平成10年6月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇25番(瀬川滋君) 政和会の瀬川滋でございます。
 さて、戦後半世紀以上を過ぎた今日、我が国の経済社会情勢はまさに先行き不透明な時代の大転換期となっており、地方自治を取り巻く環境も、地方分権法の施行や国の行政改革等により、これまでの中央集権的な地方自治から分権型社会の実現に向けた地方自治へ移行しているところであります。私どもは、このような時代の流れを強く認識し、この流れに対応した県議会の果たすべき役割というものを真剣に議論いたしまして、ややもすると忘れがちな、県民こそ地方自治の主権者であり、地域づくりや問題解決の主体であるという住民自治の原点を確固として見据え、この住民自治の代表として、県政の諸課題の解決や地域振興のため、不偏不党の精神をもって責務を果たしていくことこそが県議会議員の普遍の役割であるということを確認し合い、この理念をもって去る4月14日に同志11名で新会派政和会を結成したところであります。今定例会は政和会の結成を見てから初の県議会でありますことから、代表を務めております私が一般質問をさせていただきますので、知事並びに県当局からの誠意ある御答弁を期待申し上げます。
 我が政和会では、会派結成に際しまして、増田知事を支持する旨を明言したところであります。増田知事は、21世紀の岩手のあるべき姿とは、人々が生きがいを持ち、そして、安心して暮らせるような、躍動感あふれる心豊かな地域社会、すなわちドリームランド岩手であるとし、この岩手のあるべき姿を現実のものとするため、県民に開かれた、わかりやすい県政を基本姿勢に、若さあふれる行動力と強いリーダーシップを発揮され、県民重視の大胆な行政改革を断行するとともに、新たな視点に立った第三次岩手県総合発展計画後期実施計画の策定など、着実に諸施策の展開を図られているところであります。また、昨年の7月には岩手県総合計画審議会に対し新しい総合計画の基本的方向についてを諮問し、現在、計画策定に向けての作業が鋭意取り進められており、本年の10月ごろには中間答申がなされるものと承知いたしておりますが、このような一連の対応は、21世紀に向けた県勢の新たな発展を願う知事の並々ならぬ熱意のあらわれであると考えるものであります。
 そこで、まず、お伺いいたします。早いもので知事の任期も1年を切ったわけであり、県民の絶大な支持を得て、着実な施策の展開を図り、また、21世紀に向けた県政の方向づけに着手されている現在、我が会派においては増田知事の再選に向けた出馬表明を期待しているところでありますが、現在の心境も含めて知事の御所見をお示し願いたいと存じます。
 次に、地方分権と地方財政についてお伺いいたします。
 国と地方との共通目的である住民福祉の増進に向かって相互に協力する関係を踏まえ、国及び地方が分担すべき役割を明確にし、地方の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本理念として、平成7年5月に地方分権推進法が施行され、その後、地方分権推進委員会の積極的な取り組みにより4次にわたる勧告がなされ、この勧告を受けて、去る5月29日に地方分権推進計画が閣議決定されたことは既に御案内のとおりであります。
 地方分権推進計画では、機関委任事務制度の廃止、国の地方公共団体に対する関与の新たなルール、権限委譲の推進、必置規制の見直し、国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保、都道府県と市町村の新しい関係、地方公共団体の行政体制の整備・確立等についてその内容を示しているわけでありますが、私は、地方分権を推進する上で避けて通れないのが地方の財政問題であると考えているところであります。自己決定権の実現には地域の意思で使える財源が必要であり、住民へのサービスと負担の関係を県民にわかりやすく示すことが最も大切なことであります。地方分権推進計画では、国から地方公共団体への事務、権限の委譲が行われる場合には、地方税、地方交付税等の必要な地方一般財源の確保を図るとし、また、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立ち、地方税を充実確保するとしておりますが、私は、この財源問題についていま一つ不明に感じられるのですが、地方財源の充実確保という面から、知事はどのように評価しておられるのかお伺いいたします。
 次に、補正予算と経済対策についてお伺いいたします。
 平成10年6月9日発表の経済企画庁の月例経済報告によると、我が国の経済は、需要面では、個人消費は持ち直しの動きはあるものの、雇用者所得の低迷もあり低調に推移しており、住宅建設も依然として低い水準にあるとしております。また、産業面では、最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準で、鉱工業生産は減少傾向にあり、企業収益が全体として減少して、企業の業況判断は一層厳しさを増し、雇用情勢を見ると、完全失業率が過去最悪の4%台となるなど、さらに厳しさを増しているとしております。
