平成19年2月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 競馬組合に対する330億円の融資と、2007年度岩手県一般会計予算等に反対の討論を行います。
 議案第59号平成18年度岩手県一般会計補正予算(第4号)と議案第60号岩手競馬経営改善推進基金条例は、破綻状態にある競馬組合に330億円、県としては297億5、000万円の融資を行おうとするものであります。
 反対する第1の理由は、競馬組合の現状が深刻な破綻状態にあり、既に財政競馬としての本来の存在意義を失っていることであります。競馬事業は、経常損益で見れば平成11年度から赤字となり、今年度末では166億円余の赤字となっています。2年前に岩手銀行から融資を断られ、事実上破綻に陥ったのでありますが、県と盛岡市、奥州市による37億円の融資で継続してまいりました。増田知事は、乾坤一てき競馬組合の再建に取り組むと言いましたが、新たに43億円の赤字をふやしたのであります。競馬組合の現状は、二重、三重に破綻状態にあると言わなければなりません。破綻状態にある、存在意義を完全に失った競馬事業、公営ギャンブルに対し、県民の税金330億円を投入し、救済することは許されないことであり、県民の理解も得られないものであります。
 第2に、新たな競馬組合改革計画と来年度の事業計画に全く根拠がないことであります。計画では、岩手競馬商圏内での購買力は予想を超えて大幅に低下していると述べながら、来年度の事業計画では、広域受託発売を今年度の50億4、500万円から116億円に倍以上見込み、自場発売と広域受託発売の合計では、今年度255億円の売り上げを来年度は309億円に54億円も上回る計画としていることは、全くの幻想、期待であり、実効性のないものであります。また、コスト削減も、東北映像との復元の合意に見られるように、1年限りの根拠のないものであります。競馬事業を継続しても、早晩破綻してしまう、そのときには、330億円どころか372億円を超える負担となることは明らかであります。
 第3に、競馬事業を破綻させた原因と責任を明確にして、廃止してこそ県民への犠牲を最小限にするものだということであります。また、奥州市や盛岡市の財政破綻を回避する道でもあります。12年間競馬組合の管理者を務めた増田知事の責任は重大であります。これまでの副管理者、幹部職員の責任も問われます。
 また、競馬組合に融資してきた金融機関の貸し手責任も当然問われるものであります。岩手銀行は、奥州市議会の要請に、破綻した場合は長期の償還スキームを検討することになると答えました。公営企業金融公庫は、破綻した場合、一括ではなく、分割払いの実例があると答えています。これは、金融機関の常識であります。岩手銀行には既に32億円の利息も支払われており、無利子もしくは低金利の長期の償還スキームの交渉を行うべきであります。たとえ念書をとられているとしても、県民の立場に立って、金融機関の常識に立って交渉すべきであります。金融機関に対して当然の要求と交渉を行う前提として、責任のある増田知事は3、868万円の退職金の返納などの責任を果たすべきであります。
 廃止したところはどこでもやっていますが、長期の償還スキームとなった場合、盛岡競馬場、水沢競馬場でのテレトラックは実施し、その売り上げから返還すべきであります。その際、水沢競馬場における1場体制の可能性も検討すべきであります。
 破綻状態にある競馬組合への330億円の融資は、増田知事の責任回避であり、問題の先送りにしかなりません。
 議案第1号は、平成19年度岩手県一般会計予算であります。
 反対する第1の理由は、県民の命と暮らしを守るべき自治体の本来の役割を投げ捨てていることであります。
 増田県政はこの間、県財政の破綻を理由に行財政構造改革プログラムを実施しました。その実態は、116件19億円の福祉の事業を削減するものでありました。その中には、親をなくした遺児に対する年間わずか3万円の見舞金さえ廃止することや、特養ホームの待機者が急増しているもとで、特養ホームなどの施設整備に対する県単補助金の10億円に及ぶ廃止などがありました。障害者自立支援法のもとで、障害者は、工賃の数倍の利用料と食事代を取られ、生きがいも働きがいも奪われかねない状態であります。ところが、県は何の負担軽減策も講じておりません。県と市町村が何の対策も持っていない県は、岩手と佐賀、山口の3県だけであります。今、県政に求められていることは、県民の命と暮らしを守るという福祉の心を取り戻すことであります。
