平成10年6月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇12番(伊沢昌弘君) 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 2月議会に引き続き、質問の機会を与えていただきました同僚議員に感謝申し上げ、前の議員とダブる部分ございますけれども、通告に従って、以下質問いたします。
 まず、本県経済の動向とその対策について伺います。 今般、県は、約600億円に上る補正予算を編成しました。これは、国の事業規模16兆円の総合経済対策に呼応したものと思っております。日本経済低迷の要因は、バブル経済時に抱えた膨大な不良債権が未整理のままになっていることであり、特に金融・証券関係機関の倒産などにより、国民の信頼が失われてきていることにあろうかと存じます。信頼を旨とする金融・証券に対する不信は、そのまま個人消費の減退に連なり、ひいては内需拡大の海外からの要望にこたえ切れない状況に結びついているのではないでしょうか。このような中にあって、本県経済の状況と対応策についてお伺いをいたします。
 まず第1に、個人消費の動向についてであります。
 個人消費は、依然として低迷基調が続いていると思われますが、県内の百貨店、スーパーの販売額の推移と今後の見通しをお示し願います。
 第2は、新築住宅着工件数についてであります。
 この指標は、その地域における地域経済活性化のバロメーターとも言われるものですが、本県の新築住宅着工件数とその推移について、見通しも含めてお示しいただきたいと存じます。
 第3に、企業倒産件数についてであります。
 残念ながら金融機関の、いわゆる貸し渋りなどの要因によって、倒産のやむなきに至った中小零細企業が多発している現状にあると思われます。これらの要因をどのように把握しておられるのか、県の分析と具体的な対応についてお伺いいたします。
 第4に、雇用状況の推移についてであります。
 内需の拡大によって景気の浮揚を図るためには、将来にわたって生活の不安のないことが前提となります。そのためには、雇用の安定が必要なことであり、全国的には完全失業率が4・1%を超えたとの報道もあり、緊急の対策が求められるところであります。
 そこで伺いますが、本県の雇用状況についてどのように認識しているのでしょうか。失業率等の実態と今後の対策についてお示し願います。
 第5は、補正予算にかかわる起債についてであります。
 今回の国の総合経済対策に関連する補正予算については、厳しい財政状況の中で起債に頼らざるを得ないものも多いと思われますが、後年度に負担がかかる仕組みでの事業となれば、県がさきに策定した中期財政見通しにも影響するものと考えますが、起債の償還に不安はないのでしょうか。また、市町村においても経済対策に対応して事業に取り組むものと思いますが、市町村は県と同様に、厳しい財政事情の中で多くを起債に頼らざるを得ない状況にあると考えますが、市町村の起債の状況をどのように見ているのか、あわせてお伺いをいたします。
 この項の締めくくりとしてお伺いいたしますが、今回の約600億円の補正予算が本県経済に与える波及効果について、どう予測されているのかお伺いをしたいと思います。
 また、過去最大規模と言われる今補正予算の考え方と特徴的なポイントについて、知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、地方分権の推進についてお伺いをいたします。
 この問題につきましては、私も昨年の2月定例会の際に、地方分権推進委員会の第1次勧告を踏まえて知事に質問しておりますが、その後、第4次までの指針勧告をもとに、橋本内閣が本年5月29日、地方分権推進計画を閣議決定いたしました。村山政権のときに成立した地方分権推進法によって設置された地方分権推進委員会が、この間、精力的に論議を重ね、ここまできたことについては、私は評価をするものであります。これによって、地方自治体はみずからの判断と責任において、行政を行う分権型社会の実現に大きく踏み出すことになったことは確かであります。私は、今回の計画に盛り込まれている機関委任事務制度の廃止、自治事務、法定受託事務、国の直接執行事務という新たな事務概念による区分、そして権限委譲、さらには必置規制の見直し、国庫補助負担金の整理合理化などについては指針勧告に沿うものであることから、基本的に支持していきたいと考えております。しかし、第1に、中央政府の関与の縮小・廃止が促進されたとはいえ、その手法は従前の形態が維持されていること、第2に、住民投票制度に対する消極的態度、第3に、地方税財源の充実強化の不十分性、第4に、中央政府の主導的色彩の濃い地方行革と市町村合併の強調、第5に、安保条約に伴う土地等に関する特別措置法による県収用委員会の空洞化、第6に、地方事務官制度の廃止と中央政府への事務、身分の一元化問題など多くの問題点もあり、今後の法制化や地方分権推進委員会の第5次勧告において検討されるべき課題も多いものと考えております。
 そこで知事にお伺いをいたしますが、今回の推進計画についての御所見と、地方分権推進に向けた決意をお示し願いたいと存じます。
 次に、防災体制について2点お伺いいたします。
 まず、林野火災についてでありますが、去る4月21日に、軽米町上舘地区で出火し25日に鎮火した林野火災は、被害面積142ヘクタールと、ここ数年では、昨年5月に石鳥谷で出火した火災に次ぐ大規模なもので、その被害は甚大なものとなっております。激しく燃え上がる火の勢いを報じるテレビの放映を見て、改めて人の力の限界を認識させられましたが、人的被害や住家への延焼が避けられましたことは不幸中の幸いであり、また、お隣の青森県にまで延焼しない段階で鎮火できたことは、地元消防団員を初めとして、防災ヘリコプターの活躍や他県の協力など、関係者の御労苦のたまものと深く敬意を表するものであります。
 さて、県土の約8割という広大な林野を有する本県のような森林県においては、火災予防はもちろんのこと、出火後の早期鎮火、そしてその後の2次災害の防止策などを積極的に行うことが肝要であります。
 そこでお伺いをいたしますが、今回の林野火災については条件は異なるものの、昨年の石鳥谷町・紫波町の林野火災で得たとうとい教訓を生かして対応されたと存じますが、具体的にどのように生かされたのかお伺いをしたいと思います。また、今回の対応についてはどのように受けとめておられるのか、今後に向けた改善策とあわせてお伺いをしたいと思います。
 2点目は、先ほどの折居議員の質問と同じでありますけれども、最近頻発している岩手山の火山性地震に対する対策についてお伺いをしたいと思います。
