平成9年12月定例会 決算特別委員会会議録

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平成9年12月1日(月曜日)

1開会 午前10時5分

1出席委員 別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長       村 上 勝 治
議事課長       及 川 宣 夫
議事課長補佐     駿 河   勉
主任議事管理主査   千 田 正 和
議事管理主査     上 柿   聡
議事管理主査     木 村   稔
議事管理主査     南   敏 幸
議事管理主査     筒 井 則 裕

1説明員
副知事        千 葉 浩 一
副知事        吉 永 國 光
出納長        高 橋 洋 介
総務部長       大 隅 英 喜
総務部次長      合 田   武
県立大学整備室長   川 崎   功
総務学事課長     藤 沢 政 則
人事課長       照 井   崇
財政課長       千 葉   弘
税務課長       佐 藤   健
消防防災課長     小野寺 禎 夫
企画振興部長     武 居 丈 二
企画振興部次長    小野寺   修
企画振興部次長    福 岡 勝 夫
企画調整課長     上 野 賢一郎
地域政策課長     邨 野 善 義
市町村課長      久 保 隆 男
交通政策課長     瓦 林 康 人
資源エネルギー課長  多 田 英 壽
副出納長兼出納局次長 石 川   誠
総務課長       小野寺 文治郎
出納課長       浅 沼 昌 明
監査委員       源 新 義 弘
監査委員       橋 本 光 男
監査委員事務局長   飛 澤 重 嘉
総務課長       山 瀬 宗 光
監査課長       青 木   拓

〇村上議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっておるので、年長の委員を御紹介申し上げる。出席委員中、藤原哲夫委員が年長の委員であるので、御紹介申し上げる。藤原哲夫委員、どうぞ委員長席にお着きいただきたい。
   〔年長委員藤原哲夫君委員長席に着く〕

〇藤原年長委員 ただいま紹介された藤原哲夫である。何とぞよろしくお願いする。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開く。
 これより委員長の互選を行う。委員会条例第7条第2項の規定により委員長互選の職務を行う。
 お諮りする。委員長の互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、互選の方法は、指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名の方法については、当職において指名することにいたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 決算特別委員長に長谷川忠久君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した長谷川忠久君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇藤原年長委員 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した長谷川忠久君が決算特別委員長に当選された。
 ただいま当選された長谷川忠久君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 長谷川委員長、委員長席にお着き願う。
   〔決算特別委員長長谷川忠久君委員長席に着く〕

〇長谷川委員長 ただいま委員の皆様方の御推挙によって名誉ある決算特別委員会の委員長に御指名をいただいた。大変光栄なことであると存じて、心から御礼を申し上げたいと思う。
 本特別委員会の新年度の予算編成に向けて積極的な議論の場が行えるよう、委員会を運営してまいりたいと思うので、ぜひ皆様方のご協力をお願い申し上げてあいさつにかえさせていただく。よろしくお願い申し上げる。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決定した。
 これより副委員長の互選を行う。
 お諮りする。副委員長の互選の方法については、指名推選の方法によりたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 御異議なしと認める。よって、互選の方法は指名推選によることと決定した。
 お諮りする。指名の方法については、当職において指名することにいたしたいと思うが、これに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 御異議なしと認める。よって、当職において指名することに決定した。
 決算特別副委員長に、千葉浩君を指名する。
 お諮りする。ただいま当職において指名した千葉浩君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ないか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 御異議なしと認める。よって、ただいま指名した千葉浩君が決算特別副委員長に当選された。
 ただいま当選された千葉浩君が委員会室におられるので、本席から当選の告知をする。
 千葉副委員長、ごあいさつを願う。

〇千葉副委員長 ただいま委員各位の御推挙によって決算特別委員会副委員長に御指名をいただき、大変光栄に存じておる次第である。
 委員長を補佐し、各位の御協力によって委員会を円滑に運営できるように皆様方の御協力を切にお願い申し上げてごあいさつとする。よろしくお願いする。(拍手)

〇長谷川委員長 お諮りする。当決算特別委員会に付託された決算12件についての審査の方法であるが、お手元に配付してある日程案のとおり、本日から12月5日までの5日間は、出納長及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算12件に対する意見の取りまとめと採決については、12月5日の警察本部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を得た上で行ないたいと思うが、これにご異議ないか。
 [「異議なし」と呼ぶ者あり]

〇長谷川委員長 ご異議なしと認め、さよう決定した。
 これより議事に入る。認定第1号平成8年度岩手県一般会計歳入歳出決算から認定第12号平成8年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算までの12件を一括議題とする。
 これより高橋出納長から決算の総括説明を求める。

〇高橋出納長 平成8年度歳入歳出決算の概要についてご説明申し上げる。
 平成8年度の予算は、第三次岩手県総合発展計画後期実施計画の初年度として編成され、一般会計の当初予算は8、071億3、738万円余で、いわゆる骨格予算であった前年度の当初予算と比べて910億1、107万円余、12.7%の増となったところである。この当初予算の公共事業及び県単独事業の追加など466億6、213万円の追加補正が行われ、さらに前年度からの繰り越し事業費577億2、324万円余を加えた結果、予算現額は9、095億2、275万円余となって、前年度に比べると567億2、714万円余、6.7%の増となったものである。
 それでは、お手元にお配りしておる歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書の385ページをお開き願う。ただいま申し上げた予算現額に対する決算額は、お手元の調書に記載のとおり、一般会計の歳入総額は8、826億4、410万円余、歳出総額は8、630億8、424万円余で、歳入歳出差し引きは195億5、986万円余となったものである。又、歳入歳出差し引き額から翌年度へ繰り越すべき財源187億2、969万円余を差し引いた実質収支額は8億3、017万円余の黒字となったことである。
 次に歳入歳出決算書2ページと3ページをお開き願う。まず、歳入についてであるが、収入済額は8、826億4、410万円余で、前年度に比べると601億3、829万円余、7.3%増加し、収入済額煮たい仕手97.0%、調停額に対して99.8%となったところである。
 なお、収入未済額は13億6、917万円余で、前年度に比べて2億3、115万円余増加したが、この収入未済額の主なものは県税である。
 次に、4ページ、5ページの歳出についてであるが、支出済額は8、630億8、424万円余で、前年度に比べると663億8、173万円余、8.3%増加して、予算現額に対する支出済額の割合は97.9%となったところである。また繰越額は458億9、582万円余で、前年度に比べて98億2、741万円余減少した。繰越額の主なものは、農林水産業費及び土木費である。
 なお、不用額は、5億4、268万円余で、前年度に比べて1億7、282万円増加したところである。
 以上、一般会計の決算概要について御説明を申し上げたが、その特色としては、第1には、決算の規模が拡大したことである。農業農村整備などの公共事業や県単独事業等に引き続き積極的に取り組んだ結果、決算規模が前年度に比べて歳入で601億3、829万円余、7.3%、歳出で663億8、173万円余り8.3%拡大したものである。
 第2の特色としては、自主財源が増加し、その構成割合が高まったことである。県税収入が前年度に比べて2.4%増加したほか、貸付金元利収入などの諸収入が前年度に比べ200億7、506万円余、33.1%と大幅に増加し、さらに繰入金、繰越金等が増加したことなどによって自主財源が2、729億1、419万円となって、前年度に比べて407億6、982万円余、17.6%増加した。これによって歳入総額に占める自主財源の割合は30.9%となって前年度の28.2%を2.7ポイント上回ったものである。
 第3の特色としては、県単独事業費が大幅に増加したことである。普通建設事業費などの投資的経費は、国のウルグァイ・ラウド農業合意関連対策等に対応した公共事業及び県単独事業の増加や県立大学、農業研究センター、職業能力開発短期大学校などの大規模施設の整備に伴って、前年度に比べて156億5、475万円余、4.6%増加したが、中でも県単独事業費は、前年度に比べ202億9、186万円余、17.3%増加して1、372億7756万円余と、過去最高額となったものである。 
 第4の特色としては、義務的経費の構成割合が低下したことである義務的経費は公債費等の増加に伴って、前年度に比べて169億2、663万円余、5.8%増加したが、県立大学校の次年度以降の整備に備えた公共施設等整備基金等への積立金が前年度に比べ124億6、513万円余、287.5%と大幅に増加したほか、商工関係等の貸付金が116億9548万円余、20.7%増加したことなどについてよって歳出総額に占める義務的経費の構成割合は35.8%と、前年度の36.7%を0.9ポイント下回ったものである。
 第5の特色としては、繰越額が多額になったことである。次年度に繰り越した金額は458億9582万円余で、前年度に引き続き多額となったが、これは、国の補正予算に対応して追加補正された公共事業などが設計及び工法の検討に不測の日数を要したこと等により、繰り越しとなったことによるものである。
 以上、一般会計決算の特色を申し上げたが、次に、母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の決算内容について御説明申し上げる。
 特別会計歳入歳出決算総括表により御説明を申し上げるので、歳入歳出決算書の20ページをお開き願う。
 母子寡婦福祉資金特別会計ほか10会計の歳入合計額は、25ページに記載のとおり457億5928万円余で、収入未済額は13億6621万円余となったが、その主なもの派、中小企業振興資金特別会計における中小企業高度化資金の償還金などである。 
 歳出合計額は、28ページに記載のとおり436億9058万円余で、各会計とも実質収支は黒字となった。
  以上で決算の概要説明を終わるが、お手元に歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしておるので、ご参照いただきたいと存ずる。
 なお、決算内容の詳細については、審査日程に従ってそれぞれ担当の部局長から説明申し上げることとなっておる。また、監査委員からご意見のあった事項のうち、措置を要するとされたものについては、既に関係部局において所要の措置を講じているところである。会計事務の適正な執行については、今後とも各部局への指導、適正な出納審査等を行うなど、その万全を期してまいりたいと存じておる。
 よろしく御審議のうえ、御認定くださるようお願い申し上げ、説明を終わらせていただく。

〇長谷川委員長 これより総括質疑に入る。
 最初に代表質疑を行う。代表質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、新進・公明、自由民主党、社会民主党、県民クラブ、清和会の順に行う。発言時間は、答弁を除き1人30分以内となっておるが、会派の発言時間に残時間があるときは、その範囲内で、当該会派に属する委員に限り関連質疑を認めることになっておる。
 なお、世話人会の申し合わせにより、8年度決算の審議であるので、当該年度に関する質疑とされたいこと、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、特に答弁は簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力されるようお願いする。
 これより代表質疑に入る。

〇村田委員 新進・公明の村田柴太である。
 新進・公明を代表して、平成8年度の決算についてお許しを得て総括的に質問をさせていただくので、よろしくお願いする。
 さて、平成8年度は、景気が穏やかながら回復の動きが見られる中にあって、増田知事が就任されてから始めて編成された当初予算である。知事が策定した3県総の後期実施計画に基づいて、生活、生産両面にわたる基盤の整備やきめ細かな福祉政策、次代を担う人材育成対作東が推進されるなど各般版の施策が展開されてきたところであった。年度当初は産業の空同化や雇用の不安が懸念されておったが、花巻福岡便が就航するとともに、秋田新幹線が開業するなど高速交通体系が整備される一方、世界に誇る宮沢賢治の生誕100年、石川啄木の生誕110年という偉大な先人の歩んだ歴史の節目にも当たり、その業績にふさわしいさまざまなイベント等が開催されたのである。さらに、パラダイス岩手'96などのイベントも開催され、さらには、次代の岩手を担う人材を育成する県立大学の学長として、世界的な科学者であり、また、教育者でもある西澤潤一先生が内定するなど、明るい話題が多かった年であったと思うのである。しかしながら、一方では少子・高齢化や高度情報化の急激な進展、国境を越えた地域間競争の激化や国民の価値観の多様化、地球環境問題の顕在化など、本県を取り巻く経済社会情勢が大きく変化しつつあることを痛感させられる年でもあったと思うのである。
 そこで伺うが、平成8年度の県政全般を顧みて、どのように評価されているのかお聞かせ願いたいと思う。

〇千葉副知事 平成8年度の県政全般についての評価であるけれども、平成8年度は、本県にとって2000年度を目標年次とする3県総後期実施計画の初年度に当たったものである。少子・高齢化や高度情報化などの急速な進展の中にあって、経済社会情勢の変化を踏まえて、県民に開かれた、わかりやすい県政の実現を念頭に置きながら、後期実施計画に掲げた七つの視点に留意しながら、実施計画の重点事業を中心に施策の積極的な展開に努めたところである。
 以下、その主な施策の状況についてであるけれども、まず、県土の整備についてである。 
 県民生活や産業経済活動の基盤となる広域的な交流を促進する交通体系の整備を進めるとともに、上下水道の整備など、生産、生活両面にわたって基盤整備に努めたところである。特に高速交通網については、新交流ネットワーク道路の整備を推進するとともに、秋田新幹線の開業、花巻ー福岡間の航空路線の新規開設など、その整備が一層促進されたところである。また、自然環境保全地域として新たに滝沢村の春子谷地を指定するなど、本県のすぐれた環境と景観の保全、創造にも積極的に取り組んだところである。
 次に、産業の振興についてであるけれども、農業については、大区画圃場等の生産基盤の整備、新たな試験研究ニーズや地域課題適切に対応するため、農業研究センターの整備を促進したところである。
 また、林業については、担い手の育成や労働力の確保、地域材ブランド化の促進などに努めたほか、水産業については、引き続きヒラメやマツカワの魚類栽培を推進して、つくり育てる漁業の展開を図ったところである。 
 商工業についてであるけれども、ベンチャー企業への投資を促進する支援制度の創設や、県立産業技術短期大学校を整備するなど、地域経済の活性化に努めたところである。
 また、観光については、観光地のイメージアップを図るとともに、各種キャンペーンの展開によって観光客の誘致拡大に取り組んだところである。
 福祉の充実についてであるけれども、保健医療については、循環器疾患専門の医療施設、県立胆沢病院の新築移転が完了したほか、県立久慈病院の移転新築工事を引き続き推進したところである。
 また、社会福祉については、ひとにやさしいまちづくり事業の推進あるいは延長保育などの保育事業を拡大するとともに、女性の働きやすい環境づくりに努めたところである。
 また、防災ヘリコプターひめかみの就航などによって、安心できる暮らしの実現に努めたところである。 
 ひとづくりについては、岩手県立大学の開設に向けてその準備に万全を期したところであるが、そのほかに、生涯学習推進センターの整備による生涯学習の振興に努めたところである。
 また、インターハイや冬季国体関連のスポーツ施設の整備を進めるとともに、県立美術館の整備に向けて取り組むなど、スポーツ、文化の振興に努めたところである。
 なお、平成8年度においては、賢治・啄木生誕祭、地域伝統芸能全国フェスティバル、食パラダイス岩手'96などのイベントが開催されたが、これらを通じて本県の魅力を内外に発信することによってイメージアップが図られたものと考えているところである。
 以上、平成8年度における主要施策あるいは重点事業を中心にその成果の一端として 申し上げたところであるが、このほかにも各分野において積極的な施策の展開を図ったところである。その結果、県政は着実に発達しており、県民生活の向上が図られたものと考えておるところである。

〇村田委員 牛の歩みのごとく堅実に努力された成果を今お示しいただいたわけであるが、非常に御苦労であった。
 次に、財政問題についてお伺いする。
 平成8年度の地方財政は、地方税の伸び悩み、地方交付税の落ち込みなどに加えて、所得税、住民税の制度減税、特別減税が行われたことから多額の財源不足が見込まれる中にあって、公共投資基本計画に基づく社会資本の整備、総合的な福祉施策の充実、活力のある地域づくりなどの課題への対応が求められたことである。そのことから、地方財政対策として減税補てん債の発行、地方交付税の増額確保、さらには、建設地方債の発行によって財源を確保したところである。このようなところから、交付税特別会計の借入金残高は増加し、地方財政は厳しい状況に陥っているところである。また、本県についても、平成8年度の決算を見ると歳入面では県債の発行が引き続き増加し、8年度末の県債発行残高が8122億円余と、年間予算に匹敵するほどの額になっておる。
 それらの特徴が見られるところであるが、そこで伺いたいのであるが、国、地方を通じる厳しい財政状況の中にあって、県では、平成8年度決算をどのように分析しておられるのかお聞かせ願いたいと思う。

〇千葉副知事 平成8年度の本県の決算であるけれども、県税収入は、法人県民税、法人事業税、自動車税等が伸びたことによって前年度より増加しておる。また、地方交付税も前年度を上回ったところであるけれども、県債が尾羽場に増加しておって、以前として厳しい財政環境であった。
 歳出面では、国のウルグァイ・ラウンド農業関連対策等に対応した公共事業と県単独事業の増加や大規模施設整備に伴う普通建設事業が増加したことによって前年度に比較して671億5800万円、8.4%の大幅な増加となったところである。
 財源確保対策としては、歳入面では、使用料、手数料等の見直し15件、法人県民税の超過課税の継続、歳出面では、県単補助金の整理合理化80件、県単独事業の見直し60件などにより財源確保に努めたところある。
 また、新規施策としては、新交流ネットワーク道路整備事業、新いわて農業再編総合対策事業、漁業栽培推進事業、救命救急センター整備事業、すこやか子どもランドーー仮称であるけれどもーー整備事業など32件の主要施策の重点事業を新規に予算化するなど、県勢の着実な発展のために鋭意努力したところである。
 財政構造についてであるが、東北6件の財政指標から本県の財政構造を見ると、まず、自主財源比率であるけれども、これは高い方から第4位である。それから、一般財源比率であるが、これは高い方から第5位である。それから、経常収支比率であるが、これは低い方から第2位、義務的経費比率であるが、これは低い方から第2位、公債費比率は低い方から第3位、普通建設事業費の割合は高い方から第2位、県単独普通建設事業費の割合は高い方から第3位となっておる。これらの結果は、本県の財政構造が依然として脆弱であることを示しているわけであるけれども、財政運営に当たっては、財源の確保に努めて、経常経費を可能な限り節減して社会資本の整備を積極的に推進するなど、限られた財源を重点的かつ効率的に配分するよう努めた結果であると考えておる。東北各県と比較してもおおむね良好な状態にあると考えておる。
 今後も厳しい財政環境が続くと見込まれておるけれども、行財政運営の簡素合理化に努めながら、健全な財政運営に努めてまいりたと考えておる。

〇村田委員 次に伺うが、県債についてである。
 平成8年度の一般会計の県債に係る決算額を見ると1499億200万円余と、前年度に比較して5.6%、額にして79億3000万円余の増となり、歳入全体に占める割合もまた前年度よりは若干下がったものの17.0%と依然高い割合となっておるのである。また、歳出のうちの公債費を見ると723億1000万円余りで、前年度に比較して15.3%、95億8000万円余増となっておる。公債費の年々の増嵩によって財政の硬直化が懸念される状況になっておるのである。国においては、多額の公債残高を抱え、主要先進国中最悪とまで言われる財政状況の健全化を図るために財政構造の改革に鋭意取り組んでいるところであるが、県においても、このまま県債に依存した財政運営を続けていけば、国の財政と同様の道をたどることになりはしないかと懸念されるのである。
 そこで、県の今後における県債導入の考え方の基本的な姿勢についてお伺いしたいと思う。

〇大隅総務部長 近年、公債費が増嵩しておるのは、平成4年度以降の数次にわたる国の財政対策に呼応して、県においても県債を財源とした公共事業を実施したことや、地方財源不足に対応した地方財政対策として発行された建設地方債を導入したことは、さらには、農業研究センターや県立大学の整備などの単独事業についても積極的に実施したことなどが主な要因となっておる。
 ご指摘のように、公債費の増嵩は財政の硬直化を招く大きな要因となるが、本県においては、21世紀を目前に控えた今の時期に、変化の激しい経済社会情勢や多様化する県民にニーズに的確にこたえるとともに、立ちおくれている社会資本の整備や3県総後期実施計画に掲げる重点事業を計画的に実施していくことが求められておる。このため、さきに策定した行財政システム改革指針に基づき、公共事業を含めた事務事業の評価による見直しにより歳出の合理化を図りながら推進すべき施策の重点化を図ることにより、限られた財源の効果的な活用に努めることとしておる。
 また、県債の導入に当たっては、将来の財政運営に支障を来すことのないように留意しながら、県債を充当する事業については緊急性と重要性を見きわめるとともに、後年度に公付税措置のある優良な県債の活用を図ることとし、特に、財政の健全化目標として平成12年までに歳入に占める県債の依存度を財源対策債を除いて10%未満となるように発行を縮減するとしたところであるので、今後においては、毎年度の予算編成を通じてこの目標の達成に向けて努力し、財政の健全性の確保を図っていく考えである。

〇村田委員 次に伺いたいわけであるが、県道改良工事と文化財保護の関係についてである。
 昨日の新聞によると、主要地方道盛岡環状線の滝沢村字野沢地内における道路改良工事において、工事区域内に、縄文遺跡があるにもかかわらず、これに気づかずに工事を進めておったとの報道がなされているのである。この事態発生に至った原因としては、県は、事前の遺跡基本図での遺跡の確認行為に初歩的なミスがあったのではないかと指摘されておる。県では、平成7年11月にいわゆる奥山道の自然破壊を引き起こして以来、先月半ばに宮古市君田地内のデワノトリネコ伐採問題や、さらには今回の遺跡問題を相次いで引き起こしておるが、これは極めて遺憾なことである。あらためて県土木部の自然保護あるいは文化財の保護など、ほかの法令との調整に対する取り組み姿勢そのものが大きく問われているのではなかろうか。
 県では、かかる事態の発生の原因をどのように把握しておるのか。また、その執行体制の立て直しにどのように取り組もうとしているのか、その覚悟のほどをお聞かせ願いたいと思うのである。

〇吉永副知事 このたびの事態は、滝沢村公共下水道工事と同時に行われた主要地方道盛岡環状線道路改良工事において、遺跡基本図により埋蔵文化財の位置にあらわす線を等高線や道路などの線と見誤り、その存在を確認できず、結果として手続を経なかったものだある。この青焼きの地図は私も見たが、確かに小さいものであるが、プロとして、見にくかったから見落としたといったような言いわけは許されるものではない。度重なる県道工事における事務手続き上のミスは、驚きとともに沈痛の思いで受け止めているしだいである。あらためて県民の皆様方に深くお詫び申し上げたいと存じている次第である。
 問題の大きさにかんがみて、本年度事業化諸すべてについて土地利用手続きチェックリストの総点検を緊急に指示することとしておる。
 また、このような事態を引き起こしたことは、委員御指摘のいわゆる奥山道の自然破壊の反省に立った改善策に対する認識が徹底していなかったと言わざるを得ないものと考えておる。厳しい社会経済環境の中で公共事業を推進するためには、県民の皆さまの信頼を得た上での一体的な取り組みでなければ円滑な行政執行はなし得ないと考えておる。県職員としての目的意識と果たすべき役割をもう一度原点に立ち返って再確認の上、各自の資質の向上を図り、あわせて組織の機能が十分果たされる体制づくりを行ない、かかる事態の防止に取り組んでまいる覚悟である。まことに申し訳なかった。

〇村田委員 基本図の線引きと等高線等を見間違ったということは初歩的なことであるが、お説のように、今後大いに注意せられたいと要望する次第である。そしてまた、法令の縦割りということについて、もう少し弾力的にご勉強いただくように要望する次第である。
 次に移らせていただく。公共下水道の整備について伺いたいと思う。
 まず、下水道の整備については、私は、公共用水域の水質汚濁を防止するとともに、県民の住みよい生活環境の確保を図る上で、下水道を初めとする汚水処理施設は欠くことのできない重要な公共施設であると思うのである。その設備に対する県民の要請はますます高まっているのである。県では、下水道の整備に積極的に取り組んできたところであるが、本県の汚水処理施設の設備率を見ると平成8年度末で37%と、全国平均の62%と比較すると大きく下回っているというのも事実である。公共下水道事業の整備はきわめて重要かつ緊急な課題であるが、この事業は工事期間が長く、事業費が膨大であることから、国が財政構造改革に取り組んでいる状況下にあって前途はまことに厳しいものであると存ずる。建設省年局の来年度予算の概算要求を見ると、対9年度比でマイナス5%と低いものとなっておるようである。
 そこで伺うが、本県の公共下水道事業の普及拡大に向けた今後の取り組みをお聞きしたいと思う。

〇吉永副知事 下水道事業は県としても3県総の重点事業の一つに掲げておるし、平成6年度に策定した全県域汚水適正処理構想に基づいて、県事業である流域事業として都南処理区、市町村事業である公共下水道事業として43市町村においてその整備促進に積極的に取り組んでいるところである。御指摘のように、平成8年度末の本県の汚水処理施設の整備率は全国平均を大幅に下回っておって、公共下水道は全国平均が55%に達しているのに対して本県は26.4%と、その2分の1程度である。更に、町村においてはわずか8.1%と、県民の生活環境に大きな地域格差が生じているところで、今後の普及拡大が重要な課題であると認識しているところである。
 国では、去る6月に閣議決定された財政構造改革において、下水道事業といえども聖域なしとして、平成8年度から12年度までの第8次下水道整備5ヵ年計画についても平成14年度までの7ヵ年計画に延長された。また、委員御指摘のとおり、建設相の平成10年度予算概算要求を見ると、下水道関係は生活関連重点化粋を含めても前年度比マイナス5%となっておって、今後の下水道整備は相当厳しくなっていくものと受け止めておるところである。
 今後、下水道の普及拡大を図るためには、着手市町村を増やすこと、市町村に対する支援の拡大という二つの方策が必要と考えている次第である。 
 まず、着手市町村については、平成9年度に新規着手した西根町、軽米町、住田町を含め43市町村で事業を実施しており、着手率が73%と平均の65%を上回っておる。残る町村についても早期に着手するよう指導してまいりたいと考えている次第である。
 市町村への支援については、公共下水道計画策定費補助と、本年度新たに緊急下水道整備特定事業を対象として拡充した下水道事業債償還金費補助の県単独費による財政支援や、採択要件を満たす過疎市町村に対する県代行事業による支援を一層積極的に推進するとともに、市町村から要望の強い汚泥の広域処理や、組織的、財政的にその基盤が貧弱な中小市町村に対する技術支援についても検討してまいりたいと考えている次第である。
 厳しい財政状況の中で効率的な事業執行を図るために、さきに策定した公共工事コスト縮減対策岩手県行動計画に基づいて建設コストの縮減を図りつつ、市町村と密接に連携しながら下水道の普及拡大に一層努力してまいりたいと考えている次第である。

〇村田委員 国の財政的支援の確保、そしてまた、市町村に対する財政支援の工夫等については、お説のようにさらに1歩進めて、綿密な、血の通う重点施策としてお進めいただきたいと次第である。
 次に、関連して、農業集落排水事業との調整について御所見を承りたいと思う。
 農業集落排水事業は、農業用排水路の水質改善、農村の生活環境の整備を目的として行われ居折るが、生活排水処理事業という観点から見ると、どちらの事業も共通しておるところが多いわけである。しかしながら、もととなる制度がそれぞれ異なっておるところから、それらの事業間の総合調整が図られないまま事業が推進された場合に、末端の負担が過重となることはないのか。さらに下水道処理施設の問題として制度的な調整を図る余地はないのか、これらについての御所見を承りたい。

〇吉永副知事 汚水処理施設の整備については、県としても最重点課題として早期整備に取り組んでいるところである。その推進に当たっては、市街地、その周辺地域は土木部所管の公共下水道で、農山漁村の集落は農政部所管の農業集落排水事業と林業水産部所管の漁業集落排水事業によって整備し、その他の地域については生活環境部所管のコミュニティープラントや合併処理浄化槽で水洗化を図ることとしておる。その整備に当たっては、対象区域の重複や処理場の近接など非効率な事業が行われることのないよう、関係部間や市町村と緊密な調整を図っておって、経済的かつ効率的な事業手法を地域別に定めた岩手県全県域汚水適正処理構想を平成6年度に取りまとめて、これに基づいて各事業を推進しているところである。
 なお、これら汚水処理施設の管理についても、市町村の処理施設の一括管理や隣接市町村間での広域・共同管理も含めて、その効率的かつ経済的な管理方法について関係部間及び市町村と検討を進めているところである。
 今後とも、御指摘のあった県民の負担が過重になることのないように、関係部や市町村と十分に連絡を図り、縦割り行政だといったことが言われないようにしながら整備推進に努めてまいる所存ある。

〇村田委員 次に、河川環境について伺う。
 近年、河川を取り巻く環境は大きく変化し、治水、利水の役割だけではなくて、潤いのある水辺空間、多様な生物が生育する環境としての役割がクローズアップされ、県民の河川に対する期待が高まってきておる。こうした変化を踏まえて、建設省では従来の治水と利水のほかに、河川環境行政を積極的に推進するために、河川環境の整備と保全という課題を追加するなどした法律改正を行ったところである。
 そこでお伺いする。治水対策は、生態系にも配慮し、自然景観を考えた河川の整備が一層必要なものと考えるところであるが、県は、河川法の改正によって河川事業をどのように展開していこうとしているのかお聞かせ願いたい。
 また、周辺環境に配慮しながら自然と文化に触れ合うダムとして早池峰ダムの例が良い例であると思うが、県では、早池峰ダムについてどのように評価しておるのか、また、他のダムにおける取り組みの考え方等についても触れていただきたいと思う。

〇吉永副知事 県としては、これまでも3県総の重点施策として治水とともに水辺環境の整備を掲げ、潤いのある河川整備に向けて積極的に取り組んできたところである。しかし、本県の河川整備水準は依然として低く、今後も県民の生命、財産の保全のため堤防や護岸等の治水施設の整備を促進していくことはもちろんであるが、治水施設は将来にわたって地域の自然や社会環境に大きなかかわりをもっていることから、法改正の趣旨に従って、一層自然景観や生態系にも配慮した多自然型川づくりに努めるとともに、災害復旧工事においても同様に取り組んでまいりたいと考えている次第である。
 さらに、河川の特性や地域の風土、歴史、文化などの実情に応じた河川整備を推進するためには地域との連結が不可欠であることから、今後、具体的な河川の整備計画を策定するに当たっては、引き続き河川懇談会等を開催し、地元市町村、地域住民等の意見を積極的に取り入れ、その計画に反映させていきたいと考えている次第である。
 次に、早池峰ダムについてであるが、早池峰ダムの建設が進んでおる大迫町は国定公園の早池峰山を袍擁しさらに国指定の重要無形文化財の早池峰神楽でも県内外に知られており、また、ワイン産業や姉妹都市のベルンドルフとの国際交流など、活発に取り組んでいるところである。
 県では、大迫町の自然環境や社会環境を踏まえて、学識経験者や地元の方々から成る早池峰ダム周辺整備計画策定検討会議等からご意見をいただきながら、山、湖、川をキーワードとして、ダム周辺地域の環境、生活、歴史、文化に十分配慮した本県ダム建設のモデルケースとなるように周辺の整備計画を策定し、これまで順次整備を進めているところである。一方、大迫町におかれては、昨年度国から認定を受けた地域に開かれたダム計画の基本的な方向性として、まちづくりと連動したダム空間の活用、早池峰ダム及びその周辺の個性化の2点を掲げて、早池峰の自然と文化に触れることができる周辺整備を進めているところである。
 このように、県と地元が一体となって新たに良好な環境が創出されていることは、今後の本県のダム建設のモデルとなるものと評価しているところである。ほかのダムについても、早池峰ダムの事例等を生かしながら、豊かな自然やその地域独自の文化等を十分配慮するとともに、地元市町村と十分連携を図り、まちづくりに貢献できるようなダム建設に取り組んでまいる所存である。

〇村田委員 よろしくお願い申し上げる。
 次に、一般廃棄物のリサイクルについてお伺いする。
 近年の経済発展は、国民の生活水準を大きく向上させた一方、多種多様な廃棄物を増大させるという厄介な副産物を生じさせることともなっているのである。本県の一般廃棄物の処理状況を見ると、平成4年度の約42万6000トンをピークに平成5年度からは減少に転じ、6年度、7年度は42万トンで横ばいで推移しておる。しかしながら、市町村の一般の焼却場からは一部ダイオキシンが基準値を超えて排出され、焼却場周辺の住民に不安感を与えており、また、最終処分地の残余容量が逼迫しつつあることなど、ごみ処理については環境面や財政面から厳しい状況にあると思うのである。県では、県民と廃棄物問題の解決方法について考えるための県民大会を開催するなど、廃棄物問題の普及啓発を積極的に実施しているところであるが、いま一つ決定打に欠けておるのではないかと思うのである。私は、今後、最も重要なことは、廃棄物のリサイクルに取り組み、ごみとして最終的に処分する量を少しでも減少させるために、県民一人一人が実践するとともに、県民一丸となった取り組みとして展開していくことが必要であると思う。
 そこで、お伺いするが、リサイクルの現状と今後の取り組みについて、国の動向も含めて方策をお示し願いたいのである。

