平成10年6月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(千葉伝君) 自由民主党・県民クラブの千葉伝であります。一般質問の機会を与えられたことに感謝を申し上げ、順次質問させていただきますが、既に先輩・同僚議員がお尋ねした内容と一部重複する部分もあろうかと思いますが、御了承をお願いいたします。
 質問の前に、昨今の情勢等について所感の一端を述べさせていただきたいと思います。
 近年の社会経済情勢は、御承知のとおり、人口と産業が大都市圏に過度に集中した結果、過密に伴う弊害を発生させる一方、地方では過疎化が進行し、高齢化、後継者難、耕作放棄地の増大等が見られ、また、予想を上回る速さで国際化や情報化時代を迎え、従来の価値観や生活様式が大きな変化を見せ、あたかも黒船来航から明治に至る大きな変革期をほうふつさせる感があると思うものであります。今や地球規模で物を考える時代となり、この潮流は今後ともその勢いを増して、日本、そして岩手を取り巻くもろもろの環境は大きな変化を遂げ、とどまることはないと思うものであります。こうした転換期に当たり、21世紀の社会を展望するとき、行政、財政、経済やあらゆる分野で一体的に変革し、さまざまな困難を乗り越え、時代を先取りする視点を見出していく必要があろうと思います。
 時代の先取りで思いますことは、地方の時代と言われて久しいわけでありますが、最近の本県の大きな話題として、県民待望の県立大学が本年4月開校しましたことはまことに喜ばしい限りであります。学長となられた西澤潤一氏は、著書東北の時代の中で、これからは一極集中の時代ではない、21世紀に向かって、人と自然、産業と生活・文化が理想的に調和した未来型社会、世界の中の東北の構築を目指す東北インテリジェント・コスモス構想の推進、さらには、北海道・東北地域を一体的圏域としてとらえ、自然、環境、ゆとりなどを重視した地域社会の形成を目指しているほくとう銀河プランの推進などを提唱しております。私は、数年前この著書を読み、この構想は、今まさに東北の歴史、風土を見据え、人、物の交流の発信の場として、全国、世界に向け時代を先取りする構想であり、そのまま本県に当てはまり、大きな柱となる可能性を秘めていると感じました。県政に携わる1人として、岩手の将来に夢と希望が持てる社会の実現に向け、ただいま申し上げた視点を持ちながら誠心誠意努力してまいりたいと考えております。
 それでは、まず最初に、地方分権への対応についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、政府は、去る5月29日に地方分権推進計画を閣議決定いたしました。この計画は、機関委任事務の廃止や権限委譲の推進、さらには、国庫補助負担金の合理化及び地方税財源の充実確保など、地方分権推進のためのさまざまな具体的な措置を定めたものであります。もとより、この計画は国のアクションプログラムを定めたものであり、今後、地方自治法など関係法令の整備や各省庁における具体的な取り組みを注意深く見守る必要があるとともに、この計画を真に地方にとって有益なもの、地方にとって魅力のあるものとしていくためには、地方から国に対する積極的なアプローチと受け皿整備のための自主的な取り組みが大切ではないかと考えております。知事は、本年2月議会の演述において、地方分権は、そのこと自体が目的ではなく、地域や住民本位の立場をより明確にする地域主権社会を実現していくための道筋であると述べておられます。知事の言う地域主権社会を実現していくためにも、県の地方分権推進のための取り組みは、これからまさに正念場を迎えるものと私は考えております。
 そこでお尋ねしますが、今回の地方分権推進計画の内容をどのように評価しているのでしょうか。また、今後、県は、地方分権推進のためどのように取り組んでいこうとしているのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、並行在来線についてお伺いいたします。
 県においては、去る6月10日、並行在来線対策に係る県・沿線市町村連絡会を開催し、並行在来線(盛岡-八戸間)輸送確保調査の結果を公表したと伺っております。この問題につきまして、私は、これまでの県議会定例会におきまして、在来線が沿線地域住民の重要な生活路線としての役割を果たしている現状にかんがみ、早期に経営分離後の将来見通しを示す必要があると述べてまいりました。このたびの輸送確保調査について、報道等によりますと、JR資産の無償譲渡や貨物輸送に伴う費用増加分のJR貨物の負担などがなければ経営が難しいという内容と聞いておりますが、調査の結果はいかがだったのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、並行在来線の経営分離につきましては、平成3年7月の沼宮内-八戸間の経営分離の同意及び平成7年4月の盛岡-沼宮内間の経営分離の同意に際しまして、並行在来線は、通勤、通学、通院など、沿線住民の日常生活の足として重要な役割を担っていることから、JRから経営分離された後も利便性が確保されるものと認識しておりますが、今回の調査結果をもとに、今後、利便性の確保を図っていくには、JRからの資産の無償譲渡や貨物輸送に伴う増加費用の全額負担など、国やJRに対して一層の支援を求めていく必要があると考えております。
 また、長野新幹線の並行在来線である信越線におきましては、一部区間が廃止され、バスへの転換がなされているようですが、東北本線は本州と北海道を結ぶ大動脈であり、この一部がバスへ転換された場合、鉄道貨物輸送などに大きな支障が出ると考えられ、バスへの転換など考えられないと思っております。また、このような旅客、物流の幹線である本線が途中で切れることとなると、本県以北だけの問題ではなく、国の交通政策の根幹にかかわる問題と思われるのであります。
