平成9年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(工藤篤君) 自由民主党の工藤篤でございます。県政の諸課題について順次質問してまいりますので、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、国の財政構造改革による公共事業費の削減が本県の平成10年度当初予算編成に及ぼす影響についてであります。
 御案内のとおり、国においては財政構造改革のもと、公共事業費を7%削減する方向を打ち出しております。このことを受け、本県でも平成10年度の当初予算は本年度の予算よりマイナスにするとのことであります。既に平成10年度の予算編成方針も示されておるようでありますが、県は、国の公共事業費7%削減が本県の平成10年度当初予算のどのような部門にどの程度の影響を及ぼすととらえているのか、まずお尋ねいたしたいと存じます。
 また、国では7%削減はするが、必要な箇所にはめり張りをつけて予算配分するとも言っておりますが、今後、県としてはどのような事業について重点的に要望していくお考えかお伺いいたします。
 一方、最近の統一要望あるいは個別の案件につきまして、我が自由民主党岩手県連の仲立ちにより、増田知事が建設大臣を初めとする所管の大臣にお会いして県の重点項目について要望を行っているところであります。我が党は、常に岩手県民の幸せのため、岩手県勢の発展を第一に行動しておりますので、今後とも知事、県と一体となり、この厳しい財政環境を乗り切りたいと考えておりますが、大臣との会談を進められて、その成果なり印象なりはいかがであったでしょうか、お聞かせいただきたいと存じます。
 次に、東北新幹線盛岡以北についてであります。
 東北新幹線盛岡-八戸間のフル規格による建設は、平成7年5月に盛岡で起工式が開かれて以来、トンネル工事を中心に急ピッチで進み、最近では盛岡-八戸間のトンネル掘削率が40%を超えるなど、平成13年開業に向け順調に工事が進められていると伺っております。いっときも早い完成を願うものでありますが、いかんせん多大の事業費を要しますので、楽観はできないのであります。私は、昨年の2月議会の代表質問においても申し上げましたが、平成13年の開業の実現のためには、今年度から毎年約1、000億円余の予算を投入しなければならないのであります。しかるに、国においては公共事業費の7%削減など、整備新幹線を取り巻く環境も厳しいものがありますが、本県の誘致企業が新幹線の沿線沿いに多いこと、人口についても、新幹線の沿線市町村だけが伸びていることなどを考えても、新幹線の効果は多大なものがありますので、その早期完成を今後とも積極的に働きかけていくべきと思います。
 最近の報道によりますと、国においては整備新幹線の新規着工の凍結と既着工分の抑制を検討しているとのことでありますが、県として、盛岡-八戸間の平成13年の開業の見通しと今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 また、そのための工事費の地元負担についても、財政基盤の脆弱な二戸市や岩手町が負担できる額でないことは明らかでありますので、何らかの解決策を示すようお願いしたいと考えておりますが、どのようになっているのでしょうか。
 新幹線の開業に伴い、並行在来線をJRから経営分離するとの原則についても、現に新幹線が通っている盛岡以南の在来線は経営分離されていないのでありますから、私ども県北に住んでいる者からしますと、盛岡以南はJRが運行しているのに、なぜ盛岡以北はJRから経営が分離され、その運行も自分たちで考えなさいというのでありますから、これはどうしても納得できない不条理なのであります。在来線存続についても、今後ともJRに強く働きかけていかなければならないと考えますが、その後の見通しについてもあわせてお伺いをいたします。
 次に、援護を要する高齢者や知的障害者の権利の擁護についてであります。
 自分の意思で物事を判断したり行動することが十分にできない知的障害者や痴呆のある高齢者などは、自己が所有する財産の管理や相続、消費や契約、そして介護などの日々の日常的な出来事の中で権利が侵害されやすい状況にあることは、御案内のとおりであります。本県においても、知的障害者が多重債務に陥った例として、知的障害者の人権を守る事業を県から委託されている弁護士さんに7件の相談があったと報道されておりますが、実際は、本人が相談できることは少ないのでありますから、このような例は相当数にのぼるのではないかと推測するものであります。
 このため、国においては成年後見人制度に向けた検討が行われているようでありますが、その検討対象は、禁治産や準禁治産の制度や後見人の制度などの現行の制度としてあるいわゆる狭義の後見人制度を対象にしているようであります。しかし、実際にはこれら禁治産や準禁治産の制度の対象となっていない知的障害者、痴呆のある高齢者などが圧倒的に多いのであります。
 私が提案したいのは、禁治産や準禁治産の制度の適用を受けていない意思能力が低下した高齢者や知的障害者のための各種福祉や介護などの援助策を初め、人権や財産などの権利の保護や権利が侵害されたときの救済の方法など、それらの支援や財政的措置などの制度を県として制定していく必要があるのではないかということであります。既に、東京都や大阪府、品川区などを初め、最近では川崎市でも制度を実施したと伺っております。高齢化率がまだ低いこれらの地域では既に実施されている制度でありますので、4人に1人が高齢者になりつつある本県においては早急に検討すべき時期であると思いますがいかがでしょうか、県当局の御答弁をお願いいたします。
