令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
 県においては、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを基本目標として、いわて県民計画(2019〜2028)を策定し、復興で培った経験を県政全般に広げ、県民一人一人が、お互いに支え合いながら幸福を追求していくことができる地域社会の実現を目指すとしています。
 今後の4年間を対象としたいわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに取り組むに当たっては、本県の中期財政見通しに示された、歳入では、人口減少を背景とした財源の減少、歳出では、高齢化に伴う社会保障関係費の増や県債償還の対応など厳しい財政状況のもと、人口減少対策、県民福祉の増進と安定して持続可能な行財政基盤の構築に向けた具体的な取り組みなどについて、有識者による検討が行われ、持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書がまとめられました。
 この報告書を踏まえて、令和5年度当初予算編成においては、新型コロナウイルス感染症対策、東日本大震災津波からの復旧、復興、市町村との連携による地域課題への的確な対応、そして、10の政策分野に基づく取り組みの中で、特に人口減少問題のための四つの重点事項、県北・沿岸振興の取り組みの推進を図ることとしています。
 そこで、こうした今後の県政の諸課題について質問いたします。
 まず、東日本大震災津波からの復興と防災についてです。
 2011年3月の東日本大震災津波発災以降、岩手県東日本大震災津波復興計画及びいわて県民計画(2019〜2028)復興推進プランに基づく復興の取り組みがされてきましたが、依然として復興過程にある被災地において、被災者に寄り添う心のケア対策やなりわいの再生、水産業の不漁問題に係る環境変化に適応できる漁業への転換支援など、より具体的な課題に対応しながら、復興を持続的に推進することが求められています。
 初めに、安全の確保についてですが、まずは津波避難対策について伺います。
 本県最大クラスの地震、津波による想定に対し、昨年11月に岩手県地震・津波減災対策検討会議を立ち上げ、沿岸市町村と対策について検討がされております。
 令和5年度一般会計当初予算には地震・津波対策緊急強化事業費が措置されましたが、沿岸市町村による津波避難対策について、現在どのような取り組みが検討されているのか伺います。
 また、沿岸市町村において、新たな避難対策の検討課題として、要援護者など災害弱者に対する共助、公助支援が必要な対応について、自動車による避難の有効性なども具体的に検討されているようですが、令和5年5月11日の岩手日報で、車避難の対応ルールづくりが課題となっているとの記事が掲載されました。
 これまでの避難計画を見直すに当たって、災害弱者への支援に必要な人的資源が限られるという地域事情も踏まえた上での対策について、県では、市町村の避難計画づくりをどのように支援していこうと考えているのか伺います。
 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてです。
 再生可能エネルギーの導入促進は、復興推進プランにおける防災のまちづくりの主な取り組みとして、また、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランにおいても、GXの推進やカーボンニュートラルと持続可能な取り組みが重点事項に掲げられております。
 今年度、県・市町村GX推進会議を立ち上げ、市町村との連携体制を強化するとしていますが、災害に対応した自立・分散型エネルギー供給体制の構築や再生可能エネルギーの導入に当たっての移転元地を含めた促進区域の設定などについて、県としてどのような支援の検討が行われているのか伺います。
 次に、暮らしの再建についてですが、いわて被災者支援センターの取り組みを充実し、生活、経済問題など被災者に寄り添った相談支援活動を強化するため、専門的な支援を必要とする一人一人のケースに対応した取り組みを推進するとして、今年度は、センター機能とその運営について、被災者が地域で伴走型支援が受けられるよう、職員配置の見直しにより相談体制を充実し、市町村との連携強化を図るとしていますが、具体的にどのような体制見直しにより強化を図ることとしているのか伺います。
 被災者の高齢化、子供の成長、発達を踏まえて、心のケア事業を継続、充実し、健康の維持、増進を図ることが重要であります。
 被災地では、時間の経過とともに被災者の抱える問題も多様化し、この間のコロナ禍の影響なども加わり、被災者の日常にストレスが重なっているため、今後も一層のケアが求められます。
 このような状況に対応するために、専門スタッフの確保やスキルアップにより支援の質を高めていく必要があるとしていますが、県としての考え方について伺います。
 次に、なりわいの再生についてです。
 主要魚種の不漁に伴う対策を確立するため、資源回復を初め、増加している資源の有効利用や新たな漁業、養殖業の導入について、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
 代表的な事例として、サケの資源回復に向けた取り組みや、サケ、マス類の海面養殖などが挙げられると思いますが、増加している資源の有効利用の取り組みとしてウニの蓄養、出荷モデルの確立や、新たな漁業、養殖業の導入としてアサリ養殖の事業化について、現在の状況と今後の取り組みについて伺います。
 次に、地域医療についてお伺いします。
 医師、看護師の確保に引き続き全力で取り組み、二次医療圏ごとに、顕在する診療科及び医師の偏在問題の解消に努める必要があります。
 特に、確保が困難な産科及び小児科の医師については、2018年度から産科医を選択した養成医師が、地域周産期母子医療センター等で勤務に専念できるよう配置特例を設け、さらに、2020年度からは、医療局医師奨学資金に産婦人科特別枠を設けて、取り組みが強化されております。
 今年度からは、診療科偏在対策として岩手医科大学に総合診療科、小児科、産婦人科を診療科指定とした新たな地域枠7名分を市町村医師養成修学資金枠の中に新設するなど、その取り組みについて評価するものであります。
 そこで改めて、こうした一連の医師確保と偏在対策、本県の慢性的な医師不足解消への展望についてですが、県立病院等の経営計画(2019〜2024)における常勤医師の増員計画について、2021年度で11名の増員計画に対し22名増員、2022年度で10名増員の計画に対し23名の増員と一定の成果を上げておりますが、実態としてどの程度の偏在解消につながったのかということも含めて、成果と課題を伺います。
 また、次期経営計画による医師確保対策においては、県全体の医師確保と偏在対策に関連させた上で、具体的な医師総数確保と診療科偏在の個別解消目標をどのように設定していくのか、その方針について伺います。
 また、地域包括ケアシステムのさらなる深化、推進のためには、医療、介護、福祉による一体的なサービスの強化が期待されており、介護人材はそれを支える重要な基盤の一つとされています。