〇千葉副知事 本県の一般廃棄物のリサイクルは、市町村による資源ごみの分別収集のほかに、町内会、子供会等による集団回収により実施されているところである。平成6年度で一般廃棄物の総排出量約44万トンのうち約4万7000トン、平成7年度は約44万5000トンのうち約5万4000トンがリサイクルされており。その実績は年々伸びてきておるところである。
 また、本格的なリサイクルの取り組みとして、本年4月から容器リサイクル法の一部が施行され、9月末現在で46の市町村が空き瓶、空き缶、ペットボトルなどの分別収集を開始しておって、平成11年にはすべての市町村が実施する予定となっているところである。県内分別収集を計画とおり行うことによって、一般廃棄物の容積で約6割、重さで2割から3割と容器包装廃棄物の減量化が見込まれることから、その円滑な実施に向け、市町村が抱える課題を把握分析し、適切な指導支援を行うとともに、集団回収などの県民の自主的な活動を促進してまいりたいと考えておる。
 なお、国では、平成12年度から実施される紙及びプラスチック製の容器包装の再商品化に当たって、市町村における分別収集の課題などの調査、検討を来年度から実施すると伺っているところである。この情報を把握して、市町村の意向を尊重しながら、その導入について積極的に支援して、一般廃棄物の減量かとリサイクルの推進を図ってまいりたいと考えておる。

〇村田委員 次に、在宅障害者の生活支援についてお伺いする。
 現在、本県には、身体障害、知的障害、精神障害あわせて約7万人、県人口の約5%に当たる方々がおられるのである。日夜、その障害を乗り越えるべく、努力をされておるのである。今日、障害者の在宅志向が高まりを見せ、施設に入所されておられる方などの中にも、在宅での生活を希望される方が少なからずおられるのである。しかしながら、障害者の方々が自立し、地域社会の中で日々の生活を送るためには、日常生活の身の回りのこと、仕事、対人関係、社会参加など、さまざまな悩みや困難もあろうかと思うし、また、御家族も同様であろうと思うのである。したがって、このような在宅の障害者や家族への支援を、できるだけ身近なところで専門的な立場からできるような体制の整備が必要ではないか。
 そこでお伺いするが、県では、障害者の自立を促進し在宅での生活を支援するため、どのような取り組みを行っておるのであろうか。また、今後、どのような施策に力を入れていくおつもりなのであろうか、お聞かせいただきたい。

〇千葉副知事 在宅障害者に対する生活支援についてであるけれども、障害者の皆さん方が自立し、地域の中でともに生活ができるように、就労しておる障害者に住まいを提供するグループホームの設置拡大、あるいは働く場の確保のための通所型授産施設の整備と福祉作業所に対する助成、交流、活動の場としてのスポーツ大会や文化祭の開催、あるいは在宅生活を支援するためのホームヘルプサービスの実施、日常生活用具の給付、貸与、あるいは障害者や高齢者に配意したやさしいまちづくりなどに積極的に取り組んでいるところである。また、御指摘の在宅障害者や家族の皆さんからの相談等については、できるだけ身近な地域で対応できるよう、振興局や保健所はもとより、身体障害者相談員、これは250名おるが、そのほかに精神薄弱者相談員90名を委嘱するなどして、その対応に当たっているところである。
 今後の取り組み方向であるけれども、障害者の皆さんが自立し、地域の中でともに生活できるよう条件整備を進めることが、今後ますます重要になってくるものと考えておる。したがって、このような観点から、グループホームや通所授産施設の整備拡充はもとより、東北で初めての福祉工場や、精神障害者の社会復帰を促進するための生活訓練施設の整備に、積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇村田委員 次に、農業問題についてお伺いする。
 平成7年11月に新食糧法が施行され、米の新たな流通システムが導入されてから2年が経過いたしたのである。流通規制の緩和によって、消費者にとってはどこでも米を買うことができるようになるなど、大変便利になった。その反面、生産者にとっては極めて厳しい時代を迎えている。新食糧法の施行以前は、国による政策的な米価により、ある程度生産者価格が保証されておったわけであるが、この2年間の自主流通米価格の暴落はまさに惨たんたるものであって、いかに米余りの状況とは言いながら、農家の心情を察するに余りあるものがある。米は国民の主食であり、供給と価格の安定を図っていくことが極めて重要である。新食糧法は、こうした趣旨で制定されたものと伺っておったが、米も一定の値幅制限があるものの自由市場にさらされ、生産者の意向も全く無視された形で価格が決定されており、法律で言う価格の安定どころか、暴落が続いているのである。そういう意味では、食糧法の欠陥が早くも露呈された形になっていると言えるであろう。県では、この食糧法の問題点はどこにあったと思っておられるのかお伺いする。

〇吉永副知事 平成7年の11月に施行された新食糧法は、本来は委員御指摘のとおり、主要食糧の需給及び価格の安定を図ることを目的として制定されたものではある。しかしながら、平成6年からの4年連続の全国的な豊作及び米の消費減退などで米の需給バランスが崩れ、米価の大幅な値下がりをもたらしておる。それによって、稲作農家は大きな影響を受けているところである。価格の安定という観点を見ると、今日の価格が低落したときの措置といったものが十分でなかったといったようなことが、この新食糧法の問題点ではないかと考えている次第である。このため、県としては、米価の値下がりによる稲作農家への影響を緩和し安心して営農に取り組めるよう、国に対し経営安定対策や生産調整の実施者に対する十分なメリット対策など、総合的な米政策の構築に向けて要請を行ってきたところである。今般、国は、最近の米をめぐる状況に対処するため新たな米政策大綱を決定し、この中で自主流通米価格の低落時に、基準価格との差額の8割を補てんする稲作経営安定対策等を講じたところである。国は、今後においても価格形成の実態等を踏まえ、適宜、制度の見直し等について検討することとしておるので、常にいいものを目指して効果的な運用が図られるよう、期待しているところである。

〇村田委員 よろしくお願いする。
 次に、新規就農者の育成確保についてお伺いする。
 全国的な傾向として、農業労働力の減少、高齢化が急激に進行しており、本県においても、40歳未満の基幹的農業従事者は平成2年は1万546人であったものが、平成7年には4、799人、半分以下に減少するという驚くべき結果が出ておるのである。このまま推移した場合、農業生産力の低迷はもとより、農村の活力低下を招き、食糧供給基地を標榜する本県としては、まさに懸念される事態が想定されるのである。今後、新規就農者の確保に当たっては、農業が他の産業に比べて遜色のない魅力ある職業となるよう、施策面での誘導や生産、生活基盤の整備等を積極的に推進していくとともに、小学校の時期から農業への正しい理解を形成させる、そういう教育を進める必要があるのではないか。また、県内には生産から流通販売まで手がけ、企業的な経営を確立している事例も生まれておる。職業としての農業のイメージアップを図りながら、若者の就農意識を形成させることが重要であると考える。
 そこでお伺いするが、本県の新規就農者の現状と育成確保の基本的な考え方についてお聞かせいただきたい。

〇吉永副知事 本県における新規就農者数は、昭和60年の242人に対してここ数年は70人程度に減少しており、このまま推移すれば、委員御指摘のように地域農業が成り立たなくなることや、集落機能が低下するといったようなことが懸念されているところである。早急な対策が望まれているところである。このため、農家子弟を初め、都会で就職している青年や非農家出身者も視野に入れながら、農業大学校、地域農業改良普及センター、岩手県農業担い手育成基金が中心となって、就農に必要な実践的な技術や経営の習得研修の実施、先進農家研修、海外研修等に必要な資金の貸し付けや生産資材等への助成、インターネットによる就農情報の県内外への発信や首都圏等における就農相談会の開催など、幅広い育成確保対策を実施しているところである。また、中長期的な視点からは、農業の持つさまざまな役割や機能を積極的にPRいたし、委員御指摘の職業としての農業のイメージアップを図るために、また、農業への関心を一般的に高めるために、少年期、高校・大学期、就農準備期、就農経営自立期の各段階に応じた対策を関係機関、団体が分担しながら計画的かつ体系的に進めていくこととしておる。
 なお、現在、県内の教育者、指導農業士、マスメディア等の有識者からなる岩手県農業担い手懇談会を設置して、21世紀に向けて本県農業担い手育成の基本方向を検討していただいているところであり、今後、これらの提言なども踏まえながら、農業の担い手育成のビジョンを策定しているところである。

〇村田委員 次に、森林組合の経営改善について伺いたいと思うが、この問題については昨年また一昨年から引き続き経営の改善、それをめぐるいろいろな問題点等について御質問申し上げ御回答を得ておるところであるが、依然として客観的な前進が見られておらない。森林組合の経営は、非常に厳しいものがあろうかと思うが、森林組合に関する施策の遂行について、概念的にどのように今お取り組みになっておられるのか伺いたいと思う。

〇吉永副知事 平成8年度末における県下32森林組合の決算状況を見ると、消費税のアップを見込んだ住宅建設の駆け込み着工等により、木材需要が好調に推移したことにより、当期剰余金を計上した組合は前年から2組合増加し25組合となっておる。他方、当期欠損金を計上した組合が7組合あり、累積欠損金の数字は増加傾向に見受けられるなど、組合間の格差といったものが開きつつある。組合経営の面から見ても、これまで主体となっておった造林事業が減少傾向にあることから、間伐などの保育事業や素材生産事業へ移行する必要があるが、木材価格が低迷しておるから移行がスムーズに進まず、事務量の慢性的な減少傾向といったものが続いておる。また、製材、加工部門を抱えておる組合においては利益率が著しく低下しており、年々事業収益が落ち込み、相対的に管理費が上昇するといったようなことがあり、経営が苦しいといった状況である。こうしたところの生産性の向上と安定した事業の確保といったところが課題となっているところである。それとともに、県下の約3分の2の組合は、森林組合の組合員が有する所有森林面積や常勤役職員数、出資金等の面から見て経営基盤が弱体であり、資本力の強化や組織体制の整備も課題となっておる。県としては、このような森林組合の抱える問題点や課題に対処するため、これまで常例検査等を通じて経営の健全化に向けた指導を実施してきたところであり、平成8年度からは、専門の経営コンサルタントによる森林組合の経営診断をスタートさせ、組合事業の拡大と徹底した経営管理のための指導を強力に推進しているところである。また、経営状況が逼迫しておる一部の森林組合については、経営改善に向けた事業活動等を支援するため、融資制度等を活用した経営改善対策を推進してきたところである。
 今後は、こうしたこれまで進めてきた改善対策の一層の充実強化を図るとともに、広域合併あるいは業務提携といったことを積極的に推進するために本年4月の森林組合合併助成法の改正に基づいて、新たに今年度から5カ年間森林組合の合併基本計画を策定するなど、関係系統機関と一体となって、森林組合の経営改善対策に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇村田委員 森林行政については、積極的に引き続き御努力を賜りたいと思う。
 次に、企業立地についてお伺いする。
 近年、企業活動のグローバル化が進んでおり、企業が国境を越えて最適な立地を求める時代に入り、高コスト構造を抱える我が国の産業の空洞化の懸念が高まっているところである。大都市圏等においては、大規模工場跡地の発生や工場の老朽化等の新たな問題が顕在化しておる。我が国をめぐる経済社会環境は大きく変化してきておる。当県としては、企業立地についてこれらの変化に応じてどのような課題、今後の取り組みのビジョンについて伺いたいと思う。

〇吉永副知事 県が昭和50年度以降誘致した企業は、平成8年度末現在で417件を数えておるが、平成元年の63件をピークとして、バブル経済崩壊後の景気低迷といったこともあり、誘致件数も例えば平成7年度は6件、平成8年度は12件と低調に推移するなど、企業誘致を取り巻く環境は厳しい状況にある。このような中にあって、既に県内に立地しておる企業の県内製造業に占める割合を見ると、平成7年12月末現在で事業所数は431事業所で11.6%であるが、従業員数では4万9、885人で41%、工業出荷額では1兆2、852億円で、55.6%と非常に大きなものとなっておる。こうした立地した企業の中で、県内のほかの地域に新たに工場を展開するいわゆる2次展開を図った企業は、平成8年度までに92件を数えておる。この割合は年々高まってきており、平成8年度において誘致件数12件のうち、約4割の5件が2次展開したという状況になっておる。こういった傾向を踏まえて、さらにこれを促進するため、本庁と地方振興局が一体となって企業の訪問活動を積極的に行っており、本年度はこれまで130事業所を直接訪問しているところである。これらの訪問活動を通じて、企業側から特に人材の確保あるいは交通網を初めとする基盤整備や技術開発に関する意見を多く伺っているところであり、こうした意見、提言を十分に踏まえて、今後、市町村を初め、関係機関との連携を密にしながら対応していくことが極めて重要であると認識しているところである。

〇村田委員 次に、技能労働者の人材育成についてお伺いする。
 いわゆる職人気質といおうか、そういう方々の精神的な支えがあって現在の日本の文化があったと言って過言でないと思う。この技能労働者は、現在の生活環境、経済環境の中において非常に少なくなっている、そういう人材の確保なくして、今後の建設事業あるいは生活文化の向上はあり得ないと思うのであるが、技能労働者の人材育成についてお伺いする。

〇吉永副知事 技能労働者の人材育成については、職業生涯の全期間を通じて体系的、段階的な職業訓練を円滑に実施するために、県立及び雇用促進事業団の公共職業能力開発施設、民間の認定職業訓練施設と役割分担をしながら、連携を図りながら推進をしているところである。県としては、従前の職業訓練に加えて、製造業における地域の需要の高い複合的能力を有した人材育成を主眼として、平成2年度に水沢市に高度技術専門学院を設置したほか、本年度は矢巾町に産業技術短期大学校を開校し、メカトロニクス技術科、電子技術科、情報技術科等の製造業にかかわる高度な技能を持った実践技術者の養成と技能向上に努めているところである。また、技能振興事業の主なものとしては、いわて芸能フェスタ'97の開催を初め、卓越技能者の顕彰、青年技能協議会開催及び技能日本一を決める技能グランプリに選手を派遣する青年技能者育成事業等がある。今後の取り組みとしては、県立職業能力開発施設において在職者の熟練技能及び高度技能の訓練体制の確立、青年卓越技能者の表彰や技能検定の普及による技能の適正な評価の促進に努めるつもりである。本年度、労働省から指定された現在策定中の人材育成推進計画に基づく地域人材育成総合プロジェクト事業を最大限に活用して、製造業を支える基盤的技能者を育成する技能研修、技能研究会等の人材育成推進事業及び技能尊重機運の醸成を図る技能フォーラム、技能展示会等の啓発推進事業の展開を図り、製造業における技能労働者の人材育成を積極的に推進することといたしている次第である。

〇村田委員 次に、食糧費問題についてお伺いする。
 いわゆる官官接待や職員同士の懇談の経費などのために、食糧費を不正に支出するいわゆるカラ懇談などの食糧費を初めとする公費の不正支出の問題は今や全国に波及し、国民の行政に対する信頼を失墜させるような事例が次々に明らかにされておる。本県においても、東京事務所が平成7年5月に支出した食糧費の内容の非開示決定の取り消しを求める訴訟が提起されているのを初め、居住地出張にかかわる不適切な旅費の支出が明るみに出たほか、食糧費の執行に対する住民監査請求が行われるなど、県政への信頼を損なうような事例が出てきているところである。県では、こうした事態を重く見て、全庁的に食糧費の執行状況を調査することとし、調査の公正性、客観性を確保するために、外部の委員による調査委員会を設置して作業を進めているところである。また、食糧費や旅費の執行状況を明らかにするため、10月分からインターネットで公開するなど、県民の信頼を回復するため、さまざまな御努力がなされておる。これは評価するのであるが、問題は、全庁調査の結果がどのようなものになるかということである。
 そこでお伺いするが、全庁調査は、調査委員会の調査も含めどのような方法で行われているのであろうか。また、現在までの進捗状況はどうなっているのかお聞かせいただきたい。

〇大隅総務部長 食糧費の調査は、御指摘のように県東京事務所における食糧費の支出手続に適正を欠く事例があったことなどから、全庁的調査を行うこととしたものである。また、調査を行うに当たっては、客観的に調査の方法や内容等について審議、指導、提言等をいただくために、5人の委員による調査委員会を設置したところである。
 調査方法であるけれども、調査は食糧費の執行を伴う経費について関係書類に基づいて事実関係の確認を調査すると。特に、懇談については、相手方を含む出席者の確認を行うことといたしておる。
 調査期間は、食糧費の実施伺の書類の保存期間が各課、公所により一定ではないけれども可能な限り調査することとし、出納関係書類が保存されておる平成4年から平成8年度の5カ年間を対象としているところである。調査は、県が適正な行政管理を図るための諸対策について調査、審議等を行うことを目的に設置しておる行政管理委員会がまずこれを行う。
 その次に、調査委員会であるけれども、調査委員会は行政管理委員会が行った全庁調査、この状況に応じて適宜開催いたして調査の結果を審査、点検をするということといたしておる。
 進捗状況であるけれども、行政管理委員会による調査は、関係書類をリストアップして1件ごとの調査を行っており、現在、各部局の主管課を中心に、懇談に出席したとされる県職員及び懇談等の相手方にその事実の有無を確認しながら取りまとめている段階にある。
 今後は、各部局における調査が終わる都度、行政管理委員会における確認ヒアリングを行って、それを完了したものから順次調査委員会の審査、点検をお願いする予定といたしておる。このようにいたして、全容を解明いたしてこれを明らかにし、県民の皆様の信頼を回復してまいりたいと存じておるところである。

〇村田委員 最後になるが、私は、ただいまの食糧費問題のような不適正な支出が行われるのは、現在の地方自治制度が単年度予算主義になっていることが一つの要因ではないかと思うのである。会計年度が終わる段階になって未執行の予算額があった場合、特に国庫補助事業の場合においては、年度を越して国庫補助金の不要額を国に返還することはできないから、不要額としないで無理をして使うということが起きるのではないかと思うのであるが、思い過ごしであろうか。いずれ、この会計法自体の中に内在している問題があるのではないか。これは会計専門家の方からも自治法あるいは国家の財政法、それらの問題の基本的な姿勢として問われている問題でもあるけれども、例えば固定資産の償却費を見ることがないとか、いろいろな問題が会計法上あるようであるけれども、御所見を承って終わる。

〇大隅総務部長 御質問の点については議論のあるところであるけれども、現行制度において、財政運営は最小の経費で最大の効果を上げるというふうにしなければならないとされているところである。予算の編成に当たっては、事業の必要性、実施効果、緊急性、重要性などを十分に検討しながら、実施すべき事業について適正な事業規模に応じた必要最小限の経費を調整した上で措置することとしておる。さらにまた、予算措置後に生じた経費の増減等については、最終的に2月補正予算によって会計年度終了時に過不足が生じることのないように厳密に調整をして補正を行う。それでもなおかつ残額が生じた場合には、執行残として決算することといたしているものである。
 お尋ねの国庫補助についても同様であり、補助金適正化法の定めるところにより、最終的に執行残が生じた場合には、少額であっても国に返還することとされておる。したがって、今後においても御指摘の点に十分留意して、より一層、適正な予算の執行が図られるよう努めてまいりたいと思っておる。

〇村田委員 これをもって終わらせていただく。ありがたかった。

〇中屋敷委員 1点だけ。
 林野庁が国有林に埋設した2、4、5-T系除草剤の件についてお伺いしたいと思う。
 最近、ダイオキシンに対する県民の関心の高まりという背景に、この同除草剤の安全性が大きな問題となっており、県民も飲料水などに対する影響について大変不安を抱いているということである。そういった中で我が会派においても、去る10月23日、雫石町の矢櫃山の国有林2カ所を現地調査いたしたが、営林署側の説明は問題がないということであったけれども、なかなか説得性に欠けるということで、県におかれても営林局側に要請したと。この報道では事実的には拒否だと、安全性が高いんだということで回答があったようであるけれども、こういう営林局側が事実的に拒否した最大の理由は何かということをまず1点お伺いしたいと思う。
 それから、この問題、本当に大きな問題であり、できれば他会派とも一緒になって処分地の大規模調査と除草剤の除去を含めた恒久対策、この意見書を国に出したいとも考えておるけれども、県において、県民の不安解消のために、国のこのような指導に対してどう対応されるおつもりなのか、お伺いして終わりたいと思う。

〇千葉副知事 国有林野内のダイオキシンの埋設の問題であるけれども、この問題については、11月20日に営林局に対して県の要請をしたところである。その際に、営林局側の回答は、現在の処分方法、管理方法が最善だと考えていると、そういう回答を得たところである。ただその際に、営林局側からも住民の不安解消のための水質等の調査の必要については一定の理解をいただいたところである。したがって、いずれしかるべき時期に営林局から何らかの意思表示があるものと考えておるけれども、いずれにしても、県としては営林局と今後も積極的に協議を進めて、水質あるいは土壌の調査を行うなどの措置について、これから積極的な協議をしていきたいと考えておるところである。

〇中屋敷委員 ぜひ、その方向でしかるべき時期というのを早く明確にさせて、ぜひ、県民の不安解消のために積極的な対応をお願いして質問を終わる。

〇佐藤(正)委員 自由民主党である。
 去る9月議会に引き続き、本日、決算において盛岡大学の疑惑について質問を通告していたところ、県では28日に、補助金の10%減額処分を発表した。これは私の担当書記を初め、総務部当局に先にやられた感じがあるわけであるが、当局においては、私の質問に対して素早い処分を発表したことは高く評価をいたしたいと思う。ただ、今後もなおこの疑惑を追及していくから、よろしくお願い申し上げる。
 さて、地方自治は3割自治と言われて久しいが、それでも戦前の明治憲法では、地方団体は議会も含め国の出先機関にすぎなかった。現在では、議会は自治体の最高意思決定機関である。地方自治法は、議会の権限を拡大し広範にわたっているが、第96条中、予算を定めること、決算を認定することは議員として最も大切な責務である。特に議員にとって、決算は1銭たりとも見逃してはならない。ともすると、役人の書いた原稿の筋書きどおりに進行するような議会であってはならない。知事の提案を承認するだけの御用機関になっていないだろうか。共産党の言うような、総与党化になっていないだろうか。イタリア終身上院議員のノルベルト・ボツビオ氏は、民主主義に必要なのは、批判精神を持ち自分の頭で思考する個人である。ムッソリーニの演説に熱狂した人々は個人ではなく、他者と一体化した群れであったと語っておられる。これは、我々地方議員にも言えることである。ちなみに、本県における過去十数年間、昭和61年2月定例会より平成9年2月定例会まで、地方自治法第112条に基づく議員発議の可決議案はたったの4件である。ほとんどは委員会条例の一部改正である。残念ながら、政策的条例はなく、私も何回か私案をまとめてみたが、役人の抵抗や議会の駆け引きなどがあって、思うようにまとまらなかったことはまことに残念である。これから地方分権が進み地方議会の役割が重要になり、国会での法改正、改革によって機関委任事務が自治体に移譲されるならば、地方で実行するための各種の条例が必要となってまいる。そのために、議会には我々議員を補佐するための有能な事務局員が必要となってくるわけであるが、平成8年は何人おったであろうか。9年はどうであろうか。それは議員1人当たり何人となるであろうか。
 一例を申し上げると、東京都は127人の議員に対して160人の事務局職員がおる。一方、知事は、秘書を含めて何人の事務補佐官がおられるであろうか。また、部長は何人の事務補佐官がおられるであろうか。あわせてお答えをいただきたいと思う。通常、我々議員は部長級の待遇と言われておる。

〇千葉副知事 県議会事務局の職員定数であるけれども、平成8年度、9年度ともに36人である。これを議員1人当たりで見ると0.71人となって、(佐藤(正)委員「0.7、1人になっていない。」と呼ぶ)0.71人となっておる。
 それから、知事の補助機関の関係であるけれども、幹部職員として副知事2人、知事部局、本庁の場合、部長8人、次長等16人、課長等87人となっておる。そのほかに知事秘書1名がある。

〇佐藤(正)委員 私は、ことしは我が党の御配慮により、予算の代表質疑、一般質問、医療局、企業局の決算質疑、8年度の決算代表質疑と自民党の議会対策議員として、全議会を通じて発言をしこの議場に立ったわけであるが、年々調査、検討に時間がかかって大変である。事務局員には大変に御苦労をかけ、一方、またか、みたいな冷たい目で見られているのである。知事部局としてナンバーツーである副知事あなたは、この職員の配置状況を見て、議会を軽視していると思わないだろうか。それとも、岩手県議会はあなたから見ると、勉強もしないし用も余りないから十分だと、こう認識していらっしゃるのであろうか、お答え願う。

〇千葉副知事 議決機関たる議会と執行機関との関係であるけれども、双方とも直接住民の選挙に基礎を置いているものである。したがって、議会と執行機関の長とは、まさに対等の関係であると考えているところである。特にも、法に定められた権限の行使を初めとして職員の配置等の内部管理を含めて、自主的にその機能が発揮されるべきものと考えておるところである。また、県議会の機能の重要性を考えた場合には、これを補佐する事務局職員の役割というものも極めて重要であると考えておる。議会の機能の強化については、さきの国の地方分権推進委員会から出された第2次勧告の中においても、委員先ほどお話があったとおり、機関委任事務の制度の廃止に伴って議会の権限が拡大すると、こういうことを踏まえて事務局職員の調査能力等の向上を図るため、研修機会の拡大あるいは研修内容の充実に努めるべきだと、こう勧告しているところである。また相互の、これは知事部局等との人事交流の促進の措置を積極的に講じて、議会事務局の体制整備に努めるものとすると、こう勧告の中にそういうことがうたわれているところである。私どもとしても、これまで行ってきた共同研修をさらに充実させるとともに、相互の人事交流を一層推進するなどいたし、県議会事務局の機能強化について支援強化してまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 とにかくふやしてもらわなければ困る。
 次に、決算内容。
 8年度の決算を拝見すると、義務的経費が年々増加している。先般、県内の8年度市町村普通会計決算が発表されたが、経常収支比率は21自治体が要注意となっている。それはどこの市町村であろうか。その主な理由は何であろうか。また、県の指導のあり方はどうなっているであろうか。
 国の財政構造改革に伴う県の行財政システム改革指針がまとまったようであるが、10年度予算は9年度予算よりマイナス予算と予測される。公債費等義務的経費は当然ふえていく一方であり、また、本県のように社会資本整備のおくれているところは、これも積極的に進めていく必要がある。財政当局はどのような姿勢で予算編成を進めていくのか、お尋ねをしたい。

〇武居企画振興部長 まず、市町村の決算状況のお尋ねについてお答えする。
 市町村の経常収支比率の関係であるが、これについては財政構造の弾力性を示す指標であり、一般的に80%を超えると財政構造が弾力性を失いつつあり硬直が進むおそれがあるとされておるが、地方財政状況調査によると、平成8年度の普通会計決算において、この80%を超える市町村は既に平成9年の9月議会で決算認定済みの市町村であるが、千厩町、それから三陸町、金ヶ崎町、大槌町、軽米町、平泉町、葛巻町、湯田町、花泉町、一戸町、種市町、藤沢町、玉山村、宮守村の合計14団体あり、今後、平成9年の12月のそれぞれの市町村の議会で決算認定を受ける予定の団体がさらに7団体あり、あわせて21団体となっておる。これらの理由についてであるけれども、これは経常的な一般財源収入が伸び悩む一方で、特に平成6年度以降、地方財政全体について、例えば減税分であるとかあるいは通常収支不足分について財源不足が生じて、減税補てん債とかあるいは財源対策債を発行したことや、国の経済対策に伴って一般公共事業や地方単独事業が推進されたことを背景として、県内のそれぞれの市町村においても地方債の発行が増加し公債費が大きく伸びたことなどにより、経常的支出が増加したことが主な要因であると考えておる。したがって、今後は、各市町村においては財政構造を十分に分析しその要因を的確に把握しながら、特にこれからの中期的な財政計画を立て、各年度の健全な財政運営を行うことが重要であると考えておる。
 また、各年度の財政運営についても、行政経費の節減合理化や施策の優先順位の厳しい選択と財源の計画的、重点的な配分に徹することなども重要な課題であると考えており、財政事情調査であるとか財務事務視察あるいは実地指導などにより、個別に相談に応じながら適切に指導助言を行ってまいりたいと考えておる。

〇千葉副知事 来年度の本県の予算を取り巻く環境は、足踏み状態とされる景気動向や国の財政構造改革による歳出の改革と縮減の影響等を勘案すると、これまでになく厳しいものであると考えておるところである。このような中にあって、本県においては、生活、産業の両面にわたる基盤の一層の整備や3県総の後期実施計画に掲げる重点事業の計画的な実施、さらには国際化や高度情報化などの時代の変化や、新たな県民のニーズにも的確に対応していくことが求められているところである。このため、現行の県の行財政システムを見直し、新たな視点に立って目まぐるしく変化する経済社会情勢に、柔軟かつ弾力的に対応できるようなものに改革していくことが重要であると、こういう認識のもとに、先般、行財政システム改革指針を策定したところである。したがって、平成10年度の予算は、この指針に基づく改革の初年度といたし、改革のための方策を確実に実行することを基本として編成することといたしておる。具体的には、これまでの実績にとらわれず、客観的な観点から既存の事務事業を評価する制度の導入による歳出の徹底した見直し、あるいは部局横断的な課題への全庁的な取り組み、行政と民間の分担すべき役割の明確化などにより、歳出の縮減と合理化を図る一方で、緊急度と優先度の高い施策については各行政分野ごとの重点施策と位置づけて、一層の促進を図ることといたしておる。特にも、環境と調和との保全、次代を担う人材の育成、地域情報化の推進、地域産業の高度化の推進の四つの課題については全庁を挙げて重点的に取り組み、創意と工夫を凝らした特色ある予算となるように努めてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 武居企画振興部長、それだけの市町村の状況なのだから、これからは早目早目にやらなければだめである。
 それでは副知事、なかなか大変である。余り元気ない、副知事。
 とすると、土木部におけるダム、道路などの中止、休止、足踏みのみならず、3県総に掲げる大型プロジェクト全体について、進行管理も含めて見直しをしなければならないと思うわけであるが、現在、新しい総合計画の策定のため、県民の意向調査などを行っている企画振興部としてはどのような方針で臨んでいるのか。
 知事のブレーンなのだから、武居企画振興部長、あなたにお伺いする。

〇武居企画振興部長 3県総の大型プロジェクトの見直しに関連したお尋ねであった。
 3県総後期実施計画については、国際化、少子・高齢化、あるいは高度情報化、環境保全への要請の高まり、さらには産業の空洞化など、3県総策定後の経済社会情勢の変化や、新たな課題に適切に対応していくことを念頭に置いて策定したものである。しかしながら、我が国を取り巻く経済社会情勢のその後の急激な変化により、これまでの経済とか社会の構造そのものの変革を迫られており、こうしたことから、国においては財政構造改革などの諸改革の一体的な取り組みに着手したところであると存じておる。去る11月28日に成立いたした財政構造改革の推進に関する特別措置法の施行により、国においては、これからまさに平成10年度にかけて公共事業に関する長期計画の見直しであるとか、あるいは新たな長期計画の策定作業に入るものと私どもも考えており、当面はこの動きを注視する必要があるのではないかと考えておる。このことにより、3県総後期実施計画策定の前提条件が変わってくるものと想定されるところであるが、仮に後期実施計画の重点事業として位置づけられたそれぞれの事業について影響を受ける場合には、今後、計画期間等の見直しが必要になるものと想定される。
 今後の実施計画の進行管理に当たっては、こうした点にも留意するよう各部に指示してまいりたいと考えておる。
 なお、今後についても、良質な社会資本整備を図るための地域の発展にとって必要となる、また、県民生活に密接にかかわりのあるプロジェクトについては、その推進に鋭意努めてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 武居企画振興部長、あなた知事の代理みたいなものなのだから、自分の考えで言ってもらいたい。辞書引くみたいに一々、であるから長くでだめである。自信持ってやってもらいたい、自信持って。
 増田知事は、開かれた県政、県民提案型、参加型を掲げており、大いに賛意を表するものである。7月28日より平成7年、8年度分の県政懇談会、知事への提言2、228件を載せた広聴ホームページをインターネット上に開設したとある。このうち、8年度決算であるから8年度分は何件であろうか。また、平成9年度には地域21デザイン会議を開催、さらには市町村懇談会を開催しているようである。開かれた県政、県民の要望を吸い上げる各種の懇談会、大変結構であるが、これらすべてにこたえるには予算もあり優先順位もあり、国からの補助事業があることは県民は余り知らない。在来の政治的手法は、県民から市町村への窓口へ、振興局の窓口へ、あるいは陳情、請願の手続をとり、最も大きな力は我々県議会議員である。県内全域はもとより、選出地域の要望を本会議や委員会を通じ、正し、提言してきたことであるが、企画振興部長にお伺いするが、開かれた県政、県民の要望を吸い上げ、県政に反映できた項目、提言は県議会、市町村要望、県政懇談会と具体的に分類してお示しを願いたい。

