平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(柳村岩見君) 議席番号5番、自由民主クラブ、柳村岩見でございます。
 通告に従い、お尋ねを順次いたします。まず、新しい岩手・21世紀へのシナリオ岩手県総合計画についてであります。
 古今東西、分野にかかわらず指導者にとって最も大切なことは、第1に、進むべき道とその方策を示すことと言われております。指導者にとって第2に大切なことは、みんなのとうとい生命や貴重な財産をあらゆる災害から守るということであります。大切なこととされるこの二つのことは、至極当然なこととして今日まで支持されてきております。ただ、今日では目標の作成の仕方が違うということであります。いずれのプロセスであれ、知事が県民に目標を示すことは大変重大なことであり、自信、満足とともに懊悩と身の震えるものがあったことと御推察を申し上げる次第であります。総合計画を読み進みますと、平成22年の岩手に夢がありますが、私たちを取り巻く現実は厳しいものがあります。災害視察を通して10月27日、28日に県北地方を襲った大雨被害を目の当たりにするとき、まことに災害に弱い岩手であります。これらのことが総合計画の基本構想、基本計画で触れられている部分もありますが、総合計画で県民の生命、財産を守ることが指導者にとって使命であることを考えますと、危機管理にかかわる部分が独立した項目であるべきではなかったのか、知事の所感をお尋ねいたします。
 新総合計画は、審議会への諮問が第1期増田県政であり、答申を受けたのと、発表、執行者が第2期増田県政であります。このことは当たり前のように感じますが、各県、各市町村を見渡すとき、必ずしもそのようになっていない。まことに幸せな総合計画であります。改めて、総合計画の執行推進に対する知事の所信を県民にお示しをいただきたいと思います。
 次に、地方分権時代における県政のあり方についてでありますが、地方分権一括法が来年4月より施行されます。地方への権限委譲が推進されることや、都道府県知事や市町村長に事務処理をさせている機関委任事務を廃止し、地方公共団体の処理する事務が自治事務と法定受託事務に再編されることとなります。このことにより、事務執行上の裏づけとなる県条例などの整備が急務になっていると思いますが、その取組状況についてと、市町村においても同様なわけでありますが、県はどう把握しているか、お尋ねをいたします。
 地方分権は、県を初め市町村に自己決定、自己責任をもたらすものでありますが、県と市町村との関係にあって、市町村が特色のある施策の執行のための事業別補助にとらわれない総合補助金制度について、その基本的な考え方と対象範囲、補助限度額などの制度的要綱についてお尋ねをいたします。
 あわせて、市町村へのヒアリング状況についてもお尋ねをいたします。
 県では、新たな行政運営の仕組みの再構築を目指した岩手県行政システム改革大綱を平成11年2月に決定したところでありますが、この中で県出資等法人につきましては、行政機構のスリム化の観点から、その適正な評価と運営指導及び統廃合等を推進することとされております。地方分権時代にふさわしい簡素で効率的な行政体制の確立が求められる中、10月12日の定例記者会見において、県出資等法人の見直しが明らかにされましたが、改めてその基本的な考え方、具体的な方策、スケジュールについてお尋ねをいたします。
 また、政策、施策の選択、重点化、執行が、その結果として県民の豊かさや暮らしやすさが総体としてどのように向上したか、するかについての検証、評価を十分に行うことが重要として、不断に改善を加えていくとしております。その方法として、目標による管理システムの導入、政策評価システムの確立に向けた調査研究、計画評価システムの開発、執行評価システムの開発、公共事業評価制度の導入によって推進しようとされております。そのシステムづくり、開発作業はどのように進んでおられるのか、お尋ねをいたします。
 地方分権の推進と成熟には、地方分権一括法の議論や権限委譲、財源措置、事業評価システムの議論にとどまらないものがあります。意識改革がすべての基本になるからであります。県が取り組んでいる職員に対する意識改革の部分についてお尋ねをいたします。
 県は、本年3月に人材育成ビジョンを策定し、これから求められる県職員像として、地域経営を担うにふさわしいすぐれた創造性と経営感覚を有する夢県土いわて創造仕掛人を掲げ、求められる能力として独創的政策形成能力、県民満足度向上能力、地域経営能力の三つを掲げております。もちろんこれらの職員像は職務上のことでありましょうが、これらは地域で求められている職員像でもあります。ビジョンで示している地域経営能力とは、元気で魅力的な地域づくりができる力のことだそうですが、日常生活での地域づくりに県職員はどのように参加しているのでしょうか。
 また、県は、職員の地域活動への参加についてどのような指導を行っているのか、お尋ねをいたします。
 一方、環境面から職員の環境への意識改革と担当事務への環境配慮の取り組みの徹底、さらには職員みずからが環境に配慮した行動を率先実行することによる県民等への普及等を目的とするISO14001の取得など、いわば県庁内外において多種多様な取り組みがなされていると思いますが、その内容についてもお尋ねをいたします。
