平成19年2月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(ザ・グレート・サスケ君) 民主・県民会議における最後の県民、ザ・グレート・サスケでございます。
 登壇の機会をいただき、また、この4年間の厳しくも温かい御指導に、会派を超えて、すべての先輩・同僚議員の皆様に、心から感謝を申し上げます。
 それでは、順次質問させていただきます。
 まず初めに、ドクターヘリ導入についてお尋ねいたします。
 4年前に、私が初めて議場に登壇させていただいたときから提言し続けている本県へのドクターヘリ導入についてですが、知事、保健福祉部長ともに、2年連続で、導入検討の土俵に上がる余地すらない旨の答弁でした。しかし、昨年の2月定例会で、小野寺好議員の同様の質問に対し、増田知事は、導入済みの他県の状況の情報収集に努め、本県においての導入の可能性を引き続き検討するとの答弁をなされました。
 おととしの10月、私の友人の父が、通院の帰り道に、静岡県下田市内を車で運転中脳梗塞を起こしたため、突然意識がなくなり、電柱に激突しました。その際、エアバッグがうまく作動せず、内臓破裂の重傷を負いました。すぐ近くの診療所に運ばれましたが、そこでは対応できないとのことで、一番近い大病院に行くしかないとなったときにドクターヘリが到着、伊豆の国市にある順天堂大学医学部附属静岡病院に搬送されました。
 事故現場の下田からその病院に行くまでは山を越えなくてはならず、救急車での搬送だと1時間15分かかるのですが、ドクターヘリのおかげで10分弱で病院に到着したそうです。ヘリの中で脈が2回とまったそうですが、フライトナースや救命士が応急処置を施し、一命を取りとめたそうです。その静岡県より広い本県にこそ、ドクターヘリは必要です。
 ドクターヘリは、1970年代から欧米で運航され始めました。現在、ヨーロッパ全土で約250機、アメリカでは約500機が活躍しています。日本とほぼ同じ面積のドイツでは1968年から導入され、現在では52カ所の病院に常駐し、全国どこでも、15分以内に医師が初期治療を開始できる体制にしています。ドクターヘリの理想的な活用範囲は、常駐する病院から50キロ圏内です。時速200キロから250キロで飛ぶドクターヘリにとって50キロという距離は、患者の救命率や後遺障害などを大きく左右する、初期治療開始時間15分を実現できる最適な距離なのです。
 日本では、1999年から実験運航が開始されました。2001年から運航している日本医科大学千葉北総病院救命救急センターの医師は、現場から医師と看護師が治療を開始できることによって、救命率向上に間違いなく効果が上がっていると明言しています。
 ある消防が調べたデータによると、救急車で搬送時間が平均40分かかっていた地域での初期治療開始時間が、平均で30.7分短縮できたそうです。この30分の時間短縮は、脳卒中、心筋梗塞、ショックを伴う外傷等の患者の救命にとっては、特に大きなメリットとなります。
 このドクターヘリに求められるものは、安全確保と騒音低減です。通常のヘリが機体上部にあるメーンローターと後部にあるテールローターで動くのに対して、最新機種であるMD902型機は、テールローターをなくした画期的な構造のために、搬入時等にテールローターにぶつかる可能性が全くなく作業に専念できることと、騒音原因であるローターが一つ減ったことにより、世界各国の運輸省が、最も静かな機体として認定しているほど騒音が下がっているので、ドクターヘリに最適です。
 このMD902型機は、アメリカ連邦航空局によると、回転翼航空機騒音値が通常のヘリの許容値に比べ、離陸時、通過時、進入時それぞれで、約10デシベルも低減されていることが発表されています。また、現場に到着後に一たんエンジンを切り、騒音を考えずに作業に専念し、ストレッチャーを安全に搬入後に再度エンジンをスタートさせ、2分で離陸できます。実験運航の結果、ドクターヘリで搬送された患者のうち、75%に医療行為が施されたことが報告されましたが、このMD902型機は振動と騒音が少なく、機内が広いために医療行為に支障はありません。また、通常、キャビン後部から搬入する自走ストレッチャーを、積雪時や砂地などでは横からも搬入できます。