 本年4月29日、盛岡地方気象台は臨時火山情報第1号を発表しました。火山活動が沈静化することを私は望んでおりましたが、その期待を裏切るかのように、今月24日には、前日から火山性微動や低周波の火山性地震が観測されたことにより、今後さらに活動が活性化した場合には噴火の可能性もあるとして、臨時火山情報第2号が発表されました。その後も有感地震が頻繁に観測されるなど、大変心配をしているところであります。
 岩手山は、全国86の活火山の中のコニーデ式活火山として、有史以来活動を持続しており、広く知られる火山活動としては1686年の水蒸気噴火、1732年の焼走り溶岩流の流出などがあり、昭和47年には、盛岡市内からも確認ができた煙の噴出などが挙げられております。最近になって、平成7年9月から断続的に火山性地震が観測され、本年3月に延べ424回、4月には1日の最高回数である285回を含む764回、5月には1、283回、そして6月に入っても増加の傾向にあり、6月28日までには1、612回を数えている状況にあります。震度3を超える地震も雫石町で観測されるなど、地震活動のやや活発な状況が続いておるわけであります。これに対応し、盛岡気象台、東北大などにより、当初からの地震計に加え、震度計、空震計、さらには望遠観測機器などが逐次設置され、県民は高い関心を持ってその測定結果の推移と、県が設置した専門家による岩手山火山活動対策検討会での検討結果に注目をしているわけであります。
 そこでお伺いをいたしますが、岩手山の火山活動に対する観測体制の現状はどうなっているのでしょうか。また、現状の火山活動にどのように対処しておられるのか、お示しをいただきたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、農業政策についてお伺いをいたします。
 この課題につきましても、さきの質問に重複をするわけでありますが、視点が若干違いますので質問させていただきます。
 今回の補正予算に計上されている農協経営改善特別対策資金貸付金に関連をしてお伺いをいたします。
 この貸付金は、いわゆる金融健全化法に基づいて導入された金融機関に対する早期是正措置制度により、債務超過に陥っている県内6つの農協に対して、知事が命ずることができる業務停止命令の発動を回避し、再建に必要な資金の一部を得るために、無利子で県農協中央会に貸し付けるものと理解をしています。私は、本来的にこのような形での公的資金の投入は行うべきではないと考えております。しかしながら、農協組織を守ることが、真に組合員農家の営農活動につながり、そしてまた地域の活性化に役立つものであれば、今回の措置に賛同していきたいと思っているわけであります。
 そこでお伺いをいたしますが、債務超過に陥った原因は各農協によって異なると考えますが、県はこのことについて、責任の所在を含めてどのように分析しているのでしょうか。また、支援の条件として、自己努力の達成や広域合併が前提条件となっていますが、県民の理解を得ていくためには、農協中央会や県における指導体制の強化が必要になると考えますが、いかがでしょうか。どのような指導、監督体制で臨む計画なのかお示しいただきたいと思います。
 さらに、将来的に県北や沿岸地域においても継続的に農業が営まれなければ、農協が幾ら広域合併してもその経営基盤は崩れることになります。現在、新しい農業基本法の制定を目指して国では論議が進められているわけであります。このことは、農業後継者が希望を持って、将来、農業に従事できるような環境づくりを行う最後のチャンスではないのかと私は考えているわけであります。
 そこで、農業を基幹産業とする岩手県として、新しい農業基本法の制定に向けて精力的に要請を行ってきていると伺っておりますけれども、この間、どのような点について働きかけを行ってきたのかお示しをいただきたいと思います。
 次に、森林の管理と林業の推進についてお伺いいたします。
 まず、営林署統廃合計画と流域管理システムについて伺います。
 国においては、昭和53年以降、数次にわたる国有林事業の経営改善に取り組み、その一環として営林署の統廃合が行われてきたところでありますが、本県においても、ことし3月に雫石及び川井の営林署が、それぞれ盛岡、宮古の営林署に統合され11営林署となったところであります。また、平成9年12月、林政審議会は、林政の基本的方向と国有林事業の抜本的改革を答申いたしました。これを受け林野庁は、平成11年1月に、全国229営林署を98営林署に統廃合するとの方針を打ち出したところであります。この計画では、流域単位--森林計画区と言われるようでありますが--この流域単位に営林署を設置することを基本にしており、このとおり実施されますと、岩手県には5カ所の営林署しか残らないことになります。流域管理システムによる林業推進は、民有林、国有林を一体的に管理し、森林の多面的な公益的機能を発揮させ、国民にその効果を還元するためのものであります。私は、今後とも本県の森林機能を高め、林業の振興を図るためには、流域単位の国有林と民有林が相互関係を緊密にした一体性を保持していく体制が必要であると考えます。本県の森林実態に照らしてみたとき、少なくとも、地方振興局単位に営林署が配置され、協議運営体制が堅持されることが必要であると考えるものであります。
 そこで、営林署統廃合問題及び流域管理システムについての御見解をお伺いいたします。
 林業問題の2点目に、間伐の促進対策について伺います。
 間伐は、人工林においては健全な森林を育成し、良質な木材を生産するために不可欠な仕事であります。本県における間伐材の利用促進を図る間伐材利用緊急対策事業の概要については、我が会派の久保田議員が、本年2月定例会の予算特別委員会の中でも総括質疑で質問しているところでありますが、私は、間伐の促進対策にかかわって次の3点についてお伺いをいたします。
 第1は、間伐計画についてでありますが、本県の森林のうち、早急に間伐を要する面積とその間伐計画についてお示し願います。
 第2は、間伐に要する費用への補助制度についてであります。
 間伐が進まない大きな要因は、間伐材等中小径材の利用が少ないことや生産経費が高いことなど、採算が合わないために利用されず山に放置されていることであると承知しています。このため、生産コストの低減化や効率的な間伐の実施を図るため、作業道などの搬出路の整備が必要だと思われますが、搬出路の整備費に対する補助制度はどのようになっているのでしょうか、概要をお示し願います。
 また、間伐対策をより一層促進するためには、今後、制度の拡充が必要と思われますがいかがでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
 第3は、間伐材利用の研究開発についてお伺いいたします。
 間伐は、間伐材の利用を促進させなければ進まないものでありまして、利用に向けた研究開発も重要な位置を占めるものと考えます。
