平成11年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(川口民一君) 岩手選挙区選出、自由党の川口民一でございます。
 この4月の統一地方選挙で、多くの方々の御支援により当選の栄に浴し、伝統ある岩手県議会の一員として県民福祉の向上のための活動の一端を担うことができますことは、大きな喜びであると同時に、その重責に身の引き締まる思いでいっぱいであります。この上は、県議会の名を汚さぬよう精進いたしますので、山内議長を初め先輩議員各位、そして増田知事を初め当局の皆様の御協力のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 さて、県議会に議席を得て早速一般質問の機会をいただき、先輩議員各位の御高配に対し感謝を申し上げつつ、県政の諸課題について質問いたします。
 私も、市町村の立場で行政及び議会とかかわってまいりましたが、このたびは、県政の殿堂である県議会という異なる立場に身を置き、その責任の重さを痛感いたしております。したがって、質問に重複や要領を得ない点もあろうかと思います。また、きのうの質問者と重複するところが何カ所かございますので、大変恐縮に存じますが、御容赦をお願い申し上げます。
 それでは以下、通告に従い順次質問いたしますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず、本県の景気動向とその見通しについてお伺いします。
 経済企画庁が発表いたしました6月の月例経済報告によりますと、在庫調整の進展や超低金利、政策減税の後押しを受けた住宅建設と公共事業の増加などにより、国内景気は下げどまり、おおむね横ばいで推移しているとされております。昨年12月の月例報告の、変化の胎動も感じられる、本年3月報告の、このところ下げどまりつつあるに変わり、さらに、景気の改善が強調されております。また、その後に、経済企画庁から発表されました国民所得統計速報によりましても、本年1月から3月期の国内総生産は、実質で前期比1・9%増となり、これを年率に換算いたしますと7・9%の増加で、6・四半期ぶりに、大方の専門家の予想を大きく上回るプラスに転じたところであります。しかし、これらの内容を点検いたしますと、手放しで楽観できる状況には遠く、改善を示している指標は、財政、金融面での前例のないてこ入れ策に支えられている分野に限られているとの見方もなされております。
 民需の柱である個人消費は依然として不振であり、設備投資も安定感の点で心もとない状況にあります。5月の完全失業率は4・6%と深刻な水準となっており、今後も企業のリストラや雇用調整が進むものと予想されますことから、雇用情勢は一層厳しさを増していくものと考えられます。
 一方、県内の景気動向についても、依然として厳しい状況にあることには変わりはなく、県内中小企業者の多くは、景気の回復を心底から待ちわびております。
 そこでお伺いいたしますが、県は、本県の景気動向について現状をどのように分析し、今後どのように見通しているのでしょうか。
 次に、一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道の工事再開の断念にかかわる今後の対策についてお伺いいたします。
 昨年の11月、知事は、原生林破壊問題で中断し、凍結をしていた奥産道の残りの区間の工事再開を断念いたしました。断念の理由としては、トンネル工事の投資額が膨大になること、路幅が1車線で大型バス、大型車両等の交通に支障があり、投資を上回るだけの効果が予想できないこと、そして自然環境への配慮を優先するという判断のもと、結論に至ったということであります。
 そこでお伺いいたします。
 第1点目は、奥産道の工事再開の断念に関連した地域振興ビジョンの策定についてであります。
 奥産道は、網張から松川温泉を結ぶ路線でありますが、さらには、樹海ラインを経由してアスピーテラインに通じ、十和田湖につながる東北の山岳ルートで、最大級の観光コースと期待されていたのであります。それゆえに、工事再開の断念を耳にした関係町村、住民の受けた衝撃は大変大きなものでありました。地元では、奥産道にかわる何らかの振興策をと模索したのでありますが、幸い、県においてこの地域の振興ビジョンを策定していただくこととなり、住民は、幾分安堵すると同時に、ビジョンが地域の将来を占う重要な指針となるものと考え、今後の地域振興に期待しつつ、その内容に大きな関心を寄せているのであります。