 ドクターヘリの運航スタッフは、パイロットとメカニック、そしてドクターヘリ特有の運航方法や体制、医療知識まで把握したコミュニケーションスペシャリストの3名が常駐します。そして、救命救急センターの医師と看護師が、いつでも搭乗できる体制を整えます。ドクターヘリ出動のガイドラインは、いち早く医師の初期治療を開始する必要性や緊急性をかんがみ、消防指令室に送られる119番通報の内容や、現場に到着した救急隊員の判断にゆだねられています。出動要請から離陸まで約2分。現場で患者や家族の希望を優先して搬送先を決めます。
 高速道路網の発達したドイツでは、交通事故死者数が、導入前から後では2万人から7、000人へとわずかな期間で激減し、大きな効果を上げました。救急車だけでは助からないようなケースでも、ドクターヘリを活用することによって、救命率の向上に大きく寄与することは、実験運航でも証明されました。運航のためには、救命救急センター敷地内にヘリポートと運航スタッフの待機所が必要です。今後は、消防との共通無線機の搭載など、より密接な連携体制をとった一元運用化が課題です。第3次救急医療体制の強化や医師過疎地対策がドクターヘリを活用した高度な救命救急医療システムによって、全国各地で着々と実現しています。ドクターヘリがなければ父は助からなかったと、その友人はしみじみと語っていました。
 改めてお尋ねいたします。
 現状はどこまで導入の見通しが立っているのでしょうか。
 次に、新型インフルエンザ対策についてお尋ねいたします。
 今、全世界を脅かしているH5N1型鳥インフルエンザに感染した鳥は、短期間に全身出血して死亡し、死亡率は90%で、エボラ出血熱に酷似した症状を見せています。その鳥インフルエンザは、かぎとなる遺伝子的要素が一つ欠けているために、人への感染があり得なかったにもかかわらず、その障害が乗り越えられたという不可解な現象により人へ感染、新型インフルエンザに変異し、人から人へと爆発的に感染が広まり、人類史上、最悪の殺人伝染病となるおそれがあります。
 2004年のWHOの警告からおくれること翌年末に、アメリカに追従する形で厚生労働省も対策に乗り出し、本県での対策・対応方針策定となったわけですが、県内の外来患者数を最大で27万2、000人、死亡者数を1、900人と想定しているにもかかわらず、県民の圧倒的多数は関心が薄いのが現状です。その背景の一つには、厚生労働省が推奨する抗インフルエンザ薬リン酸オセルタミビル、商品名タミフルが、あたかも万能薬のように誤認されている現状があります。
 エジプトでは、既にタミフル耐性ウイルスが検出されています。欧米では、そもそもタミフルに頼らず、インフルエンザを治そうとするのが一般的であります。なぜなら、タミフルの効能は、発熱期間を1日程度短縮することにとどまっているからです。しかも、問題なのは、タミフルを服用後に副作用と見られる異常行動を起こし、未成年者が死亡するケースが相次いでいることです。
 厚生労働省研究班は、昨年11月に、タミフルと自殺衝動との因果関係に否定的な見解を発表しましたが、その直後に、アメリカFDAは、逆に、副作用の危険性を示唆するような見解を発表しました。今月16日には、愛知県蒲郡市で、インフルエンザのため学校を休んでいて、午前中に病院からタミフルを処方されて服用した直後のマンション10階に住む中学2年の女子生徒が、家族の外出中に、外廊下の高さ1.3メートルのさくをはだしで乗り越えて転落死しました。
 遺族らでつくる薬害タミフル脳症被害者の会は、23日、厚生労働省を訪れ、タミフルとの異常行動による事故死との因果関係を認め、医療関係者や国民に広く警告するよう文書で要請しました。また、文部科学省に対しても、教育現場で注意喚起するよう申し入れました。
 きのうも、仙台市宮城野区で、マンション11階に住む中学2年の男子生徒がタミフル服用後に、母親にトイレに行くと言い、玄関から外に出てそのまま転落死しました。服用後の異常行動は、これまで全国で54件、うち、飛びおりは3件判明しています。タミフルの世界シェアが一時は70%に上るほど、現在でも使用量が世界一の日本こそが、率先して注意しなければならないはずです。