 そこでお伺いします。並行在来線に係る国やJRに対する対応も含め、今後の取り組み方針について知事の御決意をお伺いいたします。
 次に、ブラジル岩手県人会創立40周年記念式典等に係る南米等訪問について知事の所感をお伺いいたします。
 先般、知事は、ブラジル岩手県人会の創立40周年記念式典に出席するとともに、ベレンなど七つの岩手県人会を訪問するため、南米等の4カ国を歴訪されたところであります。創立40周年といえば昭和34年の設立になるもので、まさに戦後の組織的移住が最盛期を迎えていた時代であり、本県からも多くの方々が希望を胸に抱き、移住していきました。その後、気候、風土、言語などの全く異なる環境のもと、移住された方々は県人特有の粘り強さで移住先国の経済社会発展に貢献され、今日の揺るぎない地位を築かれました。現在は、日系人社会は二世、三世が中心の時代となり、居住国の経済低迷により大変な苦労をしている人々が多いと聞いておりますし、およそ20万人の二世、三世が祖国日本で就労しておりますが、日本語を解さないため、高学歴でありながら単純労働に従事している方も多いということも聞いております。戦後、移住は国策により強力に推進されましたが、県としても無関心でいられない問題であります。このような節目に当たる時期にその他の県人会も訪問され、それぞれの実情をみずから見聞されたことは非常に意義深いことと思っております。
 そこでお伺いいたしますが、今回の南米等訪問についての知事の率直な所感と、本県移住者・日系人社会への対応についての基本的なお考えをお尋ねいたします。
 次に、黒毛和種の改良増殖、特に自県産種雄牛の造成についてお伺いいたします。
 本県農業の基幹作目として重要な位置を占める黒毛和種は、生産者、関係団体及び県が一体となった取り組みにより、昨年本県で開催された第7回全国和牛能力共進会の種牛の部において内閣総理大臣賞を受賞するなど、依然として全国有数の産地としてその地位を確保しております。しかしながら、最近の畜産を取り巻く状況は、国際化の進展や国内での産地間競争の激化、国内経済の先行き不透明感などから子牛価格の回復の動きが鈍く、5月の子牛市場の価格を見ましても平均で34万円前後と、ここ三、四年来の価格低迷が続き、このことが繁殖農家の生産意欲を後退させ、高齢化と相まって結果的に飼養頭数の減少にもつながっているものと推察されます。また、県内二つの子牛市場の比較でも、これまで高品質牛で定評があった県南市場の価格が中央市場より低いという状況が続いております。これらのことは、市場購買者のニーズがこれまでの肉質重視一辺倒から増体重も加味した質量兼備の子牛に変化してきていることを示していることと思うのであります。今後、本県の黒毛和種の産地としての力をさらに強固にしていくためには、市場購買者のニーズにこたえ得る優良な種雄牛の造成と繁殖雌牛の確保をいかに効率的に進めるかにかかっているものと思うのであります。
 そこで、現在、県として黒毛和種の改良増殖、とりわけ種雄牛造成についてどのように取り組んでおられるのかお伺いいたします
 次に、農村地域の生活排水処理施設の整備についてお伺いいたします
 ここ数年、県内の農村部では、恵まれた自然環境、地元で生産された食材、伝統文化などを利用した各種イベントが開かれ、都市住民との交流を積極的に行うようになってきております。例えば、花泉町における県内外の都市住民の参加による自然と触れ合う農村体験や、胆沢町での関西からの参加者による田植えなどの農作業体験が新聞で紹介されております。このように、都会の人々の中に、余暇を利用してふるさとの水と土に触れてみたい、農村に滞在したいという、いわゆるグリーン・ツーリズムの機運が高まりつつあると思うのであります。幸い本県の農村地域は自然に恵まれており、都市住民にとっては魅力的だと思うのですが、その一方では、農村の生活環境整備はおくれており、快適な農村生活の体験の場として十分であるか疑問に感じております。
 県は、農村地域における集落活動の活性化や地域住民の所得向上、就労の場の確保などのために都市と農村との交流を推進していますが、私は、これをさらに発展させるために、最も重要な環境整備の一つとして農業集落排水事業があるものと考えております。御承知のとおり、この事業は農村地域の生活排水の処理施設を整備するもので、自然環境の保全や水洗トイレの導入による生活環境の改善などが期待できるものであります。私は、農村の恵まれた自然の中で、螢や魚が生息できる環境を守るためには生活汚水処理施設の整備を急ぐ必要があると思っておりますが、農村部の整備状況は都市部の下水道整備に比較しておくれており、農村部に住む住民のため、また、都市と農村との交流を図るためにも、より一層集落排水事業を推進する必要があると考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 このような中で、県は、新・全県域汚水適正処理構想を策定し、県民に示したところでありますが、この構想では平成22年度までに80%の県民に汚水処理施設を提供できるよう整備目標を定めております。この中における農業集落排水事業の今後の整備目標と推進方針についての所見をお伺いいたします。
 次に、県産材の需要拡大についてお伺いいたします。
 昨年12月、気候変動枠組条約・京都会議が開催され、我が国は、2008年から2012年の5年間における年平均の二酸化炭素排出量を1990年と比較して6%削減することとしたところであります。さらに、この会議では、各条約国が削減のためにとるべき政策措置の一つとして、持続可能な森林経営を推進し、削減目標の達成に当たっては、1990年以降の植林によって造成された森林が約束期間の5年間に吸収する分を加味することなどがうたわれ、我が国においては、削減目標6%のうち3・7%を森林の吸収で補うこととしたところであります。