 そこでお伺いいたしますが、本県の林業技術センターにおける間伐材利用に向けたこれまでの研究成果や、今後の新製品開発についての基本的な考え方をお聞かせ願います。
 次に、環境政策についてお伺いをいたします。
 まず、廃棄物対策について伺います。
 廃棄物問題については、毎日のように報道がなされ、その内容も、ダイオキシン問題や不法投棄による環境汚染など、廃棄物処理に関するマイナスの情報が多く、住民の信頼が損なわれ、全国各地で処理施設の設置に関する紛争が起きております。このような状況から、国では平成9年6月に廃棄物処理法を改正し、施設の設置に当たり、生活環境影響の調査や市町村及び関係住民の意見を聞くなど手続規定を定め、加えて12月には、ダイオキシン規制の新設や施設の維持管理基準が強化されるなど、廃棄物処理に関する信頼性、安全性の向上対策を講じております。これらの対策については一定の評価をするものでありますが、廃棄物問題については、排出された廃棄物の適正処理に重点を置いた対策の重要性は認めつつも、廃棄物の排出抑制と減量化の積極的な推進を含めた総合的な対策が最も肝要であると考えております。県では、平成5年度に、岩手県ゴミ減量化・再生利用推進行動指針を定めて、県民、事業者、行政がおのおのの立場で行動を展開し、廃棄物の減量化とリサイクルを推進することにしたと承知しておりますが、その状況はどうなっているのでしょうか。また、資源循環型社会の構築が求められ、平成9年度には、容器包装リサイクル法が施行されるなどの状況の中で、今後どのような対応をとられるお考えなのかお伺いをいたします。
 環境政策の2点目に、今定例会に提出された岩手県環境影響評価条例についてお伺いいたします。
 この条例は、その第1条の目的に、本年2月定例会で成立した岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例に定める理念にのっとり、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業についての環境影響評価が適切に行われるための手続等を定めることによって環境の保全に資するとしているわけであります。私は、今後の大規模開発等に対して、県内の貴重な自然の保護や、環境保全対策に大きな前進をもたらすものと期待をしております。この条例が真に自然との共生を図るとりでとなり、次世代の県民から喜ばれるものとなるためには、県の責務の重大なことはもちろんですが、事業者も大きな責任を負うことになると考えます。
 そこでお伺いいたしますが、本県では、平成2年に大規模な開発行為に対して指導を行うために策定したゴルフ場等大規模開発行為指導要綱があったわけですが、今回の条例は、この要綱に比較してどのような特徴を持っているのかお示し願います。
 また、本条例の制定に当たっては、開発事業と自然保護の調整も求められるところでありますが、環境保全に向けた知事の決意を改めてお伺いをいたします。
 次に、新しい保健医療計画の策定についてお伺いいたします。
 現在、県においては、21世紀に向け県勢の新たな発展を図り、躍動感にあふれ、心豊かな地域社会を築いていくために、新しい総合発展計画の策定を進めているところでありますが、各行政領域においても、新しい部門別計画の策定に着手していると伺っているところであります。保健医療の分野においては、高齢化の進展やがん、心臓病、脳卒中等の増加による疾病構造の変化などを背景として、県民の健康に対するニーズは増加し、また多様化していると思っていますが、これらの県民のニーズに的確にこたえていくための保健医療施策を強力に展開していくことが必要であります。また、昨年12月に医療法が改正され、新たに医療計画の記載事項として、地域医療支援病院や療養型病床群などが加えられましたが、新しい計画においても、これらについて適切に取り込み、今後、県民に適切な医療を効果的に提供する体制の整備を図っていくことがますます重要になってくるものと考えております。
 そこでお伺いいたしますが、新しい保健医療計画の基本的な方向としては、どのような点が特徴となってくるのでしょうか。また、現在、計画の策定はどのような状況にあるのでしょうか、お示しいただきたいと思います。
 質問の最後に、教育行政についてお伺いをいたします。
 これからの人材育成と学校教育のあり方を考える上で重視したいのは、岩手県立大学の開学と、現在審議が進められている岩手県教育振興基本対策審議会と岩手県立高等学校長期構想検討委員会の報告であると考えております。
 まず、教育委員会の所管ではありませんが、岩手県立大学の開学に関連してお伺いをいたします。
 待望久しかった岩手県立大学が、自然・科学・人間が調和した新しい時代を目指すという建学の理念のもとに、本年4月にスタートしたことを心からお祝い申し上げますとともに、準備にかかわった関係者の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
 去る6月19日の開学記念式典に参加しながら、真新しいキャンパスを見学する機会があり、すばらしい環境の中の大学に感激してきたところでございます。私は、県立大学が教育研究の特色として掲げている5点、すなわち、第1に、人間性を培う教養教育、第2に、4学部連携を考慮した教育活動、第3に、地域に根差した実学・実践的教育研究活動、第4に、地域に開かれた大学としての教育研究活動、そして5点目として、国際的な教育研究活動などは、これからの県内学校教育のあり方に、新鮮でさわやかな指針を与えてくれるに違いないと考えております。また、これまで受験競争が学校教育の全体を変質させる最大の要因であると指摘されながら、大学教育のあり方や入学試験の制度を変えることがなかなか進まない現状の中で、新たな試みを行おうとしている県立大学には、大きな期待が持てるものと確信をしております。教育委員会との連携強化が必要になると考えております。
 そこで、教育長にお伺いをいたしますが、教育委員会として、今後、県立大学との連携をどのように進めていこうとしているのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、岩手県立高等学校長期構想検討委員会の審議について伺います。
 同委員会は、これまで中学・高等学校の校長会、私学協会を初め、岩手県教職員組合、高等学校教職員組合などの教育関係団体から意見を聴取して、社会の変化に対応した県立高等学校のあり方についてと題して、中間まとめをもとに、現在ブロック別懇談会において意見聴取を行っていると伺っております。新聞報道によれば、各会場とも活発な意見が出されているとのことであり、県民のこの問題に対する関心の高さをあらわしているものと考えられます。また、同委員会は、9月を目途に報告をまとめる計画と伺っておりますが、私は、取りまとめに当たりブロック別懇談会の意見を踏まえ、検討過程で意見を聴取した教育関係団体から改めて意見を聞くべきであると思いますが、いかがでしょうか。教育委員会のお考えをお伺いしたいというふうに思います。
