平成8年2月定例会 第5回岩手県議会定例会 会議録

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〇46番(山崎門一郎君) 山崎門一郎でございます。
 私は、県民クラブを代表いたしまして、知事の所信表明及び県政の諸課題について順次質問してまいりますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず、増田知事は、みんなで創ろう夢県土いわてをスローガンにして、県民とともに歩む県政、国、県、市町村の連携のもとに活力ある個性豊かな地域づくりや豊かさを実現できる生活の実現、福祉立県を進めることを政策の重点として公約に掲げ、県民の強い支持のもとに知事の重責を担われたのであります。知事は、就任以来、直ちに肉づけ編成を手初めとして、3県総の実施に反映させるため広い県土をくまなく歩き、積極的に地域の声を吸い上げられ、現在、3県総の後期実施計画の策定に取り組まれているところであります。私は、知事のこの県民とともに歩む基本姿勢と積極姿勢に対し心から敬意を表するとともに、今後においても公約に掲げた基本姿勢を堅持しながら県政に取り組まれることを大いに期待するものであります。
 さて、経済情勢が厳しい状況のもとで、我が国の高齢化は急激に進展し、人生50年を前提とした社会から人生80年を前提とした社会への変革が求められております。加えて、冷戦構造の崩壊と世界経済の流動化が進む中で大いなる変革が求められております。私は、この変革をなし遂げ、来るべき21世紀に向かって着実な発展をしていくためには、国土の均衡ある発展と活力に満ちた個性豊かで生活者重視の真にゆとりある地域づくりが必要であり、この地域づくりに対して地方が主体的に参加していく必要があると思います。幸い我が県を含めた東北は、ゆとりある土地や豊かな自然など大いなる発展可能性を持っており、我が国の成長を支え、世界経済にも貢献できる地域であると思うのであります。知事は、県勢発展の基本方向において行政の枠を超えた地域連帯の強化を提唱しておられますが、真にゆとりある地域づくりを進めるに当たって、東北における本県の役割をどのように認識し、本県の発展方向をどうとらえているのか、まずお伺いいたします。
 次に、3県総の後期実施計画についてお伺いします。
 3県総が平成3年度に策定されて後、バブル経済の崩壊による経済の低迷、冷戦構造の崩壊による国際経済の不透明感が増したものの、本県は、県立大学の整備や交流ネットワーク整備の推進、各種試験研究機関の整備の推進など、着実に進展しているものと認識しているのであります。しかしながら、事、格差の解消が依然として進まず、むしろ拡大し、また、食糧流通の国際化などの進展に伴い、農業、林業、水産業など第1次産業の低迷などが見られ、加えて円高基調の進展から製造工場が海外へ移転するなどの空洞化も見られているところであります。今後、21世紀に向かって真に発展していくためには、これらの山積する課題を着実に解決していくことが肝要であると認識しているのであります。
 そこでお伺いしますが、3県総の後期計画において、この課題を解決するため、具体的にどのような施策を進めていくお考えなのかお伺いします。
 次に、景気動向等についてお伺いします。
 さきに発表された2月の月例経済報告によると、公共事業の積み増しに加え、情報関連を中心とした設備投資の回復から景気の回復傾向が一段とはっきりしてきており、これを受けて、政府は2月の定例経済報告において、景気は緩やかながら再び回復の動きが見られていると、事実上の回復宣言をしたと報道されております。一方、本県の県内景気は、昨年の足踏み状況から緩やかな回復に向けての動きが出てきており、大蔵省盛岡財務事務所がまとめた最近の県内経済情勢によると、生産活動が回復の兆しを見せ、住宅建設が持ち直し、公共事業も高水準で推移していることなどから、一部で回復の動きが見られると判断が示されているところであります。しかしながら、私は、この景気回復の足取りは果たして足踏み状況を脱しているのかについていささか疑問があるのであります。岩手経済研究所において県内経済界の方々の平成8年度の景気予測についてアンケート調査をした結果が発表されておりますが、その結果は、ほとんどの方が前年度と余り変わらない、あるいは悪くなると回答しております。私も商業を営む者として、現在の景気の冷え込みは大変厳しく、景気の回復は一進一退の状況が続くものと感じております。このような状況の中で、景気回復は国、地方を通じて総体的な施策の推進が必要と考えておりますが、この景気回復について、県内の見通しと景気回復に係る経済対策をどのように進めるお考えなのかお伺いします。
