口問題対策本部会議の資料から伺います。
 まず、社会減対策について伺います。
 広域振興圏間での転出入を見ると、沿岸地域において800人から900人の転出超過となっており、特に県央圏域への転出が多くなっています。県北圏域では、400人から500人弱程度の転出超過で、県央、県南圏域への転出が多く、そして県央は1、000人、県南は100人から300人、それぞれ転入者が転出者を上回る状況となっています。
 本部会議では、社会減対策の方向性として、沿岸、県北の取組強化、町村の取組強化が挙げられています。これまで取り組んできた県北、沿岸地域の強化について、以前の答弁では、両地域において1人当たりの市町村民所得は上昇し、県平均との乖離も縮小しているほか、有効求人倍率も上昇しているとのことでしたが、県の取り組みにもかかわらず、究極の総合指標とも言われる人口に関しては減少が続いています。
 県北・沿岸振興は、それこそ十数年前からの取り組みですが、なかなか地域がよくなった、元気になったという話は聞きません。前回も質問していますが、県北・沿岸振興が図られたとは、所得格差が是正されたことを言うのか、人口の社会減の解消か、どういった状況を指すのでしょうか。また、沿岸、県北地域の社会減対策にどう取り組んでいくのか、町村に対する取り組みも含めて具体的にお答えいただきたいと思います。
 次に、自然減についてですが、本部会議の資料によると、出生数減少率は全国ワースト1位、婚姻件数減少率はワースト3位、転出超過は4、373人でワースト11位という衝撃的な状況となっています。
 そして、分析結果として、出生数減少の最大の要因は女性の人口減、また、有配偶出生率も大きく低下、転出超過も拡大とあります。端的に言いますと、本来、女性に選ばれる県にならなければいけないと思いますが、出生数の減少の要因は女性が減ったからだとするこの資料の表現には、非常に抵抗があります。取り組みの方向性にしても、少子化対策の3本の柱である有配偶率の向上、有配偶出生率の向上、女性の社会減対策は既に取り組まれていることかと思いますが、この衝撃的な現状を受けて、これまでの政策をどう評価しているのでしょうか。
 ことし6月に、政府の次元の異なる少子化対策の実現に向けて取り組むべき政策強化の基本的方向を取りまとめた、こども未来戦略方針が決定されました。
 児童手当の拡充や保育士等の配置基準の改善、こども医療費助成にかかわる国民健康保険の国庫負担減額調整措置の廃止、産後ケアの充実、男性育休の取得推進、不妊治療に関する課題の整理、検討などが決定されたのに加えて、加速化プランの地方財源について検討していくことが盛り込まれました。
 子供子育て政策の強化に向けて、国が全国一律で行う施策と、県、市町村がその実情に応じてきめ細やかに行う事業が組み合わされることにより、量と質が充実したことになると考えます。これまで、県、市町村で取り組んできたことを踏まえて、今後、市町村とともにどう取り組んでいくのか伺います。
 次に、市町村との連携について伺います。
 小規模自治体は職員の確保、特に専門職員の確保が難しい状況になっています。知事のマニフェストプラス39には、市町村と連携した県政について、小規模自治体において専門職員が不足している分野においては、広域振興局からの業務支援による事務の共同処理や、県、市町村間における人事交流を図ります。また、市町村が必要とする専門職員を県が一括採用し、共同で人事管理するなど、各市町村が特色あるまちづくりを進められる体制づくりを進めるとともに、広域振興局を拠点とし、域内市町村と連携した一体感あるふるさと振興を推進しますと書かれています。
 何度か市町村との人事交流について質問したことがありますが、傾向とすれば、市町村から県への派遣のほうが多いことは変わっていません。もちろん、市町村とすれば、県で鍛えてもらうのは大変ありがたいことですが、一体感のあるふるさと振興を推進するために、事務の共同処理と人事交流や人材確保について具体的にどう進めていくのか、これまでの課題と今後の取り組みについて伺います。
 次に、外国人人材の活用について伺います。
 人口減少社会において、地方の労働力不足は深刻な状況となっています。先日、地元紙での首長に対してのアンケート調査においても、外国人労働者の受け入れ推進が必要とする回答が32%、どちらかと言えば必要は61%で、合計93%、また、県、市町村として受け入れ促進施策に取り組んでいるのは29%という結果でした。
 現状を確認すると、令和4年10月時点で外国人労働者は5、747人、ベトナムが最多で1、846人、次いでフィリピン、中国、インドネシア、ミャンマー。在留資格別に見ると、技能実習が2、744人で47.7%、産業別に見ると、製造業で2、771人で、全体の48.2%を占めています。
 既に多くの外国人労働者を受け入れている状況にあり、今後さらなる人口減少が避けられないことを考えると、外国人労働者の確保は力を入れるべき項目であると思います。
 また、人口減少対策の文脈で外国人労働者を議論していないことは、いささか違和感もあります。先日は、自由民主党の特別委員会が、松野官房長官に対して、選ばれる国となるために制度改正も求めたところですが、岩手県として、外国人労働者に対してどう考え、どう取り組んでいくのか伺います。
 次に、観光振興におけるデータ活用について伺います。
 繰り返し質問をしておりますが、コロナ禍で生まれた一つの流れをしっかりと生かすことが、非常に重要であると思います。
 岩手県ふるさと振興総合戦略の商工業、観光産業振興戦略やいわてまるごと交流促進戦略にもあるとおり、いわて観光DMPは、一つの期待感のある取り組みであると評価します。
 現在取り組んでいることに関して、データを継続的に集約していくことと、より多くの方に取り組みを理解してもらうことで事業の継続性を図っていかなければなりません。デジタルマーケティングデータ活用に関しての取り組みについて伺います。
 いわて観光DMPの利用の中心となるのがDMOという組織です。現在は地域DMOが各地で立ち上がってきています。ここで課題として話題になるのは、立ち上げの中心となるマーケティングに強い人材が岩手県にはなかなかいないことですが、県内外の事例を見ると、地域活性化起業人の制度を活用した好事例が多数あります。
 地元の方が気づかない外部の視点で実際のデータを客観的に見える形にしていくこと、そして、それをもとに地元で頑張っている事業者も巻き込み、刺激を受けながら、地域づくり、まちづくりを改めて考えていく機会をつくっていくことが大事であり、いわゆる地方創生の総合戦略で本来やるべき部分をもう一度しっかりと取り組む機会にもなります。
 DMOの立ち上げの重要性を市町村とどう共有するのか、現在の状況と立ち上げの支援に関して伺います。
 次に、地域医療について伺います。
 医学部入学定員の臨時定員増や奨学金による医師養成等により、本県医師数については、国の医師・歯科医師・薬剤師調査において増加となっていますが、人口10万人当たりの医療施設の従事医師数を見ると、平成18年度は、全国平均が206.3人に対し、本県は174.1人だったものが、令和2年度は、全国平均256.6人に対し、207.3人と、その差は32.2人から49.3人と格差が拡大しています。
 また、県内においては、盛岡医療圏と他の医療圏とでは格差があり、特に県北、沿岸地域の医師数が少ないなど、県内の地域偏在の問題も改善されていません。県では、奨学金養成医師の配置や医師招聘など、さまざま取り組んでいると思いますが、状況は依然として好転していないと感じます。
 そこで、医師確保に加えて、県内の地域偏在の解消に向けた今後の対策について伺います。
 広い県土を有し、医師不足や地域偏在が課題となっている本県において、医師と患者が物理的に離れた場所にいても、情報通信技術を利用して診療を行うことができるオンライン診療などの遠隔診療は、限られた医療資源を効率的に活用し、地域医療の充実を図っていく上で重要な役割を果たすと感じています。
