平成9年12月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇47番(菊池雄光君) 社民党議員団を代表いたしまして、通告してあります諸項目について一般質問を行います。
 今議会は平成8年度の決算を審議する議会でありますが、増田県政も任期の前半を折り返し、3年目の半ばに来ております。この時期に増田県政を総括し、21世紀ビジョンの理念について伺っておきたいと思います。
 平成8年の3月に増田知事は3県総の後期計画を策定いたしました。これによりますと、平成8年から12年までの5カ年間に50の新規事業を含む330の重点事業を実施し、約3兆2、500億円を投資するということであります。そして、この後期計画の策定に当たり、知事は、社会変動を十分に見越した内容で、現時点では最善の計画であるとして、計画が実施されれば、特に福祉や医療などの分野では県民の生活は相当な水準にまでいくであろうとマスコミなどで述べております。しかし、残念ながら、福祉や医療は、国の個別の制度改革に加えて財政構造改革などによって高負担と給付サービスの低下を余儀なくされております。公共事業の削減という問題もあります。これらに対する認識と、この後期計画は見直しの必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
 そして、この3県総でありますが、この計画は工藤知事が策定したということになっておりますが、実際は中村知事の後期に骨格がつくられております。そして、このような長期行政計画のシステムは各部局の部門別計画が集約されたものであって、これを各年度ローリングシステムでやっていくということであります。もちろん、この計画は国の制度が変更されれば変わるものでもありますし、知事の判断で変わるものもあると思いますが、3県総の後期計画で知事が前期計画を変革して、独創的に特に何をやろうとしたのかお伺いいたしたいと思います。
 第2に、知事は、昨年度初めて実質的に平成9年度予算を編成いたしました。前年対比8・6%の伸び率、地方財政計画の2・1%を6・5%も上回る大型予算であり、増田カラーが随所に出ているといったマスコミの評価もありましたが、この6・5%約500億円の増額は、県立大学の建設費360億円、新幹線盛岡以北の負担金130億円の累計額と合致いたします。つまり、県立大学、これは前工藤知事の遺産であり、新幹線の負担金はだれが知事になっても編成しなければならない経費であります。結局、増田県政の前半は、行政の継続性、前任者の後始末に大きい精力を使ってきたということではないでしょうか。そういう意味で、来年度予算編成は正念場であります。もう構想などは始まっていると思いますが、財政環境も厳しさを加えております。来年度予算編成に対する基本的な考え方をお示し願いたいと思います。
 増田県政は、昨年1月に県版行革を、ことしの10月に行財政システムの改革指針を策定しております。県版行革の各論については問題なしとしませんが、住民と接触の多い振興局に権限を委譲したこと、また、市町村に対する事務権限の委譲など、地方分権の先取りとして評価いたします。行財政システム改革指針は国の行財政改革に準じて行うものでありますが、評価システムの導入や歳出の抑制などに当たって、県行政の総務、企画などの管理部門に権限が集中されるのではないかと懸念いたしますが、いかがですか。
 次に、知事のポスト3県総の理念の一端について伺います。
 知事は、一昨年、就任直後の記者会見において、私の最大の課題は21世紀のあるべき指針をどう示すかであると、こう言っております。また、最近の議会の質疑やマスコミの談話などでは、時代認識として、現代は大きい変革の時代である、このように言っております。今、どこへ行っても現代は少子化・高齢社会、国際化あるいは高度情報化社会、こういうふうに言われております。まさにそのとおりであると思います。少子化社会は少し問題がありますけれども、国民の高齢化長寿社会は結構なことでございます。国際化は、人類の平和と協調のために進めなければなりません。問題は、高度情報化社会をどうとらえるかということであります。知事の言う現代は大きい変革の時代であるということはどういう意味なのかということであります。私は、昨年2月の定例議会の代表質問で、この情報化社会というものは、単に産業のソフト化とかパソコンネットワーク、インターネット、マルチメディアの時代によって通信や情報メディアが近代化され、産業構造も大きく変わるということではなく、18世紀後半から始まった産業革命によってつくられた産業社会の時代が終わって、人類は、今、新しい文明の時代に向かっている、そういう認識に立つべきであると言いましたが、知事の答弁はございませんでした。
 1982年ですから、15年くらい前にアメリカの著名なジャーナリストであるアルビン・トフラーは第三の波という著書を出刊し、世界的なミリオンセラーになりました。彼の言う第一の波は、人類が耕作によって穀類などを生産することができてからの時代であり、第二の波は、蒸気機関の発明などによってつくられた産業革命後の産業社会でございます。そして、第三の波、それは情報化社会であるとして、彼は明確な未来への指針を著述しております。私は、その後の世界の動きはトフラーの言っているとおり進んでいるのではないかと、そういうふうに思います。したがって、現代はその第二の波と第三の波が激しくぶつかり合っている時代であると、こういうふうに思います。しかし、我が国でも世界全体でも、政治家や経済界は必ずしもそのような変革に正確に気づいていないのではないでしょうか。1975年、元岩手日報記者であった七宮橿三さんが岩手県人という著書を刊行いたしました。彼はその巻頭で、岩手県人は長い敗北の歴史を歩んできた。坂上田村麻呂や源頼朝にやっつけられたと。その原因は、権力に遠く、はるかな距離に災いをされての悲劇であったと、こういうふうに述べております。しかし、今や高速交通時代から高度情報化社会と、距離のハンディはなくなりつつあります。今こそ先見性のある時代認識の上に立って、誤りのない岩手のビジョン、独創的な長期計画を策定すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、地方分権についてお伺いいたします。