 また、知的な障害を持つ人は他の人とのコミュニケーションがうまくとれないことが多く、そのため自分の考えを伝えることが困難な場合が多いと思います。このため、知的障害者がさきに申し上げたように多重債務に陥ったり、他県では弁護士が財産をだまし取ったというような事件など、人権が侵害されている例が報道されておりますが、このような時期に、県においては本年度から知的障害者のこれらの相談に応じるための知的障害者専門相談事業を始めたとのことであります。県がいち早く相談事業を開始したことを評価するものでありますが、その事業の目指すところと事業の内容はどのようなものであるのかお尋ねいたします。
 次に、市町村の障害者計画についてであります。
 国において平成5年に障害者基本法が改正され、市町村の障害者計画について、障害者の状況などを踏まえ基本的な計画を策定するよう努めなければならないと規定したのであります。この市町村の障害者計画は、ノーマライゼーション理念の浸透や保健・福祉のサービス、教育や雇用と就業などのほか、人に優しいまちづくりなどの障害者の総合的な福祉サービスを目指す上で基本となるものであり、ぜひとも各市町村で策定すべきであると考えるのであります。
 しかるに、この障害者計画を策定した市町村はまだわずかとのことであります。財政的な面や専門家がいないなど、さまざまな理由があって延び延びとなっているようでありますが、障害者福祉サービスは、住民に最も身近な行政の実施主体である市町村が行うことがよいのでありますから、市町村が早期に障害者計画を策定できるよう、県としても何らかの支援をしていく必要があるのではないでしょうか。県のお考えをお伺いいたします。
 次に、企業誘致についてであります。
 最近の日本経済は、消費税率の引き上げによる駆け込み需要の反動からとアジア地域の急速な技術力の進展などの影響から、内需の落ち込みが長期化する様相を呈してきております。このため、国内における企業の立地件数が減少してきているとともに、特に地方の工業団地への企業誘致が一段と厳しい状況に置かれていることが伺われるところであります。
 しかしながら、このような厳しい環境の中にあっても、九州北部や北陸のように大幅に企業誘致の数を伸ばしている地域もあるのであります。具体的に見ますと、この10月に通産省が発表した97年上期の工業立地動向によれば、97年上半期の我が国全体の企業立地件数は738件で、前年同期と比較して9・1%の減となっておりますが、石川県や長崎県のように前年同期より伸ばしている県もあるのであります。
 翻って本県の企業立地を見ますと、県発表の件数で平成9年度は12件とのことであります。特に県北への立地は、山形村に1件の立地を見ただけであります。二戸地区については、平成8年度から造成が始まった二戸地区拠点工業団地がありますが、これも最近の景況から見ますと、完成する平成10年度の分譲開始時には相当の苦戦が強いられるものと思われます。二戸地区拠点工業団地の整備は、県北地域振興の起爆剤になるものと、その早期完成を期待するものでありますが、一方で、同じように県が整備した久慈の工業団地が全く売れていない状況を見ると、現状の企業誘致の方法では二戸地区拠点工業団地が完成しても企業の立地はなかなか困難であろうと危惧する部分もあるのであります。
 それは、整備は土地開発公社が行い、企業誘致は県が行うという方法に、いわゆる縦割りの弊害があるような気がするからであります。公社は、整備をするだけで、企業に売るのは県の仕事であると思っており、一方、県としては、岩手県にあるすべての工業団地を対象として企業誘致活動を進めていかれることは私も理解できるところでありますが、このように補助金などを同じ条件にして全県均等に誘致を進めているのであれば、交通網や地理的な面など、条件的に不利な県北の工業団地には企業の立地は進まないことは明白であります。現に、昨年度は県北には1件のみの立地であり、今年度も企業が立地した地域は、盛岡市と北上市のみと伺っております。県として本気で久慈や二戸の工業団地への企業誘致を考えておられるものなら、県東京事務所を含めて、県や公社が一体となった誘致のための組織体制を強化するとともに、県として、現行の10分の1補助のようなものではなく、九州地区が実施しているような数億円単位の補助制度も検討する必要があると考えますがいかがでしょうか。企業誘致は、取引先との関係やインフラの整備状況と各自治体の取り組みなどで差が出ると言われております。県として、北上川沿いに比して立地条件的に不利な県北地域にもっと厚い優遇策と推進組織を検討していただきたいと思うものであります。
 残念なことに、一部に県では、首都圏や中部、関西などからの企業誘致は北上川流域地域にある工業団地への誘致を集中的に行い、県北地域には、これらの誘致した企業の将来の二次展開や既に立地している企業の二次展開に期待するというような企業誘致活動をしているとの話を聞いたことがありますが、これでは本当に県北に企業誘致をしようという考えがあるのかと疑わざるを得ません。県としての県北地域への企業誘致の推進方策について、しっかりとしたお考えをお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、県立大学の整備について提言を含めて質問をしたいと思います。
 それは、県民に対し開かれた大学を目指していただきたいということであります。大学での研究の成果を広く県民に示し、また県民のニーズを吸収した県民の役に立つ研究を進めていただきたいのであります。極端に言えば、町の中小企業の技術の進歩をだれにもわかるように、わかりやすく助けてやれるような、教員も学生も県内の住民や企業と一体となった大学教育あるいは研究をしていただきたいということでありますが、いかがでしょうか。
