平成19年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成19年3月13日(火)
1開会  午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事課長   切 金   精
  議事課長補佐 千 田 利 之
  主任主査   保 原 良 和
  主査     小 船   進
  主査     石木田 浩 美
  主査     佐々木 ユ カ
  主査     菊 池 芳 彦
  主査     渡 辺 謙 一
1説明員
  知事          増 田 寛 也
  県土整備部長      西 畑 雅 司
  県土整備企画室長    橋 場   覚
  道路都市担当技監    渡 部 正 利
  河川港湾担当技監    沖   正 博
  県土整備企画室
  企画担当課長      渡 邊 健 治
  県土整備企画室
  管理担当課長      早 野 義 夫
  建設技術振興課総括課長 中 田 光 雄
  技術企画指導担当課長  日 野 利 則
  道路建設課総括課長   佐 藤 文 夫
  農林道担当課長     沼   光 宏
  道路環境課総括課長   中 野 正 志
  河川課総括課長     沖 野 健 悦
  河川開発担当課長    水 野 尚 光
  砂防災害課総括課長   野 中   聡
  都市計画課総括課長   深 澤 忠 雄
  まちづくり担当課長   大 矢 喜久男
  下水環境課総括課長   佐 藤 英 夫
  建築住宅課総括課長   澤 口 政登志
  建築指導担当課長    鈴 木   徹
  営繕担当課長      金 田 義 徳
  港湾空港課総括課長   高 橋 克 雅
  企業局長        岩 渕 良 昭
  経営総務室長      和 嶋 憲 男
  企業局技師長      杉 下 安 弘
  業務課総括課長     武 蔵 岩 夫
  経営総務室管理担当課長 宮   卓 司
  経営企画担当課長    菅 峨 範 夫

  総務部長        川 窪 俊 広
  参事兼
  予算調製課総括課長   菅 野 洋 樹

  農林水産部長      高前田 寿 幸
  農林水産企画室長    東大野 潤 一
  農林水産企画室特命参事 宮   一 夫
  農林水産企画室特命参事 沢 田   修
〇及川幸子委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第23号、議案第32号から議案第35号まで、議案第37号から議案第40号まで、議案第45号、議案第46号、議案第48号、議案第59号、議案第60号及び議案第82号の以上35件を一括議題といたします。
 本日は、県土整備部及び企業局関係の質疑を行った後、知事等に対する質疑を行い、その後、議案35件について意見の取りまとめをいたしたいと思いますので、御了承願います。
 最初に、県土整備部長から県土整備部関係の説明を求めます。
〇西畑県土整備部長 県土整備部の予算審議に当たりまして、県土整備部の平成19年度当初予算の基本的な考え方について御説明申し上げます。
 第1に、産業振興を支援する物流ネットワークの構築について取り組んでいこうとするものであります。
 広域振興圏の経済的な自立を支援するため、いわて花巻空港の整備を初め、港湾と内陸を結ぶ物流ネットワークの構築や、1次産業や観光振興を支援するネットワークの構築などを推進してまいります。
 第2に、災害に強い県土づくりの実現を目指し、重点化を図ろうとするものであります。
 県民の安全・安心な生活を確保するため、地震津波対策や洪水土砂災害対策を進めるとともに、平成18年災害により被災した箇所の早期復旧に取り組むこととしております。
 第3に、適切な維持管理に取り組んでいこうとするものであります。
 これまでに整備してきた社会資本の更新時期が迫る中で、維持管理関係予算への重点配分を行い、より効率的、効果的、計画的な維持管理に努めることとしております。
 また、県北・沿岸圏域については、産業振興を図る上で根幹となる事業や、圏域住民の安全・安心を確保する事業について、重点的に取り組むこととしております。
 以上の重点施策に加え、快適な生活環境と都市基盤の整備や建設業における構造改革の推進に取り組みながら、豊かな自然と調和・共生し、交流・連携が活発に行われる、快適で安全な県土の創造を目指してまいります。
 それでは、県土整備部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成19年度岩手県一般会計予算についてでありますが、お手元の議案その1の7ページをお開き願います。県土整備部関係の予算は、6款農林水産業費623億5、374万7、000円のうち、農林水産部の所管を除きまして、71億3、647万円と、次のページの8款土木費643億3、311万9、000円と、9ページの11款災害復旧費84億5、112万円のうち、農林水産部及び教育委員会の所管を除きまして、60億7、068万8、000円を合わせまして、県土整備部関係の予算額は775億4、027万7、000円であります。この予算規模は、前年度当初予算に比較して、160億931万円、17.1%の減となっております。
 以下、予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事項を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 予算に関する説明書の148ページをお開き願います。まず、第6款農林水産業費3項農地費2目土地改良費のうち、次の149ページの中段にあります県土整備部関係は、農村の生産基盤や生活環境の改善を図るため実施する農道や農業集落排水事業に要する経費であります。次に、3目農地防災事業費のうち、150ページの上段の県土整備部関係は、高潮や津波による災害を防止するため、防潮堤等の整備に要する経費であります。
 次に、155ページをお開き願います。4項林業費6目林道費は、山村地域の生活環境の改善と林業生産基盤の整備を図るための林道整備等に要する経費であります。
 次に、164ページをお開き願います。5項水産業費11目漁港漁場整備費のうち、次の165ページの県土整備部関係は、高潮及び津波による災害を防止するため、防潮堤等の整備や海岸保全施設の改修等に要する経費であります。
 次に、172ページをお開き願います。8款土木費1項土木管理費1目土木総務費は、職員の人件費など管理運営に要する経費のほか、流域下水道事業特別会計等に対する繰出金等であります。次の173ページの2目建設業指導監督費は、建設業者等の指導監督に要する経費等のほか、建設業の新分野進出、新技術・新工法開発など、経営・技術力強化のための取り組みに対し総合的に支援を行う建設業総合対策事業や経営革新の取り組みに対して貸し付けを行ういわて建設業経営革新特別資金貸付金であります。3目建築指導費は、建築基準法の一部改正に伴い、建築確認審査の適切な執行を通じて、建築物の安全・安心の確保を行う建築構造審査体制整備事業や建築確認事務等に要する経費等であります。174ページをお開き願います。4目空港費は、岩手県空港ターミナルビル株式会社が行う新空港ターミナルビルの建設について、国際線施設の整備及びバリアフリー対策等に係る費用への補助を行う新空港ターミナルビル建設事業費補助のほか、花巻空港拡張整備に要する経費であります。
 176ページをお開き願います。2項道路橋りょう費1目道路橋りょう総務費は、職員の人件費などの管理運営に要する経費等であります。2目道路維持費は、歩行者の安全を確保するため、歩道等の交通安全施設の整備や道路施設の維持管理等に要する経費等であります。次の177ページの3目道路新設改良費は、道路交通の円滑化や災害に強い道路の整備を図るため、道路の改築並びに道路防災等の工事を実施しようとするものであります。主なものといたしましては、県内の主要道路の大規模な改良・舗装工事などを実施し、交通の円滑化を図るための道路改築事業、道路への落石・崩壊対策を実施する道路災害防除事業、県道及び市町村道を効果的に整備する緊急地方道路整備事業等であります。178ページをお開き願います。4目橋りょう維持費は、橋梁の維持修繕に要する経費であり、5目橋りょう新設改良費は、橋梁の耐震補強及び車両の大型化に対応した橋梁の補強を緊急に実施する経費等であります。次の179ページの6目高速道路対策費は、東北横断自動車道釜石秋田線のうち、遠野-東和間の用地取得事務等に要する経費であります。
 180ページをお開き願います。3項河川海岸費1目河川総務費は、河川管理等に要する経費であり、直轄ダム管理費負担金は、国が管理する四十四田ダムほか4ダムの管理等に要する経費の県負担金であります。2目河川改良費は、災害を防止するため、河川の築堤や護岸等の工事や三陸沿岸河川の水門、防潮堤など、津波、高潮災害の防止に要する経費のほか、激甚な災害が発生した一関市砂鉄川の河川改良工事を実施する河川激甚災害対策特別緊急事業に要する経費等であります。次の181ページの3目砂防費は、通常の砂防事業や火山地域における土砂流出等の災害を防止する火山砂防事業のほか、急傾斜地の崩壊による災害を防止するための急傾斜地崩壊対策事業に要する経費等であります。182ページをお開き願います。4目海岸保全費は、高潮及び津波による災害を防止するため、防潮堤等の整備や海岸保全施設の改修等に要する経費であり、次の183ページの5目水防費は、大雨や洪水の河川情報を迅速かつ正確に収集、伝達するための経費等であります。6目河川総合開発費は、簗川ダム、津付ダム並びに遠野第2ダムの建設等に要する経費であり、直轄ダム建設事業費負担金は、国が実施する胆沢ダム建設事業の県負担金であります。
 185ページをお開き願います。4項港湾費1目港湾管理費は、久慈港ほか5港の港湾施設の維持管理に要する経費等であります。2目港湾建設費は、大船渡港ほか3港の港湾改修工事等に要する経費であり、直轄港湾事業費負担金は、国が実施する港湾施設整備事業の県負担金であります。
 187ページをお開き願います。5項都市計画費1目都市計画総務費は、御所湖及び花巻広域公園の管理について、指定管理者に管理を行わせるために要する経費のほか、美しいまちづくりを推進するための景観施策に要する経費等であります。2目街路事業費は、都市交通の確保等を図るため、都市基盤整備と宅地との一体的な整備を行う土地区画整理事業や都市計画道路を緊急に整備する緊急地方道路整備事業を初めとした街路事業に要する経費等であります。188ページをお開き願います。3目下水道事業費は、下水道の処理場など根幹的施設の建設を県が代行して行う過疎地域公共下水道整備代行事業や浄化槽設置整備事業に要する経費のほか、市町村の下水道整備を促進するため、下水道事業債の元利償還に充てる基金等への補助に要する経費等であります。
 190ページをお開き願います。6項住宅費1目住宅管理費は、県営住宅等の管理について、指定管理者に管理を行わせるために要する経費等であります。2目住宅建設費は、県営住宅の建設事業に要する経費等であります。
 少し飛びまして、219ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費のうち、県土整備部関係、2目林道災害復旧費、222ページの2項土木施設災害復旧費1目河川等災害復旧費及び2目港湾災害復旧費は、いずれも過年災害並びに現年災害の災害復旧工事の実施に要する経費等であります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の議案その1に戻っていただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、県土整備部関係は、13ページの27番から次のページの37番までの11件であります。これらは、道路改築事業など、工期等が翌年度以降にわたる事業について、それぞれの期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計3件について御説明申し上げます。
 39ページをお開き願います。議案第8号平成19年度岩手県土地先行取得事業特別会計予算についてでありますが、第1条歳入歳出予算の総額は、歳入歳出それぞれ7億1、070万9、000円であります。
 40ページをお開き願います。歳入の主なものは、1款財産収入は、先行取得した公共用地の売り払い収入等であり、4款県債は、用地取得事業に充当するものでございます。
 次の41ページの歳出でありますが、2款公債費は、県債の元利償還に要する経費であり、3款土地取得事業費は、木賊川基幹河川改修事業に伴う用地取得等に要する経費であります。
 42ページをお開き願います。第2表地方債でありますが、これは、補助事業用地取得事業に充当するものであります。
 46ページをお開き願います。議案第10号平成19年度岩手県流域下水道事業特別会計予算についてでありますが、第1条歳入歳出予算の総額は、歳入歳出それぞれ92億9、560万7、000円であります。
 次の47ページにまいりまして、歳入の主なものは、1款分担金及び負担金は、盛岡市ほか関係市町村からの管理費及び建設費に対する負担金であり、3款国庫支出金は、建設事業に対する国庫補助金であります。
 4款繰入金は、建設事業及び県債の元利償還費に充当するものであり、7款県債は、建設事業費に充当するものであります。
 48ページをお開き願います。歳出でございますが、1款流域下水道事業費は、流域下水道の管理運営、各下水処理場の施設及び幹線管渠の建設等に要する経費であり、2款公債費は、県債の元利償還に要する経費であります。
 次の49ページの第2表債務負担行為でありますが、これは、玉山幹線などの管渠及び都南浄化センター汚泥処理施設等の工事について、期間及び限度額を定め、債務を負担しようとするものであります。
 50ページをお開き願います。第3表地方債でありますが、これは、流域下水道建設事業に充当するものであります。
 次の51ページにまいりまして、議案第11号平成19年度岩手県港湾整備事業特別会計予算についてでありますが、第1条歳入歳出予算の総額は、歳入歳出それぞれ41億1、636万円であります。
 52ページをお開き願います。歳入の主なものは、1款使用料及び手数料は、港湾施設の使用料であり、3款繰入金は、県債の元利償還費に充当するものであり、6款県債は、工業用地造成事業等に充当するものであります。
 次の53ページの歳出でありますが、1款事業費は、大船渡港の工業用地造成等に要する経費であり、2款公債費は、県債の元利償還に要する経費であります。
 次に、第2表地方債でありますが、これは、港湾施設整備事業及び工業用地造成事業に充当するものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 少し飛びまして、72ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成19年度において実施しようとする農道整備事業及び農免農道整備事業の一部を、表に定めるとおり、受益市町に負担させようとするものであります。
 次の73ページの議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成19年度において実施しようとする林道事業の一部を、表に定めるとおり、受益市に負担させようとするものであります。
 76ページをお開き願います。議案第19号土木関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成19年度において実施しようとする建設事業の一部を、79ページまでの表に定めるとおり、受益市町村に負担させようとするものであります。
 80ページをお開き願います。議案第20号流域下水道事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、平成19年度において実施しようとする都南処理区等の管理運営費並びに建設事業の一部を、82ページまでの表に定めるとおり、受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、恐れ入りますが、お手元の議案その2の154ページをお開き願います。議案第48号建築基準法施行条例の一部を改正する条例でありますが、これは、建築基準法の一部改正に伴い、新たに構造計算適合性判定が導入されたことにより、一定の高さ以上等の建築物の確認申請において、構造計算適合性判定に係る手数料を、これまでの建築物に関する確認申請手数料の加算額として、次の155ページまでにあります表のとおり定めるものであります。
 また、建築物に関する計画通知審査手数料については、国、都道府県または建築主事を置く市町村の建築物に対する確認においても、構造計算適合性判定に係る手数料として、建築物に関する確認申請手数料の加算額と同額の手数料を徴収しようとするものであります。
 その他、建築基準法の一部改正に伴い、法第7条の3第2項を法第7条の3第1項に引用条項を改めること、学校教育法の一部改正に伴い、盲学校、聾学校、養護学校を特別支援学校に改められた用語について所要の整理をしようとするものであります。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇及川幸子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇大宮惇幸委員 安全・安心な県土づくりは県民の願いでありますが、その中で、かつては歩道整備と言われておりましたが、最近は自歩道の整備となっておる事業に関連してお尋ねするわけであります。
 県道に対する自歩道の整備については、県内の35市町村からかなりの要望があるだろうと思われます。そういう中で、平成19年度の予算に市町村要望がどの程度反映されておるのか、その数値をお示し願いたいと思います。
〇中野道路環境課総括課長 県内市町村からの自歩道の整備の要望状況についてでございますけれども、平成18年度におきましては36カ所の御要望を受けております。対応が非常に厳しい状況の中でございますが、そのうち3カ所、平成18年度においては整備に取り組んでいるところでございます。19年度につきましては、骨格予算でございますので、継続事業を当初の予算として計上させていただいております。
 自歩道の整備につきましては、交通事故が多発している道路あるいは幼稚園、小学校の通学路などで、交通量が多くて緊急に交通の安全を確保する必要がある箇所につきまして、優先度をつけまして、総合的に評価して事業を実施することとしております。
〇大宮惇幸委員 交通量なり、そういうものが優先されるわけでありますけれども、交通量が少なく、あるいは優先度も下位の方にあっても危険箇所があるわけであります。そういう部分をやはり、当然振興局の担当者もそれぞれの地域の現場を確認していると思いますから、優先順位のみならず、そういう部分も再度点検していただいて取り組んでほしいと思います。私もその現地を見ております。そういう箇所についても取り組んでいただきたいと思っております。何といっても、通勤、通学というよりも子供たちの安全確保を最優先するべきだと思っておりますので、今後の取り組みについてお考えをお示し願いたいと思います。
〇中野道路環境課総括課長 先ほど申し上げたところでございますけれども、緊急度の高いところから優先的に取り組んでおるわけですけれども、現状ではなかなか時間を要しておりますことから、冬季などにおきましては、路肩部を広目に除雪するなど、歩行空間の安全確保のために取り組んでまいりたいと考えております。
〇大宮惇幸委員 次に、通称奥産道路についてお尋ねいたします。
 この奥産道については再三お尋ねしているわけでありますけれども、平成18年度で登山道と結んで松川側と道路がつながったという説明であったし、その工事もやったわけでありますけれども、しかし、私は現場を見て、本来の道路ではないと感じておるわけであります。しかし、奥産道、3キロ残された部分をつなげと言っても、なかなかつながらない現状であります。私は、今まで完成された部分を、ぜひとも全線を県民の皆さん方あるいは地元の皆さん方に利用させるべきだと思っているわけですが、何せ松川工区、網張工区とも途中で通行どめになっておる現状であります。これを是が非でも撤廃していただいて、完成している道路の部分を利用させるという考え方について当局のお考えをお尋ねするところであります。
〇佐藤道路建設課総括課長 一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道の利活用についてですが、平成18年度で、今、御案内のとおり整備を終えたわけでございます。今後は、平成14年3月に策定した活用計画に基づきまして、平成19年度、20年度の2カ年間、利用者数、三ッ石湿原の水質や植生及び連絡歩道の状況の変化等のモニタリングを実施しまして、その結果を踏まえまして、平成20年度末に松川側と網張側の車両通行制限ゲートを三ッ石側に移動することが可能かどうかにつきまして判断を行うこととしたいと思っております。
〇大宮惇幸委員 今、モニタリングをやるというお話ですけれども、途中であのように閉鎖しているということになりますと、なかなか車も行かないんです、実際のところ。やっぱり閉鎖部分を撤去することによって本当のモニタリングができるものと私は思っています。だから、ああいう状況でモニタリング調査するということは、私は現場の者として、本当のモニタリングの成果を疑いたくなるのが現実ですけれども、それでもモニタリングの調査をするということですか。
〇佐藤道路建設課総括課長 モニタリングに関しましては、やはり利用者の入り込みの数、それから三ッ石湿原の水質関係、それから植生がどうなるか、それから登山道の踏み圧の影響調査等々、歩道を利用する方々の実態を監視しながら、第・期の計画に移行が可能なのかどうか、それを判断しながら行うということで、モニタリングは必要であると考えているところでございます。
〇大宮惇幸委員 いずれモニタリングをやっていただいても結構でありますが、私が冒頭申し上げましたとおり、ぜひとも完成された部分は早期に全線を利用させていただきたいと強くお願いして終わります。
〇平沼健委員 私は、3点ほどお尋ねいたします。
 まず、除雪費について伺いたいと思います。今回も新年度10億円強が予算化されております。ここ2日ほど雪が随分降りましたけれども、この冬は本当に少雪というか、雪が少ない冬でございました。除雪する場合に、建設業者さんが除雪をやるわけですけれども、前もって契約をするというか、これは県に限らず、各市町村がそういう形かと思います。前は、建設業界がいいときには自分のところでこういう重機を抱えておって、それで対応されたはずです。ところが、こういう状況になってくると、業者の方々もそういうような重機を処分したり、そういうところが本当に多いんですね。どうするかというと、行政等からそういう話があって、重機あるいは機具をリース会社と契約をするということなんですね。ところが、幸か不幸かこの冬は雪が降らなかった。除雪するときも少なかった。出動がない。ただ、リース料だけはどうしても業者が払っていかざるを得ない。大変苦しんでいるところがあるわけでして、これは行政に責任があるのかないのか、それは私もよくわかりませんが、県民のためということで毎年そういう契約というか準備をして待機している。そのような状況があるわけですけれども、大変今、苦しんでいる業者もおるわけですので、責任がどこにあるのかというのはちょっとおかしいんですけれども、その辺救う道が何かないものなのか、それをまず初めにお尋ねいたします。
〇中野道路環境課総括課長 除雪契約の形態についてですけれども、県が保有する除雪機械をこれまでの実績を踏まえて貸与する形態のものと、それから、受託業者さんが別途、除雪機械を準備する形態のものとに大きく二つに分かれております。受託業者さんが機械を準備する場合では、一般の建設工事と同様に、自社保有もしくはリースによる調達のいずれの方法でも問わないこととしております。
 除雪の契約方法につきましては、除雪機械の機種ごとに1時間当たりの除雪単価による単価契約としておりまして、稼動実績に応じた支払いとなっておりますことから、保険などによる補償的なものは盛り込んでおりません。
 なお、県の除雪体制は、除雪機械の64%を民間保有機械に頼っておりますことから、各県の状況を見ながら、今冬のような記録的な少雪でも大きな負担とならないよう、除雪体制のあり方を研究してまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 確かに半分以上が民間に委託しているというか、そういうことだと思っておりました。今のお話で、これからもこういうことがあると思うんです。ですから、県民のためということでそういう準備をして、たまたま仕事にありつかない、そういうようなことで、これは受託した建設業者さんが悪いとは言えないわけでして、やっぱりこの辺は早急に何らかの救済というか、それはぜひ考えていただきたいと思います。
 次に、2番目ですが、津波対策についてお尋ねいたします。
 2目、4目に港湾建設費あるいは海岸保全費として多くの予算が計上されております。具体的にこれはどういう事業内容なのかひとつ教えていただきたいと思いますし、また、県内海岸線で、防潮堤、津波防波堤といいましょうか、そういうものを毎年毎年建設してきているわけですが、まだまだこれは完全に終わってはいないと思っております。その辺の進捗状況というか、大ざっぱでいいんですが、何キロの計画に対して今のところ何%ぐらいが終わっているとか、その辺、お聞かせ願いたい。
 それに関連して、岩手県で万が一津波があれば、一番被害が出るのが宮古の鍬ヶ崎地区と言われております。今回、宮古で、津波対策が地区のワークショップということで、県がある程度の計画を示しました。海出しというか、そういう形で防潮堤をつくるという形です。ただ、これは物すごい工事費がかかると想定されておりますし、時間もかかると思うんです。ですから、お尋ねしたいのは、ああいう案を提示したときに、漁業者と地区住民との調整というか話し合いというか、その辺はどのようなことで進んでおるのかが一つです。
 それから、これは相当期間かかりますので、やっぱり津波の場合には逃げるのが一番なわけでして、鍬ヶ崎地区で、ある地区では町内会でもって避難路をつくっておるところも出てきました。ただ、やっぱり傾斜がきついものですから、なかなか思うようにいかないのが実態です。まず、地元のためには避難路をちゃんとしていかないと、いつ来るかわからない津波ですので、その辺は地元の自治体が整備しなければならない、これは十分に私も知っております。ただ、やっぱりその辺を、岩手県として、そういう指導あるいは助成というか、その辺のお考えを聞かせていただきたい、このように思います
〇沖野河川課総括課長 海岸線の津波対策の進捗状況等についてでございますが、4目の海岸保全費、津波危機管理対策緊急事業費2億円の事業内容でございます。田野畑村嶋之越海岸の水門本体工事と普代村宇留部海岸の遠隔操作機器更新の工事内容となっております。
 また、2目港湾建設費、津波危機管理対策緊急事業費1億740万円は、大船渡港海岸の津波防災ステーション遠隔操作機器新設工事でございます。
 防潮堤の整備状況でございますが、県全体の海岸線延長約709キロメートルのうち、津波対策が必要な延長は約79キロメートルでございます。そのうち約56キロメートルにつきましては、既往の津波高さをもとに定めた計画津波高さまで整備が完了しております。その整備率は約71%となってございます。
 鍬ヶ崎地区の津波対策についてでございますが、平成16年度から鍬ヶ崎地区津波対策基本構想検討委員会によりまして検討を進めてまいりました。委員会から地域住民の意向を把握する必要があるとのことから、ワークショップを開催してございます。ワークショップでは、地域住民より、他地区と同様に防潮堤等の施設整備による対策が必要であるとの意見を受けまして、実現可能と考えられる防潮堤等の3案を示したものでございます。
 委員会は、ワークショップ等の意見を踏まえまして、平成18年度内に県に対し答申することとしており、それを受けまして、県では、平成19年度に具体的な検討を行う中で、地域住民や漁業関係者及び宮古市等関係機関との調整を図っていく予定にしてございます。
 避難路につきましては、県が平成16年度に公表しました津波浸水予測図に基づきまして、沿岸市町村がハザードマップを策定する際に、これまで指定されております避難路を、安全性あるいは機能性の観点から見直すよう指導助言を行っているところでありまして、その内容に沿って市町村が計画的に整備をしていくものと考えてございます。
〇平沼健委員 ちょっとくどいんですけれども、一番最初にお話しした除雪の関係で、今、検討するという返答をいただきましたけれども、これは今回から何とか対応していただきたいと思っております。
 最後に、県土整備部の考え方というか、評価というものをお尋ねしたいんですが、入札のことですから、これは総務部です。総務部のときに私もお尋ねしたんですけれども、今回、入札制度の案について示されております。ただ、各地域でもって、地域に密着しているというか、今のお話の災害対応とか、あるいは雇用、いろいろなものが含まれておるわけでして、県土整備部の皆さんは現場に一番近いところにいるわけですから、今回総務でもって提案してきています入札制度について、県土整備部としてどのように評価しているのか、これをお尋ねして終わります。
〇西畑県土整備部長 本県の建設産業につきましては、委員御指摘のとおり、社会資本の重要な担い手であることはもちろんでございますけれども、災害時の緊急対応、除雪、地域経済あるいは地域の雇用の確保、こういった広範な分野で重要な役割を果たして貢献していただいておるものと私も考えてございます。
 今般の案についての評価はどうかということでございますが、今回の案は、透明性、競争性、公平性を十分に確保することが基本になってございますが、本県の建設産業が先ほど申し上げましたような大きな役割を担っておることにかんがみまして、工事の規模に応じてきめ細かく地域要件を設定する。完全な一般競争ではなくて、条件付一般競争という形で地域要件をきめ細かく設定することを通じまして、県内建設産業の振興の面にも配慮しているものと考えてございます。
 なお、委員御指摘のとおり、県土整備部は工事所管部局でございます。工事所管部局といたしましては、工事の品質の確保という観点が非常に大事なところでございます。そういった面から、価格競争だけでなく、価格に、例えば企業なり技術者なりの技術力も評価する総合評価落札方式を来年度は拡大したいと思っておりますし、一方で、現場での工事監督についても一層強化していきたいと考えてございます。
 最後になりますけれども、今定例会において、全会派共同で決議がされてございます。この決議を重く受けとめまして、一層適切な結論となるように、さらに検討を総務部の方でも進めていただいておりますので、県土整備部は、工事所管部局としての意見を総務部にお話しし、いい案になるように総務部と連携を図ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
〇亀卦川富夫委員 1点お伺いいたします。
 橋梁整備についてであります。先ほど部長が、本年度予算の重要事項の第1に、産業振興、物流ネットワーク構築を挙げておられました。その観点から、内陸工業団地と港湾を結ぶ、いわゆる北上川を横断する橋梁整備は大変私は重要な課題であると思います。今後の取り組み方についてお考えをお聞きしたいと思います。
〇佐藤道路建設課総括課長 北上川を横断する橋梁整備についてでありますが、北上川は、御案内のとおり川幅が非常に広いということで、また、橋梁も盛岡以南約30橋余りあるんでしょうか、いずれ数多い橋梁があるわけです。その中で、橋梁をいかに良好に維持管理をしながら、そしてなおかつ物流支援に資するような道路として存続させていくか、これはやはり重要な課題であると考えておるところです。
 今後の取り組みとしましては、やはりそういう橋梁を良好に維持管理しながら、また、今現在進めておりますアセットマネジメントを行いながら、老朽化の著しい、あるいは耐震補強が必要な橋梁等を優先しながら維持管理をしていく。また、かけかえが必要な橋梁につきましては、順次優先度を見きわめながら、また、交通量の推移、あるいは予算の動向も踏まえながら橋梁をかけかえていく、そういう基本的な考え方で進めたいと考えているところです。
〇亀卦川富夫委員 具体的に一つお伺いいたします。
 県南広域振興圏、ただいまものづくりを一生懸命やるということでやっておりますが、この産業振興上、特に奥州市地区内の小谷木橋という橋は、国道397号の非常に重要な位置づけにある橋梁と私は認識しております。皆さんも多分そのように思っていると思います。ただ、これが建築後既に50年を経ておりまして、老朽化が著しい。耐震補強などもやっておりますが、問題は幅員でありまして、いわゆる大型自動車のすれ違い等は大変危険な状況にあります。そういった意味で、地元からこの橋梁についてはこれまでもいろいろお話があったところであります。特に旧水沢市の東西を結ぶ市街地の道路、ここに久田前田中線という重要な都市計画道路がございます。これを羽田地区内の新幹線の駅まで延長する構想がございまして、これが非常にしっかりした位置づけになるんだろう、こういうことで、新橋をかけるという構想が随分前から県との間で検討されてきた経緯があると思います。一方、小谷木橋は、私が先ほど申し上げたような経緯で、かけかえがどうしても必要だろう。こういう2本が近いところにあるわけでありますから、両方やれば一番いいところでありますが、優先度からいってどういうふうにいくものか、これはこれからの検討と思いますが、この辺の経緯について改めてお伺いいたしまして、今後の進め方等もお聞きしたい、このように思います。
〇佐藤道路建設課総括課長 小谷木橋のこれまでの経緯でございますが、さきの決算特別委員会でも申し上げましたように、地元の奥州市─当時の水沢市と、今お話ありました市道を延伸するルートを含めまして、平成12年度から協議を重ねてきたわけでございます。奥州市のまちづくりのかかわり、あるいは市街地における国道のあり方などにつきまして、関係機関との協議・調整を踏まえ、さらに検討する必要があるということでございます。
 その後昨年11月に、奥州市の都市整備部と現地の県南広域振興局が今後の取り組み方につきまして打ち合わせを行ったところでございます。その中で、奥州市の都市計画とのかかわり、あるいは小谷木橋のかけかえの今後の取り組み方について、市と県南広域振興局土木部がざっくばらんな意見交換をしたところでございます。
 今後は、先ほども申し上げましたが、かなり大きな事業費を要することですので、今後の整備のあり方につきましては、やはり奥州市の都市計画、まちづくりの観点とか、そういうさまざまな角度から十分今後も意見交換を行いながら検討してまいりたいと考えているところです。
〇亀卦川富夫委員 地元と一定の進め方を今やられているというように認識いたしました。
 北上川両岸の地域の方々が、ぜひ一日も早い整備を願いたいという願いを込めた期成同盟会なども結成して、今、動いているところでございます。多額の資金を要するという財政上の大きな問題がございますが、ひとつ今から十分調査検討を重ねて、着実に進むようにお願いしたいと要望して終わります。
〇木戸口英司委員 いわて花巻空港についてお聞きいたします。
 国際チャーター便につきまして、その動向をお伺いしたいと思います。これまで官民挙げての取り組みで、国際チャーター便も相当伸びを示してきたわけでありますが、本年度、ターミナルビルの機能不足ということで相当厳しい状況もあったと、また、それに対応する取り組みが行われてきたと認識いたしておりますが、本年度の動向、また、この間どのような取り組みが行われてきたか、また、来年度の見込み、それから来年度の取り組みがあればお示しいただきたいと思います。
