平成7年12月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成7年12月4日(月曜日)

1開会    午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
  事務局長        渡邊勉
  議事課長        小国平二
  議事課長補佐      西田幸男
  主任議事管理主査    駿河勉
  議事管理主査      吉田徹
  議事管理主査      小原敏文
  議事管理主査      中澤悟
  議事管理主査      木村稔

1説明員
  副知事         千葉浩一
  副知事         吉永國光
  出納長         高橋洋介
  総務部長        上田紘士
  総務部次長       大隅英喜
  県立大学整備室長    川崎功
  参事兼人事課長     飛澤重嘉
  総務学事課長      盛合桂三郎
  財政課長        佐藤勝
  税務課長        梅木敬時
  地方振興課長      赤津征男
  消防防災課長      本田敏秋
  企画調整部長      小野寺英二
  企画調整部次長     佐藤孝司
  企画調整部次長     小森睦夫
  企画調整課長      馬場竹次郎
  地域計画課長兼海洋開発対策室長兼リゾート対策室長  菊池毅逸
  交通政策課長      瓦林康人
  資源エネルギー課長   相原正明
  副出納長兼出納局次長  渡辺勲
  総務課長        下田一郎
  出納課長        浅沼昌明
  監査委員        源新義弘
  監査委員        橋本光男
  監査委員事務局長    川村禎佑
  総務課長        小野寺禎夫
  監査課長        米本清一

〇渡邊議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておるので、年長の委員を御紹介申し上げる。出席委員中、藤原哲夫委員が年長の委員であるので、御紹介申し上げる。藤原哲夫委員、どうぞ委員長席に御着席願う。
   〔年長委員藤原哲夫君委員長席に着く〕

〇藤原年長委員 ただいま紹介された藤原哲夫である。何とぞよろしくお願い申し上げる。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行う。
 お諮りする。委員長の互選の方法については指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。 決算特別委員長に瀬川滋君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した瀬川滋君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した瀬川滋君が決算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された瀬川滋君が委員会室におられるので、当席から当選の告知をする。 瀬川委員長、委員長席にお着き願う。
 御協力ありがたかった。(拍手)
   〔決算特別委員長瀬川滋君委員長席に着く〕

〇瀬川委員長 ただいま委員長に選任をいただいた瀬川滋である。微力ではあるが、活発な議論と、かつ円滑な運営を心がけたいと思うので、委員皆様の御協力をお願いする。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇瀬川委員長 御異議なしと認め、さよう決定した。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長の互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇瀬川委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名推選の方法については、当職において指名することにしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇瀬川委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 決算特別副委員長に伊沢昌弘君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した伊沢昌弘君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇瀬川委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した伊沢昌弘君が決算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された伊沢昌弘君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 伊沢副委員長、ごあいさつを願う。

〇伊沢副委員長 副委員長に選任をいただいた伊沢昌弘である。初めてのことであるけれども、委員長を補佐をしながら、皆さんの御指導をいただきながら活発な議論を展開をされるように頑張ってまいりたいと思う。どうかよろしくお願い申し上げる。(拍手)

〇瀬川委員長 お諮りする。当決算特別委員会に付託された決算12件についての審査の方法であるが、お手元に配布してある日程のとおり、本日から12月8日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決については、12月8日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇瀬川委員長 御異議なしと認め、さよう決定した。
 これより議事に入る。
 認定第1号平成6年度岩手県一般会計歳入歳出決算から、認定第12号平成6年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算までの12件を一括議題とする。
 これより高橋出納長から決算の総括説明を求める。

〇高橋出納長 平成6年度歳入歳出決算の概要について御説明を申し上げる。
 第三次岩手県総合発展計画の施策の基本方向に基づいて編成された平成6年度の一般会計の歳入歳出予算については、当初予算が7、657億6、077万円余となっておるが、この当初予算に公共事業費及び県単独事業費の追加など270億4、262万円余の追加補正が行われたところである。これに前年度からの繰越事業費579億2、131万円余を加えた予算現額は8、507億2、471万円余となり、前年度に比べて71億7、336万円余、0・9%の増となったところである。
 お手元に配布しておる歳入歳出決算事項別明細書実質収支に関する調書の387ページをお開き願いたいと存ずる。
 ただいま申し上げた予算現額に対する決算額であるが、お手元の調書記載のとおり、一般会計の歳入総額は8、270億8、440万円余、これに対して歳出総額は8、086億9、905万円余、歳入歳出差し引き額は183億8、535万円余となっておる。この額から翌年度へ繰り越すべき財源171億4、692万円余を差し引いた実質収支額は12億3、843万円余の黒字となっておる。
 次に、歳入歳出決算書の方に戻っていただいて、2ページ、それから3ページをごらんいただきたいと思う。
 まず、歳入についてであるが、収入済額は8、270億8,440万円余で、前年度に比べると188億7、544万円余、2・3%増加しておるが、予算現額に対する収入済額の割合は97・2%、調定額に対する収入済額の割合は99・8%となっておる。
 また、収入未済額は11億207万円余であって、前年度に比べて3、514万円余減少しておる。この主なものは県税である。
 次に、4ページと5ページの歳出についてであるが、支出済額は8、086億9、905万円余で、前年度に比べると236億7、165万円余、3・0%の増加となっておるが、予算現額に対する支出済額の割合は95・1%となっておる。
 また、翌年度繰越額は411億9、653万円余であって前年度に比べると167億2、477万円余の減少となっておる。その主なものは農林水産業費及び土木費である。
 なお、不用額は8億2、912万円余となっておるが、これは経費の節減によるものである。
 以上、一般会計の決算の内容について御説明申し上げたが、その特色としては、まず第1には、決算規模は拡大をしたところであるが、伸び率は低下したということである。農業農村整備、道路、橋梁などの公共事業及び県単独事業等に前年度に引き続き積極的に取り組んだ結果、決算規模は、歳入で188億7、544万円余、歳出で236億7、165万円余拡大しておる。しかしながら、その伸び率は、歳入においては2・3%と前年度の10・2%を、また歳出においては3・0%と前年度の7・6%をそれぞれ下回っているものである。
 第2には、実質収支額が増加したことである。厳しい財政環境のもと、従前にも増して、県税等の歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めた結果、実質収支額は12億3、843万円余となって、前年度に比べ3億6、205万円余、41・3%の大幅な増となっておって、これは過去の最高額ということである。
 第3番目には、県税収入が増加はしたものの、一般財源の総額が減少したことである。県税収入は、軽油引取税、利子割県民税、法人事業税等が伸びたこと等によって、前年度に比較して81億4、219万円余、7・4%の増となって、前年度の伸び0・2%を上回って、平成3年度、これは10・7%であったが、この平成3年度以来の高い伸び率となったところである。
 一方、地方交付税が前年度に比べて102億2、358万円余、4・1%、地方譲与税が32億6、301万円余、24・8%それぞれ減少したことなどから、一般財源総額は前年度に比べて142億402万円余、3・4%の減少となったものである。
 第4番目には、投資的経費の伸び率が堅調であったことである。普通建設事業費などの投資的経費は3、215億1、331万円余となって、前年度に比べて97億9、065万円余、3・1%の増と堅調な伸びを示しておって、支出済額に対する構成割合も39・8%と、前年度を0・1ポイント上回っているものである。
 特色の第5としては、繰越額が多額となったことである。国のガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意に関連して、県においても公共事業の追加などが行われたところであるが、年度内に必要な工期を確保できないことなどのために、その大部分が翌年度繰り越しとなったこと等によって、翌年度への繰越額は411億9、653万円余となって、過去最高額であった前年度の579億2、131万円余に引き続き、多額となったことである。
 以上、一般会計の決算の特色を申し上げたが、次に、母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の決算内容について御説明申し上げる。特別会計歳入歳出決算総括表により御説明を申し上げたいと存ずるので、歳入歳出決算書の20ページ以下をごらんいただきたいと存ずる。
 母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の歳入合計額は、25ページに記載をしてあるとおり456億8、084万円余、歳出合計額は、これは28ページに記載してあるとおり432億8、873万円余であって、各会計とも実質収支は黒字となっておる。
 収入未済額は12億8、313万円余となっておるが、その主なものは、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などである。
 以上で決算の概要説明を終わるが、お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしておるので、御参照いただきたいと存ずる。
 なお、決算内容の詳細については、審査日程に従って、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっておる。
 また、監査委員から御意見のあった事項のうち、措置を要するとされたものについては、既に関係部局において所要の措置を講じているところであって、特に今後留意改善すべきものとされた食糧費にかかわる事項など、会計事務の適正な執行については、今後とも各部局への指導、適切な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存ずる。 よろしく御審議の上、御認定くださるようお願い申し上げ、説明を終わらせていただく。

〇瀬川委員長 これより総括質疑に入る。
 最初に代表質疑を行う。代表質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、新進・公明、自由民主党、日本社会党、県民クラブ、無所属クラブの順に行う。発言時間は、答弁を除き1人30分以内となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。なお、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をよろしくお願いする。
 これより代表質疑に入る。

〇藤原(良)委員 新進・公明の藤原良信である。
 私は新進・公明会派を代表して、平成6年度決算について総括的に質問を申し上げたいと存ずる。このたびは5会派であるので、議事の進行に協力する上でも2問を1度に申し上げる場合もあろうと思うが、よろしく御理解をいただきたいと思う。
 最初に、平成6年度県政全般の評価についてお伺いをする。
 平成6年度の我が国の経済は、総じて低迷の続く厳しい状況から始まった。2月の総合経済対策や景気に配慮した6年度予算の着実な実施等もあって、穏やかながら回復基調をたどったところである。しかし、年度後半における急激な円高の進行などにより、その回復のテンポは鈍いまま現在に至っておる。
 また、国内においては、平成7年1月に阪神・淡路大震災が発生し、未曾有の大惨事となったのであるが、これを契機に、防災に対する国民の意識と安全な国土づくりへの機運が高まったのである。
 一方、我が県内に目を向けると、一昨年の冷害で大きな被害を受けた稲作は、ことしは厳しいようであるけれども、昨年は夏の好天に恵まれて記録的な豊作となったほか、オリジナル水稲品種の名前も決定され、また、東北新幹線盛岡-八戸間のフル規格化の決定や、また、花巻空港から関西国際空港への乗り入れ、さらには、工業技術センターを初めとする各種試験研究機関の開所など、県政全般にわたり、各般の施策が積極的に展開されたものと考えておる。
 しかし、一方では、前段申し上げた急激な円高やウルグァイ・ラウンド農業合意への対応、さらには、急速に進展しつつある長寿社会への対応や、環境保全に対する要請の高まりなど、解決すべき課題も多く提起された年でもあった。
 そこで、まずこうした平成6年度の県政全般を顧みて、これをどのように評価されるのか、千葉副知事に御所見を賜りたいと思う。
 次を重ねて御質問する。次に、平成6年度決算についてあわせてお聞きを申し上げる。 6年度の地方財政対策は、活力ある地域づくりと多極分散型国土の形成を図るため、引き続き地方単独事業の積極的な推進を図ることとし、ふるさとづくり事業の拡充や、地方特定道路、ふるさと農道、ふるさと林道の整備などの措置が講じられたところである。しかし、地方財源の不足が見込まれたことから、地方交付税における交付税特別会計の資金運用部資金からの借り入れを初め、減税補てん債や地方建設債の発行を行うなどの措置により財源を確保するなど、依然として厳しい財政状況にあったものと考えておる。本県においても、決算を見ると、歳入面では、県税は高い伸びを示したものの、地方交付税は前年度を下回っておる。歳出面では、普通建設事業などの投資的経費の伸びは堅調であったなどの特徴が見られるところであるが、6年度決算についてどのように分析されておられるのか、お伺いをする。

〇千葉副知事 2点御質問あったわけであるけれども、まず、平成6年度の県政全般についての評価の関係であるが、平成6年度は、円高やウルグァイ・ラウンド合意の関係で、経済情勢は極めて厳しいそういう環境下にあったわけである。そういった中にあって、本県においては工業技術センター、水産技術センターの開所を見たところである。また、超電導工学研究所の盛岡研究所が立地するなど、高度技術に立脚した産業の展開に向けた試験研究体制の確立がなされたところである。
 また、オリジナル水稲品種のかけはし、ゆめさんさの販売が開始されたわけであるが、こういったところで新たな発展に向けた基礎づくりが着実につくられたと考えておる。
 また、種もみの緊急増殖をきっかけとした沖繩県との交流が促進されたし、阪神・淡路大震災における被災地に対する県民の物心両面にわたる支援など、岩手県民の心の温かさがアピールされた年でもあったと考えておる。
 そういった中で平成6年度の主な施策の推進について領域別に申し上げるが、まず県土の整備の関係である。
 交通網の整備については、中型ジェット機が就航できるよう花巻空港の滑走路かさ上げ工事を行うとともに、東北自動車道釜石秋田線などの建設を促進した。また、東北新幹線盛岡-八戸間のフル規格化の決定や、地域高規格道路として宮古-盛岡、宮古-久慈間が指定されるなど、高速交通網の整備が一層促進されたところである。
 また、三陸地域の振興の拠点として、宮古市、釜石市、大船渡市を中心とした4市5町1村を三陸地方拠点都市地域に指定したところである。
 また、フロンの回収の促進や下水道の整備を進めるなど、地球環境問題の対応や良好な生活環境の整備を促進したところである。
 産業の展開の関係については、農業ではウルグァイ・ラウンド合意関連対策として、農業生産基盤の整備を初め、効率のよい地域ぐるみの農業の形成を図るとともに、中山間地域の活性化対策を強化するなど、力強い農業の確立に向けて取り組んだところである。
 また、林業については、林道網の整備や木材高次加工施設等の整備を進めたところである。また、シイタケなどの特用林産物の生産振興や森林の総合的な利用促進に取り組んだところである。
 また、水産業については、漁港や加工流通拠点の施設の整備を初めとして、ヒラメやマツカワなどの新しい栽培魚種の開発を進めるなど、つくり育てる漁業の推進を図ったところである。
 工業については、工業技術センターでの研究者、技術者の育成や産学官の共同研究により、技術開発の向上に努めたところでもある。
 また、商業については、魅力ある商店街の整備を図ったところである。
 福祉の充実については、人に優しいまちづくりを積極的に進めるとともに、障害者、高齢者がすべての県民の相互交流の場としてふれあいランド岩手を開設した。
 また、高齢者保健福祉計画に基づいて、ホームヘルパーなどの在宅福祉サービスの充実や、介護福祉士などの福祉サービスの担い手の養成確保を図ったところである。
 また、心豊かな人づくりについては、生涯学習センターの整備など、学校教育や生涯学習環境の整備充実に努めるとともに、県立の4年制大学の基本構想を策定し、整備に向けた具体的な取り組みに着手したところである。
 また、県民の国際交流を支援する中心的な施設となる国際交流プラザの整備を図るとともに、青年の船や女性の船の実施、さらにはさわやかフォーラムの開催など、次代を担う青少年の健全育成と、女性の社会参加を促進したところである。
 以上が平成6年度におけるところの主要な成果の一端であるけれども、これらの施策を積極的に展開した結果、県勢は全般にわたり着実に進展して、県民生活の向上が図られたものと考えているところである。
 次に、平成6年度の決算の分析についてであるけれども、先ほど委員が御指摘になったように、平成6年度の地方財政を取り巻く環境は極めて厳しいそういう状況だったわけであるけれども、本県の決算の関係を見ると、先ほど出納長からも説明があったとおり、県税収入は、軽油引取税、法人事業税が伸びたところから、前年度に比較して高い伸び率となっておる。一方、地方交付税が前年度を下回り公債費が増加するなど、厳しい財政環境のもとに置かれておったけれども、農業農村整備、道路、橋梁等の公共事業あるいは県単独事業を積極的に取り組んだ結果、決算規模は拡大しているところである。
 財源確保の関係であるけれども、歳入面では使用料、手数料の見直しを27件行ったところである。また、財政調整基金の有効活用等も行っておる。歳出面の関係においては、経常経費の5%マイナスシーリングを行っておる。また、県の単独補助金の整理合理化も77件着手しておる。これらによって財源の確保に努めたところである。
 そういう財政環境のもと、新規施策では県立大学の整備事業、あるいは職業能力開発短期大学校整備事業、さわやか岩手イメージアップ大作戦など、58件の新規事業に積極的に取り組むなど、県勢の着実な発展のため鋭意努力したところである。このため、厳しい財政環境のもとではあったけれども、平成6年度決算については評価をしていただけるのではなかろうかと考えておる。
 次に、財政状況であるけれども、東北6県の財政指標から本県の財政構造を見ると、自主財源比率、一般財源比率、これは高い方がいいわけであるけれども、これは東北6県でいずれも第4位となっておる。それから、経常収支比率、義務的経費比率はこれは低い方がいいわけであるが、これはいずれも東北6県で第1位となっておる。それから、公債費比率であるけれども、これも低い方がいいわけであるが、これは東北6県で第2位となっておる。それから、投資的経費比率、普通建設事業費の割合、県単独普通建設事業費の割合、これは高い方がいずれもいいわけであるけれども、いずれも東北6県で第1位と、こういう位置づけである。これらの指標を見ると、本県の財政構造は依然として脆弱ではあるけれども、財政運営に当たって財源確保に努め、経常経費を可能な限り節減して、社会資本の整備を積極的に推進するなど、限られた財源を重点的かつ効率的に配分するよう努めた結果であると考えておる。東北各県と比較した場合でも、健全財政を維持しているものと考えておる。今後とも、行財政運営の効率化に努め、さらに健全な財政運営に努めていきたいと考えておる。

〇藤原(良)委員 次に、出納長にお伺いする。
 歳計現金の運用についてであるけれども、歳入歳出決算事項別明細書によると、歳計金利子は11億5、128万円余となっておる。前年度の13億4、646万円余と比較をして1億9、518万円余、いわゆる14・5%の減となっておる。公金の運用は、確実かつ有利な方法によることが原則であり、日ごろからそのような取り組みに努力されているものと思う。6年度における歳計金利子の減少の要因は何であったのであろうか、お伺いをする。
 あわせて、本年4月及び9月に公定歩合が引き下げられるなど、最近の市場金利は低位に推移しておるが、最近のいわゆる超低金利時代における歳計現金の運用状況と今後の運用方針についてお伺いをする。
 あわせて、総務部長にお尋ねをする。県債残高の推移と償還見通しについてであるけれども、平成6年度の一般会計決算における県債の額は1、110億円余で、前年度と比較し2・1%ほど増加しておる。歳入に占める割合は13・4%で、地方交付税、国庫支出金、県税に次ぐ規模となっておる。県債の発行額の推移を見ると、平成5年度に初めて1、000億を超え、その総額に占める割合も、平成4年度以降、2けた台になるなど増加傾向にある。これらの傾向は、県税、地方交付税等の一般財源が伸び悩んでいる中で、社会資本の整備等に積極的に取り組んできていることのあらわれとも考えられるが、一方、健全な財政運営を行っていくためには、多様な行政需要に的確に対応し得るような弾力性を保持していくこともまた必要であろうと思う。このため、将来の財政支出を拘束することにもなる県債残高が増加傾向にあることは決して好ましいことではない。そこで、お伺いをするが、今後における県債残高の推移と、その償還の見通しをどのように把握されておるのか、お伺いしたいと思う。
 そしてまた、今後における県債導入のあり方について考え方というか、そのことについてもあわせてお考えをお示しいただきたいと思う。

〇高橋出納長 平成6年度の歳計現金の運用利子は、御指摘のとおり14・5%の減少ということであるが、これは運用額の増加にもかかわらず市場金利が低下をして、これに伴い歳計現金の運用に係る利回りが平成6年度は2・23%ということで、5年度に比べて0・62ポイント低下したということによるものである。ただ、借り入れ利回りもそれ以上に低下をしたので、運用益としては前年度よりも1億2、700万円余増加をしたということである。
 次に、超低金利時代における歳計現金の運用状況と今後の方針ということであるが、平成7年度は概観をするとどうもこの6年度のようなぐあいにはいかぬというようなことであって、ことしの4月と9月に公定歩合が2度にわたって引き下げられ、今、過去最低の0・5%ということになっているわけであって、これに連動して市場金利もかなり低水準で推移しておる。さらに7年度の見通しでは0・98%ぐらいではないかというような見込みであって、6年度に引き続いて本年度も歳計金利子の減少は避けられない。そういうような見通しである。
 歳計現金については、従前からその運用に当たって、大口定期預金等を中心として、確実かつ有利という原則に基づいて行ってきたところであるし、これからも各部局との連携によって歳入金、これの適期確保に努める。また、歳出金についてはより計画的な執行を図るというようなことで、きめ細かな運用に努めていきたいと、そのように思っておるし、いずれ金利動向を的確に把握し、そういうようなきめ細かい運用を行うなどによって、効率的な歳計現金の運用に努めてまいりたい。そのように考えておる。

〇上田総務部長 県債残高とそれから償還の見通しの関係についてお答え申し上げる。
 御指摘にあったように、特に平成4年度以降、国の経済対策等に対応して各種社会資本の整備を積極的に推進するとともに、地方単独事業にも一層努力をしてきたこともあって、近年、県債残高が増加している。こういうことが実態となっておる。数字を申し上げると、平成6年度末では5、939億6、900万円であるし、また平成7年度末、これは7年度の現段階で発行を予定しておる県債を含めた数値であるが、6、909億1、700万円と見込んでいるところである。
 これらの県債の償還の見通しについてであるけれども、今年度の発行予定額を織り込んで概算をすると、平成12年度までの今後5年間の一般会計ベースの県債償還額は、各年度においておおむね700億ないし800億円台で推移すると見ておる。
 なお、元利償還金の交付税算入額等を控除した、いわば純県負担ベースで見ると、これらの元利償還額の約半分程度、これが実負担額と試算されるものである。
 それから、県債の導入の考え方であるけれども、確かに公債費の増嵩ということは財政を硬直化する要因となることは事実であるので、そういった意味で将来の財政が極力弾力性を損なわないように、特にも起債の元利償還に財源措置のある、例えば地域総合整備事業債、こういった有利な起債を積極的に導入するとともに、事務事業の見直しあるいは行財政運営の簡素合理化等に努力して、全体として財政の弾力性を保持してまいりたいと考えておる。

〇藤原(良)委員 重ねて総務部長にお尋ねするけれども、食糧費問題についてお伺いをする。
 食糧費については、会議用の茶菓とかあるいは弁当代を初め、応接用の料理、酒類まで広く認められている経費であろうと思っておる。最近、中央省庁の職員との懇談経費などが問題となっておるが、私は、職務に関連したものや儀礼的なものまで全くなくすことはいかがなものかと思うものである。本県のように中央から遠隔の地で、社会資本の整備がおくれている地方団体にあっては、国の政策動向の情報をいち早く収集し、県の施策に反映するとともに、本県の実情を正しく理解をしていただく上でも、国の職員との節度ある範囲での会食、懇談の経費は必要ではないだろうかと、そう思うものである。東京事務所は、そうした意味で、いわば岩手の前線基地としての位置づけで、県勢発展に大きく貢献をしてきたものと理解をしておる。要は予算執行の適正を図ることである。そこで、平成6年度の食糧費の決算額及び7年度の執行見込みについてお伺いをする。
 さらに、8年度予算要求に際しては、総額で3割減を打ち出しておるが、今後の査定に当たってはどのような考え方で臨むのか、総務部長にあわせてお伺いをしたいと思う。

〇上田総務部長 平成6年度における一般会計の食糧費の決算額であるが、総額で4億200万円余となっておる。
 それから、平成7年度の執行について、既に申し上げておるとおり、下半期の執行については、厳正な執行を図るための目標として、予算の20%の保留、こういうことを行っておる。こういうこともあって7年度の執行見込みについては、現時点で、前年とやり方を変えなきゃいけないと思っておるので、最終的にどうなるか、ちょっと見込みを立てることが難しいのであるけれども、感じとしては6年度の決算額をかなり下回るのではないかと考えておる。
 明年度の予算査定に当たっては、さきに予算要求段階で、今年度9月現計予算の30%減としておるけれども、今後、査定の過程で精査を加えることとしておる。いずれにしても委員御指摘のとおり、その目的に沿った適正な執行、これは大切なことと考えておるので、一生懸命努力してまいりたいと考えておる。

〇藤原(良)委員 次に、企画調整部長にお尋ねする。JRの岩泉線の問題についてである。
 本県においては、岩泉線も含めJRの在来各線は、県民の日常生活の維持や観光等産業の振興を通じた地域の発展に欠かすことのできない交通機関として、大きな役割を担っておる。したがって、岩泉線をめぐる問題は、沿線地域だけではなく、県内の全域にわたる交通政策の観点からも重要な課題として受けとめるべきだろうと、そう思っておる。このような認識のもとに、私ども新進・公明、無所属クラブ、藤倉委員も含め、先月、JR東日本の盛岡支社の幹部と意見交換を行った。その際、JR盛岡支社では、先般の岩泉町及び新里村に対する申し入れは、岩泉線の廃止を前提として行ったものでなく、あくまでも同線の今後のあり方について地元とともに勉強したいということで申し入れたものであることを明言をしておった。
 一方、地元では、沿線の7町村が宮古地区広域圏鉄道対策協議会を組織し、岩泉線の存続を基本としながら、今後の鉄道対策について、広域的な観点から協議、検討することとしておる。そして、さきに協議会がJRに対して要請を行った際、両者の参加による勉強会の開催について双方の合意が得られたと聞いておるところである。そこで、お伺いをするが、県では、県内全域の交通政策を推進する立場から、この問題について今後どのように取り組んでいくおつもりなのであろうか、お聞かせを願いたいと思う。

〇小野寺企画調整部長 申すまでもなく、利用者の交通に対するニーズ、これに的確にこたえるためには、県内における交通機関が相互に連携し合いながら、お互いの特性を十分に発揮して、そしてその効果を高めていくということが大事である。岩泉線を含む県内のJR在来線についても、御指摘にもあったように、地域住民の日常生活の足として重要な役割を果たしておる。さらにまた、観光あるいは産業等地域経済の振興に大いに役立つと、貢献していると、そのように考えておる。
 このために、JR東日本に対して、かねてから市町村の要望等も十分に踏まえながら、運行本数あるいは接続の時間等について、住民の方々の要望がダイヤ編成に十分に反映されるように、あらゆる機会をとらえて要望してきた経緯がある。
 また、同じような考え方に基づいて、今回のJR岩泉線の問題についても、JRから地元に申し入れが行われた直後に、県に対してJR支社からお話があった。この際、知事から同社に対して、公共交通機関としての重大な責務について、十分これを踏まえ地元との間で協議を尽くし、同線のあり方について地域住民が納得する形で進むようにと、そういうことを強く要請したところである。
 県としては、ただいまお話もあったが、先般、10月2日であるが、宮古地区広域圏の鉄道対策協議会が設置され、そしてまた、この機関とJRとが勉強していくということで合意に達したということを承知しておるので、当面は両者間で建設的な協議が進められることを強く期待するとともに、将来にわたって地域住民の交通の安全性及び利便性が十分に確保されるように、必要に応じて県としても協議に参加することも含めて、適切に対処してまいりたいと考えておる。

〇藤原(良)委員 次に、県立大学の整備について千葉副知事にお尋ねをする。
 県立大学については、本年2月にその整備に関しての基本的枠組みを定めた基本構想が策定され、平成10年4月の開学を目指して各般の準備事務が着々と進められていると伺っておる。この大学は、県立では初めての4年制大学として、深い知性と豊かな感性を備え、高度な専門知識を身につけた人材の育成を目指すものであり、この大学から巣立った多くの若者がこれからの本県の産業、経済、文化の担い手として、さらには、全国に、世界に向けて雄々しく羽ばたいていただくことを期待するものである。そこで、お伺いをするが、カリキュラムの編成や教員の確保、さらには、施設整備などの準備作業はどの程度進んでおられるのか、また、今後のスケジュールはどうなっておられるのか、お聞かせを願いたいと思う。

〇千葉副知事 県立大学の整備の関係については、本年の4月に開設準備委員会を設置して、カリキュラムの編成や教員の確保、施設整備などについて具体的な開学準備に取り組んでいるところである。これまでのところ順調に推移しているものと考えておる。
 これまでの事業の進捗状況であるけれども、教育研究の内容については、4つの学部や短期大学部ごとに設置しておる専門部会において、カリキュラムの編成や教員の組織の検討を進めているところである。また、特色ある教養、教育のあり方や各学部の連携のあり方等については、全学調整会議において検討を進めているところである。
 教員については、現在の見込みでは、全体で200人を超える教員を確保する必要があると見込んでおるが、現在、各学部の中核となる主要教員の人選に取り組んでいるところである。なお、教員の選考に当たっては、教員選考委員会を設置して、公正を期していくということにしておるところである。
 それから、施設整備の面であるけれども、3階建てで延べ床面積約8万1、000平方メートルとする基本設計を終了して、現在、実施設計を進めている段階である。
 また、建設用地については、各種の調査、都市計画法上の開発行為の協議等を終了して、11月10日から造成工事に着手しているところである。
 また、国との調整の関係であるけれども、本年7月に自治省との財政協議等を終了しておる。文部省とは、随時協議を行っているところである。
 次に、今後のスケジュールであるけれども、平成7年度は、引き続きカリキュラムの編成や主要教員を中心とした教員の確保に取り組むほか、建築実施設計や用地造成工事を進めたいと考えておる。
 また、平成8年度は、教員の確保を中心に、文部省に対する認可申請書類の作成、文部省の事前協議など、設置認可申請を行うための具体的に詰めた作業を行うこととしておる。
 また、施設整備については、平成8年7月までに主要部分の造成工事を終了し、引き続き建物本体や運動施設の工事に入る予定である。
 それから、平成9年度は、4月に文部省に対して大学設置認可申請を行って、平成10年4月には新入生を迎え入れるべく、図書、備品の整備や入試の実施など、開学に向けての具体的な諸準備を進めるということにしておる。

〇藤原(良)委員 次に、2問続けて御質問をさせていただく。1点は、在宅介護支援センターの機能強化策について、もう1点は、老人保健施設の整備について、あわせて千葉副知事にお尋ねをする。
 まず最初に、在宅介護支援センターの機能強化策についてであるが、平成2年度を初年度とする高齢者保健福祉推進10カ年戦略、いわゆるゴールドプランも、今年度からは新ゴールドプランとして折り返しに入っておる。県においても、平成6年2月に策定した岩手県高齢者保健福祉計画に基づき、着実に介護サービスの供給力の向上に努めておられる。高齢者福祉の向上に向けて、なお一層の充実を期待するものである。
 さて、介護を必要とする高齢者及びその家族にとって、これらの介護サービスを利用しやすくするとともに、ニーズに応じたきめの細かいサービスの提供を行うためには、在宅介護支援センターの設置促進とその機能の充実強化を図ることが重要であろうと思うものである。県の高齢者保健福祉計画では、在宅介護支援センターの設置については、中学校区に1カ所を目標に整備を促進することとなっておる。このようにセンターの設置をふやすことは必要なことであるが、地域住民がセンターを身近に感じ、気軽に利用できるようにすることや、その役割を十分発揮できるよう関係機関などの支援体制を築くこと、また、職員の資質の向上を図ることが何よりも重要であろうと思うものである。そこで、現在、在宅介護支援センターの設置状況はどうなっておられるのか、また、その機能の強化に向けてどのような施策を講じていかれようとしておられるのか、お伺いをしたいと思う。 あわせて、老人保健施設の整備についてであるが、本格的な長寿社会に備え、今後増加すると予想される寝たきり老人などの介護を要する老人に対して、医療サービスと生活サービスをあわせて提供する老人保健施設の果たす役割は極めて大きくなるものと考えられるものである。県の高齢者保健福祉計画では、平成11年度までに4、400床を整備するとの目標を掲げておる。この老人保健施設の整備促進を図ることとしておるが、その計画の進捗状況はどうなっておられるのであろうか。また、今後の整備についてはどのように見通しておられるのであろうか。あわせてお示しを願いたいと存ずる。

〇千葉副知事 まず、在宅介護支援センターの関係であるけれども、在宅介護支援センターは、近年整備が進んで、本年度末までに47カ所の設置が予定されているところである。このような量的な整備とあわせて、今年度から次のような機能強化策に取り組んでいるところである。その1つは、情報の共有化や先進事例の研究などを行うための支援センターのネットワーク化である。また、高齢者やその家族が、身近な町の中で、気軽に相談に立ち寄ることができるようにするため、県薬剤師会の協力を得て、支援センターのブランチとなるまちかど相談所の設置をしているところである。また、支援センターの職員を対象とした研修会を実施しておる。また、支援センターの職員が中心となって、コンピューターを利用した在宅介護を支援する情報システムについての研究活動を行っているところである。今後とも、これらの施策を拡大して、住民が気軽に相談できる支援センターの機能の強化を図っていきたいと考えておる。
 次に、老人保健施設の整備の関係であるけれども、平成7年12月1日現在で開設済みが27施設、2、344床、それから現在建設中が4施設、318床である。したがって、今年度末までには合計31施設、2、662床が整備される予定である。
 老人保健施設については、岩手県高齢者保健福祉計画において高齢者保健福祉圏域ごとに整備目標を定めて、その整備を進めているところであるが、県内全体での目標である4、400床に対して、今年度末の整備率は60・5%となるところである。若干地域的な不均衡は見られるところであるけれども、全体としてはおおむね順調に推移しているものと考えておる。
 平成8年度から11年度まで1、700床余を整備する必要があるが、ここ二、三年設置希望者が増加してきておる。これらへの適切な調整、誘導を図りながら、特にも整備のおくれている圏域への設置を積極的に推進するなど、県内各地域においてひとしくサービスを受けられるよう適正配置に考慮しつつ、目標達成に向けて整備を進めてまいりたいと考えておる。