 反対する第2の理由は、総合雇用対策局を廃止し、雇用対策本部まで解散して雇用対策を大幅に縮小しようとしていることであります。
 さきの討論で述べたとおり、完全失業者は1.5倍にふえ、臨時雇用が全国4番目の高さとなっているときに、雇用対策を縮小することは、県民の深刻な実態と願いに背を向けるものであります。
 反対する第3の理由は、学力テストの推進で競争をあおり、中高一貫校の導入や成果主義賃金制度の試行・導入などで、教育格差の拡大と、差別と分断を推し進める教育を進めていることであります。
 岩手県は東京に続いて学力テストに熱心な県であります。さらに、県立高校では、大学進学の数値目標を掲げ、教育に市場原理主義と競争を導入しています。さらに来年度、学びフェストの取り組みで、数値目標で子供たちをテスト漬けにして、できる子、できない子をふるい分け教育格差を拡大するものとなっています。
 一関一高へのエリート養成を目指す併設型中高一貫校の導入は、地域住民の合意を得ない拙速なやり方で、小学校まで受験競争を拡大し、地域の教育に新たな混乱と困難をもたらすものであります。
 深刻ないじめ問題の解決のためにも、一人一人に行き届いた教育を進め、真に学力の向上を実現するためにも、成果があらわれている35人学級を小学校全学年に拡充すべきであります。
 教職員への成果主義賃金・新昇給制度の導入は、教職員の共同による教育と学校に差別と分断をもたらすものであり、最近の職員団体のアンケートでも87%が導入に反対しており、抜本的に見直すべきであります。
 反対する第4の理由は、大型開発を推進して県財政を破綻させたにもかかわらず、530億円の簗川ダム建設事業や164億円の津付ダム建設事業に固執していることであります。
 増田知事の12年間で県債残高は8、000億円ふえ1兆4、000億円となりました。その結果、福祉も公共事業も大幅な削減をせざるを得ない深刻な状況となっています。こうした中で、不要不急、むだと自然環境破壊になりかねない簗川ダムや津付ダム建設を推進することは、矛盾と破綻を一層拡大させるものであります。
 反対する第5の理由は、農家と農地の6割以上を切り捨てる政府の品目横断的経営安定対策をしゃにむに推進しようとしていることであります。
 岩手と地域の農業と農村を守り食料自給率を上げるためには、農業を続けたいと願うすべての農家を担い手と位置づけ、地域の実態に合った多様な農業、集落営農を推進すべきであります。
 第6に、地域住民と市町村の声を無視して上から市町村合併を進めてはならないということであります。
 財政危機を理由にした市町村合併は大義のない合併となり、周辺地域の衰退や職員の待遇格差など大きな後遺症をもたらしています。市町村合併の検証を行い、自立を目指している市町村への支援にも対等・平等の立場で取り組むべきであります。
 コンサルタント行政、トヨタ方式の導入は既に破綻しています。県民の利益を守る、県職員の知恵と力を結集するという地方自治の精神で行政の刷新を図るべきであります。
 議案第11号平成19年度岩手県港湾整備事業特別会計予算は、過大な投資を進めてきており、反対するものであります。
 議案第12号平成19年度岩手県立病院等事業会計予算は、国の医療費抑制、医師の絶対的な不足の中で困難を抱えていますが、地域住民、関係自治体などの声を無視して地域病院の診療所化を進めており、反対するものであります。
 議案第23号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例は、大幅に県職員の定数を削減しようとするものであります。特に、この間、県職員の採用に当たっては、募集を超える合格者を出しながら、採用は募集の半分程度に絞り込むなど、県民、青年を欺くやり方さえ進められており、許されるものではありません。雇用対策にも背を向けるものであります。
 議案第37号、45号、46号は、県立学校、職業能力開発校、農業大学校の授業料を値上げするものであり、反対するものであります。
 以上述べまして、私の反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、小原宣良君。
   〔40番小原宣良君登壇〕

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