 そしてもう一点は、高等教育機関のない県北地域へ県立大学の効果をどのようにして広めていかれるかということであります。公開講座や夏休みの期間を利用した公開セミナーを県北で開くなど、学問の格差が生じないように配慮していただきたいのでありますが、県のお考えをお伺いいたします。
 また、県立大学に関してでありますが、私は、県民に開かれた大学を目指してほしいということを申し上げましたが、開かれた大学を目指すためには、教育の機会均等を進めていただきたいということであります。幸いに、県内の各種高等学校からの推薦入学を3割確保しているとのことでありますが、気になることは、体に障害を持っている子供たちへの配慮であります。特に、社会福祉学部系の学部を持つ他県の大学を見ますと、体に障害を持っている子供たちが数多く入学しております。そして、大学側も彼らが障害を持たない学生と同じように講義を受けることができるよう、さまざまな設備をしておりまして、例えば車いすの生徒のためにいす式のトイレのほか、いわゆる床式トイレを整備したり、補聴器が使える難聴の学生が講義を他の雑音と区別して聞けるためのループアンテナを講義室に整備するとともに、補聴器が使えない学生のためのプロの手話通訳を配置するなど、さまざまな障害を持った学生を受け入れる用意をしているのであります。
 私は、増田知事がさきに私の提案した不妊に悩む方々のための高度不妊治療センターの建設に今年度から積極的に取り組み、12月には開設の運びとなるなど、保健や福祉に力を注いでおられることに心から敬意を表しております。将来の本県の福祉をリードする学生を育てる最新の県立大学でありますから、そのような設備はされていると思いますが、障害者団体からは、大学の整備に当たって相談をされたことはなかったとの話も聞いておりますし、これらの設備がないがために、盲学校や聾学校の卒業生や各種高等学校を卒業するさまざまな障害を持った子供たちに高等教育の場が与えられなくなっては困ると心配をいたしましてお尋ねするものであります。ハード、ソフトの両面から見て、障害を持つ子供たちの受け入れ体制は十分でしょうか、お伺いいたします。
 次に、内水面漁業の振興策についてお尋ねいたします。
 本県における河川漁業の生産量は、平成3年の440トンをピークに、その後は減少傾向が続いておるところであります。特にアユについては、平成4年度には224トン、金額にして8億5、000万円だったものが、8年度には127トン、3億8、000万円と激減しており、本年度はさらに前年を下回ることが予想されております。一方、余暇時間の増大や交通手段の改善、さらにはアウトドア志向の高まりにより、遊漁者数は増加傾向にあります。これに対応するため、各内水面漁業協同組合は、アユ、ヤマメ、イワナ、コイなどの有用魚種の種苗放流を毎年実施してきているところであります。しかしながら、漁業協同組合を中心にして実施されている放流事業は、ダムや堰の設置による河川流量の減少と漁場の遮断、河川改修工事による瀬やふちの消滅、河床の平坦化、生活・産業排水など水質悪化に伴う生息場所や産卵場の減少など、河川環境を取り巻く多くの問題を抱えているため、抜本的な資源の保護、増殖対策には至っておらず、各漁業協同組合が取り組んでおる漁場管理と種苗放流事業には限界があります。
 今や国民的行事として定着しているアユ漁について、県におかれましては、不漁の原因の一つと考えられているアユ種苗の問題をどのようにとらえているのか、さらには、今後はより天然に近い形質を持った健苗種苗の生産技術開発及び放流技術開発に取り組む必要があると考えますが、御所見を賜りたいと思うのであります。
 最後に、地域課題について数点お尋ねいたします。
 新幹線盛岡以北が開業しますと、岩手県北や青森県南、さらには秋田県北東部などの広域的な利用が見込まれます。このような時期に去る10月29日、北東北3県の知事が、青森県の十和田湖畔で観光をテーマに話し合われたと報道されておりましたが、北東北の観光推進のためのアクションプランを策定することを決められたとのことであります。
 二戸市は県北に位置しておりますが、幸いにも半径約70キロメートルの範囲に盛岡市を初め、八戸市や鹿角市、そして十和田湖と、まさに岩手、青森、秋田3県の主要都市や主要観光地への中心地に当たっているのであります。アクションプランの策定に当たっては、これら地の利と新幹線の停車駅であるという利点を生かした道路の整備や交通体系の整備を進め、北東北の結節点としての二戸地域を建設していく絶好の機会でありますから、これらを盛り込んだ内容としていただきたいと考えておりますが、県のお考えをお伺いいたします。
 次に、二戸駅周辺地域の土地区画整理の推進についてであります。
 東北新幹線盛岡以北の開業に伴う人的・物的流通の拡大に対応するためには、駅舎や駐車場、アクセス道路などの都市基盤施設の整備や生活環境施設の整備など、広域拠点機能の整備充実が急務となっております。これらの事業は、土地区画整理事業で行われておりますが、その推進状況と今後の見通しはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、県の合同庁舎の移転についてであります。
 県の合同庁舎は、地方振興局の機能強化に伴い手狭になってきていることや建設されてから大分たっていることなどから、その移転が検討されているとのことですが、さきの土地区画整備事業を進めております荷渡地区は、国道4号バイパスや主要地方道二戸九戸線に近く、また新幹線二戸駅に近いなどの交通条件に恵まれており、同地区はカシオペア連邦の中心地区として位置づけられているところでありますので、同地区への早期の移転新築が待たれるところであります。