 一方、奥産道の工事再開断念は、その経緯を考えますと、環境ということが大きな意味合いを持った出来事であったと思います。したがって、このビジョンは、一地域の振興ビジョンにとどまらず、今後の本県における地域振興と環境の問題を考える上で、重要な意義を持つものと私は思っております。このビジョンの内容は、どのような視点で検討されているのでしょうか。策定の時期と内容の一端も含めてお伺いいたします。加えて、ビジョンは、策定中の新しい総合計画との関連ではどのような位置づけがなされているでしょうか。あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
 第2点目は、完成済みの区間の利用についてであります。
 奥産道は、既に工事が完成している区間が約13キロメートルあると承知いたしておりますが、この区間は県道として管理するものと思いますが、今後、この道路の活用はどうなるのでしょうか。その方策についてお伺いいたします。
 そして第3点目は、ビジターセンターについてであります。
 県では、雫石町と松尾村の入り口にビジターセンターを設置する計画と伺っておりますが、この施設の中身はどういうものでしょうか。また、その施設の運営主体と運営方法はどうなるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 以上、3点についてお伺いいたしましたが、いずれにしてもこの道路に期待をかけ、早期実現、完成を念願していた地域の住民は、工事再開断念の決定に大変失望し残念に思っております。加えて、これまで46億円もの膨大な財政投資をした事業でもあります。したがいまして、県においては、完成済みの区間の有効活用も含めて、観光そのほか各分野にわたる地域活性化に資するような十分な方策を盛り込んだビジョンとしていただくよう、要望するものであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、県産農産物のブランド確立についてお伺いいたします。
 このたび明らかになりました江刺市農業協同組合のリンゴ不正出荷問題は、偽ブランド事件として報道され、リンゴ生産者はもとより、これまでいわて純情ブランドの確立に取り組んできた関係者にとって、大変残念なことであります。私は、このような事態は、リンゴのみならず、米、野菜、さらには畜産にまではかり知れない影響を与えると思うのであります。いかにすぐれた農産物を生産しようとも、消費者の信頼を失っては、純情産地いわての発展は望みがたいのであります。信頼回復のための万全の対策を求めるものであります。知事も早速、首都圏の市場関係者に県産農産物のPRを行うとともに、信頼回復への支援をお願いするところであります。県内の農家の皆さんは、大変意を強くしていると思います。本県が、我が国の総合食料供給基地としての地位を高めていくには、県産農産物のイメージアップを図り、純情産地いわてのブランド確立を図ることが重要であります。
 そこでお伺いいたしますが、県は、県産農産物のブランド確立にどのように取り組もうとしているのでしょうか、知事のお考えをお示し願います。
 次に、治山事業の推進についてお伺いいたします。
 森林は、木材等の林産物の供給とともに、水源の涵養、山地災害防止等の公益的な機能の発揮を通じて、国民生活に大きな役割を果たしてまいりました。今、このような森林の持つ役割が改めて見直されてきております。加えて、近年は、子供からお年寄りまで、幅広い県民各層の文化、スポーツ、教育など、心の豊かさを求める活動の場としての役割も高まっており、国民の森林に対する要請はますます多様化、高度化してきております。このような中にあって、治山事業は、森林の維持造成を通じて、山地に起因する災害から国民の生命・財産を守り、また水源の涵養、生活の環境の保全・形成を図る上で極めて重要な国土保全政策の一つであり、安全で住みよい国土づくりのために欠かすことのできない活動であると思います。近年、地震や火山活動、洪水等に起因する多様な災害が発生している状況を考えますと、治山・治水は百年の計と言われてきたことの重みが改めて思い起こされるのであります。最近では、昨年8月、福島県西郷村において、豪雨により福祉施設の裏山が崩壊し、施設を直撃して5名のとうとい犠牲者を出したことは記憶に新しいところであります。
 また、昨年10月に、岩手山火山防災マップが公表されましたが、火砕流、火災サージ、溶岩流、土石流、火山泥流などの恐ろしい文字を目にしますと、平成2年から始まった長崎県雲仙普賢岳の噴火による大災害を知る大多数の県民にとって、そのときの惨状がきのうのことのように思い出されるのではないかと思います。特にも、岩手山周辺町村で暮らす県民にとっては、昨年9月の岩手山南西地震の体験もあり、いつやむとも知れない岩手山火山活動に不安な毎日を送る日々であります。こうしたことを考えますと、一たん事あるときの備えがどのようになっているのかは、県民ひとえに非常に心配しているのではないかと思うのであります。