 特に、木材は再生産可能な資源であるとともに、湿度調節や断熱、衝撃吸収などの面ですぐれた性質を有するほか、加工に要するエネルギーが小さいことなどから、その利用を促進することは地球環境問題に対処する観点からも重要であると認識しているところであります。
 しかしながら、木材産業を取り巻く情勢は、外材との競合や国内の産地間競争に加えて、長期にわたる木材価格の低迷や昨年来の住宅着工数の減少により木材需要が落ち込むなど、これまでにない厳しい状況となっております。このような状況の中で、木材産業の振興と地域経済の活性化を図っていくためには、これまで以上に県産材の利用促進に積極的に取り組むことが重要と考えておりますが、県産材の需要拡大を図るため、県は今後どのように取り組んでいく考えなのかお伺いいたします。
 次に、元気な高齢者の対策についてお伺いいたします。
 本県においては全国を上回る速さで高齢化が進んでおり、平成8年に18・7%であった高齢化率が平成22年には25・4%と、県民の約4人に1人が65歳以上の高齢者という本格的な高齢社会になると見込まれております。こうした中で、大半の方々は健康な高齢者と言われており、価値観の多様化などに伴って、最近では仕事一筋から趣味や社会参加活動などに生きがいを見出そうとする機運が高まってきております。このため、高齢期を第二の現役世代としてとらえ、高齢者の生きがいづくりや社会参加活動を積極的に推進していくことがこれからの活力ある長寿社会を形成する上で不可欠のことと考えております。
 ついては、元気な高齢者が地域社会において生き生きと活躍できる生きがい対策をどのように進めているのかお伺いいたします。
 また、こうした高齢社会の課題は県政全域にわたって取り組むべきものと思われますが、その対応についてあわせてお伺いいたします。
 次に、いわて物産観光センターの利用状況についてお伺いいたします。
 観光産業や地場産業の一層の活性化を図るためには、岩手を訪れて、岩手に触れ、また、岩手の県産品を愛用したくなるといった岩手の魅力を継続して内外に発信していくことが大切であります。こうした岩手の魅力というものは、県民みずからが身近な自然を大切にし、日ごろから海や山、里の自然に親しむとともに、豊かな海の幸、山の幸をめで、岩手の民芸品を愛用するなど、県民の生活に密着した厚い支持の上に初めて実現するものではないかと考えているところであります。県民が岩手の自然や食文化、県産品の第一のお客様であり、熱心なファンでなければその魅力は決して県外に伝わっていくものではないと思っております。いわゆる名物、伝統品とか言われているものは、そうした地元の支持を得、しかもはやり廃りの風雪に耐えたものではないでしょうか。
 県は、岩手の県産品を広く紹介するため、盛岡駅西口のマリオスにブランドiをこの4月に開設したと伺っておりますが、県外客に対して岩手の紹介をしていくことはもちろんのこと、県民に対しても県産品の普及啓発を図り、あるいはまた、余り知られていない逸品の紹介や、新たに創造された特産品が県民の支持を得られるかどうかのテスト販売の場としてブランドiはアンテナショップ的な役割を果たしていく大切な機能を持つものと考えるところであります。
 つきましては、開設してまだ間もない時期ではありますが、ブランドiの利用状況についてお伺いいたします。
 次に、地域高規格道路についてお伺いいたします。
 国においては、去る5月29日に新道路整備5箇年計画が閣議決定されたところであります。この計画は、日常生活の基盤としての市町村道から国土構造の骨格を形成する高規格幹線道路に至る道路網を計画的に整備することにより、参加と連携による国土づくり、地域づくり、輸送の合理化に寄与し、もって均衡ある国土の発展と活力ある経済、安心できる暮らしの実現に資することなどを今後の道路整備の基本的な方針としているところであり、これに必要な事業のうち、緊急を要するものについて、平成10年度以降5カ年間に地方公共団体の行う単独事業を含めて総額78兆円を道路整備に投資するものとされております。
 こうした計画の中で、地域高規格道路は、高規格幹線道路と一体となって、地域発展の核となる都市圏の育成や地域相互の交流促進、広域交通拠点との連結等に資する路線として位置づけられており、本県では、計画路線として既に指定されている三陸北縦貫道路や宮古盛岡横断道路において事業が実施されているところであります。また、本年6月16日には、これまで候補路線として指定されていた盛岡秋田道路が計画路線に格上げされ、さらに開運橋飯岡道路が新たに候補路線にそれぞれ指定されたところでありますが、本県において、地域高規格道路は、増田県政が掲げる多様な地域連携・交流の促進による自立的な地域社会の形成にとって極めて重要な役割を担うものであり、今回の指定変更等を契機に、これらの道路の一層の整備促進に努めるべきものと考えるものでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、国道281号の今後の整備の見通しについてお伺いいたします。
 これまで県では、県土の均衡ある発展を重要課題としていろいろな施策を講じてきたところであります。沿岸北部地域の振興を図るためには、1次産業の振興や豊富な観光資源による新たな産業の創造を図ることが重要であり、このためには、物流の効率化による輸送コストの低減や地域交流の促進による経済活動の活性化を促す幹線道路の整備が緊急の課題と考えるものであります。