 県当局におかれましても、県の合同庁舎が改築の時期にあることを認識しておられますし、また荷渡地区が有力な候補地であるとして移転を検討していると述べておられますが、その後の検討状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、二戸地区の医療体制の整備についてお伺いいたします。
 県中央部と異なり医療体制の希薄な二戸地区の医療体制については、県立福岡病院が広域中核病院として重要な役割を果たしており、地域に密着した医療を展開し、年々利用者も増加しているところであります。この県立福岡病院については、高度医療機器の設置など年々整備が進んでおりますが、県医療局においては、現在の建物が老朽狭隘化していることから、岩手県立病院等事業経営計画に盛り込んで、平成12年度から改築を予定しているものと伺っております。御案内のとおり、二戸地区においては高血圧や脳血管の疾患による脳卒中の発生や死亡率が非常に高い地域となっておりますが、二戸地区に救命救急センターが設置されるならば大幅に改善するものと期待されるものであります。
 そこで、県立福岡病院の整備にあわせて、県北地域の救命救急センターを設置するお考えはないかお伺いいたします。
 次に、先端科学技術体験センターとしての施設である、仮称でありますが、田中館愛橘博士記念科学技術館の整備についてであります。
 この事業は、本県が生んだ偉大な物理学者である故田中館愛橘博士の業績を顕彰するとともに、未来の先端科学技術を紹介し、工作や実験を通して科学に対する関心を高める施設として全国で2カ所、東北では初めての施設として採択された国庫補助事業であります。北東北の青少年が先端の科学技術を学べる施設であり、その完成が待たれるところでありますが、財政力の乏しい地域であり、市からも要望しているようでありますので、県として何らかの支援に応ずることも検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、新幹線関連道路整備事業についてでありますが、県におきましては、東北新幹線盛岡以北の建設にあわせてその整備効果を広く県北地域に波及させるため、新幹線関連道路整備事業により、新幹線二戸駅へのアクセスルートとして、久慈ルート、種市ルートなどの4ルートについて道路整備に御努力いただいているところであります。特にも久慈ルートについては、主要地方道二戸九戸線折爪地区での急勾配、急カーブ解消や種市ルートの一般国道395号猿越峠の登坂車線併設などが待たれるところであります。これら新幹線関連道路整備事業の進捗状況と今後の事業見込みはいかがになっているのでしょうか。また、十和田ルート、安代ルートについても、あわせてお伺いいたします。
 県北横断ルートが完成しますと、県北各地域からの新幹線利用者の利便が図られるばかりではなく、地域間の交流や物流の円滑化が促進し、沿線地域の産業、経済、観光などの振興に大きく寄与するものと期待されております。公共事業を取り巻く環境には厳しいものがありますが、私たちも国の予算の確保に努力いたしますので、早期の整備が図られますよう特段の御配慮をお願いしたいと存じます。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤篤議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政府予算統一要望についてでございますが、県におきましては、平成10年度政府予算編成に際して、県政推進上重要な事業の導入や制度の創設、改善が図られるよう、先般、11月14日に、関係省庁及び関係機関などに対して県議会と一体となって統一要望を実施したところでございます。今回の要望では、県選出の国会議員を初め、県議会の皆様方のお力添えもいただきながら、財政構造改革に基づく各省庁の概算要求を踏まえまして、本県として特に重要性、緊急性の高い項目について重点的に要望したところでございまして、建設、運輸、農林水産、厚生の各閣僚には私から直接要望を行ったものでございます。
 それぞれの会談においては、平成10年度の予算編成が従来とは全く異なりまして極めて厳しい状況にありますことから、いずれも一様に所管省庁の全体予算の確保について強い危機感を抱いておられまして、本県の要望につきましても全く予断を許さない厳しい状況にあるものとの認識を持ったところでございます。したがいまして、今後におきましても、引き続き関係各位の御支援をちょうだいいたしながら、あらゆる機会をとらえて、要望内容の実現が図られるよう全力を挙げて取り組んでまいる考えでございます。
 次に、県北・沿岸地域への企業誘致方策についてでございますが、当地域の振興を図るためには企業誘致は極めて重要な施策であると、このような認識から、二戸、久慈地区の立地環境整備の一環といたしまして、いわゆる拠点工業団地の整備を進めるとともに、昨年度、県北・沿岸地域などの市町村を対象とした新たな助成制度を創設したところでございます。こうした工業団地の造成や助成制度の創設などの立地環境の整備はもとより、企業誘致の大きな決め手の一つは、県を初め、地元市町村の熱意ある取り組みが極めて重要であるとの考えのもとに、従前開催いたしておりました企業立地フェアの内容を一新いたしまして、今年度から新たに企業ネットワークいわて'97といたしまして、県内の産業支援のインフラ整備や企業集積の状況など、本県の立地環境について私自身が直接首都圏の企業の方々に対し説明をいたしまして理解を求めてきているところでございます。