 医療局では、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用して、電子カルテと連携したビデオ通話を行える環境を整備し、宮古病院附属重茂診療所を拠点にオンライン診療を試験的に導入したと伺いました。試験導入の中で見えてきた課題などはあるか伺います。
 将来的には、専門医不在の地域においても、専門医の判断に基づく医療が受けられるなどの効果も期待できることから、県立病院間での診療応援などへの活用により、地域の医療水準の向上や医師の働き方改革にも寄与するものと考えられます。ほかにも在宅での病状説明や栄養指導などといった身近な医療への活用など、遠隔診療は、患者と医療者の双方にとってメリットが期待できます。
 本県では、全ての二次医療圏に県立病院が設置され、一体的に運営されており、遠隔診療を活用しやすい環境にあると思いますが、今後の他の県立病院への拡大について、展望を伺います。
 次に、教育振興について伺います。
 今回の知事演述でも、子供たちの教育については、自己実現に向け、知・徳・体のバランスのとれた生きる力を身につける学びの場の確保や学力育成の取り組み、ICTの効果的活用を推進しますと言及されています。
 これからの時代に必要なのは、好奇心を磨き、みずから学び、それを伝え広げる能力であると思います。高校入試や大学入試の形態も変わってきていると認識していますが、岩手県の教育が進んでいるのか、すばらしいのか、どう評価されているのかがわかりづらいと感じています。せんだって全国学力調査の結果も公表されましたが、なかなか厳しい結果でした。
 教育は客観的にも評価されるように取り組まないといけないと思いますが、定量的にはかるものは学力の評価しかありません。岩手県で実践している教育の評価について、学力調査の結果を踏まえて伺います。
 また、教育の質と量の向上をサポートするのがICTの活用です。1人1台端末の整備は完了している一方で、なかなか活用が進んでいないと聞いています。ICTを活用した教育をこれからどう加速させていくのか伺います。
 次に、農林水産業の振興について伺います。
 東日本大震災津波から12年が経過した現在、沿岸地域の基幹産業である水産業を取り巻く環境は、海洋環境の変化などにより、主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの漁獲量は、いずれも震災前の1割以下となる大不漁に見舞われ、さらには、少子高齢化や人口減少などによる漁業就業者の高齢化や後継者不足など、厳しい状況に置かれています。
 このような状況が今後も続くことになれば、漁業者の負託に応える漁業協同組合の財務状況はさらに悪化し、経営基盤を揺るがしかねない深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
 県では、この不漁を克服するため、水産関係団体と連携し、岩手県水産業リボーン宣言を出され、主要魚種の回復、増加している資源の有効利用、新たな漁業、養殖業の導入を三つの柱として掲げ、持続可能な水産業の確立を目指し、さまざまな施策を展開しております。
 これらの取り組みのうち、新たな漁業、養殖業の導入として、県内の幾つかの漁業協同組合では、サケ、マス類の海面養殖に取り組まれ、それぞれ実績を上げつつあると伺っておりますが、県内のサケ、マス類の海面養殖について、これまでの取り組みの現状と、今後の県の取り組みの方向性について伺います。
 近年、国内においては、陸上で海面と同様の生育環境を整備した養殖場を設置して海水魚等を養殖するなど、いわゆる陸上養殖の取り組みに、異業種や新興事業者が相次いで参入しています。
 国が令和4年度に実施した陸上養殖の実態調査によると、平成22年以降、参入事業者が増加傾向にあり、トラウトサーモン、トラフグなどの魚類のほか、アオノリ、スジアオノリなどの海藻類、アワビなどの貝類など、さまざまな陸上養殖が行われているとのことです。
 このため国においては、この陸上養殖の取り組みを持続的かつ健全に発展させるため、養殖場の所在地や養殖方法など、当該陸上養殖の実態を把握することとして、内水面漁業の振興に関する法律施行令の一部を改正し、令和5年4月1日から、陸上養殖については、事業者が国に届け出を行うことが義務化されました。
 そこで、現在の県内における陸上養殖の取り組み状況について伺います。また、事業者が新たに陸上養殖に取り組む際の課題についても、あわせて伺います。
 さきに述べましたように、主要魚種の不漁により、令和3年度の漁業生産量は、海面漁業で7万9、700トン、海面養殖業で3万1、000トン、合計約11万700トンで震災前の約5割、産出額は296億円で震災前の約7割まで減少しています。
 このような危機的状況の中、漁業者にとって漁獲変動等に伴う減収を補填する漁業共済や積立ぷらす等の漁業収入安定対策事業による支援がより一層重要になっていると考えますが、これらの活用状況と、県としての対応について伺います。
 次に、林業振興について伺います。
 岩手県では、北海道に次ぐ森林面積を有し、林業就業人口や産出額も全国上位と、全国の中で、文字どおり森林県としての実績を果たしています。
 しかしながら、林野庁が先月公表した木材自給率の動向によると、令和4年次の木材の国内自給率は40.7%といまだ半分に届いておらず、令和3年次からその割合を下げています。
 県産木材の利用増大を図り、所得向上を伴う林業就業者の増加、ひいては森林整備の促進につなげていくためには、木材自給率を上げる取り組みが必要です。
 新型コロナウイルス感染症の影響で発生したウッドショックによって、本県でも構造材などの価格が上昇するなど、この2年間は、自給率の向上と国内消費の拡大、そこから木材生産の拡大と、林業の好循環を生み出す好機だったのではないでしょうか。
 木材価格は、コロナ禍前の水準は維持しているものの、下落傾向にあると聞いています。県産木材の価格や需要動向等について、現状をどのように分析しているのか伺います。
 過去の議会では、林業に関する川上、川中、川下の各業者との連携により、県内全体の木材情報などを共有する仕組みづくりに取り組んでいると言われていますが、こうした取り組みによる成果と課題について、あわせて伺います。
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 先ごろ、2020年度の岩手県の温室効果ガス排出量が発表されました。基準年比437万1、000トン、30.3%の削減ということで、住宅の断熱化、省エネ家電の導入による光熱費の削減といった家庭部門での削減が進むなど、これまでの取り組みが少しずつ反映してきているのかという期待の持てる数字だったと受けとめています。
 再生可能エネルギーに関して、岩手県のエネルギー代金の流出は約2、644億円と試算されていますが、これはGRPの5.7%に相当し、これを域内でなるべく回るようにしていくことは、地域経済の活性化に資することになります。
 地域脱炭素は、脱炭素を成長の機会と捉える時代の地域の成長戦略であり、自治体、地域企業、市民など地域の関係者が主役になって、今ある技術を適用して再エネ等の地域資源を最大限活用することで実現でき、経済を循環させ、防災や暮らしの質の向上等の地域の課題をあわせて解決し、地方創生に貢献できるものです。
 そして、それをどう広げていくかというと、やはり市町村に計画を策定してもらうことが重要であると考えます。計画策定は、中核市の盛岡市以外は努力義務とされているところですが、市町村に策定の必要性、メリットを丁寧に説明し、岩手県と市町村との連携を図っていく必要があると思いますが、現状と見込みを伺います。
 あわせて、GX推進プロジェクトが地域脱炭素移行・再エネ推進交付金に採択されたと聞いていますが、岩手県として脱炭素を加速させていく施策に関して伺います。
