平成10年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成10年3月13日(金)
   

1開会  午前10時4分

1出席委員  別紙出席簿のとおり

1事務局職員
事務局長 村上勝治
議事課長 及川宣夫
議事課長補佐 駿河 勉
主任議事管理主査 千田正和
議事管理主査 上柿 聡
議事管理主査 木村 稔
議事管理主査 南 敏幸
議事管理主査 筒井則裕

1説明員
教育委員会委員長 三浦 三千男
教育長 細屋正勝
教育次長 竹田紀男
教育次長 鈴木清紀
全国高校総体推進室長兼冬季国体推進室長 小瀬川 紀 夫
総務課長 石濱爲人
厚生福利室長 高橋正信
財務課長 小野寺 篤 信
義務教育課 長山本詔夫
県立学校課長 五十嵐正
指導課長 杉浦久弘
社会教育課長 菊池明敏
文化課長 鳩岡矩雄
美術館整備室長 池田克典
保健体育課長 及川克郎
全国高校総体推進監 早坂七郎
冬季国体推進監 工藤勝文
 
警察本部長 池田克彦
警務部長 菅沼 篤
生活安全部長 境谷 滿
刑事部長 小池 進
交通部長 石川瑞彦
警備部長 及川 剛
警務部参事官兼警務課長 沼崎 喜四郎
生活安全部参事官兼生活安全企画課長 及川光雄
生活安全部参事官兼地域課長 楢木鉄蔵
刑事部参事官兼捜査第一課長 高橋信夫
交通部参事官兼交通企画課長 添田信之
交通部参事官兼運転免許課長 及川 攻
警備部参事官兼警備課長 日山 忠
総務課長 吉村 浩
会計課長 菊池幸男
少年課長 佐藤久孝
生活保安課長 山口武利
捜査第二課長 遠藤雅人
交通規制課長 加藤睦夫
交通指導課長 滝田忠州
 
財政課長 千葉 弘
   

〇折居委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入る。
 議案第4号から議案第24号まで、議案第32号から議案第38号まで、議案第40号、議案第43号、議案第45号、議案第49号、議案第50号及び議案第53号、以上、34件を一括議題とする。
 本日は、教育委員会及び警察本部関係を終わるように進行いたしたいと思うので、御協力をお願いする。
 また、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項についてはできるだけまとめて質疑されたいこと、また、質疑及び答弁については簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いする。
 なお、関連質疑については、質疑冒頭に質疑を表明している委員より優先して発言を認めているものであるので、その性格上、関連性の強いもののみ短時間簡潔に発言されるよう、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いする。
 これより教育委員会関係の審査に入るわけであるが、教育行政施策について、教育委員会委員長から発言を求められておるので発言を許すこととし、その後、教育長から教育委員会関係の説明を求め質疑に入ることにいたしたいと思う。

〇三浦教育委員会委員長 平成10年度の教育委員会所管に係る予算について御審議をいただくに当たり、教育行政施策について御説明を申し上げる。
 昨年は、文部省が1月に教育改革プログラムをまとめ、6月には中央教育審議会が第2次答申を行うなど、教育改革への動きが急速に進んだ年であった。しかし、今日、子供たちを取り巻く状況は極めて憂慮すべきものがあり、その中で子供たちに心豊かな人間性を育てることが重要な課題となっておる。
 平成10年度においては、こうした教育を取り巻く環境の変化や国の教育改革に向けた動きなどを十分踏まえながら、教育行政施策の一層の推進に努めてまいる。
 また、本県教育のより一層の振興を図るため、21世紀を展望し、本県教育の進むべき方向性と基本的施策を明らかにする新しい教育振興基本計画を策定することとし、先月、教育振興基本対策審議会に諮問いたした。今後、関係各方面の御意見を賜りながら、鋭意、計画策定に取り組んでまいりたいと考えておる。
 以下、平成10年度の施策の大要について申し上げる。
 第1は、生涯学習環境の整備についてである。
 まず、新聞等各種情報媒体を活用し、生涯学習に対する県民の理解を深め、学習の意欲の高揚を図るとともに、民間における学習活動をも視野に入れた生涯学習関連施策の効果的な推進に努めるほか、市町村における生涯学習推進体制の整備促進を図ってまいる。
 また、図書情報等について県内各地域とのネットワーク機能を有する、県立図書館を核とする情報総合センターの構想を策定するとともに、県立図書館のデータベースの構築に着手するほか、生涯学習推進センターによる学習情報の提供や指導者養成などを通じて、県民の学習活動を積極的に支援してまいる。
 第2は、学校教育の充実についてである。
 学校教育では、教育の機会均等の理念を基本としながら、生涯にわたって学習を続けていくための基礎を培うとともに、社会の変化にみずから柔軟に対応できるたくましく心豊かな人間の育成に努めてまいる。
 また、生涯学習の基礎を培う教育については、発達段階に応じ、基礎、基本を確実に習得させながら、一人一人の個性を尊重し、多様な能力、適性を伸長させるとともに、みずから学ぶ意欲を育てるため、選択履修の幅の拡大、体験的な学習の充実などに努めてまいる。
 また、障害児の教育においては、障害の程度や特性に応じた指導により、自立と社会参加を促進するほか、小中学校等の児童生徒や地域との交流を推進してまいる。
 次に、社会の変化に対応した教育については、語学指導を行う外国青年の招致人員の拡大や高校生の海外派遣の充実など国際理解教育を推進するほか、教員の研修や民間の情報処理技術者の活用、情報通信ネットワークの活用研究などにより、情報教育を一層推進してまいる。
 また、急速かつ広範な社会の変化と生徒数の減少を踏まえ、生徒の多様な個性に対応できる魅力ある県立高校のあり方について現在調査検討を進めておるが、今後、関係各方面の御意見を賜りながら、県立高校再編整備計画の策定に向け鋭意取り組んでまいる。
 次に、たくましく心豊かな人間の育成については、さまざまな生活体験や自然との触れ合いなど、体験的学習の充実を図るほか、学校教育全体を通じて道徳教育や福祉教育などの充実に努めてまいる。
 また、いじめ、不登校などの諸課題に対しては、学校における真摯な対応に加え、体系的な研修を通じて教師一人一人の指導力の向上を図るとともに、総合教育センターを初めとする教育相談体制の充実に努めるほか、学校、家庭、地域社会の連携を深めながら、児童生徒一人一人が生き生きと学校生活を送ることができるように努めてまいる。
 さらに、児童生徒の心身の健康の保持・増進のため、心の健康相談活動などの充実を図るとともに、学校給食について安全への配慮を徹底するほか、学校におけるごみの減量化と焼却処理の廃止に努めてまいる。
 また、平成14年度−−2002年度を目途に、完全実施を目指している学校週5日制については、教育課程の基準の改正に向けた国の動向を見きわめながら、学習指導などの工夫改善に一層努めるとともに、家庭や地域社会との連携のあり方等についてさらに検討を進めてまいる。
 第3は、社会教育の充実についてである。
 まず、家庭教育については、少子化、核家族化など、家庭を取り巻く環境の変化に対応し、子供の発達段階に応じた親等の学習の機会や情報を提供するとともに、新たに家庭教育カウンセラーを配置するなど、子供を健やかにはぐくむ環境づくりを進めてまいる。
 次に、生涯の各時期における社会教育活動については、青少年教育において、郷土の自然、文化などの体験学習の機会を提供するほか、ボランティア活動などの社会参加活動を促進するとともに、成人教育においては、高等学校等の開放講座や女性、高齢者のための講座の開設など、多様な学習機会の提供に努めてまいる。
 第4は、体育・スポーツの振興についてである。
 まず、生涯スポーツの振興については、地域における日常的なスポーツ・レクリエーション活動の定着を図るため、市町村における生涯スポーツ活動を促進するとともに、幼児から高齢者まで、より多くの県民が気軽に参加できる県民スポーツ・レクリエーション祭を開催してまいる。
 次に、学校における体育・スポーツの充実については、児童生徒個々の体力の実態を踏まえた指導の充実を図り、基礎的な体力や運動能力の向上に努めるとともに、一人一人が運動の楽しさを味わえるようにするため、教員の指導力の向上を図るほか、学校体育施設の整備を推進してまいる。
 さらに、競技スポーツの推進については、本県競技力の向上のため、体育団体等との連携を強めながら、ジュニア層から一貫した強化対策と指導者の養成確保を図るとともに、県外交流や民間の活動に対する支援など、競技力向上対策の強化に努めてまいる。
 また、体育施設の整備については、長期的展望に立った総合的なスポーツ施設の整備について引き続き調査検討を進めるとともに、平成11年のいわゆるインターハイについては、その成功に向け、開催準備に万全を期して取り組んでまいる。
 第5は、文化の振興についてである。
 まず、芸術文化活動については、県民の手による文化活動の推進のため実施してきた岩手芸術祭の充実を図るとともに、新たにその開幕フェスティバルにおいて、秋田県との文化交流の機会を設けてまいる。さらに、すぐれた舞台芸術の公演などを通じて、多くの県民に芸術鑑賞の機会を提供するほか、青少年の創造性豊かな芸術文化活動を支援してまいる。
 次に、文化財については、保護のための調査や指定、史跡の公有化の促進などに努めるとともに、その積極的な活用を図ってまいる。
 また、柳之御所遺跡については、新たに現地に専門職員を配置して、遺跡の発掘調査を積極的に推進してまいる。
 さらに、本県の美術文化振興の拠点施設として、県立美術館の整備を引き続き推進するほか、本県ゆかりの画家松本竣介の没後50年に当たり、松本竣介展を開催してまいる。
 以上、平成10年度の施策の基本的な方向について、所信の一端を述べた次第である。教育委員会としては、その責務の重大さに思いをいたし、県民がひとしくその成果を享受することができる生涯学習社会の構築を目指し、全力を傾注してまいる所存である。
 申し上げるまでもなく、教育は、県民の積極的な参画を得ながら、県、市町村、団体等の関係者が一体となって推進してこそ、初めてその成果が期待できるものである。議員の皆様と県民の皆様の一層の御理解と御協力を心からお願い申し上げる。
 なお、予算の内容については教育長から御説明申し上げるので、よろしくお願いする。

〇折居委員長 次に、教育長から教育委員会関係の説明を求める。

〇細屋教育長 それでは、平成10年度岩手県一般会計予算のうち、教育委員会関係の予算について説明申し上げる。お手元の議案その2の8ページをお開き願う。
 議案第4号平成10年度岩手県一般会計予算の第1表、歳入歳出予算の表中、教育委員会関係の歳出予算額は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費までの1、713億4、280万9、000円となっておる。
 9ページの11款災害復旧費3項教育施設災害復旧費の3、000万円が教育委員会所管の予算額である。
 なお、詳細については、便宜、予算に関する説明書により説明書申し上げる。
 お手元の予算に関する説明書の241ページをお開き願う。金額は省略させていただき、主な事項を中心に御説明申し上げるので御了承願う。
 10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費等である。2目事務局費は、事務局の運営に要する経費及び県立高等学校等に配置し、語学指導を行う外国青年の招致に要する経費である。242ページをお開き願う。3目教職員人事費は、教職員の退職手当等である。243ページに参って、4目教育指導費は、教職員の研修の実施に要する経費、不登校やいじめなどの対策として、在学青少年指導員及びカウンセラーを配置し、学校、家庭、地域社会の連携を強化しながら、教育相談活動などを実施する児童生徒健全育成に要する経費、高校生の国際理解教育を推進するため、高校生を世界4カ国に派遣する高校生世界のかけ橋推進事業に要する経費、民間の情報処理技術者の活用や情報通信ネットワークの活用研究等のマルチメディア活用推進事業に要する経費である。5目教育センター費は、教職員の現職研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営に要する経費である。244ページをお開き願う。恩給及び退職年金費は恩給及び扶助料等である。
 245ページに参って、2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費及び旅費等である。
 246ページをお開き願う。3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費及び旅費等である。
 247ページに参って、4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人件費及び旅費のほか、21世紀に向けた県立高等学校づくりの検討に要する経費の指導運営費等である。2目全日制高等学校管理費及び248ページに参って3目定時制高等学校管理費は、学校における資源ごみのリサイクル推進に係る経費を含む各学校の管理運営に要する経費である。4目教育振興費は、産業教育設備の整備費及び部活動設備の整備費、249ページの情報処理教育設備整備費のほか、職業教育に係る実験実習に要する経費等である。5目学校建設費は、県立高等学校の建物等施設の整備に要する経費である。校舎建設は盛岡一高の1校、産業教育施設建設は盛岡農業高校1校、体育館建設は福岡工業高校ほか1校、部活動施設整備は大槌高校ほか9校、校地整備は千厩高校ほか8校、教育環境の向上を図る校舎大規模改造は宮古高校ほか9校、水泳プールは遠野高校ほか1校の整備に要する経費のほか、校舎、教職員住宅等の維持管理に要する経費等である。250ページをお開き願う。6目通信教育費は、通信教育の運営に要する経費である。
 251ページに参って、5項特殊学校費1目盲聾学校費は、盲学校及び聾学校の人件費等の管理運営に要する経費等である。252ページをお開き願う。2目養護学校費は、養護学校の人件費等の管理運営に要する経費のほか、宮古市立はまゆり養護学校の県への移管及び高等部を新たに設置することに伴う校舎の実施設計を行う校舎建設事業費等である。
 253ページに参って、6項社会教育費1目社会教育総務費は、家庭教育のための環境づくりを進めるふれあい家族推進に要する経費、生涯の各時期における社会活動の推進のための長寿学園の開設、生涯学習県民フェスティバルの開催、ボランティア活動を促進する生涯学習の推進に要する経費、生涯学習の中核施設である生涯学習推進センターの管理運営に要する経費のほか、県内に3カ所ある青少年の家の管理運営及び施設整備に要する経費等である。2目視聴覚教育費は、教育メディアの利用推進に要する経費のほか、視聴覚教育の指導者養成等に要する経費である。254ページをお開き願う。3目文化財保護費は、指定文化財の保存修理に対する助成など文化財の保護の推進に要する経費、柳之御所遺跡の学術調査に要する経費、特別天然記念物カモシカの食害防止等に対する助成に要する経費等である。4目芸術文化振興費は、こども芸術劇場・青少年劇場等の開催、255ページの全国高等学校文化祭への参加など、芸術文化の振興に要する経費、また、美術文化振興の拠点として整備する県立美術館の整備に要する経費、県民にすぐれた美術鑑賞の機会を提供するため、没後50年松本竣介展の開催に要する経費、秋田県から芸術文化団体等を招聘し、岩手芸術祭開幕フェスティバルにおいて交流、公演を実施する経費のほか、県民会館の管理運営及び施設整備に要する経費等である。5目図書館費は、図書資料を適切に管理し利用者のニーズに対応するため、図書資料のデータベースの構築を行うなど、図書館高度情報化推進に要する経費、県内公共図書館等の情報ネットワーク化を推進するため、図書情報総合センター構想の策定に要する経費のほか、県立図書館の管理運営に要する経費である。256ページをお開き願う。6目博物館費は、県立博物館の管理運営及び施設整備に要する経費である。
 257ページに参って、7項保健体育費1目保健体育総務費は、児童生徒の保健管理、エイズ、性教育の推進に要する経費のほか、学校給食会に対する貸付金等である。2目体育振興費であるが、258ページをお開き願う。生涯スポーツの推進に要する経費、全国スポーツ・レクリエーション祭への参加に要する経費、また、各種体育大会への参加、派遣に要する経費、指導者養成認定事業や選手強化費に対する助成など、競技力向上対策に要する経費、平成11年度に開催される全国高等学校総合体育大会に向けた準備及び選手強化に要する経費のほか、インターハイの会場地が行う施設整備に要する経費に対する補助等である。3目体育施設費は、体育施設の管理運営に要する経費、259ページに参って、県営運動公園陸上競技場のメーンスタンド、サッカー場及びラグビー場、テニスコートなど県営体育施設の整備に要する経費のほか、スポーツ研修センター、仮称であるが、これの整備調査に要する経費等である。
 ページを飛んでいただき、269ページをお開き願う。11款災害復旧費3項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費は、県立学校に災害が生じた場合の復旧に要する経費である。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げる。議案その2に戻っていただき、16ページをお開き願う。
 第2表債務負担行為の66校舎建設事業から69美術館整備事業までの4件である。これらは、工期等が翌年度以降にわたる事業等について、それぞれの期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものである。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げる。議案その3である。議案その3の18ページをお開き願う。
 議案第35号県立高等学校授業料等条例の一部を改正する条例についてであるが、これは、国の地方財政計画の基準に沿って授業料及び聴講料並びに通信制受講料の額を改正しようとするものである。
 以上で説明を終わらせていただく。よろしく御審議賜るようお願い申し上げる。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。

〇吉田(洋)委員 ただいま教育委員会委員長の教育行政施策についての方針が出されたわけであるが、その中で冒頭、今日、子供たちを取り巻く状況は極めて憂慮すべきものがあると。その中で、子供たちに心豊かな人間性を育てることが重要な課題となっていると、このように位置づけをしているわけである。
 それに関連して質問させていただくわけであるが、冬季オリンピック大会もさまざまな多くの感動を国民に与えて終了したわけであるが、続いて今、長野の冬季パラリンピック大会が開催をされており、オリンピック以上の感動を与えていると、私はこう見ておる。特に、不慮の事故などで不幸にして障害を持つ人々が、そのハンディーを乗り越えてあらゆる困難を克服しながら競技に挑み多くの成果を上げておる。特筆すべきことに、岩手県花泉町出身の渡辺選手の活躍が非常に岩手の大きな名誉と私は思っているわけであるが、アイススレッジ男子1、500メートルで金メダル、そしてまた、同じく1、000メートルで銅メダルと大活躍をした。今、東京在住と、このように聞いておるが、岩手県にぜひ御来県いただいて、さまざまなそうした体験というものを県民の皆さんに御講演などをいただくような機会をぜひひとつつくっていただければと、こう思うわけである。それは、私もかかわっているけれども、特殊学校があり、さまざまな障害を持った児童生徒が大体千二、三百人ぐらいいるわけであるが、そういう子供たちにも渡辺選手のあるいはパラリンピックの大会の模様というのは、大きな希望と感動を与えたと高く評価をしているわけである。
 一方で、こうした障害を持った子供たちがいる中で、健康で不自由なく恵まれた家庭の中で生活をしている子供たちに、今大変な状況の中での事件が発生をしており、先般は町村文部大臣が緊急アピールを発表したわけである。埼玉県の東松山市での中学校男子生徒が同学年の生徒を刺して死亡させると。ナイフを使った少年事件が相次いでいることを受けて、ナイフを持ち歩くのはやめようと、こういう子供たちに呼びかけ緊急アピールであった。一方で、保護者と学校に対しては、まず第1に、保護者が子供の行動に責任を持つと、二つ目は、凶器を持ち歩く危険な行為はしないよう家庭で断固とした指導をしようと、三つ目は、学校関係者は学校の安全性を守ることに全力を挙げると、こういう必要性をアピールの中で指摘をしておったわけである。こうした状況を受けて、県教委では今後、これまでもいろんな対応をしてきたと思うが、この緊急アピールを受けてどのような対応を取り進めていこうとしているのか、その点についてお伺いをしたいと思う。

〇細屋教育長 ただいま吉田委員から文部大臣の緊急アピールを受けて県教委としてどう対応をするのかというお話であるが、例のナイフ事件を受けて、県教委では、既に教育事務所長であるとか県立学校長等の会議において四つの点を緊急に指導しているところである。
 一つは、生命の尊重、善悪の区別など、基本的な倫理観、規範意識の体得をさせるということ。二つ目として、ナイフ所持というのは極めて異常なことであり、危険であり、さらに違法なものであるということを指導すること。三つ目として、各学校における児童生徒の現状把握とそれから保護者、家庭、地域との密接な連携を図るべきであるということである。四つ目として、今委員からお話があったけれども、学校が安心して学べる居場所となるように努力し、必要かつ合理的な範囲での所持品検査もやるべきであるということを校長としての基本的な姿勢にすべきであると指導してきているところである。
 この3月3日には、学年末の休業も近いということで、学年末休業における児童生徒の指導について、このナイフ事件も意識して通知を発出したところである。また、今お話の緊急アピールがあった、これについてもその後の会議等において、ナイフを持ち歩くことはやめようという緊急アピールを各教育委員会にも出して、認識をさらに強くしてほしいという行為をとっておる。これからも、今までの指導とかこういう緊急アピールをもとにして、各学校でも現在さまざまな取り組みをしておるけれども、その取り組みを支援し指導の徹底を図ってまいるとともに、やはり基本的に道徳教育の充実であるとか生徒理解あるいは指導の充実等に努めて、やはり従来から申し上げておるように、学校と家庭、地域とが一体となって子供を育てるような環境づくりをやるべきであるという指導を徹底してまいりたいと考えておる。

