平成9年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇1番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号家畜保健衛生所条例及び地域農業改良普及センター設置条例の一部を改正する条例について質疑をいたします。
 最初に増田知事に伺います。
 今回の改正条例案は、農政部の行政機構の再編整備によるものであります。再編整備と言うなら、1、000億円余の農政部予算の6割以上が農業土木事業となっている岩手県農政の最大のゆがみ、矛盾を解決し、農業の多面的発展を図ることこそ重要と考えますが、いかがでしょうか。そのためには、直接農家と結び活動している改良普及員の活動の拡充を図ることこそ求められているのではないでしょうか。増田知事は、明日の岩手を語る知事と市町村長との懇談会において、農業振興の観点から、農業改良普及員はふやしたいと発言したと報道されています。私は、この発言を注目し、歓迎をするものであります。この発言の真意と農業改良普及員、農業改良普及センターのあり方について、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 第2に、条例案では、農業改良普及センターは17カ所から12カ所に統廃合し、22カ所の市町村駐在はすべて廃止しようとするものであります。少なくない市町村から、農業改良普及センター、駐在の廃止に反対の要望が強く寄せられたと聞きますが、その理由、要望の趣旨はどういうものでしょうか。県農政部として、どう対応し、理解と納得を得られたのでしょうか。
 第3に、農業改良普及センターは12振興局単位に設置するとしていますが、地域農業の実態に合わない再編ではないでしょうか。各市町村の農業粗生産額、95年度を見ると、廃止対象の江刺市は県内第4位、120億1、400万円、紫波町は第5位で119億7、300万円となっています。紫波、矢巾地区で見ますと185億1、600万円であります。一方、釜石市は、県下第54位で8億3、500万円、大槌町を含めても13億8、200万円で、江刺市の9分の1にすぎません。県内有数の農業地域である紫波、江刺の農業改良普及センター廃止の理由は考えにくいのですが、いかがでしょうか。物理的にも、江刺、紫波のセンターを水沢、盛岡に統合した場合、盛岡、水沢合庁とも統合する農業改良普及員の許容スペースがないと考えられますが、どうでしょうか。特にも、盛岡農業改良普及センターは日本有数の規模になると考えられますが、農家に密着した本来の仕事、活動が低下するのではないでしょうか。
 第4に、22カ所の駐在を廃止して市町村と結びついた活動をどう進めるのでしょうか。岩手、湯田、岩泉、軽米の4カ所に地域普及所を設置するとしていますが、その人員、体制、機能はどうなっているのでしょうか。再編案によれば、市町村担当普及員は原則として週3日程度、連絡拠点を中心に始業時から相談等の業務に従事するとしていますが、これは人事管理上問題ではないでしょうか。
 第5に、今回の再編と条例改正案の背景には、農業改良普及員が行政改革の対象となって大幅に削減されてきたことがあります。1971年と比較すれば、改良普及員で384名から270名、114名削減をされています。専門技術員でも21名から16名へ5名削減をされています。合計119名も削減をされているのが実態であります。この間の経過には、1969年に市町村域を越えた広域活動体制にしたものの、1976年に広域専門の分担制を見直し、駐在制を含む駐在分担制をとっています。この当時は1市町村を平均5・1名が担当し、1駐在も平均3・9人の体制でありました。この間の経過や教訓をどうくみ取っているのでしょうか。抜本的な普及員の増員と市町村に密着した高度な援助体制が必要と思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、家畜保健衛生所は8カ所を盛岡、水沢、久慈、二戸の4カ所に統合するとしています。当初の案では、盛岡、江刺、二戸の3カ所とされていましたが、江刺ではなく水沢となったのはなぜでしょうか。久慈、二戸については、再編案では、当分の間存置するとしていますが、当分の間とはどの程度の期間でしょうか。4カ所に統合された場合、家畜保健衛生所はどのように機能が改善、強化されるのでしょうか。
 以上、お聞きをいたします。答弁によっては再質疑いたします。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員のお尋ねにお答えを申し上げます。
 農業改良普及員、農業改良普及センターのあり方についてでございますが、農業改良普及センターは改良普及員が巡回指導するなどにより、直接農業者に接して農業の技術及び経営や農村生活の改善に関する普及指導に当たりながら、農業者にサービスを提供する機関でございます。今般の再編整備は、小規模普及センターの統合や市町村駐在制を廃止いたしまして、職員配置の見直しなどを行うことによりまして、専門的かつ高度な技術を有する改良普及員の現地での活動時間の増加を図り、適切な栽培技術指導や経営指導を行うなど、農業者からのニーズにより的確に対応するため、現地指導を充実強化しようとするものでございます。
 私は、これからの本県農業の振興にとりまして、こうした現地での指導が極めて重要であると、このように認識をしているところでございまして、農業研究センターでの研究ということも大変重要でありますし、そしてまた、この現地での営農指導ということも大変重要であると、こういうふうに認識をしておりますので、農協の営農指導員などとの連携もとりながら、農業者に対してより高度かつ専門的なサービスが提供されるよう、改良普及員の必要な人員の配置に努めてまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、農政部長からお答えを申し上げます。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) まず、市町村からの要望とその対応についてでありますが、農業改良普及センターや駐在制が廃止される市町村からは、改良普及員の現地での指導活動が、従来より時間的制約を受けることが懸念されるなどの理由から、農業改良普及センター及び市町村駐在制の存続要望がありましたが、県としまして、存続要望をしております市町村に出向きまして、具体的な改良普及員の活動体制や指導内容につきまして御理解をいただくよう説明してまいったところでございます。
 次に、農業改良普及センターを地方振興局ごとに設置することについてでありますが、地域農業の振興課題に的確に対応するため、農業改良普及センターと地方振興局の農政部門が一層連携を強化し、総合的な農政の推進を図る必要がありますことから、地方振興局の所管区域ごとに再編するものであります。再編後の配置場所は合同庁舎を原則としながらも、江刺、紫波につきましては県有施設でもありますことから、一部使用について検討しているところであります。
 なお、盛岡農業改良普及センターにつきましては管轄区域が広いことなどから、より一層地域課題に即応した活動体制とするため、支所として岩手地域普及所を設置するものであります。
 次に、駐在制廃止後の活動体制についてでありますが、再編整備後は専任の市町村担当職員を定め、日常的に現地に出向き、市町村との連携を強化しながら、必要に応じ地域課題に対応する業務や作目ごとのチームを編成し派遣するなど、農業者への現地指導をより充実することとしております。
 なお、連絡拠点における始業時間からの業務につきましては、人事管理上の問題が生じない配慮をしてまいる考えであります。
 また、地域普及所は農業改良普及センターの支所として設置し、地域普及所長のもとに管轄区域の市町村を担当する改良普及員と地域の主要作目の技術指導を担当する改良普及員を配置することとしております。
 次に、普及員の人員と市町村に密着した高度な援助体制についてでありますが、これまで改良普及員については毎年度継続的な見直しを行いながら、適切な配置に努めてきているところであります。今後とも、限られた人員の中で地域の課題に即応し、より効率的、効果的な普及指導活動とすることが必要であると考えております。このような観点から、市町村に密着した体制につきましては、駐在制の廃止によって普及指導活動が後退しないよう、十分配慮してまいりたいと考えております。
 なお、普及員の人員については知事答弁のとおりでございます。
 次に、家畜保健衛生所の統合についてでありますが、再編整備する家畜保健衛生所につきましては、家畜別専門職員や部門別専門職員を配置して高度な知識、技術が生かされる総合的な指導体制を確立するとともに、高度な検査機器を整備して病性鑑定等の分野を充実することとしております。
 たたき台で示しました江刺から水沢に変更いたしましたのは、家畜保健衛生所業務に不可欠な解剖・焼却施設の設置が周辺環境事情から難しいため、現行の水沢家畜保健衛生所の機能を活用することとしたものであります。また、久慈・二戸家畜保健衛生所につきましては、県央部、県南部に比較して道路網がいまだ整備されていない状況などもあり、整備されるまでの間存置することとしたものでございます。
   

