平成19年2月定例会 第23回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(及川幸子君) 民主・県民会議の及川幸子でございます。当定例会におきまして、代表質問の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。
 2期8年間、県政の場で9回目の質問の機会をいただきました。忘れもしない平成7年には、増田知事に岩手丸のかじ取りを託すため、県内各地を、知事の長い足、私の短い足を一つにして走りましたね。覚えていらっしゃるでしょうか。3期12年間、県政の執行者として、額に汗をかき、県内各地に赴き、また、全国に岩手のアピールをされてきたことに、心から敬意と感謝を申し述べたいと思います。
 特にも、全国高校サッカー選手権大会で、出場4、080校を制覇し、優勝された本県代表の盛岡商業高校には、県民に大きな感動を、そして勇気と希望、なせばなる強い心を与えていただきました。知事も優勝の瞬間を競技場で観戦されて、感慨ひとしおだったことでしょう。心から祝福をいたしたいと思います。
 また、来年7月ごろの登録決定に向けて準備をされている平泉文化遺産、まさに岩手のよさを全国に発信できるときが到来してまいりました。
 しかし、一方、多くの県政課題が山積している現状の中で、増田知事は岩手県政に別れを告げ、岩手丸をおりられることになりました。
 そこで、大きな課題を残されたまま退任されるに当たり、3期12年間にわたって県政運営された所感について、まずお伺いいたします。
 先日の報道によりますと、マニフェスト全体の達成度について、知事の自己評価は70点とされております。第三者評価も全体で66点と一定の評価のようでありますが、私は、大きな落とし穴を残したまま県政を去られてしまうことに疑問を隠せないのであります。マニフェスト作成時は岩手競馬問題が大変深刻であり、早急な対策を講じなければならない時期だったはずですが、県競馬組合の巨額な負債330億円という部分が、知事の示す40の政策に含まれておりませんでした。なぜでしょうか。また、最も大事なことは、今後、こうした負の部分は、適時適切にどうするかをはっきり示すことであり、示さなければならないと思うのですが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 平成19年度一般会計当初予算は、骨格予算ではありますが、予算総額は6、965億3、400万円、県債残高は1兆3、885億円となり、県の借金総額が予算総額の2倍、県民1人当たり100万円となっております。また、知事に就任した当初の県債残高は7、029億円、その後、12年を経過した今日、県債残高が2倍の約1兆4、000億円になっております。増田知事は、国の経済対策と一体となり景気対策を行う政策をとったことで、これだけ巨額になったと述べられておりますが、果たしてそうだったのでしょうか。必要なこと、不必要なことに対してもっと目くばせできていたなら、これほど借金が残らなかったのではないでしょうか。知事演述において、平成18年度にプライマリーバランスの黒字化を達成するなど、安定した行財政基盤の構築に向けて一定の道筋をつけることができたとの考えを述べておりますが、約1兆4、000億円の借金を抱える県財政の再建に向け、今後、どのように財政運営すべきとお考えなのか。また、具体的な県債の償還計画をお示し願います。
 県行政へ民間企業の経営品質の考え方を取り入れるため、平成12年度からスタートしたコンサルタント委託は、平成18年度までの7年間で約1億8、000万円の経費をかけ、また、6年間、同じコンサルタントと契約を継続しているケースもあります。県庁職員約5、000人の中には、コンサルタントにも負けないすばらしい企画能力を持った職員がいるはずです。なぜならば、この岩手で育ち、岩手のよさを体で感じて、岩手をよりよいものにしようという気概が職員にあるからであります。県は、3月に予定していたコンサルタント業者による幹部職員研修を中止され、その理由として3点ほど述べられているようですが、実際のところは、6年間委託契約されてきたこの業者さんによる行政品質向上の成果が上がらなかったからではないのでしょうか。また、今年度、新たに設置されたいわてマネジメントシステム推進特命課長19人分の人件費は、年間約1億7、000万円となっています。こうしたコンサルタント委託や特命課長の新設は、一体、県政にとってどれほどの効果をもたらしているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、保健医療福祉施策についてお伺いいたします。
 1月13日付で内閣府が公表した調査結果によりますと、日常生活で悩みや不安を感じている人が67.6%に上り、その原因として老後の生活設計を挙げる人が最も多く、政府に対して、医療・年金などの社会保障構造改革を求める人が72.7%に達しております。県においても、医療制度改革に対応し、県保健福祉計画及び地域保健医療計画の見直し並びに医療費適正化計画の策定をされるようですが、その具体的内容をお示しいただきたいと思います。