 以上をもちまして、私のこの場からの一般質問を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 伊沢昌弘議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、補正予算の考え方と特徴的なポイントについてのお尋ねでございますが、政府におきましては、我が国の最近の極めて厳しい経済情勢を踏まえて、21世紀を見据えて、豊かで活力のある地域社会の構築に向けた社会資本の整備等、各分野にわたる景気浮揚のための総合経済対策を実施することとしたところでございます。本県におきましても、これに呼応し、停滞している県内経済の活性化を図る観点から、機を逸することなく、可能な限り積極的に対応することとしまして、そのための補正予算を追加提案いたしたところでございますが、この中におきましては、公共事業の追加や福祉・医療・教育施設の整備のほか、情報通信高度化対策などによりまして社会資本の整備促進を図ることとし、さらには、中小企業に対する資金供給を円滑にするための中小企業対策を講じることといたしております。
 これら事業の実施によりまして、県内の生活・生産両面にわたる基盤の整備促進を通じた地域経済の活性化が図られ、また、中小企業の資金調達を容易にすることによる事業活動の円滑化が期待されるものと考えております。また、今回の補正予算におきましては、先般の軽米町の林野火災の復旧対策関係予算もあわせ計上いたしておりますが、適切な復旧対策とともに、2次災害防止策についてもあわせて講じることといたしております。さらに、農協経営改善特別対策関係予算につきましては、県農協中央会が行う債務超過農協に係る経営改善特別対策事業に対し、支援することとしているところでございます。
 なお、今回の補正予算の財源につきましては、依然として厳しい財政環境にありますことから、国庫補助金を積極的に導入するとともに、県債の発行に当たりましては、公共施設等整備基金の一部の取り崩しによりまして発行規模の抑制に努めますとともに、その大部分を、後年度の元利償還時に交付税が措置される県債を充当して、後年度の財政負担にも配慮しているところでございます。
 次に、地方分権推進計画についてでございますが、この計画は、国と地方公共団体とが共通の目的でございます国民福祉の増進に向かって相互に対等・協力関係にあることを基本として、その内容も、国の指揮監督のもとにある機関委任事務の廃止、国の権限の県や市町村への委譲、国が地方公共団体の組織や職の設置を義務づけておりますいわゆる必置規制の廃止や緩和など、地方公共団体の自主性、自立性の向上が図られる方向となっておりまして、基本的には評価するものでございます。しかしながら、地方公務員が処理することが最も望ましいと要請をしてまいりました社会保険関係事務が国の直接執行事務とされたこと、国と地方との税源配分のあり方などが今後の検討に委ねられたことなど、本県としては必ずしも十分とは言いがたい面もあると、このように考えております。特に、地方分権が円滑に推進をされていくためには、地方公共団体が自主的な判断と責任のもとに、地域の実情に応じた多様な施策を展開できるように、十分な税財源が安定的に確保されることが極めて重要であり、引き続き国に対して強く働きかけていく必要があると考えております。また、地方分権は、それ自体が目的ではございませんで、地域や住民本位の立場をより明確にする地域主権社会の実現に向けた一つの道筋であると認識をしておりまして、このような視点から、現行の行財政システムを新しい時代に即した機動性と効率性を兼ね備えたものに改めまして、しっかりとした県民との信頼関係を築くとともに、市町村との連携をこれまで以上に深めながら県政を進め、こうした社会の実現に努力してまいりたいと考えております。
 次に、岩手県環境影響評価条例の制定に当たっての決意についてのお尋ねでございますが、環境は、私たちが健康で文化的な生活を営むために欠くことのできない基盤であるとともに、次世代に引き継ぐべき貴重な財産でございまして、環境の世紀と言われる21世紀に向けて、本県の豊かな環境の保全を図ることは極めて重要な課題であると考えております。
 このため、私は、平成10年を岩手の環境創造元年と位置づけまして、2月議会におきます岩手県環境の保全及び創造に関する基本条例の制定を初めとする、新たな環境施策の展開に努めているところでございますが、事業者の方々がみずから環境に与える影響について評価を行い、事前に環境保全対策を講じることによりまして、開発事業と環境との調整を図ろうとする環境影響評価制度は、多様な環境保全施策の中でも中心となるべき施策でございます。この制度を条例として制定することによりまして、環境影響評価の手続の公平性と透明性を確保するとともに、広く県民の皆さんや事業者の方々の参加と協力をいただき、緊密なパートナーシップを築きながら、環境基本条例の理念として掲げております恵み豊かな環境と共生をし、持続的に発展する循環型社会の実現に向け、全力を挙げて取り組んでいく決意でございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔企画振興部長武居丈二君登壇〕
〇企画振興部長(武居丈二君) まず、県内の百貨店及びスーパーの販売額の推移についてでありますが、平成9年は前年比3・7%増でありましたが、本年における各月を見ますと、基調としては前年水準を下回っているところであります。また、新設住宅着工戸数の推移でありますが、平成9年6月以降11カ月連続して前年水準を下回っております。
 なお、今後の見通しについてでありますが、特別減税の実施、大型補正予算の追加などを内容とする今般の経済対策などにより、個人消費や住宅建設を含む景気への効果が期待されているところであり、引き続き今後の動向を注意深く見守っていく必要があるものと考えております。
 次に、補正予算の本県経済に与える波及効果でありますが、今回提案しております総合経済対策関連予算額558億6、000万円のうち、用地費等を除いた経費468億円について、平成5年の岩手県産業連関表により試算いたしますと、およそ1・67倍に当たる781億円程度の県内生産額が誘発されるものと推計されるところであります。