〇藤原(良)委員 次に、吉永副知事にお尋ねをする。産業構造の変化に対応した雇用対策についてである。
 最近の我が国の円相場は対ドル100円前後で推移しておる。一時の80円台から見ると一服感もする気配であるが、しかしながら、我が国の貿易収支の大幅な黒字から見ると円高基調は続くものと考えられる。このため、製造業を中心とした労働集約的産業ばかりではなくて、自動車産業までも海外シフトを強めているようなところである。この結果、経済企画庁の11月の月例経済報告では、景気は足踏み状態が長引く中で、引き続き弱含みで推移していくものと思われると分析されておる。
 一方、本県の状況については、日本銀行盛岡事務所が発表した9月、10月の県内の経済の概況によると、県内景気は引き続き足踏み状態にある。そう報告をされているところである。こうした状況にあって、県内でも合理化が実施される企業が多くなってきているような現状である。そこで、お伺いをするが、量産型の誘致企業が多い本県では円高等による構造変化の影響を特に受けやすい体質にあるのではないかと、そう思われる。今後の雇用確保については極めて厳しい状況にあると言わざるを得ないと思うのである。これに対して、県としてどのような施策を考えておられるのか、そのお考えをお示しをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 雇用対策については、円高等に伴う離職者の発生に対処するために、本年7月から県に商工団体、労働団体及び学識経験者で構成する円高等雇用対策協議会を設置し、産業構造の変化に伴う全県的な雇用動向について調査、研究をしているところである。
 また、県内の各公共職業安定所ごとに円高等雇用対策連絡協議会を同様に設置して、合理化等企業情報の把握に努めているところである。県としては、これらの協議会を通じて、雇用の維持に最重点を置きつつ、委員御指摘のとおり、合理化等が実施された場合には失業せずに退職日までに就職先が決まるようにまず努めていきたいと思っておる。また、やむなく離職者が発生した場合には一日も早く再就職できるよう、求人開拓や職業紹介に全力を挙げて取り組んでいくつもりである。
 なお、今の臨時国会で中小企業労働力確保法が改正されて、新分野展開に必要な人材を確保する際には、合理化等による離職者をあわせて雇い入れた中小企業に対しては、賃金を助成する措置が新設されたので、今後はこうした雇用創出に効果のある制度をも活用して、産業構造の変化に対応した雇用の確保に一生懸命努めてまいりたいと思っておる。

〇藤原(良)委員 あわせてお尋ねをしていきたいと思う。次に、中山間地域対策についてお尋ねする。
 我が国の農業、農政が揺れ動く中で、本県の大半を占める中山間地域の農業は大きな転機を迎えておるものと思われる。すなわち、これらの地域においては、人口の減少や農業労働力の高齢化等の進行はとまるところを知らず、また、輸入農産物が年々増加するとともに、この11月には新食糧法が施行されるなど、中山間地域の農業をめぐる情勢はさらにさらに厳しい様相を示しておる。中山間地域は、もともと地形等の制約もあって、農業の生産条件が不利なことから、その生産性は低く、今日のような国外を含めた市場競争に対しては、大きなハンディを背負っておるものと思われる。それだけに、農業の生産性を重視する余り、あるいは安い農産物を求める余り、中山間地域のように条件が不利な地域の農業は、縮小に向かわざるを得なくなるのではないかと危惧するものである。本県は、中山間地域を多く抱えており、これら地域への対策として、ヨーロッパのような所得補償制度をとれないとするならば、どのような観点に立って、どのような対策を講じていこうとしておられるのか、そのような基本的な考え方をお聞かせを願いたいと、そう思うものである。

〇吉永副知事 中山間地域は、農林産物の生産はもとより、県土、自然環境の保全等、重要な役割と機能を有しておるので、これらの地域の一層の振興を図ることが極めて重要な県政課題だと存じておる。こうした認識のもとに、地域経済の基盤となっておる農林業については、賦存する豊富な資源を活用して、地域地域で特色のある農業、特産物といったものをできるように展開することによって、専業、兼業を問わず、農林業に就業しながら、一定の所得を確保できる条件整備を進めることが肝要と考えておる。
 また、農林業、観光、商工業などの地域産業が有機的に連携を強めることにより、多様な就業機会を創出し、そこで定住できるような地域全体の所得向上ということを図っていくことが必要だと考えておる。こうした対策の実施に当たっては、中山間地域の中でも、特に山間農業地域は、耕作放棄地の増加や集落機能低下などの進度が早まることが懸念されるので、地域の実情を十分踏まえた上で振興対策を講ずるなど、総合的な観点から、中山間地域の振興を図っていかねばならないと存じておる。
 中山間地域対策については、これまでも内発的な地域づくり活動の助長や、生産、流通条件の整備、さらには、地域シンボル施設や交通施設の整備など、各般の対策を講じてきたところである。委員御指摘のとおり、農業の生産のみではなかなかいかないようなところについては、都市地域あるいは外食産業、そういったものと特産物との関連をつけたいろんな施設、工夫をいろいろ重ねつつ、こうした対策を充実強化していきたいと思っておる。
 なお、国の何らかの農山村維持政策というのは不可欠であるので、我が国独自の所得補償制度の創設については、委員御指摘のあった点であるが、これについては県としても、現在、国に強く要望しているところである。

〇藤原(良)委員 次に、県産木材の利用促進についてお尋ねをする。
 本県の森林資源は、50万ヘクタール余の人工林を中心として成熟しつつある。私の出身地であるいわゆる気仙地方もかなり前に国産材の指定の地域として、気仙木材というブランド化しつつある木材の産業が進捗しておる。シカ被害に遭っておるけれども、かなり地域の期待があるわけである。来るべき21世紀のいわゆる国産材時代には、我が県は木材の供給基地として確固たる地位を築いていくものと期待されておる。このため、県においては、これまで木材の生産から加工、流通に至る県産材の供給体制の整備に力を注ぐとともに、県産木材の利用促進に取り組んでこられたところである。この結果、近年では、学校を初めとする公共施設が木で建てられたり、机やいすなどを木製にする学校がふえてきておる。相当の成果が上がっておられると思うが、大型の建築物については、地震や火災等に対する建築規制等により、どうしても非木材になることはやむを得ないことと考えられる。しかしながら、木の床は、気管支炎ぜんそくやあるいは鼻炎、皮膚炎などのアレルギー症を引き起こす原因とされるダニの防除に効果的であるし、ヒバなどに含まれている香りの成分には殺菌効果があるという、そういう報告もされておる。このため、県産木材の利用をさらに拡大していくためには、公共施設等の木材化ばかりではなく、学校、病院などの非木造建築物の内装に木材利用を広めることが極めて重要ではないかと思われる。内装材の需要は、相当の量に及ぶものと存ずるが、県産木材の需要拡大のかぎを握る内装の木材利用促進について、県はどのように取り組んでいこうとしておられるのか、お考えをお示しをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 県産木材の利用促進については、これまで県庁内の関係部局で構成する岩手県産木材需要促進連絡会議や、地方振興局に設置しておる地方木材需要拡大会議を通じて、公共施設を初め、住宅、農林業施設等の木造化の促進に県を挙げて取り組んできたところである。木造公共施設等の建築棟数及び木材使用量は、連絡会議が発足した昭和59年と比較すると、昭和63年度に2倍以上の伸びになったわけであるが、残念ながらこの後ほぼ横ばいで推移しているというのが現状である。
 県産木材のより一層の需要拡大のためには、公共施設の木造化に加えて、委員御指摘のとおり、非木造建築物の内装への木材利用促進ということが大きな課題であると認識しておる。木材が内装材として使われるためには、乾燥や表面加工など高次加工が必要であるので、県は、これまで木材の高次加工を推進してきたところであって、この結果、アカマツの集成材や、軽米町、山形村のブナ、ナラ等の集成材など、内装材の生産量も徐々にふえてきておる。今後は、安定供給ができる生産体制の整備に努めてまいりたいと考えておる。
 また、内装材の利用を広めるためには、人に優しく、地球環境にも優しい木質内装材のすぐれた性質を、具体的なデータを示しながら、消費者のみならず、建築の設計、施工関係者に対してもPRしていくことが重要と思われる。平成7年度からは木材利用推進活動事業などの国庫補助事業を積極的に導入して、公共施設等の木造化とあわせ、非木造建築物の内装の木質化を促進してまいる考えである。

〇藤原(良)委員 次に、漁村生活環境の整備についてお伺いをする。
 本県の漁村の大半は、地形的制約から家屋が密集しておる。満足な道路もない、いわゆる劣悪な環境といってもいいのではないかと思うんであるが、そういう状況下にあろうと思う。県は、これまで、生産基盤である漁港の整備に積極的に取り組んできておるが、背後の集落は依然として昔のままである。漁業集落からの生活雑排水や産業排水が直接海に流されておる。このため海の環境は年々悪化しておるような現状であろうと思う。ちなみに、1軒のうちで4人家族、家庭の雑排水、いわゆる洗濯の排水、それからおふろの排水等を含めて生活の雑排水は1日平均1トンだそうである。これがそのまま川を伝わって海に流れていくわけである。
 先日は、我が県でも今度全国豊かな海づくり大会があるわけであるが、宮崎県で行われた第15回の全国豊かな海づくり大会において、天皇陛下は、戦後の我が国の経済発展は人々の暮らしを豊かにしてまいったが、一方で海の環境を大きく変貌させ、海は汚染されたと、そういうお言葉を言われておる。今後は、美しく豊かな海をつくるため、人々が協力し合うことを願うと、そう言われておる。まことにありがたいお言葉である。私も沿岸地域に住む者として非常に感銘を受けたところである。
 常々私は、漁場のいわゆる保全や海の環境を守る上からも、漁村に今一番必要なことは、下水を含めたそういう排水整備であるだろうと考えておる。今さら申し上げるまでもないんであるが、下水道の整備は都市部が優先され、漁村は後回しになっている現状である。現実問題として、下水道の整備には長期にわたる多額の投資が必要である。漁村においても都市部と同様、生活の豊かさを享受することができるようにすることが、政治にかかわっている者としての使命だろうと、そう思っておって質問をした。県では、漁村における下水道整備についてどのように認識しておられるのか、また、今後どのような取り組みを考えておられるのか、率直にお聞かせ願いたいと存ずる。

〇吉永副知事 漁村生活環境の整備、なかんずく、漁村の下水道整備が著しくおくれているということは委員御指摘のとおりである。下水道を初め、集落内道路、公園等の整備は現在、漁業集落環境整備事業や漁港・漁村総合整備事業を導入して整備を進めてまいっておるが、平成6年度末の下水道の整備率は、内陸都市部の52・8%に対し、漁村では漁業集落総数183地区のうち5地区が供用を開始されたにとどまって、その整備率は2・5%と大変に、著しく立ちおくれているという状況にある。快適な生活環境を確保し、若者の定住促進や海の環境を守る上からも、下水道の整備は急がねばならない極めて重要な課題だと考えておる。ことしの中央に対する予算要望においても、この漁村の生活環境の整備というのは最重点項目の1つとして強く要望してまいっているところである。
 今後とも、県の重要施策としていろんな方々の御支援をいただきながら、関係市町村一団となって関係当局に粘り強く働きかけ予算の確保に努め、積極的に事業を推進してまいりたいと、そういうふうに考えている次第である。

〇藤原(良)委員 重ねて吉永副知事にお尋ねをしていきたいと思う。大船渡港湾の整備についてである。
 近年、トラック等により長距離運送は、交通渋滞、労働力不足、それからいわゆる過積載等の問題、さらには、排気ガスなどによる地球環境問題等から伸び悩みが見られる。このため、これらの物流は、海運のウエートがますます高まるものと見込まれ、本県においても港湾整備を積極的に推進する必要があると思うものである。特に大船渡港は、県南地域の物流拠点として、本県の重要港湾4港の中でも取扱貨物量が最大であり、さらに、近年内陸部の工業団地などへの工業進出の活発化や三陸縦貫自動車道等の高速交通網の整備が進む中で、将来の物流の増加に対応できるよう、港湾の一層の機能拡充が不可欠であると考えられるものである。
 去る9月には、大船渡港の港湾整備にかかわる関係漁協が港湾整備計画に同意したことが大きく新聞紙上で報道されておる。大船渡港の整備は、地元大船渡市のみならず気仙地域の発展、ひいては本県の発展にとっても極めて重要な事業であると認識しておるものである。今回の同意は、大船渡港湾整備を進めていく上で前進であり、1日も早い着工が望まれているところである。そこでお伺いをするが、現在、大船渡港港湾整備にどのように取り組んでおられるのか、また、今後の整備についてどのように計画していかれようとしておられるのか、あわせてお伺いをする。

〇吉永副知事 委員御指摘のとおり、大船渡港は気仙地域の物流の拠点として、また、産業基盤として大きな役割を果たしてきておって、さらに近年、高規格道路等の整備により、内陸工業地域と沿岸との交流が活発化し、海陸の結節点としての港湾の機能が一層高まると思われる。このような中で、大船渡港を多目的外貿ターミナルとして位置づけ、物流機能の強化及び地域産業振興のための整備を行いたいと考えているわけである。平成5年に、関係局に対して県から港湾整備のため漁業権消滅の申し入れを行って以来ずっとこれまで協議を続けてまいったわけであるが、9月末に漁民の方々の御理解を得て、赤崎漁業協同組合、大船渡漁業協同組合両漁協が港湾計画に同意していただいたところである。これまで両漁協には漁業補償の内容や今後の補償事務の進め方を具体的に説明し、現在、補償額算出のための漁獲量等の実態調査を進めているところである。漁業補償に当たっては、漁場を失う漁民の方々の意向を十分承り、誠心誠意を持って漁業補償交渉に当たり、1日も早い漁業補償の解決に向け努力してまいりたいと考えているわけである。
 今後の大船渡港の整備については、現在この補償が速やかに早くうまく解決するということが一番重要な課題と考えている次第である。大船渡港永浜、山口地区の整備については、昨年度から本年にかけて地質調査等を進めてきており、漁業補償の妥結後、速やかに工事着手したいと考えている次第である。
 また、地元の漁業者等から強い要望がある大船渡港湾の水質浄化対策については、その実現のための事業導入、海域環境創造事業を新規事業としてお認めいただくよう、国に対して強力に運動しているところである。

〇藤原(良)委員 さらに吉永副知事に一括をして御質問するので、よろしくお願いをする。1つは、さわやか岩手イメージアップ大作戦と県単独の道の駅の整備事業について、それから冬期間の道路交通確保対策について、これを一括して御質問する。
 まず最初に、さわやか岩手イメージアップ大作戦と県単独道の駅の整備事業ついてお伺いする。
 6年度決算を見ると、第7款商工費第3項観光費第2目観光施設費のさわやか岩手イメージアップ大作戦は、19億6、200万円余、また、第8款土木費第2項道路橋梁費第2目道路維持費のさわやか岩手イメージアップ大作戦県単独道の駅整備事業は3億7、100万円余となっておるが、それぞれの事業の実施状況についてお知らせを願いたいと思う。
 また、こうした施設の整備が、本県の快適な道路環境の整備や観光振興に果たす役割をどのように評価しておられるのか、あわせてお伺いをしたいと思う。
 最後になるけれども、冬期間の道路交通確保対策についてお伺いする。
 ことしは11月早々から都市部にも初雪があった。8日には盛岡でも12センチの雪があった。例年よりも早く冬本番を迎えるのではないかと、そう思われる。気象台の長期予報でも暖冬が続いた近年に比べ、寒い冬になりそうな気配を感じておるということであって、本県も広大な面積を有しておるので、地形や気象条件が極めて厳しく、ドライバーは冬期間の峠道や山間部で、いわゆる凍結路面により大変苦労をしながら通行している状況である。県においては、平成5年度からスパイクタイヤが一部地域を除いて使用禁止となり、スタッドレスタイヤへ本格的に移行したことに伴い、新たな社会問題となった凍結路面によるスリップ事故への取り組みなど、積極的に各種施策を導入し、冬期間における交通確保のため努力しておられることは承知をしておる。今年度は、交通事故も増加している折、安全、円滑で信頼性の高い冬季交通を確保するため、どのように対応していこうとしておられるのか、お伺いをして私の質問を終わる。

〇吉永副知事 まず、さわやか岩手イメージアップ作戦についてであるが、この作戦は、観光、道路の両行政において取り組んでいるところであるが、1つは委員御指摘のとおり、観光地のトイレの水洗化改善である。これは本県のイメージアップを図る上で、緊急かつ重要な課題として取り組んでおる。市町村が設置しておる旧式のトイレを改築し、観光客に清潔で明るく快適なトイレを提供しようとするものである。
 その実施状況は、平成6年度は30市町村、60カ所を整備したところであるが、平成7年度は31市町村、59カ所の整備に取り組んでおり、2年間で44市町村、119カ所が水洗化されることになっておる。また、この整備に当たっては、利用者の利便を配慮して、身障者用トイレあるいはベビーベッド等を設置し、人に優しいデザイン、その他にも工夫し、さらに周辺の景観にもマッチするように配慮しながら進めておる。このトイレは各方面から高い評価を得ているものの1つであって、本県の観光地としての魅力を一層高めているものと考えておる。私自身も他県のお客様を案内するときに、このトイレを見せるのが1つの非常に喜びとなっているほどすばらしいものと私は思っておる。
 次に、道の駅であるが、道路管理者が駐車場や24時間利用できる清潔なトイレを備えた休憩施設を整備し、あわせて市町村等が地域の主体的な創意工夫を凝らし、郷土資料館や物産館等の地域振興施設を設置し、地域の文化、物産、観光等に関する情報と、道路に関する情報を同時に提供するものである。これらにより、地域間交流の促進と観光客などの道路利用者へのサービス向上が図られて、快適なドライブが楽しめるということになっておる。これまで石鳥谷や高田松原等8カ所において既にオープンしているほか、国庫補助事業により、水沢など4カ所において整備が進められておる。
 県単の道の駅整備事業の平成6年度における実施状況は、県内7カ所において取り組んでおるが、このうち川井村の区界高原、岩泉町のいわいずみ、新設の西根町の松川においては、それぞれ身障者にも配慮したトイレの改築、駐車場の増設、敷地等の造成等を進め、平成7年度の完成を目指しているところである。この道の駅についても県内外から訪れる多くのドライバーが快適に休憩できる施設として、また、観光や地域情報の発信基地として好評を得ているところである。今後この道の駅の整備については、市町村計画の熟度も勘案しながら、主要な観光地に通じる道路、あるいは長距離運転を要する道路などを対象に、積極的な整備に努めていくほか、水洗トイレの整備についても、観光地のイメージアップのため重要な課題であることから、市町村との連携をさらに密にして、一層地域振興に資してまいりたいと考えている所存である。
 次に、冬期間の道路交通確保であるが、交通手段の多くを道路に依存しておる本県においては、冬期間における安全で信頼性の高い道路交通の確保は、豊かで安心して暮らせる県民生活を支える上から、最も重要な課題ということは言うまでもないことである。県としては、県が管理しておる道路延長約4、200キロメートルのうち、その90%を超える259路線、3、830キロメートルを民間の借り入れ機械を含め975台で除雪することとしておる。その除雪計画においては、3つの重点目標を掲げておる。まずその第1は、初期除雪の推進である。車道について特に交通量の多い重要路線は、常に2車線を確保するとともに、バス路線についても、通勤、通学等の足を確保するよう早期除雪等に努めることとする所存である。
 第2点目は、歩道除雪の推進である。安全な歩行者空間の確保を図るため通学路、駅前、バス停付近など歩行者の多い区間を優先的に、昨年度よりも50キロメートル多い約1、190キロメートルを小型の除雪機械で除雪することとしておる。
 さらに、都市部において特に交通量の多い区間から、順次、消融雪施設を設置する工事も進めているところである。
 第3点目は、脱スパイクタイヤ対策である。脱スパイクタイヤ対策の支援については、従来からチェーン着脱場や消融雪施設の整備を図っているところであるが、さらに、本年度は凍結防止剤散布車を10台増強し、50台により適切な散布を行い、スリップによる事故防止や交通渋滞の緩和に努めることとしておる。
 また、冬期間における交通ネットワークを確保するために、スノーシェルターやスノーシェード等、防雪施設の整備と取り組んできているほか、峠道などの情報を迅速にドライバーに提供する、道路情報板の設置にも努めてきておって、今後とも、冬期間の安全かつ円滑な交通の確保のため万全を期してまいりたいと考えている所存である。

〇山内委員 ただいまの藤原委員の質疑においてある程度明らかにされたものもあるけれども、平成6年度決算審査に当たって、自由民主党を代表し、私からも総括的に質疑をさせていただく。なお、若干通告順序が変わる場合や、お答えによっては重ねてお聞きする場合もあると思うので、当局並びに委員長においてよろしく御理解をお願いを申し上げる。
 さて、平成6年度は、バブル経済崩壊後の、いわゆる平成不況の中にあって、国、地方とも税収が落ち込むなど、極めて厳しい財政環境下にあったものと認識をしておる。本県においても、監査意見書が指摘しているように交付税の減少、義務的経費の増加など、以前にも増して厳しい財政環境下にあると言わざるを得ない。結果として、本県平成6年度決算は、歳入歳出とも過去5年間においては最も低い伸び率--2・3%及び3%であるが--、これにとどまっておる。
 こうした状況下にありながらも、主要施策の成果に関する説明書に記載されているように、県土の整備、産業の展開、福祉の充実、人づくりといった、いわゆる4つの領域において、新規58事業を含む332事業を積極的に展開をされたという、先ほどお答えがあった。このことについては、執行部当局の御努力を多とするところである。しかし、他方、県内外の格差是正あるいは県土の均衡ある発展といった基本課題、これらは今なおクリアされておらず、少子、高齢化といった人口構造の激変への対応も十分とは言えない実態にあるものと存ずるし、ほかにも多くの課題が積み残されていると承知するものである。そこで伺うけれども、藤原質疑で一部明らかにされた4つの各領域における重点事業の実施状況等を踏まえて、平成6年度の施策の成果と、その反省について、どのように総括されているのか、まずお尋ねをする。

〇千葉副知事 平成6年度の施策の成果と反省についてであるが、平成6年度は、景気の低迷などによって厳しい財政環境下にあったわけであるが、第三次の岩手県総合発展計画の前期実施計画に掲げる重点事業を中心として、主要施策重点事業として332事業を選定して、その積極的な展開に努めてきたところである。
 その主な施策の状況であるけれども、まず県土の整備についてである。県民生活や産業経済活動の基盤となる高速交通幹線の整備や、下水道等の居住環境の整備充実に努めたほか、すぐれた景観の創造等にも積極的に取り組んだところである。
 また、三陸地域の特性を生かした自主的な地域振興を図るため、財団法人三陸地域総合研究センターを設立したところでもある。
 次に、産業の展開についてであるけれども、農業については、農地利用の集積や集団化などを通じて、担い手農家の経営規模の拡大を促進したほか、地域資源を生かした新作物の導入や付加価値の高い特産物の生産、販売の促進に努めたところである。
 また、林業については、林道網の整備を図るとともに、県産材の需要拡大や新技術を応用した高付加価値化を促進したほか、水産業については、つくり育てる漁業を推進するとともに、流通加工施設や機能的な漁港の整備に当たったところである。
 工業については、異業種間交流や産学官の共同研究による中小企業の技術開発を促進するとともに、商業においては、イベント広場や駐車場を備えた魅力ある商店街の整備を図ったところである。
 また、各種キャンペーンを展開して観光客の誘致拡大に取り組んだところでもある。
 福祉の充実の関係については、健康づくり運動を積極的に進めたほか、高齢者保健福祉計画に基づく老人保健福祉施設の整備、さらには、救急医療体制の充実や大船渡病院など県立病院の計画的な移転新築を進めるなど、保健、医療体制の充実を図ったところである。
 また、第3回全国ボランティアフェスティバル大会などを通じて、福祉意識の高揚を図るとともに、各広域生活圏における高齢者大学の開設や保育サービスの充実など、社会福祉の充実に努めたところでもある。
 また、人づくりについては、学校開放講座の開設など、生涯学習環境の整備に努めたほか、インターハイ関連スポーツ施設の整備や国民文化祭の成果を踏まえた芸術文化活動の振興を図るなど、スポーツ、文化の振興に努めたところである。
 以上、平成6年度における主要施策重点事業を中心としてその成果について申し上げたが、このほかにもさまざまな面で積極的な施策の展開を図ったところである。その結果、県勢は着実に進展したものと考えているところである。しかしながら、広大な県土を有する本県にとって、生産、生活両面にわたる基盤の整備はまだまだ必要である。また、ウルグァイ・ラウンド合意や災害に強い県土づくりなど、新たな課題への取り組みが急がれているところでもある。今後とも、これらの課題について積極的に対応してまいりたいと考えておる。

〇山内委員 前の質問の方に重複したお答えは避けて結構である。前にお答えしたとおりだと、こういうことで結構であるので、以後よろしくお願いする。
 今、今後の課題として、生産、生活両面にわたる基盤の整備、あるいは災害に強い県土づくりといったような課題がまだまだあるんだという御認識が示されたわけであるが、この際、3県総の実施計画に係る重点事業の実施状況というものをあわせてお伺いをしておく。
 特に良好であると判断している事業、逆に思わしくなかった事業は何であったのか。その中でさらに特にも不振に終わった事業については、その原因をどのようにとらえているのか、明らかにしていただきたいし、今後の対応をお示しいただきたいと存ずる。

〇千葉副知事 3県総の実施計画に係る重点事業の進捗状況についてであるけれども、3県総の前期の実施計画においては、重点事業として314の事業を挙げているわけであるけれども、このうち、現在まで着手した事業は310事業ある。着手率は98・7%となっておる。また、その事業費の関係であるけれども、平成7年度の見込みも含めて2兆4、148億円余である。計画事業費である2兆2、328億円を上回って投資されているところである。
 着手済みの310事業について見ると、既に完了または平成7年度完了見込みとなっている事業は、生物工学研究所整備事業、久慈国家備蓄基地建設事業、リハビリテーション中核施設整備事業、地域共同研究センター整備事業、ノーマライゼーション・ランド整備事業など42事業となっておる。以上のように、事業の着手率や投資された事業費などから見ても、重点事業は順調に推進されているものと認識しているところである。
 なお、現時点であるけれども、観光情報ネットワークの形成に向けた調査や、重度障害者の雇用促進、重度身体障害者更生援護施設の整備、スポーツ振興基金造成の4つの事業が、国の採択基準の変更や、より効果的な内容に向けた検討によって未着手となっているものである。これらについては、現在、その整備すべき方向性について検討を進めておる。

〇山内委員 未着手の事業は4つの事業、こういうことであるし、これについては国の採択基準の変化等々があったと、こういうことである。私が心配しておったのは、計画樹立当時、これは本県にとって必要なんだと、こういう事業が時代の推移に伴って、いわゆる時代の要請に合わなくなってきたと、こういうことがあって未着手に終わっているのかなという心配をしておったわけであるが、そのようなことではないということを伺うことができ安心をした。後期実施計画に当たって、さらに時代の要請に合ったような事業というものがこれから模索されるんであろうけれども、ぜひとも今の残りの4つの事業を含めて前進をされるようにお願いを申し上げる。
 次に、県土の均衡ある発展、地域格差是正についてお伺いをする。
 国土庁は、国土審議会の計画部会に対し、過日、新しい全国総合開発計画に関する基本的な考え方の素案を提示したところである。これによると、東京一極集中の国土構造を明確に転換をする必要があり、複数の新しい国土軸、すなわち新太平洋、ほくとう、日本海の3つの新国土軸構想を踏まえて検討を進めるべきことを指摘しておる。
 一方、政府の国会等移転調査会の最終報告案が先月13日に明らかにされたが、その要点は、東京からの距離が60キロメートルないし300キロメートルとした上で、政令都市等既存都市との適切な距離を置くことであると存ずる。2つの報告案に共通する基本的な認識は、移転調査会がこれは指摘しておるけれども、特定地域の過密、過集積を排除するということにあると思う。翻って、本県の人口集積状況を見た場合に、10月の国勢調査の速報値によると、本県人口は141万9、507人であり、これに対して盛岡生活圏47万8、073人となっておって、その占有率--占める割合は33・7%である。また、滝沢村など盛岡市周辺町村と盛岡市に限って見ても、約30%に当たる41万7、519人が居住しており、相当の集積度を示していると私は判断をする。東京一極集中と言われるけれども、東京都内に日本の人口の何割の方が住んでおられるかと、こういうことを想起していただければ、相当に進んでいると私は思う。近年、交流人口という概念を用いて国土づくりを考える動きがあるけれども、私は本県の場合は、定住人口というものを施策の基本に据えるべきと考えており、この立場から、県北、沿岸地域と北上川流域地域との人口の不均衡を指摘したいのであるけれども、県土の均衡ある発展を図る観点から、県の認識はどのようなものか、お聞かせをいただく。

〇千葉副知事 人口の不均衡についてのお尋ねであるが、県では、県土の均衡ある発展を図ることが、県政の重要課題であるという考えのもとに、各地域における人口の定住を促進するため、産業経済の振興と県民生活の向上の両面から、総合的な施策を展開してきたところである。しかしながら、本年10月に行われた国勢調査の速報値によると、本県の総人口は、平成2年と比較して増加しているわけであるけれども、地域別に見ると、盛岡圏域を初めとする内陸部の比重が高くなっておって、県北や沿岸部など、その他の地域では、個々の市町村ではいろいろな動きがあって、総じて減少が見られているところである。 したがって、今後においては、従前にも増して、地域の発展と人口定住の基礎となるところの高速交通体系を軸とした広域ネットワーク化等、あるいは社会資本の整備の充実を一層推進するとともに、地域の個性や特色を生かしながら、基幹産業である農林水産業や商工業の振興を図るなど、就業の場の拡大を図ってまいりたいと考えているところである。
 さらには、都市機能の強化あるいは居住環境の整備、教育、文化、スポーツの振興はもとより、余暇、レクリエーションの施設の整備、若者が定住できる環境の醸成を図るなど、活力ある地域社会の形成と、豊かさを実感できる生活の実現に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇山内委員 ところで、県北、沿岸地域全体の所得水準は、二戸、久慈、宮古広域を初めとして、軒並み、県平均の8割ないし9割程度、全国平均と比較すると6割ないし7割程度と、依然として厳しい現状にある。また、人口動態についても、先ほど触れたとおりであるが、平成2年時の調査と比べて人口がふえているのは、盛岡市等の内陸部ということである。その他の46市町村、とりわけ県北、沿岸地域の市町村はすべて減少を続けている。こういった実態になっておって過疎化や高齢化の進行に伴う地域の活力の低下は目に余るものがあるわけである。
 そこで、改めてお伺いするけれども、先ほどの答弁を踏まえて、県当局は、これら地域の所得水準や人口動態等を踏まえて、県政の重要課題であるこの県土の均衡の発展を図るため、特に、県北、沿岸地域の格差是正の問題に対し、平成6年度、具体的にどのような事業を行ってこられたのか。各領域、分野ごとに改めてお伺いをする。

