平成11年6月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇30番(谷藤裕明君) 自由民主クラブの谷藤裕明でございます。
 会派を代表して質問させていただきたいと存じます。
 本年は、21世紀を目前に控え、次なる新しい時代を切り開く極めて重要な時期であります。このような時期にあって、次の世代に、豊かで美しい環境や心豊かな県民性、多彩で特色ある文化など、このすばらしい財産を引き継ぐべく、環境を初めさまざまな面において日本一を目指すという気概に満ちた演述を拝聴いたしまして、県政にかける知事の力強い意気込みが伝わり、私は立派なものであったと存じております。しかしながら、将来を明確に見通すことのできないほどの混迷の時代にあって、大県岩手の経営は、熱意のみでなし得るものではないのも事実であります。要は、冷静な事実の分析に基づく具体的な行動であり、その行動に責任をとるということであると存じます。
 そこでお伺いいたします。
 演述における、夢をつくり、夢をつなぐ県政を進め、夢県土いわてを創造するということについては全く同感でありますが、今大事なのは、それを裏打ちする具体的な政策であり、まず、このことについてどう展開されようとしているのか、時代の先導者としての知事の明確なる御答弁をいただきたいと存じます。
 次に、地域の視点に立った県政の推進についてお伺いいたします。
 目下、国においては、地方に権限を委譲する地方分権一括法案が審議されておりますが、今や21世紀の望ましい社会のあり方は、知事も言われる地方主権型社会であると確信いたしております。すなわち、地方のことは、地方がその実情に応じて、地方の責任と裁量と負担のもとに個性ある行政を展開していく、このことによってこそ、住民が豊かさとゆとりを実感できる魅力ある地域社会を実現することが可能となるのであります。そのためには、市町村において、住民に最も身近な行政を行う基礎的な地方公共団体として、自主的、自立的にその施策が展開できるように、権限や財源、そして人材の一層の充実を図っていくことこそが不可欠であると存じます。
 知事も、演述において、市町村への権限委譲等、市町村との適切な機能分担と支援協力関係に基づいた新しい体制づくりを推進されると述べておられますが、全く同感であります。この場合重要なことは、知事が日ごろ言われる県民の満足度の面からの評価であると存じますが、それが高いか否かは、いわば、いかに、より効率的な行政を実現できるか否かにかかっているものと存じます。
 かかる観点に立ってお伺いいたしますと、まず第1に、県から市町村への権限委譲に当たって何よりも大事なことは、そのための受け皿として、権限委譲後の能力がより効率的に発揮できるような体制、すなわち広域的な連携こそが不可欠であろうと存じますが、その取り組みはいかがでしょうか。
 第2には、地方振興局の権限を強化し県行政の分社化を進めることは、本来、市町村への分権が究極的な地方分権の姿であるとすれば、この流れにむしろ逆行するのではないか、むしろ市町村に権限を委譲するとともに、県の関与等の廃止や緩和を進め、市町村の自主性、自立性をさらに強化していくことが肝要であると存じますが、いかがでしょうか。
 第3には、これまで、例えば県が統一して本庁1カ所で行ってきた事務事業を、権限委譲により12の振興局が分け合って行うことは現在よりも非効率的な状態をもたらし、むしろ経費の増加にもつながるなど、知事が鋭意進めている行財政運営の徹底した簡素合理化の精神に逆行になりはしないか危惧されるのでありますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、北東北3県の連携についてお伺いいたします。
 増田知事と青森、秋田の3県の知事が共通の政策課題について話し合い、21世紀に向けた相互の連携と交流促進を図り、当該地域の発展を図るための北東北知事サミットを平成9年度以来、毎年開催していると聞いております。右肩上がりではない時代にあって、また、地方分権によりさまざまな権限が委譲されますが、単独では解決し得ない共通の問題や課題を抱えていることから、3県が県境を越え、相互に機能と役割を分担し、連携を図りながら共同歩調をとり行政を効率よく展開していくことは、3県のいずれの県民の意思にもかなったことであると存じますし、極めて意義あることと存じます。
 そこでお伺いいたしますが、これまでの3県連携の成果と、今後、将来に向けて何を目指し、どう展開していくのか、また、そのことは本県において、現在策定中の新しい総合計画の内容にどう生かしていくのかについても、あわせて明らかにしていただきたいと存じます。
 また、このことに関連してお伺いいたします。
 この5月、高知県で開催された四万十川シンポジウムにおいて、寺田秋田県知事が、岩手と秋田を合併させることを増田知事と話していると発言し、増田知事もこれを受けて、寺田さんとは合併の話をよくしていると語ったとの報道がございました。このことは本当でしょうか。選挙における知事公約にもなかったことであり、県民にとってはまさに寝耳に水でありますが、その真意は何かお伺いしたいと存じます。