 次に、市町村の起債の状況についてでありますが、平成6年度以降の地方財政全体の財源不足や数次にわたる国の経済対策等を背景として、地方債の発行額が増加し、平成9年度末の発行残高は約6、800億円と見込まれております。また、地方債の許可制限に係る指標である起債制限比率は、県平均で10・6%の見込みであり、公債費負担の適正化を進めることとされている国の基準である15%には達しないものの、個々に見ますと、その比率が相当上昇している団体もあり、今後の推移には十分な注意が必要であると認識しております。今回の国の総合経済対策に当たっては、景気対策の緊急性と重要性にかんがみ、市町村が個々の実情を十分に踏まえて、節度ある財政運営を基本としつつ、事業の適切な選択と優良な地方債の導入に一層努めながら、適切に対処するよう指導、助言を行っているところであります。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) まず、企業倒産件数についてでありますが、最近における本県の倒産は民間の調査機関によりますと、本年1月から5月まで54件発生し、負債総額で74億5、100万円となっており、これは前年同期に比較しますと、件数で2・1倍、負債総額で1・2倍となっております。倒産の原因は、赤字累積、業績及び販売の不振が38件と全体の7割を占めており、景気の停滞を色濃く反映したものとなっております。県といたしましては、昨年末から引き続き経営相談等を実施するとともに、制度資金の一部について、要件緩和やそれらの活用による経営の指導をしてきたところであります。今後におきましても、中小企業の資金繰りを支援する新たな融資制度の創設を初め、信用保証に係る融資環境の改善を図るなど、きめ細かな対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、県内の雇用状況についてでありますが、その状況を有効求人倍率で申し上げますと、本年4月の倍率は0・67倍となり、平成9年4月の0・92倍から11カ月連続で低下するとともに、全国の完全失業率も初めて4%を超え、しかも若年層が全体の半分近くを占めるなど、極めて厳しい状況にあると認識しております。このため県といたしましては、まず雇用調整助成金制度を活用した失業の予防に努めるとともに、一方において、各公共職業安定所による求人開拓を強化し、円滑な再就職の促進等に努めているところであります。
 今後におきましても、従前の雇用対策に加えまして、国の総合経済対策の一環である緊急雇用開発プログラムに基づきまして、特に厳しい雇用情勢にある中小企業、中高年齢者、若年者層を対象とした積極的な雇用対策に取り組むとともに、新規産業の創出等による雇用の拡大に努めてまいる考えであります。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) まず、県債の償還についてでありますが、今回の補正予算における県債につきましては、その大部分を国の総合経済対策に伴い、地方財政対策として措置された補正予算債や地域経済対策債のように、後年度の元利償還時には交付税が措置される県債を充当しているところであり、また公共施設等整備基金の一部を取り崩すことなどによりまして、その発行規模の抑制にも努めたところであります。その結果、発行額は195億5、300万円となりますが、元利償還額の約6割が交付税で措置されるものの、そのおおむね4割が県の純負担となるものと見込まれているところであります。
 今後の財政運営に当たりましては、事務事業の評価制度の一層の徹底を基本としながら、施策の重点化と事業コストの節減等により、歳出の一層の縮減と合理化を図る一方、歳入面では、国庫支出金の効果的な導入や、県債の発行に当たっては後年度に交付税措置のある県債の活用を図るほか、地方財源不足対策としての地方債の発行はできるだけ避け、地方税や地方交付税などの一般財源の充実、確保が図られるよう、今後とも国に対して要望していく必要があると考えております。
 次に、昨年の石鳥谷町・紫波町の林野火災で得た教訓が具体的にどう生かされたかなどについてでありますが、空中消火に使用する化学消火剤につきまして、混合が容易な液状消火剤を導入したほか、残り火の確認のため、県の防災ヘリひめかみに赤外線画像装置を整備し、さらに空中消火等補給基地に一定量の燃料を備蓄したところであり、これらが早期の鎮火に十分に威力を発揮したところであります。さらに、軽米町におかれましては、昨年の林野火災の教訓のもとに、特色ある防災訓練を実施したことにより、そのことが成果としてあらわれ、県といたしましても、的確な状況把握と次の展開を予測した諸準備を事前に行ったことなどにより、総体としては適切に対応できたと受けとめているところであります。
 また、改善策についてでありますが、現場での指揮命令系統のより一層の確立やより迅速な判断、そして防災航空マップの利用法の習熟などが必要であると存じているところであります。
 次に、岩手山の火山活動に対する観測体制の現状等についてでありますが、平成10年6月12日現在の観測体制は、気象庁を初めとする関係機関により、34の観測点に地震計、計測震度計など、65の観測機器が設置されておりますが、これは3月に比べ20機器の増加となっおり、また16日から18日にかけて、仙台管区気象台と盛岡地方気象台が合同で現地観測を行ったところであります。さらに、観測予知体制を強化し、火山現象等による災害を未然に防ぐため、早急に岩手山を常時観測対象火山とされるよう、5月18日に気象庁へ要望を行ったところでありますし、東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センターにおいては、今後も観測機器を増設する予定となっております。
 また、最近の火山活動の活発化を受け、岩手県災害警戒本部を設置し、常時24時間体制で万一の場合に備えているほか、岩手山火山活動対策検討会の助言を受け、関係4町村と協議を行い、7月1日から入山規制を行うことといたしているところでございます。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、県内6農協が債務超過に陥った原因とその責任の所在についてでありますけれども、平成3年からの畜産物の輸入自由化を端緒とした農畜産物価格の下落や景気の低迷など、厳しい経営環境の中で、設備費等の投資額が大きい大規模畜産農家の経営悪化などによる負債が増大したこと、及びこれら6農協の経営基盤が脆弱であったことが主な要因であると考えております。それぞれの農協においては、こうした多額の負債を抱えた畜産農家の経営の立て直しや安定化のため、低利な資金への乗りかえ、利子補給など、営農継続のための措置を種々講じてきたところでありますが、これら農家の経営再建が達成されず、さらには債権管理の不徹底もあって、多額な欠損金を抱え、債務超過状態に陥ったものと考えております。こうした農協の融資については、それぞれの農協みずからの経営判断によって行われてきたものであることから、まずもって各農協の徹底した自助努力、すなわち役員の経営責任の明確化、組合員の増資、役員協力金の拠出、人件費の削減等が求められるものであります。