 最近、地方分権推進委員会から第3、第4次の勧告書が矢継ぎ早に政府に提出されまして、各界から長年の懸案であった地方分権が結実されるのではないかと、そういった期待が持たれておりますが、率直に言って私は幾つかの懸念を持っております。1980年代ごろから国民生活がますます多様化し、政治に対する住民、国民の要求も多様化してまいりました。そのころから霞ヶ関・中央官庁では、わかりやすく言いますと、肝心なところは押さえておけばいい、面倒なところは地方にやらせた方がいい、地方分権論に対するそういう発想からの容認論が出ていると言われてきました。村山内閣で成立した地方分権推進法、そして、昨年3月に出された1次勧告の中間報告あたりまでは原則として機関委任事務は全面的に廃止すると、こういうことで、かなり画期的な分権が実現されるのではないかという期待が持たれましたが、その後、機関委任事務は、1次、2次の勧告では自治事務と法定受託事務に区分され、約半分に近い法定受託事務が残されることになりました。これは明らかに地方分権の後退ではないでしょうか。財源の問題についても勧告は抽象的でございます。法定受託事務は趣旨からいえば全額国庫負担でやるべきですが、そうでもなさそうであります。自治事務は原則としてその自治体が全額を負担すると、こういうことですが、本県のような財政や経済力の弱い地方はどうするのか。勧告では、地方税、地方交付税などの一般財源は確保すると言っておりますが、その所要財源は具体的に示されないまま各年度地方財政計画で明確にすると、こうなっております。いずれ現在と同じことになるのではないだろうか。面倒な仕事は地方に、肝心なところは国が握るという霞ヶ関の論理が如実になってきているのではないかと私は感じますが、いかがですか。
 地方分権の受け皿である県や市町村については次のような懸念を持っております。県でございますけれども、いわゆる官官接待、カラ接待、カラ出張などで全国の都道府県では地方分権どころではない。専守防衛であります。この問題にメスを入れ、住民、国民の政治不信をなくする方策が必要であります。そのためには実態を明らかにし、なぜこのような不祥事が起こったかという原因を明らかにする必要があります。そして、予算と歳出の執行を透明化する必要があると思いますが、その認識と対策をお示し願います。
 第2に、分権の基本となる市町村はもっと地方分権を確立するという意欲と行動を示すべきではないでしょうか。私は、中央の研修会である著名なジャーナリストが、市町村の首長や議会の中には、今までは何か住民の意に沿わないような行財政については県や国がと言って責任を転嫁してきた。地方分権によって自分たちの権限、責任が大きくなるよりは今までの制度の方がいいのではないか、そういう本音があるのではないかと、そういうことを言われております。私としてはあながち否定できないのではないかと、こういうふうに思っております。もっと市町村は、分権は与えられるものではなくて奪い取る、そういう意欲があっていいと思うのですが、いかがでしょうか。
 次に、エネルギー政策についてお伺いいたします。
 従来、このエネルギー政策といったようなものは国の仕事だといった風潮がありましたが、今やエネルギー問題は経済だけではなく環境問題として重要な課題であり、特に、ソフトエネルギーはローカルエネルギーとも呼ばれておりますように、今までの集中化したエネルギー供給のあり方を地方に分散させることによって地方の経済に活力を与え、何よりもクリーンですから、環境保全という地球的な規模の問題にも寄与することができます。本県も最近、新エネルギーの開発などに積極的に取り組もうとしていることは評価し、期待しておりますが、とりあえず次の3点についてお伺いいたします。
 地熱は本県の最も有望なソフトエネルギー資源であります。松川・葛根田には既に発電所が稼働しておりますが、まだ開発可能な地帯がかなりあると言われております。最近、新エネルギー産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOが安代地域で4年間の調査を終え、極めて開発の可能性の高い地熱貯留層を確認したと報じられております。また、地熱熱水は火山地帯に自然の天水等が貯留した状態で、これを利用して発電をしておりますが、マグマだまりの熱源の近くに人工的に貯留層をつくり、その熱供給を利用して発電をする高温岩帯発電、これは、今、アメリカでは発電所が既につくられております。我が国でも、電力中央研究所などの地域選定評価によりますと、24万キロワットクラスの発電所を160基ぐらい建設することが可能であると、こういうふうに言われております。本県は恵まれた地熱資源を持っておりますし、開発に実績のある企業もありますので、開発可能な地域を選定し、可能な限りの調査を進めるプロジェクトをつくるなど、積極的に地熱開発を進めるべきであると思いますが、いかがですか。
 風力発電についても、我が国も本県も緒についたばかりでございます。昨年度、県は、広域生活圏ごとの新エネルギーの賦存調査を行っておりますが、風力については、NEDOの風力マップに各市町村の面積を乗ずるといった概略的なものでございます。風力発電所が観光施設のように一、二基あるというのではなくて、風力発電でその地域を一定の規模の電力供給の基地にする。そのために発電に必要な条件、一定の平たん地があり、当然発電可能な風力が持続してあるなどの可能性があると思われる地域を当該市町村と協力して調査を行う、そして、民間企業などが事業化できるような方向を促進する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 太陽光発電を普及させるためには、初期需要を創出し、量産規模を拡大させるなどによってコストを下げるということが最大の課題でございます。そのために通産省は、平成6年度から個人住宅を対象として新規設置者に2分の1の助成を始めました。最近は補助率が低下したようでございますが、余剰電力を一般電気事業者は売電価格で買い入れるなどの施策も行っております。ドイツでは、自治体が独自の制度として余剰電力を電気事業者であるエネルギー供給公社が発電コストに見合う価格で買い取る。そして、その財源として電力料金にかさ上げ課税をするいわゆるアーヘン方式などを行って普及を図っております。この太陽光発電の普及を図るために、県行政の横断的な取り組み、市町村の協力、企業、県民の意識の改革が必要であります。これに対する対策をお伺いいたします。
 次に、県道雫石東八幡平線、通称奥産道をどうするのかということについてお伺いいたします。
 この道路は全通しますと約16キロありますが、その周辺はほとんど国立公園でございます。自然環境保全の視点からいいますと、野生生物の生存に脅威を与え、自然公園という本来歩いて楽しむ自然に人工的な道路をつくるということで問題があります。しかし、観光開発によって地域の振興を図るということで始められた道路でありますから、今日的な道路交通などの情勢のもとで、その経済的な効果はどうなのかということを重点にお尋ねいたします。