 内陸部から葛巻町や山形村を経由して沿岸北部を結ぶ唯一の幹線道路である国道281号の整備については、県ではこれまで重点的に交通隘路区間の解消等に努めてきており、この結果、危険箇所の解消や到達時間の短縮が図られるなど、着実に機能強化が図られてきているものと認識しております。しかしながら、本路線の状況を見るとき、岩手町や葛巻町、また、久慈市内等において整備を必要とする区間がまだ多く残されており、特に峠部の整備が喫緊の課題となっております。現在、岩手町の大坊峠においてその整備が進められておりますが、葛巻町の平庭峠については急勾配や急カーブが連続する本路線の最大の難所として残されており、その整備は地元の悲願ともなっております。新道路整備5箇年計画が閣議決定され、その方針である活力ある地域づくり、よりよい生活環境の確保、安心して住める国土の実現のための道路整備が一層進められるものと期待しているところであります。しかし、一方では国の財政構造改革等が進められようとしており、公共事業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあると聞いております。
 そこで、このような状況下にありながらも、岩手町や葛巻町を初めとする沿線住民の最大の課題である国道281号の今後の整備の見通しについてお伺いいたします。
 次に、全国高等学校総合体育大会についてお伺いいたします。
 御案内のとおり、この大会は、高校生スポーツ最大のイベントとして、全国の高校生がそれぞれの地域、学校の代表としてこの岩手の地に会し、日ごろの練習の成果を出し合い競技する場であり、本県にとっては昭和45年の国民体育大会岩手大会以来実に30年ぶりのスポーツのビッグイベントであります。また、この大会は、本県の高校生の体育・スポーツの振興はもとより、21世紀を担うたくましい青少年の育成や県民の生涯スポーツの振興などを推進するとともに、地域の活性化、ひいては県勢の発展に資するものと考えるところであります。さらに、全国から6万人以上の選手、監督や競技役員などの大会参加者に加えて、応援の生徒や御父兄など数多くの来県者が予想され、岩手の豊かな自然を広く全国にアピールする絶好の機会であります。
 県においては、これまでに実行委員会を中心として、開催に向けた各種基本方針や業務計画の策定、競技会場や日程の調整、総合開会式の構想づくり等に取り組むなど、積極的な業務推進に努めてきたものと思います。
 そこで、大会開催まであと1年余りとなった現在、県並びに各種目別競技会を開催することとなる各会場地市町村における大会に向けたさまざまな準備の推進状況や今後予定される事業等はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。
 以上を申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方分権への対応についてでございますが、この計画に定められております機関委任事務の廃止や地方への権限の委譲、さらには、地方公共団体に対する国の関与の新たなルール化や必置規制の見直しなどは、今後、地方公共団体の自主性、自立性を高めて、これまで以上に地域での創意工夫が生かされた個性豊かな地域づくりが促進されるものとして、基本的に評価いたしたいというふうに存じます。
 しかしながら、地方分権推進法の理念でございます個性豊かで活力ある地域社会を実現していくためには、特に地方公共団体が自主的な判断と責任のもと、地域の実情に応じた多様な施策を展開できるように十分な税財源が安定的に確保されることが極めて重要であるにもかかわらず、この地方分権推進計画では、地方に対する税源配分のあり方が具体化されていないといったような不十分な面もあると、このように考えております。
 また、私は地方分権の真に目指すところは、地域や住民本位の立場をより明確にして、地域に暮らす人々が責任を持って地域のあり方を的確に判断できる、地域主権・生活者主権の社会の実現にあり、県政のシステムをこのような視点から見直す必要があると、このように考えております。このため、現在進めております行政改革におきましては、県民との信頼関係に立った県政の推進や地域づくりのパートナーとしての市町村との連携強化などを基本として取り組みますとともに、市町村に対する権限の委譲や地方振興局の権限強化を一層進めまして、地域における総合的、そしてなお自己完結的な行政体制の整備を図ってまいりたいと、このように考えております。また、地方分権フォーラムを開催して、県民や市町村に対しても地方分権のこうした意義をお知らせするなど、分権型の地域社会の到来に向けて、その適切な環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、並行在来線に係る今後の取り組み方針についてお尋ねがございましたが、県では、整備新幹線の開業に伴い、JR東日本から経営分離されるこの並行在来線につきましては、地域振興、そして地域住民の生活の足としての重要な役割にかんがみまして、鉄道による輸送の継続を基本的な前提として、将来にわたり、健全な経営のもとで現在のこの鉄道輸送サービスの利便性が確保されることを最大の目標としているところでございます。このような観点から、経営分離後の鉄道経営に極めて重大な影響をもたらす鉄道貨物輸送のあり方に関する要望も含めまして、関係道県とともに連携を図りながら、必要な支援措置に関する要望を国等に対して行ってきているところでございます。今後は、昨年度実施をいたしました盛岡と八戸間についての並行在来線輸送確保調査、そしてそれに、本年度実施予定でございます需要予測調査などを踏まえて、並行在来線に関する基本方針を取りまとめることとしているわけでございますが、この過程の中で、鉄道経営の安定性、利便性の確保のために、国、JRからの支援が必要となる事項が具体化されてくるものと、このように考えております。したがいまして、これらの検討結果を踏まえて、並行在来線に係る支援措置の充実に向けて、国、JRへの働きかけを強めてまいりたいと考えております。
