平成7年12月定例会 第4回岩手県議会定例会 会議録

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〇29番(村田柴太君) 村田柴太でございます。
 バブル経済の崩壊の後、内需の低迷、円高の尾を引きずりながら迎えた平成7年も、1月17日の阪神・淡路の大震災に明け、不況の波は一向に衰えを見せぬまま雇用不安の増大、ウルグァイ・ラウンドの合意を受けまして、新食糧法の施行による米の市場原理の導入など、終始揺れ動くままに暮れようとしております。
 亥の年はサリンと不況で暮れていく その中で行われた今春4月の統一地方選におきましては、新鋭はつらつたる増田寛也知事が産声を上げ、県民の期待はいや増しに高く、同時に、議政壇上に立つ我々県議会議員の立場といたしましてもまことに力強い限りでございます。それから既に6カ月余り、県政の重要課題を背負って日夜東奔西走の真摯な新知事の姿は、あたかも鞍馬山から躍り出て大活躍をする九郎判官義経にも通ずるものがありましょう。
 そこで伺いますが、知事はこの6カ月、県の各部局の執行体制をよく検分されたと存じますし、また、県政懇談会を各地に開いて、地域住民が県政に求める願望につきましてもつぶさに知ることができたのではないでしょうか。このことを踏まえ、3県総後期実施計画の策定に当たって、前期実施の計画策定の──平成3年当時とは時代の様相が大きな変化を見せていると存じますが、後期に臨む、県政の重点を考えるに当たって、取捨選択、優先度などに考慮すべき点がないでしょうか、知事の率直な御所見をお聞きいたしたいと存じます。
 また、次には知事は選挙公約の1つとして地方分権を挙げておりますが、この6カ月の御体験を通じてどういう御所見を持つに至ったでしょうか。また、いわゆる地方分権についてはさまざまな論議のあるところでありますが、本県としてはどう取り組まれるのか、市町村にはどう指導をされるのかを伺いたいと存じます。
 次に、人口重心に絡んで県土の均衡ある発展についてお伺いをいたします。
 私は、かねて早池峰は岩手のへそであると思っておりましたが、国勢調査によりますと、我が早池峰山ろくの大迫町内川目地区内が岩手県の人口重心となっております。平成2年の国勢調査と昭和62年と比較しますと、その重心地点が西に882メートル、南に82メートル移動しております。これは要するに、県全体の人口分布が東から西へと傾斜していることを意味するのであります。本年10月1日の調査結果はまだ出ておりませんが、さらに西に移動していることが考えられます。すなわち、東北本線、北上川沿いに人口が集中していることになります。広大な岩手県土の中で、長野県に匹敵する面積を有する沿岸と北上山地地域が過疎化、高齢化が進み、生産所得の鈍化、消費流通の空洞化が急速に進んでいる状況を示しておると存じます。このような状況から、県の施策は県土の均衡ある発展を期するために、従来、交通網の整備に重点を置いてまいりました。その生活圏域の時間の短縮は、住民の定住性を高めるのに作用するのではなくて、住民の北上川流域への移動という形であらわれているのではないでしょうか。このあたりで交通ネットワークの側面からだけではなく、抜本的な構造的な政策を考えなければならないと思うのであります。知事の御所見を伺うものであります。
 次に、過疎対策についてでありますが、県は、今まで過疎地域の活性化に向かって努力してきているところであります。本県、後期過疎地域活性化計画等の取り組みの状況についてお伺いいたします。また、市町村から出されている過疎後期対策の特筆すべき傾向はどうなっておりますか、それを受けて県としての基本的な考え方はどうかということをお聞きしておきたいと存じます。
 次に、花巻空港の機能強化についてお伺いいたします。
 航空が国民の足として完全に定着した観のある今日の我が国におきまして、本県にとっても、全国各地さらには外国との間で航空輸送による人的、物的な交流の活発化を通じて経済の発展を図っていくことが重要な課題の1つとなっております。そのための具体的な方策として、花巻空港の機能をさらに強化し、航空ネットワークを充実させていくことが当面の大きな目標とされているところであります。御承知のとおり、花巻空港につきましては、本年3月に完了したかさ上げ工事により中型機の発着が可能となったところであります。滑走路自体は昭和58年以来、2、000メートルのままにとどまっております。これに対しまして、東北各県の空港の現状を見ますと、青森や秋田空港は既に2、500メートル滑走路を有し、仙台空港では3、000メートル化、福島空港では2、500メートル化に向けた工事がそれぞれ進められているなど、各県で空港機能の強化が着実に図られているところであります。無論、本県の場合には、東北新幹線や東北縦貫自動車道が比較的早く開通し、高速交通基盤の整備の面で他県よりもある程度は先行してきたという事情もございますが、今日における航空輸送の役割の大きさを考えますと、花巻空港が東北他県の空港に比べまして見劣りのする感は否めません。このような現状を踏まえた上で、県におかれましては花巻空港の機能の強化を図るべく、滑走路の2、500メートル延長整備を平成8年度から始まる第7次空港整備5カ年計画に組み入れることを目指し、空港の利用促進などの施策に鋭意取り組んでおられるところであります。その御努力に対しましては敬意を表したいと存じます。しかしながら、先般、航空審議会により示された第7次空港整備5カ年計画の基本的な考え方は、地方空港の滑走路延長について極めて厳しい内容となっており、航空需要の観点から花巻空港の滑走路延長の必要性を訴えていく上では、花巻空港の利用促進運動の成否が従来にも増して重要な意味を持つようになっているものと思われるのでございます。
 そこでお尋ねいたしますが、花巻空港の2、500メートル化に向けて、花巻空港の今年度の利用の実績はどのように推移いたしているのでしょうか。また、その実績の推移を踏まえた上で、第7次空港整備5カ年計画への組み入れの見通しについても、県における今後の対応方針も含めてお伺いいたします。
