平成9年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(田村正彦君) 新進・公明会派の田村正彦でございます。
 まずもって、去る10月16日に御逝去されました佐藤一男議員のみたまに哀悼の意を表し、あのバイタリティーあふれる行動、発言をしのぶときに、まことに残念でなりません。今はただ、心から御冥福をお祈りいたします。
 それでは、最後の登壇でございますので質問が重複する部分もあるかもしれませんが、順次、質問をしてまいります。
 食糧生産県岩手に生まれ育ち、そして食糧生産に従事している者として、まずもって農業問題、とりわけ米にかかわる問題についてお伺いいたします。
 農業政策について、特に主食である米に関してのここ数年来の変革--変革というよりも混乱と言った方がいいかもしれませんが、米作農家にとっては経営見通しの立たない状況が続いております。そのような中、来年度に向けて、国の米政策の根幹をなす減反面積の配分が21日に農水省より決定されました。それによれば、本県への配分面積は前年対比で24・6%増の3万1、950ヘクタール、実に所有面積の34%弱を休まなければならないという事態になっております。県では、増加した減反面積を市町村に対し、どのような考えに基づきいつごろ配分されるのか、まずお伺いいたします。
 政府においては、米余りによる急速な価格低下を受け、価格補償制度の創設あるいは全国規模のとも補償の導入等、遅きに失した感がありますが、積極的な姿勢が見受けられます。これもひとえに、増田知事を初めとして関係者一体となった政府機関への陳情、要請の結果であろうと御推察申し上げ、その御努力に対し敬意を表するとともに感謝を申し上げるものでございます。特に、米の価格補償については、機会あるたびに訴えてきた事柄であり、価格補償制度の導入にはもろ手を挙げ賛同するものであります。しかしながら、今回導入しようとしている価格補償の考え方の根底には、肝心なものが欠けているのではないでしょうか。米は国民の主食であり、安定かつ継続的な生産が求められる作物でございます。その現実に立った場合、その補償価格の算定に当たっては、適正所得を加味した再生産価格を基礎にして算出すべきだと私は思うわけでございます。報道によれば、過去3カ年の自主流通米価格の平均値の8割を補償する内容となっておりますが、県においては、政府が検討している米の所得補償方式の中身をどの程度把握されておられるのか。また、先ほど申し上げました再生産価格補償という考えに対し、どのような御見解をお持ちかお伺いいたします。
 次に、県のオリジナル品種であるかけはしについてお伺いします。
 ことしの本県における水稲の作況は105のやや良、豊作であります。本県オリジナル品種であり、沖繩県との交流のもとともなったかけはしも、質、量とも県北地方においては他品種を上回る結果となり、豊作を素直に喜べない複雑な環境の中で、県北の水稲生産農家にとっては喜ばしいことであり、これは地域農業改良センターを中心とした地域一体となった栽培技術指導、そしてまた、2カ年にわたる県の農薬補助という英断の結果であり、敬意を表するものであります。栽培適地とされている地域の稲作農家の皆さんの声から推察いたしますと、10年産はかけはしの作付が相当量ふえることが予想されます。今後、オリジナル品種であるかけはしの販売戦略の構築が重要な課題であろうと思われますが、県ではかけはしの販売についてどのようなお考えを持っておられるのか、また、その見通しはどうなのかお伺いいたします。
 減反強化は、稲作農家に負担を強いるだけではなく、市町村にも負担を強いる結果となっており、減反の増加は、当然、確認作業の拡大につながり、人件費の増加等、市町村に財政負担を強いる結果となっております。今後2年間、減反が強化されることから、水張りによる減反が増加するのは必至であり、特に数年前からふえ続けている圃場の一部を水張り減反する方式が倍増することが予想されるところであります。現在行われている減反の確認方法をとるならば、水張り減反した水田1枚1枚を、市町村職員が泥だらけになって巻き尺で計測して面積を出しているというのが実態であります。減反確認一つとっても、労力、経費の面で、市町村は大変な負担をしているのが現実ではないでしょうか。また、そのほか減反に関しては、多岐にわたる確認あるいは事務作業があり、今後新たに導入が予測される全国規模でのとも補償、そして価格補償制度等負担は増加する一方であり、これら市町村への支援策が強く望まれているところであります。このようなことから、減反確認作業の簡素化、あるいは市町村への財政面からの支援等、市町村への支援策を国に対し要望していくべきであると考えるものですが、県の御見解をお伺いします。また、あわせて県独自の支援策等を考えておられるのであれば、あわせてお伺いいたします。
 次に、市町村合併の推進についてお伺いいたします。
 国の地方分権推進委員会による勧告が既に4次にわたってなされているわけですが、今後、地方分権がかなりの部分で進むことが予想され、市町村においてもその対応が今後大きな課題であろうと思われます。このような中、政府の財政構造改革会議では、地方財政健全化の一環として、市町村合併について来年度から3カ年を集中期間とし、実効ある方策を講じ支援していくとしております。また、地方分権推進委員会による勧告においても、分権を進めるには効率的な地方行政体制の整備が必要と指摘し、積極的な市町村合併の推進が提起されております。これを受けて自治省では、来年度の重点施策の柱として市町村合併を取り上げ、今までの市町村の自主的な合併から一歩踏み込み、都道府県の助言、調整役としての役割の促進を財源措置とあわせて挙げております。
 そこでお伺いしますが、県では、市町村合併に対し今後どのような取り組みをしようとしておられるのか、基本的なお考えをお伺いいたします。
 次に、介護保険制度についてお伺いします。
