令和5年6月定例会 第26回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(中平均君) いわて新政会の中平均です。今任期最後の議会においての一般質問で、初日1番目の登壇の機会をいただきました。会派の皆様、議員の皆様に感謝を申し上げますとともに、達増知事を初め執行部の簡潔明瞭な答弁を期待するものであります。
 皆様既に御承知のとおり、少子化を起因とする人口減少は、岩手県に限らず日本全体においての大きな課題となっています。県においても2040年の人口100万人維持を掲げ、各種施策を実行しているところです。
 一方で、人口減少社会における新しい社会モデルの構築は進んでいないのも事実であり、今、社会増を実現できている地域は、単に別の地域から人口が移っているだけとも言えます。早急に持続発展可能な地域をつくり上げていかなければなりません。今回の一般質問では、長期的課題として人口減少対策、各種災害対策、中期的課題として環境問題、産業振興、医療提供体制、短期的課題としてアフターコロナ対策、物価高騰対策、県の財源確保等について、順次質問させていただきます。
 県の財政運営についてお伺いします。
 岩手県が地方公共団体では初となる地方債、グリーン/ブルーボンドの発行をすると令和5年6月2日の知事記者会見で公表されました。説明会は6月9日に開催済み、7月下旬の発行を予定し、発行額50億円、販売額1、000万円から、5年後の令和10年に満期一括償還で利子は年2回配分となっています。また、調達した資金を充当する事業として、信号機のLED化、国定公園、自然公園などの施設整備事業、河川改修事業、砂防事業、防波堤、護岸整備、藻場整備、漁港施設整備、水産高校実習船整備事業などが具体的事例として掲げられています。
 今回、グリーン/ブルーボンドを発行することにした経緯について知事にお伺いいたします。
 以下は質問席で質問させていただきます。
   〔38番中平均君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
 グリーン/ブルーボンド発行の考えについてでありますが、県ではこれまで、持続的な発展が可能な社会を構築するため、県民やNPО、事業者、市町村など県内のさまざまな主体と協働し、私たちの暮らしや社会のあり方を地球環境への負荷がより少なくなるよう変革するための施策を展開してまいりました。
 この間、世界においても、2015年にいわゆるパリ協定が採択され、気候変動に関する国際的な枠組みが合意されました。
 豊かな森林や河川、長い海外線と世界有数の漁場である三陸の海などの自然の恵みを有し、また、東日本大震災津波という自然の脅威を経験している本県にとって、気候変動対策は重要な課題であり、海と大地とともに生きることは岩手県にとって重要なテーマであります。
 このような考えのもと、気候変動の緩和、適応に資するグリーンプロジェクトに加えて、海洋資源、生態系の保全等に資するブループロジェクトも含めたグリーン/ブルーボンドを全国の地方公共団体で初めて発行することといたしました。
〇38番(中平均君) ただいま御答弁いただきました中において、お話のあった内容はそのとおりだと思うのです。そして、今回は地方自治体初ということでもあります。そういった中において、恐らく今後、ブルーボンドを含めた地方債をほかの自治体等も出してくるのだろうという中で、その後の質問にも続いていくのですが、その前に、先ほどの質問の中で、ブルーボンド、グリーンボンドを充当する事業を挙げましたけれども、これからほかの自治体なり、最も先行した岩手県がこれからも先行していく、先行者利益を取っていくために、今までにある事業をグリーンボンド、ブルーボンドに当てはめるというのはそのとおりですけれども、今すぐということではないのかもしれませんが、そのほかのオリジナル事業といいますか、岩手県であればこそのブルーボンドの事業を今後どう考えているのか知事にお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今回のグリーン/ブルーボンドは、その資金使途、管理、運営、透明性について、第三者機関から最上位の評価を取得しておりますが、その充当事業については、岩手県グリーン/ブルーボンドフレームワークに記載されている藻場の再生、水産高校実習船の整備などに限定されております。
 この評価の取得に当たり、推定排出CО2排出削減量や海洋資源の持続的な保全の状況について明確なレポーティングを行うことが定められており、ESG投資が拡大する昨今、持続可能な開発目標、SDGsへの貢献、豊かな自然を有する本県の環境保全に資するという付加価値、換言しますと、投資先としての魅力を有しているものと考えております。
 中平均議員御指摘のとおり、投資家に選ばれるためには、本県ならではのグリーン/ブルーボンドの魅力について訴求していくことが必要でありますことから、投資家への効果的な広報活動の実施を初め、あらゆる機会を通じて訴えてまいります。
〇38番(中平均君) 次は、グリーン/ブルーボンドの利子の支払いについて伺います。一般的に、地方債は国債を基準として利率が定められています。平成15年の北東北みらい債のときは5年満期の一括償還、5年後に元金を一括償還という方式でした。平成15年当時、利率は0.64%、年2回の利息ということでございましたけれども、この6月に発行された地方債では金利は0.210%から0.225%、当時の3分の1程度となっております。これは金融政策の影響もあり、国際金利が低い状況にあるということが大きな要因ですけれども、今回調達するグリーン/ブルーボンドの金利はどのようになると想定しているでしょうか。
〇総務部長(千葉幸也君) 中平均議員御指摘のとおり、一般的に、地方債は国債を基準として金利が定められておりますが、現在の金融市場におけるグリーンボンドについては、通常の市場公募地方債と比較して発行時の金利が低くなる、いわゆるグリーニアムが発生しており、その差は6月時点で0.02%となっております。
 今般の発行に係る条件決定については7月中旬を見込んでおりまして、現時点で具体的な金利を見通すことは困難でありますが、グリーン/ブルーボンドに関心を表明している投資家の皆様と対話を通じながら、よりよい条件での発行ができるよう努めてまいります。
〇38番(中平均君) 金利が安ければ安いほど当然、負担が減るということですので、その点を努めていっていただきたいということを踏まえて、財源確保ということですけれども、償還時における県財政への影響についてお伺いいたします。
 5年満期の一括償還ということですから、今回調達する50億円につきましては、今、お話があったとおり、県の立場からいえば、毎年2回、半年ごとに利子を支払っていく。5年後に50億円を一括して償還することになります。国債であれば、その際に一部を借りかえしていくという形で動いているのは承知しておりますけれども、今回の県の50億円の償還を担保するために想定している財源確保、借りかえの方針についてお示しください。
〇総務部長(千葉幸也君) 償還につきましては、トータル30年での償還を想定しております。その財源につきましては、総務省通知に基づき、毎年度、発行額の30分の1を県債管理基金へ積み立てて確保することとしております。
 また、借りかえについては、5年後の財政状況や金融情勢等に応じて検討する必要があると考えておりますが、一般的な市場公募地方債の場合と同様に、5年ごとに全額を借りかえ、30年後に県債管理基金への積立金を原資として50億円満額を償還することを想定しております。
〇38番(中平均君) 了解いたしました。まず、その財源を担保していくということで進めていくということでありますけれども、その際、北東北みらい債は、平成15年のときは販売単位が1万円ということでした。今回は最小が1、000万円。この理由について、北東北みらい債の場合は個人投資家や個人も含めていたと思うのですけれども、今回、1、000万円とした理由と、先ほど知事からも魅力ある商品にしていきたいということでございましたけれども、この見通しについて、今の段階でどのように見ているかをお伺いいたします。
〇総務部長(千葉幸也君) 北東北みらい債が住民参加型市場公募債として個人を対象にしたのに対しまして、今般のグリーン/ブルーボンドは、法人、地方公共団体を対象として発行する予定であります。
 現在の金融市場におきましては、環境、社会、ガバナンスという三つの頭文字を取りましたESGの要素を投資方針上重視するESG投資が拡大しており、法人等を中心に、ESG債の一種であるグリーン/ブルーボンドへの投資ニーズも拡大していると認識しております。
 全国初となるグリーン/ブルーボンドの起債運営において、資金を安定的に調達するという観点から、これら法人等の旺盛な需要に応じるため、購入しやすい最小売買単位を検討し、1、000万円と設定したところでございます。