 次に、交通体系の整備についてお伺いします。
 私は、本県は広大な面積と自然豊かな地勢を有し、将来への発展可能性を大いに有しているものと認識しておりますが、広大な面積を有するがゆえに課題も多いのがまた事実であります。急峻な北上山系、雪深い奥羽山系などが地域交流を妨げ、また、豊富な地域資源の有効な活用の障害にもなっていると思うのであります。知事は、所信表明において、地域連携の基盤となる交通網の整備を図るとされ、平成8年度予算において新交流ネットワーク道路整備事業として県単独の道路整備事業を大幅に増額していることについて大いに評価するものであります。しかしながら、私は、交通体系を考えた場合、道路整備はもとより重要とは存じますが、多額の投資と多くの工事期間を要することから、道路整備に限らず、航空、海運、長期的には宇宙基地建設など、総合的な交通網を構築する必要があると思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 沿岸地域には高速交通の恩恵がいまだ十分波及していない空白地帯が存在しており、産業、経済、文化等、あらゆる分野において地域交流に大きな負担を抱えているところであります。知事は、この交通体系整備についての短期的な整備あるいは長期的な展望をどのようにとらえておられるのでしょうか。
 また、県北、沿岸地域における交通体系整備をどのように進めていくお考えなのか、さらには、新交流ネットワーク道路整備事業を進める中で土坂峠のトンネル化についてどのように考えておられるのかお伺いします。
 次に、行政改革についてお伺いします。
 昭和60年度において事務事業や県単独補助金の見直しなどが行われ、現行の行財政運営の基盤が構築されて以来、おおむね10年を経過しようとしております。その間、本県は好景気、不景気の波の高さの中で、全国を上回る速さで進む高齢化への対応や次代の礎となる科学技術の振興への積極的な対応あるいは道路整備を初めとする各種社会資本の整備が進んでおり、県政は着実に進展してまいりました。しかしながら、高齢化や少子化社会が進展する中で、行政の枠を超えた総合的施策の展開あるいは広域行政の推進に伴う各種社会資本整備の整合性など、住民の要請も多様化し、行政もその要請にこたえるべく、よりきめ細やかで弾力性のあるサービスを提供することが求められております。知事は、行政改革推進懇談会の提言を受けて、不断に行政改革を進め、行政機構の整備についても、より実効性のあるものに整備していく旨の決意を表明されております。行政改革は既存の行財政制度や運営の実態について全面的に見直し、その結果、補助金の削減など、さまざまな既得権が生じている制度を改革することから多くの困難を伴うことが予想され、より強いリーダーシップが求められると思うのでありますが、まず、知事の行政改革への所見と決意についてお伺いいたします。
 また、行政機構の整備として、福祉、保健医療の分野の統合あるいは企画機能の充実、さらには地方振興局の機能の強化の観点から、単独事務所として設置している保健所や土木事務所の統合などを進めることとされておりますが、私は、住民の身近にあり、かつ地方振興の拠点となる地方振興局が真に地方振興の拠点となり得るには、地方振興局の企画機能の強化あるいは本庁から出先機関への権限移譲をより進め、地域での完結性をより強固にするべきであると思うのであります。この行政機構の整備を今後どのような基本的考えのもとに進めるとともに、地方振興局の機能の強化策をどのように取り組むのかお伺いします。
 次に、栽培漁業の振興についてお伺いします。
 我が国漁業は名実ともに200海里体制を迎え、国においては、これに対応するため、資源管理型漁業や栽培漁業などの周辺海域の高度利用に関する施策を推進してまいっているところであります。本県においてもこの状況を踏まえ、地先海面の特性を生かしたサケ、アワビ、ウニの栽培漁業に取り組み、その生産額が平成5年度において沿岸漁業生産高の5割を占めるまでに至り、大きな成果を上げてきているところであります。しかしながら、最近、輸入量の増大による供給過剰や景気不況の影響を受けて魚価が暴落し、生産額が大幅に減少している状況にあります。特にも本県の主力魚種であるサケは、本年度において魚価が平成4年度の3分の1まで落ち込み、生産額は従前の約200億円から88億円まで激減し、これに大きく依存する本県沿岸漁業の将来に不安を抱かざるを得ない状況にあります。そのため、私は、本県の沿岸漁業の展望を切り開き、21世紀に向けて安定した漁業の振興を図るためには、サケはもちろんのこと、新たな魚類栽培にも取り組んでいく必要があると思います。県においては、魚類栽培の推進に向けて、専門家による検討会を設置し、先ごろその提言を受けられたところであり、また、平成9年度には全国豊かな海づくり大会が大槌漁港で開催されることから、魚類栽培を推進する絶好の機会と考えます。今後、提言の具体的推進に当たっては、種苗生産施設の整備や管理運営面など幾つかの課題があろうかと存じますが、魚類栽培の早期実現に向け、どのように取り組んでいくおつもりなのかお伺いします。