 私は、終始一貫して、この問題を孤軍奮闘で訴えてまいりました。おかげさまで、県内の医療現場で働く複数の医師、看護師の皆さんからは、激しく賛同していただきました。今からでも遅くはありません。タミフルの備蓄を中止し、本県独自の対応策を、医療関係者とともに検討し直し打ち出すべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、いわて花巻空港についてお尋ねいたします。
 新空港ターミナルビル建設所要額の一部を補助する予算案が、今定例会に平成19年度当初予算として提出されました。新ターミナルビル着工の暁には、隣県の空港に負けない、また、国内外から来た利用客に対して恥ずかしくないような施設になってもらいたいと、切に願うばかりです。
 メキシコシティのベニート・フアレス国際空港のターミナルビルは、過去10数年間で少しずつ増築を重ねて、順次拡大発展していきました。いわて花巻空港も今後の利用者増を視野に入れ、また、しっかりとした受け皿があって、初めて新規に訪れる観光客がふえるという大原則のもと、新ターミナルビル建設に当たっては、長期的な観点に立ち段階を踏んで順次拡大すべきで、容易に増築可能な建築構造にすべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、人口減少問題についてお尋ねいたします。
 おととしをピークに、日本は初の人口減少時代に突入したと言われました。しかし、今月21日、厚生労働省は、昨年の人口動態統計速報をまとめたところ、一転して2万6、885人増となり、再び人口増に転じたと発表しました。合計特殊出生率も6年ぶりに上向く見通しで、1.3台に回復する可能性が高いとのことです。昨年は、一昨年に比べ出生数が3万2、041人ふえる一方、暖冬で死亡数が795人増にとどまったことから、2年ぶりの人口増になりました。
 厚生労働省は、景気回復に伴って、おととし6月からプラスに転じた男性正規雇用数が5年ぶりの結婚数増に結びつき、出生数の増加となってあらわれたと見ています。実際、昨年の結婚数は1万7、850組増の74万8、017組でした。しかし、昨年の出生数は113万人だった2004年を依然下回っています。厚生労働省は、昨年の人口増の理由について、一昨年の出生数が単に少なかったことと、インフルエンザの猛威で死亡数が極端にふえたことの一時的な反動にすぎず、ことしは再び人口減になると予測しています。人口減により、労働者の割合が減っていくために、税金や社会保障の負担がふえ続けることに、危機感を感じている人たちがほとんどです。よって、国策として、高齢者に手厚くする一方で、少子化対策に本腰を入れることになったわけですが、何をもって少子化対策とするのか、いまだ定まっていないのが現状ではないでしょうか。
 将来の日本は、江戸時代に戻るべきだとの考えが、識者たちの間でささやかれ始めています。江戸時代末期も飢饉や寒冷による死亡率上昇のため、また、女性晩婚化と少子化によって人口減に突入しました。特に北関東では、18世紀前半から後半にかけて、江戸等都市への流出も影響し人口が20%も減少し、悩んだ藩の中には少子化対策に乗り出し、妊娠した女性を登録して江戸版母子手帳をつくり、それに基づき、米や金などの養育手当を出したところもあったそうです。効果のほどは不明とのことが、皮肉にも歴史は繰り返すことを思い知らされます。問題は、対策を練る人たちの中に、子供を産む世代がいないことかもしれません。また、地球環境問題を考えた場合、人口は少ないにこしたことはないとの考えもあります。江戸時代以後は、工業化によって爆発的に人口がふえましたが、谷口誠県立大学長が、以前、県議会県政調査会にて御講演いただいたように、脱工業化ゼロ成長計画という世界の流れにより、人口増加の局面は完全に終わりを告げたと言ってよいでしょう。
 政府・与党から野党までも、子を産みたい人が安心して産むことのできる社会にすればよいというような見解しか出せていません。子を産む世代が望むことは、地球の未来を見据えて、産んでよいのか悪いのかを、はっきりさせてほしいということなのです。このように、人口減少問題は、少子化問題や地球環境問題とあわせて一元的に議論していくべきで、政府が指針を示せない現状においては、知事がリーダーシップを発揮し、県民に対して、人口増がよいのか人口減がよいのかをはっきり示すべきであると考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、住民基本台帳ネットワークシステムについてお尋ねいたします。
