平成11年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝でございます。
 任期2期目に当たり、最初の定例会において一般質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝を申し上げます。
 初めに、知事演述の所感と私の思いの一端を述べさせていただきます。
 増田県政2期目に当たり、知事は、本定例会冒頭の演述において、これからの4年間を変革と創造の期間と位置づけ、それぞれの現場の実情を把握し、地域の抱えるさまざまな課題について、県民とともに考え、行動し、来るべき21世紀に向けて新しい岩手づくりに取り組むとし、生活者主権、地域主権の社会を見据え、県民一人一人と手を携え、みずからが先頭に立ち、率先垂範の行動をとることによって推し進めるとしております。その上で、環境、ひと、情報の三つの視点を大きな柱に据え、施策を展開すると述べておりますが、その基本的姿勢につきましては、私も意を同じくするものであり、評価するものであります。今後、その肉づけと実行を御期待申し上げます。
 我がふるさと岩手は、海、山、川のすぐれた自然を持ち、多様な気候風土が生み出す岩手の魅力としての資産があり、豊かな四季を織りなす自然とともに、先人たちから受け継がれてきた岩手の伝統、文化があります。私は、このすばらしい資産を持つふるさと岩手を来るべき21世紀において、夢や希望をただ単に託すのではなく、これから生きるものに少しでも幸せを感じさせる岩手の方向を示し、その実現に向け、今、最大限の努力を傾ける必要があると考えており、そのためにも今年度策定される岩手の新しい総合計画に大いに期待するものであります。施策の展開においては、地方分権を見据え、変化の激しい今の時代に即応した地方自治が求められております。もとより、地方自治の本旨は、地方の自主性、自立性を高め、地方の責任において個性豊かで活力ある地域社会を形成していくものと思うものであります。地方公共団体も、また議会においても、県民のためにすぐれた環境を保全し、生活基盤を整備し、安心して暮らせる地域づくりとしての県政を推し進める責務があるとの思いから、私に与えられた4年間の任期を県民の1人として、また地域を代表し、多くの県民の負託にこたえるためにも、県勢のよりよい発展、そして県民生活の向上のため、精いっぱい努力してまいる所存であります。
 それでは、順次質問いたします。
 まず最初に、県土の均衡ある発展という観点からお伺いします。
 これまで歴代の知事が県土の均衡ある発展を図るべく努力され、その結果、県勢は着実な発展を遂げていることに対しましては、知事を初め、執行部の皆様方に敬意を表するものであります。しかし、現状を見ると、例えば所得の格差を見た場合、本県の所得水準は年々向上しているものの、全国に比べ、平成8年度の1人当たり県民所得は86・5%であり、なお低位にあり、また県内においても県北・沿岸部と内陸部では依然として格差が見られるのであります。私は、この原因をそれぞれの地域の置かれた地理的、地形的条件や産業構造、さらには東北新幹線や東北縦貫自動車道等の高速交通幹線の整備等の差が大きな要素であると考えるものであります。県においては、これまでも県土の均衡ある発展を図ることを県の総合発展計画の柱に据え、さまざまな取り組みを行ってきたところでありますが、新しい県の総合計画の中間報告においても、県土全体が総体として発展することが夢県土いわての創造につながっていくこととしております。また、国においては、21世紀の国土づくりの基本として、多軸型国土形成を目指すこととし、そのための戦略の一つとして、中山間地域や農山漁村、地方中小都市を新しい生活空間ととらえる多自然居住地域の創造を打ち出しており、東北はその代表的な地域として、新たなライフスタイルの実現を可能にする国土のフロンティアと位置づけられておりますが、基本は、新しい国の計画においても国土の均衡ある発展を図ることとしております。
 そこでお尋ねしますが、県としてこれらを踏まえ、県土の均衡ある発展を図る観点から、県北振興についてどのように考えていかれるのか、また、今後、具体的にどのような施策を進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いします。
 次に、並行在来線対策についてお伺いします。
 全国の整備新幹線の建設促進については、与党の協議会において早期完成に向けた取り組みが進められており、東北新幹線盛岡-八戸間につきましても、早期開業の期待が高まってきているところであります。新幹線の開業が迫ってまいりますと、開業時にJRから経営分離される並行在来線対策も現実のものとなってきますので、具体的な課題についてお伺いします。
