平成9年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、第11号、並びに第12号に反対の討論を行います。
 認定第1号1996年度岩手県一般会計決算に反対する第1の理由は、むだと浪費のゼネコン型公共事業を推進する一方で、県債残高が8、122億5、200万円に達し、深刻な財政破綻に陥っていることであります。96年度の普通建設事業費は3、502億円に及び、前年度比で4・6%増でしたが、県単独事業費は1、372億7、700万円余で過去最高額となり、前年度比で17・3%も増加いたしました。
 一方で、住民の安全、健康、福祉を保持するという、地方自治体で一番重視すべき社会保障関係費は約965億円で公共事業費の27・5%、約4分の1にすぎません。ここに県政のゆがみが典型的に示されています。公共事業の中には、ゼネコン型公共事業と言うべきむだと浪費、自然環境破壊そのものと言うべきものも少なくありません。原生林の伐採で大問題となった奥産道雫石東八幡平線や地域住民の多くが知らずに20年以上も続けられていた奥産道安ケ沢線などの道路建設事業、治水、利水の必要性がないとして休止、凍結を打ち出した県営ダム建設、これはまだ第1歩の見直しにすぎません。まともな環境アセスを行っていたら絶対に通してはならないところに工事を進めている大規模林道川井住田線、整備目標と大きく乖離が明らかとなっている港湾整備事業など、県財政の危機的状況のもとで、むだと浪費のゼネコン型公共事業を今こそ思い切って全面的に総点検し、見直しすべきであります。
 反対の第2の理由は、福祉、医療に冷たい県政であるということであります。
 介護保険法案が多くの国民の不安と危惧を無視して強行されました。その内容は、立ちおくれた福祉の状況のもとでは保険あって介護なしと言うべきものであります。特別養護老人ホームの入所待機者は毎年100人ずつふえ続け、9月末現在では976人に達しています。入所の約8割は入所費用4万6、000円以下で、介護保険が実施されれば大きな値上げとなり、追い出されかねない状況であります。ホームヘルプサービスを受けている約8割は現在無料でありますが、介護保険では保険料とともに1割の利用料が徴収されます。今、サービスを受けている人、サービスを必要とする人が受けられなくなってしまいます。在宅福祉の3本柱のサービス状況も、県内市町村の間で6・25倍の格差が生まれています。国保税は、今でも高過ぎて払えない滞納世帯が2万2、252世帯、加入世帯の約1割に及び、滞納額は累積で60億7、900万円、単年度でも17億円となっています。介護保険が上乗せされるなら、さらに滞納者が増加することは明らかであります。高過ぎる国保税のため込み基金は102億円、さらに黒字額は約49億円となっていますが、こうしたため込み黒字は加入世帯に引き下げで還元すべきものであります。
 反対する第3の理由は、深刻な不況のもとで、県単融資制度の改善は行われたものの、中小業者が求める必要な対策が講じられていないことであります。県営建設事業でも県内中小企業発注比率は82%から77・5%に4・5%も後退し、青森、福島各県と比べてみても3・6%から6・4%も低下しています。
 大型店の占める売り場面積は既に全県平均で45・5%に達し、50%を超える市町村は11市町村となっています。大型店の出店は既に大型店同士の死に物狂いの競争の状況となっており、県内でも中心商店街からの撤退の事態も生まれています。住民が主人公の立場でまちづくり、都市計画、環境、交通問題など、行政ができるあらゆる対策をとるべきであります。
 反対する第4の理由は、農林漁業行政のゆがみが拡大していることであります。1、289億円余の農政部の決算額のうち、農業土木事業が占める割合は812億円、63%となっています。林業では68・1%、水産では実に75・1%が公共事業で占められています。今、米の暴落で80億円の減収、政府米米価で3億2、000万円の減収、さらに来年6、300ヘクタールの減反拡大では単純に90億円の減収を農家は余儀なくされようとしています。農民の6割以上が必要としていない500億円から700億円の事業費のかかる馬淵川沿岸地区国営かんがい排水事業などを根本的に見直して、真に農業と農家の経営を守る行政に転換を図ることが必要であります。とりわけ米の減収対策では、県独自の対策を具体化するよう強く求めるものであります。
 反対する第5の理由は、いじめ、不登校、高校中退の増加など、教育のゆがみが一層深刻となっていることであります。小学校低学年からの詰め込み教育、できないのも個性として差別と選別の教育を進める新学力観の矛盾と破綻は明白であります。生徒が減少するこの時期こそ、希望者全員の高校入学を実現させるなど、受験戦争のない、わかる喜びをすべての子供が実感できる行き届いた教育を今こそ実現すべきではないでしょうか。教師による体罰も横行しており、あらゆる体罰を禁止するよう徹底すべきであります。