 また、販売の見通しにつきましては、証券会社によりますと、全国地方公共団体初のブループロジェクトを含む債権として関心が高く、多くの問い合わせが寄せられているとのことでございまして、好調な販売を見込んでいるところでございます。
〇38番(中平均君) ありがとうございます。その中で、まず、グリーン/ブルーボンド、ぜひとも新たな財源策として進めていっていただきたいと考えております。
 あとは、個人向けの地方債、今お話もありました北東北みらい債のときもそうですけれども、個人を対象にしていたということでした。そして、今、クラウドファンディングとかさまざま個々人の応援が社会的事業を大きく前進させ、社会変革につながっていく事例というものも多く見られています。そういった点を考えながら、岩手県に関心のある個人を対象にした公募債の発行についても、これはもちろん、投資してもらえるだけの魅力ある商品をどうつくっていくかということが大前提ですが、岩手県をアピールする、交流人口、関係人口をふやしていく、移住定住人口をふやしていくことにもつながっていくと考えます。個人を対象にした公募債の発行をするべきではないかということを提言させていただきたいところですけれども、見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本県では、平成15年度から22年度までの8年間にわたり、北東北3県の観光振興と交流ネットワークの構築をテーマに、青森県、秋田県と共同で、住民参加型市場公募債、通称、北東北みらい債を毎年度3県合計で60億円、8年間の総計で480億円発行し、その購入者は延べ2万6、000人に上りました。
 これは住民から直接調達した資金を東北新幹線や交流ネットワーク道路の整備等に活用するという先駆的な取り組みであり、県民の行政への参画意識の高揚に加え、北東北3県による広域連携の強化が図られるなど、全国的にも高く評価されたと認識しております。
 こうしたことを踏まえ、中平均議員御指摘の個人向け地方債の発行は、県外在住者が本県に関心を持つ新たな契機となり得る施策の一つと考えており、実際の導入に向けて、メリット、課題等について調査するなど検討してまいりたいと思います。
〇38番(中平均君) 財源の確保をどうしていくかというのが岩手県の大きな課題でもありますし、そういった中において、今回のグリーン/ブルーボンドもそうですし、岩手県が注目される、そして大きな関心を持っていただく、それが結果的にはさまざまな人口減少社会における交流人口、関係人口がふえていったり、また、いろいろな社会変革につながっていくことだと思いますので、ぜひこれは検討を具体的に進めていっていただきたいと思います。
 次に、公共事業費の財源確保策ということでお伺いさせていただきます。
 東日本大震災津波の復旧、復興工事がほぼ完了した今、公共事業の落ち込みは復興需要の終了を意味しており、知事が就任した平成19年当時の県財政、すなわち、国の施策に呼応して行われた公共事業費の県債償還に圧迫され、投資的経費が大きく切り詰められていた状況に戻るのではないかと危惧する声があります。
 中期財政見通しでは普通建設事業費は751億円で、令和8年度まで維持されるとなっておりますが、復興期間終了による国事業への負担金、既存の公共施設の維持修繕費もかさむことから、積極的な財源確保策が求められますが、知事の見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 公共事業による社会資本の整備は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震を初めとする大規模災害など、リスク発生時に的確に対応できる安全、安心な地域づくりを推進するとともに、地域の産業振興を支えるために重要なものであり、安定的に予算を確保していくことが必要であります。
 岩手県公共施設等総合管理計画においては、施設の老朽化による維持、更新経費の増大に加え、復旧復興事業により整備したインフラの維持経費がかさむことから、今後30年間で1.4兆円の経費を要すると見込んでおり、県民1人当たりの毎年度の負担額が1万2、000円以下となるようコスト縮減及び財政負担の平準化の取り組みを進めることとしております。
 これらの取り組みとあわせて、事業の進捗には国費の確保が重要でありますことから、さまざまな機会を捉えて国に働きかけていくとともに、経済対策の動向等も勘案しつつ、毎年度の予算編成において所要額の確保に努めてまいります。
〇38番(中平均君) そういった中において、予算をどう確保していくかということなのだと思うのです。広大な県土を有する岩手県であります。今後とも道路、また河川、さまざまな社会資本の整備、まだまだ足りないところが多々あり、そういった整備が必要です。また一方で、先ほども話しましたとおり、維持、修繕費が大きくかさんでくるという中にあります。しかし、どうしても自主財源が厳しいというところから国の交付金、補助金に頼らざるを得ない状況にあるのも現実であります。
 そういった中において、陳情行政が100%よいとは誰も思っていないと思いますし、私もそう思います。ただ、現実に照らし合わせ、また必要なことでもあるだろうと考えていますが、この点に関して知事の考えをお伺いいたしますとともに、公共事業予算の確保に向け、先般行ってきたと聞いておりますことしの国への重点事項要望の状況についてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 広大な県土を有する本県において、道路を初めとする社会資本の整備は重要なものであり、公共事業費について、先ほども申し上げましたとおり、安定的に予算を確保していくことが必要であります。
 そのためには、国費の確保が重要でありますことから、今月14日に国に対する令和6年度政府予算に関する提言・要望を実施いたしました。その際、国土交通省に対しては、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策のさらなる推進を含む公共事業予算の安定的、持続的な確保などの要望内容を直接説明したところであり、必要性について十分に理解いただいたものと考えます。
 また、防災対策や産業振興、生活を支える社会資本の整備は国の使命でもありますことから、その観点からも、引き続き、国に対し、さまざまな機会を捉えて地域事情を説明し、施策を提案することなどにより公共事業予算の安定的、持続的な確保に努めてまいります。
〇38番(中平均君) ありがとうございます。どうしても厳しいという中であります。今後とも積極的な予算確保に向けて行動していただきたいと思います。次は地方交付税のあり方ということでお聞きしたいと思います。
 中期財政見通しによりますと、人口減少の影響、臨時財政対策債も含めた実質的な地方交付税が昨年度に比較してことしで10億円減少しています。令和8年には63億円減少するという見込みであります。
 知事就任時の岩手県の人口が約130万人としますと、人口減少が進んでいく中において、地方交付税の本来の趣旨である再配分機能の見直しが必要なのではないかと考えるところです。こういった点に関して、国への要望等、働きかけはどうなっているのかをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域においても一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するものでありますが、本県を初め東北地方や四国地方等の県においては、地方税、地方交付税等の合計が昨年度から減少すると見込んでおり、その機能が十分に発揮されているとは言いがたい状況にあります。これは地方交付税が人口を基礎として算定される割合が高いため、人口減少や少子高齢化の進行が早く、広大な県土を有し、多数の条件不利地域を抱える本県のような地域の財政需要が適切に反映されていないことなどが要因であります。
 そこで、本県では、過疎地域における地域振興や小規模高等学校、地域医療の維持など、人口減少下においても地域を守り、未来につなげていくために必要な財政需要が適切に反映されるよう、国に対し繰り返し要望してまいりました。
 今後、地方が直面する課題により的確に対応していくため、地方交付税の財源保障機能と財源調整機能が十分に発揮される必要がありますことから、引き続き、本県のような地域の財政需要が適切に反映されるよう、地方交付税制度の改善について提言してまいります。