〇吉田(洋)委員 今、実は私どもの総務常任委員会においても防犯体制のあり方について調査研究を進めており、さまざまな御意見をお伺いしながら取りまとめをさせていただいてまいった。その中で、やはり今県内に防犯についての市町村条例、これらの制定をぜひ進めていこうと、こういうことのほかに、やはり今お話があったように地域の盛り上がり、地域のボランティアを含めた防犯体制の確立と、こういうことが非常に重要ではないかという御指摘であって、そうした方向での取りまとめをさせていただいておるわけであり、今のお話は私は同感と感じたわけである。その中にやはり学校も一緒になって、教育関係者、学校も一緒になって、そうした地域と一体となった防犯体制の確立ということをぜひこれからも大いに進めていかなければならないと考えているところであり、今教育長からのお話で、ぜひ私は、学校関係者もともに一体となったそうした地域ぐるみの体制確立をぜひ図ってほしいということを御要望申し上げて終わる。

〇菅原委員 それでは、3点ほどお尋ねをいたしたいと思う。
 吉田委員と重複する点もあろうかと思うけれども、よろしくお願いいたしたいと思う。
 まず、教育委員会の関係職員の方々、岩手県の教育振興のために日夜努力をしていただいていることに対して心から感謝を申し上げたいと思う。なお、また、後ほど前環境福祉委員長の谷藤委員からねぎらいの言葉があろうかと思うが、私は福文の委員長をいたしておった当時からおつき合いをいただき、大変御指導をいただいた。教育長、大変ありがたかった。心から感謝を申し上げたいと思う。きょうは教育長も最後の議会、委員会になるのではないかと、そんな感じをいたしておるわけである。
 今、お話しあった中学生、高校生の刃物による殺傷事件が発生いたしておるわけである。きのうの新聞を見ると、2月末までに全国で38件に上っておる。うち、中学生が19件と急増をしている。38件の内訳は、殺人7件、これは未遂も含む。強盗12件、傷害11件となっておる。中学生19件が高校生11件より上回っておる。このような新聞記事があったわけであるが、まことに憂慮にたえないと、そういう思いをいたしておるわけである。
 そこでまずお伺いするが、本県におけるこのような事件はないと思うが、あったかどうか、あるいはこういう類に属するような補導の件数がどれくらいあったかお知らせを願いたいと思う。

〇杉浦指導課長 ナイフの事件に関して岩手県の状況ということであるけれども、本県の場合は、先ほどお話のあった殺人未遂だとかそういった悪質なものではないが、本年度1月に、高校生によるわいせつ事件と関連してナイフが少し出てまいった事件が1件、それから、3月に小学生がふざけ合っている中でカッターナイフでけがをさせてしまったという事件が1件の2件が起こっており、大変残念なことだと考えておる。理由はいかにあれ、人を傷つけたり生命を奪うなどということは絶対に許されないことであり、また、ナイフなど目的もなく携帯することは危険であり違法であると、これをきちんと指導していくとともに、家庭、地域とも連携して指導を充実させたいと、このように考えておる。

〇菅原委員 次に、このような事態が発生いたしておるわけであり、文部省それから各都道府県教育委員会等においても所持品検査の対応を検討いたしておるようである。この所持品検査をすべきだ、すべきではないという論議が実はたくさんある。きょうの岩手日報を見ると、見解が分かれる所持品検査と、これ埼玉県教育委員会。教育委員会はやれと。それから、市町村は慎重な姿勢というような記事であるけれども、私は、生徒の人権ということを大義名分にして所持品検査をするべきでないと、そういう意見があるわけであるが、しからばそういう人権を尊重して、放置とまではいかないが、それによって傷害を受けた人々の人権は一体どうなるのだと。私は人命尊重が最優先するのではないかと、そういう感じをいたしておるわけであるが、この点について今お答えがあったようであるけれども、岩手県教育委員会としてはどのような、各市町村の教育委員会あるいは学校長に対して指導しておるのか。私は毅然とした態度で臨むべきだと、そういう見解である。お答えを願う。

〇細屋教育長 ナイフの持ち込みについて毅然たる態度で対応すべきであるというお話である。ただいまも申し上げたように、学校というところは児童生徒が安心して学べる心の居場所でなければならない場である。そういう意味で、学校の安全に対する社会の信頼が揺らぐことのないように、学校長はもちろん、各市町村教育委員会に対しても全力を尽くして対応すべきであると指導いたしておる。
 このような観点から、校長が児童生徒並びに教職員の安全確保のために必要と判断した場合には、生徒や保護者の当然理解を得ながらであるけれども、必要かつ合理的な範囲内で所持品検査を含む毅然とした対応を行って危険なものは持ち込ませないという、そういう指導が肝要だと考えておる。県教育委員会としては、従前からこの方針で指導してまいってきているところである。今後とも、同じ姿勢で対応してまいりたいと考えておる。

〇菅原委員 それから次に、家庭教育についてお話をいたしてみたいと思うわけである。
 昔は、地震、雷、火事、おやじと、こう言われており、おやじの存在というのは非常に大きかった。私の小さいころを思い出すと、何回かほっぺた、げんこつ。あげくの果ては、私は農家の出身であるから、炉端に長い火ばしがあった。あれがぶっ飛んできたりなんかした。そういう実は体験があり、やっぱりおやじは子供をきちっとしつけをした。今はそういう親の教育というのが非常に失墜をしている。したがって、親の権威などというものはなくなった、今。今恐ろしいのは、地震、雷、中学生(後刻訂正)、こんな感じをしないわけではない。何回も申し上げるようであるが、こういう事件が発生するというのは、やっぱり家庭教育に問題があると、そのように思うわけである。
 県の重点施策の中にも、教育関係であるが、社会教育推進の件がある。家庭教育を充実するという項目が実はある。そしてまた、文部大臣が提唱している教育改革のプログラムの中に、最初に、豊かな人間性と育成と教育制度の改革、そううたってあるわけである。次に、青少年の非行、いじめ問題、薬物乱用問題などへの適切な対応。青少年の非行等の問題に適切に対応するための関係省庁と関係機関、団体との連携強化、こううたっておる。
 それから、中央教育審議会の第1次答申の中を見ると、これからの教育はゆとりの中で生きる力を育成することを大切にすると。いじめ、不登校の問題への取り組みが重要である云々と書いてあるが、時間の関係があるから全部読まないけれども、学校一丸となって毅然とした姿勢。弱い者をいじめることは絶対に許されない。社会で許されない行為は子供にも許されない。いじめを傍観する行為も同様に許されない、こういうこともうたってある。
 それから、家庭の教育力を充実することが必要であると。家庭が本来果たすべき役割、そのためにはどうするかという、そういうこともうたってあるわけであり、やはりこれからは社会教育の中で保護者のこれからの子供教育に対するいろんなそういう学習も充実していかなければいけないんではないかと、そんな感じをいたしておるわけである。
 この間、何で読んだかちょっと忘れたけれども、こういう記事を読んだ。
 ある子供が、今晩友達が来て私の家でパーティーをするから、お父さん、お母さん、きょう、家をあけてもらいたいと。そのお母さんが困ってどうしたらいいか対応できなくて、どうしたらいいだろうと学校に問い合わせをしたという。何をかいわんや。こういう家庭の中からあるいは非行、犯罪少年が生まれてくるのではないかと、こんな感じをするわけであるが、唖然と実は私もいたしたわけである。
 昔は武士道の精神とか、今は文武両道という言葉を使っておるが、一本筋の通った子供を育ててきたわけであるけれども、今は全然そういう形が見られないと、そのように私は思っておるわけである。もちろん、我々大人も厳寒のような厳しい物の考え方で自分たちを律していかなければならない、これは当然であるが、そう思っておるわけであるが、今後の社会教育、家庭教育の取り組みについてどのようなお考えを持っておるか、お知らせを願いたいと思う。
   〔「議事進行について。」と呼ぶ者あり〕

〇田村委員 実は私、中学生の子供を持つ身として、非常に今の菅原委員の発言には、何と申そうか、怒りを持って聞いておった。と申すのは、恐ろしいのは地震、雷、中学生という発言があったので、これは議会の権威からも菅原委員の名誉のためにも、中学生という発言は削除していただきたいと思うが、委員長、お取り計らいをお願いする。

〇折居委員長 ただいまの田村委員の議事進行であるが、暫時休憩して世話人会を。(菅原委員「答弁が先である。」と呼ぶ)先に答弁をもらう。

〇菊池社会教育課長 子供たちのナイフ事件に関連して、家庭における教育のことについてのお尋ねであったが、学校での指導を行うだけではなくて、家庭においても子供たちへの指導を行うことが極めて重要なことだと考えておる。家庭においては、常日ごろから子供の持ち物や行動の様子を把握して適切な指導を行うことは親としての責任であり、子供の教育は家庭から始まるということを今一度認識する必要があると考えておる。これを機会に、命の大切さや人間としての倫理観や規範意識はもちろんであるが、ナイフ等の携帯の危険性、あるいは違法性について、家庭においてもしっかりと教えていただきたいものと考えておる。教育委員会社会教育課としても、ナイフ等の所持問題についてあらゆる機会を通して父母に対する意識啓発を行うとともに、家庭教育に関する親の学習機会や子育てに関する情報提供を一層充実してまいりたいと考えておる。

〇折居委員長 暫時休憩する。
   午前10時58分 休 憩
 
   午前11時13分 再 開

〇折居委員長 再開する。
 ただいま世話人会を開き、その席に菅原温士委員にも出ていただきいろいろ話し合いをした。その結果、菅原温士委員から再度、改めて発言を求められておるので、許したいと思う。

〇菅原委員 今、私の発言に対してクレームがついたわけであるが、考えてみれば、あるいはそうかなと思う節もないわけではないが、今非行少年、特に中学生の凶悪犯罪について論議をしている中であるから、恐ろしいのは中学生であるという意味はわかると思うが、地震、雷、火事、おやじと、また中学生とは連動しない点もあるのである。そこで、主意は、一部凶暴な中学生と。現実に凶暴な中学生があったわけであるから、そう挿入をしていただきたい。委員長のお取り計らいをお願いする。

〇折居委員長 了解した。
 それでは進行する。

〇佐々木(俊)委員 先ほど関連しようと思ったのであるけれども、ちょっと中断したものであるから迫力がなくなってしまったのである。
 けさから吉田洋治委員、あるいはまた菅原温士委員の質問で、中学生のナイフ所持事件等についての県教委の考え方が示されて、その毅然たる態度は私も評価する。そこで、教育委員会でそのような姿勢で指導に臨んでいるわけであるけれども、それに対して県立学校当局はどのような対応をしておられるのか。もう一つは、今度は各市町村の教育委員会はどのように取り組んでおり、各市町村立学校は、あるいは学校当局であろうか、どのような対応をされているのか、掌握されておるのであれば教えていただきたい。

〇杉浦指導課長 ナイフの事件を契機とした本県の小中高等学校の対応ということであるけれども、2月中旬に県教育委員会の方で、県内の中学校、高等学校の学校長に対して、どのように今まさに対応しているかということで調査したものがある。それによると、中学校の方では、その2月の中旬段階であるが、命の大切さ、物事の善悪をこの事件を契機に改めて指導したというものが74・7%、そして、次いで生徒の状況把握にまず努めたというのが55・8%、半数近くである。高等学校の方では、やはり命の大切さ、物事の善悪を改めて指導したというのが51・3%、生徒の状況を把握したというのが48・8%あった。そういった中で、今後さらにどのような対応を考えていくかということで、学校の動きとしては、先ほど申し上げた命の大切さ、物事の善悪を指導することと、生徒を把握すること、理解することのほかに、さらに保護者、PTA、地域等との連携や、あるいは広報などで呼びかけをして一体となって指導の輪を広げていきたいというものが、中学校で61・8%、高等学校で53・8%と高い率を示しており、県内では今そのような形で動いておる。
 県の方では、その後3月3日で、春休みに入る前に、休業中の生徒たちの指導についてお願いしたところであるが、これらを踏まえて、今まさに各校で動いていると、このように認識しておる。

〇佐々木(俊)委員 ただいまのお話によると、非常に高い率で対応していると、こう聞いたのであるが、私は低い率であると思ったのである。というのは、これだけ社会で事件として報道され、皆さんが相当深い認識を持っているのであるけれども、中学校は74%であるが、高等学校は指導の部分で51%、やや半分ということになると、あとの半分の学校は対応していないのかと、こういうことになって、せっかくの教育委員会の毅然たる姿勢が浸透していないのではないかと、こういう感じを持った。
 それから、関連して所持品の検査のお話も先ほどあったのであるが、今のところそういうことはないような報告であるが、所持品検査まで踏み込んだというところはないのかあるのか。

〇杉浦指導課長 まず先ほど高等学校の方の指導の割合の方がやや低いのではないかというお話であるが、今後予定をしている対応ということで、これもまた2月の中旬段階であったが、その段階では、高等学校の方では、命の大切さとかの指導を88・8%の学校がもう何らかの形で計画を考えたいということで動いておった。あと、生徒の状況把握も77・5%で進んでおった。その後の、この事件が起こった後、さらにまたいろいろ新聞報道でも出ておるので、各学校の方でも引き続きしっかりと指導してもらうよう、こちらからも指導したいと思っておる。
 それから、所持品検査が具体に本県であったかどうかということであるが、現在時点までに県教育委員会の方に、もしあれば何らかの話があるわけであるが、今のところそういった話は聞いておらない。

〇佐々木(俊)委員 計画まで含めると約80%から90%近くと、高等学校の場合でそうであるというのであるが、それ以外の学校は、我が校はそんな必要がないということで取り組まないという理解をされておるのか、それとも、立ち上がりが鈍いと評価をされておられるのか、どちらであろうか。

〇杉浦指導課長 いろいろな形で学校の方でも、学校の規模等も含め、あるいは日常のホームルームでの担任のこれまでの指導の様子等々見て、特に今回改めて指導しなくても、たまたま前のときにいろいろあったとか、いろいろ指導しているというような形で考えたり、あるいはもう少しいろいろな具体の生徒指導の中で個々に対応できるのではないかという判断かと思う。ただ、いずれにしても、また調査した後にもナイフの事件がいろいろ出ておるので、やっていない学校というか、このアンケートは学校名を書かない形で本音のところで言ってくれというところでやった調査であるが、あと様子を見ながら、こちらの方でも指導してまいりたいと考えておる。

〇中屋敷委員 今の問題、なかなか大変な問題で、学校、教育の部分ではなかなか解決できないと。先ほど教育委員長の演述の中にもあったけれども、やっぱり社会教育の充実といった観点でとり進めなければなかなか大変な問題であると思う。少子化の問題で、やはり地域と学校の先生方との、昔はどこの家庭にも子供さんがいて、先生とのつき合いがあった。ところが、少子化になって、子供さんが少なくなっているというつき合いの関係を見れば、むしろ教育委員会だけの問題ではなく、社会教育といった面では、やっぱり横断的に、保健福祉部とか生活環境部、こういった面で、青少年の健全育成とか高齢者の対策とか、そういった面でも、ボランティアの問題とかいろいろな重複する面があると思うのである。それを縦割りではなく、むしろ教育委員会が中心になって、横断的に、市町村も巻き込んで、ひとつ全国に先駆けたそういう検討する組織か何かをつくって、県警も含めた形でやってみたらいかがなものであろうか。その辺をどのように考えているか、教育長からお伺いしたいと思う。

〇細屋教育長 県庁の中に青少年育成県民会議なるものがあり、これには教育委員会は全員入っておるし、今お話の生活環境部、保健福祉部、警察、全部入って対応しているわけで、その中でこの問題をピックアップしながら対応するというやり方があろうかと思う。新たな組織が必要かということについては、余り事件ごとに新たな組織をつくるというのもいかがなものかと思うし、それから、県教委のサイドで言うと、教育振興運動なるものが昭和40年以降綿々と続いておるので、そういうところを各地域で活動させながら対応していきたいと考えておる。

〇中屋敷委員 そのとおり、そういう組織でやってもこういうことが起きるから、何か、そういう組織があるのであれば、青少年育成県民会議とかを活用しながら、もっと真剣になって、そういう組織があるからこうであるというのではなく、実際に起きているわけであるから、先駆けて防止のためにそういう特化したもので、また新たに検討する必要があるのではないかと私は言っているわけである。そういった意味で、教育委員会が中心になって−−青少年育成県民会議というと、やっぱり生活環境部が中心であるとか、そういう形になるものであるから、むしろこういう学校教育、それから社会教育といったものも含めた形の中でそういう組織を検討されてはいかがかということであるけれども、再度お考えをお伺いして終わりたいと思う。

〇細屋教育長 教育委員会が主導となってというお話があったが、もう少し研究させていただきたいと思う。やはり、我々だけでやるのもいかがかと思うし、みんな巻き込むためには、それなりの素地を持ちながら対応しなければならないので、突然のお話であったので、若干検討・研究させていただきたいと思う。

〇久保田委員 私は、今お話があったナイフ事件についてちょっと触れさせていただきたいと思う。
 この事件に触れて四つの視点から対応が示されたわけであり、私は納得しているわけであるが、ただ、どうであろうか、去年1年間に本県において刃物保持・携帯していた者が17人補導されたという情報を私承知しているのであるが、この現状についてどのように教育委員会は把握し、対応されたのであろうか。その状況についてお話をいただきたいと思う。まず、この関係について、最初に答えてもらいたい。

〇杉浦指導課長 今お話があった補導の17件の青少年の学校での対応、あるいは何らかの対応ということであるが、警察の方で出されている補導の件数17件が、全員が全員学校の子供さんかどうかという問題もあるけれども、いずれにしても、学校の生徒であれば、学校の先生、担任、校長等が警察といろいろ連携をとり、学警連とか、いろいろなところともまたつながっていろいろと対応しているところであろうかと思っておる。
 ちなみに、ナイフの話で補導ということであったが、補導というレベルではなくて校内に持ち込んでいたという時点のものは、昨年、平成9年4月まででは、中学校では48件、高校で7件あったけれども、これらについてはいずれも、事件や大きくなる前に、先生、あるいはいろんな人から、気がついた段階で学校の方でもきちんと指導して、その都度対応しているところである。

〇久保田委員 私は、警察の関係のところでもこの件について質問する予定をしているのであるが、本県ナイフ事件に関係して、警察とはどういう協議が現状なされておるわけであろうか。これは、再発防止ということを考えれば、どうしても警察の積極的な対応も求めなければならない現状であると思う。教育委員会と警察当局との間において何らかの協議があってしかるべきことであるが、どういう状況になっているか。

〇杉浦指導課長 警察との関係ということについては、学校と警察の間では学校・警察連絡協議会、通称学警連と申しているが、それを一つの協議の場として連絡をとり合っている。また、教育委員会の方としても、基本的には常日ごろ、いろいろな事件があるたびにであるが、県警少年課などとよく話をしているところであり、特に改めて協議の場というのは、ちょっと今思いつかないが、とにかく日ごろからよくいろいろと情報交換させていただいているところである。

〇久保田委員 この問題については根の深いことであるから、教育委員会としても神経を使うことであろうが、十分に関係当局との連携を密にして、こういう事件が発生しないように努力していただきたいと要望しておく。
 本論に入るが、243ページの教育指導費に関してである。
 環境教育推進費225万7、000円、多いか少ないか判断のしようがないのであるが、この事業の内容について知りたいのである。というのは、知事がさきの演述で環境創造元年を打ち出しているわけであるが、必ずしもこれを受けてやったのではないと思うが、通常の考え方での推進費であると思うが、知事の言われている環境創造元年に照らして見た場合に、果たしてこの予算でいいのかという感じを率直に受けるわけであるが、どういう教育をなさる予定であるか。

〇杉浦指導課長 それでは、今お話あった環境教育推進費の225万7、000円の内訳の方から申し上げたいと思う。これは、環境教育推進校として、小学校で8校、中学校で4校、高等学校で2校指定して、学校における環境教育のあり方を先導的、実践的に研究するものというもので、これにまず171万5、000円である。ここで得られたいろいろな成果を、これは今度その地区、あるいは県全体に発表して成果を普及する必要があるので、そのために環境教育推進フォーラムを開催して、その経費54万2、000円を見込んでいるところである。

〇久保田委員 緒についた一つの対策であると思うが、指定校の数からすれば決して多い状況ではないと思う。これを全校に広めていくという考え方が当然出てくるものと思うが、基本的には、この事業に取り組むに当たっての姿勢はどういう発想であるか。