 国においては、このような経済情勢に対応するため、総事業費16兆円超の総合経済対策により内需拡大を図るとともに、総合経済対策に盛り込まれた緊急雇用開発プログラムを着実に実行することを決定したところであります。
 県においても、国の総合経済対策を受けて、6月の補正では過去最高の596億円余の補正が組まれ、昨日、県議会に対して提案されたところでありますが、県は、今次の総合経済対策関連の補正予算をどのように評価され、具体的にはどのような効果を期待しているのか御見解をお示し願います。
 特に、公共工事の関係では、予算をただ消化するだけではなく、できる限り小ロットを図り、中小企業への受注を高めるための何らかの施策を講ずる必要があると考えるところでありますが、御所見をお示し願います。
 次に、情報公開制度についてお伺いいたします。
 都道府県を中心として、地方公共団体においては、地方自治の本旨に即した行政を推進する上において、行政が保有する情報の公開が重要であるとの基本認識に立ち、情報の公開を求める住民の権利を明らかにするとともに、情報の公開に関し必要な事項を定めた情報公開条例や要綱を策定し、公正で開かれた行政の実現を目指しているところであります。
 知事は、県の情報公開をより一層推進するため、公文書公開条例を改正し、これまで実施機関の対象外でありました公安委員会を実施機関の対象にする旨を表明されているところであり、私は、この基本姿勢を高く評価しているところであります。
 公文書公開条例の改正につきましては、現在、県公文書公開審査会において検討がなされているものと承知しておりますが、私は、情報公開を推進する上で、一番の課題となるのが非開示情報の定め方であると考えているところであります。一般的に考えますと、情報を公開することが善であり、非公開は悪というような感じで受けとめられるわけですが、県当局としては、情報公開をより一層推進するという立場から、これまでの公文書公開の実態をも踏まえ、非開示情報の定め方というものをどのように考えておられるのか、基本的な認識をお示し願います。
 次に、環境影響評価制度についてお伺いいたします。
 知事は、さきの2月定例会における演述において、平成10年を岩手の環境創造元年と位置づけ、岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例を基本に、環境に対する各般の施策を積極的に展開しているところであり、私は、この取り組みを高く評価しているものであります。また、今次定例会に、自然環境の保全と調和のとれた開発整備を進めるためには不可欠とも言える環境影響評価条例が上程されたことはまことに意義深いものがあると考えているところでありますが、実際の運用に当たっての対応について2点お伺いいたします。
 まず、本制度の実施に当たっては、審査会の果たす役割というものが大きなウエートを占めるものと判断されますが、審査会のメンバーは15名以内で、学識経験のある者を知事が任命することとなっており、評価項目に密接にかかわってくるものと考えられますが、現時点においてどのようなメンバーを考えているのか、基本的な方向をお示し願います。
 次に、事業者が希望する場合は対象規模以下の事業等でも対象にするということが掲げられ、本県の独自性ということでありますが、事業者にとっては、環境影響評価を実施すること自体リスクを伴うものであり、率先して対象外である環境影響評価を実施する事業者は数少ないものと考えられますが、あえて条文に盛り込んだのはいかなる理由によるものかお伺いいたします。
 次に、医薬分業についてお伺いいたします。
 医薬分業は、患者を第一に考えた医療のあり方として、欧州諸国では750年前から確立してきた大原則であります。医薬分業の推進により、医師、歯科医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮しながら、相互に連携することによる重複投薬や薬剤の相互作用による副作用の未然防止、患者への処方内容の開示、患者の薬局選択自由の確保等を通じ、医薬品の適正で安全な使用の向上が期待されるものであります。
 本県におきましては、さきの予算特別委員会で御答弁いただいたとおり、国の補助事業を受けて医薬分業定着促進事業に鋭意取り組み、現在の医薬分業率は18%であり、全国平均をやや下回る程度とのことであります。また、調剤薬局が設置されていない地域が17カ所ほどあり、受け入れ態勢が万全とは言えず、調剤薬局が充足されている地域でも、医療機関、調剤薬局、患者それぞれに医薬分業に対する問題点を抱えているとのことであり、これらの問題を一つ一つ解決して医薬分業を推進したいとの御答弁でありましたが、私は、もっと積極的に進めるべきと思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 実際、本県におきましても、民間病院や診療所を中心に医薬分業が急速に進展いたしております。ある病院経営者は、医薬分業により経営改善がなされ、収入の増加というメリットより患者サービスの向上と薬による事故の減少という大きなメリットを得たと述べております。