〇38番(中平均君) 交付税のあり方、今まで財源が必要だというのがあった中で、交付税本来のあり方をどうしていくかという議論は、出てはいるけれども、本格的な議論になってこなかったというのが現実ではないかと思います。この後の質問にもつながってくる話であり、皆さんも思っていると思うし、私も思うのですけれども、基本的に、地方交付税もそうですし、各種の制度的なものが、人口がふえている時代、要は、戦後から始まって人口がふえていって、社会の人口動態、ピラミッド型と言うのでしょうか、そういう時代につくられた制度で今、動いている。
 そういった中において、今、それが逆転して少子化、高齢化、そして、それでも東京一極集中はなかなか是正が進まない。その中において、同じ制度でやっていくことに対する矛盾というのも多く出てきている。それは、ことし、去年に始まった話ではなくて大分前から出てきているものです。そういった点を踏まえて、今、例えで交付税を出しましたけれども、そういった意味での制度のあり方について、地方からどんどん発信していくことが必要だと思うのですが、この点に対して、知事はどう考えているのかお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私が先ほど述べましたような、過疎地域における地域振興や小規模高等学校、地域医療の維持など、人口減少下においても地域を守り、未来につなげていくために必要な財政需要というのは、人口がふえていく、人口右肩上がり時代の発想からは出てこない需要でありますので、その点、中平均議員御指摘のとおり、人口右肩上がりを前提とした発想が今の日本の実態に合うような地方交付税の仕組みになっていないということの背景にあると考えます。
 地方の実態を政府に伝えながら、今の人口の現状において、地方の住民福祉の増進ということができるよう、地方自治法上の地方自治体の任務を達成できるよう国に求めていきたいと思います。
〇38番(中平均君) 次の質問に移らせていただきます。
 今度は人口減少社会ということで、多々報道されていますけれども、国においては、異次元の少子化対策ということで、日本の少子化対策に関する中長期的な戦略を策定するために、こども未来戦略方針が6月13日、内閣府から発表されました。この方針では、少子化対策を次元の異なるものとして位置づけ、構造的賃上げ、社会全体の意識改革、全ての子供、子育て世帯への切れ目ない支援など、少子化対策の抜本的強化を図るとしております。2024年から2026年までの3年間で年間3兆円台半ばの予算を確保し、集中的に取り組むとしており、三つの基本理念を掲げているところでもあります。
 この方針について、さまざまな議論がなされておりますけれども、知事の見解をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 少子化のトレンドを反転させるべく、政府を挙げて抜本的な政策の強化を図ることとされており、これまで国に要望してきた保育士等の配置基準改善や子ども医療費助成に係る国庫負担減額調整措置の廃止などが盛り込まれたことは評価するものであります。また、児童手当や育児休業の拡充内容やその取り組み時期が明記されるなど、次元の異なる少子化対策に向けて前進したものと考えております。
 取り組みの規模感については、かつてないものでありますが、人口減少問題は、今、目の前にある課題でありますので、方針に示された対策が早期に実現されることを期待します。
 効果的な対策の実現のためには、国が全国一律で行う施策と、地方がその実情に応じてきめ細かに行う施策の両方が重要であり、本年5月に開催した、日本創生のための将来世代応援知事同盟サミットinいわてにおいて、全国の知事と議論を交わし、いわて声明として、人口減少社会に立ち向かい、これからの日本を担う将来世代の希望をかなえ、お互いに希望を守り育てられる社会の実現に向けて、地方から一致団結して行動を起こすことを宣言したところであります。
 県としても、子供、子育てにかかわるさまざまな生きにくさを生きやすさに変えるため、いわて県民計画(2019〜2028)第2期アクションプランに基づき、各ライフステージに応じた切れ目のない支援など、人口減少対策を力強く推進していく考えであります。
〇38番(中平均君) そういった中において、具体的には来年度から国の政策が実行されるということになります。とりあえず、それが具体的にどうなるかというのはこれからですけれども、今段階での県の対応方針というものをお伺いしたいと思います。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 県では、人口減少対策に最優先で取り組むため、令和5年度は新たに第2子以降の3歳未満児に係る保育料の無償化や在宅育児支援金の創設、医療費助成の高校生等への現物給付の拡大に取り組むなど、ライフステージに応じた総合的な支援策を強化したところであります。
 今月公表されました令和4年の人口動態統計において、本県の合計特殊出生率は1.21と過去最低を更新しましたことから、さらに危機感を持って少子化対策に取り組むべく、6月15日に岩手県人口問題対策本部会議を開催し、結婚支援の充実や若年層の仕事、収入の向上に向けた施策に速やかに取り組んでいくこととしたところであります。
 加えて、少子化の要因に関する詳細な分析にも取り組んでおり、結婚、出産、子育てに影響を及ぼす本県特有の地域特性や課題等を踏まえまして、国内外の先進事例等も参考にしながら、有効な対策を検討していく考えであります。
 効果的な少子化対策を実現するためには、国、県、市町村がそれぞれの役割を発揮しつつ、連携を図っていくことが重要でありますことから、市町村とも継続的に意見交換を行いながら、国の戦略方針に呼応した施策を強力に推進してまいります。
〇38番(中平均君) そういった中において、恐らくこれから国のほうでも三つの理念に基づいてさまざまな案が出てくると思うのです。先ほど知事は、知事サミットにおいて、まず、国に対して発信してきたということでありますが、県としても今回の今年度予算からさまざま先行してやってきた対策もあります。そういった予算的なものも含めた国に対する要望であったり、また、さまざまな地方の実態に合った制度の提案なり、情報を発信していくことが国の施策がさらに充実したものになり、ひいては、私たちが住む岩手県に対する施策につながってくるのだろうと思うのですけれども、その点について、どのような考えを持っているのかお伺いいたします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 子供関連施策の多くは地方自治体が担っていますことから、国が戦略方針を公表した際には、全国知事会として、加速化プランに示す施策も含めて、戦略の具体化に当たっては、実務レベルも含めた丁寧な調整や意見交換を行うなど、地方の意見を十分反映するよう提言を行ったところであります。今後につきましても、全国知事会等を通じまして、地方から必要な施策を提言してまいりたいと考えております。
〇38番(中平均君) 実務レベルまで落とした形での提言をしていかないと、予算はついても、実際に実行がなかなかうまくいかない。結果的には融通もきかないといった施策になっては意味がないことですので、そういった点を踏まえて、国に対して情報発信等をしていきながら、県としてもよりよい制度をつくっていくということに積極的に動いていただきたい、そのように思います。
 次に、人口減に対する取り組みについてですけれども、岩手県においても各種の施策を講じて、合計特殊出生率向上に向けて取り組みを行ってきましたが、目標としている成果が出ているとは言えない状況にもあります。社会減についても、コロナ禍が落ち着いてくれば東京一極集中の傾向に戻ってきているということも懸念されます。
 ことし3月に行った予算特別委員会総括質疑でも議論いたしましたが、2040年、今から17年後に県が目標とする人口100万人。そのとき知事は77歳くらい、私は69歳になります。そういった中において、知事は4期にわたる任期の間、責任世代として施策を展開してきたと考えておりますけれども、人口減少に対する取り組みの今までの総括をどう捉えているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、平成19年度に策定したいわて希望創造プランにおいて社会減対策を掲げ、いち早く施策を推進してまいりました。また、国に先駆けて人口問題に関する報告を取りまとめ、平成27年度には、岩手県ふるさと振興総合戦略を策定して施策を展開してまいりました。これまで自動車、半導体関連産業の集積や高校生の県内就職率の上昇、県外からの移住、定住者数の増加、待機児童数の減少や仕事と育児の両立に向けた環境の整備など、戦略に沿った進捗が見られるところであります。
 一方、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う投資の首都圏での増加を背景に、首都圏の有効求人倍率が本県を上回る中で社会減が継続するとともに、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの世界的な危機に見舞われる中、本県の合計特殊出生率が過去最低の1.21まで低下し、また、コロナ禍を経て再び人口の東京一極集中が加速しています。