 牛の10けたと同様、人間が11けたの背番号で管理されるこのシステムは、いよいよ人間にもトレーサビリティーシステムが導入されたのかと、背筋が寒くなる思いです。これまでの答弁は、総務省が安全を確認して問題ないから、ファイヤーウォールがあるから、専用線を使うから大丈夫といった内容ばかりでした。セキュリティーとプライバシー保護は別問題ですし、ICカードが現実世界とさまざまなデータベースの間のリンクになることが問題なのです。IC免許証まで出てきては始末におけません。行政サイドは、利便性ばかりをうたっていますが、国民に便利ということは犯罪者にとっても便利なのです。
 ある国のマフィアは、コンピューターで個人情報を収集して敵対者リストをつくり、殺害していると聞いています。日本における今日の犯罪の凶悪化を考えた場合、対岸の火事でいられません。まして、日本は世界でもまれな戸籍制度を確立した国なので、個人情報が集められると悪用される可能性が高いのです。グリーンカード制、納税者番号制の議論を経て、住基ネットの法案は1998年3月に閣議決定の後、国会へ上程されました。しかし、実態が余りにもあっけなく魅力もないものだったので、官僚の中には、この法案は通らないだろうと言い出す者までいたそうです。ところが、その翌年の8月、マスコミや世間の目が通信傍受法案の議論に集まっていたどさくさに紛れた形で、住基ネット法案は可決、成立してしまいました。都道府県は、住基法で定められた10の事務のうち、七つをラスデック財団法人地方自治情報センターに委託しているので、内容も実務上の問題もほとんど理解していないのではないでしょうか。地方分権推進派知事の中でも、たった1人異議を唱えた橋本大二郎高知県知事は言いました。私が市町村だったら参加しませんねと。
 合併しない宣言やみずから庁舎の清掃を行うことで有名な福島県矢祭町の根本良一町長は、人間に番号をつけて管理すること自体が間違いだと断言し、全国で最初に離脱しました。県内にも、住基ネットから離脱したいと思っている市町村は少なくないはずです。しかし、小さな自治体ほど財政的にも技術的にも弱く、総務省と対等に議論することなどできません。ここで県の出番です。各市町村の現状を把握して問題点を洗い出し、総務省に物申すのです。
 新約聖書には、すべての者にその右手か額に刻印を押させた。そこで、この刻印のある者でなければ、物を買うことも売ることもできないようになったと書かれています。
 プライバシー保護の観点のみならず、県民の生命の安全・安心のためにも、直ちに住基ネットから離脱すべきであると考えますが、検討のほどはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、拉致等北朝鮮問題についてお尋ねいたします。
 2002年8月23日に、ウラジオストクでロシアと北朝鮮の首脳会談が開かれ、シベリア鉄道と北朝鮮の東海線連結が合意されました。この連結合意により、プーチン大統領は、ソ連崩壊後に衰退の激しいウラジオストクを中心とする極東地域を活性化させることが可能になりました。つまり、シベリア鉄道を北朝鮮経由で釜山まで結びつけると、釜山はヨーロッパとつながるアジア最大のコンテナ基地になるため、ロシアにとって流通を飛躍的に発展させることができるからです。従来、ロシアは、海路で釜山を利用していましたが、陸路ならば大幅なコストダウンと貿易拡大になります。首脳会談の1週間後の8月30日には、分断されていた北朝鮮のキョンウィ線をソウルまでつなぐことが決まり、9月18日にはスピード着工しています。その2日後には、中国との国境にある北朝鮮のシンウィジュを香港のような経済特区にすると発表しました。キョンウィ線はシンウィジュを通って中国とつながっているため、ソウル、ピョンヤン、シンウィジュ、中国と、交通網は拡大します。北朝鮮を中心にして、ロシア、中国、韓国が日朝会談の前に示し合わせたかのように協調体制をとりました。
 プーチン大統領は、首脳会談の際に、金正日から経済特区のインフラ整備のための資金の相談を受けたときに、日朝国交正常化で、日本から多額の資金が得られるだろうとアドバイスしました。まさにその直後の9月17日、当時の小泉首相が日朝首脳会談に挑み、署名したピョンヤン宣言を厳守すれば、経済制裁の発動をしないことと、25万トンの食料支援と約11億円相当の医薬品提供の見返りに、北朝鮮による拉致問題の発表となりました。
