令和5年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(中平均君) いわて新政会の中平均です。今任期最初の定例会においての代表質問で登壇の機会をいただきました会派の皆様、また、議員の皆様に感謝を申し上げます。
 私たち、いわて新政会は、今まで是々非々で知事初め執行部と議論を交わしてまいりました。これからも同様の考えで行動していくものであります。
 それでは、質問をさせていただきます。達増知事の明快な答弁を期待いたします。
 それでは、最初に、知事の5期目への方針についてお伺いいたします。
 最初に、知事が目指す世界の中の岩手について伺います。
 知事演述において、これからの4年間は、岩手の価値や魅力を全国、海外の人と共有するため、世界に打って出るときとおっしゃられておりますが、この具体的な意味、そして施策をお伺いいたします。
 以下の質問は質問席で行わせていただきます。
   〔38番中平均君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
 演述についてでありますが、ニューヨークタイムズ紙の2023年に行くべき52カ所の記事において、盛岡市の景観だけではなく、住民や生活文化の豊かさが高く評価されたことにより、岩手県には全国や海外の人々と共有すべき、かけがえのないすばらしい価値や魅力があることを、県内外の多くの人々が改めて気づくことができたと思います。
 これらの魅力を全国や世界に発信し共有することは、県内産業の振興や交流人口、関係人口の拡大、さらに県民一人一人の誇りとなり、仕事や生活、学びを通じて、岩手県をベースに幸福度を高めるための大きな力となります。
 社会経済がコロナ禍から回復しつつあり、岩手県が世界から注目されている今こそ絶好の機会であり、岩手県で暮らし、学び、働くことの魅力、価値に関する情報発信、戦略的なプロモーションによるインバウンドを初めとした交流人口の拡大、農林水産物を初めとした県産品のトップセールス等による戦略的な輸出促進など、全国や世界に打って出るさまざまな施策を展開してまいりたいと思います。
〇38番(中平均君) 知事演述において、これは一番最後のほうで知事の言葉として出てきておりまして、その前にさまざまな施策が、今の答弁の施策も含めてあったのですが、やはり打って出るという力強い発言である以上、もう少し具体的に記載して、発信していくべきではなかったかと思って、あえて、ここで一番最初に質問させてもらったところでございます。
 それでは、次に進ませていただきますけれども、知事演述には、個人の希望に基づく自由な生き方の選択を応援するということでございましたし、これは私も同じ考えでございます。その上で、岩手で学び、岩手で暮らす、県外で学び、岩手で暮らす、県外で身につけた力を岩手で発揮する、県外で暮らし、岩手とつながる、県外出身でも岩手で暮らすの5パターンを例示しながら、選択を尊重し多様なライフステージに応じた支援を強化していくとありました。
 関連する施策も挙げられておりましたけれども、より具体的にいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに機動的に追加するものを発信していくべきではないかと考えます。
 令和5年3月の予算特別委員会において、奨学金に対する私の質問に対して、知事からは、基本的な考え方としては、教育というのは、特に経済的な困難に直面している状況から、自分の経済的な状況を大きく変えることにつながり得るものである。まずは今回の事業―これは、高校奨学事業費補助での奨学金でありますけれども―を軌道に乗せることを考えているが、委員御指摘の点は、県民をエンパワーして、そして、幸福度を高めていくという県の方向性と一致するという答弁がありました。
 現在行われている、いわて産業人材奨学金返還支援制度については、今年度から対象者、対象企業を拡大しており、若者の県内定住と県内企業の人材確保に効果が発揮されることが大いに期待されています。
 私としては、現在、困窮世帯への支援策として実施している給付型奨学金制度を拡充し、さらに県外で学び、岩手県で暮らそうとしている人を対象に加えるなど、岩手県独自の給付型奨学金として大胆に拡充して、岩手県のインセンティブとして発信していくことが、知事の言う選択を尊重し多様なライフステージに応じた支援となるのではないでしょうか。
 支援を受ける人たちにとって、経済的な理由による消極的な選択を少しでも将来に対する積極的な選択を促すことにつながり、このことは、まさに岩手県で生まれ、岩手県で育ち、岩手県で生活する、県外で得た力を岩手県で発揮する、もしくは県外から岩手県を応援するにつながるのではないかと思い提案いたしますけれども、知事の考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 給付型奨学金は、意欲のある高校生等が、経済的理由により大学等への進学を断念することがないよう、真に支援が必要な低所得者世帯の学生を対象として、令和2年度に国が導入し、支援を行っています。
 令和6年度からは、対象に中間所得層の多子世帯や私立理工農系進学者を加えるなど制度の拡充が図られる予定となっています。
