平成11年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号1999年度岩手県一般会計補正予算に反対する討論を行います。
 今回の補正予算は、増田県政の2期目の政治姿勢を示すものですが、その最大の特徴は、補正予算200億円余の半分以上が従来型の公共事業103億3、700万円に見られるように、行き詰まった自民党政治に追随するものとなっていることであります。
 第1に、今回の補正予算で県債発行残高は新たに51億2、800万円で総額1、222億6、600万円となり、昨年度の当初予算を上回り、県債残高は1兆1、157億5、200万円余となり、県財政の危機的状況を一層悪化させるものとなりました。増田知事は、事業の重点化、緊急度、優先度の高い事業を進めると述べていますが、補正予算の内容からはその具体化は全く見られないのであります。
 特に重大なことは、今後、県民に新たな負担を押しつける大型公共事業、施設整備が盛り込まれていることであります。盛岡駅西口複合施設整備調査事業費が760万円計上されました。これは、盛岡駅西口県有地に整備する多機能型複合施設について、県民意向の調査を実施しようとするものであります。1兆1、000億円を超える借金を抱える中で、大型公共施設の建設が本当に必要なのか、緊急性があるのか、真剣な検討が求められる問題であります。
 第1に、県は、多機能型複合施設について6月に二つの計画案を公表しましたが、その内容は、大型ビル建設先にありきと言うべきものであります。一つの計画案では、5万4、000平米のうち約2万平米が図書情報総合センターが占める中核施設となるというものであります。今、図書館を含め、図書情報総合センターは、県教育委員会と関係部でその基本構想、基本計画が検討されているところでありますが、図書情報総合センターがどうあるべきかの検討を待たずに多機能複合ビルの中核施設に位置づけるというやり方は本末転倒であります。
 第2に、もう一つの案は図書総合情報センターが入らない場合となりますが、逆に言えば、特別の緊急性と必要性がないということではないでしょうか。
 第3に、この多機能型複合ビルは10階建てで、事業費は220億円から260億円という巨大なものであります。維持管理費の推計は年間8億円以上と言われています。企業局会館構想は採算上で問題があるとして見直されましたけれども、公共施設として建設するにしても、その建設費、維持管理費は県民に負担が押しつけられるものであり、300億円近い財政支出と負担にどのような合理性があるのでしょうか。
 私は、先に大型ビル建設ありきではなく、介護保険への対応や福祉・環境施策の拡充との関連など、根本的に見直すべきことを強く求めるものであります。今回の調査事業では、建設しない選択肢を含めて県民の意向を把握すべきであります。
 すこやか子どもランド整備事業費が5、000万円計上されましたが、極めて問題であります。県北地域の火山灰土上に事業費50億円の施設を建設しようとしていますが、その維持管理費については質問しても回答がありませんでした。このような計画で本当にその必要性と緊急性が検討されたのでしょうか、極めて疑問であります。増田知事は、子育て環境日本一を目指すと知事演述で述べられましたが、おくれている少子化対策、東北一高い保育料などの具体的解決こそ県民は求めているのではないでしょうか。
 第2に、福祉の充実に背を向けていることであります。
 介護保険事業が来年4月から実施されます。介護認定審査はことし10月から始まります。ところが、今、検討されている介護保険事業のサービス見込み量は、施設サービスでは昨年の実態調査で示された施設必要者数を圧縮、切り下げたもので、5年後の平成16年でも施設サービス必要数はほとんどふえないというものであります。これでは、県民から高い保険料と利用料は搾り取るが、これまで受けていたサービスさえ受けられない、切り下げられるということになるのではないでしょうか。介護保険への対応、とりわけこれまでの福祉水準を下げないで充実を図ることは県政の重要課題でありますが、県の対応は、保険あって介護なしと言うべき自民党政治のやり方そのままで、福祉、介護の充実を求める県民の願いに背を向けるものと言わなければなりません。
 第3に、増田知事は、基本的施策の一つとして人づくりを掲げていますが、今、県教委で進めようとしている高校再編整備、統廃合計画は、30人学級実現の県民の切実な願いに背を向け、時代の流れに逆行するものであります。県内各地で疑問と反対の声が広がっています。上からの一方的な統廃合の押しつけはやるべきではありません。住民への説明と住民合意を貫いて、地域と結びついた高校のあり方こそ検討すべきであります。増田知事が言う、県民とともに考え、行動していく顔の見える県政を教育の分野でも進めるべきであります。
 議案第3号、第4号は、農業関係の建設事業にかかわるものですが、最近、農水省の内部文書によって農業土木事業にかかわる利権疑惑が明らかになりました。県の農政にかかわる公共事業についても総点検すべきであります。
 議案第10号は、手数料を値上げするものであり、反対します。
 議案第11号は、現在、導入されてもいない中高一貫校をも対象とする条例改正であり、その必要性がないものであり、反対します。
 次に、請願の不採択に反対の討論を行います。
 日の丸・君が代の拙速な法制化と強制に反対し国民的討論を求めることについての請願が不採択とされました。
 第1に、日の丸・君が代の法制化は、国旗・国歌についての国民的討論を封殺するものであります。最近のNHK、朝日新聞の世論調査でも、日の丸・君が代の法制化に反対する声は、それぞれNHKで48%、朝日新聞で45%を占め、議論を尽くすべきという声は朝日新聞で66%となっています。こうした国民の声と討論を無視して法制化を強行することは、許せない暴挙と言うべきものであります。
 第2に、日の丸・君が代は、国民主権を明記した日本国憲法のもとでは国旗・国歌にはふさわしくないということであります。君が代は、戦前、絶対主義的天皇制のもとで、天皇の治めるこの御代が末永く続き、栄えますようにと歌われたものであります。この歌詞も楽曲も変えずに、政府は小手先の新解釈で国歌として法制化を強行しようとしていますが、政府の新解釈でも、君が代とは天皇の国という意味としかなりません。これは、主権在民の原則と両立しないものであります。日の丸は、アジア諸国への侵略戦争の旗印として使われた旗であり、国内でもアジア諸国からも不安と危惧の声が出されているものであります。
 第3に、日の丸・君が代法制化のねらいが学校教育現場への強制を一層強めるものとなりかねないことであります。憲法第19条では、思想及び良心の自由を保障しています。日の丸・君が代の教育現場への強制は、文字どおりこの憲法の精神、条項に反するものであります。法制化では、国民には義務づけしないと言っていますが、国民に義務づけできないものがなぜ教育現場に強制し、教師と子供たちに強制できるのでしょうか。この点でも私は、これまでの日の丸・君が代の強制は直ちに中止すべきと強く求めるものであります。
 盗聴法案に反対する請願も不採択とされました。
 国会に提出されている盗聴法案は、そもそも憲法21条で明記されている通信の秘密はこれを犯してはならない、この条項を踏みにじるものであり、国民各層各界から反対の声が広がっているものであります。特に重大なことは、法案第3条で、疑いに足りるすべての市民が盗聴の対象とされていることであります。また、盗聴の事実はほとんど市民に知らされないことであります。また、濫用しないと言っていますけれども、日本共産党幹部宅への盗聴は、裁判で警察ぐるみの組織的犯行として断罪されたにもかかわらず、警察はいまだに盗聴の事実を認めず、謝罪もしていないのであります。こうした警察に盗聴を合法化して許したらどうなるか、市民にとって百害あって一利なしと言うべきものであります。
 こうした二つの重要な請願が県議会、委員会においてまともな反対の討論、意見もなく不採択とされたことは、自民、自由、政和会による数の横暴、県議会の形骸化と言うべき残念なことであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(山内隆文君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第1号、議案第3号、議案第4号、議案第10号及び議案第11号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第3号、議案第4号、議案第10号及び議案第11号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第10号及び受理番号第11号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第10号及び受理番号第11号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号、議案第5号から議案第9号まで、議案第12号から議案第14号まで及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、議案第2号、議案第5号から議案第9号まで、議案第12号から議案第14号まで及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   
日程第16 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第16、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
   