 次に、本県の農業施策についてお尋ねをいたします。
 農業基本法が改正され、食料・農業・農村基本法が今年7月12日成立いたしました。新基本法は、成立後38年を経過した現在までの法律にかわるものとして、国内の農業生産を基本とした食料の安定供給の確保、農業が持つ多面的な機能の十分な発揮、農業の持続的な発展、農村の振興の四つの基本理念を示した上で、食料自給率の向上目標の設定や農地の確保と有効利用、専業的農業者の経営発展のための条件整備、中山間など条件不利地域に対する直接支払いの導入など具体的な施策の方向が盛り込まれており、大改革であります。新基本法を取り巻く各施策のための法案成立が待たれるところでありますが、農業県岩手にとって農業振興の一大飛躍の絶好のチャンスととらえて積極的な取り組みが求められるところであります。まず、その決意のほどをお尋ねいたします。
 中山間地域などへの直接支払制度が導入されることから、現在、市町村において認定に向けての対象農地の調査が行われております。地形図の存在の有無などにより市町村では大苦戦しているのではないかと大変心配であります。県はどのように状況を把握しておられるのか、お尋ねをいたします。
 また、調査費の膨張などで財政的支援を要望されていると思いますが、来年度以降も含めて、その対応についてお尋ねをいたします。
 政府は、12年度以降の米の生産調整を抜本的に見直し、麦、大豆、飼料作物の本格的生産によって自給率向上を目指す新たな水田営農対策、水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱を10月29日、5カ年の中期対策として決定いたしました。これにより麦、大豆、飼料作物への助成金が重点化されます。助成水準が、とも補償を含め現行より変わるわけですし、実需者ニーズを考慮すると団地化形成が求められるところであります。そこで、まず国の対策の内容についてお尋ねをいたします。
 また、今回の対策への県の対応として策定されました水田農業推進基本方針により団地化を進めることとしておりますが、それを進めるに当たっての県の基本的な考え方を、あわせてお尋ねをいたします。
 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律に基づく基準によりますと、固形状の家畜排せつ物の管理施設は、床をコンクリート等汚水が浸透しないものでつくり、適当な覆い及び側壁を設けること。液状の家畜排せつ物の管理施設は浸透しない材料でつくった貯水槽とすることになっております。このことにより、畜産農家においては、段階的に新たな対応が求められるところであります。ほかにも定められている事項もありますが、一番難儀なところは、この処理施設の整備であります。県では国の基本方針を受けて、どのような考えに基づき計画策定されるおつもりか、お尋ねをいたします。
 いずれも国の施策とのかかわりが深く、事業が国の助成、県の助成、市町村の助成によって執行される形態のものですが、お尋ねをしたいのは、その取り組みと内容において、岩手県の基幹産業と言われる農業、食料生産基地としての岩手県、中山間地域を多く有する岩手ということを考えますとき、いわゆる上乗せ施策による農業立県岩手の特徴ある計画づくりのお考えがおありかどうかをお尋ねしたいのであります。
 次に、並行在来線対策についてお尋ねをいたします。
 このことについては、昨日の質問にもあったことから重複部分を避けることといたします。これまでの検討結果を踏まえ、県と沿線市町村等で構成する並行在来線対策岩手県協議会において、並行在来線に係る基本方針が決定されるなど、並行在来線もいよいよ開業に向けて具体的な準備段階に入ったものと認識しているところであります。そこで、並行在来線に係る沿線市町村の負担についてでありますが、例えば盛岡・滝沢地域と二戸地域では鉄道の利用実態や他の交通機関との兼ね合いなど、その条件は異なり、一律な環境下ではないと考えられます。沿線市町村は、応分の負担を想定しているものと存じますが、問題は、その負担についての考え方であります。私は、沿線市町村に負担を求めるものとして、第三セクターへの出資のほかに、駅周辺の整備などさまざまなものがあるのではないかと考えておりますが、県はどのようなものに対し、どのような基本的な考え方で負担を求めようとしておられるのか、お尋ねをいたします。
 また、知事はこれまで、並行在来線の経営見通しはかなり厳しいものと認識され、新駅設置も含めた経営安定化対策の必要性について答弁されておられます。この新駅設置については、基本方針の中でも経営安定化対策の一つとして示され、県と沿線市町村による住民への説明会においても説明がされておりますが、県は今後、新駅設置についてどのように対応されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、岩手県立大学にかかわる研究学園都市形成についてお尋ねをいたします。