 そこでお伺いいたしますが、本県における治山事業の現状はどうなっているのでしょうか。また、今後の取り組みについてもあわせてお示し願いたいと存じます。
 次に、林道網の整備についてお伺いいたします。
 本県は、県土の8割が森林で占められ、自然に恵まれた県土は県民の誇りであり、県民生活は古来から森林と深いかかわりを持ってきたところであります。私の地元雫石町も森林率が81%強を占めており、森林からさまざまな恩恵を受けてまいりました。近年、県民の森林に対する要請は、多様化、高度化していることは御案内のとおりであります。これまで森林を守り、支えてきた山村地域は、基幹産業である農林業の不振、道路等の社会資本の整備の立ちおくれなどから、過疎化、高齢化が進行し、森林の適正な維持管理が林業生産活動に支障を来している状況にあります。このような中にあって、林道は効率的な林業経営の展開や森林の適正な維持管理にとって必要不可欠なものであります。また、森林空間の総合的な利用の推進、山村の生活環境の改善、地域産業の振興等に重要な役割を果たしているものと理解をいたしております。したがって、今後、本県の豊かな森林資源を有効に活用し、山村地域の活性化を図るために、これら資源の適切な保全・育成と、その基盤となる林道網の整備促進が緊急の課題ではないかと思います。
 そこでお伺いいたしますが、本県における林道網の整備状況と今後の取り組みをどうなされるのかお示し願います。
 また、最近は、県内各地の建設事業現場、あるいはその予定地において貴重な動植物が発見され、その保全のための対策が求められるケースもありますが、林道事業においても、昨年湯田町においてそのような事例があり、林道工事が中止のやむなきに至っております。人々の価値観が大きく変化し、環境保全に対する意識が高まってきている今日、林道整備においても今後ますます自然環境への配慮の要請が強まるものと思われます。県は、今後の林道整備に当たって、自然環境の保全のためにどのような配慮をしようとしているのか、県の考えをお伺いいたします。
 次に、地熱熱水供給事業にかかわる今後の取り組みについてお伺いいたします。
 葛根田地区において湧出している地熱熱水は、地域にとって特有の資源であり、早くから注目され、有力なローカルエネルギーとして、その利活用について国の実証試験、雫石地域地熱熱水供給事業実証調査が行われてきたところであります。この調査は、昭和55年度から平成6年度までの15年間にわたり、国の委託を受けて県が技術的、経済的に未解決な分野について総合的実証調査を実施したものであります。地熱熱水の供給システムとしての技術的な課題については、ほぼ予想した成果が得られたと思いますが、供給事業としての経済性については、石油、ガス、電気等の価格が計画当初と比較して大幅に下落したことなどから、経済性の確保が極めて困難という結果が出ているのではないかと思われます。その後、原熱水の直接利用を目指した地熱発電所地域原熱水供給システム実証調査も国によって平成7年度から実施されております。本年度も企画振興部で地熱熱水有効利用促進費が予算計上されており、県の取り組みに対しては敬意を表するものであり、今後とも継続的なお取り組みを願うものであります。
 そこでお伺いいたしますが、第1に、地熱熱水供給事業実証調査として、現在、県営温水プールほか多くの施設に熱水を供給しておりますが、この事業は平成12年度で終了と伺っております。このため、熱水利用者、特にも事業経営に利用しておる関係者の間では、13年度以降の供給が確保されるかどうかが大きな不安材料となっております。この熱水の供給は、13年度以降も安定供給が確保されるのでしょうか。熱水供給事業の今後の見通しとあわせてお伺いいたします。
 第2に、熱水供給事業の事業化に当たっては、経済性の向上とあわせて利用の拡大が重要なことと思います。事業としての熱水供給には、コストと利用規模が密接不可分に関係しております。利用拡大のためには、できるだけローコストで利用者の負担軽減を図ることが必要となりますし、コスト低減のためには利用拡大が必要であります。このため、雫石町では、地熱熱水利用基本計画を策定し、町立小学校の暖房施設や施設園芸実証試験ハウスなど、具体的な利用について検討しておりますが、県においては今後の利用拡大についてどのような見通しをお持ちなのでしょうか。利用拡大に向けた今後の県の対応方針をお伺いいたします。
