平成11年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇12番(阿部静子君) 社会民主党の阿部静子でございます。
 ただいま上程されました発議案第8号「日の丸」、「君が代」の法制化に反対する決議について提案理由を申し述べます。
 政府は、日の丸及び君が代を国旗及び国歌とする法律案を今国会に提出いたしました。なぜ今、国旗・国歌の法制化が必要なのでしょうか。
 私どもが公式の式典などに出席しますと、そこに日の丸があり、君が代が歌われるのは当たり前のようになっております。また、学校、特に小・中・高校では、法制化していない現在でも強制が行われ、トラブルが発生いたしております。
 政府は、日の丸及び君が代が長年の慣行によりそれぞれ国旗及び国歌として国民に広く定着していることを踏まえ、21世紀を迎えることを一つの契機として、成文法にその根拠を明確に規定することが必要であるとの統一見解を示しております。
 国旗・国歌として日の丸・君が代を法制化する根拠に、広く国民に定着していることを挙げていますが、果たして国民の間に本当に定着しているのでしょうか。定着とは、理解され、納得されているという前提条件が必要であり、私は、決して定着しているとは思われないのであります。特に、君が代については、法制化問題が表面化してから新聞の投書欄を見ても議論百出であり、国民の間になじまれていないことが浮き彫りになっております。到底定着しているとの客観的な判断はできないものと思っております。
 加えて、若者の多くは、君が代に対して、歌詞も曲も現代離れしており、歌えと言われても喜んで歌えないとの認識もあり、21世紀を迎えようとしている今日、国民的な議論が不十分なまま法律で定めることは、次世代に深い禍根を残すことになると思うのであります。
 私は、戦前、戦中を通して、日の丸・君が代を尊重するよう教育されました。当時の権力者はこれを侵略戦争のシンボルとして利用してきた事実を見てきた者の一人でございます。法制化によって国民や学校現場が強制されることを認めることはできません。
 昨日、衆議院内閣委員会が札幌市と那覇市で開催した公聴会でも、法制化による強制について、物理的、法的な強制はないとしても、心理的な強制を心配する意見や、日の丸と君が代に対する認識に大きな隔たりがあることが地上戦を経験した沖繩における意見陳述の中で明らかにされております。
 国会では、さきに日米新ガイドライン関連法案が成立し、憲法改正を目指した憲法調査会も国会内に設置されようといたしております。また、国民の権利とプライバシーを侵害する、いわゆる盗聴法案も現在参議院で審議が進められ、可決されようとしております。この上、日本の戦前を思わせる日の丸・君が代の法制化は、いつか来た道への近道ではないかと疑わざるを得ないものであります。新たに国旗・国歌の法制化を行うのであれば、その必要性も含めた幅広い見地からの国民的議論を進めるべきであります。
 議員の皆様方の御賛同をお願い申し上げ、本決議の提案理由の説明といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(山内隆文君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第8号「日の丸」、「君が代」の法制化に反対する決議は、会議規則第34条第2項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第8号「日の丸」、「君が代」の法制化に反対する決議は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、通告がありませんので、討論なしと認め、討論を終結いたします。
 これより、発議案第8号「日の丸」、「君が代」の法制化に反対する決議を採決いたします。
 本案は原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立少数であります。よって、発議案第8号「日の丸」、「君が代」の法制化に反対する決議は否決されました。
   
日程第25 発議案第9号組織犯罪対策関連3法案の廃案を求める決議
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第25、発議案第9号組織犯罪対策関連3法案の廃案を求める決議を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小原宣良君。
   〔36番小原宣良君登壇〕

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