 そこで、保健福祉部長にお伺いいたします。厚生省は、第三次医療法改正に基づき、6月1日付で健康政策局長が医療計画作成指針を都道府県知事に通知し、その中で、医療提供体制の整備の例示の一つとして各医療圏ごとに医薬分業を推進することが示されたわけでありますが、それへの取り組みと進捗状況をお伺いいたします。
 また、医薬安全局では、医療計画での医薬分業に関する事項を記載する際の参考として、医薬分業計画の策定の手引きを示しております。同手引きでは、処方箋発行推進方策等として特別に項目を設け、特に国公立病院等地域の中核となる医療機関の処方せん発行により、地域の薬局の応需体制の整備や患者の医薬分業に対する理解が大きく進むと考えられることからこうした医療機関の処方せん発行の積極的な推進方策を検討するとありますが、県として、医療計画の記載事項として明記された医薬分業を具体的にどう進めるのかお伺いいたします。
 また、県医療局としては、どのような推進方策を検討しているのか、医療局長のお考えをお伺いいたします。
 次に、少子化についてお伺いいたします。
 本年3月31日に統廃合などで廃校になった公立小中学校は全国で152校。都道府県別では北海道33校、岩手県14校の順であり、少子化の波が本格的に押し寄せてきております。最近発表された平成8年の我が国の出生率は1・43と、現在の人口を維持するのに必要とされる2・08を大幅に下回っています。この傾向が続くと、将来、65歳以上の人口が3分の1を占めることが予想され、社会経済のあり方そのものに深刻な影響を与えることが懸念されます。ことしの厚生白書は、少子化を招いた背景や原因を深刻にとらえる見方で、気づいてみれば、日本は、結婚や子育てに夢を持てない社会になっているのではないだろうかと述べております。
 県におきましては、平成7年3月に、子供を安心して生み、健やかに育てることのできる社会環境の整備に向け、今後10年間を目途に展開すべき施策と、行政、家庭、地域社会、学校、企業などがそれぞれの役割に基づき、相互に協力して取り組むための方向を示すことを目的として、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針を策定いたしました。各般にわたる施策推進の基本方向の中で、子育てと就労の両立支援の充実につきましては、県単独事業として健やか保育支援事業を創設するなど積極的に取り組んでいるわけですが、対策指針とあわせて、出生率の低下傾向に歯どめをかけることができるとお考えなのかお伺いいたします。
 また、経済界にも少子化対策への認識が広がっております。育児休業法等の制定により職場環境の整備が進んでまいりましたが、諸外国に比べればまだまだおくれているのが現状です。男女共同参画社会への取り組み等の意識啓発が必要と思われますが、御見解をお示し願います。
 次に、農協の債務超過問題についてお伺いいたします。
 最近の農協をめぐる情勢は、農畜産物の輸入自由化、規制緩和を初め、日本版ビックバンと呼ばれる金融大改革が間近に迫るなど、急激な環境変化のもと、将来とも組合員や地域住民の営農と生活の拠点として農業・農村の活性化と地域社会への貢献を通じ、その役割を十分発揮できる確固たる組織基盤を築き上げることが緊急の課題となっております。こうした状況の中で、4月以降断続的に農協の債務超過問題が報道され、本定例会においても農協経営改善特別対策資金貸付金に関して再三ただされたところでありますが、重要な問題でありますので、私からもお尋ねします。
 株主総会のピークとなった先週の6月26日、自主廃業を決めた山一証券や営業譲渡・解散を決めている北海道拓殖銀行も株主総会が開催され、その様子がテレビニュース等で報道されておりましたが、総会の中で、旧経営陣の責任も追及すべきだとの声もありました。株主からすれば当然の声であろうと思われます。
 翻って、本県の債務超過農協は、本年4月1日の早期是正措置の導入前に自主的に経営改善計画を知事に提出し、経過措置により業務停止を回避し、現在、その経営改善計画の達成に向けて徹底した自己努力に取り組んでいるとのことであります。本来、農協の経営に一番の責任を負うべき者は経営陣である役員であり、これらの債務超過農協においても、さきの山一証券のように旧経営陣をも含めた役員の経営責任についても問われなければならないと考えますが、役員の協力金等の合計額は幾らで、協力金等の拠出を決めた退任役員の割合はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
 また、農協の再建に当たっては、経営陣の経営責任の明確化と、賃金カットや人員削減などの事業管理費の削減によるリストラの徹底が重要なことでありますが、加えて、経営情報を開示し、不良債権の実態を明らかにすることが求められていると思うのであります。現在、農協のディスクロージャーはどのようになっているのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、北上川流域地域における産業高度化についてお伺いいたします。