 さらには、その場合、知事演述にある夢県土いわてはどうなるのか、あわせてお伺いしたいと存じます。
 次に、盛岡駅西口に建設を構想する複合ビルについてお伺いいたします。
 県はこのほど、図書情報総合センターや国際交流センター等、県民に身近な行政サービスや県民生活情報など、多様な行政サービスの提供やその他各種行政機能を有する複数の公共施設や、公用施設からなる複合ビルについての基本計画の中間報告を発表したところであり、今後、県民の意向を把握し決定するとのことでありますが、これまでの御苦労に感謝申し上げますとともに、敬意を表する次第であります。
 しかしながら、このたびの計画案に不足しておりますのは、北東北における拠点としての施設機能であると存じます。盛岡都市圏の位置づけにつきましては、知事が従来から述べておられるとおり、北東北3県における人、物、情報の交流拠点として、来世紀における北東北の先導的かつ中核的な役割を担っていくべき地域として高次都市機能の集積を図っていくべき地域でありますが、かかる観点に立つならば、当然に当該複合ビルには、そのような施設機能をあわせ持たせるべきものと考えるのでありますがいかがでしょうか、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 また、北東北3県交流の拠点性を高めるためにも、東北新幹線の盛岡以北の開業に合わせた完成に向け、さらに一層の努力を願いたいと存じます。
 また一方、盛岡駅前東地区開発についても、例えて言えば車の両輪であり等しく均衡ある発展が望まれるのでありますが、盛岡駅前第2地区の開発状況と県の支援状況についてもお伺いいたします。
 さらには、これら高次の都市機能を波及させる観点から、都市内骨格道路の整備は喫緊の課題であると存じますが、知事が公共事業の重点化を進める中にあって、県が構想する都心、市街地、外周の3本の環状道路と8方向への道路の整備の見通しはどうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、中心市街地の活性化対策についてお伺いいたします。
 盛岡市を初めとする県内の中心市街地においては、郊外型の大型店との競合や公共施設の郊外への立地等により商圏人口が大幅に減少した結果、販売不振や後継者難による中小商店数の減少、それに伴う空き店舗の著しい増加、その停滞または衰退が指摘され、加えて長期にわたる景気の低迷等、深刻な事態に陥っているところであります。もとより、都市、街の活力は中心市街地が活性化してこそ、すなわち、にぎわいがあってこそ生み出されるものと存じます。これら空洞化の進む中心市街地の活性化に向けた即効性、波及性のある取り組みが待たれるのでありますが、県としての具体的な施策の展開はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、あわせて、中心市街地における集客に向けた魅力を創出することはもちろん、公的施設の中心市街地への立地やバスなどの公共交通機関の充実を図るなど、交流人口を増加させその活発化を推進することや、公営住宅を中心部へ整備することなどにより都市部の居住人口を増加させるなど、部局を越えた総合的な未来性のある施策の展開が不可欠であると存じますがいかがでしょうか、御所見を賜りたいと存じます。
 次に、人材の定着化についてお伺いいたします。
 今回の知事の演述に欠けていたのは、将来の県民人口に対する見通しとともに、人材定着のための思い切った具体的な施策の展開であると存じます。
 本県における人口の社会的動態は年々減少を続けており、依然として人材の流出県であることに変わりないのでありますが、これに加えて、少子化が一層進む中で、将来的には、本県は現在に比較してかなりの人口が縮減することとなるのではないでしょうか、そのことについてのお見通しはいかがでしょうか。
 知事が提唱される夢県土いわてを創造する主役が減少するのでは、到底、活力ある岩手のあすはないのであります。そこで、少子・高齢社会の中にあって、まずは次代の本県を担う若者の地元への定着に真剣に取り組むべきであり、また、あわせて県外からの流入に向けた取り組み、いわゆるI・J・Uターンが何よりも急務であると存じます。一たんは進学や就職で県外に出たとしても、本県、ふるさとに帰り、糊口の道を得、また、年老いた両親の面倒を見ることが可能となるような、ライフスタイルを持った人口定着のためのグランドデザインを県として早急に示し取り組むべきものと存じますが、いかがでしょうか。
 また、最近は、地域によってはサラリーマン生活を終えた高齢者が、新規に農業に真剣に取り組む傾向も見られ、農業を支える力として評価すべきであり、また、活気と健康が維持されるのであれば、福祉施策としても意味を持つものと存じますが、このような農業県ならではの本県の特徴を生かした独自の受け皿を整備すべきも一案と存じます。いずれ、生活のための雇用機会の確保の場をどうするのか、最も重要な課題であります。
