平成19年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成19年3月5日(月)
1開会  午前10時5分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長   藤 原 健 一
  議事課長   切 金   精
  議事課長補佐 千 田 利 之
  主任主査   保 原 良 和
  主査     小 船   進
  主査     石木田 浩 美
  主査     佐々木 ユ カ
  主査     菊 池 芳 彦
  主査     渡 辺 謙 一
1説明員
  知事        増 田 寛 也
  副知事       竹 内 重 徳 
  企画理事      酒 井 俊 巳
  総合政策室長    相 澤   徹
  首席政策監     千 葉 茂 樹
  政策推進課総括課長 熊 谷 俊 巳
  経営評価課総括課長 高 橋 嘉 行 
  
  地域振興部長    藤 尾 善 一
  地域企画室長    望 月 正 彦
  地域振興支援室長  田 中 正 武
  市町村課総括課長  浦 上 哲 朗 
  
  総務部長      川 窪 俊 広
  総務室長      瀬 川   純
  参事兼
  予算調製課総括課長 菅 野 洋 樹
  人事課総括課長   高 橋   信
  税務課総括課長   柴 田 律 夫 
〇藤原議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、藤原泰次郎委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 藤原泰次郎委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員藤原泰次郎君委員長席に着く〕
〇藤原泰次郎年長委員 ただいま御紹介のありました藤原泰次郎であります。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に及川幸子さんを指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました及川幸子さんを予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇藤原泰次郎年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました及川幸子さんが予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました及川幸子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 及川委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長及川幸子君委員長席に着く〕
〇及川幸子委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました及川幸子でございます。御推挙いただき、大変光栄に存じております。
 委員各位の御協力をいただきまして、職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に亀卦川富夫君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました亀卦川富夫君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました亀卦川富夫君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました亀卦川富夫君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 亀卦川副委員長、ごあいさつをお願いいたします。
〇亀卦川富夫副委員長 亀卦川富夫でございます。
 副委員長といたしまして、委員長をしっかり補佐し、職責を全うしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇及川幸子委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案35件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から9日まで、12日及び13日の7日間は、関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、議案35件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、13日の企業局関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、6日目の農林水産部の審査については、世話人会の申し合わせに基づき、第1部を農業関係、第2部を林業・水産業関係、第3部を競馬組合関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇及川幸子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第23号、議案第32号から議案第35号まで、議案第37号から議案第40号まで、議案第45号、議案第46号、議案第48号、議案第59号、議案第60号及び議案第82号の以上35件を一括議題といたします。
 川窪総務部長より総括説明を求めます。
〇川窪総務部長 それでは、平成19年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明申し上げます。
 まず、予算編成の基本的な考え方でございますが、平成19年度当初予算につきましては、本年4月に行われます統一地方選挙を控えていることなどから、扶助費や公債費などの義務的経費及び経常的に要する経費を中心とし、緊急に着手する必要のある事業等を加えた、いわゆる骨格予算として編成したところでございます。
 この予算の編成に当たりましては、政策評価の結果等を踏まえまして、優先度に応じた重点的、効率的な事業の実現に向けて、施策や事業の見直しについて積極的に取り組んだところでございます。
 それでは、予算の概要につきまして御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の冊子の1ページをお開き願います。議案第1号平成19年度岩手県一般会計予算でございます。第1条は歳入歳出の総額を6、965億3、300万円余と定めるものでありますが、これは、前年度当初予算に比べ5.9%の減となるものであります。第2条は債務負担行為の限度額等を、また、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について、同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。
 以下、便宜、予算に関する説明書、これは最も厚い冊子でございますけれども、この冊子の方で御説明申し上げたいと存じます。予算に関する説明書の1ページをお開き願います。一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1の県税、2の地方消費税清算金、7の分担金及び負担金、8の使用料及び手数料、さらに10の財産収入から14の諸収入までの部分でございまして、これらを足しますと総額は2、598億3、700万円余となり、前年度当初予算と比べますと2.2%の減となっております。この自主財源の動きでございますが、これは、税源移譲等に伴う県税の増がある一方で、繰入金や諸収入などが減となっていることによるものでございます。
 一方、依存財源は、3の地方譲与税、4の地方特例交付金、5の地方交付税、6の交通安全対策特別交付金、9の国庫支出金、15の県債でございまして、これらを足しますと総額が4、366億9、600万円余となります。これは、前年度当初予算対比で7.9%の減となっておりますが、主に、地方譲与税の減に加えまして、国庫支出金や県債の減などによるものでございます。
 この結果として、歳入に占める自主財源の割合は37.3%となっており、前年度当初予算の35.9%から1.4ポイント上昇いたしまして、一方、依存財源の割合は62.7%となっているところでございます。
 次に、これらの歳入の内容につきまして、順次、この予算の説明書に沿いまして御説明申し上げます。
 4ページをお開き願います。まず、1款の県税、1項県民税でございますが、397億7、400万円で、前年度当初予算対比63.5%と大幅に増加となっております。これは、1目の個人県民税が149億9、600万円の増となっておりまして、これは、税源移譲に伴いまして、所得税から個人県民税に振りかえられた額133億円余、また、定率減税の廃止に伴う増収約9億円などによるものでございます。
 2項の事業税は303億2、500万円で15.5%の増となっておりますが、これは、製造業及び非製造業の卸・小売、サービス業等を中心に税収が堅調に推移し、これらの業績見通しを踏まえて増を見込んだものでございます。
 次に、6ページの3項地方消費税でございますが、地方財政計画等をもとに、120億7、700万円と前年度とほぼ同額を見込んでおります。
 4項の不動産取得税は31億7、400万円で6.2%の減となっております。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税でございますが、26億9、300万円で0.8%の減、次の6項ゴルフ場利用税は3億7、200万円で9.0%の減となっております。
 10ページの7項自動車税は199億3、600万円で2.5%の減を見込んでおります。
 8項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案しまして1、800万円を計上しております。
 次に、12ページの9項自動車取得税は38億6、900万円で4.3%の増となっております。
 次の10項軽油引取税は170億4、100万円で、前年度とほぼ同額を見込んでおります。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録見込み数により5、400万円を、次の12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案し、9、000万円をそれぞれ見込んでおります。
 16ページの13項は旧法による税でございます。これは、特別地方消費税の滞納繰越分でございます。
 以上、県税の合計額は1、294億2、400万円で、前年度当初予算額に比べ191億1、300万円、17.3%の増となるものでございます。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金でございますが、264億500万円で2.3%の減となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税の1項地方道路譲与税は41億5、400万円余、2項石油ガス譲与税は3億990万円余、それから、20ページの3項航空機燃料譲与税は1、600万円余をそれぞれ見込んでおります。
 次に、22ページの4款地方特例交付金の1項地方特例交付金は6億4、900万円と見込んでおります。
 次の2項の特別交付金と申しますのは、恒久的減税による減収を補てんする制度であった減税補てん特例交付金が平成18年度をもって廃止されたことに伴い、その経過措置として設けられた交付金でございまして、5、000万円を見込んでおります。
 次に、24ページの第5款地方交付税でございますが、これは2、361億6、400万円余で、前年度当初予算比0.9%の増で計上いたしております。
 次に、6款交通安全対策特別交付金は6億3、500万円と見込んでおります。
 次に、26ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、27ページから28ページまでにかけての2項負担金は、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金等を計上したものでございます。
 次の29ページ、8款使用料及び手数料でございますが、1項使用料の主なものにつきましては、2目の民生使用料では、肢体不自由児施設使用料、また、30ページの5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料、7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、そして県営住宅使用料、32ページの9目教育使用料では、高等学校の授業料などが主なものとなっております。これらの使用料の総額は、33ページの最も下の段になりますが、65億5、700万円余でございまして、前年度に比べ4.9%の減となっております。
 次に、34ページの2項手数料でございますが、その主なものは、3目の衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、37ページの7目土木手数料に出てまいります建設業者許可や建築確認に係る手数料、次の8目警察手数料に出てまいります運転免許更新等に係る手数料などが主なものでございまして、その合計は、38ページに参りまして、23億8、100万円余、前年度比4.1%の減となっております。
 次に、39ページの9款国庫支出金でございますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、7節の児童保護委託が19億7、000万円余、10節の生活保護が28億8、100万円余、次に、40ページの4目土木費負担金におきましては、基幹河川改修事業、砂防事業など、また、5目の教育費負担金におきましては、義務教育人件費に係るものなど、また、41ページの6目災害復旧費負担金では、4節の河川等災害復旧事業などがこれらの国庫負担金の主なものとなっております。これら国庫負担金の総額は、41ページの最も下の段になりますが、346億9、400万円余で、前年度より1.6%の減となっております。
 次に、42ページの2項国庫補助金でございますが、その総額は、51ページまで進んでいただきまして、426億7、600万円余で20.1%の減となっております。これは、公共事業の減などによるものでございます。
 次に、52ページに参りまして、3項委託金でございますが、1目総務費委託金が参議院議員選挙などにより増となっておりまして、総額は、54ページに記載しておりますように20億1、900万円余でございまして、対前年度比102.8%の増となっております。
 次に、55ページの10款財産収入でございますが、1項財産運用収入は5億1、900万円余を見込んでおり、また、56ページの2項財産売払収入は、県有未利用地の売り払いなど7億3、200万円余を計上したものでございます。
 次に、58ページの11款寄附金でございますが、これは2、000万円を見込んでおります。
 また、59ページの12款繰入金1項特別会計繰入金は、電気事業会計からの借り入れを行うことなどにより16億9、700万円余となっております。
 60ページの2項基金繰入金でございますが、県債管理基金のほか、自治振興基金等のいわゆる特定目的基金の資金の活用などによりまして、188億4、600万円余をこの当初予算に歳入として計上してございます。
 なお、平成19年度末の主要3基金の残高は、この資料にはございませんけれども、財政調整基金で10億4、300万円余、県債管理基金で77億7、100万円余、公共施設等整備基金で28億2、800万円余、1年後の平成19年度末の残高を、今の三つの合計で116億4、200万円余と見込んでいるところでございます。
 また資料にお戻りいただきまして、予算説明書の同じ資料の61ページでございますが、13款繰越金は、整理科目となっております。
 62ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は2億5、600万円余を計上しており、また、2項の預金利子は、金利動向等から5、000万円余を見込んでおります。
 62ページの3項公営企業貸付金元利収入は134億6、100万円で、これは、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものでございまして、次の4項貸付金元利収入は、総務や農林水産業、それから、次の66ページに記載してございます商工関係など、各行政部門における貸付金に係る元利収入でございまして、4項貸付金元利収入の合計額は、66ページに記載しておりますように455億9、200万円余となっております。
 次の67ページの5項受託事業収入は、その次の68ページにございます総額のとおり、8億8、700万円余となっております。
 次に、69ページにございます6項の収益事業収入は宝くじ収入36億円余を、次の70ページの7項利子割精算金収入は460万円余を見込んでいるところでございます。
 その次の8項の雑入の総額は、74ページまで進んでいただきまして、52億6、000万円余と見込んでいるところでございます。
 次に、75ページにございます15款県債でございますが、その総額につきましては、77ページに記載してございますように、1、153億2、700万円を県債収入として見込んでおります。これは、前年度に比較して66億1、800万円、5.4%の減となっております。この結果、県債の現在高見込みについてでございますけれども、同じ資料の282ページの計欄でございますが、平成18年度末では1兆3、993億6、400万円余、そして、1年後の平成19年度末見込みが、今の282ページの一番右端の数字になりますが、1兆3、877億4、100万円余と見込んでいるところでございます。
 以上で、歳入についての説明を終わらせていただきます。
 次に、歳出についてでございますけれども、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審査の際に担当部局長から詳しく御説明を申し上げることといたしております。したがいまして、款別の歳出につきましては説明を省略させていただきまして、私からは、性質別の主なものについて申し上げたいと存じます。
 お手元の、予算に関する資料という冊子で御説明させていただきたいと存じます。3ページをお開き願いたいと存じます。
 平成19年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、まず、このうち人件費は、表の右端の前年度当初予算からの増減率という欄をごらんいただきますと、0.9%の減となっております。これは、職員数の縮減など、総人件費の抑制に努めたことによるものでございます。次の物件費は、各種情報システムの管理運営経費等の見直しなどにより5.7%の減、また、維持補修費につきましては、土木施設の維持修繕費の増等によりまして4.4%の増となっております。4ページの扶助費につきましては、対前年度で3.6%の増となっております。また、補助費等は1.8%の増となっております。この補助費等につきましては、老人保健医療費負担金や県民税徴収取扱費交付金の増などによるものでございます。次に、普通建設事業費でございますが、これは、公共事業の減額などによりまして25.0%の減となっております。次に、5ページの災害復旧事業費は22.2%の増となっております。また、公債費は5.0%の減でございます。積立金は11.1%の増、出資金は13.2%の減とそれぞれなっております。また、貸付金は、中小企業向け制度融資の貸付原資預託の減などによりまして8.8%の減、また、繰出金は、県有林特別会計や港湾整備事業特別会計への繰出金の増などによりまして41.7%の増となっているところでございます。
 平成19年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりでございます。
 なお、特別会計関係につきましては、所管部局において御説明を申し上げますので、私からは省略をさせていただきたいと存じます。
 引き続きまして、補正の関係でございますが、議案第59号、いわゆる競馬関係の補正についてでございます。
 議案その3という薄い冊子の1ページをお願い申し上げたいと存じます。
 議案第59号の平成18年度岩手県一般会計補正予算(第4号)の関係でございます。この第1条歳入歳出予算の総額にそれぞれ297億5、000万円を追加しようとするものでございます。
 また、補正予算の内容につきましては、予算に関する説明書の3ページをお開き願いたいと存じます。
 まず、歳入予算でございますけれども、12款繰入金、2項基金繰入金でございます。これは、財政調整基金から70億円、県債管理基金から167億5、000万円、公共施設等整備基金から60億円をそれぞれ歳入として繰り入れるものでございます。
 次のページ、4ページでございますけれども、歳出予算につきましては、6款の農林水産業費の2項畜産業費1目畜産総務費でございまして、これは、岩手県競馬組合の経営改善と構成団体の健全な財政運営に資するために必要な資金の貸付事務を円滑かつ効率的に行うため、岩手競馬経営改善推進基金を設置し、当該基金への積み立てに要する繰出金297億5、000万円を計上しているところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇及川幸子委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主・県民会議が35分、次に、自由民主クラブが32分、次に、政和・社民クラブが13分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属阿部敏雄委員、無所属高橋博之委員の順に、それぞれ6分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、本日の午後5時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。工藤大輔委員。
   〔工藤大輔委員質問者席に着く〕
〇工藤大輔委員 民主・県民会議の工藤大輔でございます。平成19年度予算について、総括的に質問させてもらいます。
 今回の予算特別委員会は、増田知事にとっても最後の予算特別委員会、また、予算編成となったわけでございますが、このような機会を与えてくださいました会派の先輩、同僚委員に感謝申し上げながら、一生懸命質問してまいります。どうぞよろしくお願いします。
 平成19年度の当初予算は骨格予算であることから、現時点でその評価をすべてできるわけではございません。しかし、当初予算の規模は6年連続で減少し、7、000億円を割り、6、965億円となったところでございます。従来、増田知事は、7、000億円程度の予算規模が望ましいとの考えを示し、また、最近のマニフェスト自己評価報告書の中では、予算規模を6、000億円台に抑制との考えも示しています。平成19年度当初予算の規模をどのように評価しているのでしょうか。
 また、平成19年度当初予算では、義務的経費の割合が52%と前年度に引き続き50%を超えており、一層の財政の硬直化が進んでいます。一方、投資的経費の割合は15.6%と減少の一途をたどっている状況をどのように認識しているのでしょうか。全国との比較とあわせながらお示し願います。
 また、6月補正で肉づけをすることとなりますが、現時点での収入の見込み等から、6月補正での補正規模をどの程度と想定しているのでしょうか。その場合の財源の見通し等をお示し願います。
〇増田知事 平成19年度の当初予算ですが、今、委員からお話ございましたとおり、選挙がございますので、義務的経費、それから経常的経費を積み上げました骨格予算が中心になっております。今後、新知事のもとで肉づけの補正が6月に行われることも考慮に入れながら、歳入規模に見合った持続可能な歳出構造にしていくという流れに沿って、歳出全般の見直しと重点化を図って編成したものでございまして、総額で6、965億円という予算規模になっておりますが、これは、今、私が申し上げましたような考え方を数字にあらわしたその結果であると考えているところでございます。
〇川窪総務部長 後段でございますが、ここ10年の義務的経費の割合の推移を見てみますと、平成9年度から12年度までは30%台後半であったものが、13年度以降40%台、さらに昨年度には50%台まで来ております。これは、公債費が年々ふえていること、また、分母でございます予算規模が逆に年々縮小していることなどによると考えております。
 義務的経費の内訳を見ますと、人件費につきましては、総額そのものは年々緩やかに減少してきておりますけれども、こちらもやはり比率で見ますと順次伸びてきている状況がございます。特に義務的経費割合を押し上げているのはどちらかと申しますと公債費でございまして、これは、平成9年度に8.8%であったものが、10年後の19年度には21.8%の見込みということで大幅に上昇してきております。
 全国状況との比較で見ますと、人件費比率の全国平均は31.5%でございますので、本県は全国平均を若干下回っている状況でございますが、逆に公債費の方は、全国平均が14.2%のところ、本県は21.8%ということで、かなり大きく上回っている状況にございます。
 また、投資的経費につきましては、平成19年度の本県の投資的経費の比率がこの予算案で15.6%となっておりまして、平成9年度当時─10年前は40.7%あったことと比較いたしますと非常に大きな減少となっておりますが、全国的にもこの割合は減少しておりまして、全国平均で見ると15.3%ということで、本県と同様な水準になっているということもございます。
 義務的経費につきましては、いずれにしても、総人件費の抑制や県債の償還期間の長期化による公債費負担の平準化などの工夫、努力をしながら、その割合を引き下げる努力をしていきたいと考えております。
 また、6月補正財源の関係でございますが、現時点では、肉づけ補正を待つということで、その規模について申し上げるのは難しいわけでございますが、財源について申し上げますと、一定の補正の計上が可能となりますように、6月補正段階で歳入として計上できる一般財源を想定しておく必要がございますが、この6月補正段階で歳入計上できる一般財源として、現時点では、地方交付税などで約50億円程度を計上可能ではないかと見込んでいるところでございます。
〇工藤大輔委員 増田知事は、就任され12年経過するわけでございますが、就任当初、恐らく岩手県も伸び行く地域という判断のもとでそれぞれ毎年度予算編成をされてきたと思います。ただ、結果的に増田知事の集大成となる最後の予算編成では、毎年下がっていくような状況になっていっている現状、これは国の流れもあったわけで、すべて岩手県だけの責任というわけではないと思いますが、恐らく就任当初とは若干の思いの違いもあったのではないかと思いますが、その辺の考えがあれば御披瀝願いたいと思います。
 また、当初予算に占める義務的経費、投資的経費の割合ですが、実際にどのような割合が本来は適正規模だと県では認識されているのでしょうか。といいますのも、全国平均では確かに平均的な割合だと思いますが、平成9年度では、投資的経費はパーセンテージでいくと40.7%ありました。しかし、平成19年度は15.6%と大幅に減少しているのが実態でもございます。その辺を踏まえて、県ではどのように判断しているのか、お示し願います。
〇増田知事 今、委員の方からお話ありました。私の就任当初からしばらくの間、特に1期目の間は右肩上がりで予算全体の規模を伸ばす、そういう予算編成を行ってきた。これは、実際に、歳出の方で必要な事業として社会資本整備等を早急にやらなければいけないということがあったわけでありますが、その後の返しの時期になりましても、ある程度交付税ないしは県税収入等でそういったことが可能であろう、こういう見通しを立てていたのはそのときの思いとして事実でございます。その後、経済状況が大きく落ち込みましたし、交付税が大きく削減されるといったこと、これは確かに見込み違いの部分がございまして、県債残高が大きく残ったのは大変申しわけなく思っております。そういう中で、歳出をどうしても抑制せざるを得ないということで、先ほどの義務的経費の内訳で人件費比率なども少しずつ上がっているのですが、本来であれば、やはり歳出を減らす以上、人件費等も減らしていかなければならない、そういう財政構造にしていかなければならないのですが、人件費の削減よりも歳出の方が余りにも急激過ぎる、そうせざるを得ない状況があるということで、義務的経費の割合が高まって財政の硬直が進んできている、こういう状況になっております。何とかこれを打開しなければならないということでいろいろ手を打っておりますが、したがいまして、3期目は財政再建、財政運営に大変苦労したというのが率直な思いでございます。
 こういったことは他県でも多く見られている状況ではございますが、やはり今後も、地方固有の財源でございます交付税等の総額確保を強力に主張していって、今、地方が抱えております財政構造の問題点を打開していくことが必要かと考えているところでございます。
〇川窪総務部長 投資的経費の比率等の水準についてでございますが、今の投資的経費割合15.6%は全国平均15.3%に近い水準とはなっておりますけれども、本県の県土の広さ等の条件を考えながら、今後も財政状況をしっかり中長期的に見きわめつつ、必要な事業の計上を図っていかなければならないと考えております。もう少し財源等の状況を踏まえなければいけませんので、6月補正も控えておりますことから、現時点でどの程度が適当かというのはなかなか申し上げにくいところでございますけれども、今申し上げたような考え方で対応してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 次に、優先的に取り組む課題についてお伺いします。
 骨格予算ということで、新規事業や政策的な経費については原則として6月補正予算として編成するという考えの中で、優先的に取り組む必要のある事業については当初予算で計上したとのことでございますが、どのような視点、考え方でこれらの課題を盛り込んだのでしょうか。
 また、平成19年度の組織・職員体制についてでございますが、産業振興等の着実な推進等、各種の課題への対応をするために、組織・職員体制の見直しを行うようであります。こちらの方もどのような視点で見直したのか、お伺いします。また、振興局の体制についてもあわせてお伺いします。
〇増田知事 先ほど骨格予算として編成したと申し上げたんですが、しかし、義務的経費、経常的経費だけではなく、緊急性の高い課題、4月からすぐに取りかからなければいけないような、待ったなしの対応が求められるような課題が県内にございます。
 具体的には、喫緊の課題であります県北・沿岸圏域における産業振興の取り組み、それから医療問題でございまして、特に即戦力となる医師の招聘に向けた取り組み、こういったものは待ったなしの対応が求められると判断いたしまして、当初予算の中で必要な予算を計上させていただきました。
