令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(佐々木努君) いわて県民クラブ・無所属の会の佐々木努です。会派を代表し、質問いたします。
 冒頭、先月行われた県知事選挙において、県政史上最長となる5期目の当選を果たされた達増拓也知事に、敬意を表します。知事におかれましては、支持した多くの県民の方々はもちろん、23万2、000人の県民から支持を得た相手候補やその支持者の思いも酌んでいただき、なお一層、岩手県の発展のために御尽力されることを切に願うものであります。
 我々いわて県民クラブ・無所属の会も、志を同じくする5人の仲間で新たなスタートを切ることができました。これから4年間、所属議員個々の意思や意見を尊重し合いながら、会派としての政策実現に向け、力を合わせて議会活動を進めていくとともに、今の県政運営に危機感を持つ他会派の方々とも力を合わせながら、よりよい岩手の実現のために頑張ってまいりたいと思っております。
 そしてまた、知事が打ち出した公約、今後打ち出すであろう施策の一つ一つについても、しっかりと議論し、よいものはよい、悪いものは悪いという是々非々の立場で臨ませていただくとともに、これまで以上に、会派独自の政策立案を進め、提言してまいりたいと思っています。
 さて、今回の知事選挙は、私の思いや願いとは異なり、事実上の与野党対決になりました。政策よりも政局的なことが前面に出た戦いになってしまったことは残念でなりません。一体いつになったら知事選挙から与野党対決の色が消えるのでしょうか。与野党から応援される知事は、一体いつになったら誕生するのか。無党派の私としては、今後も続くであろうこの流れが、県民の分断を招き、不利益を生じさせるのではないかという大きな不安を感じています。
 いずれ、県民の審判が下されたとはいえ、私個人は、知事という立場にある者は、たとえ一人の政治家であるとしても、政治的には中立であるべきとかたく信じており、知事の極端に偏った政治姿勢に対しては、知事が考えや行動を変えない限り、是々非々の非の部分として、これからも異議を唱えていきたいと思っています。
 そして、出生数の減少率が全国で最も高くなったことや、若者の県外流出、未婚率、自殺率、健康寿命、最低賃金、医師数など、幸福感に影響するものが軒並み全国ワーストクラスになってしまった中で、これまでの県の取り組みで本当によかったのかという疑問を、引き続き県や県民に投げかけていきたいと思っています。
 もちろん、それは議員を3期12年務めた自分にも責任があるという前提のもとであり、みずからもしっかりと反省しながら、今後の議員活動を進めてまいりたいと思います。そのことを冒頭申し上げ、質問に入ります。
 初めに、知事の公約、マニフェストについて伺います。
 知事は、今回の知事選挙において、新たに39のマニフェストを掲げられました。これら39のマニフェストは、今の岩手県に必要なものであり、多くの県民が望むものでもあります。その中には我々会派が訴えてきた政策と共通するものも数多くあることから、その実現に大いに期待するところであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 しかしながら、人口減少によって県や市町村の力が低下していることに加え、県財政が厳しい状況にある中で、その実現性や実効性に疑問を感じるのも事実であります。そのことから、知事に対し、マニフェストプラス39実現に対してのお考えを幾つかお聞きしてまいりたいと思います。
 初めに、マニフェストプラス39実現に必要な財源についてでありますが、マニフェストプラス39の中には、スポーツ医科学センターや産業技術短期大学校の設置、北岩手・北三陸道路や新笹ノ田トンネルの整備など、多額の予算を必要とする事業が盛り込まれていますが、令和9年に財政調整基金が枯渇する見通しとなっている厳しい財政状況の中で、一体どのようにしてマニフェストプラス39実現のための財源を確保していくのかお聞きします。
 また、マニフェストプラス39の実行に実働的にかかわるのは県の職員でありますが、人口減少が進み、県の職員採用を取り巻く環境も厳しさを増す中、公約を実行するための職員体制をどのように確保していくのかも伺います。
 壇上での質問は以上とし、以下の質問は質問席で行います。
   〔36番佐々木努君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木努議員の御質問にお答え申し上げます。