〇杉浦指導課長 現在、この事業であるけれども、今こういう先導的な実践的な研究を重ねてもらうことによって、また地区を巡回させていく形で、環境教育、まだ新しい分野であるので、いろいろと研究していく、地区全体も関心を持ってもらうというところがまずのねらいで動いているものである。本県環境教育については、平成4年度以来、学校教育における環境教育充実のために、こうした推進校を指定して、これは県の単独の事業であるが、まさに推進校を指定して実践事例集をつくり、そして教育の研修という形で全体的に環境教育へつなげていくと。数こそ少ないものの、そういった形で全県的にうまく使っていきたいということで考えているものである。
 また、これらとは別に、各学校の方でも、今中央教育審議会であるとか教育課程審議会でも、新しい事業の取り組みなどがいろいろと推奨されているわけであるが、今ある社会科や理科の教科の中でもかなりいろいろなことができるかと思う。学校、地域の特色を生かして、環境教育指導計画というものを各学校でつくるが、リサイクル活動、清掃奉仕活動、自然観察、あるいは水生生物の調査といったものもあるし、また、学校と少し離れるが、緑の少年団の結成とかは、これは学校がかなり頑張っているところであるし、いろいろな動きがある。こういったことをこれからもうまく踏まえながら、先ほどお話のあった平成10年の環境条例に関することで環境創造元年ということであるが、そうしたものを機会にさらに発展してまいりたいと、このように考えておる。

〇久保田委員 先ほど、教育委員会委員長の演述をお聞きしたわけであるが、その中で、環境教育に関しては触れておられなかった。あえて言えば、ごみの減量化と焼却処理の排出について努めるという一言で終わっているわけであるが、環境教育に対する教育長並びに教育委員長の基本的な考え方をお示しいただきたいと思う。

〇細屋教育長 環境教育、非常に弱いのではないかというお話があるが、学校教育においては、今も申し上げたように、もう平成4年から県単独で環境教育の推進校を各地域ごとに選定して、その地域でそれぞれが協力しながら対応するというやり方で進めてきておるし、環境創造元年であるから、とりたてて何か新規なことをということは実は考えておらなかったわけである。特に、岩手の場合には自然環境から、いろいろな分野で非常に豊かなものがあり、各学校でそれぞれ当たり前のように環境教育を取り込んでやっておるので、そういう意味では、何か新たなものというのは、我々も知恵を出してみたいとは思うけれども、現時点では、通常の学校教育の中で取り組まれていると考えておるし、今言ったような形で、先天的に環境教育推進校、それぞれ持ち回りで指定しながら強化していきたいと考えておる。

〇久保田委員 より一層の教育の場で環境問題について徹底を深めていく教育を要望しておきたいと思う。
 次の課題であるが、芸術文化振興費にかかわってである。
 美術館の整備の事業に関してであるが、さきの一般質問で村田議員から質問があり、教育長からは、13年開館という御回答をいただいていると思う。このことに関係するわけであるが、一つは、展示品をどういう内容でやろうと考えておるであろうか、その収蔵の状況についてお知らせをいただきたいと思う。それから、県の出身者が多くおられるわけであるが、県出身の方々の作品について、どういう収集状況になっておるか、その方針もあわせてお尋ねしたいと思う。
 建設するに当たって、美術館の特徴はどういうものであるかということについてであるが、設計はもう終えられておるわけか。もし、設計の段階でどういう意見の反映を求めて設計をなされたのか、そのことについてお伺いしたいと思う。
 なお、他県の美術館の運営について種々調査されておると思うが、最も好ましいあり方について、どういう視点で調査をされてきたのか、その観点についてお伺いをしたいと思う。
 あと一つの関係についてであるが、岩手・秋田文化連携交流推進事業がうたわれておるが、この具体的な事業の内容についてお聞かせいただきたいと思う。

〇池田美術館整備室長 それでは、美術館の整備関係4点御質問あったので、まず第1点目である美術館の展示品の内容、それから収集品の状況ということである。
 7年度以前の取り組みとして、県立博物館の近代美術部門、この作品は美術館ができた段階では移管を受けることになっておる。その段階で集めておるのが3、200点余ある。それから、8年度以降、私ども美術館整備室発足後に収集した美術品、これは35点あり、合わせてこれまでに3、277点ほどの美術品を収集しておる。ただ、この中にはいわゆる資料のたぐい、作品の下書きであるとか、はがきなども入っておるので、そういう意味では、美術館の展示に耐え得るいわゆる美術品としての作品は650点ほどになっておる。この中身であるが、従来の博物館での収集方針、それからそれを受けて、美術館の収集の方針というものを定めているわけであるが、その中で、本県出身あるいはゆかりの作家を中心に集めるということにしておるので、ただいま申し上げた作品の点数ほとんどが、本県の出身あるいはゆかりの作家、それから、一部本県の出身、ゆかりの作家に関連をした作家、例えば影響関係とか、一緒に活動をした作家というものも含まれておる。
 したがって、2番目の質問とも関連するが、現在、萬鉄五郎、松本竣介、それから舟越保武氏、この3人、それぞれ出身、ゆかりの作家であるが、この3人の作品を中心に収集しているところである。今後においても、この3人のほかに、本県出身あるいはゆかりの作家、あるいは影響関係等のある作家を中心に、まず本県の文化的基盤と申すか、まず足元を掘り下げていくというような気持ちで収集を図ってまいりたいと考えておる。
 それから、館の特徴であるが、これは基本計画を7年度に策定した段階で幾つか、こういう館をつくりたいというものを決めておる。それを受けてつくっておるわけであるが、一つは建物である。これは、環境に調和し、あるいは人に優しい美術館にするということで、いわゆるバリアフリー化、それから消火設備としてガスを使うわけであるが、そのガスを非フロン系のガスにする。それから熱源として、ボイラーの熱源であるが、これをガスにする。重油をもっぱら使うわけであるけれども、これをガスにするということなどを考えておる。
 それから、展示品の関係であるが、これは先ほど申し上げた3人の柱がある。この3人について、ほかの常設展示とは区別して、独立した体系的な展示室をつくるというのが最大の特徴かと思う。
 それからもう一つ、活動面であるが、これは、調査研究活動をやるのは当然であるが、その成果を教育普及活動、館として独自の教育プログラムをつくり、学校との連携等、教育普及活動に力を入れるということが特徴の一つである。
 それからもう一つは、最後であるが、情報化対応として、できるだけ先端技術、これを導入してマルチメディア対応をしていきたいというような、以上4点が特徴と考えておる。
 それから、設計の関係であるが、これはただいま実施設計の取りまとめの段階に来ており、今年度内に取りまとめが可能かと思っておるが、この過程において、例えば景観アドバイザー会議を土木の方にお願いして、景観アドバイザーからいろいろ御意見をちょうだいする、あるいは、これからになるけれども、身障者の方々の団体と意見交換をして、その成果を取り入れて、それを踏まえて一部手直しの必要があれば最終段階で手直しをするというようなことを考えておる。
 それから、他県の館の運営をどう取り込んでいるかということであるが、特定の一、二の館を参考にするということではなく、全国の主な国立、公立、私立の美術館、ほとんど調査をしておる。その調査をする過程で、例えばハードの面であるとか、それからソフトの面とか、それから館の運営体制、ボランティアなどを活用しているところもあるので、そういうものもいろいろ調査をして、一番いいところをそれぞれ反映させていきたいと考えておるところである。

〇鳩岡文化課長 岩手・秋田文化連携交流推進事業についてであるが、この事業は、岩手・秋田両県のすぐれた芸術文化団体を相互に派遣して交流を行おうとするものであり、北東北広域連携構想を文化面で推進しようとするものである。平成10年度には、秋田県から民謡と現代舞踊の二つの団体の招聘を予定しており、10月3日に開幕するいわて芸術祭の開幕フェスティバルにおいて、県内の芸術文化団体等5団体と舞台上で交流・公演を行うとともに、両県の芸術文化関係者の意見交換を行うこととしておる。
 また、本県からは日本音楽と伝統芸能の二つの団体を9月に開催される秋田県県民芸術祭オープニングフェスティバルに派遣したいと考えておる。この交流を契機として、岩手・秋田両県の芸術文化のいろいろな分野で交流が始まり、その水準の向上と県民が芸術文化に触れる機会の拡充につながることを期待しておる。

〇久保田委員 最後である。
 美術館の関係についてお答えいただいた。ていねいなお答えであったと思っているが、この建設の着工について一般質問でお答えいただいているわけであるが、その見通しというのは確たる見通しとして受けとめていいのか。要するに、財政議論の中でいろいろ言われておるわけであるが、県債の規制の関係もあったりして思うように着工ができるのかどうかという心配を持つのであるが、そうした懸念がないのかどうか、この際はっきりしていただきたい。教育委員会の姿勢をまずお伺いしたいわけである。

〇細屋教育長 美術館の着工、それから完成の御懸念いただき、大変ありがたいと思っておる。たしか知事が予算成立後の記者会見でお話ししておったように、既に着工したものについてはきちんとやるという話を聞いておる。県教育委員会としても、その辺を担保にしっかりとやっていきたいと考えておる。

〇船越委員 今、現代社会は、地獄のさたも金次第といったようなことで、すべて金といったような風潮ではないかと思うのであるが、私、やはり我々人間が人間社会を構成している限り、国家を構成している限り、何らかの規制というものがなくてはならないというのは、既にローマの崩壊等を例に出していろいろな教育があるのであるが、それで、先ほどから同じような質問になるのであるけれども、文部大臣の方針とか、あるいは答申とか通達とか、あるいは大変失礼であるけれども、教育委員長の朗読した名言の数々というようなことで、最後には責務の重大さを痛感しているといったようなことも、すべて理屈はもう出尽くしたような感じが私するわけである。
 そして、前もって断っておくが、私、こんなことばかり言うから船賢節かとさっきも冷やかされてきたのであるけれども、決して私は、戦中派の教育勅語の時代に戻せと、こういったようなことはもちろん申し上げないということは断っておくけれども、どうも教育長の話、あるいは文部大臣の話が空虚に感じられてしようがないわけである。戦後50年、これを経験してきてみた、その結果がこういうことであるということである。45年に日本が敗戦になったとき、これから民主主義を勉強していこうというとき、イギリスは何とかかんとかデモクラシーが定着しつつあったのが50年かかった。日本のデモクラシーも50年かかるのではないかといったようなことで、今53年経過したわけであるので、いろいろと教育勅語が悪いのであると、もちろんそういうことで、教育制度が変わったというようなことで50年試行してみた。そして、個人の尊重とか何とかかんとかということで御立派なことばかりやってきた。それが全部悪いのではない、みんないいのであろうけれども、やっぱりしょせんは、最後には活字とか、あるいは文章を読めないライオン、トラ、こういうのでも、かわいい我が子を千尋の谷底に落としてまで教育するというようなことであるから、教育というのは、煎じ詰めれば甘やかしではだめであると、こう私は結論を持っているわけである。
 それで、一般質問のときに私、総括で、お金も大切であるけれども、しょせん教育が根本に大切ではないかということで、総括で、これは3県のサミットなどで県知事も一生懸命やっているけれども、今青森の方で別な方の気勢を上げたので、言わなければよかったと思ったりして反省しておるけれども、我が岩手県の県知事は、ああいうようなパフォーマンスというのは−−また議事進行が出るかもわからないけれども、これは取り消せと言えば取り消してもいいのであるけれども−−まねをしないで、そうして我が米内光政あるいは原敬といったような位階勲等を求めないということで、原敬の墓で書けと、こういったような偉人、あるいは太平洋のかけ橋たらんとする立派な新渡戸先生と、こういったようなものが残っている。ところが、戦後の教育というのはどうしても、我々政治家を含めて、おのれというものを前に出したがる。おれはと、自分というものを主張したがる。先ほど、100年祭等で、やはり宮沢賢治のことを皆さんがわいわい騒いだけれども、宮沢賢治も、自分を念頭に置かないで物事に当たれということを言っているわけである。そういったようなことで、私、県知事にそのことを申し上げようと思った。そうしたら、県の職員の中にも高山彦九郎、蒲生君平というような忠臣がおって、船越さん、県知事に言うのはやめてくれということで、仕方なしに−−仕方なしというのは悪いけれども、教育長に矢を向けたと。

〇折居委員長 船越委員、簡潔に願う。

〇船越委員 1点だけであるから、もう少しで終わる。
 それで教育長に矢を向けたのであるが、私は、やはり50年の制度疲労を起こしているから、もう少し倫理教育を強化するということを県知事から国に向かってアピールしてもらいたい。こういうことでなければ、やっぱりナイフを持つなとか、検査とかと言っても、私−−たばこを飲むなと、今まで飲んでもいいということではないであろう。飲むなと言っても飲む者があるのである。私は17年、高校のPTAの会長をやっておるけれども、いろいろある。1、000人以上の人が、学校一つ分ぐらいの退学者が出るであろう。だから、とてもとても大変である。この辺でしっかりやらなければ、美辞麗句はもう言い尽くしたのであるから、あとは実行あるのみということで、教育委員長あるいは教育長から最後に、よし、それでは県知事に話して国の方を動かす、文言の美辞麗句ではだめであるという決心のほどをお伺いすればいいのである。

〇細屋教育長 いわゆる道徳教育に関する激励のお言葉、大変ありがたい。岩手県においては、全国に比べて小学校でも中学校でも、いわゆる道徳教育の時間というのはかなり長い時間、倍ぐらいの時間を取ってやっておる。やはり、これは岩手の教育の特性でもあろうと考えておる。それにも増して、一般質問でもお答え申し上げたが、やはり今こそ善悪の理非、あるいは倫理観、規範意識、そういうものがしっかりと身につくような、そういう教育をやってまいりたいと考えておる。

〇折居委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩する。
   午前11時53分 休 憩
 
   午後1時4分 再 開

〇佐々木副委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 午前中の説明に対する質疑を続行する。

〇長谷川委員 午前中にも大変な議論があったわけであるけれども、女子教員のナイフ刺殺事件に始まった中学生の暴力事件というのは、多分、現下の社会問題の中での大きな関心を持つ一つだと、そのように思っておるわけである。
 私、ある雑誌を読ませていただいたわけであるけれども、この問題については二つの側面があると。一つは、学校教育にも問題があるということが載っていたわけである。それはどういうことかというと、今の学校教育というのは、生徒を実社会から隔離して教育をしようとしている。塾なんかは典型的なものであるけれども、家庭や社会から生徒を遊離して学校だけで教育しようと、こういうことがそういう問題の大きな背景にあるのではないのかと。
 よく考えてみると、私も中学生時代には先生にぶん殴られたこともあるわけであり、それでも何ら私は痛痒を感じなかった。というのは、その先生は飲兵衛であり、我が家にしょっちゅう酒を飲みに来ていた。先生も友達であり我が家の一員であるような、そういう感じをしていたわけであり、注意をされると、悪いことをして制裁を受けるのは至極当然のことだろうと、そう感じていたわけである。
 今の中学校を初めとする教育であるけれども、そんなに実社会と離れているのかと、こういう感じをするわけであるけれども、そういう指摘があるということであり、それに対してどうお答えになるかということである。
 二つ目は、教育力というか、家庭あるいは社会における教育力が非常に弱体化している。援助交際を担当しているあるマスコミの記者だそうであるけれども、こういう話をしていたそうである。
 女子中学生が援助交際をしていたと。6人のおっさんと援助交際をしたそうであるけれども、3人のおっさんからは金をもらったと。しかし、3人からは金をもらわなかったと。その3人とはどういうことをしたのかというと、ただ単にたわいのない話をしたと。自分の友人のことであるとか学校のことであるとか、そういう話だそうである。本来は、そういう話というのは家庭において、父親、母親とすべきものである。かように、家庭というのが子供の、中学生であるが、その中学生との話し合いの場が全くされていないという、そういう現状にある。社会においても、全く他人の子供は一切悪いことをしても見て見ぬふりをすると。注意をすることさえしないと、そういう傾向にあるようであり、どうも家庭も社会も本当に教育力が弱体化していると。
 学校においてはそうなのかもしれないけれども、ある盛岡の中学校の話であるけれども、退職を1年後に控えて校長先生が物事を隠そうと、こういう暴力事件を隠そうという、そういうことを訴えられたこともあるわけであり、校長先生たるものそんなことはないだろうと、こういう話はしていたけれども、切実に中学校の先生に訴えられたことがあるわけである。臭いものにはふたをしろという傾向が今の社会にあるのか、あるいは余りにも社会に余裕がないのかよくわからないけれども、どうも地域も家庭も教育をする力が非常に弱まっていると、こういう話があった。そして、その中で提言みたいなものであるけれども、退職した教育者がいるわけであるけれども、大変お元気な方々がおるわけであり、非常に経験豊富な方であり、そういう方々を社会に引っ張り出せないのかと、こういうことが提言をされているわけである。何かボランティアの話あるいは組織立った教育運動をしろと、こういう話があるわけであるけれども、そういう意味において退職された教員を組織立って家庭、社会、地域にそういう教育に携わる方法がないのかどうか、そういうことを提起されているわけであるけれども、感想があればいただきたい。できれば教育委員長なりにお願いいたしたいと、こう思うところである。
 それからきのうの新聞であるが、どうもナイフ事件というのは全部公立の中学校で起きているのだそうである。私立の中学校では報道された事実はない。何か聞くと、私立中学校が大変脚光を浴びて、どうも私立の中学校がかなり大きな倍率になっていると、こういうことなのだそうであり、岩手県はそんなことはないと思うけれども、私立と公立の違いというのがどこにあるのかということを、これは岩手県ではなくて全国的に見てあるいは一般的に見てどう違うのか、教育論においてどう違うのかということについてもお伺いをいたしたいと思う。
 教育長に御礼を申し上げたいわけであるが、新聞を見ると退職されると。生活福祉部長から教育長になられたわけであるけれども、今回、釜石養護学校に高等部の分教室を設置していただくと。釜石に対して教育長を去るに際しての手土産かと、こう思っており、感謝を申し上げるわけであるけれども、釜石の養護学校、高等部の分教室に対する期待とかあるいは今後あるべき姿、そういうものがあれば御意見を賜りたいと思っているわけである。

〇三浦教育委員会委員長 ただいま御指摘あったとおり、確かにいろんな問題がそこから出ていると、これは私も全く同感である。
 第1番目のお答えとして、この委員会の冒頭でも申し上げたとおり、家庭や地域やそれから市町村教育関係団体と一体にならないと成果が上がらないというのは冒頭申し上げたとおりであるけれども、今、委員の御指摘のあった元気なおじさんあるいは退職後のおばさんと言ったらいいであろうか、教員のOBの方々をボランティアとして組織できないのかという御指摘があったが、実はもう既にいろいろな面で御活躍をいただいているところがある。
 一つは学校外に出ていくと、そういう教育活動。それから逆にもう一つは、学校の中にそういう方々を含めて社会の非常に有識者を呼んでそして教えをいただくと。非常勤の講師の制度と言っているが、そういうことができるようになっており、大分手がけてくるようになった。キーワードとして申し上げれば、開かれた学校をつくるのにPTA等を含めて、地域等も含めていろいろ確実に歩みを進めてきているが、委員の御指摘のとおり、まだまだ不足な面はあることは事実である。これは、いろんな問題の側面があるかと思うけれども、かつて学校の象徴であった大学が象牙の塔と呼ばれておって、外のものを全然隔離してというか、そういう教育研究がなされておった、そういう意識が今なお多少は引きずっている、学校教育というのがそんなものを多少引きずっているのではないかという気もしないわけではない。ただ、確実に、少しずつであるけれども着実に歩みを進めてきておるので、外の方々を講師に呼んだり外へ出ていって学習したりと、体験的な学習やらいろんなものを進めておるので、大分時間はかかるかと思うが、先生のおっしゃるような理想に一歩でも近づくような、そういう努力をさらに私どもしてまいりたいと、そう考えておる。
 それとの関連で、家庭や地域の教育力の問題である。これもいろんな面で退職した先生方には御協力いただいており、例えば学校教育で申すと、初任者研修の講師の、研修している間の児童生徒の勉強のために、退職した先生方に学校で教壇に立っていただいて指導をいただくとか、あるいは外で地域の子供会等で指導者として御活躍をいただくと、あるいはスポーツなんかも含めていろんな面で御活躍いただいているが、これもまだまだ組織を強化して体系的にできるような、そんなふうに運んでいかなければならないと、そんなふうに考えているところである。まだまだ不足の点があるかと思うが、着実に歩みを進め始めておるので、どうぞある意味では長い目でもひとつごらんいただいて、大いに御理解賜って応援をしていただきたいと、そう存ずる。

〇細屋教育長 ただいま釜石養護学校の高等部分教室設置について御礼いただいたけれども、私、今おっしゃられて思い出したが、福祉の部長から教育長になって間もなくであったけれども、一関の養護学校の高等部設置の要望が出ており、その際に私は、人数等が少ないので極めて難しいと、そういう対応をしたわけであるが、その後、少なくともやれる手はないのかということを局内で検討して、知恵があると。それは、分教室というやり方で一応同じような教育ができそうだという話があり、釜石養護学校と一関養護学校について高等部の分教室、そういう道があるというのを部下から聞いて前向きな対応ができるようになった次第であり、今お話しあったように、やはりそういう意味では福祉から来てよかったという感じをしておる。