 我が国経済を取り巻く環境は、アジア諸国を初めとする海外に生産拠点を移す企業がふえてきているなど、産業活動のグローバル化の進展により、我が国の高コスト構造等を背景として、我が国全体の産業立地競争力が低下するなど大きく変化してきているところであり、本県の工業におきましても、近年、着実な発展を遂げてはいるものの、工業出荷額や企業立地件数が伸び悩んでおり、産業の空洞化の間接的な影響を受けていると考えられるところであります。
 北上川流域地域については、北上川流域テクノポリス開発計画等の推進により、機械金属工業を中心とする工業集積が進み、東北地域における有数の産業集積圏を形成しているところでありますが、このような国及び地方圏における経済環境の変化に対応して、昨年9月に国から北上川流域基盤的技術産業集積活性化計画の承認を受けたところであります。本計画に基づいて、県においては、岩手県工業技術センター、岩手県南技術研究センター、花巻市起業化支援センター等の機能強化や北上基盤技術支援センター及び北上オフィスプラザの合築のほか、道路等の産業インフラの整備や研究開発、人材の育成等、幅広い支援策の展開に取り組まれているところであります。さらに、北上川流域テクノポリス開発計画や盛岡地域集積促進計画について、それぞれ目標年次が経過したことから県において変更計画が策定され、先ごろ国から承認されたと伺っております。
 そこでお伺いいたしますが、これらの計画を踏まえ、本地域の工業振興策をどのように考え、今後どのような施策を展開しようとしているのか具体的にお示し願います。
 次に、花巻空港と周辺整備についてお伺いいたします。
 花巻空港は、おかげさまで滑走路延長と、それに伴うターミナルビルの移転整備が実現し、調査費が当初予算に計上されました。今後は、花巻空港建設事務所が開設され、用地買収、本格的工事が順調に進展されますよう御期待申し上げます。
 花巻空港周辺は、御案内のとおり、東北自動車道、国道4号花巻東バイパス、流通業務団地の建設が集中いたしております。これらの造成工事は同じ時期に重なり、土量も相当量必要と聞いております。それによって地域の日常生活に影響を及ぼすのではないかと懸念の声が出始めておりますので、土取り場の位置、土量、運搬経路、1時間当たりの運搬台数を教えていただきたいと思います。状況を考えますと、工事中の安全確保が最も必要と思われますが、既存の道路と橋で対応できるかどうかお伺いいたします。
 また、教育委員会として、滑走路延長に伴う県立花巻農業高等学校の教育環境への影響をどうとらえ、対応しようとしているのか、お考えをお示し願います。
 次に、空港を中心とした振興策についてお伺いいたします。
 情報化、国際化を進める岩手県にとりましては、空港を中心とした高速交通体系、周辺機能の整備は、花巻・北上地区を核とする中部広域圏の経済基盤を強固なものにし、県都盛岡市と好ましい形で競い合い、岩手の発展に寄与するものと考えます。県は、花巻空港の拡張とあわせて、臨空都市構想を策定されると聞いておりますが、どのように取り進められるのかお示し願いたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 瀬川滋議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、県政に望む現在の心境についてでございますが、私は、県内各地で地域づくりや生産活動などに真摯に取り組む県民の姿に接しまして、また、県民の皆様方からの御意見、御提言を直接お聞きすることによりまして、改めまして岩手・新時代を担う主役は県民であるとの思いを、より一層深くしているところでございます。このようなことから、21世紀を目前に控えて、地方がみずからの選択と責任で、活力ある地域づくりを実現する地域主権社会の創造に向け、また、これを具現する県の次期総合計画の策定に向け、現在、知事としての職責を果たすべく、日々全力を尽くしているところでございます。
 次に、地方分権推進計画の財源問題の評価についてでございますが、地方分権が円滑に推進をされていくためには、地方公共団体が、地域の実情に応じて自主的、主体的な判断と責任のもとに、多様な施策を展開できるような地方税財源が、安定的に確保されることが極めて重要であると考えております。
 このたびの地方分権推進計画では、地方公共団体の事務として定着をしております補助金等につきまして、一般財源化を推進することとしていることや、国からの事務権限の委譲に伴う財源負担につきまして、地方財政計画の策定等を通じて所要財源を明確にし、地方税、地方交付税等の必要な一般財源を確保するとしていること、さらには、県としてもかねてより要望してきたところでございますが、地域の実情に即した財政運営が行えるように、地方財政基盤を強化する方向で、地方税、地方交付税等の一般財源の充実確保を図るとされたことは、基本的には評価できるものと考えております。しかしながら、国と地方との税源配分のあり方などが今後の検討に委ねられたことなど、本県として評価しかねる面もあると、このように考えております。