 マニフェストプラス39実現のための予算の確保についてでありますが、今回公表した中期財政見通しにおきましては、県の実質的な一般財源が縮小傾向にある一方で、人件費や社会保障関係費、公債費が増加傾向であることに加え、老朽化に伴う大規模施設の改修、更新経費も大幅に増加することから、財政調整基金が令和9年度にも枯渇することを見込むなど、厳しい財政状況に置かれております。
 そのため、引き続き事業の実施に必要な財源の確保や事務事業の精査を通じためり張りある予算編成などにより、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めていく必要があります。
 マニフェストプラス39の実現に向けても、県有資産や各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなど、これまでの取り組みを一層強化しつつ、環境債の発行など全国をリードする新たな財源確保手法についても積極的に導入を進め、必要となる財源を確保してまいります。
 職員体制の確保についてでありますが、行政需要や県民ニーズが複雑化、多様化する中、直面する行政課題に的確に対応していくためには、環境変化に応じ、必要な施策を適切に推進できる体制の構築が不可欠です。
 特に、人口減少下にあっても質の高い県政運営を進めていくためには、近年、採用予定数の確保が困難となっている技術系職員を含む有為な人材の確保に加え、自然災害や感染症など緊急的な対応を要する事案に迅速かつ的確に対応できる体制の構築、職員の年齢構成の偏在など、近年の人事施策を取り巻く諸課題への対応が、より重要になってきています。
 このようなことから、技術系職種を対象とした職務経験者の採用の実施や、新型コロナウイルス感染症対応において培った柔軟かつ機動的な人員の確保、将来的な管理職不足に対応する思い切った任用や職階の見直しなど、従来の枠にとらわれない新たな人事施策の展開を通じ、持続的に県政の重要課題に対応し得る組織体制の構築を進めてまいります。
〇36番(佐々木努君) 今後、先ほども議論がありましたが、県庁舎の建てかえのほかにも、県の施設は老朽化が非常に進んでいる施設が多いわけでありまして、その施設の更新時期がこれからやってくる。
 あわせて、道路や橋梁も老朽化が非常に進んでいて、これも対応していかなければならないという中で、規律ある、そして安定的な財政運営、これは、やはりしっかりとやっていかなければならないし、そのための予算確保も当然ながら頑張っていかなければならない。
 先ほどの事務事業の見直し、使用料の見直し等、どの程度の財源が生み出せるか。私はそれほど多くの財源は生み出せず、結局、最終的には起債や借金に頼るとか、そういうことになってしまいかねないのではないかという不安を持っています。
 それはそれで次世代に負担を強いることにもなるという観点からも、やはり可能な限り国からの予算を確保する、そういう取り組みを私は知事が率先してやっていただきたい。これは予算だけではなく事業もそうであるし誘致もそうでありますが、知事が本当に先頭に立って、どんどん国にかけ合って、予算、事業を獲得してくる、そのぐらいの気概がなければ、ここでこれこれこうやって財源を確保しますということをおっしゃられても、私には伝わってこない。それほど私は危機感を持っていますので、どうか知事には頑張っていただきたいと思います。
 それから、職員体制も、私はいろいろ職員の方とも話をすることがあるのですが、非常に厳しいという話を聞いています。休んでいる方もたくさんいらっしゃる。いろいろな事情があると思いますが、そういう中で、新たなマニフェストも含めて、これから大事な県の施策を遂行していく中で、やはり職員に負担がかかっていくことは目に見えてわかっていることであります。
 知事は、会社で言えば社長なわけでありますから、そして、職員は社員でありますから、社員の職場環境あるいは働き方を、効率よくできるような形の職員体制をトップとしてしっかりと構築していただきたい、そのように思っておりますので、よろしくお願いします。
 それから、知事にお伺いします。今回のマニフェストは、今任期4年のマニフェストと私は捉えているわけでありますけれども、とても4年では実現不可能なものも数多く盛り込まれています。知事は、このマニフェストを一体いつまでに実現されようとしているのか。最低でもこの4年の間に事業着手をする、着手もいろいろな形がありますが、事業着手をするということをここでしっかりと県民の方々に約束してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 具体的にどれについてとかあれば、さらに具体的な答弁が可能になりますが、全般的には、もう既に県組織を使って、全てについて検討作業に入っているところです。