 次に、これらの農協に対する指導、監督体制についてでありますが、県農協中央会においては、経営改善特別対策室を新たに設け、二戸市に常駐させるなど、改善計画の厳格な進行管理を行うこととしており、県といたしましても、農協運営強化指導班の体制を強化するなど、従来以上に徹底した指導、監督を行っていくこととしております。
 次に、新しい農業基本法の制定に向けた国への要請についてでありますけれども、県では、昨年4月、新基本法に向けた岩手県農業・農村対策検討会議を設置し、広く県内各層各界の意見、要望をもお聞きしながら、岩手県としての考え方を取りまとめたところであります。この検討結果に基づき、食料安全保障を確立すること、農地の持つ国土、環境保全機能の維持向上を含む、食料・農業・農村政策の目標を明確化することなど10項目について、本年3月、農林水産大臣及び食料・農業・農村基本問題調査会会長に要望したところであります。今後におきましても、国における検討状況を見定め、本県農業の振興を図る見地から国に要望してまいりたいと考えております。
   〔林業水産部長渡辺勲君登壇〕
〇林業水産部長(渡辺勲君) まず、営林署の統廃合問題及び流域管理システムについてでございますが、国におきましては国有林野事業について、平成9年12月の政府与党の財政構造改革会議の決定及び林政審議会の答申などに基づき、国有林野の管理経営を木材生産機能重視から公益的機能重視へ転換すること、組織等の合理化を図ること、独立採算性を前提とした企業特別会計制度を見直すこと、債務の一般会計承継等累積債務の本格的処理を行うことを柱とした抜本的改革を推進する旨が決定され、主要の法制度等の整備が現在進められております。これらにより全国で229の営林署が、平成11年1月には、流域単位に全国で98の森林管理署等に再編整備されることとなり、現在その配置について検討がなされているものと承知しているところでございます。この再編整備に当たりましては、本県の森林、林業の振興等のため、国に対して最大限の配慮を要請してきたところでございますが、今後とも引き続き強く要請してまいりたいと考えております。
 また、適切な森林整備による県土の保全、水資源の涵養等森林の多面的機能の高度発揮や、木材の生産・加工・流通体制の整備による木材産業の振興など、本県の森林、林業の活性化を図るためには、流域を単位とした国有林、民有林の連携強化による取り組みが必要でありますことから、今後一層、国有林、民有林を通じた流域管理システムの定着、強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、間伐計画についてでございますが、適正な間伐の実施により、健全な森林に育成する必要がある間伐対象森林は、民有林の人工林面積の約6割に当たります19万ヘクタールでございまして、このうち3分の1強の7万4、000ヘクタールは、初回間伐の実施など早急に間伐をしなければならない面積でございます。このため、平成10年度から14年度までの5カ年間で、計画的にこの全面積の間伐を推進することといたしております。
 また、搬出路の整備費に対する補助制度についてでありますが、効率的な間伐の促進を図るためには基幹となる林道を初め、作業道等の搬出路網の整備は極めて重要であります。搬出路網の補助制度としては、現在、林道事業では、国庫補助事業の民有林林道開設事業や県単林道開設事業があり、また作業道では、国庫補助事業の造林補助事業、水土保全森林緊急間伐対策事業、県単独事業の間伐総合特別促進対策事業などがあるところでございます。
 また、これら間伐促進のための制度の拡充につきましては、平成10年度に新たに間伐を重点的かつ計画的に実施するための水土保全森林緊急間伐対策事業が創設され、また財源対策として地域の実情に応じた森林整備を推進するため、新たに国土保全対策ソフト事業が講じられたところでありますが、森林整備をさらに推進するため、国に対し今後とも間伐対策の充実強化につきまして要望してまいるとともに、私どももこれらに努めてまいりたいと考えてございます。
 また、県林業技術センターにおける間伐材利用の研究開発についてでございますが、これまでの主な研究成果といたしましては、スギ間伐材を使用した住宅用集成材の試作やスノーポールなどの道路付属施設の開発、ナンブアカマツ間伐材を使用したスピーカーボックスの作製、木質材料の難燃化技術の開発、土どめ工用カラマツ丸太の耐久性の解明などが挙げられるところでございます。今後におきましては、これまでの研究開発を継続して進めることはもとより、商品化を目指した内装材としての壁パネルやフローリングなど、消費者ニーズに対応した高付加価値製品の開発や土木工事用組立部材の開発などに取り組み、間伐材の一層の需要拡大につなげてまいりたいと存じてございます。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、廃棄物の減量化及びリサイクルの推進についてでありますが、県では廃棄物問題の対応策といたしまして、岩手県ごみ減量化・再生利用推進行動指針に基づき、買い物袋持参運動やごみ減量化・再生利用推進岩手県民大会を開催するなど普及啓発を行うとともに、分別収集モデル事業等による市町村支援などを通じながら、ごみ減量化に取り組んでいるところであります。この結果、県内のリサイクル率は、平成3年度に6・3%であったものが、平成7年度には12・1%と着実に進んでおりまして、一般廃棄物の量も、平成3年度に42万1、000トンであったものが平成7年度には42万トンと、従前の増加傾向に歯どめがかかっております。このように一定の成果は見られるものの、リサイクルを推進するための新たな制度として、容器包装リサイクル法が施行されたこと、さらには今日のダイオキシンなど環境問題に対応するため、一層のごみ減量化、リサイクルの推進が求められていることから、指針を全面的に見直しすることとし、有識者により大量生産、大量消費型の経済社会に対応したライフスタイルの見直し、再生商品の利用促進、廃棄物の種類あるいは排出者ごとの再生利用の具体的方策などや、数値目標の設定について検討いただくことといたしております。
 今後は新たな指針に基づき、資源循環型社会の構築に向け、事業者や県民のリサイクルの取り組みについての普及啓発や、市町村での資源化施設や効率的な分別収集体制の整備指導を行うなどして、ごみ減量化とリサイクルの一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、ゴルフ場等大規模開発行為指導要綱に基づく環境影響評価に比較しての環境影響評価条例案の特徴についてでありますが、対象事業につきましては、要綱では民間が行うゴルフ場などレクリエーション施設のみに限定していたのに対し、条例案では道路、廃棄物処理施設や工場、事業場など幅広い分野の事業について、事業主体の区別なく対象としております。