〇千葉副知事 県土の均衡ある発展に向けての地域格差に向けての事業の取り組みの関係であるけれども、主なものについて各領域別に申し上げる。
 まず、1つは、緑あふれる快適な県土の整備として、三陸縦貫自動車道や八戸・久慈自動車道の整備、あるいは高速交通幹線の効果を県土全体に波及させるための交流ネットワーク道路の整備、あるいは久慈、釜石両湾口防波堤の整備など、地域の発展の基礎となる社会資本の整備に力を入れたところである。
 また、三陸地域の産学官の研究交流や三陸地域の振興に向けた自主的な取り組みを支援するため、財団法人三陸地域総合研究センターを設立したところである。また、三陸地域における連担都市圏の形成を図り、広く沿岸地域全体の発展を牽引するため、県内2カ所目となるところの三陸地方拠点都市地域を指定したところである。
 また、未来をつくる活力ある産業の展開については、農業では、県北畑作地帯ややませ地帯に係るところの地域農業研究の拠点施設として、仮称であるけれども県北農業技術センター等の整備計画を策定したところである。また、中山間地域の活性化対策等の推進を図ったところでもある。
 また、林業では、折爪岳周辺の山村で休暇を特別対策の実施や、日本一の炭の里づくり構想など、森林、山林対策、山村対策の推進に努めたところである。
 また、水産業では、つくり育てる漁業を推進するため、社団法人岩手県栽培漁業協会の育成や、沖合海域の利用拡大技術を開発するため、地域共同開発事業の導入を図ったところである。
 また、工業については、久慈地域における拠点工業団地の整備を促進したほか、観光、リゾートについては、野田村のリゾート施設整備に対して補助するとともに、陸前高田のオートキャンプ場の整備を進めるなど、テーブルランド・リゾートや、さんりく・リアス・リゾート構想の推進を図ったところでもある。
 また、健やかな暮らしを支える福祉の充実については、県北地区の中核的な医療機関である県立久慈病院の移転整備を進めるとともに、久慈地区自動車運転免許センターの整備を実施したところである。
 また、はつらつと生きる心豊かな人づくりについては、学校教育の充実を図るため、高等学校整備事業を実施したところである。
 以上、平成6年度における県北、沿岸地域の振興のための主な取り組み状況を申し上げたところであるけれども、今後においても、県土の均衡ある発展の実現を図るため、さらにきめ細かく、各般にわたる施策を積極的に展開してまいりたいと考えておる。

〇瀬川委員長 山内隆文委員の質疑中であるが、この際、昼食のため午後1時まで休憩する。山内隆文委員、御了承願う。
   午前11時58分 休 憩
   午後1時8分 再 開

〇瀬川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇山内委員 続いて、県土の均衡ある発展について伺ってまいる。県土の均衡ある発展対策専門委員会についてのお伺いである。
 当専門委員会は、平成4年2月に設置されたものであり、これまで年二、三回開催していると承知しておるが、平成6年度の活動状況はどうだったのであろうか、お伺いをする。

〇千葉副知事 県においては、3県総の策定後、平成4年2月に、知事を本部長としての3県総推進本部を設置したところである。お尋ねのあった県土の均衡ある発展対策委員会は、県土の均衡ある発展対策について、必要な調査検討を行わせるため、推進本部のもとに設置したものである。
 これまで専門委員会は年に二、三回程度開催して、県土の均衡ある発展を図るための基本的な方向、あるいは方策、プロジェクトについて鋭意検討を重ねて、その結果について、逐次、主要施策重点事業等に反映させるとともに、3県総前期実施計画重点事業のうち、県土の均衡ある発展に係る事業のフォローアップをしてきたところである。平成6年度の開催状況であるが、平成6年度は2回開催しておる。それは、専門委員会の6年度の進め方について1回開催しておる。それから、もう1度は、県土の均衡ある発展対策の基本方向に基づくプロジェクトの進捗状況、6年度の実施状況について協議をしているところである。
 今後においても、引き続き県土の均衡ある発展を図るための新たなプロジェクトや施策について必要な調査、検討を行い、3県総後期の実施計画に反映させるよう努めてまいりたいと考えているところである。

〇山内委員 そこで、平成7年度事業にわたって恐縮なんであるけれども、この6年度の2回開催の結果を踏まえて、今お話のとおり後期実施計画に向けて事業の創出等検討を進めておられると伺っておる。平成7年度まだ終了したわけではないので、まだ検討途上ということだろうと思うが、現時点においてどのようなプロジェクト等が検討をされているのか、この点をお示しをいただきたいと思う。
 さらに、お伺いをするけれども、当委員会は3県総推進本部の下部組織に位置づけられているというお答えである。私もそのように認識をしておる。しかし、県土の均衡ある発展は、3県総の基本課題であると、こういうことに思いをしていただくと同時に、今までの格差是正、県土の均衡ある発展の課題解決に向けての状況等々を考えれば、さらにこれの当委員会の機能強化、あるいは権能の強化、権限の強化等々が望まれると私は思うんであるが、県当局のお考え方はいかがであろうか。
 この2点についてお知らせをいただく。

〇千葉副知事 県土の均衡ある発展対策専門委員会の7年度の状況であるけれども、これまで2回開催しているところである。1回目は7月14日に平成7年度の進め方についてということで、県土の均衡ある発展対策の基本方向に基づく各プロジェクトの実施状況について協議をしておる。それからまた、県北、沿岸地域の新たなプロジェクトの計画案について協議したところである。それから、10月23日であるけれども、3県総の後期の実施計画への事業の検討状況について協議を行っておる。
 それから、専門委員会の強化を図るべきじゃないかと、こういうことであるが、専門委員会の実効性を高めるため、より機動的あるいは実務的な組織として、平成6年7月に、新たに各部局の主管課長で構成する県土の均衡ある発展対策検討委員会を設置して、県北、沿岸地域の振興のための新規施策の創出等について、協議、調整を行っているところである。今後においても、専門委員会と推進本部、あるいは検討委員会との一層の緊密な連携を保てるよう、そういった緊密な連携を保ちながら、適切な運営を図ってまいりたいと考えているところである。

〇山内委員 この県土の均衡ある発展、格差是正というのは本当に大きな課題だと思う。私は私見であるけれども、このための担当副知事を置くぐらいの大きな課題だと認識をしておるけれども、現段階ででき得ることを積極的に推進をしていただくように、また、庁内での調整もそうであるが、鋭意取り組まれるように強く求めておきたいと思う。
 次に、首都機能の移転についてお伺いをする。
 私は、この問題につきたびたび質問をさせていただいておるが、これに対して県はこれまで、北海道、東北各県は極めて高い適性を有するとの認識を示されているわけである。また、同時に、次のようにもお答えになっておる。すなわち、東北、北海道連携しながら移転を国に対して働きかけてまいりたい。さらにまた、本県の担うべき役割についても検討していくと答弁をされてきたところである。さて、一方政府においては、先ほどの質問でも触れたように、国会等移転調査会において検討が進められておって、いよいよ今月には最終報告が行われる運びであり、過日はこの最終報告案の要旨が前述のとおり公表されたところである。そこでお伺いするが、県ではこれまでの国の動きをどうとらえ、分析し、働きかけてきたのか、首都機能移転についての取り組みについてお尋ねをする。

〇千葉副知事 首都機能の移転についてお答え申し上げる。
 国においては、平成4年12月に国会等の移転に関する法律を制定した。国会等の東京圏外への移転の具体的な検討を進めているところであるが、この法律により設立された国会等移転調査会が、今月中に、移転先の選定基準等について最終報告を行うということが言われているところである。県においては、これまでも北海道東北地方知事会等を通じて、国会等の移転先を広大な国土と豊かな自然等に恵まれ、21世紀の日本を担う開発可能性を有する北海道・東北地域とするよう国に対し要望してきたところである。
 また、昨年策定された北海道・東北21世紀構想ほくとう銀河プランにおいても首都機能の移転を戦略プロジェクトに新首都誘致事業として掲げて、東北、北海道が一体となってその推進に取り組んでいるところである。平成8年2月には東京で首都機能移転に関するシンポジウムを開催する予定としておる。現在これまで新聞報道等で報じられておる選定基準案については、事務的には研究しているものであるが、これまでに示された首都機能移転の条件等では、まだ不確定の部分も多く、また、選定基準案自体が報道によって内容に変動が見られるようなそういう状況である。したがって、本県としてはまずもって北海道、東北各県と一体となりながら、国に対し北海道、東北地域への首都機能の移転を積極的に働きかけていきたいと考えておる。
 また、選定基準等の国の動向については、今後とも検討を加えるなど、本県の担うべき役割についても考えてまいりたいと考えておる。

〇山内委員 新聞報道等によれば、東京からの距離、範囲外であっても特筆すべき長所があれば考えるとは言うものの、60キロないし300キロ、となれば本県は当然にその範囲からは外れてくる。そしてまた、これは調査、検討を加えてまいるというその姿勢は堅持をすべきなのであろうけれども、これまた報道によれば、平成9年12月、おおむね2年後、これまでには専門機関が複数の候補地を選定し、国会の決定の運びに持っていきたいと、こういうふうになっていると聞いておる。わずか2年後にその国会等の機関が移転するその実現性が非常に高まってくるわけである。こういった段階においてなお推移を見守る、検討を加えていくというそういう姿勢で本当に本県が国会等その首都機能の移転に対応し得るのかどうか、こういった心配があるわけである。東北では既に宮城県、福島県、山形県あるいは北海道がそれぞれ我がところに首都機能を移転してほしいと、こういった具体的な活動を展開しているわけであるが、本県にあっては担うべき役割を検討していくという段階にとどまっているわけである。本当にその首都機能移転について本県が取り組んでいるのかどうかという心配が生じてくるわけなんであるが、その心配はないのかということを1点お伺いするし、同時に、本県の担うべき役割についてどのように判断をなさっているか。この2点についてお伺いする。

〇千葉副知事 首都機能の移転等についての取り組みの関係であるけれども、いずれにしても首都機能の移転ということは国家的なプロジェクトである。したがって、岩手県が動いてどうこうという結果になるわけではないけれども、できるだけ東北、北海道地方にこの首都機能が移転されるように、今までどおり積極的な取り組みをしていきたいと考えておる。
 なお、県の担うべき役割ということであるけれども、先ほど申し上げたとおり、まだ選定基準の内容等が発表されていないわけである。したがって、この内容が具体化してくれば、本県の担うべき役割等についても、かなり細かい部分で検討されるべき事項が明らかになってくるんじゃないかと考えておる。今の段階ではそういった関係で特に明確に県の担うべき役割ということについて、お話しできる段階ではないということである。

〇山内委員 1点申し上げるけれども、まだ国の選定基準が明らかでないから本県の担うべき役割がわからない。これはまさにそのとおりなんであるが、そういう時期だからこそ、本県はこういうことができるというアピールをしなくていいんであるかということを、私は申し上げたいわけである。この点はこの程度にしてやめる。
 あと時間的な関係があるので、財政に関する質疑は割愛をさせていただく。ただ、その中でまだまだ本県の自主財源の中での県税収入の占める割合、これは先ほどの質疑の中でもある程度明らかになったんであるけれども、苦しい中とは言いながら延ばしてはいただいた--延ばしてはいただいたけれども、まだまだ県税収入の割合というものが東北平均に比べても低いわけであるので、ひとつこれらの点についてさらに御努力をお願いをしたいと思う。もし指摘が間違っておれば、間違った部分を御指摘をいただければありがたいと思う。
 ところで、地方単独普通建設事業であるけれども、このうち県営建設工事に係る公正な入札の確保についてお伺いをしたいと思う。
 県営建設工事は、工事請負費で見ると1、800億円余にも上って、建設産業が県内総生産の1割を占める基幹産業であることと相まって、その発注動向は県内経済に極めて大きな影響を及ぼすところである。このため、工事の発注に当たっては入札事務の厳正、公正な執行が要請されるところであり、いささかも県民の誤解を招くようなことがあってはならない。これは県の認識、私どもの認識一致していると思う。そこでお伺いするけれども、平成6年度の県営建設工事の発注件数及びこれら発注工事に係る談合情報の有無と、あったとすればその件数はいかほどであったのか、確認のためにお聞きをしたいと思う。

〇吉永副知事 平成6年度の県営建設工事の発注件数は、医療局分を含んで4、997件である。このうち9件について談合情報が寄せられたところである。なお、平成7年度については、これまでのところ県発注工事に係る談合情報は寄せられておらない。

〇山内委員 ちょっと今聞き漏らしてしまったが、9件ということである。発注件数が4、997件、そのうち談合情報が9件寄せられたと、聞き漏らしたというのはここなんであるが、9件中、談合情報どおりに落札された件数というものはいかほどだったのかなという疑問を感じた。これは後でまとめてお答えいただくが、いずれこういった件数が談合情報が寄せられているわけである。こういったことを考えていくと、県が一生懸命に努力しても、なお談合ありきという疑いを持たざるを得ない状況にある。これを何とか排除していかなければ、県政に対する県民の信頼を失っていくだろうと、こういう心配からお聞きをするわけであるけれども、他県においては談合情報どおりの落札があった場合は入札を無効とする。入札そのものを無効とする。これは岡山方式と呼ばれているんであろうか。あるいは談合情報があった場合にはくじ引き等によって半分をめどに落札業者の数を減じてからやると、これは三重方式と呼ばれているようであるが、こういった新たな試みが他県では行われているということである。
 このことに関しては、去る9月議会において我が党の佐藤正春議員が質問したわけであるが、知事はこれら各県の例を参考としながら、談合防止対策に引き続き十分な検討をしてまいりたいと、このように答弁をされておる。今、私が申し上げた岡山方式あるいは三重方式、これらの対応も含めて公正な入札の確保について、県は現段階でどのようなことを考えておられるのか、その点について明らかにしていただきたいと思う。

〇吉永副知事 まず、平成6年度の分の9件についてであるが、事前に談合情報が寄せられたものについては入札を延期するとともに、談合情報対応マニュアルに基づいて、入札参加者全員から直接事情聴取を行ったが、談合を行ったということが確認できなかったので、談合を行った事実はない旨の誓約書を徴した上、改めて入札を行ったところである。 この9件についてが談合情報どおりであったかという問いについては、一部には辞退したというようなところを除いて、談合情報どおりのそれは、入札者については談合情報どおりだったということが事実としてはある。公共工事というものは、これは委員御指摘のとおり、その発注に当たっては厳正、公正な執行というのが求められるところである。もとより、談合等の不公正な行為というのは決してあってはならないことである。県としては、今現在、公正な入札の方法をどういうふうに確立するかということを検討しているところであって、その中にあっては、委員御指摘の岡山県方式あるいは三重県方式による談合防止策についても、その両県の現在の運用状況、そういったものを含めて検討を進めているところである。そして、有効でかつ法手続の適正さの点からも問題がないような、そういう有効な談合防止策というものを見出してまいりたいと考えているところである。
 県営建設工事に係る公正な入札の確保については、県としても業界に対して、これまでも機会あるごとに企業倫理の確立と適正な事業活動を行うよう要請してきたところである。本年度においても、市町村の発注工事をめぐる贈収賄事件や談合事件が発生したことにかんがみて、指名通知に当たっては、各入札参加者に対して公正入札の確保について改めて文書において要請しているほか、本年度は贈収賄や独占禁止法違反等不公正な行為があったときには、指名停止等の措置をやる場合に、措置基準に基づいて従来よりは厳しく対応してきている。従来よりもその停止期間等について厳しく対応してきているということが事実としてある。いずれにしても、入札の透明性を高め、その公正性を確保するということは非常に重要なことであって、談合等の不公正な行為は決して許さないということを基本として対処してまいりたいと思っておる。

〇山内委員 ただいまの御答弁によると、9件中一部を除いて情報どおりの落札がなったと、こういうお話である。県の御努力にもかかわらずこういう状態であるということであれば、やはり制度上の疵そのものを是正していかなければならないんだろうなと、こういうふうに私どもは考えておる。今議会において各派共同提案になるであろう発議案において、やはりこの問題も議会としても真剣に取り組んでいきたい、このように考えておる。県においてもさらなる御努力をこの際お願いをしておきたいと、このように思う。
 次に、農業問題に移ってまいる。
 まず、スーパー総合資金融資制度等についてである。
 御承知のように、国においては、平成4年度に、農業だけで生活が可能となるような大規模農家を育成すべく、新政策プランを公表し、翌年度には、これにより認定農業者制度を創設したところである。この認定農業者を金融面から支援するため、かつてない低金利の、いわゆるスーパー総合資金融資制度を設置したところであるが、県としても、積極的に当該資金の活用について指導すべきものと考えておる。そこで、伺うが、これまでの利用の実態と今後の見通しはどうか、まずお示しをいただきたいと存ずる。

〇吉永副知事 スーパー総合資金制度は、新しい経営体の育成を図るために農業経営基盤強化促進法に基づいて市町村長が認定した認定農業者に対して、金融面の支援対策として平成6年度に新設されたものである。農業経営基盤強化資金、貸付利率2・0%及び農業経営改善促進資金、貸付利率2・25%の2資金からなっておる。
 現状であるが、機械、施設の整備や農地取得などを主な使途とする農業経営基盤強化資金の貸し付けは、初年度の平成6年度は24件、約18億円でこれは全国5位、東北で2位という実績である。本年度は11月末現在で79件、約11億円となっておる。年度末までには27億円ほどになるものと見込まれておる。運転資金である農業経営改善促進資金の貸し付けの方は、平成6年度は2件、約500万円であったが、本年度は11月末現在で15件、約1億1、000万円となっておる。

〇山内委員 この実績について、東北の中でも本県は結構活用されていると理解をしたわけである。しかし、この当該資金、制度が発足して間もないことなどもあって、認定農業者であれば無条件で自動的に借入できるものとの誤解や、融資条件をクリアするために必要以上に手間取るなど、当該資金が利用しにくいという声も一方ではあるわけである。これらに対し県はどう対応しているのかお伺いをする。
 また、続いて、ガット・ウルグァイ農業関連対策として、国内農家の体質強化のため創設された農家負担軽減支援特別資金であるけれども、これは依然として固定化負債で悩んでいる本県農家を救済し、経営再建させるため、積極的に活用させる絶好の機会と存じておるけれども、本県における借入希望者及び貸し付けの現状、今後の見通し等についてお伺いをする。

〇吉永副知事 まずスーパー総合資金制度であるが、委員御指摘のとおり、本資金は利用しにくいという声が実際にある。その多くは、担保の徴求が厳し過ぎるといったタイプのものが多いかと思う。このため県としては、本制度の融通に伴う担保あるいは保証人の徴求については、借入者の経営実績あるいは意欲といったようなものを総合的に勘案し、借入者の立場に立った弾力的な運用ということを、余りしゃくし定規にその担保等を徴求せずに、その相手の意欲とかそういう人を見ろといったようなたぐいの弾力的な運用をお願いをするとか、あるいは農業信用基金協会の債務保証制度といったものの有効活用をあわせて指導しているところである。この制度は発足してそう時間もたっておらないのでいろいろと誤解もあるかと思うので、そういった点について誤解が生じないよう市町村、農協等、担当者会議や研修等を通じて、制度の周知徹底に一層努力してまいりたいと考えておる。
 次に、農家負担軽減支援特別資金についてであるが、この実績を申し上げる。この制度は、御案内のとおり、ウルグァイ・ラウンド合意に基づく国内対策のため創設されたもので、合意後も農業を継続する意思のある者のうち、経営の改善を進めようとする者に対して、既往債務の負担軽減を図るため、低利資金--2・5%であるが--を融資しようとするもので、実施期間は平成7年から12年までの6年間ということになっておる。
 これについて各地方振興局を通じて取りまとめた農家負担軽減支援特別資金の借り入れ希望額は、全体で約160億円ある。このうち平成7年度の借り入れ希望者は240名、金額は約60億円となっておる。これに対して、本年度の融資枠の1次配分というのはこれは10月30日にあったわけであるが、14億円であって、11月末までの貸付承認は8件で約6、000万円となっておる。今後、来年度にかけて、ことしの分については2次、3次配分があると期待されているわけであるが、残枠については年内の承認に向けて、現在、経営改善計画の策定というものを指導しているところである。今後とも、融資枠の確保に努めつつ、円滑な融通を推進することにより、県内農業者の経営改善が早期に図られるよう支援してまいる所存である。

〇山内委員 次に、中山間地域問題、特にも耕作放棄地等についてお伺いをする。
 先ほどの藤原質疑に答えられた際に、耕作放棄地の増加が懸念されるとの答弁があった。懸念の段階ではもうない。現実にそういった耕作放棄地の問題が増加しているんじゃないだろうか。このほど発表された東北農政局岩手統計情報事務所の8月1日現在のまとめによると、耕地の全面積は16万9、400ヘクタール、前年に比べて全体の0・9%に当たる1、500ヘクタールも減少しておる。これは前年の減少面積約700ヘクタールの倍以上にもなるということである。そしてさらに、指摘を申し上げたいのは、地域別の偏りが生じているということである。県内を見ると、久慈、二戸地域等の県北部が最もこの耕作放棄地が多いとされているわけである。これら地域のほとんどを占める中山間地域のような傾斜地にある水田等が未整備であり、しかも機械化導入が難しいという不利な条件にあるということに加えて、農業労働力の減少あるいは農業従事者の高齢化等により、農業から手を引かざるを得なかったという現実を示しているものと思う。県においては、これら中山間地域の活性化のため諸施策を講じておられる。先ほどの答弁にもあったとおりであるが、現状はと言えば今申し上げたような実態にあるわけである。これまでの対策、評価、そして今後の取り組みについてお伺いをする。

〇吉永副知事 まず、中山間地域に関連して耕作放棄地の実態であるが、委員も御指摘になっているとおり、11月30日に公表された農業センサスによると、4、996ヘクタールと、全耕地の2・9%が放棄地になっておる。これは前回調査の平成2年に比べて1、057ヘクタールの増加である。この中は畑が68%、3、400ヘクタールを占めておって、また、中山間地域というものが大半を占めているという状況である。耕作放棄地をそのまま放置しておくことは地域にとってもマイナスであるし、県としては本年度、地方振興局に、放っておいてはいけないような遊休地を調査して、図面におろしてそれぞれの地域においての利活用ということを検討していっているところである。今後とも農地として利用できるところ、あるいは植林等を含め多面的な利用ができるとか、そういったところについて対策を講じてまいりたいと思っている所存である。委員御指摘のとおり、例えば、今、耕作放棄地の面積についても、中山間地域は例えば中間農業地域でも95年の耕作放棄地の面積の割合が4・2で、山間地域は8・9と、これは平均が3・8であるからやっぱり非常に高いし、農家数の増減率をとっても、農業就業人口の増減率をとっても中山間地域が非常に平地農業地域よりも、そういう人口減少率が高いというのが現実にある。
 そこで、こういう中山間地域というのは、農業生産を進める上で非常に不利な条件下にあるわけであるが、平場地域にはないよさといったものが幾つかあるかと、それは気候条件等が非常に多様性に富んでいるといったようなことがある。そういったものを巧みに生かして農業の振興といったことをひとつ図っていきたいということを考えておって、中山間地域総合整備事業や山村振興等農林漁業特別対策事業、県単の地域農業確立総合対策事業等を実施して、土地基盤や生産、流通施設の整備など各般の対策を講じているところである。この結果、リンドウやホウレンソウ、あるいは短角牛といった園芸、畜産の優良産地が各地に形成されておるし、地域特産物の加工、販売といった新たな取り組みもある。 さっき申した中山間地域のいろんな問題、こういった状況を打開して、中山間地域を活力あるものにしていくためには、これら地域の基幹となっておる農林業の振興を図るとともに、それに加えて観光、商工業と一体となった就業機会の確保、あるいは地方都市との連携、あるいは都市農村交流、山形村の大地の会とか、そういったいろんな取り組みを広範に進めていくことが非常に重要かと思う。中山間地域を定住社会として活性化を図っていくという、そういう生き方が非常に重要ではないかと考えておる。県においては、現在、学識経験者や各団体の代表者によるいきいき農山村懇談会を設置して、中山間地域の活性化方策について調査、検討をいただいているところであるので、そういったところに出てまいる意見、提言も踏まえながら中山間地域対策の充実、強化を図っていきたいと思っている所存である。

〇山内委員 中山間地域、山間地域というのは恐らく繩文文化の原風景なのではないのかなと、こういうふうに思うわけである。そういったところが疲弊をしていくという姿、大変寂しい限りであるわけであって、今、副知事が言われたことに加えて、さらに新たな施策を発掘をして我々の原風景というものを守っていっていただきたいと、強く要望をしたいと思う。
 次に、多額の不良債権を抱える住宅金融専門会社、いわゆる住専の問題についてお伺いをする。
 住専の処理策については、母体行責任、貸し手責任等議論がまだまとまっておらないということであるが、年内決着を目指して、住専の設立母体行と農林系金融機関などによる当事者間協議を初め、国、各政党がそれぞれ検討を進めていると伺っておる。県内にあっては、農協系統の信連、共済連が住専に多額の融資を行っていると聞いておるが、私は、県内農家が困るんであっては困るんであるけれども、貸し手責任というものをどのように県は考えておられるのか。その認識について1点だけお伺いをしておきたいと思う。

〇吉永副知事 いわゆる住専問題は、現在、委員御指摘のとおり、国の内外を問わず、最も注目されている問題の1つであるし、我が国の金融システム全体にも非常に大きな影響を与えるところであって、現在、国において早急に対処すべき重要な問題となっているわけである。
 県信連、県共済連に対する指導監督は、国が行っておって、県は直接的に指導する立場にはないが、県としても、住専問題が県民や農家に不安を与えることのないよう、重大な関心を持って見守っているところである。また、県信連等の経営にも影響を与えないよう、国が責任を持って有効な対策を講ずることを心から希望しているところである。
 現在、国においては、委員御指摘のとおり、母体行、農林系金融機関等との協議を進めながら、総力を挙げてこの問題の解決に取り組んでいると承知しておるので、貸し手責任については、こうした協議の過程で明らかになっていくと考えておる。

〇山内委員 県としての認識が示されなかったことは残念であるけれども、非常に微妙な時期であるから、わかった。いずれ貸し手責任等々、これは本県農家が困るんでは困ると申し上げたのは、例えば金銭面での負担というものをなるべくこれはない方がいいわけであるけれども、やはりその判断をしたその責めというものが若干でもあるんじゃないのかなというのが私の認識である。副知事の立場でその認識をしっかりと示すというのは困難かもしれない。であるから、あえて重ねてはお聞きしないけれども、いずれお互いの責任あるところを履行していくと、この姿勢がお互いになければこの問題は解決しないだろうと、こういうふうに思っておる。
 次に、林業問題についてお伺いをしようと思っておったけれども、時間もないし、先ほどの藤原良信質疑の中でもある程度明らかにされたので1点だけお聞きする。
 分収造林事業についてである。分収造林事業はこれまで県有林事業と林業公社造林事業の2本立てで進められてきておる。現在、県では両事業の一元化を検討していると聞いておるけれども、その検討の基本的方向等についてお聞かせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 県有林事業と林業公社の造林事業の一元化ということであるが、県有林と公社が別々に新植、下刈り、その他保育事業等を実施するということは、これは非効率なことであるので、一体的に実施することが能率的であると考えられることから、現場事務を林業公社が一元的に実施する方向で検討を進めているところである。このような考え方に立って、本年度は既に県有林事業の一部を林業公社に委託して実施しているところである。この結果を見ながら、これをどういうふうに進めるか、さらに考えてまいりたいと考えておる。

〇山内委員 次に、漁港、漁村の整備促進についてお伺いをする。
 本県の漁協の現状は、台風時には安心して船を係留しておけない、あるいはまた、荷揚げ岸壁や作業用地も限られておって、増養殖漁業の展開や、つくり育てる漁業に十分対応し得ないなどなど、そのおくれを指摘する声が今なお多くある。一方、漁村の現状はと言えば、そのほとんどが三陸海岸特有の背後に山が迫るわずかな平地に集落が形成されておって、大変厳しい環境の中での生活を余儀なくされておる。漁港、漁村の整備を推進していくことは、水産業の振興はもとよりであるが、漁村の活性化や漁場環境の保全が図られるばかりではなくて、県土の均衡ある発展と豊かで住みよい地域社会を形成する上で大変重要であると考えるものである。そこで、まずお伺いをするけれども、漁港、漁村の現状をどのように認識され、今後どのように整備していこうとしているのか、その基本的な考え方についてまず明らかにしていただきたいと思う。

〇吉永副知事 漁港の整備については、これまでも鋭意努力してまいっているわけであるが、御指摘のとおり、荒天時の安全係留が可能な港は111港中45港にとどまっておる。特に県北地方の漁港は、直接外洋に面して条件が悪いこと等から、県南部に比較して整備がおくれているという状況にある。また、53年度からは漁業集落環境整備事業を導入して、漁村の生活環境の整備にも努めているわけであるが、先ほども申し上げた漁業集落総数183地区のうち、平成6年度末までの事業完了は21地区であって、このうち下水道については5地区のみであって、率直に言って漁港漁村の整備はいまだ不十分としか言いようのない状況である。
 国の漁港整備予算というのは、御案内のとおり、公共事業の中のCランクに位置づけておるので、非常に難しいいろんな困難があるわけであるが、私どもとしてはこの漁港整備の重要性を国によく訴え、粘り強くそういった予算の確保に努めてまいりたいと考えているわけである。本年の県の最重点項目にもこれは入っていて、地道な努力を続けていきたいと考えておる。

〇山内委員 なお厳しい環境に置かれていると、こういう認識は示されたんであるが、県では平成6年度から第9次の漁港整備計画、6カ年計画を立てておられる。総額900億円、こういった計画であるけれども、平成6年及び平成7年度見込みになるか、どういった進捗状況にあるのか、お知らせをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 平成6年度からスタートした第9次漁港整備6カ年計画の本県の進捗状況は、2年次目の本年度末で、計画進度31・6%を4・7ポイント上回る36・3ポイントが見込まれておる。平成6年度までは16・2%である。これは36・3%まで上がるということである。このペースで推移すれば、期間内に完全達成はできる見通しである。さはさりながら、たとえこの9次計画が達成されても、例えば委員御指摘の安全な漁港という点から言うと、111港中45港整備が55港になるだけであるし、環境整備済みの集落の数も183地区中21地区が40地区になるだけである。まだまだ不十分ということであって、国その他に対する働きかけは、この計画達成中も達成後も引き続き続ける必要があるかと考えておる次第である。

〇山内委員 この9次計画が100%達成されてもなおそういった状況にあるというのは、やはりこれは国のCランクという予算配分、これを根本的に見直していただくということが必要だろうと、こう思うんである。その点についてのお考え、改めて決意を述べていただきたいし、それから質問は、今、進捗状況、平成7年度内示段階で36・3%、今のお話の数字は。それから、6年度は16・2%の進捗状況と、こういうお話であった。これは総額820億に対する進捗状況である。先ほど私が申し上げたのは、平成6年度からの6カ年計画は900億円である。80億の差がある。これは調整費か何かなんであろうか。そういったものに対してしからばどうなのかということになれば、このポイントはさらに下がっていくわけである。ということで、今後の国に対する働きかけ、予算獲得のための運動、こういったものが重要になってくると思うので、さらに御努力をこれまた願うものである。
 最後に、本県農林水産業のあり方について、私は2つの視点を大切にしたいと、こう思っておる。1つは、競争力を持った産業としての農林水産業の育成、もう1つは、先ほど来申し上げておるような定住社会としての農山漁村の活性化という視点、この2つがなければならないと思う。労働集約型産業の宿命を負っている農林水産業においては、経済効率のみを追求していけば、例えば就労人口の減少をもたらし、ひいては定住社会の崩壊を招来しかねない。こういった問題を内包しているわけである。だからこそ定住社会という概念というものをしっかりととらえていかなければならない。さらにまた、定住人口、交流人口では決してない、定住人口が大切なんだと、こういうことを申し上げてきているわけである。そしてさらにまた、農林水産業にかかわって、国際的な視点から本県の第1次産業を確立していかなければならない、こう思っておる。21世紀初頭には食糧の需給が逆転をすると、こういった状況もある。そういったことをもろもろ考えていかなければ本県農林水産業はあり得ないと、こういうふうに思っておる。副知事の考え方を明らかにしていただきたいと思う。

〇吉永副知事 本県農林水産業の基本的なあり方についての御質問にお答えする前に、先ほどの漁港整備のところであるが、公共事業の配分上Cランクになっているということは、Cランクとされているということは、そういったAランクなりBランク、高いランクのところが生活環境あるいは環境整備といったようなものが高いランクになっているわけである。しかし、委員御案内のとおり、今申した漁村整備事業そのものの中は、中身を見るとほとんどが環境整備に当たるわけであって、そういった中身が一般的な漁港整備であるということでCランクという、これはいかにもおかしいわけであって、そういった中身にわたったところをよく訴えながら、中央に対して要求していくことが必要かと考えている所存である。
 次に、農林水産業のあり方であるが、農山漁村は、生産活動を通じて食糧や木材の安定供給、国土、自然環境の保全など、国民生活にとって基本的かつ多面的な役割を担っているとともに、地域住民にとってはかけがえのない定住の場である。そこを定住社会としてとらえて、そこの活性化を図っていくという委員のお考えは私は大賛成である。また、これは非常に農林水産業というものを考える場合について非常に重要なことだと考えておる。
 農業については、地域農業の中心的な担い手である主業型農家の育成を図りながら、こうした方々を中心として、地域が有する農地や労働力等の資源を高度に活用し、規模の小さい兼業農家もそれぞれの営農志向に応じて野菜や花を導入するといった、地域内の多くの農家がメリットを享受できるよう、地域ぐるみによる農業の展開を加速してまいりたいと考えておる。
 また、次の世代を担う青年農業者を確保していくことも非常に重要であるので、担い手基金の活動あるいは就農支援資金融資制度などを活用して、就農前の農業研修あるいは就農初期の負担軽減といったことを図ってまいりたいと思う。こういったいろんな施策に総合整備事業あるいは集落排水や集落道、農村公園といった生活環境施設整備などの定住条件の改善に努め、全体として活力ある定住社会として構築してまいりたいと考えておる。 林業については、経済の国際化が進む中で、外材と対抗できるよう林道等生産基盤の整備や高性能林業機械の導入など、生産コストを下げるための努力を行い、一方で、良好な自然環境と豊かな森林を保全して、これを支える山村を全体として定住社会としてやはり活性化していく必要があるかと考えておる。
 水産業については、恵まれた漁場環境を生かして、つくり育てる漁業を推進するとともに、排水処理施設や緑地公園などを整備し、水産業を核とした住みよい活力ある定住社会を形成していくことが必要だと考えておる。海洋環境を良好に保全していくことが漁業の健全な発展を図る上から不可欠なことであって、今後とも環境と調和した漁業の実践ということに努めてまいりたいと考えておる。
 さらに、最後に、農林水産業に関する基本的な考え方であるが、これは委員御指摘のとおり、国土保全あるいは地球環境保全といったものの必要性、あるいは長期的に逼迫が予測される世界的な食糧需給ということを視野に置いて農林水産業というのは考えるべきで、貿易の自由化あるいは経済効率といったような場合において、ほかの産業と同列に論じてはならないと、そういうふうに考えておる。私自身、個人的にはウルグァイ・ラウンドやAPECといったことで貿易自由化の交渉に携わってきたわけであるが、第1次産業の産品を全く同じレベルで自由化のそ上に乗せていくことには疑問を感じておる。予算陳情等で上京したときは、昔の貿易交渉をやっている仲間には、農林水産業についてはそういった場において特別な配慮が必要ということを、みずからの実感に基づき説得してまいりたいと考えている次第である。