 まず、鉄道貨物の問題についてでありますが、報道によると、運輸省はJR東日本並びにJR貨物、岩手県、青森県による関係者会議を開催し、鉄道貨物の走行経路について多額の追加経費が必要なことや安全上の課題から、新幹線軌道上としないことで調整を図ったとのことであります。御案内のとおり、整備新幹線の建設に伴う鉄道貨物の取り扱いにつきましては、平成8年12月の政府与党合意により、新幹線上を走行することを含め、関係者間で調整を図ることとされておりました。したがって、東北本線の場合、鉄道貨物輸送の走行経路については、その1、東北新幹線上を走行する、その2、並行在来線である東北本線上を走行する、その3、迂回ルートである奥羽本線などを走行するの三つの選択肢があったものと認識しております。平成9年度に県が実施した調査によると、鉄道貨物ありと鉄道貨物なしでは、並行在来線の維持管理の経費に大きな違いで出てくるとのことであり、厳しい経営が予想される中にあって、まさに鉄道貨物の取り扱いが並行在来線の将来を左右するといっても過言ではありません。私は、今般、新幹線軌道上としないことで関係者の調整を図られた結果、迂回ルートは時間、コストなどの点から極めて非現実的なことから、鉄道貨物が従来どおり、東北本線上を走行することが最も有力になったものと考えます。この鉄道貨物問題について、知事はどのように認識しておられるのか、また、今後、どのように対応する方針なのかお伺いします。
 次に、並行在来線の経営区間と経営主体についてお伺いします。
 私は、この問題につきましては、本県と同じく当事者である青森県との調整や広域的な観点からの連携が必要であると考えており、県当局では鋭意その調整・連携に努めておられるものと存じます。最近の報道によりますと、青森県では、県の主体性の確保や責任の明確化や機動的な対応を可能とするため、経営区間については、それぞれ県境までとする案を市町村に提示したとのことであります。一方、経営主体については、本県では、第三セクターを有力な選択としているとのことですが、その他の選択肢として、青森県が検討しているという公設民営方式、公営企業方式などが考えられます。並行在来線の経営区間及び経営主体として最も適切なものを選定するためには、そのメリット、デメリットを十分に見きわめ、こうした情報を公開しながら県民の理解を得ていくことが肝要であると認識しております。
 そこでお伺いしますが、県では、並行在来線の経営区間と経営主体について、どのような考え方で検討を進めておられるのでしょうか。それぞれの選択肢のメリット、デメリットを含め、お示しいただきたいと存じます。
 次に、農業問題についてお伺いします。
 現在、国会で21世紀の我が国の農政の枠組みを決める食料・農業・農村基本法案が審議されております。現行の農業基本法は、農業と他産業間の生産性と生活水準の格差の是正によって、農業の発展と農業従事者の地位の向上を図ることを目的として、昭和36年に制定されたところであります。しかし、農家の生活水準については、兼業所得の増大もあって、他産業従事者との均衡がほぼ達成されたものの、生産性については、他産業の生産性が高度経済成長により著しく向上したため、格差是正には至らなかったと認識しております。また、昨今の農業農村をめぐる情勢は、内にあっては、食糧自給率の低下や農業従事者の減少、高齢化の進行、外にあっては米の関税措置への切りかえに代表される新たな国境措置のもとにあるなど、大きな転換期を迎えております。私は、農業農村は農業生産という重要な使命に加え、その生産活動を通じて自然環境や国土の保全など大切な役割を担うとともに、生活の場として、また伝統文化をはぐくむ場として、国民生活に欠くことのできないものであると確信しております。特に、県民生活に占める農業農村の位置づけが大きい本県にあっては、農業農村の振興が夢県土いわての創造に不可欠であると考えているところであり、私は、新しい食料・農業・農村基本法に大きな期待を抱いているものであります。
 そこでお伺いしますが、これからの本県、ひいては我が国の農業農村の存亡を左右する新しい基本法を知事はどのように認識されているのでしょうか。この基本法に対する御所見をお示しいただきたいと思います。
 次に、増田県政の大きな柱の一つとして環境を掲げておりますが、環境という言葉は、今や地球規模での重要なキーワードとなっており、自然環境から生活環境まで幅広い意味を持つものであり、さまざまな課題がある中から3点につき具体的に質問いたします。
 まず第1点は、これからの農業振興施策に関連した畜産環境対策についてであります。