 鮭が生まれ故郷を求め遡流するように、県人がやがては回帰する、そのような県人を温かく受け入れることができるような、ふるさと社会実現のための手だてを明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 昨年の人口動態統計によれば、年々少子化が進み、本県における合計特殊出生率は全国の1・38人を上回るものの1・57人で、人口1、000人当たりに対する出生率は9・0で、少子化の流れに依然として歯どめがかからなかったのであります。
 少子化の進行に伴い挙げられる問題としては、労働力の不足や内需不振による経済の低迷、さらには現役世代における社会保障費用負担の増加等の経済面での影響のほか、子供の健全育成への影響、さらには過疎化や高齢化の広範なる進行による地域社会の衰退等、深刻な問題が予想されるところであります。
 少子化をもたらしている理由は何かということについては、結婚した場合のいわゆる夫婦が子供を持つ率、すなわち完結出生児数は、昭和40年代の後半以降2・2人と、ほとんど増減が見られないということでありますから、まさに未婚者、結婚しない人の割合がふえているとの指摘があります。若い人々に結婚や出産を望まないという傾向が強くなっており、このことについて、子供を生み育てることに夢を持てる社会でなくなっているとの指摘や、さらには、若い女性の母性の喪失などがその原因に挙げられております。確かに、結婚や出生率の回復を目指した取り組みをするかどうかは、最終的には個々人の選択や価値観にかかわっているにしても、健全な社会を形成する観点から、また、地域の活性化の観点から、本県としても適切なる対策が必要であると存じますが、いかがでしょうか。知事は、この問題をどう認識し対応されようとしているのか、お伺いいたします。
 また、近年の就労する女性の増加に伴い、当然のことながら育児支援対策も重要であります。もとより、女性の社会進出は社会の活力を生むものであり、そのためには女性が働きやすい環境をつくり、進行する少子化に歯どめをかける必要があると存じます。
 一時保育、地域子育て支援センター、乳幼児健康支援一時預かり等による子育てと仕事の両立に対する支援や子供の育成環境の整備等、具体的なニーズに沿ったきめ細やかな施策の総合的展開が必要であると存じます。
 このような中にあって、知事演述におきましては、安心して子供を産み育てることができるよう、結の心・子育て環境日本一を目指すと力説しておられますが、具体的にどういう状況を想定し、施策を展開されようとしているのか明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、高齢者福祉対策についてお伺いいたします。
 来るべき超高齢社会の中で、県民のだれもが、生涯を通じて心豊かに安心して活力を持って暮らしていける福祉社会実現のために、今こそ高齢者福祉対策に本格的に取り組んでまいる必要があると存じます。とりわけ、来年度から導入される介護保険制度については、限界を越えた家族介護を社会化し、安心の地域介護を確立するものであると大いに期待しているところであります。しかしながら、当該制度の導入に当たっては、さまざまな課題があるのも事実であります。
 第1には、当該制度を支える保険料について、市町村によって著しい差があるという保険料設定の問題、第2には、介護が必要かどうかの介護認定の公正さ確保の問題、第3には、介護が必要であると認定されたとしても、高齢者それぞれの状況に応じて、適切なサービスが提供できるのかといった問題が挙げられております。さらには、介護サービスを支える要員、すなわちマンパワーの確保は十分であろうか、また、施設整備についても目標を定め、財源面も含めた実効ある手当てをしていく必要があると存じますが、その対応はいかがでしょうか。
 また、実施主体は市町村でありますことから、財政力の差によって対応が異なり、供給サービス水準に格差が生じることがないのかどうかなどの問題もあり、多くの市町村は非常に困難な状況に直面していると聞いております。
 知事演述にあっては、介護制度が円滑に実施され、県民が安心して適切なサービスが受けられるよう、準備を遺漏なく進めていくと力説されておりますが、知事は、このような困難な課題をどのように認識し解決に向け対応されようとしているのか、お伺いいたします。
 次に、21世紀の次世代を担う人づくりについてお伺いいたします。
 いつ、いかなる時代においても国づくりのもとは人づくりにあり、常に教育は最重要課題であり、来世紀に向けて本県が活力を持って繁栄していくためにも、未来への投資とも言える人づくりが極めて重要であると存じます。
 中国の管仲いわく、一年先を楽しむ者は庭に花の種をまけ、十年先を楽しむ人は山に木を植えよ、百年先を楽しむことはまさに人をつくることである、これがすなわち教育であると存じます。
