平成11年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(及川幸子君) 私は、さきの統一地方選挙で初当選いたしました自由党の及川幸子でございます。
 このたびの女性県議会議員誕生は、昭和46年以来28年ぶりだということを聞くに及びまして、岩手県の女性約73万5、000人の代弁者として県政に携わることの重大さを思うとき、身の引き締まる思いがするのでございます。
 私は、今回の選挙運動を通して感じましたことは、日々の生活の中で、私たちを取り囲むさまざまな問題や悩みの一つ一つが、実はすべて政治とかかわっているということでございました。女性だからこそ、主婦だからこそ、普通の庶民だからこそできることがある。増田知事が掲げる生活者の視点から県民の本当の声を政治の場に届けたい、今はそんな気持ちでいっぱいです。身近な問題にしっかりと取り組み、わかりやすいきめ細かな政治を実現していきたいと考えているところでございます。愛するこの自然豊かなふるさと岩手で、お年寄りが、働く人たちが、若者や子供たちが安心して生活できるような、そして、大きな夢と希望が持てるような、そういうまちづくりに県民の一人として、微力ではございますが一生懸命努力してまいりたいと思います。
 また、このたびは、改選後初の定例会におきまして、同僚議員の皆様の御高配により一般質問の機会を与えていただきましたこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。さらには、正副議長を初め、各議員の皆様並びに増田知事や御当局の御指導を賜りながら、女性の立場から県勢の発展と県民福祉の向上のため鋭意努力してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従いまして順次質問させていただきますので、当局のわかりやすい答弁をお願いいたします。
 まず、環境問題についてお伺いいたします。
 県は、昨年11月、岩手の情報発信の一環として、全国紙と地方紙あわせて13紙に本県のPR広告を掲載し、全国からアンケートに対する回答を募集されたとのことであります。それによりますと、全国から見た岩手のイメージは、広い、美しいと感じている人が約半数いるという、自然豊かな岩手が全国に認知された結果となったわけでございます。
 子育てのころ、子供の手をつなぎ、メダカが泳ぐ川、虫の跳びはねる光景を目にしながら通った道、心にほのかな温かさを感じたものでした。時代は移り変わり、その自然も大きく変わりました。土掘りの水路はコンクリート水路に変わり、螢やトンボの姿もめっきり減ってしまいました。水路や河川整備事業も大きな課題ではございますが、知事は、岩手の自然や歴史、風土、人情に触れ、物と心の美しさを体感することにより心身がいやされるような環境を整備、提供してくださると約束なさっております。自然とは、人間の力を加えない物事そのままの状態を示しているものと思いますので、生物が生息可能な河川も残していただき、親子で再び螢を追い求めるような心の豊かさを与えていただきたいと強く願うものでございます。
 知事は、過日の所信表明演述の中で、日本の環境首都を目指すと述べられておりました。私も、この美しい自然を次の世代に引き継ぐことが私たちの重大な使命であり、人と自然の共生を願う者の一人として同感であります。
 そこでお伺いいたしますが、知事が述べております環境首都を県民はどのようにイメージすればよろしいのでしょうか、わかりやすくお示しいただきたいと思います。
 次に、環境ホルモンについてお伺いいたします。
 環境汚染は今や地球的規模で広がっており、環境問題の解決なくして21世紀の時代は語れないと思います。人々の生活が豊かになった一方では、大量生産、大量消費、大量廃棄が環境に大きな負担をかけ、公害問題や地球温暖化などの大きな問題を抱えております。特にも、野生動物の体内からは高濃度の環境ホルモンが検出され、さきの報道では、雄が雌化し、生殖の根源が揺さぶられていることを知りました。また、学校給食で使用するプラスチック製食器や塩化ビニール製のおもちゃにも環境ホルモンが含まれていることが明らかになりました。さらには、若い女性に急増している子宮内膜症や乳がんの原因として、また、男性においては精子の減少に関係している可能性が指摘され、環境ホルモンは人類の将来を脅かすものとなりつつあります。今こそ真剣に、この環境ホルモンやごみ・産業廃棄物問題をみんなで考えていかなければならないと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、環境ホルモン問題についてどのような対応策をお考えなのか、県の御所見をお伺いいたします。