〇36番(佐々木努君) 検討は誰でも、いつでもできるわけでありまして、問題はやっぱりその先です。検討と着手は違うと私は思っています。そこをはっきりとさせていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 検討なくして着手なしであります。
〇36番(佐々木努君) それはへ理屈というものだと私は思います。それでは、検討して、結局だめだったから約束は守れませんでしたということになりますか。それで許されますか。
〇知事(達増拓也君) 具体的にどれについてという御指摘があれば、先ほどの、例えば岩手福祉総合相談センター、岩手県立県民生活センターの移築、改築、移転につきましては、先ほど具体的に述べたような作業に入っていくわけでありますし、それぞれに関してそのような回答は可能と考えております。
〇36番(佐々木努君) わかりました。ここで一つ一つのマニフェストの中身まで議論するわけにはいきませんので、そのような考え、姿勢であるということを、まず、きょうは理解いたしました。また次回、議論させていただきたいと思います。
 次に、人口減少対策について、これは少子化対策に絞ってお聞きしてまいりたいと思います。
 冒頭申し上げましたとおり、我が県は、他県にも増して非常に出生数の減少、若者の県外流出が激しい、それによって人口減少が進んでいるという状況です。消費の減退による地域経済の低迷あるいは学校の統廃合、それから、農業を初めとする産業全体や介護、保育、医療現場における深刻な人手不足、それから、空き家の増加、地域行事の廃止、地域公共交通の存廃問題、これら今定例会でも多分議論になろうさまざまな問題のほとんどが、この人口減少によって引き起こされていると思います。
 この人口減少に歯どめをかけない限り、結局、どんな手を打ったとしても、その場しのぎの対策にしかならないと私は思います。人口減少が進んで、県民生活の全ての分野でこのように影響が出ている今、将来世代にツケを回さないように取り組んでいく、これが、今を生きる我々の責務ではないかと思っています。
 そんな中で、知事は、今後の県政運営において、人口減少対策に最優先に取り組むとおっしゃられました。これは当然のことだと思います。最優先が名ばかりにならないよう、これまで以上の積極的な取り組みに私は期待したいと思います。そのことを最初に申し上げて、質問に入ります。
 去る9月25日、改選後最初の岩手県人口問題対策本部会議が開催されました。会議の中では、出生数が落ち込む最大の要因を女性の減少として、令和6年度以降の少子化対策の方向性が示されました。
 きょうは、会議で示された方向性の3本柱プラス1、有配偶率の向上、有配偶出生率の向上、女性の社会減対策、そして各市町村の状況に応じた支援の4項目に絞って、今後の県の取り組みについて伺いたいと思います。
 初めに、柱の第1、有配偶率の向上。これは、簡単に言えば婚姻数をふやすということだと思いますが、未婚化、晩婚化は、少子化の大きな要因でありまして、岩手県の非常に大きな課題、弱点であると思います。県は、この課題解決のために、2015年に“いきいき岩手”結婚サポートセンター―i−サポを立ち上げて、結婚支援に取り組んできました。
 しかし、設置から8年が経過したわけでありますが、これまでの成婚実績は132組にとどまっておりまして、年々成婚数が減っている状況になっていることは、本当に残念でなりません。
 そこで伺うわけでありますが、知事は、マニフェストにこの結婚支援も盛り込んでいらっしゃいます。そして、i−サポについては、成婚数が高まるよう拡充を図るとしていますが、具体的に何をどのように拡充して実績を上げていかれるおつもりか伺います。
〇知事(達増拓也君) 県では、i−サポの開設以降、出会いの機会をより多く提供するため、拠点の増設や出張サービスお出かけi−サポの順次拡大、AIを活用した新たなマッチングシステムの導入など、事業の充実を図ってまいりました。
 また、i−サポを十分に周知し、より多くの方々に利用していただくことが重要でありますことから、今年度は、会員登録料無料キャンペーンの実施や結婚支援コンシェルジュの配置、市町村や民間企業との連携など、i−サポによる結婚支援の取り組みを強化したところであります。
 今年度は、9月末時点の成婚組数が12組と昨年度を上回るペースとなっているほか、8月から実施している会員登録料無料キャンペーンでは、これまでの2カ月間に新規入会者数は160人と通常の約3倍になるなどの成果が出ております。
 会員数の増加によって、これまで以上にマッチング機会の増加が期待されますことから、このマッチング精度の向上、交際から成婚に至るまでのフォローアップの充実など、成婚者の増加につながる方策について、会員等の意見も踏まえながら検討し、結婚支援の充実を図ってまいります。