 こうしたことから、いわて県民計画(2019〜2028)第2期政策推進プランでは、第1期の成果や課題、社会経済情勢の変化や市町村、関係団体との意見交換などを踏まえ、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、令和5年度当初予算において、全国トップレベルの子供、子育て環境の実現に向けた各ライフステージに応じた総合的な施策の拡充、そして、若年層の県内就職やU・Iターンの促進による移住、定住施策の強化を図っており、これら自然減、社会減対策を市町村等と連携し、オール岩手で強力に推進してまいります。
〇38番(中平均君) 先ほど言いましたけれども、人口減少対策ということは、今来たわけではなくて、正直、20年、30年前から本当は見えてあったのだと。ただ、目の前になかなかはっきり危機として見えなかったということが国全体、また、各自治体の施策において、今、せっぱ詰まった状況に来ているというのが現実だと思います。そういったところを踏まえて、今後また、私自身もそうですけれども、これからの施策をどう取り組んでいくか、まさに実効性をこれからさらに上げていかなければならないという時に来ておりますので、そういった点を指摘させていただきます。
 次に、県北・沿岸振興についてお伺いいたします。
 まず、水産業の関係です。沿岸部の基幹産業である水産業の落ち込みに対して、1年前のこの場で行った私の代表質問に対して、知事は、岩手県水産業リボーン宣言を行い、関係団体と取り組みを強化し、支援していくと答弁をされました。また、ことし3月の予算特別委員会総括質疑において、ウニ等の増加している資源の有効利用に向け、天候や海の状況に左右されずに安定的な出荷を可能とする畜養技術の開発のほか、マイワシやサワラ等の高鮮度での流通の実証や、販路の開拓、拡大に向けた調査などを行うこととしていると答弁をいただいております。
 今般、新たな水産資源利活用モデル開発業務の企画提案募集が行われ、6月20日に久慈市漁業協同組合を含む4者が選定されております。新たなビジネスモデルを当事者みずからが確立していくことが期待されますが、今後の取り組みの方向性について所感を伺います。
 あわせて、今回選定された久慈市漁業協同組合の取り組みは、4年前に久慈市の南侍浜漁業研究会が県の委託を受けて事業を実施した、黄金のウニ収益力向上推進事業から始まっています。県の事業が一過性のもので終わるのではなく継続していく、そのことで将来的に県の支援がなくても自立できる事業モデルを構築していくことが必要だと考えます。
 各種事業において一つ一つの成果を積み重ねていくことが県北・沿岸振興に必要と考えますが、県北・沿岸振興本部長である副知事の見解をお伺いいたします。
〇副知事(八重樫幸治君) 今年度の新規事業である、新たな水産資源利活用モデル開発事業は、本県で水揚げが増加している魚種等を対象に、新たな販路や物流のビジネスモデルを構築しようとするもので、今般、企画提案の募集を行い、4事業者を採択したところであります。
 採択された事業者は、今後、それぞれの企画提案に基づき、国内外の市場調査や販路開拓、高付加価値化などの取り組みを行うこととしており、県ではこうした取り組みを通じて、事業者がみずからのビジネスモデルを構築するとともに、構築したビジネスモデルを生かし、収益力を高めていくことを期待しています。
 また、これまで間引きしたウニの畜養や試験販売に取り組んできた久慈市漁業協同組合では、今回、高速バスや新幹線を活用し、朝に水揚げしたウニを、その日のうちに高鮮度の状態で首都圏の飲食店に届ける物流モデルの構築などに取り組むこととしています。
 県北・沿岸振興に当たっては、中平均議員から御紹介のありました久慈市漁業協同組合の取り組みなど、地域の持つ魅力ある資源を生かした産業振興や、高付加価値化の取り組みを積み重ねていくことが重要と考えており、県としては、今後とも、関係機関、団体と連携しながら、地域が活性化するよう積極的に取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) ありがとうございます。やはり成功事例といいますか、発展させていくということが何よりだと思います。県の補助が終わって、その後、事業が終わるということは県でも考えていないでしょうし、当然、地域でも思っていない。ただ、そういった事業も今まで見受けられてきたというのも現実であります。
 だからこそ、一つ一つ進めていく、さまざまな県北・沿岸振興事業を行ってきた中で、今回、事例として挙げさせてもらいましたけれども、今までもうまくいっているものもあります。残念ながらうまくいかなかったこともある。その中で、どのような形でうまくいったものをこれからつなげていくのか、また、どういう形で今後の事業を展開して、どういう事業がこれから必要なものと認識して県の事業化につなげていくのか、県北・沿岸振興事業の方向性というものを教えていただければと思います。
〇副知事(八重樫幸治君) 県北・沿岸地域は豊かな地域資源を有しておりますので、その地域にあるシーズの磨き上げによって地域経済を回していくこと、あるいは、豊富なクリーンエネルギーを生かしてエネルギーの地産地消を目指すというようなことが大切であると考えております。
 今回の久慈市漁業協同組合の事業については、先ほど中平均議員から御紹介のありましたとおり、初め、黄金のウニ収益力向上推進事業を3カ年度実施しました。県の補助金というのは、基本的には3カ年なら3カ年、事業の立ち上がりを応援いたしまして、事業者が自主的に行えるようモデルを積み上げていくというようなことを考えておりまして、まさに久慈市漁業協同組合のモデル事業は今回新たな段階へと進むわけですけれども、今年度は試験的な輸送、販売を試行すると伺っておりますし、2年目、来年度はさらにマーケティングのノウハウを蓄積して、みずからのビジネスモデルを構築し、3年目以降は本格的な販売等を自主的に実施すると伺っておりますので、こうした本事業で構築したビジネスモデルを好事例として紹介するなど、県内にノウハウを普及拡大することで、そうしたビジネスモデルを広く展開させていきたいと考えております。
〇38番(中平均君) ありがとうございます。ぜひまた進めていっていただきたいということでございます。
 次に、構想路線である久慈内陸道路の関係についてお伺いします。
 この進展をいつも質問させていただいておりますけれども、復興事業で整備された盛岡─宮古間の宮古盛岡横断道路、また、花巻─釜石間の東北横断自動車道釜石秋田線の整備効果、あえてここでは紹介しませんけれども、大きいものがある。横軸の道路整備は必要不可欠でありますけれども、久慈─盛岡間の横軸整備について、今、県では国道281号、案内─戸呂町口工区の事業を進めておりますけれども、この早期本体着工も期待しておるところでありますが、この横軸整備について見解をお伺いいたします。
〇県土整備部長(加藤智博君) 久慈─盛岡間の横軸整備についてですが、県北地域の道路ネットワークの強化は、災害に強い県土づくりに加え、県北・沿岸地域の産業振興や広域観光の推進の観点からも重要な課題と認識しております。
 このため、令和3年に策定した岩手県新広域道路交通計画では、久慈市と盛岡市間の連絡強化を図るため、国道281号を一般広域道路に、さらに、これに重ねる形で(仮称)久慈内陸道路を構想路線に位置づけたところであります。
 この計画に基づき、国道281号久慈市案内─戸呂町口工区において、現在、トンネル前後の道路改良工事に着手に向けた手続を進めているところであり、同工区の整備を着実に進めるとともに、久慈内陸道路については、沿線の市町村と丁寧に意見交換しながら調査の熟度を高め、久慈─盛岡間の連絡強化に取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) ありがとうございます。そういった中で、知事を初め皆さん出張でこの間、久慈市のほうに来ていただいておりましたけれども、そういった出張のときにどのルートを使っているのか。例えば国道281号を来ているものなのか、高速道路を使って九戸インターチェンジまで来ているものなのか、宮古市の国道106号を通って来ているものなのか、ここであえて、どこを使っているとは聞きません。その中で、横軸の時間が、盛岡─宮古間を1時間と考えていくと、時間的に大分格差が開いている。道路状況も当然、カーブが多いなどがあります。そういった点をどう捉えているのか。その上で、今、県土整備部長から答弁をいただきましたけれども、今後の整備をスピード感を持って進めていただきたいというのが地域の願いですけれども、その点をどう考えているのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(加藤智博君) 久慈内陸道路につきましては、路線全体の整備の考え方や大まかなルートの検討をただ今進めております。そして、沿線の市町村と意見交換を行い、主要な道路、拠点施設に接続する位置、河川災害を回避する必要性など、ルート検討を行うに当たり配慮すべき点について御意見をいただいたところでございます。現在、いただいた御意見を踏まえ、大まかなルート等の検討を進めているところでございます。