 最後に、安心して暮らせる社会の形成に関連してお伺いします。
 過日、本県の治安水準が低下しているとの報道があり、その状況に危惧の念を抱いているところであります。良好と言われた本県の治安水準を犯罪発生率で見た場合、都道府県単位で全国一低かった10年前と比較して20番まで下がっているとのことであります。この事実は、夢県土の形成を進めるに当たって憂慮すべきことと思うのであります。議会といたしましては、日本一安全な岩手とするため決議をするなどが必要でありますし、県としても治安の良好な社会の形成のため緊急に方策を樹立すべきであると思うのでありますが、知事の所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 山崎門一郎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、東北における本県の役割と発展方向についてでございますが、東北地域は豊かな自然環境や時間、空間などの多様なゆとりに恵まれるとともに、新たな文化創造を可能とする特色ある風土を有しておりまして、先端技術産業の集積や研究開発が進むなど、21世紀に向けて大いなる発展可能性を秘めているこうした状況から、今後の我が国の成長を支え、さらには世界に貢献できる地域として期待されているところでございます。また、近年、東北インテリジェント・コスモス構想の具体的な進展やほくとう銀河プランの推進を通じまして、東北地域の相互の連帯感の醸成が着実に図られているところでもございます。さらに、交通網が整備される中にあって、今後一層各県相互の交流が活発となり、その連携の重要性が増してくるものと、このように考えているところでございます。したがいまして、東北地域の枢要な位置を占める本県におきましては、東北新幹線盛岡以北や秋田新幹線、東北横断自動車道釜石秋田線などの交流基盤の整備を促進しながら、今後とも広域的な連携を一層推進し、産業経済面はもとより、福祉、教育、文化、さらには先端的な科学技術の研究開発などの各分野にわたり、この岩手県がその先導的、中心的な役割を積極的に担っていく必要があると、このように考えております。このため、本県といたしましては、ほくとう新国土軸の形成に向けた取り組みなど、東北全体の発展はもとより、我が国全体の発展をも十分に視野に入れながら、青森県、秋田県を初めとする東北地域との連携交流を一層促進し、本県の産業の活性化や県民生活の向上を図り、まさに質の高い自立的な地域社会が形成されるよう積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。
 次に、第三次岩手県総合発展計画の後期実施計画についてでございますが、その策定に当たりましては、県土の均衡ある発展を図ることを基本といたしまして、特に県北・沿岸地域の振興に十分留意をしながら、総合的な交通網の整備や産業経済活動の活発化、さらには都市機能の強化や居住環境の整備充実など、定住を促進する条件の整備を重点的に図ってまいる考えでございます。さらに、従来の市町村ですとか県などの行政単位の枠を超え、産業、福祉、教育・文化など、県内外においてさまざまな地域間の連携交流を促進しながら、個性や多様性を生かした自主的、主体的な地域づくりを積極的に支援をしまして、各地域がそれぞれの特性に応じた役割を担い、相互に補完し合いながら、総体として地域の発展が図られるように取り組んでいきたいと、このように考えております。
 また、今後、施策を展開する上での重要な視点の1つとして、国際的視野に立った地域経済の構築を掲げまして、まず、農林水産業につきましては、ウルグァイ・ラウンド合意の実施による新たな国際環境のもとで、国内外の産地間競争に打ち勝つ農林水産業の構築に向けまして創意工夫を発揮し、意欲的に経営展開ができるように、経営基盤の強化でございますとか、効率的、安定的な経営の育成を図ってまいりたい、このように考えております。
 また、製造業につきましては、国境を超えた競争の激化、そして、これに伴いますいわゆる産業の空洞化に対応するため、本県の技術や人材などを活用した独創的、そして先端的な研究開発を推進するなど、いわゆる内発型の工業振興を進めるとともに、新規創業に対する資金的な支援などによりまして、創造力と技術開発力のある企業の育成や起業家の支援強化などを図っていく考えでございます。