 まず、この道路は、完成しても積雪山岳地帯のために6月から10月の5カ月間程度しか利用できません。1車線、待避所40カ所という変則道路であります。平成4年ごろ雫石工区の橋梁も2車線でつくられ、また、三ツ石山頂のトンネルも2車線で構想されておりましたので、この道路は2車線になるのではないかという自然保護団体の懸念もあったようですが、県の道路の標準断面図を見ても現地の状況を見てもこれは難しいと。その上に環境庁の承認はできないのではないかというふうに思います。特に松川工区では、赤川を挾む斜面は、つくられた道路側も反対側も温泉余土と言われるもろい地質で、かなりの幅と高さで崩落し、大規模な地すべりの危険があることは一見してわかります。現在、観光道路といえば大型バスが安全で自由に往来できる道路でなければ効果はないと思いますし、このような不安定な道路では危険であり、経済効果は薄いと思います。この道路は、奥産道法が昭和39年に施行され、国の補助事業として採択をされ建設されましたが、この法律の施行令に奥地の規定がございます。現在では雫石町も松尾村もこの条項をクリアしているのではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
 何といっても昭和50年以降に東北縦貫道が供用開始され、世界アルペン自動車道の整備が進むなど、この地方の道路交通は大きく変わりました。夏の一時期、わずか30分の時間短縮のために何で国立公園に舗装道路がという住民の声もございます。みちのくの恵まれた雄大な自然環境を守るために、また、公共事業見直しのこの時代に発想の転換を図るべきであるというふうに思いますが、いかがですか。
 次に、宮古市にあるデワノトネリコという樹木が県の道路拡幅事業によって無断伐採をされ、問題になっております。この樹木は、環境庁が我が国で絶滅のおそれのある希少種であるチョウセンアカシジミというチョウの貴重な食木であることから、大きい問題として取り上げられております。特に宮古市教委は、このチョウが天然記念物に指定されていることから、昨年にも伐採の事実があり、事前協議の対象となっていたが、これも行われなかったとして憤激をしております。これは、昨年の奥産道雫石工区で行われました国立公園の原生林乱伐に相次ぐ不祥事として、県は重大な責任と対処が迫られております。これに対する知事の所見をお聞きいたします。
 次に、農業問題について伺います。
 新食糧法によって下支えを失った米価は低落の一途をたどっております。ちなみに、本県産あきたこまちは、ことしの11月14日の入札では60キロ当たり--1俵ですね--1万6、971円、昨年より10%近い値下がりでございます。東北農政局の調査によりますと、平成7年度の10アール当たりの生産費は16万6、027円ですから、この年度の計算で、仮に10アール当たり9俵の収穫という計算ですと、1俵当たり1万8、447円の米価でなければ米は赤字ということになります。この問題に対し、私どもは当面の対策として、一つは、新たな米対策の確立のために年度計画をもって在庫水準の適正化を図る必要があると思いますが、いかがですか。
 第2に、生産調整の推進に伴う不公平感を緩和し、生産調整のメリットを明確にするため、生産調整助成金や計画流通推進総合対策費の抜本的な見直しを行うべきであると思いますが、いかがですか。
 この20日に示されました農水省の生産調整に2年間で6、100億円投下するという新政策は、単純に計算しますと、既存の対策費が--今ある対策費ですね--2年度で4、000億円ありますから、新たな増額は2、100億円であります。単年度では1、050億円にすぎません。しかも2年間で新たな減反面積は約34万ヘクタールも加わるということになると、とても問題になりません。
 第3に、今後の生産調整の推進に当たっては、穀物などの自給率の向上のため、転作営農の助成金や関連施策の充実を図り、適地適作を推進すべきであると思いますが、いかがですか。
 今後の検討課題として、備蓄方式のあり方、米の海外援助のあり方、米の多用途利用のあり方、計画外流通米の的確な把握、さらに、全農も提起しておりますが、米価の暴落対策として収入保険制度の検討を進めるべきであると考えますが、いかがですか。
 最後に、農政部は今、機構再編を構想しているようでございますが、その基本的な考え方をお伺いいたします。
 以上をもって壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 菊池雄光議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、3県総後期実施計画についてでございますが、後期実施計画は、環境保全への要請の高まり、阪神・淡路大震災を契機といたしました安全な県土づくり、あるいは産業の空洞化やウルグァイ・ラウンド合意に基づく新たな国境措置の実施などの3県総策定後の経済社会情勢の変化や新たな課題に適切に対応していくことを念頭に置いて策定したものでございます。このため、後期実施計画におきましては、従来の行政単位の枠を越えて、産業、福祉、教育、文化など、県内外にわたってさまざまな地域連携、交流を促進し、自立的な地域社会を形成することを目指すことといたしましたほか、安全で安心感のある県民生活の確保、人と自然との望ましい共生の実現、国際的視野に立った地域経済の構築など七つの視点を掲げ、その推進に努めてきたところでございます。
 しかしながら、我が国を取り巻く経済社会情勢の急激な変化によりまして、これまでの経済や社会の構造そのものの変革を迫られるなど、時代は今まさに歴史的な転換期にございます。こうしたことから、国におきましては、財政構造改革や社会保障構造改革などの諸改革の一体的な取り組みに着手をいたしましたほか、地方分権の推進が時代の要請として、国、地方を通じる現下の大きな行政課題として取り上げられてきているところでございます。したがいまして、本県におきましても、後期実施計画の推進はもとより、県政の運営に当たっては、このような前提条件の大きな変化を踏まえて取り組んでいくことが必要であると、このように考えております。
 なお、現在、国において財政構造改革の推進に関する特別措置法案の審議が行われており、公共事業を中心に後期実施計画の重点事業として位置づけられました個々の事業について、今後計画期間などの見直しが必要となることも想定をされるわけでございますが、新しい総合計画の策定作業の中でこうした問題について適切に対応してまいりたいと、このように考えております。
 次に、来年度の予算編成に対する基本的な考え方についてでございますが、本県の財政は、県税などの自主財源に乏しく、国庫支出金、地方交付税や県債に財源の多くを依存せざるを得ない体質にございますので、足踏み状態とされる景気動向や国の財政構造改革による歳出の改革と縮減の影響などを勘案いたしますと、来年度の予算編成はこれまでになく厳しいものになるものと、このように考えております。