〇杉浦指導課長 最後の御質問の公立と私立の違いのお話に関するものである。
 先ほど公立ばかりナイフの話が出ているのではないかというお話もあったが、その統計はとったことがないものであるからはっきり言いにくいが、うちの方にも私学の話とか公立の話ももちろんあるし、中学校の方は圧倒的に公立が多いものであるから、中学校が注目されると公立が多くなるのは当然かという気はしておる。
 公立と私立の違いであるけれども、教え方とか学習内容については別に、設置者は違うが基本的には同じ仕組みにはなっているけれども、実際は私学の方はまさに校風、建学の精神を生かしたいろいろなバラエティーに富んだ工夫がされているし、あるいは宗教教育のようなものも中に取り込んだりするなど、いろいろな形での教育ができるかと思う。
 それに対して公立の方はやはり地域を支えると、人をつくるという、まさに地域というものが大きく出ているものであり、基本的にそのスタンス、立ち方がまず違っているのかと思うが、いずれにせよ学校教育の中身をそれぞれ工夫し合っていくというのはやはりそれぞれでやっていかなければならない、こう考えておる。

〇長谷川委員 要望にとどめるけれども、先生方に私は要望したいことが一つあるわけである。やはり先生は、教えるという立場で教育のスペシャリストでなければならないと私は思う。ただ、やっぱり1個の人間なんだと、全人格をもって生徒を教育するということであれば。一方、ゼネラリストでもなければならないと思っておるわけである。どうも私は思うが、今の先生というのはスペシャリストの方を要求すると。人間であるから、幅広いいろいろな教養も当然身につけなければならないわけであるけれども、身につけておられると思うけれども、どうも学校という閉塞感のある社会の中におると、どうもそれを殺して教育をしているのかもしれないけれども、そういうような感じがしてならないわけである。私はそういう閉塞感のある教育界というか、そういう社会を打破して教育というもの、全人格的な教育というものを、先生方はもう当然能力がある方々であるから、そういう社会環境さえ委員会の方で打破されれば私は多分いい教育ができるのではないかと、こう期待しており、その辺スペシャリストであると同時にゼネラリストになれるような、健全な人間として生活できるような、そういう先生方に対する教育をお願いいたしたいと、こう思っておるわけである。
 もう一つは、やはり退職教員ばかりでなく、例えば悪い子を見つけたら、他人の子であっても注意をするような、例えばPTAなんかを通じてもそういう運動をしてもらえないものかと思うわけである。何か注意をするとすぐキレて仕返しを受けると、恐怖心が先に立つこともあるのかもしれないけれども、そういうことに負けずに、余裕のない社会であればあるほどそれが大変必要だと。PTA運動なんかでそういうようなことを一つでも取り上げて、社会全体が青少年を教育すると、そういう組織立った運動を展開していただけないものかと、そのように思っておるわけである。
 それから、多分私は教育委員会にも立派な教育方針があると思うのであるが、今の御答弁であると公立と私立ということになると、どうも私立の方が教育方針がはっきりしていると、こういうような感じの御答弁であったけれども、立派な教育方針があるし、きょうも委員長の立派な方針を聞かせていただいた。私はちょっとおくれて途中から聞いたわけであるけれども、そういうものを徹底する方向を生徒にまで−−どうも教育方針というのは、多分先生の側でとまっているような気がしてならないわけであるけれども、学校全体にその方針が徹底されるように御努力をお願いして質問を終わる。

〇谷藤委員 以前、私、一般質問でもちょっと取り上げたけれども、全国のスポーツ・レクリエーション祭、これが本県で開催されるというような方向が報道されたような気がしたけれども、あれが何年に正式に決まったものかということをまず確認をさせていただきたいと思う。
 それから、このスポーツ・レクリエーション祭の競技種目の中で非常になじみの薄いものも結構含まれていると思って見ておったけれども、その部分について我が県はどういう状態になっているか、また、組織化されているのか。また、種目がまだ浸透していないとすれば、それの振興をどうやって進めていこうとするのか、そういう立ち上がりについての県の方の支援策というか、その辺についての考え方をお伺いしたい。

〇及川保健体育課長 お尋ねのあった全国スポーツ・レクリエーション祭の本県開催についてであるが、平成8年度から誘致に取り組みをしてまいっておるが、このたび本県で開催されるのが平成17年に内定を予定されたところである。内定されるのが開催年の5年前なそうであり、今度はまた内定というものが参ろうかと思う。それが1点である。
 それから2点目のお尋ねであるが、種目の中になじみの薄いものもあるがどのような状態になっているかということであるが、現在、県内にはいわゆるニュースポーツと言われるスポーツ・レクリエーション団体が約30団体ほど組織されておる。この中で全国スポーツ・レクリエーション祭の種目の中に入っているものでは、本県ではまだターゲット・バードゴルフが未組織である。それから、来年度から追加されるエアロビクスについてはこの3月に組織されると、そういう予定になっておる。これまでも生涯スポーツの中心になっておるニュースポーツの普及奨励については、県営体育施設に各種の用具を備え、各市町村が積極的に活用できるよう働きかけをしてまいったところである。さらには、生涯スポーツ関連の研修会それから講習会の中でこれらのニュースポーツを取り入れるとともに、その指導者の養成や各種目の普及奨励を図っているところである。
 今後においても、特にも全国スポーツ・レクリエーション祭はおよそ20種目にわたるという内容になっておるが、そのスポーツ・レクリエーション祭の種目を中心として、これまで以上に各種指導者の養成やそれから普及活動を図ってまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 大概見ていると組織が弱い。参加人数も少ない大会をそれぞれ積み重ねて努力はしているようであるけれども、それを相当支援をしていく体制をつくっていただきたいと思う。
 それからまた、せっかく全国から集まってくるわけであるから、施設面の整備、これは箱物だけではなくて外の部分の−−インターハイもあるから、随分サッカー場の芝などは進んだ面もあるが、ラグビー場とかを含めた屋外の方の芝のグラウンドの整備というものも含めてぜひ力を入れてやっていただきたいと思う。
 次に、平成11年であるからもうすぐインターハイが来るわけであるけれども、今施設整備の状況、それから選手強化の状況、この辺についてお聞かせをいただきたいと思う。

〇及川保健体育課長 それではまず、第1点目のインターハイ関連スポーツ施設について、整備状況についてお答えさせていただく。
 御案内のとおり、インターハイ関連のスポーツ施設の補助の対象となっておるのは、5市3町の12施設である。これまで完成した施設は、花巻市の総合体育館それから盛岡の太田テニスコート、水沢市の総合体育館の3市3施設であり、今年度中にまた完成するわけであるが、北上市の総合運動公園の陸上競技場、それから体育館、それから和賀川テニスコート、それから紫波町の自転車競技場が完成する見込みである。この結果、9年度末では4市1町の7施設が完成となる見込みである。
 それから来年度であるが、盛岡市の南公園球技場と屋外飛び込みプールの2施設、それから一関市の総合体育館、東和町の漕艇場、それから岩手町のホッケー場が予定されており、10年度中には予定されておる12施設がすべて完成しインターハイには間に合うという状況である。
 それから、2点目のインターハイに向けた選手強化の状況であるが、本県で開催されるインターハイにおける本県選手の活躍というのは、当然、円滑な大会運営とともに非常に大事なことだと考えておる。これまで指導者の養成、それから未普及種目の普及、それから中・高等学校の生徒の強化合宿とか県外交流、それからさらには特殊競技用具等の整備等を行っており、今年度はさらに国内一流の指導者によるアドバイザリーコーチ等の招聘をしてきたところである。この結果、入賞数においては、中学校においては着実な増加を示しておるが、高等学校では現在のところ微増という状況である。ただ、1回戦、2回戦と勝ち進むチームが着実にふえてきておる。10年度には本県のインターハイの主力メンバーがちょうど高校1年、2年となることから、これまでの高等学校等の県外交流やアドバイザリーコーチ招聘事業の拡充を図るとともに、本県高等学校の生徒がより一層活躍できるように、新たに県外優勝チームの招聘事業を実施することとして、今議会に所要の予算をお願いしているところである。
 今後とも、関係団体及び学校体育団体との連携のもと、インターハイに向けて選手強化に努めてまいりたいと考えておる。

〇谷藤委員 いずれ、もう来年の話であるから、それらをきっちり予定どおり進めていただいて、大会のときにまだごたごたしていることのないようにぜひお願いしたいと思う。
 それから、やはり地元開催の利というのは、会場に早くなれるというのも実はある。ぎりぎりに完成して新しくていいけれども、やはり地元とすればその会場に少しでも早くからなれていけるというのが地元のまさに利である。そういうことで、ただぎりぎりに完成すればいいというのではなくて、本来はもっと早目にそれらを促進していくという考え方が柱になっていなければいけなかったのではないかと思うけれども、いずれおくれることのないような状態で進めていただきたい。
 それから、少年女子が非常に中学校のレベルでは大分よくなっているようであるが、高校の場合がちょっとまだ弱いと、国体の点数を見ても極端に低かったような気もするので、その辺重点的に力を入れて取り組んでいただきたいと御要望をする。
 次に、非常に少子化が進んできている中で、国の方では一律に小中高の学級編制とか教員の定数とかそういうことで決めている部分があるけれども、岩手としての特色ある、岩手ならではというものを、何か国の方にも向かってどう岩手の実情というものを声を届けながら取り組んでいるのか。岩手というのは本来こうあるべきだというものの考えがあれば、それをお知らせいただきたいと思う。

〇山本義務教育課長 公立小中学校の学級編制の基準及び教職員定数はただいま谷藤委員からもお話しあったとおり、国の標準に基づいて設定をいたしているところであるから、本県独自で国の標準を上回ることは率直に申し上げて難しい状況にある。現在、児童生徒の減少に伴う教職員定数の自然減に留意をしつつ、児童生徒一人一人に目が届き、個が生かされる多様な教育を展開するため、国の第6次公立義務教育小学校教職員配置改善計画が実施をされているところである。本県においても、例えば複数の教員が協力して指導するティームティーチングのための教員や不登校対策等きめ細かい生徒指導の充実のための教員を、特に国と協議をしながら加配という形でちょうだいをいたしているところである。さらに、課題を抱える学校等については、人事異動等の際に指導力があり、問題に対し適切に対応できる教職員の配置等に努めながら努力をいたしているところである。

〇谷藤委員 国の方での一つの方向があるわけであるから、なかなか思ったようにはいかないで残念なところもあるとは思うけれども、いずれ岩手らしさをそういう教育現場のところで十分発揮するような体制づくりをしていただきたいと思う。
 採用のときも、先ほどからいろいろ学校の内部の問題も出ておるけれども、中学校、高校など非常に体力的にも、先生たちよりもはるかに頑強な背の高い立派な体格で来られて、先生たちもちょっとビビっているのではないかと思うぐらいの立派な体格の生徒たちを見受けるけれども、そういうことで、ひとつ先生方も少し体を鍛えてビビらないぐらいの体力づくり、それから採用のときも少しその辺元気のいいのを採用するような方向で、ここが一大改革のときであるから、いくら勉強がよくてもヨタヨタッとしているようなのでは信頼されないと思うので、その辺も加味しながら、ぜひ、採用のときには体育系の人間をどんどん採用していただければいいと御期待を申し上げる。
 最後に、情報教育の分野、今インターネットとか、私よくわからないが、私ら学生のときは余りそういう機械類というのはない時代に育ったけれども、今は小学校、中学校、高校あたりもそういうコンピューターとかインターネットの普及等でもいろいろそういう分野に進出してきている。これらが小学校、中学校、高校で今、情報教育の実態というのはどこまで進んでいるものか。それから機材関係というのであろうか、この辺の情報機器の整備状況というのはどうなっているのかお知らせいただきたい。

〇杉浦指導課長 ただいまコンピューターの整備状況あるいはインターネットの状況についての御質問であるが、本県においては平成9年の3月現在であるが、コンピューターの整備状況、高等学校では70・1%、それから中学校では16・8%、小学校では23・5%となっており、国の平成11年までに整備する計画のこの基準に照らしたものだと、こういうデータになる。一層の整備充実が必要である。
 それから、インターネットの方であるが、本県ではまだ合計でも31校の学校で接続しているだけであり、小学校のパーセントでいうと1・8%、中学校では5%、そして高等学校では10・3%ということであり、まだまだこれからという状況である。

〇谷藤委員 それと関連すると思うけれども、総合教育センターのマルチメディア活用事業というのが出ているけれども、このモデル校40校を対象にしているということであるが、何を期待しているものなのか、それから、今後どういう計画で進めようとしているのかちょっとお聞かせいただきたい。

〇杉浦指導課長 今、お話しあった総合教育センターによるマルチメディアの活用推進事業の件であるが、これはインターネットが今はやってまいっているわけであるが、これの効果をよりうまく学校の教育に使おうというものであり、教材であるとか学習のテーマ、こういうのをインターネットで広く集めたり、あるいは情報が不足しがちな僻地であるとかあるいは病気療養の子供の学習補完の方に使ったり、あるいはホームページを学校でつくって自分で外に、果ては世界の方までいろいろな情報を発信すると、こういったことができるようなことを教育の中でどううまく活用していくかといったことを考えておる。平成10年度からはモデル校を40校に拡大して、学校を越えた共同事業のあり方、進め方についても実践的な研究を進めてまいりたいと。そして、これによってこれからインターネットがどんどん普及してまいるが、そうした時代に合った学校の事業に活用できる教え方というのを考えてまいりたいと思っておる。

〇伊藤委員 2点についてお伺いをする。
 まず1点は、今谷藤委員からも出たがインターハイの本県開催の部分についてであるが、宮古市はヨット競技とレスリングの会場なわけである。今般の予算に神林マリーナの整備事業費を含んでいただいたから、これで施設は立派に完成をしていくものだろうと喜んでおるところである。
 この運営について一つお願いというかお考えというか申し上げたいと思うが、実はこのヨット競技、今までの国内での各競技の場合の実況中継放送という部分についてであるが、ヨット競技というのは海でやっている、沖でやっているという観点から、平地からの放送であるとなかなか順位が見づらい、わからないと、こういう部分があるようである。今回会場となる宮古湾は、すぐ背中に月山という大変眺望のすばらしい場所を背負っておるので、そういうところから俯瞰をしたような形で中継放送をしていただければ、ヨット競技のレースの順位等がよく県内外の人たちにわかっていただけるのではないかと、そういう部分が一つある。
 同時に、7年の6月の一般質問であったか、月山について、函館山からの夜景が100万ドルであれば我が月山は101万ドルあると、こうお話をしたり、天気がいい日はアメリカが見えるような気がするとまで言ったわけであるが、いずれ、こういった県内の財産である展望をこの際、インターハイの際に国内外に発信をしていくという部分も教育的感覚でいいと思うが、そういうお考えの中に岩手のいいところを全国に広めていただきたいという観点からそのような部分ができないのか、ひとつこれをお伺いしたいと思う。
 それからもう1点は、今回の教育委員長の演述の中に、3ページであるが、たくましく心豊かな人間の育成については、さまざまな生活体験や自然との触れ合いなど、体験的学習の充実を図るほか、学校教育活動全体を通して道徳教育や福祉教育云々とあるが、これは実は既に岩手県においては、20年ぐらい前からすばらしい教育をやっていらっしゃるのではないかと思う部分がある。
 それは、県内に今三つの青少年の家というのがあるが、県南青少年の家、これが56年に開設をされたそうである。それから陸中海岸青少年の家、これは52年、青年の家から52年に青少年の家になったと。それから県北青少年の家、58年、こういう部分で既に20年前ぐらいから自然と触れ合うという、地域と一体となった教育という部分で進めてこられておると思うが、残念ながらこのごろ利用率が随分と減ってきておる。
 今までのトータルで申し上げると、開所時からの累計になると、この3施設で187万7、524人が利用したと。つまり、岩手県民が1・3回ぐらいはもう押しなべて行っているような感じにはなるわけであるけれども、各三つのそれぞれの青少年の家の実績を見ると、どうも全体的に利用率が落ちていると。こういう部分が大変懸念をされるが、この青少年の家のそもそもの設置の意義というか目的というか、どういうところにあったのかこの際お伺いをするのが一つと、それからこの利用率が落ちてきたという部分についてどのように考えておられるのか。私はすばらしい教育を20年前からやっていると思うが、この部分についてお聞かせをいただきたいと思う。

〇小瀬川全国高校総体推進室長兼冬季国体推進室長 インターハイのヨット競技における報道についてであるけれども、これまでヨット競技大会では、おっしゃるとおり会場地の状況に応じて船上や陸上から取材や観戦が行われてきておる。また、ヨット競技大会の運営については、会場地である宮古市実行委員会が中心となって行っておる。また、そういうことで競技取材の方法や場所については、会場地実行委員会と競技団体及び報道協議会で協議の上設定されることとなっておるので、会場地実行委員会に取材場所の候補地の一つとして情報を提供してまいりたいと、そのように考えておる。
 なお、各競技の実況に関しては後援団体であるNHKが放映権を有しており、そういうことでNHKの対応ということになろうかと思う。

〇菊池社会教育課長 青少年の家の利用について二つの点の御質問があった。一つは、青少年の家の利用の低下の理由とそれから青少年の家の目的であるが、まず利用状況について御説明申し上げたいと思う。
 最近の青少年の家の利用状況を見ると、児童生徒の減少によることが大きな理由だと思うが、宿泊を伴う在学青少年の利用者数、いわゆる学校の教育活動の一環として利用している者の利用者数であるが、これが若干減少してきておる。一方で、子供会とかスポーツ少年団といった青少年団体の利用、それから野外活動施設を持っているわけであるが、こういったキャンプなどの施設を利用した利用者が増加しておる。全体としては今委員がおっしゃったように、減少傾向にあることは否めない事実である。
 その理由であるが、ことしの例で申し上げると、先ほど申し上げたように児童生徒の減少ということもあるが、県南地区で市町村と自治体が設置した類似の施設があり、具体的に申し上げると一関市であるとか江刺市の星座の森であろうか、そうした類似施設ができることによって県南青少年の家の利用が落ち込んだということが考えられる。
 それから目的であるが、青少年の家は設立当初から恵まれた自然環境の中で規律ある団体宿泊訓練等を通じて、友情、協同であるとか奉仕等の相互扶助の精神を養うと同時に、自主的で創造的な青少年の育成を図ることを目的として設置されてきているものである。
 今後についてであるけれども、この施設の利用拡大を図るために一層の広報活動を積極的に進めたいと存ずるし、青少年の興味あるいは関心に応じた活動プログラムの開発とか多様な野外活動や創作活動、スポーツ・レクリエーション活動等ができる施設設備の充実、さらには親子やグループサークル等が気軽に利用できる運営の改善等に努めながら、一層の利用促進を図ってまいりたいと考えておる。

〇伊藤委員 今、県南の家については、8年度あたりで79・7%の利用率である。ちなみに、陸中青少年の家が8年度で36・7%、これは9年度で大分頑張って46・8%まで4月から1月の間で挽回をしたと、こういうことであるが、ほかの県南と県北の部分についてはよく存じ上げないので、陸中海岸青少年の家についてちょっと重ねて伺ってまいりたいと思う。
 この施設はもう20年を経過してまいった。この間、平成3年の7月には大規模改修工事をやっていただいた。と同時に、長寿学園、沿岸学園を開設していただいた。長寿学園というと、これは60歳以上の壮年層以上であるから、もとの青少年ということであるから、これも利用して悪いわけではないと思うけれども、その後平成6年の3月には障害者福祉対策工事として、エレベーター、トイレ、スロープなどを補強していただいた。さらには9年の3月には、野外炊事棟、食堂棟、便所なども改築をしていただいて、大変手入れをしていただいていると思っておる。ただ、先ほど申した環境の教育云々が不足しているとかおっしゃる意見もあったわけであるが、主ないろんな事業を見ると、例えば飛び出せ野外へと、こういうタイトルのもとに我ら環境調査隊と。ねらいは水辺の生物を調査し、その結果から私たちの環境の状態を知ろうとする態度を養うとともに、自然への理解を深め仲間との交流や家族との触れ合いを深める、大変いいテーマをうたっておると思う。あるいはまたファミリーキャンプ、それから登山に挑戦あるいは塩づくりに挑戦、大変いいメニューがそろっている。これはやはり今の子供たちが少子化という中で、団体で、いっぱいで遊べないと、こういう部分がある中で、大変こういう部分の活用が大きな意味で子供たちに必要な部分になっていくのではないか。これは感動を共有するというか、そういう部分を子供たちに与えてやらなければならないと思う。その間、いろいろな世の中の事情も変わってまいって、青少年の船とかあるいは青少年の翼という、そういった事業もいろいろ出てまいった。これはこれで大きな巨視的な視点から世界を見るあるいはアジアを見る、これも必要だと思うけれども、足元にあるせっかくのこういう教育施設をもっと活用して子供たちが仲間と一緒の感動を味わえるような、そういう部分をもっと進めていただきたい。これは陸中青年の家の職員の皆さんも頑張っておると思うが、やはり全県的に教育委員会がひとつ立ち上がって、てこ入れをしていただいて、こういう部分の活動をもっと進めていただきたい、こう思うのであるが、これについてお伺いをする。