 本県の65歳以上の高齢者の人口は26万5、000人、総人口に占める割合も18・7%に達しております。全国平均の15・1%を大きく上回り、全国平均と比べた場合、既に5年先を行っていると言われております。それに伴って、介護が必要とされる方々も年々増加し、その数はおよそ2万4、000人と推定されております。少子化、核家族化が進む中、公的な介護制度の必要性は国民すべてが認識しておるものと思われますが、それを受けて国においては、社会保険システムによる介護制度いわゆる介護保険法を創設し、今臨時国会での法案成立が確実視されております。社会福祉政策の中で、ますます重要性が増すであろう介護を、保険料負担の伴う保険システムによって運営するという制度が果たして国民になじむのか、保険料負担がなぜ40歳以上なのかいろいろ議論があるところでございますが、法治国家である限り、異論あるなしにかかわらず、これは実施していかなければならないわけでございます。
 政府による平成12年度実施に向けての準備作業のスケジュールが策定され、それによりますと、平成12年度から実施されることを前提にすれば、平成11年10月には、市町村による要介護認定作業が開始されることになります。また、市町村において策定されることになる介護保険事業計画では、平成11年度当初までに介護サービスの見込み量やそれにかかる費用の把握など、事業計画の中間取りまとめが必要となるほか、介護認定審査会の設置など膨大な準備作業が求められております。2年弱の短期間、そして未経験の作業であり、そのおくれが懸念されるわけですが、県においてはどのように認識され対応されようとしているのかお伺いいたします。
 また、介護保険制度の中で、保険者である市町村が実施することになっている要介護認定は、認定調査などにかなりの業務を伴うほか、医師や保健婦などの審査を行う人材の確保の面でも、小さな町村では対応が困難な事態も予測されるわけですが、県ではどのような対応をしていかれるのかお伺いいたします。
 次に、救命救急センターの整備についてお伺いします。
 近年、車社会の進展に伴う交通事故の増加、さらには人口の高齢化による脳血管疾患や心疾患などの患者の緊急かつ高度な医療が求められ、その増加が必至であります。県民がどこに住んでいても、緊急時に高度な医療を速やかに受けられるような体制の整備が、沿岸県北を中心に強く求められております。もとより、県におきましても、このような課題の解決に向け、平成6年度に岩手県救急医療検討会を設置し、ここにおける検討の結果、岩手県高次救急センターから地理的にも時間的にも距離的にも最も遠い地域にあり、そしてまた、かつ医療資源に恵まれない久慈及び大船渡地域への救命救急センターの設置が望ましいとされたところであります。これに基づき設置する久慈救命救急センターは国からの承認を受け、今年度末オープンに向けて整備が進められていると承知しております。ところが、現下の財政構造改革の動きの中で、久慈に続く大船渡の救命救急センターの整備への影響が大いに懸念されるのであります。この整備事業は、まさに県民の命を守るという基本的でそして最も重要な事業であり、いささかのおくれも許されるものではないと私は思うわけでございますが、この点について現下の情勢並びに今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に、平成10年度政府予算統一要望の重点要望事項でもあり、本県にとってそして地域にとっても重要な課題である北上川清流化対策についてお伺いします。
 御承知のとおり、鉱毒水の原因をなしている旧松尾鉱山は、大正3年に本格的な操業が開始されて以来、30年代の最盛期を経て47年の閉山まで、約60年間にわたる生産の歴史を閉じたわけですが、後に残ったのが砒素を含むPH2という強酸性水の中和処理という大きな問題でございました。鉱毒水は松尾村、西根町、そして玉山村において北上川本流に合流し、北上川上流部は生物の生息できない死の川と化したわけでございます。昭和46年、県の強力な請願により林野庁、通産省、建設省、自治省、環境庁で構成される北上川水質汚濁対策各省連絡会議、いわゆる5省庁会議を設置し、対策が検討された結果、昭和48年から発生源対策工事に着手し、昭和52年から中和処理施設の建設等、5年の歳月と100億円を超える巨費を投じ、昭和56年11月に完成し、今日に至っております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 中和処理の効果は、四十四田ダムの建設と相まって北上川をよみがえらせ、今では盛岡市の玄関口とも言える開運橋からは水中を泳ぎ回る川魚を見ることができ、あの死の川であった赤川には白鳥が飛来し、羽を休ませている光景も見受けられるまでになってきております。これまでの県、国の清流化への努力が結実した結果であり、心から敬意を表するものであります。このような清流化維持の陰には、今日まで県費70数億円を含め、総事業費で300億円に近い財政負担があったればこそと思われます。しかし、この清流化対策の決め手である中和処理施設の維持管理は半永久的に続くことであり、当然、現在のベースで年間数億円に上る財政負担も半永久的に続くわけでございます。国の財政事情に左右されない恒久的な制度が強く求められていると思われるわけですが、国ではどのような対応をしようとしているか、統一要望における感触を含めお伺いいたします。
 次に、清流化対策に関する国への要望事項の中身についてお伺いいたします。
 要望書の中には、不測の事態が生じた場合、あるいは災害等によって水質が悪化するおそれがある場合、国において適切な対策を講ずることとありますが、ここで言う不測の事態とは、あるいは災害等による水質悪化とは具体的にどのようなことを想定しているのでしょうか、お伺いいたします。
 私の地元であります北上川上流赤川流域地域の松尾村、西根町の住民、特に松尾鉱山にかかわった高齢者の間では、不測の事態を懸念する声がございます。それは、清流化対策の一環として行われたものと思われますが、無数に掘られた坑道の一番底にある県営北ノ又発電所付近に出口がある現在の中和処理施設が完成する以前は、この坑道から鉱毒水が流出され、簡易中和処理をして赤川に流れ込んでおったわけですが、この坑道、いわゆる通称3メートル坑と呼ばれておるわけですが、この3メートル坑を昭和45年に封鎖しております。そして現在では、59年に完成した112メートル坑付近からの恒久排水路より流出する鉱毒水を中和処理しており、このことは、3メートル坑を基底として112メートル坑までの間、高低差100メートルの間の坑道に鉱毒水が満ちているということであります。その量は300万立米と言われております。想像はつかないわけですが、大変な量だと認識しております。