 次に、岩手山火山活動の影響への対策についてお伺いいたします。
 県においては、岩手山火山活動対策、住民の安全確保、火山災害の予防対策等々の予算措置を行い、対策に取り組んでいただいていることに対し、住民の1人として感謝を申し上げます。岩手山周辺町村は、岩手山の火山活動の影響による観光客の落ち込みや岩手山南西地震による被害など、二重、三重の災難に見舞われ、不況のさなかのこうした災害により、大きな痛手を受けているわけでありますが、いかんせん、深層地下の活動のため、専門家の方々の御努力にもかかわらず、活動がいつ収束するものかわからない状態に置かれているわけであります。このような中で、特にも岩手山周辺のペンション、民宿、ホテル、旅館などの宿泊施設は、宿泊客が激減し、深刻な問題となっており、したがって、将来を展望し、見通しを持てるような、意欲をもって経営に専念できるような対策が講じられることを切実な思いで期待しているのであります。私は、県が岩手山周辺地域を含め、火山活動の影響等により遠のいた観光客を本県に呼び戻すため、東京、その他での観光キャンペーンを初め、誘客対策に鋭意取り組んでこられた御努力は多とするものでありますが、その成果についてはどのように判断され、今後どのように対応しようとしているのかお伺いいたします。
 次に、県道西山生保内線の災害復旧についてお伺いいたします。
 昨年9月3日、岩手山南西地震で県道西山生保内線の数カ所で大規模な土砂の崩落があり、以来、今に至るまで全線通行どめとなっております。この先には滝ノ上温泉や鳥越の滝、地熱発電所が、そして途中には玄武洞などの観光の目玉施設があり、秘湯滝ノ上温泉から烏帽子岳や三ツ石の登山口としても多くの人に利用されているところであります。この地区に通ずる唯一の道路である県道の長期通行どめは、観光面での影響、特にも周辺地域の観光関係者にとっては死活問題であります。また、明年6月に本県での開催が予定されている世界地熱会議の対応を考えますと、一刻も早い復旧が望まれるところであります。しかし、ルート上には、原状復旧が困難で迂回が必要な箇所もあると聞いておりますので、国立公園や保安林との調整など課題も多く、技術的にも難工事が予想されますが、復旧の見通しについて改めてお伺いいたします。
 最後に、要望でありますが、新幹線こまち号の雫石駅停車本数は、現在上下ともわずか3本のみです。当然ですが、停車する列車がない状態が長時間に及ぶ状態であります。また、在来線も細かくは申し上げませんが、事情は同様であります。観光案内センターを訪れる観光客からアクセスが悪いと極めて不評であります。雫石は、田沢湖、角館と結ぶ広域観光ルート上にあることでもありますので、県御当局におかれましては、機会をとらえJRに対しダイヤ改善を要望するなど、側面からの御支援をいただきますよう要望申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 川口民一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、岩手山周辺地域の振興ビジョンについてのお尋ねでありますが、このビジョンは一般県道雫石東八幡平線、いわゆる奥産道の工事再開を断念しました経緯を踏まえて、岩手山周辺地域の特性を生かしながら、この地域の振興を図ることを基本として策定しようとするものでございます。現在、県と関係市町村で構成をいたします岩手山周辺地域振興協議会の場におきまして、関係町村の意向をも聞きながら具体的な検討を行っているところでございますが、今後、さらに検討を加えまして、地域の方々の意見も聞いた上で、8月上旬までにビジョンを策定したいと考えております。ビジョンの内容でございますが、環境学習の推進や特色ある産業の振興、新しい交流ルートの形成などをこの地域の振興策の方向とし、この方向に沿った環境学習拠点施設の整備、新たな観光・交流ルートの整備、これらを活用したソフト事業の展開などを主な具体的事業として検討しております。また、このビジョンに盛り込んだ内容につきましては、新しい総合計画の地域計画に反映してまいりたいと考えております。
 次に、県産農産物のブランド確立への取り組みについてでございますが、本県におきましては、米では5年連続特Aランクの県内ひとめぼれ、肉質にすぐれた前沢牛を代表とする黒毛和牛、花ではリンドウ、さらには全国銘柄となりましたリンゴや雨よけホウレンソウなど、全国にも誇れるブランドを保持しているところであります。こうしたトップブランドは、産地の皆さんの長年にわたる真摯な努力と、市場関係者や消費者からの信頼によって築き上げられたものでございまして、このことによりまして、県産農産物全体のイメージアップが図られ、生産者はもとより、本県の農業にとって自信と誇りになる財産であると認識をしております。