 また、介護老人福祉施設等への入所状況及び待機者数を調べますと、待機者の入所を充足できる見通しが立たない状況下のようであります。国は、今後、施設をふやさず、デイサービス、ショートステイなどの在宅介護対策を講じていく方向にありますが、一般家庭の現況を見ますと、すべてにおいて高齢者の介護ができるという状態ではないことがうかがえます。県としては、高齢者の介護について、今後どのように対応されるのか、お伺いいたします。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 子供を安心して産み育てられる環境が整っているのでしょうか。多少の疑問が残るところであります。働く女性が多い今日、育児と仕事の両立は大変であり、国、県、市町村の支援が必要とされております。女性は子供を産む機械と柳沢厚生労働大臣は問題発言をされましたが、機械でないからこそ、女性には、子を持つ悩み、子を育てる悩みがあります。スウェーデンのように国家が子育て支援の施策を打ち出している国もありますが、本県は、子育て支援としてどのような対策をとっていくのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、医師確保対策についてでありますが、県庁内に設置した医師確保対策室は、県外から6人の医師を採用する方向で調整に入ったとお聞きしましたが、まだ成果は上がっていないようであり、依然として産婦人科の医師不足が解消される見通しは立っていません。こうした状況は、産科医のいない地域の妊婦さんにとっては特に大変深刻な問題であり、早急な医師確保が求められるところであります。県は、今後、助産師との連携なども含め、どのように対応されるのか、お伺いいたします。
 医師臨床研修制度がスタートし、3年目を迎えた今、2年間の研修中に必ず地域医療を経験するという位置づけは、訪問診療を通して患者さんと多くの対話ができて、医師にとっても大きな意義があるようであります。過日、NHKで遠野の若い医師の訪問診療の様子が報道されておりました。何とか若い医師を岩手に定着していただくように望むものですが、本県の取り組み状況をお聞かせください。
 また、昨年12月に募集を開始したドクターバンクの成果と今後の見通しについて、あわせてお伺いいたします。
 次に、コンパクトシティー政策と中心市街地の活性化対策についてお伺いいたします。
 中央ではいざなぎ景気を超える景況が伝えられておりますが、本県を初めとする地方都市の中心市街地では、商店のシャッターが軒並み閉じられ、人通りも閑散とし、深刻な状況となっております。このような中、昨年、まちづくり三法が抜本的に改正され、従来の商業振興の視点に加え、中心市街地にさまざまな機能を集め、使いやすく、暮らしやすいまちづくりを進めることにより、その活性化を図る施策の方向が示されました。これは、いわゆるコンパクトシティーの推進を軸にした中心市街地活性化の施策方向性でありますが、私は、人口減少、超高齢社会の到来といった流れの中で、このような施策方向性は、地域の経済や暮らしやすさを、より持続的に保つために重要であると考えております。特に、地方都市の中心市街地では、まちの機能や魅力の喪失から、住むというまちの根本的な部分が失われており、まちなか居住の促進や、それを支える魅力ある商業機能や、医療、福祉、教養文化などさまざまな機能を中心市街地に取り込むことで、にぎわいを取り戻せるのではないかと考えております。青森市ではコンパクトシティー政策を20年ほど前から始め、中心市街地の人口は平成7年を境に増加傾向にあると聞いております。本県においても、地方の閉塞感を打ち破るため、県が積極的に市町村と手を携え、コンパクトシティー政策を基調とした中心市街地活性化対策を具体的に展開していくことが喫緊の課題であると考えます。
 そこでお尋ねしますが、県として、コンパクトシティー政策の方向性をどのように評価し、また、中心市街地活性化に今後どのように取り組んでいくのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、安全・安心な農畜産物の確保についてお伺いいたします。
 宮崎県に続き岡山県内の養鶏場で、強い毒性を持つ高病原性鳥インフルエンザの発生が確認され、ブロイラー生産県の本県においても消費者に注目されるなど、安全・安心な食への関心が高まっております。私は、消費者にとって、購入する際のよりどころとなる産地表示は大変重要と考えており、県産農畜産物の消費拡大を図る観点からも、適切な産地表示の徹底をお願いするものであります。
 また、最近、野菜の残留農薬について、農家みずからが検査を始めたところもあり、また、検査結果の掲示を積極的に行っている店舗もあるようですが、こうした取り組みはまだ一部にとどまっており、安全・安心な農産物をだれもが手に入れられるといった状況にはありません。知事演述の中で、全国に先駆けた地産地消推進運動の展開やトレーサビリティーシステムの導入など、岩手ならではの取り組みを進めてきたと述べられましたが、その成果と今後の取り組みをお伺いいたします。また、学校給食における地産地消や食育の推進状況について、あわせてお伺いいたします。
 次に、小規模農家対策についてお伺いいたします。