 しかしながら、本県は今、21世紀に向けましてしっかりとした基盤を築くべき重要な時期を迎えておりますことから、国際化や高度情報化の急激な進展などの経済社会の情勢を的確に見据えますとともに、地方分権の時代を展望しながら、新たな行政課題にも適切に対応できるような行財政運営を確保していくことが肝要であると、このように考えております。このため、先般県の行財政システムを自主性、自立性が一層発揮できるような機動的で効率的なものに改革するための指針を策定をしたところでございまして、来年度の予算は、この指針に基づく改革を確実に実行することを基本として編成することといたしております。
 具体的には、既存の事務事業につきまして、これまでの実績にとらわれずに客観的に評価をいたします制度の導入によりまして徹底した見直しを行いますことや行政と民間の分担すべき役割の明確化などによりまして歳出の縮減と合理化を図る一方で、優先度と緊急度の高い施策につきましては、各行政分野ごとの重点化施策と位置づけをいたしまして一層の推進を図りますとともに、特に次の4点、環境との調和と保全、次代を担う人材の育成、地域情報化の推進、地域産業の高度化の推進という時代の潮流を見据えました四つの課題につきましては、全庁を挙げて重点的に取り組むことといたしているところでございます。極めて厳しい財政環境にはございますが、限られた財源を効果的に活用いたしまして、創意と工夫を凝らした特色のある予算編成を行ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、先見性のある時代認識の上に立った独創的な長期計画の策定ということでございましたが、21世紀が目前に迫りました今日、我が国を含めまして世界で進行いたしております経済社会の変化は、これまで我々が経験したことのないような大きく激しいものとなってきているところでございます。こうした中で情報化の急激な進展は、議員の御指摘のとおり、これまでの近代工業社会とは全く異なりました、モノの生産から情報を介したサービスの生産が中心となります脱工業化社会、情報化社会の本格的な到来を意味をいたしておりまして、このような社会においては、人々の生活から教育、政治、経済の構造すべてを一変させてしまう可能性があるものと、このように考えておりました。
 このことは、一方におきまして岩手が21世紀に大きく飛躍する可能性があることを示唆をしております。即ち、情報化が高度に発達をいたしまして時間や距離の制約が克服をされた社会におきましては、それぞれの地域の持つ個性や特色、そこにしかない文化や資源をどのように生かしていくかが極めて重要になってまいります。岩手の広大な県土には、多様な自然や風土、伝統や文化、人材や産業・技術が存在をいたしておりまして、個性的な地域社会が形成をされておりますことから、これらをさまざまなネットワークによって再構築をすることにより、新しい文化や産業、価値の創造に結びつけていくことが可能となると、このように考えられるわけでございます。そして、そのような社会におきましては、県民一人一人の選択可能性が大きく広がってまいりまして、みずからの夢や目標にチャレンジできる環境が整うものと、このように考えられます。
 以上のような認識に立ちまして、新しい総合計画の策定に当たりましては、この岩手が新たな時代のフロントランナーとなり得るという発想のもとに、本県の発展可能性を十分に引き出すことに全力を傾注いたしまして、県民に真に豊かな生活を提供できるような21世紀の新たな理想郷を目指してまいりたいと考えております。
 次に、宮古市の天然記念物に指定をされておりますチョウセンアカシジミの食樹であるトネリコの伐採問題についてでございますが、貴重な野生生物の保全は、生物学的多様性の維持などの観点と本県の自然環境の保全上重要なことであると、このように認識をいたしております。
 昨年、いわゆる奥産道の自然破壊を引き起こしまして、その再発防止に事務の再点検を行うなど、県としても真剣に取り組んできたところでございますが、そのやさきにこのたびのかかる事態を招いたことは、再び県行政に対して県民の信頼を損なったこととなりまして、まことに遺憾であり、県民の皆様に対しまして改めて深くおわびを申し上げる次第でございます。現在は、事実経過について調査を行いますとともに、どこに問題があったかを究明した上で対応策を講ずることが肝要と、このように考えております。
 これまで判明している中で、特にも移植が必要なトネリコの木につきましては、その都度協議を行うこととされておりまして、当然本年度の工事着手前に市と協議・確認することが不可欠であったものでありまして、このような事態の再発防止のために組織内部におきましてチェックリストでの確認を行ったにもかかわらず、その後の取り組みが不十分で、結果的に所期の目的が果たせなかったのではないかと、このように考えております。
 今後は、関係機関とも協議の上、早急にチョウセンアカシジミの生育環境の整備に向けた具体的な対策を講じますとともに、本県の有しております大切な自然環境との共生を目指した県土づくりをより一層推進してまいりたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いを申し上げます。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕

〇総務部長(大隅英喜君) まず、行財政システム改革指針についてでありますが、国、地方を通じる厳しい財政環境のもと、少子化、高齢化の急激な進展や環境に対する関心の高まりなど、社会経済情勢が大きく変化する中にありまして、本県が時代の変化に柔軟かつ弾力的に対応できるような行財政運営を行っていくためには、従来の方式にとらわれず、新しい視点に立って既存の事務事業の徹底した見直しや施策の重点化と効率化を図りながら、県民の視点に立った行財政運営を推進することが肝要であると考えております。
 このため、先般策定した行財政システム改革指針におきましては、県が行う事務事業を不断に見直すことによりまして、歳出の合理化と効率化を図る一方、各行政分野ごとに重点的に取り組むべき施策を明確にし、その一層の推進を図ることにより、限られた財源をより効果的に活用することを基本的考えとしております。したがいまして、この指針に基づく改革は、各部局並びに職員一人一人が、それぞれ担当する事務事業について、コスト意識と県民サービスの向上の観点から点検を行いながら一丸となって取り組むことにより初めて可能となるものでありますので、全庁的な取り組みを展開してまいりたいと考えております。