 さらに、在京岩手産業人会の人的なネットワークなど、あらゆるつてや機会を活用いたしまして、これら拠点工業団地のPRに積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、昨年度に引き続きまして、既に立地いたしております企業のさらなる展開を図るため、本年度も4回にわたりまして県内各地に直接出向きまして、誘致企業のトップの方々と私との間で率直な意見交換をする機会を設けまして、数々の御意見、御提言をいただいているところでございます。この中において、今後の県北・沿岸地域への企業誘致を展開するに当たっての貴重な御意見、御提言もいただいておりますので、これらを十分に踏まえ、地元市町村との連携のもと、当地域への企業誘致推進体制の整備を図り、なお一層企業導入に積極的に取り組んでまいる考えでございます。
 次に、県立大学の整備についてでございますが、県立大学は、21世紀を見据えた先駆的な学術研究を推進することによりまして、豊かな創造性と時代の変化への柔軟な対応力にあふれた次代を担う人材の育成を目指しているところでございます。
 お尋ねの地域社会への貢献につきましては、実学実践の重視、国際社会への貢献など、県立大学が掲げます五つの基本的方向の一つに位置づけているところでございまして、県立大学の重要な使命の一つと、このように考えております。とりわけ県立大学に設置いたします看護学部、社会福祉学部、ソフトウエア情報学部、そして、総合政策学部は、まさに21世紀の大きな課題でございます高齢化、情報化及び国際化の対応に沿った学部の構成となっておりますので、新たな地域社会の形成に寄与する研究成果が生まれることを期待しているところでございまして、その成果を地域社会に還元することが極めて重要であると、このように認識しております。そのため、民間企業との連携による産学共同研究、学術研究振興財団による地域の諸課題を研究テーマといたします学際的共同研究、市町村や民間企業などからの受託研究などを積極的に推進したいと、このように考えております。
 また、県立大学は、4学部の教育研究の特性を生かしながら、国際社会人教育センターを中心とした公開講座を県北地域も含めた県内各地域で開催いたしますとともに、図書館や体育施設などの施設開放を行うほか、ネットワークを通じた図書館情報の公開、学内の研究成果の公開などの各種情報サービスの提供を図るなど、県民の多様なニーズに積極的にこたえることといたしておりまして、地域社会に対してより一層開かれた大学を目指してまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕

〇総務部長(大隅英喜君) まず、国の公共事業費の削減が本県の予算編成に及ぼす影響についてでありますが、国におきましては、財政構造の改革を喫緊の課題と位置づけ、一切の聖域なしで歳出の改革と縮減を進めることとしており、お尋ねの公共投資予算につきましても、集中改革期間中においては各年度その水準の引き下げを図るとともに、特に10年度予算については9年度比7%マイナスの額を上回らないこととするとしております。これを各省庁の概算要求で見ますと、いわゆる物流効率化特別枠と生活関連等公共事業重点化枠の別枠要求が認められているため、国費ベースで7%マイナスにはなっていないものの、例えば港湾マイナス1・8%、道路マイナス2・6%、また、治山治水、海岸、漁港、住宅、農業農村の分野にあっては6%以上のマイナスとなっております。この縮減が本県の来年度の予算に与える影響につきましては、国の予算が編成作業中でございまして、個別の影響額を現時点で把握することは困難でありますが、仮に一律7%マイナスとして、本県の9月現計の公共事業予算額に単純に乗ずる方法、これによりまして試算いたしますと、県予算ベースで130億円程度の影響額が算出されるところであります。
 次に、県立大学における身体に障害を有する学生の受け入れについてでありますが、まず、県立大学の施設設備等については、人に優しい施設づくりを基本コンセプトとし、障害者の受け入れを前提としたバリアフリーな施設環境として整備しているところであります。特にも学部棟と各施設を回廊で接続し、屋外に出ることなく各施設間の移動が可能であるほか、屋外への出入り口のスロープ化やトイレ、エレベーター、ドア等につきましても、障害者の利用に配慮した施設設備としております。
 また、学内情報システムにおきましては、学内の各施設から移動せずにさまざまな情報へのアクセスが可能であるほか、メディアセンターには拡大文字画像や音声、点字での入出力により視覚障害者の情報検索が可能な機器を設置するなど、障害者の利用に配慮した情報環境を目指しております。
 さらに、身体に障害を有する学生の受け入れに当たっては、事前に個別相談に応じるなど、受け入れ態勢の整備に配慮してまいる考えであります。
 次に、二戸地区合同庁舎の移転についてでありますが、地区合同庁舎につきましては、御案内のとおり、県の行政サービスを直接県民に提供する場として、また、地域振興のための中核的拠点として、これまでその機能の充実とあわせ、住民の方々に親しみのある施設となるよう計画的に整備を図ってまいったところであります。二戸地区合同庁舎につきましては、建築後35年を経過し、老朽化が著しく、事務室の狭隘化や駐車場の不足などによりサービスの提供が必ずしも十分でない状況にありますので、移転新築を念頭に整備を図る必要があると考えているところであります。
 移転整備に当たりましては、二戸地区の振興や防災拠点として、また、将来の行政需要の動向等にも配慮しながら移転先を検討しているところであります。