 本年4月から、戦後農政の大転換とも言われる品目横断的経営安定対策がスタートしますが、この対策では、支援対象の農業者が、経営規模という形式的な要件で選別されることとなります。言うまでもなく、我が国の農業・農村は、大規模農家だけではなく、小規模農家、兼業農家も含めて、規模や営農形態がさまざまな農家によって成り立っているのであります。農家の減少、高齢化が進む現況の中で、品目横断的経営安定対策のような選別政策だけでは、支援対象外とされた小規模農家の意欲が低下し、本県が目指す我が国の総合食料供給基地の実現が難しくなるばかりでなく、耕作放棄地の増加、ひいては農村地域社会の崩壊の危機に瀕するのではないかと危惧されるところであります。私は、担い手を絞り込むのではなく、小規模農家を含めた支援対策により全体の底上げを図ることが、結果として、担い手、認定農業者の育成につながるのではないかと考えておりますが、品目横断的経営安定対策が導入される中で、本県農業・農村で大きな役割を担っている小規模農家対策について、どのように取り組むのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、入札制度改革についてお伺いいたします。
 公共事業は年々減少の一途をたどってきておりますが、平成19年度当初予算案においても、前年度当初予算と比較して24%に当たる248億円余が減額され、804億円余となっております。県内建設業の経営環境は一層厳しさを増すこととなります。
 このような状況の中にあって、先日、県は、県営建設工事入札制度改革案を示されました。この改革案は、昨年続発した公共工事の入札談合や官製談合の根絶に向けて、全国知事会が12月に取りまとめた都道府県の公共調達改革に関する指針などに基づき、入札制度の競争性、透明性、公正性を高めようとするものであります。
 この改革案によりますと、現在、指名競争入札となっている設計額1億円未満の工事についても一般競争入札を全面導入し、かつ、県外業者の入札参加の機会を拡大して競争性を高めることとしており、地元業者の受注機会がますます少なくなるものと、また、ダンピングが横行するのではないかと危惧されます。
 一方、地元業者は、当該地域で災害が発生した場合、緊急出動等の役割を担い、大きな地域貢献をしております。こうしたことから、入札の競争性を高めるに当たっては、県内建設業の育成・振興にも十分に配慮する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、全国知事会の指針を重視し、競争性を高めようとする今回の改革案に対して、県内業者は大きな不安を感じており、改革案について十分に理解していただく必要があると考えますが、あわせて御所見をお伺いいたします。
 次に、災害への対応についてお伺いいたします。
 昨今、地球温暖化の影響が懸念される中、世界各地で異常気象が発生しており、我が国でも、昨年は九州や長野県など全国各地で豪雨災害、土砂災害が発生し、多くのとうとい命が失われました。本県では、冬の異常寒波による道路の凍上災、岩手山ろくでの土石流災害、台風12号による波浪災害、さらには、10月6日から8日にかけての豪雨や12月末の豪雨等により、葛巻町や普代村など県北・沿岸地域を中心に大きな被害が出ております。平成18年災では、県土整備部所管の公共土木施設の災害箇所は1、907カ所、被害額は230億円を超え、全国で最も多い被害額であると聞いております。私も直ちに現地に入り、岩手山土石流の被災状況、久慈市野田長内線の被災箇所等を調査してまいりましたが、自然の猛威と、その災害のすさまじさに驚くとともに、また、被災した地域の方々のために早期復旧に努める必要性を痛切に感じたところであります。このような災害が、いつ、どこで、どのような規模で起きるかわからない状況にあって、災害への迅速な対応が喫緊の課題であると認識しておりますが、県は、今後どのように取り組んでいこうとお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に、幼児教育についてでありますが、就学前の教育・保育ニーズに対応する新たな選択肢として、認定こども園の制度化がなされました。これは、国が急速に打ち出した施策であり、現場の方々の声が届かぬままのスタートになったのではないかと危惧するものであります。制度化の背景としては、少子化の進行や教育・保育ニーズの多様化に伴い、これまでの幼保連携の取り組みだけでは対応できない状況が顕在化していることを挙げていますが、果たして、幼稚園、保育所側にとってメリットのある取り組みでしょうか。もっと現場の声を聞くべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、30人学級、少人数学級の拡充についてであります。
 今年度から、小学校1年生の35人学級が実現され、一定の成果を上げることができましたが、今後における2年生以上の少人数学級の取り組みをお示しください。
 次に、昨年発覚した高校必履修科目の未履修問題についてでありますが、県は今年度、再発防止策を打ち出すようですが、具体的な取り組みをお伺いいたします。
 国においては、教育再生会議の中で、学力向上のため、ゆとり教育見直しやいじめ対策、教育委員会の抜本改革を盛り込んだ第1次報告を打ち出しました。この報告に対する県のお考えをお示しください。
 口ざわりのよいゆとり教育は、実際にはゆとりのない、全く反省点の多い施策のような気がいたします。学校週5日制の実施が、逆に学力低下、未履修問題につながったのではないかと思われますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、岩手競馬についてお伺いいたします。奥州市選出の議員として、私見を含めての事項になります。