〇高橋港湾空港課総括課長 国際チャーター便の本年度の動向についてでありますが、今年度は82便、利用者数にして約1万1、000人となっております。このうち、インバウンドが67便で、利用者数が約8、600人、これは、前年度と比較しまして、便数で約7割、利用者数で約5割に相当します。それから、アウトバウンドは15便で、利用者数は約2、400人となっておりまして、これは前年度並みとなっております。
 取り組みについてでありますが、平成18年度、それから19年度引き続きの取り組みになりますが、実績のある台湾については、運航期間の拡大、それから、昨年度初めてインバウンドのチャーター便が就航した韓国については、便数の増加を図るため、海外の航空会社及び旅行会社に対するエアポートセールスあるいは地元メディアでの商品広告の展開等を強化してまいりたいと考えております。また、新たな就航先の開拓に向けて、情報収集や体制整備にも取り組んでまいりたいと考えております。
 平成19年度の見込みについてでありますが、現時点では年間を通しての見込みは難しいわけですが、春には、台湾からのチャーター便が平成17年度と同程度まで回復するということ、それから、中国からのチャーター便も昨年同様運航されること等が見込まれております。
〇木戸口英司委員 17年度の5割というお話でありましたが、これも相当御努力があったことを私も認識しておるところでございますが、ターミナルビルが新しく完成するまでの期間ということ、また、来年度さらに積み上げということを期待するところであります。
 それでは、新ターミナルビルの整備につきまして、何点かお聞きしたいと思います。今度の計画にある施設、機能、面積等を、当初計画との比較とあわせてお聞きしたいと思います。また、改めて建設費、その資金スキーム、これは大きく当初の計画から変わったものと認識いたしておりますが、この確認をさせていただきたいと思います。
 また、これは建設費が大幅に縮減されたということでありますが、これが見直しをされた基本的な考え方、どのような考え方に基づいて、約半分という建設費になったわけでありますが、ここを確認したいと思います。また、今後の整備スケジュールであります。新ターミナルビルの建設費縮減ということは、一方でターミナルビルの経営が将来にわたって自立的であるようにということであったわけでありますが、今後の経営の見通しというところも確認をしながら、また、今後の経営のあり方として、県とすれば、もちろんターミナルビルの会社としての独自性はあるわけでありますけれども、どのように指導されていくお考えかということも含めてお伺いしたいと思います。
〇高橋港湾空港課総括課長 新ターミナルビルの整備についてということですけれども、まず最初に、施設、機能、面積等の概要についてでありますが、国際線施設の機能充実、各種ロビーの狭隘の解消等を図るため、床面積を現ビルより約20%増加し、約7、500平方メートル程度の規模のビルの建設を予定しております。これを当初計画と比べますと、当初計画は床面積が約9、000平方メートルであったということで、これが約7、500平方メートルに縮小したということであります。具体的には、国際線と国内線との動線の分離、狭隘な待合室の解消、CIQ、これは税関、出入国管理、検疫でありますけれども、それの業務環境の整備などにより、国際チャーター便に適切に対応できるようにするとともに、ユニバーサルデザインに対応するなどの機能強化を図るものであります。
 次に、建設費と資金スキームについてでありますが、岩手県空港ターミナルビル株式会社では、本体ビルの建設費として約20億円弱を見込んでおります。このほか登記料、不動産取得税、貨物ターミナルビル整備費用等が必要になりまして、事業費総額で約24億円の見通しとなります。事業資金については、県は本体ビルの国際線施設の整備やバリアフリー設備の導入に要する費用等の一部について、約8億7、000万円の補助金を交付することとし、その他の費用─これは約15億3、000万円になりますが─については、ビル会社の内部留保資金と金融機関からの融資により、ビル会社がみずから調達することとしております。
 見直しの考え方でありますが、まず、機能については、最小限必要な機能を確保しながら、いわゆる装飾的な要素というものをできる限り取り除いたというような考え方で縮減を図っております。
 整備のスケジュールについてでありますが、平成19年3月中に、県及び岩手県空港ターミナルビル株式会社との間で補助金交付契約を締結し、その後、ビル会社において、平成19年度以降、新ターミナルビルの詳細設計及び工事の発注を行うこととしております。平成21年春には供用開始をする見込みとしております。
 それから、新ターミナルビルの経営見通しについてでありますが、経営見通しについては、当初計画に比べ、新ビルの面積や事業費の縮減により、家賃収入など収益が減少する見込みでありますが、同時に、維持修繕費などの費用も減少するということから、ビル会社の負担軽減が図られるなどの効果があるものと認識しております。この結果、供用開始後、数年で黒字となり、長期的にも安定した収支となると見込んでおります。県としては、こういうものをきちんと見ながら、適切に指導してまいりたいと考えております。
〇木戸口英司委員 いずれ、今までのターミナルビルでは大型機が発着できないということもありましたし、国際線の待ち合いの狭隘ということで、離発着、出入国のとき、2時間から3時間、お客さんが立ちっ放しの状況という劣悪な環境があったわけでありますが、これの解消というものが大きく期待されるわけであります。
 その中で、もう一点、現ターミナルビルは、いよいよ新ターミナルビルが完成すれば、この後利用、後活用ということが出てくるわけでありますが、これの基本的な考え方、またスケジュール等、今の段階でお知らせをいただきたいと思います。
 次は、大事であります利用促進策であります。やはり空港整備を進めていく上で、また、完成した以降、この利用促進策がますます重要になってくることは言うまでもないことでありますが、本年度の総括といいますか、振り返ってみて、利用促進策の取り組みの状況をどのように評価されているか。また、来年度の取り組みについてお知らせをいただきたいと思います。空港利用促進協議会の役割というものもますます大きくなってくるものと思いますが、こことの連携のあり方、また、利便性の向上、観光需要、ビジネス需要、一方で福岡便の状況ということもあるわけでありますが、この福岡便の対策ということについてもお知らせをいただきたいと思います。
〇西畑県土整備部長 本年度の利用促進についての総括をしろということでございます。委員御指摘のとおり、岩手県空港利用促進協議会が主体となりまして、今までやってこなくて18年度からやったことといたしまして、ビジネス需要にこたえるため、県内企業を対象とした動態調査を実施いたしました。あるいは誘致企業への訪問調査も実施いたしました。これは以前からもやっておりましたが、就航先の旅行代理店からの情報収集もやってございます。それから、これは大きなショックだったわけですが、台湾のエバー航空の撤退後の台湾における観光需要の把握も今年度新たに努めてきたところでございます。
 こういったことを踏まえまして、航空会社への働きかけ、海外の航空会社へのチャーター便の誘致、県内あるいは国内の就航先の旅行代理店への花巻向けの商品をつくっていただくことに対する支援、ビジネス需要に対応した二次交通、いわゆる乗り合いタクシーでございますけれども、こういった事業を実施してきたところでございます。
 来年度の取り組みはどうかというところでございます。委員御指摘のとおり、ビジネス需要を喚起するにいたしましても、観光需要を喚起するにいたしましても、根本には航空機の利便性の向上という部分が最も効果的な利用促進策であると私は認識してございます。そういったことから、今年度初めてJALと定期的に意見交換も進めてまいりましたけれども、来年度も航空会社と定期的な情報交換を鋭意実施したい。そういうことを通じまして、ダイヤの改善、輸送力の増強を航空会社に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 それから、現在のダイヤの中でどう頑張るのだという部分もあろうかと思いますので、県内あるいは国内の各就航先の旅行代理店に対しまして、旅行商品の提案あるいは支援、それから、昨年から運行を開始しました乗り合いタクシーの普及、こういった二次交通を含めた利便性を向上させることで、利用の促進に努めてまいりたいと思っております。
 それから、福岡線でございます。ことしの10月から休止になるということで、これにつきましては、県としては非常に残念なことでございます。しかし、交渉の過程で、航空会社が運航に当たってさまざまな代替措置を講じてくれることで、一定のネットワークはおおむね確保できたのではないかと私は考えてございます。このネットワークを生かした旅行商品の造成の働きかけ、あるいはそれのPR、あるいは支援といったものを通じまして、県内発のビジネス需要、観光需要の掘り起こしに一層努めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
〇高橋港湾空港課総括課長 現ターミナルビルの活用についてということでありますけれども、現ターミナルビルにつきましては、ビルの所有者であります岩手県空港ターミナルビル株式会社と花巻市の間で、花巻市に無償譲渡して、花巻市が活用するということで、両者が了解しているところであります。
 今後の具体的な活用方法につきましては、市の方では、市議会あるいは地元住民と相談しながら決めていきたいと聞いております。具体的なスケジュールについては、これから検討されるものと思っております。
〇木戸口英司委員 いずれ、利便性の向上ということは、航空会社、先方があることでありますので、また、航空会社の今の経営状況も厳しいものがあるという認識の中で、やはり息の長い交渉ということも大事だろうと思っております。その中で、福岡便のことは確かに残念ではありますけれども、週数便ということ以上に、日々、乗り継ぎをしながら、福岡、九州との行き来がむしろできるのだという持っていき方といいますか、発信の仕方ということを逆手にとってやっていくことが大事であろうと私は思っております。
 そういう中で、来年、空港課が新設されるということで、私もやはり空港対策の組織拡充ということはずっと訴えてきたところでありますので、ここも来年度期待をするところでありますが、これによるまた来年度の取り組みということ、もう一つ、やはり産業振興ということを、部長も部局の説明のところで最初の言葉として出してきたと思っております。やはり観光、ビジネスということでありますが、特に全県の大きな取り組みとして産業振興がある。この中に空港というものをしっかりと柱立てしていくことも大事だろうと思います。国の方でも観光立国ということで、これから大きく推進される施策でもありますし、県としてもここを強く発信していくことが大事だろうと思います。他部との連携、また民間との連携といった観点で、部長、来年度の取り組みをもう一度お聞きをさせていただきます。
〇西畑県土整備部長 空港課につきましては、委員からただいま御質問がありましたように、空港整備事業の推進、利用促進のために体制を強化する必要があるということを目的として設置したものでございます。また、委員から御指摘のとおり、産業振興というのが、県土整備部だけではなくて県全体の政策として非常に大事なものである。そういう中で県土整備部はどう貢献できるかという観点であろうと思いますが、産業振興の中では、ものづくりでありますとか、1次産業でありますとか、いろいろございますが、その中で観光という部分も非常に大きなウエートを占めるものだと認識してございます。その観光の中で、まだ利用をそんなに言われる状況ではございませんけれども、空港もそれなりに貢献しておると思いますので、そういった部分をもっと強化したいということがございます。
 具体に申し上げますと、庁内の観光部門、交通の部門、国際の関係の部門、こういうところと密な情報交換あるいは施策の連携といったものを通じまして、効果的な空港の利用促進、それがひいては県の観光振興、産業振興につながるように頑張っていきたい、かように考えている次第でございます。
〇佐々木一榮委員 今月、仙台空港アクセス鉄道が開通いたしますけれども、開通による花巻空港の影響を、新年度どのようにお考えでしょうか、1点お尋ねいたします。
 この状況はやっぱりかなり影響が、仙台空港までは17分ですから、岩手県民も、現在、水沢以南の方々が仙台空港を大分利用というようなデータが出ていますが、これが恐らく、こまち・はやてを使いますと、盛岡の方々も仙台空港の利用に動くのだろうと思います。それによって、今まで木戸口委員から質問のあった花巻空港の利用活用促進策の見直しなり、再構築なり、そういった部分が出てくるのかという部分についてお尋ねをしたいと思いますし、最後でありますが、東北に恐らく9空港、青森にも二つ、秋田にも二つ、山形二つと福島を含めて九つの空港があると思いますが、それぞれの空港がやっぱり大きな課題を抱えていると思います。その中で、6県の協議というのが、それぞれの各県の空港の位置づけをする際に非常に重要になってくるのではないかと考えておりますが、その点についてお尋ねしたいと思います。
〇高橋港湾空港課総括課長 まず最初に、仙台空港のアクセス鉄道の影響ということでありますけれども、実は、花巻空港の利用者の大半は自家用車で空港に行っているという人が多いわけであります。実際、鉄道を使ってという人は余り多くないというのが現状であります。
 そういう現状を考えますと、アクセス鉄道が完成したからといって、すぐ大きな影響が出てくるというものではないのかなと思っております。ただ、そうはいっても、全く影響がないかというと、そういうわけでもないと思いますので、これの動向をちょっと注視していく必要があるというように考えております。
 それから、他県の空港との関係ということでありますけれども、一例を挙げますと、昨年、エバー航空が花巻空港から撤退した後、青森あるいは秋田の空港の方にチャーター便が就航したわけですが、春には青森、秋田の空港が利用されたわけですけれども、秋にはエバー航空はこれらの空港から撤退あるいは減便という形になっております。そういう状況を考えますと、例えば北東北全体を考えましても、花巻空港というのはそれなりに重要な位置を占めているというように考えているところであります。いずれ、それでもさまざま多くの空港と競争関係にあり、あるいは仙台空港のアクセス鉄道の整備があるというような環境になってきておりますので、さらに利用促進に努めてまいりたいと考えております。
〇西畑県土整備部長 近隣空港との関係でございます。委員御指摘のとおり、これにつきましては、空港でございますから、近隣空港とは時には競争でございます。しかし、時には連携するという柔軟な発想を持たないと、花巻に来て、花巻から出ていくということだけでは、なかなか利用促進が図れないと考えております。
 そこで、いわて花巻空港は、施設は他県の空港に比べるとちょっと見劣りする部分があるのですが、地理的に見ますと、東北の真ん中にある、高速道路の東北自動車道と非常に近接しておるということで、東北6県の観光地へのアクセスの面からいいますと、かなりアドバンテージを持っているだろうと思っております。ですから、こういった部分で花巻におりてきていただいて、韓国の定期便がある例えば仙台とか、秋田とか、青森から出ていっていただくとか、あるいは逆のコースだとか、そういった部分も、やっぱり競争もしつつ連携もする柔軟な発想で利用促進に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
〇佐々木一榮委員 関連ですから、これで終わりますけれども、先ほど、高橋課長から車の利用がほとんどだというお話がありましたが、なぜ、花巻空港が車の利用がほとんどかというのは、恐らく空港までのアクセスが悪いから車を利用しているんだと。これが、公共交通機関が便利になれば、花巻空港もそういうものを使うのだろうと思います。バスですとか、恐らくそういうものしかないという状況でありますから、こまち・はやてで、私は一関ですから通過駅ですのでわかりませんが、恐らく盛岡から35分かそこらでもう仙台に入ってしまうと思うんです。そうしますと、そこから17分で空港ということですから、1時間圏内で盛岡から入ってしまうとなると、これは結構大きな影響が出るのではないかと思っておりまして、そのためには、やっぱり花巻空港の利用活用促進策というものを、もう少し角度を変えて再構築していかないと、先ほど、部長の方からも競争も必要だという話がありましたけれども、まさにそのとおりでありまして、いかに花巻空港を活用するかという面で、戦略の変更が非常に大事になってくるかなと思っております。
 それともう1点、先ほどのチャーター便の海外の観光客については、入りと出がどこであっても、これはパッケージですから構わないんですけれども、一般的に言われますのは、当然ながら、例えば大阪-東京便ですとか、東京-札幌便ですとか、便数の多いところというのは、当然、航空会社も競争がありますから、航空運賃も格安になります。ところが、便数も少ない、逆にそういう不利なところについては航空運賃も高いという、これは逆比例していますので、その辺をいかにうまく使うかという部分もあろうかと思いますし、それから、先ほど、北東北というお話がありました。ですから、花巻空港を本当に利用活用していくには、私は北東北の花巻空港という戦略を組むべきだと思いますし、例えば、来年、世界遺産登録される平泉は、確かに花巻空港からの戦略もいいんですが、やはり流れとしては、恐らく松島-平泉ルートの方が観光客は多いだろうという意味で、空港戦略、この辺について、利用促進協議会の方々と現状というものを再認識して、特にも、今月、アクセス鉄道が開通するということでありますから、新年度早々、そういう需要予測も含めて検討すべきと思いますが、最後に御答弁を伺って、終わります。
〇西畑県土整備部長 結論から申し上げまして、委員御指摘のとおり、まず、利用促進協議会等との打ち合わせは、年度が開ければ早急にやりたいと思っております。
 それから、委員御指摘の貴重な話がありまして、運賃の問題でございます。いわて花巻空港は、実は割引運賃が適用できない空港でございまして、これを何とかできないかという部分が、実は、福岡の廃止に伴う交渉の中で県はかなり強く交渉をさせていただいた経緯がございまして、まだ具体にということではないですけれども、日本航空も非常に経営が厳しい中ではありますけれども、県に対して、一方では迷惑をかけている部分がございますので、前向きに取り組んでいただいておりますので、そういった部分もうまく使いながら、現状を打破するような新しい戦略をぜひ検討させていただきたいと思っておりますので、また、貴重な御意見、御指摘を賜れれば幸いに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
〇斉藤信委員 最初に、私は住宅の耐震診断、耐震改修助成の実施状況と今後の見通しについてお聞きします。
 県が改修促進10カ年計画というものを打ち出しておりまして、一般住宅の耐震化80%が目標であります。耐震改修促進計画を今後具体的にどう進めるのか、これが第1点。
 第2点に、県内、全国の耐震診断、耐震改修助成の実施状況を示していただきたい。
 第3に、私は、県もこうした計画を立てた以上、耐震改修の助成に取り組むべきだと。目標だけやって、何も取り組まないというのはだめなんですから、やっぱり耐震改修助成に取り組むべきだと。国の助成制度はもうできていると思うけれども、国の助成制度の中身も含めて示していただきたい。
〇鈴木建築指導担当課長 住宅の耐震診断・改修についての御質問にお答えいたします。
 まず、岩手県耐震改修促進計画でございますが、平成27年度までの建築物の耐震化の目標と、その推進のための施策を取りまとめたもので、平成19年1月に策定・公表いたしました。この計画の中では、平成18年度の65%という住宅の耐震化率を、27年度までに80%にするという目標を掲げております。具体的な推進といたしましては、木造住宅の耐震診断や耐震改修に対する支援など、民間建築物に対する耐震診断や改修のための環境づくりを行いまして、平成27年度までに1万戸の耐震診断を実施します。現在行っている木造住宅耐震診断士の認定など、耐震診断や改修を行う技術者の育成や情報提供を行います。
 3点目といたしまして、県、市町村、建築関係団体が連携して、住民に対する診断や改修の重要性の普及啓発を推進するというような柱で進めていこうと考えてございます。
 2点目の質問で、耐震診断・改修助成の全国状況についての御質問がございました。耐震診断につきましては、平成18年度当初時点におきまして31の都府県が助成制度を設けております。耐震改修につきましては、23の都府県が助成や融資等の支援策を講じているところでございます。
 県内の耐震診断につきましては、平成17年度から行っているところでございますけれども、17年度については11市町、410戸の耐震診断の戸数の実績となってございます。18年度におきましては、対象地域を県内全域に拡大したこともあり、900戸の実施予定のところ、2月末現在まで、33市町村におきまして事業を実施しており、895戸の実績になってございます。
 耐震改修につきましては、県内で先行して独自に大船渡市、釜石市、陸前高田市の3市におきまして、市の単独で行っているところでございます。現在までに大船渡市で6戸、釜石市で3戸の実績があるわけでございますけれども、県といたしましては、国において活用できる事業が二つございまして、一つは、倒壊した場合に道路を閉塞するような住宅に費用を助成するというような住宅建築物耐震改修等事業というものと、地域の自主性と創意工夫によりまして、提案事業として住宅の耐震改修そのものに国費45%を助成するというような地域住宅交付金制度がありますので、これらの活用を念頭に置きながら、耐震改修に対する県の支援について、現在、市町村で取り組んでいる耐震診断の進捗や結果、あるいは今後の耐震改修に対する取り組み意向や状況を踏まえながら検討していきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 既に全国で23都府県が耐震改修に助成をしている。岩手県は、宮城県沖地震が99%の確率で30年以内に起こると言われている。私は、こういう切迫した岩手県こそ耐震改修に踏み出すべきだと。
 それで、お聞きしたいんだけれども、1万戸の耐震診断の目標が書かれているんですけれども、耐震改修の目標は何ぼなんですか。80%までやる上で、耐震改修を何戸やらなきゃだめなのか。そして、国の助成制度があるわけですね。私は、1戸当たり上限は60万円と聞いているけれども、ちょっとそこもはっきり言ってください。そして、こういうものこそ本当は当初に組んでもいいんですよ、こういういいものは。残念ながら組まれていないので、早ければ6月補正ということになると思うんですけれども、そういう形で準備を進めているのか、検討しているのか、このことをお聞きします。
〇鈴木建築指導担当課長 住宅の耐震化率を65%から80%にするということについてでございますけれども、これは、15%引き上げるためには、住宅の建てかえと耐震改修の両方セットで率を上げていこうと考えてございます。そして、建てかえは今のペースで建てかえるというようなこと、あるいは耐震改修も促進していくということで、数字で言いますと、耐震改修はおおむね3、000戸程度を、計画期間で何らかの改修によるものをつくっていくというようなことで見込んだ数字になってございます。
 事業につきましては、まず、先ほど申しましたように、耐震診断をおおむねほとんどの市町村で実施している、あるいは耐震改修で3市が現在取り組んでいるというようなことがございます。まずは市町村におきまして、この耐震診断の結果を受けて、耐震改修につながるような普及啓発や、あるいは住民に対する助成に取り組むよう調整を進めてまいりたいと思っております。
 県の支援につきましては、現在取り組んでいる状況を見ながら、なるべく早く実現に向けて検討していきたいと考えているところでございます。
 補助金の上限額でございますけれども、地域住宅交付金等につきましては、住宅の耐震改修について45%の補助というようなことでございまして、特に上限の限度額はございません。
〇斉藤信委員 大船渡、釜石、陸前高田で市単独でやっているということは立派なことですよ。ただ、実際に戸数を聞くと、6戸程度でしょう。やっぱり助成額が小さいのですよ。だから、こういう国の制度を使って、1戸当たり60万円ぐらいを限度にしてやっぱりやらないとだめなんですよ。そうしないと、簡単に改修できません。耐震改修ですから、ただリフォームすればいいということではないので、そういう点で上限60万円程度の助成が全国でやられているようですから、今、できるだけ早くという話ですので、こういういいことは早く、悪いことは慎重にと。これが増田県政に欠けているんですよ。悪いことは早く、いいことはゆっくり。これを変えなきゃだめですよ。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、簗川ダム建設事業について。
 今年度末の進捗状況について示してください。付替道路、国道、県道、ダム本体工事ごとに、事業費、率で示していただきたい。来年度の事業費の具体的中身も示していただきたい。
 二つ目に、大規模事業評価専門委員会、簗川流域懇談会の審議状況はどうなっているか。
 三つ目に、基本高水流量の精査について、報告があったようでありますけれども、洪水到達時間の検討に当たって、毎秒300立方を超える二つの洪水だけから算出するとか、流出計算の算出では、本来、棄却されるべき1を超える4洪水を含めた16洪水の平均値を採用したとか、ちょっと専門家としては考えられないずさんなやり方ではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。
〇水野河川開発担当課長 簗川ダムの今年度末の進捗状況についてでございます。
 まず、付替国道でございますが、今年度末までの事業費の累計は229億700万円となっており、進捗率で81.8%となっております。
 次に、付替県道でございますが、今年度末までの事業費の累計は53億5、600万円となっており、進捗率で51.7%となっております。
 ダム事業につきましては、総事業費530億円のうち、今年度末までの事業費の累計は233億3、200万円となっており、進捗率で44%となっております。
 来年度の事業内容についてでございます。平成19年度当初予算は13億円を計上しており、主に付替国道及び県道の橋梁工事を行う予定となっております。そのほかに流量観測や水質調査、環境調査などの業務委託の実施も予定しております。
 続きまして、簗川ダムに係る大規模事業評価専門委員会の審議状況についてでございます。岩手県大規模事業評価専門委員会からの附帯意見を受けまして行いました簗川の基本高水流量の精査につきましては、お二人の河川工学の専門家の御指導を受けまして、簗川の流出特性を確認しながら、さまざまな検討を行いました。検討結果は、流域住民の方々などで構成される簗川流域懇談会の場で説明させていただき、おおむねの理解が得られましたことから、平成19年2月9日に開催されました平成18年度第4回大規模事業評価専門委員会に報告いたしました。評価委員会の委員からは、検討内容や基本高水流量を設定する考え方などの質問がございましたが、追加検討などの対応が必要な意見は出されず、おおむね理解が得られたと考えております。
 次に、簗川流域懇談会の開催状況についてであります。平成16年10月21日に第1回の懇談会を開催して以来、現在まで9回開催しております。また、治水安全度から基本高水流量までを特別に検討するため、内部組織として治水小委員会が設置され、この委員会が5回開催されております。平成19年1月25日に開催された第9回簗川流域懇談会では、これまでの懇談会及び治水小委員会での検討内容を踏まえまして、懇談会としての意見書についての意見交換がなされております。現在、取りまとめの段階を迎えていると考えております。
 続きまして、洪水到達時間の検討についてでございます。洪水到達時間の算定に当たりましては、従来より慣用的に用いられておりますクラーヘンの式を用いまして算定いたしますと3.2時間となることや、実績流量と洪水到達時間の関係から検討いたしますと、流量規模が大きくなれば洪水到達時間が短くなる傾向がありまして、実測流量データの中で流量規模の大きい二つの洪水を対象として検討を進めることが実現象に即していると考えられることから、ピーク流量300トンを超える二つの洪水の洪水到達時間の平均である4時間を簗川の洪水到達時間としたものでございます。
 流出係数についての御指摘でございますが、当初の検討におきましては、検討対象の16洪水の中には、流出係数が1を超えるものや、あるいは極端に流出係数の小さいものなど、計画として採用するには不適切と考えられるものもありましたが、その不適切な値をどの程度まで棄却するかの判断が難しいことから、16洪水の流出係数の平均値を流量計算に用いる流出係数としたところでございます。しかしながら、お二人の河川工学の専門家に御出席をいただいて開催いたしました簗川流域懇談会の議論を踏まえまして、データの統一性の観点から、洪水到達時間の算定に用いたピーク流量300トンを超える二つの洪水の流出係数の平均値を簗川の流出係数として採用することといたしました。この間の経緯及びその結果につきましては、2月9日に開催されました大規模事業評価委員会に報告し、おおむね理解が得られたと考えております。
〇斉藤信委員 大変お粗末な答弁で、私は驚いているんだけれども、例えば簗川ダムのいわゆる流量を計算するのは降雨でやるわけですね。降雨でやるんだけれども、簗川流域の降雨地点というのが、残念ながらここのところには入っていない。例えば簗場とか中村について、河川課の説明は、単純な記載漏れだなんて答えているんですよ。流出係数というのは、降った雨がどれだけ川に流れるかということなんですよ。1を超えるということは、基本的にあり得ないんです。いいですか、そういう流出係数が1を超えるような雨まであなた方は一緒にして、到達時間に入れているわけですね。こんなの、堺先生だってこれはおかしい、首藤先生だっておかしいと言っているんですよ。おおむね理解が得られたというのは、そういうことなんですよ。それをおかしいと指摘して認めているんだけれども、おおむね理解された、こういうことですよ。私は本当に驚くべきことだと思いますよ。洪水到達時間で、今お話があったけれども、ここだけは300立方を超える二つの雨だけをとったんですよ。これは特異な雨なんです。特異な雨を二つだけとって洪水到達時間を検証する、これは科学的にたえられないやり方ですよ。そういう点で、基本高水流量の精査を時間をかけてやったけれども、とてもこれは専門家が科学的知見でやったとは言えない。流域懇談会でもそういう疑問が出されて、その指摘はそのとおりだと言わざるを得なかったというのが実態ですよ。おおむね理解されたというのはそういうことなんです。これは、私は指摘だけにとどめておきますよ。その程度の基本高水流量の精査だったと。本人も認めていますから、ほかの専門家が見たら、とてもこれは科学的な精査とは言えないんじゃないかと思います。
 ただ、ここでそういう議論をしても仕方ないので、私は進みますが、そういう簗川ダムのあり方について、実は大規模事業評価専門委員会でもさまざまな問題提起、疑問、提案がされているわけです。例えば簗川の特性、洪水はんらん区域の精査、自然環境の破壊、河川改修事業費の精査、こういう問題についてはほとんど専門委員会では議論されていません。だから、専門委員会の中で、専門委員の人たちが、今の議論では、私は賛否を問われたら白紙か反対だという専門委員がいるのですよ。それがなぜ見直し継続になるかというと、十分な議論が進んでない、このままにするわけにいかないから、当面は見直し継続だという取りまとめを前の首藤委員長がしてきた。いわば、専門委員会に課せられた専門的な検討、提起されたさまざまな問題点、疑問点というのは、ほとんど一つ一つ議論されてない。私は、530億円もの大規模事業について、提起された問題についてきちんと議論されるべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇水野河川開発担当課長 簗川につきましては、専門委員会では基本高水の議論が少し不十分ではないかという御意見がございまして、委員長から、基本高水の流量の精査をしなさいという意見がつきました。そういう意見に対しまして、県といたしましては、お二人の専門家の御指導を得ながら、今回、基本高水の精査を行ったというところでございます。
 先ほど委員がおっしゃいました洪水到達時間あるいは流出係数、その値の決め方についてでございますけれども、今回は、降った雨と実際に流れる水の関係を見ようということになりまして、実際、簗川で流量観測を正確にやっているのが20年間しかないという非常に観測期間の短い、そういう制約がございまして、その中でできるだけ大きな雨を使った方がより実現象に近いという判断がありまして、先ほどお話がありました二つの洪水でやってみようということになりました。もちろん、データが広ければ広いほど、それだけ精度は高まりますけれども、今回はどうしても20年しかなかったということで、その中で先生方の御指導を得ながらやれる分の精査を行ったということでございます。その精査で、流域懇談会あるいは大規模事業評価専門委員会に御報告いたしまして、精査をやりなさいということに対しましては御説明申し上げまして、簗川の基本高水流量780トンにつきましては、おおむねよろしいのではないかという御意見もいただいておりまして、県といたしましては、簗川の大きな論争になっております基本高水につきましては、今回の精査を含めまして県の考え方はおおむね理解されたと考えておりまして、530億円かかります簗川ダムでございますけれども、今後とも簗川流域の治水安全度向上のために進めていく必要があると考えております。
〇斉藤信委員 私が質問したことを余りよく聞いてないみたいですね。基本高水流量の専門家による精査というのは、結局、県の河川課がやった。2人の専門家といっても、これは大規模事業評価の委員なんですよ。第三者じゃないんだ、残念ながら。評価する当事者なんですよ。そういう点では本当にこそくなやり方になって、結局は県のそういう精査というのは、今まで780トンと言っていたことを合理化するような精査にしかならなかった。これは指摘だけにとどめておきます。
 私がもう一つ問題提起したのは、そうじゃないんです。いわば大規模事業評価専門委員会が、例えば専門家から意見を聞いた、問題提起を聞いた、流域懇談会から意見を聞いた、そこにさまざまな問題が提起されたが、それは全然議論されてないということを私は指摘したんです。だから、専門委員会の中にも、今の段階だったら私は白紙だ、反対だという意見が出ているんですよ。だから、もっと煮詰めた議論をすべきだと私は提起をしたのです。
 それで、この間の専門委員会に出された流域懇談会からの報告書の中で、では、流域住民というのはどういうふうに考えているのか。洪水対策の方針で、ダムにより治水対策を行うべきだというのはたった33%ですよ。そして、河川整備の方針について、自然環境、動植物の保護・保全、景観の保全へ配慮すべきだが41%で第1位です。流域住民全体の意向といったら、こうなるんですよ。流域住民の理解と合意というのは、大型開発を進める上で大前提ですから、こういう状況を踏まえて慎重に、むだ遣いをやらないように、簗川ダムなんて、本当にむだ遣いですよ、今の危機的な財政状況のもとで。