 県では、将来、岩手県で活躍する人材を育成、確保するため、いわて産業人材奨学金返還支援制度や医師や看護師などを養成する奨学金制度などを設け、本県を取り巻く環境の変化を踏まえ、制度の拡充を図るなど、職業人材の確保やU・Iターンの促進に努めてきたところであります。
 県といたしましては、引き続き、政府予算要望等の場を通じて、国に対し、給付型奨学金や授業料減免制度のさらなる拡充を要望するとともに、県独自の制度の一層の活用を図りながら、個人の選択を尊重し、多様なライフステージに応じた支援を強化してまいります。
〇38番(中平均君) 知事にもう一度確認ですけれども、今の答弁で、令和6年度から拡充するという御答弁があったと思ったのですが、その点をもう一度お聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 国の給付型奨学金が低所得者世帯の学生を対象としているところから、中間所得層の多子世帯や私立理工農系進学者を加えるということであります。
〇38番(中平均君) 国の制度として拡充していくというところで、当然、岩手県も乗っかっていくという中でありますけれども、やはりその中に、国がまずやっていくべき施策だということはそのとおりだと思うのですが、岩手県のインセンティブとして、やはり県としても、今、医師の確保であり、先般の議論で出ていた保育士等、各種県独自でやっておられるものもあるのは重々承知の上ですけれども、そこを踏まえて、さらに拡充していくといった発信をしていくべきではないか。そういう事業を行っていくことが、知事が演述で言っていた、個人の希望に基づく自由な生き方の選択を応援するという思いにつながっていくのではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) いわて産業人材奨学金返還支援制度や、医師、看護師の奨学金制度は、その後、岩手県内で働くことについて制度的に確かなものにするような制度設計をしているのですが、国の給付型奨学金は、大学進学後どこで働くかということについて、岩手県で働くことをより確かなものに制度化していくのがいいのかとか、さまざま論点があるところと考えております。まずは、国における国の制度の拡充、そして、岩手県のこの制度を岩手県として拡充していく方向で進んでいきたいと思います。
〇38番(中平均君) 了解したといいますか、その考えはわかりますけれども、やはり岩手県独自の、戻ってきて働く人の分は、先ほど言ったいわて産業人材奨学金返還支援制度ですね。そして、医師確保のほうは、地域枠をつくってやっているというのも重々承知していて、それも一定数の成果が出てきているということであります。そうすれば、その個人の選択、学生の選択に対して、さらに広く使える方向性を持っていくべきではないかということで提案しているのでありますので、今後も、より検討を進めていっていただきたいと思います。
 次に、歳入確保についてお伺いします。
 事業を実施していくためには当然予算の確保が必要です。知事演述では、グリーン/ブルーボンドの発行について触れつつ、新たな歳入確保策を検討することとしています。
 6月定例会で質問させていただきましたが、全国初となるグリーン/ブルーボンドは、他の地方債と比較して低利な0.25%という金利で、50億円の募集に対して300億円を超える申し込みが来て、結果的に100件を超える投資表明を獲得するなど大きな成功をおさめたと評価しています。
 グリーン/ブルーボンドに続く新たな歳入確保策として、6月定例会において個人を対象にした地方債の発行を提案したところです。岩手県内外を問わず、岩手県に関心のある個人を対象とした地方債を発行してはどうかという提案をさせていただきました。その際は検討するとの回答でございました。
 今回の中期財政見通しにおいて、令和9年度で基金が枯渇するという厳しい見通しが明らかになっています。さらなる追加的な歳入確保の取り組みは急務であると考えますが、新たな歳入確保策についてどのような考えをお持ちかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 財源の確保につきましては、県有資産や各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなど、これまでの取り組みを一層強化しつつ、グリーン/ブルーボンドや、6月定例会で議員から御提案のありました本県に関心を持つ県外在住者を主なターゲットとした個人向け地方債の発行など、全国をリードする新たな財源確保手法についても積極的に導入を進め、必要な財源の確保に努めてまいります。
〇38番(中平均君) 個人を対象とした地方債の発行も進めていくという答弁でございました。さまざまな歳入確保策を講じながら、この厳しい財政を乗り越えていかなければならないと思いますので、今後とも、この点はお願いしていきたいと思っております。