 昭和39年に設置された岩手県競馬組合は、これまで407億円の利益分を、構成団体である県、盛岡市、旧水沢市に配分してまいりました。それ以上に、長きにわたり、約2、500名の競馬関係者の就労等の場を確保し、また、地域経済に大きく貢献してまいりました。今、巨額負債330億円に対する融資案が出されておりますが、このことについては、巨額なだけに、多くの賛否両論が出されております。知事は、なぜこの融資が必要なのかを明確に説明する責任があるものと考えます。
 そこでお伺いしますが、知事は、競馬事業廃止の影響を考慮し、これ以上赤字を拡大しないことを条件に、競馬事業を継続することとして競馬事業存廃の基準を設定し、既存の債務全額を構成団体融資に切りかえることが、構成団体にとっても、県民にとっても負担を最小にできる、現在とり得る最善の方法と説明しております。さきに開催された岩手競馬に関する県民説明会の様子を聞いても、まだ、多くの県民は、この知事の説明を十分理解していないのではないかと考えますが、この際、改めて、なぜ融資が必要なのか、明確に説明していただきたいと思います。
 例えば、岩手競馬が廃止されたとすると、盛岡市、奥州市とも赤字再建団体に陥ってしまい、また、調教師、騎手、厩務員、装蹄師、獣医師、パートで働く多くの女性の方々、食堂に従事している人たち、私の地元、水沢競馬場においては、駐車場を提供している地域の人たちが一遍に職を失うことになります。無論、水沢競馬場の約600頭の馬、オーロパークの約200頭の馬も姿を消してしまうでしょう。競馬は、財政競馬と言われたほど、行政にとって財源を得るものでありました。旧水沢市にとっても、毎年6億7、500万円のお金が交付されており、そのときの水沢市の予算が100億円余ですから、どれほど行政のために役立ったか、はかり知れません。赤字になったから、競馬をギャンブルと位置づけ、即廃止とするという考えでいいのか、疑問であります。今までの恩恵をどのように考えているのでしょうか。
 そもそも岩手競馬は、昭和22年のカスリン台風、昭和23年のアイオン台風の被害復旧のため、一関市が市営競馬を開く権利を得たのが始まりのようですが、地域おこしをしてきた競馬そのものを、多くの人たちが理解されているのでしょうか。
 岩手県競馬組合規約によりますと、競馬収益があった場合、構成団体で配分する。また、赤字を生んだときも構成団体で負担するとされ、単年度決算すべきとなっております。だとするならば、本来、累積赤字ということはあり得ないことであり、競馬組合のずさんなやり方は問われてしかるべきであります。この赤字続きを何年も放置してきた理由は、一体、何だったのでしょうか、お伺いいたします。
 売り上げが低迷しているとはいえ、岩手競馬は、日本中央競馬会、南関東に次ぐ売り上げ、賞金であることから、多くの関係者は、やり方によって十分再建できるのだと自信を持って話しております。競馬関係の暗いニュースが続く中、南関東4競馬に明るい兆しが見え始めているという記事に目がとまりました。内容は、売り上げ増につながった改革、その目玉は賞金の増額であります。岩手競馬は毎年賞金を下げるやり方をしており、これが逆にファンの競馬離れ、レースに魅力がない原因になっていることがうかがえます。ファンの目線に立ち、競馬関係者同士が物を言えぬ体質を変え、今まさに改革のときに、まず何からただしていくかを議論していただきたいと思うのですが、御所見をお伺いいたします。また、増収に向けた取り組みについても、あわせてお伺いいたします。
 次に、農林水産省は1月31日までに、地方競馬の再生を目的とした競馬法改正案の概要をまとめられたようですが、16ある全国地方競馬のうちの赤字13団体を救える改正案になるとお考えでしょうか、お伺いいたします。
 今、赤字競馬を解消するために何をしていかなければならないのか。単に部分的に削減している今のやり方は、頑張っても光が見えてこない、この一言に尽きるようであります。改革のメスを入れる部分がまだまだありそうです。春うららの姿をもう一度目に焼きつかせ、岩手競馬の存続を切望して、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私のこれまでの県政運営の所感についてでございます。
 私は、地方分権が進展する変革の時代の中で、岩手らしい地域の自立を実現するために、この美しい自然や豊かな資源など、岩手ならではのすばらしい財産や可能性を生かすことに、この12年間、全力を傾けて取り組んでまいりました。そのためには、県民が地域づくりに向けた力を最大限発揮できる仕組みを構築することが最も重要であることから、情報公開による透明性の実現や、県民が政策形成に参加できる環境づくりに重点的に取り組みました。また、地域を活性化しようと頑張っている多くの県民の皆様方とお会いしながら、その人たちの知恵や感覚を県政に生かす取り組みを進めてまいりました。このような取り組みによりまして確かな一歩をしるすことができたものと考えております。
 しかし、人口減少や高齢社会の到来、グローバル化の進展など岩手を取り巻く環境は大きく変化してございまして、地域間の競争もますます激しくなってまいります。このような中、岩手の自立を一層強固なものにしていくためには、住民の創意や活力を生かす観点から、市町村中心の行政システムの構築をしっかりと進める必要があるとともに、行政だけの取り組みではなく、NPOや、さらには産業界などの県民の活力が最大限に引き出される仕組みづくりをこれまで以上に強化していく必要がある、このように考えております。こうした取り組みを官民が一体となって進めていくことにより、岩手の未来がより確かなものになっていく、このように考えております。