 次に、本県の道路整備について伺います。
 さて、道路密度を東北地方で見ると、福島県の1平方キロメートル当たり0.45キロメートルに比べて、本県においては1平方キロメートル当たり0.31キロメートルと東北地方で最も低く、実延長で見ると、これも面積が近い福島県の6、232.9キロメートルに対して4、828.2キロメートルという状況です。三陸沿岸道路を初めとする復興道路、復興支援道路の完成は記憶に新しいところですが、まだまだ本県では道路整備が必要です。
 また、本県の道路整備の難点は、奥羽山脈と北上山地があることです。この山々を越えて新たな道路を整備していくことで地域間交流を促し、沿岸地域と内陸地域が一体となった産業振興を進めていく基盤としなければなりません。
 知事は、マニフェストで北・北道路―久慈内陸道路、国道343号新笹ノ田トンネル、国道107号、国道340号大船渡市―遠野市について言及されています。構想路線として位置づけたのは評価されるところだと思いますが、まだまだその実現に向けての手応えは感じられません。
 この構想路線に対するこれまでの取り組みと、今後、実現に向けてどう動いていくのか、活動をどう変えていくのか伺います。
 また、広域道路ネットワークを強化するのは非常に大切な視点ですが、それと同時に、それを補完する道路の整備、リダンダンシーの確保も同時並行で進めていかなければなりません。国道340号の整備に関して伺います。
 また、道路密度や実延長を見て、今後の本県の道路整備に関してどう目標を持って取り組んでいくのか。全体的な構想を含めて伺います。
 そして、三陸沿岸道路を初めとした基幹道路の整備を地域の活力につなげていかなければいけません。その一つが港湾活用になりますが、宮古港の活用に関して伺います。
 宮古―室蘭のフェリー航路について、宮古港への寄港が休止されて3年が経過しました。復興のシンボルとなる事業がなくなり、先の展開がなかなか見えない状況が続いていますが、これからどう取り組んでいくのでしょうか、伺います。
 また、沿岸部の県有未利用土地の40%弱を占める宮古港藤原地区の工業用地に関して、長い期間動きが見られていませんが、今後どう取り組んでいくのか伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 平成28年の台風第10号、令和元年の台風第19号に関して、災害復旧工事はことし3月までに終わり、改良、改修による防災、減災対策に移行しているとされ、小本川に関しては、令和6年度末の完成を目指して鋭意取り組まれております。
 ことしのお盆の時期は、県内では沿岸北部を中心に局地的な大雨となりました。岩泉町の小本地区では、24時間降水量が観測史上最大の576ミリを記録しました。これは1年間の平均降水量の約4割に達します。
 このような猛烈な雨にもかかわらず人的な被害がなかったことは、河川の改良復旧工事による効果が大きかったと思います。河川の改良復旧工事が今回の大雨による出水にどのような効果を発揮したのか、成果を伺います。
 災害は、どうしても被害があって初めて報道されるケースが多いですが、被害が少なくなったこともしっかりと報道してもらいたいところです。社会資本整備に関する理解を広げ、これからもしっかりと国土強靱化を初めとする防災、減災対策に取り組んでいくためにも、しっかりと発信していく必要があると考えます。
 流域治水は、知事も知事演述等の中で触れられておりますが、大きな被害を経験した我々だからこそしっかりと取り組んでいくべきと考えます。今後の取り組みについて伺います。
 最後に、知事の政治姿勢について伺います。
 ことし6月下旬から釜石市を皮切りに計31市町村長から直接要望を聞き取る市町村要望に、知事は14年ぶりに出席されました。これまで地域事情に精通する職員が対応するほうが合理的であるとの理由で、1期目の平成21年を最後に、市町村長からの要望受け取りは、各広域振興局長に任せておられました。
 私は、市町村長からの個別具体の要望聴取ももちろん必要なことだと思いますが、それ以上に、全体の課題を踏まえてどういったアクションをしていくのか、方向性を確認し、構想を共有するための話し合いが必要であると思います。
 14年ぶりの市町村要望はどう感じたのか、また、市町村からの要望書の内容は変化があったのか。それらを踏まえて来年度以降に継続していくのか伺います。
 また、前回の知事選挙では県民計画の推進を公約としていましたが、今回の選挙では新たにマニフェストプラス39を発表されました。私は、前回の知事に対する質問において、知事自身の熱い思いを反映した公約がなければいけないのではと伺いましたが、その際の答弁では、県民計画の内容は、私の思いも込められたものであります。幸福をキーワードに幸福関連指標を採用し、基本目標に、お互いに幸福を守り育てるを掲げたことは、県民一人一人に着目し成果を出すことへの私の強い思いが込められており、また、同じく基本目標で、東日本大震災津波の経験に基づきということを県政全般の大前提としたこと、引き続き復興に取り組みと明記したことには、私の復興への強い思いが込められておりますと話されました。
 マニフェストプラス39はどういった性質のものなのか、県民計画の中に入っていない具体的な内容もあります。今回の知事選挙において新たに発表したのはなぜでしょうか。また、これは約束でありますが、どう実現していくのか。道路や地域医療基本法など、なかなかにハードルが高いように感じるものもありますが、これまでの取り組みをどう変えて実現に向けて取り組むのか伺います。
 最後に、同じ東北地方の村井宮城県知事が全国知事会の会長に就任されました。東北地方からの会長は1970年代の木村福島県知事以来とのことです。就任に当たってのメッセージで、結果を残す知事会として4項目を挙げ、海外へのアプローチ、行政のスリム化、分権型社会の実現に向けた国民的議論の喚起、大規模自然災害時の支援機能の強化を挙げられておられます。
 知事は、同じ知事5期目ということで、村井宮城県知事からメッセージも送られていたようですが、特に国と地方のあり方について村井知事は強く言及していますが、このことに関する達増知事のお考え、また、同じ東北地方の知事が知事会を引っ張る会長となったことについての所感を伺います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木宣和議員の御質問にお答え申し上げます。
 人口減少下における岩手県の将来像についてでありますが、人口減少の背景にはさまざまな生きにくさがあり、これを生きやすさに変えていくことが求められています。
 こうした中、県民一人一人に着目した政策を推進していくため、いわて県民計画(2019〜2028)を策定しており、その政策体系の先にある将来像が、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてであります。
 第2期アクションプランでは、人口減少対策に最優先で取り組むとともに、市町村長との意見交換なども踏まえて、医療、介護、福祉や教育、地域公共交通、産業、雇用環境等について、人口減少下で中長期的に維持、向上を図るため、10の政策分野の中で施策を推進しております。
 さらに、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる三つのゾーンプロジェクトや活力ある小集落実現プロジェクトなどにおいて、地域の強み、特徴やイノベーションの力を生かし、地域の特性や課題を踏まえた長期的な観点に立った取り組みを展開しております。
 また、これまで、東日本大震災津波からの復興を初めとした第1期アクションプランに基づく施策への取り組みや、新型コロナウイルス感染症対策等を通じて培われた関係団体等、さまざまな主体との協働の中で、県民の理解をいただきながら事業を進めてきたところであります。