 O-157事件から1年が経過しましたが、学校給食の調理員は、盛岡市を初め、全県で29名が増員されました。しかし、栄養職員は逆に3名減少しています。学校給食施設については199施設のすべてに保健所による改善勧告がなされています。子供たちの生命と健康にかかわる学校給食施設の改善と調理員、栄養職員の増員は緊急重要な課題であります。
 最後に、県政の不正、腐敗が明らかとなったことであります。カラ懇談会、カラ食事券の疑惑が明らかとなり、県は、第三者機関を含めた食糧費調査委員会を設置しました。私は、これまで具体的な事例を示して全庁的な解明を求めてきました。食糧費の調査では、指摘された疑惑のすべてを解明すべきであります。同時に、カラ出張、水増し出張、実態と違う出張など、旅費問題についても責任ある調査をすべきであります。これまでの内部調査や監査委員の監査でも明らかにできなかったことは極めて重大で、第三者による旅費問題の全庁調査を行うよう強く求めるものであります。
 認定第11号は、港湾整備事業特別会計決算であります。港湾の使用料及び手数料は3億1、989万円余ですが、一般会計からの繰入金は21億1、477万円、県債発行額は4億6、500万円となっています。これまでの借り入れ総額は465億円に達していますが、計画貨物量に対する実績は、久慈港8・36%、宮古港29・7%、釜石港28・2%、大船渡港78・3%、八木港33・3%となっています。既に計画当初の整備目的の根拠が崩れているところもあります。ゼネコン型公共事業の縮減方針から見て、根本的に見直しされるべきものであります。
 認定第12号は、県民ゴルフ場事業特別会計決算であります。決算額2億5、724万円余のうち使用料は6、629万円余で25・7%、一般会計と県債から1億9、085万円の繰り入れを行っています。管理事業費で1、120万円の繰り入れです。年間利用者は目標の2万3、000人を大きく下回る1万2、325人で、前年度よりさらに154人も減少しています。赤字体質は構造化しており、今後のあり方を含め、根本的に見直すべきであります。
 以上述べて私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(那須川健一君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
 これより認定第1号、認定第11号及び認定第12号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立多数であります。よって、認定第1号、認定第11号及び認定第12号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号から認定第10号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第10号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   
日程第38 議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて

〇議長(那須川健一君) 次に、日程第38、議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉浩一君登壇〕

〇副知事(千葉浩一君) 本日提案いたしました人事案件について御説明いたします。
 議案第21号は、収用委員会の委員であります岩崎康彌氏及び野村弘氏の任期が12月24日で満了となりますので、両氏を再任するため議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願い申し上げます。

〇議長(那須川健一君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、議案第21号収用委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   
日程第39 発議案第1号地方分権の推進に伴う地方税財源の充実確保等についてから日程第43 発議案第5号サッカーくじに依存しないスポーツ振興関係予算の大幅増額についてまで

〇議長(那須川健一君) 次に、日程第39、発議案第1号から日程第43、発議案第5号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより発議案第1号から発議案第5号までを一括して採決いたします。
 各案件は原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(那須川健一君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第5号までは原案のとおり可決されました。
   
   閉 会

〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第12回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後2時57分 閉 会

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