 本県においても、2040年度には6、223人の介護人材が不足すると見込まれており、福祉、介護職員の労働条件及び人材確保を含む職場環境改善に努めることが求められます。
 特に、介護職員の処遇改善については、介護の人材確保が依然として厳しい状況下にある中で、2022年2月から9月までの間、介護職員の収入を3%程度、月額9、000円の引き上げ措置が講じられ、10月以降は、臨時の報酬改定により同様の措置が継続されているとのことですが、こうした処遇改善が着実に実施されているのか確認することとあわせ、今般の物価高騰等の影響を踏まえた社会全体の賃金引き上げの動向を考えたときに、2023年度においても引き続き介護職員の処遇改善が適切に行われるようにすべきと思いますが、県の考えを伺いたいと思います。
 人口減少対策を進めていく上では、周産期医療体制の充実、強化を図ることが重要です。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県内四つの周産期医療圏の設定と医療機関の機能分担と連携に基づき、分娩リスクに応じた体制整備と、市町村と妊産婦等の情報を共有する周産期医療情報ネットワークいーはとーぶによる連携強化に努めているということですが、このネットワークの自治体との構築状況とその活用実績はどうなっているのか伺います。
 また、次期保健医療計画の策定に向け、中長期的な視点から質の高い周産期医療を提供していくための医療提供体制の検討を行うとしていますが、その検討のための要素となる妊産婦の受診に係るニーズや受け入れ側の体制について、それぞれどのような課題を捉えて、具体的な提供へと生かしていくのか伺います。
 加えて、院内助産の取り組みについても、産科医の負担軽減や妊娠から出産までの妊産婦の安心・安全な支援とケアにも有効であると思いますが、院内助産の拡充に向けて、どのような課題について、どう検討していくのか伺います。
 次に、教育施策についてお伺いします。
 教育分野では、教職員の多忙化問題の解決が最重要課題となっています。昨年度、現場の教職員の勤務実態について、岩手県教職員組合が独自に6月と11月の2回にわたり調査を実施しました。その結果、改正給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律)の指針で示された超過勤務時間の上限超えが92.6%、過労死ライン80時間超えが68.4%と、上限が全く守られていないことや過労死ラインを大きく超えている実態が明らかとなりました。
 また、こうした現場の実態調査を裏づけるように、文部科学省が6年ぶりに全国の教員の勤務実態調査について公表した内容によると、時間外在校等時間が上限の月45時間を超えた教員は、小学校で65%、中学校で77%、過労死ライン80時間超えでは、小学校14%、中学校37%となっています。
 過労死ラインについては、前回2016年度の調査よりそれぞれ20ポイント前後減り、改善しているとのことですが、実態は、持ち帰り仕事によって補われ、真の勤務実態が見えにくくなっているとの指摘もあります。
 多忙化解消と長時間労働問題に対する対策の強化について、県としてでき得る具体的施策についてお伺いいたします。
 また、いわゆる給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)等の抜本的な見直し、教員定数の増員や教務のIT化など、さまざまな課題に対しての改善策について、組合における調査結果なども踏まえて、どのように現場の声を捉え、国に対して届けていこうとしているのか、その方針を伺います。
 持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書において、重点テーマの推進方向性における本県の強みの一つとして、県立高等学校における学びの質の向上〜新しい時代のより充実した学びの創造に向けて〜とするコンセプトが示されたことを踏まえ、この間取り組まれてきた高校の魅力化促進事業や、いわての高校魅力化・ふるさと創生推進事業により、小規模校の学校づくりに対する理解促進の取り組みについて、一層充実強化していく必要があります。
 県教育委員会では、2020年度から実施してきた小規模校対象の魅力化促進事業を2022年度からは全県展開して、高校魅力化プロデューサーの学校訪問による教育活動への支援や、各校の情報発信の取り組みが行われてきました。そして、今年度は、高校と地域等関係機関との協働を円滑に進めるための地域連携コーディネーターの配置を加え、3、400万円余の当初予算が措置されております。
 2020年度以降取り組まれてきた高校魅力化の取り組みについて、小規模校の魅力化対策が、これまでにどのような成果を上げているのでしょうか。
 当初の本事業の考え方から言えば、事業の趣旨である小規模校ならではの特性を生かした事業の展開によって、生徒自身の資質や能力を育みつつ、小中学生の地元高校への理解と進学意識の醸成を図り、生徒の確保に結びつけることが求められていますが、その実績と生徒確保への取り組みについての評価について伺います。
 また、2022年度のいわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業における県外生受け入れ実施校に対する広報活動支援の具体的な取り組み状況と、県外生確保の実績についても、あわせて伺います。
 こうした取り組みに連動して、昨年10月13日には、いわて小規模高校さみっとが開催されました。小規模校に在籍する県外留学生などの交流を通して、魅力や課題を意見交換して魅力ある学校づくりにつなげることを趣旨として、対象校9校、生徒23名、教員等18名、計41名が参加されたということです。
 ここで得た意見や課題について、県教育委員会ではどう把握し、1学年1学級校の維持や、地方創生に高校が寄与していることにも配慮し、希望する進路の実現や地域、産業を担う人材育成に努めることに、今後どう具体的に生かしていくのか伺います。
 また、2022年度から取り組みを全県展開したことによって、小規模校が取り組む魅力化との差異が薄まり、結果的に、従来のように内陸部沿線や都市部高校に生徒が集中する環境が助長され、少子化による限られた生徒確保に奮闘している小規模校に、弊害をもたらすことにならないのでしょうか。
 こうした懸念について、どのように考えているのか、全県展開の意義とこの間の成果、今年度における地域連携コーディネーターの配置による魅力化推進の具体的な取り組み内容について、あわせて伺います。
 次に、JRローカル線の維持についてお伺いします。
 JRローカル線における県内6路線の今後のあり方について、国の交通政策の根幹として、また、地域住民の移動手段、災害時の代替・補完交通、観光・物流を支える社会基盤としての役割など、沿線自治体、関係機関と連携して、その維持と対策に努めることが求められます。
 県では、昨年11月8日、県と沿線市町村によるJRローカル線維持確保連絡会議を開催し、鉄道の維持と利用促進に向けた取り組みについて認識を共有するとともに、12月16日には、JR東日本と国等に対して要望活動が行われましたが、要望に対する国等の回答などについて、どう受けとめているのか伺います。