 次に、本県の女性行政の推進についてお尋ねいたします。
 この4月には男女雇用機会均等法の改正法が施行されましたが、それは、意欲と能力のある女性が、女性だからという理由でその能力などを認められないようなことがあってはならない。固定観念で男女の仕事を分けるのはやめようというのがこの改正のねらいで、働く場での男女差別がなくなるという大きな進展の法律なわけでございます。6月15日には男女共同参画社会基本法が成立し、国を挙げた取り組みが展開されようとしております。
 男女平等という言葉は人々にとって大変聞きなれた言葉ではありますが、現実として、社会に共同で参画する場合、今現在も女性に対する意識改革がなされていないと思うのです。県議会議員を望む女性に対して、女のくせにとか、女性に何ができるという全くの偏見を持った男性もいる現状の中で、女性の社会進出について、国や自治体がもっと積極的に進める必要があると考えます。人間の価値観は、男だから、女だからではなく、人間として基本的な考え方ができ、問題を解決していく行動力、心があるかどうかだと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、昨今の国内外を取り巻く情勢の中で、男女参画社会の実現に向け、本県の女性行政をどのように進めていこうとしておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、高齢化社会対策についてお伺いいたします。
 まず、高齢者の介護対策についてでございますが、人口の高齢化に伴い、寝たきりや痴呆といった介護を要する高齢者が増加するとともに介護期間も長期化しており、家族の心身の負担が非常に重くなっております。県の実態調査によりますと、寝たきりの高齢者を介護している人の80%は女性であり、また、65歳を超える介護者が41%を占め、高齢者が高齢者を介護する、いわゆる老老介護がふえております。また、介護者の約半数が健康状態について不調を訴えており、このままでは介護者も共倒れになるという悲鳴が聞こえるような状況で、在宅介護家庭への支援が強く求められております。こうした現状に対して、介護保険制度が創設され、平成12年度の施行に向けて、現在、準備が急がれておりますが、さまざまな問題もあると言われております。
 そこでお伺いいたしますが、介護保険においては、保険料のほかにサービスの利用に当たり1割の利用料負担が生じるわけでございますが、現在、ホームヘルプサービス利用者の8割以上が無料である現状を考えますと、負担増加により必要なサービスが十分利用できなくなることも懸念されることから、低所得者の利用料負担については相当思い切った軽減策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、中・軽度の痴呆性老人の処遇に非常によい効果があると言われる痴呆性老人グループホームについては、新しい制度でもあり、県高齢者保健福祉計画にないのですが、整備の状況はどうでしょうか。
 次に、介護保険以外の高齢者保健福祉対策についてでございますが、高齢者が住みなれた地域において生きがいを持って自立した生活を送ることができるようにするためには、介護サービスのほかにも幅広い日常生活支援サービスや介護予防対策、高齢者が住みやすいまちづくりなどを総合的に展開していくことが必要と考えます。とりわけ、今後始まる介護保険の要介護認定の結果、施設や在宅の介護サービスを利用できなくなる高齢者のための支援対策は急務でございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 私は、数カ月前、老人ホームを訪問し、入所されている老人お一人お一人とお話をしてまいりました。身寄りのないひとり暮らしの多くの老人の方々が涙を流し、このホームにいつまでもいられるようにお願いしますと私に手を合わせた姿を目にしたとき、だれにも必ず訪れる老後、人ごとではない、真剣に取り組んでいこうと心に誓ったものでした。
 私は、今後の超高齢社会を考えますと、公的サービスの充実とともに、若者から高齢者まで、それぞれの世代が役割を担い、お互いに学び合い、助け合うような社会を目指し、お年寄りがその知識、経験、技術を社会のために役立てて、生きがいを感じることができる仕組みを考えることも大切であると考えております。
 そこでお尋ねいたしますが、県では、介護保険制度の施行を展望し、独居老人などの生活支援を初めとする介護保険周辺の保健福祉施策を具体的にどのように進めようとしているのでしょうか。