 昭和45年の封鎖工事は、当時としては最高水準の工事であったろうと推察いたしますが、既にもう30年近く経過しており、果たして今後、未来永劫安全なものであるのかという指摘がなされております。特に、八幡平山系は奥地産業開発道路の建設に当たって、一部の方から、地盤がもろく動きの早い山系であるとの指摘もあり、万が一、3メートル坑の封鎖が何らかの事故で破れた場合その被害は甚大であり、想像を絶するものがあり、北上川が再び死の川になるおそれもあり、3メートル坑及びその付近の保守、監視は重要であると思われますがどのような対策をとられているのか、また、万が一に備え、二重、三重の安全対策が必要と思われますが、当局の御見解をお伺いいたします。
 また、3メートル坑付近を含め、旧坑道からの鉱毒水の漏れはないのかどうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、国道4号盛岡以北の整備についてお伺いいたします。
 県土の均衡ある発展、地域格差の是正、それは県政の重要な課題であり、常日ごろまくら言葉のごとく使われているわけですが、道路の面でとらえるならば、盛岡以北の国道4号の状況はまさに格差の象徴であり、均衡ある県土の発展の妨げになっていると申し上げても過言ではなかろうと思います。御承知のとおり、国道4号は南北に長い県土を縦断する最重要幹線であり、特に盛岡以北においては、県北地区と盛岡を結ぶ唯一の幹線道路でありますが、その実態、状況はどうでしょうか。盛岡以南と比べ、4車線化にしろバイパス建設にしろ、これが同じ国道4号かと疑いたくなるほど整備がおくれているのが実態ではないでしょうか。特に、盛岡市厨川地内から国道282号の分岐点である通称滝沢村分レ地内までの約4キロメートルの2車線道路は前後が4車線道路であり、道路の構造上からも異常な状態であります。整備が進まない理由としていた新幹線盛岡以北の路線も決定したことであり、整備の条件が整ったものと思われます。県では、建設省に対し最重点事項として再三要望してきているところでありますが、その整備の見通しはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、同じ国道4号渋民バイパスの建設についてお伺いいたします。
 国道4号渋民地内の朝夕の混雑状況は、県当局におかれましても既に把握しておられるものと思いますのであえて申し上げませんが、混雑解消のためのバイパス建設構想が持ち上がったのが昭和50年で、事業着手が61年、用地測量開始が63年、そして実際の工事が始まったのがことし平成9年です。実に事業着手から工事着手まで11年も経過しているわけです。何が原因でこのように長引いているのでしょうか。県では常日ごろ、事業の重要性を参酌しながら対応していく旨の答弁をされておりますが、私はこの渋民バイパスは、盛岡都市圏の円滑な交通を確保する上で極めて重要なものであると考えております。その早期の完成を期待するものでありますが、見通しはいかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 最後に、今後の県営医療の目指すべき方向についてお伺いいたします。
 県立病院は、現在、岩手県の医療の中で入院患者は3割弱、外来は5割弱を占めるなど、県民の医療の確保に大きな役割を果たしてまいりました。また最近は、2年連続で黒字決算を出すなど、関係者一体となった経営面での努力もうかがわれ、深く敬意を表するものであります。
 しかしながら、近年の少子・高齢化の急速な進行、疾病構造の変化、医療技術の高度化、さらには住民の医療に対するニーズの多様化、複雑化等、医療の分野においてもさまざまな変化が生じております。このような医療を取り巻く環境の変化に対応するため、国においては、医療機関の機能分担と連携の推進や新しい診療報酬体系の構築など、医療保険制度の抜本的な改革や介護保険制度の創設に向けた検討が進められております。
 一方、県立病院においては、人件費の増大、施設設備の充実、高度化等に伴う費用の増嵩は必須であります。このような時代の変化の中で、一つ一つ的確に対応し、県立病院が将来も良質で継続的な医療サービスを提供していくためには、それぞれの時代に合った県立病院のあり方について絶えず追求していくことが肝要かと存じます。県におきましても、知事はドリームランド岩手の形成を目指し、新しい総合計画の策定に今年度既に着手されたところであります。収入及び費用が既に1、000億円の事業規模となった県立病院が、県民医療の確保に大きな役割を担い続け、県民に良質な医療を継続的に提供していくためには、時代にふさわしい県立病院のあり方を考えていかなければならない、そういう時期だと考えております。
 今後の県営医療の目指すべき方向について、事業管理者である医療局長の現時点でのお考えをお示しいただきたいと思います。
 以上で質問を終わらさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 田村正彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、市町村ごとの生産調整目標面積についてお尋ねがございましたが、国のこれまでの考え方は、本県などの良質米地域に配慮をいたしまして傾斜配分を行ってきたところでございまして、東北地方や北陸地方の転作率は全国平均よりも低くなっているところでございます。今回は、良質米生産地域に対処して配慮されてきた結果としての格差は維持すべきという意見と、すべての地域が公平に負担すべきであり、格差は是正して一律にすべきという意見の両論がございましたことから、国ではこれらの意見を踏まえた最大公約数的な方法が適当であるとして、平成10年度の都道府県ごとの生産調整目標面積については、この両論に配慮いたしまして、現行対策における面積の部分は固定をしておきまして、今回拡大する部分について、都道府県ごとの水稲の作付面積に応じて一律に決定をすることと、このようにされたところでございます。