 次に、地方分権推進委員会の勧告についてのお尋ねでありますが、地方分権推進委員会においては4次にわたる勧告で、明治以来の我が国の中央集権型行政システムの中核的部分を形づくってきた機関委任事務制度の廃止を初め、地方公共団体に対する国の関与の手続や国と地方公共団体との間の係争処理の仕組みの新たなルールの創設、必置規制の見直しなどについて明らかにしてきたところであります。この勧告は、国と地方を対等・協力の関係に変え、地方公共団体の自主性、自立性を高め、実効ある地方分権を推進するという観点からなされており、全体の方向としては基本的に評価すべきものと考えております。
 また、財源の問題につきましては、地方分権を推進するためには、地方公共団体が地域の実情に応じて自主的、主体的な判断と責任のもとに施策を展開できるような地方税財源が安定的に確保されることが極めて重要であると考えております。
 このような観点から地方分権推進委員会の勧告を見ますと、第2次勧告では、国から地方公共団体への事務・権限の委譲が行われた場合には、地方公共団体が事務を自主的、自立的に執行できるよう、地方財政計画の策定等を通じて所要財源を明確にし、地方税、地方交付税等の必要な地方一般財源を確保するとしております。
 また、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するため、地方税の充実確保を図るとともに、中長期的な課題として、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系の構築と、国と地方との税源配分のあり方について検討するとし、さらに、税源の偏在による地方公共団体間の財政力の格差を是正するため地方交付税の総額の安定的確保を図るとしております。したがいまして、県といたしましては、今後検討するとされた諸課題や明確に記述されていない国から地方への税源の委譲などについて、今後において十分な検討がなされるとともに、勧告の内容に添った地方税財源の充実・確保が図られるよう、引き続き政府要望はもとより、北海道東北地方知事会や全国知事会の場などを通じまして要望していく必要があると考えております。
 次に、旅費や食糧費の不適切な執行に係る認識と対策についてでありますが、その事例といたしましては、旅費については、実際の出張が不可能になったにもかかわらず、命令取り消しや返納手続がおろそかになってしまったものや、旅行命令を行うに当たって制度の趣旨に沿った運用がなされていなかったものなどであり、また食糧費については、経費の支払いに相当する懇談会の内容が明らかでないものなどでありますが、現在、食糧費については全庁を挙げてその実態調査を進め全容解明に努めているところであります。これらは、いずれも管理監督が不十分であったことや公務意識の欠如、あるいは事務が適時適切に処理されなかったことに起因するものと考えており、まことに遺憾に存じております。
 今後に向けた対策といたしましては、その適正化を図るため必要な基準を定めるとともに、行政管理委員会による内部考査等を徹底することとしたところでありますが、こうしたことを通じまして、公費の不適切な執行の再発防止に全力を傾注し、県民の信頼回復に努めてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕

〇企画振興部長(武居丈二君) まず、地方分権に対する市町村の姿勢についてでありますが、住民が真の豊かさを享受するために、各地域がそれぞれの個性を生かした多様性のある地域づくりを進めていくことが必要であり、地方公共団体の自主性及び自立性を高める地方分権の推進は時代の要請となっております。
 一方、地方分権型行政システムにおいては、地方公共団体はこれまで以上に行政運営に対する責任を負うこととなるものであります。このため、住民に最も身近な行政主体である市町村においては、地方分権を推進するための積極的な取り組みを行う必要があるとともに、行財政基盤の整備や広域行政の推進が重要な課題となっております。現在、県内市町村においても、行政の公正の確保と透明性の向上とともに、みずからの行財政基盤の整備を図るための行政改革の実施など、地方分権を視野に入れた積極的な行政運営に取り組み始めており、最近では、江刺市における行財政改革行動指針の策定、気仙広域市町村圏における広域連合への取り組みなども活発化してきております。
 今後、国において地方分権推進計画が作成され、地方分権が実施の段階に入っていく時期に当たり、議員御指摘のとおり、地方公共団体の意欲、特にも市町村における取り組みが問われることとなりますので、県と市町村の一層の連携を深めながら、地方分権の実現に向けてさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、本県のエネルギー政策についてでありますが、地熱開発につきましては、地熱エネルギーがクリーンで再生可能な地域エネルギーであることから、これまで積極的に開発促進をしてきた結果、松川・葛根田の両地熱発電所の出力は合わせて10万3、500キロワットとなり、全国第2位となっております。
 また、国においては県内数カ所を対象として地熱開発促進調査を実施してきておりますが、先般、安代地域が発電に有望な地域として確認され、次の段階へ進むことが期待されております。このほか、葛根田地域では深部地熱資源調査という先進技術の開発研究も行われているなど、本県の豊富な地熱資源を背景に活発な地熱開発が行われてきているところであります。
 県といたしましては、このような地熱開発への積極的な取り組みを踏まえ、現在策定中の新エネルギービジョンにおいて、地熱エネルギーを岩手における新エネルギーとして積極的に位置づけるとともに、国や関係機関への働きかけを行い、本県地熱開発のより一層の促進に努めてまいりたいと考えているところであります。
 次に、本県における風力発電の促進についてでありますが、平成8年度に実施いたしました賦存量などの基礎調査において、風力発電を導入するための諸条件、即ち、年間平均風速5メートル以上の分布状況、風車設置の障害となる自然公園などの状況、風車を運搬するための道路の状況などを調べ、風力発電の導入について可能性のある地域を概略的に把握したところであります。したがいまして、これらの地域に風車を設置するに当たりましては、さらに可能性の高い地域における風況の概況調査や具体的な設置予定地点での風況精査を行うほか、電波障害の有無、電気事業者の配電線の状況など、より詳細な調査が必要となるものであります。
 今後、新エネルギー・産業技術総合開発機構の風力開発フィールドテスト事業などを活用しまして詳細調査を進めるとともに、関係市町村と連携しながら、民間の参入の可能性を含めまして導入のための検討を進めることにより、風力発電の導入促進を図ってまいりたいと考えているところであります。