 また、在宅の寝たきり老人などを医師が訪問して診療を行う在宅医療サービスを希望する声が非常に多いのですが、その実施状況についてもあわせてお伺いいたします。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 我が国の合計特殊出生率は昭和50年代以降低下傾向をたどり、平成10年には人口維持が可能とされる2・08を大幅に下回る過去最低の1・38まで低下しております。本県にあっても国とほぼ同様の低下傾向にあり、昭和30年には3・01であったものが平成10年には1・57という数値になっているとのことで、これは大変深刻な事態だと認識しているところでございます。少子化の及ぼす影響は、経済面、社会面などはかり知れないものがあるものと考えます。このような状況に少しでも歯どめをかけるためにも、希望どおりに子供を産み、安心して育てていける子育てに優しい環境づくりを一層推し進めていくことが必要と考えます。
 私は、中でも、仕事と子育てが安心して両立できるように支援する保育対策の充実が極めて重要であると考えます。近年の女性の社会進出は目覚ましく、その就労形態もさまざまです。仕事の性格上どうしても帰りが遅くなってしまう家庭、日曜や休日に働くことの多い職場、さらには、子供の体調がすぐれないとき、両親ともに仕事を休みにくい場合など、子供の保育にとても苦労するとよく耳にしております。このような多様なニーズに対応する延長保育、休日保育、病児や病後児の保育など、さまざまな特別保育の充実が求められていると考えます。
 県においては、国の諸制度に加えて、平成8年度から県単独事業のすこやか保育支援事業を実施するなど積極的な取り組みをしてきているとお聞きしておりますが、特別保育事業の現状と今後の推進方策についてお伺いいたします。
 また、子育て支援センターについてでありますが、昨今の少子化傾向の要因についてはさまざまに論議されているところでございますが、私は、子育てへの不安が予想以上に多いのではないかと危惧を抱いているものであります。
 昨年度、県が実施した岩手県少子化に関する意識調査の結果によりますと、理想とする子供の数は3人でありますが、現実に予定している子供の数は2人とする割合が多かったとのことでございます。このように子育てに対してちゅうちょしてしまう理由は、子育てにかかわる経済的、社会的、身体的、その他さまざまな不安が先立つためかと思われます。特に、若い母親の場合、子育てそのものに自信がなく、かといって身近に心を開いて相談できる人がいない、配偶者も仕事一筋で力になってくれないなどで孤独に追い込まれ、最悪の場合は子供への虐待や母子無理心中にも至る、そのようなことも実際身近で起こっております。
 そこで、そのような孤独な母を温かく受け入れ、親身になって悩みを聞き、子育てを支えてくれる制度の充実がますます重要になってきていると考えます。児童相談所などの行政機関もありますが、地元でいつでも気楽に訪れることができる場所として地域子育て支援センターというものがあると伺っております。そのような場所が、本当に地域の人々とよくなじみ、活用されるようになればとてもよいことだと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、地域子育て支援センターの現状と今後の推進方針についてお伺いいたします。
 また、少子化対策との関連でお伺いいたしますが、県においては、育児・介護休業を取得した方に育児、介護に必要な生活資金を融資する制度を設けているとのことですが、その制度の概要及びこの制度がどの程度利用されているのかお聞かせ願いたいと思います。
 次に、中心市街地の活性化についてお伺いいたします。
 県内においては、地域の顔である中心市街地の空洞化が進んでおります。少子化による人口の伸び悩みや経済の低成長のもとで、今後は購買力の大幅な増加が見込めない状況にあり、既存の商店街と郊外型のショッピングセンターなどとの競争がますます厳しいものになっていくものと思われます。
 このような中で、後継者不足に悩む中小商店は、商売をあきらめ、シャッターをおろす店がふえてきております。私の地元の水沢市においても駅前のダイエーが閉店し、その活用策を模索中でございますが、このような商店街の核になる大型店の閉店は一関市や北上市においても大きな課題になっており、商店街がますます元気をなくする大きな要因となっております。私は、中心市街地の空洞化は、単に商店街の衰退にとどまらず、高齢者など交通弱者の生活利便の確保やお祭りなど地域の伝統文化の継承という観点からも憂慮すべき事態であると考えております。町の中ににぎわいが戻り、商店街のみならず、地域の生活者が誇れる中心市街地の活性化に本腰を入れて取り組むことが今こそ求められております。