 次には、大店法改正による大型店の地方進出についてお伺いいたします。
 自由経済の中で、規制緩和はとうとうたる時代の要請でありますが、大店法の規制緩和によりこれは平成6年5月1日に施行されております。その規制緩和による届け出された店舗は、平成6年度には1種が10、2種が25、計35店舗でございます。また、本年度は11月現在で1種が5、2種が15、計20店舗となっております。こうした中、改正大店法が施行されました平成4年度から現在までに届け出されました95店舗中52店舗が、それぞれの地域で消費流通を担って活躍しております。届け出の状況を見ますと、従来の都市部から町村部に進出の傾向が見られ、町村関係が28店舗のうち24店舗が北上川流域の町村となっておるのであります。我が大迫町においては、交通条件の改善等により、近隣に続々と進出している大型店舗に購買力が集中し、地域内の商店は売り上げの激減と後継者難に悲鳴を上げておる現実であります。不況の波は、品ぞろえと低廉なサービスとファミリーショッピングなどを楽しむ空間などを求めてこれからもその趨勢はとまらないと思うのであります。
 そこでお伺いいたしますが、大型店進出の陰に泣く地域商店街の生き残りの方策、活性化方策についてお伺いをしたいのであります。
 次に、雇用問題についてお伺いいたします。
 長引く不況の中で、県内の労働市場は厳しい状況が続いており、有効求人倍率は既に2年半以上にわたり1倍を割り込んで推移しております。このように、厳しい状況の中、円高等を背景に企業の合理化が相次ぎ、合理化による離職者数も日増しに増加しております。一方、学卒の就職状況につきましても、先日の新聞発表によれば、この10月末の高卒内定率については前年を上回ったものの、低水準であることには変わりはなく、大学生の就職内定率に至っては51、2%と、前年の同じ時期をさらに6、3ポイント下回っておるのであります。この時期にこのように大変低い就職内定率はかつてなかったのではないか。このようなことから、明年3月卒業する大学、短大の就職戦線をマスコミ等は超氷河期と形容しているところであります。こうした雇用不安に当たって県当局はいかに取り組んでこられたのか、今後の指導、企業への要請をどのように考えておられるのかをお伺いいたします。
 次に、観光行政についてお伺いいたします。
 本県は、緑豊かな山岳の自然美、世界的にもまれなるリアス式海岸美、中尊寺を中心とする中世の文化遺産、豊富な繩文遺跡、すぐれた文人墨客の足跡など、温かく朴訥な民俗性と相まって、観光行政の立場からもその特質を生かして努力を傾注されてきたところでございます。岩手国体の行われた昭和45年から、観光ルートや拠点施設が徐々に充実を加えて年々観光客の入込数が増大し、平成6年までのこの25年間で、入込数が4倍に当たる4、140万人回となっております。東北自動車道、新幹線の開通、平泉800年祭、国体の冬季大会、三陸海の博覧会、世界アルペンなど、ビックイベントの開催などが相次ぎまして吸引力をさらに発揮したと言えましょう。一方、国民生活の余暇増大に伴いまして消費動向にも大きな変化が見られ、観光地の選択や大型の団体移動型から家族グループ型に変わってきているのではないでしょうか。将来の観光の受け皿としての本県のあり方の再検討を要するときが来たのではないでしょうか。盛岡以北新幹線が青森まで開通する21世紀初頭には、本県は通過型となりかねないのではないでしょうか。また、相次ぐ天災に加えて、深刻な不況が観光入込数とその消費動向に変化が見られているのではないかと思います。ホテル、宿泊施設の利用率や1人当たりの観光消費の状況など、把握しておられたならばお示しを願いたいと存じます。
 また、今後、本県の観光行政の力点をどこに置くべきかお考えをお示し願いたいと存じます。
 次には、釜石線と新幹線のダイヤの接続や民間バスとJR各線との接続など、観光客に不利不便な点がありと指摘が多いのでありますが、その実態を調査の上、速やかなる改善をこれは要望しておきたいと存じます。
 なお、タクシー業界も常に景気の好・不況の波にさらされながら、住民のまた観光客の足として活躍しているところでありますが、このたび9月末の改定により料金がさらに値上がりし、病人、弱者の懐を痛めております。また、運転手の立場からも水揚げ減になるのではないかと心配されておるところであります。観光の立場から言えば、この料金に時間決めのチャーターの観光タクシー制度を県下広く普及すべきではないかと思われますが、他県観光地の先例を取り入れ積極的に指導されたらどうか御所見を伺いたいと思うのであります。
 次には、林業施策についてお伺いいたします。
 岩手は林業県でございます。森林面積118万2、000ヘクタールを占め本州第1位でありますが、民有林の人工林率は43、2%であり、全国31位に甘んじておる現状でもございます。民有林面積78万ヘクタールのうち、人工林は33万ヘクタールとなっております。今後、一層の林業基盤の整備を図る必要があるでしょう。現在、林業をめぐる環境は依然として厳しい状況の中にありますが、本県の森林は、人工林を中心に着実にその資源を充実させております。来るべき次の世代には、我が国の木材供給県として確固たる地位を構築する必要があると考えております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 私は、かつて大迫町長として森林組合の育成に努めてまいりましたが、大迫町森林組合の現状にも触れながら、林業推進の最大の担い手である森林組合の育成強化について質問してまいりたいと存じます。