〇菊池社会教育課長 利用促進のことについては、先ほども申し上げたようにさまざまな広報活動を通じて利用の促進を図ってまいりたいと、そう思っておる。陸中海岸の青少年の家が昨年に比して利用者数が増加したことの背景の中には、施設の職員が小まめに学校等関係団体等にPR活動をしたということもあるが、本年度施設内に立派な野外活動施設、キャンプ場が整備され、その影響もあって利用が伸びたのではないかと、そう考えておる。いずれにしても、先ほど伊藤委員からお話があったように、やはり青少年の興味や関心に応じたプログラムの開発をしながら、青少年の感覚にフィットするようなさまざまな事業を展開して、親しまれる施設として利用促進を図ってまいりたいと考えておる。

〇伊藤委員 利用率を上げよう上げようと、こういうことになると、それぞれ営業活動と言っては語弊があるかもしれないが、いずれ関係職員がどんどん使ってもらいたいということで頑張ると思う。そういう中で山田の青少年の家の今まで使ったいろんな部分のデータを見ると、例えば大学の部分であるが、東北大学工学部あるいは東北福祉大学剣道部、日本女子体育大学剣道部、岩手大学吹奏学部、そして東北大学応援団、あるいはそのほかにも東北福祉大学弓道部、何か大学の合宿所になってきているのではないかという部分も懸念されるものである。これは小中高とあって、岩手の子供たちが大学に入って、こういういいところがあるということで連れてくるのはそういうことだと思うが、これ本来は青少年とうたっている以上、こういう立派なものは青少年向けに使っていくべきだろうと思う。というのは、使用料から言っても、例えば中学生の場合、朝食が370円、昼食が480円、夕食が590円、それプラスシーツの洗濯代120円、つまり1泊3食つきで1、560円で泊まれる。こういう部分はもう今やどこにもないと思う。そうすると、大学の剣道部、そういった部分、いろんなサークル活動の部にいろいろ聞こえてまいると、これはほとんど通年の、しかも大学は休みの期間も多いということで、そういう大学の合宿所化しかねないのではないかという部分、これはこれで利用率を上げる部分としてはいいのかもしれないが、本来の青少年の家という部分にはいかがかと思う点がある。そういう中で、子供たちが例えば、これは山田であるから県南の家であると山とか川とか、県北もそういうところはあると思うが、陸中海岸を背負っている山田の青少年センターでは、陸中海岸青少年の家わんぱく広場という事業であるとか、あるいは海の野外教室、こういったいろんな部分をやって、例えばカヌーをこぐとかボートをこぐとか、あるいは地引き網を揚げるとか、あるいはいかだをチームをつくって競争するとか、いかだ競争に参加した子供たちはいろいろな子供たちが集まってきて、学校が違う子供たちが集まってくるわけであるが、最初はなかなかチームワークがとれないそうであるが、こういう部分を汗をかいて一緒に目的を持ってやった結果、1週間なり5日なりの宿泊研修が終わって帰るときに、みんなが肩をたたいて泣いたり、また会いたいと、こういう部分を子供たちが持つのだそうである。最初来たときはギスギスしておった子供たちが、1週間なりの本当の海の部分を通じての、あるいは山の部分を通じての活動を通してまた会いたい、また会おう、また頑張ろうと、こういうことを合言葉にそこを出ていく、終わっていくと、こういう部分であるから、こういう部分を、今いろんな部分、いろんなナイフの問題等取り上げられているが、私たちは次なる世代を背負ってくれる子供たちにやはり感動を与えるという意味から、足元でしかも岩手県でせっかく持っている、他県の状況は知らないが、こういう部分をもっと活用していただいて次代の子供たちにたくましく、そしてまた、いたわりと譲り合いの精神を持ったそういう子供たちに育ってほしいと思うのであるが、教育長から御所見をいただいて終わりたいと思う。

〇細屋教育長 青少年の家の大学の合宿所化、これは確かに本来のねらいではないので、特に長期休業の期間中などにはできるだけ地域の子供たち、県内の児童会等の方に優先権を与えて利用させていきたいと考えておる。

〇大久保委員 簡単に短く質問する。
 私、高校中退者、以前一般質問でも取り上げたけれども、それに関してちょっとお伺いしたいと思う。
 文部省の発表によると、平成8年度の公立及び私立高等学校の中退者の数が過去最高の1万4、000人増の11万2、000人となっている。マスコミ報道によると、本県では公立、私立あわせて1、043人で、高校1年生の中途退学者が5割を占めていると伺っておる。たしか平成7年度のときは600人弱の生徒が中途退学しているということであったけれども、県内の公立高校の状況とこうした中途退学についての学校での指導は、その後と申そうかどのようになっているかお伺いしたいと思う。

〇杉浦指導課長 平成8年度の県内の公立高校の中途退学者の状況についてであるが、全日制では612名、定時制では95名、あわせて707名となっておる。
 中退者の調査結果によると、退学理由として、進路変更が約60%、次に不本意入学などの学校不適応が約23%となっており、この二つが理由のほとんどを占めておる。
 こうした退学の背景としては、最近では学習意欲の喪失、人間関係の不調、不本意入学など、高校生活への不適応に端を発して、自分の進路をもう一度考え直すうちに新しい進路先を見つけていると、こういったケースが多いかと把握しておる。高校時代は自分の生き方を模索して、いろいろなことにトライしてもみようとする大切な時期である。こうした自分探しの旅をしっかりと支援していくことが重要と考えておる。
 教育委員会としては、生徒が意欲、関心を持って学習し充実した高校生活を送ることができるよう、生徒の幅広い選択が可能な教育課程の編成、わかりやすい授業の実践、進路指導の充実や教育相談体制の確立、それから転編入学の円滑な受け入れや家庭との連携などについて引き続き指導してまいりたいと、こう考えておる。

〇大久保委員 平成7年度から比べても100何人であろうかふえているわけである。それで1年生で中退をするということは、今、不本意入学とかという言葉を聞いたけれども、本人の意思でやむを得なく入ったのか、不本意だったと。やめることも不本意だったのではなかったかと思うけれども、しかし志を持って入った子が1年も行かないでやめるということは、その家庭にとってもまた本人にとっても大変なことだと思うから、どうかその辺の指導をこれからも十分していただきたいということを要望申し上げて終わる。

〇山内委員 ナイフ等の所持品検査にかかわってまず1点伺う。
 先ほどの議論を聞いており、例えば教育長の御答弁は、校長が児童生徒並びに教職員の安全確保のために必要と判断した場合には、生徒や保護者の理解を得ながら必要かつ合理的な範囲で所持品検査を含む毅然とした対応を行いと、こう述べられた。この基本的な考えは私も認めたいと思う。ただ、若干疑問があるのは、続く関連質疑の中で杉浦指導課長が、たしか検査が行われれば報告があると思うと、こう述べられたと記憶しているが、だとすれば、これはあくまでも待ちの姿勢ということである。その校長がどう判断をしたのかを把握しない、また、その判断に至った理由も把握をしないと、こうしか私は受けとめられなかったのであるけれども、その点いかがであろうか。

〇杉浦指導課長 先ほど申し上げた意図としては、県教委の方で2月の中旬に行ったアンケートは、こちらの方から学校にそれぞれ対応をしっかりやってほしいということをねらいとしたもので、それをやりながら学校の方に働きかけていく、そして今の状況を調べるというものであった。実際にその後、いろいろな状況については随時先ほど申し上げたとおり県の方に報告が上がってくる形になっておるけれども、基本的には毎度毎度調査調査とやっているわけではなくて、いろいろなタイミングを見ながらこちらの方も動いてまいりたいと考えておる。したがって、先ほど申し上げたのはそういう趣旨であり、その後の再度調査とかそういうことを言っているわけではないので、随時その都度私どもの方に話が来る、そういう体制はとっておるということである。

〇山内委員 課長のお話、結果として要するに把握をしているということであろうか、いないということであろうか。ちょっと私の頭では理解しがたかったが、要すれば学校の状況状況というのはそれぞれ異なるのだろうと思う。これは認める。ただ、その中で、その学校が所持品検査をする必要がない、うちの学校はこういう実態であるから必要がないと、こういったところまで細かに把握をしておられるのかと、このことに直接お答えをいただきたい。
 それから質問の第2点、小中学校等の特殊学級開設にかかわっての質問である。
 この特殊学級開設の要件というのは、3人以上の対象児童等がおれば開設可能と伺っておる。
 そこでお伺いするのは、この3人を割り込んだ場合、これこそまた地域地域によって事情があるのであろうけれども、例えば遠隔の隣接の市町村のそういった特殊学級が開設されているところにその児童生徒を送ってもらいたいと、あるいは他の機関に送ってもらいたいと、こういったことになろうかと思う、要件を満たさない場合には。ただ、そのときにその家庭の事情、地域の事情でそれが許されない場面もあろうかと思う。こういったときに、県教委とすれば要件に満たないからと、こういった単純−−失礼、原則的なお話で直ちに開設を認めないと、こういうことになったのでは、教育委員会が目指す教育現場の構築ということからは離れていくのではないのかと、こう思うけれども、お考えを示してもらいたい。

〇杉浦指導課長 所持品検査をやらない理由はなぜかということを把握しているかということであるけれども、それは、県教委がもしやるという判断を示しておるのであれば、なぜやらないか、あるいはなぜやるのか、それについて校長から理由を求めるということは考えられるかもしれないが、そうではなく、県教委としては、校長がちゃんと実情に合わせて判断をすると、こういうような基本スタンスをとっており、必要があれば毅然とした対応でやっていただきたい、こういうことである。であるので、そういった調査をやるとかえって話がおかしくなるので、こちらとしては、基本的には先ほどから申し上げておるように、所持品検査については従来どおり、校長先生が児童生徒や教職員の安全確保のために必要であると判断した場合には、必要かつ合理的な範囲の中で所持品検査を行って、危険な物は持ち込ませない、学校を安心した心の居場所にするようにということをしっかりやっていただきたいと、こう考えておる。

〇山本義務教育課長 特殊学級新設の場合の基準についてのお尋ねであったが、小学校においては、精神薄弱児学級の場合は5名、情緒障害児学級の場合は3名とし、今後3カ年間継続が可能かどうかという見通しの中で一応基本としておる。中学校にあっては、小学校の基準を参考としながらも、小学校で現に特殊学級に在籍し、中学校の特殊学級に在籍を希望している場合は、これも考慮しながら認めてきている、こういう状況にある。基本的にはそういう基準は設けながらも、ケース・バイ・ケースで対応しておるのが実態である。具体的に、本年度1人でも開設した中学校の例等も現実にはあるものであるから、できるだけ御要望にこたえる方向で努力をしていきたいというのが基本的な考え方である。

〇山内委員 これで終わる。
 特殊学級開設に際しては、今お話のとおりケース・バイ・ケース、その地域事情等によく思いをしていただいてお願いしたいと思う。
 所持品検査、これは菅原委員がお聞きしたことに対する御答弁の中で、そのときには所持品検査を教育委員会として方針をお持ちなのであると、こう大方の委員の方々は理解しておったと思うのであるが、今の御答弁であると、教育委員会とすれば所持品検査をやるというような方針はお持ちではない、各学校長にお任せをすると、こういうことなわけであろうか。これを確認して終わる。

〇杉浦指導課長 所持品検査について、やる、やらないについて、県教委で現段階で一律的にやる、一律的に県下全体でやらないということではなく、先ほど申し上げたとおり、各学校の実情に合わせて対応していくのが、従来どおりでもあるが、その方法が一番今に合っていると、このように考えておる。

〇佐々木(一)委員 簡潔に1回で質問を終わりたいと思う。大きく3点にわたって質問する。
 まず、ごみ焼却炉についてであるが、ダイオキシン問題から文部省の方針により、来年度から県立学校等で焼却炉を廃止して回収方式ということになるが、さまざま県内102の施設のようであるが、立地条件等課題があると思うが、いつごろをめどにこの辺を進めていかれるのかお伺いしたいと思う。
 それから、午前中、久保田委員からも出たが、本県も来年度からゼロ・エミッション全国ネットワークへの加入ということで、非常に環境元年ということで積極的なわけであるが、ダイオキシンというのは、何を燃やしてもダイオキシンが出るということでもないものを全面回収ということであるけれども、今回を機に学校教育の現場で、先ほど答弁あったが、ああいう難しい問題ではなく、もっと具体的にごみ問題、リサイクル問題というものを、例えば生活環境部の職員の方でも結構であるから、そういう方々の中で、ある程度子供たちがわかりやすいようなレベルで勉強する、問題意識を持ついい機会と思うが、これについて何か御検討なさっているかお伺いする。
 それから2点目であるが、いじめ、不登校、それからスクールカウンセラーについてお伺いする。
 平成10年度予算で登校拒否児童生徒の望ましい学校復帰に向けた実践研究事業ということで予算計上されているが、この内容についてお伺いしたいと思う。それから、平成9年度、いじめによる不登校と思われる件数は県内においてどのぐらいあったであろうか、お知らせいただく。それから、もしこれが地域別、圏域別に差があるとすれば、どういう要因なのかについてお伺いする。
 次に、スクールカウンセラーであるが、現在13校に週2回、19人を学校に派遣していると伺っておるが、平成10年度の増員の計画はいかがであろうか。聞くところによると、資格条件がネックでなかなか確保が厳しいということであるが、きょうも新聞等によると、県内の陸前高田でも小学校でそういうような事故が起きたということでもあり、親も子供も、また学校の現場の先生も、カウンセラーの方の重要性というものを非常に感じていらっしゃるのではないかというように思うので、この点について、平成10年度のカウンセラー確保の進め方についてお伺いしたいと思う。
 最後、3点目であるが、考古学研究機関についてお伺いする。
 平成6年度500万強予算が計上されていたと思うが、昨年度、考古学研究機関の予算はその半分に減ったわけである。今回は予算書から全くその科目がなくなっているわけであるが、史跡調査についてこれから力を入れていくということで、状況は一般質問等でもあったので理解をしておるつもりであるが、今後の調査について、どのようにお進めになられるのか、また、11年度新しく予算計上も考えられると思うが、その辺についてお伺いしたいと思う。

〇五十嵐県立学校課長 県立学校等で発生したごみの処理についてであるけれども、それぞれの学校等を通していろいろ確認をしてまいったけれども、分別回収、リサイクルに努めるとともに、可燃ごみについては、この4月から市町村等の焼却施設で処理することとして、収集、運搬を業者に委託することとしているところである。

〇杉浦指導課長 ごみ問題やリサイクル問題の学校教育での取り上げ方についてであるが、小学校の社会科、家庭科で、例えば清掃工場などの施設見学やごみの分別収集などの活動を通して、ごみ処理の仕組みを毎日の生活とのかかわりの中で学ぶといったものがあったり、中学校の社会科では、産業廃棄物やエネルギーの問題、あるいは高等学校では、公民科、家庭科、理科などの科目で、環境と人間生活、それから家庭経済と消費、あるいはエネルギー、化学物質、生態系、地球温暖化等々について学んでおるし、また、岩手県独自であるが、環境保護という科目を設置したりしておる。ごみ問題やリサイクル問題といった環境問題は次の世代にもつながる地球全体、人類全体の大きな課題であり、教育の果たす役割は大きなものであると認識しておる。非常に難しいテーマではあるが、今回の焼却炉の設置や、最近の具体のさまざまな事例などを学習の素材にしながら、学校教育の中でもよりよい環境づくり、あるいは環境保全を実践できるような人間の育成を目指して、身近な地域の環境問題、本県の豊かな自然の中でのさまざまな体験活動を通して、各学校の工夫、地域の特色を生かしながら環境を学ぶ学習を進めてまいりたいと、こう考えておる。
 次に、登校拒否に関する御質問であるが、まず、登校拒否に関する実践研究委嘱事業についてである。これは、例えば不登校の児童生徒同士、あるいは登校しているほかの児童生徒とさまざまな交流や触れ合い活動等により、子供たちの自立を助けたり、学校への復帰を促すような環境をつくっていこうというものであり、その方法とか指導方法について、これまでの不登校指導の実践を生かしながら、2ないし3の市町村教育委員会などとともに調査研究していこうと、こういう新しいものである。
 それから、次にいじめの関係であるが、いじめを原因とする不登校の状況である。
 毎年やっておる調査によれば、友人関係をきっかけとして不登校という項目で上がってきている数が、小学校では、いじめ173件あるうちの29件、それから中学校では、いじめ736件ある中では134件、高校では748件中111件を数えておる。ただ、この友人関係をきっかけということでとっているものであるから、これ以上、いじめかどうかという細かい分類は特に行っておらないが、大体この数字の中にいじめのものが入っているのであると、このように私ども認識しておる。
 地域別、圏域別等の状況ということであるけれども、特に地域によって格差があるというものではなく、どの地域でも、どの子供にも起こり得る、文部省も発表しているとおりであるが、早期発見、早期対応をすべきものと、このように考えておる。
 それから、最後にスクールカウンセラーの配置についてであるが、平成9年度は13校であったが、県教育委員会としても、岩手県臨床心理医師会、それから岩手大学や県立大学等に何度かお願いを重ねて、御理解、御協力を仰いだ結果、平成10年度は、現在のところ小学校で6校、中学校で12校、高等学校で4校と、合計22校で、本年度と比べると9校余りふやす形で何とか組めるのではないかという方向で事務を取り進めておる。今後とも、総合教育センターに配置した専門カウンセラー、あるいは各教育事務所で開催する地区教育相談連絡協議会、あるいはまた、各学校の教育相談担当の教師とも連携しながら、こうしたいじめや不登校など、さまざまな問題に悩む児童生徒の心に沿った相談ができるよう努力してまいりたいと考えておる。

〇鳩岡文化課長 考古学研究機関についてであるけれども、平成7年度には考古学研究機関としての基本的方向を定めて、平成8年度からは、研究や展示の内容等を明らかにする基本計画の策定に取り組んできたところである。しかしながら、現時点においては、遺跡の発掘調査や研究者の人材確保をまずもって優先しなければならないと判断したところであり、まずは平泉文化の中心的遺構である柳之御所遺跡の発掘調査に重点的に取り組むとともに、考古学研究所の設立を視野に入れながら、平泉文化を解明する研究者のネットワークづくりを推進したい、このように考えておる。
 なお、柳之御所については現在国有地となっておるけれども、平成10年度においては史跡指定地の大部分が県有地となる見込みであることから、これを契機として本格的な発掘調査事業に着手して、将来的には史跡公園として整備・復元していきたい、このように考えているところである。

〇佐々木(一)委員 1点だけ再度お伺いしたいと思う。
 いじめ、不登校の状況をお知らせ願った。表に出ない部分がかなりあるかと思う。実は、私も不登校の生徒から相談を受けるのであるが、ところが、親は余り話を大きくしたくないと、また、現状を見ると、校長先生が大体そういうことがあったことは知らないと。担当の教員の方は知っていても、校長先生までその話が上がっていかないというような現状を聞いておる。たまたま警察のような問題になってから学校もあわてると。学校側は、大学の推薦問題とかさまざまあるから、余りそういうことは公にしたくないとか、状況はさまざまあるかと思う。そこで3番目に、その中でお伺いしたスクールカウンセラーであるが、先ほど長谷川委員からも話があったが、資格要件が非常に厳しいということであるけれども、先ほども言っておるように、教職員のOBの方の、スクールカウンセラーという呼び方はできないかもしれないけれども、10年度22校ということであるが、これはやっぱり各地域広げていくためには、そういうOBの方にぜひとも御活躍をいただくと。スクールカウンセラーという名前でなくても、何かの形で、親、また現職の教員の方々、子供さんの相談役になっていただけるような、そういう機会があればと思うわけであるが、その辺について御見解を伺って質問を終わる。