 岩手県立大学西澤学長におかれましては、このたび米国電気電子学会の権威あるエジソンメダル受賞者に選ばれました。この学会は世界最大の技術者と専門家の集まりでノーベル賞受賞者も名を連ねるとのことであり、日本人初の受賞ということもあわせて喜びにたえないところであります。報道のあった日、西澤学長の御講演をお聞きする機会があり、喜びをかみしめたところであります。心よりお祝いを申し上げます。私たちは、田中館愛橘博士の偉業とともに誇りとするところであります。
 さて、県立大学にかかわることでありますが、過去の新聞報道によりますと、県立大学は大学におけるソフトウエア分野の研究成果の上に、産学共同センターを中心とした企業や商業施設、さらには住宅などの集積を図る、いわゆる門前町構想を持っておられるとのことであります。優秀な県立大学の先生方であれば、その実現は十分達成可能と存じますが、それのみでは建学の理念の一つである地域社会への貢献、このことが十分に果たせないばかりか、県として県立大学の効果的な利用を図っていないのではないかという危惧の念を持つものであります。県の総合計画における地域計画の盛岡広域生活圏の発展方向によれば、施策項目で研究学園都市形成において、県立大学を中心とする高等教育機関の集積を生かした研究学園都市の形成について検討を進めることとされております。事業としては、産学官連携研究所整備事業として産学官連携研究所の設置、県立大学国際交流推進事業では国際学術交流センター等の整備、学園都市形成事業では県立大学周辺地域に集積している教育研究機能を活用し、研究学園都市として計画的なまちづくりを行うための基本的な構想を策定することとしております。いずれも計画期間は今年から7年以内に調査研究することとなっております。岩手県立大学は開学2年を迎えており、まだ卒業生を出しておりませんが、現在の状況を見ますと大学院の来年度開学への取り組みを初め、県立大学、孤軍奮闘という感がしてなりません。産学官連携策、支援策、周辺環境整備とも今後に課題を残しているところであります。県立大学を中心とする研究学園都市形成の基本的考え方と今後の見通しについてお尋ねをいたします。
 次に、道路整備にかかわる取り組みについてお尋ねをいたします。
 国道4号茨島跨線橋から滝沢村分レ間の拡幅改良整備につきましては、現在、国道4号における盛岡市茨島から分レまでの区間の今後のあり方について、建設省岩手工事事務所の協力のもとに各界の方々から意見を聞きながら検討することを目的に、平成10年3月23日、国道4号盛岡滝沢道路懇話会が設置され、検討が重ねられております。この懇話会には、県も関係しておりますし、かなり期間がたっておりますことから、一定の検討成果が出ていると推察されます。どういう状況になっておられるかお尋ねをいたします。
 また、今年10月14日、茨島跨線橋部分の起工式がとり行われ、鋭意工事が進められておりますが、12年度内には暫定2車線の通行、14年3月に全線開通が予定されておりますが、以北の整備完了時期の見込みについてお尋ねをいたします。
 主要地方道盛岡環状線は盛岡市南仙北二丁目を起点として、盛岡市上米内に至る延長33.62キロメートルの道路であります。質問に際して改めて全線を通行してみました。南から国道46号へ少し乗り入れて、滝沢村大釜地区大畑から10キロ村内中心部を通り国道4号と国道282号の接続点を横断する形になっております。滝沢村村内中心部を通ることと国道に数度接することなどから、盛岡市内への人的出入り、物流上においても重要幹線道路であります。近年、交通量も著しく増加し、朝夕の交通渋滞は大変なものがあります。県では渋滞スポット解消街路事業などを導入して交通渋滞の緩和に取り組んでおりますが、抜本的な改良が望まれるところであります。この道路状況の御認識と取り組みについてお尋ねをいたします。
 次に、一級河川木賊川改修事業についてお尋ねをいたします。
 滝沢より盛岡市の市街地を流れる木賊川は、川の幅が狭く深さも浅いため、大雨によりたびたび洪水被害を起こしております。また、上流では合流する普通河川巣子川周辺の宅地化が進んだことにより、短い時間に一気に流れ込む雨量が多くなっていることから、さらに洪水被害が大きくなることが予想されております。このことから、県は木賊川の河川改修と洪水を一時的にためる遊水地建設事業を計画しております。現在の状況は、三つの遊水地計画から流量の多い巣子川の水量を受ける第2遊水地の工事を先行することとし、この部分の用地が85%国有地であったことから取得をし償還中と聞いております。残りの15%の用地は民有地であり、平成12年度以降の取得とされております。そこで、木賊川の現状認識、河川改修と遊水地建設事業の現状、今後の予定についてお尋ねをいたします。