 次に、太陽光発電の普及を図るための対策についてでありますが、太陽光発電は、クリーンで環境負荷の小さいエネルギーであるだけでなく、設置場所の制約も少ないことから、県といたしましても積極的に広く導入を促進していく必要があるものと考えております。このため、庁内の新エネルギービジョン策定検討委員会や市町村の新エネルギー担当課長会議などを通じまして、庁内各部局や市町村と導入に向けて連携を図っているところであり、また、広報活動により太陽光などの新エネルギーの必要性や各種助成制度の周知など、県民への啓発に努めてきているところでありますが、今後は、これらの活動を継続しながら、新エネルギービジョンの策定及びその推進を通じまして、行政、民間それぞれの立場で積極的な取り組みを促進してまいりたいと考えております。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) 一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道についてでありますが、本路線は雫石町と松尾村を結ぶ唯一の県道であり、地域間交流の活発化による新たな地域連携や沿線地域に展開される多様な観光資源の活用などに資するため昭和40年から事業を進めてきたもので、この整備により網張-松川温泉間が現在より約50分短縮される計画となっております。この道路は当初から1車線で整備しているもので、すれ違いのため待避所を設けるほか、橋梁やトンネルなどの構造物につきましては、災害や事故における救出活動など、防災上の観点から2車線で整備を行っているものであります。奥地等の指定につきましては、5カ年計画改定の際に見直すもので、本年度見直した結果、雫石町及び松尾村については、現在でも奥地等の指定要件を満たしているものであります。
 この一般県道雫石東八幡平線は、平成7年11月に実施した水文調査により、十和田八幡平国立公園内の原生林破壊を引き起こし、これを契機として県民からさまざまな意見をいただいていることや、県議会の場でも検討委員会を設立すべきとの意見もいただいたことを踏まえ、本年5月に道路検討委員会を設置し、自然との共生の方向性や道路整備の方向性等について検討いただくこととし、これまで3回にわたって委員会を開催しているところであります。したがいまして、県といたしましては、本委員会での検討が十分行えるよう環境調査などを行っていくことが肝要と考えており、今後の奥産道のあり方等については、この委員会からいただく提言を踏まえ適切に判断してまいりたいと考えております。(「随分時間がかかるな」と呼ぶ者あり)
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) まず、新しい米政策についてでありますが、今日の大幅な米余りを背景として自主流通米価格の低落が続き、稲作経営は大変厳しい状況にあります。こうした事態に対処するため、国におきましては、先般新たな米政策大綱を決定し、生産調整対策、稲作経営安定対策及び計画流通制度の運営改善の三つを柱とする総合的な対策を講ずることとしたところであります。
 お尋ねの第1点目の米の在庫解消についてでありますが、大幅な需給緩和により、平成9年10月末の国産米の持ち越し在庫量は国の基本計画を相当量上回る350万トンにも及んでおりますが、国におきましては、米価の早急な安定を図るためにはまずもって過剰在庫の解消が先決であるとして、生産調整面積を拡大するとともに、計画流通制度の運営改善を進め、今後2カ年で備蓄水準の適正化を図ることにより、平成12年10月末の在庫量を200万トンにまで縮減することを目指すこととされております。
 また、第2点目の生産調整の不公平感の払拭と生産調整実施者に対するメリットの明確化につきましては、平成10年から新たに実施される緊急生産調整推進対策において、全国の生産者の拠出と国の助成による資金を造成し、地域における生産調整の取り組みの実態に応じて補償金を交付する米需給安定対策が新たに創設されたほか、自主流通米の価格低落時に一定割合を補てんする稲作経営安定対策が講じられることとなっております。
 さらに、10年度から新しい米政策への円滑な移行を図るため、生産調整に積極的に取り組む意欲のある生産者に対して、9年産自主流通米についても、稲作経営安定対策と同様の趣旨で価格差補てん対策を講ずることとしております。こうした対策はすべて生産調整実施者を対象としており、新しい米政策においては、生産調整の実効性を確保するとともに、不公平感の解消を図るためのメリット対策に配慮されたものと存じております。
 3点目の穀物などの自給率の向上対策につきましても、麦・大豆などの土地利用型作物を取り込んだ団地化、組織化など、稲作と転作が一体となった望ましい水田営農の実現を図るため、こうした作物の生産に取り組む農業者等に対し重点的に助成することとしたところであり、さらに、これらの作物の栽培技術の向上を図るため、麦・大豆・飼料作物の生産を振興する緊急対策が創設されたところであります。
 なお、議員御指摘の食糧の海外援助や新規用途開発等につきましては、国において取り組んでいただくよう要望しているところであり、また米以外の作物を含めた我が国独自の収入保険制度につきましても、今後検討されるよう要請してまいる考えであります。
 次に、農政部の機構再編の基本的考え方についてでありますが、現在の農政部の執行体制は、本庁及び地方振興局が昭和61年度に、家畜保健衛生所及び地域農業改良普及センターが昭和44年度に再編整備され、それぞれ11年から28年が経過しております。この間社会経済情勢は大きく変化しており、本県農業はウルグァイ・ラウンド農業合意に伴う急速な国際化の進展や新食糧法の施行に伴い新たな米の流通システムが導入されるなど、大きな転換期を迎えております。
 こうした情勢の変化に適切に対応し、国際化の波を乗り越える力強い農業と生き生きとした農村を構築するためには、今後とも主業型農業を中心とした意欲ある農業者の育成による体質の強い農業構造の確立の推進、農村生活、環境施設の計画的整備による快適で潤いのある農村社会の建設、激化する産地間競争と多様化する農産物流通に的確に対応する流通販売戦略の強化、農政の広域的な展開などの課題に対応した各種の施策を推進していく必要があります。
 このため、本県農業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、新たな課題にも迅速に対応できるよう、また平成8年に策定した本県の行政改革大綱で定められております行政改革の具体的方策を十分に踏まえながら、本庁出先機関を通じ、より機動的かつ効率的な執行体制を確立する必要があると考えているところでございます。

〇47番(菊池雄光君) 順序がちょっと逆になりますけれども、農政部長にまずお尋ねしたいんですが、行政機構の再編整備、これ本庁に農産物流通課を設置するということについては、私この前もちょっと話したことがあるんですが、その農産物の流通販売戦略というものを一元化するという意味では評価をしたいというふうに思います。