 引き続き、沿線の市町村と丁寧に意見交換しながら、調査の熟度を高めてまいります。
〇38番(中平均君) 大まかなルートがいつ出るのか、ぜひ詰めていっていただきたいと思いますし、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、交流人口拡大と観光振興についてということで、教育旅行関係についてお伺いいたします。
 今回の6月定例会に提案されている補正予算案として、教育旅行受入宿泊施設支援緊急対策費、1億5、879万8、000円計上されています。1人1泊2、000円で7万5、808人分を見込んでいるとのことでありますが、この人数は過去3年の教育旅行受け入れ数の平均人数ということでありました。
 ここで、見込んでいた以上の来県者数があった場合、修学旅行等ですから、7万5、808人よりふえた場合、追加でさらに補正していくと、それくらいの意気込みを持って物価高騰対策、また、結果としてのいろいろな観光の呼び込み対策につながると思うのですけれども、その点についてお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 教育旅行につきましては、旅行日の1年以上前に宿泊価格が決定され、これを含めた旅行代金を学校等で積み立てて確保するため、宿泊施設が急激な物価高騰などに対応した価格転嫁を行うことが難しいと承知しており、こうした状況に対応するため、今般、補正予算案を提案したところでございます。
 補正予算案の提案に当たりましては、コロナ禍で多くの学校が教育旅行を中止し、極端に宿泊者が落ち込んだ令和2年を除き、平成30年から令和3年までの宿泊実績をもとに、直近の宿泊施設の予約状況なども聞きながら、十分な予算額を算出させていただいたところでございます。
 事業所影響調査の結果におきましても、エネルギー価格、物価高騰等の影響があるとの回答が宿泊施設で最も高い割合となっておりますので、この事業を活用して、学校と宿泊施設の双方が安心して本県をフィールドとした教育旅行を実施していただきたいと考えております。
〇38番(中平均君) それでは、足りなくなることはないと、足りなくなったらまた考えるということだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 その中において、コロナ禍ということで県内の小学校の修学旅行は県内に行き先がシフトしておりました。ことしからの動向が非常に注目されるところだと思うのです。そういった中で、東日本大震災津波を風化させず、非常時への対応を学習する防災教育に関するメニューであったり、世界遺産の学習と震災学習施設を結ぶルートの構築など、岩手県内の圏域間の交流を促進することが必要であると考えますが、見解を伺います。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 近年の教育旅行は、環境や防災、歴史、文化といった課題、テーマを生徒等がみずから設定した上で、これに対応した探求を重視したさまざまな体験型プログラムを提供していくことが求められているところでございます。
 このため、三陸DMОセンターが中心となりまして、三陸鉄道による震災学習列車、漁業者が案内する海の体験、食の体験、こはく採掘や塩づくり体験を初めといたしましたコンテンツをパッケージ化した、三陸おすすめ体験プログラムを制作し、この中で、これらのコンテンツと内陸の世界遺産を結びつけたモデルコースの紹介を含めた情報発信に努めているところでございます。
 新たな交通ネットワークを活用し、内陸部と沿岸部、沿岸北部と沿岸南部など、圏域間の交流を促進することは、観光振興を進めていく上で重要な視点であり、今後、新たなコンテンツの発掘や磨き上げを進め、多くの魅力あるモデルコースを提示しながら、本県ならではの教育旅行の魅力を県内外の学校に発信し、誘致拡大に取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) そういった中で、ぜひ発信していって、さらに圏域内の動きをふやしていくということが必要なのだと思います。また、復興道路が全線開通して、この効果は大きいと考えておりますけれども、これを一過性のものにせず、交流人口の拡大をさらに図っていく必要性があります。そのためには、地域資源のさらなる活用が不可欠であります。
 三陸復興国立公園、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパーク、これらへの誘客拡大に向け、地元と連携したプロモーション強化の取り組みを進める必要があります。このことはJR八戸線、三陸鉄道の誘客にもつながっていくのだろうと考え、必要性が高いと思いますけれども、県の方針をお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 人口減少が進む中、三陸のなりわいを再生して、これをさらに地域振興に結びつけていくためには、三陸復興国立公園やみちのく潮風トレイル、三陸ジオパークを初めとした三陸ならではの地域資源、また、復興が進んだ新しい三陸の姿などを生かした観光振興を進め、交流人口の拡大を図っていくことが重要であると考えております。
 このような考え方のもと、昨年度、三陸DMОセンターと三陸ジオパーク推進協議会との間で連携協定を締結し、観光コンテンツの開発やフォーラムの開催などを行い、雄大な海岸線の成りたちや地質などを観光資源として広く情報発信する取り組みなどを展開しているところでございます。
 今後、地域の観光や交通関連事業者のみならず、さまざまな立場の方々が一体となった観光地域づくりを進めながら、こうした取り組みをさらに発展させ、三陸地域の経済の活性化に結びつけていきたいと考えております。
 このような考え方のもと、三陸DMОセンターを初め、地域のDMОが中心となったさまざまな取り組みと連動しながら、県としてのプロモーション強化にも努めてまいりたいと考えております。
〇38番(中平均君) 交流人口をさらにふやしていく、それがまた地域の活性化につながり、県北・沿岸振興につながっていくということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、物価高騰対策についてお伺いいたします。
 先般、4月28日に行われた臨時会で可決成立した令和5年度第1号補正予算の執行状況、全24事業でございましたが、順調に実施しているのは10事業で、総額48億5、200万円余のうち9億6、800万円余、執行率20%というところです。これは既に事業説明会が行われて申請受付を開始している事業や、令和4年度2月定例会の補正予算と組み合わせて途切れなく支援するための事業執行が今後になる事業もあるので、執行率に差が出るのはそのとおりなのだろうと思っておりますが、LPガス価格高騰対策費の執行がまだ進んでいないところであります。予算額も大きい事業でございますから、これが滞ってしまうと県民に負担を与えかねないと考えますが、現在、また、今後の執行見通しについてお伺いいたします。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) LPガス価格高騰対策費の今後の執行見通しについてでございますが、本事業につきましては、業務委託に係る一般競争入札を令和5年5月11日に公告し、25日に入札を行ったものの、落札に至りませんでした。また、5月19日にはLPガスの小売事業者等が加入する一般社団法人岩手県高圧ガス保安協会から、小売事業者の負担軽減のため、事務手続を簡素化するよう要望があったところです。
 入札が不調になったことに伴い、想定した事業実施スケジュールにおくれが生じていること、また、業界団体からの要望を踏まえ、ガス料金を毎月値引きする方法から、6カ月分を一括値引きする方法に改める等の見直しを行い、事業を進めることとしております。
 業務委託に係る契約手続につきましては、一般競争入札から随意契約に移行することとし、契約の相手方の選定を進めるところであり、早期に事業実施ができるよう、鋭意取り組んでいるところでございます。