 今後も、県事業における協働を通じて、また、先般の岩手県人口問題対策本部における県民、事業者向けメッセージのような直接的な呼びかけを行うとともに、産学官で組織する、いわて未来づくり機構などにより、岩手県の将来的な展望を議論いただき、それらを県民の皆様と共有しながら取り組みを進めてまいります。
 次に、市町村要望についてでありますが、市町村からの要望に出席し、コロナ禍や物価高騰による地域の実情や人口減少対策等について、市町村長や市町村職員の生の声を直接聞くことができ、よい機会であったと感じております。
 今年度の要望内容は、例年同様、道路整備などの県土整備部関係の要望が4割弱を占めており、農業や水産業への支援などの農林水産部関係の要望が2割弱、医療や福祉の充実などの保健福祉部関係の要望が1割弱となっています。
 市町村からの要望内容については、新型コロナウイルス感染症対策や主要魚種の不漁対策など、その時々の時勢に沿って変遷しているものもあれば、道路整備など継続的なものがあり、市町村の課題に沿った要望が出されているものと考えております。
 来年度以降の出席については、基本的には継続していきたいと考えております。
 次に、マニフェストの実現についてでありますが、このたびの選挙でお示ししたマニフェストプラス39は、現職の知事として、いわて県民計画(2019〜2028)や第2期アクションプランの推進をマニフェストまたは公約とすることに加え、新たな施策を求める声もいただいたことから、さらにプラスとなるような政策を掲げたものであります。
 現在、マニフェストプラス39の各項目について、財源の問題や既存の施策との関連等を全庁で検討しているところであり、市町村を初め、関係団体とも連携、調整を進めながら、その具体化を図ってまいります。
 次に、全国知事会会長就任メッセージについてでありますが、東日本大震災津波からの復興の場面において、被災3県の知事が復興構想会議や復興推進委員会の委員になり、被災地に必要な施策を制度化するなど、国を動かしてきました。
 また、新型コロナウイルス感染症対策では、全国知事会と政府が頻繁に意見交換を行い、現場をよく知る全国知事会の総意を国の政策に反映させることにより、地方から日本の新型コロナウイルス感染症対策をつくり上げることができたと思っております。
 このように、全国知事会の存在感が高まっていく中で、地方側に国を動かす力がついてきている中、東北地方の知事の全国知事会会長就任は、昭和50年以来およそ半世紀ぶりのことであり、大変喜ばしいと考えております。
 村井知事とは、東北地方の復興や自動車産業振興、観光など、一緒に仕事をしてきた協力、連携の蓄積があり、全国知事会においては、近年、経済団体を初め、さまざまな団体とのパートナーシップの構築など、ともに新しい道を切り開いてきたところであり、全国知事会会長としての活躍を大いに期待しています。
 私といたしましても、全国知事会副会長、また、農林商工常任委員会委員長として、村井会長に協力しながら、全国知事会の活動を充実させてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、自然減対策の評価と今後の市町村との取り組みについてでありますが、これまで県では、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、その柱の一つに岩手で育てるを掲げ、結婚サポートセンター―i−サポによる結婚支援、産後ケア利用料の無償化などの取り組みを進めてまいりましたが、本県の合計特殊出生率は依然として低下傾向が続いていることから、施策の充実が喫緊の課題と考えております。
 少子化が続く背景として、子育てや教育に経済的負担感があること、全国と比べて年間総実労働時間が長い中にあって、共働き世帯の妻に家事、育児の負担が偏っていることなどが、結婚行動や出生行動に影響している可能性があると考えております。
 このため、今年度は、市町村との連携により、現状で支援が手薄であり、優先度が高いと考えられる第2子以降の3歳未満児を対象とした保育料無償化や在宅育児支援金の創設など、新たな取り組みを展開しており、子育て世帯の経済的負担のさらなる軽減を図っているところであります。
 また、先月開催した岩手県人口問題対策本部会議において、仕事と子育ての両立に向けた子育て支援サービスの充実や雇用、労働環境の安定などを今後の取り組みの方向性として掲げたところであり、市町村の意見などを丁寧に酌み取りながら、これまでの事業の効果や課題などを検証し、施策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、医師確保と地域偏在の解消についてでありますが、県では、岩手県医師確保計画に基づき、即戦力医師の招聘や奨学金による医師養成などの取り組みを進めているところであり、奨学金養成医師については、平成28年度の配置開始以来、年々増加し、今年度は151名が配置されており、そのうち沿岸、県北地域には61名を配置しております。
 令和3年度に義務履行を開始した養成医師から沿岸地域等への配置を必須化しており、今後さらに沿岸地域等への配置人数の拡大が見込まれますことから、県内の地域偏在の状況は解消に向かうものと考えております。
 県では、現在、次期岩手県医師確保計画の策定を進めており、奨学金による医師養成や即戦力医師の招聘などに加え、臨床研修や専門医研修の指導体制の充実などによる養成医師の県内定着を促進する取り組みについて検討を行っており、引き続き、医師確保、地域偏在の解消に努めてまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 県北・沿岸振興と人口減少対策についてでございますが、県では、人口減少対策に最優先で取り組むいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランの政策推進プランを着実に推進するとともに、各圏域の地域振興プランに掲げる目指す姿の実現に向けて取り組んでいます。
 また、長期的な展望のもと、新しい時代を切り拓く11のプロジェクトに掲げる取り組みも進めております。
 北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにおいては、北岩手の持つポテンシャルを最大限に発揮させる地域振興、人口減少と高齢化、環境問題に対応する社会づくりの一体的な推進、三陸防災復興ゾーンプロジェクトにおいては、復興の取り組みにより大きく進展した交通ネットワークや港湾機能などを生かした地域産業の振興、三陸地域の多様な魅力の発信、国内外との交流を活発化などの取り組みにより、持続的に発展する地域の創造を目指しているところです。
 社会減対策につきましては、第2期アクションプランに掲げる若年層の県内就職、U・Iターンの促進による移住、定住施策を着実に推進するとともに、国内外の誘客の取り組みを強化し、さらなる交流人口の拡大を図るなど、県北、沿岸地域の地域特性を踏まえた対策を着実に進めていきます。
 また、県北・沿岸振興本部を中心として、北いわて産業・社会革新推進コンソーシアムや三陸振興協議会、各広域振興局の人口減少対策を進めるためのワーキンググループなどにおいて、課題や対策の方向性を共有しながら、市町村や関係団体と一体となって、県北、沿岸地域の人口減少対策に取り組んでいきます。
 次に、市町村との連携についてでございますが、県ではこれまでも、滞納整理機構による事務の共同処理や水道事業の基盤強化に向けた広域連携の支援、副市町村長の派遣、職員の相互交流、市町村からの研修生の受け入れ、岩手県立大学と連携した政策法務支援などの取り組みを進めてきており、行財政運営の効率化や人材育成について支援してきたところでございます。
 近年、市町村におきましては、小規模町村を中心として、自治体DXの推進に向けたデジタル人材の不足や効果的なシステム導入への支援が必要との声や、専門職を初めとした職員確保が難しくなっているとの声を伺っております。