 なお、二戸市荷渡地区につきましては、現在、二戸市において土地区画整理事業を進めておるところであり、その進捗状況等を見守りながら検討を行ってまいる考えでございます。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) まず、今後の重点的要望事業についてでありますが、先般実施いたしました政府予算統一要望におきまして、国の極めて厳しい財政状況下にあって、本県にとって特に重要性、緊急性の高い項目について重点的に要望を行ったところであります。今後におきましても、良質な社会資本整備を図るため、道路交通網や花巻空港の滑走路2、500メートル延長整備、東北新幹線盛岡以北の早期完成、下水道の整備促進など、地域の発展にとって必要となる、また、県民生活に密接にかかわりのある事業について、関係各位の御支援もいただきながら各方面に強く働きかけ、要望の実現を目指してまいりたいと考えております。
 次に、東北新幹線盛岡-八戸間の開業見通しと今後の取り組みについてでありますが、御案内のとおり、現在、盛岡-八戸間におきましては、運輸大臣の認可を得た工事実施計画のもとでいわゆるフル規格での建設が進められており、これまで毎年度事業費が大幅な増加を続けてきた結果、今年度末までの進捗率は事業費ベースで約27%に達する見込みとなっております。しかしながら、議員御指摘のとおり、国の財政構造改革に伴って、既に着工しております区間も含め、整備新幹線の建設を取り巻く環境はこれまでにないほど厳しさを増しております。このため、県といたしましては、既存の新幹線と直結される唯一の区間である盛岡-八戸間の早期完成には特に大きな地域振興効果が見込まれ、その建設促進は財政構造改革の趣旨に反するものではないなどの点を強調しながら、工事実施計画に定められたとおりおおむね平成13年の完成が実現するよう、十分な事業費の確保に向けた働きかけに全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございまして、現在、関係道県とも連携しながら、政府・与党に対し整備新幹線建設の必要性を直接訴えかける要望活動を積極的に展開しているところであります。
 次に、東北新幹線盛岡-八戸間の建設に対する二戸市及び岩手町の負担についてでありますが、整備新幹線の建設に対しましては、全国新幹線鉄道整備法に基づき、新幹線駅のできる二戸市及び岩手町が県とともに事業費の一部を負担しており、従来その財源につきましては充当率90%の地方債の発行のみが認められておりましたが、昨年末の政府・与党合意による新たなスキームにおいて地域の負担割合が変更されたことを受け、県におきましては、二戸市及び岩手町の負担について見直しを行ったところであります。その結果、これまで県が要望を続けてきた元利償還金に対する交付税措置が新たに導入されたことも相まって、両市町の実質的な負担は昨年度までと比べ軽減される見通しとなっております。
 次に、並行在来線の経営分離についてでありますが、新幹線の開業時における東北本線盛岡-八戸間のJRからの経営分離は、平成2年12月及び平成6年12月の政府・与党申し合わせなどにおいて新幹線着工の条件として提示され、県におきましては、関係市町村と十分な協議を経た上で、新幹線の早期着工を最優先する立場から、やむを得ない選択として受け入れたものであります。このような経過を踏まえ、県といたしましては、経営分離後の並行在来線について、将来にわたって健全な経営のもとで現在の輸送サービスの利便性を確保することを最大の課題として位置づけているところでありまして、現在は鉄道による輸送の継続を基本的な前提に、分離後の経営見通しの把握に向けた収支などの試算作業を鋭意取り進める一方、国やJRに対しましては必要な支援措置に関する要望を続けております。
 今後におきましても、支援の具体化に向けた国などに対する働きかけを強めていくとともに、沿線市町村や青森県と十分に意見交換を行いながら、新幹線建設工事の進捗状況と開業までに必要な準備期間の双方に照らして、時期を失することのないよう、分離後の輸送と経営に関する県としての基本的な考え方を適時適切に取りまとめてまいりたいと考えております。
 次に、田中館愛橘博士記念科学技術館--これは仮称でございますが--、これに対する支援についてであります。
 県といたしましても、地元の要望を踏まえて、当該施設の国庫補助事業への採択に向けて二戸市と連携を図りながら国への働きかけを行うなど、支援、協力を行ってきたところであります。その結果、本年5月に科学技術庁の先端科学技術体験センター整備事業として採択され、補助金の交付決定を見たところであります。本事業は、当初から事業主体である二戸市に対して国が直接補助を行う補助率2分の1の高率の補助事業として進められてきたところでありますことから、施設整備につきましては市が主体的に取り組むべきものと考えておりますが、当該施設は県北地域における科学技術の普及啓発拠点としての役割も期待されることから、県といたしましても、関係機関と連携したソフト事業の実施などについて、市と密接な連携をとりながら積極的に支援、協力してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕

〇保健福祉部長(緒方剛君) まず、痴呆性高齢者や知的障害者の福祉等の援助策と権利擁護についてでありますが、現在、本県に痴呆性高齢者は約1万3、000人、知的障害者は6、000人いると推計されております。これらの方々に対する福祉介護等の援助策につきましては、第三次岩手県社会福祉基本計画に基づき、地域の需要や障害特性に対応した施設の整備に取り組むとともに、痴呆性高齢者向けのデイサービスや障害者の福祉作業所、グループホームの設置等、きめ細かに地域生活を支援する施策の展開を図っているところであります。
 次に、財産管理や人権擁護の支援策につきましては、身近な地域の相談支援体制として、地方振興局や福祉事務所及び民生委員や精神薄弱者相談員等により一般的な相談を行うほか、法律等の専門的な相談に対応するため、高齢者総合相談センターや、後にお答え申し上げる知的障害者専門相談室を設置し、弁護士等の専門家と連携しながら、財産や人権に関する各種相談に応ずるなどの支援体制を整備しているところであります。