 このような中で、県内の市町村では、昨年施行された中心市街地活性化法の活用に向け、基本計画の策定が進められていると承知しておりますが、郊外への大型店の出店が続いている中で、中心市街地再生のためのシナリオづくりに苦慮しているようにも見受けられます。県としても、市町村が基本計画を策定するに当たってはいろいろ支援されていることと思いますが、今後どのように支援していかれるのかお聞かせいただきたいと思います。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 まず、心豊かな人間の育成についてでございますが、高度経済成長の時期を経て、現在、私たちの生活は物質的に豊かになりましたが、一方、さまざまな情報がはんらんし、核家族、少子化が進むなど社会の急激な変化を見せ、私たちの予測をはるかに超えたものになっております。
 そのような環境の中で、子供たちは生活体験や集団活動の機会に乏しく、他人を思いやる気持ちに欠けているとの指摘がございます。また、知識偏重主義や猛スピードでの機械化、情報化社会の進展などの中で子供たちの心の荒廃が進み、年少者の凶悪事件がふえております。
 知事は、新しい岩手づくりの三つの視点の一つであるひとについて、地域と学校の連携のもと、コミュニティーの拠点としての学校などを活用し、地域の自然や風土、文化を教材として、互いに才能や個性を生かしながら学び合う環境づくりを、いわば21世紀の寺子屋として県内各地で進めるとおっしゃっておられます。私たちが子供であったころは、緑豊かな田園を背に、近所の友達や教師も一緒に、水とたわむれ、風と遊び、雲を追いかけ、常に自然と一体となっていたものでございます。そのような自然との生活の中では、動物、植物との共存が無意識に行われていたのでした。今こそ、画一的な知識の詰め込みではなく、動植物との触れ合いや先生と生徒との心の触れ合いなど、人間性にあふれた豊かな心を持った創造的な人間を育てる教育が必要であると考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
 次に、いじめの問題でございますが、近年、子供たちを取り巻く社会環境が急激に変化し、人々の価値観も多様化してまいりました。こうした中で、子供たちが引き起こす事件がマスコミに取り上げられることも少なくありません。不登校、凶悪化する少年非行など、その数は全国的にも、また県内においても増加する傾向にあると聞いております。私は、以前にいじめを受けた子供から相談を受けたことがあります。いじめの手紙の文面は、子供の言葉とは思えないような冷酷きわまるものでありました。仲間外れに遭い、自分に自信を失い、真剣に死を考えた子供と、私は何時間も涙を一緒に流したことがあったのです。私が一番心配するのは、周囲が知らないうちに、このようなことが平気で子供たちの間で起きているということなのです。子供たちは、身近に同じ目線で何でも話のできる人を求めています。私は、子供にとって学校は、楽しく学び、生き生きと活動できる場所でなければならないと考えております。しかし、いじめは潜在化し、また陰湿化していると聞いております。ある学校では、いじめられる子供にも問題があるといって取り合ってくれないことから、先生にも家族にも話せない子供がいることなども耳にしております。このように、だれにも相談できずに困っている子供たちは、恐らくほかにもいると思われます。このようないじめに遭っている子供たちが気楽に相談できるような窓口の設置など、子供たちを救う県教育委員会の取り組み状況についてお伺いいたします。
 最後に、情報社会を迎え、これからますます子供たちが機械と向かい合う時間が増加することが予想されますが、仲間同士の心の触れ合いを決して失うことのない教育を切に心から願うものでございます。
 これをもちまして私の質問を終えさせていただきます。御清聴いただきましてまことにありがとうございます。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、環境首都のイメージについてでございますが、私は、次のような地域社会を環境首都として考えてございます。第1に、澄みきったおいしい空気や水、豊かな森林、美しい星空や草原などを守り育てるために、地球環境問題から身近な環境問題まで、多くの人々が家庭や学校、地域で話し合い、高い環境意識を持ってさまざまな活動に積極的に取り組んでいるような、参加と協働による環境にやさしい地域社会であります。第2には、多様で貴重な自然環境や希少な野生生物が、適切に保全・保護されるとともに、環境や生態系に配慮した開発がなされ、人々が豊かな自然と触れ合う機会が多くなるなど、人と自然が共生する岩手の環境が守られている地域社会であります。第3には、ごみの減量化やリサイクルが進展し、資源やエネルギーの節約が進められ、環境に優しい暮らしが営まれるとともに、家庭や工場などの排水の浄化設備が整備されて、川や海の水質がきれいに保たれているほか、地熱、太陽光、風力などのクリーンな新エネルギーが活用され、持続的な発展を続けることができる循環型の地域社会であります。