 さて、大迫町は区域面積の87%余りの約2万2、000ヘクタールが森林であります。私は、大迫町の振興を図るためには林業の振興が不可欠であると考え、森林組合と一体となって杉、アカマツ等の人工林の造成に努めてまいりました。この結果、大迫町の民有林の人工林面積は約9、000ヘクタールに達し、人工林率は53、6%となりました。このように、当森林組合は人工林の造成を中心に森林造成事業に取り組み、かつては県下有数の優良組合でありましたが、近年の林業を取り巻く厳しい状況により森林組合員の林業経営意欲が減退し、森林造成事業が減少したため、極めて厳しい経営状況になっていると聞いております。県内には37の森林組合がありますが、平成6年度の決算状況を見ますと、累積欠損金を計上した組合は半数を超える19組合にも上っております。いずれも険しい経営の実態にあることを伺わせるのであります。このような状況がこれからも続くとするならば、ほとんどの組合が経営破綻に陥ることは明白でありましょう。こうなれば、林業の中心の担い手を失ってしまうことになります。このような厳しい現状を打破するために、大迫町森林組合では最新鋭の製材工場を新設し、森林造成から木材生産、加工流通に至るまでの一貫した事業に取り組んでいるところであります。21世紀の国産材時代に向かって本県の林業を推進するためには、森林組合がリーダーとしての役割を担い、そのためには新しい事業の展開など、森林組合のさらなる育成強化が緊急の課題であると存じます。また、新たな事業を展開するためには、多くの森林組合が資本力や執行体制など、経営基盤が脆弱でありますので広域合併を強力に推進し、経営基盤と体質の強化を図ることが大切であります。本県の林業振興を推進する上で、山村振興、過疎対策、林業構造改善などの国、県の諸施策の事業主体ともなって、主要な担い手としての森林組合を今後どのようにして育成強化を図られようとしておられるのか、林業水産部長の力強い御所見をお聞きしたいものでございます。
 次に、図書館行政についてお伺いいたします。
 県立図書館は、明治36年に設置された私立盛岡図書館を前身としております。大正11年4月に、その蔵書数2万冊を引き継いで開館され、本年で75年の歴史を刻んでおります。そのきっかけは、本県の生んだ平民宰相原敬首相が私財1万円の──現在、これは約7、000万円相当なようでありますが──寄附を申し出られ、当時の柿沼知事と北田盛岡市長との間で建設が決まったものであります。開館を待たずにその前年、原首相は東京駅頭に凶弾に倒れ、晴れの開館を見ることができませんでした。現在の図書館は岩手公園の一角に昭和43年に開館し、収蔵図書30万冊を考えたものでありますが、既に今は39万冊を超え、その他各種資料とあわせて収蔵能力をはるかに超えてパンク寸前でございます。県教育委員会におかれましては、既にその対策について具体的に検討期間を設けて図書館改築に向けて鋭意努力中と聞いておりますが、次の諸点について伺います。
 改築の目標年度はいつでありましょうか。その規模、機能についてはどうなっておりましょうか。位置については盛岡に置くのか、それとも地方を選ぶのか、また、増加、充実の傾向にあります市町村立の図書館との連携指導をどうするのか、既に進められております県立美術館との連携をどのように考えておられるのか等につきましてお答えいただきたいと思うのであります。
 次に、スポーツ振興についてお伺いいたします。
 本年の福島国体の成績は本県は全国30位となり、昨年の44位に比べて格段の成績でありましたが、会場が東北ブロックという有利性もあずかっており油断はできませんけれども、平成10年の冬季完全国体、11年のインターハイ会場県として、選手強化とスポーツ底辺の拡大は喫緊の要務と考えております。しかるところ、将来の選手強化の方策についてお伺いいたします。
 次に、スポーツ施設については、特に本県の特色ある強い種目につきましても追い越されぬよう、常に充実向上を期すべきでありましょう。特にも、登山競技は岩手国体において正式種目に採用されて以来、全国屈指の成績を上げておるのは御承知のとおりでありますが、毎年登はん競技のみは、山岳多けれど岸壁少なしの当県の実情からして、進んでいる他県におくれをとる傾向があると聞いております。初心者から高度な登はん競技まで、いつでも練習できるクライミング・ボードなどの施設さえあれば鬼に金棒でありますが、この点についてのお考えはどうでしょうか、お伺いいたしたいと存じます。
 また、スポーツ界のレベルアップを担う社会人スポーツ界において、不況リストラを背景に近ごろ廃部する企業が出ております。バレーボールは8社、バスケットは2社、野球は2社、バドミントン3社、ラグビー、剣道、スケート各1社となっております。いずれも、かつてハイレベルの伝統を持つ有力チームでありましたが、企業の置かれた厳しい環境により、選手の確保の困難性などから廃部に追い込まれていると思われますが、その影響をどうとらえるのか、県が目指す選手の競技力の強化の方向にブレーキがかかるのではと存じますが、その対策について御所見を承りたいと存じます。
 最後に、県警本部長に伺います。
 平成3年から平成4年にかけての議会論議の中において取り上げられました治安と青少年健全育成との観点から、暴力団追放に関する諸施策あるいはコミック本の対策など種々の論議がなされたところでありますが、その後の防犯の状況についてお伺いいたします。
 まず、麻薬、覚せい剤が依然としてはびこり、一般社会人、特に若い世代にまで浸透している報道もされております。ゆゆしきことであります。その状況をお聞かせください。
 次に、銃器による殺傷事件、特に警ら中の警官がその被害を受けるなど凶悪化が進んでおり、本県の実態は、摘発の状況はどうなっているのかお伺いいたします。また、暴力団の取り締まりの状況、特に最近の状況により、その活動に変化が見られるのではないかと思われますがお伺いいたします。
 さらに伺います。暴力団取り締まりの一環として、さきに県内露店商に対する指導の強化が打ち出されましたが、村祭りなど、各種イベントなどに展開される露店商が、その一部において暴力団の手が伸び、麻薬などの温床にもなり資金源となっているということから、その取り締まりと出店規制について県民の協力を得て実施していると聞いております。現在までどのように推移しておりましょうか、状況をお聞かせいただきたいと存じます。