 次に、県内の景気回復の見通しと経済対策についてのお尋ねでございますが、まず、最近における県内の景気動向を見ますと、乗用車販売が堅調に推移をいたしております。鉱工業生産も基調としては前年水準を上回って推移をし、住宅建設、公共工事はこのところ持ち直しているものの、大型の小売店販売、有効求人倍率は弱い動きで推移をしております。このように、県内景気はこのところ明るい動きが見られ、基調としては緩やかながら回復の方向に向かってはおりますけれども、その動きは引き続き弱いものと、このようになっておりまして、今後の動向を注意深く見守っていく必要があると、このように考えております。
 また、経済対策につきましては、特に本県の場合、公共投資の県内経済へ与える影響が大きいことから、平成8年度の予算編成に当たりましては、こうした最近の景気動向に十分配慮しまして、公共事業費の確保を図ることといたしまして、投資的経費について、前年度6月現計に比べまして、これは当初予算が骨格でございましたので、6月現計に比べて地方財政計画の伸び2・3%を上回る5・1%増の3、185億円を計上したところでございまして、とりわけ県単独普通建設事業につきましては前年比16・8%増と大幅な伸びを確保したところでございます。今後、その執行に当たりましては、早期発注に努め、県内経済にこれらの効果が速やかに波及するように努力してまいりたい、このように考えております。 さらに、中小企業向けの融資制度の活用を図るほか、きめ細やかな経営指導に努めるなど、中小企業対策に万全を期しまして、産業経済活動の活発化に努めていく考えでございます。
 次に、交通体系の整備についてでございますが、広大な県土を有しております本県におきましては、県土の均衡ある発展、このことを図るために、県北、沿岸部を中心に残されておりますいわゆる高速交通空白地域の解消を図りながら、県内の各地域間はもとより、全国各地や海外との交流の促進のために不可欠な広域交通ネットワークを整備していくことが極めて重要な課題となっているわけでございます。県におきましては、こうした課題に的確にこたえ、21世紀初頭を目標年次として本県の交通体系の整備の具体的なあり方を示すため、現在、県内の有識者の方々で構成をしております岩手県総合交通体系協議会から御意見をちょうだいしながら、年度内を目途といたしまして岩手県の総合交通体系基本計画の策定作業を進めているところでございます。この計画におきましては、短期的には南北方向の交流促進に資する東北新幹線盛岡-八戸間、三陸縦貫自動車道などの整備促進、そして、東西方向、沿岸部と内陸部や秋田方面との連携を強化する東北横断自動車道釜石秋田線や宮古盛岡横断道路などの整備促進、さらには本格的な国際航空路線の運航をも可能といたします花巻空港の滑走路延長整備の実現などに取り組んでいくことといたしておりまして、県といたしましては、引き続きこれらの事業の推進に全力を傾注していきたい、このように考えております。
 さらに、長期的な観点に基づく交通体系の整備につきましては、陸、海、空それぞれの分野について、高速交通幹線の一層の整備や地域交通の維持拡充のための方策をハード、そしてソフトの両面から体系的に網羅することとしておりまして、特に高速交通空白地域の解消につきましては、県内90分交通の実現、全国日帰り圏の拡大、海外との交流の拡大などとともに、これを計画の基本的な目標の1つとして明確に位置づけた上で、これらの地域内における高速交通幹線の整備や内陸部とのアクセスの向上などに関する具体的な方策をこの中に可能な限り広範に盛り込みたいと、このように考えて、今、作業を進めているところでございます。
 次に、土坂峠のトンネル化についてでございますが、これまでも道路の整備につきましては、地域間の連携強化と広域的な交流の促進に資するため、県土を横断する幹線道路の整備に力を注いできたところでございまして、平成8年度からは、県都圏と県内主要都市間の一層の時間距離の短縮を目指して、地域高規格道路など、規格の高い道路の整備を組み入れた新交流ネットワーク道路整備事業を進めることと、このようにしたところでございます。
 お尋ねの土坂峠につきましては、これは従前から交流ネットワーク道路整備事業の大槌ルートといたしまして、県道の大槌川井線の大槌町側から峠の部分までと、それから国道340号の小国地区の未改良区間の整備推進に鋭意努力してきたところでございますが、お尋ねのトンネルを含む峠部分の改良整備につきましては、新交流ネットワーク道路整備事業の一環ということで、3県総の後期計画、これは本年4月からの5カ年計画でございますけれども、この3県総の後期計画の期間中に事業着手したいと、このように考えております。