したがいまして、今後におきましても、十分な税財源が安定的に確保されるよう、国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、総合経済対策関連の補正予算の評価についてでございますが、今回の補正予算につきましては、政府の総合経済対策に呼応して、本県としても、停滞をしております県内経済の活性化を図る観点から、機を逸することなく、可能な限り積極的に対応することとして編成をしたものでございます。この中におきましては、公共事業の追加や、福祉・医療・教育施設の整備のほか、情報通信高度化対策などによりまして、社会資本の整備促進を図ることとし、さらには、中小企業に対する資金供給を円滑にするための中小企業対策を講ずることといたしております。その財源としては、県財政を取り巻く環境は依然として厳しいことから、国庫補助金を積極的に導入するとともに、県債の発行に当たっては、公共施設等整備基金の一部の取り崩しによりまして発行規模の抑制に努めるとともに、その大部分を元利償還時に交付税措置される県債を充当して、後年度の財政負担にも配慮したところでございます。
 次に、その具体的な効果についてでございますが、まず、公共事業の追加などにより、県内の生活・生産両面の基盤の整備が促進されますとともに、産業連関表により試算をいたしましたところ、781億円程度の県内生産額がこれによりまして誘発されるものと推計をされるなど、県内経済の活性化に資するものと考えております。
 また、中小企業対策の面では、中小企業の資金調達を容易にすることによりまして事業活動の円滑化が期待をされるものと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承をお願いいたします。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 中小企業の受注の向上についてでありますが、本県の建設業は中小企業がほとんどであることから、中小企業の受注機会の確保については重要なことと承知しております。したがいまして、効率的、効果的な事業執行やコストの縮減が求められておりますが、各振興局内の施工業者のクラス構成など地域の実態に配慮しながら、発注に際しては、できる限りバランスのとれた公平性のもとで執行するように取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、花巻空港と周辺整備についてでありますが、まず、土取場の位置につきましては、空港では花巻空港東側の石鳥谷町と東和町にまたがる地域を候補地としており、東北横断自動車道では、国道4号を挾み東西に候補地を選定中であります。花巻流通業務団地及び県道工事につきましても、現在適地を選定中であり、国道4号花巻東バイパス工事は土取場を指定しないと伺っております。
 次に、土量でありますが、空港は約300万立方メートル、横断道は約200万、流通団地は約45万、その他東バイパス、県道工事等をあわせて、全体で約600万立方メートルが必要となっております。また、運搬経路でありますが、現在のところ、空港では県道八重畑小山田線等を、横断道では、県道盛岡和賀線や東和花巻温泉線等を考えておりますが、流通団地及び県道工事については現在検討中でございます。
 1時間当たりの運搬台数につきましては、空港ではおおよそ片道80台程度を見込んでおりますが、横断道は現在土取場を調査中であり、その他の事業につきましても、土取場予定地や施工時期が未確定であることから、現時点では台数を算定できない状況にあります。
 次に、工事中の運搬路の安全確保についてでありますが、当該地域には、盛土工事が平成11年度から15年度の間に集中すると考えられることから、部内に設置した連絡調整会議で調整を行うとともに、既に平成10年度から、運搬路として想定される主要道路の交差点改良や歩道設置等交通安全対策に取り組んでいるところであります。
 また、花巻大橋等につきましては設計荷重が20トンで施工されており、土砂運搬車両は運行可能と考えております。
 今後は、各事業の具体的な運搬計画が明らかになった時点で、国・公団等関係機関と密接な連携をとりながら、工事工程等の調整や適切な交通管理を行うとともに、地域住民を加えた安全連絡協議会等を組織し、住民の安全確保と円滑な事業の促進に努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) 非開示情報の定め方の基本的認識についてでありますが、地方分権の推進に伴い、地方公共団体の自己決定権、自己責任が拡大することに対応し、行政の公正を確保し透明性の向上を図り、県民の皆様方のパートナーシップに基づく県政を確立していくためには、県が保有する情報が広く公開される必要があると存じております。
 一方、県の保有する情報の中には、公開することにより県民等の正当な権利・利益を害したり、公共の安全や行政事務の適正な遂行等の公共の利益を損なうものも含まれております。
 このように、県の保有する情報につきましては、行政の透明性の確保等の要請から公開の必要性があるものと、県民の権利・利益の保護等の要請から、非開示の必要性があるものとがありますので、ケースに応じて適切に対応する必要があるものと考えております。