 次に、南米等を訪問したその所感と本県移住者への対応についてでございますが、今回の南米訪問は、岩手県知事としては10年ぶりの公式訪問でございまして、ブラジル岩手県人会創立40周年記念式典に出席することとあわせまして、アルゼンチン、パラグアイ、米国の各地の県人会を訪問して温かい歓迎を受けてまいったところでございます。特にも、南米各地での懇談を通じて、本県から移住をされた皆様方は、戦前、そして戦後を通じて、農業開拓者として移住され、幾多の困難を乗り越えて、農業はもとより、他の職業に転身された皆様方も、それぞれの分野で移住された国の発展や相互の友好親善にも大いに寄与していることを実感し、また深い感銘を受けたところでございます。
 今後は、移住者の皆様方の大きな心のよりどころとなっております各地の県人会に対しての本県の情報の提供をさらに充実させて、積極的に行うなど、これまで以上に活動を支援していきますとともに、このふるさと岩手にかかわりを持ちながら、日本の進んだ学問や技術を学びたいという若い世代、二世、三世の皆さんの強い希望を踏まえて、これまで実施をしてまいりました県費留学生や技術研修員の受け入れなど、本県との交流を一層充実させてまいりたいと考えております。
 次に、地域高規格道路の今後の取り組みについてでございますが、地域高規格道路は、本県において4路線約220キロメートルが指定されておりまして、高規格幹線道路と一体となって北東北の骨格道路網を構成するものでございます。この道路は、主要な都市を核として周辺地域と連携した広域的な経済・文化圏の形成を支援するものでございまして、広大な県土を有する本県にとりまして極めて重要であると、このように認識をしているところでございます。
 まず、三陸の北縦貫道路は、高規格幹線道路を連結しておりまして、沿岸各都市を結ぶとともに、北東国土軸を支える路線でございまして、現在事業を実施している区間の整備促進とあわせて、尾肝要道路の整備区間への格上げを国に要望してまいりたいと考えております。
 また、宮古盛岡横断道路は、盛岡秋田道路と一体となりまして、太平洋岸と、それから日本海側を結び、地域連携軸の形成の基盤となる道路でございまして、簗川道路などの事業実施区間の整備促進とともに、今後は都市部の宮古道路について調査検討を進めていくこととしております。
 次に、今回追加指定をされました盛岡秋田道路でございますが、これは早期に調査区間への指定がなされるように国に対して要望をしていく考えでございます。
 さらに、開運橋盛岡道路でございますが、盛岡南インターチェンジと盛岡駅など、この盛岡の都心部との連絡強化を図るとともに、盛岡南新都市開発地区などの地域開発を支援する道路でございますことから、これの計画路線への格上げを要望してまいる考えでございます。
 今後の地域高規格道路については、追加指定も視野に入れまして、高規格幹線道路の効果をさらに県内に波及させるため、計画的な整備促進に努めていく所存でございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願い申し上げます。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 盛岡-八戸間に係る並行在来線輸送確保調査の結果についてでありますが、県では昨年度、鉄道による輸送の継続を基本的な前提といたしまして、盛岡-八戸間の現状分析、貨物輸送の方法、経営形態の選択等に関する基礎的なデータを得るため、JR資産の譲渡方法、貨物輸送の確保と負担のあり方、代替輸送の収支、運行計画、初期投資、要員計画等につきまして、民間調査機関へ委託し調査を実施いたしたところであります。
 民間調査機関の試算によりますと、経営分離後の並行在来線について、長期的な鉄道経営の視点で、黒字転換が単年度で10年以内、累計で20年以内という一つの基準に照らした場合には、JR資産の無償譲渡、在来線上を貨物列車が走行する場合におけるJR貨物の応分の負担等が必要になるという内容となっております。
 なお、経営分離後の並行在来線に関する基本方針を今後取りまとめるに当たりましては、県といたしましては、今回の調査結果のみならず、本年度、より詳細な需要予測調査等を実施することとしており、これらの結果を踏まえながら、関係市町村や青森県との協議を進める必要があるものと考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、黒毛和種の改良増殖、とりわけ種雄牛の造成についてでありますが、昨年開催されました全国和牛能力共進会におきまして、県有種雄牛第5夏藤の血統を持った県有牛が最高賞を獲得できましたことは、畜産県岩手の誇りであり、畜産農家への大いなる励みになるものと存じます。
 県といたしましては、黒毛和種の改良を推進するため、これまで増体・肉質を兼ね備えた優良種雄牛の造成や繁殖雌牛の整備を課題とし、産肉量や肉質に関する遺伝的能力を数値であらわす育種価の高い牛を選抜し計画交配を重ねてきたところであります。その結果、将来優良な種雄牛となり得る雄子牛を効率的に生産できる体制が整備され、今後計画交配を繰り返すことにより、約8年後には、現状に比較し、枝肉重量で約28キログラム増加し、霜降りの成績においても向上が見込まれる牛の生産が期待されるところであります。
 また、受精卵移植技術を用いて、種雄牛造成期間の短縮技術の確立にも取り組んでまいりましたが、先般、全国的に評価の高い菊谷と育種価が県内トップクラスの母牛との分割受精卵による双子が二組誕生し、このうち雄の双子については、産肉能力が従来の半分の期間で判定できる能力判定システムに既に組み入れており、来年度中には種雄牛としての能力が判明し、その成果が期待されております。