 また、そのほか、今議会で提案しております岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例関係の取り組みに係る予算ですとか、それから、平泉の文化遺産の世界遺産登録の実現に向けた諸準備についても、これもまた来年の7月が本番の国際会議でございますので急がなければならない、こういう判断をいたしまして、以上申し上げましたような、緊急性が高く、かつ待ったなしの対応が求められると判断いたしたものにつきましては、今回、当初予算の中で計上させていただいたところでございます。
〇川窪総務部長 県の組織・職員体制の見直しにつきましては、平成19年度におきましては、全体として計画的なスリム化を進めていく一方で、力を注ぐべき重点分野について、必要な職員配置や組織体制を整備したいという考え方で進めたところでございまして、ポイントといたしましては、産業成長戦略に基づいた施策の推進、また、県北・沿岸圏域の産業振興などを機動的に、また、迅速に対応する観点から、商工労働観光部の組織を再編しているほか、平泉の関係での組織体制の整備、また、空港の整備事業の促進や定期便の利用促進等のための体制の整備、また、県民が安全で安心して生活できるまちづくりを推進しようという観点からの建築確認審査体制や医薬品の製造販売業者の調査体制などにつきまして、それぞれ専門職員を配置する等の体制整備を図ろうとしているものでございます。
 一方で、雇用対策におきまして、産業振興と一体的な対策を推進するといった観点から、商工労働観光部において担当するというような組織の改正を予定しているところでございます。
〇藤尾地域振興部長 地方振興局の体制につきましても、産業振興という重要な取り組み施策があるわけでございますから、その取り組みの実効性を高めるということでございまして、特に県北・沿岸振興関係の地方振興局にありましては、行財政構造改革に基づいて、県全体の定数を削減している中にありましても、産業振興担当課長や産業振興のためのスタッフを引き続き配置し、体制を強化するということでございますし、広域振興局にございましても、先ほど総務部長が答弁いたしましたように、平泉の文化遺産の世界遺産登録を控え、これを生かした観光振興等を推進するための組織体制につきまして強化したところでございます。
〇工藤大輔委員 スリムで効率的な職員体制を実現するために強化する一方、また、振興局等の方では、例えば林務や水産等の部署などでは、もともと人数の少ない中で仕事をしているところを、今後、職員数を大幅に減らしていく中、一律カットというやり方で職員を減らすことがないように、これはぜひやっていただかねばならないということを指摘したいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、花巻空港新ターミナルビルの整備についてお伺いしますが、昨年2月にその着工を2年延期すると知事は答弁されていました。花巻空港整備関係経費については、昨年の着工時期の見直し経緯や政策性の高い事業ということを踏まえれば、6月補正予算で新知事のもとで検討すべきではなかったかということも考えられます。なぜ増田知事の体制の中で実施の判断となったのでしょうか。
 また、着工延期の理由の一つに利用者数の伸び悩みが挙げられていましたが、今後の需要見込みはどのようになっているのでしょうか。花巻空港の整備促進自体に反対するものではないですが、適正な需要見込みや明確な利用促進策を作成した上で計画的な整備を推進する必要があると考えます。今後の整備スケジュールを示していただくとともに、具体的な利用促進策、空港を活用した観光振興の取り組みの方向性についてお伺いします。
〇増田知事 花巻空港のターミナルビルの建設でありますが、まず、全体の工程でありますけれども、ビルの設計などを変更いたしまして新しくつくり直したわけですが、そのもとで全体の工程を考えますと、着工から完成、供用開始まで大分短縮いたしまして25カ月必要となっております。
 その上で、私の代でこの着工を判断した理由でございますが、大きく申し上げますと3点ございまして、一つは、事業費を大幅に縮減することなどによりまして、ビル会社の自立的な経営が見通せる整備計画のめどが立った。これは、空港ターミナル地域、県事業として全体を整備しておりますが、御案内のとおり、ターミナルビル自体は空港ターミナルビル株式会社が整備・運営を行う施設ということで、少し別でございます。この会社の方で、経営が見通せる整備計画のめどが立ったということが1点。
 2点目は、国際チャーター便にも適切に対応できる利便性の高い施設の整備、それから、バリアフリーへの対応が喫緊の課題になっているということで、こういったことへの対応を急ぐ必要があったということ。
 3点目が一番大きな理由かと思いますが、来年の7月に平泉が世界文化遺産に登録される、かなり確実な見通しが立ってまいりました。そういたしますと、最近の他地域での世界遺産登録の例を見ますと、翌年春の観光シーズンに遠隔地からの観光客が急増するということがございます。そうしますと、今申し上げました25カ月の工程ということを考えますと、ぜひとも翌年、平成21年春の観光シーズンに間に合わせたいわけでありますが、この3月の時期に予算を成立させていただきまして着工に至らないと観光需要を取り込む機会を逸することになりますので、補正の中で債務負担をお願いして当初に予算を計上するということで、早く着工してこの時期に間に合わせたい、こういった3点の理由から今回予算計上いたしまして、ぜひ着工させていただきたい、こういうことをお願いしているところでございます。
〇竹内副知事 花巻空港の今後の需要の見込みについてでございますが、まず、国内定期便の動向につきましては、これはちょっと需要が伸び悩んでおりますが、今年度、旅行代理店と提携した利用促進策に加えまして、ダイヤが不便という話が結構お客さんからありまして、このダイヤ改善等に向けた取り組みを強化するために航空会社との情報交換を継続して実施してまいりましたが、平成19年度には大阪線の夕方便のダイヤ改善が図られる予定でありまして、徐々に需要増加に向けた成果が見られつつあるところでございます。
 一方、国際チャーター便につきましては、今年度当初─春ですけれども、機材の大型化によりましてエバー航空が撤退いたしまして近隣空港に回避する事態が発生いたしましたものの、その後、官民一体となって誘致活動を強化した結果、夏には韓国からの初めてのチャーター便が就航いたしておりまして、また、秋には、台湾からのチャーター便が前年度並みの便数に回復したところでございます。特に台湾便については依然として花巻空港への需要圧力が高く、こうした状況を踏まえると、時宜を失することなく、国内線はもとより、国際チャーター便にも適切に対応できる施設を整備することによりまして、いわて花巻空港の需要は今後着実に増加が図られるものと考えております。
 それから、空港の今後の整備スケジュールですけれども、平成19年度から空港ターミナルビル会社におきまして新しいターミナルビルの詳細設計及び工事を行いますとともに、県が施工するエプロン舗装等のターミナル地域整備につきましても事業の進捗を図りまして、新しいターミナルビルとあわせて平成21年春の供用を目指しているところでございます。
 具体的な利用促進策でございますが、岩手県空港利用促進協議会という民間が主体になった組織がございますが、この協議会を通じまして、県内企業を対象とした動態調査や誘致企業への訪問調査、就航先旅行代理店からの情報の収集、それから、台湾や韓国における観光需要の把握などに努めておりまして、これらを踏まえて、航空会社への便数、ダイヤ等の改善の働きかけ、海外航空会社へのチャーター便の誘致、就航先の旅行代理店への商品造成の支援などを行っているところでございます。今後、このような民間団体と連携した事業を重ねながら利用の促進に努めてまいります。
 それから、空港を活用した観光振興の取り組みの方向性でございますが、平泉の世界遺産登録によりまして、従来、入り込みの割合が少なかった中部以西や海外など遠隔地からの観光客を誘致するため、いわて花巻空港をゲートとする観光モデルコースを設定いたしますとともに、名古屋、大阪などの就航先あるいは東アジアの旅行会社への積極的なセールス活動を展開するなどして、本県への旅行商品の造成や国際チャーター便の誘致拡大に努めてまいる考えでございます。
〇工藤大輔委員 来年度は、国内観光キャンペーンでは最大規模の北東北ディスティネーションキャンペーンが7月から3カ月間実施される、また、本県を舞台とした連続テレビ小説どんど晴れがある、また、今、知事が話されました平泉の世界遺産登録が翌年度に予定されているということで、今後、観光に関すれば、岩手はかなり注目を浴び、そして飛躍するのではないかという思いを持っています。この間、義経でも注目をされたわけですが、それ以降、義経伝説、義経がどこにどう行ったのか、はっきりとわからない部分もあるわけですけれども、県北、沿岸の方では、そういった観光に対するさらなる経済効果も期待しているわけでございますから、そういった一連のものを含めて、岩手の観光のさらなる可能性を模索していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、交付税についてお伺いします。
 平成19年度は三位一体改革による税源移譲が実施され、県では、個人県民税が133億円程度増収になる見込みの一方で、所得譲与税は約226億円減少し、差し引き約93億円の減収となります。これでは都市部と地方の財政力格差がますます拡大するのではないかと懸念されるわけでありますが、県の平成19年度の交付税の見通しはどのようになっているのでしょうか、市町村分の交付税の見通しとあわせてお示し願います。
 また、新型交付税の影響についてお伺いします。
 国では、平成19年度から交付税の算定について、算定方法の抜本的な簡素化を図り、交付税の予見可能性を高める観点から、人口と面積を基本とした簡素な新しい基準による算定、新型交付税が平成19年度から導入されます。先般報道されました内容を見ると、27市町村で増額とのことでありましたが、この見直しによる本県への影響はどのように見込んでいるのでしょうか、県及び市町村分とあわせてお伺いします。
〇川窪総務部長 まず、県分についてでございますけれども、普通交付税の算定に当たりましては、三位一体改革に伴う税源移譲分については、その全額が基準財政収入額に算入されることになっておりますので、平成18年度の所得譲与税も、また、19年度に増加することとなります個人県民税もそのように算定されますことから、御指摘の差し引き額につきましては、その分、交付税が増加する方向に算定される仕組みでございます。
 一方で、平成19年度の地方財政計画におきましては、地方税と地方交付税を合わせた地方一般財源全体で見ると対前年度で微増となっておりますが、地方交付税で見ますとその総額が4.4%の減という形で、4年連続で総額が減少しているところでございます。
 これらの状況を踏まえまして、また、総務省から通知されております情報等を勘案いたしまして、平成19年度当初予算におきましては普通交付税を2、331億6、400万円計上しておりまして、これは、先ほど申し上げましたように、当初予算対比では0.9%の増でございますが、平成18年度の最終的な決定額との比較で見ると1.4%の減という見込みを立てているところでございます。
 なお、先ほど答弁で申し上げました6月補正のための一般財源の計上見通しという部分がございますので、実際には、現時点ではということでございますが、今、予算計上しております2、331億円という普通交付税の額よりも50億円程度多い決定額になるのではないかということを想定して、予算を計上しているところでございます。
 また、新型交付税についてでございますけれども、国から示されております方法に基づいて試算をいたしますと、この数字は国の方からも発表されておりますが、従前の制度と比べまして、県分としての影響額は4億8、700万円程度増加方向に働くものと見込まれております。これは、平成18年度の制度に当てはめてみればということでございますので、19年度の影響額は19年度の決定後でしか試算できませんけれども、おおむね4億8、700万円程度の増加影響がありそうだと見込んでいるところでございます。
〇藤尾地域振興部長 市町村における交付税の見通しでございますが、各市町村は、平成19年度当初予算におきまして、それぞれの団体の事情を考慮の上、見込んでおるわけでございますが、その総額は1、815億2、800万円でございまして、前年度の最終予算額に比べましてマイナス4.2%となっております。
 それから、新型交付税の影響でございますけれども、総務省が示した試算方法に基づき試算いたしますと、全体で4億7、900万円のマイナスということでございまして、35団体のうちマイナスとなる団体が23団体、プラスになるのが12団体という状況でございます。
〇工藤大輔委員 次に、頑張る地方応援プログラムについてお伺いします。
 平成19年度の交付税は、算定方法の見直しに加え、頑張る地方応援プログラムで地方交付税措置することとし、具体的には、魅力ある地方の創出に向けた取り組みに関する九つの成果指標を交付税の算定に反映させると聞いています。これについては分権に逆行するのではないか、また、頑張る内容について地域では異なるのではないか、地域条件が異なるのに、努力をどのように評価するのかなど、懸念や戸惑いが広がっているとの報道もあります。県では、この仕組みについてどのように評価しているのでしょうか、お伺いします。
〇増田知事 頑張る地方応援プログラムでありますけれども、県内の市町村長にお会いしても、他県の様子を見ましても、地方の方から懸念の声が幾つか上がっているということは承知しております。
 本来、地方交付税については、基準財政需要と基準財政収入のギャップを埋める地方固有の財源ということでありまして、これを奨励的補助金のような形で政策誘導で使うのは余り好ましくないと思っております。従来からそういうことを主張してきたところでもあります。
 今回のこの頑張る地方応援プログラムですが、総額が大体2、700億円ぐらいということで、全体の中での割合は非常に小さいわけではありますけれども、この制度の実施に当たっては、どういう点を、まさにここで言っている頑張る自治体としてとらえているのか、また、具体的な成果指標の算定に当たって、そう頑張れと言ってもなかなか頑張りようもないという、ちょっと言葉ではラフな言い方になりますが、一体どういうことができるのかというところが現実にあるわけです。条件不利ということになると思うんですけれども、そうした条件不利地域にどういうふうに配慮するのか。幾つか指標が─幾つかと言いますか、九つですけれども、こういう点をとらえて加味したいと言っておりますが、それをどういうふうに計算するのかという詳細はまだ明らかになっておりません。今後、合理的な基準を国の方でつくっていくのだと思うんですが、そういう点について、やはりできるだけ早く明らかにして、冒頭申し上げましたような自治体の不安を取り除くようにしていただきたい。それで、全体としては額は余り多くないんですけれども、やはり努力しているところに、もちろんそれなりの評価があるということは気持ちではわかるわけでありますが、今、特に条件不利地域に置かれている市町村が、成果はなかなか出づらいけれども、その条件不利ということを克服するために、本当に懸命に努力しているというところをぜひ反映させるような、そういう制度にしていただきたいと考えているところであります。
〇工藤大輔委員 これについては、市町村の頑張り度というものをそれぞれ判断するというのが非常に不公平感があるなという思いを私も持っています。例えば、これについては、当然、市町村は県と連動していますから、県の政策とも合致するものの中で進めているという中で、産業振興策としても、これまで同様、例えば北上川流域に集中投資をしてどんと成果が出たと。県でもこれは評価されるべきものだと思いますが、そうした今回のこの成果指標の中で、例えば転入者の人口や事業所数、製造出荷額等が評価基準にあるとすれば、県の政策にのらない地域はなかなか評価されないということも同時に指摘されると思いますので、これについて、よりよい評価がされるべきだと。また、本県の特徴に合わせた中で、自治体の本当の頑張りであったり、それが評価されることを望みたいと思いますので、国に対して、その辺の評価基準についてはしっかりと要望してもらいたいと思います。
 次に、県北・沿岸振興についてお伺いします。
 県北・沿岸振興に係る平成19年度当初予算の内容について、県北・沿岸振興を図るため、昨年1月に県北・沿岸振興本部が設置されました。県北・沿岸部の住民は、今後の振興策の取り組みに大いに期待をしているところでもございます。平成19年度当初予算でも、優先課題ということで県北・沿岸振興関係の予算が措置されているわけでございますが、その主な事業内容、その事業を通してどのような成果を目指していくのでしょうか、目標等をお伺いしたいと思います。
 また、知事は、及川幸子議員への本会議での答弁で、この12年間、岩手らしい地域の自立を実現するために全力を傾けてきたと答弁されていました。その努力は多とするところであります。この岩手らしい地域の自立は、生活の自立や経済の自立なしにはなし得ないと私は思いますが、特に、地域経済を牽引するような産業、企業の乏しい県北・沿岸圏域では経済的自立策が一番の課題だと考えられます。さきに示された県北・沿岸圏域における産業の基本方向では、その結果として、どの程度の経済的自立が果たせるのか、また、所得の向上が図られていくのかどうか、将来的な姿がいま一つ見えないのではないかという感じも持っています。県北・沿岸振興の推進に当たっては、ものづくり産業の集積による雇用創出目標、農業・漁業などについては振興策による所得目標を提示するとともに、経済的自立のモデルを示していく必要があるのではないかと考えますが、どのように県の方で考えているのか、お伺いします。
 また、知事はこれまで、厳しい財政環境の中で、選択と集中をキーワードに各種の施策を進めてこられ、例えば自動車産業集積などに取り組んできた事例は、先ほども申し上げましたとおり、一定の成果が見込まれ、評価するところでもございます。昨年から県北・沿岸振興の具体的動きが始まり、ようやく優先順位が回ってきた、選択と集中の順番が回ってきたと感じている住民も多いわけでございますが、しかしながら、現状は即効性の高い事業が少なく、新規卒業者の就職もままならない状況であり、地元に就職先がなければ若者層の地元定着率が下がるなど、地域振興において悪循環が起きています。今後の少子・高齢化の流れとあわせて考えると、現在の取り組みはスピードが不足しているのではないかと思います。県北・沿岸振興のキーワードの中にスピード感を用いてもらい、各種の事業を展開してほしいと思いますが、所見をお伺いします。
〇増田知事 県北・沿岸振興でありますが、これは、やはり今、県の一番大きな課題であると思っておりまして、今回も、先ほど申し上げましたように、骨格予算ではありますけれども、この関係の予算についてはぜひ御理解をいただいて、お願いをしたいということで、予算にも盛り込ませていただいたところであります。そういう強い決意で、やはりこれを実行していかなければならないと思っておりまして、その実行に当たりましては、今、委員の方からのお話にございましたが、ものづくり産業集積による雇用創出の目標ですとか、あるいは農業・漁業、特に1次産業などでの振興策による所得目標などはやはりきちんと明示して、それで取り組んでいく必要があると思います。
 県北・沿岸地域の中で、またそれぞれの地域ごとに振興局で地域産業戦略会議を設置して、地域の皆様方とさらに具体的な取り組みに向けて、今、いろいろな議論をしておりますので、その中で、共通認識としてそうした目標を掲げて、これを強力に実施していきたいと考えているところであります。
 それから、委員の方からもう一点、やはりこういったものについてはスピード感が必要だというお話がございました。この点についても、私どもは十分に御指摘を踏まえて対応していかなければならないと思っております。
 昨年1月に振興本部というものを県で立ち上げて、その中で、例えば企業誘致について、オーダーメード型の補助ですとか融資制度などをつくり上げたわけですが、そういった制度も使いながら、久慈の北日本造船ですとか、釜石のSMCなどが立地を決定するといったようなことがございまして、やはりこれも相手方の企業から、さまざまな助成制度の創設をタイムリーにスピード感を持ってやったことを評価されたわけでありまして、今、委員から御指摘いただきましたとおり、今後、さらにもっとスピード感を持って、こうした対策に取り組んでいく必要があると思っておりますので、先般お示しをしてございます県北・沿岸振興策の取り組み工程表がございますが、それをベースにして、もう既に取り組みを開始しておりますが、さらに地域産業戦略会議を設置して、地域の皆様方と意識を同じくして、タイムリーかつスピーディーに取り組みを推進していきたいと考えているところであります。
〇藤尾地域振興部長 県北・沿岸振興に係る平成19年度当初予算の主な内容についてでありますけれども、柱の一つ、食産業については、県北・沿岸地域食産業成長戦略事業251万円余によりまして、産業創造アドバイザーの人的体制の強化とマーケットインの取り組みを推進して、地場の中核企業等の商品開発や販路拡大などを密着支援して、その成長を促進してまいります。これによって、当圏域の食産業の出荷額を、10年後おおむね1割増加程度まで拡大したいと考えております。
 それから、柱の一つ、ものづくり産業につきましては、沿岸地域ものづくりネットワーク推進事業費397万円余でございますが、企業と学校間のネットワークを形成し、圏域の課題であるものづくり人材の育成を推進してまいります。あわせて、振興局事業では、県北圏域に産業支援拠点を新設いたします。これによって重点的に地場企業を支援し、その成長を促進してまいります。これによって、県北・沿岸圏域のものづくり産業の出荷額を、10年後おおむね2割増加程度まで拡大してまいりたいと考えております。
 それから、柱の一つ、観光産業につきましては、県北・沿岸地域観光力強化事業463万円余によりまして、三陸鉄道に観光コーディネーターを配置し、体験型観光や滞在周遊型観光のメニューを造成して誘客する地域の取り組みを支援してまいります。これによって、例えば三陸鉄道を利用する県外観光客数、これは平成17年度4.2万人を、22年度には8.5万人まで拡大してまいりたいと考えております。
 それから、地域産業の基盤であります農林水産業につきましても、例えば農業におきましては、県北・沿岸元気な農業確立特別対策事業1、300万円によりまして、新たな冬春野菜等の生産モデルを確立します。これによって、例えば県北圏域における菌床しいたけ販売額を、平成18年度の1億5、000万円から平成20年度にはその2倍にまでするという目標を掲げて取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 この取り組みには一層スピード感を持って取り組んでいただきたいと思いますし、また、農業分野等においても、今、説明された内容等においても、即効性というのは確かになかなか出ないと私は思うんです。
 増田知事は、マニフェストというか、いわて夢創造宣言2007という御自身でつくられたものの中で、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方針を前半2年間で集中的に推進という、次にまた知事をやっていればということの中で示されたわけでございますが、来年度からの2年間で集中的に推進するとした中で、果たして求めた成果が十分に出るのかどうか、ということを考えると、私は、この2年間というのでは余りにも期間が短いのではないかという思いを持っています。ですから、こういったものを知事はどのような気持ちで2年間と位置づけられたのか。また、県の職員の方々には一層の推進をお願いして、この県北・沿岸振興についての質問は終えたいと思います。
〇増田知事 全体的にやはり息長く取り組むことが必要だと思いつつ、しかし、次の県政の前半の2年間は県北・沿岸振興一途にやるという意気込みで、また、予算などについてもそういう思いを数字としてあらわしていく必要があるのではないかということで、ああいうものをつくらせていただきました。もちろん、今後の県政運営の参考という位置づけではありますけれども、というのは、今、状況を見ていますと、企業の方も設備投資欲がやっと出てまいりまして、そのことが、既に幾つか成果が出ており、県北・沿岸地域の立地や増設につながってきたのですけれども、こういった企業の設備投資意欲に、あと人材教育の仕組みをうまく加味すると、そうした企業の意欲をより引き出すことが可能だということもございます。したがって、やはりここは観光も含めて、産業振興について他の県にない斬新なアイデアを出して、各企業にそれを見せていく時期でありますので、そういう思いもございまして、特に2年間は徹底的にそれに集中したらどうかということで書かせていただいたものでございますが、その上で、やはりこれを息長く展開していくという強い決意が必要でございますので、そのことは、次にどなたが知事になろうとも、そういった私の分析と思いについてはしっかりとお伝えしておきたいと思います。
〇工藤大輔委員 できれば、その思いをもう少し早くやっていただきたかったなという思いを持っています。
 続きまして、人口減少についてお伺いします。
 本県では、平成7年に老年人口が年少人口を上回って以来、少子化の傾向が続いており、また、平成11年に出生数を死亡数が上回ったこと、転出者数が転入者数を上回っていることから、高齢化とともに人口減少が続いている現状にあります。今後の人口推計によると、本県の人口は、平成42年には123万2、000人と、平成12年に比べ13%も減少することとなります。また、65歳以上の老年人口割合は、平成27年に28.3%、平成42年には32.3%と推計されており、人口減少とともに高齢化が大きく進展すると推計されています。高齢者人口の割合を地域別で詳しく見ると、2030年の推計では、県北・沿岸部の市町村は、その割合が他の地域に比べて高く、また、40%を超える市町村は、旧市町村単位で24市町村にも上ります。これらの数値は市町村単位での推計であり、集落単位となると、さらに大きなばらつきが出るのではないかと推測されます。過疎化などで65歳以上の人口比率が50%を超えると、社会的共同生活の維持が困難となる限界集落となりますが、本県の限界集落数の現状をどう把握しているのでしょうか、認識とあわせてお伺いします。
 また、今後、少子・高齢化により、ますます人口減少が進み、限界集落、さらには消滅していく集落も出てくる可能性があると言われています。過疎化が進む農山漁村にはそれぞれの地域に長い歴史と文化があり、山林の保全、水源の保全といった資源も有しており、昨年2月議会での所信表明演説で増田知事は、コミュニティーの結束力や解決力といった岩手ならではのすぐれた能力を結集し、官民が協働で支えるセーフティネットの構築について述べられ、生産人口の減少に対応するため、女性の就労と子育ての両立、定年を迎える団塊世代が持つ潜在力の活用などに努めていかなければならないとしたところでもあります。特に団塊世代の活用については、定住人口の増加策だけでなく、都市部と農山漁村部の交流、お互いの地域を理解し合う意味でも重要な取り組みと考えられますが、所見をお伺いします。また、それに関する具体的な取り組み方策があれば、お示し願います。
〇増田知事 まず、団塊世代の関係について私の方から申し上げたいと思います。
 この世代は、さまざまな経験や技術、そしてノウハウを持った方々ということで、まだまだお元気ですから、今後、地域社会の担い手として活躍を期待する世代であります。まず、こうした皆さん方との交流を積極的に進めて、ひいては将来的に岩手への定住につなげていきたい、今、こういう絵を描いているところでございます。
 そのためには、やはり全国に岩手ファンをふやしていく必要がありますとともに、教育旅行やグリーンツーリズム、健康いやし型滞在ツアーなどでの体験、2地域居住や本格的な定住など、さまざまなパターンやメニューでの受け入れが必要ではないかと思います。そうした団塊世代で間もなくリタイアされようとしている皆様方が多く所在するのはやはり首都圏でありますので、首都圏向けには、1万人運動と我々は言っておりますが、在京の岩手県人会や同窓会へ私からのメッセージを発信しております。いろいろお手紙を出しております。そのほか、いわて銀河プラザのいわて定住・交流支援センターでの相談、それから物産展等がたびたび開かれておりますが、そうしたところでのPR活動といったものに今取り組んでいるところであります。
 また、受け皿の方も整備する必要がありますので、民間団体、大学、市町村から成るいわて定住・交流促進協議会、これは昨年の12月に設置したばかりでありますが、ここと連携して、岩手大学のシニアサマーカレッジなどさまざまなメニューを準備するほか、久慈市、田野畑村など7市町村をモデル市町村に認定して、受け皿となる市町村と一体となった受け入れのメニューづくりを今進めております。こうした皆様方は、自分の思いなどにうまく合いますと、多少高いお金を払ってでも、むしろ積極的に来たいという人たちでありますので、ただ単に呼びかけるということだけではなくて、こちらの方でそういった人たちの思いを満足させるだけの多様なメニューづくりが必要になりますので、今、それにも取り組んでございます。今後も、本県の魅力をPRしながら岩手ファンを拡大して、逆にこちらの方で、地域で求める人材のマッチングや団塊世代が活躍できる場づくりを進めて、本県らしい定住・交流を促進していきたいと考えております。
〇藤尾地域振興部長 本県の限界集落数の現状をどう把握し、どう認識しているかについてでございますが、昨年、国土交通省、総務省が実施した過疎地域等における集落の状況に関するアンケート調査があるわけでございますが、これは過疎地域に限定したものでございまして、県内17の過疎地域市町村に存在する集落の総数は1、618となってございます。そのうち集落における65歳以上の割合が50%を超える集落は74集落でございまして、その中で、生活道路の管理、冠婚葬祭などの共同体としての機能が衰退した集落はないとの結果でございました。
 これを、いわゆる65歳以上の割合が50%を超える集落が占める割合を全国等と比較してみますと、本県が4.57%であるのに対しまして、全国では12.64%、東北では5.78%となってございまして、全国や東北平均よりも低いという状況になってございます。
 農山漁村を中心とした中で、集落の高齢化が一層進むことによって、これら地域における相互扶助機能の維持に支障が生じることが懸念されるところでございますが、これら地域につきましては、委員御指摘のとおり、多面的な機能を有してございます。したがいまして、産業・経済活動あるいは県民生活にとって重要な地域でございますし、また、近年は豊かな自然環境など、都市圏に住む団塊世代を中心とした住民の方々にとっても、定住・交流の場として非常に魅力のある地域となってございます。したがって、今後とも本県への定住・交流を推進するということと、それから、集落機能の維持に当たりましては、集落同士の横の連携を深めるほか、核となる集落を中心としてNPOなどとの協働を進め、これら地域の産業振興、地域づくりを積極的に支援してまいるべきものと考えておるところでございます。