 昨年度末に国会に提案された国の行政機関の保有する情報の公開に関する法律案は、情報公開に関するこれまでの各地方公共団体等の制度や運用などを踏まえており、非開示条項の定め方につきましても参考とすべき点が多く含まれているところであります。したがいまして、現在取り組んでいる公文書公開条例の見直しに当たりましては、そうした国の法案の趣旨等を十分に踏まえながら、非開示情報の範囲の定め方を議論していく必要があるものと考えているところであります。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 環境影響評価制度についてでありますが、条例に基づき設置される技術審査会は、事業者の方々が環境影響評価を行うために必要な技術的事項に関する指針、これを知事が定める場合や、一定の事業について環境影響評価の手続を行う必要があるかどうかの判定を知事が行う場合に、専門的な見地から御意見をいただくものであります。また、環境影響評価の方法や内容について、知事が事業者の方々に対し意見を述べる場合に科学的知見に基づいて調査が行われているか、十分な環境情報に基づいた科学的な分析がなされているか、あるいは技術的に可能な環境保全対策が適切に配慮されているかといった、専門的な観点から御意見をいただくものであります。したがいまして、審査会は技術的な事項を調査、審査する機関であり、また、客観性と公平性を求められることから、そのメンバーにつきましては、大気、水質、動植物などの環境影響評価項目の分野ごとに専門的な知識を有する大学教授等の学識経験者の方々に委嘱したいと考えているところでありますが、具体的な人選につきましては、今後、検討してまいることといたしております。
 次に、事業者の自主的な申し出があった場合には、対象規模に満たない事業でも、この手続を準用することができるいわゆる準用事業の規定についてでありますが、環境に対する関心が高まる中で、事業者の方々みずからが、事業実施に当たり自主的に環境への配慮を行い、広く情報を公開し地域との信頼関係を築いていくことは、事業活動の円滑な推進を図る上でも有益なことであると考えられるところであり、今後、そのような動きが出てくることは十分予想されるところであります。この規定は、こうした事業者の方々の環境に対する取り組みを促進するとともに、環境影響評価を自主的に実施しようという事業者の申し出に対して適切に対応できるように設けたものであります。
 県といたしましては、事業者の方々がこの制度を積極的に活用し、県民や行政との緊密なパートナーシップのもとに、より環境に配慮した事業活動を展開されるよう期待しているところであります。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) まず、医薬分業についてでありますが、本県の医薬分業率は、平成3年度の10%から平成8年度は18・7%と上昇してきております。
 本県の医療計画における医薬分業の取り組みにつきましては、6月25日に医療審議会からいただいた新しい保健医療計画に係る中間意見具申の中で、かかりつけ薬局の機能の向上を図り、地域の事情を考慮しながら医薬分業を促進するとの基本的な方向が示されております。今後、さらに医療審議会及び各保健医療圏域ごとの地域保健医療協議会において医薬分業を含めて具体的に検討を行い、平成11年度をめどに、県の計画及び各圏域ごとの地域保健医療計画を策定していく考えであります。
 また、県として医薬分業を具体的にどう進めるかについてでありますが、近年、高齢化の進行や疾病構造の変化に伴い、薬剤の併用や長期服薬が増加する中で、医薬分業は、患者の薬歴管理や服薬指導により重複投薬や副作用の防止を図り、医薬品の適正使用を推進する上で有効であると考えております。
 一方、本県においては、薬局のない地域が存在するなど受け入れ体制の問題があるほか、患者が医療機関と薬局に2度行かなければならないことや、費用が割高となる院外処方の経済的負担など制度的な問題もございます。これらに対応するため、県では、広く県民を対象とするくすりと健康管理講座において、医薬分業についての正しい理解を深めるとともに、保険薬局等を対象にかかりつけ薬局としての質的向上を図るための研修会を開催しているところであります。さらには、平成6年度から国の医薬分業定着促進事業を実施し、北上、気仙、久慈、二戸の4地域に推進懇談会を逐次設置し、地域医薬分業推進計画を策定するなど、地域の特性に応じた分業を促進しているところであり、今年度は新たに胆江・釜石地域で本事業を推進することとしております。