 今後におきましても、先人が築き上げてきた本県ブランドのさらなるレベルアップと新たなブランドづくりに向けて、生産、流通両面にわたる取り組みを一層強化してまいる必要がございます。このため、新たな品種の開発などを進めますとともに、ターゲットを明確にしたいわて純情産地の顔が見えるPRの展開、東京のいわて銀河プラザや九州のみちのく夢プラザでの販売促進活動、さらには各種フェア、キャンペーンによる普及宣伝など、県産農産物のブランド確立のために最善の努力をしてまいる考えでございます。当面、今月の22日には首都圏の市場関係者に対しまして、私からも直接にPRをする機会がございますので、本県の産地づくりに向けた取り組みを強力にアピールしてまいることとしてございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、本県の景気動向についてでございます。
 最近の主要経済指標によりますと、大型小売店販売は前年割れで推移しており、住宅建設は前年水準を下回っておりますし、また、有効求人倍率は依然として低水準となっているところでございます。一方、鉱工業生産は、前年水準を下回って推移しているものの、その減少幅は縮小してきており、乗用車販売は前年水準を上回って推移しております。こうしたことから、去る6月24日に公表しました最近の景況におきまして、引き続き厳しい状況にあるものの、下げどまりの動きも見られるものとの認識を示したところでございます。なお、県中小企業振興公社の商工業経営動向調査によりますと、業況判断指数は4月実績でマイナス43・0となっており、ひところに比べ若干改善されているものの、県内中小企業の景況感には、なお厳しさが見られるところでございます。
 今後の見通しでございますが、国の緊急経済対策やこれに呼応した県の経済対策の実施により、個人消費、生産活動等を含む景気への効果が期待されているところでございまして、引き続き今後の動向を注意深く見守っていく必要があるものと考えております。
 次に、雫石地域の地熱熱水供給事業に係る今後の取り組みについてでございます。
 平成13年度以降の熱水供給につきましては、現在、事業主体のあり方、国の財産である熱水供給施設の使用条件、施設の耐用年数、熱水造成等に要する経費の問題など、解決すべき課題を多く抱えており、このことから現有施設を有効に活用し、地熱熱水の供給を継続することも視野に入れて、これらの諸課題について、国との協議を行いながら鋭意検討しているところでございます。
 また、利用拡大につきましては、国との協議が整った段階で、現在12施設が利用してございますが、供給能力になお余裕がありますことから、その限度において、また既設の敷設幹線配管の地域内に限って、新規利用者の掘り起こしが肝要であり、地元の雫石町と協力を強めながら利用の拡大に努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長大石幸君登壇〕
〇土木部長(大石幸君) 一般県道雫石東八幡平線の完成済み区間の活用方策についてでありますが、現在、工事が完了しております区間は網張側約8キロメートル、松川側約5キロメートル、計約13キロメートルであります。この県道は行きどまりとしての利用形態となることから、転回場などの施設が道路管理上必要であると考えております。これら施設の配置や規模も含めたこの県道の利活用については、今後、県が策定します振興ビジョンと整合を図るとともに、国立公園の公園計画との調整や地域関係者、県民の御意見もお伺いしながら検討してまいることとしております。なお、当該地域は、自然環境の豊かな国立公園内の特別地域内にあることから、自然との共生に十分配慮して対処してまいりたいと考えております。
 次に、一般県道西山生保内線の災害復旧についてでありますが、本路線は昨年9月3日の地震により、約8キロメートル区間にわたり大規模な被害を受けたことから、平成10年12月に災害査定を受け、10カ所で約27億円の災害復旧費が決定されたところであります。しかし、平成10年度の復旧工事箇所は全域が保安林であり、一部が国立公園区域内であることから、保安林解除等の手続が必要となり、所要の手続を行ってきたところであります。既に、本年の4月には、国立公園内での作業行為について環境庁の許可を受けており、また、7月末には保安林解除となる見込みであり、8月末には工事に着手したいと考えております。