〇36番(佐々木努君) 昨年度よりも少しふえているということでありましたけれども、相対的に見て、毎年何か必ず新しいことをやるのだけれども、実績は反比例してどんどん成婚数が減ってきているというのが、ここ数年の流れです。コロナ禍があったからと言えばそれまでなのでしょうけれども、私は、根本的に他県の実績を上げている取り組み、そういうものを積極的に導入しようという姿勢が何となく感じられない。
 私は委員会でもいろいろなことを言うのですけれども、例えば“いきいき岩手”結婚サポートセンターについては、何度も言っています。フォローアップするなら“いきいき岩手”結婚サポートセンターの方々がフォローアップするとか、それから、根本的に若い女性の県外流出が激しくて、若い女性がいないという中で、県内でカップルをつくろうと思ってもなかなか難しい。そうであれば、やはり他県の方と一緒になっていただく、マッチングをするという取り組みを行うとか、いろいろなことを考えていっていいと思うのです。そういうものはなしで、ただ単に会員登録料を無料にするとか、結婚支援コンシェルジュの方も1名配置ということですが、どれだけ効果が上がるのか、私は期待と疑問と半々なのですが、そういう取り組みに終始しているところが、何となく実績が上がらない大きな要因なのかと思っています。そういうところも検討していただければと思うところであります。
 次に、柱の二つ目、有配偶出生率の向上についてであります。
 有配偶出生率の向上のための取り組みとして、子育て支援の強化は絶対に不可欠だと思います。
 よく国や県、市町村が支援しても、なかなか効果が上がらないのではないかとおっしゃる方もいらっしゃいますが、私は、もし国とか県とか市町村が何もやらなければ、もっと大変なことになっているのではないかと思っておりますので、これまで以上に、まさに異次元の少子化対策に取り組んでいただくことが必要だと思うわけであります。
 そんな中で、県といいますか知事も、岩手県の子供子育て支援は全国トップクラスだということをあちらこちらでおっしゃっています。資料を見せられると、確かに制度的にはそうかと思うところもあるわけではありますが、もしトップクラスということであれば、頑張ればトップになれるのではないか。むしろ、トップを目指すぐらいの気持ちで、この少子化対策に臨むべきではないかと思うわけであります。
 この際、子育て環境日本一を目指す宣言でも出されて、これまで以上に取り組む姿勢を県内外に示したらいかがかと思うのですが、どうでしょうか。知事は宣言が得意ですので、こういうものもぜひ積極的に取り入れてやっていただきたい。
 あわせて、トップになるには、やはり他県でやっていないことをやらなければならない。そうであれば、県全体で給食費の無償化に取り組むことも考えてみてはいかがかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) まず、子育て支援につきましては、やはり取り組みを充実させていくことが重要であり、第2子以降の3歳未満児を対象とした所得制限を設けない保育料無償化や在宅育児支援金創設など、今年度からスタートさせている、まず他県でも例の少ない岩手県独自の支援策の充実を図ることが重要と考えております。
 効果的な情報発信、機運醸成のあり方としては、いわてで生み育てる県民運動のもと、いわての子みんなでつくる大きなゆりかごというキャッチフレーズを策定するなどしているところでありますけれども、この情報発信や機運醸成のあり方については、引き続き広く検討していきたいと思います。
 そして、学校給食費無償化については、本県では、本年度10市町村が全額無償化、19市町が一部補助を行っておりますが、学校給食費の無償化や保護者負担の軽減は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきものであり、国全体として学校給食費の負担のあり方を抜本的に整理した上で、国の責任で、財源を含め具体的な施策を示すよう、全国知事会として国に申し入れているところであります。
 先般、国が策定したこども未来戦略方針においては、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等も含め、課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討することが盛り込まれておりますので、これが促進されるよう、県としては、全国知事会等とも連携し、国に働きかけてまいります。