〇武居企画振興部長 県政懇談会については、知事の基本姿勢である県民に開かれたわかりやすい県政を推進するための広聴業務の一環として、多様化している住民の意見要望などを直接把握し施策に反映させるために行っているものであり、平成8年度の県政懇談会の意見、提言の件数は1、235件となっておる。そのうち、約5割の提言の趣旨については、これに沿って県政に反映させているところであるし、また、実現に努力しているものが約3割となっており、全体で約8割について具体的な取り組みを行っているところである。
 それから、市町村からの要望についてのお尋ねがあったが、これについては市町村長のそれぞれの皆様とともに、各市町村の議会の議員の方々であるとか、さらには地元の選出の県議会の議員の皆様にも御出席いただき、地域課題の説明をいただきながら要望を受けているものであるが、市町村については、これが住民に最も身近な地方公共団体、県と同じ地方公共団体ということであり、地方行政を執行する立場からこれに関連する要望をいただいているものであり、先ほどの広聴業務の一環として行っておるところの県政懇談会とはおのずから性格が異なるものである。平成8年度は、48の市町村から合計1、047件の要望をいただき、そのうち約6割については要望の趣旨に沿って県政としての取り組みを行っており、また、約2割について要望の趣旨に沿うよう努力しているところである。いずれ、これらの要望については、県政推進上の重要課題が多く含まれているところであり、関連予算など県政に関連する事項については、県議会における御審議などもいただきながら県政に反映させているところである。
 それから、県議会について同様に要望提言の分類をというお尋ねがあったが、県議会についてはこれは議事機関としてまさに県政推進にかかわる団体意思の決定機関そのものである。議会のさまざまな活動を通じて、執行機関とともに車の両輪として県政推進に御尽力をいただいているところであり、こういった意味で地方自治における議会の位置づけ、これは当然極めて重要な位置づけになるわけであるけれども、当然のことながら議会については県政懇談会の意見、提言であるとか市町村からの要望と同列に論じられるべきものではないし、先ほど委員の御指摘あったように、地方自治法96条初め重要審議については、議会でその都度御審議いただいているところである。

〇佐藤(正)委員 部長は、こういう場所に来ると大した県議会議員のことを褒めるけれども、今の答弁の数字を見ると、県民の要望は県政懇談会、市町村長は直接県当局に要望すれば達成される、今の数字を見ると。県議会議員というのは余り必要ない。ただ、内容によっては身近な小さいものあるいは県政にかかわるもの、大きいものはこれは議会にかかわるわけであるから当然であるが、県民は誤解する、そういう点は。であるから、この点は十分注意してもらわなければいけないし、それから、知事は組織改善の中において振興局でなるたけ県民が用が足せるようにと、こう言っている。であるから、実際には今のデータを見ると振興局で用を足せない。振興局で用を足せないのはどのくらいあるであろうか。

〇大隅総務部長 ただいまの御質問は企画振興部とも関連するわけであるけれども、現在地方振興局に対する権限移譲、前年度から特にも積極的に推進をしており、また、明年度についてもさらにこれを促進すると。なおかつまた、体制整備も図るというふうなこととしておるので、なるたけいずれ身近な事務について地元で解決できるような方向で努力をしたいという趣旨であり、先ほどのお話の趣旨、議会との関連とはまた別問題として積極的な推進を図りたいと、このように考えておるところである。

〇武居企画振興部長 平成9年度、これ平成8年度の決算であるが、平成9年度の組織改正によって企画振興部に地方振興局全体の組織の窓口が参ったということであり、私どももこれまで以上に本庁それから地方振興局、それから市町村の役割、また、私ども企画振興部にはあわせて市町村課の担当窓口も来たということであるので、それぞれの役割を強く認識し、議員御指摘のあったような、身近な行政から県政全体としての最重要課題まで適切に処理できるよう対応してまいりたいと考えておる。

〇長谷川委員長 佐藤正春委員の質疑中であるが、この際昼食のため、午後1時まで休憩する。
   午前11時59分 休 憩
   午後1時4分 再 開

〇千葉副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇佐藤(正)委員 午前中に引き続いて質疑を行う。
 委員長が当局の答弁が長いといっているのだから、質問が3秒、答弁が3分である。よろしくお願いする。
 それでは、岩手のイメージである。県では、県外の人々に岩手を理解してもらうためにIPANGUなるものを発刊したと聞き及んでおるこの種のものには、出だしはよいがいつの間にか消滅という先例も多いので、マンネリ化せず長続きしてほしい。担当の゛局は、岩手がもっと伸びるには深いところで理解してもらわないと、こう話しているが、果して岩手とは何ぞや。岩手県のイメージは、21世紀の岩手とはどんなところであろう、お示し願いたい。
 そこで、県内外、海外の事務所、アンテナショップについて伺うが、食糧費で有名になった東京事務所は別格として、大阪事務所4人、北海道事務所2人、名古屋事務所が2人と内容はほとんど同じであるが、活動状況と経費について、各事務所ごとにお伺いする。
 さらに、県では、農産物、水産物のアンテナショップをロス、ニューヨークに開設しておるが、その効果と成果はどうだったであろうか。
特にロス等は日本人が集中しておる。豆腐屋から納豆や、すし屋まであることは、現地に行ったことがある人は皆知っているわけである。ロス市内ならば、岩手県のスーパーで日本食品を買うのと全く同じ状態である。直接そこへ県が売り込むなどと言うのは、私はこれは武士の商法と言わざるを得ないが、これはイベントというならば承知するが商売するということについてはいかがであろうか。

〇吉永副知事 まず、県外事務所の活動状況等についてであるが、ご質問の経費であるが、大阪事務所については、職員3名で計4757万円余、北海道事務所については、職員2名で計3785万円余、名古屋事務所については、職員2名で計3815万円余、いずれも平成8年どの経費である。
 次に、活動状況であるが、平成8年度における主な活動状況は、物産の紹介や宣伝については、各事務所で管内で開催される物産展の開催に際し百貨店への協力要請や連絡調整等の支援を行っており、物産展の開催状況は、大阪7回、北海道5回、名古屋6回である。観光宣伝費については、来訪者等に対する県内の観光地の紹介や観光相談を実施しており、大阪5555件、北海道4820件、名古屋1万2029件の実績となっておる。また、企業誘致については、ご案内のとおり、関西、中京地区は関東地区についで企業集積度が高いことから、北海道事務所を除く大阪、名古屋事務所においては、企業訪問、誘致活動等を実施しておる。また、折衝中の企業や本県進出先企業等を対象に産業立地基盤や投資環境を紹介し、本県への企業誘致に努めているところである。さらに労働者対策として、出稼ぎ就労者から労働条件、その他の問い合わせが大阪で122件、名古屋129件、北海道315件となっておる。また、人材確保については、県内出身者のUターン希望者に対し就職相談、企業情報の提供等を実施しており、その相談実績は、大阪19件、北海道539件、名古屋46件と、それぞれの事務所業務にいそしんでいるところである。また、岩手のイメージアップということにも大変につながっているかと思われるわけである。
 次に、アンテナショップの問題についてお答えする。
 まず、県産農水産物の量的な販売促進というものは、基本的に国内に重点を置くべきものと私は考えておる。それを前提にした上であるが、農業の国際化が非常に進んで、海外において本県の安全で品質のいい県産物を紹介しながら、豊かな自然や特色ある農村文化等の情報を発信していくということ自体は、そうした岩手のイメージが在留邦人から日本の方にまた逆輸入するといったようなこともあるので、本県のイメージアップを図っていく上で、そういう意味において意義があるものと考えている次第である。
 こうした考えのもと、県は、平成7年11月にアメリカのロサンゼルスにおいて農産物海外アンテナショップを設置し、宣伝活動を実施してきたところである。このロサンゼルスにおいて店では140品目を出店し、販売宣伝活動を展開してきたわけであるが、最近は売れ筋の商品も分かってきて、こういったものについては商業ベースでの輸出も始まっているところである。こういう商業ベースに移った段階では、県よりむしろ民間のベースに移っているところである。
御指摘のように、ロサンゼルスの常設ショップというのはご案内のとおり11月いっぱいで閉鎖するということを記者会見等でも知事が申しているわけであるけれども、今後は、西海岸地区にこういったものに加えて、世界経済の中心地であるニューヨークでこういう活動を続けていきたいと思っておる。
 委員のイベントか、あるいは商売かと言うことであるけれども、商売になると、これは民間中心でやりたいと思っているので、むしろ岩手のイメージアップのためのそういう県産品の輸出拡大につながるようなアンテナショップの運営といったようなことをやっていきたいと考えている次第である。

〇佐藤(正)委員 これは大したものである。いよいよニューヨークまで岩手県も乗り入れである。
 私も各事務所を回った経緯はあるが、東京事務所を除いて、ほとんど設置の意味がなくなってきておる。なぜならば、県産品もただいま説明のとおりであるが、熱心な会社の特定製品はまめに置いてあるが、多くの県内の特産品は全部見当たっておらない。また、企業誘致も同様で、当初の目的よりずっと後退しているのが現状である。したがって行政改革、財政縮減の折から、まず出先を整理して、その都度岩手から出展するなり、現地委託すべきと思われるが、いかにお考えであろうか。
 また、福岡事務所の開設はなぜであろうか。その目的と将来の見通しについて、お示しを願いたいと思っておる。
 岩手の清潔なイメージを壊した東京事務所の移転改築は、その後どうなっておるか。さらに、イメージの回復はどうお考えなのか。

〇吉永副知事 県外事務所の整理についてのご質問と福岡事務所についてお答えする。
 まず、県外事務所であるが、先程申したような活動をやっているわけであるが、これまでも首都圏はもとより、県産品の有力なマーケットである札幌、名古屋、大阪の各地区において、先ほど申した百貨店あるいは量販店等の有力販売先を対象とした日常的活決め細やかな情報発信と販売促進活動をやっているわけである。県外事務所においては、市場調査あるいは物産展等の日常的な業務あるいは管内の流通関係者との密接な情報交換等を通じ、地域に密着した人的ネットワークの構築に努めているところである。そういう人的ネットワークを通じて県産品の県外販路拡大をしてきたところである。こうした県外事務所を整理して、その都度岩手から出展するなり、あるいは現地委託すべきという委員の御指摘であるが、ご案内のとおり、それぞれの地域に移住するということが非常に重要なことで、移住して、そこで人的ネットワークを気づいて、そういう人的ネットワークのうえに地域の実態に応じたきめ細やかなマーケティング活動というのができるかと思うわけである。そういう意味において、県外事務所の現在のあり方の方がその都度岩手から出展するなり現地委託するよりもベターであると考えている次第であるので、どうかこの点についてご理解を賜わりたいと考えている次第てある。
 次に、福岡事務所であるが、これまで本県は、首都圏や中京圏、監査意見、そういった市場を中心として特産品の売り込みを図ってきたわけである。昨年6月、本県と福岡県が直行便で結ばれ、今後、人的、物的な連携、交流の拡大が期待される。また、東アジア地域との交流も活発な九州地域を新たな市場としてとらえ、特産物の販路拡大あるいは観光客の誘致、さらには東アジア地域も含めた経済情報等の収集、そういったものを図っていくための拠点として、九州の中心である福岡市に事務所の設置を検討することとしたものである。この事務所の設置に当たっては、さきに北東北知事サミットにおいて、福岡市への3県合同による情報発信拠点の早い時期の開設に向けて検討を進めるという3県知事の合意を受けて、来年度の早期開設に向けて青森、秋田両県と事務レベルでの協議を進めているところである。
 この事務所の機能であるが、ご案内のとおり、北東北と九州というのはの今までそれほど不快関係がなかった。関係がいわば薄かったということでがあった。薄いということは、かえって今後の市場開発あるいは観光の掘り起こしの可能性が大きいと考えられるので、この新しい事務所においては、物産や観光などの展示、紹介機能をこれまでより強化したものとして設けたいと考えている次第である。

〇大隅総務部長 東京事務所の改築についてお答え申し上げる。
 東京事務所用地が官公庁位置団地として都市計画決定され、衆議院事務局の方から交換協議が昭和61年に行われているが、このときは県が希望する条件が満たされなくて不調に終わった。意向、現在までのあいだ具体的な話し合いもなく、棚上げ状態で推移しておる。このようなことから、歯科も現在地は中央における情報収集を行なうために事務所としては最適地であるという考え方のもとに、平成7年度および8年度にこれの改修を行なったところである。
 なお、衆議院事務局においても、東京事務所の隣にあるけれども、第2別館、これの増築に平成8年度からかかっておって、平成10年度までには完成する計画と聞き及んでおるので、現在のままで当分推移するのではないかと見込んでおる。

〇武居企画振興部長 先ほど岩手のイメージについてのお尋ねがあったので、それについて私からお答えしたいと思う。
 県においては、平成6年度に岩手のイメージについての全国調査を行なったわけであるけれども、これは全国20歳以上の男女2000人を対象にして行なったわけであるが、この中で、岩手のイメージについては、地味であるという回答が47%、次いで広いという答えが32%、美しいが31%、不便が28%、温かいが26%、こういった全体のイメージがあるが、特に私どもが気をつけなくてはいけない点は、本県を農業、林業が盛んな県という答えが66%、あるいは水産業の盛んな県としているのが41%というふうに見る方々が多い一方で、工業が盛んな県というのが2.7%であるとか、あるいは保健、医療が、福祉の充実した県というイメージが1.2%ということで、大変少なくなっている。また、今年の4月に日経産業の消費研究所が全国の1000人のビジネスマンを対象とした調査でも、自然に恵まれているとか、あるいは人情味があるとか、そういったものが高いのに対して、産業が盛んであるとか、教育体制が行き届いているというのが大変低い数字になっておる。従って、イメージの中でいい面は当然これは伸ばしていかなければいけないわけであるが、最近、工業とか、保健、医療、福祉の部分でも従来のイメージと実際に来てみた感じが違う部分については、最大限そういったものが誤解なきようPRに努めて行かなければならないと思うし、国内がこういう状勢であるから、海外から来られる方は、岩手というよりも東北全体を余りよく知らない状況にあるので、県外のかかわりとの中で県の政策を進めていく分野が大変ボーダーレス化が進んで居る中で多くなってきていると思うので、積極的に詳報発信しながら、本県の個性とか魅力が最大限県外にも伝わるように努力してまいりたいと思う。

〇佐藤(正)委員 それでは、町村合併についてお伺いする。
 町村合併について、先の一般質問で田村議員から適切な質問があったので一部省略する。
 平成8年度、本県における市町村合併の状況はどうなっておるか。これから合併に意欲のある市町村に対して、県はどのような対応と支援をしてきたのかお示し願いたいと思う。
 さらにまた、現在進めている合併地域の対応はどうなっておるのか。特に県南一関市、平泉町、花泉町の合併問題はどうなっているのか。

〇武居企画振興部長 市町村合併についてであるが、平成8年度の合併に至った市町村はご案内のとおり、県内においてはない。全国的に見ても、平成7年9月に東京都下のあきる野市、それから、茨城県の鹿島市以降、合併の事例はない。
 一方、県内においては、盛岡地区、花巻地区、それから委員の地元でもあるが一関地区などで合併に関して地元いろいろな論議とか、あるいは民間団体におけるアンケート調査等の活動が行なわれたと承知しておる。しかしながら、県下全体を見た場合には、一部において合併に関するそういった論議が見られたものの、広く住民を巻き込んだ論議までにはいたっていないという実情がある。
 県としては、ご案内のように平成7年度にし町村の合併特例に関する法律が改正され、また、地方分権推進に関する論議が本格化しているところであるので、そういったことを踏まえて、今後においても、例えば今年度に入っては市町村のみならず、住民に対しても合併に含む広域行政の推進の重要性を理解していただくためのパンフレットを作成して市町村や民間団体などに配布したし、あるいは講師の派遣あるいは市町村だけでなく住民への資料提供等も行なっているところである。
 これから特に合併を含む広域行政の推進については委員から御指摘があったように大変重要な問題になってくるし、県としてのかかわり方も従来以上に積極的に行かなくてはいけないという考え方をもっておるので、各地域で広域行政シンポジウムを開催したりとか、あるいは先進事例の調査研究を通じた合併等の効果、課題に対する情報提供を行なったり、あるいは本庁なり地方振興局に合併に関する相談、そういったものを気軽に行なっていただけるような、そういった部分を住民の方々も含めて設けたりとか、そういったことをしながら従来以上にきめ細かい情報提供なり活動を行なってまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 部長、よく聞いていただきたい。今、何も指摘してない、私は。御指摘のとおりなんていうけれども。私は、田村委員がしたのだから途中を省略すると、こういっているのである。何も指摘なんかしていない。よく聞いていただきたい。だめだ、原稿ばかり読んだのでは。
 次に、食糧費、食糧費については、先ほど村田委員からも質問があった。私は6月議会にも取り上げ、本県にとって必要とあらば県民に明らかにして、接待費、交際費として多いにやれと激励してまいった。平成7年度は当初予算額3億1586万7000円に対し決算額は2億627万9000円、8年度は当初予算2億2233万1000円、9年度は当初予算2億298万6000円であるが、8年度決算額は幾らになるのか。

〇大隅総務部長 平成8年度の一般会計の食糧費の決算額は1億1939万7000円となっておる。

〇佐藤(正)委員 ここに朝日新聞、平成9年7月5日、記念すべき創刊110年4万号のかの有名な天声人語に岩手県の食糧費が載っておる岩手県も有名になったものであるが、内容についてはちょっとけちくさいお話である。ごらんになったか。 
 岩手県の飲食業は役人でもってきたのであろうか。花巻市出来8年度の飲食業総売上額が約20%減ったとあるが、勘ぐれば役人が温泉でドンチャカしているような印象を与えるわけであるが、どうなのであろうか。県では、飲食業界の自粛緩和の要請を断ったとあるが、これもおかしいのではないか。正当な会議を、夕食会を飲食店でやるのは当たり前ではないのか飲み食い商売のはやらない県は、町は発展しないと言われておる。なぜ県は目先の小事にこだわるより経済の発展政策をもっと積極的に進めないのであろうか。
 知事は、10月1日以降に実施する懇談会について、相手方出席者名を公開するとしておるが、これは大局的に見て大英断であろうか、それとも勇み足にならないか。陳情した各省庁に行って、きょうの懇談会はあなたの名前を公開するがよろしいかと先に了解を得るのか。これではだれも参加しない。こんな陳情なら毎年の国への陳情は要らないのではないか。
10月1日以降会合は何回あったか。その結果はいかがてあろうか。けじめとして、公開については議会の了解はとってあるのか、その点についてお伺いする。
 私は、この食糧費については過去のあしき習慣を正すことが先決であり、これからの県益のためのいわゆる食糧費ーー私は旅費、交際費と、こう思っているのであるがーーなるものはケース・バイ・ケースであると思うが、いかがであろうか。この点についての御見解を伺っておく。

〇武居企画振興部長 最初に、県経済の発展施策に関連したお尋ねがあった。当初これからの時代は大変急激な時代の変革を迎えてまいるので、本県の振興発展を図るためには、本県の将来進むべき方向をきっちりと見きわめながら政策を立案して行かなければならない、こういううに考えているところで、特にそういった政策立案の際に必要になる情報の価値というものは大変重要になってまいるので、本県にとって役に立つ情報については絶えずアンテナを高く張って精力的に収集してまいりたいと考えておる。

〇大隅総務部長 順序が前後するかもしれないけれども、10月1日以降の会合回数であるけれども、1ヵ月間の集計であるけれども、本庁、出先を会わせて45件という実績である。
 次に、食糧費のあり方であるが、前にも申し上げてはあるけれども、食糧費の執行については必要最小限の範囲で簡素かつ構成に執行する必要があると思っておる。特に、食糧費が伴う懇談会についてはその必要性を十分吟味し、必要なものについては社会通念上妥当な範囲で簡素に実施するということとしておるところである。
 それから、食糧費の相手方開示についてであるが、懇談の相手方出席者を原則的に開示するということについては、さきに行われた東京事務所に係る監査委員の不適正な処理があるとの勧告を踏まえて、食糧費執行の一層の透明性を確保する必要があると思っておって、そのための一つの手段出あるけれども、相手方の了解を得た上で公開するということとしたものである。この実施に当たっては、執行部みずからの判断において行ったところである。
 議会は、議決機関としての独自性から、例えば公開条例においても対象外となっておるところであるので、特に協議は申し上げなかったものである。

〇佐藤(正)委員 この10月1日以降の会合が45回だそうであるが、これは飲食費を伴っているのか。食糧費から支出しているのか。
 それから、議会の了解を得ないというが、陳情というのは当局だけではない。私ども議員もそれぞれに陳情請願をして、それなりに効果を上げてきている。当局だけでやって我々には全膳は梨がないというのことになると、我々は、それではポケットマネーだけでこれから自分らの親しい国会の議員だの、あるいは各省庁の役人に言って話すのかどうか。これはやはり当局と同じように、いわゆる食糧費、接待費なり交際費を使いながらやっていかなければならないわけである。これは我々議員の行動というものを制限したことにならないか。これからの陳情請願というものを制限したことにならないか、この点についてひとつお伺いしたいと思う。

〇大隅総務部長 確かに開示を前提としての懇談会ということになると、いわばプレッシャーがかかるというということがあって、相手方に対して心理的な影響を与えるとか、端的に申せば懇談についての一定の制約がかかってくるという事実はあろうかと思う。しかしながら、今、世論全体あるいは全国的にもそうした状況にあるので、今後における懇談会においては、条約上の解釈等もさることながら、実際上、そうした社会的な合意というものができつつあるのではないかとも存じておるので、十分な対応ではなかったかもしれないけれども、ご理解を賜わりたいと思う。

〇佐藤(正)委員 そうすると、その45回の会合は飲食費も伴ったのか。(大隅総務部長「そうである。」と呼ぶ。)わかった。
 それから、いわゆる議員というのは、時によっては、我々のかつての同僚の県議会議員がおこなって国会議員になっているのが何ぼもいるのだから、一緒になって会うときに、まさかお茶を飲んでというわけにはいかないのだから、いやいや、しばらくだなと一杯飲みながら言う、そこに非常に当局と違った議会あるいは議員としての力が発揮できるのである。そこの陳情の行動まで制限するということは、これは非常に問題ではなかろうかと思う。これは後で考えたいと思う。
 そこで、ただいまのように食糧費も使えないということになれば国への要望はまったく意味がないということで疑問を呈した訳であるが、先日14日、県当局は知事を先頭に19項目の統一要望を国に対して行った。吉永副知事に現時点での手ごたえなり見込みなりについて御所見を伺いたい。
 また、先般、自民党本部で開かれた全国政調会長会議において、山崎拓政調会長は、自民党代議士の存在が予算確保に差をつける。少選挙区で自民党の代議士が少ない地域は、継続事業は別だが、新規事業をとることは難しい。自民党の代議士がいるところは、建設、運輸、農水省に懸命に働きかけて公共事業の予算は確保される。官僚と代議士から揺さぶられると恐怖感もあって予算がつく代議士がいないところは必ずマイナスになり、これからははっきりと差がつくと申し上げたい、こう述べているのである。これは私が聞いたわけではないが、こう述べている。本県のように自民党の代議士が少ないところは新規事業は難しいのか。花巻空港なんかはどうなったかお伺いする。

〇吉永副知事 11月14日の県議会と一体となった統一要望においては、重要性、緊急性の高い19項目に絞って重点的に要望を行ったところである。先般成立した財政構造改革の推進に関する特別措置法では、平成10年度の公共投資予算を対9年度比7%以上削減すること等を内容とする量的縮減目標が折り込まれておる。また、6月3日に閣議決定された財政構造改革の推進においては、集中改革期間の公共事業予算の配分に当たっては、高規格幹線道路、拠点空港、中核中枢港湾、市街地整備等の社会資本に優先的、重点的に整備することになっておる。いわば大都市に傾斜するということになっているわけである。さらに、旧国鉄長期債務の処理財源として工業投資予算の削減が取り沙汰されるなど、国の平成10年度の予算編成については、従来と異なり未曽有の厳しい状況にあることから、本県の要望が政府予算に盛り込まれるかどうかについては全く予想だにできない厳しい状況であると認識しているところである。
 次に、新規要望についてのご質問であるが、本県については、例えば公共事業が絡む新規要望としては、委員から御指摘のあった花巻空港の拡張整備事業あるいは地域振興整備公団による花巻の流通業務団地の造成事業、早坂道路の新規採択あるいは国営農地再編事業におけるいさわ南部等幾つかの新規事業があるところである。しかし、今年は、先ほど申したような条件のもとでは、花巻空港あるいは例えば早坂道路も一般道路であるので優先する方に入らない、そういう状況下にあって、大変に厳しい状況である。しかしながら、県選出国会議員、これは与党とか野党とかいうことを問わず、県民の利益のために結集していただいて、県選出国会議員の方々のいろいろなお力添えを、また、県議会議員の方々の、これも与党とか野党とかという立場を超えてのいろいろなお力添え、そういつたものを集結してまいって、この厳しい状況の中であるが、最後の瞬間まで何かと私どもの方にこうした新規事業が採択もなるように一生懸命に努力してまいりたい、そういう状況にあるわけである。

〇佐藤(正)委員 なかなか熱が入ってきた。山崎拓なんかに負けるな。
 次に、保健所の統合である。
 保健所の統廃合についてであるが、平成8年と9年の統廃合の前後の状況はどうか。
 厚生省は岡光以来襟を正したかと思ったら、末端にはまだまだ役人風を吹かせる役人が折る。県南の某保健所の理容店の係官は、前任者の許可に難癖をつけて弱いものいじめをしている。前任者と後任者とでは許可基準が違うのかとただしたところ、すぐに許可するから取りに来いと呼びつけ、忙しいからとして数時間待たせて許可証を出したと訴えてきておる。統合してそんなに忙しいのであろうか。知事の言う優しい県政、現場で用が足せる県政とは大違いである。このような県職員がいることを承知しておるか。県民から見れば、最低の役人ともいえるが、県当局の処分はないのか。テレビの遠山の金さんならばどうするであろうか。

〇千葉副知事 保健所の統廃合についてであるけれども、人口の高齢化など地域保健を取り巻く状況がかなり激しく変化しておるわけであるけれども、保健所を専門的かつ技術的な拠点としてその機能の強化を図るため、本年4月に実施したものである。あわせて、保健、医療、福祉の一体的なサービスを提供するため、保健医療部門と福祉部門との統合連携をあわせ行ったところである。保健所が統合された地域については、当該市町村に定期的に出向いて各種相談や申請等の受け付けを行うなど、あるいは巡回相談事業を実施するなど、従前に比べて住民サービスの低下を招かないよう配慮しているところである。
 また、市町村に対しての保健福祉計画の作成や推進等についての綿密な指導あるいは生活保護世帯や障害者、難病疾患者等に対するケースワーカーと保健婦の同行訪問などによる効果的な指導あるいは福祉施設に対する栄養士や衛生関係職員の同行による調理業務の専門的な指導などについて、保健所の企画機能の強化や保健、福祉の一体的な業務の取り組みがなされているところで、その効果が上がっていると考えているところである。
 それから、御指摘のあった保健所職員の許可事務の取扱いであるけれども、ただいま御指摘のあった保健所における理容店の許可事務に当たって、保健所職員の不適切な対応からか異説者に対して大変迷惑をおかけしたことはまことに遺憾であると考えておる。県行政を推進するに当たって、特にも許認可事務に従事する職員については、県民の立場に立って対応することが特に大事であるということを常々言っておるところである。今回そういうことがあったわけであるけれども、こんご、このようなことがないよう、県職員全体に対して注意を促してその徹底を図るとともに、地域住民のサービスの向上に一層努めてまいりたいと考えておる。

〇佐藤(正)委員 次はボランティアについて、平成8年度のボランティア活動について、とりわけ福祉、スポーツ、イベントを中心に総括的にお尋ねしたい。

〇千葉副知事 県内におけるボランティア活動は、従来、福祉活動を中心としたものから、青少年の顕然陰性、スポーツ夜分か、国際交流、環境保全のほか、阪神・淡路大震災の際に見られた災害援助など、多岐にわたる行動の広がりが見られるところである。ボランティア活動は、活動する人々が増加しておりその活動分野も広いことから性格に把握することは困難であるけれども、平成8年の岩手県社会福祉競技会の調査では、福祉関係を中心に1618団体、12万8000人余と把握されており、また、平成9年に実施した県の概況調査では、福祉以外の分野を含めて2100団体、14万人余となっているところである。
 主な活動状況は、福祉活動では、社会福祉における理容師の散髪奉仕や児童生徒による食事などの介助、女性グループによる老人の介護や給食サービスなどのほか、障害者の日常生活を支援する手話や点字など幅広い活動が行われているところである。
 また、スポーツ関係では、スポーツ愛好者による少年野球等の指導や審判、各種スポーツ大会などへの協力、健康体操やレクリエーション指導などの活動が行われているところである。
 また、イベントの関係者においては、平成8年度において宮澤賢治、石川啄木生誕記念事業や食パラダイス岩手'96など各種イベントが開催されたところであるけれども、これらのイベントの運営スタッフ、シンポジウムでの手話通訳など、多くのボランティアの方々の参加をいただいているところである。

〇佐藤(正)委員 11月19日、懇談会においていわて21ボランティア懇談会設置要綱が提案された。これは条例制定のための意見を聞く会であると言っておる。
 そこで、次の点についてただしたい。
 1、なぜみずからの意思でボランティア活動に日本で初めての条例が必要か。基準設定でもよいではないか。
 2、条例が適用されない人はボランティア活動ができないのか。
 3、有給も含めてと説明があったが、ボランティアに有給、無給の区別があるのか。有給対象となるボランティア団体なり個人は誰が選定するのか。
 4、有給ならばアルバイトか臨時採用とどこが違うのか。正確にはボランティアと言えないのではないだろうか。
 さらに、11月19日、議運に提出されたいわて21ボランティア懇話会設置要綱の附則によると、この要綱は平成9年11月13日から施行するとあるが、何のことかご説明願いたい。これは19日初めて提出されたものである。

〇千葉副知事 ボランティア活動は、自発的な意思に基づき他人や社会に貢献する活動であると言われておる。近年、福祉のみならず、青少年の健全育成や国際交流、環境美化などのさまざまな分野でボランティア活動が社会的役割を果たしておる。このような活動に対する支援が要請されているところである。今後、ボランティア活動をより一層振興していくためには、ボランティア団体等と行政とのパートナーシップを築き、県民だれもが気軽に参加できるようなきっかけづくり、活動しやすく、その輪が広がるような環境づくりに取り組むことが重要であると考えているところである。このような取り組みを総合的、継続的に推進するためには、岩手県全体としての意思の反映として条例を制定することが望ましいと考えておるところである。条例の正確からいって、県民の権利あるいは義務を制定するという、そういう条例のものではなくて、宣言的な条例、そういう正確を持つ条例であるということが言えるわけであるけれども、この条例を制定することによってボランティア活動に対する考え方やボランティア活動団体と行政の役割あるいは支援方法について共通の理解ができるものであると考えているところである。
 それから、条例、いつでも、どこでも、だれでも気軽に楽しくボランティア活動に参加できるように、言わば、ボランティア活動を助長、支援することを目的とするもので、県民が自発的にに行うボランティア活動についてはすべて対象となるものと考えておるところである。
 それから、ボランティアは、一般的に、自発性、公共性といったもののほかに、無償性の性格を有すると、こう言われているところである。しかし、ボランティア活動の形態は、受けてや担い手の意思の変化などに応じて変わるものと考えられておって、近年、ボランティア活動が助け合いの精神に基づいて、受けてと担い手との対等な関係を保ちながら、謝意や経費を認め合うということはボランティアの本来的な性格から外れるものではないとされておる。実費などの金額を受ける活動を有償ボランティアと呼んでいる例もあるところである。一方、労働の定価的なものとして受け入れている例もあるが、これは本来的なボランティアの活動とは考えいてないところである。活動には交通費や材料費などさまざまな経費を必要とすることも事実である。これをすべてボランティア活動の担い手の負担とすることが適当であるとは言いがたい面もある。金銭の授受をすべて否定することは現実的ではないと考えているところである。しかし、労働に見合った対価は別として、有償がどの範囲までがで適当なのかは一律に判断できないもので、金銭の性格や活動の受け手、担い手の認識等によって異なるものと考えいるところである。
 それから、いわゆる有償ボランティアと呼ばれるものは、営利を目的としない住民相互の助けあいを基調とした活動に対して、それに要する実費や交通費程度の金銭を受けるものである。実費弁償や謝礼的な性格が強いものと考えておる。従って、労働に見合った対価として受ける労働報酬とはおのずから性質が異なるもあであると考えておるところである。
 それから、附則の施行日の質問であるけれども、資料がないので後ほど御答弁したいと思う。

〇佐藤(正)委員 議事進行について
 議運で我々に出されたのは、いわゆる設置要綱の附則ということなのである。それはそれで書いているのであろうが、その末端に平成9年11月13日から施行すると、こう書いてある。もう一度調べていただきたい。

〇千葉副委員長 暫時休憩する。
   午後1時47分 休 憩
   午後1時48分 再 開

〇千葉副委員長 再開する。
 答弁できるそうであるので、答弁させる。

〇千葉副知事 ただいまの設置要綱の附則の施行日の関係であるけれども、附則で、この要綱は平成9年11月13日から施行すると、こういう内容になっておるが、この平成9年11月13日というのは、内容的にこの要綱を決裁したときの日にちである。

〇千葉副委員長 休憩する。
   午後1時49分 休 憩
   午後2時14分 再 開

〇千葉副委員長 休憩前に引き続き再開する。
 副知事から答弁を求める。

〇千葉副知事 ボランティア懇話会の設置要綱の附則の関係については、先ほど説明申し上げたとおりである。わたの答弁の一部に説明不十分な点があったことについておわび申し上げる次第である。

