平成9年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第2号、第4号、第6号について質疑をいたします。
 議案第2号1997年度一般会計補正予算について。
 今回の補正予算は、石鳥谷、紫波両町にかかわる林野火災に対応するものであります。私は最初に、林野火災の被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。同時に、不眠不休の消火活動に従事された地元消防団や防災関係者の皆さんの取り組みに心から敬意を表するものであります。
 今回、補正予算として計上されている林野火災特別対策費6、240万円余、林野火災復旧対策事業費補助1億1、530万円余、緊急治山事業など総額3億3、400万円余の内容は、林野火災消火活動の教訓に基づき、また、被災者を励ます積極的な内容を持つものであります。同時に、その中には問題点、課題も見受けられますので、具体的に質疑をいたします。
 第1に、林野火災特別対策費は、具体的にはどういう消火活動における教訓、課題によるものなのか。一つ、ヘリコプターの地上支援活動、二つ、防災航空マップの作成、三つ、ヘリポートの整備、四つ、鎮火火災宣言に至る問題について、五つ、ヘリの燃料補給について、それぞれ具体的に示していただきたい。
 第2に、防災ヘリ、自衛隊ヘリによる消火活動のマニュアルはあったのかどうか。あるとすればどういう内容か。今回の対応はそれに対してどうだったのか。
 第3に、私は現地の被災状況と石鳥谷、紫波両町の対応について現地調査をし聞き取りをしてきましたが、石鳥谷町の対応は、災害対策本部の設置から防災ヘリ、自衛隊の出動要請まで大変機敏なものでありましたし、紫波町、そして県の対応も基本的に積極的なものだったと思います。知事は、石鳥谷町、紫波町の要請を受け、自衛隊のヘリ、地上部隊の派遣要請を行いました。災害対策本部を設置した本部長としてどのように指揮をとったのか、災害対策本部は具体的にどのように取り組みを行ったのか。
 第4に、今回の林野火災を含め、予期せぬ災害への対応は、初動、緊急の正確な対応が問われるものであります。災害対策本部のあり方を含め、消防防災課の機能の強化、防災の専門家の配置や人事異動のあり方などが問われていると思いますが、どうでしょうか。
 次に、林野火災の復旧対策について質疑いたします。
 今回の補正予算は緊急対策でありますが、局地激甚並みの積極的内容となっています。そこで具体的にお聞きします。
 一つ、石鳥谷、紫波両町でもそれぞれ県に対応して予算化されています。両町とも上乗せ措置をとったと聞いていますが、被害木の伐採、搬出、被害木の搬出作業路の開設、造林作業路の開設は、被災者から見るとどういう補助率となっているでしょうか。被災者の深刻な打撃、防災、自然環境の保全、森林の育成から見るなら、被災者の負担をできるだけ解消すべきと思いますが、どうなっているでしょうか。
 二つ、造林作業路の補助率は、県単の継ぎ足しで10分の6となっていますが、造林の場合も同様となるのでしょうか。昭和58年の西根町の林野火災の場合の先例を含め、示していただきたい。
 三つ目、国の補助事業の場合、無利子の制度資金が利用できないと思いますが、その場合、県単もしくは利子補給などで無利子の融資制度が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 4番目、紫波町の場合、石鳥谷町の被災面積、被害額と比べて約3倍近いものとなっております。復旧対策でも財源が心配されます。県単の治山事業については地元自治体が2割負担となっています。被災者はもとより、地元自治体の意見をよく聞いて対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 五つ目、被害木の活用について、公共施設や公共用への活用、販路開拓など積極的な対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、議案第4号県税条例の一部を改正する条例の専決処分についてお聞きします。
 条例案では、個人住民税、地方たばこ税の税率改正によって、県民にとっては増減はないようですが、県税はどれだけの減収となるのか、減収分はどう対応されるのか。
 議案第6号県税条例の一部を改正する条例について、退職所得の分離課税に係る所得割の税率--700万円を超える場合ですが--が1%減税となるようだが、この実績と減税額はどうなるでしょうか。
 特別地方消費税は、平成12年--2000年4月から廃止されるようですが、そもそも消費税の二重取りの性格のもので当然と思われます。特別消費税の実績はどうなっているか、この二、三年のところで示していただきたい。
 以上、質疑を終わります。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の質疑にお答えを申し上げます。