 以上をもって、質問の中身の発言を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 村田柴太議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、いわゆる3県総の後期実施計画の策定についてでございますが、後期実施計画につきましては、前期実施計画の進捗状況や計画に掲げております21世紀を開く主要構想の検討成果、こうしたものを踏まえますとともに、国際化、少子・高齢化、高度情報化、環境保全への要請の高まりなど、経済社会情勢の変化に的確に対応し、また、国の新しい経済計画、全国総合開発計画の策定など、こうした国の動向をも見きわめ、さらには、現在行っております県政懇談会など、さまざまな機会をとらえまして把握をした地域の実情と県民の皆様方の御意向を勘案しながら、策定することといたしております。特にも、本県の基本的課題でございます県北、沿岸地域の振興、こうしたものを初めとした県土の均衡ある発展を図ることはもとよりでございますが、3県総策定後のその後の新たな経済社会情勢の動向に的確に対応することが重要なことでございまして、阪神・淡路大震災を貴重な教訓といたしました災害に強い県土づくりや消防防災体制の強化、円高に伴う産業の空洞化への懸念に的確に対応した、いわゆる内発的な産業の振興ですとか、ウルグァイ・ラウンド合意の実施に伴います地域経済への影響に対する適切な対応でございますとか、さらには、青森、秋田、岩手によるこうした北東北3県を中心としました地域連携軸の促進、あるいは県境を越えた新しい交流圏の形成によります地域自立の基礎づくりなど、こうした新しい多様な施策について十分検討を加えてまいりたい。言ってみますと、すべての分野におきまして施策の重要性ですとか緊急性を総点検をいたしまして、取捨選択、優先度の判断を行って策定をしていきたい、このように考えているところでございます。
 次に、地方分権についての所見及び取り組みについてでございますが、私は、この地方分権の問題は、当面する県政の課題の中で最も重要なもののうちの1つであると、このように考えているところでございます。就任以来これまで県内各地を回りまして、数多くの県民の皆様の生の声に接してまいったところでございますが、住民に身近な行政は、最も身近な行政主体である市町村において展開していくことが基本でございまして、その意味で、市町村はまさに先端行政を担っている。市町村行政はまさに先端行政でありまして、その果たす役割は、これからますます重要となってくるものと、改めて強く感じているところでございます。
 今後は、地方分権推進法の精神に沿いまして、地方のことは地方にゆだね、すなわち地方は自分たちのことは自分たちで行うんだ、国は本来的に果たすべき役割に専念する、こうしたことができるように国及び地方公共団体の役割分担を明確にしまして、地方公共団体の自主性、自立性を高めて、個性があり、豊かで活力に満ちた地域社会を実現することを基本とした、こうした地方分権が推進されることが、これからの時代の要請であり、このことは県民の方々も望んでいる方向であると、このように考えているわけでございます。県といたしましては、国の地方分権をめぐる動向に注目しながら、市町村ともどもその受け皿の整備に努めます一方、国に対しましては、いわゆる機関委任事務の整理を初めとして、地方に対して十分な権限委譲を行う。そうしたこととともに、こうした新しい地方行政の推進を確保できるような財源の拡充を図っていただくように、強く働きかけてまいる考えでございます。
 また、市町村に対しましても、来るべき時代のパートナーとして、各団体が創意や工夫を凝らしながら独自性ある行政を展開できるよう、また、広域的な課題がある場合に対しましては、市町村が連携してそうした課題の処理に取り組んでいけるように、十分な支援を行ってまいりたいと、このように考えているところでございます。
 次に、県土の均衡ある発展を図るための政策ということでお尋ねでございますが、本年10月に行われました国勢調査の速報値によりますと、本県の総人口は、平成2年と比較して増加はいたしておりますけれども、地域別にこれを見ますと、北上川流域の内陸部は増加しておりますものの、県北や沿岸などその他の地域では、減少が見られるというのは御案内のとおりでございます。県におきましては、各地域における人口の定住を促進し、こうした県土の均衡ある発展を図るために、これまでに東北新幹線盛岡以北や東北横断自動車道釜石秋田線などのこうした建設促進を初めとする、高速交通体系を軸としました広域ネットワークなど、いわゆる基盤となります社会資本の整備充実に努めるとともに、それ以外の分野におきましても、それぞれの地域の特色や個性を生かしながら、基幹産業であります農林水産業や商工業の振興発展を図ってきましたほか、都市機能の強化や下水道などの居住環境の整備、あるいは保健医療や福祉の充実、教育、文化、スポーツの一層の振興に意を用いるなど、総合的な施策を展開してきた、そういう経過があるわけでございます。議員御指摘のとおり、交通体系が整備をされますと、いわゆるストロー効果と称されているようでございますけれども、そうしたことによって都市部に人口が吸収されるということも、間々現象としては見られるところでございますが、逆にそうした交通体系の整備によって企業誘致が可能となって雇用が増すというそういう効果などもあって、いろいろな幅広い効果がいろいろな面で生じているというようなことのようでございます。