〇佐藤(正)委員 だから後ろのあなたが変なメモなんかを出したりしない方がいい副知事は分からないのだから、そのメモを見ていっているのだから。
 次は、農業問題、農業問題については、先日、渡辺幸貫委員あるいは本日、村田委員からもお話があった。増田農政はちょっと弱いところがあると感じたわけで、残念である。農業構造改善事業は、生産性向上のために主に土地基盤整備や各種の施設の整備を行うもので、市町村が計画を立て、都道府県が農水省と協議のうえ、認定する仕組みとなっており、本県の土地基盤整備に大いに役立っておる。ところが、平成8年の総務庁の行政監察の結果、全国の調査対象施設の287施設の中には利用率が70%未満の低利用施設が96、全体の33%に達していることが判明した。そこで、総務庁では、農水省に対して、1、計画の審査や施設の採択を厳正化する。2、改善見込みのない低利用施設は目的変更するか財産処分によって国の補助金を変換させる。3、農業構造改善事業のあり方を見直すことを勧告したが、本県の調査対象の施設で勧告の対象となる低利用施設は合ったと聞くが、どこなのか。あるとすれば、県はどのような対応をするのかお示し願いたい。
 スーパー、量販店の進出とともに街角の魚屋、八百屋さんが姿を消した。しかも卸売市場は苦しい経営を迫られておる。第6次岩手県卸売市場整備計画はどうなっているのか。

〇吉永副知事 まず、総務庁の行政監察であるが、平成8年に岩手県を含む全国18道県の農業構造改善事業実施地区を対象に実施され、本県においては3市町村20施設が対象となり、そのうち紫波町内のライスセンター及びピーマン選果施設の2施設が利用率が低いという指摘を受けた。具体的には、ライスセンターの場合は67.8%、ピーマン選果施設の場合は19.3%という指摘を受けたわけである。(佐藤(正)委員「そこだけか。」と呼ぶ)その2ヵ所だけである。
 この2か所については、県としては、まず、ライスセンターについては集荷体制を充実強化する。土曜、日曜に集中しておったのを平均化させるといったようなことをやって利用率を向上させて、現在においては、推計であるが、9年度の11月まてであると、72.8%と、70%を上回っておる。また、ピーマン選果施設は、むしろここでは利用品目としてトマトの選果施設に使っていることが多いわけで、これをピーマン・トマトにすると70%を超えるといったような状況になる。それぞれこの二つについては改善の指導を行っているところである。これからもこうした農業構造改善事業を導入して、施設の有効活用については指導を強化してまいりたいと考えている次第である。
 次に、第6次岩手県卸売市場整備計画であるが、県は、国が定めた卸売市場整備基本方針に基づいて、8年度を初年度として平成17年度を目標年度とする第6次岩手県卸売市場整備計画を平成9年3月に策定して、県内の卸売市場の進むべき基本方針を明らかにしたところである。この計画においては、一つは、卸売市場の経営基盤の強化や物流の効率化を図るため、現在、県内にある35の卸売市場に統廃合を図る。また、情報化、物流の効率化や食品の安全性の確保などに対応するため、情報処理センター、自動搬送設備や衛生管理施設などの整備を図る。また、三つ目としては、公正かつ安全的な取引の推進、適正な競争秩序の維持等を図るために、取引ルールの確立を図るといったようなことを考えている次第である。

〇佐藤(正)委員 卸売市場は、生産者と小売業者の利便、利益に供した功績は大である。しかし、現在は、卸売人と仲買人が話し合いで決める相対取引が青果物の場合約70%、水産物の場合は約80%と聞いておる。また、仲卸業者の競り前先取りは量販店の予約であり、元来競りを柱とする卸売市場制度を否定し、量販店の集配センターとなっているが、これは法律違反ではないか。と同時に、第6次整備基本方針はさらにこの状況の拡大を図るものではないか。
 県内の統合のあり方と市場のあり方についてお伺いしたい。

〇吉永副知事 中央卸売市場は、卸売市場法第34条の規定によって、競り売り及び入札による取引が原則になっておる。ただ、同法施行規則第23条の規定によって相対取引が認められておって、その一形態として卸売開始時刻前に取引されるいわゆる先取りについても開設者が許可したときは出来るものとなっておる。そういう意味においては法律違反ということはない。また、地方卸売市場も卸売市場法例第15条などの規定に基づいて、市場開設者が業務規定に定めた場合は先取りを含めた相対取引が出来ることとなっておる。このように、先取り取引というのは法律違反ではないが、委員御指摘のとおり、本来は、競り売りが原則である。ただ、市場開設者が取引ルールをそのように決め、かつ取引が行なわれるということが肝要なことかと考えるわけである。今後とも開設者や卸売業者に対して、卸売市場の検査や競り売り研修会を通じてこういったルールを守るように指導はしていきたいと考える次第である。
 それから、第6次卸売市場整備基本方針がこういった方向を助長するのではないかということであるが、近年、産地の大型化やスーパー等量販店の増加などに対応した卸売市場の配置や整備のあり方、取引方法の改善、卸売業者の統合大型化の方向などを整備方針において示したものであって、基本的には特定の取引形態の拡大を図るものではないと理解しておる。適正な取引を含めて市場機能が十分発揮されるよう指導してまいりたいと考えておる。
 それから、県内の卸売市場統合のあり方と市場のあり方ということであったが、先ほど申し上げたように、国の卸売市場整備基本方針および県の第6次整備計画に即して、国内卸売市場の近代化、統合整備、適正な市場運営といったようなことを指導してまいりたいと考えている次第である。 

〇佐藤(正)委員 よろしく頼む、副知事、あなたが行かない前に。
 それでは、時間であるが、最後に私は意見を述べてみたいと思う。
 平成8年度の決算について、行財政改革は、国ばかりでなく、本県も同様である。財政の硬直化と言われるが、それは言葉の独り歩きであって、県の上級幹部、財政担当者の硬直化であるということに気がついてほしい。企画振興部長は知事が最も信頼する両腕の1人であるが、天下り部長であるので、各部局の調整能力は見られない。残念である。他の部長も天下りと順送りの混成部隊では何事もなく進行し積極性が見られない。精いっぱい頑張っておられる総務、生活環境、農政部長は高く評価する。
 近来、事故や事件、スキャンダルが続出しておって、その責任はすべて下級職員に押しつけて、上級幹部は責任逃れしていることはまことに遺憾である。贈収賄、奥山道、カラ出張、トネリコ伐採、滝沢道路ーーきょうも話が出たわけであるがーー、土木部長は個人的には大変優秀な方であるが、この際、責任をとってやめるべきだと思うが、どうであろうか。
 こんな現状では、知事のみが号令をかけても、吉永副知事が一生懸命やっても、組織全体が機能しておらず、21世紀の本県のあるべき姿が見えてこないのである。これは何が原因であろうか。やはり大きくスクラムを組んで、力強く王道を進むべきであると思うが、いかがであろうか。先ほど村田委員は、岩手県は牛の歩みのごとき発展をしている、こういわれたが、そこで、豚の歩みに詳しい吉永副知事、あなたは豚にうんと詳しいから、いかがであろうか、一つ御見解を賜わりたいと思う。
 また、決算でもあるので、県庁の御意見番と言われている高橋出納長からもあわせてお伺いしたいと思う。
 以上で私の質問は終わる。ご協力ありがたかった。

〇吉永副知事 県の職員は、これは幹部から一番末端の職員に至るまで全員一つの大きな固まりとなって県政の推進に頑張っているところである。今、県の部長以上について一つの分類に従ったお話があったが私あるいは企画振興部長、土木部長、国から来ている各部長についてであるが、私は正直申して、その出自によってそういうふうに分類されることは実は非常に心外なところである。と申すのは、私は縁合って岩手県で、今、奉職しているわけであるが、岩手県のためにどういうふうにしたら増田知事を支えて県政を推進していくことができるか、岩手県の中にどういうふうにして自分の持っている力を使って、非常に厳しい財政状況の中にどういうふうに岩手県に役立てるような国の予算の働きがあるのかといったようなことを一生懸命考えているわけで、これは県にもとから奉職している人はもともとそういう形で、また、一つの縁でもって、今、県に奉職している人、それもすべて一つの大きな固まりとなって、火の玉となって県政の推進に遇進している、そういうふうにぜひともお考えいただきたい。そういう点において、いつも佐藤正春委員から御激励をいただいておって、それを受けて一生懸命頑張っているという、そういう次第である。

〇高橋出納長 ただいま委員から大変厳しい御叱正と、また、21世紀に向けスクラムを組んで王道を歩むべきだという御意見をいただいた。世の中ますます厳しさを増している状況でもあるし、これから21世紀にかけて各県ますます競争が激しくなる。そういう厳しい時代でもある。今まで以上私ども県職員総力を結集して県民の福祉のために当たらなければならない、そのようにまたさらに意を強くした次第である。そういう覚悟で取り組んでまいりたい、そのように思っておる。

〇菅原委員 それでは、二、三質問したいと思う。
 先ほどの村田委員、佐藤委員の質問に関連するわけであるけれども、いわゆる職員の資質と責任についてお伺いしたいと思うわけである。
 まず、お伺いするけれども、管理職の定義はどのようにお考えになっておられるであろうか。

〇千葉副知事 管理職ということであるけれども、管理職の役割というのは、一つには、やっぱり自分に与えられた職務というか、それについて非常に高度な知識を有することが一番大事だろうと考える。自分に与えられた職務の内容について十分了知しながら、適正な判断を下して職務を遂行していくことが管理職として一番重要なことだろうと考えておる。
 あわせて、職務を執行するに当たっては、当然部下職員がかかわってくるわけであるので、部下職員に対する業務の指導あるいは日常の生活に関連するそういった行動についても目を配りながら十分管理、監督していく、この2点が管理職として一番重要な事項であると考えておる。

〇菅原委員 私は一番短く定義を申し上げたいけれども、管理職の責務は機会損失の防止だと、そのように思っておるわけである。先ほど来いろんな一連の不祥事の事件が実はあったわけであるけれども、これは機会損失の防止ではなくそれを見逃していると、管理職は、そのように言っても過言ではないと、私はそのように思うわけである。職員から係長、補佐、課長、次長あるいはまた所長、部長があると思うけれども、やっぱり細心の注意を払ってこれを見落としたとか誤ったとか、それは人間であるからあるけれども、それでは管理職としての能力はゼロと言っても過言ではない、私はそのように思うわけである。一連のこのごろの報道について、県民はまたかと、そういう批判をしている。このことは真剣に受けとめなければいけない。職員だけではなく、我々議員もやっぱりえりを正さなければいけないと、そんな感じをいたしておるわけである。したがって、県はこういう問題に対する管理職の資質の向上をどのように対策をこれからとっていくおつもりであろうか、お考えをお聞かせ願いたい。

〇千葉副知事 今回、土木部に関連いたして一連の事件が発生したわけであるけれども、管理職の資質の向上については、一つには、岩手県には自治研修所という機関がある。この研修機関を活用いたし、幹部職員の研修等を行っているところである。あわせて、国の各種研修機関等へ派遣いたしていろんな研修も受けさせているわけであるけれども、そのほかに自己研修といおうか、自己を磨くという意味において、職場研修等においてもその研修を重ねていると、そういう実態である。今回の事件に限らず、いろいろ社会の変化に対応して、管理職の判断能力というものがより高いものが求められてくるわけであるので、これに即応するようなそういった研修の内容、その他について検討していかなければならないと考えておるが、今回の事件の関係については、全く日常の業務を推進するに当たって、先ほど委員がおっしゃったけれども、細心の注意を払っておけばこの事件は未然に防止できたわけである。したがって、今一番大事なことは、なぜこういう単純な事件が、単純と言えば語弊があるけれども、発生したかというその原因をまず究明することが大事だろうと考えておる。その原因を究明することによって、今後いかに管理職がそういったものについて対応していくかということが大事なわけであり、今回の事件を契機として、こういった今までの一連のそういった不祥事件も含めてその原因がいかなるところにあるか、那辺にあるかということを再度検討してみたいと、詰めてみたいと考えておる。

〇菅原委員 時間がないから、それでは2件続けて質問するけれども、いわゆる先ほども佐藤委員から話があったけれども、いろんな事件あるいは不始末を起こすと下級職員の処分が重いと。上に従ってだんだん薄れていくというような傾向なんだそうである。そうすると、やっぱり下の職員は一生懸命やるという気持ちがなくなる。いわゆる士気が低下すると。これは県職員の一般的な声である。
 次に、職員の提案制度というのがあるそうである。以前は、随分活発な提言があったそうであるが、今何か少ないという話を聞いておるけれども、実態はいかがであろうか。少ない原因は、提言しても何も役に立たないと、いわゆる士気が低下している、そういう結果ではないであろうか、この点についてお伺いをいたす。

〇千葉副知事 職員の提案制度については、昭和60年度から今日まで実施されているものである。平成8年度までの累計で2、771件の職員の提案がされたところである。残念ながら、ここ二、三年の傾向であるけれども、若干、減少傾向に見られるところである。これはこの職員の提案については、県政の業務にみずからタッチしている者の提案であるので、私どもはこれらの職員の提案については、できるだけ早期に具体化するような、そういった措置を講じているところである。その職員の職場提案の数が減少しているということについての原因については、残念ながら詳しいことは承知いたしておらないけれども、傾向としては減少しているということは間違いない事実である。
(菅原委員「もう一つ、処分の問題。」と呼ぶ)
 処分のことであるけれども、処分の一般的なやり方といたしては、やっぱりその事案を直接処理している職員がこれは一番重いというのが、これは処分を実施する場合の一般的な処置の方向であり、これは岩手県のみならず国家公務員、地方公務員全体を通じての処分のあり方であろうということである。
 管理職になると処分が軽くなるのではないかということであるけれども、先ほど言ったとおり、業務を直接担当する職員が一番業務に精通しているわけであり、そこの職員が非行為を犯したということになれば、その責任は一番重いと、これは一般的な考え方であろうと思う。上に行くに従って処分が軽くなるということであるけれども、事案によってはかなり重い処分も上の課長以上等の職員についてはなされているところであり、その処分そのものについては特に問題はないと私ども考えておるところである。

〇菅原委員 個人的な問題、収賄とかいろんなそういうものは確かに当事者が最高の処罰を受けると、処分を受けると、これは当たり前であるが、いわゆる今までの不祥事件は、やっぱり上の人がもっと目を光らせれば防止できたはずである。それをできないから、いろんな問題が起きているということである。そうした担当者だけが処分を受けると、上の人は何も受けないのかと、おかしいのではないか。私は最高責任者が最高の処分を受けるべきだと。そうしないから管理職が育っていかない。いわゆる機会損失が防止できないのではないかと、こんな思いをするが、一般企業はこんなことではない、この逆である。この辺はもう少し十分検討してしかるべきだと、そのように思うわけである。

〇小原委員 社会民主党の小原宣良である。
 決算審議に当たり、会派を代表して総括的にお伺いをする。
 初めに、本県経済の現状と今後の見通しについてである。
 平成8年度における本県経済は、おおむね緩やかな回復基調にあるとの認識が一般的であったように思う。比較的好調を持続した情報、通信産業、自動車関連産業、住宅建設などによるものである。一方、調整局面に入った産業としては、半導体、鉄鋼などが挙げられていたと思うが、昨年度における本県経済の動向をどのように把握して本年度の施策に生かされたのかお伺いする。
 また、本県経済の底を支えたのは公共事業であったとの分析もあるが、平成8年度における県公共事業が本県経済に与えた経済波及効果をどのように分析されているかお伺いをする。

〇千葉副知事 平成8年度の我が国経済は、前年に打ち出された財政、金融面からの景気対策と円高の是正に支えられ、そのテンポは緩やかであったものの、回復の動きを続けたところである。一方、県内の経済であるけれども、乗用車新車登録台数、新設住宅着工戸数あるいは鉱工業生産指数が前年度水準を上回って推移いたしたが、大型小売店販売額は前年並みとなり、また、有効求人倍率が低い水準で推移するなど一部に弱い動きが見られたものの、基調としては緩やかながら回復の動きが続いたところである。
 こうした経済動向は、急激に進展する国際化や高度情報化、地域経済構造等と密接に関連しているところから、施策の推進に当たっては、本県を取り巻く経済社会情勢を的確に把握することにより、一層重要となってきているところである。このため、平成9年度においては、地域間競争が激化する中にあって、地域経済を活性化していくため交通網や情報通信網などの社会資本や産業基盤の充実に努めながら、各種試験研究機関の機能の一層の充実や産学官の連携強化を通じて各種産業の高度化を促進するとともに、創造的な事業活動を行う意欲的な人材などの育成、支援に努めることなどを重点施策の一つに掲げ、各種施策の推進に努めているところである。

〇武居企画振興部長 本県の経済に関連して、県公共事業が本県経済に与えた経済波及効果についてのお尋ねである。
 平成8年度末の県公共事業の契約実績を見ると、本工事費ベースで過去最大の2、269億4、500万円が契約済みとなっておる。これを産業連関表により試算すると、建設業に対する直接効果及び建設資材等の生産、流通を通じての他産業に対する間接的生産誘発効果をあわせた第1次波及効果が約3、260億円、また、雇用の新たな創出や所得の増大に伴う生産誘発効果である第2次波及効果が約470億円となっており、これらをあわせると、本工事費の1.65倍に当たる約3、730億円の経済波及効果があったものと見込まれるところである。

〇小原委員 ただいまのお話のとおり、公共事業の効果、これは非常に大きいものがあるので、同時にまた、予算比率の中にあってもいろいろな条件下の中でその比率が低下をするのではないか、こういう心配もある。そういう意味で、今後においてもこうした事業については精査の上、効果的な事業が展開をされるように要望をいたしておきたいと、こう思う。
 次に、地域連携と交流についてお伺いする。
 国においては、次期全総の策定に当たって、従来の縦軸の形成とともに、多様な横軸の連携についても多くの議論がなされてまいった。本県においては、宮古・盛岡・秋田、釜石・大船渡・北上・秋田の連携軸とされ、県はその交流の実態について調査、把握に努めてきたところである。
 私は、先月行われた県総合計画審議会の連携・交流ネットワーク小委員会に出席をいたしたが、その資料に実に的確な表現があったと思う。それは、東北地域は近年重要性を増している環太平洋圏と、今後一層交流が拡大されると見られる環日本海圏の二つの圏域を結ぶ拠点として、学術、技術、情報の集積が進展しつつあるなど、我が国と世界の新たな発展に貢献すべく大きく変貌してきている。このような中にあって、本県は、本州の中で北米に最も近い位置にあるほか、物流を初めとした日本海との連携・交流が可能な地理的特性を有していることから、こうした特性を生かしこの二つの圏域の交流を活発化させ、その融合を図る役割を担うことが期待されているというものである。こうした発展の可能性を正しく把握するとともに、本県の主体性の発揮を絶えず持ち合わせながら、連携・交流を図ることが重要ではないであろうか。こうした意味で、これまで実施されてきた地域連携軸事例調査はどのようなものであったのか。あるいはその調査を通じ、地域連携に当たって、その役割を担い得る可能性をどのように認識されたのかあわせてお伺いをする。

〇武居企画振興部長 地域の連携・交流についてである。
 まず、平成6年度に岩手県、秋田県及び国土庁が共同で地域連携軸事例調査を行ったわけであるが、具体的な交流・連携ルートのイメージとして宮古・秋田ルート、釜石・本庄ルートを挙げて、両県の地域内を中心とした地域連携の将来展望や促進方策を検討したところである。この6年度の調査結果を踏まえ、平成8年度及び本年度には国土庁など7省庁により、秋田・岩手中南部地域における広域連携整備計画調査を実施してきているところであり、日本海及び太平洋対岸諸国との交流も視野に入れながら、大競争時代における地域競争力の強化や地域の個性と自立を重視した豊かな生活の実現などを目指して、広域連携による圏域の発展の方向性について検討を進めているところである。
 特に、岩手・秋田両県の地域連携については、これからはこの圏域をより大きな視点でとらえることが求められる時代になってきておる。特に、札幌、仙台、東京を結ぶ国土軸上にあるし、環太平洋経済圏と環日本海経済圏とを結ぶ役割を果たしている地域であるので、この地理的特性を生かし両県の連携はもとより、他の地域とのネットワーク化も視野に入れながら、圏域を越え、東西、南北に広がりを持った広域的な視点で連携・交流を進めていくことにより、委員御指摘のような新しい可能性が広がっていくものと認識しておる。
 現在進めている調査についても、このような可能性を実現していくための具体的な方策を見出すものということで私どもも期待しているところであるし、こういった地域連携の調査、こういったものの結果を生かしながら私どもも県内におけるさまざまな、例えば高速交通体系の整備であるとかそのほかの産業、物流、観光などの分野におけるネットワーク化の形成に努めてまいりたいと思う。

〇小原委員 ぜひ、本県の主体性を十分に発揮できる、そういう視点からも御検討をいただきたいと、こう思う。
 次に、財政問題についてお伺いする。
 県は、平成8年度予算編成に当たり、自主財源の大宗をなす県税や地方交付税の伸びに期待し得ず、また、歳出面においては、公債費等義務的経費の増加が見込まれること。また、平成8年度末では約7、800億円の借入金残高を抱えることになるなど、その環境は極めて厳しいものにならざるを得ないとの厳しい認識のもとに、国の予算編成方針や地方財政計画等をにらみ、県民福祉の一層の向上を図るため、積極的かつ効率的な予算編成とその執行に当たってきたものと存じ、その労を多とするものである。
 質問の第1は、地方交付税についてである。
 ここ数年の地方交付税の推移を見ると、平成5年度で約2、489億円、6年度で約2、387億円、7年度で約2、365億円、8年度が2、440億円となっているようであり年々減少の傾向にある。これは、自主財源である県税の伸びとかかわるものとは思うが、これら地方交付税の推移をどうとらえているかお伺いする。また、基準財政需要額の算定において、本県の持つ特性などから、算入されてしかるべき要素についてどうお考えかお伺いをする。

〇大隅総務部長 近年の地方交付税の交付額は御指摘のとおり、平成4年度から7年度まで4年連続で減少いたしておったが、平成8年度には対前年度比3.2%の増となっておる。交付税の交付額は制度上、基準財政需要額に算入される財政需要の動向や税収入の動向等に左右されることとなるが、本県の交付額が平成7年度まで減少した主な要因は、いわゆるバブル崩壊後の景気低迷の影響により全国的に税収が伸び悩んでいる中にあって、本県の税収が比較的堅調であったと、こういうことから、基準財政収入額が基準財政需要額の伸びを超えて増加したことによるものであると考えておる。
 次に、基準財政需要額の算定の基礎となる単位費用や測定単位の補正については、国において交付税制度の財政調整機能の充実を図るために、毎年度の行政需要等を勘案しながら見直しを行っているところである。本県としては、交付税制度の持つ財源調整の機能を一層発揮させる観点から、見直しに当たっては、地域の実情に応じた算定がなされるよう、毎年度要望を行っておる。最近においては、本県産業の特性等を踏まえて要望した結果、例えば公有林の管理に要する経費の充実、県営土地改良事業の地方負担額に係る補正の対象範囲の拡大、病院事業に係る補正の改善、東北新幹線盛岡以北の整備に係る起債元利償還金の交付税算入などが実現したところである。
 今後とも、本県の実情に即した算定となるよう、要望を続けてまいる考えである。

〇小原委員 大変御苦労さまである。やはり地域、本県は四国4県に匹敵をする広さということ、あるいはいろんな特性を持っておる。そういう意味で、東京の方が従来の基準といおうか、従来の感覚でとらえていくということになると、必ずしも本県の実情を把握し得ない。そこのところは、今お話しあったように公有林とか病院あるいは土地改良、こういった広範な土地条件を持つ岩手の特性というものをやはり基準財政需要額の算定に入れていく、こういう努力は今後もぜひ続けていただきたいと思う。
 昨年度も同様であったけれども、今、地方財政は地方交付税法第6条の3第2項に該当する事態である。すなわち、これは基準財政需要額が基準財政収入額を超える額、いわゆる財源不足額が引き続き著しく生じた場合は、交付税率の変更を行う旨定めているものである。ここで言う引き続きとはどのような状態を指すのかは、国会の政府答弁では3年以上とされているようであり、著しくとは、普通交付税総額の1割以上の不足とされているようである。これに照らしてみれば、明らかに平成6年度から8年度までの間は、この条項に該当するものである。今後においては、本県も同様に景気対策、福祉や環境、国際化など、新たな行政需要にこたえていかなければならない。こうした状況の中にあって、地方財政の歳入構造の基本的欠陥について、県はどう認識され国に働きかけてきたかお伺いをする。

〇大隅総務部長 現在の地方財政制度では、地方公共団体が標準的な行政水準を確保できるように地方財源を保障するとともに、国の予算を通じた施策の展開と地方財政との調整などを図るために、毎年度の地方財政計画の策定を通じて地方財源不足対策がなされているところであるが、委員御指摘のとおり、毎年度の地方財源不足に対して、国の厳しい財政事情から、交付税の率の変更が行われずに交付税特別会計の借り入れ等による地方交付税の増額や、財源対策債の発行等により補てんされるというのが最近の通例となってきておる。県としては、地方分権の時代にふさわしい国の財政事情に左右されずに、地方公共団体が自主的、主体的な判断と責任のもとに、それぞれの地域の特性に応じた施策が展開できるような税財源が安定的に確保されることが極めて重要であると考えており、このためには、地方税について課税自主権の拡大とかあるいは国から地方への税源移譲が行われ、地方交付税については所要総額を安定的に確保できると、こういう財源保障機能を高めることが必要だと考えており、さきの地方分権推進委員会の第2次勧告においても、同様に地方税の充実確保を図ると、中長期的な課題として税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築と国と地方との税源配分のあり方について検討するというふうに一つの課題とされておるわけである。さらに、税源の偏在による地方公共団体間の財政力の格差を是正するために、地方交付税の額の安定的確保を図ることもされておる。したがって、県としては、この勧告内容が必ず実現するように全国知事会等と一体となって、推進委員会や政府に対して、これからも継続的に要望してまいりたいと考えておるところである。

〇小原委員 全国知事会の動向であるが、もし最近開催をされたあるいは近々されるという状況があったならば、その内容も含めてお知らせをいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 ちょっと具体的に資料を持っていないが、夏場に緊急要望を一度しておるし、また、今の時期であるから恐らくはまた近々そういう機会があろうかと思っておる。

〇小原委員 次に、地方債発行額のうち、後年度で交付税措置がなされた実績についてである。
 ここ数年間の県債発行額を見ると、平成5年度が約1、087億円、6年度が1、110億円、7年度が1、419億円、8年度が約1、499億円と年々増加の傾向にある。県は、これら県債の償還に当たっては、交付税措置のある優良な地方債を活用していると述べておるが、その実態はどうなっているであろうか。交付税によって補てんされる額と、今後の地方債発行に当たっての基本的考え方をお伺いする。
 なお、また、先ほど佐藤正春委員からの御質問もあったが、私からもお伺いするが、本県市町村の財政状況について、ここ数年来の県内市町村の決算の特徴をどう見ているであろうか。特に、留意すべき点があればあわせてお知らせをいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 まず、県分について申し上げる。
 県債のうち、元利償還金に対して後年度に交付税算入されるものは、地方公共団体が自主的な判断のもとに行う地方単独事業を中心に、例えばふるさとづくり事業や緊急防災基盤整備事業、ふるさと農道・林道緊急整備事業などかなりのメニューに上っておる。交付税算入率も20%台から50%台まで多種となっておる。また、減税に伴う減収額を補てんする減税補てん債や国の補助率カット分を補てんする臨時財政特例債のような交付税算入率が100%の県債もある。県においては、県債の導入に当たっては、優先的にこれらの県債を活用することとしておるが、毎年度の発行額のうち、交付税に算入される額は平成5年度が約582億円余、6年度612億円余、7年度913億円余、8年度871億円余等であり、発行額の大体5割から6割となっておるところである。
 今後の県債の導入に当たっては、この財政の硬直化により将来の財政運営に支障を来すことのないように留意しながら、県債を充当する事業については緊急性、重要性を見きわめて、後年度交付税措置のあるような県債の活用を図ることをモットーとしてまいりたいと思う。このため、改革指針において目標10%未満と、財源対策債を除いて県債の依存度の10%未満といたしたところであり、明年度の予算編成から、早速、この目標達成に向けて創意と工夫を凝らしてまいりたいと存じておるところである。

〇武居企画振興部長 本県市町村の決算の状況である。
 最近の市町村の普通会計の決算規模は、平成5年度に初めて6、000億円台に達しその後徐々に伸びてきており、平成8年度は歳出決算規模で6、676億円ということにトータルでなっておる。
 特徴としては、歳入においては地方税や地方交付税などの一般財源はここ数年低い伸びで推移しており、一方、平成6年度以降地方財政全体に、これは所得税、住民税の減税分とそれから財源対策分と両方あるが財源不足が生じ、減税補てん債や財源対策債を発行したことや、あるいは国の数次にわたる経済対策に伴い、一般公共事業あるいは地方単独事業が推進されたこと、こういったことを背景として、県内のそれぞれの市町村においても、地方債が毎年度10%台の大きな伸びを示しているところである。
 また、歳出については、義務的経費では公債費や扶助費が増加し、投資的経費については県内市町村が事業に積極的に取り組んだ、こういった背景もあり、単独事業が毎年度10%台の大きな伸びを示しておる。
 このような中で、財政構造の弾力性を示す数値である経常収支率が上昇してきており、平成8年度は21団体が80%以上ということであるし、また、財政運営の長期的な安定性を示す指標である公債費比率も上昇しているということであり、県内市町村の財政構造は弾力性が徐々に失われていると認識しているところである。
 今後は、十分にこういった点に留意する必要があると考えており、毎年度の各単年度ごとの財政運営に留意することは当然のことであるが、特に中期的な財政計画、こういったものをきちんと立てて、今後の各年度の健全な財政運営を図っていくということが大変重要になってくると考えておるので、私どももそういった面で市町村に対して適切な指導をしてまいりたいと考えておる。

〇小原委員 ぜひ、財政悪化という状況に至らない前に適切な指導をお願いしたいと思う。
 次に、ふるさとづくり事業についてお伺いする。
 この事業は、昭和63年度に創設された、みずから考え、みずから行う地域づくり事業を契機として、自主的、主体的な活力ある地域づくりの取り組みを支援するために創設された事業と承知をしておる。県においては、この国の事業に関連して実施しているものは14事業で、事業費は115億円となっているようである。これらの事業効果をどのように評価され、また、今後どのように事業展開を図るお考えかお伺いをする。

〇大隅総務部長 ふるさとづくり事業は、地方公共団体が自主的、主体的な地域づくりを推進する単独事業について、地方債及び地方交付税による財政措置を講じることにより、その着実なかつ効果的な実施を支援する制度である。県では、この制度を活用して、平成8年度には県立美術館の整備のほか、全国豊かな海づくり大会を支援するための道路整備、栗駒国定公園を中心とした宮城県、秋田県との3県共同プロジェクトによる道路整備、河川改修などの基盤整備を進めるとともに、宮古市のマリーナや陸前高田市のオートキャンプ場の整備などにより沿岸地域の振興を図るなど、お話しのとおり14の事業について制度導入をしてきたところである。このように、県の主体的な判断のもとに実施する地域の特性を生かした地域づくりの事業に対して、元利償還金に交付税算入があるとこういう優良な起債が導入できるものであるので、県としては、これまでの活用ももちろんであるけれども、今後とも引き続きこの制度を最大限活用して、活力ある地域社会の形成に努めてまいる考えである。

〇千葉副委員長 小原宣良委員の質疑中であるが、この際、10分間程度休憩をする。
   午後3時4分 休 憩
   午後3時24分 再 開

〇長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開く。

〇小原委員 次に、自然環境保護、保全についてお伺いする。
 まずもって、宮古市における県道改修工事の際、国が希少種と認め、宮古市が自然天然記念物に指定しているチョウセンアカシジミの食樹であるトネリコ約200本を、無断で伐採した件についてである。
 この件は、本会議一般質問でも菊池雄光議員が知事に伺ったところであるが、私からも触れさせていただく。
 私は、チョウセンアカシジミの保護について、平成5年11月の県政調査会課題研究で発表の機会をいただいたことがある。私は、研究発表に先立って、宮古市教育委員会教育長、次長、文化財担当の方、そして同席されたチョウセンアカシジミの会の尾形洋一さんにお話を聞いてきた。その席で、本県南限の貴重なチョウの保護観察活動を学校教育の中に取り入れるため、教育長は、尾形さんに協力してほしいという話であった。宮古市教育委員会では、毎年チョウセンアカシジミ観察会を継続して実施しているようである。私はその際に、田野畑村立沼袋小学校の活動記録をいただくことができた。その一部を改めて紹介したいと思う。
 5月6日、保護活動に衝撃的な災害が発生した。強い晩霜である。三、四センチに芽吹いた芽がキラキラ光る霜に覆われていた。日が上るにつれ霜は消えていったが、芽に緑を回復することはなかった。さらに、7日、8日と追い打ちをかけるように晩霜が襲った。1週間もすると、校区区域の広葉樹は緑を失ってしまった。子供たちが観察しよう、保護活動をしようと意気込んでいた矢先の一大痛恨事であった。ところが、昨年移植したトネリコに8頭もの幼虫を見出し、子供たちの喜びようといったら大変なものだった。早速生徒が、自分が植えたトネリコに生き延びていないか調査した。その結果、決定的とも言える晩霜にもかかわらず、4本のトネリコから12頭の幼虫を発見した。恐らく、幼虫は萌芽のおくれた芽に入り、霜害を免れたものに違いない。子供たちはそのことから、厳しい自然の中で生き続ける生命のたくましさ、神秘さを感得し、一層大事にかわいがっていかなければならないと思ったのである。そして、校区全域の幼虫探しをしようという活動になったのであるというものである。
 工事によって木が何本切られたかではなくて、その行為を通じて子供たちの心まで傷つけたとしたならば、事はまさに深刻のきわみと言わなければならない。このところ、県工事が自然への配慮、自然を通じた人々の思いに対する配慮に欠ける事例が発生していることは、自然に配慮した県の優良工事例も多くある中でまことに残念である。改めて、今後の対応策を含め、所管する副知事から見解を承りたいと存ずる。