 また、地方交付税についてです。これも6月定例会において質問させてもらいましたけれども、知事からは、国に働きかけていく、求めていくという答弁でありました。これは6月定例会が終わってすぐ選挙ということでありましたが、今後の活動について、知事はどのようにしていくのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 国は、地方財政計画において、地方全体では実質的に前年度並みの一般財源総額を確保することとしておりますが、個別の地方公共団体の地方交付税の算定においては、人口がベースとなる費目が多く、岩手県のように人口減少に直面する団体の地方交付税を含む一般財源が減少する状況となっております。
 地方交付税は、財源保障のほか、団体間における財政力の格差を解消するという財源調整機能も有しておりますので、この重要性について、現在の算定方法の問題点を明らかにしつつ、不断に国に訴えていく必要があります。
 今年度も、既に国に対して過疎地域における地域振興や小規模高等学校、地域医療の維持など、人口減少下においても地域を守り、未来につなげていくために必要な財政需要が適切に反映されるよう、要望しているところであります。
 今後も、地方が直面する課題により的確に対応していくため、地方交付税の財源保障機能と財源調整機能が十分に発揮されるよう、地方交付税制度の改善について、全国知事会等とも連携しながら提言をしてまいります。
〇38番(中平均君) ここは、やはり今まで以上に積極的にやっていただきたい。そうでなければ、人口減少は地方になればなるほどより急速に進んでいく中で、算定の基準が人口にあるという今の状況を考えますと、その点をきちんと発信していきながら、そして、具体的に実現していかなければならないというところだと思います。その点について、今後の活動をまた注視してまいりたいと思います。
 あわせて、公共事業費についてもお伺いします。
 国における予算措置の関係上、県の公共事業は15カ月予算という形になるのが通常でありますけれども、この厳しい財政状況で、まだまだ県内でやらなければならない事業がある中において、より積極的な予算確保の取り組みという点についてどのように考えているのか、知事の見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 広大な県土を有する本県におきましては、道路などの社会資本の整備は重要であり、公共事業費について、安定的に予算を確保していくことが必要であります。
 そのためには国費の確保が重要でありますので、本年6月、令和6年度政府予算に関する提言・要望を実施し、国土交通省に公共事業予算の安定的、持続的な確保などの内容を直接説明したところであります。
 そして、今月には全国知事会を通じ、国土強靱化の取り組みに必要な予算、財源について、資材価格の高騰等に対応する中でも、令和5年度補正予算を例年以上の規模で確保すること、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策完了後においても、切れ目なく継続的、安定的に取り組みを進めるため、必要な予算、財源を確保することなどを提言いたしました。
 防災対策や産業振興、生活を支える社会資本の整備は国の使命でもありますことから、その観点からも、国に対し、地域事情を説明し、施策を提案することなどにより、公共事業費の安定的、持続的な確保に努めてまいります。
〇38番(中平均君) そのとおりのことですので、ただ、実際15カ月予算という中で、これから質問していく河川の復旧等の関係も、そちらのほうは、災害ということもあって予算措置もできてくるのでしょうけれども、道路とか、さまざま政策的に組んで、どうしても県の財政が厳しい以上、国の予算の箇所のつけ方によって差が出てきているという現実もあります。その点を踏まえて、より地方の実態を踏まえた確実な予算措置、そして事業執行に努めていっていただきたいと考えています。
 次に、県庁舎の建てかえについてです。これはもう聞いていますので、耐震診断の結果を受けて、どう考えているのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 今般実施した耐震診断の結果、県庁舎についてのコンクリートの劣化状況や残存年数、大規模な地震による危険度等が判明いたしました。あわせて、技術的に対応が可能な耐震補強案の提示を受けましたので、現在、改修と建てかえの具体案の比較など、具体的なデータや科学的知見の裏づけに基づいた検討に着手しているところであります。
 そして、他県の県庁舎整備における財源確保のための基金造成などの例も参考に、多角的な観点から、財政負担、財源についても検討する必要があると認識しております。
 専門家の知見や県議会の意見も参考に、県庁舎のあり方について検討を進めてまいります。
〇38番(中平均君) では次に、物価高騰対策についてお伺いいたします。
 6月定例会で質問したLPガスへの支援については、想定したスケジュールからおくれが生じたとのことですけれども、9月検針分の請求時に6カ月分を一括で値引きすることとして、支援金の支出は10月以降、見込み額は9億1、800万円余となっています。
 このLPガスを使用する一般消費者等に支援が行き届くよう、引き続き取り組みを進めていただきたいと思います。
 一方、国においては、電気、都市ガス料金の激変緩和措置が12月まで延長されています。現在検討されている経済対策では、年明け以降の対応についても検討しているとのことです。