 こうした課題を踏まえ、県では、県と複数の市町村による電子申請システムの共同利用の取り組みを進めているほか、特に小規模町村に対しては、専門職員が不足する分野への新たな人的支援策や情報システムの標準化への対応を初めとする行政デジタル化に対する技術支援などについて、具体的な手法を検討しているところでございます。
 市町村が限られた行財政資源のもと、持続可能で安定的な住民サービスを提供していけるよう、今後、さらに市町村の課題やニーズを聞きながら、必要な支援ができるよう取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) まず、外国人人材についてでありますが、人口減少の進展に伴い、全国的にさまざまな分野における人材確保が課題になっていると受けとめております。
 こうした中、県では、若者の地元定着やU・Iターンを含めた移住の促進に向けた取り組みの強化を図っておりますが、県内の産業を持続的に発展させ、また、県民の満足度の高い生活を将来的に維持させていくためにも、外国人の受け入れを進めていく必要があると考えております。
 このため、本年6月に実施した令和6年度政府予算への提言・要望において、国の有識者会議においてあり方の検討が進められている外国人技能実習制度に関し、地域の実情も踏まえた人材確保策につながる制度とすることについて、新たに追加したところです。
 今後、県としても、国における外国人技能実習制度の見直しを前提に、関係部局と連携しながら、外国人が働きやすく、また、安心して暮らしていける環境の整備に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、データ活用についてでありますが、昨年度から構築を始めているいわて観光データ・マネジメント・プラットフォームについては、各種観光統計に加え、現在、いわて旅応援プロジェクトの利用実績のデータ化を順次進めているところです。
 このいわて旅応援プロジェクトの利用実績をデータ化することによって、利用者の年代やどこから来たかという属性のほか、クーポン券がどういう店舗等で利用されているか、また、例えば岩泉町内で発行されたクーポン券が、地元以外のどこの市町村の店舗等で利用されているかということが分析できる状況となっております。
 今後、いわて旅応援プロジェクトが県民割から東北ブロックや全国に利用者が拡大されてきた期間のデータ化を進めることで、さらに効果的なものとなると考えており、あわせて、一般社団法人東北観光推進機構が保有する外国人の旅行動態などのデータ化も進めてまいります。
 このDMPの活用を拡大していくためには、多くのデータを継続的に取り込むことはもとより、地域の関係者に有益性を十分に理解していただき、また、分析結果をマーケティングに結びつけていく人材の育成が必要であることから、実践塾の開催などを通じて、デジタルマーケティングに基づく観光振興をオール岩手で展開してまいります。
 次に、DMOについてでありますが、民間と行政が連携した観光地域づくり法人、いわゆるDMOについては、現在、平泉・一関、八幡平、かまいしを初め、6法人が登録DMOとなっており、また、遠野や大船渡などの5法人が登録に向けた具体的な準備を進めているところです。
 これらのDMOに対しては、昨年度、公益財団法人岩手県観光協会に観光地域づくり支援チームを設置して、専門人材を配置した上で、登録に必要となる計画の策定支援や既に登録された法人に対するフォローアップ支援などを行っております。
 登録DMOの一つである株式会社かまいしDMCでは、地域のさまざまな主体と連携し、釜石ジオ弁当の商品化や漁船クルーズの運航といった持続可能な観光地域づくりに向けた取り組みを進めており、こうした取り組みを進める上でも、地元釜石市との連携が重要となっております。
 このため、こうした先行事例の各市町村との共有を図りながら、地域の観光戦略の策定や新たなDMOの立ち上げなど、市町村、観光関連団体、事業者が一体となって推進する観光地域づくりを支援してまいります。
   〔医療局長小原重幸君登壇〕
〇医療局長(小原重幸君) 県立病院における遠隔診療の導入についてでありますが、オンライン診療につきましては、患者の通院負担の軽減等を図るため、在宅患者や訪問診療先の看護師と病院側の医師が、電子カルテと連携したビデオ通話を行える環境を整備し、ことし3月から宮古病院附属重茂診療所で試験的に運用しているところであります。
 試験運用の中で、今後の拡大に向け見えてきた課題として、オンライン診療に適した診療科や疾患の選定、受診患者のネットワーク環境の確保、操作にふなれな患者等への支援などがあり、課題解消の取り組みを進め、体制等の整った病院から順次導入を行ってまいります。
 また、医療現場でのDXの活用につきましては、これまでも、テレビ会議システムを利用した病院間の遠隔診断支援や訪問診療先で電子カルテが確認できる環境整備を行ってきたところですが、今後は、専門医による遠隔診療や在宅での病状説明、栄養指導などへのオンライン診療システムの活用についても検討してまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) まず、サケ、マス類の海面養殖についてでありますが、県内では、宮古市や山田町、大槌町など6地区において、トラウトやギンザケなどの海面養殖に取り組んでおり、今年度の生産実績は、前年度の約1.5倍となる1、800トンとなっております。
 また、これまで海面養殖に取り組んできた6地区に加え、新たに2地区で本格的な海面養殖の実施が計画されており、来年度は8地区で約1、900トンの生産が計画されています。
 県では、養殖施設の規模拡大に向け、国事業の導入や内水面養殖業者と連携した種苗の安定供給などを進めるとともに、県産サーモンのブランド化と消費拡大に向け、県内約70の量販店、飲食店と連携したPRキャンペーンや料理レシピコンテストなどを支援しています。
 今後とも、サケ、マス類の海面養殖の生産拡大とともに、県産サーモンのブランド化が図られるよう、関係団体と一丸となって取り組んでまいります。
 次に、陸上養殖についてでありますが、近年、海洋環境の変化による漁獲量の減少等を受け、海面と同様の生育環境を整備した陸上養殖の取り組みが全国で進められています。
 陸上養殖は、気象等の影響を受けず、水温や水質等の飼育環境の管理が可能であることから、安定した生産や品質の確保が図られること、養殖場所の制約を受けないことなどが利点として挙げられています。
 一方、施設整備費や電気料金等の維持管理費が高額となること、飼育している魚等への病気の蔓延等のリスクが高いことなどが課題とされています。
 県内では、本年9月現在、宮古市でのホシガレイ、大船渡市でのアワビ、陸前高田市でのスジアオノリなど7件が届け出されており、県としては、こうした陸上養殖の養殖方法や運営面での課題について情報収集するとともに、生産技術の助言等を行っており、引き続き、海面養殖や陸上養殖など本県のつくり育てる漁業を積極的に推進してまいります。
 次に、漁業共済等についてでありますが、サケ等の主要魚種の不漁が続く中、漁獲金額の減少等の損失を補填する漁業共済や積立ぷらす等の漁業収入安定対策事業は、本県の漁業経営の安定に極めて重要な役割を果たしています。
 本県の漁業共済の加入率は、定置漁業等を対象とする漁獲共済で89%、ワカメ養殖業等を対象とする特定養殖共済で96%となっています。
 また、漁業共済の加入者のほぼ全てが漁業収入安定対策事業を活用しており、昨年度の支払い実績は、漁業共済と漁業収入安定対策事業を合わせ約70億円となっています。
 県ではこれまで、漁業共済組合と連携した漁業共済への加入促進や漁業収入安定対策事業の要件となる資源管理の適切な実施への指導を行うとともに、国に対し、漁業共済制度等の柔軟な運用と十分な予算の確保などを要望しており、今後とも、関係機関、団体と連携しながら、漁業経営が安定するよう取り組んでまいります。