 お尋ねの来年度の県内市町村に対する目標面積の考え方についてでございますけれども、本県農業の体質を強化するためには、地域の特性を生かした作目再編を加速する必要がありますので、これまでは県内においても適地適作を促進する観点から傾斜配分を行ってきたところでございます。この結果、最も高いところと低いところでは、全国と同様に転作率で約3倍程度の格差が生じておりまして、特に高率となっております市町村からこのことの指摘がなされているところでございます。したがいまして、来年度につきましては、適地適作を促進する観点と、すべての地域が公平に負担すべきという考えの双方に配慮した考え方、すなわち、結果として国と同様ですが、つまり、今回の拡大分について市町村ごとに水稲の作付面積に応じて決定するという考え方に基づきまして、現在、農業団体と協議を行っているところでございます。
 なお、市町村への通知の時期につきましては、生産者の来年度の営農に支障を来さないよう、遅くとも12月中旬までには行いたいと、このように考えております。
 次に、市町村合併の推進についてでございますが、近年、市町村の区域を越えた広域的な行政需要がますます増大をいたしまして、行政サービスや地域整備の面で広域的な取り組みが必要となっておりますほか、多様化、高度化する住民ニーズに対応した、より高度の行政サービスの提供が求められているところでございます。一方で、地方分権が実施段階を迎えている今日、国、地方を通じる厳しい財政状況のもとで、今後とも増大する行政需要に対応していくためには、市町村みずからがその行財政基盤を強化して、効率的な行政体制の整備、確立を図っていくことが時代の要請となっておりまして、私は、このような課題に対応する有効な方策といたしまして、市町村の自主的な合併や広域連合などの広域行政の推進が必要であると考えているところでございます。
 このような観点から、広域行政の重要性について市町村のみならず住民の方々に論議を深めていただくため、県におきましても、これまで市町村合併や広域連合に関する説明会の開催、パンフレットの作成などを通じて機運の醸成に努めてきたところでございまして、その結果、気仙地域におきまして現在広域連合の設置に向けた自主的な取り組みが行われているところでございます。
 県といたしましては、広域行政の推進に対する地域からの要請の高まりに対応するために、今後広く行政、民間を対象とする広域行政シンポジウムを各地域で開催をいたしますほか、先進事例の調査、研究を通じて合併などの効果や課題に関する情報を市町村に提供して、また、広域行政に関心を持つ住民の方々や、市町村から気軽に相談をしていただけるような窓口を新たに本庁や地方振興局に設けまして、それぞれの地域の実情に即した助言を積極的に行ってまいりたいと考えており、さらにつけ加えまして、市町村や民間団体の広域行政の推進に向けたさまざまな自主的取り組みに対しましても、地域活性化事業調整費の活用により支援をしてまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) まず、自主流通米の価格補てん対策についてでありますが、国が平成10年度から実施する稲作経営安定対策につきましては、稲作農家が安心して営農に取り組めるよう、自主流通米の価格変動が稲作農家の経営に与える打撃を回避するため、生産者の拠出と政府の助成により造成した資金を用い、自主流通米の価格低落が稲作経営に及ぼす影響を緩和するための資金を交付しようとするものであります。その仕組みは、産地品種銘柄ごとに過去3カ年の自主流通米価格の平均価格を補てん基準価格として、当年産の自主流通米平均価格が補てん基準価格を下回った場合に、生産調整実施者が出荷した自主流通米を対象に、その差額分の80%の額を補てん金として生産者に交付するものであります。なお、その財源となる資金の造成につきましては、生産者の拠出が銘柄ごとに設定される補てん基準価格の2%、政府の助成が6%となっております。
 また、再生産価格補償についてでありますが、今回のこの対策は、需給実勢を反映した価格形成を前提とし、自主流通米の急激な価格低落の影響を緩和するためのもので、お尋ねの再生産価格補償ということではなく、価格低落分の一定率を補てんする考えで、当面、緊急的に2年間実施するものであります。それ以降の制度のあり方につきましては、国におきましても、本対策の実施状況、価格形成の実態などを踏まえながら、収入保険制度の創設も含めて、改めて検討されると伺っておりますので、当面その状況を注視してまいりたいと考えております。
 次に、かけはしの販売についてでありますが、本県のオリジナル水稲品種かけはしは初期生育がよく、食味も良好なことから、県北部や標高の高い地帯を中心に作付拡大を図ってまいったところであります。本年の田植え後の低温状況にありましても、生育が順調で耐冷性の強い特性が発揮され、県北部の作柄向上に大きく寄与したものと考えております。また、品質も年々向上し、本年は1等米比率が90%を超えている地域もあり、これも生産者の皆さんのきめ細かな栽培管理の励行によるものと思っております。
 このかけはしは、8年産米から県外出荷の大部分を東京都内の大手生協であるコープとうきょうに一元的に販売してきたところでありますが、本年の作柄がよかったことから、来年度の作付はさらに拡大するものと見込まれますので、今後の販売量の増加に備えて、今から販路を拡大しておく必要があると存じております。このため、今年度から新規に首都圏の量販店と取引を開始したところでありますが、今後さらに一層の販路拡大を図るため、先般、県と農業団体が一体となって、いわて純情米マーケティングチームを設置したところであります。いずれにいたしましても、大幅な米余りの中で販売競争に打ち勝っていくためには、品質、食味のよい売れる米づくりを一層推進する必要がありますので、今後とも関係機関、団体が連携し、栽培管理指導に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の転作確認事務についてでありますが、今般、国においては、大幅な在庫を早急に縮減する観点に立って、10年度から2カ年にわたり、17万ヘクタールを超える生産調整面積を拡大することとしたところであります。本県には6、300ヘクタール余の通知があったところでありますが、地域の合意形成を図りながら、転作の組織化、団地化を推進し、稲作、転作を合理的に組み合わせた望ましい水田営農を確立することが極めて重要であると考えております。