 今後におきましては、従前にも増して、県土の均衡ある発展の実現を強く念頭に置きまして、具体的な施策を展開していく。そして、その具体的な施策の展開に当たりましては、交通体系の整備などいわゆる社会資本など、ハード面の整備もございますし、そうした整備に加えまして、いわゆるソフト面につきましてもさらに十分力を注ぎながら、こうした活力ある地域社会の形成と、県民1人1人が豊かさを真に実感できる生活の実現に向けまして、県として積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、それぞれ関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) 過疎対策についてでございますけれども、現在平成7年度を初年度とする後期過疎地域活性化方針及び活性化計画を策定いたしまして、これに基づき事業を実施しているところであります。その計画の概要でありますが、地域特性を生かした活力ある産業の振興、快適な生活環境づくりの推進、生き生きとした暮らしを支える福祉の充実、そして個性豊かで活力ある地域づくりの推進、この4つを柱といたしておりまして、事業費で見ますと総額1、725億円、これは、前期計画額に比べまして25%の伸びとなっております。特にも、農業生産基盤整備等産業振興では50%の伸び、それから公共下水道等の生活環境整備では、これは前期の計画額がやや小さいということもあろうかと思いますけれども、32倍の伸びと、こういう形になっております。
 また、市町村の過疎後期計画の特筆すべき点についてでありますが、計画額で見ますと前期計画に比べて51%増の2、846億円余と、全体として非常に意欲的に取り組んでいると見ております。事業の特色としましては、下水道整備、住宅団地造成、住宅建設等、定住を目指した生活環境整備の推進、それから都市と農村との地域間交流の推進、そして高齢者福祉の推進、こういったものに重点を置いたものとなっております。県といたしましては、地域の活性化を促し、県土の均衡ある発展を図る観点から、昭和45年以来3次にわたる過疎対策のための特別法あるいは──これは県独自でありますが──県道等の整備事業に対する市町村負担金免除、自治振興基金の貸付条件の特別措置、こういったような支援などを行っておりまして、積極的にその計画の推進に努めてきたつもりであります。今後におきましても各市町村が地域の特性を生かして、地域の活性化を図ることができるよう、しっかり連携をとりながら総合的に推進してまいりたいと考えております。
   〔企画調整部長小野寺英二君登壇〕
〇企画調整部長(小野寺英二君) 花巻空港の機能強化についてでありますが、御案内のとおり、県におきましては、同空港の滑走路2、500メートル延長整備の早期実現を図るために、これを最も重要な課題として位置づけ、かねてから岩手県空港利用促進協議会と一体となりまして、大阪線に重点を置いた利用促進運動を展開しているところであります。この結果、その利用実績を見ますと、今年度は各月とも前年実績を大幅に上回りまして、10月末までの合計で申しますと約13万2、000人となっておりまして、これは前年同期に比べまして2万7、400人余、約26%の増加となっております。しかしながら、いまだ当初設定した目標水準には達していないところでありまして、加えて、去る8月に航空審議会が公表いたしました第7次空港整備5カ年計画の基本的な考え方におきましては、地方空港について滑走路の延長等を新規に着手する場合には、需要への対応を基本とするなどの方針が示されましたことから、同計画への組み入れは依然楽観を許さない厳しい状況にございます。したがいまして、県といたしましては、来年11月ごろに予定されております5カ年計画の閣議決定に向けまして、ここ半年間がまさに正念場であるととらえまして、官民を挙げた国等への働きかけを一層強化いたしますほか、利用促進運動につきましても、需要閑散期であります冬季におきます利用の拡大を図るために、利用者への県産品のプレゼント等を通じたPRはもとより、旅行代理店等と連携を深め、企画旅行であります県民の翼の実施、あるいはキャンペーンを展開いたしまして近畿地区からのスキー客の誘致を図るなど、可能な限りの方策を講じながら最大限の努力を重ねてまいりたい、このように考えております。
   〔商工労働部長古館敏男君登壇〕
〇商工労働部長(古館敏男君) まず、地域商店街の生き残り、活性化方策についてでございますが、御案内のとおり、最近の商店街を取り巻く環境は、消費者の価値観やライフスタイルの変化、モータリゼーションの進展、さらには、大型店の規制緩和などに伴いまして、大型店の進出や郊外型店舗が増大するなど厳しい状況にあります。このような中にありまして、地域の商店街が生き残りや活性化を図っていくためには、きめ細かなサービスの提供や専門店化による魅力ある店づくりに努めるとともに、ポイントカードの導入による消費者利便の向上やイベントによるにぎわいの創出のほか、駐車場や街路灯などの環境整備により、地域住民が集い、交流する暮らしの広場としての機能を備えた商店街の形成を図り、地域のコミュニティーの中核としての役割を積極的に果たしていくことが必要であると考えているところであります。
 このため、県といたしましては、診断指導や小売商業支援センターでの情報提供、融資制度の活用による経営力の強化に努めるとともに、消費者に利便性と快適性を提供するため、商店街商業基盤整備事業などによるソフト、ハードの両面から、商店街の活性化への取り組みを積極的に支援しているところでございます。今後におきましても、商店街が大型店と共存共栄を図られるよう、地域の個性を生かした総合的なまちづくりを推進するため、商業施設、商業基盤施設、公共施設、一体的に整備することを目的とした特定商業集積法に基づく施設の展開などにより、市町村と商業者が一体となった商店街の活性化への取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策についてでありますが、御指摘のとおり、長引く不況の中にあって、労働力需要が低下しておりまして、合理化等による離職者が増加する一方、学卒者の新規採用は厳しい状況にございます。こうした中にありまして、本年7月から県に円高等雇用対策協議会を、また、各地域に円高等雇用対策連絡協議会を設置しまして、全県的な雇用動向の把握に努めるとともに、市町村及び商工団体等との連携を密にしながら、各種助成措置などを活用して雇用の維持に取り組んでいるところであります。
 さらに、離職者の発生が見込まれる場合には、失業を経ずして再就職できるよう、また、やむなく離職者が発生した場合には1日も早く再就職できるように努めており、今後とも一層努力してまいりたいと考えております。