 また、手続面につきましては、環境影響評価の調査方法などの選定の段階から手続を開始することとしたほか、意見提出者の範囲や意見を提出できる機会を拡大するとともに、審査の信頼性を向上させるための学識経験者で構成する技術審査会の設置、あるいは事業着手後の状況把握のための事後調査の報告を盛り込むなど、条例案における環境影響評価の対象事業と手続は、かなり充実した内容となっております。
   〔保健福祉部長緒方剛君登壇〕
〇保健福祉部長(緒方剛君) 新しい保健医療計画の策定についてでありますが、本年3月医療審議会に、21世紀に向けた本県の保健医療のあり方について、新しい総合計画の策定や昨年12月の医療法の改正などを踏まえて諮問いたしました。審議会においては、生涯にわたる健康づくりの推進や総合的な保健医療サービスを県民に的確に提供する体制の整備などについて御議論をいただき、6月25日には新しい保健医療計画の基本的な方向について中間意見が具申されたところであります。この中間意見具申では、インフォームド・コンセント、いわゆる説明と同意の普及など、患者の立場に立った医療サービスの向上、医師などの保健医療を担う人材の育成、画像伝送による診断を行う遠隔医療システムなど情報化の推進、かかりつけ医を支援する地域医療支援病院や要介護者を処遇する療養型病床群の保健医療圏ごとの整備など、医療機関の機能分担と連携による良質な医療供給体制の確保、健康いわて21プランの作成などによる健康づくりの推進、個々の高齢者や障害者のニーズに的確に対応するための保健医療と福祉の連携などが骨子となっております。県としては、この意見具申を受けて、療養型病床群の整備目標数については早急に計画に取り込んで、要介護者の受け皿として整備し、また、その他の内容については、今後、県民各層から御意見をいただきながらさらに審議会で検討を深めていただき、今年度中に中間答申をいただいて、新しい保健医療計画を策定していく考えであります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、県立大学との連携についてでありますが、県立大学の開学により、本県高校生の大学進学の意欲が高まるとともに、恵まれた施設、設備、環境の中で、高等教育を受ける機会が地元に大きく生まれましたことは、大変喜ばしいことであると考えております。また、本県の生徒たちがそれまでに学んできたことについて、地元の上級学校で続けて学習を深められることから、産業や科学技術の進展、社会の動向などに対応してみずからの資質を一層高め、可能性を開くことのできる場が、本県においてさらに広がったものとして大きく期待をしております。
 今年度の入学者選抜においては、県内の高校生に定員の3割の推薦枠を設け、また、専門高校や総合学科の関連学科・系列に定員枠を設けるなど、全国的な大学入学者選抜の改善の方向に沿った先進的な取り組みがなされているものと考えております。また、県立大学は、地域に根差し、地域に開かれた大学を目指すという方針を示しておりますが、こうした地域との連携の重視という方針は、まことに望ましいことと受けとめております。
 県教育委員会といたしましては、今後、大学入試の改善や高校生による大学訪問の実施、アドミッション・オフィスとの連携、さらには日々の教育活動等における県立大学との連携など、個性をより豊かに発揮し、創造性を存分に伸ばすことができる環境づくりを目指して、県立大学とともに検討を進めながら、本県教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、県立高等学校長期構想検討委員会の審議についてでありますが、同委員会は平成9年3月に設置され、現在までに8回委員会が開催されております。この間、県内の産業界、教育関係団体等の方々から、魅力ある高等学校のあり方、総合学科の設置や中高一貫教育の導入、学校・学科の適正規模等について意見をお聞きし、それらに基づきながら検討を進め、本年4月に、社会の変化に対応した県立高等学校のあり方についての骨子をまとめていただいたところであります。その後、この骨子をもとに、広域生活圏別に県内9ブロックで懇談会を開催することとし、各地区、各界の方々の意見を直接伺っているところでございます。
 今後、検討委員会において、県立高等学校のあり方について取りまとめが行われることとなりますが、その過程において御提言の趣旨をも踏まえ、さらに検討が深められるよう配意してまいりたいと存じております。
〇12番(伊沢昌弘君) 大変多くの質問にお答えいただきましてありがとうございます。
 二、三、再質問させていただきたいと思います。
 1点目は補正予算にかかわって、公共工事中心ではないかというふうな感覚がとれるわけでありますが、本県の場合はまだまだ、言ってみれば道路も含めて社会的な資本の整備が必要だというふうに私も承知をしています。ただ、この中で県民が望むのは、いろんな形の中で高齢化社会に向かっての整備を含めた施設の整備なり、いろんなマンパワーの整備も含めてあるのではないかと。今後、こういう部分に力を注ぐことが県民のニーズにこたえることにはならないかと、こういうふうに思うわけであります。そういった意味で--だれが答えるかわかりませんが、知事が答えれば一番いいと思うんですが--そういった部分についてお示しをいただければと思います。
 2点目は火山対策ですが、大変苦労されてやっていると思います。私は、今後どうなるかという問題よりは、今いろいろやってきた中で、1点だけ、ちょっと正確に読めないかもしれませんが、常時観測火山に国の指定を受けて、常時観測の部分を受けたいという御答弁があったんですが、これを受けることによってどのような形で観測体制の強化が図られるのか、その辺を教えていただきたいなというふうに思うわけであります。
 それから、企業倒産を含めて大変な数字が今出ました。農協の不良債権の部分、不良債権といいますか債務超過の部分が、たしか自助努力をやっていくと、トータルで24億円ほどになるというふうに了知をしているんですが、先ほど小野寺商工労働観光部長の答えですと、企業倒産の負債総額が74億円という数字になるわけであります。農協というのは大きな母体ですから、それは補てんをすることがあって当然だと思うんですが、企業のような部分で倒産をするというのは、やはり負債を抱えたその数字はもろに地域社会にきく分だと思うんです。今後、雇用対策も含めていろんな部分で、たしか緊急対策ということで岩手緊急経済対策資金貸付金等々の部分もあるわけでありますけれども、中小企業が借りやすいシステムもしくは相談を受けやすいシステムづくりもこれから絶対必要だというふうに思うわけでありますが、商工労働観光部長の方で、この企業倒産を未然に防ぐ部分での決意のほどを、もう一度お願いを申し上げたいというふうに思うわけであります。
