平成9年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 環境福祉常任委員会で「夫婦別姓」制の導入反対についての請願が採択されたことについて、環境福祉委員長に質疑いたします。
 選択的夫婦別姓を含む民法改正の動きは、女性の社会進出があらゆる分野に進み、男女平等を求める国民の世論の高まりの中で、96年2月、政府の法制審議会が答申を発表したことで現実的な課題となってきたものであります。既に日本共産党を含め自民党を除く各党も改正案を出しています。そこで、具体的に伺います。
 一つ、請願では夫婦別姓制が極端な個人主義的傾向を生み出す危険性は極めて高く、家族の一体感を喪失させ、家庭の崩壊に拍車をかけることにもなりかねないと主張していますが、その根拠は何でしょうか。
 二つ、請願では我が国における夫婦同姓制度は、明治維新以降に採用されたものであるが、国民生活に支障なく定着してきた。日常生活のみならず精神文化の重要な要素ともなっているとしていますが、歴史の事実に反するのではないでしょうか。歴史の事実は、すべての国民に姓が認められたのは明治3年、1870年の太政官布告からでありますが、明治31年、1898年に明治民法が公布、施行されましたが、ここでは、妻は婚姻により夫の家に入るとされたものであります。戦前の明治民法は家制度が柱で、女性には選挙権もなく、妻は法律上無能力扱いされていたものであります。戦後、新憲法によって大転換が図られ、憲法第13条で、すべての国民は、個人として尊重されるとされ、14条では、すべて国民は法のもとに平等であるとされています。24条では、結婚など家族に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないとしています。選択的夫婦別姓は、憲法の精神に基づくものと考えますが、いかが審査されたのでしょうか。
 3番目、総理府が96年11月に発表した世論調査では、選択的別姓について、希望する人に認めてもいいとする人が55%、過半数を超えています。国会図書館の92年の海外調査では、調査対象国の85%が夫婦別姓を認めています。こうした国民の世論、海外諸国の動向についてどう審査されたのでしょうか。
 最後に、選択的別姓は、別姓を強制するものではなく、個人の尊厳を重んじ、男女平等を前進させるものと考えますが、どう審査されたのでしょうか。

〇環境福祉委員長(三河喜美男君) 受理番号第10号「夫婦別姓」制の導入反対についての請願審査に当たっては、夫婦別姓制の導入は選択の幅を広げるものであり、請願の表現は適当でなく採択すべきでないという御意見もあったところでありますが、採決の結果、多数をもって採択と決定をいたしたものであります。
 なお、海外諸国の動向等につきましては、質疑、意見交換がなされなかったところであります。
 以上であります。

〇議長(那須川健一君) 以上で通告による質疑は終わりました。
 これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。討論の通告がありますので、発言を許します。久保田晴弘君。
   〔24番久保田晴弘君登壇〕(拍手)


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