 県内に北朝鮮拉致被害者はいないとのことですが、県内の失踪、行方不明者の現状はいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 また、先ごろ発覚した札幌の人気飲食店を舞台にした脱税と北朝鮮への送金疑惑問題と類似した事例が本県にもないでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、地球温暖化対策についてお尋ねいたします。
 おととい、増田知事は、平野ユキ子議員の質問に対して、環境問題について、民間の積極的な取り組みや県民の生活様式の転換を十分に引き出すまでには至らなかったという旨の答弁をなされました。その発言のまさに数時間前に、海の向こうのロサンゼルスでは、俳優のレオナルド・ディカプリオ氏が、ハイブリット車プリウスの後部座席からおり、オスカー授賞式の赤じゅうたんを踏んでいました。彼に賛同する俳優たちは年々ふえ続け、従来は、ガソリンをまき散らす超大型のストレッチリムジンばかりだった授賞式会場が、ことしは、さながらプリウスの展示会のような様相を呈していました。このムーブメントは、レッドカーペット・グリーンカー・キャンペーンと呼ばれています。ディカプリオ氏は、CMに起用される以前から地球環境問題を考え、プリウスに乗っていました。この全米で最も排ガス規制が厳しいカリフォルニア州の知事、アーノルド・シュワルツェネッガー氏は、カープールと呼ばれる優先レーンを、プリウスとシビックハイブリットに限って走行できるようにしました。
 ホンダは、燃料電池車FCXの氷点下20度での始動性能を達成した際に、北海道庁とニューヨーク州に納車しました。田中康夫前長野県知事は、上高地等への乗り入れは低公害車に限定する方針を打ち出しました。
 本県公用車へのハイブリット車等エコカーの導入状況はいかがでしょうか。知事が率先してエコカーに乗れば、県民の地球温暖化対策への意識啓発にもつながると思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、超能力捜査についてお尋ねいたします。
 おととし12月15日に、盛岡の自宅から外出したまま行方不明になっていた女性の失踪事件を解決したのは、スウェーデン人の超能力者であったとのことですが、事件解決までの経緯をお尋ねいたします。
 次に、県出資法人についてお尋ねいたします。
 岩手競馬の例を見るまでもなく、県出資法人に必要なのは、民間の経営感覚であります。代表者を民間企業の経営経験者に務めてもらい、従来のいわゆる天下り社長には会長を務めてもらい、官民のバランスを保ち、理想的な経営をしていくことが急務と思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 最後に、芸術文化振興についてお尋ねいたします。
 私の曽祖父駒井輿惣吉旧渋民村元村長は、村長閣下と慕い、何度もお金を無心に来た石川啄木に、出世払いの条件で貸し続けました。その際、啄木がさりげなく持ってきた空っぽの米袋に、私の曾祖母は、米を袋いっぱいに詰めて帰り際に持たせていました。昔も今も、芸術家、文化人、スポーツ選手等を支えているのは、お金の心配をせずに、思う存分、才能を伸ばすための努力をしなさいという親心を持った支援者です。県内にまだまだ埋もれている才能を発掘するためにも、県立美術館やアイーナ等の空きスペースを、アマチュアの芸術家が無料で個展等を開くことができるように提供すべきであると思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 増田知事には、12年の長きにわたって、骨身を削って県政運営をなさってきたことに、心より感謝と敬意を表します。お疲れさまでした。あとは任せてください。
 以上です。男に二言はございません。再質問もいたしません。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) ザ・グレート・サスケ議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口問題であります。