 もう一つ、簗川の最後に聞きますが、例えば、後から聞く津付ダムは、70分の1の基本方針の中で、当面の整備計画は30分の1なんですね。私は、簗川もそういうことをすべきだと思いますよ。当面の基本方針と当面の整備計画、こういうものを持ってやるべきだと。実は、流域懇談会でこの意見を聞いたのですよ、どういう趣旨かわからないけれども。そうしたら、今のままでいいという人は半分しかなかった。私は、今、国のレベル、地方のレベルでは当たり前になっている基本方針と当面の整備計画の2段構えでやるべきだと思うが、いかがですか。
〇水野河川開発担当課長 基本方針と整備計画の関係についてでございます。北上川につきましては、北上川水系河川整備基本方針というものが既に策定されておりまして、それに基づいて基本方針はございます。整備計画につきましては、盛岡東圏域という考え方の中で、東側、矢巾、紫波、盛岡の南の方の中で河川整備計画をつくるということで、その中に簗川が入っているということでございます。現在、簗川は懇談会をやっておりますので、懇談会の意見を踏まえて、いろんな河川、岩崎川とかほかの河川がございますけれども、その河川を含めて河川整備計画をつくるという方針で、今、進んでおります。
 先ほど御説明のございました当面の整備計画と基本方針の関係でございますけれども、簗川の場合には、ダムプラス河川改修という整備方針で進んでおるわけでございますけれども、下流の4件については既に河川改修が済んでおりまして、10分の1の治水安全度はもうでき上がっております。今度、上流にダムをつくりますと、ダムより下流はほとんど全川にわたって100分の1の治水安全度が確保されることになります。ダムができることによって治水安全度が一気に向上するということになっておりますので、基本方針と整備方針、基本的な整備方針は簗川の場合にはそういう考えで、当面というものはダムという考えになっているとお考えいただければよろしいと思います。
〇及川幸子委員長 斉藤委員に申し上げますが、質問項目が大分ありますので、まとめて簡潔にお願いいたします。
〇斉藤信委員 はい。
 では、次に津付ダムの問題について。この津付ダムについても、今年度末の事業の具体的な進捗状況と来年度の事業の中身を示していただきたい。
 二つ目に、流域住民への説明、理解と納得を得る取り組みはどうなっているか。
 三つ目、当面の整備計画は30年に1回の洪水に対応するということです。これは、事業費では河川改修の方が94億円、ダムと河川改修は164億円と、70億円も高くなるわけです。県財政の危機的状況のもとで、なぜこうした70億円も高いダム建設に固執するのか。私は、広く市民・県民の声を聞くべきだと思いますが、いかがですか。
〇水野河川開発担当課長 津付ダムの今年度末の進捗状況についてでございます。
 ダム事業につきましては、総事業費141億円のうち、今年度末までの事業費の累計は22億4、300万円となっておりまして、進捗率で15.9%となっております。来年度の事業内容についてでございます。平成19年度当初予算は6億6、000万円を計上しておりまして、付替国道397号に着手するほか、流量観測や水質調査、環境調査などの業務委託の実施も予定しております。
 次に、流域住民への説明の取り組みにつきましては、平成17年度の6月に住民説明会を3会場で実施しております。また、平成18年度は6月に、二つの団体からの要請によりまして現地説明を実施しております。そのほかにも津付ダム建設事務所のホームページをわかりやすい内容に一新して、更新も随時行うなど、インターネットを通じた情報提供の充実を図るとともに、ワンペーパーのものでございますけれども、津付ダムだよりを、陸前高田市、住田町の広報誌とあわせまして流域の全世帯に配布しております。今後も機会をとらえて流域住民の皆様に事業の御説明を行っていくとともに、情報提供に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、ダムを推進する理由はなぜかということでございます。気仙川は過去に多くの洪水被害が発生しておりまして、流域住民の生命や財産を守るため、治水対策の必要性と緊急性は高いと判断し、目標とする治水安全度を70分の1とする河川整備基本方針を策定しているところでございます。気仙川の治水対策は、この基本方針を踏まえまして、ダムや遊水地、あるいは河川改修などさまざまな方法の中から、ダムと河川改修の組み合わせが社会的、経済的に最適であると判断し、河川整備計画に位置づけまして、下流全川にわたり早期に効果的に治水安全度を向上することができる津付ダムを、手戻りのないよう先行して整備しているものでございます。
 広く県民の意見を聞くというお話でございます。平成16年度に事業の再評価を行いました。このときの手続でパブリックコメントを実施しております。このように広く意見を求めております。また、住田町8地区の自治公民館からは、津付ダムの早期着工、完成の要望を受けているところでもございます。
〇及川幸子委員長 斉藤委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。
 斉藤委員、御了承願います。
   午前11時59分 休憩
午後1時4分 再開
〇及川幸子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 津付ダムの問題について、極めて不明確なのは、津付ダムは二段構えなんです、基本方針と当面の整備計画。当面の整備計画というのは、20年、30年の間に行うべき計画なんですよ。だから、それ以降の見通しはないんですよ、基本的に。そういうときに、70億円も高いダム建設をなぜやるのか、こんなに財政が厳しいとき。そのまともな答えは少しもありませんよ。
 あわせて、あと三つお聞きします。
 環境影響評価にかかわって、私は以前にも取り上げたんだが、この気仙川流域、とりわけ大股川は、三陸沿岸のサクラマス資源、気仙川のヤマメの供給源だと。実は、この指摘は、北里水産大学の朝日田教授の調査によって裏づけられました。大股川でサクラマスの産卵風景の撮影に初めて成功した。そして、その上で、地域の方々と県の振興局が一緒になって調査をして、4キロ範囲内で56カ所の産卵床を確認した。いわばずさんな環境影響評価をしていたんじゃないかというのが第1の問題ですよ。いわばサクラマス資源の貴重な供給源ということは、守るべき自然だということですよ、これが第1点。
 第2点は、津付ダムの治水能力が著しく低いということです。いいですか、141億円のダムをつくって、どのぐらいの洪水に対応できるか。26~27年に1回の洪水にしか対応できないんですよ。現況は、20年に1回の堤防はもう既に整備されています。141億円お金をかけても、30年に1回の洪水に対応できないのですよ。あなた方は格好いいことを言っているけれども、中身は全然違う。何が何でもダムということしか出てこない。
 三つ目、潮どめ堰の問題が、流域、一番下流のところで大問題になっています。潮どめ堰によって、いわば水位が1メートルぐらい上がっているんじゃないか。これを本当に改善をすればダム以上の効果があるというふうに地元の人たちは言っていますよ。私は、こういう改善こそすべきではないのかと思います。どこから見たって本当に効果のないダム建設というのは見直すべきだと思いますが、いかがですか。
〇水野河川開発担当課長 まず、サクラマスにつきましては、県で、平成12年から13年にかけまして環境調査を行いまして、その時点ではサクラマスは捕獲されませんでした。ただし、気仙川漁協とか、あるいは地元の聞き取りで、ダム下流地点、大股川の下流の方ですけれども、東北電力の堰がございます。これより下流にはサクラマスがいるということは聞き取り調査で確認しております。今回、めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会の皆様と合同でサクラマスの産卵床の確認をいたしましたけれども、これにつきましては、この調査範囲が東北電力の堰より下でございますので、このことは、この聞き取り調査からも一応想定はしておりました。
 県といたしましては、サクラマスにつきましては、ダム計画地点から2キロメートルぐらい下流のところに大股砂防堰堤がございまして、この砂防堰堤は非常に落差が大きゅうございまして、これより魚は遡上できないし、また、今回もできないのではないかと考えておりまして、津付ダムの建設がこのサクラマスに大きな影響を与えることはないのではないかと考えております。
 続きまして、津付ダムが30年に1回の洪水に対応できないのではないかという御質問でございます。
 これにつきましては、20年から30年の当面の整備計画で津付ダムを整備するという気仙川の整備計画を立てておりますけれども、津付ダムを整備いたしますと、気仙川全川にわたって水位は下がります。下流の地点におきましては、基準点に対して大体60センチぐらい水位を下げることはできます。そのことはやっぱり治水効果としては非常に大きなものがあると考えております。
 続きまして、潮どめ堰でございます。これは気仙川の河口付近にある潮どめ堰でございますけれども、これにつきましては、県の方で一応不等流計算をしております。これによりまして、この堰によって上流の方に水位がせき上がることはないのではないかと確認しております。
〇斉藤信委員 全くあなたの答弁はでたらめですよ。私は、前にこのサクラマスの問題を取り上げたときには、若林さんは、そういうことはなかったと。今の答弁は訂正ですね。いずれ北里大学水産学部の専門家の調査で、見つかったなんてものじゃないんですよ。大変な供給源だということが明らかになったんですよ。そのことをちゃんとあなた認めなければだめですよ。
 二つ目に、141億円使ってダムをつくって、どれだけの洪水に対応できるか。地元の担当者は、25年から26年に1回だと。30年に1回の洪水に全く対応できない。現況は、20年に1回の洪水に対応できる堤防がもう整備されているんですよ。141億円使ったダムというのはその程度の効果しかないんです。
 潮どめ堰の問題ですけれども、ダムをつくって最下流はどのぐらいの水位が下がるかというと、20センチですよ。20数センチです。潮どめ堰の方が影響が大きいのではないかというのは、現場を知っている人の指摘ですよ。こういうことをしっかり受けとめてやっていただきたい。むだなダムに固執すべきではない、これは最後に私、部長に聞いてここは終わります。
〇西畑県土整備部長 ただいま河川開発課長が答弁したとおりでございますけれども、ダム建設につきましては、治水、利水、環境すべての面に最善の調査検討をして、最善の策で建設を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
〇斉藤信委員 残念ながら、部長の答弁は課長以下だった。私が具体的に指摘していることについて、そんなでたらめな答弁をしちゃだめですよ。環境影響調査ではないと言っているものがあったのだから。津付ダムなんて141億円も使って25~26年に1回の洪水にしか対応できないということが明らかになっているんですよ。潮どめ堰の問題は、本当に地元の川を知っている人たちの指摘なんだから、よく対応してください。
 花巻空港整備事業、ターミナルビルの建設の問題についてお聞きします。
 花巻空港の利用状況の推移、空港の収益、福岡線廃止の影響をどう把握していますか。
 耐用年数がまだある中で、ターミナルビルの建設を行う具体的理由、メリット、経済的効果はどうなるか。
 今のターミナルビル、先ほどの答弁だと無償譲渡でしょう。私、ビル会社が大変なときに、こういう無償譲渡でいいんだろうか、ちょっと考えられないことだと思うけれどもね。ターミナルビルの負担は大きくなるんですよ。事業費は少なくなるけれども、ターミナルビルの負担は大きくなるんです、今度のやり方は。おかしいんじゃないですか、それは。
 台湾からのチャーター便が復活しているようです。その実態は。だとするなら、何も新たなターミナルビルをつくらなくたって台湾便を復活するということじゃないですか。私は、今までのあなた方の言い方は間違っていたんじゃないかと思います。
 先ほども議論になりましたが、各県同じような空港は必要ないんです。仙台空港、秋田空港、青森空港などとの連携強化、機能分担こそ必要ではないか。
〇高橋港湾空港課総括課長 まず最初に、花巻空港の利用状況の推移についてでありますけれども、平成18年度の国内定期便利用者数は、2月末現在で約39万8、000人であり、これは前年同期比で約3万6、000人、8.4%の減少となっております。また、国際チャーター便の利用者数は、2月末現在で1万700人となっております。
 次に、空港の収入及び支出についてであります。平成17年度の花巻空港管理に係る収入は、約1億7、600万円となっております。また、支出につきましては、約3億6、800万円となっております。
 それから、福岡線廃止の影響についてでありますけれども、福岡線は、現在、年間約3万人の利用があり、岩手県と福岡県との距離を踏まえると、今後も両地域の交流は引き続き飛行機が担っていくものと考えております。今般の運休に伴いまして、日本航空では、いわて花巻空港と福岡空港との間を往復とも関西国際空港で乗り継ぐルートを設定すること、関西国際空港での待ち時間が比較的少ない乗り継ぎダイヤを確保すること、個人が利用できる運賃及び団体やパック旅行商品における運賃部分の負担の軽減策を講じることなどの代替措置を講じることとされており、本県から九州方面へ行く利便性はおおむね確保できると考えられます。
 一方で、福岡青森線の運休、福岡仙台線の減便など、九州から東北向けの旅行商品については、企画・販売する環境が変わることとなるため、九州方面からの観光客に与える影響の程度についてはにわかに推測しがたいところであり、10月以降、動向を注視していく必要があると考えております。
 次に、ターミナルビル建設の理由についてでありますが、現在のターミナルビルでは、国内線と国際線の動線が区分されていないため、国内線と国際チャーター便がふくそうした場合は混雑が解消できないこと、また、セキュリティー対策が脆弱であること、手荷物受取所が現ビル内に1カ所しかないため、国内線と国際チャーター便がふくそうした場合は、国際チャーター旅客が長時間待機せざるを得ないこと、ロビーや出入国待合室が狭く、チャーター旅客は毎回半分程度の人が立ち待ちの状況であること、出入国手続施設が不十分で、CIQ当局から業務環境の改善を求められていること、ユニバーサルデザインへの対応がなされていないことなどの問題から、いわて花巻空港が担うべき岩手県と国内外の諸地域との交流、産業や観光の振興の拠点としての役割を十分果たしていくことが困難であるため、新たにターミナルビルを整備し、現在抱えている問題を抜本的に解決する必要があります。したがって、建設のメリットとしては、これらの問題が解消されることと考えております。
 経済的効果についてですが、新ターミナルビルを整備することにより、いわて花巻空港が利便性と機能性の高い本県の空の玄関として機能し、地域間交流の活発化や国際化の進展などのポテンシャルを高め、産業や観光の振興に寄与するものと認識しております。
 現ビルの活用についてでありますけれども、現在使用しているターミナルビルは、新しいターミナルビルが供用開始した後に、ビル会社が花巻市に無償譲渡することで両者が了解しているところであります。花巻市では、市議会及び市民の意見を聞きながら、今後、具体的な活用方法を検討することとしていると聞いております。
 ビル会社の負担がふえるのではないかというお話でございますけれども、現在のビルは築後23年経過しておりまして、さまざま大規模改修の必要などもありますので、その辺のところは考慮した上で、無償譲渡ということにビル会社の方で考えたものと思います。
 それから、台湾からのチャーター便の状況についてでありますけれども、台湾からのチャーター便は、平成17年度に過去最高を記録したものの、平成18年度は、その大宗を担ってきたエバー航空が機材の大型化に対応できないいわて花巻空港から撤退したため、大幅に減少したところであります。この春は、中華航空、マンダリン航空に加え、新たにユニー航空がいわて花巻空港に運航する見込みであり、過去最高だった昨年度─平成17年の春に並ぶ水準になるものと見込んでおります。
 仙台空港、秋田空港との連携強化についてでありますけれども、外国からチャーター便を誘致するに当たっては、外国人観光客の岩手県への取り込みの機会を最大化する観点から、近隣空港とは時に競争し、時に連携する柔軟な戦略が必要であると考えております。
 例えば台湾については、東北地方を周遊する上でいわて花巻空港に運航する利点が旅行会社から評価されており、その結果、航空会社からも、東北地方の中でもいわて花巻空港への運航希望が特に強いことから、いわて花巻空港が中心となってチャーター便を受け入れてまいりたいと考えております。
 一方、仙台空港、秋田空港、青森空港に定期便が運航している韓国については、いわて花巻空港で完結するチャーター便ばかりではなく、これらの定期便との組み合わせを含めて、いわて花巻空港へのチャーター便の運航を拡大してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員長 斉藤委員に申し上げますが、1人の質問、答弁時間が50分経過しておりますので、あと3点の質問だと思います。まとめてお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 花巻空港のターミナルビルなんですけれども、利用客が減っているときに、なぜこういう新たな整備をしなきゃだめなのか、税金投入をしなきゃだめなのかということなんですよ。今言ったように、2月末で39万人でしょう。ビルだけじゃないんですよ、花巻空港整備事業を321億円かけてやろうとしている。この進捗状況を示してください。どんどん旅客の利用が減っているときに、何でこんな過大投資をしなければだめなのか。これは実態も含めて、全くこれは説明がつかないことではないのか。
 それと、ビルの問題ですけれども、結局、あなた方が頑張ったかどうかわからないけれども、ことしの春は44便でしょう。中華航空が28便、だから、ビルが理由じゃなかったということでしょう。ビルがなければ来れないということじゃないということも明らかになった。何が何でもあなた方は建物をつくりたいということでしかないじゃないですか。そういう点で、本当にビル建設の根拠は全くなくなっているのではないか。
 ビルの無償譲渡なんですけれども、当初計画は42億円で、自己資金、金融機関の融資は9億円だった。今回、24億円の事業費で、自己資金、金融機関の融資は15.3億円で、ビル会社の負担はふえるのですよ。そういうときに、まだ耐用年数があるビルを無償譲渡するというこういう感覚はどういうことなんでしょうかね。私は、本当に説明がつかないのではないかと思います。
 最後、これだけ質問して終わります。
 主要地方道花巻大曲線の下前地区の事業費と実績はどうなっているか。私は、こうしたむだな山岳道路は、恐らく使用期間というのは半年もないと思うけれども、抜本的に見直すべきだと思います。今後の事業計画の進め方について示していただきたい。
〇高橋港湾空港課総括課長 まず一つ、利用客が減少している中でなぜ整備を進めるのかというお話ですけれども、現在のターミナルビルにつきましては、先ほど申しましたように、23年前に建設されたものであります。当時の利用状況としては、国内線は約19万人、それから国際線は1、000人弱でありました。それが現在、国内線は50万人弱の人が利用し、国際線については、平成17年は2万人弱の人が利用している状況であります。そういうふうに利用状況が変化してきている中で、現在、ターミナルビル、ターミナルエリアともにこれらのニーズに円滑に対応することができないという状況があります。そういう中で、整備事業の進捗状況ですが、平成17年度末で、空港整備事業は84.7%進捗しております。
 それから、チャーター便が復活してきているが、ビルのせいではないのではないかということですけれども、チャーター便は、便数としては確かに復活してきております。ただ、エバー航空は200人乗りぐらいの飛行機で来ておりまして、現在、来ておる航空会社は大体150人前後ということで、チャーター便による入国者数は、実際は減少しております。そういうことから、さらにチャーター便を呼び込んでくるためには、ビルも含めたターミナルエリアの整備が必要だというように考えております。
 無償譲渡のお話ですけれども、先ほど申しましたように、今のビルを使い続けるとしても、大規模改修等かなりの金額が必要になるということもございますし、今こういうように花巻空港のターミナルエリアが現在のニーズにこたえられない状況になってきている状況を総合的に勘案して、ターミナルエリアの整備及びビルの建設を行うということであります。
〇佐藤道路建設課総括課長 主要地方道花巻大曲線の下前工区の事業費は、11億3、000万円余でございます。施工期間は平成8年度から平成18年11月までで、施工延長は1、120メートルでございます。
 今後の事業計画についてでありますが、峠部までの残りの延長約800メートルにつきましては、公共事業評価の事前評価結果を本年2月5日に公表したところでございます。平成19年度当初予算は骨格予算となるため、6月補正予算において判断することにしているところでございます。
 本事業は、秋田県とともに峠部分の通行不能区間の解消に向けて取り組んでいるものでございまして、今後も、秋田県と十分な調整を図りながら進めてまいりたいと考えているところです。
〇及川幸子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇野田武則委員 若干質問したいと思いますが、まず最初に、がけ崩れ対策の移転促進事業につきましてお伺いしたいと思います。
 以前から何度も取り上げてきておりますが、県の方でこういう制度をつくって取り組んでいるということで、大変期待しているところでございます。御案内のとおり、第1号として釜石市内の家屋の移転が決まっておると伺っておりますが、その進捗状況につきましてお伺いしたいと思います。あわせて、平成19年度以降の、第2号といいますか第3号といいますか、そうした見通しが立っているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
 続けて質問したいと思います。
 仙人峠道路につきまして質問したいと思いますが、一般質問でも取り上げさせていただきました。国、県の皆さんのおかげをもちまして、この3月18日に全線開通するということでございまして、市民の一人として大変感謝申し上げたいと思います。
 この道路の概略につきまして、簡単で結構ですのでお示ししていただきたいと思いますし、20分の短縮と言われておりますが、その利便性につきまして御説明をしていただきたいと思います。
 あわせて、旧道といいますか、今現在使われている仙人道路の方はこれから交通量も大分減るだろうと思うわけですが、そうした道路の維持管理に今後どのように取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。
 また、東北横断自動車道釜石秋田線についてですが、宮守-東和間は、大体9割の用地買収が完了して、現在、ほぼ全区間でトンネルや橋梁などの工事が進められているということでございます。また、遠野-宮守間は、現在は用地調査に向けた設計を進めていると伺っているところですが、仙人峠道路が開通した後は、いつこちらの道路ができるのか大変期待を持っているところでございますので、県として、いつごろこれが完成するという見通しがあるのであればそれをお示ししていただきたいと思います。
 それから、三陸縦貫道の大船渡-釜石間について質問したいと思いますが、現在は、こちらの方は吉浜地区において早期事業の着手に向けた環境調査をしていると承っておりますが、この道路は山間を通る道路でございまして、釜石方面にとりましては非常に利便性の低い道路ではないかと思われます。45号が今使われているわけですが、地震とか津波が起きた場合の迂回路といいますか、代替の道路にはなり得ない道路ではないかと思うわけですが、その辺の御所見をお願いしたいと思います。
 地域の皆さんからは、45号からこの縦貫道にアクセスできる道路をつくっていただきたい、こういう要望が出されておりますので、県としても、その辺を御理解いただきまして、国の方にその要望を届けていただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
〇野中砂防災害課総括課長 新たに創設しましたがけ崩れ危険住宅移転促進事業につきましては、今年度は、事業制度を広く県民の方々にお知らせすること、それから土砂災害特別警戒区域、これは土砂災害の危険なところでございますが、そういったところに居住されている住民の方々の意識を調査すること、それから、土砂災害警戒区域等の指定を拡大することに重点的に取り組んできたところでございます。
 このような取り組みを進めた結果、昨年10月に、初めて釜石市内におきまして6世帯の居住者全員が当該区域外に移転することに合意したところでございまして、今年度は、そのうち2世帯が現在移転の手続を進めているところでございます。来年度以降は、残り4世帯の方々の移転を支援するほか、さらに当制度の周知徹底を図り、また、指定地域の拡大に努めまして、関係市町村あるいはNPO等関係機関との連携を密に図りながら、安全な地域への移転を支援してまいりたいと考えております。
〇佐藤道路建設課総括課長 まず、仙人峠道路の概略でございますが、仙人峠道路は、総延長18.4キロメートルでございまして、直轄代行区間13.2キロ、県施行区間が5.2キロでございます。20分短縮になるわけですが、利便性につきましては、年間約50億円程度の便益が上がると言われております。
 次に、旧道の管理につきましては、今現在使われている道路は県が管理しているわけですが、新しい仙人峠道路は国が管理することになりますので、引き続き、従前どおり旧道は県が管理していくことになります。
 次に、釜石秋田自動車縦貫道の宮守-東和間の完成見通しについてですが、平成20年代の半ばぐらいまでには何とか完成していただくように、県としても国の方にお願いしているところです。
 遠野-宮守間につきましては、20年代後半─30年代に近い年代になろうかと思いますが─に向けまして完成していただくように国の方に要望しているところでございます。
 次に、三陸縦貫自動車道の吉浜工区についてですが、県としましても、三陸縦貫自動車道が、防災の面、それから日常生活の面で利便性が確保できるよう、アクセス道路等を含めまして、国といろいろ調整をしながら、また、要望しながら対応してまいりたいと考えております。
〇野田武則委員 本当に感謝を申し上げたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 最後ですが、釜石の公共埠頭、これも年度内の完成が見込まれると思いますが、その状況につきましてお示ししていただきたいと思います。
 あわせて、これは国の方ですが、湾口防波堤もことしじゅうに概成ということだと思いますが、そうしますと、公共埠頭の一部変更の計画も多分なされているかと思いますが、その辺の状況と、それから湾口防波堤完成、そしてまた、公共埠頭の完成後の港湾の利活用につきましてどのような認識をなされているか、お示ししていただければありがたいと思います。
 これで質問は終わりにしたいと思います。
〇高橋港湾空港課総括課長 まず、公共埠頭についてでありますが、平成18年度、公共埠頭、公共岸壁につきましては、マイナス11メートル岸壁、マイナス7.5メートル岸壁の整備、その間に3メートル埠頭の整備を進めております。現在、いわゆるソーラス対応のフェンス等の整備も進めておりまして、これは3月末には完了する見込みとなっております。
 それから、湾口防波堤につきましても、全延長にわたるケーソンが据えつけられて概成したと聞いております。今後は、上部工の整備が進められるものと思っております。
 利活用についてですけれども、釜石港では、現在、コンテナ定期航路のトライアル就航などが行われておりまして、今後、関係者でさまざまな協議を進めながら、それの実現に向けて努力していきたいと思います。また、釜石港では、完成自動車の移出が現在行われております。その完成自動車の取扱量の増加に向けても、関係企業とさまざま協議しながらトヨタの方に要望していきたいと考えております。
 昨年行った一部変更の件については、今後、こういった埠頭の利用状況を見ながら、着工の時期等についても検討していきたいと思っております。
〇小野寺好委員 むだな工事といいますか、効率の悪い工事という観点で二、三伺いたいと思います。数字とかを聞くわけではないので、部長の見解をお聞きしたいと思います。
 まず一つ、きょうも大宮委員がお尋ねになっていた関係ですけれども、奥産道が幾つかあるうち、雫石の奥産道は、かつて違法工事が明るみになった直後と、ある程度植生が回復した後、視察に行きました。その後どうなったか見に行ったんですが、ガードレールのかわりのワイヤーロープとかがひどく傷んでいたり、でかい石がごろごろしていたりとか、とても車の通れるような状態ではない。もちろんずっと手前のところで通行どめになっていたんですけれども、カメラを持っていってそこのところを撮影して盛岡地方振興局の土木部長にそれをお見せしたら、危険ですから勝手に入らないでくださいとおしかりを受けたわけですけれども、要するに道路というのは、つながらないと、ここの場合、松川につながらないと全く用をなさない。せっかく立派なアスファルト工事をしていながら通行どめにしている。何のためにやったのか、全くむだなお金を使ってしまった。これは多分知事の判断になるのかどうか、その辺部長は、この具体例、この例をもとに、こういったものをどう考えるか、まずこれが一つ。
 二つ目は、県内あちこち歩いていて、川にかかる橋とか線路をまたぐ橋、とりあえず供用しておいて後で歩道をつけたりとか、あるいは4車線にするためでしょうか、橋脚だけまずつくっておいている。最たるものが、国道の場合ですけれども、奥州市水沢区と金ケ崎の間の胆沢川にかかる4号線の橋は、もう30年以上も橋脚だけつくっておいて、全然何もなっていない。あと、最近の県の関係では、盛岡駅西口に杜の大橋を去年つくったわけですけれども、ここもとりあえず2車線で供用と。上から見ると非常に格好の悪い道路なわけですけれども、こういったもの、本当に集中的に予算を投入してきちんと完成させた方がいいのではないかと思います。とりあえずまず急ぐからということなんでしょうが、ちょっとむだなような気がするんですが、そういった点について部長のお考えをお聞きしたいと思います。この杜の大橋については60億円かけてつくったわけですけれども、かえって後でやるともっとかかってしまうんじゃないか、素人ですが、そんな気がします。
 三つ目ですけれども、盛岡市内の国道4号北側に茨島跨線橋があります。ここのところに非常に大がかりな跨線橋をつくったんですが、間もなくかなと思わせぶりをしておいて、その後、北の方は何も具体的に見えない。地元との協議を重ねていると時々は聞きますけれども、一体どうなっているのか。せっかく急いで高速道路を走っても、滝沢から盛岡に来るのにむだな時間を費やしてしまう。燃料もむだにたいてしまう。
 そういうことで、もうちょっと集中的にできないものかどうか、以上3点、部長の所見をお伺いしたいと思います。
〇西畑県土整備部長 まず、奥産道の件でございますが、平成10年に工事が中止されているわけでございます。自然破壊された地域の原状修復は非常に大事だったろうと思っておりまして、それに努めて、それから、途中まで工事をした部分をどう活用していくかにつきまして、いろいろな委員会からの御提言も踏まえまして、工事を断念することになったわけでございます。現在は、その提言を受けて、県が環境の修復、それからその活用計画の実現を図っていく作業に取り組んでいるところで、平成18年度で登山道への道路もできましたので、そういった部分で状況を見ながらということになろうかと思っております。
 杜の大橋、確かに上から見ると非常にむだなように思うんですけれども、橋脚工事は、基本的には、けたを乗せる下部の工事、いわゆる建設会社が行う部分ですけれども、これは行って、その上に橋梁のメーカーがつくったけたを乗せていく形式が多うございます。そういった意味で、橋台、橋脚を分けて建設しますとまた非常にお金もかかるものですから、一体的につくっておいて、まず2車線で通して、交通量の推移を見て、4車線が必要ならふやしていくというような形で進めるということは、そんなにおかしなことではないと思っております。
 それから、茨島の跨線橋から分レ区間が全然進んでないじゃないかということでございますが、この区間につきましては、国の方にも早期の事業着手についてお願いしているところでもございますし、国の方でも各種の調査をしていただいておるところでございますので、引き続き、早期に事業着手が図られますように強力にお願いをしてまいりたいと考えておるところでございます。
〇小野寺好委員 今、杜の大橋の関係で、交通量を見て、必要ならふやすといった御答弁でしたけれども、余り交通量がない、必要ではないということになれば、ふやさないということになれば、余計な工事をしたということになるんですか、どうなんでしょうか。
〇西畑県土整備部長 計画上は4車線の計画になってございますので、将来計画としては4車線で整備をするということでございます。その4車線化に向けての時期をいつにするかという部分で、その時期につきましては、交通の状態も見ながら判断してまいりたいという趣旨でございます。
〇及川幸子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
 県土整備部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、企業局長から企業局関係の説明を求めます。
〇岩渕企業局長 企業局関係の議案について御説明申し上げます。
 お手元の議案の説明に入る前に、今後の企業局の事業運営に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
 企業局では、今後の経営形態のあり方について、平成16年度に岩手県企業局経営形態のあり方懇談会を設置し、外部の有識者から御意見を伺うとともに、企業局としても、他の経営形態に移行した場合のさまざまな課題や制度面の比較などについて、一つ一つ検証を重ね、関係機関との協議を行ってまいりました。その結果、当面、現行の地方公営企業方式により事業を継続するとしたところであります。
 しかしながら、電力の自由化の進展など、事業を取り巻く環境が厳しさを増しているため、今後なお一層の経営効率化と経営基盤の強化を図る必要があります。このため、先般、平成19年度から平成21年度までの3カ年の中期経営計画を新たに策定したところであります。本計画におきましては、信頼性の確保、経済性の確保、新規開発及び地域貢献を4本柱とする経営方針のもと、今後3年間に達成すべき具体的な経営目標や収支計画等を明らかにするとともに、目標を達成するために取り組むべき行動計画などを定めております。
 平成19年度の事業運営に当たりましては、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進を基本としながら、中期経営計画を着実に推進し、施設の適切な維持管理のもと、電力と工業用水を引き続き安定供給するとともに、小規模発電所の民間委託や職員数の削減等により徹底した経費の節減を進め、健全経営の維持に努めることとしております。
 また、小水力発電などの新エネルギー開発に取り組むほか、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、一般会計及び市町村等の環境保全やクリーンエネルギー導入事業を引き続き支援するなど、地域への貢献度を高めてまいります。
 それでは、議案について御説明申し上げます。
 議案その1の59ページをお開き願います。まず、議案第13号平成19年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