〇杉浦指導課長 スクールカウンセラーと似たような形で、教職員のOBや何かそういった方々にということであるけれども、現在のところ、スクールカウンセラーの資格要件については、これは文部省の方からも示しているところでもあるが、専門性がやはり大切であり、子供さんへの対応がきちんとしっかりできるというところがまずもって必要であるので、今のスクールカウンセラーは今の形でそのまま配置をふやしていくという方向で努力しなければいけないと考えておる。
 後者の、OBの方々に活躍していただいたりということであるが、現在のところは在学青少年指導員というのが各教育事務所に1名ずつおる。非常勤でお願いしておるが、この方々が、まさに地域をいろいろ回りながら、そうした子供さんらへの悩み、相談を受けたりしておる。この方々は教職員の退職の方々にお願いしているところであるが、ただ、このようにいじめとか不登校とか、規模がだんだんふえていることもあるので、長い目で見れば、今後どのようにそういうものを考えていかなければいけないのかということは大きな検討課題かと思っておる。

〇伊沢委員 ごみ問題について1点だけ関連で教えていただきたいのであるが、学校等の焼却炉について、今御答弁あったように、県立学校については分別収集等を含めてやっていくということで、一般廃棄物処理場にお願いするということになると思う。問題なのは、小中学校を含めてリサイクルに多分多くのものが回っていくのではないであろうか。紙も含めて、これは燃やさないという方向が一番いいわけであるので、リサイクルという方法が多分とられてくるであろうと思うわけである。その際、学校現場から出てくる紙類の中で、いわば人の目に触れさせたくないプライバシーの問題を含めたものがいっぱいあると思うのであるが、現状で、学校の先生方とたまたまダイオキシン問題で勉強会をやった際に、シュレッダーのようなものはないという話を聞いたことがあった。この辺について、一定程度の、例えばリサイクルに回すにしても、一定の基準等を含めて教育委員会の方でお示しする必要があるのではないかと私思うわけであるが、この点についての御見解を承りたいと思う。よろしくお願いする。

〇五十嵐県立学校課長 県立学校等においては、こうした学校の機密文書の漏洩防止というようなことで、シュレッダーの整備、これは既に進めており、各学校に入っているはずである。

〇及川保健体育課長 各公立の小中学校については、市町村の方でその取り組みを進めておるところであり、当然リサイクル、それから分別回収等の指導とあわせて、その機密文書等の取り扱いにも十分留意するよう指導しているところである。

〇伊沢委員 指導しているという答弁が来ることを予測して今聞いたわけであるが、その際に、言ってみればこれまでの量とこれからの量というのは、4月1日を期してそれぞれのところがやっているやに聞いているのであるが、今まで整備をされたシュレッダーも含めてであるが、能力の問題があって、小さなものがある場合は、これはとてもではないが対応できないという声も実は聞いておる。その辺を含めてぜひ対応されるように、ここはお願い申し上げて終わる。よろしくお願いする。

〇佐藤(正)委員 それでは2点ほど。きょうは大変高度な教育論を各委員から伺ったわけであるが、佐藤啓二委員からまだ出ていないのが残念であるが。
 一つは、例のナイフの所持検査についてであるが、最後に山内委員の方から聞いたところが、いわゆる各学校の校長に任せるということに相なるわけである。そうすると、市内に五つ学校があると、1校では検査をする、ほかの学校では検査をしないということに相なると、いかがであろうか、その御父兄あるいは地域の方々が、なぜあの学校は検査をするのか、なぜこっちはやらないのかということになると、今度市内の校長会が集まって、これは困ったものであるということになって、それではやるかやらないかを決めるということが今までの先生の通例である。したがって、最終判断は、それならば県教委に聞こうではないかということになると、いかがであろうか、教育委員長、教育長、その場合にどのような御指導をされるのか、これが1点。
 それから、今ナイフの問題であるが、ナイフというのは、幾ら禁止しても、検査しても、私どもが思い出すと、これは持つ人は持つのである。非常に魅力があるのである。だから、ナイフとか、あるいは飲んではいけないたばことか、以前は覚せい剤などというのはなかったのであるが、そういう薬品類とかというものは、幾ら隠しても禁止しても持つのである。問題は、教育というものは、持たないことを教育するよりも、それをどうしたら使わないか。いわばそこに宗教的なものを加味してもいいのであるが、これを使うことが悪なのである、相手に対してもこれは非常に悪いことなのである、自分自身の一生に対しても非常にマイナスなのであるということ、使わせないということを行うのが私は教育ではないかと思うのである。だから、そういう教育がなされているのかどうかということなのである。だから、ある意味では、今佐々木一榮委員からカウンセラーの問題が出たのであるが、これは御本人が恐らくPTAの何かの会長をやっておられると思うのであるが、非常に大事なことである。いわば教育現場に、私はカウンセラーより、将来、心理学をやるような教員を採用して、その心理学を大学でやられたような人を採用して各校に置くというぐらいまでやっていかなければならないのではないかと、こう思っておる。
 もう1点は、これは昔の不良少年に聞いた話であるが、昔は不良というのはあったのである。今、不良少年ではなくて、全部非行少年になってしまった。今は不良少年がいなくなってしまった。不良少年というものは、学内では学校の権威を守り、正義感に燃えていたのである。学外では、下級生をかばって、そして統制をとっていた。これが不良少年であった。今の非行少年というのは、弱い者をいじめて、下級生から金を巻き上げて、そしてけんかになるとすぐ刃物を出すというようなことであろう。いい意味の不良少年が学校内をリードしていたわけである。不良少年は何をするかというと、するのはけんかだけなのである。そのほかは余りやらなかった。けんかは暴力だと言われればどうか知らないが。だから、ある意味では生徒の中でそういうものを育てながら、そしてリードをしていく、要するに非行少年をなくしていかなければならない。そういう教育がなされているかどうか、この点が一つ。

〇細屋教育長 非常に高邁なお話を伺い、身につまされるような感じがする。
 第1点のナイフ所持検査であるが、実質的には校長に任せるということで、学校ごとに検査をしたりしなかったりするのではないかということであるが、これはやはり、学校の自立というか、それぞれの学校でそういう状況があるかないか、その辺の判断ができるのはやはり校長であろうという観点から、一律にというやり方は県教委としてはとらなかったところである。今お話の、5校の校長が相談してどうするのかという話があるけれども、その場合には、やはり市町村の教育委員会で十分に考えていただきたいと思う。
 それから、第2点目、第3点目、連動するわけであるけれども、本来使わないことを教育すべきではないかというお話であるが、まさにおっしゃるとおりで、命が大事であること、あるいは下級生をかばうというようなこと、そういうことをやはり教育の場で実行することがまず第一であると考える。
 それから今、不良少年と非行少年の話があったが、おっしゃるとおり、確かに私も似たような世代で、少なくとも非行少年という言葉は全く知らない世代であるが、学校の中には、不良と言ったかどうかわからないが、少なくとも餓鬼大将なる者がおり、それなりの統制をとっていたものである。これは学校であろうと、地域の、今で言うと子供会と言うのであろうか、そういう異年齢の世代の中で必ず培われた、そして下の者はそういうボスを見習い、ボスは弱い者は弱い者なりに、出る者はそれなりに矯正しながら育ててきた、そういう時代がある。今一番欠けているものは、学校でも地域でも、そういう意味での不良少年というか餓鬼大将というか、そういう核になるものを育てない、そういう世情が問題であろうと思う。学校でできるか、地域でできるか、そういう方向での教育に力を注いでまいりたいと思う。

〇佐藤(正)委員 一つだけ確認しておくけれども、今教育長からおっしゃった、最終的に各市町村の判断であるということであるが、最終的に県教委に上がってきたときも、それは拒否するのか、そのときには何か指導でも出すのか、そこを確認しておく。

〇細屋教育長 今私、市町村の教育委員会と言ったけれども、基本的にはやはり学校であると考えておる。

〇斉藤委員 私、簡潔にまとめてお聞きするので。
 続発するナイフ使用による殺傷事件の対応がずうっと論議をされているから、私はそこにかかわって、県内における自殺事件への対応もお聞きしたいと思う。
 最初に、ナイフ使用による殺傷事件への対応の基本問題について、ぜひ教育委員長にお聞きしたい。
 私は、この問題というのは、なぜこういう事件が起こるのか、この事実と実態から出発しなければならないと思う。それで、栃木県の黒磯北中で起きた教師刺殺事件で、宇都宮家庭裁判所の処分決定理由を見ると、こう触れている。中学入学後は、思春期特有の心身のアンバランスによる心理的な不安定さに加え、学習意欲が減退し、特に、昨年5月ごろから強い痛みを伴うひざの病気のため激しい運動を禁止されていたこともあり、怠学傾向や保健室利用がふえていき、ストレスがたまり、その感情を制御できない状況にあった。いわば、本当に大きなストレス、こういうものを抱えていたということである。この事件の背景にこういうものがあったということを家庭裁判所の処分決定理由は触れている。大事な観点は、一つは、少年がなぜナイフを持っていたのか、そして大きなストレスをなぜ抱えていたのか、ここの事実から出発しないと、私は、検査するかしないかというのはあくまでも対症療法で、この根本問題に正確に対応する必要があるであろうと思う。なぜナイフを持っていたのか。さまざまな調査を見るとこういうことが言われている。何とも自分が無力で不安で、ナイフを持たないと安心できないという心理がある。なぜ子供はキレるのか、なぜムカつくのか。これは大いに私は深い検討が必要であると。
 一言では言えないと思うけれども、小学校低学年からの大変な異常な詰め込み教育で、文部省は3割の子供がわかればいいと言って進んだのが、実は新学習指導要領である。その結果、小学校からたくさんの子供がわからない授業を6年間、中学校3年間受けなければならない。中学校に入ると、内申書で3年間の学校生活に点数がつけられる。私は、そうしたものがこうした大きなストレスの重要な要因になっているのではないかと。そういう点で、なぜナイフを持たざるを得ないのか、そして大きなストレス、この問題に、本当に子供の実態に教育委員会が心を寄せて、私は一般質問で、子供たちと目線を同じにしてということを指摘もし、教育長は全くそのとおりであると言ったけれども、やっぱり同じ目線で、子供たちの声を聞き、実態を聞き対応することが必要なのではないか。これが第1点である。
 次に、私はそれにかかわって、県内でこの1年間で小学校、中学校の自殺事件が3件起きた。なぜ子供たちがみずから命を絶たなければならなかったのか、これ自身深い検討が求められていると思う。私は、事件が起きたある学校のあり方について、ここでは取り上げたいと思う。
 この学校では、学校の施設や器物を破損した場合、生徒を通じて保護者に弁償させていた。入学したときの机を3年間使用させ、傷がつけば弁償させる、こういうシステムもあった。最近では、修理した業者に直接保護者が弁償する、領収書をもらうということがあったと聞いている。その結果、年間20万円の修理費は最近までほとんど使わず残っていた。自殺した少年は、放課後2時半ごろ、友人とバレーボールを蹴って遊んでいて、過って体育館の舞台の壁を壊した。この生徒はみずから破損したことを報告したそうである。その2日後に自殺をしたわけである。この因果関係は私は単純ではないと思うけれども、経過はそういうことである。
 私は、本来教師と生徒との信頼関係というものを学校は最も大切にすべきであると考える。器物破損にはさまざまな程度があるけれども、基本は学校管理者の責任で対応するということではないかと思う。生徒、父母に弁償させる、そういう具体的法的根拠があるのであろうか。最近の事件に共通しているのは、子供たちが突然キレると言われるほどストレスをためていることである。こうしたときに、学校のさまざまな器物、施設の破損について、それは弁償であると、こういうやり方では、私は本当の学校での教師と生徒との信頼関係はつくれないのではないか。私は、この中には管理主義的な発想、上から下を見る、何でも規制を強化して解決しようとする、そういう問題があるのではないかと思うけれども、そうした問題について県教委がどう受けとめているかお聞きしたい。

〇三浦教育委員会委員長 ただいま斉藤委員から御指摘あったが、おっしゃるとおりで、確かにそういう面があるかと存ずる。ただ、問題が起きた時点での問題ではなくて、この世に生を受けてから、オギャーと生まれる、いやその前から、胎教の時代から、両親から家族関係の中で安定した胎生の生活を送って、そしてこの世に出てくる。そのこの世に出てきてから、さらに小学生、中学生になるまでの間に、いかに豊かな人間関係の中で、しかも愛情に恵まれて、そして育ってきたかということが、第一番目に根本であるかと存ずる。これは私、多少個人的な見解もあるけれども、心理学的な成果でもあるかと存ずる。そういう豊かな人間関係の中ではぐくまれてこなかったことが一つ。
 それから、現代の変化たゆまない社会の激動、そういう問題、風潮というか、どこかの劇の中ですばらしいナイフが英雄的に使われると、それをまねしたくなるのは、これは若者文化というか、流行の心理ではないかと存ずる。そういう中、さらに、委員御指摘あった学習の問題も多少はあるかと存ずる。特に、現在中学生は別として、高校生あたりを見ると、80%を超えるような進学率の中で、ああいう勉強をきちんとしなければならないというのは、やはり相当の苦痛というか、相当の努力を伴わなければならない面があるかと存ずる。
 そこで、先ほど一番先に申し上げたように、そういう中で安心して育ってこなかった子供たちは、やはり不安を抱くようになる。あるいは、楽しい学校のイメージが崩れてしまう。安心できない、不安にさいなまれる、そういう中でストレスがどんどんたまっていって、そして、学校なり両親なり家族なりに所属して愛されているという安心感がなければ、やっぱり自分が弱いと感じて、何か防御システムをとらないといけない。心理学的に言うと多分そういうことであると思う。そこでナイフを買ってくるということの接点でそうなると考える。
 そこで、そういうものを何とか防止するために、遅いけれども、本当は三つ子の魂や、三つ子の時代、あるいは幼児時代、小学生の時代にやらなければいけなかったことを、遅くとも中学校に入ってから、例えばスクールカウンセラーとか専門家の精神科の先生であるとか、あるいは教育、あるいはケースワーカーの先生方の力をかりながら、やはりまともな人間らしい気持ちに持っていく。
 実は、ナイフはとめても、学校に刃物はたくさんあるわけである。家庭科ではどんどん包丁を使うし。だから、正しく使う、使ってならないときは絶対使わないということを教えることが非常に必要であると思う。
 旧会津藩で、藩邸の師弟のために日新館があったが、あそこの校是の中に、ならぬことはならぬと、これは大人ががっちりと子供たちに教えていかないと。人の命を傷つけるなどということは絶対だめであると、これはまさに乳幼児の時代から教えていかなければいけないことであると、そう考える。
 少し時間を取ったが、以上お答えになったかどうか。よろしくお願いする。

〇杉浦指導課長 次に、自殺の方に係るある中学校の弁償等についての問題であるが、まず、その事件についてであるが、遺族らもいらっしゃることであるし、プライバシーの問題があるので細かいことはここではなかなか申せないが、いずれにしろ体育館の破損があり、その数日後の自殺であったことは確かであるが、自殺の原因として最終的にここであったのかどうか、それについてしっかりと確かめる形はない。ただ、その前にこういったことが学校で起こっていたので、恐らくその前後から見ればそういったことがあったのかということが考えられる。
 ただ、学校の方でその後いろいろ調べてみたが、あるいは警察の方も動いておったが、学校の方で生徒に対して弁償の話は一切何もしておらない。まして、先ほど委員のお話があったように、本人が自分から申し出てきて、教頭先生が褒めたそうであるが、そういったこともあり、特に学校側としては弁償云々の話はしておらない。しかし、子供の方に、家庭の方にはお話はしておいたらというお話はしておる。
 それから、弁償の方のことについてであるが、この事件にかかわってというか、それとは別に、一般論的な言い方で恐縮であるが、一般論としては、基本的には通常の教育活動を行っていれば、子供たちいろいろ活動しておるので、そういったところで起こるであろう破損の範囲というのは公費負担の修繕と、こういう形で想定されているものであるが、児童生徒がわざと学校の施設をつぶしたり、設備を破壊したりといった、いわゆる校内暴力型の事態は、それは個々の事例に即して児童生徒や保護者の理解を得ながら、また、教育上の十分な配慮のもとに保護者に弁償を求めるという場合がある。法的根拠はということであるが、基本的には学校現場では法的云々という言い方ではなくて、弁償という言い方をさせていただいていると思うが、ぎりぎり法律的に言えば、恐らく人の物を壊したら賠償する、弁償するというのは、民法709条の不法行為とかそういうものが出てまいるわけであるが、ただ、学校の場合はそんな法律の話ではなく、教育機関であるので、あくまでも教育的効果ということで、子供さんに、これはやっぱり弁償した方が将来のために、要は、人の物、公共の物を壊したら、その後は自分でそのやったことについて、自分なりに動いて、解決して責任を持つのであるということをきちんと教えなければいけないので、それを教えることは大切ではないかと、このように考えておる。

〇斉藤委員 私がこの問題を重視したのは、三つの方面から私のところにこの話があったのである。PTA関係者、教員関係者、あとはそこの議会関係者。それで、今の課長の答弁、ちょっと正確ではない。私がなぜこの問題を取り上げたかというと、ここでの弁償のさせ方というのが徹底していたからである。だから、子供が器物を破損したときに、これは体育館の舞台の壁である。ボールを蹴ったぐらいで壊れる、私はそこらあたりも問題であると思うけれども、過って壊したと、こうなっている。しかし、そこの学校では、そうした場合には弁償しなければならないというのが共通の認識なのである。だから、みずから報告したことは、これはいいことであるけれども、そのときにはもちろん注意されている。だから、弁償を覚悟して、そしてその弁償も、子供を通じて親に言うのである。こういうシステムである。さっきも言ったけれども、修理費が20万あったけれども、ほとんど使っていなかったのである。保護者に負担をさせていたわけである。私は、それはやり過ぎであると。
 私はそういう点で、学校の管理責任というのはあるし、それぞれの自治体でちゃんと修理費も取ってやっているわけであるから、盛岡市内などを聞くと、その修理費が足りなくて、壊れたガラスが最後まで修理されないなどという話があるけれども、修理費を残す話を私は初めて聞いたが、私はそういう点で、こういうやり方は教育的な指導ではないと。今本当に必要なのは、さまざまな今の諸問題と絡まって、どうやって子供たちと教師の信頼関係を強めるか。私はそういう点では、今回残念ながらこういう事件があって、そういう学校の実態がこうであったということを取り上げたので、ぜひそれを踏まえて適切に指導していただきたい。どうであろうか。

〇杉浦指導課長 今、子供さんを通じて親に事件を報告させる方法は教育的ではないのではないかというお話であったが、先ほど私も申し上げたとおり、一般的には、確かに公共の物をわざと壊したりしたら、やっぱり社会的に許されない。そういう行為をしたら、自分でちゃんと責任を持って解決することをやる。もちろん、子供であるから、親御さんとの関係とかいろいろ出てまいるが、親御さんの方の責任も、よく見てもらって解決すると、これがやっぱり教育的に効果はあると思う。ただ、斉藤委員がおっしゃっている、具体の個々の事案の話、ただ一律に弁償を求めるとかという話になってくると、確かにそこはいかがなものかと。やっぱり学校は個々の事案を見て、どういったときには教育的効果でやった方がいいし、そうでないときはちゃんとそれなりのやり方をする。要は、個々の具体をきちんと見てやらないといけないし、日ごろから、児童生徒はもちろんであるが、保護者の皆様、地域の皆さんとよく理解協力を得て学校が動いているということがやはり大切ではないかと、このように考えておる。

〇斉藤委員 ちょっとだけ話して終わるが、私は、この事件の対応について、学校は数日後にPTAの緊急集会を開いた。そのときの報告は、学校には非はないという報告である。事件が起きて数日後で、私はどういう調査をしたのか。学校の中で本当にそういう問題がなかったのかという、そういう検討がされたのかどうか。先に結論ありきなのである。私はそういう点で今回の問題を取り上げたし、本当に過ってそうした器物の破損が起きた場合にも弁償をさせているという実態があるから取り上げたので、ぜひそこのことを見て、本当に痛ましい事件が起きたわけであるから、ここから教訓を踏まえなかったら学校は変わらない、そのことを指摘して終わる。

