平成11年5月臨時会 第1回岩手県議会臨時会会議録

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〇24番(伊沢昌弘君) 社会民主党の伊沢昌弘でございます。
 ただいま上程されました発議案第2号「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」の徹底審議を求める決議について提案理由を説明いたします。
 本決議案は、社会民主党会派4名と公明党の小野寺好議員、そして、無所属の阿部富雄議員の賛同のもとに提出をしたものであります。
 地方分権の推進については、中央集権体制を改革し、国と地方自治体が従来の上下関係ではなく、対等の協力関係とするため、長年にわたり多くの議論が重ねられてきており、本県議会としても国に対して早期の成立を求めてきたものであります。
 このような中で、平成7年5月に成立いたしました地方分権推進法によって設置された地方分権推進委員会の勧告や地方分権推進計画に基づいて地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案がまとめられ、いわゆる地方分権一括法案として本年3月29日に国会に提出されました。このことは地方分権の推進に大きく前進したものと考えられますが、一括法案は475本もの法律改正で構成されており、会期末を来月6月17日に控えている今国会で成立を目指すとしていますが、十分な審議が行われていないのが現状となっております。
 施行期日が平成12年4月であることを考慮すれば、地方自治体における新たな条例・規則の制定や改廃などの規定整備を進めるとともに、権限委譲に伴う執行体制の整備を行う上で早急な法案の成立が望まれるところですが、真に国と地方の対等協力関係が確立されるためには、例えば次のような問題点について徹底した審議が必要であると考えております。
 問題点の第1は、機関委任事務制度の廃止が実効あるものになっているかどうかであります。
 561項目あると言われていた機関委任事務は、自治事務55%、法定受託事務45%に振り分けられましたが、法定受託事務に区分された事務の中には自治体の判断と責任で行う自治事務にすべきものが多く含まれているものと考えられますし、法定受託事務に対して行われる国の関与も多く残されております。このことから、法案審議の過程で機関委任事務制度を廃止した意義が明らかになるよう十分な検討が必要であると考えております。
 第2点目は、第三者機関が十分に機能するかどうかであります。
 国と自治体が対等・平等の関係とされたことから、両者の間に紛争が生じた場合の解決機関として国地方係争処理委員会が設置されることとなっていますが、提案されている委員会の性質は、これまでも批判の多い一般の審議会と同様のものであり、中立性、公平性に欠けています。国と地方が対等になるためには、第三者機関のあり方が重要となることから、十分な審議が必要となります。
 第3に、国から地方への関与の縮小が本当に進むのかどうかであります。
 法案では、国は法定受託事務に対する権力的な関与だけでなく、自治事務に対する国の関与も規定されており、各大臣からの是正の要求に対して、自治体が是正改善の義務を負うこととされておりますが、明らかに分権に逆行する国の権力強化と言わざるを得ません。自治事務への国の関与のあり方について慎重な審議が必要となります。
 第4に、地方事務官の問題であります。
 これまでも岩手県議会において数度にわたって意見書や決議を採択し、地方事務官を廃止し、身分を地方公務員とするよう求めてきたものでありますが、この法案では、社会保険等に従事してきた地方事務官をすべて国家公務員とし、関係する仕事もすべて国が直接執行することとされています。
 このことにより、現在、全国約3、300カ所の市町村役場で行われている国民年金のほとんどの事務が届出書の受付業務以外はわずか310カ所の社会保険事務所で行うことになります。本県においては、59市町村で住民からの相談を含めて行っている業務が県内に5カ所しかない社会保険事務所で行うこととなり、県民生活に及ぼす影響は少なくありません。改めて慎重な審議が必要なものと考えております。
 以上のような問題点が内在していることから、地方自治体の準備を進めるための理由で早期成立を求めることは、法案が475本という膨大なものであることを考えれば、十分な審議が尽くされない可能性を秘めていると思われます。このことにより、後年度に課題を残すこととなるものであります。よって、真の地方分権を確立するためには、岩手県議会としても法案の徹底審議を求める決議を採択すべきものと考えるものであります。
 議員各位の御賛同をお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(山内隆文君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第2号「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」の徹底審議を求める決議は、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第2号「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」の徹底審議を求める決議は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第2号「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」の徹底審議を求める決議を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立少数であります。よって、発議案第2号「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案」の徹底審議を求める決議は、否決されました。
   
日程第10 発議案第3号ユーゴ空爆の即時中止を求めることに関する決議
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第10、発議案第3号ユーゴ空爆の即時中止を求めることに関する決議を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小原宣良君。
   〔36番小原宣良君登壇〕

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