 本県の今日の畜産は、農家を初め関係者の御努力により、短期間で著しい発展を遂げ、本県農業の基幹部門になっております。しかし、畜産経営の急激な大規模化や農村社会の混住化、都市化の進展などに伴い、国民の環境に対する関心が高まる中で、一部において家畜のふん尿の不適切な処理による悪臭や水質汚濁などの問題が発生し、時にはマスコミに取り上げられるなど、社会問題に発展しかねない状況にあると考えております。本県農業の歴史は、有畜農業を基本として発展してきたところであり、家畜のふん尿は耕種部門での作物生産に欠かすことのできない優良な有機質肥料として積極的に利用されてきたところでありますが、耕種部門においては、農家の高齢化、兼業化などが進行するとともに、生産性を重視する余り、化学肥料に偏った生産方式になっていることなどにより、有機物の施用が年々減少し、農地の生産力が減退してきているとの指摘も見受けられるところであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、近年、国民の環境保全に対する意識や消費者の有機農産物に対する関心が急速に高まってきていることは御案内のとおりであります。このような中にあって、私の地元の岩手地域においては、大規模畜産農家が最新式の家畜ふん尿処理施設で良質な堆肥を生産し、野菜農家に供給することによって、品質のすぐれた野菜の産地づくりに役立てられている事例も見られるところであります。今後、本県の畜産業が地域社会や自然環境と共存し、健全な発展を図っていくためには、家畜のふん尿を適切に処理するとともに、貴重な有機質資源として有効に活用していくことが重要な課題であると認識しております。
 そこでお伺いしますが、国では、環境と調和のとれた持続的な農業生産の確保を図るための法案及び家畜ふん尿の適切な処理と有効利用を進めるための法案が今国会で審議されているところでありますが、県ではこうした国の動向をも踏まえ、今後、本県の農業振興を図っていく上で、畜産環境対策にどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
 また、2点目としては、農業分野の環境問題として、農業用廃プラスチックの適正な処理ということも重要な課題となっており、早急に具体的な対策を講ずる必要があると思いますが、本県の農業用廃プラスチック処理への取組状況についてもお示しいただきたいと思います。
 次に、第3点目として、ごみ減量化・再生利用についてお伺いします。
 近年、経済の発展や科学技術の向上により社会経済が高度に発展し、豊かで便利な生活が得られたところであります。しかしながら、その反面、社会は大量生産、大量消費型の社会構造となっており、地球規模の環境破壊、大気や水の汚染、廃棄物問題、さらには人や動物の内分泌物質の異常など、さまざまな問題が発生しております。人間が日常生活を送り、事業や産業活動を行う限り、資源を消費し、何らかの廃棄物が排出されることは避けて通れないところでありますが、私は、排出された廃棄物を再利用したり、少なくすることは可能であると考えます。
 また、市町村においては、廃棄物の増大に伴い、最終処分場の残余容量の逼迫とともに、ごみ処理経費が増大する傾向にあると聞いているところであります。このようなことから、今後の廃棄物処理は、これまでの焼却中心の処理方法から地球環境への負荷を最小限に抑え、ごみの減量化、不用品の再利用や資源ごみを原材料として再生利用するなど、資源消費型社会から資源循環型社会への転換が求められているところであります。このような状況の中で、平成7年6月に容器包装リサイクル法が公布され、市町村においては、容器包装廃棄物の再資源化を図るため、平成9年4月からスチール罐や飲料用パック、ペットボトルなどの廃棄物を分別収集しているところであり、さらに、同法は平成12年4月から段ボール、プラスチック製容器など3品目が追加され、本格施行されることとなっております。
 そこでお伺いしますが、容器包装リサイクル法が本格施行されるに当たり、まず、家庭や事業所から排出される一般廃棄物の排出量とリサイクル量の現状はどうなっているのか、また、県においては、今後ごみの減量化・再利用をどのように推進されようとしているのかお伺いします。
 次に、高齢者保健福祉施設の整備についてお伺いします。
 本県は、全国に先行して高齢化が進行しており、平成22年には4人に1人が高齢者になるものと見込まれております。こうした中で、高齢者がその能力や創造性を発揮し、生き生きと生活できるように、また虚弱になっても生きがいを持って自立した生活が送られるよう保健福祉施設等の整備を初め、総合的な社会基盤の整備が求められております。とりわけ、介護サービス基盤の整備は、平成12年4月の介護保険制度施行を控え、緊急の課題であります。
 そこでお伺いしますが、県高齢者保健福祉計画によって進められております、本県の高齢者保健福祉施設の整備状況及び計画の達成見込みはどうなっているのでしょうか。また、今後の急速な高齢化を考えると、さらに相当数の保健福祉施設の整備が必要であると考えますが、県では、今後、高齢者の保健福祉施設の整備にどのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。