 我が国は、合計特殊出生率が昭和40年代後半から低下の一途をたどっておりまして、他の先進国と比較して最も低い水準にあることなどから、急激に少子・高齢化が進み、予想よりも早く国全体として人口減少社会に突入したところでございます。この人口減少社会につきましては、識者の見方も分かれているわけでありますが、環境負荷の軽減やゆとりある住環境の確保などといった楽観論も示されているところであります。私は、経済規模の縮小や社会保障面での負担増加に加えまして、中山間地域を中心とした集落の高齢化が進み、地域コミュニティーの維持が限界に達するいわゆる限界集落を経て、集落そのものが消滅してしまう状況が生じるおそれがあることなどを強く懸念するものであります。
 今後は、長期間にわたりまして人口が減少し、高齢化が進んでいくことは避けられないわけでありますが、その中でまず急ぐべきことは、技術革新や労働生産性の向上などにより豊かな経済成長を維持していくほか、住民みずからが主体的に集落の運営にかかわっていくことのできる仕組みづくりなどを進めていくことである、このように考えます。
 また、将来にわたって、地方圏を含む我が国全体の活力を維持・発展させていくためには、我が国の人口の年齢構成をバランスのとれたものにすることが極めて重要でありまして、そのためには、行き過ぎた出生率の低下に歯どめをかけるための取り組みを強化していくことが不可欠と考えております。
 次に、県出資法人についてであります。
 県では、これまで、平成15年度に策定いたしました県出資等法人改革推進プランに基づく諸改革に取り組んできたわけでありますが、特にも、法人が自律的で責任ある経営を展開していくためには、民間におけるすぐれた経営感覚や経営手法の導入を図ることが重要なポイントでありまして、広く民間経験者等からの人材の登用に努めるよう、県として、それぞれの法人に対する助言指導を行ってきたところであります。しかしながら、外部からの人材登用、特に最高幹部としての代表者への登用については、処遇面での問題や、すぐれた人材の発掘・確保の問題など、現実的な課題に直面し、その実現は一部の法人にとどまっているのが今の現状であります。
 このように、出資等法人役員への民間人の登用については緒についたばかりでありますけれども、現在、検討に着手している平成19年度からの新しい出資等法人改革推進プランにおいても、改革すべき項目の一つとして位置づけ、例えば、民間経営に関して豊富な知識と経験を持つ県内外の団塊世代の皆さん方の登用なども新たな視点に加えながら、引き続き取り組んでいく必要がある、このように考えているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) ドクターヘリの導入についてでございますが、これまで、ドクターヘリを導入しております千葉県、福岡県へ視察を行い、本県での導入における課題であります立地条件、医療スタッフを含めた運航状況等について調査してきたところでございます。
 また、国におきましては、ドクターヘリを用いた救急医療を全国的に確保するための法案が現在開催中の通常国会に提出されるという動きもございます。この法案の中では、医療計画への位置づけ、関係者間の連携、ヘリコプターの着陸場所の確保、運航経費に係るこれまでの補助制度に加えた新たな支援等について検討していると伺っております。
 県の対応でございますけれども、今後、県としては、こうした国の動向を踏まえつつ、これまで課題としておりましたヘリポートの場所の確保、医療スタッフの確保等に加えまして、本県におけるドクターヘリを活用した場合の救急医療の連携体制の課題についても検討する必要があると考えておりまして、今年度中にも開催したいと考えております医療連携体制のあり方検討会の場において、専門家を交え、こうした点について検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、新型インフルエンザ対策についてでございますが、抗インフルエンザウイルス薬―タミフルにつきましては、国からの各都道府県に対する要請に基づき、国及び各都道府県とともに備蓄を進めているところでございます。本県におきましては、11万6、000人分を平成18年度と19年度の2カ年で行政備蓄することとしております。平成18年度につきましては、12月定例会での御承認をいただきまして、5万8、000人分、58万カプセルでございますけれども、これを購入し、1月に既に備蓄済みでございます。タミフルの備蓄につきましては、新型インフルエンザの大流行、いわゆるパンデミックと言われておりますけれども、こうしたパンデミックに備えた重要な対策の一つと考えております。