〇38番(中平均君) 今、説明いただきましたけれども、今、執行が進んでいないというのは厳しい状況なのかなと思います。続きは総務委員会でまたお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 アフターコロナ対策ということでお伺いいたします。
 コロナ禍の影響を受ける中小企業者の資金繰りを支援するために、令和2年度から3年度にかけて実施された、いわゆる民間ゼロゼロ融資の返済開始がことしの7月から来年4月に集中する見込みです。岩手県のゼロゼロ融資である新型コロナウイルス感染症対応資金の融資実績は1万2、110件、1、944億円余りとなっており、既に452件の条件変更が行われ、また、今後返済開始となる事業者も多いと承知しています。
 この既存の借入金の借りかえ需要に加え、新たな資金需要にも対応するため、1月10日からいわゆるコロナ借りかえ保証が開始されていますが、県として、県内の中小企業者のコロナ融資の返済への対応をどのように考えているのかをお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資は、コロナ禍の影響を受けている多くの県内事業者が活用しており、その返済が本格化する中、約定どおりの返済が難しい方には、まずは、県が本年1月に新たに開始した、いわゆる伴走支援資金を活用いただいた借りかえ等を行っていただきたいと考えております。
 この伴走支援資金の利用状況については、5月末現在で601件、142億4、400万円余となっており、そのうち、半数以上となる371件が借りかえ目的での利用となっており、本年5月に実施した事業者影響調査の結果におきまして、債務の過剰感がある事業者が50%を超えている状況でございますので、さらなる利用増加が見込まれるところです。
 県では、国や金融機関、商工指導団体等により構成する、いわて中小企業事業継続支援センター会議を立ち上げておりまして、過剰債務などの金融面の課題解決に向けた支援、また、事業再生、再チャレンジ等を含めた本業支援の体制を強化しているところであり、金融の専門的見地からの再生計画の策定や、事業再構築に向けた優良事例の普及拡大など、関係機関が密接に連携し、事業者の実情に応じたきめ細かな支援を展開していく考えでございます。
〇38番(中平均君) 令和5年度6月定例会の補正予算案では中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助が提案されております。事業内容からいって、中小企業者の生産性向上による人材確保等に向けた取り組みを県が支援するものだと認識しておりますが、効果をどのように見込んでいるのか。そして、補助を受けた中小企業がどのように成長していくことを県として期待しているのかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(岩渕伸也君) 本年5月の事業者影響調査の結果におきまして、電気料金の値上げや原材料、資材価格の高騰への対応のほか、価格転嫁、賃金の引き上げ、さらには人手不足を直近の経営課題に掲げる事業者が多かったところでございます。
 このような状況にも対応しつつ、経営革新計画に基づき、生産性向上を図って賃上げを行おうとする事業者の新たな設備投資や人材育成等に対する経費を支援するとともに、適切かつ円滑な価格転嫁を実現するためのパートナーシップ構築宣言の普及拡大を図ることを目的に、この事業を実施しようとするものでございます。
 さらには、この事業の活用によりまして、経済的環境の変化に対応した経営革新の取り組みが広がることで、より多くの事業者が地域経済を牽引する企業に成長していくことを期待しているところでございます。
〇38番(中平均君) ありがとうございます。
 それでは、次に、安心、安全な地域づくりということで、河川の洪水対策をお伺いしてまいります。
 近年、頻発する豪雨災害に対応していくためには、河川整備を初めとした適切な維持管理をしていかなければなりません。きょう、2級河川久慈川水系沢川の強制排水ポンプゲート施設の試運転が10時から行われ、あすから暫定供用ということになりました。内水対策に大きく寄与することであり、地域住民の安心、安全の確保につながってまいります。まず、事業がここまで来たことに改めて感謝を申し上げるところでございます。
 河川改修、その他のさまざまな洪水対策を続けていかなければならないということを十分認識されているのは承知しているのですけれども、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の期間終了後になってまいります。この点の対策を含めて、今後の整備方針についてお伺いいたします。
〇県土整備部長(加藤智博君) 河川の洪水対策についてですが、近年、激甚化、頻発化する自然災害から県民の生命や財産を守るため、県では、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水を推進することが重要と認識しており、その取り組みを全ての水系に拡大しているところであります。
 県では、近年の浸水実績がある区間や資産が集中する箇所など、緊急性の高い箇所から河川改修や堆積土砂の撤去などを行うとともに、住民の避難を促すため、洪水浸水想定区域の指定を拡大するなど、ハード整備、ソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策に取り組んでいるところであります。
 これらの対策については、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策による国費も活用しながら進めているところであり、期間終了後も着実に推進できるよう、必要な予算の確保を国に働きかけながら、流域治水の考え方を踏まえた防災、減災対策に取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) 今回、河川で聞きましたけれども、次は土砂です。通告しているとおりですけれども、去年の9月に公表した資料によると、土砂災害発生の恐れがある区域は全県で1万9、000でした。今年度に山間部のデータが出てくるわけですけれども、さらに箇所数がふえる。その中において、計画的な整備をどのように自治体と連携しながら進めていくのかという点についてお伺いします。
〇県土整備部長(加藤智博君) 土砂災害対策についてですが、県内には土砂災害警戒区域が1万3、305カ所あり、また、昨年度から今年度にかけて、新たな土砂災害が発生する恐れのある箇所の抽出、公表を進めているところでございます。
 これらへの対策として、砂防堰堤等のハード整備について、要配慮者利用施設など保全対象の重要性や緊急性を踏まえて、重点化を図りながら進めているところであります。
 また、土砂災害から県民の生命を守るためには、ハード整備とあわせ、住民の避難の実効性を高めるためのソフト施策も重要と認識しており、県による土砂災害警戒区域等の防災情報の充実、強化と、市町村による警戒避難体制の整備について、連携を図りながら取り組んでいるところでございます。
 引き続き、市町村と連携のもと、最大限国費を活用しながら、ハード整備とソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策を推進してまいります。
〇38番(中平均君) そして、次は山地災害危険地区ということですが、これは3、800カ所、こちらも同じように計画的に整備を進めているのは理解していますけれども、豪雨時に必ず土砂が道路に流出してきている箇所を、残念ながら、整備し切れていないというのもあります。県北広域振興局の管内でいえば、過去に整備された治山ダムが既に飽和状態になっていて、土砂堆積の機能を果たすことが難しいというところもありますが、この点について、積極的な整備をどういうふうに考えていくのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(藤代克彦君) 県では、土砂流出や地すべり、斜面の崩壊などの山地災害危険地区について、市町村からの申請に基づき、危険地区の現状や、保全の対象となる人家を初め道路、鉄道の状況など、緊急性、重要性を踏まえながら、山地災害対策となる治山事業を実施しております。
 また、土砂を堆積させ、渓流の勾配を緩和することで斜面の崩壊や浸食等を防止するため設置している治山ダムについては、土砂の堆積状況等の点検を定期的に行っており、その点検に基づき、土砂が計画以上に堆積している場合には、新たなダムの設置や堆積した土砂を取り除くしゅんせつなどを実施しております。
 中平均議員御指摘の治山ダムへの懸念について、県では、定期的な点検とともに、市町村と連携しながら地域の意向を把握し、新たなダムの設置やしゅんせつなどの必要な対策を実施していくこととしており、今年度にあっては、県北地域において、6カ所においてこういった取り組みを進めているところでございます。