〇36番(佐々木努君) 私は、宣言というのは非常に大事で、宣言を出せば、県民も民間の方々も、そして何よりも職員の方々も、頑張らなくてはだめだという気持ちになって、一体となって取り組めると思うわけであります。県のやる気を示すということが、日本一出生数の減少幅が大きい岩手県が取り組まなくてはならないことだと思うのですが、ぜひ検討していただきたい。
 給食費も、経済的負担だけではなく、食育の関係とか学校業務の軽減とか、さまざまいいことがあって、確かにこれは国がやるべきことだということは理解していますが、医療費助成であっても、そういうことを言いながらも、各県、各市町村が頑張ってやっている。私は給食費も同じことであって、それぐらいのことをして初めて、岩手県はすごいな、岩手県に移り住もうかな、あるいは、やっぱりここにずっといて、結婚して子供を産もうかな、そう思ってもらえる人をふやすことにつながるのではないかと思います。簡単にはいかない話ですけれども、ぜひ検討していただきたいと思います。
 そして、できない一番大きな理由は、予算、財源がないということだと思います。それは理解しています。もしそうであれば、これも何度も言っていますけれども、国からの補助金とか交付金とか、そういうものを当てにしないで、あるいは借金もしないで、県民の力をかりて財源を確保する、そういう取り組みを今やらなければならないのではないかと私は思っています。
 いわての森林づくり県民税もそうでした。始めるときはいろいろな議論がありましたけれども、皆さん賛同してくれています。年1、000円徴収されていることに気づかない方もいらっしゃることは事実でありますけれども、それでも多くの方が好意的にこの税金を理解している。
 それと同様の仕組み、年1、000円、月にすれば82円です。そういうものを県民の方から理解をいただいて財源を確保する。企業の方々からも支援をいただければ、数十億円のお金は生み出せると私は思います。そういうものを財源にして少子化対策を進めれば、県民の多くの方が納得するのではないかと私は思うわけでありまして、これもぜひ検討してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 学校給食費を県内の全公立小中学校において無償化する場合の年間所要額は、約42億円と計算しているところであります。少子化対策を超過課税で賄う場合、子育て世代も含め広く県民生活に影響が及ぶものであり、県民の十分な理解が必要でありますので、新税導入の効果、税の使途、新税を導入して特別に実施しなければならない財政上の理由、県民の担税力への配慮、課税に対する公平感の確保など、慎重に検討する必要があると考えております。
 一方、国のこども未来戦略方針におきまして、財源の確保とそれに伴う地方財源についても検討が進められておりますので、県としては、その状況を注視しながら、あらゆる歳入確保策を講じ、さまざまな選択肢から検討を行って、継続的かつ安定な財源の確保に努めてまいりたいと思います。
〇36番(佐々木努君) わかりました。毎回、前向きな答弁はいただいておりませんが、私は、批判を覚悟してでも諦めるつもりはありませんし、また引き続き求めてまいりたいと思います。
 それから、少子化対策を進めていく上で、これも何度もお話していますが、民間企業の取り組みが不可欠だと思います。その観点から、次世代育成支援対策推進法上の一般事業主行動計画の策定義務、これは今、常時雇用従業員100人以下の企業に対しては努力義務ですが、これをぜひ県条例において100人以下の企業に対しても義務化するということ、そして、民間企業の協力をいただきながら何とか少子化対策を進めていくということをやるべきだという提言をしてきました。
 これまでも何度も提言をして、その都度、前向きな答弁はいただいておりませんでしたが、今回、知事のマニフェストを見ましたら、常時雇用従業員100人以下の企業に対して義務化、そういう文言が入っておりましてびっくりしました。これは県がやる、手をかけるということなのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 本県では、一般事業主行動計画の策定が努力義務とされている常時雇用労働者が100人以下の企業等を対象に、計画の策定促進に向けたインセンティブとして、いわて子育てにやさしい企業等認証制度を実施しておりますが、この認証実企業数は、本年9月末で239社となっており、その半数以上が県内で多数を占める従業員30人未満の企業等でありますことから、認証制度は、小規模企業等における計画策定に一定程度寄与してきたものと認識しております。