〔参照〕
総務委員会
 岩手県先端科学技術研究センターについて
環境福祉委員会
受理
番号
件    名
一関市狐禅寺地区への廃棄物処理施設の建設反対について請願
介護保険の緊急改善を求めることについて請願
岩手県立病院の充実・強化・発展を求めることについて請願

商工文教委員会
受理
番号
件    名
能楽堂を核とした文化施設の整備について請願

農林水産委員会
 漁村環境の整備について
土木委員会
 一般県道西山生保内線の地震災害について
   
〇議長(山内隆文君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長から申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   
日程第17 発議案第1号地方分権を推進するための地方税財源の充実確保についてから日程第23 発議案第7号義務教育費国庫負担制度の堅持についてまで
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第17、発議案第1号から日程第23、発議案第7号までを一括議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、各派共同提案及び委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(山内隆文君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号から発議案第7号までを一括して採決いたします。
 各案件は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(山内隆文君) 起立全員であります。よって、発議案第1号から発議案第7号までは、原案のとおり可決されました。
   
日程第24 発議案第8号「日の丸」、「君が代」の法制化に反対する決議
〇議長(山内隆文君) 次に、日程第24、発議案第8号「日の丸」、「君が代」の法制化に反対する決議を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。阿部静子さん。
   〔12番阿部静子君登壇〕(拍手)

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