 木賊川は、河川利用の歴史的なことから、滝沢村穴口地区では川底が宅地より高いという、いわゆる天井川となっております。平成7年8月25日から27日にかけての大雨、降水量134ミリメートルによってあふれ、床下浸水被害に見舞われております。木賊川の遊水地の第2期建設工事は10年という長い期間が見込まれており、この間の危険を考えますと天井川となっている部分について河川改修がさらに先行される必要があろうと思います。本県では、本年7月と10月に大雨により、よもやと思われる河川での甚大な被害を受けております。木賊川の天井川付近においては過去の被害経験もあり、かなり確率は高いものと受けとめられております。このことから、地域住民の切実な願いとなっておりますし、村からも数年間にわたり要望されております。河川改修を先行することについて、県はどのように対応される方針か、あわせてお尋ねをいたします。
 広域合併機運の醸成策についてお尋ねをいたします。
 市町村間における合併の必要性は、国税、地方税に限らず、これ以上の税負担をふやさないで、むしろ軽減思考の中で行政サービスを低下させず、むしろ向上させていく枠組みが求められているからであります。今日の盛岡都市圏の合併にまつわる議論は、岩手県を列車に、県都盛岡を機関車に例えて、機関車である盛岡がより元気でなければ岩手の発展がないという盛岡機関車論、人口が30万都市でないと経済が自転しないという30万都市経済自転論、盛岡市が掲げる中核都市構想論、地方分権一括法にも触れられておりますことから地方分権論とも言うべき多種多様であります。
 また、滝沢村の単独市政に関する報道によりますと、議会における答弁では、法律的裏づけのためやむを得ないにしても、自治省の担当官のコメントがなく、52年前に施行された地方自治法の条文を引用してのものであります。どのような合併にも住民合意は必要不可欠なことでありますが、まことに大事な課題でありながら、住民に合併のメリット、デメリットを示せる段階以前に多くのことが語られ過ぎた感がいたします。知事に所見がおありならば、お尋ねをいたします。
 国では、都道府県に対して市町村の合併パターンなどを内容とする市町村の合併の推進についての指針の作成を要請しております。これを受けて県では、岩手県は面積も広く合併困難地域もあることから、広く合併を含む広域行政の推進についての指針を県立大学総合政策学部の教員有志による広域行政研究会の協力を得て作成するとしております。また、できた指針は客観的情報として提供し、市町村や地域住民が議論する場合の判断材料として活用されることを期待しているようであります。その作成方法と現在の状況についてお尋ねをいたします。
 また、盛岡市では合併・広域行政について、情報を提供し住民の理解を得るためのビジョンを示す必要があるとして、策定作業を進めようとしております。この二つの指針内容には大いに期待もし興味のあるところでありますが、盛岡市のビジョンづくりに県のかかわりがあるかどうかお尋ねします。
 盛岡市長は定例記者会見において、合併の時期について、財政上の優遇措置を定めている合併特例法が現在のところ2005年度までの時限立法であることから、優遇措置が受けられる2005年度までに実現したいと語っております。それには少し作業がおくれていると思いますが、今後の合併機運の醸成への取り組みについてお尋ねいたします。
 最後に、大迫町への補助金事務に係る不適切な事務処理についてお尋ねします。
 新聞報道によると、大迫町で実施された平成9年度の山村振興等農林漁業特別対策事業と、木の肌・木の味・木の香推進事業の2事業において、補助金事務に不適切な事務処理があったと書かれております。本質的には、実施主体である大迫町に大きな過ちがあるわけでありますが、花巻地方振興局の担当者が、事実を承知していながら確認行為を行わず、不適切な形で補助金が支出されていた事件が2件も発生したということは、まことに異常な事態であります。まさに県民の信頼を失う由々しき事件であると思います。
 そこでまずお尋ねいたしますが、県当局はこの事実をどのように受けとめ、県民の信頼回復のためにどのような対応をするのかお尋ねいたします。
 また、地方分権が進む中、県と市町村の関係、特にも地方振興局と市町村がこれからより密接にかかわりを持たなければならない時代にあって、県民の不信感が助長されることが危惧されているところであります。この観点からも、どのような形で是正措置を講じていくお考えかお尋ねいたします。
 以上お尋ねして、私の一般質問を終わりとさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県民の皆さんへの新しい総合計画の理念の周知に関するお尋ねがございました。
 去る8月に新しい岩手県の総合計画を、みんなでつくり、みんなで進めるということを基本として、多くの県民の皆さんの参加を得ながら策定いたしたわけでございます。こうしたみんなでつくった計画をみんなで進めるために、できるだけ早く計画の内容を理解していただくことが重要であると考えまして、計画をつくりました後、直ちに、県内に九つございます広域生活圏ごとに説明会を開催いたしまして、私が直接計画について説明したところでございます。また、その後も何回か私も講演の場がございましたので、そうしたところでこの計画の内容について御理解を得ているところでございます。
 また、県の職員が県内の各地域に出向いて行います、いわゆる出前説明会と称しておりますが、これをこれまで60回近く開催しまして、こちらには延べ2、000名を超える皆さん方の参加をいただきました。さらにまだ、今後の開催予定も30回近くございます。