 次に、林業振興についてでありますが、国の木材価格統計調査によれば、本県の杉原木の価格は、本年8月現在、1立方メートル当たり約1万5、000円とウッドショック時よりは低下したものの、コロナ禍前に比べ約1割高い状況となっています。
 木材の需要は、住宅着工戸数の減等により合板や製材向けの需要が減少している一方、製紙原料や発電燃料向けの需要は堅調に推移しています。
 県ではこれまで、需要の変化に柔軟かつ機動的に対応する木材供給体制の構築に向け、川上の森林所有者、素材生産業者、川中の製材業者、川下の工務店など、林業、木材産業に携わる関係者と木材の需給情報等を共有する意見交換会や研修会を開催してきたところです。
 これまでの意見交換会等により、県産木材の需要や価格など、川上、川中、川下の各段階の情報共有が重要との認識が図られるとともに、事業者同士の連携、補完が必要とされたところであり、今後とも、川上から川下までの交流を図るなど、需要に応じた県産木材が安定的に供給されていくよう取り組んでまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) 地球温暖化対策についてでありますが、市町村実行計画の区域施策編は、国の交付金の活用に当たっても必要となるものであり、これまでに県内7市町で策定されておりますが、今年度からは計画の策定経費に対する補助も行っており、県市町村GX推進会議の中で、さらなる策定を促しております。
 その結果、現時点で新たに9市町村が今年度中に、さらに6市町が来年度中に計画を策定する予定となっており、来年度末には計22市町村、県内の3分の2の市町村で策定済みとなる見通しです。
 また、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金については、本県が温室効果ガスの削減に関して意欲的な目標を掲げる中、今年度、政府の重点対策加速化事業に本県が採択されたところであり、今後、令和10年度までの6年間にわたって重点的な支援を受けることになっております。
 この交付金を活用することにより、県有施設の関係では、県立高校や合同庁舎でのLED照明の導入などを行っているほか、事業者に対する支援としては、自家消費型太陽光発電設備の導入補助などを行っております。
 さらに、来年度は、このような県有施設や事業者の脱炭素化に加えて、省エネ住宅の普及にも交付金を活用できないか検討しておりまして、地域全体の脱炭素化を積極的に進めてまいります。
   〔県土整備部長加藤智博君登壇〕
〇県土整備部長(加藤智博君) まず、構想路線の取り組みについてでありますが、岩手県新広域道路交通計画では、重要港湾と内陸部の連絡強化を図るため、一般広域道路として位置づけた国道281号及び国道107号に重ねる形で、将来的に高規格道路としての役割を期待する二つの構想路線を位置づけております。
 これらの構想路線については、全国的な高規格道路ネットワークにおける必要性の検討とあわせて、大まかなルートや道路構造等の調査から進めているところであります。
 まずは、こうした検討状況について、沿線の市町村と丁寧に意見交換をしながら、調査の熟度を高めるとともに、早期に効果が発現されるよう、国道281号久慈市案内―戸呂町口工区、国道107号大船渡市―住田町間の白石峠工区の整備を推進してまいります。
 次に、国道340号の整備についてでありますが、今年度は、岩泉町浅内工区では、現地測量や道路詳細設計を予定しており、また、宮古市和井内―押角工区では、改良工事を推進するとともに、用地測量及び用地補償等を行う予定としております。
 残る未改良区間については、幅員が狭く、急カーブが連続していることから整備が必要な区間と認識しておりますが、まずは、事業中工区の早期効果発現が図られるよう、整備に注力するとともに、道路の利用状況等を見きわめてまいります。
 次に、今後の道路整備についてでございますが、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げた各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる社会経済活動や県民の安全・安心な暮らしを支える道路等の社会基盤を強化していくことが重要であります。
 広大な県土を有する本県においては、東北自動車道や三陸沿岸道路の縦軸、釜石自動車道や宮古盛岡横断道路の横軸に加え、これらの道路を補完し、または代替となる道路が一体となって機能することが必要であります。
 今後とも、国費など公共事業予算の確保に努めながら、防災対策や産業振興など、幸福の追求を支える社会基盤が整っている岩手の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、宮古港の活用についてでありますが、宮古―室蘭フェリー航路の再開に向け、三陸沿岸道路との利便性や機能強化の状況、内陸部の大規模物流拠点の整備状況等を、今月開催しました宮古・室蘭フェリー航路連絡調整会議において共有するとともに、今年度は企業訪問の対象を首都圏まで拡大し、荷主企業等26社に宮古港の優位性などをPRしてまいりました。
 引き続き、宮古市等と連携しながら企業訪問を行い、新たな貨物の掘り起こしに努めるとともに、得られた企業動向等をフェリー運航会社と共有し、航路再開に向け取り組んでまいります。
 また、藤原地区の工業用地の未分譲地については、本年7月に開催した企業ネットワークいわて2023in東京において、企業等101社に対し、インターチェンジに直結する宮古港の優位性や三陸沿岸道路等の利便性についてPRするなど、ポートセールスを行っているところでございます。
 今後も、これまでの取り組みを通じて宮古港に関心を示した企業等を中心に、関係部局や宮古市と連携してポートセールスを行い、藤原地区の工業用地の分譲促進に努めてまいります。
 次に、河川改修の成果についてでありますが、県内では、令和5年8月12日から15日にかけて沿岸北部を中心に大雨となり、平成28年台風第10号により甚大な被害を受けた岩泉町においても、8月13日に記録的短時間大雨情報が3回発表されるなど、記録的な大雨となったところでございます。
 県においては、これまで河道の拡幅や築堤等により改良復旧工事を進めてきた小本川や、治水対策として放水路を整備した長内川などにおいて、整備がなかった場合と比べて水位が低減していることを確認しており、このことからも改良復旧工事等の効果があらわれているものと認識しております。
 次に、流域治水の今後の取り組みについてでありますが、近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の生命、財産を守るため、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水を推進することが重要と認識しております。
 このため、現在、県内全ての水系を対象として流域治水プロジェクトの策定を進めており、8月までに、沿岸部の全ての二級水系など46水系で策定し、流域治水に取り組む実施主体、内容、工程表を取りまとめたところでございます。
 今後、流域治水プロジェクトに位置づけたハード対策とソフト対策を流域の関係者と一体となって進めるとともに、自主防災協議会との協働など小本川水系における取り組みの他水系への拡大や、河川整備等の効果の積極的な発信による住民への普及啓発などに取り組み、流域治水の考え方を踏まえた防災、減災対策を推進してまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、学力調査の結果を踏まえた本県の教育の評価についてでありますが、本県では、子供たちが学びにより将来に向かって可能性を伸ばし、自分の夢を実現できるよう、学校、家庭、地域が連携しながら、確かな学力、豊かな心、健やかな体を総合的に育むための取り組みを進めております。