 しかしながら、現在の生産調整の実施状況を見ますと、調整水田は生産調整面積の約2割を占めておりますので、こうした手法はできるだけ少なくしていただき、新しい対策を積極的に活用しながら、麦、大豆などの土地利用型作物を取り込むなど、水田の高度利用による所得の確保を図る必要があると考えております。もとより、市町村の転作確認事務は、限られた期間内に多くの筆数の水田を確認するもので、大変な苦労を伴うものでありますが、この事務につきましては、県といたしましても、地域農業改良普及センターが中心となって積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。
 なお、事務費につきましては、国が県を通じて転作面積等に応じて助成することとなっているものでありますが、今後、転作面積が大幅に拡大することになりますので、必要な事務費が措置されますよう国に対して要望してまいる考えであります。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) まず、介護保険制度への対応についてでありますが、現在、国会において審議されている介護保険制度については、国から平成12年度の実施を前提として、制度の実施に向けた県及び市町村の準備業務のスケジュール等が示されたところであります。これにより、県、市町村においては、実質2年間で安定的な保険財政運営のための基金造成、介護認定審査会の設置、保険料の徴収や保険給付の事務処理体制など、相当の準備作業が必要となるものと認識いたしております。
 したがいまして、県といたしましては、市町村が行う介護保険事業計画の策定や保険料額の設定、被保険者の管理事務等の電算化などについて、円滑に準備が進められるよう、積極的に市町村を支援してまいりたいと考えております。
 また、介護認定審査会につきましては、原則として市町村が設置することとなっており、また、複数の市町村による共同設置も可能でありますが、市町村によっては審査員の円滑な確保などが必ずしも容易でない場合も予想されることから、現在、広域圏単位で市町村を選定し実施しております要介護認定のモデル事業の状況等を踏まえ、各市町村に対し、円滑な実施がされるよう必要な支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、救命救急センターの整備についてでありますが、大船渡救命救急センターにつきましては、これまで国との協議を進める一方、本年8月に着工したところであり、平成10年8月の開業を予定しているところであります。一方、国においては、大船渡は本県3カ所目の救命救急センターとなることから、財政当局との協議が必要であり、財政当局からは、厳しい財政状況となったことから、かなり難しいと言われております。
 また、国においては、平成9年2月に救急医療体制基本問題検討会を設置して、今後の救急医療体制のあり方が検討されているところでありますが、この中で、本年の夏以降、救命救急センターの要件を厳しく見直すとの報告が取りまとめられつつあり、新たな設置について承認を得ることは困難になってきております。もとより、県といたしましても、平成7年度より国への協議及び要望を続けてきたところでありますが、国の承認を得ることは厳しい状況となっております。国からは、大船渡救命救急センターを整備することについて、検討する前提として検討会の報告案に示された日本救急医学会の指導医の専任配置、近接地へのヘリポートの設置、救急隊との連携強化などを強く求められており、県といたしましては、今後関係する部局や市町村等の理解と協力を得ながら、センターがこのような望ましい形になるよう条件の整備に最大限に努力し、さらに国に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) 北上川清流化対策についてでありますが、これまでの経緯等につきましては、議員御指摘のとおりであります。県といたしましても、この問題に対する先人の国との間で厳しい交渉に当たった経過について、改めて思い起こすとともに、水質、景観等の環境保全及び産業振興等にも大きな影響を及ぼす問題であるとの考えに立って取り組むべき県政の最重要課題であると考えております。
 旧松尾鉱山の閉山に伴い、鉱害対策を進めるに当たり、県といたしましては、鉱山を原因とする鉱毒水の処理は、まず国の責任においてなされるべきとの認識に立ち、交渉をしたものと承知いたしております。その根拠は、鉱山行政に伴う鉱業権の付与、監督は国の責任に存すること、また、我が国の産業振興上必要とされた硫黄増産を図るべく、いわば国策会社であったこと、国のエネルギー政策に伴い、石油から生ずる低廉な回収硫黄の影響を受けたこと、さらには、鉱山跡地または鉱毒水の放流先の河川等は、すべて国の管理下にあること等々が根拠となり、このことは今日も変わらぬ基本的認識であると考えているところであります。
 この問題については、国と県との間で大きな見解の相違はあるものの、県民生活に及ぼす影響等の大きさを最大限配慮し、財政的にも、管理上も県に対し負担は求めないとの了解のもと、やむを得ざる措置として県が事業主体となり、金属鉱業事業団に委託し、新中和処理施設の稼働を行っているものであります。現在、新中和処理施設の運転に当たっての必要な経費は、通商産業省が所管する休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金によって措置されているところでありますが、本補助金が、このたびの財政構造改革に伴う一律10%削減の対象となり、必要な財源の確保が困難になることも考えられるとの動きが、新たな問題として生じてきているところであります。