 次に、40の政策と岩手県競馬組合についてでございます。
 県の競馬組合につきましては、長期的な発売額の減少や盛岡競馬場等の設備投資負担などを要因として、平成12年度から資金収支不足になるなど経営が悪化しつつあったところでございますが、これは、一部事務組合である県競馬組合の問題として、組合が自助努力で経営改善を図ることが原則と考えておりましたので、40の政策には盛り込まなかったところでございます。
 しかし、今日の厳しい運営状況に至ったことは、経済情勢が売り上げに及ぼす影響やファンの動向など岩手競馬をめぐる環境変化に対する認識が不十分であったもの、このように考えておりまして、私の任期において、岩手競馬再生の道筋をつけるべく全力を尽くしてまいる所存でございます。また、いわゆる県政の負の部分については、機を失することなく県民に対してその全貌を示しつつ、解決に向けて取り組んでいくことが重要と認識しているところでございます。
 次に、今後の財政運営についてでございますが、現下の厳しい財政環境にかんがみまして、歳出において、その徹底した見直しによる抑制と重点化を進めるとともに、歳入におきましても、自主財源の積極的な確保策を講ずることなどを通じまして収支不足の縮小に取り組んでいく必要があり、また、中長期的に持続可能な財政構造への転換を図るため、今後ともプライマリーバランスの黒字を維持し、県債残高を順次減少させていくことが必要でございます。
 県債については、当分の間、現在のような高い水準での償還が続くものと見込まれますが、将来世代にさらなる過重な負担を強いることがないように、毎年度の新規発行をできるだけ抑制しながら、計画的な償還と残高の縮小を実現していくことが必要と認識しております。
 次に、行政品質向上運動の効果についてであります。
 県はこれまで、県民本位、現場重視の行政の実現を目指す観点から行政品質向上運動に取り組んできたところであり、特にもいわてマネジメントシステムについては、本年度に特命課長を配置して全庁的な浸透を図ってきたところであります。
 その運動の効果を具体的に申し上げますと、例えば、公共事業の実施に当たって、住民に県の考えを一方的に説明する形ではなく、ワークショップの開催などを通じて、住民との双方向となる話し合いを行って、より熟度の高い事業実施を実現してきたこと、さらには、道路整備における1.5車線化など、地域の実情や要望に柔軟に対応する基準、いわゆるローカルスタンダードの仕組みの構築など、県民ニーズを重視した行政運営への転換を図ってきたところであります。また、行政コストの面で申し上げますと、全庁的な業務の見直しなどを通じて、超過勤務の縮減や職員数の削減により総人件費を大幅に抑制したことなど、より効率的な行政経営への転換を実現したところであります。このような取り組みを通じて、県民満足度を常に意識した行政経営体への進化が図られてきているものと考えております。
 次に、医療制度改革に対応した保健福祉計画の具体的内容でありますが、広い県土の中で、一般医療から高度医療まで機能の分担と連携による切れ目のない医療の提供、メタボリック症候群に重点化した生活習慣病対策や療養病床の転換支援、本県の健康課題である脳血管疾患や自殺への対応、そして、地域医療を支える医療人材の確保などを重点事項として計画を策定することとしております。
 医療の確保は県民生活に直結する課題でありまして、医療関係者はもとより、多くの県民の御意見を伺いながら、平成19年度末までに医療計画に相当する保健福祉計画並びに医療費適正化計画を策定いたします。
 次に、高齢者介護の今後の対応でございますが、高齢化の急速な進展により介護を要する方が今後も増加すると予測されており、また、近年の家族機能の変化、高齢者夫婦のみの世帯やひとり暮らし高齢者の増加などによりまして家族の介護力が低下しております。こうした中にありまして、県としては、岩手県介護保険事業支援計画に基づき、介護予防事業の着実な推進による要介護状態の予防や重度化の防止、要介護状態になっても、できる限り住みなれた地域で生活できるための住宅サービスの充実、ご近所介護ステーションや小規模多機能型サービス、グループホームなど地域に密着したサービス提供体制の整備など、介護を要する方を地域で支える仕組みづくりを重点的に進めております。また、在宅での介護が困難な方のために、市町村の介護保険事業計画による介護保険福祉施設の整備が着実に進められるように支援しております。
 今後は、このような地域における在宅介護サービスと施設サービスの一層の充実を図るとともに、現在、策定作業中の新たな医療計画等において、保健、医療、介護の各サービスが切れ目なく提供される仕組みを構築するよう検討し、介護を要する方が安心して生活できる社会の実現を図ってまいります。
 次に、子育て支援策でありますが、県で平成17年3月に策定いたしましたいわて子どもプランに基づき推進しておりますが、これまでの子育て支援は、保育サービスの充実などに力点が置かれておりました。今後は、こうした取り組みに加えて、男性の育児参加や企業による子育て支援などの働き方の見直しの面からの取り組みをさらに強化する必要がありまして、県では、中小企業における事業主行動計画策定支援などを進めているところでございます。男女がともに安心して子供を産み育てられる環境づくりのため、家庭、地域、職場等のさまざまな場面で県民の皆さんの積極的な参画をいただきながら、子育てしやすい岩手の県政に努めてまいります。