 今後におきましても、育種価データを集積し、市場評価が高く経済性のすぐれた県産種雄牛の造成に積極的に取り組んでまいる所存であります。
 次に、農業集落排水事業の整備目標と推進方針についてでありますが、本県の農村におけるし尿や生活雑排水等の処理施設の整備は、本格的な取り組みがおくれたことから、全国平均の62%や県内都市部の48%に比べ、20%の整備率にとどまっております。農業集落排水事業は、農業用水の水質汚濁の防止、安全な農作物の生産と農村生活環境の改善、さらには、グリーン・ツーリズム等の推進を図る上からも、極めて重要な推進課題であります。県がこのたび策定した新・全県域汚水適正処理構想では、平成22年度までの汚水処理施設の整備目標率を80%としておりますが、このうち14%を農業集落排水事業で整備することとし、19万人の利用を目標といたしております。この目標実現に向け、既に着手している地区については早期に供用開始ができるよう事業の促進に努めるとともに、県北、沿岸地域などの未着手地域については、関係市町村との連携のもとに、早期に事業導入が図られるよう努めてまいる考えであります。
 なお、市町村に対する県単独の財政支援として、下水道事業債償還基金費補助制度のほかに、今年度から、新規地区に係る調査設計費に対する補助制度が創設されましたので、これを契機として今後とも事業推進に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) 県産材の需要拡大についてでありますが、森林は二酸化炭素を吸収・固定し、また木材は再生産が可能で、加工時の消費エネルギーが少なく、二酸化炭素の放出量が他の材料に比べて極めて少ない天然素材でありますことなどから、木材を利用することは地球環境の保全にも役立つものであると認識いたしております。特に、育成段階にある森林を健全で生産力が高く、公益的機能を高度に発揮し得るよう整備していくためには、間伐などで発生する中小径材等を有効に活用することがとりわけ重要であります。このようなことから、県産材の需要拡大を図りつつ、国産材時代をリードする地域林業の確立を図ることが、本県林業の重要な課題となっております。
 このために、これまで公共施設の木造化や内装の木質化、間伐材の公共土木工事への利用などの需要拡大に全庁的に取り組んできたところでございますし、また、一般消費者に向けた需要拡大対策として、木造住宅の建設促進を図るための住宅金融公庫からの借入資金に対する利子補給や品質・規格にすぐれた県産材の積極的なPRなどを行ってきたところでございます。
 今後におきましては、これら施策の推進に加え、地球環境の保全等における木材利用の意義の普及とともに、消費者ニーズに対応した新製品の開発、乾燥材など、狂いの少ない高品質の製材品や強度が保証されるエンジニアリングウッドの生産促進など、消費者に信頼される県産材の安定供給体制を整備し、一層の需要拡大に努めてまいりたいと存じます。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) 元気な高齢者対策についてでありますが、本県では、高齢者が年間1万人増加し、また高齢者の7割が健康であるとの意識を持っております。こうした元気な高齢者の方々が生きがいを持って生活するためには、これまでに培ってきた豊富な経験や知識・技能を生かし、地域社会の中で自主的、主体的に活躍することが重要であると考えております。このため、高齢者の学習意欲にこたえ地域活動のリーダーを育成する高齢者大学やシルバー洋上セミナーの実施、県内の高齢者がスポーツ等を通じて親交を深める健康と福祉のまつりの開催、豊かな技術や能力に応じた就労を促進する地域活動促進センターへの補助、健康・生きがいづくりやボランティア活動等への基金による助成のほか、平成10年度、新たに農山漁村の地域特性を生かして、文化伝承や健康づくり活動などを進める生きがいと健康づくり事業を実施するなど、高齢者の生きがい対策の充実を図っております。
 次に、高齢社会に対する対応についてでありますが、高齢化の進行に適切に対処して、豊かで活力ある社会を形成するためには、中長期的な見通しに立って関係諸施策を県民と力を合わせて総合的に推進していくことが必要であることから、本年3月に、岩手県高齢社会総合対策指針を策定いたしました。この指針においては、高齢者の活動、情報拠点施設の整備などによる生きがいと社会参加の促進、健康づくりの推進、雇用機会の確保、快適で安全なまちづくりや住宅の確保、世代間の交流ができるコミュニティーの形成などの基本的な施策の方向が示されております。今後は、この指針を新しい総合計画や各分野の計画に反映・具体化し、総合的な高齢社会対策の展開を図ることといたしております。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) いわて物産観光センター、愛称ブランドiについてでありますが、岩手の物産や観光の魅力を全国や海外に向けて伝えていくためには、お話がありましたとおり、まず県民の支持を得ることが大切でありますことから、県外の利用客ばかりでなく、県民に対する県産品普及の機能をあわせ持つ拠点施設として当センターを設置したところであります。当施設は、物産の展示部分が大きな面積を占めておりますが、開設に当たりまして、県内の特産品生産者を初め、市町村や商工関係団体等にも幅広く活用を呼びかけましたところ、各市町村の推奨品のほか、3、000品目を超える県産品の出展を得まして、その展示即売をいたしているところであります。また、オープン以来、川井村、岩泉町を初めとする市町村や団体によって、地域ごとに、あるいは県酒造組合等によって地場産品ごとにPRを兼ねたイベントを週単位で実施するなど、隠れた名産品や新たな特産品につきましても積極的に紹介をしているところであります。こうした取り組みの結果、4月から6月までの3カ月間の利用状況は、県産品を購入いただいたお客さまだけで1万人を数え、1日平均の売り上げは約25万円となっており、今のところほぼ計画どおりに推移しているところであります。