 災害対策本部長の指揮についてでございますが、災害対策本部が設置されました場合、本部長は災害対策本部の事務を総括し、職員を指揮、監督することとされております。当日、私は登庁しておりませんが、紫波町に災害対策本部が設置された後、電話等を通じて災害状況の報告を受け、火災が広域で2町に及んでいること、今後延焼拡大のおそれがあることなどを総合的に判断をしまして県災害対策本部を設置し、本部員に対して、防災関係機関、特に自衛隊との連携を密にして応急対策活動に万全を期すよう指示したものでございます。
 次に、災害対策本部の具体的な取り組みについてでございますが、関係部及び地方支部を挙げて災害情報の収集に当たりますとともに、防災機関に対する災害情報の提供、自衛隊に対する追加派遣要請、青森県及び宮城県防災ヘリコプターの応援要請、住民の避難誘導、交通規制の実施、報道機関に対する災害広報など、現地における災害応急対策が迅速かつ円滑に実施されるよう、後方あるいは現地において総合的な連絡調整と応急対策活動を行ったものでございます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕
〇総務部長(大隅英喜君) お尋ねの林野火災特別対策費についてでありますが、まず、ヘリコプターの地上支援につきましては、初日の空中消火活動が夕刻から日没までの時間的制約により水のみによる空中消火活動となったことを踏まえまして、短時間での混合が容易な液状タイプの化学消火剤を新たに県内5カ所の空中消火等補給基地に配備しようとするものであります。
 次に、防災マップについてでありますが、災害時の連絡調整に使用した地図がそれぞれの関係機関で異なっていたことから、緯度、経度やヘリポート、消防署などを表示したマップを作成、配布することにより、関係機関の一層緊密な連携を図ろうとするものであります。
 次に、ヘリポートの整備についてでありますが、今般、自衛隊ヘリコプターの燃料補給基地として使用した県消防学校は、離発着時に砂じんが激しく舞い上がり、支援活動に支障を来すため、ヘリコプター等が円滑に活動できるよう舗装を行おうとするものであります。
 次に、鎮火宣言に関連してでありますが、残火確認の一つの手段として偵察飛行を繰り返しましたが、地表下の厚い腐葉土や木の根などの残火は発見することができなかったことから、携帯用の赤外線画像装置を整備し、地表下の残火の発見に活用を行おうとするものであります。
 次に、ヘリコプターの燃料の補給についてでありますが、運航基地である花巻空港から遠隔地での林野火災におきましても十分な活用ができますよう、県内5カ所の空中消火等補給基地に一定量の燃料を備蓄しようとするものであります。
 次に、防災ヘリ、自衛隊ヘリによる消火活動のマニュアルはあったのかというお尋ねでありますが、防災ヘリコプターひめかみは特に消火活動マニュアルは策定しておりませんで、岩手県防災ヘリコプター運航管理要綱を定めておりまして、それに基づき適切な運航を図っておるところでございます。また、自衛隊ヘリコプターの消火活動マニュアルについては承知いたしておらないところでございます。今回の林野火災では、青森県、宮城県の防災ヘリコプターや自衛隊ヘリコプターと連絡をとり合いながら、それぞれ火点を分担し、円滑に空中消火活動を実施したところであります。
 なお、防災ヘリコプターひめかみは、昨年10月から本格運航を開始しておりますが、常に有事に備え、いつでも出動できるよう、空中消火や救助などの事態訓練を積み重ねてきたところでございます。
 次に、災害対策本部機能の強化と防災専門家の配置等についてでありますが、災害対策本部機能の強化につきましては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、本県の防災機能を強化していく上での検討課題としているところであり、庁内の検討のための委員会を設置し、現在、中長期的な展望も用いながら調査検討を進めているところでございます。
 また、消防防災課の防災専門家の配置についてでありますが、防災に関する県の役割は、消防、警察、自衛隊等と異なりまして、総じて申し上げれば市町村を支援し、防災関係機関相互の活動等を相互調整することにあることから、さまざまな行政分野での経験を背景とした調整能力を有する適材を配置することが適当であると、このように考えているところでございます。
 次に、議案第4号岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分についてでありますが、まず、個人住民税、地方たばこ税の税率改正による県税の減収額につきましては、平成9年度の減収見込み額は、個人県民税で2億2、700万円余、県たばこ税で12億8、400万円余、あわせて18億1、200万円余の減収額を見込んでいるところでございます。減収分は補てんされるかということでございますが、制度改正に関連する県税の総体としては、平年度ベースでは増収が見込まれるところであり、また、地方消費税の創設初年度であり、未平年度化による影響額分が減収となる本年度につきましても、その補てん措置として地方交付税で元利償還金の100%が算入される臨時税収補てん債の発行が認められ、完全に歳入としては補てんされることとなっております。