 岩手県が実施しているLPガス価格高騰対策について、4月から9月までの使用量を対象としていますけれども、今回の事業の実施状況を踏まえ、対策の継続等についてどう考えているのかをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) LPガスの価格高騰への対応については、多くのLPガス小売事業者の御理解と御協力を得て、LPガスを使用している世帯等の約97%、約35万4、000件が支援対象となる見込みとなっております。
 LPガスの価格が高どまりしている中、これから冬季を迎え、使用量の増加が見込まれることや、電気、都市ガスに対する国の支援が延長されたことも踏まえますと、LPガス使用世帯等への対応を検討していく必要があると考えております。
 一方、本事業は、物価高騰に対応した国の交付金を財源として実施しておりまして、事業の継続については、現在、検討が進められている国の経済対策の動向を見きわめながら対応してまいります。
〇38番(中平均君) それに関連して、県が8月末に実施したエネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査結果によれば、9業種全てにおいて、経営への影響があると回答があり、売上原価は増加しているが、価格転嫁はできていない状況となっております。そして、価格転嫁、原料、資材高騰への対応、電気料金の値上げ、人材確保等が経営課題となっておりました。
 また、子育て世代から年金世代まで物価高騰は生活に大きく影響していますが、一人一人に寄り添うという知事の考え方からも、早急な対策が必要と考えます。
 そこで、達増知事が今般の選挙戦を通じて必要と感じた物価高騰対策は何かを伺います。
〇知事(達増拓也君) 選挙中、原油価格、物価高騰については、低所得世帯や子育て世帯、中小企業者や運輸、交通事業者、介護、福祉、医療施設や農業者等から、継続的な対策を求める声を多くいただいたところであります。
 物価高騰対策は喫緊の課題でありますので、これまで迅速かつ機動的に累次の補正予算案を編成し、対策を進めてきたところですが、今後も、県民生活や地域経済への影響、国の経済対策などの状況を見きわめ、先ほど述べましたような世帯や業種等への支援も含めて、県民一人一人に寄り添った必要な支援策を機動的に講じてまいります。
〇38番(中平均君) 機動的に講じていくということでございます。
 その上で、青森県では、9月15日に物価高騰対策の補正予算を発表いたしました。知事選挙の実施時期、予算編成の時期が違うため、単純な比較はできないのは十分承知していますけれども、青森県では、子ども・子育て世帯応援金として、所得制限なしで18歳までの子供を養育する世帯に対し、1人当たり3万円を給付するなどとしております。
 こういった他県の物価高騰対策、子育て支援対策を含めて、岩手県の今回の補正予算と比較しての感想と、物価高騰対策に岩手県としてどのように取り組んでいくのか。その考え、また、スケジュールも含めて示していただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 青森県では、核燃料関係税及び電源三法交付金として200億円程度の財源を確保しているほか、病院事業を含む公営企業への繰出額が本県より300億円程度少ないことなどを背景に、収支均衡予算を7年前から達成する中で、今般、60億円を超える財政調整基金の思い切った取り崩しを行って、物価高騰対策に取り組んでいると認識しております。
 物価高騰対策については、国費による手厚い措置がなされる一方で、それぞれの県が置かれている社会経済情勢や財政構造、エネルギー政策、公営企業への繰り出しの状況等を踏まえながら、それぞれが全力で対応しているものと考えております。
 本県におきましても物価高騰対策は喫緊の課題でありますので、関係団体等からの御意見や御要望等を踏まえ、全国に先駆けて対策を講じてきており、今定例会においても、追加対策として、三陸鉄道に対する運行支援や指定管理施設における光熱費等の負担軽減策などを盛り込んだ補正予算案を提案したところであります。
 今後も、これまで実施してきた支援策を必要な方に迅速かつ確実に届けていくとともに、現在、検討が進められている国の経済対策の動向を見きわめつつ、県としてもこれに呼応しながら、補正予算案の編成を含め速やかに対応してまいります。
〇38番(中平均君) 青森県の状況が岩手県と違うのは、私も重々承知しております。そういった中において、今回選挙が終わって、私ども議員も改選して、知事も当然5期目というところであります。
 そういった中において、今回、財政的に出せる金額が決まっているのは十分承知しているのですが、その中において、きょうの新聞報道でもありましたけれども、国も当然、これから補正予算を組んでいくのだろうと思いますが、そういった情報をどのように捉えて、そして、当然、時機を逸することなくやっていくことが必要なのだと思うのです。