 また、これからの変化の激しい社会を生きる児童生徒には、情報活用能力などの学習の基盤となる資質、能力を身につけ、ICTなどの先端技術等を効果的に活用していくことが重要であることから、これを推進しております。
 一方、今年度の全国学力・学習状況調査の結果では、小学校国語では全国の平均正答率を上回り、また、意欲を持ってみずから進んで学ぼうとする児童生徒の割合などでも全国平均を上回るなど成果も見られましたが、中学校の英語や数学では全国の平均正答率を下回るなど、教師の指導の改善、充実や児童生徒の学習状況の改善等が必要であると考えております。
 このため、現在、今回の調査結果の原因分析や、これまでの施策や指導のあり方について点検を進めているところです。児童生徒の確かな学力の育成のためには、まず基礎的、基本的な内容の確実な定着が必要であり、そのための効果的な指導方法や教員研修のあり方、家庭学習の充実に向けた方策などについて、市町村教育委員会等と連携しながら、検討、対応してまいります。
 次に、ICTを活用した教育についてでありますが、全ての児童生徒の可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現していくため、ICTを効果的に活用することは極めて重要と考えております。
 このことから、ICTのさらなる活用を図るため、今年度、新たにGIGAスクール運営支援センターを活用した学校集合研修の実施、岩手県ICT支援員連携会議の開催、紫波町における国のリーディングDXスクール指定にあわせた県の教育情報化推進モデル研究指定地域の指定と好事例の創出、金ケ崎町における国の小学校外国語デジタル教科書の実証研究事業の指定と好事例の創出などに取り組んでいるところです。
 こうした取り組みを通じて、教員のICT活用指導力の向上を図りながら、学校における効果的なICT活用を一層推進してまいります。
〇20番(佐々木宣和君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。知事に2問と、観光振興に関するデータ活用と林業の関係の再質問をさせていただきたいと思います。
 岩手県の将来像に関するところに関連してお話を伺いたいのですけれども、達増県政になって、東日本大震災津波、台風、コロナ禍という非常に危機的な状況があって、東日本大震災津波などは、特に本当に膨大な事業量を積み上げていかなければいけないというようなところで、スピード感を持って取り組むことが非常に重要だったと思っております。
 国と県と市町村の関係性も、ある程度、トップダウンではないですけれども、こうやっていきましょうということを押し出すことによって、効率をよくしていったようなことがあるのではないかと思っています。それは、台風もコロナ禍も、特に物価高等も、取り組んできたことのオペレーションのスピードの速さはすごく評価される部分ではあると思うのですけれども、それと同時に、災害等に対応することによって、県としては非常に裁量が大きかったと思っています。その中で、将来に対する取り組みにどのぐらい振り分けて取り組んでいけたのかということを伺いたいと思っております。
 もう一つは、昨日も非常に話題になっておりましたけれども、ふるさと振興総合戦略の改定というところで、自然減のゼロの年度を延ばしたというような形でありましたけれども、特に人口減少に関しては、市町村と県と連動して取り組んでいくことが非常に重要だということを思っておりまして、そのふるさと振興総合戦略の市町村と県の考え方のすり合わせをどのぐらいやって、今回改訂したものを出したのかを、まず、知事に伺いたいと思います。
 そして、観光関係の話でございますけれども、先進事例として、有名な下呂温泉は、東日本大震災津波により、その年の3月、4月の観光客数が激減したというところで、その際に、下呂温泉全体の約50年前から積み上げてきた集客データを活用して効果的な手を打とうと考えて、最も効果的だったと思われるラジオにプロモーションを打ったところ、二、三カ月でお客さんが戻ってきたということです。
 その成功体験からデータの重要性に改めて気づき、現在、DMOでは、誘客に向けて予算を有効に活用するために、観光客数と国内、海外の観光客の比率、個人、団体の割合、旅行消費額、来訪者満足度、ウエブサイトへのアクセス状況など、さまざまな項目のデータをチェックしながら、ゴールとそれに向けたKPIを設定して施策を練るプロモーション会議を、関係者が集まって月に1度行っています。
 その取り組みもあって、コロナ禍でインバウンドがなくなっても、データに基づいた国内の新規顧客の開拓と既存顧客のリピート率を高め、滞在時間をふやすような取り組みをしているという話でありました。
 先ほど御答弁いただきましたけれども、岩手県においては、コロナ禍での観光業支援策として、いわて旅応援プロジェクト、全国旅行支援等があって、そのデータを利用してプラットフォームが立ち上がったと思っております。今後は、生きたデータ、必要なデータをどう収集していくのか、プラットフォームを持続させていかないといけないというところが肝なのですけれども、前回の質問でも触れましたが、ビッグデータの活用にはお金がかかる。このデータを継続して取得していくためにどう取り組んでいくのか、改めて伺います。
 また、下呂温泉との違いは、データを使う主体とプラットフォームを提供する岩手県観光協会との距離感があることだと考えますが、この点に関しても伺います。
 そして、林業振興に関して、ことし5月に国の花粉症対策の全体像が示され、杉人工林の伐採面積の2万ヘクタール毎年の増、杉材製品の需要の470万立方メートルの増、花粉の少ない杉苗木の生産割合を4割引き上げて9割にするなどにより、10年後にはスギ花粉症発生量を約2割減、将来30年後は半減を目指すとされています。
 岸田首相は、今後、経済対策に盛り込み、早急に実施に移していくと強調しているところであります。
 本県の素材生産量は約136万立米、その中で杉は約5割、杉造林面積は150ヘクタールで全体の約2割。杉は岩手県の林業を支える重要樹種の一つでありますけれども、伐採の加速化、需要拡大、花粉の少ない苗木による植えかえ等、政府の考える花粉症対策と岩手県として林業振興の取り組みをどうすり合わせて事業を実施していくつもりなのか伺います。
〇知事(達増拓也君) 東日本大震災津波からの復興やその後の台風災害、また新型コロナウイルス感染症対策など、災害等の作業に人やお金がかかる間に、将来に向けた取り組みはどのようにできていたかという質問だったと理解しております。
 東日本大震災津波からの復興に関しましては、これは早い段階から、もとに戻すのではなく、未来に追いつく復興ということで、震災前よりも、より安全で、より経済や社会の発展に資するような復興を進めるということで、典型的には、復興道路の整備、そして、ソフト面に関しては、経済同友会が中心になりながら、全国、当代一流の経営者の皆さんに次々に岩手県沿岸地域に入っていただいて、若い経営者の人たちに塾の形で経営指南をしていただくなど、復興の取り組みが、そのまま将来に向けた取り組みになるよう工夫してきたところであります。
 なお、内陸地域におきましては、北岩手については、復興に取り組む中で、県北地域が取り残されないようにということも震災直後から留意していたところでありまして、震災直後にもフィリップ・モリスさんに二戸地域のたばこ耕作地域に入っていただいて、たばこのさまざまな支援をしていただくというようなことから、東京大学のプラチナ社会構想のチームにも広く北岩手に入っていただいて、新しい時代を切り開くような地域振興の絵を描いていただくなどしてきたところであります。
 内陸の中南部につきましては、自動車、半導体産業集積や医療関係のベンチャー支援など、東日本大震災津波からの復興と並行して取り組んできたところであります。