 それで、農業改良普及センターについては、駐在員事務所は現在の農業情勢では効率的な活躍ができない。1人か2人市町村に駐在させるというのでは本当の農業の普及というのは難しいのではないかということでやむを得ないのではないかと思うんですが、その普及員の数が少ないので、効率的な現場指導、例えば数名の規模で新作目なんかの普及を図る、そういったようなことができるように、少なくとも定数を削減するということのないようにやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
 それから、本所の体制については案が出ておりますけれども、支所をどうするのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
 それから、家畜保健衛生所ですけれども、家畜保健衛生所法施行規則では、1所当たり10名以上の獣医師を配置しなければならないと法律で定められているんですが、今、11カ所あるんですけれども、盛岡を除いては獣医師を10名以上配置するなどというのはない。半分以下のところもあるんです。こういったようなことでは問題にならない。今度は守備範囲も広がるわけですから、組織体制及び施設整備の充実を図る必要があるのではないかと、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
 それから、土地改良事業所を地方振興局に統合する、これも私は非常にいいと思うんです。従来の圃場整備などを中心とした土地改良事業所を集落排水整備など農村の生活基盤を整備しようとする機構に改める。そのためには、地方振興局の農政部なんかとの連携を密にするために地方振興局と一緒にするということについては私も賛成なんですが、それをやるためには、少なくとも担当部門を設置する必要があるのではないかと思います。
 それから、北上、一関、これはどうするんですか、一体。北上、一関には触れられておりませんが、これをどうするのか、それを聞いておきたいと思います。
 それから、土木部長にお伺いしますが、奥産道の存廃は検討委員会でやると、こういう話をずっと一貫して言っているんですけれども、しかし、検討委員会というのは、これは法律や条例で定められた委員会ではないんです。従来、私も長く県政におったんですけれども、この種の委員会というのは、ややもしますと隠れみのにしているのではないかとか、時間稼ぎ、結論の先送りのために設置しているのではないかということも言われましたが、いずれにしても、やっぱり主体的に結論を出すべきではないかというように私は思うんです。最近、11月11日、第3回目の委員会を開きまして、環境調査ができないので来年も予算を凍結することになったということですが、結局、環境調査といっても、御承知のとおり、昭和57年にこの奥産道のルート選定に係る調査報告書ということで、株式会社プレック研究所というところで膨大な環境調査を行っています。これは何なのですか。こんな膨大な調査を行っている。この調査を私もちょっと見ましたけれども、例えば松川工区なんかについてはやっぱり危険だということを指摘しているんです、この調査報告書の中では。それをやっているわけですから、だからこういう調査報告書をつくっても、何もさっぱり参考にしてないのではないかという気が私はするんです。そういう意味で、委員の皆さんには大変御苦労さんですけれども、いずれ県が主体的にやるようにすべきではないか。私は、発想の転換を図れというのは、わかりやすく言えばやめた方がいいということです。しかし、せっかくつくった道路ですから、これを原状に復するなんていうようなことではなく、この道路は、例えば三ツ石山頂というのがあります。あそこまで2時間か1時間ぐらいで上がっていくような道路は登山道として使わせる。そして、その間は車道をとめる。それから、松川工区、これはだれが見ても危険ですから、松川大橋、あそこらまで行ったら、あそこから上はもう登山道にすると。こういったようなことにして活用しますと、老人とか子供とか、そういう弱者の登山道として十分活用できると私は思うんです。そういうふうにして転換をしたらどうだと、私はこう思うんですが、いかがですか。
   〔農政部長中村盛一君登壇〕

〇農政部長(中村盛一君) まず、普及員の定数についてでございますが、普及員の定数につきましては、国の定員管理計画あるいは県の行政改革の一環といたしまして職員定数の見直しが継続的に行われてきているところでございます。今般の再編整備は、農業者からのニーズにより的確に対応するため、小規模普及センターの統合あるいは市町村駐在制を廃止いたしまして職員配置の見直し等を行うことによりまして改良普及員の現地におきます活動時間の増加を図り、専門的かつ高度な技術指導や経営指導など現地指導を充実強化しようとするものであります。必要とする改良普及員の定数の確保につきましても検討しているところでございます。
 次に、農業改良普及センターの支所の体制についてでございますが、今般の農業改良普及センターの再編整備では12地方振興局の所管区域ごとに統合することとしたものでありますが、本センターの管轄区域の面積及び本センターからの距離などを勘案し、より一層地域課題に即応した活動体制とするために、本センターの支所として地域普及所を4カ所設置することとしたものであります。地域普及所には、地域普及所長のもとに、管轄区域の市町村を担当する改良普及員と地域の主要作目の技術指導を担当する改良普及員を配置することとしております。
 次に、家畜保健衛生所の組織体制及び施設設備の充実についてでありますが、再編整備後の家畜保健衛生所につきましては、すべてではないんですけれども、小規模体制を集中化したことによりまして職員体制が充足されますので、家畜別専門職員、細菌、ウイルス、病理、生化学の部門別専門職員などを配置しまして、高度な知識、技術が生かされる総合的な指導体制を確立し、さらに各種のウイルスや細菌感染症を迅速、的確に診断することができるような高度な検査機器を整備して病性鑑定等の分野も充実することといたしております。このことによりまして、主業型経営体や主要産地などが求めております計画的、体系的な家畜防疫や衛生技術指導のニーズに的確に対応することができるものと考えております。
 次に、農村の生活環境整備の担当部門の設置についてでありますが、農業農村整備事業につきましては、近年、圃場整備など農業生産基盤の整備にとどまらず、農業集落排水など農村生活環境の整備にも重点が置かれる方向にありますことから、農村生活環境の整備を担当する部門につきましても農村整備事務所内に設置の方向で検討しているところであります。