 一方、分業に当たっては、医師と薬剤師の役割分担と連携が重要であることから、医師会と薬剤師会の間において院外処方問題検討会が設けられ、ガイドラインが定められたところであります。県といたしましては、今後一層、関係部局、団体との連携を図り、医薬分業の促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、少子化についてでありますが、子供を産むか産まないかは個人の選択に委ねられるべき事柄であり、行政が出生率の向上自体を直接の政策目標とすることには難しい面もあると考えております。しかしながら、現在の少子化の進行についてはさまざまな社会的要因が妨げとなって、子供を持ちたくても持てない方がいるという要素があることから、このような要因を取り除き、安心して子供を産み育てることができる環境を整えることが重要と考えております。また、その結果として、出生率の低下傾向に一定の歯どめをかけることは可能であると考えております。
 県といたしましては、保育対策の拡充による子育てと仕事の両立支援を初め、女性の健康支援事業による母子の保健・医療サービスの充実、児童館や各種公園の整備による子育てをしやすい生活環境の整備、母親クラブなどによる地域ぐるみの健全育成活動など、子供を産みたいと願っている方々が安心して産み、健やかに育てることのできるような環境づくりに官民一体となって取り組んでおり、また、今後さらに環境づくり対策指針の見直し等により、一層推進していくことが必要であると考えております。
 また、少子化と男女共同参画意識の啓発等についてでありますが、男は仕事、女は家庭という、性別による役割分業意識に基づく社会や企業の仕組みが、女性の社会進出など新しい社会環境の変化に適合できず、家事・育児の負担が女性のみに集中していることが少子化の一因とも言われております。こうしたことから、少子化に対応するためには、職場でも家庭でも男女がひとしく喜びと責任を分かち合う男女共同参画社会に向けての取り組みが大切であると考えており、関係部局と連携しつつ、その推進に努めてまいりたいと存じております。特に、男女共同参画社会に向けた意識啓発については、男女平等をめぐる意識変革を進めるためのフォーラムや、男女参画セミナーの開催等を行っており、今後とも、これらを含め総合的な子育てにやさしい環境づくりを一層推進してまいる所存であります。
   〔医療局長佐藤文昭君登壇〕
〇医療局長(佐藤文昭君) 県立病院における医薬分業の推進策についてでありますが、このことにつきましては、県立病院等事業経営計画におきまして、患者サービスの向上と経営効果の両面から、総合的に検討し導入を進めていくこととしております。
 県立病院での院外処方せんの発行状況は、中央病院等で本格実施をいたしました平成4年度で2%台となっておりましたが、平成9年度におきましては5%台と、徐々にではありますが拡大しているところであります。
 今後におきましては、県で策定を進めております地域医薬分業推進計画を踏まえながら、県立病院が置かれている地域の保険薬局の整備状況等にも十分配慮して、院外処方せん発行の拡充に向けて検討してまいりたいと、このように考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、農協役員の経営責任についてでありますが、役員責任として6農協で約3億2、000万円を負担させることとし、これには退任役員も含め、常勤、非常勤を問わず、任期、地位等に応じた協力金の拠出、報酬のカットなどの負担を求めているところであり、現在までに既に約9、000万円が納金されております。また、退任役員に係る協力金は総額約1億5、000万円で、現役役員の拠出分をあわせた協力金の総額約2億6、000万円の約59%を占めております。
 次に、農協のディスクロージャーについてでありますが、近年の国際的な金融自由化の流れの中で、透明性の高い金融システムを構築するためにディスクロージャーの必要性が急速に求められ、ごく最近では、本年6月にいわゆる金融システム改革法が成立し、これまでは任意で行われてきた経営内容の開示が義務づけられることとなったところであります。農協系統においても、情報開示への対応につきましては、法令、国の指導基準等に基づいた開示を行ってきたところでありますが、今後におきましても、遺漏のないように適正に行うよう指導してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) 北上川流域地域における産業高度化についてでありますが、当地域は、これまで北上川流域テクノポリス開発計画やいわゆる頭脳立地計画の着実な推進により、県内でも工業集積が進んでいる地域として成長してきているところであります。しかしながら、当地域は、東北の中で工業出荷額の伸び率はトップでありますが、総額としましては、郡山地区あるいは山形地区に比較してまだ十分とは言えないことや、県内の工業振興の面からは、工業集積の効果を沿岸地域や県北地域に波及させる必要があり、そのためにはさらに産業の高度化を図り、関連企業の集積や付加価値生産性の向上に努める必要があります。このため、試験研究機関を初めとする産業高度化を促進するための施設の整備に対し支援することを重点としてまいりますが、同時に、これら施設のおのおのの機能に応じた役割分担のもとに工業技術センターを核としたネットワーク化を図り、その有機的連携を強化して産業支援の力を発揮させてまいりたいと考えております。さらには、新規産業創出の観点からは、本県独自の資源や技術を活用した新たな産業を創造するため、産学官の連携・交流の促進、熱意と創造性に富む新規創業家の育成など、研究開発から事業化段階まで一貫して、技術面のみならず資金面、経営面に至るまでの総合的な支援体制の確立を図るためにその施策を充実し、北上川流域地域の産業の高度化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) 花巻空港の臨空都市構想--これは仮称でありますが--の策定についてであります。