 さきの国会で、地域公共交通再構築に向けた国主導の再構築協議会を設置するなどの関連法が成立しました。そして、6月20日、政府は、地域公共交通再構築の関連法を本年10月1日に全面施行することを閣議決定するという情勢になりました。
 鉄道事業者か自治体の要請によって協議会を国土交通省が設置し、存廃を前提とせずに議論し、実証事業などを行い、具体策を再構築するという考え方ですが、この再構築の手続の考え方に対して、県ではどのように受けとめ、今後どのように対応するのか、その方針を伺います。
 また、この間、1月30日には盛岡市、宮古市によるJR山田線沿線首長会議が設置され、直近の動向としては、6月9日にJR釜石線沿線4自治体首長会議の今秋設置に向けた準備会議が行われ、6月12日には、JR北上線沿線自治体3市町首長会議の初会合が開催されました。
 JRローカル線維持確保連絡会議について、県としてのこの間の各沿線自治体の首長会議設置に向けた対応、他の路線関係の取り組みなどの具体的な内容とともに、今年度予算に措置されたJRローカル線維持の取り組み支援事業費900万円の活用事業についても、具体的な内容について伺います。
 次に、SL銀河にかかわる今後の対応についてですが、去る6月11日、東日本大震災津波からの復興支援として2014年4月12日運行開始から約9年、定期運行507本、約7万4、000人が利用し、単なる復興支援という意味合いにとどまらず、本県の沿岸振興、観光振興のシンボル的存在として、全国の鉄道ファンや観光客に、宮澤賢治の世界観であるイーハトーブ岩手を体現し発信する役割を担い、惜しまれる中で終了いたしました。
 まずは、この事業が果たしてきた役割と成果とあわせて、知事の所感をお伺いします。
 次に、今後の展開等についてですが、昨年の私の質問に対して商工労働観光部長は、JRの提案、沿線市町、我々の提案というものを、一体の協議の場を設置して話し合っていきましょうということにしており、今、その過程ですので、これから本格化する中で、いい形で継続できるように、JR釜石線の運行が継続するようにしていきたいと考えておりますと、一定程度前向きの答弁をいただいておりましたが、運行終了の後、SL銀河の今後の方向性はいまだ黒煙の中に包まれたままで、報道によれば、JR盛岡車両センターSL検修庫に保存するとのことであります。
 また、このSL運行の終了を惜しむ奥州市水沢の出口聖也氏が中心となって、お願い!SL銀河の機関車、C58239を岩手県でずっと走らせ続けてくださいと、オンライン署名活動に取り組んでいます。
 集まった署名は、JR東日本本社を初め、県、沿線自治体へも提出されるとのことですが、この方に限らず、SL銀河の終了には感謝の気持ちと同時に、客車の老朽化を理由に事業終了としたものの、SL本体は引き続き運行してほしいとの根強い声があります。
 報道のとおり、このままただ検修庫に置いて展示保存するということではなく、今後も県内の観光列車などとして、東北唯一のSLを動態として存続してほしいとの願いに、私自身も強く賛同するものであります。
 商工労働観光部長がさきに答弁された一体的な協議の場において、この1年間の間にどれほどの具体的な協議が行われてきたのか、その実績と内容、また、県としてもSL銀河機関車C58239の活用について、本県の観光、産業振興上も、かかるJR路線の維持確保に係る問題からしても、しっかりと検討すべきであると思いますが、あわせてお考えを伺います。
 次に、がん対策についてお伺いします。
 国においては、第4期がん対策推進基本計画案を本年3月に閣議決定しました。
 第4期計画では、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すことを全体目標に掲げて、第1に、がん予防、第2に、がん医療、第3に、がんとの共生を進め、これらの共通基盤となる研究、人材育成、教育、普及啓発に取り組んでいく考え方が示されています。
 県でも、これまでがん対策に取り組まれてきましたが、新たに示された第4期がん対策推進基本計画の考え方も踏まえ、今後、さらなるがん対策の充実が求められていると思いますが、知事の御所見を伺います。
 コロナ禍において、がん検診の検診者数が、2019年のコロナ禍前の実績に対し、2020年、2021年と8%から12%減少しているとの岩手県対がん協会の検診実績が昨年報じられました。
 昨年度の検診者数の実績がどう推移しているのか、新型コロナウイルスの感染リスクを避けるため受診を控える傾向にあると思いますが、県として、改めてその実態をどう捉えているのか伺います。
 昨年発表した岩手県対がん協会が行ったがん発見率に基づく推計によると、コロナ禍で受診控えした中に、がん発症に気づかない人が40人いる見込みだとして、早期発見のためにも定期的な受診を呼びかけています。
 本年、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類から5類に変更され、社会経済活動もコロナ禍前の状態に戻りつつある中で、一方では、感染拡大の第9波を懸念する声もあり、こうした情勢のもと、がん検診受診率の向上に向けて、どのように対策の徹底を行っていくのか伺います。
 県が、医療機器等関連産業のイノベーション創出を目的に整備したヘルステック・イノベーション・ハブに入居している企業5社による開発プロジェクトのもと、がん簡易検査開発の事業が明らかとなりました。
 本事業が、産学官金連携のオール岩手の取り組みとして、新技術、新事業開発によって、AIを活用して、唾液を検査して3日ほどで結果が判明するというもので、患者の検査負担の軽減や高額な検査費用も抑えられると期待されています。
 このがん簡易検査開発事業の具体的な内容と、本事業によってもたらされるがん対策としての期待及び具体的効果について、県としての受けとめを伺います。
 こうした本県発の最新のがん簡易検査開発による事業化は、本県の高い医療機器等関連開発事業の推進においても、大変重要であると認識します。
 報道によりますと、本事業は、今後、検査と分析の実証を進めて、12月に装置の開発を終えるとのことですが、がん対策の一番の目標課題である早期発見、早期受診による予防の充実強化を推し進める施策として、県の保健医療部門としてはどのようなかかわり方と支援を考えているのか伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、JR東日本と国等に対する要望についてでありますが、鉄道ネットワークは国の交通政策の根幹であり、また、JRは、国鉄改革時に事業全体で採算が確保されるよう制度設計されていることから、昨年12月に、県と沿線市町合同で国とJR東日本等に対し、国の責任において地方路線の維持に向けた経営支援を行うこと、交通事業者の使命としてローカル線を維持し安定的な運行を行うことなどを要望したところです。
 これに対し、国からは、鉄道は大事であるが、民間の経営との関係もあるのでしっかり議論していきたい、JR東日本からは、採算性だけで廃線する考えはないが、地域にとって最適な交通体系について一緒に考えていきたいなどのコメントがあったところです。
 今回の要望では、県と沿線市町の声を直接伝えたところでありますが、鉄道は、地方創生を進める上で重要な基盤であり、その維持に向けた継続的な取り組みが重要であることから、沿線市町と連携し、国とJR東日本等に対する働きかけを着実に行ってまいります。