〇工藤大輔委員 限界集落は65歳以上の人口比が50%以上という定義がされていますが、準限界集落となると、55歳以上の人口比で50%という形となり、恐らく岩手県も今後こういったところが一層ふえていくのだなという思いを持っており、強い危機感も持っています。また、例えば出稼ぎなどの形態も、今、変わってきており、これまで出稼ぎと言えば、一家の父親一人が関東の方に行ったり、また船に乗ったりという生活の中で一家が生計を立てていたという状況でしたが、現在では、父親だけではなくて家族丸ごと行ってしまう。そうすれば、奥さん、子供まで一気に若い世代がいなくなっているという現状に変わってきたと思います。そういった今後の流れ等もしっかりと考えながら、この人口減少に対する取り組みをしっかりと果たしていただきたいと思います。
 また、団塊世代の県の定住策の促進の中で、県では10年間で1万人が目標ということとされています。これを実現するには、かなりハードルも大きいというか、一生懸命取り組まなければ実現も難しいかなという思いも私は持っていますので、これについても一生懸命取り組んでいただきたいと思います。
 また、知事が今後どのような生活をされていくのか、だれもよくわからないわけでございますが、東京では浅野前知事も都知事選に出るかどうかという話もあり、勝手なイメージからすれば、例えば慶応大学の教授になり、地方自治について研究をされた中で、できれば2地域居住というものを岩手、東京でも、そういったケースになるとすれば、行っていただきながら、冬にはペレットストーブに当たり、たまにはまきストーブに当たりながら、また農業等においても、これまでの経験を生かし、米をつくったり、野菜をつくったりしながら、そういったものをみずからも行動されて、団塊の世代の方々により多く岩手を理解してもらって、この地域に定住してもらう、また2地域居住をしてもらうという役目もできれば果たしていただければ大変ありがたいと思いますので、お考えは結構ですが、心の中で考えていただきたいと思います。
 次に、少子化・子育て対策についてお伺いします。
 人口減少は、人の移動による社会増減と、出生・死亡による自然増減があり、本県はいずれも減少傾向が続いています。人口減少に歯どめがかからない状況となっている中、少子化問題については、国の税制と一体となって全般的に取り組まなければならない課題だと認識をしています。県ではこれまでさまざまな取り組みをしてきたと思いますが、結婚や出産は個人的な問題ということもあり、なかなか行政による対応も困難な部分があると思います。子育ては第一義的には家族の責任であるわけでもございますが、今後、地域全体とともに支援をしていかなければなりません。少子化・子育て対策のこれまでの取り組みを踏まえた結果、課題をどのように認識しているのでしょうか。また、平成19年度の具体的な取り組み方針とあわせてお伺いします。
 子育て支援・少子化対策特別委員会において静岡県を訪問し、子供がいる世帯を対象に、企業や商店などが商品の値引きや特別なサービスをする子育て優待事業を調査してまいりました。石川県が実施したのをきっかけに、平成18年度は12の県が導入しようとしており、対象世帯が地元の商店で買い物をすることによる経済効果等も発生している地域もあるようでございます。この事業の特徴は、行政だけでなく企業や商店といった事業者、地域社会が子育て支援に参加しているという点にあり、直接的に、また間接的に地域ぐるみでの子育て支援や企業における意識改革にもつながるものとして注目されているようでもあります。導入に当たっての課題、また本県でのこの制度の導入に係る検討状況はどのようになっているのか、お伺いします。
〇竹内副知事 少子化・子育て対策の今後の取り組みについてでございますけれども、本県では、平成7年以降、国の少子化対策プランに呼応いたしまして総合的な子育て支援計画を策定して、保育サービスの充実などの対策を推進してまいりました。地域における各種の子育てサービスは拡充されてまいりましたが、依然として出生率の低下が続いているのが現状でございます。これまでの子育て支援は、保育サービスの充実などに力点が置かれておりましたが、今後は、こうした取り組みに加えまして、働き方の見直しや社会全体の意識改革、あるいは子供と家族を大切にするという観点からの施策の充実に取り組んでいく必要があると考えております。
 平成19年度の具体的な取り組み方策についてでございますが、これは、平成17年3月に策定したいわて子どもプランの着実な推進を基本といたしまして、男性の育児参加や企業による子育て支援などの取り組みをさらに強化いたしますとともに、地域住民による子育て支援や不妊治療に対する助成事業の拡充など、さまざまな対策に取り組んでまいる考えでございます。
 それから、子育て世帯を対象に、企業や商店などが商品の値引きや特別なサービスを行う子育て世帯優待事業は、現在、全国20県で実施されておりまして、19年4月からはさらに幾つかの都道府県で実施される予定と承知いたしております。
 本県におきましても、企業や商店街など多くの方々に、子育てしやすい岩手の形成に参画いただくという点から、本県の子育て支援にも意義ある取り組みと考えておりまして、事業の導入のあり方について、現在検討を進めているところでございます。
 今後、導入コストや参加企業の確保あるいは対象範囲の設定、継続的・安定的な運営システムのあり方などについて検討を行いまして、この方式の早期導入に向けて取り組んでまいる考えでございます。
〇工藤大輔委員 秋田県では、去る2月23日に、子育て支援と教育充実を推進する将来ビジョンの骨子案を公表し、子供と教育を県民で支える必要性を打ち出し、子育て新税を導入して、子育て支援等の充実を図ろうとしているところでもあるようです。県では、こうした子育て支援等に係る新たな取り組みに対してどのような考え、所見を持っているのでしょうか。
 また、少子化対策に限ったことではないのですが、こうした特定課題のための新税の必要性について、どのように認識され、検討をされているのか、お伺いします。
〇竹内副知事 秋田県の子育て支援と教育充実を推進する将来ビジョンについてでございますが、これは、秋田の未来創造に向けて、子育て支援・教育の充実のための事業を、中長期にわたって安定的・継続的に実施することを、県民からの税負担という独自の制度として導入しようとする提案であると承知いたしております。
 本県におきましても、子育て支援と教育の充実は大変重要な課題でございまして、先ほど申し上げましたいわて子どもプランや第8次岩手県教育振興基本計画などによりまして、各般の施策を推進しているところでございます。少子化対策は多角的な視点から多様な取り組みを進める必要があると思料いたしますので、委員御指摘の秋田県の取り組みも参考にしながら、本県独自の課題を十分に把握して、子育て支援や教育の充実に向けて、新たな方策の検討も視野に入れながら、より積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇川窪総務部長 特定課題のための新税に関してでございますが、国・地方を通じまして厳しい財政状況が続いておりますし、また、交付税も抑制基調にある中にございまして、それぞれの地方で地域の実情や特性に応じた政策を積極的に、また安定的に推進していくためには、独自の財源確保を図っていくということは重要なことであると認識しておりまして、その一つのあり方といたしまして、受益者に直接負担を求めるのではなく、社会、地域全体で負担する、力のある方から御負担をいただくというような意味での新税を検討していくということも、また有益な手法の一つであるものと認識しているところでございます。
 本県におきましては、現時点で具体的にそのような新税を検討しているという段階ではございませんけれども、平成19年度以降に新たな行財政構造改革に関しての計画なり、プログラムなりを策定していくということになりますので、その策定にあわせまして、中期的な財政見通しや収支不足対策、また重点化して力を入れるべき政策のあり方などとあわせまして、そういった独自の財源確保の方策等につきましても、幅広く議論をしてまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 次に、雇用対策についてお伺いします。
 本県の有効求人倍率は、平成13、14年の0.42から、平成18年12月では0.89と持ち直しの動きが見られるところでありますが、久慈・二戸地域は0.39と依然として低水準であります。一方、北上地域は1.9倍と、県内でも大きな開きがあるわけでありますが、この開きをどのように分析しているのでしょうか。また、本会議での高橋雪文議員への答弁で、雇用環境に改善の兆しが見られるようになってきており、今後、雇用の質をよく見て取り組むことが重要との答弁でございました。地域によっては、質よりもまず量の確保が課題である地域もまだまだたくさんあるのではないかと感じています。地域の実情に沿ったきめ細かな対策を講じてもらいたいと思いますが、所見をお伺いします。
 また、総合雇用対策局の廃止についてお伺いしますが、本県の最重要課題の一つであり、いまだ本格的な雇用情勢の回復が見られない中で、総合雇用対策局を廃止するというのは、県の雇用対策の後退と受け取られても仕方がないのではないでしょうか。雇用創出、雇用確保に向けた県の取り組み姿勢、認識について改めてお伺いします。
〇増田知事 まず、この問題の認識については私の方からお答え申し上げたいと思います。
 今、御指摘いただいた総合雇用対策局という組織でありますが、これは平成15年6月に設置したのですが、その当時は、今、委員からお話がございましたとおり、県全体として0.42という非常に低い有効求人倍率であったこと等を受けて、臨時緊急的な課題を解決するための組織として、その時期に設置したということであります。
 雇用情勢についての認識でございますが、これは、私も委員と同じような認識を持っておりまして、県北・沿岸地域で依然として低いということがございますので、こういった地域は、やはり質よりもまず量を出していかなければならない、こういう点もその必要がこの地域にはあると私は思っております。
 ただ、県全体で見れば、雇用情勢に改善の兆しがある。それから、若年者の就職支援体制を、その後、ジョブカフェ、サテライトも含めて構築してきたということ、そして、それが動き出しているということがあって、こうしたことについて一定の成果を上げてきたということがございますので、今後は、まず県北・沿岸地域の雇用情勢への対応と、質の面では正規・非正規などの問題に対応する必要があると思っております。引き続き、県政の中では雇用対策は重要課題として取り組んでいきたいと思っておりますが、今申し上げましたような点については、産業振興施策と一体的な取り組みで、特に、県北・沿岸地域の雇用創出を図ったり、県南も含めて質の面での改善を図るということが、その効果を出す上で有効であると判断しまして、今回、総合雇用対策局を廃止して、今後は商工労働観光部の中の労政能力開発課に特命参事を置いて、そこでチームをつくって対応していきたいと考えているものでございます。
〇竹内副知事 有効求人倍率の地域差についてでございますが、平成16年度の市町村の純生産の内容を見てみますと、例えば北上地域は、電子部品・デバイス製造業、輸送用機械器具製造業など、製造業の占める割合が高いのに対して、御案内のように、久慈・二戸地域は、雇用吸収力の高い製造業の集積度合いが少ないということがございます。農林水産業や建設業などの占める比率が高いことが、有効求人倍率の差になってあらわれていると想定いたしております。特に北上地域におきましては自動車関連産業などが好況であることなどにより、いわゆる労働力集約型の製造業を中心に求人が好調に推移しておりまして、こうした地域の産業構造の違いが雇用力の違いにつながっていると思料されますことから、今後は、県北・沿岸地域への製造業やあるいは食品加工業などの誘致、さらには地場企業の育成に一層力を入れますとともに、1次産業の起業化など、産業振興と一体となった雇用対策が必要であると考えております。
 それから、質と量のお話がございましたけれども、これは先ほど知事が申し上げましたとおりでございまして、委員御指摘の量的な雇用の確保、まずはこれに努めますとともに、これに加えて正規雇用の確保など、いわゆる所得面などの格差を固定化させないような取り組みも重要と考えておりますので、量及び質、両面での対策に力を入れてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 これまで総合雇用対策局が果たしてきた役割は非常に大きかったのだと私は思います。ただ、現実問題として、量がいまだ改善されてない地域がある。そしてまた、量が改善されたら、今度は新たに質の問題が発生しているという現状にあるとすれば、私は、やはり総合雇用対策局は現状のままで、しっかりと今の現状認識を深めた上で対策をとることが必要なのだと思います。これまでも産業施策と一体としてやってきたはずですし、別でやってきたということではなかったはずです。そして、今のこの現状は、県北・沿岸などは特にも深刻な現状であり、例えば平成17年12月の数字でも0.35、また平成18年2月では0.26といった数字も実際に出ており、今の危機的状況というものを本当に把握しているのかどうかという思いもします。把握しているとすれば、こういった現状のこの対策に、さらに強化していくのだという姿勢があってしかるべきでありますが、やはり総合雇用対策局を廃止して商工労働観光部の中の一つとするのであれば、後退しているという感が否めないわけです。県民にもしっかりと期待をさせ、また、各企業や全国に発信する意味からも、私は再考をすべきと思いますが、改めてお伺いします。
〇増田知事 確かに、この雇用問題については、我々もきちんとした取り組みをやっていかなければならないと思っております。その中で、やはりこれからは地域的にこの問題はきめ細かく見ていく必要があるだろうということと、従来行ってきたような対策を、量をできるだけふやすということよりも、例えば正規・非正規の問題ですとか、最低賃金の問題ですとか、そういったことについてまた違う観点から取り組んでいかないと、こうした問題の抜本的な解決にはならないと考えておりますので、決して、こうした雇用対策についての取り組みを低下させるという意味ではございませんが、特に県北・沿岸地域にジョブカフェのサテライトもございますが、今後、そうしたところに県としても最大限の支援をするなど、きちんとした対応をしていきたい。そういう意味で、また新たな観点からこの雇用対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 認識のずれがあるなと思います。いずれ、やはり数字でも出ているとおりの状況ですし、現状をしっかりと踏まえた対策を十分にとっていただきたいと思います。現状の組織については、また新年度以降取り組まなければならないことなのだなと思います。
 次に、岩手競馬についてお伺いします。
 この競馬事業は、これまで県の方でも、また先般の一般質問等においてもさまざまやりとりがなされてきました。その審議の過程を受けとめますと、競馬組合が進めていきたいという方向性について、まだまだ理解が深まってないという思いも持っています。また、知事の本会議での答弁等を拝聴する中で、さらに理解を深めていきたいという答弁もあり、私はやはりこれまでの取り組みが遅かったのだという感がします。県民に対し、また議会に対し、もっと早く方向性を決めて議論を深めていく時間が必要だったのではないかと思います。ただ、現状ではもう時間がなく、今後の予算審議の中でまた議論がなされていき、そして3月中旬にはその結論が下されているというスケジュールとなっています。
 そういった中で、これまでの議論等を踏まえた結果、知事は、仮に、県、両市の330億円の融資が否決された場合に、この競馬事業の存続についてどのような思いを持っているのでしょうか。また、資金ショートの回避策は残されているのかどうか、お伺いします。
〇増田知事 競馬の関係でありますが、仮に今回の予算案が、今、委員の方からお話がございましたとおり、否決された場合にはどうなるかということでのお尋ねでございました。そうなった場合、すなわち構成団体融資が実行できなくなった場合ということでありますが、そうしたことが生じますと、これは、現在の組合の経営状況ですとか、存廃基準を設定したということから見ますと、金融機関から新たな融資を受けて、返済資金を調達するということを組合が行うことは困難でありますので、まず最初には、3月20日に償還日が到来するものがございます。3月20日に償還日が来る起債の元利合計は9億3、000万円ございます。うち元金が7億5、000万円で、これに利息が加わりまして、3月20日に起債の元利合計9億3、000万円の償還日が来るわけですが、これの返済が不可能となるということでありまして、この時点で組合が資金ショートするということになろうかと思います。また、その後、年度末、3月末までの債務は、今申し上げましたものも含めまして、全体で330億円ほどございます。この330億円のうち、本会議の方でも申し上げましたが、公営企業金融公庫の繰り上げ償還補償金を除く215億4、000万円につきましては、今年度末までに返済期限が到来するわけでございまして、民間金融機関などにそれをお支払いする必要がございます。したがいまして、こうしたことから考えますと、新たな金融機関からの融資が望めない、構成団体融資もないということになりますと、今年度末までに、構成団体から組合に対して、融資にせよ、分賦にせよ、何らかの形で資金を拠出していないと、組合の方が資金不足になるということでありますが、今申し上げましたようなことで、予算が否決になるということになりますと、競馬事業の継続が今年度末をもって困難になるのではないかと考えておるところあります。
〇工藤大輔委員 そうなった場合に、存続に向けた計画に対する理解をこれまで求めてきたわけですが、先般、330億円の構成団体融資の必要性ということで、総務部長または農林水産部長からも説明等がございました。そういった中で、競馬事業の廃止も一つの選択肢であると文書の中で示され、今まさに知事の答弁であったのかと思います。
 そういった中、実際に廃止となった場合の影響がどのように発生するのか。恐らく県民の方もまだまだ理解が不十分なのかなという思いを持っています。330億円の融資ということは報道等でも示されているわけですが、廃止になった場合の影響がいかほどなのか、また地域においてどのような影響が出てくるのか等、今後の自治体の運営等も含めて、まだまだ理解不足の感があると思いますが、この機会ですから、知事の方から直接御説明を願いたいと思います。
〇増田知事 廃止になった場合の影響についてのお尋ねでございますが、競馬事業を廃止するという場合には、競馬組合が一部事務組合でありますので、競馬組合を解散するということになります。この場合、競馬組合そのもののあり方、持っております資産や負債の処理方法なども含めて構成団体間で検討し、そして、負担が最小限となるように取り組んだ上で、なおまだ損失が生じているときの負担というのは、競馬組合で決められております規約がございますので、規約にのっとって構成団体間の協議を経て、各構成団体の具体的な負担を決定するという手続になります。
 ここで今、最後に言いました具体的な損失額を確定するためには、例えば盛岡競馬場やテレトラックの処分方法なども決めなければいけない。これは他用途への転用も含めて、そうしたことを考えていかなければならない。それから、他の競馬場で廃止になったところの事例等を見ますと、競馬関係者への見舞金等の取り扱い、こういった問題が生じてきます。こうしたことを決めていかなければなりませんので、このためには相当な時間をやはり要するであろうと思うわけでありますが、そうした上で最終的な数字を確定させることになります。ですから、現時点で372億円と申し上げているわけですが、それを最終的に1円まですべて確定させるということは、現時点ではちょっと難しいのですけれども、しかし、少なくとも組合が抱えている債務の、先ほど言いました金融機関等への返済や支払いについては、期限が到来する3月20日の起債元利9億3、000万円を含めて、この年度末までに215億4、000万円の返済・支払いは、廃止のための構成団体間の協議の進捗状況にかかわらず、競馬組合が対応できない以上は、返済期限までに構成団体が負担することは避けられない。少なくとも215億4、000万円については、この年度末、今月末の返済期限までに構成団体が負担すること、これは避けられないと考えるわけであります。
 また、この影響ということで言いますと、こういう額について、さらに構成団体に対しての一般行政への影響等ということも今後出てくるのではないかと思っているわけであります。先ほど言いました補償等も含めまして、それも積み上げますと、330億円から372億円に膨れ上がるのではないかと私どもは計算しているわけでありますが、仮に372億円と決めますと、競馬事業を廃止する場合のこの372億円の債務を、仮に組合規約に定める分賦割合に単純に当てはめて各構成団体の負担額を試算すると、県が204億6、000万円、奥州市が93億円、盛岡市が74億4、000万円という数字になるわけですが、これを見ますと、県も大きな額になるのは当然でありますが、特に奥州市や盛岡市の財政運営に極めて大きい影響を及ぼすであろうと、これは次の段階としてそういう問題が出てまいります。
 それから、地域経済に与える影響として、直接的な経済効果が失われるということで、約100億円の経済効果がなくなると考えておりますが、そのほか、関係者の雇用問題の発生といったことが生じてくるだろうと思います。もちろん、競馬組合とか競馬振興公社の職員の雇用の維持も困難になるわけでございますが、それ以外、食堂を経営しておりましたり、それから厩務員、調教師といった皆さん方の雇用問題がそれ以前の段階として出てくるわけでございまして、こうした意味で、財政問題のみならず地域経済に与える影響は大変大きいものがあると考えているところでございます。
〇及川幸子委員長 工藤委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 工藤委員、御了承願います。
   午後12時1分 休憩
午後1時4分 再開
〇亀卦川富夫副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤大輔委員 先ほどは、競馬事業が廃止になった場合の影響について説明をいただきました。先ほどの説明を聞いていてもこれまでの答弁と余り変わらないわけですけれども、これが果たして県民に広く理解されているのかということになると、なかなかその状況になっていないのではないかと思います。マスコミ等の報道でも330億円の数字が先行しているような感じの中で、それが実際に起こった後の状況までがなかなかなんだと。それについて知事はどのように感じているのでしょうか。
 また、これが実際に伝わる方策として、本会議ではさらなる理解をという答弁を繰り返されているわけですが、県民へのメッセージ、また、各議会へのメッセージをどのように発して理解をさせようとしているのか、その方策があればお伺いしたいと思います。
〇増田知事 廃止の場合の大きな影響については先ほど申し上げたとおりでありますが、この点についての理解あるいは内容の発信がまだ不十分ではないかという御指摘はそのとおりでございまして、引き続き、この点については特に県民の皆さん方に御説明していかなければならないと考えております。近々に地元の新聞にまた、今回2回目になりますけれども、今、競馬組合が置かれている状況と、それからどういう点が問題になるのかという内容について、今、中で精査しておりますが、県民の皆さん方の御疑問に答えるような内容の記事、記事といいましょうか、広告を掲載いたしまして、また広く県民の皆さん方の御理解を求めていくようにしたい。
 先週になりますけれども、競馬の今回の融資についての、従前よりは詳細な説明資料等も用意させていただきましたけれども、私も機会あるごとに、県民の皆さん方などにお会いするときに、今置かれている状況等を説明してございますが、県あるいは組合の方で、それぞれまたそうした資料をもとに十分な説明を尽くしていきたいと考えています。
〇工藤大輔委員 今回の判断の争点となるのは、まず一つに、来年度以降の計画が達成可能かどうなのか、数字上で実際に可能な数字なのかどうか、売り上げの数字が果たして見込みとして正しいのかどうかといった点、また、さらなる赤字が出た場合にどう処理するのかなどが判断の争点になってくるのではないかと思います。そして、前段で述べた計画の達成の実現度ということに関すればおのおの考え方があると思いますが、さらなる赤字が発生した場合の例えば処理方法をどうするのか。これまでは赤字が出ないようにということで、関係する団体や方々と協議をして、収支をとんとんにできれば競馬事業は存続する、また、そこでできなければ競馬事業を廃止するという存廃基準のルールを決めたわけであります。ただ、実際にスタートした場合に、赤字が出て、各団体の方々、また、運営協議会の委員の方々の協力をもらえる段階であればとんとんになるかもしれませんが、もうお手上げですとなった場合、そこで発生した赤字が実際に新たな県民負担になることになると思います。その処理方法をではどうするかということを最初に決めておくべきではないのかという思いを私は持っています。例えば、1億円の赤字が仮に発生した場合、では、この1億円の赤字は職員の給料や出走手当といったもので処理しますということを事前に決めていれば、少なくともその分の対策というか対応の見通しは立つと思います。それが立たない中で、そちらの方で、さらなる赤字は出ません、出ませんと言っても、これは信憑性に欠ける問題になると思いますので、短い間ではあると思いますが、そういったことをできれば関係者の方とも十分に協議され、まとめることができればまとめていただいて、そういったものも次の理解を求める方策の一つとして準備されていくべきではないのかと私は思います。
 また、競馬事業を進めることが決まった場合、例えば、これまで1号交付金、2号交付金をどうするかといった議論があったり、また、国に対して要望がありました。私は、この1号交付金、2号交付金という議論も当然必要だと思いますが、競馬法の中で、25%を手元にもらった中での運営ということの枠を超えた決め方を農水の方にやってもらえないかということもあってもいいのかなというふうにも思うんです。そういったことを含めて、300億円の発売額とすれば、1%違えば3億円違うわけですから、そういったものの中で、ファンサービスに使うお金、収支改善に使うお金、魅力あるレースに使うお金等を準備しながら、今後そういったことも国にしっかり要望しながらやる必要があると思います。これについてコメントがあればお伺いします。
 最後に、森のトレー問題についてお伺いします。この問題については、やはり知事が退任される前に決着すべきであると思い、質問するところでございます。
 訴訟費用に係る久慈市との負担割合について、現段階でどのような状況になっているのか、お伺いします。
 また、国への補助金の返還に係る滞納金についてですが、現在ではどのようになっているのか。また、延滞金の免除が受けられるかどうかということがまだ明確に答弁されていないと思います。それについて答弁を願います。
〇増田知事 まず、競馬の方からお答え申し上げます。
 今お話をいただきました赤字の場合、存廃基準があるわけですが、赤字の発生を極力抑えなければいけませんので、ああいうルールはつくってありますが、将来、廃止する段階で、赤字が出て廃止するということは絶対に避けなければいけないと思っておりますので、赤字が発生しそうかどうかという判断をする運営協議会の開催の頻度をできるだけ多くして、そして短い間隔で諸費用の調整を行う。そして、その上で次の開催に向けていく。仮に今、委員から御指摘いただいたような廃止という決断をするにも、その赤字が膨れ上がらない段階で処理をすることが求められると思います。
 いずれにしても、まずコスト削減を前段階で行うわけですが、これについては、関係者が今後集まって、どういう形でコスト削減できるのか、あるいはその順番をどうしていくのか、でき得れば事前に合意形成しておくことが望ましいと思います。これは若干時間がかかるかと思いますけれども、そのことに今後努めていきたい。
 そして、こうしたスキームを入れたことによって、売り上げについても、過去の反省に立ちまして現実的な売り上げの線を見込んでいると私ども考えておりますが、そうした売り上げを見込みつつ、赤字にならないようにコスト削減をする、こういうルールになっていますというその全体像を、委員からお話がございましたように、県民の理解を求めるということで、今後、私どもの方で地元紙等を通じていろいろPRに努めていきたいと思っていますが、そのことについての理解を求めていきたい。
 それから、国の方に対してですが、競馬法改正の動きがございますし、従来から国庫納付金のことについては関係主催者と相談して要望してまいりましたが、今、他の主催者も似たような状況に置かれていますので、ファンサービスを徹底することからも、今の制度のあり方も含めて、よく相談をして国の方に要望していきたいと思っています。
 それから、森のトレーでありますが、まず、議会の方からも御指摘をいただいておりました訴訟費用の負担割合が久慈市との間で決まっておりませんで、今、委員の方からも御指摘をいただいたところでありますが、これにつきましては、久慈市とずっと長い間協議してございましたが、本年2月19日に、この負担割合を県が7、久慈市1とすることで合意したところでございます。訴訟費用の負担割合を、県7、久慈市1とすることで合意したところでございます。今申し上げました7対1という負担割合は、平成16年3月に国に対して行いました国庫補助金の一部返還における県と市の負担割合と同一でございまして、私どももその同じ割合で決めるのがよかろうと思っておりましたが、その形で決めたところでございます。
 例の国庫補助金の延滞金につきましては、県として最大限の努力をすれば延滞金についてでき得る限りの対応をするという回答を林野庁の方からもらっておりまして、県として最大限の努力というのは、この場合には訴訟を行って相手方からお金を取り戻す、そういう行為でございますので、県としても、今、訴訟について全力を挙げて対応しているということでございます。これを今後も継続していく必要があるわけでございますが、県がこうした努力を継続すれば延滞金の免除について林野庁に対応していただける、このように考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 知事の12年間における県政運営について、これまでの御尽力に心から敬意を表しますとともに、これからは一県民として、県民総参加型の県政にさらに情熱を傾けてくださいますよう心からお願い申し上げ、質問を終えます。
〇亀卦川富夫副委員長 次に、柳村岩見委員。
   〔柳村岩見委員質問者席に着く〕
〇柳村岩見委員 自由民主クラブの柳村岩見でございます。昨年に引き続き、会派を代表いたしまして総括質問させていただく機会をいただき、同僚委員に感謝申し上げる次第でございます。
 それでは、順次、通告に従い、質問してまいりますが、明快な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 さて、平成19年度の当初予算は、統一地方選挙後の6月補正予算において、新規・政策的な経費について肉づけする前提での骨格予算ということであります。増田知事にとっては、3期12年間における最後の予算編成でもあったわけであります。同僚佐々木大和議員の代表質問にもありましたように、骨格予算となった当初予算にあって、緊急的に着手する必要のある事業、優先的に取り組む課題への対応については、増田知事の予算として盛り込まれたものと思います。また、昨年、この場で私が何点か平成18年度当初予算を踏まえての課題や問題点、具体の対応などについて質問、要望させていただきました。今回の質問においては、これらの検証も行い、私なりに評価しつつ、骨格予算となった当初予算に関連して、その性格や意義などについて質問していきたいと思っております。