 お尋ねの迂回路の必要な箇所につきましては、被害が著しく、現況ルートでは復旧が困難なため、ルートを対岸に切りかえることにより、長大橋2橋、また、その工事に伴う仮橋も2橋架設しなければならず、施工時期についても冬期になることから、その施工については、安全管理や品質の確保に十分対処しなければならないと考えております。また、他の工区につきましても、長大のり面工など特殊な技術を要し、工事規模も大きいことから、通年で施工することにより、災害復旧の原則である工事期間3カ年の平成13年3月末の竣工を目標として、総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 雫石町及び松尾村へのビジターセンターの設置についてでありますが、県におきましては、環境庁の自然公園核心地域総合整備事業、いわゆる緑のダイヤモンド計画事業の十和田八幡平国立公園八幡平地域への導入を強く働きかけているところであります。ビジターセンターは、その中の中核的な施設の一つとして考えており、自然との触れ合いを求めて訪れる利用者に対して、岩手山や八幡平などのすぐれた自然への理解を深めてもらうための展示や解説、登山散策ルートの紹介あるいは気象情報の提供などを行うものとして計画しているものであり、雫石町網張地区及び松尾村柏台地区への設置を要望しているところであります。
 ビジターセンターの運営につきましては、網張地区については休暇村岩手山麓が、柏台地区については県がそれぞれ行うことになるものと考えております。また、他県の例で見ますと、国、県及び地元町村などによる運営協議会を設置し、運営に参画しておりますので、今後、同様の方式が検討されていくことになると考えております。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕
〇林業水産部長(佐藤克郎君) まず、治山事業の推進についてでありますが、治山事業は山地災害の防止、水源の涵養、生活環境の保全など、森林の持つ公益的機能を高度に発揮させるための事業であり、災害により荒廃した溪流の安定を図る治山ダムの設置や機能の低下した森林の復旧整備等を内容としております。このような事業の効果を早期に発現するため、荒廃度の高い地域については、一定の森林の区域を単位として計画的に整備することとしており、平成11年度におきましては、山地災害対策を総合的に実施する防災対策総合治山事業を9地区、水源地域における荒廃森林の整備を実施する水源地域整備事業を6地区、生活環境や自然環境を保全するための生活環境保全林整備事業を4地区で実施しているところであります。
 今後の事業につきましては、平成10年1月に閣議決定された第9次治山事業7カ年計画に基づき、災害に強い地域づくり、水源地域の機能強化、豊かな環境づくりを基本とし、砂防事業など関連事業との調整を図りつつ、岩手山火山防災対策や江刺市における地すべり災害の復旧対策などを積極的に推進することとしております。
 次に、林道網の整備状況と今後の取り組みについてでありますが、広大な森林を有する本県において、林道は適正な森林の整備はもとより、山村地域の活性化等を図る上で重要な役割を持っております。このため、岩手県林業基本計画等に基づき、国庫補助事業、森林開発公団事業、さらには県及び市町村の単独事業であるふるさと林道事業等を有機的に関連させながら、林道網の整備を積極的に進めてきたところであり、この結果、森林内の一般道路等も含め、道路全体の整備状況を示す林内道路密度は、平成10年度末において1ヘクタール当たり14・8メートルと、平成12年度までの第5次林業基本計画の目標密度である15・8メートルに対して約94%の実績となっております。しかしながら、林道だけについて見ると、国の森林資源に関する基本計画で定めている整備延長の将来目標と比較した場合は約43%にとどまり、いまだ十分とは言いがたい状況にあります。このため、林道網の整備につきましては、現在、策定を進めている新しい林業基本計画においても重点事業の一つと位置づけ、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、林道事業における自然環境の保全対策についてでありますが、林道は、一般に森林施業における利便性の向上を主な目的とすることから、市町村が策定する森林整備計画において、造林事業や伐採等の具体的な実施が見込まれる森林の地域を対象として開設されるものであります。このため、路線を計画する際は、地域における森林整備の必要性や気象・地形等の条件を踏まえ、森林生態系を基礎とする自然環境の保全に支障が生じないよう配慮しているところであります。