 次に、地域公共交通再構築の関連法についてでありますが、地方ローカル線は、地域住民の移動手段としてのみならず、災害時における代替性、補完性を有するとともに、観光、物流など地域経済を支える重要な社会基盤であると認識しております。
 また、昨年11月には、JRローカル線維持確保連絡会議を開催し、国鉄改革からの経緯を踏まえ、国やJR東日本が当事者として鉄道を維持していくべきこと、県及び沿線市町が連携を強化して、さらなる利用促進に向けた取り組みを実施していくことについて、沿線市町と認識を共有いたしました。
 今回の法改正により、自治体または鉄道事業者の要請により、国が特に必要と認める場合に再構築協議会が設置されることとなりましたが、地域の声がどこまで反映されるのか不透明であり、路線見直しの方向で議論が進むことも懸念されます。
 このため、県としては、JRローカル線維持確保連絡会議で合意した方針に基づき、国やJR東日本に対して働きかけていくとともに、まずは、利用促進の取り組みを推進することが重要と考えております。
 今後も、沿線自治体会議などを通じ、沿線市町と連携しながら、鉄道の維持に向けて取り組んでまいります。
 次に、SL銀河が果たしてきた役割と成果についてでありますが、SL銀河は、JR東日本が東日本大震災津波からの復興を観光面から支援するため、県営運動公園に保存展示されていた機関車を復元するとともに、JR北海道から客車を購入、改造して、平成26年4月から運行を開始したものです。
 これまで9年以上にわたり約7万4、000人が乗車し、被災した三陸地域に多くの鉄道ファンや観光客を呼び込み、地域のにぎわい回復や経済の活性化に大きな役割を果たしていただいたところです。
 また、東京2020オリンピック競技大会の聖火を復興の火として運ぶなど、復興を進める中で、被災された方のみならず、多くの県民に希望と勇気、元気を与え、復興の象徴として大きな力になりました。
 ラストランとなった去る6月11日には、私もJR釜石駅で、地域の皆様や鉄道ファンなど多くの方々と一緒に出発を見届け、感謝の気持ちで見送ったところです。
 JR東日本は、ことしの冬から、JR釜石線を中心に新たな観光列車ひなびの運行を開始することを既に発表しており、沿線自治体や観光関係者等と連携して、引き続き、この列車を活用した三陸地域の観光振興や、復興が進む三陸の姿の国内外への発信に取り組んでまいります。
 次に、がん対策の充実についてでありますが、本県において、がんは死亡原因の第1位となっており、がん対策の充実は、県民の生命と健康を守る上で重大な課題であります。
 県ではこれまで、医療機関やがん患者・家族会、市町村等の関係機関で構成される岩手県がん対策推進協議会等の場において、がん予防や医療提供体制のあり方などについて御意見をいただき、がん対策を総合的かつ計画的に推進するため、岩手県がん対策推進計画を策定してまいりました。
 また、この計画に基づき、がん検診の受診率向上、がん診療連携拠点病院の整備を進めるとともに、医療用ウィッグの購入費補助や、小児や若年成人世代であるAYA世代のがん患者の精子や卵子の凍結等による妊孕性温存のための医療費助成の創設などに取り組んできたところです。
 国の第4期がん対策推進基本計画では、がん検診受診率の目標の引き上げ、がん医療の高度化や人口減少に対応した医療提供体制の構築などが盛り込まれたことから、現在策定中の次期岩手県がん対策推進計画において、高度ながん医療を提供できるよう、がん診療連携拠点病院等の役割分担と連携などについて検討を進めているところです。
 今後とも、県内の医療機関、市町村、事業者、がん患者とその家族を含む県民が一体となって連携し、本県のがん対策のさらなる充実と、がんになっても安心して暮らせる社会の構築に引き続き取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事兼保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) まず、被災地の心のケアについてでありますが、議員御指摘のとおり、被災地では、時間の経過や新型コロナウイルス感染症の影響などにより、被災者の抱える問題が複雑化、多様化しており、こうしたことを背景として、相談件数については、近年、約7、000件程度と高どまりしていることから、引き続き心のケアに取り組む必要があります。
 また、被災地は、精神保健医療福祉に携わる専門人材が少ない地域であることから、専門人材の確保、養成が必要と認識しております。
 こうした状況を踏まえ、県としては、岩手県こころのケアセンターを中心とする相談支援体制を堅持し、被災者に寄り添った支援を継続するとともに、関係機関、団体と連携しながら、地域の保健師等を対象とした専門研修や精神科医などによるスーパーバイズなどにより、地域の専門人材の育成に引き続き取り組んでいく考えであります。
 次に、医師偏在対策の成果と課題についてでありますが、まず、県立病院の医師数については、即戦力医師の招聘や義務履行を行う奨学金養成医師の配置が進んだことなどにより、計画を上回る増加となったと考えております。
 奨学金養成医師については、県内における地域偏在を解消するため、令和3年度から、県北・沿岸地域の県立病院や公的病院への配置を必須化し、今年度は61名と昨年度から7名増で配置したところであり、今後、県内の地域偏在の状況は、解消に向かうものと考えております。
 一方で、診療科別に見ると、これまでに産科医13名、小児科医11名をそれぞれ養成したところでありますが、不足の解消には至っていないところであります。
 このため、議員御紹介のとおり、産科及び小児科については、周産期母子医療センターに配置する特例措置などを設けているほか、令和2年度からは、医療局奨学資金に貸付額を上乗せする産婦人科特別枠を設置、加えて、令和5年度には、総合診療科、産科、小児科について、新たに市町村医師養成事業に7名の地域枠を設置したところであり、今後も、奨学金制度を活用し、偏在の解消に向けて必要な取り組みを進めてまいります。
 次に、介護職員の処遇改善についてでありますが、議員御紹介のとおり、令和4年10月の臨時の介護報酬改定により、介護職員処遇改善加算の上位区分の加算として、介護職員等ベースアップ等支援加算が新設され、介護職員の収入の3%程度、月額9、000円を引き上げる措置が行われたところであります。
 県内の介護職員処遇改善の状況は、令和5年3月末時点で、対象となる3、501事業所の94.2%に相当する3、297事業所が、介護職員処遇改善加算を取得しており、さらに処遇改善加算を取得した事業所の90.3%に相当する2、978事業所が、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得しているところであります。
 県では、介護人材の確保、定着を図る上で処遇改善は重要であると考えており、事業所を対象とした説明会の開催などにより、加算の新規取得や、より上位区分の加算取得に向けた働きかけを継続するほか、介護職員の賃金が少なくとも全産業平均の賃金水準に達するまで、さらなる処遇改善を継続的に行うよう、引き続き国に要望してまいります。