 次に、市町村における少子化への取り組みについてお伺いします。
 近年における子供を取り巻く環境は、出生率の低下に伴う子供の数の減少や核家族化の進行、女性の社会進出などにより大きく変化してきているところであります。特にも、出生率の低下は著しく、全国的に少子化が急速に進行しております。このような少子化により、将来の経済活力の見通しや保険、年金の世代間の負担のあり方から、子供自身が友人間で切磋琢磨し、たくましく健やかに育つ機会が減少することなど、いろいろと多くの課題が派生することが指摘されております。申し上げるまでもなく、少子化への対策は、国はもとより、県、市町村、家庭、地域社会、学校、企業などが一丸となって取り組むべき総合的な課題であると認識するものでありますが、中でも住民に最も近い自治体であります市町村の役割もまた極めて重要であると考えるものであります。少子化に総合的に取り組んでいくためには、国や県と同様、各市町村においても、それぞれの地域特性を踏まえた推進計画、いわゆる市町村版エンゼルプランが必要と考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、本県における市町村版エンゼルプランの策定状況とこれに対する県の認識についてお示し願います。
 次に、道路整備についてお伺いします。
 知事は2期目を迎え、今議会の冒頭における所信表明の中において、距離の壁、地形の壁、産業の壁、人の壁などの克服を挙げておられます。このことは、県民が描く夢県土いわてを実現するため、非常に前向きな施策であると私も考えているところであります。また、実現に向けた施策の中において、広域連合や広域行政を支援することを表明しておりますが、このような施策を支える道路として、東北縦貫自動車道が完成した後においても、国道4号は各地方の中核都市や地方都市を有機的に結び、地域の産業経済や連携・交流に大きな役割を果たす重要な路線であります。盛岡以北で考えてみますと、東北縦貫自動車道のルートが西側に迂回していることから、国道4号は県都盛岡市と生活圏を同じにする玉山村や岩手町、さらには、二戸市を連結する極めて重要な路線であると私は認識しているところであります。しかしながら、盛岡以北の国道4号の整備状況は、交通量に見合った車線の確保やバイパスの整備がおくれているため、渋滞を引き起こし、国道としての機能が確保されず、盛岡都市圏と盛岡以北の各市町村の産業活動や連携・交流に支障を来しているものと考えます。
 そこでお伺いしますが、現在計画を進めている盛岡以北の茨島から分レ間の4車線化、そして渋民バイパス整備については、その進捗状況はどうなっているのでしょうか。また、県として、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうかお伺いします。
 次に、国道281号と国道282号の整備の見通しについてお伺いします。
 国道281号は、内陸部から葛巻町や山形村を経由して、沿岸北部を結ぶ幹線道路であり、県ではこれまで重点的に危険箇所や交通隘路区間の解消に努め、この結果、近年大幅な改善が図られたものと認識しており、感謝を申し上げます。しかしながら、本路線の状況を見るとき、岩手町や葛巻町、また山形村等において、整備を必要とする区間がまだ多く残されており、特に峠部の整備が緊急の課題と考えるものであります。また、古くは津軽街道と称された国道282号は、沿線の開発による交通量の増加により、滝沢村の一本木地区や西根町内の市街地で慢性的な交通渋滞が発生し、交通安全の確保が図られていない状況にあります。県では、それぞれバイパス工事に着手しておりますが、地元の早期完成にかける期待は非常に大きいものがあります。
 そこでお伺いしますが、沿線住民の最大の課題であります国道281号と国道282号の整備の状況、そして今後の見通しについてお示し願います。
 以上を申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答えいたします。
 まず、県北地域振興についてでございますが、県北地域は、気象条件を初め厳しい自然条件のもとにあり、また、依然として若者の流出や県平均を上回る高齢化の進行によりまして地域活力が低下するなど、多くの課題を抱えている状況にあるものと認識をしております。
 一方、この地域は、雄大な自然空間や豊かな農林水産資源に恵まれておりまして、多自然居住地域の場としての役割や、我が国が直面をしております少子・高齢化、産業構造の転換などといった課題への先駆的な取り組みが期待される地域でもございます。
 私は、県北地域のこれからの一層の振興を考えますときに、地域が守りはぐくんでまいりました豊かな自然や多彩な地域文化などを再評価しながら、地域が持つ発展可能性を最大限に引き出して、個性や特色を生かした魅力ある地域づくりを進めますとともに、人・モノ・情報の流れを生み出すネットワークの形成を図ることによって、地域間の交流と連携を促進して、広域的、一体的な発展につなげていくことが何よりも重要であると考えております。