 第2条は、業務の予定量であります。年間販売目標電力量は、胆沢第二発電所ほか11発電所の目標電力量の合計を5億1、048万3、000キロワットアワーと定めようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。
 60ページをお開き願います。収入の第1款電気事業収益は45億4、400万円余で、その内訳でありますが、第1項の営業収益41億5、200万円余は、水力発電所の電力料収入等であり、第2項の財務収益1億8、500万円余は、株式配当金や貸付金利息等であります。
 第3項の附帯事業収益1億9、200万円余は、稲庭高原風力発電所及び柏台発電所の電力料収入等であり、第4項の事業外収益1、300万円余は、早池峰発電所の建設費利子補給金等であります。
 次に、支出の第1款電気事業費用は41億1、500万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用35億9、900万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費等であり、第2項の財務費用2億6、800万円余は、企業債の支払い利息等であります。
 第3項の附帯事業費用1億6、900万円余は、稲庭高原風力発電所及び柏台発電所の運転管理費用であり、第4項の事業外費用7、300万円余は、消費税及び地方消費税の納付予定額であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。まず、本文中の括弧書きは、資本的収入額が資本的支出額に対し不足する金額24億3、800万円余を過年度分損益勘定留保資金等で補てんしようとするものであります。
 収入の第1款資本的収入は18億9、800万円余で、その内訳でありますが、第1項の補助金1、700万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に対する国庫補助金であり、第2項の負担金1億1、800万円余は、仙人発電所共有施設工事等負担金であります。
 第3項の長期貸付金償還金7億6、300万円余は、一般会計及び工業用水道事業会計からの償還金であります。
 第4項の投資償還収入10億円は、平成17年度に購入した国債の償還金であります。
 次に、支出の第1款資本的支出は43億3、900万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の改良費14億3、500万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であり、第2項の電源開発費7、800万円余は、胆沢第三発電所のダム建設に係る負担金等であります。
 第3項の企業債償還金5億6、500万円余は、企業債元金の償還金であり、第4項の長期貸付金12億1、200万円余は、自治振興基金の県北沿岸振興事業の貸し付け原資として5億円、環境保全基金に6億円の貸し付けを行うほか、経営健全化のため、工業用水道事業会計へ貸し付けを行うものであります。
 第5項の投資10億200万円は、資金運用に当たって国債を購入しようとするものであり、第6項の繰出金4、000万円は、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を取り崩し、環境保全事業やクリーンエネルギーなどの導入促進に関連する事業に充てるために一般会計へ繰り出すものであります。
 次に、第5条の債務負担行為でありますが、これは、仙人発電所の取水口管理用道路建設工事について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 第6条は、一時借入金の借り入れ限度額を5、000万円と定めようとするものであります。
 第7条は、予定支出の営業費用と附帯事業費用及び営業費用と事業外費用との間で経費の金額を流用することができるよう定めようとするものであります。
 第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
 以上で電気事業会計の予算の説明を終わります。
 62ページをお開き願います。次に、議案第14号平成19年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
 まず、第2条は、業務の予定量であります。北上工業団地及び岩手中部工業団地に立地する18事業所に対する給水量について、年間給水量を1、545万9、840立方メートルに、1日平均給水量を4万2、240立方メートルにそれぞれ定めようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は10億7、200万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業収益10億7、100万円余は、給水収益等であります。
 次に、支出の第1款工業用水道事業費用は10億3、400万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用8億300万円余は、職員給与費、委託費及び減価償却費等であります。
 第2項の財務費用2億700万円余は、企業債の支払い利息等であり、第3項の事業外費用2、200万円余は、消費税及び地方消費税の納付予定額であります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。まず、本文中の括弧書きは、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する金額3億5、900万円余を当年度分損益勘定留保資金等で補てんしようとするものであります。
 収入の第1款資本的収入は9億6、600万円余で、その内訳でありますが、第1項の企業債6億7、100万円余は、各工業用水道施設の建設改良資金を借り入れるとともに、経営健全化対策として高利率の企業債の借りかえ資金を借り入れしようとするものであります。
 第2項の出資金1億1、200万円余は、経営健全化のため一般会計から出資を受けようとするものであり、第3項の他会計からの長期借入金1億1、200万円余は、電気事業会計から借り入れをしようとするものであります。
 第4項の雑収入7、000万円余は、県道改良工事に伴う第二北上中部工業用水道送水管等の移設に係る移転補償金であります。
 次に、支出の第1款資本的支出は13億2、500万円余で、その内訳でありますが、第1項の改良費1億9、400万円余は、各工業用水道施設の改良及び更新に要する経費であり、第2項の企業債償還金8億6、900万円余は、企業債元金の償還金であります。
 第3項の他会計からの長期借入金償還金1億8、200万円余は、一般会計及び電気事業会計への償還金であり、第4項予備費8、000万円は、新たな企業立地等に迅速に対応するための計上であります。
 次に、第5条の企業債でありますが、これは、各工業用水道施設の建設改良工事及び高利率の企業債の借りかえに充てる起債の限度額等を定めようとするものであります。
 64ページをお開き願います。第6条は、一時借入金の借り入れ限度額を2億2、500万円と定めようとするものであります。
 第7条は、予定支出の営業費用と事業外費用との間で経費の金額を流用することができるよう定めようとするものであります。
 第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
 以上で工業用水道事業会計の予算の説明を終わります。
 なお、これらの予算に係る実施計画、資金計画、給与費明細書、債務負担行為に関する調書及び財務諸表につきましては、予算に関する説明書の443ページから492ページに記載しておりますが、説明は省略させていただきます。
 以上で企業局関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇及川幸子委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇大宮惇幸委員 新しい中期経営計画についてお尋ねいたします。
 企業局では、先般、今後の事業の経営形態のあり方について、現行どおりの地方公営企業方式で続ける方針を決め、また、新たな平成19年度から21年度までの中期経営計画を策定したと聞いております。私は、経営環境が変化する中にあって、地方公営企業としての役割を果たしながら健全な経営を維持していくためには、常に中長期的観点に立った経営をすることが最も大切であると考えております。
 そこで、新しい中期経営計画について伺いますけれども、この計画はどんなところに重点を置いて策定したのでしょうか、お示し願います。
〇岩渕企業局長 新しい中期経営計画についてでありますけれども、委員御指摘のとおり、電力の自由化の進展など、経営環境は厳しさを増していくものと推測しております。今後は、徹底的な経営効率化を図りながら、いかに安定経営を維持するかが重要であると考えております。このため、信頼性の確保、地域貢献など四つを経営方針とします平成21年度までの計画を策定したところでございます。
 まず、電気事業におきましては、電力の安定供給に努めることが大前提でありますから、老朽化した発電所施設等を計画的に修繕・改良して、最大限の供給電力量の確保に努めながら、小規模発電所における保守管理業務の包括外部委託を進め、計画的な人員削減を行うなど、徹底したコストの縮減を図ってまいりたいと考えております。この結果、平成19年度から21年度までは、年間3億円ないし4億円程度の利益を安定的に確保する計画としております。
 また、平成19年度は、20年度、21年度の2年間の売電単価につきまして東北電力と交渉する年度でありまして、厳しい交渉になると思われますが、適正な売電単価の確保に最大限努力してまいりたいと考えております。あわせて、平成21年度までとなっております現在の電力受給に関する基本契約について、平成22年度以降も、10年以上の長期契約となるよう協議していくこととしております。
 なお、新規の開発につきましては、昭和26年度から運転開始予定の胆沢第三発電所の建設を推進するとともに、小規模水力及び風力発電の開発にも引き続き取り組むこととしております。
 工業用水道事業につきましては、引き続き新規・既存契約水量の拡大に努めるとともに、高利率企業債の借りかえなどによりまして年平均5、000万円程度の利益を確保し、累積欠損金の削減に努めていく計画としております。
 地域社会への貢献につきましては、先ほども申し上げましたが、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用しまして、一般会計及び市町村等が行うクリーンエネルギー導入事業あるいは環境保全活動に対し、今後3年間、毎年5、000万円程度の支援を行うこととしております。この積立金の配分額や対象事業、期間につきましては、今後、活用状況や成果、効果を検証しながら見直しを図ってまいります。
 また、電気事業の内部留保資金を活用して、自治振興基金、環境保全基金等の財源として一般会計の支援を継続していくなど、今後も引き続き地域社会の貢献度を高めてまいりたいと考えております。
〇大宮惇幸委員 電気事業につきましては、電力供給といいますか、電力の自由化という事態の中での経営が強いられるわけでありますから、健全な経営に努めていただきたいと思っております。
 次に、新エネルギー開発についてお伺いいたしますけれども、我が国のエネルギー消費は、石油など海外の化石燃料への依存度が高いわけであります。安全保障の観点からも純国産エネルギーの開発が大きな課題となっており、一方、地球温暖化の要因とされる二酸化炭素排出削減を定めたいわゆる京都議定書の履行も厳しい見通しが示されるなど、今後さらなる国産エネルギーの開発と地球環境の保全には、各方面の地道な努力の積み重ねが強く求められているところであります。
 岩手県においては、CO2ダイエット・マイナス8%いわての実践など積極的に環境対策に取り組んでおり、水力や風力といった環境に優しい新エネルギーの開発は、本県におけるエネルギー自給率の向上はもとより、環境対策の観点からも重要な施策と考えられます。
 そこでお伺いしますけれども、企業局で取り組んでおられる小水力発電、風力発電など新エネルギーの開発状況は現在どのようになっているのか。また、国では電力会社に対して一定割合の新エネルギー導入を義務づけているRPS法の見直しを行っており、今月中にも新たな義務量が決定されると聞いておりますが、それに伴い、今後の新エネルギー開発にどのような影響があるのか、見通しをお聞かせ願います。
〇杉下企業局技師長 新エネルギーの開発状況についてですが、近年は電力需要の伸びが小さい上に、水力発電は火力発電や原子力発電よりも割高なことから、電力会社が新規発電所の建設には同意しない状況である中、RPS法の対象となります小水力発電の検討を行ってきました。現在は八幡平市の柏台発電所導水路の落差を利用した61キロワットの小水力発電について、東北電力と開発に向けた協議を継続中であります。
 また、風力発電については、昨年10月に現地点での開発を断念した一戸町の高森高原も将来の開発候補地点として確保しつつ、現在は二戸市の上斗米地区で風況観測を行っております。
 さらに、これまで企業局が蓄積したノウハウをもとに、住田町が建設を進めている木質バイオマス発電や、八幡平市が取り組んでいる農業用水を利用した小水力発電の可能性調査へも技術的な支援を行っているところであります。
 次に、RPS法の見直しに伴う影響についてですが、国は、電力会社等に課している販売電力量に占める風力や太陽光、水路式による1、000キロワット以下の水力発電などの新エネルギー利用の比率、いわゆる義務量を平成22年度までに1.35%とする計画から、平成26年度までに約1.6%へ引き上げる計画であると報道されております。ちなみに、諸外国の義務量を見てみますと、スウェーデンが16.9%、イギリスでは10.4%となっており、我が国の義務量は諸外国に比べてかなり低いものになっております。
 今後、企業局がこれらの新エネルギー開発を進めていくためには、義務量の増加や1、000キロワット以上の水力発電も対象とするなど、国の政策による後押しが必要であると考えております。このことから、関係機関と連携し、公営電気事業経営者会議を通じまして、義務量のさらなる引き上げなどを国に要望してまいりたいと考えております。
〇大宮惇幸委員 新エネルギーについては私も何回かお尋ねしたことがあったわけでありますが、やはり電力供給は安定した供給が大前提であると思います。そういう意味で、風力発電施設について若干お尋ねしますけれども、稲庭の風力発電は安定的な電力供給がなされていないと私は見ておるんですが、その故障等の原因は落雷によると言われておりますけれども、落雷以外に起こるトラブルというのは何かあったのでしょうか。
〇岩渕企業局長 稲庭の風力発電所の件でございますが、落雷被害のほかに、いわゆるボルトの脱落事故が昨年の2月にございまして、長期間供給停止をいたしました。いずれ、雪解け、あるいは風が弱くなるのを待ちまして夏場に工事をいたしまして、9月21日に再開をしております。なかなか技術がそこまで追いつかない面がいろいろありますけれども、点検業者にもしっかりとその辺のところを確保するように今後とも要請しながら、こういう事故のないよう努力してまいりたいと考えております。
〇大宮惇幸委員 次に、工業用水道事業についてお尋ねをいたします。
 まず、工業用水道の事業統合についてでありますけれども、2月に企業局では次期岩手県企業局中期経営計画を策定いたしまして、信頼性の確保及び経済性の確保を経営目標として一層の経営効率化を進め、経営基盤の強化に積極的に取り組んでいくとしております。
 中部工業用水道と第三北上中部工業用水道を統合し、現在、3施設ある工業用水道を、今回、2施設の工業用水道とする事業統合は、そういった経営戦略上の一環として実施しようとするものだと考えます。
 そこでお伺いしますが、この事業統合の具体的なねらいは何か、お示しください。
〇武蔵業務課総括課長 事業統合のねらいについてでございますが、北上中部工業用水道は、昭和53年5月から給水開始し、既に28年が経過しており、施設の老朽化が進んでいるとともに、契約率も99.6%と高く、従来から浄水処理が追いつかなくなり、工業用水の品質が低下する傾向でございました。一方、第三北上中部工業用水道は、平成14年9月に完成した新しい工業用水道で、契約率は35.5%と低く、浄水処理能力には十分余力があり、両施設能力にアンバランスを生じているところでありました。
 このような現状から、今般の事業統合のねらいといたしましては、両工業用水道の浄水処理能力を均等に使用することによって、良質な工業用水のさらなる安定供給ができることでございます。また、施設障害が発生した場合においても、相互にバックアップ機能を確保することができることでございます。さらには、二つの施設を有効活用し、計画的な改修工事等が可能となるだけではなく、加えて、改修工事をするためだけの新たな施設建設も必要なくなるなど、経営の効率化も期待できることでございます。今後は、施設の一体的な管理運営が可能となり、これまで以上に経営の効率化や経営体質の強化が図られることから、事業統合を行うものでございます。
〇大宮惇幸委員 次に、工業用水道事業に係る公債費負担軽減についてお尋ねをいたします。
 工業用水道事業は、事業に必要な水源をダムに求め、このダム建設費負担金を企業債で賄っているところでありますが、このところの景気動向などに左右され、契約水量の増加が思うに任せない中にあって、この企業債の金利負担の軽減は、経営状況の改善に直接大きく寄与するものと考えます。企業局では、平成17年度以降、高利率の公営企業債の借りかえ制度を活用し、金利負担軽減を図っておられますが、これにより具体的にどの程度の効果があったのか、お伺いいたします。
 また、新聞報道によりますと、今後新たに、地方自治体が過去に高い金利で借りた財政融資資金など、補償金なしで繰り上げ償還できる仕組みが講じられることになったと聞き及んでおりますが、企業局ではこの制度についてどのように対応していくお考えか、お尋ねをいたします。
〇和嶋経営総務室長 工業用水道事業に係る公債費負担軽減についてでありますが、この借りかえ制度は、17年度から公営企業金融公庫債の借りかえの要件が緩和されまして、利率6%以上が対象とされました。これにより、平成17年度は1億9、000万円の借りかえ、6.7%のものを1.95%で借りました。18年度は2億3、500万円の借りかえを行っております。これは6.7、6.4、6.3%を2.4%で借りてございます。この借りかえによりまして、17年度と18年度を合わせて1億300万円余の負担軽減を図ったところでございます。経営基盤の改善に大きな効果を上げております。また、19年度は、さらに公庫資金の金利要件が緩和されまして、5.5%以上のものまで対象が拡大されました。対象となっております4億6、700万円余の借りかえを今後予定しているものでございます。
 次に、補償金を必要としない繰り上げ償還でございますけれども、19年度から、この借りかえの措置のほかに、政府資金、公営企業金融公庫資金による補償金を必要としない繰り上げ償還が負担軽減対策として措置されることになりました。本県の対象となる5%以上の企業債は、18年度末残高で18億8、300万円余となってございます。現在、この制度の詳細がまだ明らかになっておりませんが、今後、具体的な内容が示され次第、要件に該当するかどうかを精査した上で、該当する場合には、制度の適用が受けられるように、鋭意取り組んでまいりたいと存じております。
〇岩渕企業局長 最初の中期経営計画の答弁の中で、ちょっと誤りがありましたので、訂正したいと思います。胆沢第三発電所の運転開始予定を平成26年度と申し上げるべきところを昭和と申し上げましたので、訂正させていただきます。
〇大宮惇幸委員 いろいろありがとうございました。いずれ、工業用水道につきましては、ダムの負担金なり、未売水の販売に今後とも努力をしていただきまして、健全な企業経営に取り組んでいただきますことを期待を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
〇平沼健委員 3点ほどお尋ねをいたします。
 まず一つは、先ほど企業局長から、基本目標ということで四つの目標のお話がございました。その中の一つなんですが、地域貢献ということについてお尋ねいたします。
 環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金というものが、たしか、17年度からだったでしょうか、創設されて、今年度、事業がなされているわけです。この事業というのは、県または市町村への支援事業を行っておりまして、県もそうですが、各市町村が大変財源が厳しいときに、こういう剰余金を活用した地域貢献というのがすばらしい形で、今、実施されております。これも、ぜひ今後も続けていただきたいと思っておるのですが、それはそれとして、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用した支援事業は、今年度取り組んだ地域貢献としてはどのようなものがあるのか。また、新年度、19年度の地域貢献について、具体的にどのようなものを取り組む予定でおられるのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
〇菅峨経営企画担当課長 今年度、企業局が取り組んだ地域貢献についてでありますが、まず、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金は、御案内のとおり、県内の環境保全やクリーンエネルギーの導入促進のために活用しようとするものであり、一般会計に対しましては、木質バイオマス資源や地中熱を複合的に利用した県営温水プール、チップボイラー等導入事業など5事業に対しまして4、000万円を支援しております。
 一方、市町村につきましては、主に太陽光や風力などを利用した小規模なクリーンエネルギー設備を設置する際に、企業局がその費用の一定額を補助することとしており、釜石市では津波避難場所指定公園にソーラー外灯を設置したり、葛巻町においては、森と風の学校に太陽電池と小型の水力発電機を組み合わせた装置を設置して子供たちの環境学習を行うなど、ユニークな取り組みもされております。このような事業を行う七つの市町に対して、約1、000万円の支援をしております。
 また、平成16年度から、市町村等が主催する植樹活動に対して、水源涵養の促進や環境保全への支援を目的に、苗木の提供や職員参加による支援を行っているところでありまして、今年度は12地区に対しまして苗木約5、000本の提供を行うとともに、延べ約100名の職員が植樹に参加しております。
 次に、平成19年度の取り組みについてであります。先ほどの積立金を活用しまして、一般会計に対しては、今年度と同額の4、000万円を繰り出すこととしておりますが、支援対象事業につきましては6月補正予算で具体化していくこととしております。また、市町村等への支援につきましては、要望に基づき500万円増額し、1、500万円としたところであり、今後は円滑に支援対象事業の決定を進めてまいりたいと考えております。
 次に、地域が行う植樹活動に対しましては、これまでと同様、15地区をめどに苗木の提供を行うとともに、職員が植樹活動へ参加することとしております。そのほか、一般会計に対して自治振興基金の県北・沿岸振興事業の貸付原資として5億円、環境保全基金に6億円の計11億円を貸し付けすることとしております。企業局としては、県民サービス向上の観点から、今後ともこのような地域社会への貢献に取り組んでまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 市町村からは、今回、18年度は七つの市町というお話でした。これは申し込みが、どうなんでしょう、結構多くて、そのうちから選別するというか、優先順位というか、何か、そういう基準でも設けて、これは計画が18年度は1、000万円ということでしたから、その額に合わせるような形で実施するんですか、それもお聞かせください。
〇菅峨経営企画担当課長 市町村からの申し込み状況についてでございますけれども、1次募集を行ったところ、最初は6市町からの応募がございました。その時点で選考しまして、まだ予算に余裕があった、あるいは引き続き2次募集などの募集はないのかというような問い合わせもありましたことから、2次募集をいたしまして、合計で7市町から補助交付に対しての応募がありました。結果的に申しますと、そのすべてが選考基準に達しましたので、7市町に対して補助交付を決定いたしました。
 それから、選考基準につきましては、事業の目的や交付要件などの必須項目を満たしていることを前提に、不特定多数の住民の便益につながるかとか、クリーンエネルギーの導入促進に対するPR効果があるかどうか、こういった五つの項目を設けまして、3段階評価を行って、総合評価の高い順に、予算の範囲内で選考を行っております。なお、この選考基準につきましては、あらかじめ公募前にホームページで公表しております。
〇平沼健委員 次に、二つ目に入らせていただきます。
 この冬は暖冬、そして雪が少ない少雪ということで、これによって、発電事業についてどういう影響が出てくるのかという心配もあるのですが、そういう中にあって、2月23日の新聞にあるように、国土交通省が盛岡で北上川上流渇水情報連絡会というものを開催しております。この暖冬による春以降の水資源への影響について話し合われたということなんですが、そのときに、企業局が岩洞ダムの水位を計画より2メートル高く運用するということで発表されております。こういう今回みたいな暖冬、少雪の状況下で、今後、企業局の水力発電事業に対して、何らかの影響があるのか、ないのかということが一つ。
 それから、岩洞ダムの水位を2メートル高く上げて運用するという理由も教えてもらいたい。これは、その分だけ水を大事にということなのでしょう。ただ、岩洞ダムだけでこれがいいのかどうか。他のダムはどうなのかということ。また、2メートルかさ上げして使うということは、その分だけ下流に水が行かなくなるのかなという気もしたり、そうすると、田畑というか、農業に関する水に影響がないのか、あるのか、それらを含めてお尋ねいたします。
〇杉下企業局技師長 今冬の暖冬及び少雪による発電事業への影響についてですが、今冬の降雪量は平年に比べまして少なく、今後の降水量についても、気象庁の長期発表によりますと、平年並みまたは少ない予報となっていることから、当局では、春先の融雪による出水は平年より少ないと見込んでおります。しかし、例年、融雪時には発電に必要な水量を大幅に上回る出水がありますので、仮に融雪出水が平年より少なくなっても、発電への影響は少ないものと考えております。ただ、最大出力4万1、000キロワットの発電を行っております岩洞ダムにおいては、周辺の流域から人工的に河川水を集めて貯水し、全量を計画的に発電及び農業用水に使用しております。このため、融雪出水が平年より少なく、発電及び農業用水に不足を来すことが予想されることから、岩洞ダムの3月末の水位を基本計画より2メートル高い水位で運用し、春先の需要に対応することとしております。岩洞ダムの水位のことについてもう少し申し上げますと、岩洞ダムの水位を2メートル上げての運用というのは、発電量の確保のほかに農業用水の確保のために、毎年5月15日までにダム水位を満水に確保する取り決めを確実に実施するためであります。
 それから、他のダムの農業用水確保については、各ダム管理者の所掌となっていることから、直接に当局が管理することはありませんが、農業用水と利用をともにする胆沢第二発電所、仙人発電所、御所発電所については、各ダムの管理者と情報交換を密にしまして発電調整を行い、農業用水確保に協力してまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 最後にもう一つお尋ねします。
 過日の新聞報道に出ておりました東芝の新規立地対応ということで、工業用水について最後にお尋ねしたいんですが、企業局が経営している県営工業用水道は、北上工業団地などの主要工業団地への企業立地を促進すべく整備されているところですが、多くの未売水を抱え、累積欠損金が平成17年度決算においていまだ3億6、900万円余りあります。経営が非常に厳しいということは承知しております。
 このような中で、工業用水道水源の一部を農業用途に譲渡して、未売水の解消と経営規模の適正化を図ることとしたと伺っております。先ほど申し上げた新聞報道によると、昨年、東芝が新しい半導体工場を建設したいと、北上市も候補地の一つということで挙がっておりました。ただ、その後、これが訂正というか、延期というか、そのような報道も出ておりました。これは仮の話なんですけれども、仮に東芝の立地が決定した場合に、企業局としてどのような対応を考えているのかが一つ。
 それから、半導体工場というのが工業用水を大量に使うと私は認識しておるんですが、これも仮の話なんですが、前に話したように、工業用水道水源の一部を農業用途に譲渡するということが平成24年度ということで決まっておるわけなんですが、そうしたときに、県営工業用水道水源というものが将来不足するようなことがないのかどうか、それを最後にお尋ねして、終わります。
〇岩渕企業局長 東芝の立地対応についてでございますが、仮に立地が決定した場合ですけれども、必要な工業用水の供給能力が不足するというような場合には、速やかに施設の増強に取りかかるように、今現在、施設拡張をする場所、あるいは規模などについて検討を始めている段階でございます。また、19年度当初予算におきまして、本年度の検討結果に基づいて、いつでも所要の設計などに着手できるように、予備費として8、000万円を計上しているところでございます。
 水源につきましては、東芝が立地している北上工業団地に供給している主に第三北上中部工業用水道事業について申し上げますと、これは早池峰ダムを水源としております。現在、日量約1万立方メートルが直ちに対応可能な量となっております。これを上回る工業用水の供給を必要とする場合には、新たな水源を確保する必要がありますので、その場合には、関係部並びに関係市と協力して対応してまいりたいと考えております。
 なお、平成24年度に一部を農業用途に譲渡する予定の第二北上中部工業用水道事業の分なんですが、これは入畑ダムに水源を求めて、金ケ崎町にある岩手中部工業団地に供給しているものでございます。したがいまして、北上工業団地の水源としては活用できないものでございます。そういうことで、予定通り、水利権5万2、000トンのうち3万5、000トンを農業用水として譲渡する準備を進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、新エネルギーの状況についてお聞きします。
 まず、稲庭風力発電の実績と来期の見通しなんですけれども、平成18年度は達成率が51.9%ということで、17年度よりもさらに落ち込んでいる。これはなぜなのか。なかなか苦労されているようだけどね。そして、来年度の見込みは、今年度の実績と関連してどうなっているのか、これが第1点。
 第2点は、風力発電の可能性調査はどうなっているのか。
 第3点は、先ほども質問がありましたけれども、小水力発電の状況について、現在、東北電力と開発に向けた協議を継続中と聞いていますが、どこまでこれが調査されて、今どういう見通しまでなっているのか、まず、ここからお聞きします。
〇杉下企業局技師長 初めに、稲庭風力発電の18年度の実績でございますけれども、18年2月末までの販売実績は256万キロワットアワーで、目標の494万キロワットに対する達成率は51.9%でございます。
 この原因につきましては、まず一つには風況でございますけれども、今年度の風況が計画の88%と弱かったこと。2号機のブレードが落雷によって損傷したこと。それと、3号発電機の内部にボルトが侵入して損傷したことなどがあります。これらの原因を克服しまして、来年度に向かいましては、これを教訓としまして、まず日常点検の見直しということも含めまして、委託業者の指導、予防保全に努めて達成率を上げていきたいと思っております。
 2点目の新規の風力開発可能性調査の状況でございますが、風力発電については、昨年の10月時点で開発を断念した一戸町の高森高原も将来の開発候補地点として確保しながら、現在は二戸市上斗米地区で風況観測を行っております。ことし11月、1年間の観測結果をもって開発の可能性の判断をしたいと考えております。
 それから、小水力発電についてでありますが、八幡平市の柏台発電所導水路の落差を利用しての発電については、16年から17年まで可能性調査を行い、今年度は経済性の検討を行って、これは概略でございますが、61キロワットの小水力発電が可能であると判断されるので、東北電力と開発に向けた協議を行っておりますが、なかなか規模が小さいものでございまして、オーダーメードで機械をつくると割高になるものですから、メーカーのいろんな機種の発電機を検討しますと、なかなか技術的に時間がかかるという状況がありまして、まだ結論に至る状況までなってないというのが現状でございます。
〇斉藤信委員 稲庭発電は本当に苦労しているというか、初めての取り組みですからね。ただ、昨年が67.6%で、ことしが51.9%ですか、厳しいですな。これ以上、何も言うことないという感じです。
 二つ目に、工業用水道の経営見通しについて私もお聞きしたいのですが、一般会計からの出資金が1億円余、電気事業会計からの借入金が1億円余となっていて、この出資金というのは、いわゆる財源不足額の半分と。電気事業借入金というのは、さっきお話しされた繰り上げ償還の財源ということではないんですか。これが一つ。
 あと、昨年、私が質問したときに、これは繰り上げ償還とのかかわりなのでしょうけれども、おおむね3年後には経営健全化が図られるという回答がありましたけれども、改善される理由は何なのかということです。
 それと、入畑ダムの転用なんですけれども、これは26億7、200万円ということで去年お聞きしていますけれども、これはいつ金が入ってくるのか。恐らくこれが入ってくれば、基本的には財源不足は解消されるということになるのだと思いますけれども、そのときには自前で施設の整備、その他やれることになるのか、いかがでしょうか。
〇和嶋経営総務室長 一般会計からの出資金と電気事業会計からの貸付金は、委員お話しのように、工業用水道事業は今かなり厳しい状況、特に資金繰りが大変でございます。その資金繰りをクリアするために、一般会計の方の出資金が半分で、残りの分は私どもの企業局の方で貸し付けているという状況でございます。
 それで、先ほどお話がございました繰り上げ償還というか、借りかえの財源はそのまま借りた原資で返しますので、原資は動きません。そして、もし、繰り上げの場合はどうかということもお尋ねですか。そこまではなかったですか……。借りかえにつきましては、そういうことで原資は動きません。ですから、ここに計上しております借入金とか出資金とは別でございます。要は、資金が要らないということでございます。
 それから、今後の経営見通しで、前に3年後とかというお話でございましたけれども、おかげさまで、今、経営は黒字でございます。ただ、資金繰りがなお依然として厳しいということで、平成22~23年ごろまで大変厳しいんですが、24年に、先ほどお話もございました入畑ダムの転用がございます。若干の特別損失が出ますけれども、それによりまして減価償却なり起債の償還の額が減ってきます。利息も減りますので、経営が急速によくなります。そういうことで、24年の農業側への転売が過ぎれば、資金不足等についてもほぼ解決できるのではなかろうかと見てございます。