 まず、知事のマニフェストについて何点かお伺いいたします。
 第1点目は、昨年の予算特別委員会でもお伺いした政策推進枠200億円についてであります。県は、増田知事のマニフェストをもとに、県の政策として40の政策を掲げ、これを推進するため、平成15年度から4カ年で総額200億円、単年度当たり50億円を措置して重点的に取り組んでまいりました。昨年、私は、この4カ年の総括を含めてお伺いしたのですが、知事は特に、平成18年度は、40の政策の取り組みでおくれている部分を中心に事業を進め、しっかりとした進行管理を行って着実に目標を達成できるよう取り組む考えを答弁されました。
 さて、去る2月9日、増田寛也マニフェスト自己評価報告が出され、知事の自己評価は70点とのことでありました。後日、地元紙の論説は、自己評価は高くないかと疑問を呈しました。私も、改めてマニフェスト自己評価報告を拝見しました。なるほど、よくできている自己評価であります。達成度70点。数値目標を持っている目標の全体の約8割が達成度80%以上ですから、それに近似するのは当然でしょう。しかし、県民の視点に立った場合、どういう評価がされるのでしょうか。一般質問で、同僚高橋雪文議員、嵯峨壱朗議員も、県民から見た評価と乖離があるのではないかと指摘しているところでありますが、私も同感であります。
 そこでお伺いしますが、マニフェスト達成に向けた4年間の政策推進枠は、すべての事業が計画どおり執行されたのでしょうか。例年、2月補正予算は多額の減額補正となっているところですが、最終実績ベースでの総額はどの程度だったのでしょうか。数値目標の中には、研修や講習会や受講者数、何とかサポーター数など、自己評価には都合のよい数値目標が見受けられます。客観的な数値設定が難しい面はあろうかと思いますが、やはり実際にかけた経費に見合った結果、県民が実感できる結果こそが本来評価されるべきものと考えるところでございます。この点についていかがでしょうか、改めて知事のお考えをお伺いいたします。
〇増田知事 政策推進枠でありますけれども、これは、今、委員からお話ございましたとおり、全体として200億円の財源を確保して取り組んできたところでございます。そしてまた、これも御指摘いただいたとおり、初めの年度、すなわち平成15年度から15、16、17、18年度と取り組みましたが、初年度、2年目は、これについては多額の減額補正が出ました。4年間ですので、大体年間当たり平均すると50億円ほど事業を実施しなければいけないんですが、最初の年度─平成15年度は2月に10億円減額補正いたしましたし、2年目に当たります平成16年度は7億2、000万円の減額補正となっております。平成17年度、18年度は、最終予算額が48億円と、いずれもほぼ予定どおりでございますが、足し合わせまして、200億円の予定が現時点の見込みでは約170億円、こういうことでございます。これは、国庫事業の導入による一般財源の節減などもその中に含まれておりますけれども、いずれにいたしましても、全体としてはこういう状況になっているところでございます。最終年度に当たります平成18年度は、40の政策の推進に当たって、特におくれている分野にこういった予算を集中的に投下して、そのおくれを挽回するように努めたところでございます。
 それから、成果の評価の関係で御質問をいただいたわけでありますが、私が発表いたしました自己評価につきましては、考え方としては、かかった経費と成果との関連や県民の実感を反映させることを目指したものでございまして、その上での評価ということでありますが、評価手法については、第三者委員などからも御指摘をいただいていますように、実はまだ定まっていないところでございまして、まだまだ多くの課題があると認識しております。
 したがいまして、そうした評価手法などについて、多くの関係者がさまざまなやり方でやっておりますが、それについての優劣なども今後さらにいろいろ比較検討した上で、できるだけ客観性のある、そして今、委員からお話のございました県民の実感に沿ったような評価で、それを次の新たな政策につなげていくことが大事ではないかと考えているところであります。
〇柳村岩見委員 次のところを一緒にお聞きするのでしたが、あえて離しました。
 例えば、医師確保対策で、中国人医師招聘があります。先輩佐藤正春委員が昨年の予算特別委員会で取り上げました。現在、1名が臨床修練制度を活用して受け入れが行われております。計画では3名ではなかったでしょうか。その後どうなっているでしょうか。この取り組みが県民にどのような貢献があったと言えるのでしょうか、具体的な成果についてお示しをお願いしたいと思います。また、平成19年度の計画はどうなっているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇増田知事 医師確保の関係で中国人医師の招聘の関係でありますが、これは、岩手県と中国の中国医科大学が締結した協定─平成17年5月でございますが─に基づいて募集要項を定めたところでありますが、3名の中国人医師の招聘を予定しております。ただ、これは年度ごとの募集計画となっておりませんで、いずれ3名をこちらの方で募集したい、こういう要項になっているものでございます。
 現在、既に1名が来県してございまして、岩手医科大学附属病院で臨床修練を継続してございます。これは産科でございます。それから、もう1名、小児科の医師の受け入れ体制に向けて調整を進めているところでございまして、面接を実施して、予定者を今、内定してございますので、また必要な手続を進めていきたいと思っております。
 今申し上げましたように、これは全体3名と考えてございますが、年度計画をもって推進しているものでは必ずしもないわけでありますけれども、3名を全体として受け入れて、そして岩手医科大学と中国医科大学の医学交流を通じて、指導に当たる岩手医科大学の講座の活性化を期待しているものでございます。この点については、受け入れをした1名の産婦人科医師の臨床修練における高い技術を大学側も高く評価してございまして、一定の効果があったと認識しておりますが、いかんせんまだ1名でありますので、もう一つのねらいでございます、大学から県内医療機関への応援の充実に結びつくにはまだ至っておりません。したがいまして、今後、予定している3名の医師の受け入れに向けて、中国医科大学と協議を行い、今申し上げました、後の方の効果、すなわち県内医療機関への応援の充実に効果が結びつくように努めていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 増田知事のマニフェストには、岩手競馬の経営改革については入っておりません。4年前当時、岩手競馬経営改革は自助努力で解決すべきこととされていたところであり、入っていなかったというのは、ある意味ではそういうことによることと思いました。しかし、この4年間、特に増田知事3期目の後半2年、岩手競馬について、あるいはまた農林業など赤字体質の県出資法人など、重要県政課題となっているところであります。そして、多くの議論が行われております。その点から考えますと、マニフェストに入れるという先見性、見識が岩手の最高指導者にはあってほしかったと考えるところであります。その上で評価があるべきだと考えるのであります。マニフェストが県政課題から離れてひとり歩きをして、そして評価を受ける、そういうことであってはならないと思うところであります。結局、マニフェストは、任期を経過して、岩手がどうよくなったのかという、その度合いが評価ということだと私は思うところであります。今期でやめられるということでありますので答弁は求めませんが、選挙におけるマニフェストは、県政重要課題への考えが入っているべきだと私は指摘しておきたい、このように思います。
 次に、政策等の評価に関する条例に基づく政策評価についてお伺いいたします。
 県では、平成13年度から本格的な政策評価を導入いたしました。毎年、総合計画の進捗状況を把握するとともに、今後の課題などを明らかにし、その結果を政策評価レポートとして取りまとめ、県議会にも報告されております。制度の導入から5年以上経過し、また、平成17年度をもって総合計画も前期を終了し、昨年8月には前期分全体の総括がされたところであります。
 この制度については、これまでの印象を申し上げますと、県庁内で苦労されて取りまとめがされておりますが、県政運営にどう生かされたのかという点について率直に疑問を感ずるところであります。実務に携わっている多くの職員からもそのような声が聞こえてくるところであります。
 そこでお伺いしますが、県としては、こうした政策評価の現状についてどのように受けとめているのでしょうか。また、現在、後期実施計画に相当するものとして新しい政策推進プランの策定に向けた検討が進められていると思いますが、このプランの策定にあわせて、政策評価のあり方についても改めて考えていく必要があるのではないかと考えます。いかがでしょうか、お尋ねいたします。
〇相澤総合政策室長 政策評価についてお答え申し上げたいと思います。
 まず、現状についての認識でございますが、本県における政策評価は全国に先駆けて行ってきたということがございまして、毎年、改善、見直しを行いながらやってきた、こういう経過でございますけれども、いろいろ手法等につきましても蓄積が図られてきたと考えておりまして、ようやく基礎的な段階から次のステージに行けるのではないかと考えているところでございます。
 今後のことでございますけれども、大きく4点ほどございまして、第1点は、予算編成としっかりリンクさせたいと考えておりまして、9月から10月に評価を行いまして、年度途中の状況も含めて評価を行っていく仕組みを検討したいと考えています。2点目は、社会経済情勢の大きな動き、あるいは県民ニーズの変化を大局的にとらえていく視点を重視したいと考えております。また、評価結果はコンパクトでわかりやすいものにして、多くの皆様に御理解をいただけるようにしてまいりたい。最後でございますけれども、NPO等との連携を強化して、外からも評価をいただき、県民の施策形成への参画を促していけるようなものに変えていきたいと考えているところでございます。
〇柳村岩見委員 次に、分権への取り組みについてお伺いいたします。
 昨年12月8日、地方分権改革推進法が成立しました。地方6団体は同法の早期制定を強く求めてきたところであり、すぐさま歓迎のコメントを発表いたしました。このコメントの中で、今後は、安倍総理の強力なリーダーシップのもと、政府一体となった推進体制を整備するとともに、地方分権改革推進委員会の委員選任に当たっては、地方の意見を反映させた上で、同委員会を早期に発足させることを強く望むとあったところでございます。この委員会は、委員7名をもって組織し、委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとなっているものであり、4月に発足するものでありますが、3月には決定されるものと思います。マスコミ報道によりますと、この委員に増田知事が候補として名前が挙げられました。全国知事会改革派知事として地方分権改革をリードしてきた増田知事であればこそ、委員就任は大変ふさわしいものと期待するところであります。
 そこでお伺いしますが、委員就任の件とは切り離して、岩手県知事として、地方分権改革推進法について、これまでの分権改革に向けた取り組みの総括も含め、全国に向けた意気込みも含めて所感をお示し願いたいと思います。
〇増田知事 今回、地方分権改革推進法が成立したということは、さらなる分権改革が必要であると我々が常々訴えてまいりましたことに対しまして、政府、そして国会がこたえたものと考えておりまして、評価しているわけであります。今後、地方分権改革推進委員会が発足して、法律にのっとりまして地方分権改革推進計画に向けての具体的な指針をその場で検討して、内閣総理大臣に委員会が勧告する、このようになっているわけでありますが、その勧告を受けて、政府が強いリーダーシップを発揮して真の分権改革を進めることができるかどうか、ここが極めて重要なポイントである、このように考えております。
 そして、このためには、各政策分野ごとに国と地方の役割分担の徹底した見直しを行う、そして、地方側としても、具体的な改革案を早急に取りまとめて、多くの国民の理解と支持をいただくように行動していくことが分権委員会に対しての強いメッセージになるのではないかと思っているところでありまして、今後、分権委員会の役割にも期待いたしますが、何よりも政府としての強いリーダーシップの発揮、それを支える地方側の国民の理解と支持をいただくための行動、このことに今後、地方側として努力をしていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、新しい行財政構造改革プログラムについてお伺いいたします。
 昨年私は、平成18年度に策定予定の新しいプログラムについて、その基本的な内容と作成スケジュールについてお伺いいたしました。平成18年中に行革プログラム骨子を取りまとめたいとの答弁でございました。しかし、平成18年中はおろか、2月に公表されたのは4年間の取組状況、総括でありました。新しい行革プログラムの骨子は影形もなく、新行革プログラムは、骨抜き以前に手抜きというような状況でありました。昨年8月、県は、向こう4年間の中期財政見通し試算を公表いたしました。この見通しは、これまで以上に厳しい財政状況とし、乾いたぞうきんを絞ってでも対応していかなければならないとされました。その後、岩手競馬支援のためにとらの子の基金をも投入する状況に至り、ついには基金残高もわずかな状況となって、今後の財政運営は果たして大丈夫なのか、多くの県民は心配していると思います。まさに、危機意識の欠如との地元紙の指摘は的を射ているものと私は思います。不断の行財政改革の取り組みとして、組織・職員体制のスリム化などは既に予定されているものであり、予算のあらましに記載されているものであり、この1年間の新たな行革の取り組みは行われてきたのでしょうか。行革の取り組みは、新しい知事の判断をまつまでもなく、まさしく不断の取り組みであるわけであります。
 そこで改めてお伺いしますが、新しい行財政構造改革プログラムの基本的な考え方と今後のスケジュールをお示し願いたいと思います。
〇相澤総合政策室長 新しい行革プログラムにつきましては、平成19年度以降の新しい政策の方向性と一体的に考えたいと考えておりまして、若干おくれておりますけれども、今、その検討作業を行っております。
 具体的な考え方でございますけれども、一つは、住民の参画と協働を進めていく形で地域づくりを進めたいと考えておりますので、市町村中心の行政システムをいかにつくっていくか。さらに2番目でありますが、民間力、地域力が大きく発揮されるような県政の仕組みをいかにつくっていくか。こういう基本的な点に加えまして、知事部局4、000人未満体制への移行など、徹底したスリム化などの観点から検討を行っているところでございます。
 今後、いろいろ内容の詰め等を行ってまいりたいと考えておりますけれども、来年度において、新知事の検討を経た上で、新しい政策の方向性と一体的な両輪として検討いたしまして、案を公表いたしまして、県民の皆様、市町村を初め関係団体等から御意見を伺い、策定していく、こういう形で進めてまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、権限移譲についてお伺いいたします。
 知事演述では、市町村中心の行政システムに移行していく必要性を特に強調され、来年度は7市町村に14人の県職員を派遣し、市町村支援を強化する予定とのことであります。平成14年度、権限、財源、人材の3点をセットに、県道の改築などをモデル事業として一括事務移譲を開始して以来、これまで多くの事務について移譲を進めてきました。しかし、この間、合併が進み、58市町村から35市町村となりました。合併した団体は、職員の配置見直しなど、権限移譲どころか、みずからの組織体制をどのようにしていったらよいか大変な状況にあることも事実であり、権限移譲どころではない、こういう声も聞こえるところであります。
 そこで、権限移譲に係るこれまでの取り組みの成果と評価についてお伺いします。あわせて、権限移譲の課題と今後の対応についてもお伺いいたします。
〇増田知事 権限移譲についてでありますが、今、委員から御紹介ありましたが、本県は、独自の試みとして、権限と財源と専門知識を有する県職員をセットで移譲する一括移譲を行っておりまして、これは住民から高い評価を得ております。
 権限移譲の実績につきましても年を追うごとに増加しておりまして、特に平成18年度は、延べ435事務、そして来年度─19年度につきましては延べ3、488事務を移譲することとしております。来年度分ももう既に決定しております。飛躍的に件数が増加してきている、こういう状況にございます。
 この理由でありますけれども、市町村合併が進展して、市町村側の権限移譲に対する意識向上や体制が整ったということもございます。それから県側の方でも、旅券事務等の住民サービスの向上に直結する移譲項目を拡充した、こういったこともございます。さらに、人材不足に対応するために新たにポイント式の一括移譲制度を導入して市町村の方で受け入れやすい体制にした、こういったこともございました。
 今後、今申し上げましたように、やっと最近軌道に乗ってきたわけでありますが、しかし、次のような課題がある。すなわち、県と市町村の役割分担が不明確ということ、それから、市町村ごとによって取り組みの差が大変大きいということ、それから、住民から見て、いまだ内容がいささかわかりにくい等の課題もありますので、さらにこの趣旨、取り組みを強化する必要があると考えます。したがって、今後、県と市町村がそれぞれどのような役割を担ってどのようなことを実現していくのかをサービスの受け手である県民の皆さん方の意見を取り入れながら包括的に議論する場を設けたい、そして、そこで今後の道筋を明らかにしていきたいと考えております。こうした作業を通じて、国に対しては、必要な制度改正等もありますので、その点も訴えながら着実に移譲の実績を積み上げていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 質問のスピードが速いのか遅いのかよくわかりませんので、次に参ります。
 県税収入の見通しについてお伺いいたします。
 まず、平成19年度の県税収入をお伺いする前に、18年度の県税収入の最終的見通し、いわゆる決算見通しについてお伺いします。2月補正予算では、県税の当初予算1、100億円に対し、約40億円程度の増額補正を行ったところであります。その内訳を見ますと、事業税が約30億円の増、そのほかに県民税6億円余、地方消費税3億6、000万円余となっております。全国的に景気の回復が進み、企業業績が大幅に好転している首都圏については大幅な税収増加も見込まれているようであります。
 そこでお伺いしますが、平成18年度の税収見通しについて、本県と全国、東北各県との比較など、他県との分析を交えながらお示し願いたいと思います。
 次に、平成19年度の県税見通しについてでありますが、19年度の県税収入は、対前年度比17.3%の大幅増となっていますが、御案内のとおり、権限移譲や定率減税の廃止に伴う増収など、いわば税制改正による影響が大きいところですが、これらの影響を除いて比較した場合は約49億円の増となります。うち、平成18年度2月補正による増額が約40億円ありましたので、決算ベースで比較するとわずか9億円程度の増にしかなりません。さらに、いわて森林づくり県民税を平年度化することによる増が2億円弱あることから、実質的には、伸びはわずか数億円程度という見積もりになっていると思います。
 そこでお伺いします。県内の最近の景況も、一部に弱い動きが残っているものの、全体として緩やかな持ち直しの動きが続くとされているところでありますが、法人関係税や地方消費税、不動産取得税、軽油引取税など景気動向に左右されやすい税収の見通しについてどのように判断して見積もりをされているのか、これらの分析を含め、平成19年度の県税収入見通しについてお示し願いたいと思います。
〇川窪総務部長 まず、平成18年度の方からでございますが、当初予算に対しまして、御指摘のとおり39億7、900万円の増を今、見込んでおります。この動向についての東北や全国との比較でございますが、1月末現在の調定額の状況を対前年度比で見たデータを東北各県と比較いたしますと、本県は5.1%増、1月末現在での実績同士を1年前と比べると5.1%増という動きでございます。青森県は、原発関連がございまして15.2%増でございますが、宮城県が3.0%増、秋田県が1.2%増、山形県が4.4%増、福島県が4.9%増となっておりまして、本県の増のうちから森林づくり県民税の増分を除いた伸び率が4.6%であることを踏まえますと、山形県、福島県と同程度という状況でございます。
 なお、全国の伸び率は6.9%となっておりまして、本県の伸びよりもさらに1.8ポイント高い状況にございます。
 次に、平成19年度の税収見通しでございますけれども、法人二税につきましては、県内に事務所等が所在しております企業の業績見通し等によりまして、18年度の決算見込み額に対し、4.3%増で14億5、600万円程度増になるものと見込んだところでございます。一方、地方消費税につきましては、地方財政計画の全国的な税収の伸び率等を当てはめまして、1%の減で1億2、300万円減と見込んでおります。また、不動産取得税につきましては、大規模な施設等の建築確認の申請状況等から1.5%減、4、900万円の減と見込んでおります。また、軽油引取税につきましては、軽油を使う車両の減少等から2.3%の減、3億9、600万円の減と見込んでおります。
 結果といたしまして、平成19年度の本県の税収は、法人二税が伸びる見通しでありますものの、税収のウエートが比較的高い自動車税が対前年0.2%減と見ておりまして、それから、今申し上げました軽油引取税2.3%減、この二つが前年度を下回る見通しとなっていることから、税源移譲等を除いた場合には、御指摘のような若干の増にとどまる見通しを得ているものでございます。
〇柳村岩見委員 次に、公債管理の適正化についてお伺いします。今議会でも同僚議員から多額の県債残高についての質問が出ました。私は、視点を変えてお伺いいたします。
 平成19年度末における県債残高は1兆3、877億円ということであり、多額の公債残高となった理由などについては県当局から説明がありました。国債残高547兆円、国と地方との長期債務残高773兆円と、県債残高1兆4、000億円とは比較にならない数字となっている現実もまたあるところであります。私は、借金が現実に目の前にあることを前提として、この借金をどのように管理していくか、それによって今後の財政運営の見通しがある程度描けるのではないかと思うところであります。
 そこでお伺いしますが、国債の償還は60年と承知しておりますが、県債償還との違いはどうなっているでしょうか。地方債制度上、最長の償還期限はどうなっているでしょうか。これに対し、本県の償還期間はどうなっているでしょうか。これからも含め、今後、公債管理のあり方についてどのように考えておられるか、お伺いします。
 また、国は、国債管理のための特別会計として国債整理特別基金特別会計を設置しており、また、他県においては公債管理特別会計を設置しているところもあると伺っておりますが、本県においても特別会計の設置についてどのように考えておられるでしょうか、あわせてお伺いいたします。
〇川窪総務部長 国債につきましては、御指摘のとおり償還期間が60年とされておりますが、一方、地方債につきましては、事業の種類でありますとか、公的資金、民間資金といった資金区分によりましてそれぞれ異なる償還の上限が定められておりまして、それぞれおおむね20年から30年以内となっているものでございます。本県の県債もそのルールに従いまして償還期間を設定して発行しておりますが、各年度の償還負担を過重なものとしないようにという観点から、近年はできるだけ長い償還期間を設定して償還計画を立てて発行しているところでございます。
 今後の公債管理につきましては、中長期的な動向に常に留意しながら、地方債の残高と、それから、各年度にどれだけ返していくかという償還負担、この両方のバランスをとりながら、両者をできるだけ抑制していけるように取り組んでいくことが必要だと認識しております。
 今後、償還期間の途中で借りかえを行う規模が、長目の償還期間を設定することとの関係で、いわゆる途中における借りかえが順次ふえていくこともございますので、次期の行財政構造改革プログラムの策定に向けた検討におきましては、御指摘いただいた公債管理特別会計の設置についても検討しなければならないものと認識しているところでございます。
〇柳村岩見委員 次に、農地・水・環境保全向上対策についてお伺いします。
 昨年9月定例会において、平成19年度に向けた見通しについて一般質問で取り上げましたところ、市町村と協議の上、適切に対応してまいりたいとの答弁でありました。また、本県で3カ所のモデル地区の現状と課題について伺ったところ、農地、水、環境の良好な保全と質的な向上が図られており、今後、こうした取り組みの効果をさらに高めていくためには、非農家への施策の一層の周知や活動組織の体制強化等が課題とのことでありました。
 そこでお伺いしますが、本県で実施したモデル地区3地区の成果についてお示し願いたいと思います。また、他県の取り組みとの違いや、他県の先進的な取り組み事例があるのか、そうしたモデル事業の成果はどのように平成19年度の事業に反映させながら取り組みを進めていく考えなのか、お示し願いたいと思います。
 また、平成19年度の県予算は骨格予算でありますが、この対策の共同活動、いわゆる1階部分は、春先の田植え準備時期から事業が必要となると思います。当初予算に計上されているわけですが、営農活動への支援、つまり2階部分の事業導入についてはどのような対応を考えているのか。また、2階部分の事業を進めるに当たって、1階部分との整合性をどのように図っていく考えか、お示し願いたいと思います。
〇竹内副知事 農地・水・環境保全向上対策のモデル地区の成果についてでございますが、モデル地区におきましては、自治会やPTAなど多様な主体の参画を得て、地域ぐるみの共同活動が促進されたところでございます。
 具体的には、花巻市小山田第2地区では、地域住民の自主施工による破損水路の入れかえなどを行っていること、それから、北上市鬼柳地区では、非農家500戸以上が参加した水路の清掃活動などを行ったこと、軽米町の高家地区では、地域特産の木炭を活用した水路の水質浄化などに努めたこと、そういった各地域の特性を生かした農地、農業用水等の保全と質的向上が図られたところでございます。
 このモデル事業の実施に際しましては、本県におきましては、各集落で取り組まれてきた水路の草刈りなど、基礎的な保全活動については助成の対象外にしていることや、既製品水路の修繕、取りかえなど、水路等の補修による長寿命化への取り組みに重点化するなどしておりまして、こうした独自の要件の設定によりまして、優良事例として全国から注目されているところでございます。
 また、他県におきましては、休耕田を活用して、景観形成、資源循環を行う広島県の菜の花エコプロジェクトや、山形県における水路と水田をつなぐ魚道の設置など、これの参考となる取り組みが見られるところでございます。
 したがいまして、平成19年度からの事業実施におきましては、関係市町村との連携を図りながら、組織づくりや活動計画の策定支援を通して、モデル地区の取り組みや他県の先進的事例の広報、啓発に努め、農業活動に対する共同の取り組みを全県に普及させてまいる考えです。
 次に、2階部分の営農活動についてでございますが、営農活動への支援に関する具体的な予算措置につきましては、新規・政策的な経費であることや、収穫後に実績に応じて交付金が支払われることなどから、6月補正予算において検討することとしているところでございます。
 この事業の2階部分の営農活動と1階部分の共同活動の整合性の図り方についてでございますが、化学肥料や化学合成農薬の使用の大幅な低減など、地域の環境保全に向けた先進的な営農活動を効果的かつ安定的に進めるためには、病害虫や雑草の発生しにくい環境が維持されていることが必要であるほか、環境保全をより効果的に進める観点から、農地や水路の機能を保全向上する共同活動、いわゆる1階部分と一体的に実施することが重要と考えておりまして、これまで、こうした考えのもとで制度説明会の開催や平成19年度における実施要望量の調査を行ってきたところでございます。
 今後とも、活動組織の設立や活動計画の策定などと並行して、環境保全に向けた先進的な営農活動を促進し、安全・安心な岩手らしい産地づくりを推進してまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、公共事業の重点化、選択と集中についてお伺いいたします。
 昨年、私は、公共事業の選択と集中について質問いたしました。竹内副知事は、公共事業の重点化について、個別の事業箇所の設定に当たりましては、投資効果の早期発現を図るために緊急性の高い継続箇所に重点投資するとともに、新規箇所の選択に当たっては、公共事業評価に基づいて、客観性を重視して厳選したと答弁されました。
 さて、平成19年度当初予算における公共事業予算は、骨格予算とはいえ、平成18年度当初予算に比較して約250億円の減額となっており、805億円と、ついに1、000億円を大きく割り込みました。6月補正予算での肉づけもあると思いますが、プライマリーバランスの黒字を維持するという考え方があれば、多額の積み増しは期待できないと思います。量より質といいましょうか、公共事業予算の選択と集中は、昨年以上に吟味したと理解するところであります。投資すべきところには投資する。本県の社会資本整備をどのように考え、どのように進めていくのかを常に県の各種政策に整合させつつ、全庁的な優先度を判断して決定されるものと理解しているところであります。
 そこでお伺いしますが、平成19年度当初予算における公共事業の重点化、選択と集中はどのように図られたのか、お尋ねいたします。
〇竹内副知事 重点化、選択と集中についてでございますが、厳しい財政状況にかんがみまして、これまで以上に財源の重点的、効果的な執行が必要となっておりますことから、平成19年度における公共事業につきましては、庁内の公共事業調整会議におきまして十分な吟味を行い、徹底した選択と集中を図ったところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず、産業の振興、それから安全・安心の確保、計画的な施設の維持管理、そして県北・沿岸振興といった施策の重点化の視点を踏まえまして、例えば、港湾と内陸を結ぶ物流ネットワークの構築や宮城県沖地震に対する津波対策、緊急輸送道路における橋梁の耐震化、舗装の補修ほか、老朽化してきている社会資本の計画的な維持管理などを重点化いたしましたほか、農林水産業の生産基盤につきましては、農林水産業の担い手育成を加速させる水田大区画化や漁港・漁場整備、農業水利施設の計画的維持管理による長寿命化など、緊急かつ事業効果の発現の期待が大きい箇所を厳選しながら集中的に取り組むこととしたところでございます。