〇吉永副知事 このたびの主要地方道宮古岩泉線での道路改良工事において、移植すべきトネリコの木を確認できなかったため、トネリコの木を手続を経ないで無断で伐採したことは、人と自然の望ましい共生を図ることに最大限の努力を傾注してきたこれまでの取り組みを考えるとき、まことに遺憾であり、委員が御紹介になったような方々も含め、多くの保護活動に携われた方々や関係する機関並びに県民に対して、深く陳謝するものである。県では、いわゆる奥産道の自然破壊問題の反省から、土地利用手続のためのチェックリストの作成等さまざまな取り組みを行い、係る事態の再発防止を図ることとしてきたところであるにもかかわらず、再度、このような問題を引き起こしたことは極めて重大なことと考えておる。中でも、昨年度市との協議を行い、必要な木の移植を実施して環境の保全を図っておりながら、今年度も同様な協議を行わなかったことは、今もって残念でならない。現在は、係る事態を招いた事実経緯を改めて検証して、全容を解明することに力を注いでいるところである。さらに、このような貴重な野生生物の種の保存については早急に措置することとし、関係機関の専門家の意見等を踏まえ、生息に適した幼木の移植等を行いながら、生育環境の保全に万全を期していきたいと考えている所存である。

〇小原委員 関連して、自然環境保全指針の策定状況についてお伺いする。
 この事業は、3県総の中で県単独事業として位置づけられ、早期策定が期待されているものである。既に大方の調査は終わっているものと存ずるが、先ほどお伺いしたチョウセンアカシジミのように、それぞれ県内地域で身近にある自然がどのようなレベルのものか、保全する価値についての認識を持つためにも、この指針は大きな役割を果たすものである。県は、3県総後期実施計画の策定に当たり、その視点の一つとして、人と自然との望ましい共生の実現を掲げ、自然は人間活動と良好な生活環境を支える重要な要素として、現在の世代と未来の世代が共有するかけがえのない財産であり、また、人類共通の生存基盤である地球環境の一部を構成するものであるとしておる。この保全指針は、こうした県総合発展計画の基本理念を実現させていく役割を持つものと思う。このため、県に対しては国定公園の適正管理など国土保全の要望、市町村に対してはこの指針に基づく保護、保全への共同した取り組みの要請があり、特にも、県民や事業者の皆さんには開発事業などの実施に当たって、構想の段階から自発的に自然環境への配慮をいただくことを強く期待する性格を持つものと考える。こうした観点から、先ほどのチョウセンアカシジミの食樹であるデワノトネリコ無断伐採の件を考えると、第一義的責任者は工事施行者である県であることは当然であるが、普段から関係者がお互いに話し合える環境づくりにも、この指針は有効に活用されるものと私は痛感した次第である。
 そこで、県が策定中の自然環境保全指針の策定状況はどうなっているか、これまでの経緯と今後の見通しについてお伺いする。
 なお、計画段階を含め、こうした自然環境保全指針を有している都道府県の状況もあわせてお知らせ願う。

〇千葉副知事 自然環境保全指針策定の経過と今後の見通しについてであるけれども、この事業は平成8年度から平成10年度までの3カ年事業として実施しているものである。指針の策定に当たっては、学識経験者で構成する岩手県自然環境保全指針策定検討会議を設置いたし、その検討結果を踏まえ、初年度の平成8年度は、身近な自然について市町村から1、682カ所を選出していただき、類型別に整理をしたところである。今年度は、すぐれた自然について対象地区を選定の上、動植物の生息状況等、いろいろな構成要素を調査、分析して総合的な評価をする予定である。また、最終年度である来年度は、身近な自然の保全に当たっての留意事項や、すぐれた自然のランク別の保全目標等を指針としてまとめていく予定になっておる。また、他の都道府県の指針策定状況であるけれども、現在、北海道を初め17都道県が策定済みであり、群馬県と沖縄県が現在策定中であると承知しているところである。

〇小原委員 私が平成5年の研究発表した際には2道県しかなかった。今17都道県ということであるから、そういう意味では大変進んでいると思う。先ほどの経緯、実例等も含めてこの指針は有効に作用するものだと思うから、ぜひひとつ、早目の策定について御努力をいただきたいと思う。
 次に、障害者の自立支援についてお伺いする。
 日本における障害者は、約490万人と推定されておる。平成5年に心身障害者対策基本法が改正され障害者基本法となったが、その大きな特徴は精神障害者も対象としたこと、障害者の自立と社会、経済、文化等、あらゆる分野の活動への参加の促進を明確に位置づけたこと、国に障害者基本計画策定が義務づけられたこと、また、各自治体には、努力義務ながらも同様の計画策定が示されたことなどがあったかと思う。さらに国においては、平成7年に数値目標の入った内容で障害者プラン、ノーマライゼーション7カ年計画が策定されたところである。県においては、新岩手県障害者福祉行動計画に基づき施策が実施に移されておるが、市町村の障害者基本計画の策定がおくれているようであり、実施に当たり、県と市町村との連携に支障のないよう適切な指導が必要と思われるが、いかがであろうか。
 なお、この計画の性格づけであるが、県と市町村の役割分担が明確に区分されているものか、高齢者保健福祉計画のような性格を県計画は持っているものかどうかお伺いをする。

〇千葉副知事 新岩手県障害者福祉行動計画における県と市町村との連携であるけれども、平成4年11月に策定いたした新岩手県障害者福祉行動計画の計画事業数261のうち、平成8年度時点で253事業に着手しており、事業着手率は96.9%と、計画はおおむね順調に推進されていると考えているところである。実施している事業の中には、ホームヘルプサービスやデイサービスの在宅福祉事業など、市町村が実施主体となっている事業も数多く含まれているものである。県としては、市町村と密接な連携をとりながら、障害者が地域でともに生活できるよう、引き続き市町村を指導してまいりたいと考えているところである。
 それから、障害者計画の性格であるけれども、市町村は障害者計画の策定に当たって、国あるいは県の障害者計画を基本とすることとされておる。県では、平成7年11月に市町村障害者計画策定実施要領を示して、県と市町村との役割を明確にしながら、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、障害者のための施策に関する基本的な計画を策定するよう市町村を指導しているところである。また、障害者基本法においては高齢者保健福祉計画と同様、県の障害者計画においては、本県における障害者のための施策に関する基本的な計画と位置づけられているところである。県としては、今後とも新岩手県障害者福祉行動計画に基づき、市町村とも連携しながら、各分野にわたる障害者施策の一層の推進に努めてまいりたいと考えておるところである。

〇小原委員 この計画は、数値目標を入れて数値で定めるようにと、こういうことである。そうした場合、県の計画にはもちろん数値目標があると思うが、それぞれ市町村の計画、数値目標、それぞれあると。これは県全体としてもそうしたものを踏まえてということになるであろうが、市町村の段階でまだ計画がつくられていないという自治体もあるわけであり、その辺の整合性が今後強く求められるのではないかと思うから、ここではぜひひとつ市町村を指導して、県計画とそごのないように十分な対応をおとりいただきたいと思う。
 次に、知的障害者の授産施設の整備についてである。
 ことし6月に、北上市であけぼの作業所が開設をいたした。障害者のお母さん方や地域の皆さんの努力によるものである。地域でお世話をいただいている方が、名前にちなんで横綱曙に手紙を書き、知的障害者を励ましてほしいと頼んだところ、早速、横綱曙から手型の色紙が届き大変喜んでおった。当施設の開設に対しては県の支援があるとのことであるが、この点については感謝を申し上げる。今後とも、こうした施設設置を求めている関係者に対しては心温まる御支援を願うものである。ついては、平成8年度の実績と今後の対応についてお伺いをする。

〇千葉副知事 知的障害者の福祉作業所は、地域で生活する知的障害者の働く場、活動の場として重要な役割を果たしているところである。平成8年度において、県内27カ所の福祉作業所が開設され約350人の方々が利用しているところである。平成8年度においては、従来の利用人員5人以上の福祉作業所に加え、重い障害を持つ方々のために、新たに県単で重度心身障害者2名から3名の少人数からなる福祉作業所を開設できるよう制度の拡充を図ったところであり、久慈市、東和町で開設しているところである。平成9年度においても、既にあけぼの福祉作業所を含めて、従来型の福祉作業所2カ所と重度心身障害者型の福祉作業所7カ所が新たに設置され、市町村と県の補助により運営されているところである。県としては、今後とも地域で生活する知的障害者の自立と社会参加を促進するため、福祉作業所の設置促進を図っていく考えである。また、措置費等の対象となる定員20名以上の法定授産施設については、現在、8施設1分場が整備されているところであるけれども、条件の整った福祉作業所についてはこれら法定施設への移行を図る考えであり、今後とも、市町村との連携を図りながら施設整備の促進に努めてまいりたいと考えておる。

〇小原委員 よろしくお願いをする。
 次に、中山間地域における生活環境施設の整備状況についてお伺いする。
 中山間地域は、水資源の涵養や国土・環境保全機能を一層発揮し、また、生活環境水準を向上させることなどの関係施策の充実が求められておる。特にも、中山間地域における生活環境施設の整備は、その地域に生活する皆さんにとっては引き続き定住していくために、さらには良好な住環境を求めてUターンなりIターンを誘導するためにも、極めて重要な施策である。
 その中にあって、生活関連道路の整備とともに、生活雑排水やし尿処理施設を整備することが強く求められておる。これらに対応する施策としては、公共下水道事業、農業集落排水事業等があるが、小規模な集落が点在する中山間地域市町村にあっては、公共下水道事業等の集合処理施設に係る採択要件に不足のある地域、あるいは投資効率等から、優先順位の低位にある地域が多く存在していることが現状であると思う。そこで、中山間地域の地理、地形的条件等から見て、生活排水の処理対策としては、個別に設置する合併処理浄化槽の整備も有効な手段と考えるのであるが、現状の中山間地域における生活排水処理施設の整備をどう図ってこられたのか、今後の見通しを含めお知らせをいただきたいと思う。

〇吉永副知事 汚水処理施設の整備については、これまで市町村の整備計画に基づき、県内全域を対象といたした全県域汚水適正処理構想を平成6年度にまとめ、これにより整備を進めてきたところである。整備手法としては、市街地やその周辺地域が公共下水道事業で、農山漁村集落は農業・漁業集落排水事業で、また、委員が御指摘のとおり、住居が散在しておる地域については合併処理浄化槽等によって整備を進めているところである。平成9年度現在では、公共下水道事業が43市町村で、農業集落排水事業が27市町村75カ所で、漁業集落排水事業が8市町村13カ所及び合併浄化槽が57市町村で事業を進めており、その整備率は平成8年度末で公共下水道が26.4%、農業・漁業集落排水が2.2%、合併処理浄化槽が7.3%、コミュニティープラントが1.1%の合計37%ということになっておる。このうち、中山間地域では44市町村すべての市町村で事業を進めておるが、その整備率は平成8年度末で13.6%であり、県平均全体の37%と比べても大きな格差を生じているところである。全県域汚水適正処理構想では、公共下水道事業が処理人口の66%、農業集落排水事業が22.4%、漁業集落排水事業が2.3%、合併処理浄化槽が9%、コミュニティープラントが0.3%を受け持つこととしておるが、今後とも関係部や市町村と一層連携を密にしながら、地域の実情に応じた効率的な整備促進に努めてまいりたいと考えている所存である。

〇小原委員 次に、本県森林の整備状況についてお伺いする。
 本県は、北海道に次ぐ森林県として豊富な森林資源を有しておる。木材価格の低迷により、極めて厳しい経営を余儀なくされている現状にはあるが、海外における森林を取り巻く環境等から、やがて国産材、県産材利活用の時代が到来するものと確信をする。
 さて、こうした中で、県においては一般造林事業、県有林造林事業、林業公社造林事業の実施により計画的な人工造林が図られるとともに、森林を病害、虫獣害等の各種被害から守るための諸施策が展開されてまいった。適正時期の除間伐を含め、本県森林整備の状況と今後の対応策についてお伺いをする。

〇吉永副知事 本県の森林は全国よりおくれてその造成が始まったことから、今がまさに間伐のピークを迎えており、これら森林の整備に当たっては、間伐の実施が人工林の生育上はもとより、病害虫や気象災害に強い健全な森林を造成し、国土保全や水資源の確保を図るためにも欠くことのできない極めて重要なことだと考えておる。これまでの間伐の実績は、全国平均はもとより東北5県の平均を下回っており、間伐材の利用率も54%と低い状況にある。間伐を一層推進するために、平成9年度からは国庫補助事業に加えて、県単独事業を創設するなど取り組みを強化しているところであるが、さらには平成10年度、国においては、間伐関係予算を最重点事項として位置づけ概算要求がなされており、本県の来年度政府予算要望においても最重点事項として新しい間伐制度が創設されるよう働きかけてきているところである。今後とも、新しい国の事業も導入しながら、現在の東北5県平均の間伐実施率に到達することを当面の目標として、間伐の推進に万全を期してまいりたいと考えておる。間伐を総合的、計画的に推進するためには、間伐材の利用促進を図って森林所有者の森林整備意欲を喚起することが何よりも重要である。このため、平成8年度からは間伐材の供給サイドと利用サイドの連携強化を図るため、県産中小径材利用推進ネットワークを県段階、地方振興局段階にそれぞれ設置し、公共工事への間伐材等中小径材の利用促進に努めてきたところであるが、中でも平成9年度においては、土木部における河川工事の土木沈床工や県道等のデリネーター、スノーポールの利用拡大、また、林業水産部では、県有林内に開設する作業道に間伐材による丸太組み工法を積極的に導入するほか、森林土木事業においては間伐材等木材の活用指針を定め、過日、市町村、関係林業団体に通知するとともに、県内に間伐材利用モデル施工地の設定を進め、その普及啓発に努めているところである。

〇小原委員 次に、営林署の統廃合問題について伺う。
 国有林事業が抱える多額の債務に加え、低迷する林業を取り巻く環境などから、営林署の統廃合が計画されていることは、林業県岩手にとってまことにゆゆしき事態と言わなければならない。県においては、こうした国の動向をどうとらえ、また、本県でこれ以上の営林署の統廃合が生じないよう、どう国に要望しているのかお知らせをいただく。

〇吉永副知事 御案内のとおり、国有林野事業は昭和50年以降経営が悪化しており、昭和53年から4回にわたる経営改善計画が策定され、営林署の統廃合あるいは改組が行われてきたところである。特に、平成3年に立てられた改善計画では、平成3年度当時、当初316署あった営林署の3分の1程度を平成12年度までに統合するとし、これまで本県の2営林署を含めて全国で52署の統合、改組が行われたところである。平成9年度には、さらに35署の統合、改組が行われることになっておるが、今のところ具体的な本県の13の営林署の統合、改組数は明らかにされていないところである。広大な森林を有する本県においては、山村地域の振興を図る上で国有林が重要な役割を果たしていることから、北海道・東北知事会等を通して、これまで国有林が果たしてきた役割がいささかも低下しないよう、国に対して訴えてきているところである。国の動向については、例えば平成10年度の予算の概算要求に当たって、林野庁は国有林野事業改革の基本的方針というのを定めているわけであるが、この中においては、264ある全国の営林署を98の流域単位まで減らすと、それから1万5、000人の要員を平成15年度末までに3分の1程度にすると、こうした改革を平成11年の1月から実施するといったようなことを決めているところがある。県としては、先ほど申し上げたとおり、国有林の果たしてきている役割が低下しないように訴えつつ、こうした国の動向については一層情報収集に努めてまいりたいと考えている次第である。

〇小原委員 ぜひ御努力をいただきたいと、こう思う。
 次に、林野行政に関連して、林野庁が県内21カ所の国有林に猛毒物質ダイオキシンを含む2、4、5-T系除草剤を埋設処分した問題についてお伺いする。
 幸い県は、我が党を含め、各団体からの現地調査と対応の申し入れに対し11月20日、青森営林局に処分地のダイオキシン調査と除草剤の除去を含めた恒久対策を求めたことを高く評価する。願わくは、もっと早期の対応があったならばとの思いはあるが、問題は、これからの対応に全力を挙げることである。事は県民の健康にかかわる問題であるからである。
 私の地元北上市においては、北上川と和賀川から飲料水を取水しておる。雫石営林署管内埋設地、湯田営林署管内埋設地、いずれをとっても北上市民の健康にかかわってまいる。報道によると、県が既に行った口頭による申し入れと今回の文書による安全確保にかかわる要請を、実質的に受け入れない対応をしたと報じておる。このまま引き下がることは許されない。なぜなら、ダイオキシンはサリンの10倍、青酸カリの1万倍の猛毒を持つ物質であると言われており、しかも人間の体内に入るルートは食物連鎖によるものが多く、遺伝子に影響を与えるとの説もある。このような県民の不安を取り除くことは、直接原因者たる国の責任であることは明確であるが、県もまた、国にその責任を迫る意味においても何らかの対策を検討すべきと考えるが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 国有林野内のダイオキシンの埋設の問題であるけれども、11月20日に青森営林局に対して、当面、県内の埋設処分地周辺の土壌と河川水についてダイオキシンを調査すること、そしてまた、恒久的な対策についても検討願いたいという、この2点について青森営林局長に対して文書で要請をしたところである。青森営林局からは、残念ながら即答は得られなかったところである。現在の処分方法あるいは管理方法が最善だという営林局側の基本的なスタンスは従来と同じと、こうしながらも、住民の不安解消のための水質等の調査の必要性については一定の理解をいただいたところである。また、県の要請や住民の不安を考慮に入れれば、今後、県と協議を行いながら対応したいということであった。したがって、県としては営林局からしかるべき時期に、何らかの意思表示があるものと受けとめているところである。
 この問題については、もともと営林局が対処すべきであるという基本的な考え方に立っているわけであるけれども、引き続き県としても積極的に営林局と協議を進め、水質土壌の調査を行うなどの措置が講じられるよう努めてまいりたいと考えておるところである。

〇小原委員 その努力は本当に多とするけれども、県として、一つは、青森営林局に対して再度の申し入れということを具体的な形で行う考えはないかどうか。同時にまた、県としてこの県民の不安を取り除くための具体的な行動あるいは対策、こういうものについてどのように今後検討なさるお考えなのか、副知事、御見解を承りたいと思う。

〇千葉副知事 青森営林局に対して再度の要請ということであるけれども、11月20日に文書でもって要請したばかりである。先ほど申し上げたとおり、しかるべき時期に営林局の方から何らかの意思表示があるものと考えているところであるので、しばらくその関係については情勢を見たいと考えておる。
 それから県としての対策と、こういうことであるけれども、基本的には先ほど申し上げたとおり、これは青森営林局が基本的に措置すべきものとの考え方に立っておるわけである。いろいろこういう財政状況であるので、営林局サイドでも、みずからの財源措置でもってすべからく調査が可能かどうかということ等いろいろな問題もあるわけであるので、それらも含めて県がどの範囲まで対応するかどうかということについて、今後営林局等とこれは協議をしていかなければならないと考えている。その結果を見ながら、動くべきそういう措置を考えていきたいと思う。

〇小原委員 わかった。なお、ぜひ積極的な対応を望んでおきたいと思う。
 次に、ひとにやさしいまちづくり条例についてお伺いする。
 県は、すべての人に優しい岩手を目指して、平成8年4月にこの条例を施行し、建築物等の改築費用への補助事業や第1回ひとにやさしいまちづくり賞などの事業を展開してきたところである。ついては、この事業の成果をどのように受けとめ、今後の施策に反映しようとしているかお伺いをする。また、この条例は、公共的施設とあるように、主に民間事業を対象としているものと思われるが、例えば、県、市町村が進める事業にあっても、当然、これらの整備基準をクリアすべきものと受けとめてよろしいかお伺いをする。

〇千葉副知事 県民が安心して生活しひとしく社会参加することができる地域社会の形成を促進するためには、不特定多数の人が利用する施設における段差の解消や自動ドアの設置など、高齢者や障害者等の利便に配慮したまちづくりを進めることが必要であると考えておる。このため、県においては、平成8年4月よりひとにやさしいまちづくり条例を施行いたし、公共的施設の整備基準を定めるとともに、民間事業者が行う公共的施設の整備に係る資金の低利融資や、個人住宅の改造に要する経費の補助などを実施したところである。さらに、県内の優良施設の表彰やシンポジウムの開催などを通じてその普及、啓発に努めているところである。その結果、平成8年度において、条例に基づき新築等の届け出のあった民間の公共的施設の整備基準への適合率は、一部適合を含めて9割を超える水準に達しているところであり、条例の趣旨に対する理解が浸透してきているものと考えておる。今後とも、これらの施策の推進を通じて既存施設の改善も含めたひとにやさしいまちづくりの必要性について、一層の理解が得られるよう努めてまいりたいと考えておる。
 なお、県、市町村の公共的施設も当然条例の適用対象となっているところであり、県立の施設においては新規整備はもちろんのこと、既存の県立施設についても通路、出入り口の段差解消や洋式便座の設置等を計画的に進めており、本年度においては62施設について改善を図ることとしているところである。また、市町村の施設等についても、条例に定める基準に従って整備、改善を図るよう指導しているところである。

〇小原委員 次に、農業問題についてお伺いをする。
 本県農業の振興については、地域の多彩な農業資源を高度に活用し、高収益作物の導入拡大による作物再編、さらには体質の強い農業の確立を目指し、鋭意、御努力をいただいているところである。こうした中にあって、農業技術の開発と高度情報化の促進を図ることは、地域の立地条件に適した独自品種の開発など、本県の持つ気象、土地条件を十分生かす上でも、今後大きく期待される分野である。昨年度は、平成9年度の開所に向けて農業研究センターの整備が行われたのであるが、開所したばかりであり今の時点で成果を期待することは無理かとは存ずるが、同センターの成果と今後の事業実施に向けた考え方をお伺いする。農業者が直接、同施設を利用し、生産意欲を高めていくことも大変重要かと存ずるが、現状はどうなっているであろうか、あわせてお伺いをする。
 次に、米の生産調整と新たな米政策の展開についてである。
 米の生産調整のあり方については東和町の問題提起などもあり、大きな議論となってきたところである。県においても、誠意を持って対応されたことは高く評価するものである。これもまた、農業県岩手として避けて通れない道であるから、関係者の英知を結集して、岩手型農業確立に向かって一層努力すべきものと思う。この間の減反のあり方について、東和町初め各団体との話し合いの経過とそれをどう受けとめてきたのか、お知らせいただきたいと思う。

〇吉永副知事 まず、本年4月に開所いたした農業研究センターについてお答えする。
 農業研究センターでは、新たな試験研究ニーズや地域課題に的確に対応するために、センターの発足に合わせて、今後の農業試験研究の推進指針として第7次農業試験研究推進構想を策定し、時代を先取りした試験研究を総合的かつ体系的に取り組むこととしておる。その主なものとしては、バイオテクノロジー等の先端技術を活用した優良ないわてオリジナル品種や種畜の開発、省力・低コスト技術の開発、三つ目として環境に優しい生産技術の開発などである。本年度の研究成果については、水稲では大区画圃場整備に対応する省力除草技術あるいは花卉の重点品目であるスターチスの優良品種の選抜と増殖法、第3に本県の豊かな草資源を活用した黒毛和種の低コスト化技術等である。これらの成果については、地域農業改良普及センター等、指導機関や新たに整備している試験研究情報ネットワークを通じて、迅速かつ適切に成果の普及を図ってまいることとしておる。また、農業者が当センターの研究施設を栽培研修などに直接利用した人数はこれまで4、300人余りであり、一般県民の視察を加えると1万1、000人を超えている次第である。
 なお、研究員が現地に出向いて試験研究への要望や提言をいただく現地ふれあい農業研究センターの内容をより充実させて県内各地で開催するなど、農業者等との密接な連携にも積極的に取り組んでいるところである。
 今後とも、県民に開かれた試験研究機関としてその期待にこたえていきたいと考えている次第である。
 続けて、米の生産調整と新たな米政策の展開についてである。
 東和町を初め、各団体との話し合いの経緯とそれをどう受けとめてきたかということであるが、去る3月、東和町長は自主減反方式を提言したところであるが、大幅な米余りの中で、米価の安定を図るためには、生産調整は委員御指摘のとおり避けて通れないものであるので、従前どおり対応していただくよう要請したところである。その後、4月の知事との会談において、このことについて御理解をいただいたと存じておる。この知事との会談を踏まえて、本県が我が国の総合食糧供給基地としての地位を一層強固なものにするため、市長会、町村会、農協中央会の意見を取りまとめ、国に対し農業施策の充実強化について要望を行ったところである。国は、先般、米政策大綱を公表いたし、稲作経営安定対策等の新たな対策を講ずることとしたところであり、本県の要望も取り入れられたものと存じている次第である。また、東和町における本年度の生産調整事務にかかわる諸手続については適切に行われているところであり、来年度以降においても従来どおり実施していただけるものと考えている次第である。

〇小原委員 特に、減反問題にかかわっては、東和町あるいは東和町長と言った方がいいであろうか、東和町長との話し合い、これがこの問題をある意味では代表したような形で知事との話し合いということが持たれたと思う。そういう意味で、その話し合いは決してむだではなかったであろうし、今お話しあったように、国への要望提言の中に生かされているという部分はしっかりと受けとめながら、今後の本県の農業確立にぜひとも向かっていただきたいと思う次第である。
 次に、これからの米政策についてであるけれども、大豆、麦、飼料作物の生産振興対策、これも重要である。これらは、いずれも国の政策にかかわることではあるけれども、これらの点について、先ほどの話し合いも含めながら県は国の動向をどのように把握をし、また、本県の実情を踏まえて国に対しどのような要望、意見を述べてきたのか、この際改めてお伺いをし、私の質問を終わる。

〇吉永副知事 今日の米をめぐる情勢は、連年の豊作や米消費の減退などにより需給が大幅に緩和しており、自主流通米価格の低落が続いておる。また、生産調整についても、面積的な限界感あるいは不公平感といったものが顕在化しておる。このため、県といたしては、稲作経営の安定と生産調整実施者のメリット対策、麦、大豆等の土地利用型作物の振興対策、飼料用としての売却や新規用途開発における持ち越し在庫の縮減、ミニマム・アクセス輸入米についての加工用や海外援助に仕向けること等について国に対して要望を行ってきたところである。今般、国は現下のこういった米問題に対処するために新たな米政策大綱を策定し、生産調整対策、稲作経営安定対策等を基軸とした総合的な対策を講じることといたしたところであるが、これらにはこうした私どもの県の要望も取り入れられたものと考えている次第である。

〇千葉(伝)委員 県民クラブの千葉伝である。
 会派を代表し、平成8年度決算に関し総括的に順次質問を行う。
 なお、質問に際しては、既に一般質問あるいは先輩各委員から広範にわたる質疑があり重複する点もあろうかと思うが、また、各委員、執行部とも大分お疲れのようであるが、元気のある答弁をよろしくお願いする。
 まず、平成8年度の県税決算の状況についてお伺いする。
 平成8年度の県税決算について、歳入歳出決算事項別明細書によると、収入済額は1、241億6、115万円余と補正後の予算額を1億6、306万円余上回る結果となっており、予算額を確保されたことに対し敬意を表するものである。
 そこでお伺いするが、まず平成8年度の調定額に対する収入済額の割合について、前年度あるいは他県と比較した場合どのようになっているのであろうか。また、収入未済額は11億7、290万円余となっておるが、前年度と比較した場合、どのような状況になっているのであろうか。県税は、自主財源比率が低位にある本県にとって貴重な財源である。自主財源確保の観点から、収入未済額に対する今後の対応についてもこの際あわせてお伺いする。

〇大隅総務部長 本県の平成8年度の調定額に対する収入済額の割合であるが99.00%であり、前年度と比較して0.15ポイント下回る結果となったが、平成3年度以降続いている99%台の収入率は確保しているところである。また、他県と比較した場合については、全国の平均収入率は95.34%、東北6県では98.20%となっており、全国との比較では3.66ポイント上回っておるし、東北6県では0.8ポイント上回っているところである。収入未済額は11億7、290万円余で、前年度と比較して2億832万円余の増となっておる。収入未済額が増加した主な理由は、営業不振あるいは資金繰りの困難等による大口滞納が増加したことによるものである。
 今後の対応についてであるけれども、この収入未済額11億7、290万円余のうち、その61.3%を占めている個人県民税については、市町村において市町村民税とあわせて賦課徴収しておるものなので、市町村と一層の連絡協調を図るとともに、滞納整備の方策等について指導助言を行いながら、収入の確保に努めているところである。また、個人県民税以外の税については常に情報の収集に努め、財産の差し押さえあるいは交付要求等、納税者個々の実態に即した措置を講じて収入の確保に努めてまいりたいと、このように考えておる。

〇千葉(伝)委員 限られた財源であり、その確保そしてまたその配分という面で、今後とも健全な財政運営に努めていただきたいと思う。
 次に、平庭高原地域の整備についてお伺いする。
 県においては、緑あふれる快適な県土を整備するため、地域を担う人づくりを推進することとあわせ、広大な県土の中で地域の特色、すなわち地域固有の地理的、歴史的条件や資源を生かした個性豊かな地域づくりに向け、いろいろな事業を展開し地域振興を図られておることは、地理的条件の悪い地域を中心に今後ますます要請が高まるものと思い、その推進に大きな期待を持つものである。このような中、平成8年度から個性豊かな地域づくりの一環として、平庭高原地域の整備が地域住民参加によって進められており、エコパーク平庭高原として構想が策定されていると伺っておる。この事業は、豊富な自然資源として日本一の白樺樹林を有する平庭高原地域において、県土の均衡ある発展を図る観点から、財政力が弱く、いろいろの条件が不利な地域において地元町村が広域連携を前提として、県と共同で事業を進めるというモデル的な事業であり、従来の取り組みと異なる先導的な事業であると認識するものであり、地元においても大いに期待されておる。
 そこでお伺いするが、平成8年度に策定した基本構想の内容を含め、今年度のこれまでの取り組みの状況、さらには今後どのように取り組んでいかれるのかお聞かせ願う。

〇武居企画振興部長 エコパーク平庭高原の整備についてである。
 平庭地域については、委員御指摘のように大変恵まれた自然環境を有していることから、平成8年度については農山村の生活、自然、文化を生かしたエコミュージアムの視点を取り入れて、見る、学ぶ、遊ぶ、泊まるといった機能を重視した体験・感動型のゾーン、こういったものを整備を図るということで、エコパーク平庭高原の基本構想を策定したところである。平成9年度については、主要施設の整備計画や管理運営体制を柱とする基本計画の策定に向けて、地元関係者や県内外の有識者からの意見を反映させながら、県及び関係町村一体となって鋭意取り組んでいるところである。平成10年度については、基本計画に沿って町村事業を支援しながら、今後の事業展開に必要な諸手続に着手したいと考えておる。
 なお、このたび国土庁で実施予定の中山間地域での新しい多自然居住地域を実現させるためのモデル圏域調査事業、こういった事業の全国3カ所の一つとして指定されたところであり、この調査結果を十分反映させながら、実りのある事業内容となるよう仕上げてまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 全国の中でも3カ所に指定されるというようなことで、これは地元でも大変期待しておる事業である。今後とも、より積極的な推進をお願いするものである。
 次に、東北新幹線盛岡以北の整備に係るアクセス道路の整備についてお伺いする。
 このことについては、私も本年9月定例会一般質問をしており、今定例会においても工藤篤委員から一般質問をされておる。やや違った観点からお伺いするものである。
 東北新幹線盛岡以北の整備については、盛岡-八戸間が平成3年度からフル規格により工事着手され、現在、延長が約25キロメートルもある長大な岩手一戸トンネルを初め数多くのトンネルが施工中であり、平成13年の開業を目指し、鋭意、その整備が進められておる。この新幹線のもたらす効果については、最近開業した秋田新幹線の例でもわかるように、地域の産業、経済の発展に及ぼす波及効果は極めて大きいものがある。県内では、盛岡以北で停車駅が設置されるのは二戸駅と沼宮内駅だけであることから、この二つの駅にいかに早く、また、いかに広いエリアから到達できるかが地域振興を図る上での大きなポイントになると思う。このうち、二戸駅へのアクセス道路については、県は、新幹線関連道路整備事業を創設して平成6年度から積極的な整備に取り組まれておるが、沼宮内駅へのアクセスはどのようにお考えなのであろうか。特に、主要なアクセス道路となる国道4号及び国道281号などの整備の現状と今後の見通しについてお伺いする。