 次に、議案第6号岩手県県税条例の一部を改正する条例についてでありますが、退職所得の分離課税に係る所得割の税率が1%減となるようであるが、この実績と減収額は幾らかとのお尋ねでございますけれども、平成8年度の個人県民税の課税状況によりますと、退職所得に係る分離課税分の税収は1億8、000万円余となっております。平成9年度における減収見込み額についてでありますけれども、退職所得控除後の課税標準額が700万円超のものは本県の場合極めて少数でございまして、さらに、平成10年1月1日以降の支払いに係るものからの適用であるということから、その影響額はほとんどないものというふうに考えているところでございます。
 特別地方消費税の実績についてでございますけれども、平成7年度、8年度について申し上げますと、ともに10億1、100万円余というふうな数字になっております。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕
〇林業水産部長(中村陽兒君) まず、林野火災復旧対策の補助率と被災者の負担の軽減についてでございますが、被害木等の整理とその搬出作業路の開設につきましては3分の2の補助率としておりますが、これに加えまして、さらに両町で6分の1・4を継ぎ足しまして合計で10分の9の補助率となる見込みでございます。さらに、造林作業路の開設につきましては、既存の国庫補助事業に県単で12%を継ぎ足しまして合計60%の補助率といたしておりますが、これにつきましても、今後、両町で単独の継ぎ足し措置がなされるというふうに聞いております。この結果、通常の補助率より高率の補助率となることから、被災森林所有者の負担をできるだけ解消できるものと考えております。
 次に、被害跡地の補助率をどう設定するのかということでございますが、造林作業路開設と同じ60%の補助率とするよう検討してまいりたいと考えております。
 なお、昭和58年の西根町の林野火災の場合におきましても同様に措置しております。
 次に、県単による無利子の融資制度についてでありますが、過去の激甚災害の場合の復旧造林におきましても、国庫補助事業の補助残融資に県単独で無利子資金を貸し付けた例はございません。したがいまして、今後復旧事業を進めていく過程で補助残融資が必要な被災森林所有者が出てきた場合には、地方振興局の林業改良指導員や森林組合を通じまして既存の低利の制度資金の活用等について指導してまいりたいと考えております。
 次に、2次災害防止対策についてでありますが、紫波町の場合、被災林地の状況等から国庫補助事業の導入が難しいと判断されましたために、県単独治山事業で措置したものであります。今後、この事業の実施に当たりましては、紫波町、地権者など関係者と十分協議を行った上、施行の経済性、効率性にも配慮しながら円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。
 次に、被害木の公共施設等への活用についてでありますが、議員御提言のように、土木工事のくい材などへの利用が考えられますので、関係者等の意見も十分踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
 また、販路の開拓につきましては森林組合が中心となって対応することといたしておりますが、県としてもこれを支援してまいりたいと考えております。
〇議長(那須川健一君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第10号までは、お手元に配布いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
 (第10回県議会定例会平成9年6月27日)
総 務 委 員 会
1 議案第1号
2 議案第2号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款
   第2条
3 議案第4号
4 議案第5号
5 議案第6号
6 議案第7号
商工文教委員会
1 議案第8号
農林水産委員会
1 議案第2号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
2 議案第3号
3 議案第9号
4 議案第10号
   
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時13分 散 会

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