 次に、本県の産婦人科医師の確保についてであります。
 これは全国的な問題でもあります。県では、その確保に向け、これまで医師養成奨学金制度における優遇措置や国への診療報酬の引き上げ要望などの取り組みを行ってまいりました。さらに、産婦人科は女性医師の割合が高いことから、新たに女性医師の就業支援などによる働きやすい環境づくりにも努めております。また、平成17年度にスタートした助産師外来について、現在、10医療機関にまで拡大しているほか、最近では、県産婦人科医会などによるITを活用した遠隔妊婦健診の取り組みなど、限られた医療資源を有効に活用して医師の負担軽減と患者サービスの向上を図るなどの取り組みも進められております。県では、こうした取り組みと連携しながら、地域における産科医療体制の確保に努めてまいります。
 次に、若い医師の定着への取り組みについてであります。
 県では、平成17年3月に策定した医師確保対策アクションプランに基づきまして、県内外の医学生とのネットワークづくりを目的としたサマーセミナー、臨床研修病院をPRする合同説明会を実施するとともに、研修指導医を養成する講習会や研修医の臨床能力試験を県独自に実施するなど、初期臨床研修体制の充実に努めてきたところであります。また、県内のすべての臨床研修病院において専門医の養成プログラムを作成するなど、魅力ある後期臨床研修体制の整備に努めたところであり、その結果、昨年春の臨床研修修了者の8割が本県に引き続き残り、県内の病院での勤務や後期臨床研修などを行っております。県では、こうした取り組みを今後も進めるとともに、医師のキャリア形成にこたえるプログラムや医療機能の充実について、関係機関と一体となって検討してまいります。
 ドクターバンクについては、医師の登録には至っておりませんが、県外在住医師からの問い合わせは来ております。今後は、問い合わせのあった医師との調整に努めるとともに、募集情報を周知するためホームページやパンフレットを活用するほか、医学雑誌へ募集広告を掲載するなど、周知に努めてまいります。
 次に、コンパクトシティー政策と中心市街地の活性化対策についてであります。
 市街地の無秩序な拡大を抑制しつつ、都市の中心部にさまざまな機能を集積するコンパクトシティーの考え方はこれからのまちづくりの基本的な理念である、このように認識します。この理念を具体的なまちづくりにつなげていくため、市町村マスタープランの見直しに当たっては、県としても積極的に助言、支援をしてまいります。また、県が設置している中心市街地活性化懇談会の最終提言を踏まえ、まちづくり主体への支援など必要な施策を検討していくとともに、都市機能へのアクセス性の向上を図るなど、中心市街地の活性化に取り組んでまいります。
 次に、岩手ならではの安全・安心への取り組みの成果と今後の対応についてであります。
 これまで展開してきた地産地消推進運動により産直施設の販売額が約90億円に達しておりますし、地域の食材を活用した地産地消レストランの認定数も46店舗に増加したところであります。また、県独自にいわて牛に導入したトレーサビリティーシステムについては、その後、米、野菜、ワカメなど51品目にまで拡大しております。さらに、生産面においても、生産履歴の記帳運動が全県的に拡大するとともに、エコファーマー数も全国第3位に増加してきております。今後も、市町村や関係団体との連携を一層強化しながら、安全・安心な県産食材の利用拡大と生産者と消費者の顔の見える関係づくりを行ってまいります。
 学校給食での地産地消についてでありますが、平成18年度上期の県産食材の利用状況は、前回調査の16年度上期に比べ0.2ポイント増加して51.9%であり、今後も関係機関・団体と連携を密にし、一層の利用促進を図ります。
 また、学校における食育につきましては、岩手県食育推進計画に基づいて推進しており、平成18年9月現在、小学校で99.8%、中学校では96.0%で実施しております。しかし、近年、子供たちをめぐる食生活の乱れが大きな問題でございまして、そのため、平成19年4月から栄養教諭制度を導入し、食育の一層の推進を図っていくこととしております。
 次に、小規模農家対策であります。
 農業・農村において、小規模農家も一定の役割を分担しながら農業生産の効率化や多面的機能の維持を図っていくことが重要であります。このため、県では、小規模農家に対して、集落営農組織の設立により品目横断的経営安定対策への加入を促進するとともに、園芸作物の導入による所得向上に向けた取り組みを支援しているところであります。こうした取り組みを今後さらに加速させ、大規模農家と小規模農家が共存・発展していけるような集落営農を育成して農業・農村の活性化を図ってまいります。
 次に、入札制度改革についてであります。
 先般お示しした本県の公共調達改革に係る方針案は、内部通報制度の充実や入札制度改革を通じて談合や官側の不正な関与を防止し、地方自治への信頼の回復を図ろうとするものであります。この改革案をまとめるに当たって、指名競争入札を原則廃止して条件つきの一般競争入札を全面導入することにより、透明性、競争性、公正性を十分に確保することを基本としつつ、工事の規模に応じてきめ細かく地域要件を設定することなどを通じて、県内の建設業の健全な発展や地域振興の面にもできる限り配慮したものであります。