 一方、法務省においては、現行の禁治産、準禁治産制度を本人の意思、能力を尊重した柔軟かつ弾力的な制度にすべきとの社会的要請を背景に、特に心神耗弱には至らないが判断能力の不十分な痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者をも視野に入れて、自己決定の尊重や残存能力の活用と調和した本人保護の実現を目指した新たな成年後見制度を整備することとし、平成11年を目途に現行民法の改正案を提出するとしております。さらに、この新たな成年後見制度を実効あるものとする観点から、厚生省において、成年後見人を必要とする知的障害者等が容易に財産管理支援等に係る後見人を選任できるよう、候補者を登録照会するシステムや財産管理の専門的相談窓口の設置を核とする財産管理支援体制の整備も検討されているところであります。
 本県におきましても、現在実施している各種相談事業の拡充を図るとともに、国の動向を踏まえながら、痴呆性高齢者や知的障害者の人権や財産等の保護のための総合的な支援体制について一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、知的障害者専門相談事業についてでありますが、本事業は、知的障害者やその御家族の方から相続、財産、契約、人権等に関する相談を受け、法律上の助言や相談を行うことにより、これらの方々の財産や人権の侵害を防止し、安心して地域生活ができる支援体制の整備を図るもので、本年8月より新規事業として取り組んでおります。専門相談室は、ふれあいランド岩手内の岩手県手をつなぐ育成会事務局に開設し、専門相談員による相談とともに、弁護士による法律相談を実施してきたところであり、現在までに多重債務や雇用問題等16件の相談を受けております。年度内にはさらに巡回相談も実施することとしており、知的障害者の身近な相談支援機関としてその一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、市町村障害者計画についてでありますが、平成9年11月現在で障害者計画を策定した市町村は全体の22%に当たる13市町村となっており、また、本年度内には81%に当たる48市町村が策定する見込みとなっております。県は、これまで計画策定の指針となる市町村障害者計画策定実施要領を示すとともに、地方振興局ごとに障害者計画策定会議を開催するなど、市町村を支援してきたところであります。さらに、本年度は新たに水沢市が国及び県の補助を受け、市町村障害者計画策定モデル事業を実施しております。今後も県といたしましては、計画策定の手順や内容などについて市町村に対して積極的に指導、支援を行い、平成10年度までに全市町村が計画を策定できるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立福岡病院への救命救急センターの設置についてでありますが、御案内のとおり、県北地域においては、岩手県高次救急センターから地理的にも時間距離的にも最も遠い久慈地域に来年3月に開業される県立久慈病院にあわせて救命救急センターを整備しているところであります。他方、救命救急センターについては、国に設置された救急医療体制基本問題検討会において、一部に機能を十分に発揮していないセンターもあるとして、現在、新たにその見直しが行われており、今後は救命救急センターの承認については、日本救急医学会の指導医の配置やヘリポート、ドクターカーの確保を条件とするなど要件を厳しくする方向にあり、今後新たに設置することは大変難しい状況となっております。
 また、お尋ねの二戸地域の3次救急医療体制については、平成7年7月に岩手県救急医療検討会において、中長期的見地から既存の救急医療体制を逐次充実する方向で整備するとの答申を受けているところであります。これらのことから、県としては、二戸地域においては県立福岡病院など既存の医療体制を逐次充実する方向で、県民がどこに住んでいても速やかに高度な医療が受けられるよう、答申の趣旨に沿って鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
   

〇議長(那須川健一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔商工労働観光部長佐藤孝司君登壇〕

〇商工労働観光部長(佐藤孝司君) まず、企業誘致のための組織、体制の強化についてでありますが、今年度におきましても、いまだ立地内定には至っていないものの、地方への展開計画を有する企業につきまして、県北・沿岸地区の工業団地への現地案内を行っているところであります。
 また、この7月には、八戸市において県北・沿岸地区の多数の市町村長と昨年を上回る企業の方々の参加をいただき八戸地域の経済交流促進懇談会を開催したほか、8月には東京、大阪、名古屋地区において企業誘致情報の提供をいただいている企業関係者を久慈、二戸の両拠点工業団地を中心に案内し、その立地環境についての理解を深めていただくとともに、情報の提供を求めているところであります。
 今後とも、これら折衝企業の大半が首都圏に集中している状況を踏まえ、特にも東京事務所企業立地課を中心に、市町村を初めとする関係機関との連携を密にしながら、誘致推進体制の充実、強化を図り、より幅広い企業誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