〇柳村岩見委員 公共事業の評価という観点からお尋ねいたします。
 県の各種政策に整合しつつ、全庁的な優先度を判断して決定していく場合、現在の公共事業評価の仕組みに見直しが必要ではないでしょうか。県北・沿岸地域あるいは観光推進のための回遊路線整備など、必ずしも現行の公共事業評価では採択できない事業箇所も出てくるものと思います。そうした場合の対応として、評価の仕組みを見直す考えはないでしょうか、お伺いいたします。
〇竹内副知事 公共事業評価でございますが、事業地区ごとに必要性、重要性、緊急性、効率性、熟度の5項目について、現在の方式は、点数化をいたしまして、これに自然環境への対応とあわせた総合評価を行っているところでございます。このうち、重要性の項目では、道路事業におきましては、例えば、県土軸を構成する路線整備など、県の重点施策に位置づけられている場合は一定の加点ができることとなっておりまして、重点施策に関連した事業は高い評価となる仕組みになっております。それから、過疎地域等につきましては、必要性や効率性の項目において地域補正を行って加点をしているところでございます。こうした評価制度につきましては必要に応じて改善に努めていくことといたしておりまして、見直しに当たりましては、岩手県政策評価委員会の御意見を伺いながら進めてまいる考えでございます。
 また、今後におきましては、産業振興や県北・沿岸振興などを戦略的に推進していくことが必要と考えておりまして、このような観点に立って、公共事業におきましても、より効果が発現できる箇所を重点的に事業化できるように努めてまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 午前中の質問にもありましたが、次に、花巻空港整備についてお伺いいたします。
 昨年凍結された新空港ターミナルビル整備につきましては、事業規模の大胆な見直しを進め、課題解決のめどが立つや、今度は事業効果の早期発現を図るために、2月補正予算において債務負担行為を設定するとともに、19年度当初予算にその一部の補助金を措置されました。特に、2月補正予算における債務負担行為を設定したことは、新空港ターミナルビルの建築工事に早期に着手できるものであり、完成時期を早め、平泉文化遺産の登録後の春には供用開始するとされたところは、増田知事のリーダーシップが遺憾なく発揮されたのではないかと高く評価するところであります。
 また、当初予算では、新空港ターミナルビル以外にもエプロンの整備など、10億円を超える予算が措置されております。しかし、これら空港整備事業については、新空港ターミナルビルのような大胆なコスト削減につながる見直しを進めているのでしょうか。ともすれば、かつての計画そのままに事業を進めているのではないでしょうか。厳しい財政状況の中、多額の予算を投入すれば、投資した額に見合った設備はでき上がるでしょうが、過大な投資とならないよう、身の丈に合った施設整備を常に心がけ、絶えず経済社会情勢を見きわめながら対応していかなければならないということは言うまでもありません。
 そこでお伺いいたしますが、空港整備事業費全体の見通しはどうなっているでしょうか。あわせて、今後可能な限り投資規模の縮小を図っていく必要があると思いますが、その見通しなどについてお伺いいたします。
〇竹内副知事 空港整備に当たってのコスト縮減でございますが、空港の滑走路、エプロン等の施設は、国土交通省が定める構造等の基準がございまして、これによって整備を行う必要がございます。その上で、適切な規模・機能を持った施設を、最少の費用で整備するという視点に立って、当初の計画から規模を縮小したり、あるいは利用頻度の再考によって整備水準を引き下げたりの見直しを行っているところでございます。
 具体的には、航空機が駐機する場所をワンスポット分縮小したほかに、今後の整備において、第2駐車場の用地造成高を低くすることや、舗装構成を簡易にすることを予定しておりまして、現段階で当初の計画より、概算でございますが、おおむね4億円ほどの事業費の縮減を見込んでおります。
 花巻空港拡張整備の全体事業費は、ターミナルビルとアクセス道路を除きますと、全体で321億円でございまして、進捗率は現在85%で、残事業費は約48億円と見込んでおります。残りの事業につきましても徹底的なコストの縮減に努めてまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、岩手競馬についてお伺いいたします。4点にわたるのでありますが、最初に2点程度と分けながら質問させていただきます。
 競馬事業は、県、盛岡市、奥州市を構成団体とする岩手県競馬組合、いわゆる一部事務組合によって運営されておりますが、現在の岩手競馬の状況は、一部事務組合としてやってはならないところまで来てしまったという思いがいたします。公営競技の施行者として、社会的にも、経済的にも、一般的なルールの上に立った経済活動行為を行う必要があると思います。その観点に立つと、多額の負債を抱え、支払い能力のない岩手競馬に融資するということは、一般常識では銀行等の融資とは全く別世界のものであります。一般質問などでも取り上げられましたが、ここで改めて伺います。
 銀行が融資できない経済行為者に融資してはならないというのが原則ではないかと考えますが、県の貸し手責任について、知事はどのようなお考えをされているか、お尋ねをします。
 次に、財政破綻した北海道夕張市が再建に向かって歩み始めました。この3月から、353億円もの赤字を18年間かけて穴埋めしていくと聞きます。市民が全国自治体で最高レベルの負担をし、最低の行政サービスで我慢をするとまで言われており、市民はそれでも頑張っております。
 330億円の融資を受ける岩手県競馬組合の経営改善の取り組みを見ると、本当に経営危機に瀕している中で必死に努力しているのか、夕張市民に負けないぐらい頑張ろうとしているのか、姿勢がいま一つ見えてこないのであります。これまで、構成団体に407億円の配分金を交付したのだから、構成団体が面倒を見てくれるのだという甘い意識があるのではないでしょうか。結果として、一部事務組合として、その能力を超えてやってはいけないことをやった、あとは構成団体が面倒を見てくれ、私は、そこにこうした責任回避の体質があるのではないかと感ずるのであります。構成団体の長としてどうお考えか、まず2点お尋ねをいたします。
〇増田知事 競馬の関係でありますけれども、まず、競馬組合が地方自治法に定める一部事務組合である、いわゆる地方自治体であるということでありますので、この一部事務組合に生じた損失は、方法として分賦にするか、あるいは融資にするかという点はありますけれども、いずれにしても、構成団体が負担しなければならないものである、この原則をまず確認しなければいけないと思います。したがって、今回の構成団体融資でありますけれども、今申し上げましたように、構成団体の負担が避けられない資金の拠出方法について、少しずつでも返済をしていく責任が明確に残り続ける融資を選んだということでございまして、第三者の立場で融資を行って、その上で利息収益を得る、それを銀行の株主の方に配当する、そういうことを行っているのが金融機関でありますけれども、そういった金融機関が行っている融資とは位置づけが全く異なるものである、この点について、ぜひ御理解を賜ればと思うわけであります。
 このために、もちろん長期間かかっても全額を返済させたいという思いでありますけれども、今、委員の方からお話がございました、将来、競馬事業が廃止になって、今回の構成団体融資の一部が仮に回収できなくなったといたしましても、それは、その時点で構成団体の負担額に振りかわるものであるということでございまして、金融機関が行った貸し付けの場合と同じような意味での貸し手責任が県に問われるといった性格のものではないと考えているところであります。
 2点目といたしまして、赤字の拡大についてでございまして、これは、委員の方から御指摘をいただきましたとおり、これまで2回ほど計画を策定して、経営改善の取り組みを行ってまいりましたが、いずれも自助努力での赤字の解消を目指して当然計画をつくって行ってきたものの、功を奏さなかったということであります。今回は、こうしたことを重く受けとめて、いずれにしても、もう待ったなしの状況であるということでございますので、当議会でも再三御説明申し上げているような存廃の基準、ルールを明確にした上で、融資という選択肢を選んだものでございまして、こうした岩手競馬のこれまでの計画策定の成果というものを重く受けとめて、また、その十分な反省と大きな責任を感じながら、今後、同様な赤字の拡大を繰り返さないような道筋を、今回のこの計画を通じてしっかりと構築していく、そういう思いで今考えているところであります。
〇柳村岩見委員 存廃基準を設定し、新たな赤字が発生しないように取り組むということであります。しかし、今後、10%の売り上げダウン、20%の売り上げダウンがあったとしても黒字となるような体質をこのようにしてつくっていくという視点に立った、もっと具体的な経営計画を示すべきではないでしょうか。存廃基準に照らして、赤字即廃止とするのではなく、事業の継続可能性の判断も経営者の責任として当然問われると考えますが、いかがでしょうか。また、事業の再構築を検討しつつ、今回の融資スキーム、廃止スキームと比較検討しながら、じっくり判断するべきものと考えますが、いかがでしょうか。
 競馬組合の経営は確実に黒字化が達成されなければならない。現在も県職員や両市の職員を派遣しておりますが、貸し手側からすれば、これまで以上に直接経営に参画していく必要があるものと考えます。
 一方で、競馬組合職員の大量退職などにより専門スタッフが不足し、競馬運営の弱体化も懸念されます。優秀な県職員や市職員とはいえ、競馬に関してはずぶの素人であり、本当にそういう状況で行っても大丈夫かという心配もあります。これまでの経営改善の取り組みを見ていると、経営資源としての組合職員の処遇や体制について、明確な考えがないように見受けられますが、県が行う公社等の整理を見ても、同様に感じます。単に収支ということだけで早期退職を求めたりしているのではないでしょうか。その点についてお伺いします。
〇増田知事 まず、今回、競馬事業の継続の判断に立っているわけでありますが、その上で黒字体質をつくる経営計画という御指摘が今ございました。今回の計画、これ自身がまさに黒字体質をつくるということで、25%の範囲の中で存廃ルールを決めて、そして、仮に売り上げが減少して計画を下回る見込みとなった場合でも、運営協議会でコスト調整を行って、赤字の発生を防ぎながら事業運営を行う仕組みに転換しようとする、この点が黒字体質をつくる経営計画の基本的な考え方ということでございます。実際にこのルールを関係者にいろいろ御説明して、御理解いただいたことが、来年度の賞典費や情報関係経費の削減につながったと。これは今まで働きかけをしてもなかなか難しかったんですが、何とかこういった経費の削減につながったものと考えているわけであります。
 それから、事業の継続の可否の判断なんですが、これは運営協議会などでコスト調整を行いながら、継続ということに全力を尽くす立場であるわけでありますけれども、仮にその調整が整わず、赤字が発生する見通しとなった場合は、競馬事業の継続の判断は、この協議会での調整結果を踏まえて、最終的には、管理者である知事と副管理者である両市長が協議をして、そこで決定することとなるものと考えております。
 それから、融資スキームと廃止スキームの比較検討でございますが、これを比較する際には、県民負担を最小にするということが最も重要な視点だと思います。このような観点から、新たな赤字を発生させないということでは、事業廃止ということも選択肢の一つとしては考えられるわけでありますけれども、今回、これまで申し上げておりますような理由で、やはり累積の債務330億円に加えて、さまざまな廃止の処理コストを足し合わせますと372億円程度になると見込まれておりますので、そうしたことから今回の新計画が赤字なき継続の実現ということになったわけでございます。そして、実際に廃止するとした場合には、資産の転用の可能性も含めて、構成団体間でさまざまな論点について協議や検討を行うことが必要になりますので、それに一定の時間をやはり要する、時間がかかると思います。
 したがって、それ以前に今年度末の段階で負担をすることが避けられない巨額の資金需要というものが参りますので、かつ、廃止よりも、今申し上げました赤字なき継続の方が現時点での選択としては適切であるという両方のことを考え合わせますと、今回の融資スキームを実行することによって、今、委員から御指摘ございましたような、融資を続けるのか、事業を廃止するかということを、時間をかけてさまざま判断をするということも、このことによってできるようになりますし、また、今後、これは仮にですが、廃止をしなければならない状況に陥った場合にも、事後処理策を協議する暇もなく、急な巨額の負担が生ずるということを防いで、競馬事業が停止した状態で、時間をかけて構成団体間で協議・検討を行い、最も適切な事後処理策を見出すことにもつながる、このように考えているものでございます。
 それから、競馬組合職員の早期退職についてお尋ねがございましたが、今、組合の方で業務全般にわたるコスト削減に取り組んでおります。この中で、人件費について御指摘もいただいておりますし、見直しを進めているものでございまして、その一環として、今回、早期退職を求めたところでありますけれども、こうした人たちは、これまで競馬事業で培ってきた経験とノウハウは、今後の岩手競馬の運営に必要であると判断しますので、早期退職した職員は、新年度から財団法人の振興公社の嘱託職員として再雇用して、引き続き運営に携わってもらうこととしてございます。今後も、売り上げが減少しても、こういったような形で人件費等も調整して、発売収入の25%以内で事業継続が可能となるような、そういうコンパクトな岩手競馬への転換を図っていきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 ここの部分は通告をしてないのですが、仮に競馬が廃止されまして、例えば3月20日の支払い、3月末日の支払いというのは、融資先、借入先の銀行も伴って整理スキームを検討する中で、どう払われていくかということが検討されるのではないでしょうか。私は、仮に廃止された場合でも、そういう方法がとられるのであって、3月30日あるいはまた3月20日、しゃにむにということには廃止の場合でもならないのでないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 3月20日に明確に元利合計で9億5、000万円の請求が来るわけでありますし、あと、3月30日には、さらにそれも含めた215億円ほどの支払いを行わなければならないということになっておりまして、これは約定ではっきり決められている。それから、公共団体が支払いをしないということになりますれば、これは当然延滞利息が毎日毎日積み重なっていくわけでありますし、公共団体としては、過去もそういうことは一度もございませんでしたので、これは必ず払っていかなければいけないもの、そしてまた、そういう前提で今の地方自治法あるいは財政諸関係の法律ができ上がっているものでございますので、組合の方は資産がございませんから、3月30日あるいは31日の年度末になって、そういう状況に陥れば、直接構成団体の方に支払いの請求が来るだろうと思います。そこで即座に対応が求められるということになるわけでありますので、この点については、現実に今そういう状況にある中で組合をどうするかという判断が求められていると考えておりまして、その上で私どもも、今、御提案申し上げておりますような融資スキームを考えるに至ったものでございます。
〇柳村岩見委員 毎日毎日延滞利息がついていくということは当然であります。延滞利息も含めて整理スキームの中に位置づけることはできると思います。そのことは答弁は要りません。
 私は、最後に、増田県政12年の総括についてお尋ねすることにいたしておりました。時間がございません。そこで、思いは、この12年間を振り返っての増田知事の所感につきましてお尋ねをし、私からは、その御労苦に対し心から感謝と敬意を表して、質問を終わりたいと思います。所見をお尋ねしたいと思います。
〇増田知事 12年間県政を担当してきたわけでありますが、1期目、2期目、3期目とそれぞれ抱えているテーマがやはり大きく異なってきたなと今思っております。
 1期目は、社会資本整備などおくれているものを何とか早く整備したいと。国の財政も大分きつくなってきているということが目に見えておりましたので、それに乗りおくれないように、できるだけ早くしたいという思いと同時に、県民参加ということが県政の基本であろうということで、情報公開ですとか、特に現場の地方振興局の機能強化ですとか、そういった行政の仕組みの強化にいろいろと意を用いてきたところであります。
 2期目、これは平成11年度から14年度になりますが、この時期はちょうど県の総合計画を策定した時期でありますが、あわせまして、環境の問題ですとか情報化の問題といったことが喫緊の課題になってまいりましたので、環境政策、条例の制定ですとか、いわて情報ハイウェイの整備といったようなことに取り組みつつ、あわせて、どうしても東京中心の価値観に世の中が流されている中で、岩手独自の価値観というものを創造していくということの必要性を訴えた時期でございました。
 3期目、平成15年度から今年度まででありますが、ここはやはり財政再建ということが大変大きなテーマになりましたし、それを克服する上でも、やはり県民の生活の基本でございますそれぞれの地域の産業を立て直す。あわせて、それだけでなくて、社会のセーフティネットにつながるようなものでございますが、岩手に存在する結いの精神などを生かしたご近所介護ステーションなどの試みのように、岩手ならではの、岩手だからこそ組み立てられる、そうした仕組みづくりというものに意を用いてきたところでございます。
 概観をすると、こういった3期12年だったかと思いますが、この間、3期目に特に顕在化をいたしました岩手競馬の問題、あるいはそのほか出資等法人の経営悪化の問題、そして、それがまたさらに県財政の方にはね返ってくるといったようなことについては、大変大きな私の責任を感じているところでございますし、また、次の知事にも大きな課題を積み残しにしたままだなという思いがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、私自身は、この12年間、精いっぱい果たすべき役割を微力ながら果たしてきた、尽くしてきた思いでございまして、今後も岩手県勢発展のために微力を尽くしていきたい。そして、今抱えております課題を、任期最後まで、解決するために全力を尽くしていきたいと考えているところでございます。
〇亀卦川富夫副委員長 次に、飯澤匡委員。
   〔飯澤匡委員質問者席に着く〕
〇飯澤匡委員 政和・社民クラブの飯澤匡でございます。会派を代表して質問をさせていただきます。
 私は、今回初めて一問一答式の総括質疑に臨むわけでございますが、欲を言えば、今回、こういう形ではなく、増田知事とは、次年度の予算が増田知事の責任ある形で、堂々と政策について渡り合う形で向き合いたかったと思うところでありまして、まことに残念でございます。
 思えば、平成7年に増田県政の船出が始まったわけでありますが、平成7年統一地方選挙を目の前にした3月、私の地元の体育館に、3、000人の聴衆とともに知事の必勝を誓い合ったあの熱気を帯びた雰囲気は決して忘れることのできない出来事でありました。私も2階席に一人の県民として増田県政の誕生を願いながら座っておりました。当時、知事は無所属ということでの出馬でありましたが、新進党の強力なバックアップを受けて選挙を戦いました。旧態依然とした硬直した政治風土を打ち破り、政界に新しい風を吹き込むのだという身震いするほどのムーブメントがありました。私もその当時はもちろん議員ではありませんでしたが、その勢力の一員でありました。しかし、その後、新進党は突如解体。知事は2期目からは政党との距離を保つ政治的なスタンスをとるようになり、3期目については完全無所属、県民党立場を貫いているというのが今日に至る政治的な流れであると私は認識をしております。
 そこでお伺いいたしますが、知事と中央政党との関係はどのように置くべきかを、自身の経験を踏まえてお考えをお知らせ願いたいと思います。そして、過去のことを振り返る質問をするのは自分としても不本意でありますけれども、増田県政1期目の終盤の折、当時の政府・与党と新進党勢力のはざまにあって、県行政の執行に当たって、もしやして支障となるものがあったかどうか。あったとしたら、どのようなことがあったか、参考までにお知らせ願いたいと思います。
〇増田知事 まず、知事と政党との関係、距離ということでございますけれども、国政の場合、中央政府の総理大臣の場合には政党を基盤に置いて、そこで議院内閣制として選出されるということでありますが、地方自治体の首長、知事は県民から直接選挙で選ばれるという形で制度の違いがございまして、その中で、私も県民から選挙で直接選ばれた知事として、県民に軸足を置くべきという考え方から、最終的には1期目、2期目の変遷を経て、3期目は県民党的立場といいましょうか、無党派の立場といいましょうか、そういう立場に行き着いたわけでありますが、政治姿勢の考え方というのはさまざまあろうかと思います。また、時々の政策課題について、政党でどういう政策を提示しているのかということにもかかわってくると思いますので、今、知事と中央政党との関係ということについては、何か一つの決まった答えというよりは、私の3期12年の歩みを自分なりに振り返って見つつも、最終的には有権者が、こういった私の行動を見ながら判断をされていくのかなと思っているところでございます。
 それから、確かに、今、御指摘のように、特に1期目におきましては、当時の新進党の推薦で当選をさせていただいたということがございまして、例えば1期目の後半のときには、中央省庁に要望・陳情などで行く場合には、当時の大臣から面会を断られるといったような事実もございましたけれども、具体的な県政運営について、そうしたことによって大きな不都合があったということについては思い当たりはしません。その点については特に支障がなかったのではないかと思っております。恐らく、行政運営ではそれぞれ皆様方、公平にやられているということでありますので、政治的姿勢として、時には鋭く対立するということはあろうかと思いますが、私自身も、1期目、その後の2期目以降と比較しても、特に何か大きな支障があったということには思い当たるところはないところでございます。
〇飯澤匡委員 私は、増田知事の真価が発揮され、中央からも評価されたのは2期目以降の知事自身の活動であったと推察いたします。2期目以降は、他の改革派知事と連携して活動してきたわけですが、先ほども御答弁があったのですが、1期目と2期目とどのような自身の違いがあったのか、それについて再度お知らせ願いたいと思います。
〇増田知事 特に2期目以降、同じ知事同士の中で思いを同じくする知事との連携を強めていったという行動がございまして、これは、中央政府の方も財政的にも非常に疲弊をしていく中で、さまざまな制度が、分権改革を進めている中で、いろんな弊害が顕在化してきたという時期とも重なっているわけでございます。そういう中で分権意識を高めつつ、他の知事と共通した各県ごとの諸課題について意見交換をして、でき得れば、地方のすぐれた例から、国の中央の仕組みの中で行き詰まりを見せていくところを変えていきたいという思いで、思いを同じくする知事と連携を深めてきたということでございます。そのことによって、いろいろ私どもも勉強をさせていただきましたけれども、総じて、今振り返って見ますと、こうした関係は大変意義深くて、県政運営には役立つ場面が大変多かったと評価しているところであります。
〇飯澤匡委員 それでは、次の質問に入ります。19年度予算に関連してお伺いいたします。
 来年度予算の特徴は、私は、言うまでもなく、産業成長戦略の具体的事業の盛り込みであると思っております。これは、昨年の4月に県南広域振興局を設置し、振興局の再編をした重要な県政施策の裏づけであるとも思われます。広域行政における最大の政策の柱であろうとも思っているわけでございます。
 特にも、増田知事は自動車関連産業の集積について並々ならぬ意欲を持たれ、北九州地域に匹敵する集積、すなわちエンジンやミッションなどの自動車の主要部品を製造する部門の誘致に今後新展開を図りたいとのことでありました。関東自動車関連の産業は着々と地域に進展が図られており、今後も世界のトヨタに対するトップセールスの必要性を強く感じるところであります。
 今度は、新知事がその政策を踏襲することになろうと思いますが、今後の自動車関連産業の政策に影響が出ないものか、心配な面がございます。政策の継続性が担保できるのかどうか、お伺いいたします。
〇増田知事 自動車産業の集積でありますけれども、今、御指摘いただきましたとおり、やはり今後強力にこれを継続、発展させていかなければならない。そのためにも、岩手県あるいは東北地域が自動車メーカーにとりまして評価をすべき地域に一刻も早く成長していかなければならないと考えますが、その中で非常に評価を受けておりますのが人材育成の仕組み、あるいは地場の技術力を向上させるために、今、私どもが行っております各企業に入っての工程改善、さらに産学官連携により新しい技術を生み出すという取り組みでございます。こうした取り組みは、県として、あるいは東北の他県と連携して、組織として、今、それぞれ下に浸透させて、行っているところでありますので、こうした取り組みをきちんと今後もメーカーの方に伝えていけば、さらに自動車関係の企業誘致も期待できると思いますし、また、企業側の方も生産台数の増加に向けた取り組みの動因になっていくのではないかと考えます。私自身も任期いっぱい、多分、来月になると思いますけれども、また愛知の方に参りまして、トヨタ自動車を初め関連の企業の方のトップに全部会って、いろいろな取り組みを説明し、また、引き続き協力依頼をしてきたいと思っておりますが、また、県の関係者も、そういう人的関係を向こうの方とは非常に緊密につくり上げておりますので、この自動車産業をさらに発展させるという政策に、さらにまた知事交代によって新しいアイデアを吹き込んで、拡大をしていくということにつなげていければと考えておるところであります。
〇飯澤匡委員 これまで築き上げた部分をさらに継続性を保つということが、やはり我々の岩手県の産業振興の大きな柱でありますので、県の幹部の職員の方々にもぜひよろしくお願いをしたいと思っております。
 次に、医師確保対策と今後の医療局のあり方についてお伺いいたします。
 昨年の9月から、医療局と保健福祉部の部局横断的に医師確保対策室が設置され、来年度には6人の新規の医師を確保したとの報道がありました。当局の御努力に対して敬意を表したいと思います。
 国においても新医師総合確保対策を策定し、医師確保対策拡充予算として、平成19年度予算に92億円が盛り込まれました。厚労省の具体的事業では、医師派遣についての県の役割と機能の強化として、医療対策協議会を都道府県に設置などがありますが、国の動向も視野に入れた医師確保対策の取り組みについて、県としての今後の取り組みと、その見通しについて伺います。
〇増田知事 医師確保の取り組みですけれども、大きく分けると、当面の対策と中長期的な取り組みと二つに分けられると思います。
 まず、当面の対策としては、今、御指摘がございました医師確保対策室の活動を来年度もさらに活発化するということでありまして、今、この室の成果として6人の医師の確保のめどが立ちましたけれども、これまで、昨年の9月に設置以来培った人的な信頼関係をさらに発揮して、来年度さらなる成果を出していきたいと思います。
 それから、臨床研修医の受け入れでございますけれども、これも本県の方では他県に比べて大分検討はしております。毎年50人前後の研修医が県立病院に入ってきておりますし、その人間が、研修が終わった後、残る率も高くなっているわけでございますが、さらに魅力を高める研修プログラムというものを提供して、臨床研修医を県立病院に多く受け入れ、そして県内定着を図りたい。
 3点目として、地域偏在の緩和でございまして、県立病院という大きなネットワークを生かしているということは、この点では有利に働くと思っております。他県から新たに参りますお医者さんなどは、やはりみずからの医師としての能力の向上ということもあろうかと思いますが、僻地・山間部の方の病院に行くと、いろいろな症例が少なくなるので、どうもそちらの方になかなか行きたがらないということがございますが、県立病院の中で広域基幹病院などにそういった医師をまず配置して、それから出張応援をさせるといったような、ネットワークが持っています機能を生かすような形にしますと、お医者さんも、それによってこちらの方に来ることになりますし、そうした形で、一番お医者さんが少ない県北・沿岸部に対応もできるということでありますので、そうした地域偏在の緩和に対応するためにも、県立病院のネットワークを今後さらに生かして、この問題に対応したい。
 それから、女性医師の方の数も大変ふえておりますが、職場復帰などが課題になっておりますので、そういった職場復帰のための研修プログラムを組む、あるいは保育の制度の充実などによって、女性医師の就業支援ということをやっていきたい。
 それから、医師退職もございます。勤務医から開業医の方に転換する場合がありますが、これは給与面ですとか、補助する職員を活用して、医師の事務的な業務はできるだけ軽減をするといったこともございます。
 それにドクターバンク制度─まだ具体的な効果は出ていませんが、ああいう制度を持っているということが、岩手県に対していろいろと興味を全国のお医者さんが持つことにもつながります。
 今、るる申し上げましたような取り組みを行うことによりまして、当面の医師確保に全力を挙げていきたい。中長期的には、奨学資金あるいは医師養成事業、特に岩手医科大学の地域枠を活用した医師養成事業などが重要だと思っておりますので、そうした制度をもとに、医学生が医師に成長した場合に、県内定着をそうしたことによってできるだけ図っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 さきの環境福祉常任委員会において、医療局より、医師の適切な配置ができなかったという要因によりまして収益が下がった病院の例の報告がありました。医師の確保のいかんにより、病院経営に大きく影響を与える証左であると思います。県の医療局は全国一の県立病院を抱え、県病が県民の医療サービス提供の中核をなしてきたわけであります。
 そこで端的にお伺いしますが、現状のまま医師の確保状態が推移したと仮定して、このままの規模の県立病院を維持できる見通しがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
〇増田知事 県立病院でありますけれども、さまざまな改革を実施しておりまして、診療所化と新築統合などもその中には含まれております。そして、平成19年4月には23病院と4地域診療センター体制になるわけでありますが、さらに今の計画でありますと、その2年後の平成21年4月には21病院と5地域診療センターの体制に移行する計画になっております。しかし、県立病院では依然として患者数の減少が見られますし、今、委員の方から御指摘をいただきました地域や診療科ごとに医師不足が顕著になってきております。それから、勤務医の労働環境の改善が急務である。また、制度的には診療報酬の大幅な引き下げで医療費抑制政策が続くということも予測されますので、今後の経営環境というのは、今よりもさらに年が進むに従って厳しくなっていくだろうと予測せざるを得ないわけであります。