 今後とも、市町村や関係団体と連携した山地災害の未然防止や荒廃森林の復旧など、安全、安心な地域づくりに向け取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) 今、県土整備部長、農林水産部長から御答弁いただきましたけれども、箇所数が膨大なので、すぐにというのは当然理解はできるのですけれども、豪雨時に定期的にどうしても出てきてしまう場所とか、そういった点の整備はスピード感を持ってやっていただきたいということを申し添えさせていただきます。
 次に、地震津波対策ということでございます。
 実効性のある対策について、最大クラスの津波への対策事業の実施と充実を図るとともに、岩手県地震・津波減災対策検討会議において検討される津波避難対策等について、各地域において、立地条件、地形の異なる事情も考慮して、より実効性のある対策を検討していくことが必要と考えますが、県の見解をお伺いいたします。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 地震津波対策についてでありますが、津波から身を守るためには、直ちに、より安全な場所に避難することが何よりも重要であり、避難に当たっては、地域ごとの津波浸水想定や地形条件、避難経路等を踏まえ、地域の実情に応じた実効性のある避難対策を検討する必要があると認識しています。
 岩手県地震・津波減災対策検討会議では、平成24年2月に県が取りまとめた東日本大震災津波に係る災害対応検証報告書において、今後の減災対策を検討する上で特に重要とされた9項目について、改めて沿岸市町村の対応状況や課題等を精査したところです。
 この結果を踏まえ、各市町村に共通する課題である、自動車による避難、避難行動要支援者の避難のあり方、津波避難ビルの指定の3項目について検討を進めています。
 検討会議では、ことし夏ごろを目途に報告書を取りまとめ、検討した減災対策については、住民参加型の避難訓練などを通じて、地域の実情に応じた、より実効性のあるものとなるよう、市町村とともに取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) ソフト系の今の話に続いて、今度はハード系の話ですけれども、大規模災害に対応する避難施設、避難路の整備のほかにも防災拠点となる行政施設の整備、移転費用などについて、国の補助制度及び地方交付税措置などによる財政支援の拡充のほか、補助事業に係る地方負担額へ緊急防災・減災事業債などの有利な起債を活用できるようにするなど、柔軟で有効に活用できる制度にすることが必要と考えますが、県の見解をお伺いいたします。
〇復興防災部長(佐藤隆浩君) 地震津波対策に係る費用についてでありますが、本県沿岸市町村は、いわゆる日本海溝・千島海溝特別措置法に基づき、特別強化地域に指定されたところであり、避難タワーや避難路の整備などのハード事業については、補助率が2分1から3分の2にかさ上げされ、市町村負担となる3分1に充当可能な地方債の交付税措置がより有利になったところです。
 一方、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策については、津波浸水想定や積雪寒冷を考慮した津波避難施設等の整備を進めていく必要があり、これらの新たな取り組みは、今なお、東日本大震災津波からの復興に取り組んでいる沿岸市町村にとって、さらなる負担となることから、その負担を軽減していく必要があると認識しています。
 このため、県では、今月実施いたしました政府予算要望や、北海道東北地方知事会を通じ、補助事業に係る補助率のさらなるかさ上げや補助、交付金の対象の拡充などを国に要望しているところであり、引き続き、市町村等による津波避難対策が着実に実施されるよう取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) 深刻な数字が想定されておりますので、地元自治体もそうですし、県も一体となって取り組みを進めていただきたい、そのように申し添えます。
 次に、医療体制についてということです。
 コロナ後における県立病院と民間病院の連携についてお伺いいたします。
 医師の絶対数が不足している県内において、民間病院と県立病院の連携は必要不可欠であります。コロナ対策において、ワクチン接種や発熱外来、入院病棟等で連携をとってきたことは重々承知しておりますし、ここで改めて、コロナ禍の中での病院連携が果たしてきた役割と成果、その上で、今後の医療提供体制における連携のあり方についてお伺いいたします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 本県の新型コロナウイルス感染症対応においては、限られた医療資源の中で、感染患者に対して適切な医療を提供するとともに、一般医療への影響を最小限にとどめるために、民間病院と県立病院などの公的医療機関が一体となり、オール岩手による医療提供体制の構築に取り組んでまいりました。
 具体には、新型コロナウイルス感染症患者の重症度や透析患者、妊婦などの特性に応じた医療機関別の役割分担の共有、また、多くの県立病院が担っている重点医療機関と、民間病院が主に担っている後方支援医療機関との連携に基づく病床の有効活用などによりまして、本県においては、これまで入院医療を必要とする患者さんに対して適切に医療を提供することができたと考えております
 今後の通常医療体制につきましても、これまでのコロナ対策の中で構築した医療提供体制を生かし、病院機能等に応じた役割分担や、地域の身近な診療所が担う役割などについて、関係機関と検討の上、医療機関の連携強化に取り組んでまいります。
〇38番(中平均君) そうした中において、岩手医科大学の地域枠の効果についてお伺いしてまいります。
 ことし3月に行った予算特別委員会総括質疑においては、令和5年度には県全体に奨学金養成医師が145名、このうち県北・沿岸地域には58名の配置が見込まれるとの答弁でありました。また、県立久慈病院における今年度の研修医は5人募集して6人希望者があったと伺っております。
 医師確保、地域偏在、診療科偏在の解消は岩手県の医療体制においての絶対的な課題でありますが、一朝一夕に解決できないこともまた現実です。この状況下において、岩手医科大学の地域枠にかける期待は非常に大きいものがありますが、地域枠の効果を改めて伺うとともに、着実な義務履行に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 岩手医科大学地域枠を含む本県の奨学金制度による養成医師については、これまでに741名に貸し付けを決定し、このうち医師免許を取得した養成医師は400名となっております。
 現在義務履行中の者は151名であり、そのうち61名は県北・沿岸地域での勤務により地域医療を支えているところであります。
 令和3年度から義務履行を開始した養成医師については、県北・沿岸地域への配置を必須化しており、今後、さらに配置ニーズの拡大が見込まれますことから、県内の地域偏在の状況は解消に向かうものと考えているところであります。
 また、着実な義務履行に向けましては、医学生に対し、いわて医学奨学生サマーガイダンスを開催し、知事から、全国最大規模の県立病院ネットワークを生かした臨床研修の取り組みなど、岩手県で勤務する魅力などを伝えているところであります。
 さらに、県立病院長経験者である医師支援調整監が医学生や奨学金養成医師と面談を行い、義務履行やキャリア形成について助言やフォローアップを行っているところであり、引き続き、こうした取り組みを通じまして、奨学金養成医師が県内に定着するように努めてまいります。
〇38番(中平均君) ありがとうございます。着実な義務履行ということが非常に大切なのだろうと思っておりますので、この点、引き続きお願いしていきたいと思いますし、1点、一番最初の地域枠と考えていくと、義務履行終了というのが出てきていますけれども、義務履行終了後の定着ということも非常に大切なことだと思うのですが、その点についてどのように取り組んでいるのか、よろしくお願いします。
〇企画理事兼保健福祉部長(野原勝君) 現行の奨学金制度でこれまでに義務履行が終了した医師はまだ13名でございまして、このうち本年4月現在、引き続き県内で勤務している医師は8名、69.2%となっております。義務履行終了医師の総数がまだ少ない状況ではございますが、自治医科大学が調査しております全国の自治医科大学養成医師の義務履行終了後の定着率、こちらが69.1%となっておりまして、現時点で地域医療を担う医師を養成している自治医科大学の定着率と同程度となっているところでございます。
 中平均議員から御指摘ありましたとおり、義務履行後の県内への定着、これは非常に重要な視点でございますので、先ほど御答弁申し上げました支援調整監によるキャリア支援など、義務履行後におきましても、必要に応じて行いまして、県内定着に努めてまいりたいと考えております。