 そういった点において、例えば国からの内示であったり、方向性が示された段階で、定例会中でなければすぐにでも臨時会を開いて進めていくのだとか、そういった前向きなスケジュール感が欲しいと思ったのですけれども、その点はいかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 青森県の物価高騰対策関係の事業規模が、昨年度、令和4年度122億円余だったのに対し、本県は158億円余となっておりまして、今年度は、青森県が231億円余で、岩手県が63億円余ということでありまして、他県に先駆けてというところはございます。
 LPガスについても、他県に先駆け、また、ガス使用量に応じて支給額を変えるというように、電気や都市ガスに準じるようなやり方を岩手県が切り開いたようなところもございます。そういう意味で、早目早目に対応していくということで、財源の見込みが正式決定する前から、きちんと準備して対応していきたいと思います。
〇38番(中平均君) では、次に質問を進めていきます。
 県北・沿岸振興、水産振興についてですが、不漁が続いておりますけれども、主要魚種の資源回復として、さまざま、サケの稚魚、いそ根資源の回復に向けた藻場の再生、また、ふえているウニ資源の有効活用、サケ、マス類の海面養殖の生産拡大といった取り組みが行われています。
 燃料費、機材等の高騰もあり、また、野田村におけるGI認証を受けている荒海ホタテでは、今までとは違う種類の貝毒が発生するなど、そして、沿岸全域の藻場の再生も道半ばというところで、水産業を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
 その中で基幹産業としての振興を図っていく必要がありますが、知事は、関係団体と連携した水産業リボーン宣言に基づく取り組みで危機を乗り越えようとしていると演述していますが、実際の成果をどう捉えているのかをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) まず、サケ資源の回復につきましては、大型で遊泳力の高い強靱な稚魚を生産し、放流実績は、目標を上回る約9、300万尾となっております。
 ウニ資源の有効利用につきましては、畜養、出荷の取り組みが12漁協に拡大し、今年度は、需要の高い12月に、朝に水揚げした県北地域のウニを、新幹線等を活用し首都圏の飲食店に届ける物流モデルの構築やブランド化に取り組むこととしております。
 サケ、マス類の海面養殖は、今年度は6地区で約1、800トンと前年度に比べ約1.5倍の生産実績となっており、来年度は8地区で約1、900トンの生産が計画されております。
 そして、貝類につきましては、ホタテガイに比べて貝毒の影響が少ないとされるアサリの養殖試験を3漁協で開始しておりまして、県といたしましては、今後とも、関係団体、機関と連携しながら、このような取り組みを通じ、本県の水産業の持続的発展を期してまいります。
〇38番(中平均君) そういった中において、主要魚種の不漁で、先般、沿岸部の水産加工会社が民事再生という報道もございました。そして、きょうの報道だと、北海道の秋サケは36%減ということで、去年、ことしの春の種苗も北海道から持ってきていたというところもあるので、またその確保等をどうしていくかという点もあるのだと思うのです。
 そういった意味においては、水産業リボーン宣言を行って、いろいろ進めてきている。少しずつ芽が出てきているけれども、全体としてはまだまだ厳しいところがあると認識しているのですが、知事、どうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 水揚げ金額の面で見ますと、サケの水揚げ金額の減少に対し、マイワシ、サバ、ブリ等、増加している資源の水揚げがございます。
 また、ウニの有効活用、サケ、マス類の海面養殖などによって、現時点で、水揚げ金額で見ますと、主要魚種不漁問題以前に比べ、おおむね6割程度が補完されていると捉えております。加えて、漁業共済等による減収補填が一定程度対応されている状況であります。
 現在、そういう状況をさらに改善すべく、関係団体と連携し、水産業リボーン宣言のもと、取り組みを着実に進め、主要魚種不漁という課題を乗り越えていきたいと考えております。
〇38番(中平均君) 知事演述で水産業リボーン宣言に基づく取り組みで危機を乗り越えようとしているというのは、もう峠を越えたようなイメージが発信されてしまうのではないですか。そうではなくて、危機を乗り越えていかなければならないとか、そういう形で、まだまだ大変だと。今の知事の答弁での認識というのは、多分私たちも、知事初め執行部の皆さんも同じだと思うので、そういった発信をぜひこれからお願いしたいと思います。
 次に、県北地域の人材育成ということで、産業と起業の人材育成についてですが、一関高等専門学校では起業家育成のコースができている。徳島県では、起業家育成をコンセプトに私立神山まるごと高等専門学校がことし4月に開校しています。
 人材育成は息の長い取り組みにならざるを得ないと思いますが、知事の人材育成についての考え、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトとの連携を含めた考えを伺います。あわせて、産業技術短期大学校の県北地域への新設の具体的な取り組みをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 北岩手の持つポテンシャルを最大限に発揮した持続的な地域振興を図っていくためには、地域の特性を生かした産業振興を進めるとともに、地域産業を担う人材育成を継続的に展開していくことが重要であります。