 これは、まさに私たち世代の責任であり、今後人づくりをどのように進めていくかは、長期的な視野で取り組んでいくべき基本課題であると存じます。
 知事演述においても、ひとを新しい岩手づくりの3大柱の一つに据えておられますが、その内容についてお伺いいたします。
 まず第1に、たくましい岩手のひとづくりは、何よりも岩手らしさを有した個性が必要であると存じますが、そのことのためには、県民が一体となって共通の認識を持って取り組む必要があり、この際、その目指すべき具体像をお示し願いたいと存じます。
 また、夢をはぐくむ教育の推進を掲げられました。同感であります。日本青少年研究所が、先ごろ、日本、中国、アメリカ、韓国、4カ国の中高生を対象とした21世紀の夢に関する調査において、21世紀が希望のある社会になる、生活は今より豊かになると期待する中高生が、日本では10人のうち3人から4人、他の国の中高生に比べ大幅に少なかったということや、人生の目標としては、その日その日を楽しく暮らすなどを挙げ、日本の若者は夢が少なく、享楽志向と分析されておりますが、残念ながらこれが実態であります。
 このような中にあって、子供たちが将来に夢と希望を持って生きていくための夢をはぐくむ教育は極めて時宜を得たものでありますが、これを今後どのように実践していこうとしているのか、御答弁願いたいと存じます。
 私は、人づくりにとって重要なもう一つの側面は、健全なる身体の形成であると存じます。子供たちの体力、運動能力は、従前から指摘してまいりましたが、年々低下傾向を示しており、また、生活習慣病も年々増加していると極めて残念な実態であります。今こそ、スポーツへの関心を高め、スポーツによる健全なる身体を形成し、健全なる精神を涵養すべきときであると存じます。スポーツ振興を通じた思い切った教育も不可欠であると存じますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。
 次に、スポーツ振興に関連した諸課題の幾つかについてお伺いいたします。
 まず、いよいよ8月に開催されるインターハイについてでありますが、本県選手の競技力の向上や分散開催となることから、円滑な運営を確保するための市町村との連携等万全の準備体制を要望してまいりましたが、開催成功に向けての知事の決意のほどをお伺いいたします。
 また、インターハイ開催を契機として取り組んできた、長期的にも将来の競技力の向上に結びつく環境条件の整備については極めて重要であると存じますが、それはどのような状況になっているのかもあわせてお伺いいたします。
 次に、県の総合スポーツ施設整備についてであります。
 全般的に老朽化した県営スポーツ施設にかわる新たな総合的なスポーツ施設については、21世紀に向けてスポーツ振興上不可欠であり、生涯スポーツを振興する上からもその早期整備が待たれるところであり、具体的には、全国的かつ国際的な競技開催能力を視野に入れ、さらには競技力向上のため、科学的スポーツトレーニングのための施設を併設した総合的なスポーツ施設が求められているところであります。県としても、平成28年ごろの開催が見込まれる2巡目の岩手国体の開催に向け、盛岡広域圏5町村から具体的な要望をもとに、整備候補地域の現況調査を行うなど、鋭意、検討をされていると伺っておりますが、選定についての今後の見通しはいかがでしょうか。
 なお、総合的スポーツ施設の整備には、もとより莫大な財源を要することとなり、本県の厳しい財政状況を考えれば、所要財源については長期的視点に立って計画的に確保していく必要があり、さらに施設整備も年度分散を図るなどの工夫も不可欠であることを考えますことから、可能な限り早期の当該構想を取りまとめる必要があると存じます。
 以上のようなことを念頭に置き、現在策定中の新しい総合計画への明確な位置づけが必要であろうかと存じますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 最後に、知事はその演述の中で、私の母校盛岡一高の前身、盛岡中学の先輩宮澤賢治氏の詩の一節を引用され、新しい岩手づくりへの決意を述べておられますが、氏の言葉は明確なる意思の表現そのものであり、極めてわかりやすいものであります。私ども県民が望むものは、同様にわかりやすい言葉によるわかりやすい県政であると存じます。すなわち、修辞に彩られた抽象論ではなく、朴訥な郷土の言葉で語られた、新しい時代へ向けた施策の着実なる具体化であると存じますが、いかがでしょうか。このことについての知事の御所見をお願いいたしまして私の質問を終えたいと存じます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 谷藤裕明議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、夢県土いわての創造に向けた施策展開についてでございますが、私たちが生まれ、育ち、暮らすこのふるさと岩手を改めて見詰め直し、21世紀の新しい風をそこに重ね合わせたとき、岩手・新時代を開く視点として、環境、ひと、情報が極めて重要であると認識しておりまして、この三つの視点をこれからの岩手づくりの大きな柱に据え、さまざまな施策を推進してまいりたいと考えております。