 次に、周産期医療情報ネットワークいーはとーぶについてでありますが、このシステムは、母体の緊急搬送、患者紹介の円滑化、産前・産後の妊産婦支援などを目的に整備したものであり、県内の全ての市町村、分娩取扱医療機関及び妊婦健診を行う医療機関が参加しております。
 活用状況については、令和4年度の妊娠届け出者5、722人のうち、いーはとーぶに登録された妊婦は5、508人と、その割合は96%を超えており、医療機関と市町村との間で健診情報などを共有することにより、適切な保健指導に活用されているほか、ハイリスク妊産婦などに対する迅速な医療提供につなげているところであります。
 次に、周産期医療提供体制についてでありますが、産科医療機関の減少や分娩取り扱いの休止を背景に、妊産婦の通院に係る負担が増大していることや、医療現場においては、産科医や新生児医療の専門医、また、周産期医療に対応できる看護師や助産師の確保、育成などが重要な課題であると認識しております。
 また、院内助産については、医師の負担軽減にもつながる有効な取り組みであると考えておりますが、この取り組みを進めていくためには、院内助産などを担う人材の確保、育成が重要であります。
 こうした課題を踏まえ、県では、今年度、全ての妊産婦に拡充した市町村との連携による妊産婦の通院、宿泊費の助成や、奨学金養成医師の特例配置による産科、小児科医の確保、潜在助産師の復職支援研修の開催などに取り組んでいるところであります。
 次期保健医療計画の策定に当たっては、妊産婦の受療動向やニーズ、医療資源の動向、ハイリスク妊産婦への対応などを踏まえた検討を行っており、より安全・安心な妊娠、出産ができる周産期医療の充実に努めてまいります。
 次に、がん検診受診者数の推移についてでありますが、岩手県対がん協会がまとめた市町村がん検診の受診者数は、コロナ禍前の令和元年度と比較して、令和2年度は12.4%、令和3年度は8.0%、令和4年度は9.8%の減少となっております。
 市町村が実施する集団検診での受診者数は、緊急事態宣言の発令や外出自粛などの影響により、令和2年度に大きく落ち込み、令和3年度には、集団検診会場等における感染対策の徹底や、住民の感染予防への理解が深まったことなどにより回復の傾向が見られていたところでありますが、令和4年度は、オミクロン株の感染拡大による第7波、第8波の影響もあり、回復基調には至らなかったものと分析しております。
 次に、がん検診受診率向上の取り組みについてでありますが、2人に1人ががんに罹患し、3人に1人が亡くなっていると言われており、初期段階では症状がなく、気がつかないことが多いことから、がん検診を定期的に受診し、早期発見、早期治療につなげることが重要であります。
 このため県では、岩手県がん検診受診率向上プロジェクト協定を締結した18企業などとの連携による、がん検診への理解促進や、いわてピンクリボンの会との連携による、乳がんを初めとしたがん全般の予防に係る啓発活動などにより、がん検診の受診率向上に向けて取り組んできたところであります。
 今後、新型コロナウイルス感染症の第9波の感染拡大が懸念されるところでありますが、市町村などにおいては、感染予防対策を徹底するなど、安心して受診いただける環境の確保や受診勧奨に取り組んでおり、県としても、関係団体等と連携し、受診控えにより早期発見の機会を逃してしまうことのないよう、検診の重要性などに係る県民の理解促進に努めてまいります。
 次に、がんの簡易検査開発事業の内容及び効果についてでありますが、本開発事業は、リキッドバイオプシーの技術を活用し、唾液に含まれるがん細胞に由来する遺伝子を解析するものであり、自動化技術により、高精度かつ低コストを可能とする検査システム構築を目指すものと聞いております。
 本県は唾液を検体として行うため、採血や被曝を伴わないなど、被検者にとって負担が少なく、短時間で最大13種類のがんの発見が可能であることなどから、今後、実用化が図られた場合には、がんの早期発見、早期受診につながる機会がふえるとともに、がん対策に寄与することが期待されるものと考えております。
 次に、がんの簡易検査開発事業への評価等についてでありますが、現在、国のガイドラインに基づき公共施策として実施している市町村のがん検診は、がん死亡率の減少を目的としており、内外の研究成果の蓄積と多くの研究機関での検証を通じ、死亡率の減少効果が認められた科学的根拠に基づく検査方法により、対象年齢や受診間隔を定めて実施しているところであります。
 議員御紹介の簡易検査については、現時点では開発途上であり、今後、公共施策としての検診への活用が図られるためには、国や専門機関による有効性の検証、評価が十分に行われる必要がございますが、本県発の最先端技術を駆使したスクリーニング検査として、開発状況を期待を持って注視していきたいと考えております。
   〔復興防災部長佐藤隆浩君登壇〕
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) まず、沿岸市町村の津波避難対策についてでありますが、津波から身を守るためには、直ちに、より安全な場所に避難することが何よりも重要であることから、沿岸市町村が実施する津波による犠牲者ゼロを目指すためのソフト対策を支援するため、今年度、地震・津波対策緊急強化事業費補助金を創設したところです。
 市町村では、本補助金を活用して、津波避難ビルの指定に必要な調査、住民の避難意識の向上に向けた研修会の開催、避難路などを踏まえた自治会単位での避難マップの作成、要配慮者の移動を補助するための資機材の整備など、避難開始時間の短縮や避難速度の向上を図るための取り組みを進めることとしています。
 さらに、オストメイト用携帯トイレなど要配慮者用備品や、冬季の災害発生に備え、防寒アルミシートなど、低体温症対策備品の整備等を計画している市町村もあるところです。
 今後とも、沿岸市町村による津波避難対策が円滑に進むよう支援してまいります。
 次に、市町村の避難計画づくりの支援についてでありますが、高齢者や障がい者、乳幼児等、特に配慮を要する方々については、災害発生時の避難をサポートすることが必要であり、より早く、より安全な場所に確実に避難するための方策を講じていくことが重要です。
 このため県では、沿岸12市町村と立ち上げた岩手県地震・津波減災対策検討会議において、自動車による避難、避難行動要支援者の避難のあり方、避難ビルの指定など、市町村に共通する課題について検討を進めています。
 この会議での検討結果を、市町村の津波避難計画策定の手引となる津波避難計画策定指針の見直しに反映させ、地域の実情に応じた避難計画の策定を促していくほか、計画の実効性が高まるよう、住民参加型の避難訓練への助言や地域における防災人材の育成支援等を積極的に行うなど、市町村と連携した取り組みを進めてまいります。
 次に、いわて被災者支援センターの体制強化についてでありますが、いわて被災者支援センターに寄せられる相談は、家族関係のほか、住宅ローンの返済や今後の生活設計など、複雑かつ多様化しており、相談体制の充実が求められているところです。
 センターでは、相談支援のほか、発災後に、それまで居住していた市町村から県内外の市町村に避難した方々に対し、帰郷に関する情報提供などの支援も行っています。