 このような考えのもと、いわて県民計画(2019〜2028)の北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにおきまして、企業等の中核人材など、地域産業の未来を担う人材の育成に長期的に取り組んでいくことなどを盛り込んでおります。
 そして、マニフェストプラス39に掲げた県北地域への産業技術短期大学校の新設につきましては、この北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトにも関連するものであり、市町村や地域の方々の意見を丁寧に聞きながら、現在、策定を進めている県立職業能力開発施設再編整備計画の中で検討を進めてまいります。
〇38番(中平均君) 次に、道路ネットワークについてお伺いします。
 この道路ネットワークを確立していくことの必要性は、皆様御承知のとおりでございます。久慈市で言えば、久慈─盛岡間の久慈内陸道路、国道281号を進めていく必要がありますが、いつまでにやるという具体的なもの、スピード感を持って進めるべきと考えますが、考えをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県北地域の道路ネットワークの強化は、災害に強い県土づくり、そして、県北地域の産業振興や広域観光の推進の観点からも重要な課題であります。
 このため、令和3年に策定した岩手県新広域道路交通計画では、久慈市と盛岡市間の連絡強化を図るため、国道281号を一般広域道路に、さらにこれに重ねる形で(仮称)久慈内陸道路を構想路線に位置づけているところです。
 この計画に基づいて、国道281号久慈市案内―戸呂町口工区において、本年9月20日にトンネル前後の道路改良工事に着手したところであり、同工区の早期完成に向けて整備を推進するとともに、久慈内陸道路について、沿線の市町村と丁寧に意見交換しながら調査の熟度を高め、久慈─盛岡間の連絡強化に向けて取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) 久慈内陸道路について、具体的なスケジュールをどのように考えているのかをお伺いしますとともに、質問のたびに調査の熟度を高めていくとの答弁となっておりますが、この調査状況であるとか今後のスケジュールにも関連するのですけれども、進め方についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) まず、久慈内陸道路につきましては、起点、終点の位置や経由地が決まっていない構想路線であり、全国的な高規格道路ネットワークにおける必要性の検討とあわせて、久慈─盛岡間の大まかなルートや道路構造等の調査から進めているところであります。
 このような検討状況について、沿線の市町村と丁寧に意見交換をしながら調査の熟度を高めるところでありますが、久慈─盛岡間の国道281号の現道の課題の把握や高規格道路として整備することの必要性の整理等の調査とあわせて、路線全体の整備の考え方や大まかなルートの検討を行っております。
〇38番(中平均君) この点については、引き続き質問していきますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、洋上風力発電について伺います。
 岩手県三陸沖の洋上風力発電を進めていくため、早期の促進区域指定のためにも動いていくことが必要でありますけれども、若干おくれぎみともお伺いしております。この原因と、県としての今後の動き方をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 洋上風力発電は、大量導入が可能であり、コスト低減による国民負担の低減効果や経済波及効果が大きく、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた主力電源として大きく期待されています。
 久慈市沖は、風況がよく浮体式洋上風力発電の適地である一方で、県内外の漁船が多数操業している優良な漁場であり、全国的な不漁が続く中、一部の漁業者から事業の実施に対し理解が得られていない状況にあります。
 県はこれまで、久慈市と共同で県内の漁業者に対する説明会を開催するとともに、関係省庁と相談しながら、全国規模で操業する漁業団体との協議を行うなど、合意形成に努めてきたところであり、市においては、本年度、地域単位で説明会を開催するとともに、操業実態の詳細な把握に努めているところであります。
 県は、庁内関係部局等で構成する海洋再生可能エネルギーの導入推進に係る検討チームを設置して、関係省庁にも参画いただきながら、洋上風力発電の導入に向けた体制を整備したところであり、再生可能エネルギーの導入推進に向け、漁業者の皆さんの理解を得られるよう粘り強く取り組みを進めてまいります。
〇38番(中平均君) 次に、交流、関係人口、インバウンドの拡大について伺います。
 地域資源の活用を図ることで交流人口を増加させ、関係人口へと発展し、最終的には移住、定住へとつなげていくことが必要だと考えています。