 これらの視点に対応して、日本の環境首都を目指すことなどを内容とする美しいくにづくりプロジェクト、みんなが先生、みんなが生徒の環境づくりなどを内容とする学びの里づくりプロジェクト、いわて情報ハイウェイの構築によるさまざまな分野の利便性を図ることなどを内容とする情報の森づくりプロジェクトの三つの先導的プロジェクトを強力に推進することといたしております。
 また、一人一人の生活者の意欲や地域の元気を阻むいわゆる壁を乗り越えるために、時間距離の短縮、中山間地域の活性化、独創的産業の創出、男女共同参画社会の形成などを目指した長期にわたる総合的な取り組みを七つの課題対応プロジェクトとして優先的に推進してまいりたいと考えております。
 このような取り組みのもと、私たちが実現したい岩手の将来像として掲げている五つの社会ごとに、県民生活が総体としてどのように向上するのかを、県民の視点で、指標によりわかりやすくまとめながら、その実現のための具体的な施策を着実に実施してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の広域的な連携についてでありますが、地方分権の進展に伴う権限委譲により増大するさまざまな行政需要に市町村が効率的に対応するためには、広域的視点からの行政の展開が極めて重要になってきております。市町村の広域的な連携につきましては、これまでも一部事務組合を中心に広域的な事務処理が進められてきたところでございますが、さらには、国や県からの権限委譲が可能な広域連合制度が創設されまして、現在、県内においては、気仙地区と一関地区にそれぞれ設置されているところでございます。
 県といたしましては、このたび新たに広域連合支援交付金を提案させていただくなど広域行政へのさまざまな支援に努めてきたところでございますけれども、今後とも、市町村の広域的な連携に対する幅広い取り組みに対して積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、地方振興局の権限強化と市町村とのかかわりについてでございますが、私は、地方分権が実行段階を迎えている今日、市町村は、基礎的な地方公共団体として住民に最も身近な行政を自主的、自立的に担い、また、県は、市町村を包括する地方公共団体として広域的な事務、市町村間の連絡調整などを担い、お互いにそれぞれの事務の違いや役割を十分に認識しながら新しい関係を構築していくことが強く求められていると、このように考えております。
 とりわけ本県のような広大な県土の中で、それぞれの地域の有する発展可能性を最大限に引き出し、地域の実情に即した県行政を推進していくためには、県民に身近な現地で地域にかかわる政策決定が行われる県行政の分社化の推進とともに、市町村への権限委譲や総合交付金制度の創設などによりまして、市町村が主体的に特色ある地域づくりができるようなシステムの構築を図っていく必要があると考えております。
 地方振興局への権限委譲につきましても、このような分権時代における市町村との関係に十分に配意しながら行われるものでございますが、その推進に当たりましては、行政改革の視点も重要となってまいりますことから、いわて情報ハイウェイの構築などによる事務処理のネットワーク化や情報の共有化の推進などによる行政の簡素効率化にも努めてまいりたいと考えております。
 次に、北東北3県の連携についてでございますが、これまでの北東北知事サミットにおける合意事項などの具現化に向けまして、さまざまな分野で3県がそれぞれの役割、機能の分担を図りながら連携し、積極的に取り組んでいるところでございます。
 3県連携の成果といたしましては、九州における3県合同の情報発信拠点みちのく夢プラザの開設や文化観光施策の推進を図る北東北観光振興アクションプランの策定を行いましたほか、豊かな環境づくりを進める仕組みとしての北東北環境フォーラムを設置して、子供環境サミットの実施や緑のグランドデザインの策定に向けた取り組みを進めているところでございまして、さらに、情報発信力の強化に向けた共同テレビ放送の実施、3県のすぐれた芸術団体の公演による芸術文化交流や3県の青少年が一堂に会し交流を行うユースサマーセミナーの開催などの取り組みを進めているところでございます。
 将来に向けては、北東北3県が一つの圏域としてともに発展していくことを目指して、県、市町村、民間それぞれの役割分担を明確にし、多様な分野、レベルにおいて具体的な取り組みを進めていく上での指針となります北東北広域連携構想を現在策定中でございまして、この中で、活力ある地域社会を形成していくための広域連携の仕組みを構築することとしておりますほか、連携活動などに対する支援機能の充実についても盛り込んでまいりたいと考えております。