〇久保田委員 日本社会党の久保田晴弘である。会派を代表して平成6年度の決算について、提言を交えながら順次質問させていただきたいと思う。私自身は平成6年度の予算審議にかかわりを持っておらなかったので、ややもすると質問内容はポイントがぼける嫌いがあると思うし、既に藤原、山内両委員が質問をしておることに若干重複することもあろうかと思うが、御容赦をいただいて誠意ある御答弁をいただければと思う。よろしくお願いする。
 それでは、質問に入らせていただくが、まず財政対策に関して申し上げる。
 地方財政は、累積した多額の借入残高を抱えておって、依然として厳しい状況にあることは御案内のとおりである。本県においては他県に先んじて行財政改革の推進に取り組み、歳出の効率化を図りつつ、地域の均衡ある発展を図る観点から、社会資本の整備の充実に努めてきているものと理解をしておる。同時に、本県の課題は高齢化社会に対応した地域福祉の増進が重要になっておって、そのための地方財政基盤を強化することが不可欠となっておる。すなわち、地方分権を推進をして地方財政の健全化を図るためには、一般財源の充実強化が不可欠であり、地方財源不足対策としての地方債の発行は回避しなければならないと思う。そうした中で、地方税及び地方交付税等の地方一般財源所要額の安定的な確保が図られなければならないと思うのである。
 具体的に質問するが、平成6年度地方財政対策における、いわゆる国の減税補てん措置は適切に行われたのかどうかという点であるし、その影響と今後の地方税財源の充実について、国に対して要望してきた経過と結果はどうであったのか。
 また、地方分権を推進する観点から、地方6団体は、税財源の配分について、いかなる共通認識を持って臨まれてきたのかをお伺いすると同時に、あわせて本県の財政対策についての基本的な所見をお伺いをしたいと思う。

〇上田総務部長 まず、国の平成6年度の減税補てん措置等についてであるが、まず所得税減税に伴う地方交付税の減収が、全国ベースで1兆2、400億円あったわけであるが、当該減収分については、交付税特別会計で借り入れを行うことにより補てんされ、また、住民税減税及び消費税率の特例措置の廃止に伴う消費譲与税は、全国ベースで1兆6、400億円あったけれども、これに見合う額については地方財政法に基づく減税補てん債により補てんされたわけであって、当該債の償還については交付税措置が伴っておる。
 本県への影響額であるが、住民税減税による減収額は36億5、100万円、消費譲与税の減収は5、900万円、合わせて37億1、000万円と相なっておるが、この全額に対しては減税補てん債により補てんが認められているところである。
 今後の地方税財源の充実についてであるけれども、地方財政の健全化を図る観点から、一般財源の強化、これは不可欠である。地方財源不足対策としては地方債の発行ということは極力避けていただいて、地方税、地方交付税等のいわゆる地方一般財源の安定的確保を図るほか、また、交付税については、特にも開発がおくれている地域に傾斜して配分いただくように、国に対して、統一要望時あるいは全国知事会等を通じて訴えてまいったところである。この成果と言っていいかどうかわからないけれども、例えば平成6年度の地方交付税の改正措置においては、例えば森林、山村対策に係る財政措置が拡充されておって、公有林管理費の算入額が引き上げられた。こういったような見直しも行われておるので、それなりのある程度の成果は上げているのではないかと考えておる。
 それから、地方分権推進の観点からの、地方6団体の税財源配分に対する共通認識ということであるが、これが共通認識に該当するかどうかちょっとわからないが、平成6年9月に地方6団体において、地方分権の推進に関する意見書というものを取りまとめておる。この中で、地方分権の推進に関する施策の基本事項として、財政自主権の確立及び地方分権の推進に伴う財源の保障というものを掲げておって、具体的には、税体系の見直しを初め、課税自主権の強化や地方交付税制度の見直し、それから国庫補助負担制度の改革について提言をしておる。
 県としては、地方分権を推進するとともに、地方が健全な財政構造を確立し、地方の創造性、自立性を高め、積極的な施策の展開が可能となるように、地方税、地方交付税等の一般財源の充実、確保に努めていく必要があると考えておって、こういう考え方に従って、財源対策、国への要望を含めて努力をしてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 財政対策について積極的な対応をなさってきたことの御労苦には敬意を表したいと思う。
 次に、経費節減、補助金の整理、事務事業の見直し等について御質問したいと思う。
 厳しい状況にある行財政環境の中で、事業効果、受益の負担と関係のあり方、あるいは民間との機能分担のあり方が問い直されておるわけである。限られた財源の中で事務事業の選択をしていかなければならないわけであるが、一方、国庫補助事業全般について補助単価の改善、補助数量の是正、補助対象範囲の拡大等の改善措置が必要と思うのである。 具体的にお伺いするのであるが、平成6年度に係る一般行政経費の節減、県単独補助金の整理、事務事業の見直しに当たっての具体的な措置と成果をお伺いをしたいと思う。
 あわせて、国庫補助に係る超過負担の現状はどうなっておるであろうか、いかなる改善措置を国に要求してこられたのかについてお伺いをする。

〇上田総務部長 まず、経常的経費の節減あるいは県単補助金の整理、事務事業の見直し、こういったものの状況であるが、平成6年度の状況、経常的経費については5%の節減を行った。これに伴って7億4、200万円の節減である。
 それから、県単補助金の整理合理化については、目的達成等による廃止あるいは縮減らを含めて77件、46億5、900万円節減をしておる。
 それから、県単独事業の見直しについては、期限の到来あるいは目的達成等、全体で55件、94億3、300万円減となっておる。それから、超過負担の現状と改善措置であるが、平成6年度における超過負担額、当局の方で取りまとめておる数字を申し上げると、総額で32億7、700万円、この対象となる事業費に対するいわば超過負担率を算出すると23・3%である。これは前年度、平成5年度と比べると金額で4億5、700万円減となっておるし、また、率では4ポイントの減となっておる。
 個々の補助金について申し上げると、国においては平成6年度で公立文教施設整備費の補助単価の改善によって、国費ベースであるが270億円の解消措置を講じたとされておる。このことに伴う本県への影響というか効果であるが、公立文教施設整備事業で3億1、100万円余、それからこのほか公営住宅建設事業の見直しもされておるので、これで2億1、900万円余、合わせて5億5、000万円余の超過負担が改善されたという状況である。本県としては、従来から国に対し超過負担の実態を訴えながら、その解消を強く求めてきたところであるけれども、今後とも統一要望あるいは全国知事会を通じて、粘り強く国に働きかけてまいりたいと存じておる。

〇久保田委員 超過負担等についてはなお改善を求める事項もあるわけであるので、今後とも積極的な国に対する改善策を働きかけていただきたいと思う。
 次に、試験研究機関の整備状況についてお尋ねしたいわけである。
 去る11月15日に本県農業の試験研究機関の中心となる農業センターの建設の起工が行われたわけである。その完成が待たれるところであるが、具体的に質問する。本県産業の振興の展開に重要な施策として、各分野の試験研究機関の整備充実が図られておるわけであるが、その成果が期待をされておるわけである。試験研究機関の整備状況と、その具体的成果はどうかということである。その中で、試験研究スタッフの配置は十分と言えるのかどうか。
 この際あわせてお伺いしたいのであるが、東北インテリジェント・コスモス構想岩手ビジョンの取り組み等展開についてもお伺いできればと思う。よろしくお願いする。

〇千葉副知事 試験研究機関の整備の状況等についてお答え申し上げる。
 工業関係、林業関係、水産関係の各試験研究機関については、既に再編整備を完了しているものである。工業技術センターについては、工業試験場と醸造食品試験場を再編した。そして、平成6年4月に開設しておる。それから、林業技術センターについては、林業試験場、林業講習所、林木育種場を再編して、平成5年4月に開設したところである。また、水産技術センターについては、水産試験場、南部栽培漁業センター及び北部栽培漁業センターを再編して、平成6年4月に開設しているところである。
 生物工学研究所については、農作物の遺伝子組みかえ技術の研究など基礎研究を担当することを目的に、平成5年4月に新たに開設したところである。なお、研究業務については、県出資の財団法人岩手生物工学研究センターに委託しているところである。
 具体的な研究成果についてであるけれども、工業技術センターにおいては、冷麺を半乾燥状態で製造して、長期保存を可能にする技術開発を行っているところである。また、松川温泉の地熱水を利用した、軽くて割れが少ないなどの特徴を持たせた木材をつくる加工技術の開発をしておる。それから、林業技術センターにおいては、寒冷地方の松くい虫被害の特徴の解明と、防除技術の開発や、県内に豊富にある広葉樹を活用した寒冷、積雪地帯向けのシイタケ栽培の技術を確立しているところである。水産技術センターにおいては、カレイ化に属する高級魚であるマツカワの種苗生産技術の確立や、サケ揚げ豆腐等の新しい加工品の開発を行っておる。また、生物工学研究所においては、遺伝子の導入によるいもちの耐病性稲の作出や、味と香りのよい清酒用酵母を造成する技術の確立などが挙げられている。各試験研究機関において、それぞれ着実に研究が進められて、それぞれ一定の成果を上げていると考えておるところである。
 研究スタッフについては、これまでも新たな研究の必要性や業務量を把握して、それに応じた適正な配置に努めてきたところである。今後においても、技術革新の動向などに対応できるよう、適正な定数配置や効率的な組織体制の整備に努めてまいりたいと考えておる。
 なお、農業関係試験研究機関の関係についてであるけれども、本県独自の品種開発等の現下の課題に効果的に対処するため、現行の農業試験場、蚕業試験場、園芸試験場と畜産試験場の再編を進めているところである。
 また、衛生研究所と公害センターについては、環境保健行政の科学的、技術的中核機関として再編整備する方向で検討しているところである。
 また、東北インテリジェント・コスモス構想の関係であるけれども、それについては企画調整部長の方から答弁させる。

〇小野寺企画調整部長 東北インテリジェント・コスモス構想岩手ビジョンについてであるが、この構想は県内の産学官によって構成されておる推進岩手県協議会が、今後30年という超長期的な視点に立って、豊かな自然環境を生かした知的創造地域の形成ということを目的として、本県の特性を生かしながら創造的な研究開発の展開、あるいは新産業の育成などの分野について、今後取り組むべき基本的な方向を検討し示したものである。県においても、3県総の21世紀を開く主要構想において、科学と学術研究県岩手ということで、重要なプロジェクトとしてこのインテリジェント・コスモス構想を明確に位置づけて、その推進を図っているところである。
 具体的に申し上げると、このビジョンの中には大きな柱が3つある。
 まず、第1の柱であるが、創造的研究開発の展開、ここにおいては、例えば岩手大学の持つ研究シーズ、具体的にはリモートセンシングであるとかトリアジンチオールなどであるが、この岩手大学の持つ研究シーズを生かした独創的な研究開発の推進、あるいは地球環境情報解析センター等プロジェクトについて国へ提案するということ。それから、3つ目であるが、県内の岩手大学あるいは一関高等専門学校等の整備充実、さらには、県立大学などの高等教育機関の整備、そしてまた、先端的な研究機関の誘致、具体的には超電導工学研究所であるが、そういった先端的な研究機関の誘致などに努めているところである。
 2つ目の柱であるが、新産業の育成、産業化支援については、まず第1は、ただいま副知事からもお話があったが、県の試験研究機関の整備、それから2つ目は、県南技術研究センターであるとか、岩手大学の地域共同研究センターなどの産学官共同研究施設の整備、そしてまた、インテリジェント・コスモス構想によってR&Dという形で設立され研究が進められて事業化が進められたが、冷水性高級魚養殖研究所、そういったものの設立などがある。
 そしてまた、3つ目の高度情報化の推進、これらについては岩手ソフトウェアセンターへの参画など、ソフトウエア分野の人材の育成であるとか、あるいはデータベースセンター設置の国などへの提言、こういったことを実施しているわけである。今後においても、これらビジョンに盛り込んだ内容については、逐次熟度を高めながら県としてもその具体化が図られるように積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておる。

〇久保田委員 次に、主要施策による地域格差の解消縮小について御質問する。先ほど山内委員からるる具体的なことがあったので、若干簡潔に御質問したいと思う。
 本県が重点的に実施している主要施策については、先ほど332の事業があったとのお話があった。これらの成果については説明書を拝見して承知するのであるが、この中で特に県土の均衡ある発展に配慮した地域づくりのために実施した事業の成果として、地域格差がどの分野で縮小されたと言えるのかどうか、このことについて所見をお伺いをしたいと思う。

〇千葉副知事 主要施策による地域格差の縮小の関係であるが、県土の均衡ある発展を図り、各地域の個性や特色を生かした地域づくりを進めるために、県では平成6年度の主要施策重点事業として、東北新幹線盛岡以北の建設促進、あるいは港湾機能の高度化など、高速交通体系を軸とした広域ネットワークの整備のほか、下水道の居住環境の整備など、地域の発展の基礎となる社会資本の整備を進めたところである。
 また、沿岸地域の特性を生かした自立的な地域振興を図るための中核組織として、財団法人三陸地域総合研究センターを設立したところである。
 また、地域の特性を生かした農産物の導入、県産材のブランド化、つくり育てる漁業の推進など、収益性の高い農林水産業の展開や商工業の振興、豊かな自然環境や文化を活用した観光・リゾートの振興などを図って、就業機会の拡大に努めてきたところである。
 また、主要施策の重点事業以外にも、三陸・海の博覧会記念基金の活用によって、九戸古城フェスティバル等のイベントの開催を支援するとともに、拠点工業団地等の整備促進を図ってきたところである。
 このような施策を展開してきたわけであるが、本年10月に行われた国勢調査の速報値によると、本県の総人口は、平成2年と比較して増加しているところであるが、県北、沿岸地域においては、個々の市町村では異なるけれども、総体としては減少率は少なくなっているものである。それから、所得水準を見ると、県北、沿岸地域では、北上川流域を中心とした内陸部に比べて、依然として低位にあることは間違いないが、年々着実に向上はしてきているところである。したがって、県としては、従前にも増して、地域の発展と、人口定住の基礎となるところの高速交通網を初めとする広域ネットワークの整備充実、あるいは産業全体の活性化を促すため、各般にわたる施策を展開するとともに、生活環境の整備あるいは都市機能の強化などを進めてまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 次に、生活環境、社会資本の整備に関して質問をする。
 本県、広大な県土を有しておるわけである。豊かな緑、清らかな水、清浄な空気に包まれている。自然環境の3大要素に恵まれている恩恵に私どもは感謝しなければならないと思うのである。岩手の自然が育っている源は山林である。炭酸ガスを吸収し酸素をつくり、豊富な水をつくり出してくれているわけである。しかし、生活環境においては大きな立ちおくれがある。水環境を悪化させている現状を私どもは見逃しはできないと考えるのである。
 そこで、伺うのであるが、良好な環境の保全と活用、快適な生活環境保持のために実施した社会資本の整備、なかんずく、上水道、公共下水道、農業集落排水、合併浄化槽に関する施策についての進捗状況と、当該事業を主体的に推進する市町村及び一部事務組合もあるわけであるが、これらの団体に対する指導、支援、援助体制はどういう状況であったのか。
 あわせて、平成6年度、ごみの不法投棄、水質汚濁、大気汚染等の違反事件の発生がなかったのかどうか、お伺いをする。

〇千葉副知事 環境保全のため実施した社会資本の整備の関係であるけれども、水道の整備については、平成6年度末の県内の水道普及率は86・9%である。
 また、県の支援援助の関係であるけれども、簡易水道については、施設整備費のおおむね2・7%から3%、広域水道企業団の構成市町に対しては、地方公営企業繰出金制度に基づく交付税措置対象額の20%を補助しているところである。
 また、生活排水処理施設の整備についてであるけれども、県として汚水処理施設の計画的な整備を図るため、市町村との協議をもとに、事業別整備を行って、全県域汚水適正処理構想を策定して、これに基づいて下水道等の生活排水処理施設の整備促進を図っているところである。平成6年度末における県内総人口に対する事業別普及率は、公共下水道が32市町村において22・9%、農業集落排水及び漁業集落排水が28市町村において1・6%、合併処理浄化槽が49市町村において1・7%であって、合わせて26・2%となっているところである。
 また、県の支援、援助の関係であるけれども、公共下水道は事業費のおおむね3%、農業集落排水については10%、漁業集落排水は15%を補助しておる。また、合併処理浄化槽については、国庫補助と同率の3分の1の県費補助を行うなど、これらの施設整備の促進が図られるよう指導しているところである。
 それから、ごみの不法投棄等の事件発生であるけれども、平成6年度における不法投棄は、一般廃棄物を中心に65件あったところである。近年、検挙件数が増加傾向にあるが、これはパトロールを強化してきたところから投棄を発見する割合が高くなっているものによるものである。
 水質汚濁については、不適正な管理から汚泥等が流出した一過性の事件が4件発生しているところである。それから、大気、その他環境汚染に関しては、特になかったところである。今後とも、関係機関との連携を強化して、ごみの不法投棄や水質事故等の未然防止を図り、本県の良好な環境の保全、快適な生活環境の保持、創造に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇久保田委員 ごみの不法投棄について65件の違反事件があったようであるが、こうした不法投棄等に対する適切な指導を徹底をされるように、市町村指導をよろしくお願いしたいわけである。
 次に、上水道のことについて質問する。きのうであるか、新聞でも若干報道されておるわけであるが、次のことについてお伺いしたいわけである。
 豊富な水に本県恵まれておるわけであるが、水源に恵まれているという、県民が心から恩恵をこうむっているということに対しては、良質で水道料金が安いということでなければ、その恩恵を受けたと感じておらないと思う。しかし、本県の水道料金は10トン当たり全国平均は1、347円に対して1、598円である。私が利用する岩手中部広域水道企業団の水は1、700円以上になっておる。ちなみに、県内の例を申せば、遠野市の--10トン当たりであるが--2、400円を最高に、宮古市の875円を最低として、料金の分布から言えば35段階になっておる状況である。市町村間においてこれほどの料金の格差があっていいはずはないわけであって、そういう意味で言うとこれらの是正を求めたいわけである。しかも、本年4月からは上水道の高料金対策に要する経費の繰り出し基準が改正になって、現在、県内13市町村がこれを受けておったのであるが、一般会計からの繰り出しを受けていた対象から外れる団体が出てまいった。特に、岩手中部広域水道企業団に加盟しておる2市2町においては、これまで7億8、000万円の自治省からの交付を受けていたのであるが、これが7億円がカットされる事態になっておる。水道事業の財政運営に多大な影響が及んでおるところである。
 県は先般、21世紀を展望した新たな水需要計画の基本計画をまとめ、豊かで清らかな水の里岩手の創造を目指すと報じられておる。この具体的な展開を期待したいのであるが、ただ、私は県内市町村間の水道料金にばらつきがあることについて、あるいは建設改良費が割高になっているためのこの状況というものを是正をしていただきたいと思うのである。良質で安全で安い水道を県民がひとしく享受できるような、料金の増嵩している市町村及び広域企業団に対して、現在行っている広域的な水道整備促進補助金のほかに、企業債利息に対する支援など、水道事業経営に県の支援と直接的な関与があってしかるべきと考えるのであるが、その御所見を伺いたいのである。

〇千葉副知事 水道料金の関係についてであるが、ただいま御質問があったとおり、水道料金はそれぞれの市町村によって差があるところである。それは、水道料金の決定の原則というか、これが水道施設の建設に要した費用、あるいはその維持管理に要する費用を勘案して、市町村あるいは企業団において独自に料金を定めていると、こういうところから来ているものだろうと考えている。県として、水道料金の基礎となる水道施設の建設費の市町村の負担を軽減するために、簡易水道施設の建設等、あるいは災害時の水確保のための上水道の配水池調節、あるいは老朽管の更新等の改良事業等に対して、国の補助制度を導入しているところである。
 また、簡易水道の建設については、財政力指数0・4以下の市町村に対して県単独のかさ上げ補助を行って、広域水道の建設についても企業団を構成している市町村に対して、県単独補助を行ってきたところである。先ほども申し上げたとおり、市町村によっていろいろと水道料金の単価が違うわけであるが、これは水道事業が地方公営企業法の適用を受ける公営企業であるというところから、もともと受益者がその水道料金を負担するという基本的な考え方に立っておるところである。したがって、県の措置としては、先ほど申し上げたとおりの範囲内の措置になっているところであるが、いずれにしても計画的な水道の施設整備が図られるよう、今後とも市町村等を指導してまいりたいと考えているところである。

〇久保田委員 今のお答えに納得しかねる点多くあるので、これは後日の総務部や環境保健部のところでもう少し取り上げさせていただきたいと思っておるところである。
 次に、ひとにやさしいまちづくり条例に関してお尋ねしたいと思う。
 長寿社会にあってだれしもが何らかの障害を持っていくことが考えられるわけである。家庭に閉じこもっているのではなくて、できるだけ外部の世界に触れ合う機会をつくっていくことが大切であるが、今までの社会環境は自由に出かけていける環境でなかったと言ってもいいわけである。公共施設においてそのことが特に指摘されてきた。このたびの条例は公共的施設整備基準を定めて、基準を努力を義務を課しているわけであるが、具体的にお尋ねするが、高齢者、障害者等に優しいまちづくりを推進するために、ひとにやさしいまちづくり条例が本年6月県議会で可決されたところである。これはいつから施行されるのであるか、まずこのことである。
 県の責務の遂行は当然のこととして、市町村、事業者、県民の責務に関して、条例の趣旨の徹底を図るために必要な実施指導の方針があると思う。そのことを具体的にお尋ねをしたいわけである。

〇千葉副知事 ひとにやさしいまちづくりの条例の関係であるけれども、まず条例の施行期日であるけれども、この条例は本年7月14日に公布したが、施行は平成8年4月1日に施行することとしておる。
 次に、市町村、事業者、県民の責務についてであるけれども、県は昨年度、地方レベルのまちづくりの推進組織として、各地方振興局ごとに地域にひとにやさしいまちづくり推進協議会を、また、本年の11月に県全体の推進組織としてひとにやさしいまちづくり推進協議会を設置したところである。この2つの推進組織には交通、通信のほかに建設、商工、福祉等の幅広い分野の関係機関、団体等が参画しているところである。県としては、この2つの推進組織を通じて、県、市町村、事業者、県民が一体となってまちづくりを総合的に、かつ計画的に推進することとしておる。その中でそれぞれの責務の周知徹底を図ってまいりたいと考えておる。
 なお、県では現在、県政広報のほかに県民に広く条例啓発リーフレットを配布しているほか、県内各地方振興局ごとに市町村の担当者や事業者を対象として、条例等の説明会等を実施いたしているところである。

〇久保田委員 次に、食糧費のことについて質問をする。
 このことについては既に一般質問でも取り上げられておるのであるが、県監査委員が食糧費支出に関し適正な執行を求め、あるいは予算の目的に沿わない支出や支出目的が明確でないものなど、一部に留意改善を要するものがあったとの指摘は、異例の言及であった。このことは率直に言って我々議員として審査を預かる立場の者としては、積年の悪慣行を見逃してきたことであり一端の責任なしとはしない。それは、食糧費に関してほとんど問題にしてこなかったわけであるし、監査委員条例及び監査、検査、審査に関する執務基準に整合した議会選出の監査委員のあり方を含めて論議していなかったわけである。監査報告を通り一遍に受け流してきたことなどは、チェック機能を十分に果たしてこなかった我々の反省すべき点であろうかと思う。
 具体的に伺う。平成6年度決算における食糧費の部局別の支出額についてお伺いをしたいわけである。この際、食糧費の支出が一部適当でないとの指摘をなされた監査意見があるが、監査委員から具体的に好ましからざる事例があるとのお話があるわけであるが、この内容について御指摘をいただければ結構に存ずる次第であり、お伺いするわけである。 あわせて、官官接待、食糧費のあり方について監査委員として御所見があれば、この機会に承りたいと存ずる。

〇上田総務部長 平成6年度決算における食糧費について、この食糧費の決算額全体で4億2、000万円余であるけれども、これを部局別に見ると、まず総務部8、306万円余、企画調整部3、447万円余、生活福祉部2、170万円余、環境保健部2、301万円余、商工労働部3、153万円余、農政部6、698万円余、林業水産部4、392万円余、土木部5、132万円余、出納局327万円余、議会事務局1、153万円余、人事委員会116万円余、監査委員39万円余、地方労働委員会117万円余、警察本部1、080万円余、教育委員会1、846万円余、以上である。

〇源新監査委員 食糧費の支出についての指摘事項についてのお尋ねであるが、食糧費の監査の結果、留意、改善を要する主なものとして、食糧費に係る予算の目的に沿わない支出、あるいは支出目的が明確でないものなどが見受けられたところである。具体的に部局別に申し上げると、総務部については、これはいずれも東京事務所であるが、食糧費の支出に当たり支出目的が明確でないものとして、支出負担行為伺い書に使用目的に合う具体的に照合しないものがあったということである。74件ほどである。それから、食糧費の節区分になじまない会場借り上げ料や土産代などを支出したものが見受けられた。5件、3万9、000円余である。さらに、食事券、ビール券を物品購入票により購入していることから、使用目的、配布先が明確でないものがあった。99件、1、942万2、000円余である。商工労働部であるが、これは大阪事務所、名古屋事務所であるが、まず大阪事務所について、食糧費の支出に当たってやはり節区分になじまない駐車料を支出してあるものが1件、6、000円あった。それから、食事券、ビール券をやはり物品購入票により購入していることから、その使用目的、配布先が明確でないものが15件、164万7、000円余あった。それから、名古屋事務所については、食事券を物品購入票により購入しているので、その使用目的あるいは配布先が明確でないもの15件、242万2、000円があった。さらに、農政部について、これは畜産課であるが、食糧費の支出に当たって予算目的に沿わない支出として、国庫補助対象にならない家畜保健衛生業績発表会審査委員との昼食懇談会経費を、補助事業である家畜衛生技術指導事業から支出したものが9万円ほどあった。さらに、土木部であるが、土木部総務課について、食糧費の支出の予算目的に沿わない支出ということで、空港関係事業費を砂防費から支出したということがあって、3万2、000円余があった。これらについてはそれぞれ留意、改善を求めたところである。
 それから、食糧費のあり方についての所見ということであるけれども、国の職員との接遇懇談を含めて、この食糧費の支出については、それが公費をもって賄われているということにかんがみて、県民の信頼を損なうことのないよう、食糧費支出の趣旨に沿った適正な執行に努める必要があるということで、監査委員の意見を申し上げているところである。

〇久保田委員 監査委員から詳細な御説明あったし、所見も伺った次第である。多くの問題が惹起された課題であるので、今後ともこれら監査に当たっては適切な御指導をいただくようにお願いを申し上げる。ありがたかった。
 次に、公共事業の効果について御質問をする。
 国の経済対策のてこ入れによって、景気の回復を待っているわけであるが、なかなか進んでおらない状況である。公共投資の見方には、労働者の雇用の機会を多く創出するということが一方あるわけであるが、現金収入の支給を通して消費活動を活性化するというところに一方のねらいがあると思うのである。そこで、伺うが、平成6年度の予算は、景気浮揚策に重点を置いて編成されたものと承知しておる。積極的な公共事業費の投入はどれほどに県経済に効果的な波及を及ぼしたと見ておられるであろうか。
本県が発注する公共事業において、積算労務単価と請負業者が支払う労務賃金とに大きな差が生じていると聞くのであるが、その実態はどうであろうか。是正させる対策をとっておるのかどうか、お伺いをしたいと思う。

〇吉永副知事 2つ御質問があったかと思うわけであるが、まず公共事業の県経済への波及効果である。平成6年度について御質問であるが、まず平成6年度について1つの試算をお示しする前に、公共事業費が県経済を拡大する効果について一般的に非常に大きいということを、まずGDP関係の指標で示してみたいと思う。平成6年度については、まだ国も県も所得統計がないので平成5年度の数字をちょっと見てみたいと思う。平成5年度の国と県の経済成長率というものを見ると、国は名目0・6%、実質はマイナスの0・2という、非常にマイナスになった特別な年である。これに対して本県は名目1・5%、実質0・6%、実質でもわずかながらプラスになっておる。この事実は平成5年度が冷夏の影響等により、御案内のとおり、農業生産が大幅に減少した年である。このことを勘案しても国よりもプラスの成長率を示したということは、これはむしろ特筆すべき事実ではないかと思う。 この県の名目成長率1・5%、これがどういった事業項目によってもたらされたものかというのを次に見てみると、公共事業を中心とする経済対策が行われた場合、これがどういう形をとってGDPの統計になるかと言うと、俗に言うIGと言うか、公的総固定資本形成、公的な設備投資といった、そういたものの数字があるわけであるが、これがこの公的な総固定資本形成の数字が、名目値で県の総支出の13・7%を岩手県の場合は占めているわけである。これが国の場合は8・8%である。この総固定資本形成の対前年度伸び率が岩手県の場合はこの平成5年度で14・5%伸びておる。国はこの伸び率が11・6%にとどまっておる。そのためにこの経済成長率1・5%を達成する上で、県の場合のIG--公的総固定資本形成の増加の寄与がむしろ経済成長率を上回る1・8%という数字が出ておる。であるから1・5%の経済成長率を1・8%の公的総固定資本形成が成し遂げたと、逆に言えばこの年、民間設備投資等多くのマイナスの重要項目はあるわけであるけれども、それを補って余りあって国よりも大きな経済成長をこの年遂げたと言えるかと思う。
 このように一般的に本県においては、公共事業の県経済拡大での影響というのは非常に大きいわけである。この公共支出はそのまま、単に公的資本形成になるだけじゃなくて、これを通じてそれがそのいろんな人の消費にも当然ながらいろんな波及効果でなっているわけであって、このIGの一定の倍数倍の経済活動の拡大をもたらすということである。平成6年度について本県の公共事業の契約済み額は、本工事費で約2、007億円である。これの本県経済に及ぼす経済効果を県の産業連関表を用いて計算すると、その1・65倍に当たる3、306億円程度の経済拡大はもたらすだろうということが計算されている次第である。
 次に、本県の発注公共事業における積算労務単価と支払い労務賃金の格差の実態及び是正対策という御質問であるが、県の公共工事の設計労務単価は、農林水産省、運輸省、建設省の3省が毎年定期的に行う公共事業労務費調査に基づいて決めておる公共工事設計労務単価を用いておる。この公共事業労務費調査は、年2回、さっき申した3省が所管しておる公共事業から調査対象工事を選定して、建設労働者に実際に支払われた賃金を、労働基準法により使用者が備えつけを義務づけられておる賃金台帳を確認するという形をとって行っておる。したがって、この調査結果に基づき決められている設計労務単価には、賃金の支払いの実態が反映されているものと考えておる。
 建設業における人材確保、育成の観点からは、建設労働者の労働条件の改善、労働福祉の向上、業界の構造改善の推進ということは極めて重要なことであるので、県としては、建設業地域巡回懇談会等を通じて労働条件の改善等、建設業の構造改善は積極的に促進してまいりたいと考えている所存である。