〇議長(那須川健一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   

〇1番(斉藤信君) 簡単に再質問させていただきます。
 知事の発言は、これは市町村長との懇談の場での私はこれは公約に匹敵する重みを持つのではないかということで注目したわけですが、農業振興の観点から農業改良普及員はふやしたいと。今の答弁だと、このふやしたいというのがはっきり表現されていないんですね。私は本当にふやしたいのかどうか、そのことをもう一度知事にお聞きしたい。そして今の知事の答弁を聞きますと、現地指導を充実強化すると、私はこれは大変大事だと思うんです。ところが、現地指導を充実強化すると言いながら現場からは撤退すると、統廃合するということですから、そういう点で私は人をふやすのかどうか、そしてどうやって現場指導を強化しようとしているのか、この点を知事にお聞きします。
 農政部長、私は紫波と江刺は矛盾の集中点だと思っています、今度の再編の。というのは、農業確立計画では岩手県を18の農業地域に区分をしています。この理由はこう書いている。
 この計画では、農業地域としての自然条件や農業構造の特徴などを基礎として次のように18地域に区分する。この18地域の中で、普及センターも普及所も設置されないのが紫波と江刺だけなんです。私は、岩手県の農政を平成12年を目標にして計画したこの18地域の位置づけが、今度のいわば農政部の機構再編で何で変わるのか。私は、行政機構が優先して岩手の農業地域のこの位置づけを無視するような再編になっているのではないかと思いますけれども、それを私はお聞きしたい。
 そして今の答弁ですと、紫波と江刺は一部使用すると言っていますね。立派な施設があるんだけれども、一部使用だと。例えば、紫波は現在10名配置されています。江刺は9名配置されています。釜石は7名ですよ。いわば、私は粗生産額も話したし、人員体制も言ったけれども、岩手の農業においてこれだけの位置づけと重みを持っている地域に普及所も設置されないというのはなぜですか。紫波町は距離的には20キロで近いかもしれないけれども、盛岡の交通事情を考えたら決して近いと言えないんです。私はそういう点で、これは本当に矛盾の集中点だと思うけれども、説得力ある答弁をいただきたい。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) ただいまの斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 私はこれから県事業を推進していく上で、現場が大変大事であると、こういうことを思っておりまして、来年度に向けまして本庁の人員は極力減らすと、そして振興局、そうした現場で働く人たちの数をふやしていきたいと、このように考えているところでございまして、現在、作業を進めているところでございますが、本庁の人間を極力縮減をしてこの農業改良普及員の定数はふやしたいと、このように考えております。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) 江刺、紫波のそれぞれの庁舎でございますが、先ほど申し述べさせていただきましたように、活用しながら普及活動をしてまいる考えでございます。

〇議長(那須川健一君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、45人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、45人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(那須川健一君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、12月1日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。
 改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第14号までは、お手元に配布いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
 (第12回県議会定例会平成9年11月28日)
総務委員会
1 議案第2号
2 議案第3号
3 議案第7号
商工文教委員会
1 議案第5号
2 議案第6号
3 議案第10号
4 議案第11号
5 議案第12号
6 議案第13号
7 議案第14号
農林水産委員会
1 議案第1号
土木委員会
1 議案第4号
2 議案第8号
3 議案第9号
   

〇議長(那須川健一君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時1分 散 会


前へ 次へ