 こうした中で、県民の医療水準を維持し、さらには充実させていくという中で、県立病院が役割を果たしていくためには、やはり今後もさらに機能の選択と集約、拠点化や医療需要に合った県立病院の再編、このことが不可欠ではないか。そしてまた、県立病院だけではなくて、民間も含めた広域の医療連携体制や、地域における医療と介護の連携体制の構築というところまで進んでいかなければならないのではないかと考えているところでございます。したがいまして、今後も県立病院の再編ということについて十分検討して、県民の皆様方の期待にこたえていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 昨年の決算特別委員会において、今後の医療局の経営形態のあり方について局長にお尋ねしたところ、経営形態よりも地域の医療確保の機能分担論と連携論、そして、だれが何の医療を提供するかということが先決だという答弁と、県が今さまざまな政策医療を担っているが、先々、小児救急、不採算地区、高度医療など民間がやれる状況があれば、そこにゆだねていく可能性もあるのだという答弁をいただきました。
 私は、ここで地方独立行政法人か地方公営企業の議論をするつもりではなく、医師確保の観点から、例えば県病の医師会からも指摘があったと伺っておりますが、公営企業の管理者が二、三年で異動するのではなく、中長期的な医師確保対策の点から、少なくとも管理者は4年から5年というような改革が必要ではないのか。また、機能分担論や連携論の話は、先ほども答弁で触れられましたが、そのとおりだと感じておりますけれども、果たして民間にゆだねる場合のタイミング等の意思決定機関が、今の体制で十分なのかどうかという問題提起をしたいと思います。この点について知事の考えを聞かせていただきたいと思います。
〇増田知事 県立病院の運営でありますけれども、今は地方公営企業法が全部適用で、任期4年の管理者、医療局長を知事が任命して、それで事業運営に当たっているということでございます。やはり適任者がそこに座り、そして中長期の視点を持ってこの県立病院を運営していくということが必要でありまして、そういう観点で、今後もその人材を得、さらにその人間が県立病院を適切に運営しやすいような、こういう環境づくりをしていくべきと思います。
 それから、大きな病院のあり方の問題、例えば県立病院をさまざま民間に移管するだとか、仮に大きなそういう問題、事業の根幹に関する事項につきましては、いずれにしても、これは事業の、県立病院の管理者というよりは、やはり開設者である知事が最終的には適切な判断を行って、議会の議決をいただかなければならない問題だと思っているわけでありますが、そういう点では、今、委員の御指摘の背景にあることかと思いますけれども、やはり開設者である知事と、管理者である医療局長が、こうした点について同じような共通認識に立って、機動的に事業を運営していく必要があるだろうと。また、県として、知事も十分にその中に入った機動的な、中長期的な視点での県立病院の経営プランというものを持って、県立病院の経営に当たれるような体制構築が必要ではないかと考えておるところであります。
〇飯澤匡委員 それでは、県病について最後の質問です。
 県病の診療所化の問題については、常任委員会でも真剣な議論が重ねられてきました。その中で、医療と福祉の連携について2回委員会で発議をして、その連携強化について県に求めてきた経緯がございます。地域包括支援センターが県内全市町村に設置され、いわゆる高齢者福祉については医療機関も話し合いのテーブルに着くことになり、センターの機能強化が今後重要になろうと思います。福祉との連携の中で、例えば、県立病院に福祉の相談窓口を設置するなどの、医療から福祉への連携を求めていく具体的な試みがこれから必要ではないかと私は考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇増田知事 県立病院では、例えば広域基幹病院に医療相談室というものを設けまして、医療社会事業士等の福祉専門職員をそこに配置しております。そして、患者の医療福祉相談や後方医療機関、そして社会福祉施設等との連携に、今、努めているところであります。
 さらに、地域に密着した診療所化をするといった場合には、例えば大迫病院では、病院の中で在宅ケアに関する委員会を開催して、関係者が集まって、それぞれの患者が退院後在宅に戻った際にどのようなサービスが必要かについて十分話し合いをして、福祉との連携を強化することとしてございます。ことしの4月から改正医療法が施行されるわけでありますが、そこでも、こうした保健医療サービス、または福祉サービスとの連携が盛り込まれておりますので、県立病院としても、今後、その適切な運用に努めていきたいと考えます。
〇飯澤匡委員 今、答弁でも触れられましたように、今度の改正医療法でインフォームド・コンセントの理念を具体化するということで、退院時には、退院後に必要な医療や介護のサービスに関する計画書の交付、適切な説明をすることの医療機関の管理者の努力義務ということがうたわれているようでございます。私はさっきの質問でも触れましたけれども、地域医療で成功している例というのは、医療サイドから福祉の方に連携を求めているという姿がやはり成功事例として挙がっているようでございますので、ぜひ、この福祉関係の相談窓口ぐらいは県立病院で設置するということについて御努力を再度促したいと思うんですが、いかがでありましょうか。
〇増田知事 御指摘のように、特に医療の方からその後の福祉の分野に対して積極的にアプローチをし、そして患者の皆様方のニーズにこたえるということが大事でありますので、今後、さらに体制を充実すべきところは充実する、あるいはまだそうした体制ができ上がっていない県立病院には、今申し上げましたような体制をとるような形で、県立病院の院長の方に促していきたいと考えます。
〇飯澤匡委員 それでは、次の質問に入ります。農業問題についてお伺いします。
 この4月から品目横断的経営安定対策が始まりまして、担い手に特化した補助金政策がスタートします。私の住んでいる地域のほとんどは、農地の集積が困難な条件の不利な中山間地でありまして、今回の対策に加入する要件は大変厳しいのが現状であります。国の農業補助金政策は、概して、どのように当てはめていくのかということに県のエネルギーが費やされ、真の岩手らしい農業発展に資するタイムリーな政策がやりたくともなかなかできないというのが現状ではないかと思います。森のトレー事案に代表されるように、実態と合致しない国の補助金政策が結構多いことに気づかされます。
 質問の第1は、国の補助金政策と岩手ならではの施策について、どのような感想を持たれておられるのか、お聞きしたいと思います。
〇増田知事 今回、国の方で品目横断的な経営安定対策というものを打ち出しているわけでありますけれども、これは、農業従事者が減少して、高齢化している。一方で耕作放棄地が大変ふえてきている。全体として生産構造が脆弱化しているという中で、今言ったような兼業農家や高齢農家も含めて多様な構成員から実際に地域農業は成り立っていますから、そういうそれぞれの人の役割をきちんと踏まえて担い手をつくり出していく。そして、地域の合意に基づいて、その担い手を再編していこうというねらいかと理解しています。
 国のこの考え方は、岩手県がこれまで進めてきた、よく地域ぐるみ農業ということを申し上げてまいりましたし、あるいは先行して集落ビジョンの実践活動といったことを促してまいりましたけれども、そうした水田農業の構造改革の取り組みに通ずる点があると私どもは感じております。個々の導入の際にいろいろ気をつけなければいけない点は多々あるわけでありますし、特に個別で対象とならない小規模・兼業農家をどう取り込むかといったようないろいろな問題点は一方であるわけですが、大きな観点では、県がこれまで進めてきた政策と同じ方向を向いていると考えておりますので、そういった立場に立った上で、国のこの政策をより効果のあるような形でいかに導入していくか、この点に努力していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 先般の代表質問で小原宣良議員は、これは選別型の国の補助金政策だというような表現をなされておりましたが、この品目横断的経営安定対策に関して、中山間地農業に対する具体的な施策、特に加入要件を満たさない農家に対する具体的な施策を問いたいと思います。
 さきの小原宣良議員の代表質問において、この対策の導入については、小規模・兼業農家をどのように取り込むか、園芸や畜産の経営安定対策の充実強化を図るか、これをどのようにするかというような課題があるとの答弁がありました。具体的な施策展開についての言及がありませんでしたので、お知らせ願いたいと思います。
 すなわち、この岩手らしい中山間地の独自の事業が、県独自でどのような事業が用意できるのか、これについてお伺いをしたいと思います。
〇増田知事 中山間地域でありますけれども、ここに対しては、これまで県として、地元の市町村や農協と連携して、中山間地域の約5割に当たる集落で、面積規模要件が緩和できる特例などを設定して、品目横断的な経営安定対策への加入促進をしてまいりましたし、それから、集落コーディネーターの配置で、集落営農の組織化に向けた合意形成を支援してきました。その結果、19年産で対策への加入が見込まれている中山間地域の経営体数は、個別経営体で約1、000、集落営農組織で約140となっておりまして、それぞれ県全体の4割を占めている状況でございます。
 今後の取り組みについて、特に県独自の岩手らしい事業をいかに用意できるかということですが、今申し上げましたような個別経営体、集落営農組織、そこの組織化が今後の取り組みの主要な観点になると思います。集落ごとの課題というのが営農形態によってそれぞれ変わってまいりますので、品目横断的な経営安定対策を導入していくためには、今度はやはり集落ごとの課題に応じたきめ細やかな視点ということが必要になってくるわけであります。そこで、その組織化ということが大変重要でありますとともに、そうした取り組みとあわせて、本県が独自に進めてきた集落ビジョンの実現に向けて、中山間地域等直接支払交付金、産地づくり交付金がありますけれども、それを有効に組み合わせて、園芸作物の導入や農産加工など地域の創意工夫を生かした取り組みを促進して、中山間地域の農業振興を図っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 農家の方の意見を聞きますと、やはり前向きにやりたいんだけれども、リーダーとしてやりたいけれども、この制度の意味といいますか、それらについてやはり仲間に説得力を持ってできない、そういう自信がまだわいてこないという部分があると思うんです。そういうお話を聞きました。中山間地の特性に合わせた具体的な施策展開を図る意味でも、県の方でそれらをこれからもぜひ示していただきたいと思います。
 最後に、競馬問題に関して伺います。私は、今の段階での廃止、そしてまた、それに伴う分賦には極めて問題が多いと思っております。これを前提にして伺います。
 仮に廃止となった場合、多額の分賦金が生じ、そのとき、奥州市、盛岡市への融資は困難だという答弁でありましたが、その理由を詳しく御説明願いたいと思います。
 さらに、分賦となった場合、待ったなしの支払いが生ずる215億円余については、支払える見込みがあるのかどうか。また、廃止決定によって起こるであろう市中銀行の予想され得る構成団体へのアクションについてお知らせ願いたいと思います。
〇増田知事 まず、仮に事業廃止という場合には、先ほど申し上げましたが、一部事務組合である競馬組合を解散するということになりますが、この場合、組合そのもののあり方とか、資産や負債の処理方法も含めて構成団体で検討して、負担が最小限となるように取り組んだ上で、すなわち処分などを行った上で、なお損失が生じたときの負担は、組合規約にのっとって、構成団体間の協議を経て、各構成団体の負担を決定するという一連の手続をとることになります。
 そうした一連の手続をとった上での分賦をすることになった負担額というのは、それが構成団体の財政責任を果たすべき負担だということで明確に確定したものになりますので、確定した負担に対しての貸し付けというのは、その団体が責任を持つべき通常の収支不足や財政難に対する貸し付けと同様の性格となるということでありますので、構成団体が財政責任を果たすべき負担にさらに県が融資するということは難しい、このように私どもは判断をしているわけであります。
 それから、競馬組合が今年度末に支払いを求められる債務は、3月20日にも一度、9億数千万円が来ますが、それを含めて、年度末には、いずれにしても約215億円ほどの支払いを求められるわけでありますが、それは、仮に構成団体融資が実行できなくなった場合のことを考えてみますと、そうした場合には、現在の組合の経営状況ですとか、存廃のルールから考えますと、金融機関が新たにそれを貸し付ける、金融機関から新たに組合が融資を受けたり、返済資金を調達するということは困難でありますので、最後の返済が不可能になるわけであります。ですから、その年度末の時点で組合は資金ショートに追い込まれることになります。この場合は、競馬組合は一部事務組合でありますので、制度上、この一部事務組合で生じた債務は構成団体が負担しなければならないと決められておりまして、競馬組合が返済できない以上は、金融機関が、直接構成団体に対して期限までの返済を求めてくると考えているところであります。
〇飯澤匡委員 この競馬問題と、私の地元で起こっている藤沢町の財政問題は非常に私はかぶるのであります。仮に、先ほど申し上げましたように、廃止となった場合の負担金額が確定した、その分についての財政支援は難しいということになりますと、それは原則的にそうだと思うんですが、ただ、やはり構成団体である両市が県に泣きついて、これを何とかしてほしいという点と、今、国営農地開発事業が重荷となって藤沢町も財政的に大変厳しい状況でありまして、それらに財政支援をするのと、私は、これは同じ意味になるのではないかというような思いをしているわけですが、それらについての御見解をお願いしたいと思います。
〇増田知事 改めて今回の融資について申し上げたいと思いますけれども、今回の両市への融資と、今、委員の方からお話がございました他市町村への支援との性格の違いでございますが、今回、奥州市、盛岡市に対して行おうとしている融資でありますが、これは、もう一度整理をいたしますと、これまで両市と県が一部事務組合を構成して、共同して競馬事業を運営してきたということ。この共同事業から得られた利益金のうち、県には223億円余が配分されて、産業振興、医療、教育などさまざまな広い分野で県全体の地域振興に活用されてきたという経緯があること。また、今回の構成団体融資スキームが、これまで共同して運営してきた競馬事業に生じた債務を構成団体からの融資に切りかえて事業の再生を図るというものでありまして、あくまで再生のためのものという位置づけにしてございます。事業廃止を決定したということによる、最終的に確定した責任負担額とはなっていないということで、今回、両市の方に融資をしようとするものでございまして、財政問題を抱える市町村に対して財政支援をする場合とは、支援の対象となる事業の成り立ちや経過、資金の性質に明らかな違いがあると私どもは考えておるところであります。
〇飯澤匡委員 融資の場合は、これは構成団体の一員であるからわかるのですが、廃止となった場合、分賦を求めてきて、盛岡市や奥州市は恐らく財政的には無理でしょうから、県の方に何とかしてくれというような場面が想定されるわけです。それらに融資するのと、藤沢町に融資といいますか、財政支援するのとは同じことではないかということなんですが、それらについてどうお考えでしょうか。
〇増田知事 両市に分賦をするということ、最終的にその分賦というのは両市の確定する債務ということで、両市が責任を持って支払わなければならないということでありますので、これについては、私どもは両市への融資はできないと考えて、申し上げてきたものでございます。
〇飯澤匡委員 よくわかりました。知事には大変私もお世話になりましたので、今後、岩手県のためにこれからも何らかの御示唆、御教示をお願いしたいと思っております。ありがとうございました。
〇亀卦川富夫副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時7分 休憩
午後3時24分 再開
〇及川幸子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、増田知事から発言を求められておりますので、これを許します。
〇増田知事 先ほどの柳村岩見委員の競馬関係についての質問につきまして、私の答弁に金額の誤りがありましたので、訂正させていただきます。
 3月20日の起債の元利償還金、私の方で9億5、000万円と答弁をしたわけでありますが、正しくは9億3、000万円でございました。こちらが正しい数字でございましたので、訂正させていただきたいと思います。どうも申しわけございませんでした。
〇及川幸子委員長 質疑を続行いたします。斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 競馬問題について、乾坤一てきの決意で取り組んできた2年間の競馬組合改革計画の実績はどうなっていますか。
〇増田知事 平成17年2月に策定した改訂実行計画でありますが、これは、コスト削減、設備投資を伴わないインターネット発売等による売り上げ拡大を目指したものでございましたが、このうち、コスト削減については計画を達成いたしました。一方で、売り上げの低迷などから、計画初年度の平成17年度純損益は3億円の赤字、18年度の純損益は22億円の赤字の見込みとなっているところであります。
〇斉藤信委員 競馬組合のこの計画が破綻した、再建が破綻した原因と責任は何ですか。
〇増田知事 この理由でありますが、これは、長期的な発売額の減少傾向に歯どめがかからなかった、それから、テレトラック資産を売却することにしておりましたが、それを売却しないこととしたことが中心でございますが、それ以前を含めて計画が達成できなかった背景には、盛岡競馬場の整備等の設備投資に伴う借入金の負担が収支を圧迫したことも大きいと考えております。
 いずれにしても、組合として、経済情勢が売り上げに及ぼす影響、ファン動向など、岩手競馬をめぐる環境変化に対する認識が不十分であったととらえているところでありまして、この反省の上に、今回、計画を策定したところでございます。
〇斉藤信委員 競馬組合管理者として知事の責任について、平成16年12月の県議会で知事はこう述べていました。計画を実行した上で私自身の責任につきましては明確にしていきたいと。2年間の結果が今出ているわけですから、責任を明確にしていただきたい。
 今年度の予算のときには、平成18年度を最後の機会にと指摘しましたが、この県議会の附帯意見を現段階でどう受けとめていますか。
〇増田知事 責任と附帯意見についてでありますが、これまでの計画の反省や県議会の附帯意見の趣旨も踏まえまして、今回、売り上げが拡大していく見通しの計画という従来の考え方をやめて、競馬組合みずからが収支均衡を基本とする存廃基準を設定して、新たな赤字の発生を防ぐ仕組みを盛り込んだ新計画を策定したところでありまして、この計画の考え方に沿いまして、県民負担を最小のものにする、そして、競馬の再生に向けた道筋をつけていくことが管理者としての責任と考えるものであります。したがいまして、こうした計画の実現に全力を尽くしていきたい、このように考えております。
〇斉藤信委員 あなたは、乾坤一てきの精神で立ち向かうと言ったんですよ。乾坤一てきというのはどういう意味ですか。
〇増田知事 手元に広辞苑を持っていないわけでありますが、乾坤一てきといいますのは、この競馬の場合におきましては、再生に向けて全力を尽くして、英知を尽くして、そして練りに練った計画をつくる、こういうことではなかったかと思っております。
 委員の御指摘の趣旨は、恐らくそういったものが破綻をしているではないか、こういう御指摘だろうと思いますが、その点については、やはり私も十分でなかったことを反省しているものでございます。
〇斉藤信委員 乾坤一てきというのは私が言ったんじゃないんですよ。知事が言ったんですよ。運命を賭して事に当たるということですよ。全然運命をかけていないじゃないですか。
 売り上げ拡大計画に全く根拠がないと、私も指摘したし県議会みんなが指摘した。あなたは、必ずできると言って再建計画を進めたんですよ。このあなたの認識は間違っていたんじゃないですか。
〇増田知事 先ほど申し上げましたように、その計画の策定の背景が、組合としての自助努力を前提に、売り上げの拡大によって債務を解消するという形に立っておりました。このことについては、計画の実現性について、私どももそれまでの売り上げの動向も踏まえてつくったものでありますので、御答弁申し上げた時点ではそうした売り上げが達成可能と判断していたものでありますが、その後の売り上げの減少の見込みを予測し得なかったという点で深く反省しているところでございます。
〇斉藤信委員 言葉で何ぼ反省してもだめなんです。責任をやっぱりとらなければだめですよ。
 競馬事業の存在意義と現状について、地方財政に寄与する目的が達成できないばかりか、私は、現状は完全に破綻していると思います。借金も利息も払えない、金融機関からも融資を受けられない、これはまさに破綻状態ではないですか。
〇増田知事 今、破綻ではないか、こういうお話でございましたが、競馬組合は一部事務組合という性格を持っておりまして、これは、地方公共団体ということであります。したがいまして、地方公共団体が実施した事業によって生じた債務について、その地方公共団体が負担することは制度上避けられない、こういう仕組みでありますので、民間企業の場合には破綻処理が法律で決められておりまして、破綻処理のスキームがその後に定まっているわけでございますが、民間企業の破綻あるいは破綻処理を行う場合と競馬組合とを同じように扱うことには無理があると考えているところでございます。
〇斉藤信委員 私、現状について聞いたのですよ。8年間、160億円の赤字をふやしたんですよ。再建の2年間で43億円の赤字をふやしたんですよ。競馬組合の存在意義は全くなくなっているんじゃないかと聞いているんです、私は。
〇増田知事 本会議の方で申し上げたわけでありますが、財政競馬ということで始めて今日まで来ているという経過の中では、岩手競馬としても十分な意義を果たしてきたと思っているわけであります。
 その上で、今回、今の経営状況を招いていることについて深く反省をしているわけでありますけれども、そのことを考えあわせますと、競馬事業で生じた債務について県民負担を最小にしなければいけないということが今の競馬事業を考える上でのスタートになるのではないか、こういうふうに考えているわけでありますので、当初の岩手競馬を始めた状況と大きく環境が異なっておりますが、そのことを考えながら、県民負担を最小にするということで、今後、融資などの計画を実行させていただきたい、こういうことでございます。
〇斉藤信委員 総務部長と農水部長が3会派に説明をした文書を私はいただきました。こう書いていますよ。現時点ではまだ累積の収支は黒字であり、財政競馬として存在してきた価値は何とか見出せます。とんでもない話ですよ。赤字をつくって何で存在意義があるのですか。知事もこういう認識ですか。
〇増田知事 私どもの方で作成した文書でございまして、歴史的に見ますと、利益金の配分によって県の方でさまざま多くの事業を行ってまいりましたけれども、そういったことも全部帳消しにするほど債務が膨らめば、これはまた大変な事態になると思っておりますが、現在の経営状況はもちろん大きな問題でございますけれども、歴史的に見ますと、今まで多く利益金を配分してきたことの意味は決して薄れないと考えております。
〇斉藤信委員 財政貢献するから存在意義があるのです。8年間貢献していないんですよ。赤字ですよ。完全に存在意義を8年間失っていると言わなければだめだ。こんなでたらめな説明をして切り崩そうったってだめですよ。3会派は崩れませんよ。
 次に、破綻している競馬事業、公営ギャンブルの救済に税金の投入は許されない、県民の理解は得られないと思いますが、日報の世論調査でも63.5%が融資に反対です。どうですか。
〇増田知事 県民の理解、それから世論調査ということでお尋ねがございました。今回の御提案でございますが、提案している融資スキームをとらずに仮に競馬を廃止するとしても、同額以上の構成団体負担、しかもそれはもう確定しますので、完全に返ってくることのない確定した税金投入にならざるを得なくなってしまいますので、どういう選択を行うかという判断が今、私どもに求められているわけでございますが、その中では今のこの方法がベストであるということで御提案申し上げておりまして、このことについては委員にもぜひ御理解をいただきたいと思います。
 それから、世論調査で県民の皆さん方からの御意見がそこに記載されているわけでございますが、廃止という御意見の多くは、この調査の内容を見ますと、存在意義がなくなっているのですぐにでも廃止というのが14.7%、それから、赤字がふえ続けるなら廃止すべきが53.8%、合わせて68.5%、こういう数字になっているところでございます。したがいまして、この御意見を踏まえてこちらの方でも考えますと、赤字がさらに膨らまないようにしつつ、県民負担を最小にするという意味では、今回の案は、そういった県民の御意見の部分にもこたえられるのではないかと思っております。もちろん丁寧な説明が必要でございますので、県民の皆さん方にまた新聞などを通じて御疑問にお答えするようなことを行っていきたいと考えているわけでございますが、繰り返し繰り返しそうしたことについて理解が得られるように取り組みつつ、ぜひ再生を果たしていきたい、このように考えているところであります。
〇斉藤信委員 私、きょうは競馬融資についての世論調査を言ったんですよ、廃止のことについてではなく。ずれていますよ、答弁が。全然違っていますよ。
〇増田知事 私が今、申し上げましたのは競馬融資についてのことでございまして、競馬融資のことは、今申し上げました競馬の廃止と深くかかわっている問題だと判断しているわけでございます。したがって、これを廃止するかどうかということをまず一番に考えて、それで選択肢を提案しているわけでございますので、その点についてぜひ御理解をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 この日報の世論調査は、県のスキームが発表されてからの調査です。そして、存廃については、雇用や地域経済のためにも存続すべきだというのはたった7.8%しかないんです。私は、破綻した公営ギャンブル、競馬事業に税金の投入なんてあり得ない、このことを指摘しておきたいと思います。
 330億円の一括返済計画の異常について、だれも責任もとらないで県民にすべて犠牲を転嫁するのではないですか。
〇増田知事 大変県民の皆様方にこういう経営状況に至ったことについて申しわけなく思っておりますし、また、こうしたことについて大きな責任も感じているところでございます。その上で、やはり今、行うべきは、大きな反省も踏まえた上で、新しい計画を提案する。現時点で事業廃止するということも御指摘のとおり一つの考え方かと思いますけれども、もう一つとして、赤字を発生させない仕組み・ルールを構築した上で競馬事業を継続する、こういう選択肢もあるわけでございまして、この中で明確な判断、そして責任ある判断を行うことが私の責務かととらえております。今、県民負担を最小にするということから、私の方では赤字をふやさない事業継続という案を選択しているわけでございますが、その実現に全力を尽くすことで責任を果たしていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、公営ギャンブルの破綻で、330億円全部県民の負担だ、知事は3、868万円退職金をもらって帰る、これでは納得しないと思いますが、いかがですか。
〇増田知事 先般の一般質問の再質問でも同じような御指摘をいただきました。大変重くその御指摘を受けとめているところでございます。県民の皆さん方の中にさまざまな御意見もありますし、こうした処理スキームについてなかなか理解しがたい、そういう率直な声、それから、こうした状況になった組合の問題、一体どういう経過と議論の末にこういうふうになったのかという厳しい御意見を私も直接県民の皆さん方から多くいただいているわけでございますが、そうしたことを含めた上で、やはりこの問題にきちんとした道筋をつけておきたい、こういうふうに思っております。きょうまた同じようなことで、委員からも県民の皆さんの思いを代弁するような形で御指摘いただいたんだろうと思いますが、そのことも含めて、任期中にこの問題についてはしっかりとした道筋をつけたい、このように考えているところでございます。
〇斉藤信委員 金融機関の責任について、岩手銀行でさえ、破綻した場合は長期の償還スキームを検討することになると言っているんですよ。公営金融公庫は、破綻した場合には分割払いもあると言っているんですよ。こういう処理をすべきじゃないですか。
〇増田知事 金融機関の責任でありますけれども、事業の存廃にかかわらず、今年度末に支払いが求められる215億円については、約定日までに支払わなければならないものと認識しております。
 さらに申し上げますと、平成19年度以降に支払いが求められる111億円は、競馬事業が廃止された場合には、公営企業金融公庫分の起債については、競馬場の活用の方法によって繰り上げ償還の要否が判断されると承知していますが、少なくともそれ以外の民間金融機関分の起債58.4億円は、約定の上から一時に返済が求められる、このように考えているわけであります。
 したがいまして、いずれにしても金融機関に債権放棄を求めることは、一部事務組合の性格上、制度上不可能でありますので、約定によってその期限に返済することは避けられない。それを前提として対応をとる必要があると考えておりまして、今回のスキームはそういう条件下で可能な対策として考えているものでございます。
〇斉藤信委員 念書をとられたからといって、そんな弱腰になる必要はないですよ。金融機関の責任なんていうのは常識なんだから、これは。そして、金融機関が言っているんですよ、破綻したら償還スキームの変更を検討すると。分割払いでもいいと言っているのに、なぜ要求しないんですか。
〇増田知事 これについては、制度上のきちんとした対応を私どももしておかなければならない。これは一部事務組合として求められるものでありますので、やはりそういった上で私どもも対応を考えなければいけないと思っているところでございます。(発言する者あり)
〇及川幸子委員長 御静粛に。続けてください。
〇増田知事(続) そういうことで、私どもも約定で決められたものを、やはりその期限に沿って対応していかなければならないと考えているところでございまして、この点についてもぜひ御理解いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 今回の330億円の融資は、問題の先送り、責任の回避です。例えば事業を継続したとしても、継続の条件がないのです。広域受託協力金を含めて来年度の計画は299億5、900万円の売り上げとなっていますが、地方競馬の売り上げが減少している中で、売り上げが伸びる、拡大する計画に根拠がないんじゃないですか。