〇吉永副知事 新幹線沼宮内駅への広域的なアクセス道路としては、御指摘のように国道4号及び国道281号等が挙げられるが、このうち岩手町内の国道4号については既に沼宮内バイパスが整備済みであり、現況の交通量には十分対応できると認識しているところである。国においては、新幹線開業後の交通量の推移や周辺地域の開発動向を勘案し、今後は全体の道路整備計画の中で検討されるものと考えておる。
 次に、国道281号は、久慈方面からの主要なアクセス道路となるもので、県では本路線の重要性にかんがみ、新交流ネットワーク道路整備事業の久慈ルートと位置づけ、隘路区間を中心に重点的な整備に取り組んでいるところである。このうち、岩手町の大坊峠は道路勾配が急で特に冬期交通の隘路となっていることから、平成3年度から約5.3キロメートルの登坂車線の整備に取り組んでおり、これまで約3.2キロメートルの整備が完了し、平成11年度には全区間が完成する予定である。葛巻町においては、繋地内が人家連担部で幅員狭小であることから、平成5年度に延長1.4キロメートルのバイパス工事に着手し整備を進めており、今年度までには約1キロメートルが供用する予定で、平成10年度に全区間の完成を予定しているところである。また、西根町からのアクセス道路となる一般県道岩手西根線は、現在、事業中の西根バイパスの整備に合わせて、西根町大更地内にある竹花踏切の立体交差化に取り組んでいるところである。公共事業を取り巻く環境には非常に厳しいものがあるが、新幹線開業には間に合うよう、鋭意、努力してまいりたいと考えている所存である。

〇千葉(伝)委員 国道4号については沼宮内バイパスが整備されているということであるが、駅前からまたバイパスに続く道路等まだまだ必要かと思う。いずれ、新幹線開業に向けて早期な整備の促進をお願いしたいということである。
 次に、中山間地域の地域づくり活動への支援策についてお伺いする。
 改めて中山間地域を見渡してみるまでもなく、この地域は豊かな資源に恵まれておる。例えば、気候、風土、山、川、海などを初め多くの土地と自然、さらには美しい景観や歴史、伝統芸能、食べ物、文化など、挙げれば数え切れないくらいさまざまな資源を豊富に有しておる。県内には、こうした資源を有効に活用しながら、地域の活性化に結びつけている事例も見受けられるが、中山間地域の多くの資源はいまだ十分に活用されていないのではないであろうか。申すまでもなく、資源はそこにあるだけでは資源になり得ないものであり、人がそれを見出し人々に役立つものとして利用されなければただの物にすぎないのである。また、中山間地域の資源の一つ一つは価値の高いものが多いものの、それぞれ単品では力不足が否めない場合が多いので、これら資源を組み合わせた相乗効果を高める工夫も必要と考える。地域資源を効果的に活用し、生き生きとした地域づくりに取り組んでいる事例を見ると、そこには資源を見出す力、生かす力を持った有能な人材がおり、実践する地域住民のまとまりのよさがあることに注目すべきであると思う。しかしながら、中山間地域の多くは、こうした活動をリードするような人材や工夫が不足しているのが実情ではないかと思う。行政は、地域の資源を生かすヒントを与えることや専門家による指導、助言、人材の育成などに対する支援が必要と考えるが、県では、中山間地域ならではの特色ある資源を生かした地域づくり活動を促進するための支援をどのように行ってきたのか、また、今後どのように進めようとしているのかお伺いする。

〇吉永副知事 現在、県内各地で山菜などの漬物加工や青年グループによる産直センターの開設、女性グループによる農村レストランの運営、郷土食の宅配便、都市住民のふるさと体験の受け入れなど、先進的に実施している集団もある。これは委員がおっしゃった地域支援を活用した集団だと言えるかと思うわけである。県では、平成7年度からこうした集団をいきいき中山間賞として表彰して、他の地域への啓発、波及を図っていたところである。このような取り組みをさらに広く展開させていく必要があるわけであるが、委員が御指摘のとおり、地域によっては活動の中核となるリーダーがまだ十分に育っていないということがある。県は、こうした地域活性化に向けた取り組みを支援するために、中山間地域広域支援活動推進事業を平成8年度から実施してきたところである。この制度は、地域おこしマイスターとして花の栽培、育種や花のマーケティング、食品加工、まちづくりなどの県内外の専門家を登録して地域の要請に応じて派遣し、ノウハウを指導しながら活動の支援や人材の育成を行っているものである。現在、県では29名を登録いたして県内各地で助言、指導を行っているところである。
 今後においても、この事業の積極的な活用により、中山間地域の地域づくり活動が活発化されるよう、支援してまいりたいと考えている次第である。

〇千葉(伝)委員 ぜひよろしくお願いする。
 次に、野菜生産の振興策についてお伺いする。
 今年度の野菜生産は、春先の低温による生育のおくれが心配された時期もあったが、その後天候にも恵まれたことにより、作柄も良好で、販売もおおむね順調に推移していると伺っておる。先般、新聞紙上で野菜系統販売額が200億円を突破する見込みであると報道されておったが、まず最初に、平成8年度と平成9年度現在までの生産状況を比較した場合、どのような状況であるのかお伺いする。

〇吉永副知事 まず、8年度と9年度の比較であるが、8年度の野菜生産は、全国的に作柄が良く、出荷量が多かったわけであるが、御案内のとおり、夏場を中心に病原性大腸菌O-157による食中毒の発生の影響を受けて価格が低迷し、系統販売額は180億8000万円にとどまった。平成9年度は、関係機関、団体が一丸となってキャベツを牽引役とした新たな産地づくりの取り組みを開始したことなどにより、共販面積は、前年対比で106%となるものと見込まれておる。共販面積は、前年に比べて300ヘクタール増加しているところである。
 また、販売面においては、岩手町や一戸町を中心としたキャベツ、レタス、西根町や遠野市などのホウレンソウ、県央、県南の水田地帯におけるキュウリ、トマトなど、本県の主要、主力品目は総じて品質もよく、安定した継続出荷ができたこと、また、価格も高めに9年度は推移したので、10月末の系統販売額は前年対比で111%の約190億円となっている。なお、長芋や根ミツバなど、今後、冬期間に出荷される野菜類を含めると、委員御指摘のような200億円を超えるといったようなことが見込まれておるところである。

〇千葉(伝)委員 本年の生産あるいは販売額の伸びというものがあるが、その大きな要因として、私は、特にも本県野菜の牽引役と位置づけ、今年度からスタートしたキャベツの拡大については、面積も目標を達成し、価格の援護もあったろうと思うとともに、さらに来年度への期待が膨らんでいるわけである。しかしながら、米生産調整の強化や依然として続く労働力不足など農業を取り巻く現実は厳しく、慢性的な労働力不足の中でどのように農業生産を拡大していくかが今後の大きな課題である。
 そこで、次にお伺いしたのは、野菜生産の機械化についてである。ほかの作物に比較し、人手を多く要する野菜生産については労働力の制約が強く、とりわけキャベツを初め、大規模な面積で栽培される土地利用型の量の重い野菜については、収穫、運搬作業など重労働に耐えられる人での確保が必要であるが、それも年々困難になってきていると聞いておる。私は、今後、こうした野菜を中心に生産拡大を図る観点から、何としても機械化に推進していかなければならないものと考えておる。機械化のおくれている野菜生産においても、最近、各種作業機の開発、導入が進みつつあると聞いておるが、現在の野菜生産の機械化の進捗状況と本県における普及状況ならびに今後の見通しについてお聞かせ願う。

〇吉永副知事 野菜は種類が多く、作業も多様であることから、他の作目に比較して御指摘のとおり機械化がおくれているところである。ただ、国の試験研究機関等によるプロジェクト研究や農業機械メーカーといったところの積極的な取り組みによって、最近は新たな作業機の開発が急速に進展していると聞いているところである。最近、新たに実用化され、普及に移されている主な機種としては、キュウリやトマト等の育苗に活用する接ぎ木ロボットが経済連の園芸育苗センターに4台設置されておる。また、キャベツやレタス等の苗を植えつける全自動移植機が奥中山農協や新いわて農協などに60台普及しておる。また、ニンジン収穫機が普代村の農地開発地区に5台導入されておる。これらの作業機は、労働力不足の中で本県野菜の生産振興に大きな力を発揮しているところである。また、まもなく実用化が見込まれるといった機械はキャベツやゴボウの全自動収穫期などであり、特にキャベツについては、本県が全国の開発実証のモデル地区に選定されていることもあって、農林水産省等と協力して実証試験に取り組んでいるところである。
 御指摘のとおり、水田転作の強化や、あるいは労働力不足といったことが進む中で、野菜をさらに振興していくためには機械化による省力化がますます重要なものとなってまいるから、県としては、今後ともこうした機械の開発普及に積極的に取り組んでまいりたいと考えている次第である。

〇千葉(伝)委員 先ほど私も申し上げたけれども、野菜は価格の変動あるいは労働力の確保など、農家の不安が強いものである。価格保障制度や制度資金、補助事業の充実とあわせて、今、お答えいただいた機械化についてであるが、水田等でも機械導入がさまざま図られているわけであるけれども、どうしても償却費という問題が出てまいるので、そういった償却費の負担が大きくならないような助成措置についても御検討願いたいと思う。
 次に、肉用牛の振興対策に係る事業について、3点お伺いする。
 本県の畜産は、生産者、関係団体および県が一体となった取り組みにより全国有数の地位を確立しておる。しかしながら、最近の畜産を取り巻く状況は、農畜産物の輸入自由化による国際化時大への対応のみならず、国内での産地間競争の激化が見られる中、畜産農家においては従事者の減少や高齢化が進など、多くの課題を抱えておる。このような状況のでもとで本県が今後、国内外の産地間競争に勝ち抜くためには、生産農家の意欲を積極的に隆起し、将来の展望をもって取り組める生産体制の再構築、とりわけ生産現場では優良種雄の造成、確保が求められておることから、黒毛和種の育種、改良等生産技術の高度化を図ることが重要であると確信するものであり、このことにより、収益性の高い肉牛生産が可能になると思うわけである。
 そこで、お伺いする第1点は、黒毛和種の主産県としての地位を確固たるものにするため、平成6年度から8年度にかけて大家畜改良増殖施設として整備された農業研究センター畜産研究所種山畜産研究室における黒毛和種の改良増殖施設の運営状況についてお聞かせ願う。

〇吉永副知事 種山畜産研究室の黒毛和種改良増殖施設は、現在、優良種雄牛の造成のための産肉能力検定や凍結精液の製造、配布、種雄牛造成手法の確立試験に取り組んでいるところである。
 その具体的な内容を申し上げると、種雄牛候補として選抜した直接検定牛24頭、間接検定牛8セットについて産肉検定能力検定を実施しているほか、検定の結果、優良牛として選抜されたもの等について適正な管理を行なっているところである。
 また、凍結精液の供給も行なっておるが、平成8年度は前年度に比較して3.8倍に相当する3万1300本を供給しておって、県内シェアについても前年度5.5%に対して18.8%となっていることから、県産種雄牛の精液の需要が着実に伸びているところである。このなかで、第5夏藤は、これまで多くの精液を供給しておるが、この産子が今回第7回全国和牛能力共進会で内閣総理大臣賞に輝いたわけである。こういったことからところから、この系統の精液については大変需要が多く、供給が追いつかないといったような状況である。
 今後とも、この施設が黒毛和種の改良の拠点施設として、その機能が十分発揮されるよう適正な運営に努めてまいりたいと考えているところである。

〇千葉(伝)委員 種山の畜産研究室は、本県黒毛和種の改良増殖の拠点となると思う。特に、先ほどご答弁いただいた今年度開催された第7回全国和牛能力共進会における県産種雄牛第5夏藤を父とする繁殖雌群が種牛の部で最高の名誉賞を獲得し、今後も本県黒毛和種の振興に大いに寄与するものと期待するものである。さらに次代の改良基礎牛の確保生産に向け、当施設の運営について積極的な対応をお願い申し上げる。
 第2点目は、黒毛和種の放牧促進についてである。
 本県は、前沢牛を初めとする高級黒毛和種の供給地域として全国の耳目を集めるところとなっておるが、旧来の和牛素牛生産地域である県南部において繁殖牛の飼育頭に陰りが見られると聞いておる。また、本県が昭和40年代より積極的に推進してきた土地利用型畜産の中枢である公共牧場において、大家畜飼養頭数の減少から放牧利用率が低下し、経営計画を見直す事態が見聞きされる。一方、本県における最近の大家畜経営においては、担い手の高齢化や労働力不足、さらには都市化の進行や兼業化の進展などにより、稲わらや堆既肥といった地域有用資源の活用にも困難な状況となっておるが、このような事態は、本県が目指す食糧供給基地の確立発展に重要な支障を来すものと思うのである。
 これらの状況を改善するためには、他分野との有機的連携を図るとともに、我が県の豊富な草資源と土地条件を生かした本県独自の土地利用型畜産経営の確立を図り、公共牧場を活用した低コストで労働生産性の高い和牛繁殖経営を積極的に振興することが肝要であると思うのである。
 そこで、今後、県としては黒毛和種の放牧促進について、どのように進めようとしているのかお聞かせ願う。

〇吉永副知事 本県における黒毛和種繁殖雌牛の頭数は全国3位となっておるが、この頭数は前年対比で2%の微減となっておる。こうした黒毛和種の減少傾向に歯止めを聞かせるためには、生産意欲の高い農家を対象として、優良繁殖雌牛の導入促進や簡易畜舎の普及、さらには公共牧場の活用などによって和牛子牛の低コスト生産を実現することがきわめて重要であると考えているわけである。委員御指摘のとおり、中でも放牧ということを進めていくわけであるが、県内には155ヵ所3万8000ヘクタールに及ぶ公共牧場を有しておることから、これを有効に活用していくことが喫緊の課題であると考えている次第である。
 平成8年度における繁殖牛の公共牧場への放牧頭数は、県内繁殖雌牛の10%に相当する頭数となっておる。黒毛和種の場合、これまで畜舎中心の飼養が習慣となってきたことであり、非常に伸び悩んできておる。畜産研究所での放牧実証展示等、そういった成果を踏まえて、最近は放牧による繁殖牛の連産性や放牧期間中における他作目への労働は遺文が可能であり、放牧に対する評価が高まってきていることから、放牧頭数を積極的に拡大していく必要があると考えている次第である。このようなことから、公共牧場を広域的、機能的に利用できるよう再編整備を行なうために、平成9年3月に岩手県公共牧場再編整備推進方針を策定し、この方針に基づいて地方振興局ごとに関係機関、団体等で構成する地域公共牧場再編協議会を設置して、現在、地域再編計画の年度内策定に向けて具体的な検討を進めているところである。 
 黒毛和種繁殖雌牛の放牧を促進するためには、営農の多角化や担い手の高年齢化等にも配慮する必要もあることから、公共牧場に付帯したヘルパー組織や飼料生産請負組織など経営支援体制を整備し、また、これらを充実強化することも極めて重要であるために、今後、再編整備とあわせて、これからについて積極的に取り組んでまいる所存である。

〇千葉(伝)委員 御答弁いただいた中に、公共牧場の再編整備の年度内の策定を目指しているということである。そういった策定を通じて、特にも地域においては放牧をさらに促進するよう、そしてまた、そのことが低コストを図っていくのに結びつくものと思うわけである。ぜひよろしくお願いしたいと思う。
 第3点目は、県内黒毛和種の販売、流通に関してお伺いする。
 最初にお伺いした第1点目、そして2点目と関連するが、第1点目は優良種雄牛の造成、確保を進める観点から、第2点目は生産指導の観点からお伺いしたわけであるが、生産されたものをいかに安全、高品質に販売、流通するかが一連のものとして重要と思う観点から、株式会社岩手畜産流通センターの施設整備の実施状況と今後の取り組みについてお伺いする。
 まず、食肉処理場の充実強化については、本県における食肉処理場の中で基幹的な役割を担う岩手畜産流通センターの施設整備を平成8年度において行なっているとのことであるが、その内容はどのようなものか。
 また、安全で高品質な食肉に対する消費者の関心が近年高まっておるが、この消費者ニーズに即応して、今後、どのような取り組みを使用としているのかお聞かせ願う。

〇吉永副知事 岩手畜産流通センターが平成8年度に実施した施設の整備内容であるが、平成8年度には、御案内のとおり腸管出血性大腸菌O-157による食中毒が大きな社会問題となった年である。このため、岩手地区産流通センターにおいては、O-157予防措置として、牛の屠畜部分について、農畜産業振興事業団の女性事業を活用し、生体の洗浄設備、食道や直腸の内容物が漏れないよう端を縛る機械、器具機材の消毒層、枝肉洗浄器など、事業費で4400万円をかけて整備した。しかしながら、O-157による食中毒の発生を景気に、安全で衛生的な食肉に対する消費者の関心は委員御指摘のとおり高まってきておるので、こうした食肉処理施設における衛生対策がさらに緊急的な課題となっておる。また、屠畜場法施行規則が改正されて、いわゆるHACCP方式による衛生管理を牛については平成12年3月31日までに実施しなければならないことになっておる。このようなことから、県では、本年10月に生産者、食肉処理業者、学識経験者などによる懇談会を設置し、国際化の進展に対応した本県食肉処理施設の衛生対策や食肉の品質向上対策の方向性について検討をいただいているところである。 
 県としては、今後こうした懇談会の意見を参考にして、本県食肉処理の中枢を担う岩手畜産流通センターを初め、県内の食肉処理施設について安全性確保対策の充実を図り、県産食肉に対する消費者の一層の信頼確保に努めてまいる所存である。

〇千葉(伝)委員 今後、安全で高品質な食肉の確保の観点から、必要な整備についてよろしくお願いする。
 農政関係の最後に農政部の行政機構再編整備についてお伺いする。
 農政部の行政機構再編整備に関しては、本庁、出先機関において、本県農業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、新たな課題にも迅速、的確に対応できるよう、より機動的かつ効果的な執行体制を確立することとし、再編整備(案)が示されたわけであるが、私は、今後の農政において、意欲ある農業者の育成、産地間競争を勝ち抜き、国際化の並を乗り越え、力強い農業を構築するためには、広域的、専門的施策が施行される体制が必要と思うものである。
 そこでお伺いしたいのは、この案では組織体制については理解できるわけであるが、再編整備を進める中には、統合される土地改良事務所、地域農業普及センター、家畜保健衛生所等の施設整備もお考えのことと思うことから、それぞれの分野において執行体制並びに入るべき施設についてお聞かせ願う。

〇吉永副知事 農政部の行政機構再編整備における農村整備事務所及び農業改良普及センターについては、地方振興局の機能を強化し、完結性を高めるとともに、地域農業の振興課題に的確に対応するため、地方振興局農政部あるいは農林部、農村整備事務所、農業改良普及センターの3部門が一層連携を強化し、総合的な農政の推進を図る必要があることから、地方振興局の所管区域ごとに再編し、執行体制の強化を図るものである。再編後の具体的な施設--庁舎については、合同庁舎に設置することを原則としながらも、地域によっては相当程度の規模になる部署も生ずることから、当面、現行の施設の活用なども、現在、検討しているところである。
 また、再編整備する家畜保健衛生所については専任の技術吏員で配置基準を充足できる人員体制とし、家畜別の専門職員や細菌、ウイルスなどの部門別専門職員を配置し、高度な知識や技術が生かされる総合的な指導体制を確立するとともに、病性鑑定部門の専担の組織を設置するなど、執行体制の強化を図るものである。
 再編後の施設--庁舎については、当面は現行の施設の機能を活用しながら、再編の趣旨が十分に生かされるよう、今後、検討してまいりたいと考える次第である。

〇千葉(伝)委員 もうちょっと突っ込んで話をしたい部分もあるが、いずれは地域住民へのサービスあるいは職員においても士気が低下しないような執行体制の整備に万全に期されたいとお願い申しあげる。
 次に、シイタケの振興についてお伺いする。
 本県は、昭和40年題から積極的にシイタケの生産振興を行なってきた結果、現在では干しシイタケの生産量は全国では第3位、生シイタケの生産量では全国第2位と全国有数の生産県に成長し、その品質も市場などで高い評価を得ていると聞いておる。しかしながら、近年は安井外国産シイタケの輸入に伴う価格の下落や慢性的な異常気象などにより生産意欲が減退し、これに加えて生産者の高齢化が進み、昭和60年前後をピークにシイタケ生産者やシイタケほだ木の数量が減少しており、特に本県の特用林産物代表とも言うべき干しシイタケの生産量がここ数年低落傾向となっておる。また、ことしの干しシイタケの作柄は、例年にない春先の乾燥によって大幅に落ち込むのではないかと思っておる。岩手のシイタケを全国に広く普及していくためには、高品質のシイタケを毎年安定的に市場に供給し、主産地県としての信用度をさらに高めていくことが必要であると思うが、今後、シイタケの安定的な生産増強に向けてどのように取り組んでいかれるのかお伺いする。

〇吉永副知事 シイタケの振興対策であるが、本県のシイタケは、委員御指摘のとおり、量的にも全国で3位あるいは2位といった水準であるが、その品質については、9年度の全国乾しいたけ品評会で昨年に続き全国1位になるなど、品質は日本一の折り紙をつけられ、高い評価を得り、市場では他県産シイタケより高値で取引きされているという状況にある。ことしの作柄は、御指摘のとおり昨年夏以降の雨不足、あるいは春先に高温乾燥が続いたといったことのために全体的に不作で、春に発生したシイタケは平年の6割程度にとどまっておって、シイタケ生産者にとって大きな影響を与えたところである。このような中にあっても、散水施設や人工ほだ場などを活用して天候に左右されない平年並みの生産量を確保した生産者もいることから、これからのシイタケ栽培は、このような先進的な事例を参考にしながら、栽培立地や気象条件を十分考慮して、水の確保や温度管理などを人工的に行ない得る生産体制を取っていくことが極めて重要と考えている次第である。このため、長期的な展望のもとに、具体的なシイタケ生産振興対策を講じることを目指して、本年8月に学識経験者、生産者、関係機関で岩手しいたけ振興計画策定委員会を設置し、委員会での検討を踏まえて、本年度中に生産体制の強化や流通、販売体制の改善などのないようとするシイタケ振興計画を策定することとしている次第である。
 今後は、この計画に基づいて、シイタケ生産の団地化等生産拠点づくりを促進するとともに、生産者施設の整備や作業改善による高齢者などの積極的な参入を促して、高品質のシイタケを安定的に生産できる体制整備を積極的に進めてまいる所存である。

〇千葉(伝)委員 よろしくお願いする。
 次に、児童福祉法の改正に伴いない児童養護施設に移行する虚弱児施設への対応についてお伺いする。
 国においては、児童福祉の一層の増進を図るため児童福祉法を改正したと言われておるが、虚弱児施設は、今回の法改正により平成10年4月から児童養護施設に推移するものとされておる。法施行後においても、現在施設に配置されている保健婦や看護婦などの医療スタッフが継続して配置でき、医療適ケアも必要な入所児童の処遇が低下することのないよう配慮されるものと存ずるが、県は、このような動向をどのように認識し、対応しているのかお伺いする。

〇千葉副知事 本県における虚弱児施設は、結核児童など身体の虚弱な児童の健康増進を図ることを目的として昭和32年に開設されたものである。この間、入所児童の態様は大きく変化して、今日では気管支ぜんそく、心身症、内蔵疾患といった医療適ケアを必要とする児童が大半を占めるようになっておる。したがって、施設に平成されておる小児病員と連携を図りつつ、必要な医療の確保に努めながら児童処遇に当たってきているところである。
 県としては、虚弱児施設が児童福祉法施行に伴って児童養護施設に推移された後も、医療ケアの必要な児童に対し適切な処遇が行なわれることが必要であると考えているところである。従って、これまで虚弱児施設が持っていた機能が引き続き生かされ、入所児童の処遇低下を来さないよう、看護婦や保健婦が引き続き配置されるよう国に対して要望してきているところであるが、今後とも引き続き要望してまいりたいと考えておる。
 なお、衆議院の厚生委員会で、虚者籤施設の児童養護施設への移行に当たっては、現在、入所している児童の処遇等に支障が生じないよう適切な配置を行なうこととの附帯決議がなされているところで、国においては、看護婦等必要な職員を配置する方向で検討がなされていると伺っているところである。

〇千葉(伝)委員 国の動きの部分もあろうかと思うが、県の方でもそういった流れをきちっととらえて対応していただきたいと思う。
 次に、今後の保健医療福祉分野の情報化への対応についてお伺いする。
 御承知のとおり、全国を上回るスピードで少子・高齢化が進む本県においては、高齢者人口の増加に伴い、慢性疾患を有するものや援護を必要とする高齢者が増加するなど、保健医療福祉サービスに対する県民のニーズが一層多様化し、高度化していくことが予測されるところである。特に、住み慣れた地域での療養を支援する在宅サービスを拡充するとともに、高齢化の進む医療技術の効果的、効率的な利用を進め、生活の質の確保を重視したサービスの提供を進めていく必要があると認識しておる。また、介護サービスの提供体制の整備はもとより、ノーマライゼーションの理念を踏まえ、障害者の社会参加、自立への支援を進める必要があると考えておる。一方、近年における情報処理、情報通信技術の進歩は目覚ましく、情報化の進展が県民生活のあらゆる分野に大きな変化をもたらしつつあり、この情報化への取り組みが、今後21世紀に向けて県民サービスの向上を促進していく有力な手段の一つであると認識しているところである。
 そこでお伺いするが、県民生活に密着した保険医療福祉サービスにおいて、特に情報化に取り組み、より総合的できめ細かなサービスの提供体制の整備を目指すべきであると思うが、今後どのように保健医療福祉分野における情報化を進めていこうとしているのかお伺いする。

〇千葉副知事 保健医療福祉分野の情報化についてであるけれども、本県においても、岩手医科大学など幾つかの医療機関において、病院間で医療画像を伝送して診断を行なう遠隔放射線診断、病理診断や病院と居住を結んだ遠隔医療などに取り組んでいるところである。また、川井村など一部の市町村において、保健、医療、福祉が一体となった情報ネットワークが運用されているところである。一方、県においても、本年度、国立がんセンターと県立中央病院との間に情報ネットワークを構築して、テレビ会議等による最新の診断、治療方針などの把握と活用など、本県のがん診療の高度化を図ることとしているところである。また、岩手県身体障害者福祉協会が障害者の社会参加を支援するパソコンネットワークの運用を開始したところである。
 今後、さらに県民の皆さんの高度化、多様化する要請に対応し、きめ細やかなサービスを提供するためには、保健医療福祉分野における情報化に総合的に取り組んでいく必要があることから、本年度、有識者からの成る専門委員会を設置して、保健医療福祉分野の情報化を進めるに当たっての基本的な方向について検討いただき、今般、その中間報告を取りまとめたところである。今後、この中間報告を受けて県内の先進的な取り組みの普及拡大を図るほか、新しい総合発展計画や高度情報化"いわて"構想に具体的な取り組みを反映させてまいりたいと考えているところである。

〇千葉(伝)委員 最先端の情報処理ということで、これからいろいろな意味で必要になると思う。そういった意味では、これから進めるモデル的な事業となり、それから、ぜひ細やかなサービスの提供体制の整備について御努力願いたい。
 次に、交通事故防止対策についてお伺いする。
 本県における交通事故による死者は、平成3年度から7年度まで5年連続して減少しておったが、昨年から増加に転じ、今年に入ってもその傾向が続いており、11月25日現在、発生件数、負傷者数も増加するなど、極めて憂慮すべき状況となっておる。特に、本年11月25日現在の交通事故による全死者131人のうち、高年齢者が46人で約35%を占めており、高年齢者の交通事故防止対策が重要な課題であると存ずる。悲惨な交通事故は県民のもっと紅葉かな問題であり、各種交通安全運動を県民ぐるみで推進していくことが大切であると思うのである。
 県においては、これからの交通情勢を踏まえ、今後、高齢者についてどのような交通安全対策を講じようとしているのかお伺いする。
 また、新聞報道によれば、県内のチャイルドシートの着用状況は4人に1人と、その普及が進んでいない状況にある。幼児の交通事故による被害を最小限に食いとめるためには、チャイルドシート着用の普及促進を図ることが重要と思われるが、これに対するお考えもあわせてお伺いする。

〇千葉副知事 高齢者の交通事故防止対策については、市町村と岩手県交通安全対策協議会などの関係団体と連携を図りながら、通年運動として、進めようシルバー交通安全運動を、また、季節運動の重点項目として、高齢者の交通事故防止を掲げて啓発公報活動を推進しているところである。具体的には、夜光反射材の普及促進や高齢者に配慮した運転の励行等の内容とする広報活動、参加・体験型の交通安全教育の推進、シルバー交通安全モデル地区での重点的な啓発活動、あるいは高齢者のいる家庭を訪問しての交通安全の呼びかけなどを実施しているところである。
 今後においては、これらの事業の一層の推進に加え、一つには、高齢者の保護及び高齢者自身の交通安全意識の効用を目的に、道路交通法などの一部改正によって本年10月から施行された高齢者運転者標識、いわゆる高齢者マークの表示の普及促進を図ってまいりたいと考える。
 また、高齢者一人一人に行き渡るよう、創意工夫を凝らしたきめ細やかな普及啓発活動の推進によって、高齢者自身が身体的機能の低下を認識して、安全運転あるいは安全歩行を心陰るように、運転者、歩行者両面からの交通安全意識の浸透を図ってまいりたいと考えておるところである。
 また、チャイルドシートについてであるけれども、過去5年間の全国統計によれば、これを装着していなかった場合の交通事故による致死率は装着していた場合の約8割と非常に高く、その効果が明らかになっているところである。一方、チャイルドシートは、その選択や使用方法を誤ると効果がなくなるばかりか、逆に被害を受ける可能性も指摘されているところである。最近においては、その適切な使用について社会的に注目されているところである。チャイルドシートの使用については、現在、各季節運動などにおいて呼びかけているところであるが、今後、市町村や関係機関、団体との連携のもとに、市町村広報など各種広報媒体を活用し、適切な使用方法も含めて、より一層の普及啓発に努めてまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 手元の朝日新聞の県内版に、先ほどの県内の使用率が4人に1人ということがある。その中で、使われない理由ということがあるわけであるが、値段が高い、子どもが嫌がる、使用期間が短いということがある。多田、県警の交通部では、使っていれば、重大な事故を防いだケースが多い、積極的に使ってほしいと呼びかけているという記事がある。そういった意味で、先ほど御答弁いただいた適切な使用ということでの指導もあわせて、ぜひ対応していただきたいと思う。
 最後になるが、次に、本県の審議会などにおける女性委員の登用状況についてお伺いする。
 21世紀の岩手が豊かで安心できる社会を実現するためには、一人一人の個性が尊重され、その能力に応じて社会の中でさまざまな役割を有し、意欲的に社会に参加することができる男女共同参画社会を形成することが重要であると考えているものである。男女共同参画社会の実現を図るためには、女性が男性と平等の立場で政治、経済、社会、文化などあらゆる分野に参画する機会が確保されることが大切である。県では、これまでにも男女共同参画社会実現に向けた諸施策を推進されておるが、平成8年3月に策定したいわて女性さわやかプラン後期具体的施策において、県の審議会などにおける女性委員の割合を平成12年度までに25%まで高めることを目標とされたところである。一方、国においては、審議会等委員への女性の参画の拡大について、平成8年5月の男女共同参画推進本部決定に従い、ナイロビ将来戦略の掲げる指導的地位につく女性の割合を少なくとも30%にまでふやすという国際的目標をおよそ10年程度の間に達成するとともに、平成8年12月に策定した男女共同参画2000年プランでは、当面、平成12年度末までのできるだけ早い時期に20%に達成するよう努めるとの目標を定めたところだあるが、本県における目標は、国の当面の目標である20%を上回る数値となっておる。
 そこで、県は、この25%の目標達成に向けどのような具体的な取り組みを行なっているのか、最近の状況についてもお伺いする。

〇千葉副知事 審議会等における女性委員の登用についての具体的な取り組みとしては、各審議会ごとに女性委員の登用目標を定めた登用推進計画を作成して、その登用状況については定期的把握、分析しながら各部局における取り組みの徹底を図るとともに、特にも推薦を依頼する団体に対しては、適任者の中に女性がいる場合には積極的に推薦されたい旨を要請するなど、登用の推進に努めているところである。
 また、国の機関、市町村、各種団体、大学または試験研究機関等から広く情報を収集して女性人材リストを整備し、女性委員の円滑な登用推進を図っておるところである。
 県における審議会等への女性委員の登用状況は、平成9年6月1日現在、委員総数1445名中、女性委員303名で21%となっており、前年同期より6.1ポイント増加しているところである。なお、女性委員の登用率は国の16.6%を上回っておって、東北各県の中でも最高の登用となっているところである。女性登用の年度計画を上回っているわけであるが、いずれにしても25%の目標を早期に達成して、この計画を見直し、さらに高い登用率を実現できるよう努力してまいりたいと考えておる。
 女性の人材を発掘するためには女性施策を充実することが重要であるところから、今後とも女性洋上や女性海外派遣事業等助成関連施策を推進する中で、有為な人材を育成しながら、女性委員の登用に一層積極的に取り組んでまいりたいと考えておる。

〇千葉(伝)委員 女性の登用については、分野によっては難しい面もあると思うが、より積極的な対応と、あわせて県職員の配置についても機会均等でお願いするということで、質問を終わらせていただく。

