平成9年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(久保田晴弘君) 社会民主党の久保田晴弘でございます。
 請願陳情受理番号第10号「夫婦別姓」制の導入反対についての請願を採択することに反対の討論を行います。
 社会民主党は、人権を守り、共生社会を実現する立場から、民法750条夫婦の同姓を定める規定を改正し、選択的夫婦別姓制を導入することについて基本的に賛成であります。
 1995年、法制審議会身分法小委員会は、変化する家族と夫婦関係に見合った結婚、離婚制度のあり方を検討し、その結果を中間報告として公表しました。報告は、夫婦のそれぞれが結婚前の自分の姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓制度の導入をうたいました。これを受け法務省は、夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗ることができるとした民法改正を準備し、政府がそのための改正案を1997年、140回通常国会に提案したのであります。しかし、自民党や一部の勢力には、法改正は家族の崩壊をもたらすという意見が根強く、結局140回通常国会で廃案になりました。今日、社会一般で言うところの家族が崩壊している原因の多くを見た場合、そのケースとしては夫婦の一方が、特に男性の側が相手の立場を尊重する姿勢を欠いたり、相互信頼のもとになる人権を無視したり、自己中心の享楽に走ったり、家族同士がいたわり合う人間関係を喪失したり、遺産相続をめぐる争いや家族間に金銭にかかわるトラブルが生じたときなどではないでしょうか。民法改正の趣旨は、双方が結婚を合意する際に、同時に別姓になることを選択するものであって、同姓を選択する自由を保障しているのであります。いわゆる家族の崩壊につながると考えることは本質的に違いがあるものと考えます。
 選択的夫婦別姓制度の実現は、選択の自由と多様なあり方を認め合う共生社会づくりにとって重要であり、また、国際的見地からも日本の批准している女子差別撤廃条約や、第4回世界女性会議の行動綱領及び1994年、国際家族年の国連の宣言による視点からしても、男女共生社会実現に向けて両性の平等の個人の尊重を理念とした民法改正は時代の潮流であると言うべきものと考えます。
 以上が請願陳情受理番号第10号の採択に反対する理由であります。議員各位の御理解と御賛同を賜りますようお願いいたしまして、反対討論を終わります。御清聴ありがとうございます。(拍手)

〇議長(那須川健一君) 次に、折居明広君。
   〔26番折居明広君登壇〕


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