 最後に要望なんですけれども、林業の関係で大変前向きの御答弁をいただきました。営林署の関係については国が決めることでありますけれども、民間のいわゆる民有林と県有林、さらには国有林の関係等々を考えていけば、県が持っている林業に対するいろんな施策と国の施策が、やっぱりマッチをしていかなければならない課題だというふうに思います。今後、決まるまでにはまだ間があるやに思うわけでありますが、私ども社民党の訴えは、中央段階でいろんな事業所を統合していく段階で、くくりの何ヘクタール当たりの部分をこうしろと、もうちょっと下げていろんなところに事業所を置けるようなことも検討してくれないかというふうな要望も出している部分があるわけであります。改めて県の方で、国の方から、いわゆる林野庁といいますか営林署の方からものを聞かれた際には、岩手県はこういう形で残していただくような形をぜひお願いしたいというふうなことを、意見として言っていただければというふうに思うわけですので、ここは要望ということでお願いをしたいと思います。
 答えられる範囲で結構ですので、再質問にお答えをお願いしたいと思います。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ただいま議員から補正予算についてのお尋ねがございましたけれども、今回補正予算では公共事業の追加などと同時に、医療・福祉・教育施設の整備など、各般のものを盛り込んでいるところでございます。やはり全国的な傾向もいろいろ公共事業について御意見があるようでございますけれども、我が県の置かれております現状を見ますと、まだまだ本県ならではのそうした部分での整備がおくれていると、そのことが県民生活の上で大変なマイナスをもたらしているという部分がございます。したがいまして、これからもこうした部分を十分に見通しながら、21世紀の岩手県をつくっていく上で何が一番必要なものであるかということを十分に注視をして、そしてそれに適切に予算が配分されるように注意をしていきたいと、このように考えております。
   〔総務部長吉田敏彦君登壇〕
〇総務部長(吉田敏彦君) 火山の常時火山観測体制になればどういうメリットがあるかというふうなお尋ねでございますが、観測体制には、機動観測対象火山と、お尋ねのありました常時観測対象火山と、この2つがございまして、岩手山の場合は、現在、機動観測対象火山ということになっております。この機動観測対象火山は、一定期間というか期間が限られまして、臨時的に観測体制を組むというものが基本的には機動観測対象火山ということでございます。現在、岩手山の状況を見ますと、一定期間だけではなくて常時もう既にかなりのものが、先ほど御答弁申し上げましたように、かなりのものがなされているということでございます。しかしながら、さらにより充実するためには、人的な面も含めまして、あるいは危機的な面も含めまして、さらに充実するためには常時火山観測体制にしなければならないということで、今後努力していかなければならないというふうに考えておるところでございます。
   〔商工労働観光部長小野寺修君登壇〕
〇商工労働観光部長(小野寺修君) 企業倒産に関してでございますけれども、先ごろ6月15日だったと思いますが、私ども商工労働観光部が主催をいたしまして、県内の金融機関それから商工団体等に集まっていただきまして、県内の中小企業の景況についていろいろと会議を持った次第であります。その場におきましても、企業にばらつきはあるものの、大概の企業が、受注あるいは資金繰り等について非常に景気の低迷によって困難を来しておるといったような状況の話を伺った次第であります。こういう状況でありますので、私どもといたしましては、さらに県の制度資金とかそういうものを活用していくわけでありますけれども、金融機関からの円滑な融資ということで、その場でもお願いはしてまいりましたが、今後につきましても、そういう金融機関それから商工団体と絶えず連携をとりながら、資金融資によって成長性のある企業とかそういうものが倒産に落ち込まれないような、何といいますか、血の通ったといいますか、心のこもった対応をして倒産の防止に一層努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
   
〇副議長(吉田秀君) この際、暫時休憩をいたします。
   午後3時49分 休 憩
   
出席議員(40名)
1番 斉  藤     信 君
2番 上  澤  義  主 君
3番 佐 々 木     博 君
4番 中 屋 敷     十 君
5番 佐 々 木  一  榮 君
6番 黄 川 田     徹 君
7番 小 野 寺     好 君
9番 千  葉     伝 君
10番 佐 々 木  大  和 君
11番 水  上  信  宏 君
12番 伊  沢  昌  弘 君
13番 大 久 保     豊 君
15番 須  藤  敏  昭 君
16番 藤  原  泰 次 郎 君
17番 伊  藤  勢  至 君
18番 高  橋  賢  輔 君
19番 渡  辺  幸  貫 君
20番 折  居  明  広 君
21番 船  越  賢 太 郎 君
23番 谷  藤  裕  明 君
24番 久 保 田  晴  弘 君
25番 瀬  川     滋 君
26番 長 谷 川  忠  久 君
27番 千  葉     浩 君
29番 三  河  喜 美 男 君
31番 村  田  柴  太 君
33番 菊  池     勲 君
34番 工  藤     篤 君
35番 菅  原  温  士 君
36番 小  原  宣  良 君
37番 吉  田  洋  治 君
38番 藤  原  良  信 君
39番 及  川  幸  郎 君
40番 那 須 川  健  一 君
42番 山  内  隆  文 君
44番 樋  下  正  光 君
45番 佐 々 木  俊  夫 君
46番 山  崎  門 一 郎 君
48番 佐  藤  啓  二 君
50番 吉  田     秀 君
欠席議員(7名)
14番 田  村  正  彦 君
22番 浅  井  東 兵 衛 君
30番 村  上  恵  三 君
43番 佐  藤  正  春 君
47番 菊  池  雄  光 君
49番 堀  口 治五右衛門 君
51番 藤  原  哲  夫 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時5分 再 開
〇副議長(吉田秀君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木大和君。
   〔10番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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