 このような状況のもと、働き方の問題が重要であるとの認識も広まってきており、県内企業数で98%、従業員数で約80%を占める従業員100人以下の企業等において、仕事と子育ての両立に向けた雇用労働環境の安定にさらに取り組んでいただくため、各企業等での行動計画の策定を義務化することも有効な方策の一つとして考えたところであります。
 行動計画策定の義務化に当たりましては、企業等の理解の醸成、関係機関、団体との調整、対象とする企業の従業員数の範囲や規程の内容などの整理が必要でありますので、他県の取り組み事例も情報収集しながら、具体化に向けて検討してまいります。
〇36番(佐々木努君) 毎回言ってきたかいがありました。ぜひ、企業の方々の協力をいただいて、知事が先頭に立って実現してほしいと思います。
 次に、3本目の柱である女性の社会減対策について伺います。
 人口減少の最大の要因を女性人口の減少であるとされましたが、その対策に、なお一層取り組んでいかなければならないと思います。今後どのように対策を講じていかれるのか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 先般開催した岩手県人口問題対策本部会議におきましても、本県における出生数の減少の大きな要因は、女性の人口減少であるとの分析結果が示されました。この分析では、女性人口の減少要因は、女性の出生数の減少と女性の転出超過に分解されるとされており、出生数の増加に向けた自然減対策とともに、女性の県内定着につながる施策を強化することが重要であります。
 特に、20代前半の就職期に当たる女性の社会減が大きいことから、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方改革や労働環境の改善、賃金水準の向上など、若者、女性に魅力ある職場環境づくり、女性を対象とした開業資金貸付制度やいわてスタートアップ推進プラットフォームによる支援の拡充など、さまざまなビジネスや社会活動の分野で、これまで以上に女性が活躍できる環境を構築する必要があります。
 このため、年度内に実施すべきものについては取り組みを具体化するとともに、来年度当初予算編成に向けても、効果的な事業の検討を進めてまいります。
〇36番(佐々木努君) 今、知事がおっしゃった事業は、これからもしっかりと取り組んでいかなければならない大事な事業だと思いますが、私は、それだけでは女性の県外流出はとめられないと思っています。
 知事は、以前から、岩手県には女性の生きにくさがあるとおっしゃってきました。それを生きやすさに変えていくともおっしゃっていました。私は、その女性の生きにくさというのが岩手県においての少子化に大きく影響している、まさに知事と同感であります。
 そして、その生きにくさの最大の要因は、ジェンダーギャップ、偏見だと思っています。女性の職場環境を改善していく、それは当然のことですけれども、女性に対しての偏見を変えていくことは非常に難しい。今のこの国の本当に大きな問題だと思っていて、少子化の大きな要因だとも思っています。
 また選挙の話になって恐縮なわけでありますけれども、今回の知事選で、女性候補者に対する県民、特に男性の見方、これには非常に厳しいものが実はありました。若い女に何ができるとか、女に知事は無理だとか、そのような言葉を私は何度も耳にしてきました。改めて、岩手県は女性に対して本当に厳しい県なのだなということを実感しました。その人の人柄や考え方以前に性別や年齢で判断される、そういうことがどれだけ人を傷つけたり意欲を減退させるか。そういうものを多くの若い女性は見てきて、そして、これからも見ていかなければならないようなところに、本当にここに住みたいと思うのかと思うと、私がもし女性だったら思いません。そういうことを今回の知事選で私はより強く感じて、やはりジェンダーギャップとか偏見を岩手県で少しでも改善していかない限り、結局、若い女性の県外流出はとめられないと思います。
 これは目に見えない部分なので、本当に取り組みは難しいと思いますが、そういうところにも知事は積極的にかかわって改善してほしい。知事は県庁で言えばトップですから、職員の中にも、そういうものをしっかりと広げていってほしいと思うわけであります。
 これは内閣府の調査でありますけれども、職員の登用率の女性管理職の割合ですが、岩手県は9.6%、全国で38位ということであります。一方、全国で去年唯一出生数が増加した鳥取県は、第1位で22%ということであります。これだけの開きが県庁内でもあるということ、こういうところにも、私は出生数がふえるところと減るところの差が出ているのではないかと思えば、やはり女性にどれだけ頑張ってもらえるか、女性を尊重しながら頑張っていく環境がつくれるかということが、少子化対策の大きな決め手になるのではないかと思いますので、知事の足元の部分もしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 各市町村の状況に応じた支援の実施について、具体的な中身をお聞きしたかったのですが、これは、また別の機会にお聞きしたいと思います。