 なお、周辺地域が未整備なこともありまして、利用者からは、当センターの位置がわかりにくいなどの課題も指摘されておりますので、催し物の積極的なPRや消費者の意見をくみ取る工夫をするなど、今後改善を図りながら一層取り組みを強化し、県民に広く親しまれる施設となるよう努めてまいる考えであります。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 国道281号の今後の整備の見通しについてでありますが、本路線は、県都盛岡市を起点とし、岩手町、葛巻町、山形村を経て、県北の拠点都市である久慈市に至る総延長約113キロメートルの幹線道路であります。これまで、交流ネットワーク道路整備事業や、平成8年度にスタートした新交流ネットワーク道路整備事業におきまして、冬期の交通の安全確保が課題となっている岩手町の大坊峠や久慈市の山口地区、山形村の川井地区において整備を進めており、国庫補助事業で取り組んできた葛巻町の繋地区につきましては本年度の完成を目指しているところであります。
 さらに、地域住民を初め関係機関から、冬期間の安全で円滑な交通の確保が強く望まれている平庭峠や交通渋滞の発生している久慈市内、また歩道等の整備がなされていない葛巻町内など、今後整備が必要とされる多くの箇所を抱えているところであります。御指摘の平庭峠につきましては、勾配やカーブ等の状況から、特に葛巻町の江刈川から峠部までの間が整備の急がれる区間と考えております。
 御案内のとおり、国においては新道路整備5カ年計画が閣議決定され、これを受けて、本県におきましても事業の重点化や透明性の確保等に配慮して、現在、道路に関する整備プログラムを策定中であり、国道281号の整備箇所につきましてもこの中で検討することとしております。
 県といたしましては、県北部の振興と本路線の重要性にかんがみ、今後関係市町村と密接な連携と協力のもと、計画熟度を高め、早期の整備が図れるように努力してまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 全国高等学校総合体育大会の準備状況についてでありますが、全国の精鋭が活躍することとなる各競技施設については、北上陸上競技場などが既に完成しているほか、現在工事中である盛岡市の水泳場などの施設につきましても、本年度末までには完了する見込みであります。また、大会開催に向けた各種の準備業務につきましては、総合開会式で披露することとなる集団演技や式典音楽の練習、競技大会実施要項の策定等、より具体的な業務や審判員及び補助員等の養成事業を実施するなど、県及び各会場地市町村の実行委員会が、密接な連携のもとに着実に進めているところでございます。さらに、この大会に向けた県内高校生の活動母体である'99岩手総体県高校推進委員会では、県内すべての高校生が一人一役を合言葉に、集団演技への出演、来県者の歓迎、競技運営等の係員などとして、大会に参画できるよう準備を進めているところであります。
 次に、'99岩手総体に向けた事業等についてでありますが、先日、盛岡市実行委員会が大会400日前のキャンペーン行事を行ったところでありますが、県におきましても、300日前に当たる本年10月には、'99岩手総体に対する県民意識の高揚を図るため、県内高校生や実行委員会関係者など、多くの県民の参加による県民推進大会や推進パレードを実施する予定であるほか、各会場地市町村においても、同様の節目行事や環境美化活動などが予定されるところであります。
 明年8月の開催に向け、各会場地市町村や関係団体等との密接な連携のもと、大会を成功に導くよう準備に万全を期してまいりたいと考えております。
〇9番(千葉伝君) ただいまは知事、そして各部長、教育長からそれぞれ御答弁いただき、ありがとうございました。御答弁いただいた中で、道路整備に係る分について再質問いたします。
 知事及び土木部長から地域高規格道路、国道281号の分の御答弁で、この計画的な整備の必要性あるいは重要性について御答弁いただいたというふうに思います。感謝申し上げるところであります。
 私は、この問題につきまして一般質問等において何度か質問しておりますが、県土の均衡ある発展を図るためには、地域高規格道路の整備あるいは新交流ネットワーク道路整備、日常生活の基盤となる市町村道の整備、こういったものの促進というものが大きな比重を占めるものと思うわけであります。国道281号は、先ほど部長の御答弁で、盛岡を起点として国道4号を経由し久慈まで至る約113キロ、そういう路線であるということと、県が進めている県都盛岡から県内各地におおむね90分以内で結ぶ、いわゆる90分構想があるわけです。盛岡-久慈間を考えますときに、先ほどの御答弁の中でも、その大きなネックとなっているものが4号では茨島-分レ間の4車線化あるいは平庭峠のトンネル化でありまして、これをできるだけ早く進める必要があると思うわけであります。