 次に、北上、一関地方振興局に農村整備事務所を設置することについてでありますが、現行の花巻土地改良事業所は花巻及び北上地方振興局の所管区域、両磐土地改良事業所は一関及び千厩地方振興局の所管区域にまたがって県営土地改良事業を実施しております。それぞれの事務所は花巻市、千厩町にあります。今般、農村整備事務所を設置するに当たりましては、地方振興局の機能を強化し、完結性を高めるとともに、農業農村整備事業の業務執行の効率性を進め、地域と密接な関係機関として受益者や県民の利便をよくする必要がありますことから、地方振興局の所管区域との整合性を図ることが望ましいと考えているものであります。北上及び一関地方振興局の農村整備事務所の設置につきましては、今後の事業の見通しや地域課題などを踏まえ、適切に対応するため、関係部と協議、検討しているところでございます。
   〔土木部長藤本保君登壇〕

〇土木部長(藤本保君) 奥産道問題についてでありますが、まず、検討委員会に白紙委任ではないかということでございますけれども、先ほど答弁申し上げましたとおり、県といたしましては、この委員会からいただく提言を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、環境調査につきましては、昭和57年度に最適ルートを決定する際に全体的な環境調査を行っておりますが、第1回道路検討委員会の中で、今後、委員会が検討する自然との共生の方向性等を十分議論するためには、再度、動物、植物、景観等の環境調査を行い、この結果をもとに、委員それぞれが専門的見地から道路建設が及ぼす影響について検討する必要があるとの要請を受けて実施しているものであります。
 次に、本路線の利用形態につきましては、議員御提案の方法も含め、今後、道路検討委員会の中で議論されるものと考えております。

〇47番(菊池雄光君) さっきの地方分権に対する総務部長の答弁をお聞きしますと、全体的には、基本的に今の推進委員会の報告を評価すると、こういうお話でございますけれども、しかし、さっきも申し上げましたように、地方分権の当初のキーワードというのは機関委任事務は全面廃止するということだったけれども、それはもうできなくなったと。それから、各次の勧告は、中央省庁の激しい抵抗、巻き返しに遭って妥協の産物として抽象的にならざるを得なかったと。これは決して私の個人的な偏見ではなくて、マスコミや識者の評論がそうなんです。それに、最近、政府は六つの改革と言ってますが、何といったって財政構造改革、これは何よりも優先すると。我が国の主要な課題であるわけですが、厳しさを分かち合ってもらわなければならないとか、あるいは地方の行政サービスなどは大幅に切り詰めて財政再建のために地方にも協力をしてもらわなければならない、これは総理大臣、大蔵大臣を初め、財政当局の一貫した姿勢でございます。したがって、地方分権の主要な課題である財源の確保、これが厳しいものになることは予測にかたくないと私は思うんです。御承知のとおり、この分権法は5カ年の時限立法でございます。推進委員会の勧告が全部出そろいますと、これをベースにして政府は必要な法制上の措置、財政上の措置を定めた地方分権推進計画を作成しなければならないと、こういうことになっておりますし、総理大臣もその計画をつくると、こう言ってますが、かなりの関係法令の改正が必要だと。この法改正や財源措置を含めて、さらに各省庁の抵抗があるだろうと、こういうふうに言われておりますので、5カ年間、つまり期限が平成12年7月ですか、それまでにできないのではないかというような話があって、この法律を延長すると、こういったことも言われているんです。私は決して地方分権を否定するものではもちろんありません。より充実したものを求めるから心配して言っているだけの話ですが、前にも、9月議会でも6月議会でも質問がございまして、答弁がある。きょうもそうですが、国に対して財源措置、その他いろいろ要望していくと、こういうことですけれども、国と地方の関係を上下、主従の関係から対等、協力の関係に移行させると。これを言葉だけではなくて実現をさせるためには、分権をめぐる現状の認識を正しく持って、具体的な要請をやってもらわないとだめだと私は思うんですが、いかがですか。
 それから、これは要望として申し上げておきますが、エネルギー問題に対して部長の答弁は非常に前向きで、私も評価をいたします。今、岩手県の行政で何が一番全国に誇り得るかといいますと、私は、何といっても県立病院が28病院もあって、それぞれ近代的な中核病院として県民の医療にサービスしている、これは何よりも誇り得ることではないかと、こういうふうに思っています。これは偶然そうなったのではなくて、我々の先人が、貧しい岩手の農民たちが病で倒れていく、それを救済するために昭和の初期に病院をつくったと、それを県が引き継いでやったと、こういうことです。ですから、我々も、今の時代に我々の後世代のために何かやっぱり残す必要がある。それはやっぱり私は、代表的なものとしてソフトエネルギーの開発というものであると思います。特に地熱、これは本県に賦存する有望なエネルギーですから、どういう形でどういうシステムでやるかということについては、これは断定的に、今、私はここで申し上げることをはばかるわけでございますけれども、もちろん当局もそうだと思うんですけれども、何よりも知恵を出して粘り強く努力をして、そしてやっていく必要があると思うんです。西暦2000年には本県で地熱の世界会議が開催される、こういうことになっていますが、こういう歴史的な機会を契機として、ぜひこの地熱の画期的な事業参入の道を開くように努力をしていただきたい、そのことを要望して質問を終わります。
   〔総務部長大隅英喜君登壇〕

〇総務部長(大隅英喜君) 地方分権の実現の見通しについてでありますが、議員おっしゃるような心配はいたしておりますけれども、政府は、地方分権推進委員会のこれまでの勧告をいずれ最大限に尊重すると、こういう方針をはっきり決定しております。次の通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成するということといたしております。
 県といたしましては、地方分権推進計画の作成前におきましても、勧告で示された事項については可能な限り前倒しをして措置するとともに、勧告に盛り込まれていないような事項につきましても、地方分権に資する施策の推進について国においては積極的に取り組んでほしいと、こういう要望を政府要望あるいは全国知事会などの場を通じまして継続的に強く要望してまいると、こういうふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。

〇議長(那須川健一君) 次に、村上恵三君。
   〔18番村上恵三君登壇〕(拍手)


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