 滞在型、体験型、学習型の各種の企画を実行し、積極的な発信により、県の内外、そして海外からの誘客を募る。例えば県北地域のブロイラー産業や短角牛、雑穀や海産物、野菜などの食材と潮風トレイル、三陸ジオパークを掛け合わせ、そして、闘牛などの地域イベントと組み合わせた長期滞在型の健康志向のツーリズムを企画するなどの取り組みを行うことで、今までとは違う層が取り込めるのではないかと考えます。それこそ、世界に打って出るという発想に近いものがあると考えますが、知事の考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 今回のニューヨークタイムズ紙の効果として、特に、欧米からの個人旅行客が増加していることが大きな特徴であると捉えております。これらの方々の旅行ニーズや旅行スタイルに的確に対応した情報発信や受け入れ環境の整備を図り、県北、沿岸圏域を含めた岩手県全域に波及させ、地域経済の活性化につなげていく必要があります。
 このため、外国人目線での県内の観光コンテンツの洗い出しや磨き上げを行いつつ、外国人の多くがスマホやタブレットでみずから行く先を検索しながらまち歩きなどを行っていることから、そうした状況に的確に対応した情報発信の取り組みを強化してまいります。
 また、東北観光推進機構と連携して、いわて観光データマネジメントプラットフォームに外国人観光客の行く先や消費に関するデータを取り込んで、多角的に分析、活用するなどの取り組みを展開し、海外におけるトップセールスの機会なども活用しながら、国内外からの誘客促進、そして、県産品の販路拡大などを進めてまいります。
〇38番(中平均君) 次に、安心・安全な地域づくりということで、河川の洪水対策についてお伺いいたします。
 近年の気候変動により、全国的に自然災害が激甚化、頻発化しておりますが、岩手県においても同様の傾向であり、短時間強雨の発生頻度も増加し、平成28年台風第10号、令和元年台風第19号、令和4年8月、そしてことし8月の大雨など、立て続けに大きな災害が発生し、今後も気候変動の影響は続くと思われます。
 今回の補正予算案にも河川等災害復旧費が盛り込まれておりますが、早期の復旧が必要であります。
 その上で、河川の堆積土砂の撤去や立ち木の伐採などについて、災害が起きてから応急的に実施していくのではなく、被害低減のため、例えば5年に1度とか、管内をローテーションで定期的に実施して被害を低減させていく、そのように災害に備えていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 河川の堆積土砂の撤去や立ち木伐採については、出水による河道の状況変化などにより機動的な対応が必要となる箇所もあることから、緊急性の高いところから優先的に実施しているところです。
 県が管理している河川の数は300を超えており、全ての河川を一定期間で実施することは難しい状況ですが、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の国費や、緊急浚渫推進事業債などの財政支援策を積極的に活用し、事業を推進してきたところであります。
 今後も、堆積土砂の撤去等の実施に必要な予算の確保について、引き続き国に働きかけながら、近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の生命や財産を守るため、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水の考え方を踏まえた防災、減災対策を推進してまいります。
〇38番(中平均君) 5年に1度は例えばの話ですので、例えば今回の河川の災害で壊れた堤防を直す、そして、その堤防が壊れた原因としては、堆積土砂で川の流れが変わっているわけですから、その土砂を撤去する。でも、また5年もしくは10年たてば土砂がたまっていくので、また災害が起きる前に手をつけていくことが必要ではないかという提案であります。
 これは、今後の予算のつき方もあるのでしょうけれども、やはりそうしていくことによって、災害が起きたとしても被害が低減されるだろうと思います。そういうところを見ながら、結果的には予算もかからないで済むのではないかということもありますので、その点は、今後も検討して、ぜひ前向きに進めていっていただきたいと思います。
 今の答弁で流域治水の推進とありましたけれども、この点についても、今どう取り組んでいるのかをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 流域治水につきましては、県内では、これまでに久慈川水系など7水系で流域治水プロジェクトを策定、公表したところであり、令和5年度は、流域治水の取り組みを全県展開することとし、県内全ての水系を対象として策定を進めているところであります。
〇38番(中平均君) 次に、想定される巨大地震、津波への対応についてであります。