 このような、自然と共生し、循環を基調とする社会を実現し、そこでの岩手の人々の暮らしぶりを初め、自然豊かな県土をフィールドとした環境研究分野における取り組みや環境関連産業の展開などが、広く世界に向かって発信されるような夢県土の実現、それが私が考えております環境首都のイメージでございます。こうした内容を新しい総合計画に盛り込みまして、その実現のために全力を尽くしていきたいと考えております。
 次に、女性行政の推進についてのお尋ねでございますが、少子・高齢化の進展、経済活動の成熟化などの社会経済情勢の急速な変化に対応して、豊かな地域社会を実現していくためには、男女がお互いに人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会を形成していくことが緊要な課題となっております。
 このため県では、平成4年3月にその指針となりますいわて女性さわやかプランを策定いたしまして、意識啓発や女性リーダーの育成、審議会などへの女性委員の登用などを初めとする各種の施策を展開してきたところでございます。この結果、社会のさまざまな分野への女性の参画が促進されたところでございますが、一方では、県が昨年6月に実施した県民意識調査によりますと、全国に比べて県民の男女の地位の平等感が低いことや女性が働きやすい状況にはないという結果となっておりまして、さらなる施策の充実が求められております。
 このような中にありまして、国におきましては、男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置づけて、改正男女雇用機会均等法の施行や男女共同参画社会基本法を制定するなど、国を挙げた取り組みを展開することとしております。
 県では、これらの情勢を踏まえて、21世紀における岩手の望ましい男女共同参画社会の実現を目指して、そのための基本理念や目標、施策の基本的方向などを明らかにした新しい計画を策定することとし、有識者による懇談会を開催して意見をいただくなど、現在作業を進めているところでございます。もとより、男女共同参画社会の実現は、県民一人一人が、職場・家庭・学校・地域社会などにおいて、性別による固定的な観念や役割分担意識を変えてお互いを尊重し合うことが基本となるものでございますので、この計画におきましては、まず第1に、男女平等に向けた意識改革を掲げまして、また政策・方針決定過程への女性の参画の促進、雇用の場における均等な機会と待遇の確保、子育てに優しい環境づくりなどを主要な施策と位置づけて策定いたしますとともに、この計画に基づく諸施策を強力に推進していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 環境ホルモン問題についてでありますが、まず、この問題に対する基本的な認識といたしましては、外因性内分泌かく乱化学物質、いわゆる環境ホルモンによる環境汚染は、科学的に未解明な点が多く残されているものの、世代を超えた深刻な影響をもたらす恐れがある、環境保全上新たな重要課題と考えております。
 この認識のもとに、県の対応といたしましては、第1に、県内の実態を早急に把握することが必要であると考え、昨年度から、国とは別に実態調査を行い、さきにその結果を公表したところであります。その内容は、県内の環境中においても、国が行った全国調査結果とほぼ同様の検出状況を示したところであります。しかしながら、環境ホルモンに関する各種基準は現在設定されておらず、現状では測定値を評価できる状況にはありませんが、今年度以降も調査を継続し、環境ホルモンの実態について基礎的なデータの蓄積を図ってまいりたいと考えております。
 第2に、環境ホルモン等の化学物質の環境への排出抑制の推進が必要と考えておりまして、これにつきましては、現在国会において審議中であります特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案、いわゆるPRTR法案の動向を踏まえながら、本県の実情に応じた対策を検討してまいりたいと考えております。