〇斉藤信委員 最後ですけれども、先ほど、東芝の話がありました。私も半導体と工業用水の関係でお聞きしたいんですが、富士通の場合は、工業用水道を使っているのと、金ケ崎町の上水と、あと自前の水ですね。北上の東芝は今どうなっているのでしょうか。今、基本的に半導体も自前で水を確保する、再利用するという流れになっていると思いますけれども、県内の大手半導体企業が、どの程度この工業用水を使っているのか。
 あと、東芝の進出の話はまだ見えないんだけれども、工業用水とのかかわりで、打診だとか何かというのはあるのでしょうか。それとも、あったときに備えて検討しているのか、そこらの微妙な話もお聞かせください。
〇岩渕企業局長 私どもは工業用水道を経営しておりまして、やはり用水型企業に立地してもらうということが、当然、経営健全化のために必要ですし、本来の目的でございますので、商工労働観光部とも連携しながら、東京、名古屋の企業誘致のフェア等には一緒に参加させていただいている。一蓮託生で、補助的な役割ですが、やらせていただいているということでございます。したがいまして、商工労働観光部が、知事を先頭として東芝とそういう交渉をしている中で、情報も私どもに入ってまいりますので、その際に、どういう対応をすべきかということを私どもとしても基本的に考えなければいかない。それをこういう形で準備を始めているということでございます。
 それから、工業用水、一般水のほかに、東芝、富士通については、いわゆるろ過水、濁度のきれいな水を供給しておりますし、それをさらに濁度をもっと薄くしますといいますか、超純水というような形で自前の施設でつくって、それで半導体の洗浄をやっているというところまでは聞いております。
〇及川幸子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、暫時休憩いたします。
   午後2時45分 休憩
午後3時6分 再開
〇及川幸子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 昨日の農林水産部(第3部)審査の際、阿部委員からの質疑に関連し、本日配付することとしておりました資料につきましては、お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 また、斉藤委員から配付要求のありました資料につきましては、その後、奥州市議会から連絡があり、速やかに県議会に提供したいとの市議会議長の判断のもと、資料の提供がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
〔参照〕
  「競馬事業を廃止した場合の債務見込み(19年3月末時点)(18.9.1公表)」の内訳について
  「330億円の構成団体融資の必要性について」(議員配付資料)
  平成19年3月13日 岩手県議会御中 奥州市議会 議長 小沢昌記
  岩手銀行要望結果
〇及川幸子委員長 これより、知事に対する質疑に入ります。
 この際、増田知事より発言を求められておりますので、これを許します。
〇増田知事 競馬組合の問題につきまして、県議会、そして県民の皆様方に大変御心配をおかけしているところでございまして、大変申しわけなく感じているところでございます。
 本議会開会後も、本会議で多くの質問をいただきましたし、この予算特別委員会の総括質疑、そして昨日は夜遅くまでの農林水産部審査におきましても御熱心に御審議をいただいたところでございます。また、さらに加えまして、本日はこうした私の出席の機会をいただきましたことに対しまして、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
 この委員会審議を通じまして、競馬組合の新計画の再生に向けたポイントとなります構成団体融資、否決の場合の対応、分賦、廃止の場合との比較、今後の対応方針、さらには競馬組合管理者としての私の責任等々について、この後の時間におきましてさまざま御指摘をいただくのではないかと考えております。昨日の夜10時までの審議の様子も私はずっと拝見させていただいたわけでございますけれども、結局、私の方がお答えをしなければいけない問題が多々あるなと改めて感じたところでございますので、きょう、そうした御指摘に対しまして、それぞれに対して真剣に、かつ十分に御理解いただけるように御説明、お答えを申し上げたいと考えているところでございます。
 以上、冒頭に当たりましてお時間をいただきまして、きょう出席させていただきましたことにつきましての感謝を申し述べさせていただきました。どうもありがとうございました。
〇及川幸子委員長 これより質疑に入ります。
 質疑はありませんか。
〇小原宣良委員 競馬問題について知事にお伺いいたします。御出席をいただきましてありがとうございました。
 この問題の中心をなしておりますのは、昨日も申し上げましたが、競馬事業を継続した場合と廃止した場合のどちらの対応策が県民への負担が少なくて済むか、この1点にかかっているものと理解をいたしております。同時に、この問題には経営者責任の明確化と、巨額の負債処理に緊急に対応しなければならないという二つの課題が存在しているものであります。
 こうした観点で、以下お伺いをいたしますので、あいまいな表現ではなくて、明確で誠意ある答弁をお願いいたします。
 第1点目は、総務部審査の際にも触れましたけれども、返済期限が来た借入金を支払えない、もしくは延滞することは、対外信用にかかわる重大事であるという認識が、さきの審査で川窪総務部長から示されたところでありましたが、その認識を改めてお伺いしたいと思います。
〇川窪総務部長 地方公共団体の起債及び借入金でございますが、これは、貸し倒れ、延滞が一切ないということでリスクゼロという評価をこれまで受けてきてございまして、そのために有利なレートでの借り入れができているということになっております。この関係で延滞をする、遅延をするということにつきましては、遅延利息が高い率でついてしまうということもございますけれども、それ以上に、この信用というものを一度失いますと、今後の借り入れに多大な支障が生じると考えておりまして、この点については、そういった観点から、延滞していわば引っ張るというようなやり方は、いずれにしてもできないと考えておりまして、何らかの形で期限には支払わなければならないものという認識でございます。
〇小原宣良委員 はい。わかりました。次に、金融機関にも貸し手責任があるので、債務減免、長期低利に切りかえての解決策はあるという意見があります。この解決策は、競馬事業廃止を前提としたもので、3月15日の最終本会議で議案否決となった後、直ちに金融機関と協議に入ることを想定していると思われますが、3月末日までに返済期限を迎える215億円の償還に対応できるかどうか、お伺いをいたします。
 なお、ただいま奥州市議会議長名の資料も配付されておりますけれども、言った言わない、あるいは聞いた聞かない、そういうことが大事なことではありません。問題は、そうしたことができるか、できないかということが問題でございますので、あわせてつけ加えながら、この考え方についてお伺いをしておきます。
〇増田知事 まず、否決となった場合でありますけれども、直ちに構成団体の中で協議を開始するということになるわけでありますけれども、この債務の処理について、約定日に返還できないということになりますと、先ほど総務部長が言いましたように、大変大きな懸念が生ずるわけでありますので、これは何としても返さなければいかないということになるわけであります。
 そして、215億円のうち、特に37億円を除いた178億円の工面が大変重要になるわけでありますので、これについて、競馬組合規約に定める不足額にこれは当たると私どもは考えておりまして、この規約に基づいて県は55%という分賦割合、すなわち98億円でありますが、この98億円を支払うということになるものと考えます。そして、これも県としての責任の額でありますので、至急支払わなければならないということでありますので、即座の対応が必要と考えるものでございます。
 一方、今の御質問は、両市のことについても恐らく含んでの御質問だと思いますので、これは両市の方の御判断もあろうかと思いますが、両市は、奥州市が約45億円、盛岡市が36億円という支払いが必要になりますので、これはまたそれぞれの市におきましての支払いの責任が生じてまいりますから、奥州市では、その財政規模からすれば、重大な問題が生じるのではないかと懸念をされるわけであります。
 もう1点、戻りまして、県分の支払いの関係でありますが、98億円の関係であります。これは、18年度補正予算を措置して、それで県から競馬組合に支払うという手続が必要になると考えます。このためのさまざまな臨時議会の招集等、そういった手続を行った上で、適正な手続を経た上で、そのお金を用意するということになるものと考えております。
 それから、奥州市議会が1月の末に金融機関の方に行った際に、銀行はこういった債務の長期分割払いの支払いも考えられると回答したと聞いております。これについては、別途、県の方で当該銀行に確認したときに、そういった借入金の長期弁済を否定しております。事実としては、言った言わないの関係になるかもしれませんけれども、そういう事実を否定しておりますが、その言った言わないの事実関係ではなくて、事柄の中身で考えますと、要は、向こうが言っております長期分割支払いということですが、これは、長期にわたって何かの事業計画があって、それできちっと返していくという計画があるわけではありませんので、恐らく短期の借りかえをしていくということで、短期資金で借りかえるような話なのだろうと思いますけれども、しかし、今回の存廃基準をベースとした新計画のもとでは、そういったことになりますと、金利負担がまず生じるわけです。短期資金ですから、金利負担が当然少し高い形で生じてきますが、常にそういった形で金を貸せるかどうか、これは相手方の意向によるわけでありますので、財源手当としてどこかで打ち切られれば、そこですっぽり穴があくような形になりますので、財源手当としての不安定さ等もございますので、そういった対応は選択できないと私どもは考えます。
〇小原宣良委員 私もそこのところが実は懸念材料でございまして、昨日の高前田農林水産部長の答弁によりましても、3月末日までに返済期限を迎える215億円、37億円を引くという部分はありますが、この償還に当たっては構成団体が分賦によって負担することになるという考えを示されたのでありますので、金融機関にそうした長期低利による切りかえといったものができるというような考えを仮に持って対応するということになりますと、事柄の対応にあいまいさが残ってしまう。それに対する期待というものが出てくる。今、知事は明確に否定をされましたので、これは金融機関との対応という部分では、期間的に言っても、今月末までにそうした金融機関との協議の時間を費やすということは不可能だろうと私も思っておりまして、仮にそういう方向を選択したとした場合は、結果として、対外信用を含めて県民負担の増大をもたらすものになるのではないか。金融機関との協議が遅延をするなり、まとまらないということの中で返済期限を迎えるということになれば、これは最悪の事態と言わざるを得ないわけです。その点は、先ほど知事もそういう見解を示されましたので、了解しました。
 それから、先ほど知事も触れておりましたが、県競馬組合として銀行から借り入れができなくとも、構成団体が短期で借り入れを起こせば対応できるのではないかという考えも出されておるところでございます。私は、この措置は極めて危険性を伴うものではないかと思うものでございますけれども、この点はいかがですか。
〇増田知事 構成団体が短期資金でさまざまな借りかえをその都度交渉していくということは、当然、金利負担がその分生ずるということが1点ございますのと、現在の仕組みの中で、それを必ず将来に向けてずっと継続して続けさせるという保証がどこにもないものですから、途中でそういった短期資金で、極めて近い将来にまで用立てしてもらったものが、その次の交渉がうまくいかなかったから、そこでスポンと穴があくような形になるといったようなことで、全体としては大変資金繰りの不安定さを内包したままになるということでございます。恐らく地元の指定金融機関であり、別の面で長い信頼関係が一方で生じている金融機関でありますから、そういった可能性があるのではないかということの上での御質問、ないしはそういうお考えがあるかもしれませんが、実際には、今、金融界も大変厳しい状況に見舞われておりまして、昨年9月の組合の半年の資金用立てをする際も、副知事以下の文書を入れて、いろいろな苦心の上に半年間の資金を借りたといったようなこともございますし、そういうことを考え合わせますと、短期資金をこういう問題に対して繰り返しつなぎ合わせていくという資金調達の方法は、そういった二つの面からとるべきでない、あり得ないと考えているところであります。
〇川窪総務部長 補足を申し上げます。
 先ほどの御質問の際に、まず、長期分割支払いということについてでございますが、長期分割支払いといいましても、この年度末に支払うべき178億円という組合の負債につきましては、ほぼ全額が累積赤字の短期借り入れのものでございます。したがいまして、赤字地方債が法律上認められていない以上、長期の借入金を約定して借りることは、制度上、不可能でございます。したがいまして、組合で借りるとしても、短期で借りるものを繰り返し続けるということ以外にないということが前提でございます。
 また、今の御質問で、その短期借り入れを組合ができないのであれば、構成団体がかわりにやって組合に渡すというようなことができるかということでございますけれども、組合の短期借り入れは、組合の決算上の赤字でございまして、赤字として処理されてございます。これを構成団体がやるとすれば、構成団体の赤字として決算処理をする必要がございます。県におきましては、この決算上の赤字を出さないために、今、収支不足対策に努力しているところでございまして、この赤字を出すという短期借入金を県で借りるという考え方は持っていないところでございます。
〇小原宣良委員 わかりました。
 次に、岩手銀行は県の指定金融機関でありますので、岩手銀行の関係について少し伺いたいと思うのですが、現在、岩手銀行は県が発行する債権総額の何割程度を引き受けているのか、金額を含めて示していただきたいと思います。
   〔「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇阿部富雄委員 きょうの知事の出席を求めたというのは、世話人会の申し合わせできちっと決まっているわけですよね。知事を呼ぶ場合はこういうふうにしておりますよということですから、きのうの段階で、競馬問題については一通りの質疑は交わされている。ただ、知事の考え方をきちっとたださなければならないという事態があって、今回は知事をお呼びしたということだと思うんですよ。それに対して、知事以外の方々が答弁していったのでは、きのうまでの議論が何だったのか、きょうの会議の意味が全く薄れると私は思うんですよ。ですから、そこはきちっと、委員長、知事出席の際は次の場合に限ると書かれているでしょう。そういう申し合わせてをやってきたでしょう。(「関係部局長も呼ぶと言っているんだ」と呼ぶ者あり)いや、知事の出席についてはとちゃんとあるの。関係部局長は別にあるけれどもね。そうでしょう、委員長。だから、そういう考え方で議事を進めてください。知事が答える部分であればいいけれども、知事以外の者が答えるのだったら、きのうのうちに議論できたでしょう。そういう取り進めをしていただきたいと思います。
〇及川幸子委員長 阿部富雄委員に申し上げますが、知事以外にも関係部局長を呼ぶ部分については私から申し上げてはおります。
 それで、質問者に申し上げますが、知事以外の答弁も求めるものですか、小原宣良委員。
〇小原宣良委員 知事で答えれないことはないと思うんですけれども、正確を期する意味では、知事にかわって、きょう出席の皆さんが補足をするということは、私はあっていいと思います。
〇及川幸子委員長 少々お待ちください。
 阿部富雄委員、小原委員の今のお考えでよろしいでしょうか。知事以外の答弁を求めるときもあり得ると。
〇阿部富雄委員 世話人会の申し合わせ事項といいますか、メモでは、こういうふうになっているんですよね。知事の出席については、次の場合に求めるとなっているんですよ。ですから、私は、きょうの知事の出席を求めたのは、これに該当することだと思っているんです。委員長はそうでないと、さっきそういうふうなニュアンスの話をしましたけれども、知事の出席を求める場合はそうだよとなっているんですよね。ですから、私はそういうふうに進めた方が、より効率的に進むのではないかと思っているわけですから、ぜひ、そういう形で進めていただきたいということです。そうでなければ、きのうやった議論が何の議論だか全然わからなくなりますよ。
〇及川幸子委員長 ただ、先ほど来から申し上げておりますが、私は、知事以外にも担当部長もお呼びすると申し上げているはずです。ですから、質問者から要望がありましたときには、やはり他の部長もお答えする部分があってもいいのではないかと私は判断いたします。いかがでしょうか。
〇阿部富雄委員 いいですか、ちゃんと聞いてくださいよ。知事、副知事及び企画理事は総括質疑の日に出席を求めているが、それ以外の日に出席を求めるときは世話人会で協議し、最終日に出席を求める、これはいいですよね。なお、知事の出席については、次の場合に求める、こうなっているんですよ。次の場合は、書いてあるとおりですよ。そうじゃないですか。
〇及川幸子委員長 ちょっとお待ちください。
 阿部富雄委員に申し上げます。きのう、私が皆様に読み上げた事項というのは、審査対象案件は岩手県競馬組合融資関連議案、議案第59号及び第60号とし、審査はあすの企業局審査終了後に行うこと。知事のほか農林水産部長、総務部長及び関係室・課長の出席を求めることということでありまして、知事だけに答弁を求めるということはどこにも私はうたっておりませんので、質問者から求められた場合は、そのように計らいたいと思います。
〇小原宣良委員 私が岩手銀行との関係についてお伺いをしましたのは、前段ありましたような借りかえとか、あるいは長期低利の融資というものが可能性としてあるかないかという議論は先ほど整理をさせていただきました。その上で、岩手銀行が指定金融機関として県が発行する債権総額の何割を引き受けておるのかということをお聞きしたものでございました。そこで、これについては触れてもいいし、触れなくてもいいです。
 次に進みます。知事にお伺いをいたします。経営責任であります。
 今日時点で、直接的には県財政に損失は与えておりませんが、増田知事は県競馬組合の最高責任者として、経営悪化に至った責任を明確な形でとるべきであります。
 具体的に指摘をしますと、多額の単年度赤字が発生したため繰り上げ充用の措置をとった平成12年度において、規約に基づいて損失負担を構成団体が直接行う措置をとるべきであったことが挙げられます。大事なことは、こうした措置をとっていたなら、競馬事業の経営実態が、県議会、盛岡・水沢両市議会に直接伝わったであろうし、情報公開も進んだでありましょう。この措置をとらなかったことは、結果として情報公開を阻害したことになります。この責任は重大であります。私は、本会議代表質問で増田知事に問いかけたのはこの点でありまして、増田知事3期12年の中にあって、このことは痛恨の判断ミスではなかったかと指摘をしたのは、このためでございました。この点についてどうお考えか、まずお伺いをしておきたいと思います。
〇増田知事 今、御質問の第1点目の岩手銀行が県債残高でどの程度引き受けているか、この関係でありますが、割合で、県債残高総額約1兆4、116億円のうちの30.1%ということであります。
 次のお尋ねの私の責任ということでございます。この点について申し上げますけれども、今回の競馬事業につきましては、私の立場で申し上げますと、管理者としての責任ということと、構成団体の長である知事本人としての責任、この二つがあると思っております。また、今日この事態に至ったということ、さらにまた年度末を控え、来年のレースが始まらんとしているこの時期に、まださまざまな点で議論を残しているということも含めて、大変大きな責任があると責任を痛感しているところであります。
 さらに、もう少し具体的に申し上げますと、管理者としての責任につきましては、今、委員から御指摘がございました平成12年度の繰り上げ充用のところは、やはり私も大きなポイントだと思っておりまして、これについては、以前申し上げました当時の判断としては、こうした競馬事業は収益事業でありますので、もし赤字が出た場合に、いきなり税金を投入するという政策的な事業と異なりますので、収益を回復するために、コスト削減なり、あるいは売り上げ増なり、まず自助努力でそれを解決するのが必要であろうということで、すぐに分賦の措置をとらずに繰り上げ充用という措置に頼ったわけですが、結果として、その後、繰り上げ充用額をさらに大きく膨らませていったことは事実でありますし、この部分についての御指摘、責任を問われる、これはいかように問われてもいたし方ない、私の責任であろうと思います。こういう関係では、恐らくその後の改訂実行計画等二つの計画が実現できていないといったようなこともこれに含まれる。
 さらには、知事としての責任については、今お話の中にいみじくも出てまいりましたが、県民あるいは県議会への情報提供が不十分でありまして、そして、この問題での構成団体としての議論をしっかりと行うような場を今まで十分に持ち得なかった、こうしたことも含めて私に大いなる責任がある。そして、そのことについて、今後の競馬組合の進むべき方向というものをきちんと道筋をつけつつ、また、その後にこうした責任を明確化しなければいけないと考えているところであります。
〇小原宣良委員 確かに、今、知事がお話しされましたように、県競馬組合が巨額の負債を抱えるに至った原因を、増田知事のみにその責任を求めるという点ではフェアではないと思います。それは、盛岡競馬場オーロパークの開設が平成8年でありますから、そうした意味合いです。要するに、中村知事、工藤知事の段階でこのオーロパークは建設計画があり、建設に入っていった。そして平成8年ですから、増田知事は平成7年から知事をやっておられるというわけですので。
 しかし、先ほど述べたように、平成12年に大きな赤字が出まして、それを繰り上げ充用したという判断、これは増田知事、あなたの判断でした。これはやはり指摘をされてしかるべきであるし、その時点で構成団体に分賦という手法をとっておれば、先ほど申しましたように、情報開示が、県議会にもあるいは盛岡、水沢両市議会にもなされたし、県民、市民に議会を通じて競馬組合の実態、さらにこれをどう改善すればいいかという真剣な議論があの場面でなされたであろうということを考えますと、私は、増田知事の管理者としての判断ミスがあったと指摘せざるを得ないわけです。
 そこで、知事、どうでしょうか。経営責任を感じておられるという部分は先ほど述べられましたけれども、なお、具体的な責任のとり方という点で、昨日、知事においでをいただくことを決め、御連絡があったと思いますが、どういうお考えに至ったのか、この点についてお伺いをいたします。
〇増田知事 具体的な責任の問題について、今、御指摘をいただいたわけでありますが、私の考えておりますところは、まず管理者として、構成団体に組合から大きな融資を要請されている以上、また構成団体のトップである最高責任者の知事として、この問題についての解決の道筋をつけるということ、そして、その上で私自身の責任をきちんと明らかにすることだと思っております。
 そして、実は私も従来からさまざまな県政運営の課題について、やはり知事として責任を明確にしなければいけないというときには、その事案の処理が全体の方向性が見えた段階で、何らかの形で明らかにするということで、現実には俸給を引き下げるといった形で県民の皆様方に謝罪をしつつ、責任をそういう形で明らかにしてまいりました。今回、議論がこの特別委員会の最終の段階に来ております。いろいろ伝え聞くところによりますと、採決がもう少し延びるとかという話があるんですが、本来、議会の当初の考え方では、こうした特別委員会で大体方向が見えた段階で、また議長の方にお願いをして、最終日に、今までとっておりましたような形で経営責任を何かの形で明確にしなければいけない。それは、具体的には私が得ております報酬を何%か引き下げるといったような形で経営責任を明確化するということで考えているわけでありまして、今回もそういう道筋で考えております。まだ、ここでの議論が最終的に方向が見えないので、そういったことを申し上げるのも少し早い段階ではありますが、ここの議会の中で方向性を、今、私の提案していることに御理解を得ることに最善を尽くしつつ、しかし、形としては結論は何かの形で出ますので、その上で、今まで明確にしておりましたような形で皆様方に責任を明確化したいと考えております。
〇小原宣良委員 わかりました。責任を明確化するという言葉を了といたします。
 そこで、一つ、知事にお話を申し上げたいのでありますが、きのうも申し上げました。これは、県民の皆さんにあっても、あるいは議会の議員にありましてもそうですが、融資案について、融資スキームというものについて、積極的な意味でこれを支持するというよりは、これはまさに分賦によってこの問題は切り抜けていかなければならない本来の性格を持っているのではないか。その上に立って、しかしながら、その分賦という形になっていきますと、勢い岩手県はともかくといたしまして、盛岡市、奥州市にあっては、これはその負担に耐え切れないという現実に直面をしてしまう。したがって、その現実の上に立ってこの融資スキームがあると説明すべきが事の順序ではなかったかと、私は今でもそう思っております。それが、県民の皆さんにも、この融資スキーム330億円というものの持っている意味、貸したものなら返してくれるであろうという意味合いを含めて、複雑な受けとめ方に発展してしまったのではないかと思っておりまして、今、この最終場面で、その部分は整理がついたかなという感じはいたしますが、説明の手法としては少し工夫が足りなかったのではないか、あるいはこの事態に対応した、あるいは対応する危機意識というものの不足があったのかもしれない、そんな思いでなりませんが、最後に、この部分について知事の見解を承っておきたいと思います。
〇増田知事 まず、この問題の解決策について、存続を前提に、いきなり372億円と330億円との比較で、こちらの方が県民負担が少ないということを端的に申し上げた、そのところが、今、委員からお話があったような話に結びつくのかと改めて考え直しているところであります。お許しいただいて整理して、こういう説明であればよかったかと思いますのは、本来、この県議会でのさまざまな御指摘をいただいて、2年間の猶予をいただいて、そして計画をつくって、それの実現に全力を充てる。もし、その上で計画が達成できなければ、そこで廃止をいたしますというスタートで、切り出しで始めていったものが、実際には、御批判、御指摘をいただきましたとおり、計画の達成にはほど遠い数値でございましたので、そこで管理者として、あるいは構成団体の長としても廃止を決断し、まさに今お話がございました分賦という手段をとるべきということにつながっていったであろうと、これが多くの県民ないしは代表される県議会議員の皆様方の意識だったのだろうと思います。しかし、そういった廃止との比較の上で、何とか存続をお願いしたいということで、この存続を考えていったということでありましたので、素直にやはり考えるべきは、まず、そういう意味で今までの計画とお約束からすれば、廃止で分賦をする。しかし、その負担を考えますと、さまざまな問題が生ずるので、なお、存続の道を選ばせてくださいということで、今回の話を十分に御説明をすればと改めて反省もし、説明不足をそういう意味でも痛感しているところでございます。
 そういう経過がございましたので、この場でさらに御説明をさせていただくというのは大変ぎりぎりの段階で、これも私の大いなる責任かと思っておりますが、県職員の方もさまざまな形で日夜一生懸命やってくれておりますが、ひとえに私自身、なおこういう場をいただいて、その考え方を御理解いただければと考えております。
〇渡辺幸貫委員 今、小原宣良委員がおっしゃったまさにそのとき、繰り上げ充用したときのことをお尋ねしたい。それが責任の深さだと思いますので。
 この繰り上げ充用をする議事録を見ておりますと、このときに知事は、1人当たりの購買単価が大幅に下がっている、また、このような傾向であるから、これからは大変厳しいと。ただ、入場人員は200万人来ているんだ。そして財政運営の打開策として岩手競馬を将来に向かってしっかりと運営していく正念場だ。そして、増収策は魅力あるレースづくり、ほかの遠隔地の競馬場との提携を深めて、また、未処分遊休資産、土地、それらを両市長と厳しい現実をまず共通認識として、全力でこの解決に当たっていくという認識をしていると。まさに具体的な計画をここで立てていきますということを、この繰り上げ充用の前段であなたは誓っているのですが、その点について再確認をします。その点はしっかり覚えていらっしゃいますか。
〇増田知事 繰り上げ充用のときに競馬議会で御質問がありまして、今申し上げましたようなことをお答えし、そして、川勝先生がたしか座長だったと思いますけれども、平成12年からの計画をつくって再建に取り組んだということだったかと思います。
〇渡辺幸貫委員 今、私が読み上げたのは競馬議会であります、今申し上げたとおり。ここにおられる佐々木俊夫委員が議長であられて、そして、財政調整基金を取り崩す際は、会計に繰り入れだから赤字決算を回避しておりまして、私ども岩手競馬でも昨年度はそういうやり方でやってきた。それまでは財政調整基金で埋めてきたんだと。ことしはそういう財政基金の方も底をついてきている状況でございますので、今回、こういう繰り上げ充用という形で提案をしておりますと知事は後段で説明をしております。つまりこの時期はどうだったか。その時期は、まさに7、000億円の県の借金が、先ほどもお答えになった1兆4、000億円に膨らんでいく、おくれた社会資本整備に東奔西走してした時期だろうと思います。つまり資金運用の余裕があった時期だろうと思います。ところが、この説明の中では、基金が底をついているから繰り上げ充用をやったと、その点について矛盾はありませんか。
〇増田知事 この点については、競馬事業が収益事業であるということでありますので、一部事務組合でやはり独立した団体として、その中で自助努力でこの赤字を埋めていくということが筋であると考えまして、すぐに構成団体の方への負担を求めずに、分賦を求めずに、繰り上げ充用という方策で事業の改善計画をつくりつつ、その赤字を解消していこうと考えていたということでございます。
〇渡辺幸貫委員 法的には、不足ある場合にはそれを分賦するというのが筋でありまして、今おっしゃったのは、知事は、管理者としての思いをおっしゃったのであって、法的には、従来やってこられたとおり、この年もおやりになればよかったんだと思います。そして、私は平成16年、その前からですが、出資法人の委員長をさせてもらいました。この答えが、16年の8月に新しい競馬法ができていく。そして、農林水産大臣の認定を受けることにより、地方競馬全国協会の補助を受けることができることとなったこと等から、この法改正の活用について十分に検討を行う必要があるという今後の対応についてまで書いて、そして、私どもの特別委員会の報告として皆さんに認めていただいたものであります。しかるに、17年以降、交付金を、マイナスであって、それを払い続けている。マイナスのときには、それは新しい競馬法の中では、これは大変だ、それはちょっと待とうと変わっていかなければならないのでありますが、私たちが求めたこの出資法人の提言をちょっと無視して、今日まで交付金については払い続けて、マイナスのまま来ているのではないかと思いますが、いかがですか。
〇増田知事 この点につきましては、昨日、農林水産部長の方でお答えをしたかと思いますけれども、この猶予制度を事実として本県の競馬組合は利用してないということになるわけですけれども、この交付金の猶予は、あくまでも支払いの先延ばしということで、抜本的な収益改善を図るものにつながることはないということと、それから、各主催者が共同で実施する競馬連携計画に基づく事業に参画できなくなって、地全協からの補助が受けられないということにつながっていくということで、この猶予制度を利用していないということでございます。
〇渡辺幸貫委員 繰り上げ充用にせよ、この制度にせよ、私たちが議会で議論をし、そして、農林水産大臣に新しい計画が上がっていく、この手順を踏まないことは、どちらにも共通する知事、管理者としての体質ではないかと私は気になるところであります。そしてまた、きのうも、きょうもたくさんの競馬関係者がロビーなり、いろんな意味で陳情に来られました。私も夜遅くまで皆さんとも対応に追われて、きょうここに立っているわけでありますが、まさに、もっと前、そのとき教えてもらえばという思いが、競馬に携わる人たちも、私たち自身も強く思っているところであります。そして、今回知事が提案された新しい収支計画が、これは、知事の説明では本当になし得るものだと。そして、従事する方は、これさえクリアすればいいんだなと必死の思いでこの計画にすがっているだろうと思います。
 ところが、きのう明らかにされたように、19年度の予算並びに新計画と18年度の見込みの中で、例えば岩手競馬の商圏内の売り上げでも、18年度の255億円から新計画の310億円と大きく増加していく計画を立てておられて、広域受託の売り上げをきちんと計算するという点では、非常にわかりづらい収支計画になっておられたのではないか。そして、330億円の説明でも、計画と実績の乖離がそのまま赤字となっている構造を断ち切る、よりコンパクトなと表現された現状認識と大きく矛盾するのではないかと改めて思うのでありますが、知事の見解を求めたいと思います。
〇増田知事 昨日も売り上げについていろいろ御指摘をいただいてきたわけでありますが、今回見込んだ売り上げの考え方については改めて繰り返しませんけれども、要は、考え方として、売り上げの計画は実際の現実の数字と変わることはあり得るわけでありまして、その際に、従来は望んだ売り上げが見込めないときに、一方で歳出を切り詰めていくというそちらの方を働かせるという仕組みがなかったために、売り上げが思うとおりに伸びなくてもコスト削減につながってこなかった。今回は、さまざまな要素である程度確実な売り上げを見込みつつ、さらにそれがうまく見込めない場合には、一方で関係者が集まって、さまざまな面でコスト削減を行う。しかも、それは単に人件費なり何なりの単価を切っていくということであれば、コスト削減もすぐに限界に行き当たると考えるわけでありますが、実際に、その協議会等を動かしていく際には、例えば自場の購買力が低下することになったときには、私は今、レース数を1、200から1、300ぐらいを考えておりますが、そのレース数や、さらには馬の数についても、実際には調整を行う。そして、減らしたレース数については他場からの受託で補うなり何なり、そういったことを行う。それは何を意味するかといいますと、結果として、そういうことを繰り返せば、恐らくよりコンパクトな競馬につながってまいりますし、さらには、場合によっては1場体制をおのずから関係者の間で議論するということにもつながっていくであろうということでございまして、そういったルールを関係者が集まってつくるということが、今回、一番の眼目でございました。したがいまして、従来は1場体制なりコンパクトな競馬といいましても、そういったことを一番大事な関係者がさまざまな面で切り出していくということに実際にはなってなかったのですけれども、ぜひ、こうした形でコスト削減を関係者が集まって議論していく。組合の関係者が入って、売り上げが十分でない場合にも、そういう調整ができるような、この新しい、今までとは全く違う考え方について、ぜひ御理解を賜ればと考えているところでございます。