 県といたしましては、毎年その予算確保には、県議会ともども、国への最重点要望項目として要望しているところでありますが、財政構造改革に伴う国の動向を踏まえ、この7月から8月にかけて本県が中心となり、本県選出国会議員の先生方の協力を得て、関係道県と連携して通商産業省、大蔵省に対し要望活動を強力に展開したところであります。通商産業省においては、本補助金のうち、特にも坑排水処理に係る経費については、極めて重要なものとして、これを削減対象から除外し、大蔵省に要求したと承知しているところであります。したがいまして、当面、平成10年度の予算確保に全力を挙げることはもちろん、今般の財政構造改革を契機に、これまで繰り返し要望してまいりました予算に左右されない恒久的、安定的な制度として確立するよう、関係省庁に対し要望をさらに強めてまいりたいと考えております。
 また、不測の事態及び災害等に伴う水質悪化の具体的想定についてでありますが、特にも、新中和処理施設が稼働し、既に16年以上経過していることもあり、施設、設備の老朽化に伴う機能の停止、あるいは地震、大雨等の異常な自然災害が想定されるものと考えております。
 なお、旧松尾鉱山の坑道の最下部に位置する、いわゆる3メートル坑の保守、安全対策についてでありますが、この坑道を管理しております通商産業省関東東北鉱山保安監督部が、毎年秋に定期的に入坑し、点検、監視調査を行っており、本年10月14日、金属鉱業事業団の担当者ともども、坑内の状況を監視するとともに、付近からの鉱毒水の漏れについても調査し、変化は見られないとの連絡を受けております。したがいまして、県といたしましては、安全上当面、特に問題はないとの認識を持っているところであります。
 県といたしましては、北上川清流化確保に係る抜本的対策を講ずるためには、いわゆる5省庁会議の再開が必要な時期を迎えているものと考えており、今後におきましては、関係部局、関係機関との連携のもとに、関係省庁に対し、その再開を強く働きかけてまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) 国道4号盛岡以北の整備についてでありますが、国道4号は東北縦貫自動車道とともに、本県道路網の骨格をなす道路であり、特に冬期等における東北縦貫自動車道の通行規制時はその代替道路として重要な路線であり、現在、建設省において県内各地でバイパス工事などが進められております。御指摘のとおり、国道4号の盛岡以南の4車線化率は盛岡以北に比べ高くなっておりますが、これは交通量などの交通特性等によるものと考えられます。
 盛岡以北の厨川-分レ間の整備についてでありますが、このうち茨島跨線橋は、新幹線盛岡以北の規格が未定だったことから平成6年度から事業が休止されておりましたが、新幹線がフル規格と決定したことから、平成8年度より事業が再開され、今年度も引き続き構造物の詳細設計等を進めていると伺っております。また、茨島跨線橋から分レ間も御案内のとおり交通混雑が著しく、早急に整備が望まれる区間でありますが、道路の両側が環境緑地保全地域に指定されていることから、今後、関係機関との調整を迅速かつ慎重に進めていただき、早期に着手されるよう国に積極的に要望してまいりたいと考えております。
 次に、渋民バイパスについてでありますが、昭和61年度に交通安全の確保と交通の円滑化、沿道環境の改善を目的に延長約5・6キロメートルをバイパス事業として着手し、今年度より船田橋から村道山屋馬場線までの約2・5キロメートル間が第1期工事区間として工事に着手されたところであります。このように昭和61年度の事業着手以来、相当の期間を経て工事に着手しましたのは、路線測量、用地測量、埋蔵文化財調査等に時間を要したこととともに、国道4号にはバイパス等の整備区間を多く抱え、また、世界アルペン関連道路事業として国道46号に集中投資したことなど予算上の制約があったことから、国道4号の他の7工区と同様当初の計画どおりの進捗が困難となったものと伺っております。しかし、本年の工事着手により、第1期工事区間の早期供用に向け事業に弾みがつくものと受けとめておるところでございます。
 県といたしましては、国道4号の重要性にかんがみ、財政構造改革が進められる中、財源確保には非常に厳しいものが予想されますが、引き続き、国に対し整備促進を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔医療局長渡辺勲君登壇〕

〇医療局長(渡辺勲君) 県営医療の目指すべき方向等についてでありますが、御指摘のとおり、近年の少子・高齢社会の急激な進展など、経済社会環境の大きな変化を背景として、国におきましても医療機関の機能分担と連携の推進や新しい診療報酬体系の構築、薬価の新たな仕組み等を主な内容とする医療保険制度の抜本的改革の検討等が進められており、県営医療を取り巻く経営環境は大きく変貌し、一段とその厳しさを増してきております。こうした中にあって、これら時代の変化を的確に把握し、医療の質の一層の向上を図るとともに、効率的で安定した医療提供体制の確立は喫緊の課題となっております。
 申すまでもなく、県立病院の使命は、公営企業として公共性と経済性をともに発揮し、県民の医療、福祉に寄与することであり、医療局といたしましては、県下にあまねく良質な医療の均てんをという創業の精神を基本としながら、この時代に適合した県立病院の担うべき役割、方向として、まず一般医療に加えて、救急医療、高度・特殊・先駆的医療、精神・結核医療、不採算地区医療など公的病院としての機能の充実を図り、良質で患者さんの満足度の高い医療サービスの提供に努めながら、保健、医療、福祉との連携の中で地域に根差した信頼される病院づくりを一層進めていかなければならないと考えてございます。そして、そのためには、県立病院の機能の見直し、病院相互間の連携ネットワークの充実、さらには情報機能の高度化などを通じた市町村や民間の病院、診療所との連携、これらによる医療の質の確保と効率的な医療システムの確立を図るとともに、これらを支えるための安定した経営基盤の確立について重点的に取り組んでいくことこそが肝要であると存じております。
 県営医療は、創業以来半世紀になんなんとしておりますが、先人の築いた資産を引き継ぎ、これを着実に推進し、県民医療の確保のためその役割を担ってまいりたいと考えております。

〇14番(田村正彦君) 若干再質問させていただきます。