 今年度は、相談体制の充実を図るため、避難者に対する帰郷意思等の確認調査を県が直接行うこととし、センターの業務を相談支援により特化した内容に見直すとともに、相談支援に対応する職員の人件費を増額したところです。
 また、市町村職員等を対象とした被災者支援担当者研修会の開催や相談者への支援方針の共有など、市町村等との連携を一層強化しています。
 引き続き、弁護士等の専門家とも連携しながら、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行ってまいります。
   〔環境生活部長福田直君登壇〕
〇環境生活部長(福田直君) 再生可能エネルギーの導入促進についてであります。
 再生可能エネルギーの活用については、震災復興の次の段階の成長戦略として取り組んでいる市町村もふえているところで、県内では、東北6県で最も多い3市町が脱炭素先行地域に選定され、政府予算の重点配分を受けることになっているほか、そのほかの市町村でも、地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入をそれぞれ行っていただいております。
 また、市町村が今後設定する再エネ促進区域については、県として区域設定の基準をことし3月に定めたところですが、事業者に対するインセンティブの付与が課題となっておりまして、県市町村GX推進会議では、予算や税制と組み合わせたインセンティブの可能性などについて議論を行っております。
 そのほか、GX推進会議では、政府予算を獲得する上で市町村による計画策定が何より有効だという御意見も市町村の皆様からいただいておりますので、県として、引き続き市町村の計画策定に対する補助を行うなど、市町村の脱炭素に向けた取り組みを積極的に支援してまいります。
   〔農林水産部長藤代克彦君登壇〕
〇農林水産部長(藤代克彦君) 主要魚種の不漁対策についてでありますが、増加している資源の有効利用の取り組みであるウニの蓄養、出荷については、これまで、県内10地区で商品価値を高めるための身入りの向上や、出荷時期を延長するための技術導入等に取り組んでおり、ウニの出荷適期である夏場のほか、高い価格で取引が期待できる年末にも、一定の品質で出荷が可能となっているところです。
 今年度は、これまでの10地区に加え、新たに2地区でウニの蓄養を計画しているほか、天候や海の状況に左右されずに安定的な出荷を可能とする蓄養技術の開発や、首都圏等への高鮮度での流通実証、販路の開拓などを進めていくこととしています。
 また、新たな漁業、養殖業の導入の取り組みであるアサリ養殖の事業化については、これまで、水産技術センター等で養殖試験に向けた種苗生産に取り組んできたところです。
 今年度は、生産された種苗を活用し、大船渡市や山田町など県内3地区で養殖試験を開始しているほか、栽培漁業協会において、本格的な事業化に必要な種苗の量産に向けた取り組みを始めております。
 今後とも、関係機関、団体と連携しながら、増加している資源の有効利用や新たな養殖業の取り組みなどを積極的に進めてまいります。
   〔医療局長小原重幸君登壇〕
〇医療局長(小原重幸君) 県立病院等の次期経営計画における医師確保対策についてでありますが、令和7年度から始まる次期経営計画は、現在、策定作業が進められている県の次期保健医療計画、医師確保計画の考え方などを踏まえながら策定することとしており、今年度から作業に着手したところであります。
 医師確保対策の目標設定につきましては、これまでの奨学金医師の育成、配置や、専門医の養成、即戦力医師の招聘、小児、産婦人科に係る診療科偏在の取り組みの課題等を整理するとともに、地域の患者動向、将来見通し、高度、専門化する医療に対応した病院間の機能分担も考慮しながら、必要な医師数や診療機能がしっかりと確保されるよう検討を進めてまいります。
   〔ふるさと振興部長熊谷泰樹君登壇〕
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) JRローカル線維持確保連絡会議についてでありますが、県と沿線市町で構成するJRローカル線維持確保連絡会議を昨年11月に開催し、県内6路線の状況がそれぞれ異なりますことから、路線ごとに沿線自治体首長会議を設置することについて、合意したところであります。
 これまで、JR山田線及びJR北上線で開催し、路線の維持に向け、県及び沿線自治体が一体となって利用促進の強化に取り組むことを確認したところであり、他の路線についても開催に向けた準備を進めており、準備が整い次第、開催していく予定であります。
 また、JRローカル線維持等の取り組み支援事業費であるJRローカル線利用促進事業でございますが、県内の沿線自治体や利用促進協議会などが実施する利用促進の取り組みに補助するもので、路線を活用したモデルツアーの実施や、沿線の魅力を紹介するマップの作成など、工夫を凝らした幅広い取り組みを予定しているところであり、この補助事業も活用しながら、今後も沿線自治体と連携し、鉄道の維持に向け取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長岩渕伸也君登壇〕
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) SL銀河の機関車の活用についてでありますが、沿線市町等との協議については、令和3年11月19日にJR東日本からSL銀河の運行終了が発表された後、11月26日に、JR東日本盛岡支社の室長や沿線市町の課長等により運行終了に係る今後の対応について意見交換を行ったところであり、その後は、釜石沿線広域エリア活性化委員会と構成メンバーが重複していることから、同委員会において、計6回にわたり協議を重ねてきたところでございます。
 具体的には、この協議の中で、SL銀河の運行終了はいたし方ないとの共通認識となった後、運行終了後の観光PR素材やラストランに向けた対応、さらには、新たな観光列車ひなびの運行と連携した取り組みなどを中心に意見交換を行ってきたところであり、こうした取り組みを通じまして、先般のラストランに際しては、沿線市町において、さまざまな特色あるイベント開催などができたものと受けとめております。
 SL銀河の機関車については、当面、盛岡市内のSL検修庫で保存する予定であり、今後も見学イベントの開催などは可能と伺っているところでございます。
 JR釜石線は、内陸部から沿岸部までの沿線観光地を結ぶ重要な路線でございますので、沿線自治体、JR東日本などと連携しながら、新たな観光列車ひなびを活用した観光振興に取り組んでまいります。
   〔教育長佐藤一男君登壇〕
〇教育長(佐藤一男君) まず、長時間労働の解消に向けた具体的施策についてでありますが、学校における勤務時間の縮減は、重要な課題と認識しております。
 県教育委員会では、長時間労働の解消に向けて、これまでも、岩手県教職員働き方改革プランに基づき、県立学校におけるICT環境の整備や働き方改革事例集の作成などを行い、各学校では、学校行事の見直しや、ICT機器を活用した会議の効率化などの取り組みを進めてきたところです。これにより一定の成果が出てきていると受けとめておりますが、なお一層の取り組み強化が必要であると考えております。