〇久保田委員 後段の方の積算労務単価、支払い労務賃金との関係については、大都市における関係についてはそういう関係が認められると思うが、地方、本県においては必ずしもそうでないという実態があるものであるから、あえて御指摘を申し上げたわけであって、適切な御指導をお願いをしておきたいと思う。
 次に、本県の景気動向についてお伺いをする。
 先ほども触れたが、公共投資の効果が十分に反映をされておれば、長引く不況などは解消されておると思うのであるが、事態はそうなっていないわけである。倒産解雇が相次いでいるのが現状である。本県の平成6年12月、1年前のことであるが、この時点での倒産は63件、負債総額84億円になっておった。本年同期においては倒産件数は90件、もう既に100件超えたという報道もあるわけであるが、負債総額188億7、000万と言われておる。大幅に増加している実態である。本県のこの後の推移はどのように今後たどるのか、その推移を示していただきたいと思う。
 また、本県の産業動向、消費動向の現状はどうであろうか。離職者に対する再就職について、県並びに市町村の連携は図られておるのであろうか。
 あわせてこれは花巻の特定の企業について申し上げることをはばかるわけであるが、誘致企業であるリコー光学の人員削減、これは一般質問でも取り上げられておるが、その背景を県はどのようにとらえておるのであろうか、お伺いをする。

〇千葉副知事 本県の産業動向と消費動向の現況についてお答え申し上げる。
 主要経済指標で見ると、まず平成6年度の状況であるけれども、産業動向、生産活動では、鉱工業生産指数は、精密機械工業、繊維工業等が低迷している業種が見られるものの、電気機械工業、窯業・土石等が好調だったことから、前年度比1・1%増となっておる。また、建設投資では、新設住宅着工戸数は、前年度比4・3%増で前年水準を上回ったところであるが、公共工事着工総工事費は前年度比3・3%減で、前年水準を下回ったものである。
 また、消費動向であるけれども、大型小売店舗販売額は前年並みとなっておるが、乗用車の新車登録台数は前年度に比べて9・8%増と前年水準を上回り、消費は総じて堅調に推移したところである。
 また、平成7年度の最近の状況であるけれども、産業動向については、生産活動で平成7年9月の鉱工業生産指数は、精密機械工業、繊維工業等低迷している業種が見られるものの、電気機械工業、金属製品工業が好調だったところから、前年の同月比では12・6%となっておって、2カ月連続で前年同月を上回っているものである。また、建設投資の関係であるけれども、新設の住宅着工戸数は最近6カ月累計で見ると、前年同期比で5・1%減と前年水準を下回って推移しておるけれども、公共工事の着工総工事費は最近6カ月の累計で前年同期比で17・6%と、前年水準を上回って推移しておる。
 それから、消費動向であるけれども、大型小売店舗販売額は、7月、8月と2カ月連続で前年同月を下回った後、9月は前年同月比5・8%増になるなど、一進一退の状況となっておる。また、10月の乗用車の新車登録台数は前年の同月比で3・9%増、また、最近6カ月累計でも前年同期比で3・8%増と前年水準を上回って推移しているところである。したがって、消費については総じて堅調に推移しているというふうに見ているところである。

〇吉永副知事 続いて、倒産の動向についてお答えする。
 県内企業の倒産は、平成6年は件数が63件、負債総額は84億円であった。本年はこの11月までで既に件数が101件、負債総額は197億円に上っておって、ここ数年では負債総額、件数とも高水準で推移してまいる。倒産の原因については、両年とも業績不振や他社倒産の余波といった、いわゆる不況型倒産の割合が約6割と最も多くなっておって、長引く景気の低迷に起因していると考えられる。本年は、円高の影響や他社倒産の余波を受けたものと思われる大型倒産の発生もあったほか、ニシキファイナンス等の貸金業者の関連倒産が相次いだことがこういった増加の要因ではないかと考えておる。倒産及び合理化に伴う離職者数は、本年4月から10月までに1、017名に上っておって、昨年の同期の596人に比較して大幅な増加傾向にある。
 離職者対策については、こういった情勢を勘案して本年7月から県内各公共職業安定所に、地方振興局、市町村及び地域の商工団体、労働団体で構成する円高等雇用対策連絡協議会を設置して、従来にも増して緊密な連絡をとりながら、情報の把握と雇用の維持に努めているところである。なお努力を重ねていきたいと考えておる。
 委員御指摘の花巻市のリコー光学株式会社であるが、この会社は光学機器、事務機器等の総合メーカーである株式会社リコーの現地法人であって、昭和50年にカメラの製造拠点として操業を開始し、現在に至っているわけである。同社は、円高の進行に伴ってカメラ部門の競争力が低下し、海外への生産地点のシフトを余儀なくされた結果、これ以上のカメラ組み立て部門の維持は難しいという状況になった判断から、生産規模の縮小に至ったものと聞いておる。今回の人員削減は非常に残念なものである。ただ、同社の生き残りをかけたやむを得ない選択ではなかったかと考えておる。県としては、まずは同社の責任において雇用対策には最大限の努力を払うよう既に申し入れておるし、地元花巻市との連携のもとに、花巻地域円高等雇用対策連絡協議会を開催して、離職者の対策には万全を期し、遺憾なきを期していく所存である。

〇久保田委員 お答えありがたかった。後段のリコー光学の関係に基づいての考えであるが、この結果、他の企業への影響というのも非常に心配するわけであって、かかる事態が起きないような適切な情報収集等御指導をいただきたいと存ずる。
 次に、北上川清流確保対策について質問をする。
 旧松尾鉱山から排出される強酸性坑廃水を原因とする北上川の水質汚濁の防止に関しては、関係5省庁の了解事項に基づいて、恒久処理対策の一環として新中和処理施設の稼働によって対策が前進していると承知をしておる。いずれにしても、処理施設の維持管理は半永久的に続くわけである。本県においては、毎年北上川の清流化確保対策について国に対して要望しているところである。このことについて感ずるのであるが、抜本的な制度の確立が必要だと思う。そのためには、仮称であるが清流化特別立法などをつくっていただいて、根本的恒久対策を図るよう国に要望していくことが肝要ではないかと考えるものであるが、御所見を伺う。

〇吉永副知事 旧松尾鉱山の坑廃水による北上川の水質汚濁対策については、坑廃水に係る恒久処理対策の一環として、昭和57年度来建設された新中和処理施設によって相当の改善が図られ、北上川清流化を大きく前進しているところである。しかしながら、この新中和処理施設の維持管理は、委員御指摘のとおり、半永久的に続くわけであって、県は国に対して、当該事業にかかわる国の負担について、財政事情に左右されることなく恒久的かつ安定的に措置されること等を県の最重点項目として、毎年要望しているところである。本年度も要望してまいっているところである。
 委員御提言の清流化のための特別立法、そういう法制化については、これは1つの貴重な考え方として今後十分に研究させていただきたいと考えておる。いずれにしても、県としては北上川清流化に対する予算については、恒久的に毎年確保されるよう今後とも毎年国に対しては強力に要望してまいる所存である。

〇瀬川委員長 久保田委員の質疑中であるが、この際、世話人会の申し合わせにより10分間休憩する。久保田委員、御了承願う。
   午後3時3分 休 憩
   午後3時21分 再 開

〇瀬川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇久保田委員 引き続き質問を継続させていただきたいと思う。
 産業各分野でのイメージアップ作戦について御質問する。先ほど藤原委員もさわやかイメージアップについて触れておるわけであるが、重複すると思うがお尋ねする。
 本県においては、平成元年に策定した大規模催事構想によって、三陸・海の博覧会やアルペンスキー世界選手権大会、国民文化祭等の大規模なイベントを実施して本県のイメージアップを図ってきたわけである。平成6年11月、去年の、1年前であるが新たな大規模イベント構想を策定して、平成7年から平成21年までの15年間を構想期間として、産業文化、経済等の振興をねらいとして内外の注目を集める大規模なイベント開催を積極的に推進し、本県のイメージアップを図ることとしておるわけである。このことと関係してお伺いをする。本県の地域特性を最大限に生かした産業の展開を図ることが肝要であると考える。これまで農業、林業、漁業、観光の分野において、いかなるイメージアップ作戦を展開をしてまいったであろうか。その成果はどうであったであろうか。そして、これらの取り組みを通して課題は何であったかについてお伺いをしたいわけである。

〇吉永副知事 各産業分野ごとにお答えする。
 まず、農業分野であるが、消費者の支援が得られるように県産農産物のイメージの向上を図り、生産者が自信と誇りを持って生産活動に励むことができる環境づくりを進めていくことが重要であると考えておる。このため、これまでもきれいな水と空気、冷涼な気象条件のもとで、他県に比べて農薬の散布回数が少ない、また、堆厩肥が全国の2倍程度多く投入されているということ、あるいは農薬の使用度合いが少ないといったようなことから、品質のいい農産物について純情産地という統一イメージで全国の大都市に向け各種フェア、キャンペーンを展開しているところである。このイメージアップ作戦はかなりの程度浸透しているんじゃないかと自負しているところである。
 また、この11月からアメリカのロサンゼルスにおいても長期のアンテナショップを設置したところである。こうした取り組みもあって、先般9月に首都圏において県産農林水産物を扱っておる市場、量販店を対象にしたアンケート調査において、これは米、園芸、畜産、海産物、それぞれの合計の数字であるが、アンケート調査において総回答数249社のうち、95・6%に当たる238社が品質面等において、当産品については、よいあるいは非常にいいという回答をしておる。市場、量販店など流通関係者、消費者については、いわて純情産地ものというものが浸透し、その評価が高まってきているのではないかと認識しておる。今後においても、消費者の共感を呼ぶ効率的な宣伝活動を展開し、岩手物を定着させていくことが肝要であると思うわけである。
 こうした考えのもとに、平成8年度に本県で開催される全国食文化交流プラザについても、イメージアップを図る絶好の機会ととらえ、宣伝活動を強力に展開してまいる所存である。
 次に、林業分野であるが、林業においては、本県の林産物が緑豊かな岩手の森林から産出されているということを、こういうイメージをPRしてイメージアップに努めているところである。この結果、気仙スギ、遠野カラマツ、九戸アカマツ等のブランドが浸透しつつある状況にある。ただ、これについては一層の努力が必要であると考えておる。このため、首都圏等においてはこういったブランド材フェアを開催するほか、PR活動をさらに強力に展開しイメージアップに努めてまいりたいと考えておる。
 次に、漁業であるが、三陸の海は昔から全国3大漁場の1つとして教科書なんかにも載っているところであるので、三陸という名前は非常によく知れ渡っているところであるので、本県の水産物の消費拡大に当たっては、三陸のきれいな海でとれた、新鮮でおいしい水産物ということをセールスポイントにPRを展開し、イメージアップを図ってきたところである。この結果、ワカメ、ホタテ貝、サンマなど全国的に知名度を高めることができておる。全体としてなお一層努力していきたいと考えておる。ほかには南部さけのイメージアップや、岩手のイクラのブランド化など、新たなPR作戦を全国に展開する予定である。また、平成9年には大槌町で開催される全国豊かな海づくり大会を好機として、水産岩手を全国に広くアピールしてまいりたいと考えておる。
 最後に、観光の分野であるが、観光の分野におけるイメージアップ作戦は、詩情ゆたかな岩手路あるいは岩手の風にふれたくてをキャッチフレーズとして、八幡平や陸中海岸国立公園等のすぐれた自然景観、豊富な温泉、平泉中尊寺等の貴重な文化施設などの活用を重点とした全国規模での大型観光キャンペーンを東京、大阪、その他で実施しておる。また、三陸・海の博覧会に代表される大型イベントを実施するとともに、主要観光地のトイレの水洗化、広域観光ルートの整備など、いろんな受け入れ態勢の整備を図り、イメージアップに努めてまいっておる。この結果、観光客入り込み者数は年々増加し、平成6年には4、143万人回余と過去最高を記録するとともに、受け入れ態勢の整備が進んだことにより、訪れる観光客からは大変好評を得ているんではないかと思っておる。
 平成6年度に県が実施した岩手のイメージについての全国調査によれば、さっき申し上げた花巻温泉、中尊寺、小岩井農場、八幡平と、一体のものの知名度は浸透してきておるが、それ以外に私どもが誇りたいものはいっぱいあるにもかかわらず、なかなかほかのものが浸透していないというのも事実であるので、今後、より一層強力にイメージアップのための施策を展開する必要があると考えておる。
 具体的には、国際的あるいは全国規模の大型イベント、来年は宮沢賢治生誕100年、啄木110年といったようなもの、地域伝統芸能に関するフェスティバルといったようなもの等を行って、なお一層のイメージアップを図る。あるいは首都圏その他におけるPRももっと強力に行っていきたいと考えておる。また、観光のあり方もいろいろ変わってきておって、体験型の観光、そういったものにふさわしいような商品の開発等にも取り組んで、一層観光の分野においても当県のイメージアップに尽力してまいりたいと考えている所存である。

〇久保田委員 各分野でのイメージアップ作戦については、積極的な取り組みをなさっておるわけであるが、なお一層の展開を希望をするし、特にも、来年の宮沢賢治生誕100年の記念事業たくさんあるわけであるが、こうした機会をとらえて有効なイメージアップ作戦を展開していただくように要望しておきたいと思う。
 次に、林業の関係であるが、流域管理システムについてである。
 林業活性化を図るために、国は流域管理システムを導入することとなっておるのであるが、本県については、5つの流域を定めて、各流域ごとに林業活性化センターを設立し、森林整備、林業事業体の再編、労働力対策等の対策を広域的に取り組むこととしておるのであるが、本県のこの管理システムについてどういう状況で機能がされておるのかについて御質問したいわけである。実は本年9月4日の官庁速報によると、林野庁は各都道府県に森林整備支援センター--これ仮称であるが--を設置をして、森林組合など林業機械をリースしたり新規就業者の募集、あっせん等を行うような森林整備担い手育成確保総合対策事業を来年度から展開する方針と報じておるわけである。こうした動きとも呼応するわけであるが、現状の取り組みや管理システムの機能を果たすべきと思うのであるので、この際お伺いをしておきたいと思う。

〇吉永副知事 流域管理システムは、森林を管理する上で合理的な広がりである河川の流域を基本的単位として、民有林、国有林を通じて、森林所有者から木材加工関係者まで、その流域内の森林、林業、木材産業の全関係者が一体となって、みずからの発想と努力により森林整備や、木材の加工、流通体制の整備を行い、林業の活性化を図ろうとするものである。平成3年に森林法に基づきできたものである。
 本県には委員御案内のとおり、大槌、気仙川流域を初めとする5つの流域があって、これまで全流域において流域林業活性化センターをそれぞれ設置し、活性化に関する基本方針を定め、流域管理システムの推進、確立に努めているところである。この結果、大槌、気仙川流域においては、気仙木材加工協同組合連合会の大型製材工場を中心として、素材生産から製材品の流通体制まで一体的な整備が進み、林業生産活動が活発化してきておって、プレカット工場や高次加工工場の建設あるいはブランド化といった取り組みも進んでいるようである。
 また、北上川流域地域では、21世紀の国産材時代に向けて、遠野地域の木材関連業界が一体となって集成材やプレカット住宅部材、家具、建具などの高次加工施設を総合的に生産する全国一の木材供給基地の整備に着手しているところである。この2流域については、その意欲的な取り組みは全国的にも評価されているところである。ほかの3流域においても、高性能林業機械やプレカット施設等の高次加工施設の導入を推進して、木材の安定的な供給体制の整備に努めてまいるとともに、森林組合の広域合併あるいは若年労働者の新規参入といったものについても積極的に取り組んでいるところである。
 このように本県においては、流域管理システムの積極的な取り組みにより、森林整備や国産材の産地化形成が着実に進展しているところである。この管理システムは予定どおり機能しているのじゃないかと考えておる。今後とも流域の関係者と一体となってこの流域管理は推進してまいりたいと考えている所存である。

〇久保田委員 林業についてのお答えをいただいたわけであるが、5つの流域を定めたそれぞれの林業活性化センターの設立は、総体的におくれておるように思うわけである。このことについては積極的に県当局として対応をしていただきたいと要望しておく。
 次に、鉄道輸送体系の堅持とJR岩泉線についてお伺いをする。このことについては先ほども御質問があったところであるが、あえて触れさせていただく。
 本県の総合交通体系は、空港、鉄道、道路、海上、バスの各ネットワークと、新たなニーズに対応する交通のあり方が問われておるわけである。特に鉄道ネットワークの整備については、高速ネットワークの整備と在来鉄道の機能強化が課題である。県内在来鉄道は通勤、通学、通院、買い物など、地域住民の足として重要である。その利便性とスピードアップ、快適性が強く求められておる現状である。こうした中において、今般、JR岩泉線の廃止問題が惹起されておるわけである。本会議でも質問されておる中身である。本県は、東北新幹線建設対策事業や、盛岡-秋田間新幹線直行特急化事業の促進に積極的に対応しておるところであり、高くその取り組みを評価したいと思う。問題は、こうした岩泉線の廃止問題を含めて、存続を求める地域の住民の要望というものに対して、いかにこたえていくかということが当面の課題であるわけであって、その意味では本県として鉄道輸送体系を一体的に堅持する基本方針というものを強く打ち出していただきたいと思うわけである。関係当局に対して本県はその存続を強く迫るべきだと思うのである。その所見を改めてお伺いをする。

〇小野寺企画調整部長 鉄道輸送体系の堅持等についてであるが、本県の鉄道ネットワークは、東北新幹線を初めとして、東北本線を初めとするJR在来線、それから三陸鉄道、これからなっているわけである。ただいまお話があったように、それぞれ例えば東北新幹線は高速性にすぐれた県外との交流の大動脈であるし、それから秋田県と結ぶ線もいろいろある。そういったもの、鉄道は鉄道のネットワークでそれぞれが有効に結びつく、連携を深めるということがもとより大事であるが、それと同時に他の交通機関との連携強化、これも大事なことであろうと考えておる。したがって、それぞれの交通機関が持っておる特性を最大限に発揮しながら、安全性あるいは接続等の利便性、そういったものに十分注意しながら利用者のニーズにこたえていくと、これが基本であろうと考えておる。
 本県の鉄道ネットワークにおける岩泉線については、他のJR在来線と同様に地域住民の方々の足ということもあるし、また、それぞれの地域の振興のもとにもなっているという、これはもう再三申し上げているわけであるが、そういう大事なものであるので、特にもその今後のあり方については十分に地元の方々と協議し、地元の方々の納得し得るものであることは基本であると考えておる。そういうことでその勉強会を申し入れしたという報告があった際にも、JR盛岡支社長に対して、知事からその鉄道の持つ広域性ということに十分に留意して、その検討をしていただきたいということを申し上げてあるほか、また、先般11月17日に実施したわけであるが、政府予算統一要望等においても、在来線のスピードアップであるとか、利便性あるいは快適性の確保、そういったことについて国に対して強く要請してまいってきておる。これは従来からやってきておるが、今回特にまた強く要請したところである。岩泉線の具体的な問題については、先ほどもお答えしたんであるけれども、目下、JRと地元の協議会で勉強会を開くということを合意に達したということであるので、当面そこの中で議論が尽くされることを大きく期待しながら、あるいは将来大事なものであるので、県としても必要があればその中に入るということも含めて、積極的に支援していきたいと考えておる。

〇久保田委員 最後の質問である。花巻空港の整備について御質問をする。
 花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備については、国に対して要望しているところであるが、航空審議会から出された中間取りまとめの内容と、利用実績から厳しい見通しであるとの所見が先般述べられておるわけである。2、500メートル延長整備に当たっては、供用開始時点で年間50万人以上の利用者が見込まれる路線であることという国の基準があるわけであって、この基準を満たすことが最大の課題になるものと思うのである。よって、利用者が増加する条件というものを私どもは真剣に考えなければいけないということを思うのであるが、現状の懸案となっておる大阪線等の既存路線の充実や東京線の復活、あるいは成田空港への乗り入れ、またはチャーター便の運航拡充等の利便性を高める施策を展開することが現実的対応ではないかと思うのである。第7次空港5カ年整備計画において要望が組み入れられる見通しが果たしてあるのかどうか。大変厳しい状況であることは先ほど触れさせていただいたのであるが、その後の行動を通してどういう反応を受けとめておるのであろうか。特に、利用率の問題について言えば、仙台空港を利用する本県の住民の人たちが大変多いと見受けられるわけである。これらの実績を踏まえて運輸省に働きかける必要があるのではないかと思うのであるが、所見をお伺いをしたいと思う。

〇小野寺企画調整部長 空港整備2、500メートル延長整備見通しであるが、これについてはただいまお話があるとおり、8月の審議会の基本的な考え方では、地方空港の整備に当たっては需要の見通しというものが前提になるということで、今お話があったように、開始時に50万人という極めて高いハードルがある。本県としても従来から平成5年度以降協議会を設立し、そして官民一体となって取り組んできたところであって、また、地元花巻市においても市民の翼を実施するなど、非常に多くの成果を上げてきておる。そしてまた、利用実績を見ると26%ほど前年に比べてふえてきているという状況であるが、しかし、当初の目標からするとまだまだ足りない。そういったことを勘案すると、総合的に見た場合いまだこれは楽観を決して許さない厳しい状況にあることは間違いない。したがって、今後ともこの利用促進を強力に進める必要があると考えておる。そこで、お話があったが利用促進に関する運動を再構築することについて、これについては既に申し上げたいろいろの官民一体となった、あるいは地域の花巻市を中心とした運動等によって成果が着々と上がってきておるので、今後はこれが1人でも多くの県民の方が利用し、そして広く全県を挙げてこの運動を盛り上げていくという方向に行くことを強く期待しながら、県としても協議会ともども最大の努力をしていきたいと考えておる。そして、御提言があったが、県民が仙台空港を利用した場合にそれを花巻空港の実績にオンしてカウントすべきではないか、そのことを運輸省に働きかけてはどうかというお話である。私も気持ちとすれば全くそういう感じなのであるけれども、ただ、空港整備となると将来需要を推計する場合に、運輸省の全国一律の統一とれた基準として、各空港を実際に利用した者、それだけを見るということであるので、たとえ県民であっても他の空港を利用した場合には、これを含めることはできないという実情にあることを御理解いただきたいと思う。

〇千葉(伝)委員 県民クラブの千葉伝である。県民クラブを代表し、平成6年度の決算に関し総括的に質問を行うが、本機会を与えていただいた同僚県民クラブの諸氏に心から感謝を申し上げる。
 また、質問に際しては、既に一般質問あるいは先輩各委員から広範にわたる質疑があり、重複する点もあると思うが、よろしくお願いする。
 まず、東北新幹線盛岡以北の問題についてお伺いする。
 東北新幹線盛岡以北については、昨年末の平成7年度政府予算編成の際に活発な議論が交わされ、その結果、政府・与党の申し合わせによって、盛岡から八戸までの全区間がフル規格で整備されることとなり、私ども県北地域住民の悲願がようやく実現することになったところである。私は、東北新幹線は国土を貫く軸として、また、21世紀における東北地方の振興、発展を図る上で欠かすことのできない高速交通基盤であると考えておる。こうした重要な役割を担っていくべき東北新幹線が、昨年末の申し合わせにより、少なくとも県内の全区間については、新幹線としての本来の機能を完全に発揮することができるフル規格で整備されることになったことは大変喜ばしい限りであり、県御当局を初めとする関係者のこれまでの粘り強い御努力に対して敬意を表するところである。しかしながら、この新幹線が、八戸以北についてはいまだに白紙の状態にあることは、本県のみならず、北東北、さらには東北、北海道地方の一体的な発展を望む立場からは、極めて遺憾な事態であると言わざるを得ない。そこで、お伺いするが、県では、東北新幹線盛岡以北の八戸までの早期完成と、八戸以北のフル規格による早期着工を実現するため、今年度の財政措置の状況と今後どのような取り組みを進めていくお考えなのであろうか、お聞かせ願う。 あわせて、並行在来線についても、どのように取り組むお考えなのか、お伺いする。

〇小野寺企画調整部長 まず、東北新幹線盛岡以北についてであるが、これについてはいわゆるミニ、フル、ミニということで平成3年に着工して、そのとき以来関係者が一丸となって本来の新幹線としての機能を果たしてもらうために、全線フル規格でやっていただきたいということを要望してまいった経緯があるが、ただいまお話があったように昨年末の連立与党申し合わせ及び関係大臣の申し合わせによって、盛岡、沼宮内、そして八戸間が全線フル規格で行うということに決定されたわけである。そして、目下、岩手トンネルの工事あるいは用地買収などが進められているところである。
 お尋ねのあったこれらの予算措置の関係であるが、国の第2次補正予算に対応して、今議会に提案しておる補正予算分も含めて全体で10億3、000万円の財政措置を予定しているところである。今後においても、来年度以降北陸新幹線の軽井沢-長野間の工事がピークを過ぎるということになるので、政府予算要望に際しても東北新幹線への重点的な配分、これを強力に要請して早期完成を図るべく努めてまいりたい。関係市町村ともどもに努めていきたいと、このように考えておる。
 そしてまた、八戸以北については、お話があったように、東北、北海道が一体的な発展を遂げ地域間の交流が活発化するというその観点からも、来年度予定されておる新しい基本スキームにおいて、1つは八戸-青森間のフル規格による本格着工、それから2つ目には北海道新幹線の着工決定、この2つが明記されるように、関係道県と連携しながら今後とも国に働きかけていきたいと、このように考えておる。
 それから、並行在来線の問題についてであるが、ただいま申し上げた昨年12月の申し合わせに従って、県としても盛岡-沼宮内間についても、ちょうど平成3年の沼宮内-八戸間と同様に関係市町村長の方々と3回にわたりいろいろ協議し意見交換を経た上で、結論としてやむを得ない選択としてJRからの経営分離に同意したところである。県としては、並行在来線、これが沿線地域住民の方に日常生活に果たしている重要な役割、これがあることを十分に承知しておるので、その経営分離によって利便性が損なわれることが決してないように万全を期してまいりたいと、このように考えておる。
 こういう観点から、政府予算要望に際しても、あるいは関係道県による中央陳情においても建設促進と、それからその在来線、つまり並行在来線が経営分離した後の支援措置について種々要望を重ねているところであって、今後とも強力に要請してまいりたい、このように考えておる。

〇千葉(伝)委員 この新幹線あるいは並行在来線問題等も県政の重要課題という認識のもと、今御答弁いただいたとおり、国への働きかけもこれからよろしくお願いしたいと思う。
 次に、道路整備事業についてお伺いする。
 本県においては、東北縦貫自動車道あるいは東北新幹線など高速交通機関の開通により、県中央部にあっては工業団地の整備が進み、企業の進出により工業出荷額が大幅に増大し、本県産業経済発展の大きな原動力となったところである。県は、高速交通の整備効果を県内各地に広く波及させるため、沿岸部の主要都市から県都盛岡まで、およそ2時間で結ぶ構想を打ち出し、これを実現させるため昭和55年に県単高速交通関連道路整備事業を創設し、平成2年度まで約11年にわたり整備を進め成果を上げたところである。そしてまた、県土の均衡ある発展を目指し、隣接する広域生活圏の中心都市間をおおむね100分で結ぶ交流ネットワーク道路整備事業を創設するなど、道路整備に熱心に取り組んでおり、広大な県土の有効活用の上からも、その姿勢は評価されるべきものと思う。
 しかしながら、沿岸部及び北上山地沿いの地域は、御承知のとおり、高速交通網の空白地帯であり、三陸縦貫自動車道が一部整備が進められているとはいえ、内陸中央部に比べ自然条件、社会条件等の厳しい条件を抱えているため、地域の産業経済の発展が立ちおくれている現状にある。
 このことから、私は、今後本県においては、県内各都市において企業の誘致を初め、地場産業の高度育成を図りながら、農林水産業の振興拡大あるいは各種リゾート構想による観光拠点としてのポテンシャルの向上や、県北、沿岸各都市の都市機能の整備拡充を図ることが大切であり、それにはまずもって道路の整備が最も必要不可欠な要素であると考えておる。特にも、県が道路整備の最重点事業の1つとして進めておる交流ネットワーク道路整備事業に大いに期待しているところである。そこで、お伺いしたいのは、これまでの実施状況及び今後の取り組みについてお考えをお示し願う。

〇吉永副知事 交流ネットワーク道路整備事業のまず実施状況についてであるが、この事業は、生活圏相互を結ぶ道路など、県内主要幹線道路の中から重点的に整備すべき13ルート22路線を選定し、その中で冬季交通の隘路となっている峠道などを中心に、全体計画期間を平成3年から12年までの10カ年と想定し整備を進めているものである。
 これまでの実施状況については、今年度が前期5カ年計画の最終年度に当たっておって、この5カ年間に県単、国庫補助合わせて515億円を投入する計画であったが、既に600億円を上回る投資を予定しているところである。事業を着手した工区は51工区に及んでおって、このうち平成6年度までに国道107号の湯田町川尻、国道281号の山形村川井バイパス、国道395号の久慈市角柄など16工区の整備が完了し、さらに、今年度は10月に国道395号の遠野市小峠が開通したのに加え、国道340号の川井村堂道、県道大槌川井線大槌町戸沢、県道花巻衣川線北上市瀬畑の3工区が完了する予定となっているところである。この結果、委員御指摘のとおり、広域生活圏相互の時間距離の短縮を初め、峠道の冬季交通の安全の確保が図られるなど、着実な成果を得ているところである。
 今後の取り組みについては、残っている区間、現在整備を進めている工区の早期完成を図るとともに、震災対策やゆとり、潤いなど新しいニーズにも対応しつつ、県土の均衡ある発展のためにさらに積極的に取り組んでまいる所存である。

〇千葉(伝)委員 ありがたい。今後ともよろしくお願いする。
 次に、道路の関係というか、交通安全対策についてであるが、経済活動の活発化や自動車保有台数の増加等に伴い、交通情勢は厳しさを増しており、我が国の交通事故による死者は、昭和63年以降7年連続して1万人を超えておる。本県においても、平成2年以降、交通事故死者は毎年140人を超え、さらに、先月は昭和50年8月の25人以来、1カ月間に24人が死亡するなど、憂慮すべき事態に至ったことで交通非常事態宣言が発せられており、県議会においては、この2月に、交通死亡事故の防止についての決意を広く示すため決議を行っておる。私は、交通事故の防止のためには、特別な特効薬というものはなくて、各種の交通安全対策を地道に積み重ねていくことが必要であると考えるが、その場合、できるだけ多くの県民の参加を得ながら対策を進めることが重要と考えるものである。そこで、まず県は交通安全対策にどのように取り組んでいるのかお伺いする。
 また、県が今年度、交通死亡事故の防止等を目的に実施したシートベルト日本一作戦には、多くの県民の参加を期待し得るユニークな事業として注目していたところであるが、この事業の成果はどのようなものであったのか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 県の交通安全対策の関係であるけれども、まず交通安全思想の高揚を図るために、県民総参加による交通安全運動として、正しい交通ルールを守る県民運動を推進しているところである。また、春・秋の全国交通安全運動など、年間5回の交通安全運動を実施しておるし、交通安全県民大会の開催あるいは市町村の交通安全コンクールの実施など、さまざまな啓発活動を行っておるところである。また、参加実践型の高齢者交通安全教育の推進、あるいは夜光反射材の普及促進、テレビ、ラジオ等による広報の実施など、関係機関、団体との連携を図りながら、交通安全対策に努めているところである。
 それから、シートベルト日本一作戦の関係であるけれども、この作戦は予想以上の反響を呼んだものである。県内各地で関係機関、団体などの多くの県民の方々の参加によって活発な活動が展開された。その結果、シートベルトの着用率は、運転席で9・0%、助手席で14・8%それぞれ向上したところである。また、日本一作戦を実施した8月から10月まで、事故件数、死者数、負傷者数いずれも、それ以前の7カ月より発生のペースをダウンさせることができたものである。さらに、ことし9月の日本自動車連盟の着用率調査では、本県は全都道府県中、昨年10位から3位に進出したところである。以上から、シートベルト日本一作戦は大きな成果を上げたものと考えておる。

〇千葉(伝)委員 大切な人命を守るという意味で、以後も継続して実施させていただくようにお願い申し上げる。
 関連して、交通安全対策の観点から交通事故に係る救急自動車の出場件数というか、についてお伺いする。
 交通事故によるここ数年の全国及び本県の救急出場件数の傾向はどのようになっているのか。
 また、本県における平成6年度の救急出場件数のうち、交通事故に係る出場件数と、その割合はどの程度になっているかお示し願う。

〇上田総務部長 交通事故と救急自動車の出場の状況であるが、全国の交通事故による救急出場件数については、近年の傾向は、平成3年においては全国で64万5、000件あったが、平成6年には62万7、000件となっておって、ここ3年の傾向としては減少傾向にある。
 また、本県の状況についても、平成3年に4、972件であったものが平成6年には4、593件であって、全国と同様に減少傾向にある。この平成6年の救急出場件数のうち交通事故に係る出場件数であるが、4、593件、これは先ほど申し上げたけれども、総出場件数に占める割合で申すと17・8%、当該年の全体の出場件数は2万5、814件であるので、その17・8%となるところである。