〇佐々木副委員長 ほかに質疑ないか。

〇谷藤委員 細屋教育長はこの3月末をもって退任されると伺っておる。以前、福祉文教委員会の委員長をやっていたという御縁の中で、御礼の言葉を述べさせていただきたいと思っておる次第である。
 本県教育界の中枢にあって、確固たる信念のもと、本県教育行政を適切に推進し、多大の貢献をされた方の退任は惜しみて余りあるものがあると存ずる次第である。この際、これまでの御尽力に対し、一言御礼の言葉を申し上げたいと思う。
 細屋教育長は、人事委員会事務局長の後、生活福祉部長を経て、平成8年4月に教育長に就任された。10指に及ぶ部局における豊富な行政経験に加え、平成元年4月から2年間在任された教育次長としての経験を有するあなたは、教育行政に卓越した見識を持ち、教育のあるべき姿を見据えながら、本県教育行政の推進に大きな指導力を発揮してこられた。国際化、情報化、科学技術の発展、高齢化、少子化や経済構造の変化など、我が国社会が大きく変化する中で、現在21世紀を展望した教育のあり方が問われるとともに、いじめ、不登校、さらには、最近においては中学生のナイフの携帯など、さまざまな教育上の課題に直面しており、また、学校週5日制の今後のあり方などについても検討が求められておる。こうした中で、学校のあり方が地域や家庭とどうかかわりを持つべきなのかが問われているのではないかと思うわけである。
 こうした中で細屋教育長は、学校教育においては月2回の学校週5日制について、教育課程の編成や学習指導などの工夫改善などにより、家庭や地域社会との連携を図りながら、その円滑な定着に努められてまいった。また、いわゆるいじめなどに対する指導についても、研修の充実により、教師一人一人の指導力の向上を図るとともに、教育相談ネットワークの構築などにより教育相談活動の一層の充実に努め、常々主張しておられた地域に開かれた学校のため、家庭、地域社会との連携を深められてまいった。
 また、特色ある学校づくりにも力を尽くされた。沼宮内高校男子ホッケー部のインターハイ3年連続優勝を初めとして、盛岡工業高校からインターハイと国体ウエートリフティングの優勝者を出し、また、盛岡第一高等学校が全国高校文芸コンクールで文部大臣奨励賞を受賞するなど、各分野において多くの受賞者を出すなど、本県生徒がこれまでにも増してさまざまな分野でその力を発揮し、輝かしい成果をおさめておる。
 昨年3月には、社会の変化や中学校卒業生の急減期を踏まえ、生徒の多様な個性に応じた高校教育の展開を目指し、今後における県立高校のあり方について検討するため、県立高等学校長期構想検討委員会を設置した上で精力的に委員会を開催してこられた。21世紀における県立高校の基本的な考え方、指針となるものと念じておる。
 また、学校以外の教育環境の整備の面では、平成8年4月に生涯学習推進センターをオープンさせ、また、県立美術館整備についても、平成13年の開館を目指し準備が進められているほか、県立図書館整備についても、整備基本計画の策定に取り組むとともに、県立図書館を核とする情報総合センターの構想策定のための道筋づくりに尽力された。また、柳之御所遺跡の整備についても、平成8年度に基本構想を取りまとめるとともに、平成9年度には、遺跡の代替地となる堤防、バイパス用地の取得を行い、整備に弾みがつくものと期待されているところである。
 また、本年2月においては、スケート競技会、スキー・バイアスロン競技会が、本県初の冬季完全国体として開催され、いずれも成功裏に終了したところである。また、平成11年の本県でのインターハイの開催に向け、その推進体制の整備に努められたほか、インターハイ関連施設整備事業費補助による施設建設に向けた財政支援にも努めてこられた。
 一方、教員採用面では、スポーツ特別選考に加え、芸術特別選考制度の導入も進めるなど、指導者の確保に意を用い、社会、教育、体育、スポーツ、文化等の広範な分野にわたり行政手腕を発揮してまいった。
 さらに教育長は、教育次長時代の平成2年、当時の高橋健之教育長のもと、第7次教育振興基本計画の策定を手がけられ、生涯学習の振興を基本目標とする基本計画に結実させ、今また21世紀を展望した本県教育の進むべき方向とそれを実現するための基本的な教育行政施策を明らかにするため、新しい教育振興基本計画の策定について手がけられ、本県教育の21世紀へのかけ橋役を担われた。教育長の本県教育に寄せる真摯な気持ちとすぐれた行政手腕のたまものと高く評価するものである。ここに改めて敬意を表するとともに感謝申し上げる次第である。
 退任されても、どうぞ御健勝で、本県教育の振興のため、御指導、御助言賜るようにお願い申し上げて、お礼の言葉とさせていただく。
 この際、御所見があればお聞かせいただければありがたく思う次第である。(拍手)

〇細屋教育長 ただいまは身に余るねぎらいの言葉を賜り感激しておる。
 今お話あったように、教育界、極めて難しいときを迎えておる。本会議においても、当本日の予算特別委員会においても、かような議論がなされるような時代である。ぜひぜひ議員の皆様方の教育行政振興のために御尽↑いただければ幸いである。
 私も、考えてみると明治のヒノキづくりの庁舎に入った最後の職員である。あっという間に高層ビルなる12階建ての県庁に入り36年たった。今お話あったように、本当にいろいろな部署を一、二年で歩かせていただいたが、その都度考えられるのは、やはり協同というか、仲間とともに仕事をする、それで仕事ができたのであると思う。この一番難しい教育委員会においても、辛いと思ったけれども、委員長以下、部下、仲間たちがおり、この難しい事態に対応できたと考えておる。
 一つ思い出あるのは、私、十四、五年前に議事課長として皆様方と一緒に仕事をしたわけであるが、そのときに、だれも議事課長と呼んでくれないで、野球課長と、これは恐らく今まであり得ない戒名であると思うが、そういう名で呼ばれて、今問題になっておる議員野球のある時代を、早起き、夜の練習、非常にすばらしい時代を過ごさせていただいたことが、しかも当時の大物選手たちの顔がほうふつと浮かんで参る。楽しく過ごさせていただいた。ありがたかった。(拍手)

〇折居委員長 細屋教育長、長い間本当に御苦労さまであった。
 きょう委員会でたくさんの方々から、この難しい社会情勢の中で、教育環境の中で、OBの出番であるということが出ておる。どうか退職されても、変わらぬ教育振興並びに県勢発展に御尽力を賜りたいと思う。
 これで教育委員会関係の質疑を終わる。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分ほど休憩する。
   午後3時 休 憩
 
   午後3時19分 再 開

〇折居委員長 休憩前に引き続き会議を開く。
 警察本部長から、警察本部関係の説明を求める。

〇池田警察本部長 平成10年度の警察予算の御審議をいただくに当たって、最初に平成10年における警察の運営重点について御説明申し上げる。
 岩手県警察では、平成10年の運営重点の基本姿勢を、県民の期待と信頼にこたえる警察と定め、これを具体的に推進するための重点目標を、交通死亡事故の抑止、重要悪質な犯罪の徹底検挙、銃器、薬物事犯の根絶、少年非行の防止、暴力団の壊滅、安全な地域づくりの推進、国際化に対応する事犯対策の推進、被害者対策の充実の8項目といたしておる。これらの目標に向かって、全警察職員が一致団結し、英知と努力を結集し、良好な治安維持に努めなければならないと決意しているところである。
 それでは、平成10年度警察関係の当初予算について御説明申し上げる。
 議案その2の8ページをお開きいただきたいと思う。第9款警察費の総額は323億3、248万7、000円である。これを項別に見ると、第1項警察管理費が292億8、193万3、000円、第2項警察活動費は30億5、055万4、000円となっておる。
 次に、目別予算の内容について御説明申し上げる。お手元の予算に関する説明書によって主なものについて御説明する。
 236ページをお開きいただきたいと思う。第1項警察管理費第1目公安委員会費は853万4、000円である。その内容は、公安委員会の運営に必要な委員報酬等である。第2目警察本部費は255億968万3、000円である。その内容は、岩手県警察の運営に必要な経費であり、具体的には警察職員の給料及び職員手当等の人件費が主なものである。次に、237ページの第3目装備費は3億3、610万9、000円である。その内容は、国際化、スピード化の傾向を強めておる犯罪に的確に対応するため、警察装備品の整備と維持管理に要する経費で、車両購入費及び車両、船舶、航空機の維持管理に必要な経費並びに災害救助活動等に緊急に対応できる中型ヘリコプター導入に伴う操縦士等養成のための費用が主なものである。第4目警察施設費は29億927万1、000円である。その内容は、治安基盤施設整備に要する経費であり、宮古警察署庁舎の新築に要する経費が主なものであるが、盛岡東署建てかえに合わせ警察本部の一部機能を備えた庁舎を整備するため、地質調査、基本設計及び屋上ヘリポート調査の経費が含まれておる。警察施設の整備によって、県民のニーズにこたえるとともに、職員の執務環境及び生活環境の改善を図り、より効果的な警察活動に努める所存である。次に、238ページ第5目運転免許費は3億7、484万7、000円である。その内容は、交通事故防止を図るため、適切な運転者対策の推進に要する経費である。第6目恩給及び退職年金費は1億4、348万9、000円である。
 次に、239ページの第2項警察活動費第1目一般警察活動経費は4億4、278万2、000円である。その内容は、地域安全センターとしての交番の機能強化を図る一環として交番相談員を配置するなど、地域の特性に応じた安全活動を推進するための経費及び警察通信施設の維持管理に要する経費が主なものである。第2目刑事警察費は2億6、381万9、000円である。その内容は、犯罪捜査に必要な経費、暴力団排除活動を強力に推進するための経費及び少年非行防止対策並びに保安警察に要する経費である。次に、240ページの第3目交通指導取締費は23億4、395万3、000円である。その内容は、交通指導取り締まり活動及び交通安全施設整備等、交通警察の運営に必要な経費が主なものである。交通安全施設の整備については、総合的な計画のもとに交通環境の改善を行い、交通事故の防止と交通の円滑化を図ろうとするものである。
 以上が、警察関係の予算である。
 次に、予算以外の議案について御説明する。恐れ入るけれども、議案その3にお戻りいただいて、21ページをお開きいただきたいと思う。
 議案第38号自動車保管場所証明書交付等手数料条例の一部を改正する条例についてである。
 本条例は、自動車の保管場所を確保していることに関する証明及び保管場所標章の交付、再交付に係る手数料であるが、人件費及び諸経費等の増嵩を勘案して改定するものである。
 以上のとおりであるので、よろしく御審議いただくようにお願い申し上げる。

〇折居委員長 ただいまの説明に対し、質疑ないか。

〇及川委員 最近発言をいたしておらないところから、ちょっと発声練習をさせていただく。
 いずれ、常日ごろ県民の治安維持等々に大変な御指導、御協力を賜っておることに厚く御礼を申し上げる次第である。
 さて、連日のように事件、事故等が報道されておることは御案内のとおりであり、非常に残念でならぬわけであるが、私の常識では考えられないところのものが多々あるように感じられるわけであるが、しかし、事件によっては大変不幸だと思うものも中にはあるわけである。加害者は別としても、被害者の方で大変なものがあるだろうと、こう、私なりに感ずるところが多々あるわけである。
 そこで、警察では、被害者の支援を行うためのもろもろの施策があるやに私なりに伺っているわけであるが、その被害者の救出というかあるいは救援とでもいうのであろうか、その実態あるいは方向性とでもいうのであろうか、そういうものについての県警からのお考えを拝聴できればと、こう思って起立したわけである。よろしくお願いする。

〇菅沼警務部長 委員御指摘のとおり、従前は犯罪に係る人権擁護という場合については、どちらかというと、主として被疑者の人権という関係が注目されておったけれども、しかしながら被疑者だけでなくて、やはり被害者の人権というものについて注意をいたさなければならない、あるいは被害軽減も図らなければいけないだろうと、そういう観点から、警察においては昭和55年に犯罪被害者等給付金支給法、いわゆる犯罪被害者給付の制度を制定し施策を講じてきたところであるけれども、さらに凶悪犯罪あるいは性犯罪の被害者が受けるいわゆる精神的被害等について軽減が図れないかという観点でより幅広く被害者対策、いわゆる被害者に対する支援策を講ずるべきだと考え、現在、警察組織を挙げて諸対策を推進しているところである。被害者に最も近い立場に警察があるので、やはり被害者の視点に立った各種施策というものを推進強化することを目的として、岩手県警察被害者対策要綱というものを制定し、これまで捜査1課に性犯罪捜査指導官を設置するなどの体制強化を図るとともに、関係機関や民間の団体などで構成する岩手県犯罪被害者対策連絡会を設置し、これらの会員諸氏と連携した活動を行っているところである。
 最近の例で申し上げれば、やはり性犯罪などの被害者となりやすい女性のニーズを把握するという目的で、いわゆる女性が語る会というものの開催、あるいは被害申告等を啓発するための広報活動等を行っているところである。

〇及川委員 警察の中に、ただいま御説明があったようなもろもろの施策があるということは、一般的には、失礼かもしれないけれども認識されていないのではなかろうか、これは私の認識の間違いかもしれない。被害者というのは、警察、何と表現したらいいかちょっとわからないが、案外行きたがらないというのが私は実態ではなかろうかと、こんな感じを私なりに覚えるわけである。
 そこで、今お話しあったような、そういう窓口なりあるいは相談機構というものをもう少し広くPRする必要もありはしないだろうかと今感じたわけであるが、所見があればお伺いをして終わる。

〇菅沼警務部長 委員御指摘のとおり、なかなか周知されない部分もあるけれども、近々、一つの例で申し上げれば、県警には相談のためのフリーダイヤル等も設置しておるけれどもなかなか周知されないということで、こういう相談についてフリーダイヤル等で受けておるということを、例えばバスの車内放送であるとか、そういう公共の場におけるPR施策等を今考えておる。あとは各警察署等を通じていろんな機会に理解をしていただくための施策を講じていきたいということで考えておる。

〇谷藤委員 犯罪の国際化という分野についてお伺いしたいと思う。
 全国的に来日している外国人の犯罪が急増しているのではないかと、そう言われておるけれども、本県の実態というのはどうなっているのか。
 それから、非常にいろんな国から今国内に入ってきていると思うけれども、その辺の特に通訳の体制、前にもどなたか取り上げたことがあったかと思ったが、非常に多くの国から入ってくるので通訳というか、捜査をしていく上でも、そういう場面で非常に不便を感じたりしているものはないのかどうかということも含めてちょっとお伺いしたい。

〇小池刑事部長 国際化についてお答えする。
 初めに、来日外国人の犯罪の実態ということについてお答えする。
 平成9年中に、来日外国人の犯罪というのは当県下では83件検挙した。人数は47名であった。これは過去最高の検挙件数となっておる。具体的に内容を見ると、窃盗犯罪、これは20件、15名であった。それから不法滞在で、難民認定法等で検挙された者が17件、15名である。それから不法就労等の問題もあるが、これは2件、6名ということになっておる。
 さて、この不法滞在や不法就労等の実態であるけれども、不法滞在についてはやはり観光とかそれから就学ということでビザで入ってくるわけであるが、そのまま日本に居ついてしまうと、そして、長期に滞在してしまうと、そういうのがほとんどである。それから、不法就労の関係について申し上げると、昨年検挙した例を見ると、他県の業者に雇用された外国人が本県の現場に来て働いていると、こういったことで検挙しているところである。したがって、こういう情勢について、私どもは昨年4月に警察本部内に外国人問題対策室、これを設置して捜査を強化しているところである。
 さらにこの中身であるけれども、特にこの際に私ども留意してやっているのは、犯罪というのは全国的規模で行われているということであるので、やはり他県の警察との連携を強化するということ、それから関係機関の連携が大事だということでお願いしているところである。したがって、このような施策をとりながら今後とも当県警察の総力を上げて犯罪捜査の万全を期してまいりたいと、こう思っているところである。
 さらに、通訳体制について御質問があった。現在、岩手県警察の通訳であるが、部内の通訳体制から申し上げると、4言語、11名と体制をつくっているわけであるが、若干小さい体制であるので民間の方々に通訳員をお願いしておる。これが12言語、47名の方に委嘱しているところである。平成9年中に44名の民間の方に通訳をお願いしているところである。
 今後の問題であるが、警察としてやはり通訳体制、国際犯罪の増加に対して今後の体制強化のために、今年度では台湾の方に長期研修に警察官をやっておる。そしてまた10年度であるけれども、さらに国内研修ということで約20人を国内留学させて研修させたいということの予定で今お願いしているところである。

〇谷藤委員 非常に犯罪もふえてきているし、いろんな国からもこれからも入ってくる危険性はたくさんある。新聞等の記事でも、アジアの通貨危機で今後さらに日本にそういう人たちが大挙して入ってくる可能性があるのではないかということで、非常に心配しているようである。法務省、労働省それから警察庁の3省庁が不法就労等外国人対策ということで7日あたりにまとめたという記事があるけれども、そのことで今までの取り組みと、この7日に取りまとめた以降で中央の方からの指示で何か変わった部分というのは特にあるのであろうか。

〇境谷生活安全部長 ただいまの御質問について、3月7日という意味であろうが、そのことについてちょっと私、不勉強で承知していなかったところである、恐れ入る。

〇谷藤委員 この記事から見ると、3月7日ではないのかと思ったりするが、3月8日の記事であるから、恐らく前の日かに取材した後の記事かと思って見たけれども、いずれ非常にアジアの方の経済状況も大分不安定になってきているということで、日本も大分景気が悪いと言っているけれども、ほかから見ればまだまだ捨てたものではないということで、日本を目がけて来るのではないかと、こう思うので、水際対策を含めてこれからかなり気を使いながら対応していかなければならないだろうと、大変御苦労さまであるけれども、ぜひ頑張って対応していただきたいと思う。

〇久保田委員 私は教育委員会の審査の際にも取り上げられた問題であるが、例のナイフ事件にかかわって、以下、数点お伺いをしたいと思うし、あと交通事故の防止の関係についてお尋ねしたいと思う。
 最近、全国的に中学生や高校生によるナイフを使用した強盗や殺傷事件が相次いでいるわけであるが、こうした社会問題になっておる状況の中で、特に埼玉県の中学校でまたもや中学生が刺殺されるというまことに痛ましい事件が発生をしているわけである。本県における少年の刃物携帯の補導実態や携帯防止のための対策については、本日、教育委員会の審査においても7人の委員から質問が出されておるわけであるが、そこでなお詳細に何点かお尋ねする。
 一つ。昨年刃物を所持・携帯で17人の少年を補導したとのことであるが、その違反携帯などはどのようなものであったであろうか。また、このうち学生、生徒の補導はどうなっておるであろうか。さらに、本年に入ってからはどういう状況になっておるであろうか。
 二つ。ナイフの販売店を調査し、販売方法などについて要請したようであるが、どのような店を対象に調査し要請をなさったであろうか。この中で、全国的に問題となっておるところのいわゆるバタフライナイフを取り扱っている店はどのくらいあったであろうか。要請に対する販売店の反応はどうであったであろうか。店の側から何か特異な話が出ておったとすれば紹介していただきたいと思うし、この点についてお伺いをするが、自主的に規制を考えている店などはあったかどうかについてまずお伺いをする。

〇境谷生活安全部長 少年の刃物の携帯に関する御質問にお答えする。
 最初に、刃物の所持・携帯等により県内で補導した少年の実態についてであるが、昨年と本年とに分けてのお尋ねであったけれども、全体の数が平成9年が17人、本年に入ってこれまで5人と、計22人と少数であったのでまとめてお答えするので御了承いただく。
 22人の学職別の内訳は、小学生が1人、中学生が11人、高校生6人、有職少年が2人、無職少年が2人となっておる。この中身についてであるが、まず違反形態としては、ナイフそのものを使用した傷害事案での補導が1人、恐喝や窃盗等の非行を犯して補導した際にナイフを所持していた少年が12人、バタフライナイフやサバイバル等のナイフを携帯していたいわゆる銃刀法違反として補導した少年が3人、それから刃物携帯のうわさとか情報があった保護者などと連携して確認した結果、ナイフを自宅に隠し持っていたことにより補導した少年が6人となっておる。ナイフの種別では、バタフライナイフ所持が4人、折り畳みナイフ所持が5人、他はカッターナイフであるとか果物ナイフ等の所持となっておる。
 次に、ナイフ販売店に対する要請等についてであるが、調査は、県内のサバイバルショップ、刃物販売店、量販店、運動具店、釣り具店等204店舗について実施しておる。この結果、バタフライ、サバイバル、折り畳み式ナイフ、今はやりのナイフを取り扱っている店舗は138であった。全国的に問題となっておるバタフライナイフの取扱店は13店舗であった。これらの刃物販売店については、県生活環境部長及び警察本部生活安全部長の連名による販売自粛等の要請文書を発出したほか、各警察署長名による同様の文書を作成し、少年警察ボランティア等の協力を得ながら各個に訪問し要請いたしたところである。
 要請の内容については、正当な理由のない少年への刃物の販売を自粛する、販売をするときは少年の年齢や使用目的、親の同意を確認しできるだけ保護者が同伴する場合に販売する、正当な理由なく刃物を持ち歩くことは法律に違反することを少年に指導する等である。
 次に、要請に対する販売店の反応等についてであるが、総じて協力的であり、中には子供には販売しない旨のパネル表示をしたとか、バタフライナイフは今後商品として取り扱わないとの意思表示をした店もあった。
 また、調査の中で特異な言動としては、昨年10月ころにテレビドラマを見て、バタフライナイフが欲しくなったとナイフを買いに来た子供が増加したけれども、1カ月ぐらいでもとに戻り、今はほとんどバタフライナイフは売れていないと。あるいはサハイバルナイフが人気で購入した者が大体20歳前後の者が多いと、こういったこと等が一つ特異な反応として承知しているところである。