 次に、学生への就職支援でありますが、県といたしましては就職ガイダンスや知事名による採用枠拡大要請、主要経済団体への訪問要請、求人説明会等を例年より時期を繰り上げて早く実施するなどによりまして、積極的に展開しているところでございますが、今後、引き続き主要経済団体に対する採用枠の拡大を要請してまいるほか、合同面接会を追加実施することについても、現在検討しているところでございます。
 また、本日から盛岡公共職業安定所に盛岡学生職業相談・情報コーナーを開設したところでありまして、職業情報提供機能の強化、相談体制の充実を図るとともに、大学等未就職者等に対する就職支援もあわせて実施するなど、学生などの就職支援に積極的に取り組んでまいることとしております。
 次に、宿泊施設の利用率及び観光消費等についてでございますが、御指摘のように、景気の低迷等の影響によりまして、全国的に宿泊を伴う観光客が減少している状況にありますが、本県の宿泊施設を利用する観光客につきましても、平成4年をピークに伸び悩みが見られておりまして、平成6年の利用率は約21%となっておるところでございます。
 また、1人当たりの観光消費の状況につきましては、県の観光客動態調査によりますと、ここ数年の平均消費額は1万円前後となっておりまして、本県では、平成4年度以降大きな変化はございませんが、全国的な傾向といたしましては、総務庁の家計調査によりますと、旅行関連支出が減少している状況にあります。
 さらに、近年の観光は、自由時間の増大に伴いまして家族や小グループの需要の増加等、旅行形態の変化とともに、旅行目的につきましても精神的欲求の充実、能動的な楽しみ、健康の維持、地域との触れ合い等を重視する傾向が強くなっておりますので、これらへの対応が今後の課題であろうと考えております。このため県といたしましては、これらの観光ニーズの多様化に対応し、家族等がそれぞれに多様な楽しみを享受できるような観光施設の整備を推進するほか、関係機関、団体と一体となって、画一的な旅行形態やサービス体系、価格水準の見直しを進めてまいりたいと考えております。
 また、訪れる観光客が県内各地域において歴史、文化などに触れるとともに、豊かな自然の中での体験を楽しみながら地域住民との交流もでき、本県の魅力をじっくり満喫できる体験型の観光ルートを整備するなど、滞在型観光の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、観光タクシー制度の普及についてでありますが、観光タクシー制度は、本県におきましては、国の認可による特約運賃によるものが一関市で導入されているほか、盛岡市では、普通運賃ではありますが、あらかじめルート及び標準的な料金を設定した観光タクシーが利用に供されているところでございます。設定されたルートを効率よく経済的に周遊することができる本制度は、観光客の利用交通機関の選択の幅を広げまして、利便の向上に資するものと存じますが、地域によりまして実情が異なることも考えられますので、関係団体と協議しながら進めてまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長田尾秀夫君登壇〕
〇林業水産部長(田尾秀夫君) 森林組合の育成強化についてお答えいたします。
 県内には現在37の森林組合がございますが、議員御指摘のとおり、厳しい経営状況のところが多く、このような状況が続きますと経営が破綻する組合も出てくるおそれがあると懸念しているところでございます。このような事態に立ち至った大きな原因は、近年、造林事業が大幅に減少しているにもかかわらず、依然として森林造成事業を主体とした経営を続けている組合が多いためであり、これからは木材の生産や加工など、新しい分野に積極的に事業を拡大していく必要があるものと考えておりますが、木材加工などの新しい事業に取り組んでいる組合は、現在のところ大迫町森林組合を初め6つの組合にとどまっておりますので、林業構造改善事業等の国庫補助事業を導入いたしまして、木材加工施設等の整備を積極的に進めてまいりたいと存じます。
 また、森林組合の作業員を有効に活用するため、森林公園等の施設管理や作業道の開設など、新たな事業を積極的に開拓していくことも重要であると考えているところでございます。
 このように森林組合は、新しい時代に向かって積極的に事業を拡大していく必要がありますが、多くの森林組合は、議員御指摘のとおり、資本力、組織体制など、経営基盤が脆弱であり、事業拡大がなかなか進まない状況にございますことから、経営基盤の拡大を図ることがまずもって必要であり、広域合併を強力に促進しているところでございます。広域合併につきましては、平成元年度に策定いたしました基本方針に基づき、当時44ございました森林組合を18の組合に統合すべく合併を進めてまいりましたが、この結果、平成5年度には北上地区の2つの森林組合が、平成6年度には二戸地区の3つの組合と水沢地区の5つの組合がそれぞれ合併にこぎつけたところでございます。
 また、東磐井地区の6つの森林組合においても、合併の議決がなされ、平成8年の早い時期の合併に向け、現在、手続を進めているところでございまして、この結果、16の森林組合の広域合併が完了することとなります。全国的に森林組合の合併が進まない中にあって、本県ではこのように比較的順調に進んでいるところでございますが、必ずしも計画どおりに進んでいない状況にありますので、さらに広域合併を進めるため、現在、久慈地区と花巻地区を重点に取り組んでいるところでございます。いずれにいたしましても、来るべき国産材時代を現実のものとするためには、森林組合が林業の中核的な担い手としてその役割を果たしていくことが、何よりも重要でありますので、今後とも、森林組合の育成強化に総力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
   〔教育長橋田純一君登壇〕