〇千葉(伝)委員 次に、市町村に対する県の財政指導等についてお伺いする。
 今日の財政は、国、地方とも膨大な借金を抱え、一方税収等は伸びないという大変厳しい財政状況にあると認識しておる。このような状況の中で住民の負託にこたえるべく、県内市町村も着実な事業展開を図っておるが、極めて厳しい財政運営を強いられているのが実態であると伺っておる。県と市町村はいわば車の両輪であり、県勢の発展に果たす市町村の役割は極めて大きく、このような厳しい財政状況においては、市町村の自助努力が求められることはもとよりであるが、財政運営の健全化や事業計画に対する指導、支援など県の果たすべき役割が大なるものと考える。そこでお伺いするが、県は市町村に対しどのような指導、支援を行っているのか、さきに公表された平成6年度市町村決算の特徴とあわせてお聞かせ願う。

〇上田総務部長 市町村財政に対する県の指導ということであるが、近年、国、地方ともに大変厳しい財政環境が続いておって、例えばその中で平成6年度の岩手県の市町村普通会計決算をかいつまんで御紹介申し上げると、決算規模で申し上げると、歳入歳出とも平成5年度、前年度とほぼ同額となっておる。その中で歳入のうち、特にも地方税がマイナスの2・2%、地方交付税が2・7%、いずれも最近の10年間では初めて減少という結果になっておる。また、財政の弾力性を示す経常収支比率が76・8%、それから公債費比率が13・5%で、いずれも前年度よりも高い数値になっておる。全体として財政が窮屈になっているというのが実態であろうと存ずる。
 県としては、市町村に対しては、こういった厳しい状況を十分に踏まえて、それぞれ行政改革大綱の策定に取り組み、事務事業の見直しあるいは定数の適正化など、行政の簡素、合理化に努めるように、また、あわせて、中長期的展望に立って財源の確保に努めるとともに、施策の優先順位について厳しい選択を行い、財源の効果的、重点的な配分を図り、財政を健全化するように指導しているところである。
 また、一方で各種優遇措置のある地方債等の導入を進めるとともに、先般、今年度から市町村の要望を踏まえて、県の自治振興基金の貸付条件とか要件、こういったものを改正をしておるが、こういった措置を図りながら、全体としては厳しい財政環境にあるけれども、社会資本のさらなる充実と、また国の経済対策にも対応した市町村の事業展開を積極的に支援していくこととしておる。今後とも市町村の事情を十分に見きわめながら、適切な指導、支援を行ってまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 ことしについては国あるいは県とも大型の補正が組まれているといった観点から、今後とも市町村の指導についてはよろしくお願いしたい。
 次に、農業分野における技術開発の今後の取り組みについてお伺いする。さきの久保田委員と重複しないような観点でお聞きしたいと思う。
 先般の新聞報道等によると、財団法人岩手生物工学研究センターでは、本県のオリジナル水稲品種かけはしやササニシキにいもち病抵抗性遺伝子を導入することに成功し、その抵抗性を現在調査しているとのことであるが、こうした成果が一日も早く第2、第3の本県オリジナル品種の開発につながるよう願ってやまないものである。現在、県では平成9年の開所を目指して、仮称農業研究センターの整備を鋭意進められておるが、この新たな研究センターが生物工学研究センターに隣接して完成した暁には、一大研究機関開発拠点となるものであり、今からその完成が待たれるところである。この研究開発拠点ができるだけ早い時期に農業者が求める新品種や技術を開発するためには、これらの研究機関の相互の連携が大変重要であると思う。そこでお伺いするが、新たな研究体制になってから、特にも技術革新が期待されるバイオテクノロジー研究をこの2つの研究機関がどのように役割分担し、また、相互の連携をとろうとしているのかお伺いする。

〇吉永副知事 生物工学研究センターは、委員御指摘のとおり、細胞に遺伝子を導入する技術や異なった細胞を融合する技術、あるいはこれらの技術を採用した新しい品種の作出や革新的な栽培管理のための基本技術を開発するという、基礎的な研究を分担しているわけである。この生物工学研究センターで開発された基礎的研究の成果を、現在進めておる仮称農業研究センターで受けて、その成果を応用しながら、実用的な品種の育成や栽培管理技術の確立といった応用化研究を新しい研究センターの方で分担というふうに考えておる。
 このような研究分担のもとで、生物工学研究センターは既に平成5年から研究を開始しておるが、この間、先ほど例に挙げておられた遺伝子の導入によるいもち病抵抗性稲の作出、あるいはリンドウの細胞から苗を大量に増殖する技術、あるいはリンドウのウイルス病を生物工学的手法を利用して簡易に判定する技術、シイタケのひだが褐変する現象の解明といったもろもろの研究が現在着実に進められておる。この中には遺伝子工学等の分野もあるので、こういった研究についてはこれを実用化していくに当たっては、その技術の安全性や特性の確認といったようなことが必要である。こういったものを経てそれぞれの専門研究機関で実用化に向けた研究に移っていくということになるかと思う。先ほど申したように実用化に向けた研究の方を担当する方としては、この農業研究センターにバイオテクノロジーの応用化研究を専門に行う研究部門を設けることとしておって、2つの研究機関による共同研究や技術研修、情報交換が相互連携のもとで密接に行われるよう体制の整備を現在検討しているところである。

〇千葉(伝)委員 新品種の開発等鋭意努力されて、また、普及段階に入っている新種もあり、県民の1人として敬意を表する次第である。
 本県のオリジナル品種であるかけはしについて切なる要望として申し上げたいと思う。かけはしは、県の奨励品種としていわば鳴り物入りで作付されたわけであるが、本年度、北上川上流、県北、遠野地方において、天候等の影響もあったと思われるが、いもち病が発生し、甚だしいところでは通常の3分の1以下という、収穫ができない農家もあり、かけはしに対する不信感が聞かれ、来年度の作付がかなり減少するのではと心配されておる。そこで、私は、県が苦労して開発した優良品種であるということと、適地には今後も奨励すべきと思う立場であるが、今後、今年度のかけはしの現状分析あるいはこれからの対策、そしてかけはしの特性を理解、認識していただく指導を早期に推進願いたいということである。それから、来年度の作付奨励のために、種子、種苗あるいはいもち病防除費の助成措置をぜひ講じられるようにお願いしたい。
 以上の2点を要望する次第である。
 次に、米の生産調整についてお伺いする。
 この11月から、これまで50年余り続いた食糧管理法にかわって、より規制を緩和して販売業者の参入を容易にすることや、より市場原理を導入した価格形成とすることを内容として、また、生産調整を法的に位置づけた、いわゆる新食糧法が実施された。これを私なりに考えてみると、販売業者の新規参入が容易になったことは、販売店間の競争関係が強くなり、消費者の米を選ぶ幅が広がるというのと同時に、消費者あるいは販売業者から米の生産地が選択されることにもなり、産地間の競争が確実に厳しくなるものと見込まれる。殊に、市場原理による価格形成は、需要と供給との関係が直ちに価格にあらわれ、供給過剰になれば価格の大幅低下が懸念されるところである。しかし、国の役割を見ると、国は政府米を買い入れ、備蓄に仕向けることとなっておる。しかも、その数量は一定量に限られ、また、供給過剰に際しては調整保管がなされるが、その調整保管は民間によってなされるものである。つまり、国の役割は新食糧法下では大きく後退したと見られるわけである。そこで、問題は価格形成の上での入り口となる生産調整である。これまで国の強い指導のもとに進められてきた需給調整であるが、新食糧法下での新たな生産調整では、強制感を伴う転作未達成のペナルティーが廃止され、生産者、農業団体の取り組みが基本となる一方、平成8年度以降の転作目標面積は、在庫過剰のためかなり大幅増加という非常に厳しい状況にある。こうした中にあっては、価格の安定を図ることを第一義的にとらえ、かつ生産者の納得のいく方策での取り組みが必要と考えるものである。そこで県は、新たな生産調整について、どのように認識されておられるのかお伺いする。

〇吉永副知事 生産調整についてお答えする前に、委員御指摘のかけはしについての御要望であるが、かけはしに対する熱い思いは私どもも全く同じであって、かけはしのいもち病の防除については、私どもは現在の技術をもってすれば十分に克服できると確信しておって、来年の作付に関してはあらゆる技術を結集して防除、指導の徹底ということを考えていきたいと考えておる。
 続いて、生産調整についてであるが、委員御指摘のとおり、新しい新食糧法のもとにおいては、生産調整というのは米の需給の均衡と価格の安定を図る重要な手段と位置づけられたものである。国は、この生産調整を推進するために平成8年度から3年間を実施期間として、生産調整の実効性の確保、生産者、地域の自主性の尊重等を重点とする新生産調整推進対策を実施するとなったところである。県としては、米は潜在的に依然として供給過剰の状態にあることから、米価の下落を抑制することにより農家経営の安定を図っていくことが肝要と考えておる。そのためには生産調整を着実に実施していくことが重要であると認識しておる。生産調整の実施に当たっては、生産者の方々の経営志向に応じた営農が展開できるよう、地域での話し合いをもとに、相互に調整を図っていくことが重要であることから、新たに創設された共補償等を積極的に活用し、生産調整が円滑に実施されるよう指導してまいりたいと思う。一番重要なことは、生産者の方々が納得いく方法でこれを実施するということだと思うので、そういう点を第1番に考えながら実施してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 そのような方向でぜひよろしくお願いしたいと思う。
 次に、農産物の加工や販路の拡大についてお伺いする。
 本県は、我が国の総合食糧供給基地の建設を目指し、各種の生産取り組みを進めるとともに、農協を中心とした系統販売と市場開拓にも努めてきたところであり、その結果、西根町のホウレンソウあるいは江刺のリンゴ、前沢牛、全国に誇れる銘柄産地も形成されてきておる。しかし、昨今の経済環境の急変は、多様な輸入農産物の増大をもたらし、国内農産物の市場を狭め、農業の体力を弱めてきている一方、産地に住む我々の消費状況や食生活は、輸入農産物や他県産移入農産物、輸入食品、大手メーカーの食品が多々あふれている反面、地域で生産された農産物は特定の品目に限られ、伝統的な地域加工食品などは影が薄くなってきておる。
 一方、このような変化の中で、生産者が近隣の消費者を相手にした産直販売や遠方の顧客を相手にした宅配販売、それから組織化された有機農産物の生産販売グループなど多様な販売取り組みが進められてきておるし、あるいは伝承されてきている地域農産物や食習慣を見直し、地域で消費するものは地域内で生産加工し供給していくと、そういった活動とか、あるいは異業種交流等による新規加工食品の開発、外食産業等に向けた食材提供などの取り組みも見られてきておる。このような多様な加工や販路拡大の取り組みを大いに支援していくことが、ひいては農業の活性化を促していくと考えておる。そういった意味でこれから県のこの部分についてのお考え、あるいは対策等についてお伺いする。

〇吉永副知事 農産物の加工は、大量の流通に乗りがたい地域特産的な農産物の付加価値の向上による農家の所得の増大や、中山間地域の農業振興といったような面にも重要である。また高齢者の生きがい対策や農村と都市との交流促進といった問題にもつながり、地域全体の活性化を図る上で非常に有効な手段と考えておる。県としても、これまで農産物加工指導センターや指導アドバイザーといった者を設置して、技術研修や新商品開発、販路拡大といったものの支援を行ってまいった。
 その結果、近年、それぞれの地域で継承されてきた伝統的な食材の掘り起こし、あるいは都会の物まねでない地域独特の農産物加工といった取り組みが盛り上がってきておる。このような活動は、主に農村女性グループや農業協同組合、第3セクターといったもので取り組まれておる。例として委員、西根町のホウレンソウあるいは前沢牛を挙げておられたが、ほかに岩手町のブルーベリーワインとか、あるいは同じ西根町の杜仲用茶とか、いろんなものがあって、その数は合わせて105事業体、総販売額は36億円に及んでおる。しかし、農業者サイドが中心となって行う農産加工の取り組みは、生産規模が小さいことから、競争力に乏しく販路の拡大が大きな課題となってきておる。一方、最近では、地域内の流通業者や外食業者などと一緒にカット野菜などの食材の提供、あるいは地ビールの製造、これは一関で取り組む動き等もあらわれてきておる。こういった動きは販路拡大の面でも成果が期待されているところである。
 県としては、今後とも地域に賦存する資源を活用した新製品開発の支援、地域内の食品製造業者、外食業者など異業種との連携、これは委員の御指摘のとおりである。そういったものとの連携を促進して、そのための施設整備の支援、そういったことで農産物の加工と販路の拡大を促進してまいる所存である。

〇千葉(伝)委員 ただいまの答弁で岩手町のブルーベリーのお話が出たけれども、私の近くに罐詰工場等があるんであるが、そこでお聞きした分ではかなり輸入物に押されてきて大変厳しいというようなことを聞いておるので、そういった意味において、今御答弁いただいたやり方、これからの販路対策、そういったことを十分にお願いしたいと思う。
 次の問題であるが、中山間地域問題をお聞きしたいということで、さきの分で藤原委員あるいは山内委員等の質疑もあったが、特にお聞きしたいという観点で質問したいと思う。
 私なりの考え方を若干述べさせていただきたいわけであるが、この中山間地域問題の根幹というのは、これまでの農政が経済一辺倒の市場の論理を受け入れてきたということによって、従来から地域住民の生活を支えてきたさまざまな地域資源が過少評価され、あるいは利用されなくなってきたところにあると考える。その結果、地域農業への影響にとどまらず、人口の流出や地域活力の低下につながっていることは、県内の例を見るまでもなく大きな問題となっておる。県は、これら地域の活性化対策を早急に打ち出す必要があると考えるが、この問題は幅が広く、奥が深いという意味において、これが決め手という言い方もできないわけであるが、ただ、中山間地域のいろいろな資源を生かし、少しでも農家の方々の所得に結びつくようになり、また、非農家も含めてさまざまな取り組みが行われるようになれば、地域はもっと生き生きしてくるのではないであろうか。そこで、県もこうした観点から中山間地域の活性化を支援していくことが極めて大事であると思うが、御当局のお考えをお伺いする。

〇吉永副知事 中山間地域の活性化を図るための委員の御提言は、まことに示唆に富んで非常に同感する非常にいいお考えだと思う。中山間地域に賦存する豊富な農林資源、これは先ほども私お話の中でしたんであるけれども、中山間地域というものはむしろいろいろとよそにない資源が隠れていると思うけれども、それを生かしながら住民の内発的な盛り上がりによって、かつ非農家を含めたいろんな取り組みによって地域づくり活動を積み重ねていくということによって、その中山間地域を定住地域としても育てていくと、そういったふうなことが非常に重要なことではないかと考えておる。こうした活動は、たとえ小さなものであっても、自分たちの地域のよさを見出す契機となるものであって、また、大きな取り組みにも発展する素地をなすものである。こうしたものには積極的に支援してまいらなければならないというのが私どもの考えである。このため、地域住民の独創的なアイデアを生かした活動を支援する中山間地域活性化推進基金、これの造成というのを平成6年度から3カ年計画で進めているところである。さらに、さきの6月補正予算においては、集団や仲間グループが創意工夫を凝らしながら実践しておる活動を表彰するいきいき中山間賞というものを新たに創設したところである。
 また、軽量野菜や花卉の栽培、産直への取り組み、あるいはさらに市民農園の設置、都市住民との交流、いろいろな地域ならではの活動、そういったものを支援する中山間おもしろ農業展開事業といったようなものも実施することとしたところである。今後においてもいろいろと工夫しながらこうした活動の一層の促進を図ってまいる所存である。

〇千葉(伝)委員 かなり厳しい点もあろうが、こういった中山間地域というところに重点的な施策を展開するといったことで生きた行政につながると考えるので、よろしくお願いする。
 次に、畜産関係というか、肉用牛経営に対する支援体制についてお伺いする。
 肉用牛は、畜産の基幹作目として重要な役割を果たしており、第3次新いわて農業確立計画においても積極的にその振興を図っていくこととされているが、最近の生産動向を見ると、肉用牛の飼養農家は平成6年2万1、700戸、前年比5・7%減と依然として減少を続けておる。また、飼養頭数についても1戸当たりの飼養頭数は平成6年7・3頭とやや増加しているものの、県全体としては平成5年以降その飼養頭数は減少していると、平成6年で15万8、300頭、前年比2・5%減少するということで厳しさを増してきておる。
 この背景には、牛肉の輸入自由化以降の子牛や枝肉価格の低迷による収益性の低下や、肉用牛の担い手の高齢化などによって、労力的に肉用牛飼養に耐えかねて肉用牛の飼養を中止、あるいは減頭ということに追い込まれていることが大きく影響しているものと考えておる。ついては肉用牛経営の体質強化とゆとりのある肉用牛経営を育成し、生産の安定的拡大を推進するため、生産コストの一層の低減を図るとともに、市場出荷、粗飼料調整等労力的に負担の大きい作業について、担い手の労務管理を軽減するための地域内の支援システムを構築することが必要と考えるが、県のお考えをお聞かせ願う。

〇吉永副知事 肉用牛は本県農業の基幹作目であって、委員御指摘のとおり、県内の肉用牛飼養頭数は子牛価格や枝肉価格の低迷によって減少傾向にある。これに歯どめをかけ、さらなる飼養頭数の拡大を図るなど肉用牛振興に努めていくことが必要だと考えておる。このため県としては、経営体質の強化を図るために、低コスト牛舎の普及などによる生産コストの低減、あるいは優良種雄牛の造成などによる高品質生産の推進にさらに努めていく所存である。
 また、担い手の高齢化等に伴って、市場出荷等の労働負担がネックとなって経営を断念せざるを得ない農家が増加する傾向にある。委員の御提言あった担い手の労務負担を軽減するための地域の支援システムというもの、こういったものの必要性も出てきているわけである。一部地域では、具体的には江刺市と金ヶ崎町のそれぞれの農協で主業型農家の方々等がヘルパーとなって高齢者農家等の農作業の一部を支援するという仕組みをつくられておって、地域の肉用牛の飼養頭数の維持拡大に取り組んでいる事例がある。このような地域ぐるみの取り組みは、主業型農家や高齢者農家等の地域内の労働力を有効に活用し、地域全体としての飼養頭数の維持拡大、畜産収入の確保を図る上で極めて有効な手段だと考えておる。県としても、こういう先進的な地域の畜産支援システムをよく勉強して、そういったものの整備について検討を進めてまいりたいと考えている所存である。

〇千葉(伝)委員 ありがたい。今の御答弁でこれからそういった底辺の支援対策といった意味でいろいろおやりになるということで、ぜひよろしくお願いしたいわけであるが、平成9年度に全国の和牛の共進会というものが予定されておる。そういった意味で全国から岩手の肉用農家を見る機会ということにもなろうから、そういった意味でこれからの対策というのがまた大切じゃないかなと思う。よろしくお願いする。
 次に、特用林産物の現状と振興対策についてお伺いする。
 今日の農山村を取り巻く環境は、担い手の減少あるいは高齢化、中山間地域の活力の低下など、非常に厳しい状況にある。そういった中にあって、森林からの副産物であるキノコ類、あるいは木炭などの特用林産物は、就労機会の少ない農山村地域の貴重な収入源として、また、農林家経営の複合作物として重要な役割を担っており、本県農山村地域の振興に大きく寄与しているところである。特にも、日本一の生産量を誇る木炭や漆、全国第3位の干しシイタケは本県の特産として全国に知れ渡っているところである。しかしながら、ほとんどの特用林産物が、これも外国からの安価な輸入品等によって影響を受け、生産者は大きな危機感を抱いておる。
 このように特用林産物を取り巻く状況は厳しいわけであるが、私は、農山村地域においては、今後とも特用林産物が農林家の経営の安定や地域の振興の上で、重要な役割を果たしていかなければならないと考えているところである。そこで、本県特用林産物の現状はどうなっているのか、また、その振興対策をどのように講じていこうとしているのかお伺いする。

〇吉永副知事 本県特用林産物のまず現状であるが、シイタケ、ナメコ、マツタケ等のキノコ類のほか、木炭、漆、ワサビなど数多くの作物が生産されておって、その生産額はおおむね100億円に及んでおる。その中でも、シイタケは全国第3位、木炭は全国第1位の生産量を誇っており、生産額も先ほどの100億円の約5分の4、80億円を占めておる。このため、今後はシイタケと木炭を主体として振興を図っていきたいと考えているところであるが、委員御指摘のとおり、近年、輸入品が急増しておって需給バランスを崩しているところである。それから、価格が下落し生産者は厳しい経営を強いられている現状である。したがって、まず、輸入品に対抗できるような低コスト化が肝要であると考えておって、シイタケでは、人工ほだ場の整備、自動植菌機の導入、木炭では大量製炭窯等の整備を進めてきたところである。今後とも、これらに関する国庫補助事業、あるいは県単事業を一層活用し、こうした施設の近代化、大型化を促進してまいりたいと思う。
 また、輸入品の問題であるが、輸入品と県産品との間には品質的に大きな差があるということを消費者の皆様にわかっていただき、県産品のよさをわかっていただくということも大事かと思って、この面での宣伝としてシイタケ料理コンクール、あるいは炭の里体験ツアーといったような形の、そういうソフト面での充実をしていきたいと考えておる。今後さらに市町村、関係団体等の連携を緊密にし、こういった面においても努力を重ねてまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 次に、昨年の10月から施行された公文書公開制度についてであるが、制度施行後約1年を経過する間、食糧費に関する事務について全国的にも大きくマスコミに報道がなされ、それに伴い、その端緒となった公文書公開制度も大きく注目を浴びているところである。かかる折、制度施行後約1年の間における公文書の開示請求の動向と、それに対する開示の実施状況はどのようになっているのかお伺いする。特にも、マスコミにおけるさまざまな報道を受け、今年度に入ってからの開示請求に何らかの特徴が見られるのか、その分もあわせてお伺いする。

〇上田総務部長 公文書の開示請求についてであるが、昨年10月の制度スタートから本年の11月末まで1年2カ月間たっておるが、この間に136件の請求があった。これに対する処理の状況は、全部開示が94件、部分開示が36件、全部非開示が3件、その他処理中のものが3件となっておる。また、対象となった公文書の内容については、この期間全体を通じて、例えば准看護婦試験とか保母試験のような県で行った資格試験の得点結果について受験者本人から請求があったものが72件で最も多くなっておるが、そのほかとしては食糧費の関係あるいはゴルフ場、道路等の開発関係のものが多くなっておる。この中で御指摘にあった最近の食糧費等の開示請求の状況であるが、平成6年度には7件であったけれども、平成7年度に入ってからは12件と増加をしておる。

〇千葉(伝)委員 この制度が広く県民に活用され、より一層開かれた県政の推進に寄与することが期待されているところであるが、このような期待が強まる中、今の状況を踏まえて県として今後、この公文書公開制度をどのように運営していくお考えなのか、その基本的な考え方についてお伺いする。

〇上田総務部長 この制度の今後の運営についての考え方であるが、このもととなる条例の趣旨にのっとって、県民の県政への参加を促進するとともに、県政の公正な運営に寄与することを基本として取り組んで、窓口である行政情報センターあるいは振興局の行政情報サブセンターの充実など、より県民にとって利用しやすい制度となるように、その運営に努力をしてまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 より開かれた行政といったことが大事なわけであるので、今後ともよろしくお願いしたいと思う。
 次に、環境保全基金についてお伺いする。
 改めて申すまでもなく、今日の環境問題は、酸性雨やオゾン層の破壊など、地球規模での広がりを持ち、人類の生存基盤にかかわる重要な課題として認識されておる。また、近年、県内においても生活排水による一部中小河川の水質汚濁等のいわゆる都市生活型公害が問題となってきておる。これらの問題は、いずれも我々の日常生活から派生したものであり、だれもが被害者であると同時に、だれもが加害者であるということを考えるわけであるが、県民1人1人が環境と日常活動とのかかわりを十分理解して、みずからが環境に配慮した行動をとっていかなければならないと思う。私は、現在に生きる我々に課せられた最も重要な責務、これについて県民共有の貴重な財産であるこの岩手の豊かな自然、良好な環境を次の世代に引き継ぐことが重要と考えるものである。環境保全基金というものが、個々の地域住民が、みずから学び、みずからが地域に根差した環境保全活動を実践することを支援、強化することを目的に創設され、現在は16億円余の規模で運営されておる。そこで、まず環境保全基金の活用状況がどのようになっているのかお伺いする。
 また、これらの環境保全事業は、基金原資の運用益により事業を実施していることから、昨今の金利低下というものがこの事業への影響が懸念されるわけである。今後、基金事業をどのように展開されるか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 環境保全基金の活用についてであるけれども、平成6年度は9事業を実施して、その決算見込み額は4、000万円余となっているものである。主な事業としては、環境情報センター事業として環境情報の提供あるいは相談事業を実施した。また、環境アドバイザー派遣事業では研修会への講師派遣をしておる。また、快適環境施設整備費補助事業では、北上市の白鳥の里づくり事業等に補助しているものである。また、緑あふれる県土保全事業では、前沢町の月山ふるさと自然景観保全事業等に補助しておる。このほか小中学生によるところの水生生物調査など、環境保全活動や地域の環境保全に関する普及啓発を支援してきたところである。
 今後の基金の事業をどのように展開するのかということであるが、基金の運用益は金利低下のため6年度においては大幅な減少を見たところである。運用益の増加は当面見込めないようなそういう状況下にあるわけであるが、この基金の運用方法については、事業内容の精査等も含めて、その十分な検討を行って、地域に根差した環境保全活動が積極的に行われるよう支援してまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 次に、ふれあいランド岩手の運営についてお伺いする。
 若干時間が押してまいっておるので、簡単にお聞きしたいと思う。この施設は昨年12月に開設されて、間もなく1年を迎えるところである。この間、このふれあいランド岩手の施設には、県外からの視察も数多く訪れ、好評を得ているほか、その利用状況については、当初の予想を上回って順調に推移していると聞いているところである。県としてこれまでの利用状況を踏まえて、今後この施設にどのような役割、機能を果たしていくのかお伺いする。

〇千葉副知事 ふれあいランド岩手は、開設以来本年10月末現在で利用者が15万人を超えたところである。このうち障害者、高齢者の利用は15%を占めておる。したがって、障害のある人とない人との相互交流が促進されたところである。また、人に優しいまちづくりの趣旨に沿った建物であるという観点から、視察者も数多く訪れるなど当初の目的に沿った利用が行われておるところである。この施設は、市町村等が設置する福祉センターのモデルとなる施設でもあるところから、今後もこれまで開催してきたスポーツ教室や文化教室による利用者相互の交流、地域の交流の促進に努めるほか、障害者スポーツ指導員等を養成して、障害者のスポーツ人口の増加を図るとともに、障害者等が気楽に取り組めるレクリエーションやニュースポーツの開拓等を通じて、ノーマライゼーションの意識の一層の浸透を図るための拠点施設として、その内容の充実に努めてまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 もう1つ、最後であるが、財団法人ふるさといわて定住財団についてお伺いする。
 本県においては、若者の県外流出あるいは出生率の低下等によって、地域によっては過疎化が進行し、また、全体として高齢化が進行しておる。県政の活力を維持して新たな発展を図る上で、若者を地元に確保し定住を促進していくことが重要な課題であると認識しておる。県では、地域の雇用環境の整備、改善等を推進することによって、魅力ある地域社会を創設し、特にも県内に不足する技術、技能を持った人材の確保、定住の促進を図るため、さきにふるさといわて定住財団を設立したところであるが、財団の具体的な事業の展開状況についてお伺いする。
 また、昨今の金利の低下による事業団の運営に支障はないのか、あわせてお伺いして、私の質問を終わる。

〇吉永副知事 委員御指摘のとおり、県政の活力維持のためには若者の定住を進めるということが非常に重要である。平成5年に設立されたふるさといわて定住財団は、技術、技能を持つ人材の確保及びそうした若者の定住の促進を図るために、事業主や青年団体に対する研修及び雇用環境整備にかかわる相談事業、そのほかの助成事業を行っておる。
 さらに、大学生に対する求人情報提供事業あるいは県出身者の県内へのUターン、あるいは県非出身者の岩手県への就職促進といったような事業を行っておる。具体的には、県内在住の若者、事業主向けの各種セミナー、卒業予定の大学生等を対象とする就職ガイダンス及び求人説明会を開催し、また、Uターン希望者等を対象にUターンフェアを開催するとともに、各種の情報誌の発行を行っておる。さらに、東京の岩手ビジネスプラザ内に設置しておる岩手県Uターンセンターに対してはパソコンを活用した県内の求人情報を提供しておるし、また、特に県非出身者で県内への就職を希望する者に対しては、県内のいろんな生活環境を紹介するための見学会等を開催しておる。
 この財団は、基金の運用益によって実施する事業と、国から委託を受けて実施する事業がある。このうちの前者は委員御指摘のとおり、昨今の預貯金金利の低下から厳しい状況にはある。現在までのところ効率的な資金運用に努めておるので、御懸念のような財団のサービスが低下したり、あるいは事業の執行に支障といったことはなくて、今の努力を続けていきたいと考えている所存である。

〇須藤委員 無所属クラブの須藤敏昭である。同僚並びに先輩議員の御指導をいただいて、無所属クラブを代表して平成6年度決算について総括的に御質問させていただくので、よろしくお願いする。
 あらかじめ一言触れさせていただくが、いわゆる食糧費問題については、先輩委員からの御質問があったので、私の質問からは省略するが、監査委員意見にもあるように、事務事業の趣旨に沿った適正な執行に努められるよう御要望申し上げておきたいと思う。
 まず、平成6年度予算の附帯意見に対する対応についてお伺いする。
 平成6年度の予算に対して、私どもの諸先輩からなる県議会は、1つに自主財源を確保すること、2つ目に経費の節減合理化に努力すること、3つ目に多様化、高度化する県民の行政需要や社会情勢の変化等に対応した新たな施策を取り組むこと、4番目に活力ある地域社会の形成と県土の均衡ある発展に努力すること、以上4点を意見として付されたところである。さきに御質問をなされた先輩委員の質問内容と一部重複するとは存ずるが、決算審査上重要な意味を持つものと存ずるので、これらに対する主要な措置状況はどのようになっておられるのか、お聞かせ願う。

〇千葉副知事 平成6年度の予算の附帯意見に対する対応であるが、ただいま委員が御指摘になったとおり、4点について附帯意見がつけられているところである。まず、自主財源の確保についてであるけれども、1つは27件に及ぶ使用料、手数料等の見直しを行ったところである。また、法人県民税の税率の特例を設けているところである。それから、財政調整基金の取り崩しによって財源を確保しておる。また、経費の節減の合理化の関係であるけれども、経常経費の5%の削減を行っておる。また、県単独補助金の整理合理化にも努めたところである。
 また、新たな施策の展開の関係であるけれども、県立大学の整備事業やインターハイの関連スポーツ施設整備事業、あるいは生きがい対策事業や高齢者に優しいまちづくりなど長寿社会対策事業、それから地域ソフトウエア供給力開発推進事業などの高度情報化推進事業、国際交流プラザ整備事業や外国青年招致事業などの国際化推進事業のような事業に積極的に取り組んだところである。
 また、活力ある地域社会の形成と県土の均衡ある発展の関係であるけれども、交流ネットワーク道路整備事業あるいは財団法人の三陸地域総合研究センターへの出捐金、財団法人岩手県農業担い手育成基金への出捐金など、県土の均衡ある発展に十分配慮しながら、地域の実情に応じたその特性を生かした生活、産業基盤整備に鋭意努力したところである。

〇須藤委員 次に、自治振興基金の運用についてお伺いする。
 当制度は昭和46年に公共施設の整備あるいは過疎地域等の振興を図るための事業に必要とする資金の融資を目的として創設され、今日まで市町村の地域づくりや活性化等の財源として、重要な役割を担ってきていると承知しておる。また、当制度は県の単独の貸付資金という性格上、市町村の要望等に応じて機動的かつ弾力的な運用を図ることの可能な資金であるわけであるから、現在のような厳しい財政状況のもとにおいては、市町村の当該資金に対する期待も大きいものがあると考える。その意味においては、先般の6月定例県議会における自治振興基金制度の改正は、まことに時宜を得たものであると認識しておる。ついては、この制度改正についてその考え方や改正内容について具体的にお伺いする。

〇上田総務部長 自治振興基金の運用についてであるが、制度創設の昭和46年度から平成6年度まで、実績として391億円余りに上っておる。この間、市町村の公共施設の整備に大きく寄与していると考えておる。ただ、最近の金利の低くなっているという情勢あるいは市町村の財政状況を踏まえると、この際、制度を見直した方がいいのではないかと、こういう検討をして平成7年度においては、概要、次のような見直しをしておる。1つは、貸付枠であるけれども、いわゆる一般分として従来20億円とっておったが、これに加えて個性豊かな地域づくり事業枠というのを設けておった。従来3億円であったものをこれを5億円としておる。それから、インターハイ関連施設整備分の貸し付けを新設しておって、今年度12億円の大枠をとっておる。それから、貸付条件であるが、政府資金の貸付利率の動向等を踏まえて、特に過疎地域、準過疎地域あるいは辺地、こういったハンディキャップの大きい地域に対する貸付利率の引き下げを図ることとしておって、昨年まで3・5%であったけれども、現在は2%まで引き下げる。こういう形にしておる。
 さらに、財政力の弱い一定の市町村に対しても、過疎地域に準ずる措置を講ずることができるようにしておるところである。それから、インターハイ関連施設については、これは短期間に重点的に財政負担が生じるという点を考慮しておるけれども、過疎地域と同じような条件を設定することとしておるところである。さまざま工夫をしておるが、今後ともこういった自治振興基金の運用に適切を期しながら、市町村の行財政事情あるいはそれぞれの特別な財政需要にも十分配慮しながら努力してまいりたいと考えておる。