〇久保田委員 次に、銃砲刀剣類所持等取締法、ちょっと舌の回らない法律であるが、その規制を受ける刃物についてであるが、私どもは刀とかあいくちについては十分わかっているつもりであるが、問題のナイフ類については今御答弁もあったが、正当な理由云々ということで大変わかりにくい刃物があるわけであるが、そこでお伺いする。
 銃刀法上の規制を受ける刃物の種類はどうなのかということであるが、具体的に聞くが、子供たちが授業などで使うカッターナイフや千枚通しも規制を受けるものであろうか伺う。
 それから、もし規制を受けるとすれば、学校や家庭でも余りよくわかっていないと思うのであるが、これらの規制を受ける刃物について、これをどのように家庭などに周知させていく手段を持ち合わせておるであろうか。
 最後に伺うが、今後、少年の刃物携帯防止のために警察ではどのような活動をなされていくつもりであろうか。特に、学校とか関係団体との関係についてであるがお伺いしたいと思う。
 先ほどの教育委員会の審査の際に話題になったのであるが、本県の教育委員会では、学校ごとの対応に任せる方針であるということを言っているわけであるが、統一的な指導と対策を講ずる必要があると私は考えるのであるが、県警本部としていかがお考えであろうか、御所見をお伺いしたいと思う。

〇境谷生活安全部長 銃刀法上の規制、今後の防止策等についての御質問にお答えする。
 まず、銃砲刀剣類所持等取締法上規制を受ける刃物についてであるが、大きく分けて所持すること自体が禁止されるものと正当な理由なく携帯が禁止されるものと二通りある。刃渡り15センチメートル以上の、先ほども御質問の中にあったが、刀あるいはやり、あるいは剣、なぎなた及びあいくち、飛び出しナイフ、これについては原則として所持が禁止されておる。内容から武器という考え方である。それから、後者の正当な理由なく携帯が禁止されるものとしては、刃帯の長さが原則として6センチメートルを超える刃物がその対象となる。具体的には、今問題となっているナイフ類を初め包丁であるとかカッターナイフ、かま、のみ、はさみ、こういったのがこれに当たる。委員御指摘の授業等で使うカッターナイフであるとか千枚通しについてであるが、千枚通しについては銃刀法上の規制がない。カッターナイフはただいまも申し上げたが、刃帯の長さが6センチメートル以下であればこれも銃刀法上対象外となる。しかし、この両者についても正当な理由がなく隠して所持しておった場合には、それは軽犯罪法に抵触すると、こういうことになっておる。
 なお、正当な理由がなくと、これは社会通念上の概念であり、例えば料理とか木工等の特定の目的で使用するため購入し、その目的で持ち歩く場合には正当な理由による所持携帯に当たる。これをファッションであるとか護身用として持ち歩く場合であるが、これは正当な理由のない所持・携帯に当たることになる。
 次に、学校や家庭等に対する周知についてであるが、ただいま申し上げた法律上の規制については、教育委員会、学校等と連携の上、学校に資料を提供するなどして児童生徒に徹底しているところであるし、また、各警察署で発行しておる地域安全ニュースや交番、駐在所で発行しているミニ広報紙等によって家庭にも広報しているところである。さらに、販売店にもこの趣旨を広報するよう要請しているところである。
 今後、市町村を初め関係機関、団体の広報媒体を活用させていただき、さらに周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えておる。
 次に、今後の刃物携帯問題への対応についてである。
 このことは、ごく最近警察庁から通達を受けているところでもあるが、当面、解放感から少年が非行に走りやすい春休み中に防止強化月間(後刻「防止強化期間」と訂正。)を設定し、関係機関等と連携して対応を強化してまいる。その内容としては、街頭補導活動を強化し、銃刀法違反に当たる事実があれば言うまでもなく補導、検挙をするとともに、販売自粛要請、関係機関との情報交換、広報活動等を強化し、さらに刃物の所持・携帯を助長するような有害環境の改善、児童生徒の規範意識啓発のための地域対策の推進等に努め、刃物の所持・携帯をしないような機運の醸成を図ってまいりたいと、このように思っておる。
 学校との関係については、学校・警察連絡協議会等を通じて意見や情報を交換し、また合同補導等を行っているところであるが、今後とも連携を強化し、例えば街頭での刃物所持・携帯する少年を発見した場合は学校にも通知し、歩調を合わせて対策を講じていくように努めていく所存である。

〇久保田委員 御丁寧な御答弁ありがたい。
 最後に私触れているところであるが、教育委員会の対応に対する見解を伺ったがお答えがなかったので本部長から伺った方がいいと思うが、教育委員会の各学校ごとに対応を任せておるということについてどういう御見解をお持ちであろうか、この際お伺いをしたいと思う。
 最後の質問であるが、交通事故の関係についてである。
 県内の交通事故の情勢と交通防止対策についてであるが、県内の交通情勢というのは極めて厳しい状況だと思っておる。連日新聞で痛ましい交通死亡事故が報道されておるわけであるが、そこでお伺いしたいと思う。平成9年中の交通事故の発生の状況、とりわけ交通死亡事故の特徴についてお知らせをいただきたいと思うし、これら交通事故の発生状況に対して、どのような交通事故の対策を平成10年度実施していくつもりであるかについてお伺いをして私の質問を終わる。

〇池田警察本部長 刃物の問題に関する学校の対応についてであるけれども、犯罪の未然防止という観点からすると、刃物の所持・携帯がないというのが最も望ましい形態である。ただ、それをどのようにして実現するかということについては、いろいろな観点からまたいろいろな方法があろうと思う。そのようないろいろな観点から、また、いろいろな角度から検討していただいて、教育委員会、学校当局でよくその点を検討していただきたいと思う次第である。

〇石川交通部長 平成9年中の県内の交通事故の発生状況についてお答えする。
 平成9年中は発生件数5、514件、前年比プラス431件、死者数として144人、前年比プラス13人、死亡者数6、784人、前年比プラス567人、このようになっており、発生件数、死者、そして死傷者数ともに増加をしておる。
 二つ目の、交通死亡事故の特徴ということで御説明すると、132件死亡事故が発生しておる。その人員としては、144人という形の死者が出ておる。
 次に特徴であるが、一つは、路線別に見ると国道で61件、それから高速道で10件、あわせて71件発生しておる。これは全体の53・8%に当たる。非常に国道、高速道での事故が多く発生したというのが第1点である。
 二つ目は、65歳以上の高齢者の死者53人、36・8%、非常に多く発生しておる。特に、高齢ドライバーの第一当事者となった死亡事故、これが23件、17・4%、これも多くある。
 それから三つ目は、自動車乗車中の死者、これは77人出ておるが、特にシートベルト非着用者、これが47人、61%。また、シートベルト非着用者の死者が非常に多いということであるが、このうち着用しておれば22名、46・8%が生存可能であったろうと見込まれておる。
 四つ目は、県外車両が第一当事者となった事故、これは132件の死亡事故の件数のうち27件、全体の20・5%。死者については31名で、全体の21・5%と多く発生しておる。
 それから次に、交通死亡事故の主な発生の要因を見ると、一つには、前方不注意等が55件、41%、これが最も多くなっておる。前方をよく見るあるいは左右の安全を確認するというドライバーの基本的な注意義務を怠っていると、こういうことである。それから二つ目として速度違反、これが22件、16・7%。三つ目がハンドル操作の不適、20件、15%である。このような順という形で多くなっておる。
 次に、交通事故防止の対策についてであるけれども、県警としては、以上のような分析結果に加え、過去の交通事故の発生状況、これらも加えて、一つは国道、高速道、これら主要幹線道路における指導取り締まりの強化、それから二つ目として、シルバードライビングスクールなど参加、体験あるいは実践型の交通安全教育、これらを中心とした高齢者対策の推進、三つ目として、事故時の被害の軽減を図るために、それから交通安全意識の高揚、これらあわせて図るためにはシートベルトの着用の徹底、これら柱として交通死亡事故抑止対策を推進するとともに、この2月に県そして市町村、そして岩手県の交通安全協会、そして県警が一堂に会した交通事故防止対策合同会議というものを開催しておるが、この会議において関係機関、団体の意思統一、これが図られたところであるので、これに基づいて総力を挙げて交通事故防止に取り組んでまいる所存である。

〇境谷生活安全部長 先ほどの答弁の一部を訂正させていだたく。
 久保田委員の御質問の後段の部分の最後のところであるが、今後の刃物携帯問題の対応についての部分であるが、警察庁からの通達も受けていわゆる対策を強化する期間についてお話ししたが、いわゆる防止強化期間と申し上げようとしたのであるが、強化月間と答弁を間違ったので訂正させていただく。

〇山内委員 水際におけるけん銃及び薬物犯罪対策の強化について伺う。
 昨年12月の議会において、水際におけるけん銃・薬物犯罪対策について一般質問をさせていただいた。その際、県警本部長から、その対策強化について大変力強い御答弁をいただいていたところである。果たして本年に入ってから立て続けに摘発された、例えば284グラムに及ぶ覚せい剤の押収であるとか、外国船寄港に伴うけん銃密輸入事件があったわけである。私が危惧しておったことが現実のものとなってしまい、水際対策の重要性というものを私なりに再認識をした次第である。警察の御努力にこの際感謝を申し上げておきたいと、こう思うし、同時に、本県においても大都市と同様にけん銃や覚せい剤等の薬物の乱用が一般市民層までに拡大、拡散傾向にあると認識をするものである。これは大変大きな社会問題である。
 そこで、この問題についてはさらに万全の対策を講じていかなければならない、そうしなければ近い将来多くの県民が被害を受けると、こういうことになりかねないので、県民全体にも再認識をしていただく意味を含めて、改めてその対策について警察本部長にお伺いをしたいと存ずる。
 また、お聞きすると、水際対策の具体的な例として、岩手県銃器・薬物取り締まり連絡協議会なるものを結成して関係機関との情報交換や共同の取り締まり、あるいは外国船取引業者との情報交換などを行っていると伺っておる。他機関との連携ということもあるので大変御苦労されておるのではないかと推察をするけれども、これらのことについてあわせてお伺いをしたいと思う。
 さらにもう1点お伺いをする。
 犯罪の未然防止あるいは事件の解決、こういったもののためには今言った体制の整備、言いかえれば機構の構築といったものが大切であるけれども、その一方で、限られた人員の中で捜査能力、機動力を向上させていかなければならないと、こういった宿命を警察本部は負っているわけである。そのためには、情報収集能力に対して先進技術の導入と、こういったものも必要であろうし、各種機器、車両等装備の更新充実が不可欠であると、このように思う。
 そこで伺うのは、1項3目装備費についてであるけれども、車両購入費が約3、000万円計上されておる。この車両購入費の中で駐在所等へのミニパトの配備率、これはどうなっているのかお伺いしたい。
 駐在所等は大変広い面積をカバーしている実態が本県にはあると、こう思っており、このミニパトの配備率というものは住民にとって大切な安全を守るための要素であると、こう思っておるので、その点についてお知らせをいただきたい。
 それから説明にもあったとおり、中型ヘリコプター整備事業費が計上されておる。そこで、これは概要について、例えば性能、導入時期等についてお知らせをいただきたいと、こう思う。
 それから、装備品にかかわっての3点目は、この警察ヘリ、既に配備をされて新たに中型ヘリを導入する予定であると、空に対する備えはできたと。それから、地上部の装備も一生懸命にやっておられると。水面域の装備ということになると、私なりに判断をするとまだまだ不十分なのではないかと、こういった気がしておるが、この水面域の装備あるいは地上域と水面域、両用できる例えばホバークラフト等について検討される−−ホバークラフトそのものを導入しろと、こういうことではないが、例えばそういったところにも着目をして検討をすべきではないかと、こういった趣旨でお伺いをする。そのほかにも、例えば冬季間のスノーモービルの活用導入であるとか、オフロードバイクの導入だとかさまざま多岐にわたっての検討が必要だろうと、こう思うけれども、あわせてお知らせをいただきたいと思う。

〇池田警察本部長 大変御激励ありがたい。御指摘のとおり、現在全国的にけん銃、薬物が蔓延するという状況にあり、大変憂慮すべき問題だと考えておる。このけん銃とか薬物と申すのは、そのほとんどが海外から持ち込まれておる。そういう点にかんがみて、これを水際で検挙するのが最も大切であるけれども、ただ遺憾ながら、水際で検挙するにはなかなか多くの困難があり、例えば昨年1年間に全国で摘発した例を見ると、けん銃では9件38丁にとどまっておる。また、覚せい剤については2件、65キログラムにとどまっており、いずれも全国的に蔓延しているその総数に比べるとわずかであると言わざるを得ないと思う。本県においても、水際におけるこれらの検挙というのはこれまでなかった。しかしながら本年の3月4日、宮古市の藤原埠頭において入港したカンボジア船籍の船からけん銃5丁を押収しておる。先ほど山内委員の方からお話しあったとおり、水際におけるけん銃とかあるいは薬物の押収のためには、関係機関と連携が不可欠である。税関とか入国管理局とか海上保安庁多々あるが、その点にかんがみて平成7年の11月に私どもの呼びかけよって、これらの機関をあわせた岩手県銃器・薬物取り締まり連絡協議会というのを組織しておる。今回の摘発は、この成果の一つではないかと考えておる次第である。
 今後は、さらに水際対策を強化するべく岩手県銃器・薬物対策シーサイド協力員制度というものを発足させて、宮古、釜石、大船渡といった開港場対策として約20名の方を協力員としてお願いしたいということを、この平成10年度の予算案においてお願い申し上げているところである。
 また、銃器根絶については、県民一人一人が銃器そのものの存在を許さないというような心構えを持つことが大事であるので、昨年の11月、県それから県警を初め関係機関、団体が連携して、知事を長とする岩手県銃器対策推進本部というものの発足を見たところであるので、今後、実効のある広報啓発活動等の対策に取り組んでまいりたいと考えておる所存である。
 また、覚せい剤についても、今御指摘のあったとおり、これは水際ではないけれども、2月10日、盛岡駅において284・5グラムの大量の覚せい剤を所持している、これは中間密売人だと思うけれども、これを摘発したところである。これは約1万回分の使用量であるので、岩手県にも覚せい剤が浸透しつつあるということが如実に示されているのではないかと思う。覚せい剤の乱用が一般の市民層まで及び、しかも低年齢化しておるということである。全国では昨年1年間で2万人が検挙されるということで、警察庁では第3期の覚せい剤乱用期に入ったというようなことを言っておる。また、国にある薬物乱用対策推進本部も、従来これはトップが官房長官だったが、これを内閣総理大臣にするというようなことをして、全省庁を挙げて取り組むという姿勢をとっておる。私どもも、関係機関と連携をとりながら、この覚せい剤の浸透を食いとめて岩手県の治安を維持すべく、今後とも努力してまいりたいと考えておる。
 装備関係については、担当参事官の方からお答えさせる。

〇沼崎警務部参事官兼警務課長 初めに、ミニパトカーの整備状況についてお答えする。
 本県は御案内のとおり、大変広大な面積を有しておることから、車両による機動力というのは大変重要だと考えておる。また、ミニパトカーについては、主として交番、駐在所を中心に配備しているわけであるけれども、平成9年12月現在の整備率というのは、交番所、駐在所あわせて222カ所あるけれども、その整備率は約75%ということになっておる。基本的には1カ所1台は必要というような観点から、今後とも整備に向けて努力してまいりたいと考えておる。
 それから、ホバークラフトの関係の御質問もあったけれども、実はホバークラフトについては、全国警察で導入しているところは皆無である。ただ、一部建設省の方で持っているやには伺っておるけれども、水際対策としてホバークラフトがどの程度有効なものであるか、その辺の研究等についてはまだ十分でないので、今後、その性能等を十分検討した上で整備については考えたいと思っておる。
 現在、国内ではホバークラフトを製造している会社は1社しかないようであり、横風に弱いとかあるいは行動範囲が海の場合であると1海里以内とか操縦に極めて困難性が伴うなど、いろんな問題点もあるようであるので、その辺を十分詰めながら今後検討を進めてまいりたいと思っておる。また、スノーモービル等その他特殊装備についても、当県の特殊性を考慮しながら整備に努めてまいりたいと、このように考えておる。

〇菅沼警務部長 ヘリコプターの件についてお答え申し上げる。
 ヘリコプターについては、これは国費の整備になるものである。現在のところ、まだ国の方でも機種については具体的には決定をしておらないということであり、ただ、現在、県警が保有しておるのは単発のエンジンであるが、今度は双発の大きなものになるということだけを承知いたしておる。(山内委員「導入の時期はまだわからないのであろうか。」と呼ぶ)一般的に申し上げると、大体国費の装備については、最悪の場合は年度末というのが通常の状況であるので、最悪の場合はそこまで想定をしておかなければいけないと考えておる。

〇斉藤委員 2点あるがまとめてお聞きする。
 第1点は、盛岡市内の渋滞解消対策について。
 3月3日、盛岡市内で早朝から大渋滞が発生した。このため、路線バスは全線で影響を受け、最大で約1時間半のおくれがあったと報道されておる。この日は市内の高校4校で卒業式があり、県立盛岡短大では入試があったとのことである。大渋滞の原因は何だったのか。今後の改善策はどう検討されているか。
 来週の16日には県立高校の入試もあるので、万全の対策をとっていただきたいと思うが、いかがであろうか。
 第2点、交通安全施設の整備について。
 交通安全施設の整備については、予算書でこれは16億7、060万円の計上であろうか。この5年間の予算の推移はどうなっているであろうか。住民の要望から見て、どれだけこたえられる予算であろうか。
 交通信号機、この来年度の見通しはどうか。住民の要望はたくさん出ていると思うけれども、どの程度措置される見通しかお聞きする。

〇石川交通部長 第1点の盛岡市内の交通渋滞の問題についてお答えをする。
 交通渋滞は、一般的に交通量そして道路の交通の容量、これのアンバランスに伴って発生するものであるが、より具体的に申し上げると、いわばボトルネックと、こういう地点が生じてそこから渋滞が広がるというパターンがほとんどである。
 3月3日の状況であるが、当日、明治橋のたもと、これは南のたもとになるが、一時的に右折車両が増大をいたし、自動的に調整をするシステムとなっておった信号の予測範囲を超えたため、当該地点がボトルネックとなり渋滞が広がったものと思う。このため、警察官を現場に派遣し、信号機を手動式に切りかえそして正常に復しておる。
 ボトルネックとなる地点はいろいろな場合がある。一概に申し上げられないが、橋とかあるいは変形の交差点、これに当たる場合が非常に多いと思われる。県警察としては、盛岡市内の交通量が増加する中で、当面、これらのボトルネックを解消すべく適宜信号現示の調整、そしてまた交通情報の提供、これらに努めているところである。
 今後とも、管制システムの高度化やそして関係機関と連携を図りながら、渋滞解消に努めてまいりたいと考えておる。
 次に、二つ目になるが、3月16日に高校入試が行われる。この高校入試についての際、渋滞解消対策を講ずるべきと、こういう意見であるが、高校入試の当日については交通監視体制、これを強めながら、そして交通情報の提供にまた努めるとともに、必要により警察官を派遣するなど所要の措置を講じてまいりたいと、このように思っておる。
 それから、二つ目の交通安全施設の整備についてお答えする。
 最初に、交通安全施設整備事業の予算の推移についてお答えする。
 5年間を見ると、平成6年度当初では13億5、300万円でこれを指数100とすると、平成10年度当初は16億7、000万円で指数123となっておる。
 年度別に挙げると、平成6年度当初13億5、300万円、これは指数100とする。平成7年度の当初については14億6、200万円、指数108、平成8年度当初14億8、300万円、指数109、平成9年度当初17億7、100万円、指数130、平成10年度の当初が16億7、000万円、指数123となっておる。
 交通安全施設整備に当たっては、住民の生活と密接な関係にあるので、これら限られた予算の範囲内であるが、県住民の意見にできるだけ耳を傾け、そういう努力をしてまいりたいと思っておる。
 それから、交通信号機の設置の10年度における整備計画については109基である。その内訳は新設29基、改良74基、変更移設6基となっておる。交通信号機の設置要望についてはいろんなレベルがあるから一概に申し上げることはできないが、警察本部で把握しているのは210件ほどある。それらについて、交通量等の交通実態、それから周辺の交通環境等地域の実情を調査の上で、設置の必要性それから緊急性、これらを判断しながら必要な整備に努めているところである。

〇折居委員長 ほかに質疑ないか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇折居委員長 質疑がないようなので、これで警察本部関係の質疑を終わる。
 以上で本日の日程は全部終了した。本日はこれをもって散会する。
   午後4時20分 散 会


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