 例えば、2、500万円未満の小規模な工事については、現在は工事場所の振興局の管外業者2者以上を含めた指名競争入札でありますが、今回の案では、当該振興局内の業者のみによる条件つきの一般競争入札が原則となりますし、特殊な工事などで、県内業者が少ないため県外業者が入札に参加する場合でも、県内における営業所の所在地を基本に段階的に県外業者の地域要件を拡大していくなど、地元企業の受注機会の確保に意を用いたところであります。また、低入札価格調査制度において、入札結果に応じて一定の算式によって決定される失格基準価格未満での入札を自動的に失格とする仕組みを導入するなど、低入札による品質の悪化を防ぐ対策も盛り込んでおります。
 なお、昨年4月に策定した建設業対策中期戦略プランに基づき、関係機関と連携して、建設業の技術・経営力の強化や業種転換、民間市場へのシフトなど総合的な建設業対策に取り組んでいるところであり、今後とも、より具体的、実践的な助言や資金面からの支援を行うなど、県内建設業の経営革新への取り組みを積極的に支援してまいります。
 今回の入札制度改革については、関係業界の皆様に十分に御説明して所要の準備・周知期間を置いた上で本年7月から実施したいと考えており、今後、ホームページでの詳しいお知らせや県内各地域ごとに説明会を開催することなどを初め、きめ細かな対応を行って新しい制度の円滑な実施を図ってまいります。
 次に、災害への対応についてでありますが、災害復旧に当たっては、地域の安全・安心のため、被災した箇所を早期に復旧することが最も肝要であります。そのため、災害時には直ちに現地調査を行うとともに、市町村に対しては、必要に応じて職員を現地に派遣し技術的な支援を行い、早期復旧に努めているところであります。また、社団法人岩手県建設業協会との応急対策業務に関する協定の締結や職員の災害対応訓練の実施により初動時の速やかな対応に努めるほか、県、市町村担当者を対象とした研修会を開催するなど、今後とも迅速な災害対応に万全を期します。
 次に、認定こども園制度についてであります。
 幼稚園及び保育所におきましては、認定を受けることにより、保護者の就労の有無にかかわらず希望する地域の子供たちを広く受け入れることができるというメリットがあり、保護者にとっては、それぞれのニーズに応じた選択の幅が広がるものと考えております。この制度の適切な運用のためには、関係者との十分な意思疎通が必要であり、市町村、施設設置者への説明会、県内の幼稚園、保育所の関係団体との懇談会を開催し、意見交換を行ってきたところであり、今後も現場の声を十分に聞きながら取り組んでまいります。
 次に、少人数学級でありますが、小学校入門期において、少人数学級が生活習慣や学習習慣の定着に効果があるとの研究成果を受け、今年度、小学校1年生に35人学級を導入し、成果を上げているところであります。この成果を受け、来年度から小学校2年生にも35人学級を導入することにより、本県の少人数教育をさらに充実してまいります。また、小学校3年生から中学校については、習熟度別指導やチームティーチングなど、子供たち一人一人に応じた指導が可能である少人数指導に取り組み、基礎学力の一層の向上に努めます。
 次に、高校必履修科目の未履修問題についての再発防止策についてであります。
 県教育委員会においては、学習指導要領や教育課程編成等の理解を深めるための教務主任会議の開催、各県立学校での教育課程編成を支援するための学校教育室への専用相談窓口の設置、使用する教科書やその数と教育課程との整合性の確認の徹底、指導主事等の学校訪問の際、教育課程どおりの授業が実施されているかどうかの確認を計画しております。また、各県立学校においては、関係法令、学習指導要領についての一層の理解と遵守、教育課程の学校ホームページや学校案内への掲載、生徒、保護者及び学校評議員に対するホームルーム、PTA総会での教育課程についての説明等、情報公開のさらなる徹底などの取り組みを考えております。
 次に、教育再生会議の第1次報告であります。
 基礎・基本の反復など子供の基礎学力の強化や社会総がかりでの教育の推進など、教育に対する社会の要請をおおむね踏まえた内容となっており、本県として基礎・基本の重視などで賛同できる部分もございます。
 しかし、小規模市町村教育委員会の統廃合など、地方の実情や現場の観点から、もっと十分な議論が必要と考えられる面も見受けられます。また、分科会において、教育委員会に対する是正の勧告、指示など文部科学大臣の関与を強化することも検討されているようでありますが、地方分権の観点から、その必要性については十分な検討が必要であります。まだ第1次報告の段階であり、年末に予定されている最終報告までにそれぞれの提言の内容が順次具体化されてくるものと見込まれますが、地域の声を十分に踏まえて、真に必要な教育改革を目指すべきであります。
 次に、ゆとり教育でありますが、完全学校週5日制のもとで、教育内容を厳選することによりきめ細かな指導を行うとともに、体験的、問題解決的な学習を行うことにより、基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせ、みずから学び、みずから考える力を育成することを基本的なねらいとするものであります。こうしたゆとりの中で、生きる力をはぐくむという理念に誤りはないものの、それを実現するための具体的な手だてに課題がある、このように考えます。ゆとり教育が始められた前後の学力調査結果から見ると、ゆとり教育によって学力が低下しているとは必ずしも言い切れないようでありますが、最近の学習定着度状況調査の結果では正答率50%未満の下位層が増加する傾向が見られるところであり、また、県教育委員会の未履修問題調査において、完全学校週5日制とゆとり教育が未履修問題の背景の一つではないか、このような指摘があり、その影響も否定できないと考えております。