 さらに、3県連携については、現在策定中の新しい総合計画において、隣接県との一体的な交流圏の形成を図る地域デザインに位置づけますとともに、県境の壁を乗り越えるための開かれた岩手づくりプロジェクトなどに反映させてまいりたいと考えております。
 また、先般の四万十川シンポジウムでの発言は、北東北3県は、歴史的、文化的背景を共有する中で、共通する行政課題に取り組んでいるところでございまして、観光や環境保全などさまざまな分野で県境を越えた広域的取り組みを進めていく必要があることから、こうした広域連携の重要性を特に強調し、問題提起をしたものでございます。
 次に、盛岡駅西口複合施設についてでございますが、盛岡駅西口地区は、盛岡都市圏全体としての北東北の拠点性の向上や、県内外の各地域間との連携や交流の促進を図る上で極めて重要な位置にあると認識しております。このことから、先日、中間発表いたしました盛岡駅西口地区県有地の活用に係ります基本計画案におきましては、西口地区の立地特性を生かし、新しい岩手づくりを進めるための中核施設となるよう、県民生活・サービス拠点機能や県民交流・活動拠点機能など、広く県民に活用される拠点機能を導入することとしたところでございます。さらに、隣接いたします地域交流センターと相互に連携、補完を図りながら、ホールなどのコンベンション機能や情報機能を充実することとしておりまして、盛岡市が整備を計画している交通センタービルや、市が誘導する民間施設など周辺の施設と相まって、西口地区全体の高次都市機能の集積、拡充が図られていく中で、この施設も北東北における拠点としての機能がより発揮されるものと、このように考えております。
 次に、盛岡駅前第二地区の開発と県の支援状況についてでございますが、本地域は、都市機能の向上や景観上の観点から再開発による整備が必要な地域でございます。このため、関係者により優良建築物等整備事業として再開発事業が進められておりまして、地上9階建ての店舗、事務所などから成る複合建築物と地上14階建てのホテルが計画されまして、平成10年7月末に着工し、既に一部店舗が供用されているところでございます。
 県では、この事業が円滑に実施され、県都盛岡市の玄関口として魅力ある商業業務地区の形成に資するよう、国庫補助とあわせて県も助成を行うなど、事業促進のため積極的に支援しているところでございます。
 次に、盛岡都市圏の骨格道路の整備についてでございますが、高次都市機能の充実を図るためには、とりわけ道路網の整備が重要であると認識しております。このため、環状道路として盛岡西バイパスや下開運橋等で鋭意整備が進められておりますほか、都南川目道路などについても、現在、調査中でございます。また、放射道路として盛南大橋や簗川道路の工事に本格的に取り組んでいるところでございまして、北山地区についても測量調査などを進めているところでございます。これらの整備には、さらに膨大な事業費と相当の期間を要しますが、国や関係市町村と連携を密にして、計画的、重点的な整備に努めてまいる考えでございます。
 次に、中心市街地の活性化対策についてでございますが、県としては、21世紀を展望した中心市街地の活性化のためには、それぞれの市町村が地域の歴史や文化などの特色を生かしながら中心市街地活性化のための基本計画を策定して、それに基づくハード、ソフト両面にわたる広範な事業実施を促進することが大切であるという観点に立ち、県内各地域に対する支援を強化しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、商店街の駐車場やアーケードなどの基盤施設の整備や顧客の利便性を図るためのポイントカードの導入、さらには、空き店舗を活用した農産物の産直市など商店街の特色あるイベントなどを支援しているところでございます。また、複数の商店街が共同して行う広域的なイベントの実施や中心市街地における商店街の景観整備などを支援する制度を創設するための所要の予算を本定例会に提案しているところでございます。
 このような施策展開と並行しながら、中心市街地の活性化を図るためには、従来の商業振興の枠組みを超えた施策展開が必要であるとの考えに立ちまして、庁内に設置した中心市街地活性化連絡会議を中心に、中長期的な観点に立ちながら、市街地再開発事業による大型商業施設など集客の核となる施設の整備や土地区画整理事業を初め、駐車場や公園、街路などの都市環境の整備などに取り組む考えでございます。
 次に、本県の人口見通しについてでございますが、現在、新しい総合計画の策定の中で、総合計画審議会起草委員会の人口・経済専門部会に諮りながら検討を進めているところでございます。この検討過程において、少子・高齢社会の到来を反映した出生数の減少と死亡数の増加が改善傾向にある社会動態を上回ることによりまして、今後、本県の人口は緩やかに減少していくことが見込まれておりまして、計画の目標年次である平成22年にはおおむね137万人から140万人程度になるものと、このように試算されているところでございます。