 コスト削減計画についても、1年限りの計画ではないですか。東北映像に約束した削減額5億8、000万円の4年後の復元、返還はどうなるんですか。
〇増田知事 今、二つお尋ねがあったわけですが、売り上げの関係でございますけれども、平成19年度の事業計画については、まず、自場発売の方は、平成18年度の発売実績や19年度における開催日数の減少を考慮して、発売額の減少をこの中に見込んでおります。それから、広域の受委託発売につきましては、各主催者とのさまざまな受委託の調整に基づいて決めたわけでございまして、発売日数を減少させる主催者もありますし、それから、今年度に比べて発売日数がふえる主催者などもございます。それぞれに応じた発売額を見込むなどして、今年度の実績、それから現在の調整状況を踏まえながら計画しているものでございます。
 それから、今、コスト削減の関係で情報関係のことについて御質問がございました。これは、昨年3月に情報関係の会社と組合の方で取り交わした合意書があるわけでございます。しかし、その合意書も存在しておりますけれども、昨年11月に関係者の間で、赤字を出した場合には廃止をすることも含めて、そうならないようにコストを削減しようという大変強い内容の経費削減のルールを定めて、それで了解をとったものでございます。昨年暮れの情報関係のコスト削減も、そうした事業存廃のルール下において調整をして実施したものでございまして、平成20年以降もこうした事業存廃のルールのもとで関係者が集まって経費を適切に切り詰めていくことにしてございますので、仮に売り上げが低迷するといった場合には、そうした3月の合意は確かに委員御指摘のようにあるわけでございますが、しかし、それにもかかわらず、今年度も経費削減について来年度分について情報関係者と合意を見たことからもわかりますとおり、そのときそのとき、それぞれの経費を適切な額に定めていくことになる、このように考えております。
〇斉藤信委員 今の新しい改革計画ではこう言っているんですよ。広域受託発売も含めて、岩手競馬商圏内での購買力は予想を超えて大幅に低下したと。ところが、この計画の中では、広域受託売り上げは平成17年度52億円だったのが111億円、こんなに売り上げを伸ばしているんですよ。こんな根拠はあるんですか。
〇増田知事 開催の時期ですとか、あるいはナイター競馬ですとか、さまざまな曜日の調整等も行っておりまして、それから、最近の売り上げの実績等も踏まえて、今申し上げましたような計画にしているところでございます。そうした売り上げの調整については、私どももこれまでの開催実績等も踏まえてつくったつもりでございますが、従前の売り上げになかなか達しなかったという反省にも立ってさまざまな要因を分析しているものでございますので、ぜひそうした売り上げについては達成をさせたい。なお、それを踏まえた上で、その事業存廃のルールのもとによるコスト削減に取り組む、こうしているものでございます。
〇斉藤信委員 一方では、商圏は大幅に減ったと。ところが、買う人が同じなのに、売り上げ増計画、倍計画、根拠ありますか、本当に。
〇増田知事 繰り返しになりますが、時期的な調整等も私ども行っておりまして、私どもの方で開催していない時期に他場主催の競馬につきまして、今年度の実績を見ましてもかなり売り上げが出てきているといったこともございます。したがいまして、今年度の売り上げの状況等を踏まえた計画となっているものでございますが、またさらにそうした売り上げ増が現実に達成されるようにPR等も万全を期していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 競馬関係者は、この計画では半年しかもたないと言っていますよ。半年で破綻した場合には赤字がふえるんじゃないですか。
〇増田知事 仮に売り上げが十分私どもが望んでいるような形でいかないということ、これは、従前の大変伸びる計画を大幅に修正はしてございますが、仮にそうした場合には、先ほど申し上げましたけれども、頻繁に売り上げ動向等を分析いたしますし、それから、少なくとも四半期ごとに運営協議会で赤字がふえないようにコスト削減を調整いたしますので、そうした中でこの競馬事業について判断をしていく。まず、コスト削減にその上で取り組む、こういう仕組みにしているものでございます。
〇斉藤信委員 幾ら聞いても何の根拠も出てこない。問題の先送りと責任回避ですよ。
 最後に、雇用問題について聞きます。
 県内の雇用の認識について、完全失業者や臨時雇用、非正規社員の推移はどうなっているか。県内の雇用情勢は全体として改善されていると知事は言いましたが、量的にも質的にもさらに悪化していると言うべきではないですか。雇用対策局や雇用対策本部をさらに強化して取り組むべき緊急、重要な課題ではないでしょうか。
 誘致企業における非正規社員はこの間、どれだけ増加していますか。正社員の採用拡大に向け、どう具体的に取り組むのか。派遣、請負、偽装請負の実態をどう具体的に把握しているか、その改善にどう取り組むか、示していただきたい。
〇増田知事 雇用の関係でありますが、まず、失業者の動向であります。これにつきましては、完全失業者が平成12年の3万735人から17年の4万5、662人、1万4、927人、2.2ポイントふえております。それから、臨時雇用でありますが、これも同じく平成12年の8万1、493人から17年の9万4、393人、1万2、900人、2.6ポイントふえているということでございまして、非正規雇用につきましては、平成14年の就業構造基本調査までさかのぼらなければならないんですが、15万4、700人ということで、その5年前の平成9年の12万2、000人に比べて3万2、700人、6.9ポイント増加している、こういう状況でございます。
 こういった雇用情勢にあるわけでございますが、一方で本年1月の有効求人倍率が0.83でございまして、これも1を超えておりませんので万全の状態とは決して言えない状況でありますけれども、これまでの推移を見ていますと、平成13年、14年、0.42というのがずっと続いていた状況から比べますと、県全体として見れば量的に改善の兆しにあるということで、その旨を申し上げたものでございます。
 しかし、この点については、地域的に偏りがあるということがございます。沿岸・県北部が依然として改善されていないという問題。それから、先ほどの数字が示しているがごとく、非正規雇用がふえていることから生ずるさまざまな問題がございますので、今後は、そういった地域偏在の問題と質的な改善に取り組んでいく必要があると考えているところでございまして、今後、産業政策とそのことについては緊密に連携をとりながら取り組む必要があるという観点で、今回、総合雇用対策局を廃止しつつ、商工労働観光部の中でこの問題に機動的に取り組む。それから、あとは地域において、それぞれの地域でジョブカフェサテライト、それから地方振興局、地元の市町村と横に連携をしてこうした問題に対応していきたいと考えております。
 それから、誘致企業の中の雇用の問題について、今お尋ねがございましたが、誘致企業の従業者総数は、平成15年度当初が約4万6、000人でございましたが、平成18年度─今年度当初で約4万9、000人となっております。3、000人ほどふえてございます。その正規、非正規の内訳については私どもの方で数字を持っていないわけでありますが、非正規雇用が全体としてはふえているであろうことを踏まえまして、誘致企業に、私どもフォローアップと称していろいろお伺いして、企業の活動状況についていろいろ改善の余地がないかどうか把握に努めているわけでございますが、その中で、ぜひ正規雇用を拡大するように個別に要請しております。それからまた、組織として、岩手県の経営者協会、それから岩手県商工会議所連合会などの商工団体に対して、正規雇用の拡大について要請しているところでございまして、こうした要請をとらえて、誘致企業の方でも、正規社員の拡大、非正規社員を正規雇用の方に切りかえる方針を打ち出しているところも出てきているところでございます。
 今後も、この問題は大変重要な問題でございますので、正社員の登用拡大を機会あるごとに要請していきたいと考えます。
 最後に、派遣、請負、偽装請負の関係についてお話がございました。この実態については、岩手労働局の方で、昨年9月に県内の派遣先及び請負発注者に対して自主点検を要請したところ、改善を要する企業も一部あったということで、現在、企業の自主的な改善を促しつつ、労働局の方で指導を行っているところと聞いております。
 なお、労働局では、つい最近でありますが、ことしの3月1日付で厚生労働省の課長通知が出されまして、それを受けて、派遣可能期間の制限に既に抵触している労働者派遣があった場合には厳正な指導を行う予定と聞いているところでございます。そうした形で、派遣、請負あるいは偽装請負についての改善に取り組んでいくものと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 完全失業者が急増して臨時雇用がふえて非正規社員がふえているのに、なぜ全体として改善されていると言えるんですか。
〇増田知事 私どもの方で申し上げておりますのは、平成13年、14年の有効求人倍率、これは県としても大変厳しい状況でございましたが、0.42というこれまでにない数値でございました。こういった状況から、最新の数字ですと0.83というところにまでなってきていることをとらえて、全体としての量的な改善を申し上げております。地域的な偏在、それから今、委員の方から御指摘ございました正規、非正規の問題、こういった問題が新たに顕在化してきているものでございますので、こうした問題については、やはり地域的にいろいろ対応が必要だということは私どもも認識しております。その上で、企業に対しての産業政策などと一体として、今後この問題を重要施策として取り組んでいきたい、このように考えています。
〇斉藤信委員 産業政策をやったら偽装請負がふえるのですよ。例えば、北上の新規求人の非正社員は76.3%ですよ。だから、それだけじゃだめなんです。雇用対策が必要なんですよ、いかがですか。
〇増田知事 偽装請負の問題について、やはり企業の社会的な責任の上でこれはなくしていかなければならないものでありますし、この問題についての労働局の具体的な取り組みも今後進んでいくものと考えるわけでありますが、我々も、派遣、それから非正規雇用、こういった労働者が劣悪な環境に置かれていて大変厳しい状況であるということを十分踏まえて、こうした問題にも取り組んでまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 終わります。
〇及川幸子委員長 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党の小野寺好であります。
 初めに、DMV導入の検討について伺います。
 昨年の一般質問で、利用客が減少している三陸鉄道の経営合理化のため、鉄路と道路の両方を走行できるデュアル・モード・ビークル─DMVの導入を検討してはどうかと伺いました。これに対する地域振興部長の答弁は、DMVはメリットがあるが、三鉄は鉄路のほとんどが高架または築堤であり、導入は適当でないとの、私の問いを一蹴する言葉でありました。
 私は、質問した後で、JR北海道苗穂工場に出かけ、助役及びDMV推進センターの職員から説明を受けるとともに、車輪の軌道確保操作を視察してまいりました。これは、車両が低価格であることはもちろん、鉄橋上において横風に強いことも特徴の一つであるとJR北海道では確認していて、このことは、私より少し先に視察に訪れた岩手県の担当職員の方々にもお話ししたとのことでありました。派遣した職員から報告を受けていると思いますが、その後、どのように検討がなされましたか、お伺いいたします。
〇藤尾地域振興部長 デュアル・モード・ビークル─DMV、いわゆる道路とレールの両方を自在に行き来し、走行できる新しい乗り物のことでございますが、マイクロバスを改良してレール走行を可能にしたものでございます。JR北海道を中心に今、研究開発されているようですが、メリットとして3点ある。一つは、車両購入費が1両約2、000万円程度でございまして、普通のディーゼル車両は1億3、000万円ぐらいでございますから、約7分の1。それから、燃費が、これもJR北海道が使っているディーゼルカー比較でございますが、リッター1.4キロがJR北海道のディーゼルカーですけれども、これがリッター6キロメートルということで4分の1程度だと。それから、車両保守費が年間55万円程度ということで、これも普通であれば440万円かかりますので、8分の1程度、そういったメリットが挙げられております。
 一方で、次のような解決すべき課題もございまして、一つは、この車両は普通の鉄道車両と比較して軽量でございますので、既存の信号・保安システムでは認識することができないということがありまして、安全性の確保をどうするか。あるいは無線システム等が必要になってまいりますけれども、当該システムは非常に高額だということ。それから、鉄道線路への進入経路を確保する必要があるわけですけれども、その工事経費が高額だと。それから、現在、JR北海道が製造したこのDMV車両では定員が17名と少ないといった課題も挙げられるところでございます。
 したがいまして、こうしたDMV導入を検討するに当たりましては、経費面、技術面の諸課題の解決が必要であるほか、三陸鉄道の場合は、委員御指摘のとおり、線路のほとんどが高架、築堤で、それに対応した進入経路の確保の問題がありますけれども仮に導入されますと、観光地へのアクセス改善とか、閑散期あるいは閑散時の旅客量に見合った運行体制が構築できるといったことで、コストの節減などの面で意義があると考えられますことから、今後、国、JR北海道における研究開発、あるいはまた、本年4月1日から試験的営業運行をやることを把握いたしておりますけれども、そういった状況等を注視してまいりたいと考えておるところでございます。
〇小野寺好委員 次に、一般住宅への太陽光発電装置の設置及び省エネについて伺います。
 ふえ続ける電力需要に対し、地球温暖化防止対策のため、将来にわたって利用可能なエネルギー源として太陽光発電が有効であり、公共施設よりも、特に多数の一般家庭への設置を訴えてきたところでありますが、火力発電と違い二酸化炭素を発生しないものの、発電コストが高く、普及がおくれています。今シーズンの暖冬ぶりは地球温暖化の直接的影響によるものかどうか不明ではありますが、温暖化が進んでいることは間違いなく、化石燃料にかわる新エネ導入は急務であります。新エネは、発電コストが高いからと敬遠していてはならず、行政が支援していく必要があります。国の補助事業が平成17年で終了し、メーカーの技術開発による価格の低廉化を期待するものですが、補助制度を含めた県の太陽光発電普及の目標と実績はいかがであるか、及び県内市町村の行っている補助制度の実態を伺います。エネルギー特別措置法に基づく新エネの利用義務量は、電力総販売量の1.35%から、先ごろは1.63%とする新しい目標が提示されました。県の積極的な関与を期待いたします。
 なお、新エネはコストが高くつきますが、その分は積極的な省エネでカバーすべきであり、これは温暖化対策にも資することになります。本県の省エネはどの程度推進されているか、伺います。
〇竹内副知事 エネルギー消費の状況についてでございますが、県内のエネルギー消費量は、平成15年度で15万テラジュールとなっておりまして、これを原油に換算いたしますと393万キロリットル、ドラム缶1、965万本に相当する量になります。これを前年と比較いたしますと3.6%の減となっております。
 それから、県内のエネルギー消費量に占める新エネルギーの割合につきましては、水力、地熱、太陽光など、平成15年度では6.9%となってございます。
 今後の新エネルギーの利用割合につきましては、平成10年に策定いたしました新エネルギービジョンの中では、平成22年度までに10.3%に高めることを目標に掲げております。
 それから、省エネルギーの目標と具体策については、平成22年度のエネルギー消費量の目標値を原油換算で387万キロリットルとしておりまして、ドラム缶1、937万本相当としてございます。この目標の実現に向けまして、平成17年6月に、住宅等の高断熱化、マイカー利用の抑制、省エネ機器等の普及などの対策を盛り込んだ地球温暖化対策地域推進計画を策定しておりまして、これを具体的に進めるために、各家庭における環境家計簿の普及や、市町村単位で地球温暖化対策を推進する地域協議会の設置の促進、それから、温暖化対策に積極的に取り組んでいる事業所を認定するいわて地球環境にやさしい事業所認定制度などの取り組みを進めているところでございます。
〇小野寺好委員 引き続き太陽光の一般家庭への普及に力を入れていただければと思います。
 次に、野鳥のふん公害対策について伺います。
 昨年の予算特別委員会で、盛岡グランドホテル下の野鳥による被害の有無を尋ねましたところ、そのような報告は受けていないとあっさりかわされました。夕方、国道4号から見る鳥の群れはおびただしく、不気味でさえあります。付近の愛宕町の道路や屋根には鳥のふんが散乱しており、私も地域住民の皆さんから窮状を聞かされてもいます。これらを殺傷、捕獲することはできず、当面追い払うしかありませんが、根本的解決策をお伺いいたします。
 映画のような、人が襲われたという例はまだないようですが、鳥のふんは衛生上よくないばかりでなく、高病原性鳥インフルエンザの恐怖も脳裏をかすめます。なぜこれほど繁殖したのか、どうすれば退治できるか、その撃退方法はいかがでしょうか。
 また、花巻市中心部での約1万羽のカラスによる鳴き声とふんの公害も伝え聞いておりますが、そちらはどのような状況でありますか、どのような対策を講じておりますか、お尋ねいたします。
〇竹内副知事 野鳥のふん公害についてでございますが、盛岡市愛宕町付近の野鳥の群れは、盛岡市からカラスというふうに聞いております。カラスの繁殖する一般的な要因としては、食べ物となる生ごみが豊富にあることで、この生ごみは栄養価が高いことから、繁殖率が向上するとされております。
 対策といたしましては、生ごみ等の適正な管理や爆竹による音、光を使った追い払いが効果的であるとされておりますが、なおかつ被害が絶えない場合には、鳥獣保護法に基づく銃器やわなによる有害捕獲を実施することとなってまいります。盛岡市では、今年度は約1、700羽のカラスを有害捕獲するとともに、カラスによる食い散らかし防止の効果が実証済みの黄色いごみ袋の利用を推奨しております。
 それから、花巻市中心部でのカラス公害の状況でございますが、市役所周辺に夕方になるとカラスの大群が押し寄せまして、大量のふんを落として住民を困らせておりましたが、これは、市の職員が花火などで追い払いを行った結果、最近は苦情が減ってきていると聞いてございます。市では、今年度は銃やわなにより約900羽のカラスを有害捕獲しておりまして、来年度はさらに重点的に実施する予定と伺っているところでございます。
〇小野寺好委員 最後に、小児ぜんそくの現状と対策について伺います。
 ぜんそくでせき込む姿を見るのは本当につらいものがあります。まして子供の場合はかわってあげたいほどであります。小児ぜんそくは、長じるに従って収束すると言われてきましたが、そうでもないようであります。最近、1年間にぜんそくを発症した小中学生は全体の1割を超えているとの昨年夏の厚生労働省研究班の疫学調査結果も出ていますが、本県はいかがでしょうか。
 粉じんや排気ガスの充満している大都会ではないにもかかわらず、本県小学生の小児ぜんそく有症率は全国平均を上回っていると聞いております。気象条件、人口密度、大気汚染などさまざまな要因が考えられるようでありますが、自然環境のいい岩手で小学生が全国平均を上回っているとすれば、なぜだと思われますか、お尋ねいたします。
 なお、ぜんそく死をなくすためには、学校における健康教育やぜんそく患者カードの常時携帯を望む声もあるようですが、本県の実情、対策についてお伺いいたします。
〇竹内副知事 小中学生のぜんそくの状況についてでありますが、文部科学省の平成18年度学校保健統計調査結果によりますと、小学生の罹患率は、岩手県の場合2.24%でございまして、全国平均の3.79%を1.55%下回っております。それから、中学生の罹患率は1.59%となっておりまして、これも全国平均の2.96%を1.37%下回っております。
 この小児ぜんそくに対する学校での対応でございますが、各学校では、全児童生徒に対して規則正しい生活習慣を整えるよう指導するとともに、個別指導や日常の健康観察などのいわゆる健康教育を行いまして、必要に応じて運動等に関する配慮も行っているところでございます。
 今後におきましても、定期健康診断や保健調査で小児ぜんそくの児童生徒の状況を把握いたしますとともに、学校環境衛生検査を適切に行い、アレルゲンの除去を行うなど、児童生徒の健康管理に努めてまいります。
 また、ぜんそく患者カードについてでございますが、これは、主治医が患者の状態によって、例えば症状が重い場合など、必要に応じて任意にカードを作成いたしまして、それを携行するよう指導しているケースもございます。学校におきましては、児童生徒の健康管理の一環としてぜんそくを罹患している子供たちの状況は把握いたしておりますが、カードを携帯している子供につきましても十分な注意を払い、常に適切な対応がとれるよう努めてまいる考えでございます。
 太陽光発電の目標値ですけれども、平成22年度で8万7、000キロワットとしておりまして、これに対する実績は、平成17年度末で1万1、093キロワット、達成率12.8%でございます。
 今のところ、県内の市町村の補助としては葛巻町と紫波町の2町でやっておりますけれども、これも引き続き啓発などに取り組んでまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問者席に着く〕
〇阿部富雄委員 誇れるいわて40の政策の達成見込みの取りまとめでは、数値目標は全体の約8割が達成度80%以上、その他の目標についてはほぼ達成としています。一方、総合計画前期の評価結果では、おおむね達成以上の割合が67.6%とされ、40の政策が先行し、夢県土いわてが誇れるいわてにかわった感がします。県政運営の基本である総合計画ですが、マニフェストとどう整合させ、推進してきたのか、お聞きします。
 総合計画は、多くの労力と金をつぎ込み、県民参加のもとに、知事みずからが手がけ、作成しました。知事が政治的政策を持つことは当然でありますが、同時に、県行政という施策も遂行する立場にあります。マニフェストと総合計画はどのような関係にあるべきと考えるのか、お聞きします。
 総合計画の実施計画の中に、マニフェストや行財政構造改革プログラムなどを盛り込み、総合的に推進すべきと思います。施策の一体化が図られ、個別に管理、評価してきた労力も大幅に削減されるものと思います。マニフェストにかかわる施策については、その部分を抜き出し、総括する方式をとるべきですが、どう考えるのか、お聞きします。
 マニフェスト選挙により、総合計画が置き去りにされることが心配されます。マニフェストは、どの候補者にとっても絶対ということはあり得ません。マニフェストに盛り込まれず対応がおくれる─例えば競馬問題など多々ありましたが─、しかも新人候補と現職候補では立案に大きな差が出ることも明らかであります。マニフェストは、政策の変更や重要課題の推進については有効と思われますが、どこまで対応が可能と認識しているのか、お聞きします。
〇増田知事 マニフェストについてお答え申し上げます。
 まず、私のつくりましたマニフェストが、その後40の政策ということで県で政策化されたわけでありますが、これは、以前につくられておりました総合計画をベースに、それの内容を見ながら、総合計画の策定時に想定し得なかったその後の財政状況の悪化などの情勢の変化を踏まえて、総合計画を着実に推進する観点でつくり上げたものが私のマニフェスト、さらにそれを政策化したのが40の政策、こういう関係でございました。
 したがいまして、総合政策と全体の体系は整合性をとっている、こういう思いでつくったわけでありますが、本来でありますと、私が1期目、2期目にきちんとした数値目標も含めた公約を掲げていれば、それを受けて総合計画が策定され、そしてまたさらに具体的なマニフェストが3期目の選挙でも掲げられた、こういう関係になったのであろうと思います。1期目、2期目はかなり抽象的な公約という段階にとどまっておりましたので、そういったことで、総合計画との関係がやはりわかりづらいという御指摘を先般のマニフェスト評価大会でも有識者からいただきました。この点は、今後、反省をしなければいけないと考えております。
 総合計画とのあるべき関係ということでお尋ねがございましたけれども、候補者が選挙で掲げるマニフェストの中に理念と重要と思われる具体的な実施計画を書き込んだ上で、それを踏まえて行政計画として総合計画をつくり、そして、それを実施していくのが本来のマニフェストのあり方ではないかと考えております。そういう意味で、行政計画、そしてマニフェストを全体として一元化すべきということは委員御指摘のとおりだと思います。そうすることによって、また評価についても、お互いにきちんとした形で、大きな労力を労することなくでき上がっていくもの、このように考えるわけであります。
 最後に、マニフェストがどういう意味で有効と思われるのか、あるいはどこまで対応が可能かということでありますが、やはり候補者たる者、マニフェストをつくるときに、将来起こり得るであろう予見可能性を最大限持って戦うべきでありますので、そういった予見可能性を最大限発揮すべきだと思うわけでございますが、今、御指摘いただきましたとおり、私の4年前のものには競馬組合問題など具体的に書いているわけではございません。そういった意味では、マニフェストとしても不十分なものと評価されてもいたし方ないものと思っております。
 今、委員から御指摘いただきましたとおり、県政の方向を大きく変えていくという意味ではこのマニフェストは有効でありますが、その後にどうしても生ずる課題があると思いますので、そうしたものが生じた場合には、機敏に、過去のマニフェストを変更するというよりは、県として、それを具体化した、例えば40の政策のようなものの中でその後に生じた問題への県としての対応策を明確化して、そしてまた県民の皆さん方あるいは議会の御理解をいただきながら遂行していく、こういう機動的、柔軟な対応が必要ではないか、このように考えているところでございます。
 それから、新人と現職の情報量の格差等の問題も指摘されております。今回は岩手県においては新人の方同士の戦いのようでございますが、場合によっては現職に新人が挑戦するのはままあることでございますので、そのためには、県のさまざまな政策についての情報公開等を積極的に行って、新人の方でも容易にマニフェスト等によって県政の課題に対応する政策を作成しやすい環境づくりが必要かと考えております。
〇阿部富雄委員 次に、東芝のフラッシュメモリー新工場を北上市に建設することが有力になったと伝えられて何カ月か経過しました。6、000億円という巨大投資、1、000人規模の雇用の期待が高まりました。しかし東芝は、本年に入って、半導体価格が急落し、新工場の決定を先送りしたと報じられています。それでも、07年後半に建設、08年度以降に稼動を示しているようですが、県は、建設時期や稼動時期、本県への立地の可能性についてどう認識し、働きかけているのか、お聞きします。
 誘致には数十億円の補助金や税の減免などが取りざたされています。しかし、優遇措置については、国内自治体に余り差がないよう競争が激化しており、半導体部門単独の損得だけでは立地を決められないと言われています。大量の電気を消費する半導体企業では、電力会社にとっては重要な顧客であると同時に、電力会社は半導体企業などの充電メーカーの顧客であると言われています。他地域では、既に行政だけではなく電力会社も誘致に巻き込むなど、予断を許さない状況にあります。こうした取り組みに対する認識と、本県の取り組みはどうなっているのか、お聞きします。
 半導体そのものの生産は企業の中で完結すると言われていますが、半導体製造装置、電子デバイス、部品などは地元企業の参入も見込めるところです。県内の半導体関連産業の状況をどのように認識しているのか。半導体関連産業の集積を進めるとしていますが、どのようなものを目指そうとしているのか、そして、半導体に関連する地元企業の育成、参入をどう支援しようとするのか、お聞きします。
〇増田知事 まず、東芝さんのフラッシュメモリーの新工場の建設でありますが、この分野は、3カ月単位ぐらいで市況が大きく変化する、こういう大変世界競争の激しい分野と聞いているわけでありまして、当初は07年度、すなわち平成19年度初めに用地決定を予定していると聞いておりましたが、現在稼働している四日市工場の生産量の増加、メモリー市況の状況から、これを07年度後半におくらせることになったと東芝の方からはお聞きしております。しかし、東芝の社長も、半導体への投資を継続する、今後も引き続いて第5工場を建設する旨は明言しておりますので、県としても引き続き強力に企業誘致に取り組んでいきたい。私も、任期の最後のところで、またさらに東芝の方にアプローチしたいと思っておりますが、昨年の暮れにも行ってまいりましたけれども、いろいろな優遇制度、立地上の利点、東芝にとっては何が優位になるかということをきちんとお話をして、取り組みたいと思います。
 第2点目は、そうした県の努力と同時に、やはり電力会社の協力をいただくことが大変大事でございまして、既に地元の北上市のみならず東北電力とも十分に連携をとりながら、でき得る限りの誘致活動を強力に進めてきております。東北電力の方も、経営陣の最高トップがもう既にいろいろな形で動いておりまして、私どもと連携をとって取り組みを進めているところでございますが、今後もそうしたところでよく情報交換しながら、引き続き、ぜひ県内への新工場建設に結びつけていきたいと思います。
 3点目に、半導体産業、半導体関連産業についてでありますけれども、これは国際的に見ますと、今、韓国や台湾との大変厳しい競争環境にあるわけでありますが、市場全体がまだ拡大しているといういわゆる成長産業でありますので、その中で大変高度な技術を要する分野でもございますし、我が国の強みを発揮できる有望な産業という認識に立っております。
 中でも、岩手県でありますが、世界的な半導体デバイスメーカー、半導体製造装置メーカーなど有力な企業が本県に立地している、地元企業がものづくりについて基盤技術を有しているということもございますので、半導体関連産業の集積につながる高い可能性を本県は持っていると思います。この点は、多分、本県の競争相手は九州になるのだろうと思いますが、そこに比べても本県の優位な点ではないかと思います。
 したがいまして、この半導体関連産業は多様な基盤技術の集合体でありますので、本県に立地している半導体製造装置メーカー、いわゆる川下企業群と、金型や鋳造などの高度な基盤技術を有している地元企業群、これは川上の企業ということになると思いますが、この川下と川上の企業のすり合わせを図りながら、国際競争力のある高度部材供給基地の形成を目指す、その中に半導体を位置づけていきたいと思っております。