〇38番(中平均君) ありがとうございました。ぜひとも地域枠を生かしていきながら、岩手県の医師確保を確実に図っていくということに引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、ICTを活用した教育ということで、今回初の答弁になると思いますが、教育長にお伺いいたします。
 県立高校の1人1台端末は約1万6、000台の整備が完了しています。本来目的である新型コロナウイルス感染症対策のリモート授業等に活用されたほか、さまざまな授業に活用しているとお伺いしております。ただ、令和6年度の入学生から、高校入学時にICT端末を生徒が購入することになるということからも、より積極的な端末の運用と、また成果が求められると考えますが、どのように取り組みを行っていくのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤一男君) これからの変化の激しい社会を生きる生徒には、情報活用能力などの学習の基盤となる資質、能力を身につけ、ICTなどの先端技術等を効果的に活用していくことが求められており、全ての生徒の可能性を引き出す個別最適の学びと協働的な学びを実現していくためにも、ICTを効果的に活用することは重要と考えております。
 県教育委員会では、生徒1人1台端末を整備し、例えば、共通の課題についてそれぞれの生徒が考え、まとめた内容をクラス全員で共有し、多面的、多角的に考察する場面で活用したり、個々の生徒が読み上げた英文の音声データを保存し、評価する場面で活用するなど、さまざまな場面で効果的なICT活用に現在取り組んでいるところです。
 今後は、生徒が総合的な探求の時間等に作成したレポートの優良事例の全県での共有や、海外も含めた遠隔地の外部専門家や他校との交流といった、より発展的な活用についても進めてまいりたいと考えております。
〇38番(中平均君) そういった中で、ICTの教員人材育成を進めていかなければならないだろうと思っております。教員の採用倍率は、全国では平成11年度実施の13.3倍をピークに令和3年度実施では3.7倍、岩手県でも同様に低下傾向で、平成26年度実施の9.1倍から、昨年度実施の受験倍率は3.3倍、大きく下がってきております。人口減少や生産人口の減少というのも大きい要因だとは思いますが、学生に対してなかなか仕事の魅力が伝わっていないのではないかということもあるでしょう。実際に、都市部の自治体によっては教員確保が難しいと報道されておりますが、岩手県においての教員確保をどのように取り組んでいるのか。そして、ICTを活用していくための教員育成をどのように取り組むのかお伺いいたします。
〇教育長(佐藤一男君) 本県の教員採用試験の受験倍率は、全国的な動向と同様に低下傾向にあります。このため、県教育委員会では、県内外の大学の訪問やオンライン説明会を実施するなどして、県が求める教員像や教員の仕事の魅力の発信に努めてきているところです。また、採用試験におきましては、受験者の年齢制限の緩和、オンラインによる申し込みの実施等の見直しを図り、受験者数の確保に努めております。
 引き続き、これから教員を目指そうとする人たちが教職の魅力ややりがいを感じ、意欲を持って働くことができるように環境の整備に努めながら、岩手県の教育を担う有為な人材の確保に取り組んでまいります。
 ICTに関する教員の育成についてでございますが、教員のキャリア、ライフステージごとに求められる資質を示した教員等育成指標というものがございますが、これにICTや情報・教育データの利活用の視点という項目を設け、授業や公務等での積極的、効果的な活用を図ることなどを示したところでございます。
 総合教育センターにおきましては、初任者研修を初めとした基本研修や希望研修の中から78講座をICT活用研修として位置づけ、みずからの指導の改善を図る研修として受講を奨励しております。
 また、GIGAスクール運営支援センターの設置、学校DX支援リーダーを配置しまして、ICTの効果的な活用や運用等を支援する体制を整えておりまして、教員のICT活用に係る指導力の向上に努めてまいります。
〇38番(中平均君) では、最後の質問です。小中学校、県内自治体間によって差があるというのを聞いておりますけれども、これをどのように把握しているのか。その上で、県として本来の趣旨、一定水準の教育を確保し、担保するためのものであるという趣旨で考えれば、県としても市町村に積極的な活用を促していくべきだと思いますけれども、その点について教育長にお伺いいたします。
〇教育長(佐藤一男君) 令和4年度全国学力・学習状況調査の結果によりますと、本県の小中学校におけるICT機器の活用状況は、地域や学校によってはおくれが見られる状況でございます。県教育委員会では、これまで県内全ての市町村教育委員会とで構成する岩手県学校教育ICT推進協議会におきまして、活用に当たっての課題や活用事例の共有、連携した取り組みの協議を行ってまいりました。
 昨年度は、各校の活用を支援するGIGAスクール運営支援センターの設置や、本県の児童生徒にどの学年でどのような情報活用能力を身につけさせていくのかをわかりやすくまとめた体系表例の作成等、ICTの活用に向けた基盤を整備してきております。
 今年度は、校長など管理職への事例紹介を通じた活用促進の働きかけを実施したほか、新たに指導主事を対象としたICT指導者研修会や、各市町村が配置しているICT支援員の連携会議を開催し、ICTの日常的な活用に取り組んでいくこととしております。
 こうした取り組みを通じまして、県内小中学校におけるさらなるICT活用の推進に取り組み、教育の質の向上に努めてまいります。
〇議長(五日市王君) 以上をもって、中平均君の一般質問を終わります。
〇38番(中平均君) ありがとうございました。(拍手)
   
〇議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時32分 休 憩
   
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 小 林 正 信 君
3  番 千 葉   盛 君
4  番 千 葉 秀 幸 君
5  番 岩 城   元 君
6  番 上 原 康 樹 君
7  番 高橋 こうすけ 君
8  番 米 内 紘 正 君
9  番 高 橋 穏 至 君
10  番 山 下 正 勝 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 佐々木 朋 和 君
15  番 菅野 ひろのり 君
16  番 柳 村   一 君
17  番 佐 藤 ケイ子 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 名須川   晋 君
20  番 佐々木 宣 和 君
21  番 臼 澤   勉 君
22  番 川 村 伸 浩 君
23  番 ハクセル美穂子 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 吉 田 敬 子 君
27  番 高 橋 但 馬 君
28  番 小 野   共 君
29  番 軽 石 義 則 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 小 西 和 子 君
32  番 高 橋 はじめ 君
33  番 神 崎 浩 之 君
34  番 城内 よしひこ 君
35  番 佐々木 茂 光 君
36  番 佐々木   努 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 中 平   均 君
39  番 工 藤 大 輔 君
40  番 五日市   王 君
41  番 関 根 敏 伸 君
42  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 岩 崎 友 一 君
45  番 工 藤 勝 子 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 勝 博 君
48  番 飯 澤   匡 君
欠席議員(なし)
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後2時52分再開
〇議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。伊藤勢至君。
   〔43番伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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