 第3に、県民の皆さんに対し環境ホルモンに関する正しい情報をわかりやすく提供し、県民の皆さんとの共通理解を図ることが重要であります。このため、引き続き独自の調査等に積極的に取り組むとともに、各種調査研究結果や関連する情報の収集に努め、インターネット等を活用して積極的な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、高齢化社会対策についてでありますが、介護保険制度における利用料につきましては、介護サービスに関する利用者負担が、現行の福祉措置制度と医療保険制度との間で負担の仕組みが異なるなどの整合性を欠くことから、これを是正し、受益に応じた負担として、介護サービスに要する費用の1割を利用料として負担していただくこととなっております。この利用料が著しく高額となる場合には、所得状況などに応じて負担の上限額が設定されることとなっており、その具体的な要件につきましては、現在国の審議会において、低所得者の方々に配慮しながら具体的な検討が進められております。
 県といたしましては、要介護者等の方々が必要な介護サービスを利用できることが重要と考えておりますことから、引き続き本年度の政府統一要望においても、国において低所得者の利用料負担の軽減を図るための所要の措置が講じられるよう、国に要望することとしております。
 なお、生活保護受給者については、利用料相当額を介護扶助として支給することとなっております。
 次に、痴呆性老人グループホームについてでありますが、家庭的な環境の中で少人数の痴呆性老人が共同で生活できる場を提供するとともに、適切な援助を行うことにより痴呆性老人の福祉の増進を図ることを目的として運営されているものであり、県内では、平成11年度末現在で1カ所となっております。本年度は新たに2カ所を整備することとしており、昨年度創設された施設整備に対する補助制度の積極的な活用を図るとともに、現在策定しております県介護保険事業支援計画に整備目標数を設定するなど、その位置づけを明らかにし、さらに整備を促進してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険以外の高齢者保健福祉対策についてでありますが、高齢者が住みなれた家庭や地域の中で、心身ともに健康で生きがいを持って安心して生活できるようにするためには、介護サービスはもとより、ひとり暮らし老人などに対する生活支援や生きがい対策、要介護状態とならないための保健予防対策などを一層充実していくことが重要であると考えております。このため、生活支援対策としては、従来の配食サービスや移送サービスの提供のほかに、新たに日常生活の安全を確保するための緊急通報体制の整備、高齢者の自立した共同生活を支援する高齢者共同生活支援事業などを促進することとしております。
 また、生きがい対策としては、これまでの老人クラブによる訪問活動などに加え、新たに、家に閉じこもりがちな高齢者に生きがいの場を提供する生きがい対応型デイサービスや、元気な高齢者によるひとり暮らし老人の見守りや日常生活上の支援活動などを行う、いきいきシルバー活動総合支援事業などを実施することとしております。
 さらに、保健予防対策としては、健康診査や機能訓練、生活習慣病予防などの老人保健事業の推進を図るなど、現在見直しを行っている県高齢者保健福祉計画等に基づいて、地域全体で高齢者の方々を支える総合的な保健・福祉体制の整備を一層推進してまいります。また、心身機能の改善により介護保険施設を退所する高齢者やひとり暮らし老人などの生活を支援するため、高齢者生活福祉センターやケアハウスについても整備を進めてまいります。
 次に、在宅の寝たきり老人等に対する医療サービスについては、現在県内133カ所の医療機関を中心として、かかりつけ医による医学的管理を定期的、計画的に実施しております。今後におきましては、高齢者人口の増加に伴い、在宅の寝たきり老人に対する医学的ケアはますます重要になることから、寝たきりの高齢者ができるだけ家庭で適切な療養生活を送ることができるよう、医師会などと連携を図りながら、訪問診療や訪問看護等の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、少子化対策についてでありますが、近年の核家族化、女性の職場進出の増加に伴い、仕事と子育ての両立支援がますます強く求められているところであります。県におきましては、多様な保育ニーズに対応した保育サービスの充実を計画的に推進するため、平成8年に岩手県すこやか保育等プランを策定し、また、市町村の取り組みを支援するための県単独事業としてすこやか保育支援事業を創設するなど、本県の実情に応じたきめ細やかな保育対策を推進してきたところであります。その結果、平成10年度の特別保育事業の実施状況は、県内の保育所333カ所中、時間を延長して保育する延長保育が104カ所、保護者の病気等の場合に一時的に子供をお預かりする一時保育が38カ所、日曜日・祝日に保育を行う休日保育が13カ所、障害を持つ児童を受け入れる障害児保育が145カ所で行われており、年々実施保育所が増加しております。また、ゼロ歳児を受け入れている保育所も204カ所に上っております。