〇教育長(橋田純一君) まず、県立図書館の整備についてでありますが、生涯学習社会の構築に向け図書館の果たす役割は、生涯学習を支援する中核施設の1つとして、ますますその役割が重要になってくるものと考えているところであります。現在の図書館は、御指摘のありましたとおり、蔵書、資料の増加による施設の狭隘化や施設、設備の老朽化により、電算システムの導入など、新たな設備の整備が困難な状況となっております。このような状況を踏まえまして、県教育委員会は、これまで生涯学習関連施設等調査検討委員会を設置、開催し、新図書館の整備構想について検討を行ってきたところであります。
 お尋ねのありました規模、機能などの整備概要についてでありますが、同委員会の構想検討の過程においては、少なくても蔵書100万冊は収蔵し、かつ電算システムの導入等を考慮し、これに見合う施設の整備が必要であるとされているところであります。
 また、市町村立図書館との連携につきましては、現在、電算システムを導入している市町村が14を数え、今後さらに増加することが見込まれておりますことから、将来的にはこれらとのネットワーク化を図り、そのセンターとしての機能をあわせ持つなど、支援機能を十分に果たせる図書館でなければならないとされております。県教育委員会といたしましては、今後、整備計画を策定するに当たりまして、設置場所の選定が重要でありますので、県立図書館設置の歴史的経緯や利用者の利便性、県内市町村からのアクセス等を考慮し、総合的な判断が必要であると考えております。
 なお、県立美術館との連携につきましては、美術館整備の進捗状況をも考慮しながら今後検討してまいらなければならない課題であるととらえております。いずれにいたしましても図書館の整備につきましては、当面の重要な課題であり、県民の期待にこたえられるよう、早急に所要の事務を進めてまいりたいと考えております。
 次に、スポーツ振興についてでありますが、まず将来の選手強化の方策につきましては、これまで競技力向上5カ年計画に基づきまして強化に取り組んでまいってきたところであります。現在、本県競技力の現状を踏まえ、小学生からの一環した指導の推進、スポーツ医科学支援体制の確立などを中心とする第2次計画の策定に着手しているところであり、今後とも、選手の強化について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、冬季国体、インターハイに向けましては、通常の強化策のほか、本年度新たに海外遠征や未普及競技育成事業などを含めた特別の措置を講じながら強化を図っているところであります。
 次に、登はん競技に使用される人工の壁、いわゆるクライミング・ボードの整備についてでありますが、御案内のとおり、国体の登はん競技は、平成6年の愛知国体において初めて天然の岩場を離れ、クライミング・ボードにより競技が行われたところであります。落石等の心配のないクライミング・ボードは設置場所は比較的容易に選定できることから、登はん競技は、今後、見るスポーツとしても、より多くの人々の興味を引き、関心の高いスポーツになっていくものと考えているところであります。県教育委員会といたしましては、登はん競技を含めた山岳競技の競技力の一層の向上に向けて、新たな施設の整備も含め、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、企業チームの廃部の影響及び対策についてでありますが、いわゆる実業団の活躍は、競技力向上等スポーツの振興に大きく寄与しているものであり、その減少により、競技力の低下が懸念されているところであります。県教育委員会といたしましては、平成5年度から、企業チームの活動促進のため、県体育協会が実施する企業スポーツクラブ育成強化事業に対し助成を行っているところでありますが、企業チームの維持運営は、それぞれの経営主体の方針に負うところが大きく、支援にもおのずから限界があると考えております。今後におきましては、本県のスポーツ振興方策全体の中で、企業チームの役割、そして支援なども含め、広く意見を求めながら検討を行ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長石川正君登壇〕
〇警察本部長(石川正君) まず、薬物の取り締まり状況についてでありますが、県内における覚せい剤事犯の検挙は、昨日現在97件、56名で、約10グラムを押収しております。検挙から見た特徴としては、暴力団関係者が31名、55%を占めるなど覚せい剤が依然として暴力団の有力な資金源となっていること。昨年検挙がなかった少年が5名あり、また女性が14名と、この両者で全体の3分の1を占めるなど、社会に広く蔓延の傾向が見られることであります。このような覚せい剤事犯の傾向を踏まえ、覚せい剤密売ルートの壊滅と末端乱用者の徹底検挙等、取り締まりの徹底と乱用防止のための広報啓発活動を強力に推進するなど、薬物事犯の根絶に向けた諸活動を強化しているところであります。
 次に、当県の銃器犯罪の実態と摘発状況についてでありますが、全国的にけん銃が一般市民層にまで拡散しており、これが治安の悪化を招いている要因と考えているところであります。県警といたしましては、本年1月に銃器対策室を設置するなど、組織の総力を上げて取り締まりに努めてきたところであり、これまでに過去最高であるけん銃12丁とけん銃実包95発を押収しているところであります。今後とも、関係機関と連携した水際対策や県民と一体となった銃器根絶運動をより一層推進するとともに、銃器使用犯罪の未然防止とけん銃等の摘発、取り締まりをさらに強化していく所存であります。
 次に、暴力団の取り締まり状況についてでありますが、警察で把握している県内の暴力団は、本年10月現在25団体、417名となっております。このうち指定暴力団である山口組が300名を超え、東北では最大の勢力となっております。最近の暴力団情勢は、企業を対象とした資金獲得活動や企業の倒産整理に絡んだ不法事案など、資金源獲得方法が広域化、知能化の傾向を努めており、一方、けん銃を使用した凶悪犯罪も多発し悪質化してきております。