 一方、市町村立学校については、まずは、設置者である市町村教育委員会が主体的に取り組むことが基本ではありますが、現在、全県統一の統合型校務支援システムの導入を進めるなど、県全体における学校の働き方改革を推進しているところです。
 また、働き方改革プラン未策定の町村に対しては、早急にプラン策定の上、取り組み強化を図るよう強く要請し、助言、情報提供なども行っております。
 今後も、県立学校及び市町村教育委員会と連携しながら、業務の効率化や教職員の負担軽減に資する取り組みを推進し、働き方の改革につなげてまいります。
 次に、今後の対応方針についてでありますが、県教育委員会が本年6月に行った働き方改革に関する教職員へのアンケート調査において、時間外勤務を減らすためには、業務量削減のほか、人員確保が必要との意見が多数あったところであり、こうしたアンケート調査結果なども踏まえ、先般、文部科学省など関係省庁に対して行った令和6年度政府予算要望におきまして、定数改善等の人的配置の拡充、ICT化に係る教員研修の充実やICT支援員の配置等に必要な財政支援を要請したところです。
 また、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の見直しにつきましては、本年5月、文部科学省が中央教育審議会に諮問しており、県としても、こうした国の動向を注視しております。
 今年度、次期岩手県教職員働き方改革プランを策定することとしており、学校現場の声もプランに反映させていくとともに、引き続き、国に対する要望などを積極的に行いながら、多忙化解消に向けた課題解決に向け取り組んでまいります。
 次に、生徒確保の取り組み及び実績についてでありますが、県教育委員会では、令和2年度から小規模校を対象とした高校の魅力化促進事業を実施し、地域を理解する学習活動等を通して、生徒の資質、能力や自己有用感を育み、岩手県の産業や地域を支える人材の育成と小中学生の地元高校への理解促進、進学意識の醸成を図ってきたところです。
 また、県外生受け入れにつきましては、各校で行ってきた広報活動に、令和4年度から、ウエブ配信サイトnoteの導入により情報発信を強化し、受け入れた学校数と入学者数の実績は、令和3年度は3校で19人、令和4年度は8校で31人、令和5年度は9校で25人となっております。
 さらに、今年度からは、県外生受け入れをいわて留学と銘打って展開することとし、note等を活用して、岩手の高校の魅力を一体的に情報発信することにより、県外生受け入れのさらなる拡大に向け取り組みを強化してまいります。
 次に、小規模校の課題及び地域人材の育成についてでありますが、昨年10月に開催されたいわて小規模高校さみっとは、小規模校に在籍する生徒等の交流を通じて、地域を支えるための資質、能力を育成すること等を目的に、学校みずからが企画、主催したものであり、生徒による事例発表やワークショップ等が行われたものであります。
 参加した高校生からは、改めて地元の学校や地域のよさ、課題が見えた、これからの学校や地域を活性化させるため何が必要か考えることができたなど、有意義な交流だったという意見が多数挙げられました。
 このような取り組みを踏まえ、今年度は、小規模校を含めた県立高校の生徒や教員等を対象とした、いわて高校魅力化研修会を県内6地区で開催することとしており、各校における教育活動の充実や地域等との連携、協働の深化を図り、地域や地域産業を支える人材を育成してまいります。
 次に、高校魅力化の全県展開の意義及び取り組みについてですが、高校の特色化、魅力化の取り組みは、学習指導要領に基づく社会に開かれた教育課程や主体的・対話的で深い学びを実現するため、それぞれの学校に期待される社会的役割、いわゆるスクール・ミッションに基づき実施することが求められており、本県では、小規模校において先行して取り組み、令和4年度からは、これを全県展開してきたものであります。
 これにより、地域や地元企業等との連携、協働体制の構築が進むとともに、それぞれの学校や地域の特徴を生かした協働的な教育活動の充実が図られてきております。
 また、教育資源に限りのある小規模校においては、コーディネーターの配置が外部と連携を図る上で有効であること等を考慮し、今年度から、小規模校に地域連携コーディネーターをモデル的に配置するものであり、経験や人脈等を生かした探求活動への支援や外部人材の招聘、効果的な情報発信など、優良事例の創出、展開に取り組んでまいります。
〇25番(木村幸弘君) 御答弁ありがとうございました。2点ほど再質問させてください。
 1点目は、がん対策関係についてであります。
 知事からは、岩手県の取り組みを含めて、がん対策の重要性について御答弁をいただいたわけでありますけれども、改めて、第4期がん対策推進基本計画の、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すという目標に基づいて、国が責務を持つことは当然ですけれども、県としての責務や役割を閣議決定された基本計画の中で見ますと、一つは、がん医療提供の均てん化が掲げられております。それから、第2に、がん診療連携協議会の活動において、しっかりと医療機関での事例の共有であるとか比較検討が、十分にそれぞれの地域の中でもなされるようにということです。そして第3に、感染症や災害時における必要な医療体制の確保などがあります。
 がん診療連携拠点病院等における患者や国民にわかりやすい情報提供に努めることとして、がんの種別などによって、各病院の役割、能力、そして、治療に対する強みなど、例えば、この治療ならば○○病院がいいという、こうした客観的な情報が患者にわかるように、あるいは判断できる情報が提供されるような対応も求められているということであります。
 さらに、高齢者のがん患者が増加する中で、慢性疾患とがん治療との関係をしっかりとケアできる体制、それから、介護施設の入居における治療提供、在宅療養や緩和ケア対策など、さまざまな状況に応じて、適切ながん医療が受けられるような連携体制の構築が必要であると思っています。
 新たながん医療に係る技術の実装を推進し、がん医療の進歩を享受できることを目指すとの個別目標も掲げられており、先ほど御答弁もいただきましたけれども、今般のがん検査の開発の取り組みであるとか、あるいは、先日6月30日に報じられた岩手医科大学薬学部の研究グループによる抗がん剤耐性細胞の技術開発のニュースなどについては、私のような患者の立場に立ちますと、いわゆる一般の方々と違って、一つ一つのこういった新たな情報や取り組みの発信には、非常に大きな勇気を与えられることになります。
 新たな医療技術や治療方法、化学療法などの新開発、進展の情報などによって、これががん患者にとって、あるいは支える家族にとっても、生きる希望への情報になり、あるいは闘い、共生していこう、そんな気持ちにもつながってまいります。
 したがって、がん対策について、やはり国としての責務は重要ですけれども、患者にとって、より身近な存在である地域医療の体制の中において、それをつかさどる自治体の役割と務め、患者や家族にとっては何よりも頼りとなる存在だと思っております。
 こうした思いも十分に認識した上で、がん医療の充実の取り組みについて、医療の高度化あるいは人口減少に対応した医療提供体制の構築に向けて、総合的な対応がしっかりと今後も一層充実強化されることを強くお願いしたいと思いますが、改めて、その点について御所見を伺いたいと思います。