 もう一つ、知事が市町村長とともに発出しようとした人口減少を打開する共同宣言、これが一体どうなっているのかについてもお聞きしたいのですが、これもまた、別の機会にお伺いしたいと思います。大変申しわけございません。
 最後に、地域治療についてお伺いしたいと思います。
 先ほどから県立病院が岩手県の強みであるという話を知事もおっしゃっておりましたが、私は、県立病院に頼る県医療こそ、岩手県の弱点だと思っています。これまで岩手県の医療を県立病院が支えてきたことは間違いありませんし、医療関係者の方々には心から感謝をしております。
 ただ、県民にとって頼みの綱である県立病院も、医師や看護師の不足あるいは診療科の偏在化が今進んでおりまして、この先も安定的な医療が提供できるかどうかわからない状況に、私は不安を感じています。
 加えて、これも先ほどの議論にありましたが、県立病院には毎年220億円を超える予算が県の一般会計から繰り入れられています。私は、この状況はますます悪化すると言えばいいのか、この操入金はますますふえていくのではないかと思っています。そういうことになれば、岩手県のさまざまな県民サービスに大きな影響、ダメージを与えることは明白であるという観点からも、県立病院の規模、役割を含めたあり方について、やはりもう一度考え直す時期に今来ているのではないかと思います。
 その一つの取り組みの一環として、今、医療需要がどんどん減少していく中にあって、医療圏も含めた県立病院、市町村立の医療機関の統合、再編を進めて、そして、県内のどの地域にいても、比較的近い場所で安定した医療が受けられる環境を一日も早く構築することが、今後の安定した県医療を構築するために大事な取り組みではないかと私は思っています。
 そこで、知事に伺うわけでありますが、県立病院のこのような今の、そして、これからの医療現場の非常に厳しい状況が予測される中で、県立病院の統合、再編を進めるべきではないかと思いますが、知事のお考えを伺います。それから、先ほどハイボリュームセンターの考え方について議論がありましたが、改めて、ハイボリュームセンターが統合、再編の一つなのかということも含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県内において高度、専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していく意味で、このハイボリュームセンターの整備をマニフェストプラス39に盛り込んだわけであります。これについては、まずは中核となる病院に疾病・事業別医療圏の設定等に対応して一定の機能集約を図って、症例数や手術数を確保していくことを検討しているところであります。
 当面の県立病院のあり方につきましては、やはり県立病院が初期医療等の役割も担うなど、県民福祉の増進のために最も重要な社会基盤を県が直接県民に提供してきたこともあり、また、今般の新型コロナウイルス感染症への対応においても、令和4年度においては、県内の入院患者の6割以上を県立病院が担うなど、公立病院として大きな役割を果たしてきたことを踏まえ、今後も、そのネットワークを生かして、人口減少や医療需要の動向等、環境の変化に応じた役割や機能の見直しを図りながらも、県全体の医療提供体制の中で、県立病院が主要な役割を果たしていく必要があると考えております。
〇36番(佐々木努君) 何かわかったような、わからないような答弁でありました。私は、この4月に網膜剥離という目の病気をいたしまして、地元の眼科に通って、すぐに手術を受けなければだめだと言われて、仙台市か盛岡市に行けと言われました。
 私の周りにも県立病院はたくさんあるので、近くで何とかなりませんかと言ったら、できない、盛岡市か仙台市に行かなければだめだということを言われて、盛岡市のほうに行って治療していただいたわけでありますけれども、何でこれだけ県南地域に立派な県立病院がたくさんあるのに、こういう手術ができないのか。私のような患者は病院にたくさんいました。県内のあちこちから集まってこられた方がたくさんいて、みんな、やはり盛岡市に行かなければ治療が受けられないという、岩手県は今そのような状況なのだということを改めて感じました。