〇須藤委員 了承した。なお、当制度の有効な運用を図るため市町村に対し積極的な活用を進めるとともに、今後とも適時適切な見直しを図るなど、制度の一層の充実に御努力をいただくよう御期待する。
 次に、国際交流、国際協力の進展と地域づくりについてお伺いする。
 御案内のとおり、本県に在住する外国の方々が年々増加するとともに、さまざまな形での国際交流活動も活発になってきておる。県におかれては、進展する国際化に対応し、本年1月に県立国際交流プラザを開設するなど、国際交流の推進に意欲的に取り組まれているところであり、高く評価するものである。そこで、総務部長にお伺いするが、国際交流というものを地域の活性化や地域づくりにどのように結びつけてきたのか、また結びつけていこうとしているのか、地域レベルでの国際協力というものをどのようにお進めしようとしているのか、基本的な考え方と具体的な推進方策についてお尋ねする。

〇上田総務部長 国際交流については、異なる歴史、文化を持つ地域あるいはそういう人々との交流によって、国際理解の推進、あるいは国際的視野を持つ人材の育成、さらには、翻ってみずからの地域のよさを再認識できるなど、地域社会の活性化あるいは地域づくりの原動力につながっていくものであると考えておる。また、近年、国際社会の中で日本の役割が大きくなってきたことに伴って、地方における国際協力ということも大変重要性を高めていると考えておるが、地方における国際協力は、さまざまな交流活動を踏まえながら、それぞれの地域の持つ人材あるいは技術、ノウハウ、こういったものを特色を生かして進めるべきものだと考えておる。
 現在、県内においては、17の市町村が海外10カ国の22の町と姉妹提携を結び、また、100を超える国際交流団体が多彩な活動を展開しておるが、県としてもこのような活動を支援する中核的な拠点として、県立国際交流プラザを整備したところであるけれども、また、国際協力の観点から開発途上国からの技術研修員の受け入れなど、各般の施策も講じてきたところであるが、今後においては、市町村、関係団体との連携を緊密にしながら、青少年の国際理解の推進、それから民間の国際協力活動への支援など、地域に根差した国際交流、国際協力の一層の推進を促してまいりたいと存じておる。

〇須藤委員 次に、科学技術の振興に係る取り組み状況についてお尋ねする。
 我が国が経済大国となり繁栄を成し遂げたのは、国民が豊かさを求めそれぞれの分野で懸命の努力を積み重ねてきた結果であるわけであるが、その豊かな生活をもたらした原動力として大きな役割を担ってきたのが科学技術であったと思うものである。しかしながら、世界的な問題ではあるが、高度経済成長の代償として、地球環境問題を初めとする世界規模の諸問題や、迫り来る高齢化社会への対応などの課題を抱えているところである。私はこれらの諸問題解決のためにも、科学技術の英知の結集が1つの重要な柱であると考えておる。
 国においては、今国会において議員立法により科学技術基本法の成立を見たところであるが、この基本法は、我が国が21世紀に向けて科学技術創造立国を目指し、科学技術振興を積極的に推進していく上でのバックボーンとなるものと位置づけられておる。このような状況の中で、本県は全国に先駆けて科学技術の振興を担当する専担組織を設置し、地域における科学技術の振興に取り組まれてきたことは、その積極姿勢を評価するものである。当該組織を設置してはや3年になろうとしておるが、県はこれまでどのような観点から科学技術の振興に取り組んでこられたのか、どのような成果があったのかお伺いする。
 また、この科学技術基本法の制定を期に、これまでにも増して積極的な取り組みを進めていくべきものと思うが、いかがであろうかお尋ねする。

〇千葉副知事 県勢を発展させる上で科学技術の振興は極めて重要な役割を果たすものと考えているところである。したがって、本県では他県に先駆けて平成5年に科学技術振興室を設置したところである。また、職員を筑波の研究学園都市に派遣するなどして情報収集にも努めておる。また、試験研究機関の立地促進など、総合的な視点に立って科学技術の振興に取り組んできたところである。
 具体的には、高度技術に立脚した地域産業の振興を目指して、試験研究機関の再編整備を進めるとともに、産学官共同研究の場として岩手県南技術研究センターを設置したほか、岩手大学地域共同研究センターの整備促進を図ったところでもある。また、本県における研究機関の集積を高めるため、平成6年7月に世界的な研究機関である超電導工学研究所の本県への立地を見たところでもある。さらに、東北インテリジェント・コスモス構想や岩手県宇宙航空産業基地構想についても、産学官の連携体制を強化してその推進に努めているところである。また、高エネルギー物理学の国際ワークショップ、高温超伝導国際学術シンポジウムなどを開催して、内外の研究者に対して、研究交流や学術研究の場として本県をアピールしてきたところである。また、さまざまな機会をとらえて著名な科学者や研究者を招いて講演会を開催するなど、青少年はもとより、広く県民に対して科学技術についての普及啓発を行ってきたところである。
 去る11月15日に公布された科学技術基本法は、御指摘のとおり、科学技術立国を目指す我が国の科学技術政策に基本的な枠組みを与えるものである。県としては、今後この法律の実施の動向や科学技術基本計画の内容等に十分留意しながら、国の施策と相まって、本県科学技術振興が一層図られるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。 

〇須藤委員 了解した。
 次に、青年の船事業についてお尋ねする。
 県においては、本県の青年が自己啓発や友情と連帯感の醸成を図り、訪問地の歴史、産業の視察、現地青年との交歓を行うなどの国際的視野と感覚を育て、あわせて、下船後地域のリーダーとして活動するための研修の場として、青年の船事業を実施してきたところである。県御当局としてこの15回にわたる事業の成果をどのように評価しておられるのか、お伺いする。
 また、この事業に参加した青年たちは、その生活する地域でどのような活動、活躍をなされているか、その状況についてあわせてお伺いする。

〇小野寺企画調整部長 青年の船事業については、昭和55年度から平成6年度まで都合15回開催させていただいた。これについては県下各地域から5、022人の青年が参加していただいた。この参加した青年たちは、今お話があったように、船における日常の生活、つまり俗に言う同じかまの飯を食べると申そうか、同舟共済の生活を通じて、各種いろんな研修をしたり、討論をしたり、まるで違う職域あるいは地域、違う経験を持った者がそこにこぞっていろいろの議論を交わすことによって、お互いが自己を育て信頼あるいはその求め合い、そういったことで主体性あるいは協調性を身につけたということであるが、さらにまた、沖繩の寄港地においては戦争の悲惨さに触れたり、あるいは平和のとうとさを学び、さらにはまた、フィリピン共和国、さらには香港、そういった外国に行ってその地域の歴史、風土、文化、そういったものに触れ、さらには、そこで生活する青年たちの交歓交流を含めて非常によく勉強したと考えておる。そういうことでその青年たちが国際的な感覚を十分に養ったし、そして戻ってきてまたいろいろな地域で活躍しているのを見ると、その成果があったものと考えておる。
 その下船後における活躍と申そうか、活動についてちょっと申し上げると、県下59市町村全部において青年の船の会が結成されておる。そして、そのほとんど多くの青年の船の会を中心としていろいろな地域の環境整備、あるいは施設訪問等のボランティア、さらには市町村行事への協賛、参画あるいは自主活動、そういったことも展開しておるし、具体的に申し上げると、例えば二戸地区におけるカシオペアアカデミーへの積極的な参加であるとか、住田町におけるすたーうぉっちんぐ種山ケ原、これは全国的に有名になっておるが、そういったものを開催してみたり、さらには、最近の例では盛岡市において盛岡市の青年の船の会が呼びかけて、ほとんど全県的に呼応したわけであるが、阪神・淡路大震災に対する救済活動、そういったことも行っているし、さらにまた、花泉町におけるコンサートの開催など、いろんな事業を開催しておる。また、個人的にも戻ってきて市町村における教育委員であるとか、あるいは青少年指導員、さらには体育指導員、そういったものに参画したり、あるいは地域のリーダーとしていろいろな活動の根源になっているということで、非常にそれなりに効果があったと認識しているところである。

〇須藤委員 ただいまの成果について否定するものではないし、地域での活動もただいま具体的な例を挙げてお答えいただいたことも認識しておるつもりである。しかし反面、15回にわたる参加者で組織されておる岩手県青年の船の会、平成6年度総括にこう記されておる。船事業は当初においては各地域の活動家が友情と連帯感をはぐくむとともに、下船後、地域リーダーとして活動を行うための研修の場であったが、回を重ねるにつれ地域活動家の参加は減少し、かわりに青年団体活動に携わっていない青年たちの研修の場に変わってきた。我々はいま一度、船事業の原点に戻り下船後の地域活動づくりを積極的に進めていきたいと考えておる。こう記されてある。また、平成7年度方針にこの船の会はこう記しておる。下船後、活動基盤のないところが多く、せっかく青年の船に乗船してきても十分な力が発揮できない団員の皆さんも多いと思う。こう記されておる。そして、この内容は地区こそ違え毎年同じように記されているということである。そこで、重ねてお伺いするが、下船後のこれら地域のリーダーたらんとしてひたむきな情熱を持っている参加者に、生みの親と申すか、育ての親と申すか、県はどのような育成なり活動支援のための施策を講じられようとしているのか、お聞かせ願う。

〇小野寺企画調整部長 ただいまのお話は、下船後、当初は活動もいろいろ活発であったけれども、参加する人自体が地域の活動家から一般青年に変わったということもある。15年たっておるので、その青年の船を構成する方々の年齢高齢化ということも多分あるとは思う。しかし、今おっしゃることが聞かれないわけではない。私どもとしては、その県下全市町村に結成された青年の船の会員の方々が、いつまでも相互の理解あるいは交流を深めるということをお願いしたいということで、毎年1回青年の船の会を開催して、350人かそのぐらいの県下から参加するが、その交流の場をまず設定しておる。そしてまた、旧交を温めるとともに最近の活動状況の交換、交流あるいは青年の船に乗船した場合の講師を招聘して感動的なお話をもう一度伺うとか、そういうこともやっておる。それがまず1つである。
 もう1つ、青年たちが青年の船の会が自主的に行ういろいろの事業について、例えて申し上げると北上市の鬼ッズフェスティバル、あるいはさっき申し上げた花泉町のコンサートであるとか、あるいは二戸地区における劇団カシオペア座、あるいはカシオペアラリー、そういうものについていろいろ指導するとか、いろいろ県としてもできる限りのことはしているわけである。今後とも、その活動のために社団法人県の青少年育成県民会議の方に団体の活動助成制度というのもあるので、そういうものもできるだけ活用していただきながら、その青年の会の会員も含め青年団体等への支援を行ってまいりたいと、このように考えておる。

〇須藤委員 青年の船に乗られる年代層というか、年齢の方々がその期間さまざまな御経験を積まれたとしても、その地域のリーダーとしての力あるいは実践力というのには、私はなかなか困難なこともあろうと思う。いわゆる成長することで例えて言うならば、木で例えるなら若木の状態で1度肥料をやり、そういうものをやったからとてなかなか、森や林の中でリーダーとしての木になるような、大木になるような成長は私は困難だと思う。折に触れて今のお話あったように、力となるようなさまざまな施策を要望しておきたいと思う。
 次に、高齢者福祉サービスの充実、特に老人福祉施設の整備とこれに対する助成施策についてお伺いする。
 今後増加していくことが予想されている介護を必要とする高齢者のための福祉サービスの充実を図り、安心して毎日を過ごすことのできる社会を築くことが大きな課題である。このため在宅福祉サービスについては、各種のメニューをそろえて、介護を必要とする高齢者や家族の個々のニーズにこたえることができるようにしていく必要があるが、同時に、福祉施設についても、できるだけ在宅での生活を続けることができるように支援を行う各種の施策を整備するほか、在宅での生活が困難になった場合でも、自立した生活を維持することができるよう支援を行う施設や介護を行う施設を整備していくことが必要である。現在、県では高齢者保健福祉計画に基づいて、これら施設の整備に取り組んでおられるが、老人福祉施設の整備状況はどのようになっているのか、また、施設整備を促進するためにどのような助成施策をとっているのかお伺いする。

〇千葉副知事 老人福祉施設の整備については、デイサービスセンターなど在宅福祉サービスを提供する施設の整備とともに、特養ホームなどの整備も進めているところである。主な施設の今年度末の整備状況であるけれども、在宅関連施設としてデイサービスセンターは93施設、ショートステイ専用居室は578床、在宅介護支援センターは47施設となっておる。また、入所施設の関係であるけれども、特別養護老人ホームについては68施設4、055人分、ケアハウスは6施設220人分と、こういう格好になっておる。
 また、施設整備に対する助成施策についてであるが、国の基準に基づく整備費の4分の3を助成しているところであるが、さらに超過分については一部を県単独で助成しているところである。また、社会福祉・医療事業団等からの融資を受けて行う施設については、利息額の一部を県単独で助成しているところである。

〇須藤委員 了解した。
 次に、精神障害者対策についてお尋ねする。
 本県の精神障害者については、入院及び通院治療を受けている方々が約9、000人と聞いておる。また、ある程度状態が落ちつき退院できるが引き受け先がないため住居や仕事が確保できず、入院を余儀なくされている患者が多いともお聞きしておる。さて、精神に障害を持っておると周囲の方々の理解がなかなか得られず、自分の持っている障害を隠さなければならないことは、日常生活を送る上で大きなハンディキャップとなっており、医療の問題もさることながら、福祉的問題も大変深刻であろうと存ずる。こうしたことを踏まえて、精神保健法が本年7月1日から精神保健及び精神障害者福祉に関する法律と大幅に改正されて、特にも福祉が重点として施行されたことは御案内のとおりである。今回の改正は、障害者基本法及び地域保健法の成立を踏まえて、精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会参加の促進を図ることが重要課題となって、福祉施策及び地域精神保健対策の一層の充実を図る観点から、所要の改正がなされたものと聞いておる。おくれが指摘されている精神障害者の方々に対する適切な処遇を行う上で大変意義あるものと存ずる。そこで、県におかれては、今回の法の改正を受けて、精神障害者の方々の社会復帰について、今後どのような対策を講じられていかれるのか、そのお考えをお聞きしたいと思う。

〇千葉副知事 国においては本年の5月に市町村の障害者計画策定指針を策定したところである。これを受けて県では11月に市町村の障害者計画策定実施要領を定めて、市町村に対して策定に当たっての基本的な考え方を示したところである。市町村が総合的な障害者の施策を推進するためには計画策定がぜひ必要である。間もなく示される予定の厚生省の障害者保健福祉推進本部の最終報告の内容等を踏まえながら、できるだけ早い時期に各市町村が計画策定できるよう、十分に指導、支援してまいりたいと考えているところである。
 なお、市町村が障害者計画を策定する場合、知的障害者や精神障害者への対応あるいは広域生活圏域内での連携、あるいは保健、医療、雇用、就業、教育、こういった横断的な施策の展開などでは市町村では取り扱いが難しい面があろうかと思う。したがって、新岩手県障害者福祉行動計画を参考にしてもらうなど、県及び地方振興局が幅広く指導、調整してまいりたいと考えておる。

〇須藤委員 了解する。
 関連して、次に障害者の雇用についてお伺いする。
 障害者の完全参加と平等がうたわれた国際障害者年を契機として、ノーマライゼーションの理念に基づくさまざまな障害者の方々のための施策がとられてきたところであるが、障害者の方々にとって最終的な社会参加の形は、それぞれの能力や適性に応じた職業につき、その職業生活において自立することにあると考えられる。このため、国では1・6%の法定雇用率を定めているところであるが、本県においては第3セクター方式による重度障害者雇用企業、クリーントピアいわてを設立し、その育成を図っているほか、他県に先駆けて地域障害者雇用推進総合モデル事業に着手するなど、障害者の方々の雇用促進に努めているものと承知しておる。そこで、お伺いするが、長引く不況の中にあって、企業整理や倒産が相次ぎ、さらに、新規学卒者の就職状況が芳しくないという現況の雇用情勢の中にあって、本県民間企業においての障害者の方々の雇用について憂慮されるところであるが、雇用率はどのようになっておられるのであろうか。また、他に先駆けて模範を示すべき立場にある地方公共団体においての状況はいかがであろうか。特に市町村においていまだ法定雇用率を達成していないところがあると仄聞しておるが、その指導の状況についてもあわせてお聞かせ願いたいと思う。

〇吉永副知事 障害者の雇用にかかわる民間企業の法定雇用率は、委員御指摘のとおり1・6%と定めておる。本県においては、民間企業の平均の数字というものは、平成5年に1・63%と初めてこの法定雇用率を上回ったわけであるが、平成6年は1・65%、平成7年は1・64%と、3年連続してこの1・6%を平均として上回っておる。この1・64%という数字は、この年の全国平均の1・45%も上回る数字である。また、本年の地方公共団体における雇用率は、県が2・84%、市町村平均で2・05%となっておる。両者とも引き続き公共団体の法定雇用率である2・0%は上回っておる。しかしながら、民間企業も市町村も同じであるが、個別には法定雇用率を達成していないものが個々にあるわけである。委員がおっしゃったとおり、公共団体というものはほかに先駆けて率先垂範すべき立場にあると思うので、こうした地方公共団体個々でこれに達成していないものに対しては、県としては強い指導をして、この達成になるように努力していきたいと思っておるが、本年はその非達成の市町村の数は半減するに至ったところである。今後ともそれぞれ個別の民間企業及び地方公共団体に対しては、それぞれ雇用率が維持改善するように積極的に指導してまいる所存である。

〇千葉副知事 精神障害者対策の関係で、これまでも保健所や精神保健福祉センター等で相談事業等を行ってきておる。また、各種イベントや講演会などを行って住民への啓発、家族会の活動などへの支援を行ってきたところであるが、自立と社会経済活動への参加を支援するための施設として、授産施設等、社会福祉施設4カ所、小規模作業所9カ所、グループホーム1カ所などの整備や事業主の協力によるところの職場適応訓練等を実施してきたところである。
 また、今般の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の施行を踏まえて、今年度から保健所が中心となって各地域で関係者による精神保健福祉の具体的な推進のための協議会の設置、精神障害者と地域住民の触れ合いの場の提供、ボランティアの育成、その他の啓発活動を総合的に展開する地域精神保健福祉対策事業を実施しているところである。今後とも地域住民の一層の理解を深めながら、各種の社会復帰へのための施設や事業等の一層の整備、拡充を図るなど、精神障害者の社会参加の促進に努めてまいりたいと考えておる。

〇須藤委員 雇用率についてはただいまお伺いしたとおり、全国を上回る好ましい実績を上げておられると、そしてまた、特にも率先垂範すべき公共団体においての雇用率もすばらしい数字だというふうに、その努力に敬意を表するものである。しかし、1・6%の雇用数字というのは、その職場単位での努力義務目標であると私は認識しておる。問題は、障害を持つ方々の全体の中でどれくらいの数の方々がそういう希望する職なり、あるいは全員の方々がすべての方々がその職で社会参加できることが好ましいわけである。そういう意味でこれから電算機のいろんな機器の導入などでデスクワークの状態なども変わってきておる。いろいろ県を初めとする公共団体で今後もさらに工夫をされて、これらの就職の希望する方々の好ましい社会参加をぜひお願いしたいと思う。
 商工労働部に関しては以上とさせていただくけれども、ここで要望として、さきに藤原委員あるいは久保田委員からも話されたさわやか岩手イメージアップ大作戦に係る今後の取り組みについて、県内外からも大変好評であるとの答弁もあるので、市町村の要望も大変多いと私もお聞きしておるので、特に積極的に取り組まれるよう御要望申し上げておきたいと思う。
 次に、ポストゆめさんさ、かけはしの品種開発の今後の取り組み状況の方針についてお伺いする。
 新食糧法に基づく新たな米流通が開始されて、いかに形骸化したとはいえ、米は53年もの長きにわたって食管法により国の管理のもとに流通されてきたところであるが、これからは民間流通が中心となり産地間競争が本格化することから、各県、各産地においては、競争から取り残されることのないよう、品種開発にしのぎを削り、特色のある米づくりに必死にならざるを得ないものと考える。本県においても、待望のオリジナル品種ゆめさんさ、かけはしが誕生し、ことしから県内外で売り出しが開始されておるが、期待の品種であることから、早い時期に銘柄を確立できるよう積極的な販売対策をお願いするものである。一方、今後の米需要は、従来のように1つの品種が長続きせず、比較的短期のうちに新たなものへと需要が変化していくことが予想され、その対応としての品種開発は極めて重要であろうと思う。新たな品種の開発は一朝一夕にできるものではないだけに、不断の取り組みが必要であると思うのであるが、ゆめさんさ、かけはしに続く本県の品種開発は現在どのような状況にあるのかお伺いする。

〇吉永副知事 本県における水稲品種の開発は、御案内のとおり、昭和59年度から着手したところであって、その後、平成元年度には、市場性の高い独自品種の開発育成を計画的に進めるために、岩手県品種開発育成推進計画を策定し、2年度からはいわてオリジナル水稲品種開発事業を創設して、効率的な品種開発を行うための諸施設を整備し本格的に取り組んできたところである。この間、平成5年2月には、本県初の独自品種として岩手34号、36号を県の奨励品種に決定し、平成6年9月にはそれぞれ、かけはし、ゆめさんさと命名したところである。こうした銘柄が確立するよう、委員御指摘のとおり、販売対策には意を用いてまいりたいと考えているわけである。しかし、委員が御指摘のとおり、この新しい新食糧法のもとで消費者の品種に対する好みといったものは変わっていく可能性がある。であるから、不断の開発努力が必要だというのは御指摘のとおりである。県としても、現在、奨励品種として可能性の調査を行っている系統は、県南向けと県北向け、合わせて11系統ある。また、多様な米需要に対応するため、酒米やモチ米などについても開発に取り組んでいるところである。こうしたいろんな努力の中で、将来また奨励品種としての可能性調査を行えるものが数系統見込まれるところである。
 繰り返しになるけれども、新食糧法の施行に伴って、今後、産地間競争が激化し、消費者や流通業界の品種銘柄に対する選別もより一層進むと予想されることから、今後とも不断の努力を重ね、特色のある独自品種の開発に向けて努力してまいりたいと考えておる。

〇須藤委員 了解した。
 次に、松くい虫被害対策についてお伺いする。
 アカマツの希少さなり、その意義についてはあえて論ずるところではないけれども、しかしながら、このアカマツの恐ろしい大敵である松くい虫が全国各地に大きな被害をもたらしており、本県では昭和54年に初めて被害が発生して以来、県南部を中心に甚大な被害を受けているところである。去る6月定例県議会の本会議における私の質問に対し、県御当局は、昨年の猛暑により本年春の被害量がこの時期としては過去最高となったという答弁をされ、被害対策を積極的に推進するという決意を示していただいたが、私は、もっと被害を大幅に減少させ、区域の拡大を防ぐためには抜本的な対策が必要ではないかと考えておる。例えば松くい虫の侵入を防ぐエリアを設けるとか、空中散布に加えて地上からのきめ細かな薬剤散布を行うとか、松くい虫被害にかからないアカマツの育種開発を行う新しい対策が肝要と存ずる。
 また、今回の被害量の増加によって、被害市町村においては財政的負担に耐え切れなくなりつつある市町村もあるやに聞き及んでおる。伝染病に等しい全県的な対策を構ずべき特殊事情を考え、特にもこの際、地元負担率を軽減させる見直しが必要と存ずる。
 そこでお伺いするが、私が申し上げた対策についての考えを含め、今後、防除対策をどのように推進なさるおつもりかお聞かせ願いたいと思う。

〇吉永副知事 平成7年度の松くい虫の被害量は、昨年の猛暑により春季被害量だけで昨年度の年間被害量に匹敵する9、000立方メートルにも達しており、過去最高の被害量になる見込みである。このために、委員御指摘のとおりの抜本的な対策が必要であると考えておって、現在、鋭意検討しているところであるけれども、具体的に御提言のあった松くい虫防止エリアの設置あるいはきめ細かな地上薬剤散布といったものも防除対策として有効であると考えられるので、今後、具体的にどういうふうにしたらいいか検討してまいりたいと考えておる。
 それから、抜本的なものとしては、松くい虫被害にかからないアカマツ品種を開発といったようなものについても県の林業技術センターでは62年から鋭意取り組んでおって、今までに83系統から15系統の第1次の選抜が終了して、来年度以降は第2次選抜を行った後に採種園を造成することになっておるので、できるだけ早くこうした抵抗性の品種が供給できるような、そういった面での努力も重ねてまいりたいと思っておる。
 それから、委員御指摘の地元負担率の軽減の問題であるが、これは現在、補助率が既に国、県を含めて75%となっておって、ほかの事業に比べてかなり高率である。これをさらに高めるというのは、ほかのいろいろな補助率との間でなかなか難しいかとは存ずるが、今後とも松くい虫対策の重要性にかんがみて、具体的には林野庁に対してこうした助成制度の充実といったことを強く訴えてまいりたいと考えておる。
 いずれにしても、松くい虫防除対策というのは本県林業の中枢を占めるアカマツ資源を守る重要な施策であるので、市町村の協力を得ながら効果的な防除対策を総力を挙げて実施してまいる所存である。

〇須藤委員 対策については了解したが、地元負担率の件であるけれども、先ほど申し上げたように、法定伝染病のごときの特殊事情にあるわけである。その辺御勘案をいただいて、該当市町村にとどまらない問題であるという特殊事情をお考えいただいて、さらに県の努力を要望しておきたいと思う。
 次に、高齢者、障害者に配慮した歩道の整備状況についてお伺いする。
 特にこのような方々の日常生活や社会活動を支える上で最もかかわりが深いのは道路であり、中でも歩道は老人から子供まであらゆる人々が利用する重要な施設であり、その整備は交通安全上からも必要不可欠なものと考えておる。県におかれては、やさしい歩道づくり事業により、ここ数年の間に県下随所において歩道の改善に努めてまいられたと認識しておるが、現在の整備の状況と、今後、歩道整備を進めるに当たりどのように配慮していかれるのか、あわせてお尋ねをさせていただく。

〇吉永副知事 委員御指摘のとおり、すべての人々が安全かつ円滑な社会生活を営むことのできる環境を築いていくことは極めて重要で、とりわけ安全な歩道の整備というものは緊要な課題である。これは従来からも積極的に進めてきたところである。近年、高齢者や身障者の社会参加が活発となってきておることから、県としては、平成5年度に県単独事業の人にやさしい歩道づくり事業を創設し、その整備に取り組んできたところである。この事業では、市街地の交差点及び駅やバス停と公共施設等とを結ぶ道路、商店街等の歩行者の多い道路においては視覚障害者誘導用ブロックの設置や乗り入れ部の段差切り下げを行い、利用しやすいよう改善してきたところである。本年度末には、前年度までの整備済み箇所とあわせて視覚障害者誘導用ブロックは約1、240カ所、歩道の段差切り下げは約1、030カ所を整備する予定となっておる。今後とも必要な箇所の点検を行い、これらの改善に努めてまいるとともに、車いすがすれ違える幅の広い歩道の整備や街路樹の設置、通行に障害となる電柱の移設や電線類の地中化などの整備に積極的に取り組み、高齢者や障害者の方々を含め、すべての人々が安全で快適に歩ける歩道づくりに向け、整備の推進を図ってまいる所存である。

〇須藤委員 次に、平成11年に開催される全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイに関連する道路の整備についてお伺いする。
 私は、このような全国的な大会は岩手を各方面にアピールする絶好の機会でもあり、また、地域の振興にとっても極めて有効な手段と思うわけで、地域が一丸となって取り組み、その結果、地域の活性化等にも大きく貢献するものと確信するものである。御案内のように、インターハイは主会場の北上市を中心に10市8町2村で28の競技が繰り広げられ、3万人以上の選手、監督が全国から集まり、競技役員、地元高校生の補助員等を含めると総参加者は約5万5、000人と見込まれておると仄聞しておる。本年7月には、開催市町村など官民の関係機関による準備委員会が設立され、本格的な取り組みに着手したところである。開催市町村においては、競技会場の施設整備、駐車場、アクセス道路の整備等、積極的に行っているものとは存ずるが、何分にも大会関係者が一時的にしろ大移動するわけで、短時間で移動できる体制を整備していくことが大変重要な問題ではないかと思っておる。国体時あるいはアルペン開催時には立派な道路整備がなされ、大会が支障なく運営された経緯を踏まえ、また、地域の振興を図る上からもよい機会であると思うので、今後、インターハイ関係道路の整備にどのように取り組まれるのかお伺いさせていただく。

〇吉永副知事 全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイが平成11年に開催されることになっておるが、各種の施設等については、大会の成功に向けて、関係市町村、関係機関と十分協議を行いながら計画的に整備が進められているところである。
 インターハイ関連道路の整備については、県教育委員会が関係市町村から聴取した整備計画によると、直接会場にアクセスするための道路は市町村道が中心となっており、県としては、これらの整備について、今、検討を始めたところである。また、大会開催時には、高速交通幹線からのアクセスも重要な要素の1つとなることから、これに関連する国県道の整備についても検討を行ってまいる考えである。今後、さらに大会関係者の宿泊や交通輸送計画を勘案しながら、円滑な大会の運営ができるよう取り組んでまいりたいと考えておるが、委員御指摘の短期間に移動する道、そういったものを含めて、いやしくも道路整備の不備ということで大会に支障を来すといったようなことのないようにいたしたい所存である。

〇須藤委員 インターハイのほか、全国海づくり大会あるいは冬季国体等もあるわけなので、ただいまのとおり、力強い御答弁のとおりの十分な整備がなされるよう御期待申し上げる。
 次に、行政改革についてお伺いする。
 県では、昭和59年2月行政改革大綱を策定して以来、行政改革を不断の課題として取り組み、簡素で効率的な行政執行体制の整備に努められていると思われるが、まず、平成6年度の行政改革の推進の実績について、どういう内容であったのかお伺いさせていただく。

〇千葉副知事 平成6年度の行政改革の推進実績であるけれども、主なものとしては次のとおりである。
 まず、行政機構では、試験研究機関の再編整備で、工業技術センターと水産技術センターを設置したところである。また、新たな行政課題に対応するため、県立大学整備室、地域農政推進室、行政情報室などを設置したところである。
 また、事務事業では、行政手続法の施行に伴って、申請に対する処分と不利益処分について審査基準と処分基準を定めて公表に努めるとともに、標準処理日数規程を全面的に見直したところである。また、公文書公開制度を施行して、行政情報センターなど、窓口を設置したところである。

〇須藤委員 次に、行政改革に対する取り組みについてであるが、行政改革は、まずもって行政主体としての県がみずからの事務事業について徹底した見直しを行うことがその責任であると考えておる。また、行政改革は、究極的には県民の意気に期するためのものであり、県民の意向をできるだけ反映させることが重要であると思う。行政改革推進懇談会を設置して、行政改革の基本的方向について提言を求めていることは適切であろうと考えておる。また、行政改革推進懇談会が提言を取りまとめるに当たって、県民の声を直接聞くため、県内各地において行政改革の集いを開催して県民の意向把握に努めていることに対しても敬意を表するものである。
 そこでお伺いするが、県として、県民の意向把握のためどのような手段を講じたのか。また、行政改革推進懇談会の現在の審議状況はどうなのか。懇談会からの意見書を県の行政改革大綱の取りまとめにどのように反映させるお考えなのかをお聞かせ願いたいと思う。

〇千葉副知事 行政改革を推進するに当たっての県民の意向把握についてであるが、民間の有識者あるいは各界の代表者で構成する行政改革推進懇談会に行政改革の基本的な方向についての提言をお願いしているところである。また、県民1、600人を対象としたアンケート調査の実施などを通じて県民の意見を幅広く聞いて、具体的な改善方策に反映させたいと考えているところである。
 また、行政改革推進懇談会の審議状況であるけれども、現在まで全体会議5回、小委員会9回を開催して行財政運営の課題や改善方向等について精力的に御審議をいただいているところである。また、懇談会の意見書を取りまとめるに当たって、県内各広域生活圏で行政改革の集いを開催するなど、県民意向の把握に尽力をいただいているところである。懇談会には今月中に最終報告を取りまとめていただくことになっているところである。
 行政改革推進懇談会からの意見書は、行財政運営の改善に係る基本的方策について多方面にわたって検討をいただき、まとめていただくものである。県としては、この提言を尊重して具体的な方策の検討を進めて、来年1月を目途に新たな行政改革大綱を策定して行政改革を推進してまいりたいと考えておる。