 もう一つは、JRローカル線の対策についてであります。
 知事から、まずは、それぞれの沿線自治体首長会議の中においても、利用促進にしっかり取り組むことが重要だという御答弁もいただきました。
 私は、そういう中で、国土交通省が地方公共交通の基本方針を固めたという報道の中で、今回、改めて本県の6路線が、地域公共交通の再編に向けた関連法による協議制度の対象として、輸送密度にかかわって早急に改善が必要な線区だという位置づけであり、優先しなければならないということが、国土交通省の考え方として6月30日に確認されたようであります。
 そうした本県の6路線がまさにその対象になっていることを考えますと、今後の協議の中で、沿線自治体首長会議と連携して取り組むに当たって、具体的にどう利用促進を図っていくべきなのかということが大変重要であります。
 国の対応あるいはJR側からの申し出によって、その協議の場が設けられることを待つというだけではなくて、我々自身から、今のこの6路線の沿線の実態、利用者の状況を踏まえて、どういう形で利用者の拡大を図るかということを、やはりしっかりと議論し、構えをつくっていかなければならないのではないかと思います。
 その一つの利用促進の考え方の中で、この間のJR釜石線の利用の実態の中で一つの前例にもなっておりましたけれども、私は、貨客混載という考え方が、非常に重要になってくるのではないかと思っています。
 つまり、人口減少あるいは子供たちが減って通学者が減る。さまざまな利用客を減らさないような努力はできても、ふやすことはなかなか難しいという現実をとらまえたときに、やはり、そうであるならば、このJRの鉄路を新たな形で利用する方策ももう一方で考えていく必要があるのだろうと思います。そのための一つの考え方として、貨客混載という考え方が出るのだろうと思うのです。
 今日の、いわゆる自動車物流など2024年問題もクローズアップされている状況の中で、それぞれの交通機関の機能をどういう形で有機的に結びつけて、それを有効に生かしていくかという対策を、この公共交通の利便推進事業が拡充されることによる共創モデル実証プロジェクトの取り組みなどが取り上げられておりますし、バスなどについても、貨客混載の取り組みを行うという考え方も含めて、今後の計画に積極的に導入するというお話も、先般の関根敏伸議員の質問にもお答えいただいております。
 そういう意味でいうと、鉄道事業も含めて三陸鉄道、IGRいわて銀河鉄道、そしてJR東日本、この本県の抱えているローカル路線、これらの地域公共交通政策について、総合的な視点に立って、その活用、利用促進をどう考えていくかということをしっかりと議論していくべきだと思いますけれども、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 木村幸弘議員から、がん対策、その中のがん医療の推進について御質問いただきました。
 また、木村幸弘議員の御質問の中で、先日報道されました抗がん剤耐性がん細胞の培養期間短縮技術について、岩手医科大学の研究グループの開発ということで、本県において、がんに関する研究開発が進んだことは、がん患者や県民にとって勇気づけられる内容であったと考えております。
 県では、いわて戦略的研究開発推進事業により支援してきたところであり、今後も必要な支援を行っていきたいと思います。
 がんの医療の取り組みでございます。木村幸弘議員から、国の指針の見直しについて御紹介いただいたとおりでありますけれども、やはり、これまで取り組んできた小児、AYA世代や高齢のがん患者などの対応に引き続き対応していくとともに、感染症や災害にも対応できる体制が必要であり、また、ゲノム医療など、がん医療が非常に高度化してきております。このがん医療の高度化や、人口減少社会にも対応した医療提供体制が、大きな論点だろうと考えております。
 そのためには、がんの一般的な検査や外来医療を担う地域の身近な医療機関と手術や化学療法、放射線療法等の集学的治療にも対応するがん診療連携拠点病院等の役割分担、加えて、木村幸弘議員からも御指摘がございました、がんの在宅医療、また、施設との連携、こういったさまざまな機関の連携と役割分担、こうしたことが大きな課題だろうと思います。こうした点について、計画の中で推進してまいりたいと思います。
 いずれ、がん医療の進展については、がん患者、その御家族の期待も非常に大きいと考えております。がん生存率の向上、死亡率の減少、そして、全てのがん患者とその御家族の療養生活の質の向上を目指して、計画を推進してまいりたいと考えております。
〇ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) JRを初めとする公共交通機関の有機的な連携についてのお話がございました。
 先日も御答弁いたしましたとおり、限られた運転士でありますとか、そういった資源の中で、いかに公共交通を今後維持していくといった観点で、やはり公共交通機関が有機的に連携していくというのが必要だと思っております。
 現在、次期岩手県地域公共交通網形成計画の策定に着手しております。そうした中で、新たな国の事業の積極的な活用も含めまして議論していきたいと思っております。
 議員から、バスもあるわけですけれども、旅客列車で荷物を輸送する貨客混載の取り組みのお話を頂戴いたしました。列車の有効活用を図るとともに、物流分野の省力化、効率化、環境負荷の軽減を図る観点から、注目されているものだと思っております。JR北海道で取り組みがあると承知しております。
 こういった活用につきまして、JR、それから事業者間で採算性の部分の検討は必要だと思いますが、旅客の利用促進だけではなく、物流も含めたさまざまな活用でありますとか、例えば地域振興策ですとか、そういった部分に列車、路線を活用できないかという観点も含めて、沿線自治体と協議する場を設けておりますので、そこで検討しながら、JRにも提案等をしてまいりたいと思っております。
   
〇副議長(小野共君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時45分 休 憩
   
出席議員(44名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 小 林 正 信 君
3  番 千 葉   盛 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 岩 城   元 君
6  番 上 原 康 樹 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(1名)
43  番 伊 藤 勢 至 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時7分再開
〇副議長(小野共君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小林正信君。
   〔2番小林正信君登壇〕(拍手)

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