 これだけ広い県土ですから端から端まで行けば3時間以上はかかる、盛岡市まで行くのにも県南地域からは1時間以上かかるわけであります。私は、やはりこれからの医療は、病院がただたくさんあればいいということではなく、県南地域に大きな病院があって、そこに行けば、県南地域の人たちはそこでほぼ病気を治してもらえる、そんな医療こそ、これから人口減少が進む中で必要な医療なのではないかと感じたわけであります。そのためなら、やはり統合、再編も含めたハイボリュームセンターの設置は、これからの未来に即した取り組みではないかということを感じました。
 ぜひ、統合、再編も含めた県南地域、あるいは県北地域にもあってもいいと思いますけれども、そういう拠点をしっかりとつくる医療体系を考えていっていただければと思います。これは、いつかまた議論させていただきたいと思います。
 最後に、周産期医療についてもお伺いしたいと思います。
 全国的に産科医の不足が叫ばれているわけでありますけれども、岩手県にとっては、他県以上に深刻な状況だと私は思っています。
 現実的に、私の住む奥州、金ケ崎地域においても、出産する医療機関、産科施設が一つもないという状況は知事も御存じだと思っておりますが、一日も早く出産できる環境を復活してほしいというのが本当に地域住民の切なる願いだと思っています。
 県には、これまでも産科医師の確保には頑張っていただいてきたと思うわけでありますが、奥州、金ケ崎地域において、今後の産科医師の確保の見通し、そして県内各医療圏の産科医師の確保の見通しはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県では、限られた医療資源のもとで、効率的かつ質の高い周産期医療を提供するために、四つの周産期医療圏を設定して、地域の産科診療所や周産期母子医療センターとの機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた医療提供体制の整備を進めてきております。
 医療局医師養成事業に産婦人科特別枠を設置し、また、周産期母子医療センターへの配置における義務履行とキャリア形成の両立を可能とする特例措置など、産科を選択する医師の確保に努めているところでもあります。
 現在、県内10カ所の周産期母子医療センターには、養成医師10名を含む64名の産科医師がおり、うち奥州、金ケ崎地区を含む岩手中部・胆江・両磐周産期医療圏の周産期母子医療センターには15名が勤務しているところであります。
 県では、今年度、産科等の診療科について、新たに市町村医師養成事業に7名の地域枠を設置したところであり、引き続き、奨学金による産科医師の養成により周産期母子医療センターの産科医師を確保し、安心して妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
〇36番(佐々木努君) そうすると、来年度は今年度よりも産科医師はふえるという認識でよろしいですか。
〇知事(達増拓也君) 今述べたとおりでありまして、今年度、新たに7名の地域枠を設置したところであり、引き続き、奨学金による産科医師の養成によって周産期母子医療センターの産科医師を確保していくと。現在、岩手中部・胆江・両磐周産期医療圏の周産期母子医療センターには15名が勤務しているということです。
〇36番(佐々木努君) 7名がそのまま4月に配置になるということではないですよね。私は、ふえるのですかふえないのですかということをお聞きしたわけです。
〇知事(達増拓也君) 市町村医師養成事業に7名の地域枠を設置したということであります。
〇36番(佐々木努君) わかりました。担当課からふえる見通しだという話を聞いておりましたので、ふえるという力強い答弁を期待していたのですが、私の地元の奥州、金ケ崎地域においては、残念ながら、来年度も医師不在ということになると思いますけれども、県内全域で産科医がふえることはうれしいことでありますので、引き続き、知事を先頭に産科医の医師確保について全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 院内助産についての取り組みについてもお聞きしたいところでありましたが、また別な機会に議論させていただきます。
 御答弁ありがとうございました。以上で終わります。(拍手)
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって佐々木努君の一般質問を終わります。
   
〇議長(工藤大輔君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時45分 散 会

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