 次に、岩手競馬についてのお尋ねであります。
 まず、構成団体融資の必要性についてでありますが、競馬組合は、今年度末時点で330億円の債務を抱える状況にございます。組合は一部事務組合でありますので、これを廃止した場合には、構成団体はこの330億円を負担するとともに、廃止に伴う費用などが加わることから、合わせて372億円の負担が生じるものと見込まれます。このため、新たな赤字を発生させず、累積債務が330億円から増加しないような仕組みのもとで競馬事業を継続することとすれば、廃止に伴う追加費用の負担を回避し、構成団体の負担、ひいては県民、市民の負担を最小にすることにつながると判断し、昨年11月20日に競馬組合議会の議決を経て、収支均衡を基本とする競馬事業存廃の基準を設定することを盛り込んだ新計画を競馬組合として策定したところでございます。
 この競馬事業存廃の基準は、新たな赤字の発生を防ぐ上で不可欠の仕組みであり、これを導入することが構成団体の負担を最小化するための大前提となるわけでありますが、一方で、これによって事業の継続は毎年度判断することとなり、その結果、金融機関から新たな融資を受けることは困難になります。また、現状では、支払い利息が競馬組合の収支を圧迫していることに加えて、現在の売り上げでは金融機関が求める条件での元金返済も困難なため、金融機関からの借り入れを続けることは収支の面からも不可能と見込まれます。
 したがって、構成団体の負担を最小のものとするためには、組合の債務全額を構成団体融資に切りかえることによって、新たな赤字の発生を防ぎつつ事業を継続するという方針をとる以外にない、このように判断したものでありまして、雇用の場の提供や地域経済への貢献にもつながることも含めて、これが現時点で選択し得る最善の方策である、このように考えております。
 次に、赤字が継続した理由であります。
 組合は、競馬事業が収益を上げることを目的としていることから、民間企業で赤字が発生した場合の対応と同様に、発売の拡大やコストの削減によって収益性の改善を図ることとし、直ちに構成団体に負担を求めるのではなく、自助努力での赤字の解消を目指してまいりました。このため、初めて繰り上げ充用をした平成12年度にみちのくレース岩手競馬改善計画を策定し、専用場外発売所の新設など施設整備を中心に置いた事業拡大の取り組みを進めたほか、17年2月には、コスト削減の徹底や設備投資を伴わないインターネット発売による売り上げ拡大を目指す岩手県競馬組合改革計画改訂実行計画を策定して経営改善を図ってきたところでありますが、赤字が拡大する結果となったことは、経済情勢が売り上げに及ぼす影響やファンの動向など、岩手競馬をめぐる環境変化に対する認識が不十分であったもの、このように考えます。
 今後は、昨年11月に策定した新しい岩手県競馬組合改革計画に沿って、岩手競馬の再生に向けた道筋をつけられるよう全力を尽くしてまいります。
 次に、競馬関係者の体質改善と増収策についてであります。
 組合は、発売収入の25%以内で競馬事業を適正かつ円滑に実施できる収支構造に転換するため、各経費に目安となる指標を設定しておりまして、賞典費についても発売収入のおおむね8%以内を目安としておりますが、この8%の中で、優勝劣敗というレースの本質に基づいた魅力あるレースが展開できるよう賞金体系づくりに取り組んでおります。
 今後、岩手競馬を継続的に発展させていくためには、競馬関係者がこれまで以上に一体となって取り組むことが必要と考えておりまして、本年3月に、新たに競馬組合、構成団体、競馬関係団体で構成する(仮称)岩手県競馬組合運営協議会を設置し、事業運営に競馬関係者の意見を取り入れながら競馬組合の改革方向や運営状況の検討をしていくこととしております。さらに、増収に向けた取り組みについては、発売成績がよい水沢での開催割合やファンの要望にこたえるための芝競争の増加、テレトラック種市における日本中央競馬会のレース発売や広域受託日数の増加などの取り組みを通じて、ファンにとって魅力のあるレースの提供や発売形態の見直しを図り、事業収入の確保に努めてまいります。
 最後に、競馬法改正についてでありますが、地方競馬全国協会を地方公共団体が主体となって運営する地方共同法人に改組するための競馬法改正法案は、今通常国会に上程されるものと聞いておりますが、現在のところ地方共同法人の枠組みしか示されておらず、具体的内容は今後明らかにされるものと見込まれます。
 したがいまして、現時点で競馬法改正による地方競馬への影響を見通すことは困難でありますが、引き続き国が進める改革の内容を注視していくとともに、他の道県や主催者との連携も図りながら、地方競馬改革が岩手競馬の再生にとって望ましいものとなるように取り組んでまいります。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、佐々木大和君。
   〔46番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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