 次に、人口の定着化についてでございますが、人口の緩やかな減少が見込まれる中にございまして、私は、21世紀の岩手に新たな活力を生み出すためには、交流人口の拡大とあわせまして、人口の定住を促進していくことが重要であると考えております。このためには、自然、歴史、文化など、それぞれの地域がその特性を生かし、個性的で魅力ある地域をつくり上げていくことが重要であり、その基礎的条件として、高速交通網やいわて情報ハイウェイなど、地域間の交流・連携を促進する交通・情報通信ネットワークの整備を初め、研究開発型企業や基盤的技術産業の集積を促す生産基盤の整備、環境や景観に配慮したまちづくり、保健・医療、福祉サービスの充実など、快適で安心な生活環境の整備に積極的に取り組んでまいります。
 さらに、地域資源を生かした特色ある地域産業の振興など、多様な就業機会の創出に取り組みながら、新規学卒者の県内定着などを図りますとともに、新規就農希望者などの受け入れ支援など、いわゆるU・J・Iターンの促進を図ってまいりたいと考えております。
 また、これからは、ライフステージやそれぞれの生き方に応じた居住地選択の多様化が予想されますことから、岩手の自然、風土の中で健康で快適な環境を提供するいわて健康院への取り組みや少子化への対応、高齢者、障害者に配慮したまちづくりの促進など、県外に住む方々に岩手に住みたい、暮らしたいとの思いを抱かせるような新たな魅力づくりや受け入れ態勢の整備、情報発信も必要になるものと考えております。
 次に、少子化対策につきましては、最近の出生率低下の主な要因は未婚率の上昇にあると考えておりまして、結婚や出生率の回復などに関しては、岩手県子育てにやさしい環境づくり対策指針の見直しの中で、個人の価値観を尊重しながら、意識啓発や不妊相談などを初めとしてさまざまな施策を総合的に進めてまいります。
 次に、結の心・子育て環境日本一についてでございますが、本県には結と呼ばれる相互扶助の精神が根づいておりまして、こうした精神を子育てにおいても十分に活用して、世代の違いや性別の違いを越えて地域が一体となって支え合いながら、安心して子供を産み育てることのできる社会を築くことを目指すものでございます。
 施策の方向としましては、高齢者と子供の交流などの世代を越えた子育て環境づくり、仕事と子育ての両立支援など、男女がともに子育てに参加できる環境づくり、そして、子育てサークルの普及など、地域で子育てを支え合う環境づくりなどにより、総合的かつ積極的に取り組んでまいります。
 次に、介護保険制度についてでございますが、県民の介護不安を解消し、より豊かで安心できる県民生活を確保するためには、この制度が長期にわたって安定的に運営されることが何よりも重要と考えております。このため、介護が必要な高齢者が介護サービスを適切に選択できるよう、県高齢者保健福祉計画の達成に向け、介護サービス基盤の整備を促進しているところでございますが、一部、目標を達成していない在宅介護サービスについては、農協など民間事業者の参入やホームヘルパー養成研修を積極的に進めるなど、必要な介護サービスとその人材の確保に努め、市町村における介護サービス基盤の体制整備を支援しているところでございます。
 要介護認定につきましては、公正で客観的な審査、判定を確保するという観点から、県において審査会委員や調査員などの研修を実施し、本年10月からの要介護認定が適正に行われるよう市町村を支援しているところでございます。
 さらに、認定を受けた高齢者などが心身の状態や御希望に沿って適切な介護サービスが受けられるように、介護支援専門員の養成に努めているところでございます。
 また、制度施行後において、介護サービス基盤の水準の違いによりまして保険料率に著しい格差が生じないように、県介護保険事業支援計画の策定を通じて、各市町村において、適正なサービス目標量を設定できるように支援しているところでございます。
 県では、今後とも、県民の方々にこの制度を十分御理解いただきながら、市町村が保険財政を安定的に運営できるように、介護保険事業全般の広域化などにより保険者としての市町村の体制強化を図りますとともに、きめ細かな支援や必要な措置を講じるなど、平成12年4月の円滑な制度施行に向けて、市町村と一体となって準備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、21世紀を担う人づくりについてでございますが、岩手の新しい未来を開いていくに当たりまして、困難な時代にあっても人づくりを大切にしてきたというこの土壤の上に、地域に対する誇りを持ち、世界をも視野に入れながら、責任を持って行動できる、たくましく、心豊かな人材を育てていくことが極めて重要であると考えております。