〇渡辺幸貫委員 知事は今、ルールの話をされました。ルールに入る前に、この目標額がみんなが達成可能だという思いでやっているということを私は申し上げたいのです。そして、再三お話しされているのは、299億円という数字だったんですね。それが自場発売であったり、インターネットであったり、広域受委託であったり、そういうものを含めてトータルでそれだけの発売額だと受け取ってきたと思うんです。そういう意味で、中にこれは純生のお金だったということが入ってあれば、それだけ目標が一気に高くなる。55億円も高くなる。そのときに強いられる人たちの痛みを知事はどれだけ考えているのか、私はそれを言いたいのです。率直に言うのであれば、この辺の数字はこれだけで大丈夫かということを皆さんにも申し上げて、実質は広域発売も55億円ふえるんだよということを含めて御説明をした記憶がありますか、お尋ねします。
〇増田知事 具体的な数字で私が関係の皆様方に直接説明をするという場は設けておりませんで、具体的な予算という形で説明をするという形になってございます。
 あと、売り上げにつきましては、それぞれ広域の受託についての日数の関係ですとか、時期の関係、さらには自場発売の場合といったようなことで、これは具体的にやはりそれぞれの担当者が今までの傾向を見ながら積み上げてきているものでありますが、経営者、管理者として見ますと、その売り上げの計画自体も大変大事でありますし、それがほぼ正確にそういう売り上げになるということを望みつつ、今までも従来はそういうような形で対応してまいったわけでありますが、それだけでは、やはり経営者として、外れる場合ということも考えつつ、その場合のルールというものを今回つくって、そういう意味で経営全体を見ていくという考え方が適切ということで考えているものでございます。
〇渡辺幸貫委員 どんな会社でも、どれだけの発売額、売り上げ目標を立てて、これに邁進しようと社員に話をするのは経営者としての義務第一歩だと私は思います。今、知事は話したことがないとお答えになりました。その点については私は深く憂慮し、この計画は難しいなと心配をするところであります。
 以上、心配のことを申し上げて、私の質問は終わります。
〇佐々木大和委員 それでは、私からも質問をさせていただきます。今議会のスタートの代表質問の際にも競馬のことで質問させていただきました。そのことに重なるわけですけれども、ここでもう一度質問をさせていただきます。
 岩手競馬最盛期といいますか、非常にいい時期がございました。平成3年度がピークでございまして、689億円という売得金がございましたけれども、これが平成6年度まで4年間続きまして、平成7年度から600億円を切って500億円台になっております。さらに4年後ですか、平成11年度に500億円を切りまして482億円という状況になったわけであります。そして、平成11年度から、この500億円を切った時点からでありますけれども、構成団体への収益配分が行われませんで、ついに平成12年度には約15億円の赤字が出たという経過であります。そして、平成15年度の累積赤字が104億円という状態になっておりまして、それで、先ほど渡辺幸貫委員が言いましたが、私どもの方でも出資法人等特別調査委員会というのが出て、そういうことでその会から、お話のとおりの提言をさせていただいた経過があります。
 このときには、当時は、今と同じですけれども、約2、000人の就業の機会を提供するなど、地域経済に果たす役割は大変大きなものがあるということで、何とかこれは続けるべきだということだったわけでございますが、そこの中でこの存在意義ということが問われておりまして、これ以上収支の改善が図られず、歳入不足がさらに増大すれば、その存在意義が失われ、存廃を問われることは当然であろうというように言っております。その中で、この提言の3番目に、構成団体の財政的支援についてということを私どもの方から意見として挙げております。これは、あえてここでもう一度読んでみますけれども、地方競馬は、地方財政に寄与することをその存在意義とする以上、また、県を初め構成団体における非常に厳しい財政状況もかんがみれば、構成団体からの財政支援を行うことは困難な状況である。また、公営ギャンブルという性格から、教育、医療、福祉等と異なり、構成団体からの財政支援は県民の理解を得ることは困難であると考えられる。こういう形で私どもは出資法人等調査特別委員会で提言をさせていただいた経緯がございます。
 今回、そういう中で、先ほど知事がお話しされておりましたけれども、この存続をいろいろ考えていかなければならない、それがまず大前提にあるということでやってこられたわけでございますが、しかしながら、今回の330億円の融資というまさに巨額の融資は、県民を驚かしたというのが実態であると思います。
 それで、先ほどの私どもが提言しました財政的支援というのは非常に難しいのでないかと。これはやってはいけませんよということに近い提言をしているわけでございますが、あえてそこに入ったということでありまして、そこにおいて、加えて基金の取り崩しという方法によって入ったことで、各市町村の関係者も、当然ながら、これはどういうことだという不安感を持ったと思います。そういうことで、今回の330億円という巨額の融資は、この方法論において一面で財政問題化したということが言えるのだろうと思います。
 そういうことから、当然ながら、今、各市町村も財政難で苦しんでおりますので、あえて県がこれだけの融資をし、さらにまた関係する奥州市、盛岡市も融資するということで、ほかの市町村の理解は本当に得られるのだろうかと。そういうところも、県として、これが本当に大事なことなんだということを、ほかの33市町村から賛同を得られるような方法といいますか、理解を得られることと知事は判断されてのこの取り組みなのか、その辺が非常に不安であります。私どもに来るのも、どうしても、ほかの市町村にとっては、やはり財政基金を取り崩してまで融資するという方法になかなか理解を示してこられないというのが現実にありますけれども、そういう面で、先ほど言った我々が議会の方で提言したことを、あえてそれを変更してまでも構成団体としての財政支援を行うというところを、改めて知事のお考えを示していただきたいと思います。
〇増田知事 県議会の方の出資法人等調査特別委員会での御提言の、構成団体の財政的支援については困難である、これが競馬組合の議論の大きなベースにあったと考えます。競馬事業につきましても、途中の段階では、例の37億円、これも大変大きな議論でございましたが、一部のそういう御支援もいただきつつ何とか2年間の猶予をいただいて、そして存続の道を探る、こういう時間的な猶予をいただきましたので、その中で、今お話がございました37億円を別にすれば、財政支援を伴わない存続の道を探ってきたわけであります。しかし残念ながら、私の管理者としての力不足がゆえに、あるいは状況判断のまずさによりまして、いただいたお時間の中で適切な答えを見出せなかった、こういう状況に至りました。
 したがいまして、こういったことを考えますと、廃止せざるを得ない、こういうことが今後の問題の一つの解決といいましょうか、方向になるわけでありますが、実際にその間の議論、それからまた、廃止に実際に至った場合の現実の県民負担を考えますと、廃止の場合との比較において、新たな赤字を出さない継続という方法があり、かつ県民負担が最小になる、こういった、大変狭い道でありますが、現実にその2点を満たすことができる場合に限って存続をお認めいただけるのではないか、こういう考え方で今回の計画を取りまとめたということでございます。
 先ほど、他の委員からも、そういった考え方が十分に県民に伝わっていないという御指摘もいただきました。いきなり372億円との関係で330億円をおどかしのような形でぽんと出したのではないか、こういう厳しい御指摘かと思うわけでございますが、先般、他の市長さん、あるいは個別に市町村長さん方にお会いしても、こちらの方からもさまざまな資料を個別にお送りしておりますので、ようやっと最近理解が深まってきたといいましょうか、御理解をいただきつつあると思っております。当初の立ち上げの段階では、競馬を続けることが大きな負担につながる、あるいは県の貯金の取り崩しでさまざまな面での備えが危うくなるというようなことをお考えの方もおられましたので、できるだけその誤解は解いていただけるように御説明をしているつもりでございますけれども、なお今後もそうしたことを御説明していかなければならない、このように考えております。
〇佐々木大和委員 今のお話のとおり、廃止したときの372億円の負担と330億円の比較で一気にそこに入ってきたわけでございまして、要するに、県議会の方で見ますと、これは選択の余地がなくて、継続にはもうそれしかないということでありますけれども、実際に我々は一遍にそこに飛んだような印象を受けまして、現実的には、競馬組合の方でもっと方法論が議論されてよかったのではないか、そういう余地がまだあるのではないか、そんな期待感を私は持ちながらこれを見てきているわけです。実際に今回の提案の中で、もしこれが財政上の影響を最小限にしての競馬の存続が可能な方法論というのであれば、ぜひ検討すべきものだと思って見ているわけでございます。
 現実にもう最後のところに来まして、実際赤字を出さないスキームができ上がったと言いますけれども、現実に、先ほど申し上げました売り上げの流れからいきますと、前に伸びるという数字は、これを見ていっても、平成12年ぐらいが500億円を切って482億円になって、その後430億円に一遍下がりますが、456億円、442億円というところもありますが、1回しか上がっていません。現実に今の岩手県の経済情勢を考えながら、これが伸びる、そしてまた、競馬の状況で、先ほど来質問がありますように、競馬の売り上げが伸びていくんだという発想、これができるという感じはなかなか持てないんですけれども、そういう中で、要するに縮小しながら軟着陸させていくといいますか、そういう方法論がもっと前面に出た示し方でなければなかなか我々も理解しにくいということで今思っているわけです。選択がもうない、融資一本だということで、今後の考え方について、最小限の財政的支援でこれが継続できる方法というのは知事は考えられないんでしょうか。
〇増田知事 今の御質問について、二つの点からお答え申し上げたい。
 今回、存廃のルールをつくって、関係者の中で協議をするということは、先ほど少し申し上げましたけれども、全く今の構造をそのままにして、さまざまな委託経費でありますとか人件費といったコスト、単価だけを切り詰めるということは恐らくすぐに限界が来てしまうであろうということでありまして、実際に、レース数の規模ですとか馬の頭数などにいろいろな工夫をしていかなければならない。まさにコンパクトな競馬をその間みんなで知恵を出して持っていくということを行わなければいけない。そういうことを行うことにつなげていくためのルールというふうに実は考えております。その中で、コストないしは馬の数を減らすということで、あるいは映像等のさまざまな関係でどうしても参加できないという人には、やっぱりその人たちとは別の参加できる人たちになるなり、あるいは、ずっと競馬に携わっていこうという人たちだけでの関係で、できるだけコンパクトにしていくということを行うのが今回のルールでありますので、そういう仕組みを取り入れた。今お話しになりましたように、売り上げを伸ばしたり、あるいは現状維持することが大変難しい中で、かつてのような計画の考え方はとらないということが一つでございます。
 それからもう一つ、それにしても330億円という大変大きな額になるわけでありますので、もう少しその内訳をよく分析して、何かそこを減らす工夫がないのか、こういうことかと思うわけでございますが、その関係につきましては、330億円のうち、平成19年度以降─来年度以降に返済期限の到来する111億円を何か別処理ができるかどうか、一つの考え方はこういうことであろうと。私どもも、219億円、正確には、公営公庫の補償金もありますので、215億円なりを別処理をして、そして、この111億円についてはまた他の対応が考えられないかということも検討いたしましたが、しかし、実際にそれを19年度以降の返済という形で決められた期間の形で返していくということになりますと、実際に19年度の事業を始めますと、別に毎年度18億円ほどの多額の赤字補てんを現実に続けながら一方でレースを続けるということで、これではやはり県民の理解を得られないであろう。それからまた、金利だけでもかなりの分県民負担がふえることになりまして、それは、お約束をしております、本来は廃止でありますが、しかし、新たな赤字を出さない継続、そして、県民負担が最小という、今回、極めて狭い範囲の中で継続を考えたそのルールに反することになりますので、結論として申し上げますと、この330億円以外の考え方は私どもは持ち合わせていない。これが認められないとそのルールが崩れますので、競馬事業についてはこの段階で廃止をする、そういうことに持っていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木博委員 この競馬問題については増田知事とも何度か議論させていただきましたけれども、改めて何点か伺いたいと思います。
 まず、この計画ですね、正直申し上げまして、県民の間では非常に評判がよろしくない。いろいろ理由はあるかと思いますけれども、まず一つは、だれも今までの経営についての明確な責任をとっていないことがやはり何だということになっているのではないかと思うんです。これは平成11年からですか、要するに赤字になって繰り上げ充用を始めて、再々お話が出ていますけれども、本来であれば構成団体に分賦して毎年毎年処理すべきであったし、それさえやっておけばこんなことには多分ならなかっただろう、県民の皆さんもそういうふうに思っているわけですよ。それをずっと放置してきた責任があるんじゃないか。それが何で今急に330億円も税金を出さなければいけないんだ、これがやっぱり県民の一つの思いだと私は思います。
 ここに平成17年2月の議会での議事録がありますけれども、知事は、責任を問われますと、この時点では─あのときは岩手競馬改訂実行計画ですね─これを確実にやり遂げることが最高の責任のとり方だとおっしゃいました。今回は、新しい岩手県競馬組合改革計画を達成することが責任をとることだとおっしゃっていますけれども、正直言いまして、いずれ任期でおやめになるわけですから、もしこれが通ったとしてもこの改革計画の達成の責任は次の知事ですよね。やっぱり県民が求めているのは、経営者として結果責任をどうとるかということだろうと思います。そういった点では、そこに一つの批判があると私は考えているわけですが、改めてこのことについての知事の御所見をまずお伺いしたいと思います。
〇増田知事 新しい計画の道筋をまず示すことが私の責任であると申し上げております趣旨は、今まさに御指摘いただきましたとおり、私の管理者としての任期が間もなく迫っている中で、その道筋を示さないまま退任をするわけにはいかなくて、いずれは何かの形で時期が来るわけですけれども、好調な競馬事業であればそれほど大きな問題はなく、その傾向で今後もやっていけばいいということでありますが、今こういう大きな事態に至っていますので、いずれにしても大きな判断をそこで示さなければいけない、そういうことで、そのことを申し上げたわけであります。
 その上で、そのままで退任をするということでは、お話しのとおり責任を果たしたことにはならないわけでありまして、私もそういった中で、これまでの結果が出てきている部分、すなわち平成12年の繰り上げ充用の部分、それから、その後つくりました計画が現実に十分な成果を上げていない、先ほど小原委員のときにも申し上げましたけれども、これは管理者としての大きな責任と感じておりますので、まず大きな方向の道筋をつけた上で、その部分についての責任を明確化して、その上で職を退きたい、このように考えているところであります。
〇佐々木博委員 先ほど、知事自身が、本来ならば廃止なんだと、しかしながら、この330億円の融資によって継続させたいとおっしゃいましたけれども、2年前の同じ議事録ですけれども、仮に計画が実行段階でとんざした場合には云々という議事録がございます。はっきり言えば、非常に厳しい決断をしなければならない、その場合には廃止しなければいけないということだったと我々はそのときの知事の答弁を解釈しているわけでありますけれども、今回、そうじゃないものが出てまいりました。
 私は、継続するか廃止するかのキーポイント、メルクマールは、どっちが県民負担がふえるかどうかの問題だと思っているんですね。ですから、継続して本当に県民負担が少なく済むのであれば、それも一つの選択肢かもしれません。ただ、公営ギャンブルについて言えば、競馬だけじゃないですよ、競艇でも何でもそうですけれども、物すごく売り上げが下がってきているんですね。そして、これに歯どめがかかるかどうかわからない。ある識者に言わせれば、もう使命を果たしたと、ますます売り上げが下がるだろうと。
 存廃の基準を定めたと言いますけれども、存廃の基準なんて民間企業はどこも定めているんですよ。民間企業は、売り上げが達しなかったらどうやって経費を削減して黒字にするか、いつも存廃の基準を定めてやっていて、存廃の基準を定めて事業をやるなんていうのは当たり前の話なんですよ。存廃の基準を定めたから赤字が出ないなんておっしゃっていますけれども、決してそんなことはないですよ。売り上げが本当に極端に狂ってきたならば、とてもじゃないですけれども、競馬組合運営協議会で調整することは不可能になってしまいます。そして、残念ながら、今の公営ギャンブル、競馬も含めてですけれども、多分皆さんが想定していた以上に下がってきていると思います。私らも思っている以上に、はっきり言えば売り上げが下がってきているわけです。
 ですから私は、継続することによって、いかに存廃の基準を定めても、あるいは1年や2年はもつかもしれませんが、いずれ将来、県民の負担をさらにふやすことになりはしないか、そのことを非常に危惧しているわけでありますけれども、いかがでしょうか。
〇増田知事 まず、競馬事業でありますけれども、1年、2年の間に廃止するというよりも、私自身は、もちろんもっと今回の新計画に基づいて事業を継続できると思って御提案申し上げているわけでありますが、仮に、今、委員が御指摘なさったように、本当に急激な、私どもとしますと本当に予想外な形で売り上げが下降線を毎年毎年たどっていく。初めは、1年はそのことでコストを吸収できても、2年目はどうしてもだめだ、こういうことになるという御心配だろうと思うんですけれども、しかし、余りそういうことは思いたくないんですが、仮にそうなったとしても、今から関係者が集まって、当然コンパクトな競馬をそこでさまざま相談をしていく過程の中で、いきなり廃止することによる混乱よりも、その間にさまざまな対応策を考えられる時間も出てきて、赤字が出ればその時点で廃止ですから、全体の事業としては今以上に赤字がふえることはないということであります。
 売り上げについての御議論もさまざまございましたけれども、そこについては十分こちらも見ているつもりではありますが、先ほど渡辺委員からも御指摘ございましたけれども、それだけのまさに関係者の一致団結した努力が求められるものでありますので、その売り上げを必達目標として、私も、実は毎年スタートの時点でこういった売り上げ目標を達成しようということで呼びかけをしているわけであります。ことしはまだ予算をお認めいただいてないので299億円の売り上げについて職員の皆さん方に呼びかけをしておりませんけれども、予算をお認めいただければ、直ちにそれをするつもりにしてございます。そういう形で、関係者間に一方でまたそのルールなどについてもお話をして今後の事業継続につなげていきたい。それは決して県民負担をふやすことにはつながらないと考えているわけでございます。
〇佐々木博委員 残念ながら、今までの競馬組合の対応を見ていると、私は赤字がますますふえると思います。というのは、余りにもスピードがなさ過ぎるんですよ。例えば、この平成17年度の議論をしたときだって、売り上げが過大だと多くの議員が指摘しました。それから18年度、予算委員会の附帯決議で、18年度を競馬再生の最後の機会ととらえろ、少なくとも第1四半期ぐらいまでには新しい計画を提出して、幾らでもそごがないような計画で頑張れと、そういった附帯意見がついた。だけど、全然第1四半期なんかでは何も出てこなかったじゃないですか。余りにもスピードが遅過ぎる。ですから私は、残念ながら、それがこれから急激に改善していくとはとても思えないんですね。そこがまず一つの非常に危惧するところであります。
 それからもう一つは、今度のスキーム、返済の計画がないわけですよ。例えば、1億円返済するためには3億円の純益を上げて初めて1億円が返済になる。それで330年もかかるような、そんな計画なわけですけれども、競馬が確かに407億円、県と盛岡と奥州市に収益を分配してきたとはいっても、それの恩恵をこうむってきたのは我々の世代であって、300年先の世代なんかツケだけ払わされて、恩恵なんかこうむってませんよ。ですから、余りにもこのスキームでは、それも順調にいったって330年ですから、途中でこの計画は返済不可能ということになるんだろうと私自身は思っていますけれども、いずれこんな長期間のスキームというのはやっぱりおかしいと思います。
 さっき知事は、短期は金利が高いとおっしゃいましたけれども、基本的に短期の方が金利は安いんですよ。長期の方が金利は高い、借り入れは。そこはちょっと間違っています。
 いずれ、借りかえは不安だとおっしゃいましたけれども、その不安を払拭して、トップにはやっぱりこれはやってもらわなければいけない、そういった事案だと私自身は強く思っています。借りかえでも何でも、できるだけ基金なんかに手をつけないで、そんなに長い期間ではなく処理をするスキームというものでなければ私は県民の理解は得られないと思っているわけですが、いかがでしょうか。
〇増田知事 今、組合としてのスピード感がないといったこと、あるいは計画について早急に出さなかったことについて幾つか御指摘をいただきました。これは、最終的には管理者がそういった対応をきちっと、組合の職員も含めてとれなかったということでありますので、その批判は甘んじて受けつつ、そういったことのない組合にしていかなければならないと改めて思っていたところでございます。
 それから、短期の借りかえであっても、それを実現するようにやはり努力すべきというお話、金融機関との関係についてのお話でございましたけれども、金融機関が民間企業に対してお金をお貸しするとき、これはもう大変厳重な審査を経て金を貸すことになるわけでありますが、それと全く同じような金融機関の貸し手責任をこの問題に問い続けるのはやはり難しい。それはベースの、公共団体相手の金融機関の貸し付け等については破産法等の適用もございませんので、そういった貸し手責任を同じような形で金融機関に求めるのはやはり難しいと考えております。
 したがって、その関係から債務の減免等の話もやっぱり難しいわけでありますし、また、やはり公共団体、一部事務組合であり、あるいは、場合によっては構成団体自体が短期の資金を借りて組合の方に渡したらどうか、こういう議論もあるかもしれませんけれども、構成団体としては、手元にさまざまな基金等がない場合にはそうした対応をとらざるを得ない場合も想定されますが、県としては一方で基金等を持っておりますので、そういう短期の資金を借りるという、構成団体との間でまさに相対の形でやるということではなくて、今申し上げましたとおりその分金利等の負担も生ずることになりますので、そうではない形でこれは対応していきたい、こういうことでございます。
〇佐々木博委員 最後の質問とさせていただきますけれども、私が申し上げたのは、競馬組合が金を借りろということではなくて、構成団体が借りろということです。競馬組合には貸さないと思いますから。
 どっちみち繰り上げ充用している分は本来であれば分賦しなければいけないものですから、構成団体はやはり責任があるんだと思うんです。今、知事は、県は基金があるから、したがって余裕があるから借り入れできないと言いましたけれども、盛岡と奥州市は、例えば全額分賦させたら余裕なんかなくなっちゃうんじゃないですか。
 それで、ちょっとお伺いしたいわけでありますが、今回もし融資が認められたとすると、平成18年度の決算の繰り上げ充用額は幾らくらいになりますか。かなり多額になって、私は、競馬の売り上げを超すぐらいの繰り上げ充用になるんじゃないかと思うが、いかがですか。そうなりますと、それこそ決算書としては異常な形だ。そのことについて教えていただきたいと思います。
〇川窪総務部長 今の御指摘で、当面、年度末に払わねばならない178億円を仮に分賦割合で分賦したといたしまして、その場合、まず、市の方でございますが、奥州市の方に45億円という数字がございますが、もともと今回の融資スキームで330億円を競馬組合に貸す際に、当面、奥州市が自前で準備できるお金を15億円とセットして、それで足らざる分を県から貸そうという案にしておりましたので、恐らくその15億円は、仮に分賦になっても、その分賦用に充てることは可能だろうと考えております。したがいまして、45億円からその15億円を引きますと30億円がございます。それから、37億円の構成団体融資が返ってこなくなるというのがございますので、それによる歳入欠陥5億円が市に生ずると思います。したがいまして、合わせて、奥州市の例でいけば、35億円のいわば決算上の赤字、それの処分としては繰り上げ充用ということが、その他の基金等を使う、使わないということを抜きにして考えれば予想されるということでございまして、その他の基金等を崩せば、またその分だけ減っていくこともあり得るという見込みを予想しているところでございます。
〇宮農林水産企画室特命参事 競馬組合の繰り上げ充用額につきましては、構成団体融資の額そのものでございまして、330億円が繰り上げ充用の額になるものでございます。
〇佐々木博委員 そのままそれが繰り上げ充用になるわけですね。そうすると、売り上げ以上の繰り上げ充用ということになりますね。売り上げの予想見込み以上の。やっぱりこれは、バランスシートとして、決算書としてはいかにもいびつではないですか。全額と言わなくても、やっぱり構成団体がある程度分賦して、責任を持つことが私は必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 これで質問を終わります。
〇増田知事 そこのところは、今の佐々木委員の御質問の一連の過程の中で、本当の意味で県民負担が少なくなるかどうかが今回の事業の存否を考える際の基準であるということでありますので、こういう大議論の末にいろいろ御指摘をいただく部分があろうかと思いますけれども、私どもは、330億円で一度さまざまな借りているお金を整理することが県民負担の最小化につながると考えておりますので、そこでぜひ御判断をいただきたい、このように考えております。
〇高橋比奈子委員 私の方では、融資を通した後の見通しと、否決された場合、構成団体がどうなるのかという観点から2点伺いたいと思います。
 知事は、赤字なき継続をとおっしゃっておりますが、パチンコ規則改正とか競馬法の改正などが岩手競馬存続に与える今後の可能性をどういうふうに考えているのか。
 なぜこういう話をするかというと、パチンコの規則改正が行われていまして、平成19年7月から、ばくち性を抑えた業界にしていきたいということで、出る玉が少なくなり、パチンコ業界やメーカー、それから警察などが協力し合う方向で。このパチンコの話を出したのは、1年間の国民のギャンブルに使う総額は全然減ってないんですね。そして、競馬だけががっくり減って、パチンコはウナギ登りに登っている。私は、これとあわせて競馬法の改正があることによって、岩手競馬を取り巻く環境が若干ですが変わってくるのではないかと思うんです。存廃のスキームを決めていると話していらっしゃいますので、融資をしてもらった後、存続の可能性をどういうふうに見ているのかをまず知事に伺いたい。
 あわせて、今後、知事は、岩手競馬再生に向けて、融資が通った後、どのようなお力添えを考えていらっしゃるのかをお知らせいただきたいと思います。
〇増田知事 まず、パチンコは、数字が若干あやふやかもしれませんが、今、年間恐らく30兆円ぐらいを売り上げているのではないかと思います。しかも、今まさに委員がお話しのとおり、全体のギャンブルの中に占める割合が高くなっておりまして、こういった中でも、ちょっと前調べたときはたしか29兆円ぐらいでございましたので、なおふえていると。その背景は、非常に射幸心をあおるようなさまざまなパチンコの、私も余り詳しくはわかりませんけれども、そういうものが中に取り入れられて、しかも大変身近であるがゆえにそういった状況にある。そこをまた逆に憂慮して今お話のあったような規則改正等が行われて、射幸心を抑えるような形にして、より健全といいましょうか、社会になじみやすい形にすることだと聞いております。
 逆に言いますと、射幸心をあおるような形になるがゆえに、そこと比例して売り上げが伸びてきたということを以前識者が言っておりまして、今の規則改正は、実は業界にとってはなかなか大変な状況もあるようでございますけれども、そういう意味では全体の売り上げを抑える方向に働いていくと考えております。
 それから、競馬法の改正でございますが、これについては、すぐに直接的に岩手競馬の今抱えております既存債務の解消につながるものにはなりませんけれども、今、委員御指摘の、今後の売り上げをふやしていくということで環境整備する上では、それに沿う方向に全体の競馬法を改正するというふうにお伺いしております。地方競馬主催者間で日程等をいろいろ調整をして、多くのファンが全国にある地方競馬をさまざま利用して楽しめるようなことだと聞いておりますので、今の二つのこといずれをあわせましても、先ほど来御指摘をいただいております売り上げについては、環境としてはいい方向に働いていく。ただし、それを数字としてこの将来の計画の中に盛り込むわけにはいきませんので、それは大きな環境変化として受けとめつつ、今後考えていきたいと思います。
 それから、もう一つの、この融資が通り、仮に競馬の再生を進めていく上で、私がどういう形で今後これに貢献をしていくのかというお話でございました。当然管理者としての立場は離れるわけでありますけれども、競馬については、今までこうした事態を生じさせたという意味で大きな責任を感じておりますので、そういういろいろな負の経験をしている直接的な当事者として、やはりしっかりとしたものを言っていかなければならない。いろいろな反省を踏まえた上で、しかし、地域に大変根づいているこういった競馬事業、特に岩手競馬が将来プラスに向かう方向でものを言っていかなければならない、そのために、微力ではありますが全力を尽くしていきたいと考えております。
〇高橋比奈子委員 先ほど小原宣良委員に、何らかの形で給与などきちんとした対応とかもおっしゃっておりましたので、それを含めて、具体的にお力添えをぜひ今後もお願いしたいと思います。例えば先ほどの中で、給与などでもきちんとした対応をしていきたいというようなことをおっしゃっていましたけれども、もし今、具体的にこんなことをしたいというお考えがあればお示しいただきたい。
 それからもう1点、けさの朝刊に、愛馬の会の「競馬でつくった借金は競馬で返すという気力と原則だけは貫いてほしいものです。ピンチは最大のチャンスとも言われています。私たちは願っています、岩手競馬の再生を」という意見広告がありました。競馬の再生を願っている人たちもいっぱいいらっしゃると思いますし、それから、身体を壊してまでも頑張って何とかしようとした職員や内部の方々の思いとか、それから、奥州市の小学生に一生懸命やりますと知事がおっしゃったという報道なども拝見しております。この赤字は知事だけの責任だと思っている人はだれもいないということが先ほどもありましたけれども、私は知事に、岩手に根づく結いの精神を大切にした知事だからこそ最終的にいろいろな面で応援をしていただきたいということと、この岩手競馬の再生を願っている人々の思いをどのように受けとめていらっしゃるかという点、あわせて、もしも融資が行われなかった場合は廃止に向かうと先ほど知事はおっしゃいましたけれども、そうなった場合の盛岡市と奥州市の財政状況と市民生活はどのように予想されるのかという点をお知らせいただきたいと思います。
〇増田知事 大きく今の御質問は3点かと思います。
 まず1点目は、私が申し上げました具体的な責任のとり方を給与等で反映させたいということですが、今の段階で具体的に考えていることはあるんですが、そちらの方が先行しますと……。本来であれば、やはりこの枠組み・スキームをきちっと決めた上でそういった御議論をまたしていただきたいと思いますので、この会期中にはきちっと当然明らかにいたしますが、私としてきちんとした責任をとりたい、こういうことでございます。
 それから、2点目、再生に向けてですが、私自身が最大限の協力をまた一ファンとしてもしていかなければならないと思いますが、特に深刻に思いましたのは、今、委員の方からもお話がございました、岩手競馬に関係している方の御家族の方、お嬢さんなどの切実な声を県庁でもお聞きしましたし、そのほかでもお聞きしております。そうした皆さん方のまさに生活そのものを一瞬にして奪ってはいけない、こういう思いもございます。しかし一方で、私の不十分な管理・運営によって大勢の皆様方に御心配をおかけしている、あるいはまた、今回のような多くの税金を使った融資をお願いしていることを心苦しく思っておりますが、なおさらにその上で、御関係の皆様方に決してこれ以上の迷惑をかけないような対処をとっていきたいと思っております。
 3点目でございますが、盛岡市あるいは奥州市が仮に廃止になった場合どうかということでございますけれども、これは、両構成団体に対しては、廃止になりますと当然分賦ということになりまして、先ほど数字は具体的に申し上げましたけれども、多くの財政負担が生じます。しかし、これについては、分賦ということでありますので、それぞれの団体にとりましての確定した債務になりますので、それぞれの財政事情もおありかと思いますが、それぞれの中で処理をしていただくということでございます。
 さらに突っ込んで申し上げますと、これは仮にの話でありますが、そういった団体が再建法に基づく財政再建団体に指定されることになれば、恐らく再建計画をつくると思います。その再建計画ができ上がってくる中で、県が一定の支援をすることは、その段階では出てくるかもしれません。今回の夕張市において、北海道がさまざまな議論の末に、再建計画、そして市民に多くの負担を求めた上で道に支援を求めて、それに道が対応したということは今後あるかもしれませんけれども、しかし、そういった段階に至らない段階、この委員会でもいろいろ例も出ていたようですけれども、県内でも他に財政が大変きつい地方団体が多くございます。私のところにも、藤沢町等、いろいろな町長さん方もお見えになっていますが、しかし、そういったものについては、それは基本的には、大変そこにお住みの皆さん方に対しまして心苦しいわけでありますけれども、それぞれの地方団体の財政の中で処理していただかなければならない。県としては、それについて融資等を行うことはないということでございます。
〇高橋比奈子委員 今、それぞれの中でというお話でしたけれども、管理者としては、融資のスキームを出してきたということは、基金の中でこれしか用意できないという話も先ほど総務部長からありましたけれども、例えば15億円用意できるということを奥州が言っているとか、というような段階で、やはり話し合いがあって、用意できないから融資の方向が考えられたというふうに私は思うわけです。ですからその中で、融資をもしも否決された場合、盛岡市は、私は一部では、そのための資金は銀行は貸さないという情報もいただいています。ということは、大変なことになると。もし銀行が貸さないということになった場合、盛岡市は、市民は一体どうなるんでしょうか。どういうことが予想されるのかをぜひお知らせいただきたい。
 その中で、もしおわかりであれば、盛岡で倒産を予想されるのは一体何社ぐらい、何人ぐらいがいつから職を失うんだろうか、こういうところまで調べていらっしゃるのであればお示しいただきたいと思います。