 まず、農業問題についてでございますけれども、私いつも感じることなんですけれども、農業問題、特に米の問題については、まことに部長さんにお聞きするのは心苦しい、あくまでもこれは国策でこうなっているもので、非常に苦しい立場は十分理解するわけでございますけれども、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど壇上からの質問で、所得を加味した再生産価格を補償する価格制度が今後必要ではないのかなというようなお話を申し上げたわけでございますけれども、これは新聞報道ですが、これは2日ぐらい前ですか、農業基本法へ向けての県の中間取りまとめ、こういう報道がなされております。県における農村対策検討会議、ここですばらしいことが取りまとめられているんです。岩手県は我が国の総合食糧供給基地としての地位の向上、いわゆる食糧基地としての恩恵を受けるような努力をすべきだと、そういうふうな意味、若干違うかもわかりませんけれども、そういうふうな意味に私はとっておりますし、また、安全保障としての食糧備蓄の強化というのもうたわれております。そしてまた、これは本当に画期的な考え方だと思うんですが、米だけにかかわらず国の農業災害補償制度と合体させたような形の総合的な農家の所得補償方式というんですか、そういったものもこの中間取りまとめではまとめられているようですが、これはすばらしい近来にない考え方だというふうに思っているんですが、実は国では今度の12月19日に農業基本法に関する第1次答申が出されて、来年の8月に最終答申というようなスケジュールなようでございますけれども、県では今回取りまとめた中間取りまとめですか、これはやはり第1次答申を受けてまた若干変わってくるものだろうというふうに思いますが、県の最終が2月というふうに聞いておりますが、その2月に取りまとめた際に、今後どのような国に対しての運動を展開なさっていくのか、そこのところをお尋ね申し上げたいと思います。
 あわせて、これは部長答弁にもございましたが、今回の米の国の政策に関して、転作助成金が10アール当たり6万7、000円と高額になっておるというようなお話でございますが、これはいろんな制約があってなかなか6万7、000円という最高額を交付される農家というのはないんです、ほとんど、実態は。過去の実績から、どの程度これが実施された場合、岩手県の生産者が10アール6万7、000円という最高額を交付されるものかどうか、どの程度の面積が、その辺のところをお尋ね申し上げたいと思います。
 次に、介護保険制度でございますけれども、緒方保健福祉部長はもちろん隅々までおわかりなことだと思います。私もちらっと、介護法案を見させていただきましたけれどもびっくりしました。よく、ああいう法案が国会を通るものだなと。強制加入をさせて、なおかつ保険料も給付水準もすべてこれが政省令です。骨格だけが法案に載っていて、細部の肝心なところが全部政省令です。ということは、税金と同じ負担を強いる制度ですから、税金ですと税額とか率というのは国会審議にかかるわけですけれども、この場合は一切かからないのです。まことにもって不可思議な法案と言わざるを得ないと思うんです。それで、実際実施になった場合、市町村の事務量というんですか、膨大なものに上るし、また、中身を見てみますと、例えば100万円以下の低所得老人層というんですか、65歳以上で100万円以下の低所得者というのは大体17%ぐらいいらっしゃるようなんです。人数にすれば94万世帯。この人たちが現在の福祉制度ですとほとんど負担がなくて済む。それがこの介護保険導入によって莫大な負担が強いられる。弱者救済というのもまだまだ、これからの検討事項だと思うんですけれども、全然示されていないというのが現実なんです。
 あの法案を見ますと、掛金未納者とかなどに対する罰則規定だけが並んでいる。過料10万円以下というのが並んでいる。非常に不可思議な法案だというふうに私は理解しておりますが、それで先ほども壇上から申し上げましたけれども、小さな町村によっては非常に対応が困難な面があるということで、先ほどの合併問題とも絡むわけですけれども、広域連合とかあるいは一部事務組合とか、そういった広域的な考え方でこれに対応していかなければ私はちょっと無理じゃないのかなと。将来の利用率の設定問題とか、そういったサービスの問題とか、そういったものを考えた場合、とてもとても小さな市町村では対応できるものではないのではないかというふうに思うんですが、これを機会にそういった広域連合なり一部事務組合制度の積極的な導入というのを図っていくおつもりがあるのかどうか、これをまずお尋ね申し上げます。介護保険制度というものに対する認識もあわせて、緒方保健福祉部長にお願いいたします。
 次に、国道4号ですが、大分前向きな部長からのお話をいただきまして、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいわけですが、一つの阻害要因として環境緑地保全地域の問題ですか、その問題が今お話しあったわけですが、私はそれを逆手にとるべきだと思うんです、特にあの路線の場合は。多分あの松林が一つのネックになっていると思うんですけれども、あの松林を残してどうせ右側は--どうせと言っては失礼なんですが、国の90数%は国有財産ですので、あそこを通していただければすばらしい全国に誇れるような環境を守り、かつ、すばらしい道路ができるというふうに私は常日ごろ--これは地域の住民の方々もそう言っているんですから、私はすばらしい構想でできるんじゃないのかというふうに思うんですが、そういう考え方に対してどうお考えでしょうか。