 特に、学校や家庭、地域社会の密接な連携のもとに、学校をコミュニティーの拠点として活用しながら、自然や文化などを教材として互いに学び合うふるさと塾や自然学校などをいわば21世紀の寺子屋として県内各地で展開いたしますとともに、子供たちと幅広い年代の人々とのさまざまな交流活動を推進するほか、岩手をスポーツや芸術、科学などの分野における国際的な活動の舞台としていくなど、ふるさとに学び、世界や地域でみずからの夢に向かってチャレンジできるような環境を県民が一体となってつくり上げていく必要があると考えております。
 また、夢をはぐくむ教育についてでございますが、これからの社会においては、感性が豊かで、創造性あふれる人材の育成が一層重要でございまして、子供たちの個性を重視し、才能を伸ばすため、学校や地域において、発見する喜びやつくる喜びを体験する機会を充実させて、創造性、チャレンジ精神などの生きる力の育成を目指してまいります。
 また、ボランティア体験や郷土の自然、文化に関する学習、海外の子供たちとの交流を通じて、一人一人の違いを尊重する豊かな心やコミュニケーション能力の育成を図るなど、将来に夢と希望を持って生きていけるような教育を推進してまいりたいと存じております。
 次に、スポーツによる健全な心身の形成についてでございますが、御指摘のとおり、現代社会の進展は私たちに多くの恩恵をもたらしている反面、精神的なストレスの増大や運動不足、生活習慣病の増加など、健康上の問題をも生み出しているところでございます。私は、スポーツは、心と体の健全な発達を促すとともに、明るく豊かで活気に満ちた生きがいのある社会の形成に大きく寄与するものと考えておりまして、県民の活力の源となる体力の向上と、生涯にわたり体育、スポーツに親しむことができるように、指導者の育成や活動の場の提供など、スポーツ環境の整備をなお一層推進してまいりたいと考えております。
 次に、インターハイの開催についてでございますが、これまで高校生を初めとして、関係機関、会場地市町村等との緊密な連携のもとに鋭意準備に取り組んできたところでございまして、また、大会の開催に向けて、県民の関心も日に日に高まってきているところでございます。開会まで残すところ33日となりましたが、高校生最大のスポーツの祭典でございます本大会の成功に向けて、さらに関係機関等との連携を密にし、万全を期してまいります。
 次に、将来の競技力向上に結びつく環境条件の整備についてでございますが、'99岩手総体に向けては、アドバイザリーコーチ招聘事業、県外交流事業、強化合宿など、中学校、高等学校を通して選手強化に取り組んできたところでございます。その結果、近年の各種大会における中・高校生の活躍に見られるように、成果は着実に上がっているところでございまして、間近に迫った岩手総体本番での本県選手の活躍が大いに期待されます。
 今後におきましても、現在の競技力をさらに高めるために、指導者の養成とジュニア層からの計画的な強化が肝要でありますことから、民間や競技団体などの協力を得ながら、その推進を図るとともに、新たに、優秀な指導者を養成するための海外派遣事業やジュニア選手強化事業を実施してまいりたいと考えております。
 次に、総合的なスポーツ施設整備についてでございますが、豊かで潤いのある生活を営む上で、スポーツはますます重要な役割を果たすものと認識しておりまして、生涯スポーツのほか、国際的、全国的規模のスポーツ大会が開催できる機能を有するとともに、指導者養成や優秀選手の育成強化などの多様なスポーツ活動を支える総合的な機能を備えた拠点施設の整備を検討する必要があると、このように考えております。
 現在、施設機能のほか、要望のあった地域をも含めた整備候補地について現況調査などを行っているところでございますが、施設整備に当たりましては、県及び市町村あるいは広域的な役割分担、機能分担などを十分に検討いたしますとともに、中長期的な観点に立った段階的な対応も必要でありますことから、庁内関係課による検討組織を設置し、整備構想等を取りまとめてまいりたいと考えております。
 なお、新しい総合計画における位置づけにつきましては、目下、検討中でございます。
 次に、新しい時代に向けた施策の具体化についてでございますが、夢県土いわての創造に向けては、新しい総合計画の中間報告でお示しいたしました自立・参画・創造による持続的な地域づくりなどの理念や考え方を踏まえて、さまざまな政策をできる限り県民にわかりやすい形で具体的に示し、県民とともに着実に実行していくことが重要でございます。
 新しい岩手づくりは県民みんなで取り組んでいく必要があるものでございまして、県行政の果たすべき役割をしっかりと自覚して、生活者の視点、地域の視点に立って、さまざまなシステムの改革を実行に移し、私みずから率先垂範の行動をとり、開かれたわかりやすい県政を推進しながら、岩手・新時代に向け、県民と手を携え全力で取り組んでまいりたいと、このように考えておりますので、御理解、御支援を賜りますようにお願い申し上げます。
〇議長(山内隆文君) 次に、藤原良信君。
   〔46番藤原良信君登壇〕(拍手)

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