 同様に、渋民バイパスについてでありますが、一部事業を推進していただいているところですが、御承知のとおり、国道4号渋民地区は幅員が狭く、歩道も未整備で、交通量も増大していることから、国においては、昭和61年度に事業着手して以来約13年を経過するわけであります。そこで、盛岡-久慈間の90分構想の実現という観点から、この実現のめどをどのようにお考えかということが一つです。あわせて、国道4号渋民バイパスの整備状況、今後の取り組みをお伺いいたします。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) まず、国道4号渋民バイパスの整備状況と今後の取り組みでございますけれども、玉山村渋民地区の国道4号につきましては、現道が狭く、交通安全の確保等を目的とし、建設省直轄事業として、先ほどお話しのとおり昭和61年度に延長5・6キロメートルのバイパス事業として採択されて、平成8年度に船田橋から村道山屋馬場線までの2・5キロメートル区間について暫定2車線の第1期工事として着工されたところでございます。これまで埋蔵文化財調査や用地について一部御理解が得られないことにあわせ、国道の2次改築事業の予算が厳しいことから、当初の計画どおりの進捗が困難になったものと伺っております。本年度は、用地について御理解いただいていない方に引き続き働きかけるとともに、一部道路本体工事に着手すると伺っております。
 盛岡以北国道4号の整備につきましては、広域生活圏域はもちろんのこと、県北振興にも大きく寄与するものと考えており、県といたしましては、財政構造改革が進められる中で財源確保は非常に厳しいものと予想されますが、今後とも国に対して整備促進につきまして積極的に働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、盛岡-久慈間の90分構想でございますけれども、本区間は、県都圏と県内各都市間を結ぶおのおののルートの中で距離的に最も長く、また、地形的にも厳しい条件の路線でありまして、構想実現には多くの課題を抱えているところでございます。
 県といたしましては、重点整備を図る視点から、平成5年に策定しました広域道路整備基本計画の中に交流促進型の広域道路として位置づけ、交通機能の向上も図るため、バイパスなどの事業を展開してきたところであります。整備が必要とされる残りの区間につきましては、大規模なバイパスやトンネル整備により時間短縮に努めていく必要があると考えております。しかしながら、90分構想の実現には膨大な事業費を要するとともに、関係機関との調整も伴うことから、近年の財政状況も勘案すると長期にわたるものと考えております。
 県といたしましては、道路ルートの交通上の隘路解消を順次整備しながら、今後とも県北地域の振興の基盤となる道路整備を重点的に促進してまいる所存でございます。
 茨島以北につきましても、現在、建設省岩手工事事務所で調査中でありますので、さらに促進について強く働きかけてまいりたいと思っております。
〇11番(千葉伝君) ありがとうございます。
 今、土木部長から力強いお言葉をいただいたということで、大変時間がかかる、あるいはお金がかかる、これは承知しているところでありますが、先ほどの盛岡-久慈間につきましては、90分構想ということで県民に対しても示しているということと私は思うわけで、そういったことから、私の子供あるいは孫、もっとかかるとかということになりますと、これも地域の、先ほど言いました県土の均衡ある発展ということも含め、あるいは地域住民の足としての機能というようなことも考えますと大変だなというふうに思うわけです。絵にかいたもちにならないようなことで、ぜひとも早期実現に向けて国への強い働きかけを、私も含め、県に対しまして強く要望いたしまして再質問を終わらせていただきます。
   
〇副議長(吉田秀君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時15分 休 憩
   
出席議員(43名)
1番 斉  藤     信 君
2番 上  澤  義  主 君
3番 佐 々 木     博 君
4番 中 屋 敷     十 君
5番 佐 々 木  一  榮 君
6番 黄 川 田     徹 君
7番 小 野 寺     好 君
9番 千  葉     伝 君
10番 佐 々 木  大  和 君
12番 伊  沢  昌  弘 君
13番 大 久 保     豊 君
14番 田  村  正  彦 君
15番 須  藤  敏  昭 君
16番 藤  原  泰 次 郎 君
17番 伊  藤  勢  至 君
18番 高  橋  賢  輔 君
19番 渡  辺  幸  貫 君
20番 折  居  明  広 君
21番 船  越  賢 太 郎 君
22番 浅  井  東 兵 衛 君
23番 谷  藤  裕  明 君
25番 瀬  川     滋 君
26番 長 谷 川  忠  久 君
27番 千  葉     浩 君
29番 三  河  喜 美 男 君
30番 村  上  恵  三 君
31番 村  田  柴  太 君
33番 菊  池     勲 君
34番 工  藤     篤 君
35番 菅  原  温  士 君
36番 小  原  宣  良 君
37番 吉  田  洋  治 君
38番 藤  原  良  信 君
39番 及  川  幸  郎 君
40番 那 須 川  健  一 君
42番 山  内  隆  文 君
44番 樋  下  正  光 君
45番 佐 々 木  俊  夫 君
46番 山  崎  門 一 郎 君
47番 菊  池  雄  光 君
48番 佐  藤  啓  二 君
49番 堀  口 治五右衛門 君
50番 吉  田     秀 君
欠席議員(4名)
11番 水  上  信  宏 君
24番 久 保 田  晴  弘 君
43番 佐  藤  正  春 君
51番 藤  原  哲  夫 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時33分 再 開
〇副議長(吉田秀君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木一榮君。
   〔5番佐々木一榮君登壇〕(拍手)

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