 そして、新型コロナウイルス感染症対策に関しても、例えば旅館、飲食店への感染対策の支援としながら、自動チェックインができるような機械の導入でありますとか、ラーメン屋の柳家さんに行きますと、自動で注文し、自動で会計もできるようなシステムの導入が行われているのですが、基本的に、デジタル化という流れの中で、新型コロナウイルス感染症対策がそのままデジタルトランスフォーメーションにつながっていくような、新型コロナウイルス感染症対策を工夫してきたところがございます。
 次に、ふるさと振興総合戦略の改定に当たって、市町村との連携をどのようにしてきたかということでありますけれども、市町村とは、課長等が参加する県と市町村との連携会議におきまして、県の改定案を説明しながら、共有し、改定作業を進めてきたところであります。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) ビッグデータを継続して購入していくためには、議員御指摘のとおり、多額の費用を要しますことから、まずは、県が実施する観光統計などのオープンデータに加えまして、県の観光ポータルサイトいわて旅へのアクセス情報、さらには、一般社団法人東北観光推進機構が保有するデータなどを追加して取得していくこととしているところです。
 一方で、中長期的には、いわゆるビッグデータの活用も行っていく必要があると考えておりまして、その際に、特に、インバウンドの拡大につきましては、国が主導して取り組んでいる状況もありますことから、こうしたビッグデータの活用に関する国の支援なども求めていきたいと考えているところです。
 それから、データを使う主体と観光協会の距離感という御指摘でございますけれども、データを使う主体として我々が大きく期待しているのは、地域のDMOが中心でございます。先ほど答弁申し上げましたとおり、岩手県観光協会に専門人材を置いて、立ち上げ支援やフォローアップを行っておりますので、そこでまず岩手県観光協会とDMOが連携を図り、地域のDMOがそれぞれの地域の市町村、あるいはそこの観光関連事業者、さまざまな人たちと連携して活用していくという形をとりたいと考えておりますので、そういう中できちんとした体制を図れるように進めてまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 国の花粉症対策への対応でございますけれども、国は、花粉症問題の解決に向けまして、花粉の発生源対策、飛散対策、発症対策を進めていくこととしております。特に、花粉の発生源対策として、杉材需要の拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大、林業の生産性向上、こういったことで杉人工林の伐採、植えかえ等を加速化していくとしております。
 本県の民有人工林面積における杉人工林の面積は約4割となっておりまして、国の花粉発生源対策等を踏まえまして、杉材の供給拡大に向けました加工能力の高い木材加工施設の整備、花粉の少ない杉苗木を活用した再造林の促進、伐採を効率化する高性能林業機械の導入の支援などを行いまして、本県の林業、木材産業が持続的に発展するように、引き続き取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇20番(佐々木宣和君) 1点だけ再質問させていただきます。
 知事の答弁の中で、ふるさと振興総合戦略の改定案を市町村とどう共有したのかというところで、社会減ゼロを先送りというか2年後にするということの数字の裏づけとなる積み上げも、市町村と共有しているのかということを伺いたいと思います。
〇政策企画部長(小野博君) 現在改定作業を行っておりますふるさと振興総合戦略について、市町村にどのように説明したのかということでございますけれども、今回、各議員の皆様にも御説明申し上げました改訂素案、このような形で、各市町村には、現在、県が改訂作業を行っている内容について、特に、政策推進目標でありますとかKPIや、国のデジタル田園都市国家構想総合戦略の中身を踏まえた柱立てなどについて御説明したところでございます。
 県として、社会減ゼロを国の改定を踏まえて計画期間を後ろ倒しといいますか期間変更も行っておりますけれども、その積み上げといいますと、市町村の総合戦略との関係ということかと思います。当初、ふるさと振興総合戦略を策定した際、県といたしましても、市町村との関係は、それぞれの市町村において、それぞれの施策のとり方、考え方に基づき、人口ビジョン、それからふるさと振興総合戦略の立て方ということもございますので、例えば、1年ごとの人口推計を行っているか、ある程度の間を置いて内容を明らかにしているかということがあります。それぞれの考えに基づいてつくっているものですので、完全な形で整合性をとることはなかなか難しいのですけれども、その段階では、県の推計と比較しまして、たしか2040年だったと思いますが、おおむね2万人以内のところで市町村の合計がやや上回っている。これは、恐らく市町村のそれぞれの政策効果も踏まえてといったことになるかと思いますけれども、そのようになっております。
 国で来年度、人口ビジョン、長期ビジョンですが、これを改訂する予定で行われておりまして、これに伴い、全国の自治体でも順次、これは必ずしも同じ年限になるかどうかというのはございますけれども、新たな人口ビジョン、長期ビジョンの作成を進めていく作業が始まります。
 一つ、ここは非常に重要な機会と考えておりますので、改めて、そういうところも県の考え方を示し、また、市町村ともどういう形でこれから推計を行っていくか、ここもしっかり情報共有を行いながら、来年度以降になりますけれども、作業を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって佐々木宣和君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時29分 休 憩
   
出席議員(48名)
1  番田 中 辰 也君
2  番畠 山   茂君
3  番大久保 隆 規君
4  番千 葉 秀 幸君
5  番菅 原 亮 太君
6  番村 上 秀 紀君
7  番松 本 雄 士君
8  番鈴 木 あきこ君
9  番はぎの 幸 弘君
10  番高橋 こうすけ君
11  番村 上 貢 一君
12  番工 藤   剛君
13  番小 林 正 信君
14  番千 葉   盛君
15  番上 原 康 樹君
16  番菅野 ひろのり君
17  番柳 村   一君
18  番佐 藤 ケイ子君
19  番高 橋 穏 至君
20  番佐々木 宣 和君
21  番臼 澤   勉君
22  番福 井 せいじ君
23  番川 村 伸 浩君
24  番ハクセル美穂子君
25  番高 田 一 郎君
26  番木 村 幸 弘君
27  番佐々木 朋 和君
28  番吉 田 敬 子君
29  番高 橋 但 馬君
30  番岩 渕   誠君
31  番名須川   晋君
32  番軽 石 義 則君
33  番神 崎 浩 之君
34  番城 内 愛 彦君
35  番佐々木 茂 光君
36  番佐々木   努君
37  番斉 藤   信君
38  番中 平   均君
39  番工 藤 大 輔君
40  番郷右近   浩君
41  番小 西 和 子君
42  番高 橋 はじめ君
43  番五日市   王君
44  番関 根 敏 伸君
45  番佐々木 順 一君
46  番岩 崎 友 一君
47  番千 葉   伝君
48  番飯 澤   匡君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時47分 再開
〇議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。五日市王君。
   〔43番五日市王君登壇〕(拍手)

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