 また、計画をコンパクトにまとめた印刷物を県内の全世帯に配布いたしましたほか、新聞やテレビを使ったり、県のホームページへの掲載など、さまざまな方法で計画の周知に現在努めているところでございます。
 今後におきましても、私自身もこの計画についての幾つかの講演を予定しておりますし、また、あらゆる機会をとらえまして、私もそうした職員も、それぞれ散らばって、県内の皆さん方の理解が深められるように努力していきたいと思っております。
 それから、この総合計画の推進についての所信についてお尋ねがございましたが、今後、私はこの総合計画を県政運営の基本に据えて、その着実な推進に全力を傾注していきたい、このように考えております。このため、2010年の岩手の、県民の皆さんの暮らしがどう変わるのかということをわかりやすく示した207の指標がございます。数値目標で示しておりますが、この207の指標を中心にいたしまして計画の進行を行っていく考えでございます。この進行管理に当たっては、県民の満足度を把握するため毎年アンケート調査を行う。また、総合計画審議会に設置した総合計画推進委員会の意見も踏まえまして、さらに事務事業評価ですとか公共事業評価などの、行いました政策の政策評価もあわせて実施しまして、さらに、その結果をすべて公表する、そしてまた県民の皆さんの御批判を仰ぐということで、我々としての説明責任の徹底を図って、その時点その時点で最も効果的と考えられる施策を厳しく選択しながら、新しい岩手づくりに向け積極的に取り組んでいく考えでございます。
 次に、農業振興に関する決意ということでお尋ねがございました。
 県では、食料・農業・農村基本法の制定を踏まえまして、21世紀初頭の本県農業・農村の進むべき方向を明らかにした岩手県農業・農村基本計画を策定したところです。本県の農業は、これまで冷災害などの幾多の困難に遭遇しながらも、先人の皆さんの知恵とたゆまぬ努力によって今日の岩手農業が築かれてきたと認識しております。現在も、もちろんさまざまな課題に直面はしておりますけれども、本県の多彩な立地特性をむしろ積極的に生かすことにより、農業主産県としてのさらなる発展の可能性を有していると、このように考えております。
 今後におきましては、これまでの礎の上に、計画が目指しております多様な消費者ニーズにこたえ得る総合食料供給基地として、この新しい基本法に明示されている食料自給率向上の一翼を担っていくことが、本県、岩手県としての責務であると考えております。こうした認識のもとに、農業者と関係機関、団体が一堂に会して、本県の農業・農村の果たすべき役割について再認識するとともに、多面的な農業の有している機能に対する県民理解を醸成したいということで、先般、農業・農村振興大会を開催して、いわての総合食料供給基地宣言というものを行ったところでございます。新しい世紀が間近に迫った今日でございますが、本県の広大な県土と豊かな資源を積極的に生かしながら、いわての大地に個性きらめく農業・農村の創造の実現に向けて、この基本計画に基づく──いろいろな施策・事業が入っていますが、これを着実に実施していく決意でございます。
 次に、並行在来線について、この沿線市町村の負担がどうなるかということでお尋ねがございました。
 新会社の設立を初めとする開業準備の方、こちらにつきましては、並行在来線の経営分離に県として同意をした経緯にかんがみて、この分は県が中心的な役割を果たすこと、このように考えております。また、新駅の設置やその駅周辺の整備などは、その住民に身近で直接受益がそうした皆さんに及ぶ事業でございまして、こちらの方は沿線市町村が主体的な役割を果たしていただく、こういうすみ分けを考えておりまして、このようなものになると認識しております。このような考え方を基本として、まず県が中心になるということでございますが、沿線市町村に経費の一部を負担していただくものということで目下考えておりますのは、経営計画の策定に要する経費、新会社への出資金などを現在想定しております。これは、各市町村ごとの具体的な負担割合や金額につきまして、今後、在来線の利用者数などのいわゆる受益状況を示す客観的な指標をもとにしまして、また、当該市町村の財政規模も十分に加味して、今後検討を進めていく考えでございます。
 また、新駅の設置の方でございますが、こうした新駅設置や利用促進を図るための駐車場などの駅周辺整備、こうした部分については、最近の他のところで行われました新駅の設置事例というものを十分研究して、国や県の各種の制度あるいは補助事業を活用した手法を検討しながら、できるだけ市町村の過重な負担にならないような手法を検討するわけですが、こうした面については市町村の主体的な取り組みを促していく考えでございます。
 新駅の設置につきましては、これまでの調査結果によれば、並行在来線の利用促進と経営安定化に最も有効な方策の一つと考えております。住民に身近で直接受益が及ぶという施設の性格にかんがみて、いわゆる請願駅として地元市町村に主体的な役割を担っていただくことを基本として、利便性や事業採算性を考慮しながら、開業後できるだけ早い時期にこうした新駅が実現できるよう適切に対応していく考えでございます。