 次に、行政改革への所見と決意についてでございますが、今後とも厳しい状況が続くと予想されます行財政環境の中で、急速な高齢化、少子化など、社会経済情勢の変化に伴う新たな行政課題に適切に対応するとともに、県勢発展に必要な施策を強力に展開をするために、限られた行財政資源を有効に活用いたしまして、機動的で、かつ効率的な行財政運営の執行体制の整備に努めることが大切であると、このように考えているところでございます。このような考え方から、本年の1月に新たな行政改革大綱を策定したところでございまして、今後、本大綱の具体化に向けまして、毎年度実施方針を定めまして、全力を挙げて行政改革を推進してまいりたい、このように考えております。
 また、行政機構の整備の基本的な考え方についてでございますが、簡素で効率的なものとするということを基本といたしまして、高度化、多様化しております県民の方々のニーズに即応して、良質できめの細かいサービスを効果的に提供するための組織整備を図る、このようなこととしているところでございます。特に本格的な高齢化社会を迎えまして、県民に対しまして保健医療、福祉のサービスを総合的かつ効率的に供給するために、本庁機構、そして出先機関において保健医療部門と福祉部門の組織的な統合を図るなど、市町村における保健医療、福祉の施策を一元的に支援することのできる体制を整備することとしております。
 さらに、地方振興局の機能の強化につきましては、地方分権の時代を迎えまして、地域に密着した事務はできるだけ地域において完結できるようにすることが大切でございまして、地方振興局が個性ある地域振興策を総合的に推進するその拠点として、その役割を十分に発揮できるように、その機能の充実強化を図ることが重要であります。そのために、地方振興局長に対します権限委譲の推進や地域活性化事業調整費の内容の拡充などによりましてその機能の一層の充実を図るとともに、単独事務所の地方振興局への統合などを推進いたしまして、地方振興局の総合性、そしてその自己完結性を高めたい、このように考えているところでございます。今後におきましても、行政改革を不断の課題として受けとめまして、県民の皆様方の御理解と御協力をいただきながら行政改革の推進に積極的に取り組んでまいる考えでございます。
 次に、栽培漁業の振興についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、本県の漁業は秋サケ価格の下落などによりまして極めて厳しい状況にございます。こうしたことから、価格安定対策を講じるとともに、早急にヒラメ、マツカワなどの魚類栽培を推進していくことが何よりも重要であると、このように考えているところでございます。このため、昨年、各界の専門家で構成する懇話会を設置いたしまして、魚類栽培の推進方向について御提言をいただいたところでございますので、平成8年度には、県、市町村、漁業者などで構成いたします協議会を設置いたしまして、具体的な推進計画を詰めるとともに、種苗センター建設のための立地条件調査などを実施いたしたい、このように考えております。また、平成9年度には、御承知のとおり大槌町におきまして全国豊かな海づくり大会が開催されますことから、この大会を契機といたしまして魚類栽培を一層推進してまいりたい、このように考えております。
 もとより、魚類栽培の推進に当たりましては、種苗生産経費の負担方法など、まだ多くの課題がございます。関係者が一丸となりまして取り組むことによりまして、一日も早く魚類栽培が軌道に乗るように努力をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、治安の良好な社会形成のための緊急方策についてでございますが、議員御指摘のように、本県におきます現下の治安情勢につきましては、県民生活の安全確保という点でこれを危機感を持って現在受けとめているところでございます。安全で安心して暮らすことのできる県土でありますことがこの岩手県の発展の基盤でございまして、真の豊かさの不可欠の要素であると、このように考えているところでございます。こうしたことから、県といたしましては、市町村そして関係機関等と密接に連携をしながら、地域社会の犯罪抑止機能を高めるなど防犯体制の強化を図るとともに、警察活動基盤の整備、充実を、なお一層図ってまいりたいと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
〇議長(堀口治五右衛門君) 次に、折居明弘君。
   〔14番折居明弘君登壇〕(拍手)

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