 今後、本県が発展するにつれて山口組等の広域暴力団が進出してきて各種不法事案を起こすのではないかと懸念されるところであります。本年の暴力団犯罪の検挙は、10月末現在、252件、122名でありますが、強い対決姿勢を持って取り組んだ結果、50%増、前年に比べて50%増の人員を検挙しており、また、過日は釜石にある当県最大の山口組系暴力団組長をけん銃不法所持容疑で逮捕したところであります。今後も、警察の総力を上げて取り締まりに当たるとともに、県民の御理解と御協力のもとに、官民一体となった暴力団の排除活動に取り組んでまいる所存であります。
 次に、露店からの暴力団の規制等についてでありますが、暴力団相手の露店は暴力団の資金源となっているところから、暴力団を締め出し活動資金を遮断する施策は、暴力団総合対策の一環として重要な柱であります。このような観点から、各地の祭りやイベントの関係者の御協力を得て警戒取り締まりを強化し、露店から暴力団の完全排除に努めているところであります。また、平成5年3月に暴力団離脱者や一般露店商の方々でもって街商組合や露店愛好会等が設立されております。これらの露店商につきましては、暴力団が介入していないか厳しくチェックするとともに、地域住民の意向に沿った健全な営業がなされるように指導強化しております。
 以上でございます。
〇29番(村田柴太君) 1つだけ再質問をさせていただきますが、先ほど知事からの御答弁のあったところでありますが、地方分権としての受け皿、そういう受け皿としましては今までの広域行政と、広域生活圏をとらえた今までの広域行政というのがあったわけですけれども、社会環境、経済社会の状況が変化をしておるという先ほど知事の御所見もあったわけでありますけれども、受け皿として今後どのような推移になるでしょうか。かつては、道州制も論議された経緯がございますし、また、郡制というのはちょっと今の時代には余り意味がないんじゃないかという自治体側の中でも意見のあったところであります。
 私がかつて町長をやっておりましたずっと昔の話になりますけれども、千田知事当時に、私どものたばこ、ブドウ、その他また共通項の多い紫波町とのいろいろな懇談の機会があったわけでありますが、その中で早池峰市構想というものが話題になったことがございます。千田知事はその話は非常におもしろいと、関心があるなというような程度で終わっておるわけでありますが、これは紫波町と大迫は町同士の境界の隣でありますが、国会の選挙の場合の1区と2区の境でありますし、郡境でもあると。また、地方振興局の線引きでもこれは違っておるわけでありまして、そういう問題からいうと非常に困難な問題があったわけであります。今もあり続けておるわけでありますが、また一方、昨今、地方拠点法の導入に伴いまして北上中部地域、三陸地域、この2つの地域が県の御努力によりまして指定が行われ、それぞれのプロジェクトをこれからどうするか、これは大変な大きな課題であろうと思いますけれども、そういう拠点地域の問題と現在の広域生活圏との区域が必ずしも一致しておらぬという状況がございます。例えば花巻・北上中部の拠点都市の問題と花北地区広域圏との線引きも必ずしも整合性がないと。例えば石鳥谷と大迫はそこから外れておると。ただし依然として広域生活圏であると、こういうケースが見られるわけでございますけれども、こういう中で今後地方分権を推進すると、そしてまた合併論ということもあり得るわけでありますが、その点を、きっちりした御答弁はなかなか難しいことだと思いますけれども、知事の御所見、それから総務部長の御所見を承りたいと思うわけであります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) お尋ねの市町村の合併の話についてでございますけれども、日常生活圏の一体化が進展をしている地域などにおきまして、当該市町村の自主的な判断に基づいて進められるべきものでございまして、特にも住民の方々、そこにおられる住民の方々の間で論議が深められまして合併の機運が高まるということが重要であると、このように考えております。したがいまして、こうした合併につきましては、このような社会的な実態の進展でございますとか機運の情勢などが重要な要素であると考えられますことから、郡域、今議員御指摘のような郡域あるいは広域生活圏などが異なっておりましても、このことが合併の決定的な支障となるものではないと、生活共同体としての地域、住民の交流があれば議員御指摘のとおり、まさしく考慮の余地があるのではないかと、このように考えているところでございます。
   〔総務部長上田紘士君登壇〕
〇総務部長(上田紘士君) ただいまの議員の御質問に関しましては知事の答弁に尽きるというふうに存じますけれども、若干つけ加えさせていただきますと、もろもろの行政を県にいたしましても市町村にいたしましても取り進めてまいっていく場合に、いろいろな圏域でありますとかあるいは郡域とか、そういった1つのまとまりというものがございます。こういったまとまりはそれぞれ例えば広域市町村施策とかあるいは過去、明治の郡制とかそういう由来があったり、そういったいろいろな経緯に基づいて設けられているわけでありますけれども、知事が合併について申し上げましたが、実際の市町村の行政は日々動いておりますしまた生きておりますし、そういう日々の行政の活動の中で社会的実態としてあるいは住民の雰囲気といいますか機運、そういったようなつながりが変わってくることがあれば、むしろそういった圏域といったような区域の方を実態に合わせていくという方が物事の順序ではないかと思っております。したがいまして、規定の郡とか圏域というものがすべて物事の区切りの動かせないものだというふうには考えておらないわけでありまして、知事の申し上げたとおりであります。
〇議長(堀口治五右衛門君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時51分 散 会

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