 次に、県立大学を中心とする研究学園都市形成の基本的な考え方、そして見通しについてお尋ねがございました。
 ちょうど滝沢村の東部の地域から盛岡市の北部に至るこの一帯は、交通利便性にもすぐれている都市近郊の広大な土地に、県立大学を初めとする教育機関や国の農林関係の試験研究機関が集積しているところでございまして、質の高い研究学園型の都市を形成できるポテンシャルを有している地域と思っております。こうしたことから、この地域におきましては、県立大学、そのほかにも大学などがございますが、県立大学などが有しております人材あるいは技術などの資源を活用するなど、こうした地域の持っておりますポテンシャルを生かして、官民が連携し統一のとれたまちづくりを進めていくことによって、豊かな自然に囲まれた新しい研究学園都市の形成を期することとしております。
 まず、そのための構想が要る、構想を策定したいと考えております。構想の策定につきましては、県立大学などが持っております人的な研究資源をもとにした情報通信分野の産学官が連携した研究所の整備をしたい。さらには、この地域全体の大変豊かな自然環境と調和した秩序のある住宅や商業施設の配置、交通基盤の整備などを当面の課題としておりました。また、さらに長期的には、これらの研究開発機能が発展・展開した民間の研究・開発そして製造に至るまでの施設の大規模な集積ですとか、当該施設に係る人々のゆとりある居住空間の創出を図っていきたい。長期的にはそういうところまで進めていきたいと考えておりまして、岩手らしい伸びやかさと精神的な充足感を持って生活できるようなまちの形成を目指したい、このような考えでおります。
 今後、このような考え方をもとに、明年度、12年度の早期にこの構想を策定したいという目標を立てておりまして、当然、盛岡市あるいは滝沢村などと十分連携を図り、研究学園都市に必要な機能や土地利用のあり方などについて検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、市町村合併についてでございますが、市町村合併を含めた、そのほかにも広域連合などがございますが、いずれにしても広域行政の推進ということについて、まさに時代の要請であると考えております。もとより、市町村合併については、地域のあり方は地域が決めるというのが地方自治の基本的な考え方でございます。この考え方を踏まえ、市町村が自治の担い手である地域住民とともに地域の現状や課題を考えて、さらには、将来の望ましい姿を描きながら、それぞれの地域において自主的に取り組んでいくことが前提になると考えております。そのためには、いろいろな事項、的確な情報がなければなかなか判断が難しい。そのために市町村や、とりわけ住民の皆さんにとって必要とする合併の効果ですとか、逆に懸念される事項もいろいろあるわけです。そうしたことも含めた的確な情報をまずわかりやすく示していくことが肝要だと思っております。県が今策定を進めております広域行政の推進指針の中においては、市町村の合併パターンを含むさまざまな内容の選択肢というものを提示することとしておりまして、そうしたものを材料として、それぞれの地域において多様で真剣な議論が地域住民の皆さんの中でなされることを期待しているものでございます。
 最後に、大迫町への補助金事務について、県が不適切な処理を行ったという件についてお尋ねがございました。
 今回の事案は、補助事業がいまだ完了していないことを知っていながら、確認行為をしないで完了確認の調書を作成して、その上で補助金を支出するということで、極めて不適切な処理を行ったものということでございました。これは県行政に対しての県民の皆さんの信頼を著しく損なう結果となりまして、まことに遺憾であると、このように存じております。
 これまでの私どもの調査によりますと、その発生原因でございますが、関係法令や事務処理規程などの遵守など、いわば基本的な事項が徹底されておらなかったこと、それから、管理監督者などによる業務のチェック機能が働かなかったこと、さらには、市町村と県の間における緊密な補助事業の進行管理が行われなかったことなどによるものと考えております。
 今後、職員の公務意識の徹底ということはもとよりでございますが、相互のチェック体制を強化すること、組織内における報告・連絡・相談の励行などを通じてこうした事態の再発防止に努め、県政に対する県民の皆さんの信頼の回復に全力を尽くしていく考えでございます。
 また、市町村に対しましては、当然厳正な事業執行と市町村内部におけるチェック機能の強化ということを要請いたしますとともに、お互いに情報の共有などによって、やはり信頼関係の醸成に努めることが必要でございます。県、特にも県の中では地方振興局と市町村が地域づくりのよきパートナーとしての使命を十二分に果たしていくことができるよう取り組んでいく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) まず、県の総合計画における危機管理の扱いについてでありますが、危機管理につきましては、県民の生命、身体、財産に被害・損失を生じる恐れのある不測の災害、事故等、広範な分野に及ぶものでありまして、事態発生に際しては、適時適切な判断のもと、的確な対応をしていくことが必要であると考えております。