〇長谷川委員長 関連質疑を許す。世話人であるということを自覚して質疑をお願いする。

〇菊池(勲)委員 大変お疲れのところ、まことにありがたい。
 実は、11月20日に食料農業農村基本問題調査会第3回の合同部会があったそうである。この会長は東京大学の名誉教授である木村さんという方で、副会長は全国知事会農林商工委員会委員長の栃木県知事の渡辺さんという方のすばらしい権威のある会議の席上で、大変、今、農業は岩手県に限らず全国的に窮地に陥っているときの会合であるから、当然すばらしい意見が出るというように認識しておったんだけれども、残念ながらこの会議の中で、農村は車を少なくとも2台か3台持っている。なぜこんなに予算を出さなければいけないのかという発言があったと聞いている。農村には交通機関がないわけであるから、当然努める人は自家用車がなければ通勤できないという実態を踏まえて、私どもは借金をしながら、出稼ぎをして働いた金で自動車を買っておるわけであるけれども、その認識がされていない。副知事はどう考えるかお伺いする。

〇吉永副知事 11月20日に行なわれた会議で、今、委員がおっしゃった発言については、私、議事録、その他を持っていないのでそれについて直接コメントすることはできないが、仮にそうした発言がなされた場合、それに対する私の考えということを述べさせていただきたいと思う。
 まず、そうした考えは全くの誤りであるということは言えると思う。客観的なデータとして、農業農村は非常にお金持ちということは、これは1人当たりの所得、その他を農村地帯とそうでないところと比較すると、これはもう数字で明らかなものである。また、もし農村地帯がそういうことであれば、きょう県議会でもいろいろな議論が行なわれたわけであるが、農業人口がどんどん流出しているとか、あるいは新規就業者が少ないとか言ったような事態は説明がつかないわけである。ただ、他方、こうした調査会あるいは審議会、そういったところでそういう議論が行なわれている、一部そういう議論を行なう人がいるということはこれまた事実だと思う。これは、例えば先ほどの公共事業等についても、地方についてはもう公共事業の整備は全部終わったので、これからは中核中枢港湾、道路も大都市周辺の高規格道路といったような附囲気がやはりあるわけである。これらのこうした一つの世論形成のようなものがそういう広い意味でのマスメディアを通じたそういった世論形成によってそういう認識を持った人がいるということだと思う。
 私どもとしては、そういった認識が誤りであるということを繰り返しいろいろな場で伝えていくということが必要であるし、中でも中央から来ておるマスメディアの方々には、そういった地方の実態をよく伝えていただきたい。そういういろいろなことをやることによって、そういう誤った認識を直していくことが必要であると考えている次第である。

〇藤原(泰)委員 時間も大分経過しておるが、一つ委員長初め、それぞれの方々よろしくお願い申し上げたいと思う。
 清和会の藤原泰二郎である。会を代表して総括的に平成8年度決算について質問させていただく。
 なお、平成8年どの決算を中心にということであるが、若干これらの関係を含めてこれらのことについても質疑させていただく。よろしくお願いする。
 平成8年2月の第5回県議会定例会において、知事は、県政運営及び平成8年度の主要な施策について、その所信を述べておられる。その中で、多様な地域連携、交流による自立的な地域社会の形成、安全で安心感のある県民生活の確保など、今後の県政を運営するに当たっての施策推進上留意すべき七つの視点を明らかにするとともに、平成8年度の主要な施策については、基盤の整備、産業の振興など、四つの領域ごとにその取り組むべき施策の概要を示しておる。平成8年度を振り返って、その成果をどのように評価されているのか、御所見をお聞かせ願う。

〇千葉副知事 平成8年2月県議会定例会における知事演述については、3県総後期実施計画の開始を目前にして、今後の展開を踏まえながら、平成8年度の主要な施策について所信を述べたものである。その成果についてであるけれども、新綱領ネットワーク道路整備事業の推進を初めとして、地域活性化事業調整費の拡充、航空消防防災体制の整備など、快適で活力ある県土の整備に取り組んだほか、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の推進、ベンチャー企業への投資を促進する支援制度の創設など、地域経済の活性化に努めたところである。さらに、休日保育事業の創設、県立胆沢病院の整備など福祉、医療の充実を図るとともに、人材の育成については、生涯学習環境の整備に努めたほか、西澤潤一先生が岩手県立大学の初代学長に内定し、その開学に向けた準備が進など、各領域において積極的に事業を推進し、所要の成果をおさめたところで、県政は着実に進展しているものと考えておるところである。
 平成8年度は3県総後期実施計画の初年度に当たり、21世紀の岩手に、躍動感あふれ、心豊かな地域社会を実現するための着実な第1歩を踏み出した年と言えると思う。今後においても、内外の経済社会情勢の変化にともなう諸課題に積極的に取り組みながら、引き続き多様な施策を推進してまいりたいと考えておる。

〇藤原(泰)委員 次に、財政の健全化についてお伺いする。
 平成8年度の一般会計決算における県債の額を見ると過去最高の1499億円余となっており、前年度と比較して約79億円余、5.6%の増加となっておる。この結果、8年度の歳入決算額に帯する県債の依存度は17.3%となり、また、平成8年度末の県債発行残高も8122億円余と、過去最高の額となっておる。一方、歳出では、公債費の715億円余、決算総額に占める割合も8.3%となり、今後においても一層増加することが見込まれる状況にある。このことは、税収や地方交付税等の一般財源が伸び悩んでいる中で、社会資本整備などの財政需要に積極的に取り組んできた結果のあらわれであると考えるのであるが、申すまでもなく、地方債の増発は後年度の公債費負担の増加をもたらすものであり、財政の硬直化が着実に進行していると思うのである。
 そこでお伺いするが、県では、財政の健全化についてどのような考えをお持ちか、今後の県債の償還の見通しや将来の財政運営も含めてお考えをお伺いする。

〇大隅総務部長 目まぐるしく変化する経済社会情勢や多様化する県民の要請に的確に答えていくためには、柔軟性を持った財政構造を確保し、財政の健全性を確立していくことが極めて重要なことであると考えておる。
 県債償還の見通しであるけれども、平成9年度の発行予定債を含めて推計すると、平成10年度から今後5年間の一般会計ベースの償還額は、各年おおむね900億円から1100億円程度で推移するものと見込まれているが、このうち元利償還金については、交付税で参入されるものを除いた純県負担ベースでは元利償還金のおおむね半分程度になると試算しており、将来の財政運営に大きな支障を生ずることのないものと考えてはおるが、元利償還金が年々増加していること、これもまた事実である。公債費の増高は財政硬直化を招く大きな要因であることから、先般策定した行財政システム改革指針においては発行額を縮減することとしたところである。したがって、今後においては、毎年度の予算編成を通じて、その目標の達成に向けて創意と工夫を凝らし所要の財源の確保を図るとともに、国に対しては、地方財源不足額について財源対策債等の借入金依存による財政措置を避け、一般財源所要額の安定的確保を図るとともに、地方分権の時代にふさわしい地方税財源の充実確保が図られるよう、機会あるごとに要望してまいりたいと考えておる。

〇藤原(泰)委員 次に、基金等の運用についてお伺いする。
 財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金の3基金は、それぞれ年度間の財源の調整を行なったり、公債費の後年度の負担に備えるなどの重要な役割を果たしているものである。したがって、適切な財政運営を行なっていくためには、基金の持つこうした機能が十分に発揮されるように、ある程度の額が確保されるということが重要であると考えるのである。平成8年度末の3基金の残高は総額で1563億円余となっておるが、平成9年度予算において総額550億円の取崩しを行なうことから、景気の回復が足踏み状態である中に合って、国の財政構造改革の影響などの厳しい財政環境を考えると、今後財政運営支障が生ずるのではないかと懸念されるところである。
 そこで、お伺いするが、3基金の活用についての県の基本的な考え方をお示し願う。
 また、歳入歳出決算事項別明細書によると、3基金を初めとする基金の運用に係る利子収入は総額で19億1491万円余となっており、前年度と比較して29.6%の減となっておる。さらに、諸収入の預金利子のうち、歳計金利子を見ると2億4724万円余と、前年度と比較して28.4%、9795万円余の減となっておる。
 そこで出納長にお伺いするが、最近の超低金利時代において、歳計現金の運用状況はどのようになっているのかお伺いする。

〇高橋出納長 超低金利時代における歳計現金の運用状況というお尋ねであるが、平成8年どの歳計現金の運用利子は、平成7年度に比較して御指摘のように大幅に減少しておる。それにともなって運用益も大幅な減となっていると、こういう状況である。これは、御案内のように、平成7年9月に公定歩合が過去最低の0.5%に引き下げられたわけで、これに連動して預金金利も低下したということで、運用の平均利回りが平成7年度は0.94%であったが、8年度は0.58%と実に0.36低下したことによるものである。
 私どもは、歳計現金の運用に当たっては、地方交付税等の収入によって少しでも余裕資金が生じた場合には、支払資金の見通しなり金利動向等を勘案して、大口定期預金、外貨預金などの商品を組み合わせ、可能な限りきめ細やかな、かつ効率的な運用に努めたところである。また、預金先の決定に当たっても、地元金融機関などを対象とした利率の見積合わせによるなど、超低金利時代下であるが、確実かつ有利な運用を図ってきたところである。その結果、大口定期預金では70回2480億など、年間預金回数は176回、総額で約5300億円に及ぶ運用を行なったところである。
 なお、9年度の運用については、さらに厳しい状況にあるので、より一層きめ細かい運用を行なうなど、効率的な歳計現金の運用に努めているところである。

〇大隅総務部長 財政の健全性を確保するためには、単年度のみならず、将来の財政需要も考慮に入れた長期的視野に立った財政運用を行うことが必要であることから特定目的の基金を設置しているのであるが、財政調整基金は、経済不況による大幅な税収減あるいは災害の応急対策などの予測しない支出等に充てる為、年度間の財源調整の目的で設置しておる。また、県債管理基金は、県債の償還に必要な財源をあらかじめ確保して、県債の適正な管理を行うことにより財政の健全化を確保するためのものである。また、公共施設等整備基金は、県が行う公共施設、その他の整備に要する経費の財源充てるために設置しておる。したがって、基金については、今年度の財政需要や毎年度の財政状況等を勘案しながら、それぞれの設置目的に沿った取り崩しや、あるいは積み立てを行っておるところである。
 平成8年度末には3基金の残高は、御案内のように、1563億9400万円となっておるが、平成9年度は、県立大学の整備や公債費の増高等の財源に充てるため当初予算で550億円取り崩しており、他方において財源の確保に鋭意努めているところである。平成9年度末の3基金の合計額は現時点では約1000億円であるが、さきに策定した行財政システム改革指針においては、県債の縮減に努め、財政健全化の目標として、集中的に取り組む期間である平成12年度末にこれら3基金の合計残高を700億円以上は確保すると、こういう目標を掲げておるので、厳しい財政状況にはあるが、それぞれの設置目的に沿った効果的な活用を図ってまいりたいと存じておる。

〇藤原(泰)委員 次に、防災についてお伺いする。
 御案内のとおり、地震・津波災害は大雨や洪水のような災害と異なり、突然何の前ぶれもなく襲ってくるものである。国においては、昭和40年以降1、600億円の巨費を投じ、地震予知の研究を進められてきたところであるが、伺うところによれば、ことしに入って、これまで進めてきた地震の発生を、直前に予測する研究から基礎研究に転換する方向を打ち出されたとのことである。このことは、文部省の測地学審議会の下部組織である地震予知特別委員会が、現状の研究レベルでは地震の予知は非常に困難だということで、32年間も続いたこの方針を根本的に見直すということが報道されておる。今後は、これまでの成果がこれからの研究に有効に生かされることを切に期待するのであるが、私は、今日の科学技術をもってしても予知が困難な現状を踏まえた場合、津波災害からとうとい生命を守るためには、内陸、沿岸を問わず、防災に関する県民への啓発がこれまで以上に重要な役割を担うものと考えるところである。
 そこでお伺いするが、県においては、阪神・淡路大震災を契機としてさまざまな施策を講じられてきたと存ずるが、総合防災センター施設等整備事業について、その概要とその後の利用状況等についてお示しいただきたいと思う。

〇大隅総務部長 県においては、昭和61年4月に県立総合防災センターを設置したところであり、さきの阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて全面的に見直しを行い、新しい県地域防災計画において防災知識の普及及び自主防災組織等の活動拠点として整備充実を図ることとされたところである。これを受けて、平成8年度において地震体験室、地震、津波のメカニズムの解説パネルやシミュレーション模型、過去の津波災害等の生々しい映像を上映する防災ライブラリー、グループでの学習が可能な防災シアターのほか、暗闇とかあるいは煙体験室、救急・救命コーナーなど、すべての展示設備について全面的に改修整備を行ったものである。
 利用状況等であるけれども、平成9年度の入館者数は10月末現在で8、965人ということであり、前年同期比で20%増、1、490人ふえておるという状況である。これは施設の全面改修に加えて、平成8年度から実施した防災、消火、避難、応急措置、幼児、総合防災の6コースからなる防災体験セミナーが定着してきたことが大きな要因ではないかと思っておるところである。
 それから利用者であるけれども、幼稚園、小学校、子供会、婦人防火クラブ等の団体利用が3分の2であり、個人利用が3分の1と、こういう状況である。

〇藤原(泰)委員 次に、三陸鉄道についてお伺いする。
 昭和59年4月スタートした三陸鉄道も、早いものであり13年が経過しておる。三陸鉄道の重要性については今さら申し上げるまでもないことであるが、沿岸地域振興に大きな役割を果たしているのは御案内のとおりであるが、現状は、沿岸地域の人口減少に歯どめがかからず観光客の入り込みも伸び悩み、一方では、マイカーの普及によって利用客の減少に拍車がかかっているようである。開業の昭和59年度に270万人あった利用客が、平成8年度には177万人とおおよそ100万人ほど落ち込んでおる。これに伴って、収支決算においても、平成5年度には開業以来初めて当期損失を計上し、6年度からは経常損益でも赤字となった上その幅が拡大方向にあると伺っており、三陸鉄道の経営はまことに厳しい状況にあると言わざるを得ない。また、最近においては、三陸鉄道が国鉄清算事業団から借り受けている鉄道資産についてその早期の引き受けを迫られており、たとえ無償であっても、譲渡された場合の税負担等の影響は大きな不安材料となっていると考えられる。こうした中、県と関係市町村とで構成する岩手県三陸鉄道強化促進協議会では、8年度の事業として経営安定化対策調査を実施され、その調査結果に掲げられた対策の一つとして、この夏、久慈-仙台間に直通列車を運行させ大きな成果を上げられたのである。
 そこでお伺いする。
 この調査結果を受け、早期に実施したものを含め経営改善を実効あるものとしていくためには、これまで以上に積極的な対応が望まれるわけであるが、会社において講じられる方策のほか、県及び関係市町村においてはどのような展開を図り三陸鉄道を支援していくのか、その具体的な方策を含めお聞かせ願う。
 なお、三陸鉄道運営については、会社の経営者、従業員、県、関係市町村の並々ならぬ努力に敬意を表しながら、何とか沿岸振興のために頑張ってほしいという願いを込めながらお伺いする。

〇武居企画振興部長 三陸鉄道の経営改善に向けた取り組みについてのお尋ねであった。御案内のように、経営悪化が深刻化しており大変憂慮される事態が続いておるが、三陸鉄道の早期抜本的な経営改善を実現するため、県及び沿線の15市町村で構成する岩手県三陸鉄道強化促進協議会、ここにおいて平成8年度に専門調査機関の助言も得ながら、平成13年度までの収支均衡のために必要な方策に関する調査結果を取りまとめたところである。これらの方策は、当然のことながら経営改善については何よりもまず会社側において自助努力の取り組みを行うと、これに対して行政側も積極的に支援すると、こういったことが必要になってまいる。三陸鉄道株式会社側においては、経費の節減を徹底するとともに、運賃割引制度の充実であるとか関連事業の拡大などを通じて、需要の掘り起こしや収益力の強化を図ることとしておるし、また、現在、東北運輸局に認可申請中の運賃引き上げについてもやむを得ない措置として位置づけているところである。
 一方、行政の支援策であるが、利用促進の中心的な役割を担うべき市町村については住民のマイレール意識、これが何よりも重要になってくるものであるが、最近、マイカーの普及等の関係もあり薄れてきているような状況にある。そういったことで、これが再び喚起されるように沿線の交流イベントなどを従来にも増して活発に展開する必要がある。そういったことで、こういった活動を活発化するとともに、必要に応じて市町村が乗車券を購入して、福祉や教育などに活用する方策にも取り組むこととしているところである。また、県においては、既存の各種助成措置に加え三陸鉄道株式会社の企画機能の充実、特にこれからは三陸鉄道の会社側においてさまざまな経営に関する企画をいろいろ立てながら、経営に関してもそういった面で充実していく必要があるのではないかということで、そういった企画機能の充実であるとか、あるいは沿線外からの誘客などに向けた支援を一層強化することとして職員の派遣等も行っておる。
 それから、さらに委員の方からもいろいろあったが、ことしの夏には仙台の直通乗り入れ列車の運行ということで、これは大変好評をいただいたわけであるけれども、沿線内外のさまざまな交流を活発化しながら、三陸鉄道に関係者が皆さん誇りを持ってもらうと、こういったことも必要だということでこういった事業を実施した。県としては、今後とも会社、市町村と一体となってこれらの方策を積極的に展開しながら、経営改善の早期実現に努めてまいりたいと考えておる。

〇藤原(泰)委員 次に、盛岡以北の新幹線開通に伴う東北本線、いわゆる並行在来線についてお伺いする。
 この問題については、本会議においても一定の論議があったところであるが、新幹線の開業に伴い、並行在来線をJRから経営分離することについては地元として納得できないこともわかるし、また、新幹線の早期着工を最優先するため、その条件を受け入れたこともまことにやむを得ない選択であったろうと理解できるわけである。地域住民の方々の中には、将来にわたって安定的な経営を続けるため、やはりJRによる経営を継続していくべきとの考えもあると承知しており、去る10月1日に開業した長野新幹線の並行在来線となった信越本線においては、現に廃止となった区間があるところであるが、本州の背骨であり大動脈でもある東北本線において、よもや廃止などということは考えられないことである。
 そこでお伺いする。
 県は、経営分離後の並行在来線について、将来にわたって健全な経営のもとで現在の輸送サービスの利便性を確保する旨答えておられるが、これまでの国や青森県等との対応の状況及び分離後の輸送と経営に関する県としての基本的な考え方の取りまとめの見通しについてお示し願う。

〇武居企画振興部長 並行在来線の運営については、将来にわたり、健全な経営のもとで現在の輸送サービスの利便性を確保することを最大の目的として、現在、鉄道による輸送の継続を基本的な前提に、経営見通しの把握に向けた試算を行っているところである。しかしながら、現時点においては、鉄道貨物輸送の取り扱いなど、経営に大きな影響を及ぼす前提条件がいまだ定まっていないため、県としては国やJR各社における検討状況を注視しながら着実に作業を進めていきたいと考えておる。
 一方、国等に対しては、経営の安定に不可欠な支援措置、これの具体化に向けた働きかけを続けており、その結果として今年度の国の税制改正において、経営分離後に承継する資産に対する不動産取得税なり固定資産税の税制上の優遇措置が創設されたところであり、今後ともこのような支援措置がさらに充実されるよう、要望活動を積極的に展開してまいる考えである。
 また、青森県側との対応の状況というお話があった。青森県においては、東北新幹線八戸以北の新規着工の実現、これが最優先課題ということで現在位置づけており、連日いろいろと情報、話題等が新聞等で出てきておるわけであるが、これが大詰めの段階を迎えておる。政府・与党整備新幹線検討委員会等への対応に全力を傾けざるを得ないと、こういったことで、青森県側でも、もう少しこちらの並行在来線については待ってほしいというお願いもあるわけであるけれども、県としては、新規着工問題が決着し青森県側の検討体制が整い次第、速やかに協議を本格化させていきたいということで、私どもの方の準備は万端整うようにこれからも行ってまいりたいと考えておる。したがって、経営分離後の輸送と経営に関する基本的な考え方については、このような国であるとか青森県側の動向を踏まえながら、沿線市町村とも十分に意見協議を行った上で、新幹線建設工事の進捗状況と開業までに今後必要となる準備期間の双方に照らして、時期を失することのないよう取りまとめてまいりたいと考えておる。

〇藤原(泰)委員 ひとつ、これからも頑張っていただきたいと思う。
 次に、社会福祉に関してお伺いする。
 県は昨年3月に、今後の社会福祉施策の展開の方向を示す第三次岩手県社会福祉基本計画後期実施計画を策定された。私は、これからの社会福祉にとって最も重要な視点は、今後も進行していくであろう高齢社会にいかに対応していくのか、そして出生率が低水準で推移し回復する兆しの見えない中で、少子社会にいかに対応していくのか、この2点であろうと考えておる。国においては、少子・高齢社会に対応するための社会保障構造改革を六つの改革の一つとして取り上げており、この改革の一環としてこれからの高齢社会に対応するための介護保険制度の創設、来年4月には改正された児童福祉法が施行されるなど、さまざまな改革が進められようとしておる。このような社会福祉制度の大きな転換の時期に当たり、本県の社会福祉基本計画の後期実施計画の着実な実施は、今後の本県の社会福祉の基盤を整えていく上で非常に重要であると考えるものである。ついては、後期実施計画に着手して間もないのであるが、計画の実施状況がどのようになっているのかお伺いする。

〇長谷川委員長 打ち合わせの会議時間は、とうに過ぎておる。答弁は、簡にして要を得た答弁をお願いする。

〇千葉副知事 社会福祉基本計画後期実施計画の実施状況についてであるが、この実施計画は少子・高齢化の進展や核家族化の進行、ノーマライゼーション理念の浸透等の社会状況の変化を背景として、一層増大かつ多様化、高度化する県民の福祉ニーズを的確に対応するため、平成8年度から12年度までの5カ年計画として策定いたして、各種施策の積極的な展開を図っているものである。この実施計画では、高齢者福祉の充実について16事業、児童福祉の充実について16事業、障害者福祉の充実について29事業、地域福祉の充実について23事業、その他21事業、あわせて105事業を重点事業として掲げているものである。この重点事業のうち、平成9年度までの2年間に、家事援助型のホームヘルパーから介護型の転換を図るための特別研修の実施、ひとり暮らし老人をサポートする高齢者地域生活支援事業、延長保育や休日保育への対応など、新たな取り組みを含めて93事業、重点事業全体の約90%に着手しており、おおむね順調に計画の進捗が図られているものと考えておる。

〇藤原(泰)委員 次に、福祉ボランティア活動の推進についてお伺いする。
 少子・高齢化の急速な進行や家族形態の変化、過疎化の進行等に伴い、増加する高齢者世帯や寝たきり老人等に対する支援のあり方や、ノーマライゼーションの理念に基づく障害者の自立と社会参加の促進が重要な課題となっておる。その一方で、県民の多くがこの問題を身近な問題としてとらえ、みずからこれに取り組むことにより、地域社会への参加や自己実現を図るようになってきておる。こうした中で、県内各地域で子供から高齢者まで多くの方々がボランティアとして多様な活動を展開しており、その数は年々増加しているところであり非常に喜ばしい限りである。県の第三次岩手県社会福祉基本計画後期実施計画においても、ボランティアが活動しやすい環境づくりの推進を図ることとしているところであるが、こうした課題に対して具体的にどのように取り組んでいるのかお伺いする。

〇千葉副知事 21世紀の少子・高齢社会の到来を間近に控え、高齢者や障害者など、だれもが住みなれた地域において、自立した生活を送ることができるような環境づくりを進めていくことが必要であると考えておる。このため、公的施策の充実とともに、地域住民等の参加による福祉ボランティア活動が各地域において活発に展開されることが重要であると考えているところである。県では、従来から市町村ボランティアセンターへの補助やボランティアリーダーの研修会の開催などの事業を実施し、地域住民の自発性を大切にしながら各自の知識、経験を地域社会に生かしてもらえるよう、ボランティアに関する情報提供や相談、あっせん等を行うことにより、福祉ボランティアが活動しやすい環境づくりを進めてきたところである。さらに本年度は、新たに県単事業として福祉コミュニティー形成促進事業を創設し、地域住民が地域の福祉課題をともに考え、あるいはともに支えられるよう、ボランティアコーディネーターの配置や地域のひとり暮らしの高齢者の方などの見守り活動などに対して支援を行うこととしたところである。また、福祉ボランティアの活動基盤としての可能性を探るため、小地域福祉活動モデル事業を実施いたして、町内会、自治会の活動実態の把握やモデル事業を行うこととしているところである。県としては、今後とも、だれもがどこでも気軽にボランティア活動に参加できるような環境づくりを積極的に進めてまいりたいと考えておる。

〇藤原(泰)委員 次に、特別養護老人ホームの整備についてお伺いする。
 高齢化の進展により、要介護状態の発生は国民のだれにでも起こり得る可能性のあるものとなり、一方では、核家族化等に伴い、家族による介護がますます困難な状況になってきておる。このため、高齢者介護の問題は国民の老後の最大の不安要因となっており、社会全体にとっても、また、国民一人一人にとっても大きな問題となっておる。こうした中で、国においては介護保険制度の創設を予定しており、必要な施設等の介護サービスの基盤を平成11年度までに整えることが急務とされているところである。御承知のとおり、本県における介護サービス基盤の整備は、高齢者保険福祉計画により平成11年度を目標に進められており、特別養護老人ホームについては順調に整備が進んでいるとお聞きしておる。しかしながら、国民生活基礎調査によると、3年以上寝たきりの高齢者が全体の53%と半数に達し、これに加え、介護に従事している者はその約5割が60歳以上の高齢者と、高齢者が高齢者を介護するという状況は既に現実のものとなってきておる。このような状況を背景に、特別養護老人ホームの入所を希望する者が多く、なかなか入所できずに待機する状況が依然として続いておる。こうした中で、特別養護老人ホームの整備の要望が相次いでいるわけであるが、現状及び介護保険制度下の需要の増加を考えるとき、なお一層の整備を進める必要があるのではないであろうか。
 そこでお伺いするが、本県の特別養護老人ホームの整備状況及び入所待機者の状況はどのようになっているのであろうか。また、今後の需要見通しと整備についてどのように考えておられるのか、あわせてお伺いする。

〇千葉副知事 特別養護老人ホームの整備については、これまで県の高齢者保健福祉計画に基づいて逐次整備を進めてきているところである。その整備状況であるが、計画目標の定員4、230人に対して平成9年度の着工べースで73施設、定員4、300人、進捗率101.7%となっており、整備は順調に進んでいるところである。特別養護老人ホームの入所待機者の状況であるけれども、平成9年9月末現在で976人である。このうち、在宅の高齢者は278人となっているものである。その他の698人は、医療機関に入院ないしは老人保健施設等の施設に入所中の者である。
 今後の特別養護老人ホームの需要については、75歳以上のいわゆる後期高齢者の増加や核家族化、介護者の高齢化等により、家族介護機能の低下により今後とも増加が予想されるところである。
 特別養護老人ホームの整備については、介護保険法案成立後、国が定める基本方針に基づいて平成10年度に介護需要等の調査を行い、平成11年度に平成12年度を初年度とする介護保険事業支援計画を策定する予定である。これに合わせて、現在の高齢者保健福祉計画の見直しを行い、新たな目標を定めて整備を推進してまいりたいと考えておる。
 なお、当面の特別養護老人ホームの整備についてであるけれども、本県は高齢者保健福祉計画の整備目標を上回る状況となっており、今後の国の事業採択は極めて困難な状況にあると受けとめておるけれども、在宅サービスを十分に提供しても、なお家庭での生活が困難な高齢者が多い圏域については、施設整備について国の理解が得られるよう努めてまいりたいと、かように考えておるところである。

〇藤原(泰)委員 次に、第五次岩手県商工業振興計画後期実施計画の進捗状況等についてお伺いする。
 21世紀を目前にして、経済のグローバル化、ボーダーレス化の一層の進展とこれに伴う国際的競争時代への突入、急速な技術革新や情報化の進展など、経済社会情勢が大きく変化してきておる。こうした中で、本県商工業において、円高基調に伴う製造業の海外シフトの間接的影響や大規模小売店舗法の規制緩和に伴う中心商店街の停滞、本格的リストラに伴う雇用不安等が顕在化していることなどを背景として、県では、これらの変化に的確に対応し本県商工業の一層の発展を図るため、昨年3月に、第5次岩手県商工業振興計画後期実施計画を策定したところである。この新たな実施計画では、意欲ある商業者への支援に加えて、総合的なまちづくりの視点からの中心商店街の振興や、地域に蓄積されてきた技術や人材等を活用した内発型の工業振興施策の展開、県内企業の高度情報化への対応支援など、より重点的に実施すべき施策としてその具体化を図っておる。平成8年度は、後期実施計画の初年度であるが、その進捗状況はどうなっているのであろうかお伺いする。

〇吉永副知事 第五次岩手県商工業振興計画後期実施計画においては、重点事業として28の事業を掲げており、このうち8年度に着手した事業は26事業であり、着手率は92.9%である。また、事業費ベースでは、計画事業費1、755億6、600万円に対して実績事業費は656億2、500万円と、37.4%の進捗率である。後期実施計画においては、本県工業の一層の高度化や岩手ブランドの確立、中心商店街の活性化などをこれからの課題としてとらえ、主な事業としては、ベンチャー企業等の新規創業を支援する新産業支援創造事業、中心商店街の活性化を図る商店街整備事業、県内産業の高度情報化を支援する情報サービス産業振興拠点整備事業など、13事業を新規にまたは拡充を図り計画に盛り込むとともに、前期実施計画の達成状況等も踏まえ、全体としてより実効性のある計画としたところである。今後とも、計画の着実な遂行に向けて積極的に取り組んでまいる所存である。

〇藤原(泰)委員 次に、中小企業に対する年末の金融対策についてお伺いする。
 これについては報道された部分もあるが、御承知のとおり、最近の景気は4月からの消費税の引き上げや所得税減税の廃止などによって個人消費は冷え込んでおり、さらに世界同時の株安や来年からの公共投資の削減などの懸念材料も加わり、今後の景気の先行きに深い警戒感を持たざるを得ないところである。県内においても長引く景気低迷のもと、中小企業の経営環境は一向に改善する気配はなく、民間調査機関の発表によれば10月の県内企業倒産は不況型の倒産が急増し、近年にない高水準となっておる。長期不況の影響がじわじわと本県中小企業に深刻な影響を与えていくと危惧するものである。
 一方、我が国の経済情勢は国際的な構造調整過程にあり、産業構造全体が大転換の必要に迫られておる。私は、このようなときこそ、たくましい企業家精神に満ちあふれた経営者が求められ、そのような経営者に率いられる創造的な中小企業が成長していくことにより、本県経済に明るさが戻ってくるものと確信するものである。今後、県内中小企業がこうした厳しい環境下で勝ち抜いていくためには、産業の大動脈とも言うべき金融が確保され、適時適切に必要な資金が円滑に供給されるような金融対策の一層の充実強化が望まれるところである。
 そこでお伺いするが、平成8年度末を踏まえ、県は、特にもこれから来るべき年末の資金需要の繁忙期に向け、中小企業の年末金融対策についてどのような措置を講じていくのか、御所見をお聞かせ願う。

〇吉永副知事 委員御指摘のとおり、昨今の厳しい環境下にある県内中小企業者の年末の資金需要を踏まえ、県としては県単融資制度の融資枠の拡大、あるいは融資条件の緩和、また、年末金融の相談やあっせんなどといった対策を講じていくことといたしておる。具体的には、県単融資制度については、中小企業経営安定資金を20億円増額し、9年度の融資枠としては全体で454億5、000万円を確保しているところから、年末資金としても十分対応が可能であろうかと考えている次第である。貸付金については、10月13日に平均で0.2%の引き下げを行い、商工観光振興資金については年2.5%、中小企業経営安定資金については年2.4%としているところであり、これは制度発足以来の最低の金利水準である。また、年末の資金需要期を迎えるに当たり、11月20日に県内の各金融機関及び商工団体と中小企業金融懇談会を開催し、中小企業に対する金融円滑化が図られるよう要請したところである。さらに、金融相談及びあっせんの窓口である年末商工金融110番を例年より2週間早く11月17日に設置し、県、地方振興局、商工会議所、商工会に相談窓口を開設したところである。今後、引き続ききめ細かな対応を図り、年末の中小企業金融対策に万全を期してまいりたいと考えておる。

〇藤原(泰)委員 次に、農業問題についてであるが、3点ほどあるがひとつよろしくお願いする。
 適時適作を基本とした産地づくりについてをまずお伺いする。
 申し上げるまでもなく、今、農業は農産物価格の低下傾向や農業労働力の減少、高齢化の進行など大きな転換期を迎えており、また、米を初めとする農産物の産地間競争も一層熾烈化をきわめておるが、これに打ち勝っていくためには、他の産地に負けない品質のよい農産物を安定的に供給していくことであると考えておる。加えて、既に報道されておるように、今後の減反面積はかつて経験したことのない大規模なものとなり、これに対応し、本県の水田農業をどう確立していくかが当面する重要な課題である。このように、農業をめぐる難しい課題が山積している中にあって、幸い本県においては、例えば奥中山のレタスのような全国的な産地が県内各地に形成されてきているところであるが、私は、総合食糧供給基地を標榜している本県が今後とも生き残っていくためには、先進的な取り組みを県内に波及させるとともに、適地適作を一層推進するという考え方で、どの作物をどういった地域に導入していくかなどにより、地域農業の振興を図ってまいらなければならないと考えるものである。
 そこで、お伺いする。
 県は、適地適作を基本とした産地づくりについてどのような考え方で取り組んできたのか、また、今後どのように進めていかれるのか御所見をお聞かせ願う。