 県として、地元自治体として、産学官連携によるネットワークの形成などによって、こうした新工場誘致、地元企業との接点の拡大といったことを、企業の具体的ニーズや課題を把握しながら取り組んでいきたい。あわせて、ものづくり人材の育成にも力を入れて、地元企業の競争力の強化につなげていきたいと考えております。
〇阿部富雄委員 それでは、最後に県際連携についてお聞きいたします。
 岩手・宮城県境議員懇談会で提起された宮城県側の県境連携の窓口について、栗原地方振興事務所の地方振興部長とされたところであります。常設の連携機関ができたことにより、幅広く、迅速に連携を図ることができるものと思います。窓口を活用した県境連携についてはどのように進められてきたのか、お聞きします。
 平泉の文化遺産の世界遺産登録を機に、中国、山陰、四国、九州、沖縄など、これまで本県への入り込みの少なかった地域からの仙台空港を利用した来客が増加するものと思います。特にも、本年開業する仙台空港へ乗り入れするアクセス鉄道の開業により、多くの来客が期待できます。また、平泉町など県内から仙台空港へ直接乗り入れする列車の運行を可能にすることにより、観光にとどまらずビジネスや産業の進展にも期待されるところです。これらを推進していくためには、特にも県際地域の仙台空港へのアクセスをよくしていくことが不可欠であることから、宮城県との連携にとどまらず、JRなど民間との連携も必要でありますが、どう対応していくのか、お聞きします。
 港湾では、仙台塩釜港が東北の拠点として位置づけられており、自動車産業関連だけでなく物流全般に活用が期待できることから、流通機能や生産基盤を高めることが必要です。人、物、情報を運ぶ連携の基盤となる国道4号、284号、342号などの道路網の整備は欠くことができません。これらの整備の見通しはどうなっているのでしょうか。また、今までの連携の実績を踏まえ、経済や民間の動きをより的確に把握し、連携を深めていくことが必要ですが、どのような条件整備が必要と考えるのか、お聞きします。
〇増田知事 まず、県際連携でありますが、今、お話にございましたとおり、宮城側の窓口がきちんと決まったということが昨年ございまして、それまで、廃棄物の不法投棄の合同パトロールですとか、観光推進連絡協議会などを通じましてJRの特別列車を運行するなど、そういったことを行ってきたわけでありますが、そういった窓口が双方できちんと確定しているということを通じまして、いわて・みやぎ県際花めぐり紀行というものを今年度から実施して、官民協働の新たな観光振興に努めて、そのほか、北上川を活用した観光振興を図るために、この地域を活動エリアとする両県のNPOや関係市町村が主体となって、北上川流域観光地域づくり実践プランの策定といった取り組みも進められております。やはりこうしたことを今後もさらに多く行っていく必要があると思いますので、両県の窓口を通じてさまざまなアイデアをこちらからも出していきたい。それを実現に向けて練り上げて、実施に移していきたいと考えます。
 それから、仙台空港の関係でありますが、仙台空港は宮城県民に次いで岩手県民が利用している、特に県南の方はかなりこの空港を利用しているという状況もございますので、そうしたことを通じて、本県の観光や産業の振興にも寄与していると考えます。今月、アクセス鉄道が開業するわけでありますが、このことによって仙台空港と仙台駅間のアクセス時間が大幅に短縮され、定時性が確保されるということでありますので、これは、本県の県南地域への観光客やビジネス客にとっても利便性が向上することにつながっていくと思います。
 平泉の世界遺産登録を契機として、仙台空港を利用した観光客のより一層の入り込みということも期待できますので、鉄道、バス事業者、経済団体との連携を進めて、そうした面からの受け入れ客を増大させていきたいとも考えておりますので、JR東日本、仙台空港鉄道株式会社に対しては、地元の意向も踏まえて、世界遺産登録に対応した増便を図るなど、利用客の利便性が一層高まるような対応を県として要請していきたいと考えております。
 それから、道路関係で、まず国道4号の整備でございますが、平泉バイパスでありますけれども、南側の延長2.4キロが既に平成11年度に供用されておりまして、残る北側の延長3.4キロについては、平成19年度の供用を目指して、今、整備を進めております。恐らく来年の今ごろ、3月ごろに供用ができるのではないかと聞いております。
 それから、水沢東バイパスでありますが、全体は9.6キロでありますが、このうち、397号以北の4.6キロメートル部分は平成17年度までに完成、供用開始されておりますが、残る南側のところでありますけれども、現在、397号から343号までの延長約1.1キロメートルの区間について設計を行いまして、来年度はこの区間の用地調査を行うと伺っているところであります。いずれの関係も国の直轄事業でございますので、より一層の事業促進について、国土交通省の方に強力に働きかけていきたいと思います。
 それから、国道284号でございますが、これは、一関市の真滝地区でございます。ここは例の一関研究開発工業団地の整備を行うあの地点の直角カーブのあるところでございますが、これにつきましては、急カーブと急勾配の解消を図らなければならないので、平成17年度から延長1.8キロのバイパス整備に着手しておりまして、隣接する研究開発工業団地の関係は、先般、委員の方からも御質問いただきましたが、埋蔵文化財の遺跡の調査が若干必要になってまいりますけれども、そちらの整備スケジュールとも調整を図りながら、そちらで工業団地の販売が始まるときには、真滝の区間も整備ができるように、そういった調整を図りながら事業を推進していきたいと考えております。
 それから、もう一カ所、一関市千厩町清田地区、旧千厩の清田地区の、ガード等をくぐっているところでございますが、これは、大船渡線のガードのけた下のクリアランスを確保しなければならない。それから、全体が急カーブになっていますので、そこの解消を図らなければならないということで、今年度から延長840メートルの道路改良工事に着手しまして、平成22年度の完成を目指しております。ここは大型車の通行に支障が出ておりますので、今申し上げましたような予定で今後進めてまいりますが、できるだけ早期に供用開始ができるように取り組んでいきたいと考えます。
 それから、国道342号の関係でございますが、これは一関市花泉町の市街地の部分でございまして、幅員が狭く、安全な通行に支障を来しているということで、平成14年度から延長4.9キロメートルのバイパス整備を進めております。これまで、主に圃場整備区域内の用地取得を進めてきたところでありますが、来年度の19年度からは盛り土工事に着工する予定ということでございまして、こちらも今後とも事業の推進に努めていきたいと考えております。
 最後に、県際連携をさらに深めるための条件整備ということでございますが、今年度から始まっております、先ほど申し上げました、いわて・みやぎ県際花めぐり紀行のような官民協働による取り組みも始まっておりますが、総じて言えば、今まで行政主導、官主導の取り組みという色彩が否めなかったところであります。今後は、より民間の発想、民間の力というものを柔軟に取り入れやすいような取り組みに転換していくということが重要かと思いますので、例えば県際にありますそれぞれの商工会議所、商工会等の経済団体、工業クラブ、市町村の観光協会など、こうした県際連携に向けた主体的な取り組みを推進する団体が連携組織を立ち上げるのに向けて行政としては支援を行っていく。このようなことをして民間の発想、民間の力というものをさらに取り入れた取り組みが必要ではないか、そういった条件整備が必要ではないかと判断しておりますので、この点については宮城県の方ともよく相談しながら、今後対応していきたいと考えます。
〇阿部富雄委員 県際連携の関係は今までにないぐらい進んだ形で発言していただきましたから、ぜひ進めていただきたいと思いますが、ただ、例えば宮城県などは、仙台空港アクセス鉄道に直接岩手県からの乗り入れについては、どうぞやってくださいと。問題は、スピードといわゆる費用の問題が解決すればどうでもいいのですという言い方をしているわけですから、やっぱりその辺は積極的に働きかけをしていくことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇増田知事 今後、宮城ともよくお話をして、また、これも本県の観光のみならずさまざまなビジネスの方にも積極的に活用していきたいと思っておりますので、よく宮城県とも話を進めていきたいと考えます。
〇及川幸子委員長 次に、阿部敏雄委員。
   〔阿部敏雄委員質問者席に着く〕
〇阿部敏雄委員 無所属の阿部敏雄でございます。
 県北・沿岸振興に絡んで2点、漁業協同組合の経営問題についてと、県立釜石病院・市民病院統合についてお尋ねいたしたいと思います。
 初めに、定置網被害対応と漁業協同組合の経営問題についてお伺いいたします。
 去る9月5日~6日の台風12号及び10月6日~8日の低気圧による強風、高波によって、漁業者や漁協等は定置網を中心に甚大な被害を受けたところですが、現在の復旧状況はどのようになっておりますでしょうか。また、定置事業の不振等により厳しい経営状況が続く漁業協同組合にとって、このたびの災害が経営に深刻な影響を及ぼすのではないかと大いに懸念されるところでありますが、県として、かかる事態をどうとらえ、今後どのような方策を講じていくおつもりか、お聞かせ願います。
 次に、漁業協同組合の合併問題についてお伺いいたします。
 漁協の系統組織では、平成16年2月に策定した岩手県漁協組織強化計画に基づき、現在の27漁協を地区合併し、平成18年度までに11拠点とするとともに、平成19年度末までには県1漁協に体制を構築するとしているところですが、現在の進捗状況はどのようになっているのか、お示し願います。
 また、県として、現在の状況をどう評価・分析し、今後どのように指導・支援していくおつもりですか、知事の御所見をお伺いいたします。
〇増田知事 合併の問題についてお答えを申し上げたいと思います。
 漁協系統組織では、平成19年度の県1漁協ということを最終目標に、本年度末、今月末までに11の拠点漁協を構築するために、7地区におきまして合併推進協議会を設立し、これまで合併に取り組んできたという状況でございますが、年が明けまして、ことしの1月、先ほど申し上げましたような期限内での合併は困難であると判断して、現在、計画を見直す方向で、各漁協の意見を集約中と伺っております。
 このように、当初計画どおりに漁協系統組織で合併が進まない状況にあるわけでございますが、その原因としては、次のような3点があるのではないか。すなわち、定置漁業の不振などにより厳しい経営が続きまして、各漁協の財務改善が進まなかったこと。その結果、漁協間の財務状況の格差が依然として大きくあるということ。それから、合併の基本的な条件となる本所の位置、定置漁業の取り扱いの調整などにいまだ時間を要しているといったことなどがあると考えているわけであります。
 今後の県としての指導・支援についてでありますが、漁協組織のあり方については、まず、基本的には系統みずからが議論を深めて、主体的に取り組んでいくことが重要と考えるわけでありますが、漁協が、今後とも本県の水産業振興の中核的な役割を担って沿岸圏域の振興をリードしていくためには、やはり漁協合併によって経営基盤を強化して、自立した経営体制を確立することが必要と考えます。したがって、県では、多額の繰り越し欠損金を有している漁協に対して利子補給を行うことや、経営状況に応じた個別指導の強化などを通じて、漁協みずからの経営改善の取り組みというものを支援いたしますとともに、漁協合併の円滑な実現に向けて、関係市町村と連携を図りながら、各地区における合併協議を促進して、漁協系統組織の主体的な取り組みというものを積極的に支援していきたいと考えております。
〇竹内副知事 定置網被害の復旧状況についてでございますが、去年の9月の台風と10月の低気圧によりまして、84カ統の定置網が被害を受けております。この対策として、今漁期の操業を中止した県北─これは種市漁協ですけれども─の2カ統を除きまして、かえ網の活用などによりまして、11月上旬までにすべて復旧したところでございます。
 次に、漁協経営に与える影響についてでございますが、定置事業は、事業利益の約4割を占める経営上重要な部門でありまして、今回の災害による定置網の復旧に必要な資金調達が、経営改善に取り組んでいる漁協にとって大きな負担となることが懸念されたところでございまして、こうしたことから、昨年の12月補正予算におきまして定置網復旧支援資金を創設いたしまして、定置網の早期復旧と経営の安定化に向けた支援を行っているところでございます。この制度の創設後、漁協等から資金の追加要望がありましたことから、必要な資金を円滑に調達できるよう、今議会に融資枠の拡大を提案いたしております。今後とも、資金の返済が漁協経営にとって大きな影響を及ぼさないよう、漁協系統組織と連携を図りながら、経営改善の指導・助言を強化することといたしております。
 それから、ことしの1月から、県漁連など関係団体と、共済制度の活用などを含めまして、今後における災害対策のあり方について総合的に検討を進めているところでありまして、その検討結果を踏まえて、関係機関との連携を強化しながら、適切な災害対策を講じてまいりたいと考えております。
〇阿部敏雄委員 定置網が組合の収入源の大半を占めるわけでありまして、先日の新聞報道を見ますと、自民党の国会議員団が宮古漁協に集まりまして、県漁連が集まって、定置網について国の支援策を要望したようでございまして、報道されておりました。やはりもう時期が来まして、春の一番最初の漁であるイサダ漁が始まりました。前年の12月から1月に入ってのサケ漁はことしはよかったと。それでホッとした漁協もあるわけでございますけれども、また、今、ワカメ漁を目の前にして、温暖化によっていそ漁に影響がないのかなというような不安が広がっております。災害はいつ起きるかわからないのが災害なのです。去年も、ある漁協においては、ワカメの変色によって一切全部捨てた漁協もあるわけです。ですから、ことしの春漁でありましたいそ漁が全くだめだと。ワカメとか、マツモとか、フノリが温暖化によって非常に水揚げがなかったというのが現実であります。
 漁協の経営というのは、組合員が先か、漁協が先かと。卵が先か、とりが先かというと、やはり漁協の経営基盤が強くなければ、漁業者は安心して漁業に従事していけないというのが現実だと思いますので、競馬だけの問題ではなく、漁協にも特段の支援をしていただきたい、私はそう思います。まず、それが1点。
 次に、野田議員も一般質問で話しましたが、私は地元でありますので、県立釜石病院と市民病院の統合についてお伺いいたします。
 両病院は平成19年4月1日に統合し、新しい県立病院としてスタートする予定ですが、統合後の病院運営の根幹となる医師の確保について、同じ圏域である私の地元の県立大槌病院を含めた現在の状況と今後の対応をお示し願います。
 また、職員の人事配置については、平成17年2月に締結した両病院の統合に関する協定書によると、平成17年度から19年度の3年間で、釜石市民病院の職員を段階的に受け入れるとされております。円滑な職員の移行と業務推進のためには、職員一人一人の希望や家庭事情等を考慮したきめ細かな対応が必要不可欠であると考えますが、県としてどのように対応しているのか、お聞かせ願います。
 さらに、両病院統合後の釜石保健医療圏における地域医療の確保・充実のために、県の方策についてあわせてお示し願います。
 そこで、実は3月3日の地元の東海新聞に、病院統合で大幅見直しということで、一部、退職する職員が市の部局に6人、残り41人は、退職する病院職員のうち13人が県医療局に移ると。ですから、地元の市役所に異動になる方はいいわけなんですけれども、県立病院に行くとき、家族構成によって、自分がやめなきゃならないのかという思いがあるんですよ。やはりまだ小さい子供がいるとか、それから老人を支えて、もし異動になった場合にどうなるのかというような不安の声も聞きました。13人の異動をする場合には、家庭事情を、私が話したように、ぜひ、そこを十分に考えてほしいと思います。
 それと、先ほど飯澤委員の話の中で、近い将来だと思いますが、県立病院が21、診療所がというような話をされまして、地元では、大迫の次は大槌病院が診療所になるのではないかというような危惧を持っている方が大勢おるんです。私もこの間、県の医療局の話し合いのときも話したんですけれども、今の段階では、そういう大槌病院とか何かは全然のってないんですかね。それをちょっとお尋ねしたいんです。
〇竹内副知事 県立釜石病院、市民病院、大槌病院の医師確保についてでございますけれども、常勤医師の状況は、今現在、県立病院は23人、釜石市民病院は3人となっております。県立大槌病院の常勤医師は、内科医3人、外科医1人の正規医師計4人の診療体制となっております。
 今後についてでございますが、大学から派遣されている医師の人事異動が行われるなどの動きもございまして、現時点では詳細に見通すことはちょっと難しい状況となっております。昨今は全国的に医師不足、地域偏在の状況にあることは、御案内のとおりでございまして、厳しい状況が続くものと考えておりますが、現状の診療機能が維持できるよう、県立釜石病院及び県立大槌病院の医師確保に向けて、関係大学等にさらに働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、職員の受け入れの話がございます。市民病院から県立病院に受け入れる職員の配置に当たりましては、これは個別に面談をいたしまして、できる限り職員の希望や家庭事情も考慮して配置しているところでございます。
 御案内だと思いますが、平成17年度に16人、18年度に27人の43人の職員を受け入れておりまして、19年度は、先ほどお話がございました13人を受け入れる予定といたしております。
 それから、統合後の地域医療の確保でございますが、この統合につきましては、限られた医療資源の中で、県立病院における急性期医療を担う医療機能の充実と、釜石市民病院の再編による慢性期医療及び在宅医療を担う医療提供体制を確保するという基本的な方向性のもとに進められてきたものでございます。
 県といたしましては、こうした方向性に沿って、県立病院の急性期病院としての機能を強化しながら、慢性期医療や在宅医療につきましては、新たに設置される釜石のぞみ病院や民間診療所と十分な連携をとりながら、地域に必要な医療提供体制の確保に努めることとしているところでございます。
 こうした地域の医療機関の機能分担と連携を進めまして、必要な医療機能が確保されるよう、地域連携クリティカルパスの導入、あるいは疾病別の医療連携体制構築の方向性などについて、これは、今後策定を予定しております保健福祉計画の中できっちり位置づけをしてまいりたいと考えております。
 最後に、大槌病院のお尋ねがございましたが、今現在の計画の中には、大槌病院は含まれておりません。
〇及川幸子委員長 それでは、最後の総括質疑になります。高橋博之委員。
   〔高橋博之委員質問者席に着く〕
〇高橋博之委員 無所属の高橋博之でございます。
 先日、たしか、平野ユキ子議員の一般質問の中で、次の知事の最大の課題は人口減少社会への対応だと増田知事は御答弁をされたと記憶しております。知事が先般示したネクストマニフェストの中でも、この人口減少社会への対応、過疎の問題、それから限界集落対策といった言葉も入っておりました。私もこの1年間、120回の県政報告会を行って、県民の皆さんとひざ詰めで対話をしてきましたが、その結果、過疎の問題が最大の課題だろうと、私もこのようにとらえているところでございます。12年間の県政運営を通じまして、今、最も岩手県のことを熟知している知事に、もし次も知事であれば、人口減少社会にどのように対応していくのか聞きたい衝動に駆られました。そういうことで、人口減少社会への対応として、地域活力の維持・向上の視点から、以下、順次質問をさせていただきます。
 来年度予算にがけ地近接危険住宅移転事業についてが計上されておりますが、この事業の発想は、人口減少社会を見据えた集落の移転にもつながるものと私は考えております。人口減少、高齢化の進展に伴って、いずれ行政サービスの維持が困難となり、地域住民同士の助け合いによる共同生活も難しくなる、そういった限界集落もあらわれてくるものと予測できます。将来的に集落の移転あるいは再編も不可欠だと考えますが、この点について知事の御所見を求めます。
〇増田知事 がけ地の移転の事業は、中心部の方に、そうした地域の方々に移転していただくということが、逆に中心部の機能を維持していくということにも資するのではないか。そういう意味で、生命、財産の安全を早急に確保するという視点が一番大きいわけでありますが、今、委員がお話しになったようなことも、そのことを通じて期待できるのではないかと考えております。そして、やはり限界集落と称されるような山間部の機能が衰退しつつある集落が存在しているということは現実の問題でありますし、今後ますますそうした集落が大きくなっていくわけでありますので、その中でも、やはり核となる集落を中心とした横の連携による集落機能の維持を図りながら、NPOなどとの協働を進めて地域を維持していくという試みに対して、県として積極的に支援をしていきたいと考えておりますが、その状況がさらに進んでくるということになりますと、ちょうど今、都市部においてコンパクトシティーという考え方が進められているわけでありますけれども、そうした都市部におけるコンパクトシティーのような理念を取り入れた集落の再編成の検討ということも行っていかなければならない時期も出てくるのではないかと考えるわけであります。
〇高橋博之委員 先ほど、工藤委員の質問の中にもあったんですが、県として、県内の過疎地域の状況をどのように把握しているかという答弁の中で、先般、国土交通省のアンケート調査で出された数字が出ておりましたが、これですと、個別の市町村ごとの数値まで公表されておりませんで、具体的にどこまで過疎が進捗しているのか、なかなかわからないような現状であります。県として独自に過疎地の状況調査を進めていく必要があると思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇増田知事 先ほど御指摘をいただきました国土交通省、総務省が実施した調査では、やはりまだ分析にちょっと限界がありまして、大づかみの傾向はわかるのですが、それ以上のところがまだわからないという状況もございます。しかし、こうした過疎地域のいわゆる限界集落の状況を踏まえて有効な施策をつくっていくためには、高齢者の割合のみならず、前の調査は65歳以上割合が50%とか、そういった高齢者の基準によっておりましたが、それだけではなくて、人口規模、年齢構成や集落の歴史的な成り立ちなど、多面的・多角的な視点で考える必要があると判断しておりますので、県としては、集落の考え方を整理しながら、来年度、この点について調査を実施して、さらに詳細な実態を把握していきたいと考えております。
〇高橋博之委員 集落の再編成には、行政的再編、機能的再編、それから、先ほど来出ております空間的移転再編といった三つの考え方がありますが、仮に知事がこの問題に取り組むとして、こういった三つの再編成を、ケース・バイ・ケースだと思いますが、どのように組み合わせて進めていくべきとお考えでしょうか。
〇増田知事 この集落については、その成り立ちに文化的・歴史的な背景がございます。また、人口や世帯数、今申し上げました年齢構成など、その置かれている条件が一様でございませんし、さらに、集落の意向というものは最大限尊重しなければならないということでございまして、こうした問題については非常に慎重に対応する必要があるのではないかと思うわけです。
 今、委員の方からお話がございました三つの区分けでいいますと、例えば空間的移転ということは、ダム建設の場合の公共工事での集団移転などが一番大規模なものだと思うわけでありますが、さらに、がけ地の地域から、御同意をいただいて、その下にある住宅に移転していただくというものも、規模は小さいですけれども、こうした空間的移転にもつながる事業ではないか。こうしたものについては、県が事業の中でかかわることもあると思います。今でも、これまでもやってきたものだと思います。いずれにいたしましても、その地域でどのような形の集落が望ましいかというのは、まず実情を十分把握している、まさに地域の市町村と当該集落とが話し合いを重ねていく中で適切に判断すべきものと考えているわけでありますが、いずれにしても、全体としてのそういう地域が持っている機能とか社会的役割というのは大変とうといものでありますので、市町村、集落がいろいろ話を進めていく中で、全体を包括して、県としてその取り組みを支援していく、このことは県としての大変重要な役割だと考えているものであります。
〇高橋博之委員 一番最初のがけ地近接危険住宅移転事業、これは国庫の方なのですが、県として、今年度、県単事業でがけ崩れ危険住宅移転促進事業をスタートさせまして、昨年、釜石の方で6世帯が同意に達したということで、初めての取り組みとして注目されました。これまでは、コンクリートを張ってハード対策にお金と時間をかけていたわけですが、これはあと5年から6年かかって、費用の方も2億6、000万円程度かかるところを、この移転事業ですと、3、000万円程度から6、000万円程度の費用で済んだということで、コストの方も大分安く済んだわけですが、こういった移転が必要な危険箇所が県内の場合は4、100数カ所ありまして、既に整備が進んだところはその大体10%程度ということで、残り90%がまだ未整備なわけです。そういうことで、今のこの財政難の中で、こういった危険箇所に対応していくためには、やはり従来の整備手法からの発想の転換を図る必要があると私も思うわけですが、これも人口減少社会を見据えた集落の移転につながるものと私は考えるものです。
 先日もある40世帯近くの集落のところでお話をさせていただきましたが、空気をバスが運んでいるという話をされまして、それが今、現実になってきているわけですが、改めて、この点について発想の転換ということで知事の御所見をお伺いしたいと思います。
〇増田知事 今、例に出されましたがけ地からの移転促進事業でありますけれども、もう一度改めて申し上げますと、本県では地形上もこういった箇所が大変多くございます。そして、過去においても幾多の被害を生じさせているという状況にもございまして、これまでは、ほかに適地もないということもございましたので、まずハード対策として斜面をコンクリートで固めるといったようなことに多くの時間と費用をかけてきたわけでありますが、現実には大変整備が進まない。そして危険な状態をそのまま放置しているということがございました。私も、釜石で起きました災害の現地に参りましたけれども、大変痛ましい事件でございましたけれども、現実には中心部の方が人口減少で空き地も多く出ている中で、そうしたがけ地のすぐ下の古い住宅に住まざるを得なかったということもありまして、何とかこの対応策を考えたいと思ってきたところであります。したがって、今後、今の人口減少が国全体としてもより進んでいく、そして、残念ながら沿岸地域ではこういった人口減少圧力というのがより顕在化してくる中で、今、委員からお話がありましたとおり、発想を転換して、従来はハード中心でやっておりましたものを、移転ということによって、逆に中心部の方の集落形成に資するような形にできないかということで、県の支援制度を新たに創設したものでございまして、このことによって、安全ということをより短い時間で達成させられますし、それから、費用が、トータルで計算いたしますと、この方が安いものですから、そうすると、御同意を前提でありますが、御同意がいただければ、多くの箇所でこの事業を実施できるということであります。もちろん、個人の資産形成につながるのではないかといういろいろ御意見もあったのですが、それも内部で十分に検討いたしまして、国の事業の中でこれを実施するには、まだなかなか国の方の意識も変わっておりませんので、まず県単でこの事業を実施し、行く行くはやはり国全体として、大きな人口減少の中でこうした事業に切りかえていくべきではないかという問題提起を今後もしていきたいと考えているところでございます。そういうことで、始まったばかりの事業でありますが、釜石地域でもう既に同意をいただいた世帯が6世帯出てまいりましたので、そういう現実の例が出てくれば、また他の地域にも具体的な御説明をすることが可能となりますので、こうした事業を実施して、より早く、そしてまた集落機能を維持するという観点からも、県民の生活を守っていきたいと考えております。
〇高橋博之委員 何しろ、岩手県は四国に匹敵する広大な面積を有しておりまして、広いところにもって人が減っていけば、当然これは影響が大きいわけです。
 そこで、先ほど、最初の方の質問の知事の答弁にもありましたが、コンパクトシティーの理念をもとに集落の移転先を例えば中心市街地に求め、今、モデル介護支援ハウス事業などをやっておりますが、そちらと連動させますと、中心市街地の活性化にもつながり、あるいは自動車に依存しない社会を実現し、地球温暖化防止にも貢献ができます。また、商店街の空き店舗を利用したNPO事業、例えば老人介護、学童保育、障害者デイサービスなどボランティア行為に対して納税を可能とする地域通貨を発行すれば、地域のボランティア活動も活発になり、岩手らしい結いの維持・再構築にもつながり、まさに知事がおっしゃっております人のぬくもりに包まれた社会の実現にもつながっていきます。こうした岩手型ライフスタイルを実現する新しい集落を部局横断的に考え、モデル事業として進めていってはどうかと提言をするものでありますが、所見があればお願いいたします。
〇増田知事 今、委員の方から御提言がございましたけれども、やはり今後の人口減少社会ということを考えますと、都市部でのコンパクトシティーの理念に基づいたまちづくり、それから中山間地域も集落の再編ということをやはり念頭に置いて、今後のあり方を考えていくべきではないかと思うわけであります。その際に、十分に留意しなければいけない点といたしましては、地域住民の方々の理解と合意という点でございまして、これまではぐくみ継承してきた独自の文化や歴史、コミュニティー、さらには生まれ育った土地への強い愛着、こうしたものが当然あるわけでございまして、そうしたものに行政としては十分配慮する必要がある。それから、地縁的なつながりもない地域で新しい生活をするということについての不安、受け入れ側での共同体意識の形成についても、地域住民の方々と十分な議論を重ね、機運の醸成を図るということが必要かと思います。これは、県でもダムなどで水没される皆様方の集落をまとまって移転していただく上で必ず今までも経験してきた問題でありまして、その意味での経験というものも蓄積してございますが、さらに、今申し上げましたような点での十分な配慮が必要かと思うわけでございます。したがいまして、将来的に都市部あるいは中山間部でのさまざまなコミュニティー維持のための集落の再編ということが必要だと思いながら、まだまだいろいろ検討しなければならない課題が多ございますので、先ほど申し上げましたような来年度に新たに調査を起こして、実態を詳細に把握するということを行いつつ、今後の集落の再編のあり方を部内の方でもよく模索していきたい、研究していきたいと考えております。
〇及川幸子委員長 これをもって総括質疑を終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時10分 散会

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