 このような観点から、総合計画では危機管理につきまして、人と自然が共にある環境の保全、安全な暮らしの実現、及び新たな社会をつくる情報ネットワークの構築の中で、幅広く災害に強い県土づくりや消防防災体制の強化として位置づけ、対策に万全を期すこととしているものであります。
 今後は、具体的な対応というものがむしろより重要になってくるわけでございますので、岩手山の火山災害というものもございますが、火山災害でございますとか、不測の災害・事故等に対する予防対策などにつきまして、このような県の総合計画を受けまして、さらに県の地域防災計画に盛り込み、いかなる災害などにも対応できるよう措置してまいりたいと考えております。
 次に、地方分権一括法に対応した条例等の整備への取り組みについてであります。
 可能な限り12月県議会定例会に条例を提案することとしまして、各部局などで条例の制定、改廃の作業を進めてまいったところでございますが、御案内のように、一括法に関係する国の政省令の改正作業がおくれております。こういったことから、当初計画に若干の影響が生じてきているところであります。しかし、条例につきましては一応の洗い出し作業を終えておりまして、国が作業を進めている関係政省令の内容が判明し次第、2月県議会定例会に提案できるよう準備を進めておりますし、また、関係する規則などにつきましても同様に準備を進めまして、平成12年4月以降の事務の円滑な執行に向けて万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、県出資等法人の見直しについてでありますが、本年2月に策定いたしました行政システム改革大綱を踏まえまして、新たな時代に即した簡素で効率的な執行体制を構築するため、県出資等法人の見直しは避けて通れない重要な課題であると認識しております。このため、本年度、県出資等法人指導監督事務要綱の改正を行いまして、事業内容や組織体制等に関しまして44項目にわたる評価項目を設定し、県出資等法人の運営状況を具体的に評価の上、整理合理化が適当と認められるものに対しましては、統廃合や出資の引き揚げ等を推進するとともに、その意義が認められる県出資等法人にありましても、その目的や役割に即しまして機能が十分に発揮できるよう見直しを行うこととしております。
 現在、県内に主な事務所を有する70法人につきまして、各部局からヒアリングなどを実施しているところでありますが、今後、この点検結果につきまして外部有識者から成る専門調査員の方々の御検討をいただきながら、出資等適正化調査委員会における審議、公社等運営協議会への協議を経た上で整理合理化方針を取りまとめ、本年度から3年間を集中推進期間と位置づけまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、政策評価システム等の開発作業の状況についてでございます。
 本県におきましては、平成9年度に事務事業評価制度を、平成10年度に公共事業評価制度をそれぞれ導入いたしまして、一つ一つの事務事業について、その必要性や成果などをできるだけ客観的に明らかにするよう努めてまいりました。また、本年8月に策定いたしました新しい総合計画におきましては、今後、県民の暮らしがどのように変わるかを示した207項目の目標数値を掲げ、この目標に基づいて計画の進行管理を行うことで、各施策が目標達成のためにどのような成果を上げているか検証することとしております。
 今後、社会経済情勢の変化に的確に対応し、限られた資源を最大限有効に活用しながら、真に必要で質の高い施策を展開していくためには、県の行う施策について不断に、また、県民にもわかりやすい形で検証していくことが必要であると考えております。したがいまして、これまでの取り組みをさらに発展させまして、今後は、総合計画における目標数値とその主要事業の相互のかかわりなどを明確にしまして、総合計画に掲げる事業の進行管理、平成9年度なり10年度に行ってまいりました事務事業評価制度などとを有機的に関連づけながら、施策や事業について総合的体系的な評価を行うことができるような、トータルとしてのシステムの構築を目指していこうと考えております。これは、まだどこの県でも行われていないわけでございまして、なかなかそういった全体を体系するシステムというものはいろいろと課題もあるわけでございますが、できれば2年ぐらいでこのようなシステムを構築する方向を目指しまして、現在その具体的な仕組みや体制づくり等の検討作業を進めているところであります。