 県としましては、引き続き働き方の多様化に対応し、子育てと働くことの両立支援等に向け、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針の見直しの中で、新たな事業目標を設定するなどにより、保育サービスの一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、地域子育て支援センターについてでありますが、この事業は、保育所が地域の子育て家庭等に対する相談指導や子育てに関する情報提供を行うとともに、子育てサークルへの支援を行うなど、保育所が持つ子育てのノウハウを活用しながら、専業主婦家庭も含めた地域の子育て家庭全体を支援する拠点となることを目的として、平成5年度創設されたものであります。平成10年度においては、6市4町3村の計13保育所がセンターとして活動しており、さらに本年度は、21市町村の計22保育所での取り組みが予定されております。
 今後におきましては、引き続き地域的偏在や空白地域の解消を初めとして実施箇所の拡大を図るとともに、活動内容においても、子育てサークルの育成など子育て支援活動の一層の充実を進めていくことにより、家庭における子育て不安の解消に向けた市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) まず、育児・介護休業者生活資金貸付制度についてでありますが、この制度は、育児や介護をする勤労者の生活の安定を図ることによって、仕事と家庭の両立を支援することを目的として、県単独の事業として平成7年度に創設したものであり、育児休業または介護休業期間中の生活資金の一部として貸し付けようとするものであります。この制度の利用対象者は、県内に居住し、または県内の事業所に1年以上勤務している人であって、育児休業または介護休業を取得した人となっております。貸付条件は、貸付限度額が100万円以内、貸付利率は年2%、返済期間は1年以内の据置期間を含む5年以内で、取扱金融機関は岩手労働金庫となっております。
 また、この制度の利用実績は、平成7年度の制度創設以来平成10年度末までの累計で52件、貸付金額にして4、475万円となっております。
 次に、中心市街地の活性化についてでありますが、市町村の基本計画の策定につきましては、国の基本方針において、歴史や文化等の地域特性や地域住民の意向等を踏まえた具体的かつ明確な目標を設定すること、また、土地区画整理事業や駐車場、公園、街路の整備などのハード事業と、商店街のイベントや空き店舗対策などのソフト事業を相乗効果が上がるように集中的に実施することが大切であるとされております。
 県といたしましては、このような観点を十分に踏まえて、地域の特色を生かした実効性のある基本計画が策定されるように、庁内に中心市街地活性化連絡会議を設置し、各部の横断的な連携のもとに各地域の取り組みの支援を強化しているところであります。具体的には、基本計画づくりの考え方や各種の施策の普及を図るため、市町村や商工指導団体を対象とした中心市街地活性化研究会を開催しているほか、それぞれの市町村等の要請に応じ、現地の勉強会などにおける助言指導に取り組んでいるところであります。
 また、まちづくりを担う人材の育成が重要であるとの観点から、市町村や商工指導団体、商業者を含む幅広い市民を対象として、全国の先進事例の調査研究や参加者相互のネットワークづくりを行ういわて街づくり塾を本年度から開催しているところであります。
 さらに、基本計画の策定が円滑に行われるように、計画策定に要する経費に対する国庫補助の導入に取り組んでいるほか、中心市街地の景観形成など、各種事業の実施に関する地域住民の合意形成を促進する新たな制度を設けることとし、そのための所要の予算を本定例会に御提案しているところであります。
 今後とも、中心市街地の活性化が県内各地域の重要な課題であることを踏まえて、市町村の基本計画が有意義なものとなるように、地域ごとの特色を踏まえたきめ細かい助言指導に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕
〇教育長(大隅英喜君) まず、心豊かな人間の育成についてでありますが、今日子供たちを取り巻く社会は、少子化・核家族化、科学技術の著しい発展、情報化の進展等により大きく変化してきており、人々の価値観も多様化しております。こうした中で、自律心、自己抑制力や他者への思いやりの心などが身についていない子供たちが増加してきていると指摘されており、憂慮されているところであります。子供たちにとっては、学校、家庭、地域社会などが安心して過ごせる場所であること、また、その中で自分が必要とされている存在であることが心の強い支えとなっており、子供たちは、こうした集団の中で展開される生き生きとした体験活動を通して、自分の存在を見つめ直し、人間としての生きる力をはぐくんでいくものと考えております。したがいまして、県教育委員会におきましては、わかる授業、道徳教育、特別活動、ふるさと体験活動等の取り組みを通じて、心豊かで創造力あふれる人間の育成に努めているところでありますが、今後におきましても、家庭や地域社会との連携のもとに、各学校の実情や児童生徒の発達段階等を考慮しながら、教師と児童生徒が一体となった自然体験、郷土の偉人や産業に関する学習活動などを展開し、また世代や地域を超えた人々との交流、動植物との触れ合いなどの体験活動を一層充実させ、心豊かでたくましい児 童生徒の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、いじめの問題についてでありますが、いじめは小中高等学校とも減少傾向にあるものの、いじめの存在そのものが問題であると考えております。学校は楽しく、生き生きと活動できる場であり、子供一人一人が尊重され、自分の存在が認められ、自分が必要とされ、すべての子供たちに光が当たる場でなければならないと考えております。したがいまして、いじめられる子供にもそれなりの理由や原因があるとか、いじめられる子供の方にこそ強く生きる力や耐える力を身につけさせたいなどという考え方は、いじめへの問題に関する適切な考え方ではないものととらえております。
 このような考え方に立ち、県教育委員会では、体系的な研修を通じて教師一人一人の指導力の向上を図るとともに、学校内における教育相談の充実を図るため、教育相談室を設置したり、スクールカウンセラーや心の教室相談員を配置するなど、いじめの問題についてさまざまな取り組みを進めております。また、いじめに遭っている子供たちが気軽に相談できるようふれあい電話を設置し、多様化する児童生徒の悩みにこたえてまいりました。今年度においては、子供を育てる親の悩みに対応するための子育てホットラインを設置したところであり、また、子供が自分の悩みを電話やファクスで24時間相談できる子どもホットラインを新たに設置することを検討中であります。
 今後とも、子供一人一人の健全な成長を願い、きめ細かに相談に応じ、いじめからの立ち直りや自立を促す支援を一層進めてまいりたいと考えております。
   
〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時7分 休 憩
   
出席議員(50名)
1番 及川 敦 君
2番 飯沢 匡 君
3番 樋下正信 君
4番 照井昭二 君
5番 柳村岩見 君
6番 小野寺 研 一 君
7番 工藤大輔 君
8番 川村農夫 君
9番 佐々木 順 一 君
10番 佐藤力男 君
11番 及川幸子 君
12番 阿部静子 君
13番 阿部富雄 君
14番 田村 誠 君
15番 岩城 明 君
16番 中 屋 敷十 君
17番 千葉 伝 君
18番 佐々木 大 和 君
19番 水上信宏 君
20番 阿部敏雄 君
21番 川口民一 君
22番 小 野 寺好 君
24番 伊沢昌弘 君
25番 田村正彦 君
26番 上澤義主 君
27番 瀬川 滋 君
28番 藤 原 泰次郎 君
29番 船 越 賢太郎 君
30番 谷藤裕明 君
31番 菊池 勲 君
32番 佐々木 一 榮 君
33番 黄 川 田徹 君
34番 伊藤勢至 君
35番 高橋賢輔 君
36番 小原宣良 君
37番 長谷川 忠 久 君
38番 千葉 浩 君
39番 吉田洋治 君
40番 工藤 篤 君
41番 菅原温士 君
42番 佐藤正春 君
43番 山内隆文 君
44番 折居明広 君
45番 村上惠三 君
46番 藤原良信 君
47番 及川幸郎 君
48番 菊池雄光 君
49番 佐々木 俊 夫 君
50番 那須川 健 一 君
51番 吉田 秀 君
欠席議員(1名)
23番 斉藤 信 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時24分 再 開
〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部静子さん。
   〔12番阿部静子君登壇〕(拍手)

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