〇増田知事 仮にの話でございますが、私は知事の立場で県内の市町村財政を見ている中では、奥州市が盛岡市以上に大変な状況になるであろうと考えているわけであります。しかし、大変そこにお住みになっている皆様方に対して私もこういうことを申し上げるのは断腸の思いではありますが、盛岡市あるいは奥州市は、今まで奥州市についてもたしか100億円を超える利益金の配分を受けてきた経緯がございますので、そういったところに県としてお金をお貸しすることは、そういう判断はできないと考えているものでございます。ここは、またいろいろ御意見、御議論はあろうかと思いますけれども、私は、知事の責任として、他の構成団体もございますし、県全体を見まして、やはりお貸しすることは選択肢としてはとれない、こういうふうに思います。
 なおその上で、それぞれの団体でどういうことが生ずるのか、ここは、我々の方で具体的に試算したものを正直持ち合わせているわけではございません。また、両市長さんとよく御相談をさせていただきつつ、そういった基本的な財政のルールは外さない中で今後の最善の対応策を考えていかなければならないと思っております。
〇高橋比奈子委員 今、お貸しできないというお話がありましたけれども、盛岡市と奥州市に競馬場があった、そして、そこで競馬を運営したということで、県にこれまで分賦金がありました。それは市町村に行っていると思うんですね、いろいろなところで。さまざまなところを通じて行っているはずで、今回、競馬がもし廃止された、融資が通らないという場合に、盛岡と奥州だけが用意しなければいけないというのは、盛岡の市民としては納得がいかない。やはり、ここはきちんと、(発言する者あり)さまざまな意見があるとは思いますが、私は、盛岡の市民として、ここだけの問題ではないと。競馬は県全体の問題なので、やはり分賦はそこで考えろということではなく、きちんとした相談に乗っていただきたい、こういうことがなければ、これまでの経緯の中でいろいろな問題を抱えてきたということが本当に解決できないと思うんですね。ですから、いろいろな方の思いはあると思うんですが、万が一廃止になって、そして盛岡と奥州が困ったときには手を差し伸べていただきたいという要望をお伝えしておきます。
〇工藤大輔委員 この競馬に関して、私も平成15年から、例えば農林水産委員会の審議に加わってやってきました。当時の印象からすれば、競馬組合というのはどういったところかと。伏魔殿という言葉を使いながら説明した方が一部あったわけですが、まさにそういったイメージを持っていました。その後、競馬組合議会へ競馬組合議員として出してもらいながら、競馬議会の場でさまざま質疑等をしてきた中で、伏魔殿とは言いませんが、過去はもっとひどかったのかなという思いが出るような中身のものは実際あったと思います。しかしながら、今日の競馬議会の中身を見れば、私が競馬組合議員へ派遣された当時と比べると明らかにその体質は変わってきたという認識を持っています。
 ただ、知事も、これまで新しい計画等を組んでいく中、そして、そういったことを進めていく中で、県議会や、また、競馬組合に対して耳を傾ける努力が十分であったかどうかを思うとき、私は、もう少し早くもっと議会側に耳を傾けていればここまで大きくならなかったのではないか、あるいはもっと早く対応がとれたんじゃないのかという思いを持っています。そういったことからすれば、知事の責任というのは本当に大きいものがあると認識しておるわけですけれども、これまで競馬事業を進めるに当たって、県は主導的な役割を果たしてきたと思いますが、盛岡、奥州市の構成団体と比較してどのぐらいの割合の主導的役割を担ってきたか、また、果たしてきたかという認識についてお伺いします。
〇増田知事 まず、知事として、あるいは管理者として、両議会、構成団体議会、それから競馬議会それぞれの意見等に十分耳を傾ける努力が足りなかったのではないか、これは、まさに御指摘をいただいたとおりであろうと私も思うところでありまして、それがまた私の責任にもつながってくるだろうと思います。
 それから、組合運営に対しての県の主導的な立場ということでございますが、競馬の具体的な事業運営計画については、常勤の副管理者が内部で職員と話をしつつ、さまざまな計画を立てる、こういうやり方をずっと長くとってまいりました。県のOBがその常勤の副管理者の座に座る、こういったことが長く続いてきたわけでございまして、また、分賦割合にもあらわれるがごとく、県が全体の中で大きな比重を占めておりますので、全体の運営等については、やはり県が大きな役割を果たしてきた。具体的な数字でどうかということはなかなか申し上げられませんけれども、局面、局面において、県が競馬の運営について主導的な役割を果たしてきた、こういう御指摘は、まさに結果から見てもそのとおりかと考えております。
〇工藤大輔委員 その主導的役割の中身、数字でははかれないということでございますが、私は、構成団体の比率以上に県が果たしてきた役割が大きかったのではないのかと思うんです。以前はどうだったかよくわかりませんが、現在のところ、例えば改訂実行計画を作成するに当たっても、競馬組合側の関係者も入ったでしょうけれども、県から派遣された人間が中心的になってつくっていったということ、そして、それを両市に認めさせてきたという事実もあろうと思います。そしてまた、たび重なりその計画がとんざする中で、また次の計画、次の計画といった際には、やはりまた県がその主導的役割を果たして計画を組んでいった。そして、最後の方になって、初めて盛岡市や奥州市から職員が派遣される形となって計画づくりに当たってきた、それが最後の今回の計画にかかわった人たちじゃないのかという思いを持っています。
 そういった中で、先ほど奥州市、また、盛岡市、例えば財政運営が厳しくなるという答弁もあったわけでございますが、そういった中で、財政再建団体になる可能性ということについても言及されました。例えば、先ほど夕張市への北海道庁の支援ということを知事は説明をされましたが、今回の支援というのは、私は夕張市とはわけが違うと思うんです。自治体独自で進めていった中身において財政が悪化したものと、県が大きく絡んで主導的役割を果たして、その構成団体が財政の危機を迎えることになる場合、私は、夕張と今回の盛岡、奥州の中身は違うだろうと思うんです。そういった場合において、私は、起こってから支援をするということではなくて、やはり県が大きくかかわって主導的役割を果たしたのであれば、未然に防ぐ方策を当然とる、そのことについて理解を得るのが知事の最大の使命だということはまさにそのとおりですが、いまだ理解が十分にされていない現状でもあります。そうだとしても、私は、議会側にしても今日まで共同で進めてきた責任もあるという観点から見れば、そういった財政危機を迎える自治体が発生するとすれば、それを回避する、みんなで協力し合ってこの急場を乗り切る必要があるのではないかと思いますが、知事の所見をお伺いします。
〇増田知事 今、委員の方からお話をいただいた思いと非常に共有する思いが私もございます。そして、その上で、この競馬事業あるいは競馬組合が解散をする前に未然に対応をとるということで、両市に対し、先ほど言いましたような財政再建団体に陥ることなく、両市の財政運営に、一般市民の生活に影響が出ないような形で事業を継続できないかということで今回組み立てましたのがこの計画でございますし、また、未然防止という関係で、構成団体の融資もその上でぜひ御理解をいただきたいと考えているものでございます。
〇工藤大輔委員 私は、知事の責任のとり方という中で、先ほど来報酬の何%カット等という話がありましたが、これは知事がみずから決めることですから、それについてどうこう言いませんが、いずれ理解がされる時期に、また、される内容をしっかりと示さなければ、私はここまでの結果責任というのははかり知れないものがあると思いますので、やはりそれに見合うものを議会に提案していただきたいと思います。
 また、今回のこの融資案の中、なかなか理解が難しいというのは、先ほど佐々木博委員からも指摘されているとおり、さらなる赤字が出るかどうか、計画が達成可能かどうかというところがやはり大きな課題であると思います。そして、予算総括の場でも申し上げましたが、なかなか理解を求められないというのは、やはり赤字が出るんじゃないかという思いがある。計画がこのとおり実行されないんじゃないかという疑念がある。そういったところを払拭しなければならない。ただ、これからのタイムスケジュールから見れば新しい提案というのはないと思いますし、また、今の考えしかないという知事の考え方からしても、それが理解されない要因だとすれば、やはり、仮に赤字が出た場合にはこのように処理をしますという次善のものを提示する必要があるのではないかと思うんです。3、000万円赤字が発生したら、運営協議会の場でこのような処理をすることが決まっています。そうなったら、そういった処理方法をとり、すぐにさよなら岩手競馬をやりますとか、何らかの、例えば次をしっかり見据えたものを提示しなければ、存廃の基準を決めたから赤字が発生しないんだということには私もなかなかならないという思いを持っています。ですから、そういったものをやはり一つ一つ準備をし、提示される必要があると思いますが、それに向かって、例えばどのような解決策、また、理解の求め方をするのか、改めてお伺いします。
〇増田知事 存廃のルールを含めたこういう計画の考え方が融資も含めて御理解をいただきましたら、すぐに関係者を集めて、そして協議会の具体的な運営についてその中で相談をしていきたいと思いますし、それから、関係者の間でどういうルールをつくるのかについても、関係者の皆さん方の中で考えていただきたい。これは、ケースによって多少時間がかかる部分もあるかもしれませんけれども、基本的には、まず、自助努力でできるところからそれを吸収していくのが従来の原則だと思いますけれども、その上で、最終的には、先ほど申し上げましたように、多少競馬自体の魅力を損なうことにつながりかねないという危険性はございますが、馬の数なり、レース数を調整するところまで含めて、今後のやり方を大まかに考えておくということは、今、委員がお話しになりましたように、実際に2、000万とか何か数字が出てきてから慌てふためいてばたばた考えるということはタイミングを失してしまうので、今の御指摘は大変重要な御指摘だと思います。
 そのことを前提に、早速、中でそういった基本的な考え方の整理に取り組んでいきたいと思います。
〇新居田弘文委員 いろいろ融資の問題で議論されて、それぞれ質疑があったところでございますが、今回の融資スキームによって、いろいろ存続の基準に基づいて継続可能として、構成団体や県民、市民の負担を最小限にするという中で、構成団体にとっても赤字再建等にならないようなスキームを提案しているわけでございます。もし仮にこの案が否決されますと、その結果、構成団体や、その市民、県民にさらなる負担をもたらす。そして、約2、500人、あるいは直接的には1、800人ぐらいと言われておりますが、雇用問題が大きく発生いたしますし、その関係、家族あるいは地域経済に多大な影響を招く結果になるということで、二つの選択肢が今迫られておりまして、私もいろいろ悩み、検討しているわけでございますが、構成団体あるいはその市民等の立場を考えますと、過去のいろいろな問題は先ほど来いろいろお話がありますが、結果的には、二者択一の中では、融資条件を、今回のスキームを可とするという立場で質問をいたします。
 先ほど来過去の議事録等も提示されて御質問がありましたが、私もちょっと触れたいと思うんですが、まず、そもそもこうした膨大な借入金を抱え、今日的課題をもたらしたその要因というのは、私は、新しい競馬場、いわゆる通称オーロパークの建設に至る状況、経過からしても、そうではなかったかなと思っておりまして、当時の組合議会の議事録を拝見いたしました。当初の都南地区にトレーニングセンター構想が新しい盛岡競馬場に変わり、あるいは、昭和63年には、競馬振興公社を事業主体として、237億円の工事費として債務負担議決がされております。しかし、その後、事業主体が競馬組合にかわって、工事費も2回ほどの変更によりまして、当初の237億円の工事費が410億円に変わったということで、当初の1.7倍強の増額となっております。そもそもここに大きな問題があるのではないかと、私はまず指摘をいたします。
 2回目の増額をしたその際の議事録を拝見しますと、これは、平成4年3月の第107回定例議会での質疑の一部を御紹介したいと思うのですが、ある市の選出議員は、この増額に対して、これほど大きな借り入れをして、将来の返済の見通しがあるのか、あるいは売り上げの見通しが本当に大丈夫か、むしろ甘い見通しではなかったかと、そのような御指摘もしておりますし、将来のこの責任をだれがとるのかというような指摘もしております。それに対して、当時の管理者、工藤知事は、御質問の趣旨はもっともですと。この組合の問題とか、今後の財政の問題はすべて管理者が負うものですというような答弁を実はされております。加えまして、副管理者からは、財政の見通しとして、平成4年度以降の売り上げを大体650億円程度と見込んで、しかも、盛岡の旧競馬場跡地の処分金を財源として見ておりますという趣旨の答弁がありまして、いろいろ質疑があったところでございますが、最終的に賛成多数で原案が可決になったということの記録がございます。
 そこで知事に伺いますが、この質疑の中で当時の管理者が、今後の財政の問題はすべて管理者が全責任を負いますという答弁をしておりますが、その後引き継いだ管理者、知事として、この意味をどのようにとらえているかということが一つと、売り上げ目標に非常に甘さがあったのではないかという指摘についての思い、それから、知事は平成7年から12年間にわたって管理者の責任にあるわけですが、管理者責任としての責任のとらえ方、先ほど小原委員からもいろいろ質問もありましたけれども、ちょっと重なるかと思いますが、その辺についての御認識、お考えを伺いたいと思います。
〇増田知事 オーロパークの建設については、当時さまざまな議論があって、その上で、場所についても、建設費についても手続を経て決められたということをお聞きしております。私も、そのあたりについては以前調べたことがございましたけれども、今、委員の方から御指摘をいただきましたようなやりとりも含めて、あるいは当時の方々が先見の明を持っていろいろ危惧をしていた事態もあったのだろうと思うわけでありますが、既に現実に多くのものができ上がり、そして事業が進められてきて、その上で現在の今日の事態に至っているというのは、今それぞれの時点での管理者がどこかで責任をとる、恐らくこれが行政のルールだろうと思いますし、また、県民の皆様方から見れば、そういった形で管理者が固有名詞では変わっていたとしても、それはあくまでも管理者としての職務は継続しているわけでありますから、さまざまな問題が顕在化した段階で、その管理者がやはり適切な責任をとらなければいけない、これが行政のルールであろうと、私はこのように思うところであります。
 したがいまして、売り上げ目標等については、その後、十分な目標が達せられてないということがございます。その後の経済状況等の変化もありますが、やはりここで私自身が一番責任を考えなければいけないのは、繰り上げ充用の問題と、その後に再建に向けてつくりました計画、これはオーロパークの債務の償還も含めたことを見込んでいるわけでありますが、いずれにしても、それが達成されてない。そして、知事としては、議会の皆様方には情報提供、情報開示等も不十分であったということがありますので、そういった事柄を、今のこの時点での管理者あるいは知事として責任を明確化して、今のそれぞれの管理者、知事の立場で次につなげる道筋を明らかにする、このことが一番重要なことではないかと考えております。
〇新居田弘文委員 次に、先ほど来、万一、仮に否決になった場合に構成団体が財政的に大変な状態になるということをいろいろ紹介、説明されておりますが、それは当然のことですけれども、もっと大きいのは、構成団体の市のいろんな事業計画とか、あるいは雇用の問題、2、500人とか、あるいは馬主を除きますと1、800人とか、そういう議論をされておりますが、この影響が、市町村にとっても大変ですが、実際働いている方々の問題としてどう処理しなければならないのか、これが大きな課題になると思います。県内でも、今まで会社等のリストラ等でいろいろ整理された事態も過去にありましたけれども、そういう場合も大変な思いでいろいろ解決に奔走した時期があると思いますが、今回の競馬問題についても、仮にそうなった場合の考え方、それだけ大変なことだということをみんなで共有するために説明をいただきたいと思います。
〇増田知事 仮にこの事業が廃止になる、それで両市にとっても分賦によって生ずる負担が顕在化するということになりますと、恐らく奥州市にとりましては、合併した直後のさまざまな合併計画あるいは事業をお持ちだと思いますので、その進行に大変大きな影響が出てくるだろうと思います。その上で、県としては、当面出てまいります雇用の問題ですとか、さまざまな事業の円滑な施行について、奥州市に対して円滑に行政が進むように、県の役割としては、基礎自治体である市町村を後方から支援するということが大変重要な任務でありますので、特にそうした問題が生じた場合には、全力で奥州市を支援するということが大事だと思います。雇用問題についても、その対策のために県としてもこの問題に真剣に、真摯に対応していかなければならないと思います。
 先ほど、別の観点から、財政的な支援等についてのお話がございました。これについては、やはり県としての基本原則は踏まえなければいけないと思っておりますが、その上で、県として可能な対応をとるということになろうかと思います。
〇新居田弘文委員 私の質問した趣旨は、そういう雇用問題が発生するおそれが非常に大きいものですから、提案されている内容をわかりやすく県民の方々に説明して、ぜひ、この融資案を皆さんに理解してもらうような努力をしてほしいという趣旨でございました。
〇増田知事 余りにも先走って、その先のことを申し上げて、大変失礼をいたしました。しかし、大変多くの問題が発生いたします。財政上の問題も発生します。雇用の問題も当然発生いたします。それから、奥州市であれば、合併直後でございますので、さまざまな新市計画のための事業をお持ちになっていると思いますけれども、そういったものが恐らく大きく影響を受ける、あるいは変更を余儀なくされる、場合によっては数多くのものが中止にならざるを得ない、こういうことが現実にはあろうかと思います。
 それから、ここは本当に市長との御相談になりますけれども、財政再建団体ということになれば、これはもう御案内のとおり、一方で増税といったようなことも選択肢に入れながらの市政の運営ということになりますので、私も現実に、そういったかつての福岡の赤池町に行ったこともございますし、今の夕張市等の問題もありますが、やはり県としては絶対避けなければいけないという思いがございます。しかし、一方で今までやはり赤字を多く発生させていた事業を継続させていただくためには、奥州市以外の県民の多くの方々の十分な御理解をいただくようなスキームもつくらなければいけないということの上に立っての今回の新計画、赤字を発生させない形での県民負担が最小のための計画ということでございますので、ぜひ、その点について御理解を賜りたい。
 それから、一昨日、新聞の方にも考え方を提示したわけでございますが、また、改めて県議会の委員の皆様方への御理解と、その上で、いずれにしても、この問題についての最終の責任の所在は管理者にあるわけでありますので、どういう形になろうと、ぜひ御理解をいただきつつ、その後の県としての対応、あるいは組合としての対応については、県民あるいは関係者によく御説明をしたいと思います。
〇平野ユキ子委員 さまざま皆さんから御質問があり、私の言いたいこともほとんど言い尽くされたような形ではありますし、また、ただいま知事の方から管理者としての責任ということを明言してくださいましたので、重複しないところを少し聞きたいと思います。
 今聞いていて、非常に基本的なことで、こういう話し合いの場をなぜ今まで持たなかったのかということを疑問に思いました。というのは、昨日も言ったところですが、競馬組合の一部事務組合としての特殊な性質があって、公共団体ですから、だれも口出しできなかった部分でもありますけれども、それを利用して口出しさせなかったというところがあって、こういった隠ぺい体質としての事態、今日の事態を招いたと言えるのではないかとも思いますし、構成団体たる県が、構成団体として競馬組合を構成しているわけですから、その管理者たる知事、県の知事が管理者となるわけですけれども、その競馬組合の中だけで処理してきたというのは、こういう隠ぺい体質が招いていると思います。
 先ほどの質問の中で、平成12年から繰り上げ充用という手法をとり出したところが判断ミスであったのではないかという質問に対して、独立した自助努力で赤字を埋めていくのが筋だと思って対処したというところがございましたが、でも、競馬組合は確かに地方公共団体ではありますけれども、構成団体というものがあるわけですから、そういったところをもう少し明らかにしていってやるべきではなかったのかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇増田知事 構成団体の中での議論は、実際にこういう場でこのような議論を早くからなされていれば、確かにもっと適切な解決方法に至っていたのではないか。それは、最終的にはさまざまな情報の開示なり、議会でのこういった議論の場の提供、これはまさに知事として責められてしかるべき問題であろうと思います。
 それで、できるだけ構成団体の財政負担を伴わないようにしようということで、競馬組合あるいは競馬事業については、構成団体の予算上の問題ということは、例の50億円の融資をお願いして、結局37億円になったあのときが初めてでございましたので、まさにそのとき以来、こちらでもいろいろ御議論いただくようになったのですが、それまでは基本的に自助努力ということで行ってまいりましたので、そのことが結果として、今の御質問あるいは御疑問につながってきたかと思いますけれども、そういった状況があるということを申し上げつつ、しかし、それにしても結果でございますので、これは私のこうした場に対しての御説明なり、情報の提供が不十分だったということかと思っております。
〇平野ユキ子委員 330億円の融資の議案が出て、これしかない、これが最大の良策であって、そしてこれが県民負担が一番少ないと出されたのが要するに今なので、議論しても選択の余地がないという感じだったんですね。ただ、今さまざま意見が出てくる中で、考える余地があるのではないかというさらなる─例えば分賦の方法をとっても、競馬組合は借り入れはもうできませんけれども、各構成団体が分賦にして融資を受けることはできるというような意見も出てきていますし、もっと時間があれば、そういったよりよい方法がとれる、とれたかもしれないといったような思いがあるわけです。ここまでこれを明らかにしたのは、今議会の委員の方々のお力だと私は思っています。これまで、競馬組合というものはそれこそアンタッチャブルみたいな部分があって、地方公共団体なのでだれも手出しできないといったような雰囲気があったわけです。ですから、やっと今議会でいろいろなことが明らかになってきて、そしてさまざまこのような状態になっているということがやっとわかったという状況だと思います。明らかになったところで、ではどうするかという、やっぱりそういった原点に立ち返って考えるということが大事ですし、構成団体というのは盛岡市と奥州市、岩手県だけですけど、この競馬事業というのは岩手県が構成団体になっているものですから、県民の税金を使うわけです。ですから、ほかの市町村だって関係がないわけではないわけです。ですから、こういう情報を開示して、委員の方々に聞いていただくということは非常に必要なことではなかったか、そういう報告する義務はあるべきではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 多少繰り返しになる部分があるかもしれませんけれども、予算等の負担をお願いするという時点が生じたときに、いろいろ御議論をお願いしてきたということでございまして、競馬組合での県の果たしてきた役割等を考えますと、それ以前の段階で県議会の方に適切に御報告するということもあるいは必要だったかもしれません。そこはまた一方で競馬議会という場等もございますので、そこで適切に御議論いただいてきたということでもあろうかと思いますので、その時々の置かれている状況の上での判断かと思います。しかし、ある種、競馬事業に危険信号がともりつつあったときに、もっと早目に対応していれば、間違いなく違った解決策があったかもしれないということ等もございますので、やはりそこは御指摘をいただいたことを十分踏まえて、今後も対応しなければいけないと思っております。
〇平野ユキ子委員 次の質問ですけれども、やめた場合の経済効果として、きのう、二次的産業連関表による波及効果というのは491億円と算出されました。これは、盛岡市に例えれば、中心商店街のほとんどの経済活動が停止した状態とも言えるのではないかということをきのう言ったわけですけれども、491億円というのは非常に大きな数字で、これは、きのう盛岡市に例えて言ったわけですけれども、水沢の競馬場の売り上げ、これは水沢1場だけの売り上げですが、150億円あるんですけれども、これに匹敵する経済活動が、水沢鋳物工業協同組合が羽田にあるんですけれども、鋳物関係の会社が59社あります。地元における地場産業で唯一の工業団地ですが、波及効果は水沢競馬場と同じだと言われております。ですから、もし水沢競馬場がなくなれば、水沢鋳物工業協同組合がそっくりなくなったのと同じような経済のマイナス効果があると言われています。ですから、盛岡の場合も、水沢の場合も、全県と考えるとちょっとわかりにくいのですけれども、そう考えると、水沢は特に非常に経済のマイナスになるであろうということは想像できます。ですから、できればというよりは、ぜひ競馬を継続していただきたいのですが、今までるる出たように、本当に黒字になるのかというところが心配な点ですので、そこのところをもう一度お伺いしたいと思います。
 また、別の点で私は馬事文化という意味で競馬を擁護しておりまして、昔、称徳館という馬事に関する美術館があったのですが、知事はご存じですか。これは、日本が誇るすばらしいもので、実は称徳館には馬事文化についてのすばらしい文書なり芸術品なりがあったのです。それを競馬事業の一環として競馬組合が引き継ぐことになっていたのですが、だんだん斜陽になってきて他県に流れてしまいました。こういったことがあって、私は岩手の馬事文化が流れるということが非常につらいです。もう失ってしまったらば戻らないというものがあると思いますので、そういった意味でも、私は競馬をぜひ黒字にもっていっていただきたいのです。そこのところのお気持ちをお聞かせください。
〇増田知事 委員のお考えと私の考え方は同じかと思います。黒字に絶対にしなければいけない。また、あの計画で今後お認めいただければ、従業員の先頭に立って、従業員に売り上げ目標等を提示し、仮に赤字が出そうになった場合のコスト削減のルールをできるだけ順序を決めて明らかにする等のことを行って、この競馬事業が今後も確実に継続するような、そういう競馬運営というものにしていく覚悟でございますのと、その間に、また当然コストをさまざま議論する中で、コンパクトな経営という方向にもっていきたい。そのことが、この競馬をさらに継続させることにつながりますので、そうしたコンパクトな競馬に向けての関係者の意識を統一させていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、三つの角度から増田知事の認識を問いただしたい。
 一つは、今の競馬組合の実態をどういうふうに把握しているかということです。いわば330億円融資するに値する現状なのかどうか、これが一番大事なんですよ。もう感情論の時代じゃないですからね。8年間、166億円の経常赤字ですよ。そして、2年前、あなたが乾坤一てき再建に取り組んで、私は50億円の赤字だと思うけれども、あなたの資料でも43億円の赤字をつくったと。二重に破綻させたんですね、競馬組合を。いいですか。これが最後の機会だとあなた方は2年間やった。岩手銀行に出した念書にも、平成18年度を再建に向けた最後の機会ととらえと言って、岩手銀行から融資をもらったのですよ。これは昨年の9月ですよ。これはもう最後の機会ですよ。166億円の経常損益と、2年間で43億円、私は50億円じゃないかと思うけれども、そういう二重の破綻をつくった今の競馬組合の現状をあなたはどう受けとめて、そしてあなたの責任は具体的にどういうふうに認識されているか。
〇増田知事 この2年がやはり最後の機会であるというとらえ方は私も持っておりまして、その中で今回の新計画を出してきている。それはやはり今までの計画が十分達成されなかった、そのことも踏まえて考えていかなければならないからであるということで、そこは委員から御指摘をいただいたとおりでございます。
 その上で、私の責任としてどうとらえているかということでございましたが、進むべき今後の方向を明らかにしていくということが大事かと思っているわけであります。
〇斉藤信委員 2年前も知事は同じことを言ったんですよ。改訂実行計画をつくって、これで再建させるのが私の責任だと言って、2年前破綻した状況を、あなたは責任を回避して2年間やったのですよ。また同じことを言っているんですよ。2年間やって破綻したけれども、また新しい計画をつくったからやらせてくれと。そんなことはもう通用しませんよ。
 それで、知事は、今までの約束から言えば廃止だと、こういう答弁を先ほどしましたね。私は実際そうだと思いますよ。今までの約束からいったら、廃止という選択しか出てこないんじゃないか。違いますか。
〇増田知事 廃止せざるを得ないという状況をまさに下敷きとしながら、その廃止との比較において今回の案を考えているということでございます。
〇斉藤信委員 実態は廃止せざるを得ない事態だというのは、私は、増田知事は認めたんだと思うんですよ。問題は、いわば2年前に50億円の融資を断られて、ここの時点で破綻したのですよ、競馬組合は。それを37億円の融資でつないだんです。だから、2年前に競馬組合は破綻したんです。それを2年間つないできた。2年間頑張って、再建するからということでやった。しかし、新たに43億円の借金をつくって、2度破綻したというのが実態ですよ。この破綻した公営ギャンブルに県民の税金を投入できるかというのが問われているのですよ。2度破綻したのです、実態的には。
 地方財政に寄与する、貢献するということを唯一の目的に、この公営ジャンブルというのは認められている。しかし、2度にわたって破綻したら、いわば財政競馬、競馬事業の存在意義は失ったと言わざるを得ないんじゃないでしょうか。存在意義を失った公営ギャンブルに330億円の税金を投入するということは、私は、そもそもからいってあり得ない、また県民の理解が得られないと思いますが、いかがですか。
〇増田知事 二つあろうかと思いまして、一つは、競馬事業が非常に厳しい状況に至っているということは事実でありますが、この競馬組合は公共団体でございますので、正確には破綻という概念は、公共団体は持ち合わせていないということでございまして、恐らく37億円を融資していただいたことについても、そういった中で競馬事業を続けるについて、時間的な2年間の余裕を与えるということでお認めいただいているわけでありますが、それも、今の破綻したその再生ということであれば、確定した損失を分賦にしなければいけないということでありますので、若干、委員の御指摘とは違うかと思うわけであります。
 それから、このことについて、県民の理解、あるいは税金を投入することが適切かどうかというお話でございますけれども、税金の投入というのは、当然慎重でなければならないわけでありまして、そのために十分な御理解をいただく必要がありますのと同時に、やはりその時点その時点において投入する税金を最小に抑えるということが大事かと思いますので、この点についてはぜひ御理解を賜りたい。仮に、今、委員がお話になったように、破綻をした、2度目も、今回も破綻をということになりますと、分賦をし、なおかつ廃止に伴う処理ということで、さらに多くの税金を投入せざるを得ないということになりますので、この点についてはぜひ御理解を賜りたいと思います。
〇斉藤信委員 言葉の遊びをやっているんじゃないんですよ。私は、事実上2度破綻したと言っているのですよ。破綻したら分賦されるのは当たり前じゃないですか。そんな言葉遊びを私はしているんじゃないのですよ。金融機関から融資を断られて事実上破綻して、だから県が融資したんでしょう。だから息をついたのでしょう。そして、今回、もう年度末にお金を返せないと。2年前より悪化したわけです。赤字をふやして悪化したわけですよ。だから、新しいスキームをあなた方は出してきたわけでしょう。だから、事実上2度破綻したのです。本当にそういう言葉のお話をしないで、2年前に処理していたら、43億円の新たな赤字はなかったのですよ。あなたは、新たな赤字をつくらないと言うけれど、この2年間、新たな赤字をつくったのです。その反省がないのです。
 それで、二つ目の角度に行きます。二つ目の角度は、あなた方が日曜日に80万円も使ってやったごまかし意見広告ですよ。岩手競馬は廃止なら372億円、赤字なき継続なら330億円という、これは全くのごまかしなんです。というのは、新たに赤字をつくらない根拠はないのです。いいですか、新たに赤字をつくらないというのだったら、継続の条件がなくてはならない。継続の条件はないのですよ。
 一つは、今までも議論されたように、来年度の事業計画が1年限りだということです。そして、その売り上げ計画は、全く根拠のない売り上げ増計画です。あなたが出した11月20日付の組合改革計画の1ページに、私はきのうも言いましたけれども、岩手競馬商圏内での購買力は、改訂実行計画策定時の予想を超えて大幅に低下し、現状では平成18年度計画の達成は困難な状況にあると。いいですか、この立場でこの計画はつくられているのですよ。ところが、指摘されているように、自場発売は来年度195億円、広域受託発売は今年度50億円だったのが111億円ですよ。合わせると309億円になる。今年度の売り上げは合わせて255億円ですよ。54億円の売り上げをふやすという計画になっているんですよ。事実上破綻している岩手競馬が、岩手商圏が大幅に低下したと言いながら、50億円ふえるという計画をあなたが出している。全然根拠のない計画ではないでしょうか。
〇増田知事 まず、二つございまして、一つは事業計画が19年度の1年限りという形になっているのではないかという御指摘でございましたが、私は、これはまさに会社の経営計画などに当たるものかと思っておりまして、やはり1年1年きちきちっとしたものをつくると同時に、特にこの岩手競馬の場合には、1年というよりも、もっと短期で、毎回毎回売り上げ等も予測しつつ、それに向けてのコスト削減を働かせていかなければなりませんので、的確に、四半期よりももっと短いぐらいの形で将来の売り上げを予測するようなことが必要になってくるのではないかと思います。その上で、全体としての事業計画をお示ししてございますが、それは、4月以降、関係者で集まって、売り上げ動向をよく見定めながら、今後、柔軟に対応していかなければならないものと思うところでございます。
 それから、売り上げの全体のものが過大ではないかというお話がございました。これは他の委員の方からもさまざま御指摘もいただいているところでございまして、私としては、部長も昨日も答弁をし、きょうも若干先ほど申し上げました。こちらで持ち合わせておりますそこの答えはもう尽きているわけでございますが、むしろ、そういった売り上げ目標に向けて最善の努力をするということと、その売り上げ自体を達成できないことが、今までは競馬事業の赤字に即連動するような構造を競馬事業においてとっていたわけでございますが、今回はそうでない仕掛けを入れているというところをぜひ御理解をいただきたいと思うわけであります。