 今、この地域は、新幹線の盛岡以北の整備や、これに関連する道路の整備を初めとするさまざまな事業が進展するなど、大きな飛躍のときを迎えようとしてございます。
 こうしたことから、新しい総合計画におきましても、時間の壁や地形の壁を乗り越えるプロジェクトの事業に位置づけ、東北新幹線盛岡以北の整備、八戸・久慈自動車道の一層の建設促進による多軸型ネットワークの形成や、いわて情報ハイウェイの整備による多層型ネットワークの形成、医療・保健・福祉機能の充実強化、多彩な地域資源を生かした産業起こしなど、さまざまな施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、並行在来線の鉄道貨物輸送問題についてでございますが、先般の鉄道貨物の輸送経路に関する関係者協議の際に、鉄道貨物の経路は並行在来線又は迂回ルートが適当であるとの見解が運輸省から初めて示されまして、また、JR貨物からは、JR東日本とJR貨物同士の現行の経費の負担ルールによって並行在来線を引き続き走行したいと、このような考え方が示されたところでございます。
 これまでの経緯に照らして、並行在来線の経営分離後におきまして、県を初めとする地元が地域の旅客輸送の確保に責任を負うものでございますけれども、一方、全国一元的な鉄道貨物輸送の機能の確保はまさに国の運輸政策上の課題であることから、国又はJR貨物自身の責任において解決されるべきものであると、このように認識をしております。
 鉄道貨物輸送が並行在来線を走行して行われる場合にございましては、これに要する一切の経費を負担いただくことが当然の前提でございまして、仮に鉄道貨物輸送を維持するために必要となる経費を地元で負担することになりますと、並行在来線の新しい経営主体の存立に極めて深刻な影響を及ぼすことが懸念されるわけでございます。
 今後は、関係者間で線路使用料等に関する交渉が本格化をすることとなるわけでございますが、県では青森県と連携を図りながら、貨物走行に係る一切の経費をJR貨物に求めていくことといたしまして、粘り強く交渉を行っていく一方で、国が鉄道貨物輸送問題の解決に向けて主体的な役割を果たすよう、強く働きかけていきたいと考えております。
 次に、新しい農業基本法に対する認識についてでございますが、食料・農業・農村基本法案においては、食料・農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって、国民生活の安定向上そして国民経済の健全な発展を図ることを目的としておりまして、また、基本理念として、食料の安定供給の確保、多面的機能の十分な発揮、農業の持続的な発展、農村の振興と、以上の4点を掲げております。これらの基本理念は、安全、安心な食料や農業農村の持つ多面的な機能に対する国民の期待にこたえるなど、時代のニーズに即応したものでございまして、我が国農業が大きな転換期にある今日、まさに時宜を得たものと、このように認識をしております。
 県では、新しい基本法の制定に当たりましては、意欲ある農業者が将来展望を持って農業に取り組めるように統一要望の重点項目として要望してきたところでございますが、国内農業の持続的発展や食料自給率の向上を明確にするほか、中山間地域などへの直接支払制度の導入など、要望の趣旨がおおむね盛り込まれたものと考えております。
 現在、県で策定中の新しい農業計画におきましても、新基本法の精神を踏まえてこの広大な農地、変化に富む気象条件など、本県農業が持つ他県にはないすぐれた資源、特性を最大限に発揮することによりまして、我が国枢要の総合食料供給基地としての地位の確立を目指してまいることとしてございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承願います。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) 並行在来線の経営区間と経営主体についてでございますが、厳しい経営が予想される並行在来線につきましては、県民の利便性の向上と経営の健全性の確保を図る観点から、新駅の設置や沿線開発などの県・市町村が一体となった利用促進への取り組みが重要であると認識しているところでございまして、地域が主体性を発揮しながら、迅速かつ機動的に意思決定が行える経営環境を整えることが重要であると考えてございます。
 経営区間につきましては、盛岡-青森間、盛岡-八戸間、そして県境での分離の三つの案が考えられるわけでございますが、県境をまたいで両県で共同経営した場合は関係者が増加することなどから、経営責任が不明確となる懸念があること、あるいは迅速な意思決定が困難になるおそれがあること、さらには、地域住民との一体感も希薄になるおそれがあること等々が考えられますことから、相互に乗り入れを行って鉄路の一体性を確保することを前提に、県境で経営を分離することが有力な選択肢であると考えてございます。