 また、昨年度新たに企業立地促進奨励事業費補助金を創設したところでありますので、今後、企業の投資規模の動向等を見きわめながら、市町村との役割分担をも考慮し、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、北東北観光振興のためのアクションプランについてでありますが、北東北知事サミットは、鉄道、旅行会社の代表など民間ゲストをも交えて観光をテーマに意見交換が行われ、観光が北東北の経済発展、地域振興に極めて重要な役割を果たしていることについての共通認識がなされたところであり、今後においては、観光を通じて地域の振興を図るため、3県はこれまで以上に県境を越えた連携を強化し、北東北全体の観光振興を推進することが合意されたところであります。
 また、北東北観光振興のアクションプランの策定、北東北観光の新たな魅力づくり、冬季観光や国際観光の振興に向けた取り組みの強化、情報発信体制の強化等の具体的な施策の実施についても合意されたところであります。このアクションプランは、21世紀の北東北観光のあるべき姿を明らかにし、それを実現するために3県が連携して取り組む施策の基本指針とするものであり、平成10年度を目途に共同で策定することとしているものであります。
 県北地域は、十和田八幡平国立公園と陸中海岸国立公園に近接しているなど、地理的にも優位な地域であることから、アクションプランの策定に当たっては、これら地域の特性が十分生かされるよう配慮してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長中村陽兒君登壇〕

〇林業水産部長(中村陽兒君) 内水面漁業の振興についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、アユは内水面漁業や遊漁の振興にとって極めて重要な魚種となっておりますが、近年のアユ釣りの成果は思わしくなく、特に本年は、漁期の前半が不振であり、秋田など県外に向かった釣り人も多かったと聞いております。この不振の原因は、河川環境や天候の問題などさまざま指摘されているところでありますが、御指摘のとおり、放流用の種苗についても今後改善していくべき点が内在していると考えております。
 近年、本県におけるアユ種苗の放流量は増加し、県下の内水面漁協の努力により、平成9年度は27トンと全国的にも多い状況となっております。その内訳は、種苗の需給が緩和基調にあったこと、県内において種苗生産体制が不十分であったことなどから、琵琶湖などから直接稚魚を購入するものと、福島県などから卵を購入して県内で人工種苗生産するものがおおむね半々となっております。これらの種苗につきましては、今日では親魚を20代以上繰り返して生産してきていることから、種苗としての健苗性の確保の観点から問題が出てきていると考えております。
 このため、従来から取り組んできている他県産の健康な種苗の確保に努めるとともに、今後内水面漁協等関係者と一体となって、自県産アユの親魚の育成、採卵等の技術確立に取り組み、より天然に近い健康で活力のあるアユ種苗が効果的に放流されるよう体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) まず、二戸駅周辺地区土地区画整理事業についてでありますが、二戸市は、東北新幹線盛岡以北が開業されることにより、県北の拠点として、また十和田湖などを視野に入れた広域観光の拠点として一層の発展が期待されております。
 このような中で二戸市では、駅周辺地区において面積88ヘクタールを対象に県北唯一の東北新幹線の停車駅にふさわしい市街地の形成を目指し、平成8年度から土地区画整理事業に着手したところであります。
 この事業の進捗状況でありますが、事業着手して日が浅いこともあり、現在本格的な工事着手に向けての建物調査や測量設計等を実施しているところであります。
 なお、ことし3月に一部仮換地指定を行い、新幹線用地6・1ヘクタールの一部となる約1・6ヘクタールを保留地として処分したところであります。
 県といたしましては、計画どおりに事業が遂行されるよう必要な国費の導入に努力するとともに、関係権利者の方々のなお一層の御理解と御協力が得られ事業が円滑に推進されるよう、今後とも二戸市を支援指導してまいりたいと考えております。
 次に、新幹線関連道路整備事業についてでありますが、本事業は、新幹線盛岡以北の延伸に伴う効果を広く久慈・二戸地域に波及させるため、新幹線二戸駅に至る四つのルートを定め重点的な整備を進めているものであります。このうち種市ルートについては、国道395号の軽米バイパスや主要地方道軽米種市線のノソウゲ峠の整備は既に完了し、現在猿越峠の登坂車線の整備を進めております。久慈ルートでは、主要地方道戸呂町軽米線の軽米町宮沢地内でバイパス整備を行うとともに、来年度から二戸市と九戸村を結ぶ折爪地内のトンネル工事に着手する予定であります。また、十和田ルートでは、平成5年度から主要地方道二戸田子線の下斗米バイパスの整備を行い、さらに安代ルートでは、平成6年度から主要地方道二戸安代線の二戸市似鳥地内で整備を進めております。
 これらの事業は、膨大な事業費と高度な技術力を要することや、昨今の公共事業を取り巻く環境が厳しいことから、事業執行に当たっては各種の課題を抱えております。しかしながら、県といたしましては、県北地域の振興のため、関係市町村と連携のもと、新幹線二戸駅の開業に合わせた整備がなされるよう努力してまいりたいと考えております。
   

〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時7分 散 会


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