 また、年々の工事を実施するための具体的な設計に当たりましては、対象森林及びその周辺における地質や貴重な動植物の存在についてあらかじめ調査を行っており、さらに工事の途上におきましても土砂流出防止を図るほか、猛禽類の営巣木が発見された場合には、環境庁のマニュアルに沿った調査を実施してきているところであります。
 今後におきましても、自然環境の保全に対する県民の要請が高まりつつあることを踏まえ、林道の設置を要望する市町村等との連携をより緊密にし、また、専門家の意見もいただきながら保全すべき自然環境を事前に把握し、より適切な事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕
〇商工労働観光部長(合田武君) 岩手山火山活動の観光への影響に伴う誘客対策の成果と今後の対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、岩手山周辺の宿泊客の落ち込みが大きく、このため、県では首都圏を中心とした観光キャンペーンや岩手山麓スノーフェスティバルなど、元気な岩手キャンペーンを展開し、正確な火山情報の提供と観光客の誘致に努めてまいったところであります。これらを通じて、冬の岩手の魅力と安全な岩手をPRできたことから、1月までのスキー客の入込数が前年並みに維持され、また、スノーフェスティバルにおいて3万人を超える入り込みを見たほか、岩手山周辺地域全体の宿泊客数の推移を見ますと2月と4月には前年を上回るなど、ある一定の成果を得たものと考えております。しかし、今後も火山活動が長期化することも予想され、周辺の宿泊施設等においては依然厳しい状況が続くものと考えられるため、火山の風評によるイメージダウンを払拭し、岩手の観光のイメージアップを図ることが大切であることから、今後とも正確な情報を提供していくとともに、火山を含めた自然と共生する観光地づくりを進め、観光客の増大を図ることが大事であると考えております。このため、県外でのキャンペーンや教育旅行の誘致などにおいて安全性をPRするとともに、8月には岩手山麓サマーフェスティバルを実施し、観光客の誘致に努めることとしております。
 また、地元の観光関係者の間では、火山との共生を前面に打ち出し、自然と共生する観光地づくりに取り組もうとする動きも出始めており、こうした地域の主体的な取り組みに対しまして積極的に支援してまいりたいと考えております。
   
〇副議長(吉田洋治君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時41分 休 憩
   
出席議員(50名)
1番 及川 敦 君
2番 飯沢 匡 君
3番 樋下正信 君
4番 照井昭二 君
5番 柳村岩見 君
6番 小野寺 研 一 君
7番 工藤大輔 君
8番 川村農夫 君
9番 佐々木 順 一 君
10番 佐藤力男 君
11番 及川幸子 君
12番 阿部静子 君
13番 阿部富雄 君
14番 田村 誠 君
15番 岩城 明 君
16番 中 屋 敷十 君
17番 千葉 伝 君
18番 佐々木 大 和 君
19番 水上信宏 君
20番 阿部敏雄 君
21番 川口民一 君
22番 小 野 寺好 君
24番 伊沢昌弘 君
25番 田村正彦 君
26番 上澤義主 君
27番 瀬川 滋 君
28番 藤 原 泰次郎 君
29番 船 越 賢太郎 君
30番 谷藤裕明 君
31番 菊池 勲 君
32番 佐々木 一 榮 君
33番 黄 川 田徹 君
34番 伊藤勢至 君
35番 高橋賢輔 君
36番 小原宣良 君
37番 長谷川 忠 久 君
38番 千葉 浩 君
39番 吉田洋治 君
40番 工藤 篤 君
41番 菅原温士 君
42番 佐藤正春 君
43番 山内隆文 君
44番 折居明広 君
45番 村上惠三 君
46番 藤原良信 君
47番 及川幸郎 君
48番 菊池雄光 君
49番 佐々木 俊 夫 君
50番 那須川 健 一 君
51番 吉田 秀 君
欠席議員(1名)
23番 斉藤 信 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時58分 再 開
〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。千葉伝君。
   〔17番千葉伝君登壇〕(拍手)

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