 次に、北上川清流化対策について質問通告しておりましたけれども、わかりました。十分理解しましたので、ぜひ国に対しては頑張っていただきたいというふうに要望しますし、それにつけ加えまして、保健福祉部長にもう1点お尋ね申し上げますが、先ほどの答弁で大船渡の救命救急センター、当面はとても無理だろうという答弁と解釈してよろしいでしょうか。それをやるための条件としては周辺整備、これが一つの条件として新たに示されたというふうに、ヘリポートも含めて新たに示されて、それをクリアできなければ着工はできないんだというふうな私は受け取り方をしたんですが、それでよろしいのかどうかお尋ねいたします。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) まず、新たな農業基本法に対します検討についてでございますが、現在、県では中間取りまとめ中でございますが、一部につきまして、例えば食料・農業・農村政策の目標あるいは我が国における維持すべき主要農作物の生産水準等につきましては、これまでも政府予算統一要望等におきまして要望しているところでございます。引き続き働きかけてまいる考えでございますし、最終報告は2月を予定しているところでございますが、県といたしましては、農業者が将来展望を持って取り組める農業の実現を基本にしながら、我が国の総合食糧基地としての地位の向上あるいは活力と魅力にあふれる農村社会の形成という観点に立って取りまとめるつもりでございますが、まとまったものにつきましても積極的に活用してまいりたいというふうに考えております。具体的には、現在、国におきまして新基本法に対して検討しております国の担当部門あるいは検討しております基本問題調査会等に対して要望してまいりますほか、個別事項につきましては、従来どおり政府予算統一要望等にも大いに反映してまいりたいというふうに考えております。
 次に、麦、大豆、飼料作物の生産振興緊急対策の対象面積についてでございますが、この対象につきましては御案内のとおり、技術レベルに応じまして助成単価が高くなる仕組みとなっております。県といたしましては、転作田の高度利用を図るという観点から、これらの作物の導入を促進したいと考えておりますが、そしてまた、できるだけレベルの高い技術を導入していただくよう指導してまいりたいというように考えておりますが、お尋ねの対策の対象となる面積につきましては、現時点で生産者の皆さんが三つのタイプのうちどのタイプを選択するかということもございまして、なかなか予測が難しいという段階でございますので、御了承を賜りたいと思います。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) 介護保険制度に関する認識についてでありますが、これは国における立法手続と申しますか、立法府と行政府の役割分担の問題にも絡むかと思いますが、制度の細目の相当部分が施行政省令等に御指摘のとおりゆだねられておりまして、その部分について必ずしも明確でない点があるということで、実は私ども、厚生省から一度は厚生省の職員が5名ほど参りまして説明会を開きましたし、またそれ以外にこちらからも求めて再度厚生省の職員を呼んで説明会をやっております。ただ、残念ながら私も隅々までこれを理解しているとは到底言えない状況でありまして、まことに不透明な部分が多いことも事実であります。したがいまして、これは役所の中の裁量、厚生省の裁量のみということだけでなくて、私の個人的な意見ということになるかもしれませんが、国会の方でも十分議論が尽くされることが必要であるというふうに考えておりますし、また、厚生省においてもできるだけ情報を開示していただくということを私どももお願いしてまいりたいと、このように考えております。
 また、介護保険制度におきましては、市町村が保険者として介護認定審査や保険財政の運営等を行うこととされておりますが、これにつきましては広域連合としてこれらを運用することも可能であります。したがいまして、県におきましては、市町村が広域連合により制度を運用する意向がある場合には、これはあくまでも市町村の御判断になるかと思いますが、関係部局との連携のもとに、この介護保険事業に関して市町村間の調整等、必要な支援をしてまいりたいと考えております。
 続きまして、大船渡の救命救急医療センターについての再度のお尋ねでございますが、これは私どもとしましては、新年度、来年度にこれを開設したいというふうに現在も強く希望を持っておりまして、もとより断念したものでは全くなく、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。これは国との内部のやりとりの話になるんでございますが、国に参りましたときに、原則的に来年度以降は開設は認めないと、このように言われたものでございますが、粘り強くこれまでの経緯を御説明して、何とか例外的にこれを検討していただけないかと強く働きかけをして、その結果、先ほどの御答弁にありましたように、とりあえず検討の前提として、このようないろんな報告書に示されるようなモデル的なものとしてつくれるかどうかをまず努力をするようにと国から強く求められたものでございます。したがいまして、私どもとしましては、そのような方向で最大限努力するとともに、これが来年度国において認められるべく、強く働きかけてまいりたいというふうに考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) 国道4号盛岡以北の厨川-分レ間の整備についてでありますが、当該区間両側の環境緑地保全地域は市街地周辺にあって、すぐれた環境緑地を形成している沿道の樹林地の保護を目的に、道路端からそれぞれ20メートルの区域について県条例に基づいて指定されているものであります。また、その周辺は、議員のおっしゃるとおり、農林水産省の種畜牧場、農業試験場等として利用されておりまして、自然豊かな環境に恵まれた土地利用がなされております。厨川-分レ間の整備に当たっては、道路機能と環境緑地保全地域の指定目的、周辺の土地利用等との調和が重要であり、これらを総合的に判断して進められるべきと考えております。
 御提言のありました環境に配慮した道路整備につきましては国にお伝えするとともに、交通の現状を見ますと早期の整備が望まれますことから、県としても早期着手を要望してまいりたいと考えております。

〇議長(那須川健一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 認定第1号平成8年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第27 議案第14号財産の取得に関し議決を求めることについてまで

〇議長(那須川健一君) この際、日程第2、認定第1号から日程第27、議案第14号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。


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