 また、経営主体につきましては、第3セクター方式のほか、鉄道施設を地方公共団体が保有し、運営は民間企業が行ういわゆる公設民営方式であるとか、あるいは地方公共団体が直接経営を行う公営企業方式などが想定されるわけでございますが、公設民営方式につきましては、現実問題として運行を担う民間企業の確保等の問題があること、また、公営企業方式では、鉄道経営のノウハウの点などの問題があること等々から、民間のノウハウを活用しつつ、県や市町村などの施策と一体となった経営が展開できる第3セクター方式が最も望ましい形態であると考えております。
 今後におきましても、青森県や沿線市町村との協議を重ねながらさらに検討を深め、県民にとってよりよい選択を行ってまいりたいと考えてございます。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、これからの畜産環境対策についてでありますが、環境問題が社会的に大きくクローズアップされている今日、畜産の持続的発展を図るためには、家畜ふん尿の適切な処理とその有効利用が極めて重要な課題となっております。こうしたことから、本年3月、平成17年度を目標として岩手県家畜ふん尿処理施設整備計画を策定し、地域の立地条件や畜産経営の規模などを勘案しながら、農地への還元を基本とし、再利用を視野に入れた処理施設の整備を図ることとしております。この計画を着実に推進するためには、より良質な堆きゅう肥づくりと合わせて、効率的に利用できる作業請負組織の育成など、耕種部門における利用促進はもとより、農業以外の広範な実需者との連携を一層強化することが肝要であると認識しております。
 さらには、家畜排せつ物からメタンガスを発生させ、発電などの新たな利用を調査、研究するため、本年3月、岩手県バイオマスエネルギー等利用検討懇話会を設置したところであります。このような取り組みを行いながら、畜産の環境保全と資源循環型農業を強力に推進し、地域社会や環境との共生が可能な畜産経営の確立を目指してまいりたいと考えております。
 次に、農業用廃プラスチック処理の取組状況についてでありますが、マルチ栽培やハウスなどに幅広く利用されているプラスチック資材は農業生産の安定に大きく寄与しており、今後とも利用の増大が見込まれることから、使用済みプラスチックの適正処理は極めて重要な課題となっております。このため、昨年10月、岩手県農業用廃プラスチック適正処理基本方針を策定し、野焼きや不法投棄などが行われることのないよう、農業者に対する排出者責任の意識啓発、地域の実情に応じた回収処理体制の確立により、適正処理の徹底に努めてきているところであります。現在、25市町村で農協を中心とした組織的な回収処理が行われているところでありますが、県下全域で早急に実施されるよう、引き続き指導してまいる考えであります。
 こうした取り組みに加え、本年8月からダイオキシンの発生が懸念される塩化ビニールについては、移動式のプラスチック破砕洗浄装置による再生処理を地方振興局ごとに行うとともに、ポリエチレン類については、大船渡のセメント工場の燃料資源として再利用を進めることとしております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) まず、一般廃棄物の排出量の現状についてでありますが、平成9年度に市町村が収集したごみの量は43万3、000トンであり、1日1人当たりでは836グラムで、前年度とほぼ同じ量で推移しております。また、ごみのリサイクル量は6万6、000トンとなっており、前年度の6万1、000トンに比べ約9%増加いたしております。
 県におきましては、これまで平成6年3月に策定した岩手県ごみ減量化・再生利用推進行動指針に基づき、市町村との協力のもとに、買い物袋持参運動やリサイクルコンクールなどの事業を展開し、ごみの排出量の抑制、再生利用の促進に取り組んできたところであります。この結果、県内のリサイクル率で見ますと、平成4年度は7・7%であったものが、9年度には14・4%と着実に進んでおります。
 今後の一層のごみの減量化を図るためには、昨年度開催いたしました有識者による検討会におきまして、平成22年度におけるごみの減量化やリサイクル率の目標数値について御意見をいただいたところであり、現在検討中の環境基本計画の中でその数値を示してまいりたいと考えております。
 今後におけるごみの減量化・再生利用につきましては、平成12年度の容器包装リサイクル法の本格施行に向けて、ごみの減量化、再生利用に重点を置いた新しい行動指針を策定し、県内外の先進的な活動事例の紹介やリサイクルの実践的な手法等を盛り込むなど、リサイクルの普及啓発や分別収集体制の整備に努めながらリサイクル率を高め、ごみの減量化や再生利用を一層推進してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕
〇保健福祉部長(関山昌人君) 高齢者保健福祉施設の整備についてでありますが、県高齢者保健福祉計画の最終年度に当たる本年度は、来年4月の介護保険制度の施行に向けて、特別養護老人ホームや老人保健施設など、緊急に整備を要する施設については計画を前倒しして整備するとともに、在宅サービス提供施設についても、不足が生じないようサービス必要量を勘案しながら積極的に整備拡充に努めているところであります。これにより、平成12年当初には、特別養護老人ホームは定員4、654人で、計画に対する達成率は110%、老人保健施設は定員4、594人で104%、デイサービスセンターは173カ所で87%、ショートステイ専用居室は971床で135%となるなど、介護サービス提供施設については、一部を除きおおむね計画目標を達成できる見込みとなっております。
 今後におきましては、介護保険制度施行後、利用者が必要な介護サービス等を適切に受けられるよう、介護保険施設のほか、ひとり暮らしなど独立して生活することに不安のある高齢者が入所できる高齢者生活福祉センターや、痴呆性老人グループホームなど、新たな福祉需要に対応できる施設の整備に加え、現在策定中の介護保険事業支援計画などに基づき、介護サービス提供施設等の適切な整備に努めてまいることとしております。
 次に、市町村における少子化への取り組みについてでありますが、まず、市町村における児童育成計画、いわゆる市町村版エンゼルプランの策定状況は、本年6月現在で27市町村が策定済みであり、本年度はさらに8町村において策定される見込みとなっており、本県の計画策定率は全国平均を大きく上回っております。少子化への取り組みにおいては、国、県、市町村の間で緊密に連携をとりながら、企業・学校・地域社会を含めた社会全体で子育てを支援していく体制を整備し、子育てに関する相談・指導、仕事と子育ての両立支援、母子の保健医療対策、子供の生活環境づくりなど、さまざまな施策を総合的かつ計画的に展開していくことが肝要と考えております。そのため、地域住民に最も身近な市町村においては、子育てに関する住民のニーズ等を的確に把握するとともに、将来の具体的な目標を定め、きめ細やかな事業を計画的に実施していくことが重要であると考えております。
 県といたしまして、こうした計画策定の重要性にかんがみ、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針について、より地域に密着した実効性の高いものとする観点から、地方振興局単位に事業目標を設定するなど、具体的な実施計画として見直すこととしております。
 本指針の見直し等を通じて、未策定町村を初めとする各市町村が地域にふさわしい児童育成計画を策定するよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 盛岡以北の国道4号の整備についてでありますが、国が管理する国道4号は本県内陸部を縦貫し、東北縦貫自動車道とともに東北地方における社会経済活動を初めとする多様な交流・連携を支える主要な幹線道路であります。
 盛岡拡幅の茨島跨線橋の4車線化につきましては、新幹線の盛岡以北のフル規格の決定に合わせて平成8年度から事業が再開され、今年度から工事着手されていると伺っております。さらに、これに続く分レ交差点までの区間は、自然環境への配慮が必要な環境緑地保全地域などに指定されていることから、今後の道路のあり方について広く意見を聞く住民参加の手法であるPI、いわゆるパブリック・インボルブメントを東北地方では初めて導入しているところであります。
 これまで、事業主体である国を初め県、盛岡市、滝沢村が事務局となって、有識者、地域代表、関係機関からなる懇話会を開催し、周辺地域住民約1万人のアンケート調査結果なども整備計画に反映されるよう努めることとしており、この成果がまとまり次第、早期に事業化が図られるよう国に強く要望してまいりたいと考えております。
 また、渋民バイパスでありますが、玉山村渋民の東側を迂回する約6キロメートルのバイパスとして昭和61年から事業に着手しております。しかし、事業の進捗は長年にわたって用地の理解が得られていないことや、財政構造改革の影響等により事業費が厳しい状況にあると聞いておりますが、地元の整備要望の強い交通隘路区間であることから、国においては、盛岡側から中間に位置する村道山屋馬場線までの暫定2車線供用を目指し、現在工事中であります。