 御案内のとおり、花巻空港の滑走路2、500メートル延長を含む一連の拡張整備事業及び花巻流通業務団地整備事業につきましては、本年度事業着手となったところであります。本県唯一の空のゲートウエーであります花巻空港の拡張整備後の機能を最大限に活用し、地域振興に結びつけていくとともに、その効果を全県的に波及させていくことが重要であると考えております。このため、現状の問題点と課題を踏まえた上で、既存の諸計画との調整を図りつつ、空港機能を積極的に活用した地域づくりを総合的、計画的に進めていく必要があります。
 このような観点から、空港を中心として、隣接する北上市はもとより、県都盛岡や沿岸部など広域的な地域をも視野に入れ、東北横断自動車道釜石秋田線などの事業との有機的な連携を図りながら、導入を目指す施設や産業、サービス等の機能、導入のための基本的な方策を検討してまいりたいと考えております。
 具体的な進め方につきましては、有識者懇話会を設置し、構想についての御提言をいただき、国の予算や関連事業の動向等も踏まえながら本年度末をめどに構想を取りまとめるとともに、平成11年度にはこの構想に基づき、関係部局や関係市町村との連携を図りながら事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) 花巻空港の滑走路延長に伴う花巻農業高校への影響についてでありますが、花巻農業高校につきましては、これまで航空機騒音対策として、防音設備、冷房装置等を整備し、教育活動に影響のないよう努めてきたところであります。
 このたびの滑走路延長に伴う手続につきましては、現在、所管部において空港整備事業に係る環境影響評価基準準備書を縦覧に供しているところでありますが、この準備書によりますと、滑走路延長に伴う航空機騒音については、同校周辺においては現状と同程度であり、また、大気汚染については、その環境保全目標は達成されるというふうに評価されております。
 しかしながら、花巻農業高校の校舎等の施設は建築後相当の年数を経過しておりますことから、同校の教育環境の整備につきましては、引き続き慎重に検討してまいりたいと考えております。
   
〇議長(那須川健一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
〇25番(瀬川滋君) 時間も押し迫っておりますけれども、1点だけ再質問させていただきます。
 丁寧な答弁をいただきましてまことにありがとうございます。
 医薬分業について、再度医療局長にお伺いいたします。
 本県の場合、地域の中核となっている県立病院の推進いかんによると考えられるわけです。院外処方せん発行率が国立病院では100%近いところもございます。そういう中で、残念ながら県立病院が5%台となってなかなか進まない理由をお示し願いたいと思います。
 それから、無薬局地区が17地区ほどあるということでございますが、これらを解決する意味でも、医薬分業を積極的に推進することによって徐々に解消されていくのではないかと私は考えます。そういう点からも取り組んでいった方がいいのではないかと思うわけです。
 それから、これから薬価差益の問題とか、そういうものが徐々になくなるというのがこれからの医療の状態だと思います。そういう中で、やはり県立病院といえども公営企業ということで、赤字はある意味では許されない面もあると思います。そういう側面から積極的に考えていけば、そういう薬局部門を分離することによって、民間の保険薬局、そういうところに任せて経営体を軽くして経営改善していくという、そういう方法も考えられると思います。この辺の御見解をよろしくお願いいたします。
   〔医療局長佐藤文昭君登壇〕
〇医療局長(佐藤文昭君) 県立病院の医薬分業がなぜ進まないか、また、病院経営上はむしろ医薬分業を進めた方がいいのではないかというふうなお尋ねでございますが、厳しい経営状況の中、いわゆる薬価差による利益も経営収支に大きく寄与しているということから、院外処方せんの発行に積極的に対応する環境に今まではなかったことが挙げられます。
 しかし、御指摘のように、近年の薬価差益が著しく減少していることから、経営効率という側面からも検討を要する時代に入ったものと、こういうふうに認識しております。患者サービス、経営効率の両面から総合的に検討し、望ましい方向を見出してまいりたい、そのように考えております。
   
〇議長(那須川健一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時1分 散 会

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