 県の対応についてでございますが、厚生労働省が平成17年11月に策定いたしました新型インフルエンザ対策行動計画を受けまして、県としては、昨年1月に、医療関係者を初め、幅広い関係者の御協力をいただきながら岩手県新型インフルエンザ対策対応方針を策定し、同時に保健福祉部内に新型インフルエンザ対策本部を設置したところでございます。
 また、最近の動きといたしまして、厚生労働省では、平成19年1月に新型インフルエンザ発生時以降の対応を定めたガイドライン案を示しておりまして、この3月末までにまとめる予定としております。パブリックコメントなどを行うということでございます。
 新型インフルエンザ対策は、疾病の性質上、全国的な対応が求められると考えており、今後、国から示されるガイドライン等を踏まえた上で、県内の医療関係者等とも連携しながら、本県としての対応マニュアルを策定するなど、総合的な取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) いわて花巻空港についてのお尋ねがございました。
 新空港ターミナルビルは、国内線と国際線の旅客の動線が分離していないことなどによるセキュリティーの問題、それからユニバーサルデザインへの対応の問題等、現在抱えている問題を解決し、利用者の利便性及び安全性の向上を図るため、現ターミナルビルよりも規模を大きくする必要がございます。一方で、整備・運営の主体でございます岩手県空港ターミナルビル株式会社が将来にわたって自立的な経営が見通せるよう、当面、整備する規模を最小限にとどめることとしてございます。このため、議員御指摘のように、今後の利用者数、就航機材、ダイヤ、国際便などの状況の変化に対しても適切に対応できるよう配慮する必要があると認識してございます。新空港ターミナルビルは、待合室、ロビーなどの施設を柔軟に増築できる建築構造としたいと考えてございます。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 住基ネットについてでありますが、住民基本台帳ネットワークシステムは、住民基本台帳法に規定されておりますとおり、行政サービスの向上及び行政事務の効率化を図り、住民の便益を向上させるために構築されたものでございますけれども、御懸念のプライバシーの問題につきましては、まず、本人確認情報の内容が、氏名、住所、性別、生年月日の4情報に限定されていること、二つに、本人確認情報の提供を受ける行政機関等及び対象となる事務も法令に明記された機関及び事務に限定されておりますことから、プライバシー権の侵害またはその具体的危険があるとは認められず、これまでも不適正な情報の利用といった事例はないものであります。
 また、維持管理におけるセキュリティー対策につきましても、一つに、専用回線でネットワークを構築するなど、技術面からの対策、二つに、関係職員に守秘義務を課すなど、住民基本台帳法による制度面からの対策、三つに、セキュリティー規程を整備するなど、運用面からの対策により相応の対策が施されており、セキュリティーが不備で情報が漏えいする具体的危険性も認められず、一切情報漏えい、不正侵入の事例もないものであります。
 こうしたことから、住基ネットは住民のプライバシーを侵害するものではありませんし、県民の生命の安全・安心を脅かすものではないと考えておりまして、今後も適正に運用してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 地球温暖化対策についてでありますが、県では、CO2排出量の削減について、国の6%より高い8%を目標としておりますが、さらに、一事業者としての県の立場からも率先して取り組むため、平成17年4月に、地球温暖化対策実行計画を定めて10%削減を目標に掲げ、全庁を挙げた取り組みを進めております。