〇吉永副知事 県においては、県内18の農業地域を設定し、各農業地域の立地特性を生かした米、園芸、畜産といった3部門を基幹とする農業への再編を考えてきたところである。その結果、委員からお褒めをあずかった奥中山のレタスを初め西根町、山形村などのホウレンソウ、紫波町のキュウリ、胆沢町のピーマン、安代町、沢内村のリンドウなど、市場からも高い評価を得る産地が形成されてきているところである。委員御指摘のとおり、最近の農業は稲作の大幅な生産調整の実施あるいは米価、肉牛価格の低落などの状況下にあり、農業経営や地域農業に大きな影響を及ぼすことが懸念されているところである。したがって、県としては、農業所得の維持向上を図るため豊富な農業資源を生かしながら、米、畜産の経営基盤の強化を図るとともに、園芸部門の拡大による地域農業の再編を一層加速させる必要があると考えているところである。こうした観点から、各地方振興局単位に設置されておる地域農政推進会議を中心とした主体的な取り組みを基本として、地域の自然、土壌条件や労働力事情、さらには先進産地の成果、市場動向等を勘案しながら地域に適した作目の選定を行うとともに、技術実証等による普及拡大を図り、消費者ニーズにも的確にこたえ得る産地づくりを強力に推進してまいる所存である。

〇藤原(泰)委員 次に、付加価値の高い農産物加工振興についてお伺いする。
 農山村においては、豊かな食糧資源を活用した多彩な加工食品があり、加えて最近は消費者の求める本物・安全志向にも配慮した地域資源を原料とする新しい食品加工、販売への取り組みが各地に見られる。御案内のとおり、農業、農村は、食糧生産の場としてのみならず生産者の生活の場でもあるが、私は、活力のある農村は豊かな生産と快適な生活に加え、地域の経済活動を高める産業の振興とが相まって確保されるものであると認識しておる。このためには、効率の高い地域農業を確立し、農産物の生産拡大を図るとともに、地域食材を利活用した食品加工産業を広範に育成するなどして農村全体として付加価値を高め、こうした活動を通じて、農家生活の向上と地域の活性化に結びつけていくことが重要であると考えておる。豊かな自然立地環境に恵まれている本県に、地域ならではの特色ある多彩な食材や加工食品が数多く見られるが、こうした食品を単に自給的な利用としてのみならず、ふるさと食品として内外の消費者に広く供給できるような仕組みをつくり上げていくべきであると思うのである。県は、第三次新いわて農業確立計画後期推進計画において、付加価値の高い地域特産づくりの促進を掲げておるが、平成8年度を踏まえ、今後、本県における付加価値の高い農産加工振興をどのような考え方で推し進めようとしておられるのかお伺いする。

〇吉永副知事 県は、これまでも農業構造改善事業や山村等振興対策事業、フードシステム高度化対策事業などの導入を図り、委員御指摘の地域食品を活用した農産加工施設の整備を進めているところである。また同時に、人材の養成や加工技術の開発、流通販売の促進などの指導、支援に努めてきたところである。現在、県内には生活改善グループ等の小集団や農協、第三セクターなどをあわせた119の加工事業体があり、その販売額は約66億円、それに従事している者はおよそ1、700人ということになっておる。地域の原料を生かした多彩な加工品の製造と販売活動が展開されているわけである。最近では、北上市や宮守村の地ビール製造、玉山村や藤沢町の豆腐加工、岩泉町のドングリやワサビ加工、湯田町の漬物加工など、農産加工を通じて村づくりや都市交流にも結びつけている特色のある活動事例が県内各地に多く見られるところである。
 しかし、県内の加工事業体は総じて規模が小さいこと、まとまった原料の安定確保が難しいなど、また、商品開発に時間がかかるなどのそういったいろんな問題を抱えているところである。このため、県としては、今後とも地域住民のそうした主体的な取り組みの助長を基本としながらも、県立農業センターにおける加工流通の新技術開発と普及指導に努めるとともに、食品関連団体との密接な連携のもとに販売ルートの確保、食品コンクールや各種フェアの開催などさまざまな支援活動を展開し、農産物加工の振興に一層努めてまいる所存である。

〇藤原(泰)委員 時間も大分経過したが、最後一つである。
 次に、農村女性の活動促進対策についてお伺いする。
 近年、社会経済情勢の変化に伴い女性の社会参加が進むとともに、女性の地位向上に向けた取り組みがさまざまな領域で進められておるが、農山漁村に暮らす女性にとっても、このような取り組みがより実効性のあるものとなるよう、その内容を一層具体化することが必要と思われる。本県においては、兼業化、高齢化と相まって、農業、農村の女性化が急速に進行しており、最近の農林業センサス等の統計資料で見ると、農業就業人口に占める割合は約6割、150日以上農業に従事する農業専従者の女性の割合は5割を占め、本県農業の重要な担い手となっておる。一方、農林水産省及び岩手県の業務資料によれば、農業に従事する女性の個々の働きに応じた労働報酬や個人名義の資産形成が図られず、経済的な自立がなされていない女性が75.8%も存在することや、農業協同組合の正組合員の女性の割合等は徐々にふえてきているものの、農業協同組合理事や農業委員の役職員への登用は極めて低い状況にあることも否めない事実であると思われる。こうした状況の中で、農村女性の活動促進について、女性が働きやすい就業環境の整備や、男女が共同して生活向上に向けた活動ができる環境づくり等の課題が考えられるが、これらの課題に対し本県においてはどのような方策を講じられてきたのか、これから農村女性の活動をどのように促進しようとしているのかお伺いする。以上である。

〇吉永副知事 県としては、昭和63年度から農山漁村女性の日フェスティバルの開催、平成3年度から農村生活アドバイザーの認定をしてきたところである。こうした取り組みを一層強化するために、平成5年度に、いわてふるさと農山漁村女性ビジョンを策定し、主体性を持ちはつらつと生きる女性の姿を明らかにするとともに、その実現の啓発活動や資質向上等の支援対策を講じてきたところである。今後は、こうした取り組みに合わせ、農村女性の経済的自立を図るために、農業者年金加入指導や夫婦セミナーの開催等により家族経営協定の締結促進──これは家族の中で農業経営のあり方について協定を締結するということであるが──あるいはマーケティング研修や農産加工技術指導等による女性起業家グループの育成、農業体験民宿の開業講座や食材提供メニューの開発指導者によるグリーンツーリズムの取り組み推進等の活動を支援してまいる所存であ。また、委員御指摘のとおり、農業機関、団体の役職員や委員等に農村女性が極めて少ないのが現状であるので、こうした場においても、農業に関する方針決定の場に農村女性が参加できるように市町村、農業団体との連携を図りながら啓発に努めていきたいと考えておる。

〇長谷川委員長 以上で、代表質疑を終わる。
 次に、自由質疑を行う。自由質疑は、議会運営委員会の申し合わせにより、発言時間は答弁を除き1人10分を限度とし、交渉団体に属していない委員を優先することになっておる。

〇斉藤委員 日本共産党の斉藤信である。
 県財政の危機と行財政改革についてお聞きする。
 96年度末の県債残高は8、122億5、200万円、97年見込みでは9、127億円余となり、年間予算を上回る危機的状況となっている。県当局は、財政危機に対応するとして行財政改革を進めようとしているが、大事なことは、財政危機をもたらした原因を明らかにして、むだと浪費をなくし、地方自治体の最大の仕事である県民の安全、健康、福祉を保持するという地方自治本来の姿を取り戻すことである。
 具体的にお聞きする。
 県財政の危機をもたらした直接の具体的原因、要因は何であろうか。
 二つ目、県の公共事業と社会保障関係の支出額、比率はどうなっているであろうか。
 三つ目、明戸ダム、日野沢ダム、北本内ダムは中止、凍結の決断がなされたが、奥産道や港湾整備事業、大規模林道など、事業効果から見ても自然環境の保全、緊急性から見ても見直すべきむだと浪費の公共事業の総点検をすべきと思うが、どうであろうか。

〇吉永副知事 最後の質問にまずお答えする。
 現在、国においては我が国の新しい経済社会システムを創造するため、行政改革を初めとする六つの改革が進められているわけである。本県においても本年10月、行財政システム改革指針を策定し、これまでの行財政システムのあり方を見直し、限られた財源の中で最小の経費で最大の効果を上げるために施設の重点化、効率化などを図ることとしておる。具体的には、評価システムの導入による事務事業の徹底した見直しや、建設コストの縮減などを行うものである。評価システムにおいては、可能な限り指標を用いて評価することとしており、公共事業については必要性、重要性、緊急性、効率性、熟度などの指標を各事業ごとに設定し、これらの指標を用いて事業箇所等の優先度を数値的に評価することとしており、来年度の予算編成にこういったことを反映させながら、効率的、効果的な公共投資を図ろうとしているところである。建設コスト縮減については、本年10月、公共工事コスト縮減対策岩手県行動計画を策定したところであり、この計画は政府の行動指針及び各省庁の行動計画を基本に本県の地域事業等をも勘案しながら、実行可能性、効果の大きい具体策について検討し策定したものである。国の目標数値と同じ10%以上の達成に向け、努力することとされているところである。

〇大隅総務部長 県債残高が平成8年度末で8、120億円余というような状況にあるが、そうしたことになった主な要因であるけれども、これまで県民の福祉の向上のために生活、生産の両面にわたる基盤整備を初めとする普通建設事業の財源として県債を発行してきた、こうしたことの結果であるが、特にも平成4年度以降の数次にわたる国の経済対策に呼応して、県においても県債を財源とした公共事業等を実施してきたこと、さらには、県勢の発展と県民福祉の向上を図るため、東北新幹線盛岡以北の整備あるいは農業研究センター、県立大学の整備などの単独事業についても県債を導入して積極的に実施してきた、こうしたことが一つの要因になっていると考えているところである。
 それから、社会保障関係の経費ということであるけれども、平成8年度の普通建設事業の決算額、これは約3、502億円となっておる。
 一方、社会保障関係費であるが、県の予算科目では直接にそういう名称はないわけであるけれども、便宜、県の予算科目の中から福祉・医療、あるいは雇用に関する民生費、衛生費、労働費及び諸支出金のうち、社会保障関係費を平成8年度決算ベースで算出をいたすと約965億円となっておる。したがって、これを公共事業費と比率ということで見ると、大体普通建設費の方が4に対して社会保障関係が1という比率になっておる。

〇斉藤委員 一般論を聞いているのではなくて、私は日野沢、明戸、北本内、これは凍結、中止であろう。そういうむだな公共事業がないのかと、総点検をするべきだと、そういう気があるのかどうかをはっきり聞きたい。
 それと私、県債の発行は予算規模を超えてやってきたと思う、国に追随して。特に平成5年から1、000億円台である。もう、どんどん県債を発行してついに県債総額が予算規模を上回るようになってきた。私は、本当に国に追随は結果だということ。今、4対1で公共事業と社会保障の比率が出たけれども、これは国以上である。国が50兆円、公共事業。そして社会保障20兆円である。私はそれ以上にいびつな県政になってきたと、このことについて改めてお聞きをする。

〇吉永副知事 具体的ということであるが、今お挙げになったダム等は国の事業であり、県についてどうするかということについては具体的にどこをどうするというよりも、まず現在は公共事業について必要性、重要性、そういったものをきちっとした指標を使ってまず見直そうと、そういう作業を始めているということである。これは来年度の予算編成に反映させるものである。

〇斉藤委員 県営ダムは国の事業でないであろう。国の補助事業であろうけれども、県営ダムであろう。
 次に進む。行財政改革と福祉切り捨てについて。
 行財政システム改革指針では、来年度予算要求でも、基本的に国庫補助金や中央の団体等からの補助金の削減分の県単補助金への振りかえを行わないと、こうしている。既に医療制度の改悪によって、県単医療費助成制度は9月以降1億4、007万円余、通常ベースでは3億3、782万円余の新たな負担を強いられているが、来年度以降も県単医療費助成制度は従来どおり維持されるべきと考えるが、いかがであろうか。

〇千葉副知事 本県においては、乳幼児、妊産婦、重度心身障害者あるいは母子家庭、ひとり暮らしの老人を対象とした医療費の患者自己負担について助成をしているところであり、県民の健康の保持増進や福祉の向上に大きな役割を果たしていると考えているところである。したがって、厳しい財政環境の中であるけれども、この助成制度については引き続き存続していく必要があると考えておる。

〇斉藤委員 今の答弁、私、評価したいと思う。国の悪政から県民の命と健康を守るというのが地方自治体の本来の姿であるから、そういう点で大いに頑張っていただきたい。
 次に、少子化対策と乳幼児医療費助成制度の拡充についてお聞きする。
 さきの9月県議会では、乳幼児医療費無料化の拡大を求める請願が採択をされ、増田知事は吉田洋治議員の質問に答えて、対象年齢の引き上げの強い要望があるので、他県や市町村の実施状況を考慮しながら、対象年齢そして要件などを含めて総合的に検討していくと発言している。乳幼児医療助成については、2歳児以上を対象としている県が既に41都道府県となっており、私は当面、岩手県も直ちに3歳児以上を対象とすべきと思うが、どのように改善しようとしているのか。来年度予算編成の中でどう検討されているかお聞きをする。3歳児までを対象とする場合、新たな必要経費はどう見込まれるのであろうか。

〇千葉副知事 乳幼児医療費助成事業は、対象年齢を1歳引き上げるごとに約1億円の予算を必要とするものである。
 厳しい財政状況であるけれども、現在、総合的な見地から鋭意検討をしているところである。

〇斉藤委員 来年度予算編成の中で検討しているかどうかお聞きしたい。あわせて、平成7年度に県単医療費助成制度はすべてが現物給付から償還払いになった。これは県民にとっては改悪であった。しかし、県は、これによって国のペナルティー分総額9億円、県負担分4億5、000万円を活用して、福祉・医療制度の改善を図ろうとしていた。具体的に、国のペナルティー改善額はどう制度の改善に使われているのであろうか。

〇千葉副知事 来年度の予算に向けて検討しているのかということであるけれども、現在検討しているということであるので、当然、来年度の予算に向けて検討しているということである。
 それから、現物給付の関係であるけれども、市町村国保の国庫負担金等が年間約9億円減額され、県がその半額を負担していたものを償還払いにすることにより解消いたし、この4億5、000万円を財源として福祉の施策の充実を図っているところである。まず、乳幼児医療費助成事業の対象者を乳児から1歳児まで拡大するとともに、所得制限の緩和を図るなどの改正を行い、この助成事業に3億7、500万円を充当したものである。加えて、平成7年度から新たに障害者スポーツ・レクリエーション振興事業や、高齢者あるいは障害者にやさしい住まいづくり推進事業、さらには障害者歯科医療対策事業を行ってこれらの事業に1億1、500万円を措置しており、県単独医療費助成事業と新規の福祉施策にあわせて4億9、000万円を充当しているところである。

〇斉藤委員 乳幼児の医療費助成は、ぜひ、来年度予算に結実するように期待をしたいと思う。
 次に、米価の暴落と対応について。
 この間の自主流通米の米価の暴落の影響額はどう見込まれるであろうか。来年度の政府米米価は2.5%マイナスされているが、この影響額はどうであろうか。生産調整面積が6、300ヘクタール増で3万1、950ヘクタールに拡大されるが、その減収額はどう見込まれるであろうか。1農家当たりの減収額と地域経済への影響はどうであろうか。
 県として、6割が農業土木事業で占められている農政のゆがみを正し、暴落、減収分の独自の補てん策をとるべきだと思うが、いかがであろうか。

〇吉永副知事 自主流通米の米価の暴落の影響額ということであるが、自主流通米価格形成センターに上場されておるひとめぼれ、ササニシキ及びあきたこまちの3品種について、6年産米の価格を基準として現時点での価格との比較で推計してみると、価格低落の影響はおおむね80億円と見込まれるところである。政府米買い入れ価格の2.5%の引き下げによる影響額は、来年度の国の需給計画に基づきそれを基礎に、ことしの本県のウエートで推計すると3億2、000万円と見込まれる。生産調整面積拡大に及ぼす減収額であるが、これは転作作物による収入をどう見るか、国の助成金額はどうなるのか不確定のものが多く、この影響額については推計しかねるので御了承願いたいと思う。いずれ、減収分をできるだけ補てんするため、転作営農の定着化といった、そういったことは推進してまいらなければならないと考える次第である。

〇斉藤委員 今の減収額も大変な規模である。自主流通米だけで80億円であろう。生産者米価の低下で3億2、000万円。私は減反拡大を数十億の規模だと思う。そうすると、これは本当に大冷害に匹敵する影響を受けると。ところが、政府の米新政策は大変な欺瞞である。
 価格を補てんするという新米政策、稲作経営安定対策であるけれども、その財源はどうなっているであろうか。農家の新たな拠出は県内では幾らになるであろうか。
 政府の支出は、自主流通米助成金の振りかえではないであろうか。新米政策を理由に、17万6、000ヘクタールの新たな減反を農家に押しつけることは新たな農家いじめの何ものでもないと思うけれども、いかがであろうか。
 知事は、やむを得ない選択だと、生産調整協力者へのメリットになればということであるけれども、私は現実にはメリットにならないのではないかと思うけれども、いかがであろうか。
 97年産米の価格補てんはどうなるであろうか。
 生産者米価は2.5%下落すると23年前の、1975年の米価の水準になる。岩手県の米生産費は2次生産費を含めると1万9、037円である。大幅に下回った生産費になるわけであり、私は耕作放棄をする農民がふえるのではないかと大変危惧をするが、どのように見ているであろうか。

〇吉永副知事 まず、稲作経営安定対策の財源であるが、対策全体の中でこれは調整されたもので、ここの財源については承知しているところではない。
 次に、農家の新たな拠出額については基準価格の2%となっておるが、これは基準価格が確定しないこと等から、現段階では県内で幾らになるかということについては算出しかねるので、御了承願いたいと思う。
 政府の支出は自主流通米助成金の振りかえではないかということであるが、これは冒頭で申し上げたとおり、新たな米政策の対策全体の中で調整されているものと伺っているところである。
 次に、こうした対策は農家いじめではないかということであるが、今般新たな米政策は、現下の米をめぐる情勢に対処して、米価の早期回復による稲作経営の安定を図るとともに、生産調整実施者に帯するメリットを明確にするために打ち出されたものと伺っておる。農家いじめとは考えておらない。
 現在の対策と、例えば新たな対策の総額であるが、これは委員御存知と思うけれども、現在の対策は、新生産調整対策費と計画流通推進総合対策を合計すると2002億円である今後の新たな対策は、生産者調整推進対策とそれと水田、麦、大豆、飼料差靴幾つかの対策があるが、合計したところ2年分で6101億円となっておるので、この2年分を1年分に比較しても現行の対策等の間では増加した部分もある。苔をどこから増加したか、そういったことが今後明らかになってくるかと思うわけであるが、これを単純に振りかえとか、単純に農家いじめとか、そういったふうには、まだ私は評価できるものではないと考えている次第である。
 それから、9年産米に対する価格補てん対策については、新たな政策への移行対策として、稲作経営安定対策と同様の趣旨で価格補てんされることになっておる。
 耕作放棄地が拡大するのではないかと。この生産調整、今後進めなければならない非常に大きな重いものであるということは、その認識については、私は委員と共有するものと考えるものである。しかし、それをしないとそうしたらどうなるかということを考えたときには、万やむを得ないものである。そうであるので、こうした新たな政策といったもの、今、申し上げた新たな米対策を積極的にむしろ活用して稲作経営の安定を図るとともに、稲作と転作を通じた望ましい営農を確立するような、そういった努力を今後図っていくべきではないか、そういうように考えている次第である。

〇斉藤委員 詳しくは農政部でやる。
 農家には新たな負担だけれども、米の価格を守る保障は、一つもない。
 大規模林道川井住田線について。
 大規模林道川井住田線のクマゲラ、クマタカ、イヌワシ等の生息状況、貴重な自然環境について、県はどう認知されているのか。 
 林野庁マニュアルや環境庁の手引に基づいて、工事を凍結して科学的な環境影響調査をすべきと思うが、いかかであろうか。
 奥産道安ケ沢線、広域基幹林道夏油湯田線の場合の環境調査は、具体的にどういう体制で、どういう内容で行われているのか。
 大規模林道についても、既に県が実施しているように、工事を凍結して科学的調査を行うよう森林開発公団に強く求めるべきと思うが、いかかであろうか。

〇吉永副知事 多くのことをお聞きになったので、順次お答えする。
 まず、クマゲラ、クマタカ、イヌワシ等野生動植物は、生態系の非常に重要な構成要素であって、人間もその自然環境の重要な一部として大切なものと考えておる。現在実施中である大規模林道圏開発林道川井住田線の横沢荒川区間は、計画延長41.4キロのうち約8割が完成しており、残り7キロの工事を進める過程において、平成6年にクマゲラの生息に関する情報が寄せられたことから、平成7年、8年において生息確認調査を実施した結果、クマゲラ本体や営巣木の存在は認められなかったものの、クマゲラの可能性のある痕跡木が確認されたということである。また、この調査を実施する過程でクマタカ、イヌワシの飛しょう情報が寄せられたことから、本年度は、森林開発公団においてクマタカ、イヌワシ等猛禽類の生息状況調査を実施すると聞いておる。
 県としては、森林開発公団に対して、生息状況調査が速やかに実施されるよう要請してまいりたいと考えておる。
 森林開発公団において、この大規模林業圏開発林道の実施に当たっては、委員がお引きになった林野庁のマニュアルあるいは環境庁手引に基づいてこれを処理したわけであるが、そのマニュアルについてよると、まず、情報が寄せられた場合において、その稀少な鳥類の情報内容が具体的かつ信憑性があり、しかも繁殖の可能性が高い場合、これに該当した場合は工事をいったん停止して調査するとなっているわけであるが、公団は、この場合に該当しないとして、工事を一時停止した上で確認調査をするということはやっていない。ただしこの工事を停止しないで事業は継続しているわけであるが、他方、森林開発公団においては、自然環境に十分配慮するという観点から、工事を実施しながら稀少な鳥類の調査をしてきたところである。今後とも、県としては、こうした林野庁マニュアル、環境庁の手引にのっとって対処するよう、森林開発公団に対しては要請してまいりたいと考えているところである。
 それから、沢内村安ケ沢線の環境影響調査であるが、これについては、本計画路線の一部が特別植物群落和賀岳のブナ林地域であること、和賀川林道の奥地においてクマタカの飛来及び赤沢ダム周辺においてクマゲラと思われる食痕跡が確認されたとの報告があったところから、自然と共生する道路整備の観点から、課題を抽出して、その対策について提言をいただくため、生態学や造林学及び自然保護の専門知識を有する方々6名による安ケ沢線環境影響調査委員会を設置したところである。
 調査内容は、本計画線周辺に係る動植物について、既存の文献、報告書等による調査及びブナ等の植生調査やイヌワシ、クマタカ、オオタカの猛禽類等貴重な動物の生息調査を行おうとしておる。文献調査などを踏まえて、平成9年7月9日に第1回環境調査委員会を開催し、調査の範囲、項目及び頻度などの調査の方法を検討し、現地調査は春、夏、秋、冬の4シーズンに区分し、その期間をおおむね1年とし、調査計画書を作成した。この計画書に基づいて、平成9年度は夏、秋の調査及び冬の調査の一部、平成10年度は冬の調査の残部及び春の調査を行い、6月末に完了する予定である。
 もう一つの広域基幹林道夏油湯田線については、平成6年7月に、工事を進めている過程でイヌワシやクマタカがいるという情報が寄せられたため、鳥類、植生及び森林防災部門の専門家4名で構成する調査委員会を平成7年2月に設置して生息確認等の調査を行っているところである。具体的には、鳥類、植生、森林防災それぞれの専門分野ごとに鳥類やイヌワシやクマタカ等稀少な鳥類の生息確認調査、植生は貴重な植物の植生の確認調査、その他を行っているところである。
 大規模林業圏開発林道川井住田線であるが、これについては、先ほど申したとおり、マニュアルにのっとって一時停止せずに工事はしているが、調査しているという状況である。この林道については、地元市町村及び住民から林道を基軸とした産業の振興、地域の定住環境の改善等のために早期完成が強く求められているということも一面にあるので、自然環境に十分配慮しながら、計画的な整備の推進ということは行っていきたいと考えている次第である。

〇斉藤委員 各論は、私、部局でやるから。奥産道以上に貴重な状況である。
 新ガイドラインと花巻空港の軍事利用について。
 新ガイドラインは、周辺有事を理由として、アメリカが引き起こす戦争に自衛隊と国民、地方自治体と民間を巻き込むことになる自動参戦システムをつくる、事実上の安保条約の大改革である。花巻空港の場合、一昨年2月、3月の米共同訓練の際に米軍海兵隊の使用があったようだが、実際はどうなのであろうか。県はどう対応したであろうか。
 昨年8月にも三沢の米軍機によるタッチ・アンド・ゴーの慣熟飛行訓練のための使用要請があったようだが、事実であろうか。県は、どう対応したのであろうか。
 民間空港である花巻空港の軍事利用は絶対に認めるべきではないと考えるが、いかがであろうか。
 港湾施設についても、神戸市は非核証明がない艦船の入港を禁止している。高知県も今年の10月に非核神戸方式を適用する考えを明らかにした。岩手県としても。神戸市や高知県のように非核証明を求めるべきではないのか。
 県内市町村の約8割に当たる46市町村が非核都市宣言を行っているが、岩手県も非核平和宣言を行うべきではないのか。

〇吉永副知事 まず、一昨年2、3月の日米共同訓練についてであるが、平成7年2月20日から3月2日にかけて岩手山中の演習場で実施された日米共同訓練に際して、米軍のVIPの輸送のために花巻空港を使用する旨、在日米軍から県に対して同年2月8日に日米地位協定に基づく通告があった。日米地位協定第5条によると、米国の航空機で、米国によって、米国のために、または米国の管理のもとに公の目的で運航されるものは日本国の飛行場に出入りすることができるということになっておって、空港管理者は当該出入りを拒否できないこととされておる。米軍は、同年2月21日から3月1日までの間の延べ6日間に、C12ビーチクラフト機--双発プロペラ機で10回、C21ビジネスジェット機で1回、計11回にわたり花巻航空を使用した。
 なお、県は、人命に関わると認められる緊急やむを得ない場合を除き、花巻空港の使用については差し控えるよう、米軍に対して要請したところである。
 次に、平成8年8月に花巻空港においてタッチ・アンド・ゴーを行う旨の要請が米軍からあったが、実際は米軍は使用しなかった。このタッチ・アンド・ゴーは、日米地位協定第5条の出入りの一環として行われる慣熟飛行の場合を除いて同条に規定する出入りに該当しないため、タッチ・アンド・ゴーの訓練とみなされる飛行は慣熟飛行として行われる旨事前に空港当局に通報があった場合を除き認めないこととされたいという運輸省航空局の通知に基づいて、県は、訓練飛行についての使用を差し控えるよえ、米軍に申し入れちところである。
 次に、花巻空港の利用であるが、空港管理者は、日米地位協定第5条に基づく米軍機の飛行場への出入り、これは地位協定に基づくものの場合には出入りは拒否できないということは、先ほども言ったとおりである。県は、従来、花巻空港の使用については、人命にかかわると認められる緊急やむを得ない場合を除いて差し控えるよう、米軍に要請してきたところである。
 港湾施設利用における非核証明であるが、御案内のとおり、わが国は非核三原則をとっているところで、国内への核の持込みは有りえないものと考えている次第である。

〇斉藤委員 最後である。
 食糧費、旅費問題について。
 食糧費の調査はどういう調査方法で行っているのであろうか。
 年内中に調査するとしているが、どこまで調査は進んでいるのであろうか。年内中にまとまるのか。
 食糧費調査委員は、どのような基準、方法で選任されたのであろうか。 
 食糧費調査委員会は、実際どのような調査、検証を行っているのであろうか。
 カラ懇談会、カラ食事券について具体的な指摘がなされているが、その指摘分について調査の状況を示していただきたい。
 今回の調査の最大の問題点は、旅費問題を対象としなかったことである。既にカラ宿泊が5年間で388件、518万円余明らかになっているが、私のところへもカラ出張の内部告発が少なからず寄せられている。全国的状況を見ても、旅費の公金不正がその中心となっている。なぜ旅費問題を調査しようとしないのかお聞きしたい。

〇大隅総務部長 先ほどの非核平和宣言についてであるけれども、平和は人類普遍の念願であって、恒久平和の実現はすべての人類の願いであるとだれもが考えていると思う。しかしながら、これを実現するための方策については、これは主として国政レベルの問題ということであり、また、様々な議論があるところでもある。したがってお説のような宣言については、本県としては、これを直ちに対応することが適当と考えていないところである。
 次に、食糧費、旅費等のご質問があったが、まず、食糧費であるけれども、食糧費の調査は、食糧費の執行を伴う懇談あるいは茶菓子とか弁当、食事券等の経費について、その関係書類に基づき、1件ごとに事実関係を確認調査することとしておる。特に懇談については、相手方を含む出席者の確認を行うこととしておる。
 また、調査期間は、公所によって保存状況等が異なるけれども、出納関係の書類が5年保存されているということもあって、その範囲内で可能な限り調査を行うこととしておる。
 それから、調査は、調査委員会の助言、指導を得ながら、県が適正な行政管理を図るため諸対策について調査、審議等を行うことを目的として設置しておる行政管理委員会が行うこととしておる。
調査委員会は、この行政管理委員会がまとめたものを審査、点検すると、また、必要に応じて照合等を行うとしておるものである。
 それから、次に、行政管理委員会による調査であるけれども、これは大変件数が多く、また、各部局間によって差はあるが、それぞれ今、各部局において、その主管課を中心に出席者等の確認等を行っている状況である。今後は、調査が終わる都度、行政管理委員会において確認ヒアリングを行ない、また、完了したものから順次審査、点検を行うこととしておるが、なかなか調査が難航しておるという実情である。
 次に、食糧費調査委員会の委員であるけれども、これは、法制上の専門的知識あるいは行政運営に関してすぐれた識見を有する方々をお願いしたところである。専門性という観点からは弁護士、公認会計士の方を、また、有識者という観点からは大学教授等をお願いしたところである。さらにまた、この調査は、行政管理委員会を通じて行っておる。その自浄作用を図るという観点からも、その委員長たる総務部長も構成員としているところである。
 最後に、旅費調査の関係であるけれども、委員御指摘の件数、金額等、これは本年5月に監査委員から適正な措置をとるように勧告があったいわゆる居住地出張に係る内容のものであるけれども、これについては、職員の居住地と用務地との関係、さらには、用務内用等から見て特殊性のあるものなので、これまでの内部考査などで見抜けなかったという事例である。勧告を受けたようなものに類似するような不適正なものはないかどうか点検を行ったということである。その点検の結果、勧告に類似する旅行命令が相当数あったところで、これを適正な処理をしたところであるが、まことに遺憾な事例であったと考えておるところである。旅費の執行については、毎年度、監査委員の監査あるいは出納の会計実施検査、さらには、各部局における行政考査においてチェックが行われているわけである。また、平成7年度の定期監査の結果に関する報告の中で、不適正な事例等を踏まえて再発防止についての御意見があったところから、平成7年度1年度分について、すべての旅費の執行について各部局が内部考査を行った結果、居住地出張に係るもの以外には特に問題になるものはなかったという報告があった。したがって、旅費についてこれ以上の調査を行うということは考えていないところである。
(斉藤委員「答弁漏れ。私が指摘したものの調査はどうなっているか答えてないじゃないか。」と呼ぶ)
 答えの漏れたものがあったが、斉藤委員から御指摘のあったような監査委員から勧告があったものについての食糧費に関する調査であるが、これは、現在、全庁的な調査を行っておるものであるから、それらと密接に関連を有するし、また、それを契機とした全体への取り組みを行ったものでもあるので、そうした中で一体として調査を行うということである。

〇斉藤委員 年内中にできるのかどうか。これは知事の公約なんだから、知事の11月定例記者会見でも、できないという報告は受けていないといっている。行政管理委員会の調査は年内にまとまる見通しなのかどうか、はっきり答えていただきたい。
 それと、旅費の問題については、例えば、最近、福島県が約30億円の公金不正を出したけれども97%旅費である。新潟県も8割が旅費である。だから私は、この旅費問題というのを本気でやるべきだと思う。そうしないと県民の信頼を受けないと思うけれども、どうか、旅費問題について、やる気は全然ないのか。

〇大隅総務部長 旅費については、先ほどからお答え申し上げたとおりである。
 なお、食糧費に関する調査のめどであるけれども、こうして全庁挙げて真剣に取り組んでおる状況にあるので、期間は、確かに目標として本当に大変職員が努力しておるわけであるけれども、やはりしっかり内容を見きわめ、確認する必要もあるので、場合によると、仮に間に合わないような事態となってもやむを得ないと思っておる。

〇斉藤委員 議会なんだから、間に合うか、間に合わないかはっきり表明すべきである。
 終わる。

〇長谷川委員長 ほかに質疑はないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇長谷川委員長 質疑がないようなので、総括に対する質疑はこれで終わる。
 以上で、本日の日程は全部終了した。あす以降は、毎日午前10時から開会するので、よろしくお願いする。
 本日はこれをもって散会する。
   午後6時46分 散 会


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