 次に、県管理の国道281号と国道282号についてでありますが、国道281号につきましては、これまで重点的な道路整備を進めてきたところであり、昨年度は葛巻町の繋地区で隘路区間が解消され、岩手町から葛巻町の大坊峠については来年度の完成を目指しているところであります。さらに、県北・沿岸と内陸部の冬季も含めた交通アクセス上、最大の壁となっている北上高地の平庭峠については、抜本的な整備手法等の検討を進めていくこととしております。
 次に、国道282号についてでありますが、幅員の狭小な市街地の人家連担部である滝沢村の一本木地区と西根町の大更・平舘地区においてバイパス事業に着手し用地取得を進めておりますが、西根バイパス延長約10キロメートルのうち、大更地区延長約5キロメートルについて、平成10年度半ばを目途に部分供用を図ることとして橋梁工事などの整備を進めております。
 県といたしましては、今後とも国の事業の促進とともに、早期完成による効果の発現に努めてまいりたいと考えております。
〇17番(千葉伝君) 増田知事初め関係部長から、それぞれ御答弁いただきありがとうございました。1点について再質問いたします。
 本質問でも申し上げましたとおり、並行在来線の問題でありますが、本県と青森県にまたがっているわけでありますので、両県の連携と調整が極めて大切であると考えております。ただいまの答弁では、経営区間については、相互乗り入れを前提として県境で経営分離することを考えているということ。それから一方、経営主体については、第3セクター方式が最も望ましいということで考えておられるという御答弁であります。当然、こうした事項については、岩手県のみならず、青森県との調整というものが必要だということだと思います。そういうことから、例えば並行在来線の開業準備とかJRの資産譲渡などについての国とかJRとの折衝など、両県が連携して行うべき課題が数多くあると思うわけであります。したがいまして、この両県のこれまでの調整の状況と今後の対応について、青森、岩手両県知事のトップ会談も含めお伺いしたいと思います。
   
〇議長(山内隆文君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) 並行在来線に係る青森県との連携・調整についてでございますが、並行在来線対策は、お話しのとおり、岩手・青森両県共通の課題である、そういう共通認識のもとで、これまでに並行在来線の経営見通しや将来需要の予測等に関する各種の調査事業を共同で実施してきたところでございますし、両県の担当の部課長などによる会合あるいは打ち合わせなど、数回にわたって行ってまいりまして、青森県と連携してこれに取り組んでまいってきたところでございます。特に、今年度におきましては、鉄道貨物問題などについて担当部長同士の協議を既に2回行ったところでございますし、また、課長レベルによる打ち合わせ会議も毎月開催するなど、精力的に調整を重ねているところでございます。こうした対応のもとで、JR事業用資産の譲渡問題であるとか鉄道貨物輸送問題につきまして、岩手・青森両県が同じ考え方に立って、今後、協力して国やJRとの交渉に当たることといたしてございますし、また、本年秋には、今後の並行在来線対策の指針となる基本方針を両県調整のもとで策定することとしているところでございます。
 また、両県知事同士の会談、トップ会談ということでございますが、これにつきましては来週の7月8日に実施することといたしてございます。この会談では、東北新幹線盛岡以北の建設促進や並行在来線対策について意見交換することになるわけでございますが、これも来週の7月6日に開催を予定しております並行在来線対策に係る県沿線市町村連絡会における経営主体や経営区間等の並行在来線に関する基本的な事項についての意見集約、これを踏まえまして今後の方向性について合意を得たいと考えてございます。
 今後とも、鉄路の一体性と両県民の利便性の確保を図る観点から、これまで以上に青森県並びに沿線市町村等との連携を密にしながら、並行在来線対策を取り進めてまいりたいと考えてございます。
〇17番(千葉伝君) 岩手と青森の知事トップ会談ということで、こういったかなり微妙な問題もありますし、もっと大きい部分で、知事という立場で、岩手県の最も重要な交通政策と認識しておりますので、ぜひとも岩手の実情も踏まえお決め願いたいというふうに思います。
 こういったことで、先ほど私の再質問の部長答弁をいただきました。いずれ、今後のやり方については、時期も迫っているというふうに認識しております。沿線市町村のみならず、県民の関心が高いわけであります。そういったことから、国に対してあるいはJR貨物、関係市町村、十分なる折衝、調整を図られますよう御努力をお願い申し上げまして、再質問を終わらせていただきます。要望です。
   
〇議長(山内隆文君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時01分 散 会

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