 CO2の排出量削減のためには、大きなウエートを占める運輸部門における対策を講じていくことが効果的でありますことから、平成17年6月には公用車のハイブリッド自動車の導入等に関する方針を策定し、県の公用車を更新するに当たりましては、まず、使用実態や適正な排気量を十分考慮した上で、原則としてハイブリッド自動車を導入すること、導入可能なハイブリッド自動車がない場合でも、低燃費かつ低排出ガス認定車を導入すること、さらに、エコドライブを徹底することなどを定めております。
 昨年度末におけるハイブリッド自動車など低公害車の導入状況は、知事部局の一般公用車823台のうち、ハイブリッド自動車13台を含めまして127台、15.4%となっております。知事車を含め、公用車の更新時には、この方針に基づきましてハイブリッド自動車等の導入を図るとともに、エコドライブを徹底するなど、率先して取り組んでいく必要があると考えております。
 また、県のこうした取り組みに加えまして、県民や事業者に対しましても、さまざまな機会をとらえて、運輸部門を初めとするCO2削減の必要について啓発を行い、官民を挙げた取り組みとなるよう努めていく考えであります。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 芸術文化振興についてですが、創作活動の発表の場の確保は、芸術家にとって創作意欲を高め、創作活動の原動力となるものと認識しています。そこで、県教育委員会においては、県民だれもが参加できる最大の文化芸術イベントである岩手芸術祭や、その入賞者などの企画展であるアートフェスタいわてを開催しているほか、県内に在住し、あるいは県出身のアマチュア芸術家ですぐれた業績を上げられた方々を推奨する美術選奨を実施しているところです。
 御提案の無料で個展等を開催できるスペースの提供については、まず、県民がどのような希望を持っておられるのか、そのニーズの把握に努める必要があり、その上で、芸術作品を展示するにふさわしい施設をどのように確保すべきかなど検討していく必要があるものと考えております。県の施設においてそのスペースを確保する場合には、公平性を確保するため、展示いただく作品の選定のあり方や施設の管理者との調整など検討していかなければならない課題がありますが、アイーナの場合は、6階の県民活動交流センター内に無料の展示スペースがあり、いつでも利用することができます。このほか、公民館や郵便局、銀行など、無料で展示のスペースを提供していただけるところもありますので、県民のニーズも伺いながら、一層の御協力をいただけるよう働きかけてまいりたいと考えています。
 今後とも、芸術文化の一層の振興を図るため、県民の意向を伺いながら、その創作活動の発表の場が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長三枝守君登壇〕
〇警察本部長(三枝守君) 初めに、県内の失踪・行方不明者の現状についてお答え申し上げます。
 平成18年中に失踪または行方不明として家出人捜索願を受理した件数は1、074件であります。これまでに、北朝鮮による拉致と判断している事案はございません。
 議員御指摘の札幌の事案につきましては、現在のところ県内でそのような事案を把握はしていないところでございます。
 県警察といたしましては、この種事案を含め、不法事案を把握した場合は、法の定めるところにより、厳正に対処してまいる所存でございます。
 もう一点の女性の行方不明事案についてのお尋ねであります。
 当事案は、平成17年12月15日、盛岡市内居住の当時25歳の女性が自宅から外出したまま行方不明になったものであり、当時、家出人捜索願を受理した盛岡東警察署では、署員を動員し、自宅周辺及び立ち回り先など広範な捜索活動を実施するとともに、御家族からの要望で、家出女性の顔写真入りチラシ等により公開手配を行い、多数の住民からの情報や協力を得て発見に努めたところであります。そうしたところ、約10カ月後の平成18年10月9日、盛岡市内の山林にキノコとりに入った男性が遺体を発見し、警察に通報したもので、着衣等から手配された女性であることが確認されたものであります。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、小野寺好君。
   〔36番小野寺好君登壇〕(拍手)

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