〇須藤委員 世情よく制度疲労であるとか組織疲労であるとか言われておるし、私も近年じくじたる思いで特に行政府等のこういう改編についてそういう思いを持ってきておった。そしてまた、増田知事初め、皆さんが常々おっしゃられるように、現代の状況と、それから21世紀を迎えて非常に重要な時期でもあるというお話も常に伺っておるところである。国の制度であるとか、組織であるとか、いろいろあろうかと存じるけれども、この際、大胆で緻密な県の行政改革を断行されて、新たな岩手の飛躍を期されるよう、大いなる御期待を申し上げて私の質問を終了させていただく。

〇瀬川委員長 以上で代表質疑を終わる。
 次に、自由質疑を行う。自由質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先することになっておる。ただいま緑政会及び日本共産党から申し出があるので、この順に発言を許す。
 なお、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いする。

〇藤原(泰)委員 緑政会の藤原泰次郎である。
 緑政会といっても2人のうちの1人ということであるが、ひとつ御了承いただく。
 まず、部門ごとの中の1つであるが、中小小売商業の現状と今後の振興策ということでお伺いする。
 最近の流通を取り巻く状況というのは、日米構造協議を背景として、一連の規制緩和の流れの中で何回かにわたって大店法の見直しが行われ、消費者重視や競争原理の導入という観点から大幅な規制緩和がなされ、量販店や郊外型店舗の増加による地域間競争が激しく、しかも厳しさを増しているのが現状である。特にも昨年5月1日に大店法の運用の見直しが行われ、大型店の出店規制が大幅に緩和された結果、従来はそれほどでもなかった町村部への出店や大手ナショナルチェーンの県内への進出、さらには価格破壊の業態の進出や地元大手スーパーの出店がふえていると新聞紙上などで毎日のように報道されておる。また、商店街は、このことに起因してであろうか、空き店舗が目立ち、かつての地域コミュニティーの中心としての気概が感じられなくなってきておる。今後、このような状況が続けば、中小零細な小売業者をめぐる環境はますます厳しくなっていくのではないであろうか。
 そこでお伺いするが、このような規制緩和の流れの中で、本県における中小小売商業の現状はどうなっておるか。また、県は今後、中小小売商業の振興策をどのように進めようとしているのかお伺いする。

〇吉永副知事 平成6年の商業統計によると、本県の小売店数は1万9、533店舗で、前回、平成3年調査に比べて6・2%、1、284店減少しておる。特にも小売店の77・6%を占める従業員4人以下の小規模な商店は9・5%、1、596店の大幅な減少となっておる。また、平成6年の商店街実態調査によると、商店街数は259で、前回、平成3年調査に比べて25減少しておる。委員御指摘のとおり、商店街の景況も衰退傾向が強くあらわれておって、本県中小規模小売商業の現状というのは非常に厳しいものとなっておる。このため、県としては、大規模店にない魅力を備えた小売店づくり、そういったものを目指して、個店対策としての診断指導あるいは小売商業支援センターにおける情報提供などによって、それぞれの商店の専門店化あるいはきめ細かい顧客サービスを充実したり、あるいはポイントカード制度の導入とか、いろいろな工夫をするに当たって知恵をかすといったようなことをやって体質の強い商業者の育成に努めるとともに、商店街についてはにぎわいの創出や後継者育成などを支援する中小商業活性化事業を始めて、駐車場や街路灯の環境整備を支援する商店街整備事業などによって小売商業の振興に努めているところである。
 また、中小小売商業者が大型店と共存共栄を図れるよう、商店街を核として消費者の利便や都市環境をも配慮した総合的なまちづくりを推進する必要があることから、商業施設と公共施設を一体的に整備することを目的とした特定商業集積法に基づく施策を今後導入して商店街の活性化というものに努めてまいりたい、そのように考えているところである。

〇藤原(泰)委員 次に、公共事業の関係にかかわるところであるが、いろいろ事業を推進するためには、ゼロ県債及びゼロ国債の活用ということが大事なわけで、その関係についてお伺いする。
 国においては、近年の経済情勢を踏まえて、平成5年度においては何回かにわたる経済対策を実施し、本年9月にも史上最大規模と言われる14兆2、200億円に上る経済対策を打ち出したところである。県においてもこれらの措置に積極的に対応し、タイミングを失することなく公共事業費等の追加を行ってきたところであり、一定の評価をされるものである。私は、これら事業による経済効果を最大限に発揮させるためには、事業費の確保のほか、年間を通じた事業の円滑な執行が必要であると考えておる。特にも岩手県においては、積雪寒冷地という条件のもとで事業を切れ目なく円滑に執行していくためには、いわゆるゼロ県債やゼロ国債といった債務負担行為の活用が必要になると思うのであるが、平成6年度におけるゼロ県債あるいはゼロ国債の設定状況はどうなっているのか、また、今後の活用方針についてどのようにお考えになっておるかあわせてお伺いする。

〇上田総務部長 平成6年度におけるゼロ県債、ゼロ国債の設定状況であるけれども、ゼロ県債は49億2、100万円、ゼロ国債は118億5、800万円、こういうふうな実態である。この設定年度の歳出額をゼロとする債務負担行為であるいわゆるゼロ県債、ゼロ国債については、設定年度内に契約等の行為を行うことによって翌年度の工事等の執行を早めることが可能になることから、本県における積雪寒冷地という条件あるいは公共事業等の県内景気に与える影響の大きさ等を考慮して、鋭意その活用を図っているところである。今後においても、公共事業等の円滑かつ計画的な執行を図るため、ゼロ県債、ゼロ国債を適切に活用してまいる所存である。

〇藤原(泰)委員 次に、公共交通問題についてお伺いする。
 岩手県においては、バスなどの公共交通機関はこれまで住民の生活の足として地域の交通を支える重要な役割を担ってきたところである。しかしながら、最近のモータリーゼーションの進展や過疎地域における人口の減少等によって県内の各地において公共交通機関の利用者が減少し、採算性の問題などからバス路線の廃止や運行本数の削減が行われるなど、今や地域交通の確保を図ることは重要な課題となってきておる。私は、これからの高齢化社会の到来や社会福祉の充実に対する要請の高まりを考えると、高齢者や障害者、さらには通学者などのいわゆる交通弱者の日常生活に密着した地域交通を確保することは、今後の本県の交通を考える上で重要な課題であろうと考えておる。現在、過疎地域を運行する路線を抱える乗り合いバス事業者においては、不採算路線を運行することによって生じる赤字について、1つには一部の採算がとれているバス路線や高速バス路線などからの内部補助と、もう1つは貸し切り事業等の黒字の兼業部門で埋めているのが実態であると聞いておる。このような企業努力にもかかわらず、バス事業者の経営状況は依然改善が見られない状況にあるものと思われるが、県では、公共性の高い地方バス路線の維持についてどのような取り組みを行っているのかお伺いする。

〇小野寺企画調整部長 地方バス路線については、本県においても、御指摘にもあったが、マイカー利用の増加あるいは過疎化の進行、そういったものを背景として運行を取り巻く環境が非常に悪くなってきており、これに伴って路線を持つバス事業者も経営が苦しくなってきているのが現状である。こうした状況を踏まえて、県としては、地域住民、特に交通弱者の足を確保するというその観点から地方バス路線の維持を重要な課題としてとらえておって、従来からバス事業者に対して常に経営改善を求めながらも、国の地方バス路線維持費補助制度に基づいて生活路線の運行欠損あるいは廃止路線代替バスの運行費用、そういったものに対する助成措置を講じてきておる。平成6年度の場合、県内のバス事業者及び廃止代替バスを運行する市町村等に対して、国からの補助金も含め、合計で4億9、300万円余を交付しているところである。
 また、この助成措置に加えて、県においては、国、市町村、そしてまた事業者との間で設置しておる地域バス対策協議会において、1つは地方バス路線の運行維持あるいは輸送対策等について検討を進めておるし、もう1つは、補助制度の改善等について、全国知事会等を通じた場で国への要望も行ってきているというのが実情である。
 なお、国の補助制度については、本年度から一般財源化する改正が行われて、その詳細については検討が、今、行われているところであるが、県としては、今後も引き続きそのバス路線の維持方策の検討を行うとともに、バス事業者に対して自助努力を求めるとともに、補助制度の充実強化に向けて国に対して要望してまいりたい、このように考えておる。

〇藤原(泰)委員 次に、畜産関係であるが、第7回の全国和牛能力共進会、これについては千葉委員からもそれに触れられたわけであるが、この共進会というのは、一説によると内外参加者が40万人以上とも言われている大イベントなわけである。本県が畜産主産県として発展していくためには、豊富な草資源と有利な立地条件を活用した肉用牛の振興が極めて重要である。しかし、最近の畜産を取り巻く情勢は、牛肉を初め、畜産物の輸入自由化等により、畜産農家の経営環境は多難な局面を迎えておる現状である。こうした厳しい状況の中で、和牛の一大祭典である第7回全国和牛能力共進会が平成9年本県において開催されることは、和牛の生産や改良意欲の向上など、産地育成にはかり知れない効果をもたらすものであり、まことに意義深いものであると思うものである。さらには、この共進会において優秀な成績をおさめ、畜産岩手を全国にアピールする絶好の機会でもある。 そこで何点かお伺いするが、まず、本県で開催される共進会とこれまでの共進会に特徴的な違いがあればそれをお聞かせ願いたいと思う。
 また、生産者を初め、県や団体はこの一大祭典をどのようにとらえ、取り組んでおられるのか、その準備状況についてお伺いする。

〇吉永副知事 御案内のとおり、全国和牛能力共進会は、社団法人全和牛登録協会が主催し、5年ごとに開催するものである。本県での第7回開催は、平成9年9月11日から15日までの5日間の予定で開催されるものである。
 これまでの開催とこの本県で開催される共進会の違う点であるが、まず、ちょっと細かくなるが、出品条件として親から子に伝えられる増体量や肉質など、産肉能力を数値であらわした育種価といった、こういったものが評点に加えられるということである。開催テーマ自身も、育種価とファイトで伸ばす和牛生産ということになっているようである。また次は、出品頭数枠が最大規模である。453頭である。これは、前回の大会に比べて62頭多い。また、開催場所であるが、これまでのこういった審査会場はすべて仮設の施設で行われたわけであるが、本県では、種牛の部については岩手産業文化センター、肉牛の部では岩手畜産流通センターといった常設施設を使って開催する、こういったものも今までと違うもので、会場面積も広く、出品者を初め、関係者に評価していただけるものと考えておる。
 この共進会については、委員御指摘のとおり、畜産岩手を全国にアピールする絶好の機会である。本年10月に秋田県で開催された関東以北の東日本和牛能力共進会では紫波町が群部門で最優秀をとる等、上位を当県が独占したわけであるが、この共進会でも優秀な成績をおさめるよう取り組んでまいるとともに、本県の農畜産物を全国にPRする場として演出してまいりたいと考えておる。
 準備状況であるが、平成6年7月に147の関係機関、団体を構成員とする岩手県実行委員会を設置し、諸準備を進めているところである。また、出品対策としては、いい成績をとるために優良な子牛の計画生産や選抜保留、こういったものは既に準備しておって、今後、飼養管理指導を行っていこうと考えているところである。
 また、この共進会は、関連イベントとして、一般消費者を対象に食肉や牛乳、乳製品の料理加工等の体験学習や家畜との触れ合いコーナー、そういったものを設けて、当県の農畜産物、県産品を広く紹介する場としても役立てていこうと考えておる。
 この共進会での入場人員であるが、委員は40万人とおっしゃったが、私ども県はちょっと多めの60万人を見込んでおって、県としてはこの共進会を県民挙げての一大イベントと位置づけ、成功に向け努力してまいる所存である。

〇藤原(泰)委員 40万人というのは、実は60万人とは聞いておるけれども、遠慮して40万人と申し上げたのである。
 次に林業関係であるが、林業の中で、先ほどもちょっと触れた委員もあったが、除間伐の進捗状況についてお伺いする。
 本県においては、戦後、積極的に造林の推進を図った結果、民有林の人工林面積が約34万ヘクタールに拡大され、蓄積も年々充実してきており、来るべき国産材時代の木材供給基地としては大いに期待されるところである。ところで先般、土木常任委員会で県外の視察で九州宮崎県、鹿児島県を訪れた際に、除間伐を実施していなかったために台風や豪雨により甚大な被害が発生したとお伺いしたわけである。本県においても造林木が立て込み、林内が暗く、細い樹木が林立している人工林が散見されるなど、必ずしも十分に除間伐が実施されているとは言いがたい状況となっておる。このままの状況で推移すると、良質な木材の安定供給はもとより、宮崎県や鹿児島県のように気象災害等に弱い人工林が増加し、安全で快適な生活環境を維持することが非常に難しいのではないかと心配されるものである。ついては、早急に計画的な除間伐の実施が必要であると考えるが、本県の除間伐の進捗状況はどうなっているのか。また、今後の推進対策をどのようにお考えなのかお伺いする。

〇吉永副知事 本県の民有林の人工林面積は約34万ヘクタールであるが、このうち除間伐の実施を計画している面積は毎年約1万9、000ヘクタールである。実績は1万2、000ヘクタール前後で推移しておって、実施率は63%にとどまっておる。このように、除間伐が進まない理由は、林業を取り巻く状況が厳しく、森林所有者の経営意欲が減退しているといったようなことが考えられるが、委員御指摘のとおり、ほかの県の例のように県民生活に支障を及ぼすといったようなことがあっては困るので、また、その除間伐のおくれそのものは良質な木材の生産も困難にするわけであるので、除間伐の適正な実施が緊急の課題ということは県としては深く認識しているところである。このため、国庫補助事業の積極的な導入によって除間伐を促進するほか、さらに林道、作業道の開設やプロセッサーあるいは高性能機械の導入を促進して生産コストの低減を図るとともに、森林組合連合会など、関係機関との連携を密にしながら、県内7カ所に設置しておる木材流通センターを核に、円滑な間伐材の集荷や大量ロッドによる安定販売を促進し、集出荷体制を強化するなど、総合的な除間伐の対策を講じてまいる所存である。

〇藤原(泰)委員 次に、廃棄物の適正処理の指導についてお伺いする。
 前のお2人の委員からもお話があったわけであるが、本県は四季折々の美しさを映し出す豊かな自然に恵まれ、県民が安心して暮らすことができる環境を保持しているものと認識しておる。しかしながら、道路沿線などに空き缶などの生活系のごみや、一部に事業活動により発生したものと思われる廃棄物が散乱しており、景観が損なわれているとの住民の嘆きをしばしば耳にするところである。廃棄物の投棄は貴重な環境を損なうほか、水域が汚染されるなど、直接に住民の生活を脅かすことも心配されるところであり、最近の環境保全に対する住民意識の高まりにもかかわらず、このような不法投棄が後を絶たない状況を考えると、県民に対する一層の啓発と事業者に対する適正処理指導の徹底が望まれるところである。
 そこでお伺いするが、廃棄物の不法投棄などの不適正処理の防止について、県ではこれまでどのような対策を講じてきたのかお伺いする。
 以上で私の質問を終わらせていただく。

〇千葉副知事 廃棄物の不適正処理の防止については、県民や事業者のごみの減量化や適正処理に係る意識の高揚が最も重要であるというふうに考えておる。したがって、県民の意識の高揚を図るため、ごみ減量化・再生利用推進県民大会を開催するとともに、各市町村と連携をとりながら、ごみ減量化推進週間や環境衛生週間等を通じて環境パトロールの実施、道路や河川の散在性ごみの回収と各種広報活動などを誘導展開しているところである。
 また、産業廃棄物排出事業者や処理事業者に対して、各種講習会や保健所の環境衛生指導員による立入検査等を通じて指導を行うとともに、県警察本部、社団法人岩手県産業廃棄物協会を構成員とする産業廃棄物不法処理等防止連絡協議会において、情報の交換や適正処理の啓発指導を行っているところである。
 なお、県では、産業廃棄物に係る事業者の適正処理を誘導する目的で、江刺市地内に公共関与による産業廃棄物処理モデル施設を整備したところである。今後とも意識啓発に努めるとともに、適正処理の指導を強化し、さらにはヘリコプター等による上空監視を行うなど、不適正処理の防止に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておる。

〇斉藤委員 日本共産党の斉藤信である。
 まず最初に、増田知事の選挙公約に関して2件伺う。
 昨年10月から強行実施された入院給食費の有料化は県民に新たな負担を押しつけ、安心して病院にかかれない、入院もできないとの声が広がっている。世界に例のないこのやり方に対して、全国30の都府県が単独医療費の助成制度には助成を継続している。これは全国の多数派である。昨年当初21都府県から30都府県に広がった。県内でも県都の盛岡市が単独助成を10月1日から実施している。これは市民の要望にこたえた快挙である。さらに増田知事は、県知事選挙の際、入院給食費の助成を検討すると公約している。副知事、知事にかわって、全国の動向、盛岡市の対応についてどう認識しているか、知事の公約実現についてどう受けとめているか、先にお聞きする。
 もう1つあわせて聞く。私学助成の大幅な増額も増田知事の県民への公約であった。平成6年、平成7年の私学助成、1人当たりの運営費補助の額、東北各県における水準はどうなっているか。私学助成の大幅増額という増田知事の公約をどう実現していく見通しかお聞きする。

〇千葉副知事 入院時食事療養費の取り扱いであるけれども、入院時食事療養費は、健康保険法等の一部改正によって昨年の10月から導入されたものである。その趣旨は、入院と在宅との費用負担の公平化を図って、その財源により付き添い看護や在宅医療など、重い負担を負っている方々の負担の軽減を図るものである。県としては、入院時食事療養費の創設の趣旨が妥当なものと考えて、その標準負担額を助成しないこととしたものである。全国の都道府県の医療費助成事業を見ると、実施している事業や対象者等、その内容はさまざまであるけれども、これは各都道府県が県内事情を勘案して、独自に判断して実施しているためである。入院時食事療養費標準負担額の取り扱いについても、同様に、それぞれの都道府県が独自に判断したものというふうに考えておる。
 盛岡市がこの10月から助成の対象としたことについてであるけれども、国では、入院時食事療養費の創設の趣旨から、地方単独事業により標準負担額を助成することは不適切であるとしておる。県としても、健康保険法等の改正の趣旨や入院時食事療養費の創設の趣旨が妥当なものと考えて、県市長会や県町村会を初め、関係団体と協議の上、平成6年10月から助成の対象としないこととしたものである。このようなことから、今回、盛岡市が単独で助成の対象としたことは不適切であるとともに、非常に残念なことだというふうに考えておる。
 また、知事の公約ということであるが、県の選挙管理委員会が発行しておる選挙公報においては、この件については一切触れておらないところである。

〇上田総務部長 私学助成について、本県の私立学校に対する生徒1人当たりの運営費補助の額である。平成6年度の場合、高校が22万8、000円、小学校及び中学校が20万3、000円、幼稚園が9万9、000円である。それから本年度は、現時点での予算であるが、高校が23万8、000円、小学校及び中学校が21万2、000円、幼稚園が10万8、000円となっておる。
 東北各県における本県の水準についてであるが、例えば高校について見ると、大体中位を上がり下がりしているという状況にある。
 それから、私学助成の充実については、私立学校が本県の学校教育に果たす重要な役割にかんがみて、県としても、これまで私立学校を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえながら、運営費補助を初め、各般にわたる助成措置を積極的に講じたところであるが、今後においても、厳しい財政事情のもとではあるが、私立学校の教育条件の向上、父母の経済的負担の軽減及び学校経営の安定に資するため、その運営費や施設整備に要する経費について可能な限りの助成措置を講じ、私立学校の一層の振興に努めてまいりたいと存じておる。

〇斉藤委員 千葉副知事の答弁は大変大きな問題で、盛岡市のやり方が不適切だと。盛岡市がせっかく市民の要望にこたえて岩手県以上にやっていることについて不適切ということは、私は本当に冷たい県政の姿だと。1つ聞くけれども、増田知事の選挙公約というのは保険医協会との懇談の場で述べて、これは本人に確認をして保険医協会の新聞に書いたことである。増田知事に聞いたか。

〇千葉副知事 保険医協会の関係については了知してない。先ほど申し上げたとおり、選挙の公約等については、全世帯に配布される選挙公報が公約等も含めて公信力のある、一番信頼をおける内容のものだというふうに考えているところである。

〇斉藤委員 ここでやりとりしてもしようがないので、選挙公約というのは、いろいろな県民に対する公約があるわけだから、そんなこと承知しないということは撤回していただきたい。
 時間がないので、次に、日米合同演習についてお聞きする。
 アメリカ第3海兵隊との日米合同実動演習が11月20日から29日の10日間強行された。参加した自衛隊員、アメリカ海兵隊員とも当初の記者発表の規模とかなり違っていたようだが、県は把握、確認しているのか。我が党からも平和民主団体からも中止や県民の安全を確保する申し入れがあったと思うが、県はどのような対応をしてきたのか。
 近隣住民への被害状況について把握しているか。
 岩手山演習場で日米合同演習が行われてきたのはいつからか。
 米軍との共同使用となった根拠は何か。その際、県知事の意見を求められることはなかったか。ないとすれば、なぜか。

〇千葉副知事 今回の日米共同訓練の規模についてであるけれども、自衛隊岩手駐屯地から伺ったところでは、実質的な訓練参加人員は、当初の予定どおり自衛隊約800人、米軍約740人の合計1、540人で、新聞等で報道されたこれを上回る人数は、管理部門、つまり広報あるいは炊飯給食等の自衛隊員の人数が含まれてあるものというふうに伺っているところである。
 それから、訓練中止等については県内4団体から県に対し申し入れがあったところである。県としては、訓練により県民の安全と日常生活に支障が生ずることのないよう特段の配慮を願いたい旨、申し入れたところである。また同様に、県内の団体等から訓練の中止等についての申し入れを受けている旨、岩手駐屯地に対し伝えたところである。
 なお、苦情については、11月末までに岩手駐屯地に対して騒音に対する苦情が5件あったというふうに聞いている。
 それから、岩手山演習場で最初に日米共同訓練が行われたのは昭和59年の9月であるというふうに承知しているところである。
 また、米軍が岩手山演習場を使用することについては、昭和59年8月28日の閣議決定によるものと存じておるところである。なお、米軍の岩手山演習場の使用を認めるに当たって、知事の意見聴取はなかったものである。なぜなかったかということであるけれども、国においてそのように判断したものというふうに考えておるところである。

〇斉藤委員 岩手県と沖縄県とが特別の友好関係にあるということは本会議でも論議された。沖縄県は今、地方自治と地域の振興を図る立場から、政府に対して10項目の日米地位協定の見直しに関する要請を行っている。千葉副知事、この内容を承知しておるか。どう受けとめているか。
 岩手山演習場が共同使用となった根拠は日米地位協定である。私は、大事なことは、日米地位協定の問題が単に国政の問題ということではなく、地方自治住民の生命と安全にかかわる問題、この立場で岩手山演習場の米軍の共同使用に反対の意思を明らかにすべきではないか、それが岩手県民の沖縄県民に対する最大の連帯であると思うが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 日米の地位協定の見直しに関して沖縄県が政府に要請を行ったことについては、新聞等の報道の範囲内で承知しているものである。米兵暴行事件に端を発して、沖縄県民が日米の地位協定の見直しについて要請をしているということについては、そこに至った心情を十分理解できるところである。政府において、沖縄県の要請に対して、どのようにすれば実質的な改善が図られるかについて真剣に検討していると伺っているところである。したがって、今後もその動向を見守ってまいりたいというふうに考えておる。
 また、岩手山演習場を米軍が使用する日米共同訓練は国の外交防衛政策に基づくもので、国と国との間の取り決めの問題であることから、国のレベルで議論されるべきものというふうに考えておるところである。

〇斉藤委員 続いて、官官接待についてお聞きする。
 94年度の食糧費官官接待の件数、額、部局別には明らかになったので、私は、東京事務所、財政課、秘書課の食糧費、官官接待の件数、額はどうなっているかお聞きする。
 8月15日付の事務次官通知では、食糧費について、経費の支出が関係法令及び財務規則にのっとって適切に処理されているかなどを点検し、必要な改善措置を講ずる等、適正な予算執行を確保するための対応に一層努められたいと指摘をしている。県として、食糧費の実態、とりわけ官官接待の実態について、点検をしたか。同時に、これまでに自主的に改善した点はあるか。

〇上田総務部長 まず、東京事務所、財政課、秘書課の食糧費の額であるが、決算の取りまとめが部局別で主管課に一本化されているために財政課分だけのデータはないが、その範囲でお答え申し上げるが、まず、東京事務所分であるけれども、1億1、891万円余、それから秘書課分は1、525万円余、それから秘書課分を除く総務部の本庁分の執行分であるが、この額が4、590万円余というふうになっておる。なお、このうちどういう案件で何件あったかということについてはデータを持ち合わせてない。
 それから、チェックをしたかという御質問であるが、食糧費の中身については、今般、国の職員との接遇も含めて、監査委員の重点的な監査を受けて指導をいただいているところである。我々としては、これを踏まえて、今後、十分に心してまいらなければならないというふうに考えておるところである。
 それから、食糧費の執行の仕方について見直しを行ったことがあるかということであるけれども、まず、東京事務所等における食事券については平成7年度からは購入しないこととしておる。また、昼食時のアルコール類の提供は控えることとしておる。

〇斉藤委員 自治事務次官通知は8月15日、点検、改善を指示したわけである。今のお話は、結局やってないと。住民から指摘をされて、しぶしぶ改善するというのが県の実態である。
 監査委員会の監査結果について明らかになった。これは10万円未満の支出については除外であるから、あくまでも部分的なものである。
 そこでお聞きする。平成6年度、中央官僚の官官接待310件、5、930万4、000円の内訳は款別にどうなっているのか。部局別でもいい。310件のうち、支出目的に沿わない、これが2件、支出目的が不明確、74件と指摘されている。合計76件は310件のうち25%を超える。県は、指摘されたこの項目を調査したか。その内容はどうか。

〇上田総務部長 まず、款別あるいは部局別の内訳であるけれども、当方ではその内訳は承知をしておらない。
 それから、監査委員から指摘のあった件については、それぞれ我々十分反省してフォローしていきたいと存じておる。

〇斉藤委員 食事券、ビール券の使用目的、配布先が不明確と指摘されたものが129件、2、351万1、420円ある。使用目的が明確な食事券、ビール券の支出はあったのであろうか。あったとすればどれだけであろうか。件数、額を示していただきたい。

〇上田総務部長 食事券、ビール券の使用目的、配布先が不明確であるという御指摘を受けたわけであるけれども、こういった監査委員の指摘を受けて、今後、支出目的が不明確である等の指摘を受けないように、事務処理を十分に検討してまいりたいと考えておる。

〇斉藤委員 全く自浄能力のない答弁で驚いているわけである。私は、情報公開で明らかになった食糧費の実態について具体的に指摘をして答弁を求める。
 93年度の官官接待の具体例について、食事券について、平成5年7月19日納入……。

〇瀬川委員長 斉藤委員に申し上げる。
 本日は平成6年度の決算について審査を行っているものであり、平成5年度決算については昨年度認定されておる。したがって、ただいま付託されている平成6年度決算に関する事項についての発言をお願いする。

〇斉藤委員 委員長、こういうことで私は聞きたいのである。平成5年の例を引きながら平成6年度を聞くから。こういうことがないかということを具体的に聞くから。(「認定されているんだよ。」と呼ぶ者あり)
 いや、平成6年について聞く、関連して。

〇瀬川委員長 6年についてお願いする。

〇斉藤委員 情報公開で明らかになったことであるから、平成5年7月19日納入された食事券500円券980枚、49万円、見積書が平成5年7月6日、請求書は平成6年5月16日、納入日付はなし。支払いが平成6年5月25日、所管課は総務学事課である。平成5年4月14日納入、5、000円券80枚、40万円、請求書は平成6年5月6日、納入月日なし。所管課は県議会事務局である。私はこういうことで聞くが、今、紹介したのは1年たってからの請求書である。実際にこういう請求のあり方があるか。同時に、実際にこういう食事券は買われたのか、大変疑問である。平成6年度、食事券の購入があると思うけれども、同じようになっておるか。

〇上田総務部長 同じようにというのは、1年たってから請求しているかということであろうか。(斉藤委員「そうである。」と呼ぶ)
 平成6年については、1年たってからの請求というのは1件あるというふうに聞いておる。
 それから、食事券については、先ほど申し上げたとおり、今年度からはこれを廃止するということにしておるけれども、実態として、平成6年度までにおいてはこれらを購入していた実情にある。

〇斉藤委員 平成5年度の食事券の場合、一覧表がある。これは、食事券が全部で東京事務所だけで89件、この8割が5月16日、5月18日、5月10日、こういう請求になっている。ほぼ1年過ぎてからの請求である。これは5月の締めのときの駆け込み、こういうことにならないか。
 そして、私は出納長にも聞きたいが、出納局でこういうことはあるか。4月、5月、8月納入された物品が翌年の5月に請求される、こういうことがあるかお聞きする。

〇上田総務部長 請求と納入の時間的な関係の問題であるけれども、確かに平成6年度においても、個々具体の件について一々私承知しているわけではないけれども、数カ月を要しているというのが実際にあったというふうに承知している。今後、そういうことがないように鋭意努力したいと存ずる。

〇高橋出納長 債務が履行されればできるだけ早く支払いを行う、これが原則ではあるが、中には、いろいろな事情でと申すか、忘れてとか、いろいろな信頼関係があっておくれて、かなり長期間たってから請求書を出した、したがって支払いをしたというケースもあると、そのように思っておる。

〇斉藤委員 食事券は少しあるのではない、8割、5月に全部集中している。異常な事態である。商売上からも考えられないことである。確定申告は3月で終わるんだから。本当に買ったのかということが問われる。
 次に、ホステス代、コンパニオン代まで請求されているものがかなり見受けられる。これは、食糧費として認められるのか。

〇上田総務部長 食糧費の支出の中で、いわゆるホステス代、コンパニオン代が含まれている場合はある。

〇斉藤委員 認められるのか。そのことを答えていただきたい。平成元年9月5日最高裁判決では、芸者を伴った飲み食いに対して賠償命令が出ているのである。

〇上田総務部長 いかなる場合でも認められるとは申さないけれども、そのときの状況によって、これは認められるものであると、こういうことである。

〇斉藤委員 今の答弁は、認められることもある、こういう重大な答弁である。
 こういうケースがあった。これは平成5年、月日のない請求書、7万3、190円、土木総務、県1人、国1人、2人の飲み食いであるけれども、ホステス2名1万8、000円、こういうのがあった。平成5年の請求書で、東京事務所から受け付けたのが平成6年4月14日である。知っているか。私は質問通告でこの日付まで明らかにしたが、これを確認したか。平成5年10月25日飲み食いした接待である。

〇上田総務部長 委員がそういうお話をされておられたことは聞いておるけれども、そのもの自体、私は見ているというわけではない。

〇斉藤委員 あした総務部があるから、調べていただきたい。請求書が平成5年、それなのに受け付けが平成6年4月14日、県幹部職員と国2人で飲み食いした。総額7万3、190円である。とんでもない、こういうのは。
 次に、請求書の中にこういうのがある。予算オーバーして、内金入金で処理している。こういうケースがあった。こういうケース、わかるか。平成6年度にはこういうケースはないか。

〇上田総務部長 御質問の内容をそんたくする必要があると思うけれども、内金という記載があったと、こういうことについて、それは一体いかがなものかと、こういうふうなお尋ねというふうに理解するけれども、懇談会を開催した場合に出席者から負担金というものが出される場合があるようで、その負担金によって店舗の側に負担されたというか、支払われた額、これを内金というような形で店の方で処理しているというふうに承知しておる。

〇斉藤委員 時間がないから最後である。
 市町村から県職員が接待を受ける二重構造について直ちに廃止すべきと思うが、いかがであろうか。一関市の最近の発表によると、中央官僚19回、80万円、県職員55回、234万円、74・5%が県職員の接待である。盛岡市はみずから実態調査をした。これを見ると、国が80万円、県が182万円の接待を受けてる。直ちにこれは県の責任でやめるべきと思うが、いかがであろうか。

〇上田総務部長 県職員と市町村職員の会食等についても、これは国と地方の関係に準ずる部分があろうかと思うけれども、社会的な批判を受けることのないように、節度ある対応を図るべきことについて知事からも特に指示を受けているところで、また、職員に対してもこの趣旨の徹底を図っている、こういうところである。

〇斉藤委員 79年の各省官房長合意、官公庁間の飲み食いはやらない、こうある。この点について、最後。

〇上田総務部長 国の官庁間の合意事項について文書が54年にあって、それは地方公共団体にも連絡されておる。

〇瀬川委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇瀬川委員長 質疑がないようなので、総括に対する質疑はこれで終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。
 あす以降は毎日午前10時から開会するので、よろしくお願いする。
 本日はこれをもって散会する。
   午後6時37分 散 会


前へ 次へ