 それは何かといえば、まさにコスト削減ということになるわけでございますけれども、一方で、従来の計画は、実際に売り上げを伸ばすというモチベーションが関係者に余り働かない。要は、借入金の償還が今まで大変大きくて、売り上げを伸ばして黒字を出しても出しても、全部それはダイレクトに金融機関の返済の方に回っていたということでございまして、毎年毎年10数億円のものを金融機関に返すということでございましたが、今回、この融資をお認めいただければ、そういった金融機関にストレートに返っていくということではなく、すなわち、それがそのまま自分たちの経営改善等につながるような形にさせていただきました。したがいまして、関係者はもちろん、売り上げが達成しなければ、コスト圧縮のために大変きつい努力をしなければなりませんが、仮に売り上げが伸びて黒字が出るようなことになれば、それがそのままストレートに自分たちの今後にもつながってくるということでございますので、その上で関係者間でプラスになるように必死になって努力をする。今までは全部それが自分たちとは全然関係ない金融機関の方にストレートに吸い上げられるような形になっていましたが、そこを遮断するということも、実は大きな目的でございます。金融機関がその分もうけていたんだろうと言われればそれまでのことではございますが、そういう形に構造を変えさせていただきましたので、この点も委員にぜひ御理解をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 私が具体的に指摘したことについては全然答えがないんですよ。いいですか、あなたが出した改革計画の1ページ目に岩手競馬の発売実績の表があるのです。平成15年度、自場発売と広域受託発売額の合計は377億円、平成16年度は317億円、平成17年度は282億円、今年度の見込みが255億円、そして来年度の事業計画が309億円なんですよ。いいですか、その前にこういう文章を書いているんですよ。岩手競馬商圏内での購買力は予想を超えて大幅に低下したと。そう言いながら、実際にそう下がっていながら、破綻状態の岩手競馬が来年度は岩手商圏で50億円の売り上げを伸ばすという計画を出すこと自体が全く根拠がない。あなたはそのことについて全然答えない。大体、あなたが書いていることを言ったんですよ、私は。そこに全く根拠がないんじゃないですか。
〇増田知事 計画の方の具体的な数字について、今、御指摘をいただいたわけでございますけれども、特にその中で自場発売額と受託で受けている発売額について、これが岩手県の商圏の中でどういうことかということだろうと思います。増加を見込んでいる広域受託発売でございますけれども、このことについては、具体的に発売日数を18年度から19年度にかなり大きくふやしているということと、南関東の主催者の発売日数が増加する。これはいろいろ魅力あるレースを持っている南関東という主催者の発売をふやしている。発売曜日や時間帯を拡大するということによって、その売り上げを見込みながら考えているものでございまして、発売の時期的な問題、時間帯ということについても、十分調整した上でつくり上げているものでございます。
〇斉藤信委員 結局、まともな説明がありませんね。自分で岩手競馬の商圏は大幅に低下していると言いながら、来年度は50億円その商圏を拡大するという計画を出すのだから、全く支離滅裂ですよ。全国もそうなんですよ。例えばJRA、有名な馬が登場しても、平成15年に3兆円の売り上げが、平成17年には2兆8、900億円ですよ。地方競馬だって、平成15年に4、450億円が3、690億円ですよ。これが全体の流れなのですよ。岩手競馬が、2年前と同じことをやるところじゃないですか。我々は、あんな売り上げ増計画は非現実的だと言って、あなたはできると言ってやった。今また、それは大幅に低下したと言いながら、来年度の計画はまた売り上げ増計画なんです。私は、ここはあなた方が全く根拠のない計画で県民をごまかしているとしか言えない。
 もう一つは、コスト削減が1年限りだということなんですよ。東北映像は4億1、000万の削減の約束をしたようですけれども、これは1年限りですよ。来年度も継続したら、これは破綻しますよ。そして、そのほかに5億8、000万円、4年間削減した分は、4年以降は復元するという約束までしている。それは全部了解したという知事の文書まで出していますよ。そういう約束はすべて了解しましたと、あなたが出しているんですよ。だから、コスト削減額も来年だけなんですよ。売り上げが減ったら、また削減すればいいなんていう、そんな単純な話じゃない。そういう点で売り上げ増という根拠のない計画、コスト削減も全く1年限りのものでしかないという点、ここにこう書いているんです。ここだけは真実なんです。新たな赤字を発生させない不可欠の仕組みとして、赤字が見込まれる場合には、年度途中でも廃止という基準を設定しましたと。年度途中、廃止があり得るということです。だったら、継続したって372億円の負担になるじゃないですか。継続したら330億円の融資で済むが、廃止したら372億円だというのはあなたのごまかしですよ。年度途中で廃止したら、372億円丸々県民・市民の負担になるということじゃないですか。
〇増田知事 幾つかお話がありましたけれども、売り上げの関係についてさらに申し上げますと、広域の受託発売日数が多かった時期と、そうでない時期との自場発売額の間に大きな差がないということがございます。ですから、先ほどお話がありましたように、広域受託日数をうんとふやすということがどういう形になるかということについて、それは、私どもはこれまでのさまざまな実績を分析しているわけでございますけれども、今言いましたように、受託を多くふやすということが、自場発売の低下だとかといったようなものを招くというよりは、やはりレースの内容等にも大きく影響を受けていくものと考えているわけであります。
 それから、コスト削減が1年限りではないかということでございますが、確かに、昨年の3月の合意書というものがございますが、それを前提に、恐らく相手方の東北映像の方も、金融機関との関係でそういった文言を破棄するわけにはいかないという事情もあったのだろうと思いますが、しかし、現実にコスト削減を行わないと、競馬が即廃止になるという状況でございますので、我々との間でコストを削減するルールをつくった上で、それをのんでいただいたという状況でございます。これが昨年の12月の暮れでございますが、ルール自体は11月にでき上がっています。ですから、後ででき上がりましたルールを前提に、今後も、関係者間、映像関係者等も含めて協議をしていきますので、昨年のような契約の交渉を今後も毎年繰り返すということにはなろうかと思いますけれども、その中で十分なコスト削減を図っていけると考えております。
〇斉藤信委員 根拠のない売り上げ増計画で、それがいかなかったら25%ルールでみんなでコスト削減だと。悪魔のサイクルですよ、こんなものは。そんなものはいつまでも続きませんよ。人があり、馬があり、壮大な競馬場という装置産業なんですよ。だから、そんなことはいかないのです。25%と決めたら、みんなそこで運営しますなどということはできないですよ、この仕組みは。
 それで、減額要請について、4億1、000万円の削減に応じますという、これは12月27日の文書ですよ。25%ルールをあなたが出した後です。そして、この1項目目は4億1、000万円の削減に応じます、2項目目は、平成18年3月29日付で取り交わした合意書、これは4年間、5億8、000万円削減したら、4年以降は復元してもらいますと。その分も含めてですよ。それは変更できません。これに対して増田知事は、12月28日、東北映像社長あて、こう書いているんです。平成19年度減額要請について、平成18年12月27日付で貴社から回答のあった平成19年度減額要請についてはすべて了解しましたと。12月28日ですよ、これは。25%ルールが出た後ですよ。あなたの言っていることと違うじゃないですか。
〇増田知事 この25%ルールの中で、東北映像との交渉は、今言ったように、毎年継続をしていく。そして、決まった契約額で契約を結ぶということを繰り返すということでございます。これは東北映像にとりまして、もしそれに従ってもらえない場合には、当然、違う代替のところを選ぶということになっていくわけでありまして、会社自体の存続・存立も危うくなるものでありますので、東北映像の方でどういう判断をするかということはありますけれども、この25%ルールの中で今後も契約を繰り返すということであります。
〇斉藤信委員 東北映像が来年もまた4億1、000万円、それはもう無理でしょう。そのときには東北映像を切るという答弁でありました。
 それで私はお聞きしたいが、きのうも議論になったんだけれども、これは平成18年3月29日付の増田寛也さんと東北映像社長の合意書です。4年間、5億8、000万円削減するというものの中で、第2条で、甲は乙のテレトラック4施設に係る末尾2記載の金融機関からの借り入れ原因債務に関し、責めがあることを認識していると。知事、あなたが社長に約束しているんじゃないですか。この原因債務については競馬組合に責めがある。そして、競馬組合と東北映像とのいわばテレトラック設置に関する協定書というのは、いいですか、第3条のところで、甲は乙が設置し所有する場外設備を使用して勝ち馬投票券の発売を行う。2項、乙は甲から指定された地区に場外設備を設置し、甲に賃貸する。競馬組合に指定されたところに場外設備を設置するとなっているんですよ。だから、この28億円の今のテレトラックの債務というのは、隠れ借金だと私は思いますよ。債務負担行為ということはやってないが、こういう合意書、協定書があれば、その債務の返還を求められるんじゃないですか。あなた方がうんと言わなかったら、これは裁判になるだけの話ですよ。違いますか。
〇増田知事 これは、債務負担行為を起こしていないということでございますので、具体的な債務を負うものではないと認識してございます。この点については、法関係者についても確認した上で申し上げているものでございます。
〇斉藤信委員 自治体が民間に債務負担行為できないのは明らかだから、それはできなかったんですよ。だから、こういう協定書、合意書をつくったのですよ。だから、あなた方がしらを切ったら裁判になるだけだという話なんですよ。
 それで、私が広域受託で売り上げがふえるなどというのは全くうそだと言うのは、東京の大井競馬場は広域受託が70%を占めるんですよ。それでも3年間赤字だったんです。あの景気のいい東京でですよ。私はそれで聞いたんですよ。何で景気のいい東京で3年間赤字になったんですかと。労働者の賃金が下がっているからだと。東京だって労働者の賃金は下がっているのです。ましてや、冷え込んでいる岩手で広域受託をふやした、50億円売り上げが上がるというのは、そんなに商圏が拡大するわけがない。これは指摘だけにとどめて、三つ目の問題に入ります。
 三つ目の問題は、廃止してこそ県民の負担は軽減されるという問題です。既に破綻した状態の競馬を続けたら、結局、廃止するときには新たな赤字が発生する。372億円プラスアルファです。これがあなた方の計画の実態ですよ。私は、今こういう公営ギャンブルの存在意義がなくなった競馬組合というのは、やっぱり早く廃止すべきだと。
 廃止の場合、きょう皆さんに資料も出していただいたが、金融機関、岩手銀行ですが、きょうの資料を見ていただきたい。こう言っているでしょう。競馬組合が破綻した場合の償還について、長期の償還スキームを検討することになると思う。債務免除はあり得ない。なお、協調融資している公営企業金融公庫についても条件変更に対応すべきだと。これは金融機関の常識なんです。この回答は、何も特別なことじゃないんです。金融機関が融資していた相手が破綻したら、全額債権を回収するなんてできないんですよ。だから、償還スキームを変えて、幾らでも回収するというのが金融機関のあり方なのです。公営企業金融公庫だってそう言っているんですよ。破綻、廃止した場合には分割払いだと。一気に200億円とか300億円を返すということはあり得ないのです。だから、破綻した場合は、きちんと岩手銀行と交渉すればいいんです。長期の償還スキームにやっていただきたいと。今まで岩手銀行に幾ら利息を払ったかも教えてください。私は30数億円と記憶しているが、今まで、何だかんだ言ったって30数億円もうけているんだから、20年~30年、無利子で20年間、全額返しますと、こういう約束はできるじゃないですか。
〇増田知事 数字は今確認しておりますので、考え方について私の方から申し上げておきたいと思います。
 今回問題になっております金融機関との関係でありますけれども、これは、金融機関としての対応として、相手先が民間の場合と公共団体の場合とでは異なるということをまず御理解をいただきたい。そして、この競馬組合が一部事務組合という地方公共団体である。これについては、債権の放棄やカットがあり得ない。そこに対しての貸し付け、このもとに行われているということであります。今、委員がお話しになったような取りっぱぐれるということがあっては大変だから、それで長期貸し付けにしたり、あるいは場合によったら債務カットをする、これはまさに破産法などが適用される民間企業の場合でありまして、その場合には、むしろその債務カットをしてでも、貸し手責任は十分問われるわけでありますが、その方が経営にとっても有利という判断で行われる、そういう処理でございます。
 今回のこの競馬組合でございますけれども、これは破産法の適用がない。言葉は少し乱暴でありますが、貸し倒れのおそれがない地方公共団体向けの債権ということになりますので、もし、金融機関の経営者が、今お話のあったような債務の減免などをすれば、それはまさに十分に取れる債権をそういったことを行わないということになりますので、まさに経営責任を問われますし、金融機関に損害を与える行為ということで、場合によっては株主代表訴訟等にもさらされるかもしれない。したがって、そういうことは金融機関の経営者としては行わないということを申し上げたわけであります。
 そして、長期の返済、資金の借りかえなどについて、金融機関が対応するかどうかということでございますが、これは、当然、相手方の意向にかかわる話でありますので、先ほど他の委員からお話がありましたように、大変時間もかかる話ということも一つございます。それから、公共団体が返済を延滞するということでは、延滞利息も生じますので、期限内には絶対にそういった交渉を実現する、あるいは借りかえをさせなければいけないということになれば、やり得ることは、短期資金を何回も借りかえるということかと思うわけでございますが、そういった場合には、基本的には存廃のルールをつくっていますので、新たな金融機関からの融資はないということが前提でありますが、仮にそういったことを考えても金利を支払わなければならないという問題、いずれにしても、金融機関にとってみれば貸す義務というのはないので、それが一方的に途中で打ち切られるという、まさにそうした不安定さ、資金繰りの不安定運営ということにもつながりますので、私どもとしては、そういうことではなく、やはり金融機関には、決められた今月なら今月に、やはりお借りしたものはお返しをしなければならないと考えている、このことを御説明しているところでございます。
〇高前田農林水産部長 利息の関係でございますが、起債分、一時借入金の分を含めまして32億7、700万円となってございます。
〇斉藤信委員 いいですか、一番かたいと言われる公営企業金融公庫でさえ、一括でなく分割で返納された例があると言っているんですよ。一番ガードのかたい公営企業金融公庫ですよ。民間企業とだってやれるのは当たり前のことじゃないですか。こんなのは常識なんだって。岩手銀行が破綻した競馬組合から330億円取ったら、笑い物ですよ、本当に。金融機関関係者はみんな言ってますよ。岩手銀行が責任をとるのは当たり前だと。年間100億円の利益を上げているじゃないか。3年間で元が取れるじゃないかと言ってますよ。私はそこまで言わないが、今の借金を20年、30年で返すぐらいのことは当たり前のことですよ、こんなことは。なぜ、あなたがそのことを要求できないか。念書にあるのです。去年の9月20日に、いいですか、これはもう完全に破綻して、起債償還金7億3、700万円を返せなくなった。いろんな銀行を回ったけれども、どこも貸してくれなかったから、岩手銀行に泣きついた。そのときに岩手銀行が念書を求めたのです。これは副知事と両市長の連名で、銀行の頭取あてです。そこで何と言っているか。岩手県競馬組合の解散及びそれに類似する不測の事態が発生した場合、貴行が同組合への貸出金を約定に基づき回収していくことに対しては、今後とも一切の異議を唱えない旨を確約しますと。こんな念書をとられているから、常識的に要求できることも要求できないんですよ。いいですか、こういう念書をとられているんですよ。破綻の穴埋めのために、本来なら交渉できる、要求できることを、一切要求しないという念書を出している。とんでもない話じゃないですか。違いますか、知事。
〇増田知事 本来要求できるものということは、やはりきちんとした権利なり法的根拠に基づいてやるべきということが自治体であろうかと思います。今お話の念書も、副知事名あるいは両市長名で出しているのは、そのとおり事実でございますが、ここはいろいろ見方があると思いますけれども、やはり金融機関として経営責任もありますので、組合に対しての半年間の融資についても、そこまで行わないと融資ができないという事情があったからかとも思いますが、逆に、それだけ短期の資金をこういった形で借りるということは非常に不安定な状況になるわけでございますので、それを私どもの方で法的にきちんと請求できるようなものでないものについては、やはり私どもとしてはきちんとお金をお返しして、そして決められたルールに従って資金手当をしていくということが重要だと思います。
〇川窪総務部長 公営企業金融公庫の債権についてでございますが、私の方からも公営企業金融公庫に確認をいたしたところでございますが、公営企業金融公庫が、競馬事業が廃止になった場合に、その後、いわゆる分割払い的な返し方ができるケースがあるとすればということでございますが、これは、公営企業金融公庫が盛岡競馬場をつくったときに20年で貸している地方債が、今現在、11年目とか12年目とかという状況にあるわけでございますが、残り8年間なら8年間、あと7年なら7年という当初約定どおりに返すということが認められるかどうか、一括繰り上げ償還を求められるかどうかという判断につきまして、その施設を廃止しても使わない、あるいは壊すということではなくて、場外発売等のために引き続き使うのであれば、当初約定どおりに返し続けることも場合によりあり得るという話でございまして、それをさらにここから20年とか30年とか長く貸し直すというような話ではないというところを御理解いただきたいと存じます。
〇斉藤信委員 余計な答弁だったけれども、悪くないですよ。
 いいですか、これは大事なところなんですよ。私は、廃止したときにみんなやめればいいなんて思ってないんですよ。オーロパークはすぐ売れませんから、テレトラックをやるのは常識ですよ。水沢でテレトラックをやるのも常識です。私は、水沢の場合は1場体制を検討してもいいと思っているんです。それは、現場の調騎会や馬主会の人たちは水沢1場だったらできると言っているんですよ。だから、それは検討の余地があると思っていますよ。これは廃止しなければできないのです。債務を処理しなかったらできないですよ。だから、廃止といっても、いいですか、一切やめるなどということは私は想定してない。372億円というのは一切やめるという想定なんですよ。だから、スタンドも壊す、何も壊す、こんなのは事実上あり得ないのです。上山競馬がやめたときどうしたか。わずか23億円の赤字でやめたのですけれども、残った15億円をテレトラックで毎年1億円ずつ返済しているんですよ。どこだってそうなんですよ。だから、県民の負担は軽減されるのです。公営企業金融公庫もそういうことで返せばいいのです。公営企業金融公庫はあと50億円もないのですよ、幸いなことに。みんな岩手銀行に乗りかえたから。岩手銀行はそういう点では被害者かもしれない。私は、そういう点では、今まさに総務部長が言われたように、廃止といったって競馬事業がみんななくなるわけじゃないんです。活用できるところは活用して、県民に犠牲を押しつけないような返済の仕方を考えればいいんですよ。そうすれば、本当に年間の返済なんていうのはわずかなものですよ。そういうことをあなた方は考えて当たり前だ。そういうことも考えないで、やめれば372億円だなんていう非現実的なことでおどしをやるから、ますます底が割れてしまう。
 全国で廃止したところはどうなっていますか。掌握していますか。
〇増田知事 今、幾つかお話ありましたが、私どもは、一たん廃止をすると、恐らく1場体制をもう一度起こすというのは大変難しいと思います。再興するということは、廃止になれば、また新たにそういうことをするのは大変難しい問題であって、継続していく中で1場体制の方に持っていくことが必要ではないか、先ほどから申し上げておりますが、そういうことであります。
 その点については、債務を処理しないと1場体制は検討できないということを今あわせてお話しになったわけですが、まさに今回、そういった形で債務の処理をするということで、その上で検討していくということでありますので、私の受け取り方の問題かもしれませんけれども、基本的なポイントで委員と大きくずれているところは必ずしもないのではないか。むしろ委員のお話しになっているような点も含めて今回のスキームを検討し、また、県民の負担を最小にするということでつくり上げたということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
 他の廃止のところは、今、答えさせます。
〇東大野農林水産企画室長 他の廃止した競馬場の状況でございますけれども、例を二つほど申し上げます。
 上山は、テレトラックとして活用されております。あと、高崎については、日本レーシングサービス、地方競馬全国協会の出資会社ですけれども、ここの場外専用発売所として運用されております。
〇斉藤信委員 最後にしますが、かなり私は鮮明になったと思うんですよ。継続すれば330億円で済むなんて全く根拠がない。継続したら途中で破綻して、まさに372億円の負担プラスアルファを押しつけてしまう。私は、そういう点で、廃止した場合には金融機関の責任を求めるべきだと言いました。それが企業の常識だと。これを求める上では、やっぱり知事や関係者の責任を明確にしなければだめですよ。私は一般質問で聞いたけれども、知事、8年間連続赤字というのは、あなたの2期分です。しかし私は、2期分退職金を返せとは言わない。せめて今期もらった分ぐらいは返すということでないと金融機関にもそういう交渉はできないと思います。
 関係者というのは、管理者、副管理者、事務局長、出納長、県の出納長は競馬組合の出納長ですから、これらの方々の退職金は幾らになりますか。私は、そういう責任の明確化をして、きちんと金融機関に交渉すべきだ、このことを答弁を求めて終わりますから。
〇増田知事 まず、責任については、やはりさまざまな御議論がございまして、それを受けて今後の組合の方向性を決めて、そしてあわせてその点については明らかにしなければならない、このように考えております。
 それから、組合としての、今お話あった人間についての俸給とか、現在、ものが出ているわけではありませんので、御質問の趣旨が、それぞれ所属している出納長としての退職金ということであれば、県の方の職務の上での退職金ということであれば、今調べてお答え申し上げます。
〇東大野農林水産企画室長 平成11年度以降で、組合の常勤副管理者、それから事務局長をなさった方の退職金でございますけれども、合計額、常勤副管理者が2、510万円、それから事務局長をやった方が3、099万円でございます。
〇川窪総務部長 大変申しわけございません。県の出納長として仮に4年勤めたとした場合の退職金という御指摘だと思うのですけれども、申しわけございません、今、手元に資料を持ってございませんので、後ほどお知らせ申し上げたいと存じます。
〇嵯峨壱朗委員 簡単に、判断材料にしたいのでお伺いします。
 知事はこの場におられるわけですけれども、なぜここに呼ばれたと思っているかお尋ねしたいと思います。
 それと関連すれば、何のためにここに来たのか、どうお思いか。そして、ここで何が問われていると思っているのか聞きたいと思います。
〇増田知事 昨日、農林水産部の審査を見ておりまして、やはり管理者としての、あるいは知事としての見解を聞きたいという趣旨のお話がありまして、そのことを踏まえて議会の方から出席の招請があったものと考えております。
 それから、何が問われているかということでありますが、それは、まさに競馬事業についてさまざまな問題がございますので、そういったことについてのこれまでの経過と、それから今後の方向を正しく導く上での答弁を求められている、こういうことであろうと思います。
〇嵯峨壱朗委員 私は、この質疑というのは異例なわけですけれども、最終的に、知事の考えを聞くことによって、もしくは姿勢を聞くことによって、この議案について判断をするために我々は呼んでいると思うんですが、その目的は達成されたと思っていますか、今の一連の質疑で。
〇増田知事 これは、ちょっと私の方からなかなかお答えしにくいところがございまして、私としては御質問に対して真摯にお答え申し上げる。その上で、それぞれの議員の皆様方の御判断ということでございますので、それについて私の方から、こういう判断がどうだこうだということを言いますのはちょっと僣越でございますので、その点についてはお許しいただきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 一連の質疑を通じて私ども最終的な判断をするわけですけれども、私は、この場で問われたのは知事の信用じゃないかと思うんです。今までもそうですけれども、提案している議案を判断する場合には、これが本当に正しいのかと。その最終的な判断基準というのは、それを提案している知事自身に対する信用なわけですよね。そう私は思っているんです、ここまで来ると。どうでしょうか、その考えは。
〇増田知事 そこは、確かにそういうふうな形で判断をされる方もおられると思いますし、それも含めて、全体で、例えば競馬組合の体質ですとか、それから今後の計画の信憑性とか、そういったことを含めて御判断をされる方もおられるということでありますので、なかなか一概に、多くの40人を超えるそれぞれの人格の方がおられるわけでありますので、私の方から判断基準なりを一律で申し上げるのもなかなか難しい。その判断のことについて、どういうふうにお考えになるかは、まさにそれぞれの方々のお考え次第ではないかと思います。
〇及川幸子委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇中平均委員 私、きのう、きょうと聞いていて、何点か確認させていただきたいと思います。
 きょうの佐々木博委員の質問に競馬組合の体質の問題ということが出ていましたけれども、知事は、例えば今回可決になったとして、この計画で、今までの議論の中で、過去2年の失敗といいますか、そういうものを含めた上で、今の競馬組合をこのままで、先ほどの答弁では、批判を受けつつ、そういったことのない組合にすると言っていましたけれども、具体的にどういうふうなことをしてそういう組合をつくっていこうと考えているのか、まず1点ここを教えていただきたい。
 あと、この計画でいくと、来年赤字が出たらその場でやめる、単純にそういうことですけれども、その場合、例えば、頼むからもう少しやらせてくれとか、当然各構成団体とか皆さんから、たとえここで決まったとしても、そういう声が出る可能性があるんじゃないかと私は思うんですが、そういった点に関して、変な話、すぱっとその段階で、来年の段階ですよ、これが仮に通ったとして、そういうことができるものなのかどうなのか、まずこの2点を教えていただきたいと思います。
〇増田知事 まず、組合の体質ということでありますが、大きく分けて二つ手をつけなければいけない。一つは組合の事務局の中の問題であります。これは、必ずまた中に行ってやらなければいけない問題だと思います。それから二つ目は、大きく事業に関係する組合関係者でありますが、特に馬主の方、それから調教師の方、騎手の方、厩務員の方、場合によっては食堂、駐車場、いろいろ関係する方がおられます。そういう人たちのすべてのコスト削減と、それから一方で売り上げを伸ばすためのサービス精神なり、それから売り上げを伸ばすための具体的な対応策によってこの経営が左右されるということでありまして、今までそうした皆さん方と一堂に会していろいろ議論したり、それから、あるいは本当にお互いにコスト削減のために真摯に努力をするという場もそういう取り組みもなかなかでき上がってなくて、そうしたことが行われるようになりましたのは最近になってからであるというのは否めない事実でありますので、今申し上げました二つの意味で、大きく組合の体質を変えることに努力して、仮に融資をお認めいただければ早速そういうことに手をつけたいと思うわけであります。
 それから、これは本当に仮にでありますが、事業を継続していった上で、仮に1年後なり2年後なりに赤字が出たときには、今回申し上げておりますような存廃のルールがございます。ですから、その時点で関係者が集まり、その上で、それぞれの構成団体のトップ、いわゆる構成団体の長が集まって協議をすることになるわけでございますが、赤字があり、しかもそれがルールに合わない形で、もう回復ができないということであれば、これはやはり予算はつくれませんし、事業はそこの段階で閉じる、そのことを競馬議会の方に御報告し、それからまた、各構成団体に御報告をしてその後の処理に移る、こういうふうに考えております。
〇中平均委員 今の、仮に通って、仮に赤字が出た場合という話は、当然決めた段階で各構成団体のトップが入ったものですので、今、知事がおっしゃったのであればそのとおりなのかなと考えます。
 今までこう出てきていて、確認の意味で、これはどうなんでしょう、本当に今回、融資がないといった場合に財政再建団体に陥るんじゃないかという話がありますけれども、今段階で、本当に盛岡市なり奥州市がそういうふうになる確率はどれくらいという言い方も変ですけれども、数字を積み上げていけばわかるとは思うんですが、改めて聞きますけれども、どういうふうに知事の方で考えているか教えてもらいたいと思います。
〇増田知事 奥州市の新たに調達しなければいけないお金が35億円ほどであります。45億円のうち、15億円は自力で調達できると言っていますので30億円ですが、そのほかに返ってこない5億円が穴があきますので35億円。これは、奥州市にとっては大変大きな問題でありまして、事業がほとんどできなくなる。新しい合併後の建設のための事業にはほとんど手がつけられなくなる、これは容易に想像できるんですが、最終的に財政再建団体になるかどうかは大変微妙なところでございまして、特目の基金等もあるはずです、奥州市には。恐らくこれは、あの大きさの団体で、類推するに多くないはずでありますので、いろいろなやりくりをしても大変厳しい。それから資産売却等のことを考えるのかどうか、これも最終的には市長さんの御判断になりますけれども、財政再建団体になるかどうかは、法律の要件に当たるかどうか、数字の上での判断なので、しかもまた影響が大きいので、私がそこを予測するということもできないんですが、ただ申し上げられるのは、極めて財政が厳しくなる。限りなくそうした状況に近くなることは、今の奥州市の状況から出てくるのではないかと考えております。
〇中平均委員 これだけやっているので、もしかしたらもうそこまでの試算なり何なり出ているのかと思っての質問でした。
 まず、今の3点聞かせていただきました。判断の基準に自分なりにさせていただきたいと思います。
〇川窪総務部長 先ほど失礼申し上げました県の出納長の退職手当でございますが、48カ月─4年間を勤めて退職したとした場合、1、166万4、000円となっております。
〇及川幸子委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員 議事進行上の動議を申し上げたいと思います。
 当委員会に付託されております岩手県競馬組合融資関連議案は、重要案件であります。よって、我が会派は、これまでの審議状況を踏まえまして、慎重の上にも慎重を重ねて最終対応を検討したいと思っております。
 つきましては、意見の取りまとめと、その後の議事については、3月15日午前10時から改めてとり行うこととして、議事及び日程を延期されるよう、委員長にお取り計らいをお願い申し上げます。
〇及川幸子委員長 ただいま佐々木順一委員から発言がありました件について、世話人会を開き、協議いたしたいと思いますので暫時休憩いたします。
 世話人の方々は、議会運営委員会室にお集まりください。
 ここで、増田知事から発言を求められておりますので、発言を許します。
〇増田知事 きょう、大変異例なことではありますけれども、こういう形でまたこのような場を与えていただきましたことに重ねて御礼を申し上げたいと思います。
 特にこの競馬問題で、長時間にわたる御審議を連日していただいている。そして、その上で、この時期になりましても、いまだきちんとした方向性が定まらない、まだこの中で御議論をお願いせざるを得ない、このことにつきましてもひとえに私の責任でございます。このことをおわびを申し上げたいと思っております。
 この競馬事業、今幾つか申し上げましたとおりのことでございますが、十分に意を尽くせたかどうかということがございますけれども、やはり、携わっている多くの皆様方、それから歴史等を考えまして、何とか一番県民負担の少ない形で競馬事業の方向性を見出したい、こういう思いで今回の計画をつくり上げたわけでございます。2年前の私の発言からいたしますと、この2年間できちんとした方向性をつける、あるいは、だめな場合には重大な決断をする、こういうことを申し上げたわけでありますので、そのことと考えあわせればさらに大変心苦しく思うわけでございますが、何とぞ、今申し上げておりますような考え方、そして県民負担ということをお考えいただきまして、ぜひ御理解を賜ればと、このようにお願い申し上げる次第でございます。
 重ねてでございますが、こうした私どもの考えを申し上げさせていただく場をつくっていただきましたことに感謝申し上げ、また、これまでの競馬組合の運営につきまして、管理者として、さらには知事として改めて深くおわびを申し上げまして、終わりに当たりましての私の発言にかえさせていただきたいと思います。どうも大変遅くまでありがとうございました。
〇及川幸子委員長 執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 それでは、暫時休憩いたします。
   午後6時27分 休憩
午後6時54分 再開
〇及川幸子委員長 再開いたします。
 ただいまの世話人会の協議結果を御報告いたします。
 佐々木順一委員から申し出のありました議事及び日程の延期については、申し出のとおり、意見の取りまとめと、その後の採決の議事については、3月15日午前10時から改めてとり行うこととして、議事及び日程を延期するとの結論に至りました。
 お諮りいたします。当委員会の議事及び日程を、ただいま申し上げたとおりに延期することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 御異議がありませんので、さよう決定いたします。
 次回の委員会は、3月15日午前10時から委員会を開催いたしますので、当委員会室にお集まり願います。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時55分 散会

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