 久慈市における新しい津波避難計画等を踏まえ、県としてハード、ソフト両面での対策をどのように考えているのかをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、沿岸12市町村と避難行動要支援者の避難や自動車による避難のあり方など、市町村に共通する課題について検討を進めて、本年8月、具体的な減災対策を推進するに当たっての基本的な考え方を報告書として取りまとめました。
 今後の取り組みについて、ソフト面では、この報告書を踏まえ、自動車による避難経路等を検討するためのシミュレーションを実施するなど、地域の実情に応じた、より実効性のある減災対策を市町村とともに検討してまいります。
 また、今年度創設した地震・津波対策緊急強化事業費補助金により、市町村が行う津波避難ビルの指定に必要な調査や住民の防災意識の向上、自主防災組織の活性化などの取り組みを支援してまいります。
 ハード面では、住民がより安全な場所に確実に避難するための避難路など、市町村の津波避難計画等を踏まえ、県が実施すべき施設の整備に取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) 次は熊の関係です。
 ツキノワグマは連日報道されていますけれども、捕獲の手続に時間がかかり過ぎていて、実態になかなか即していないのではないかと思いますけれども、この点について知事の考えをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県のツキノワグマ管理計画では、捕獲上限数について、令和3年度の546頭から令和4年度は626頭、今年度は686頭と段階的に引き上げており、来年度はさらに796頭に引き上げることとしております。
 そのような中で、熊の捕獲許可については、市町村にあらかじめ枠として配分することで機動的な対応を可能としている一方、市町村に配分した枠の消化率にばらつきも見られることから、今月中を目途に枠の追加配分を行う方向で調整しております。
 そのほか、人身被害が発生するおそれのある緊急時には、配分枠にかかわらず、市町村が例外的に許可を行うことを可能としておりまして、そのような取り扱いについても、改めて周知徹底してまいります。
 市町村や関係機関と連携しながら、熊による人身被害を防止し、県民が安全・安心に暮らせる環境づくりを進めてまいります。
〇38番(中平均君) 今月中に配分枠をふやしていくということでありますので、今月中と言わず早急に進めていかなければならないと思っております。
 次に、医療体制、ハイボリュームセンターについて、私もお聞きします。
 前回も聞いておりますけれども、このハイボリュームセンターを整備することによって、結果的に、医療資源が乏しい地域の医療機関を減らしていくのではないかという不安がどうしても払拭できないというところがあります。この点について、そうではないという力強い知事の発言をお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) ハイボリュームセンターの整備については、まずは、中核となる病院に疾病・事業別医療圏の設定等に対応して一定の機能集約を図り、症例数や手術数を確保していくことを検討いたします。
 広大な県土を有する岩手県においては、採算性や人材確保の面から、民間医療機関の立地が難しい地域も多いので、このような地域においては、これまで、高度、専門的医療に加え、初期医療についても県立病院が担っております。
 今後も、人口減少や医療需要の動向等、医療の高度、専門化などの環境の変化に応じた役割や機能の見直しを図りながら、県立病院は、地域医療体制の確保に向けて主要な役割を果たしていく必要があると考えております。
〇38番(中平均君) では、最後に、ICTを活用した教育ということで、県内自治体間での格差をどのように把握して、これを是正していく指導をどのようにしているのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県教育委員会からは、本県の小中学校におけるICT機器の活用については、地域や学校によって、ばらつきが見られる状況と聞いております。
 県教育委員会では、令和2年度に県内全ての市町村教育委員会とで構成する岩手県学校教育ICT推進協議会を組織し、活用に当たっての課題や活用事例の共有、連携した取り組みの協議を行ってきており、今年度におきましては、各市町村が配置するICT支援員が一堂に会して、それぞれの成果や課題を共有するため、岩手県市町村ICT支援員連携会議を新たに開催するなど、県と市町村が連携した取り組みを強化しております。
 県教育委員会には、今後も、こうした施策を通じて、いつでもどこでも、誰とでも、自分らしく学ぶことができ、誰ひとり取り残すことなく、一人一人の可能性を最大限に引き出す教育の実現に向け取り組まれることを期待しています。
〇38番(中平均君) 終わりますけれども、知事、最後は、期待していますではなくて、ICTを活用した教育については、ぜひともそういうふうに取り組んでいっていただきたい。ともにやっていくという形でお願いしたいと思います。
 終わります。(拍手)
〇副議長(飯澤匡君) 以上をもって中平均君の一般質問を終わります。
 次に、佐々木努君。
   〔36番佐々木努君登壇〕(拍手)

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