 次に、県職員の地域活動への参加についてでありますが、職員の地域活動といたしましては、地方振興局など、職場単位での地域の祭りへの参加や職員個人としてのボランティア活動、町内会活動への参加など、それぞれの地域におきまして熱心な取り組みが見られるものと承知しております。特にも、このたびの大雨洪水災害に際しましては、延べ290人に上る県職員が、甚大な被害を受けました軽米町におきまして、家屋内外の土砂の撤去作業でございますとか、家財の移動、援助物品の仕分け・配送などのボランティア活動に自発的に参加したところであります。こうした県職員の地域活動への取り組みは、職員一人一人の自発的意思に基づいてとり行われるものではございますけれども、総合計画に掲げる新しい時代に対応した県行政の基本姿勢におきまして、県職員一人ひとりが地域の皆様と地域づくりを共に進めるパートナーとしての自覚を持ち、県民の皆様の信頼にこたえる行政を推進していく、このように書いてございます。こういったことからも、地域住民と一体となった職務としての地域づくりはもちろんのこと、地域社会の一員として地域活動に積極的に参加していく必要があろうかと存じております。
 このため、本年策定いたしました行政システム改革大綱や人材育成ビジョンにおきましても、職員の社会貢献活動や地域活動に対する参加意識の高揚を図ることとしておりますが、具体的には、職員広報誌でございますとか、職場研修の場などを活用しながら、地域社会との連帯感を醸成する社会貢献活動でございますとか地域活動に対する意識啓発を図り、その参加を一層促進してまいりたいと考えているところでございます。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、地方分権一括法に対応した市町村条例等の整備についてでございます。
 それぞれの市町村におきましては、来年4月の法律の施行に向け、プロジェクトチームの体制を組むなどによりまして、現在、条例等の整備に鋭意取り組んでいるところでございます。こうした作業の多くは、政省令の改正を踏まえて行うことになるものでございますので、それらがおくれていることから、大半の市町村におきましては条例改正等を3月議会に持ち越すなど、作業のおくれが生じているところでございます。
 県といたしましては、改正予定の政省令等の情報提供であるとか、あるいはその他必要な情報の提供、それから必要な助言等を行っているところでございまして、今後におきましても、こうした情報の提供や法制面での助言等を行うことによって、市町村の作業を支援してまいります。
 次に、総合補助金制度についてでございます。
 この制度は、地方分権時代に対応した市町村の自主的な地域づくりを支援するために、県単独補助金の見直しを行って、補助条件等の緩和、弾力化や事務手続の簡素合理化を図り、市町村の裁量的な活用ができるだけ可能となるような新たな補助制度として創設しようとするものでございます。制度の内容につきましては、例えば補助対象は、岩手県総合計画に掲げる環境、ひと、情報の三つの視点を踏まえた事業とするほか、限度額であるとか、あるいは補助率等につきましても現在鋭意検討を進めているところでございます。
 また、これまで数回にわたりまして市町村の意向を調査し、その反映に努めているところでございますが、基本的な方向については、おおむね御理解をいただいたものと存じてございます。この制度が、新しい岩手の地域づくりの手段の一つとして、十分機能が発揮されるよう、今後その意見、要望なども踏まえながらさらに検討を重ね、平成12年度から実施したいと考えてございます。
 次に、広域行政推進指針についてでございます。
 市町村が合併などの広域行政を検討する際の目安となりますその指針の策定に当たりましては、本県における望ましい広域行政の姿について客観的、学術的な調査、研究を行うために、県立大学の有志教員で構成します広域行政研究会の協力を得て、これまで全市町村を訪問し、各市町村長等からの御意見を伺うとともに、その基礎資料の収集を行ってきたところでございます。現在、この研究会では、これまでの調査結果をもとに、専門的な見地からの検討を加え、合併パターンの類型化や合併以外の広域行政のあり方についての報告書の取りまとめを行っておりますが、この報告書をもとに、県立大学と連携を図りながら平成12年3月中を目途に指針を策定、公表したいと存じてございます。
 それから、盛岡市におきましては、市と隣接町村が一体となった中核都市のビジョンを策定するものと伺ってございますが、県といたしましては、盛岡地方振興局を中心としてこのビジョンづくりに参画するなど、積極的に対応してまいりたいと考えております。
 さらに、指針の策定公表後におきましては、盛岡地域を含め県内各地で広く説明会を開催するなどして、市町村や、とりわけ地域住民の皆様方にその内容を御理解いただき、それぞれの地域において多様な議論がなされ、合併を含む広域行政が推進されるよう、その普及啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 職員の環境に配慮した取り組みの内容についてでありますが、現在、県庁においては、今年度末のISO14001の認証取得を目指して環境改善の取り組みを実施しているところであります。この取り組みは、職員一人一人が環境に配慮した行動を行うことが重要でございまして、公共事業等も含めた個々の事務事業について、環境に与える影響を洗い出し、それぞれの環境負荷の低減の目標を設定することを初め、環境配慮型商品の購入、ごみの分別収集によるリサイクルなどの徹底、不必要な電灯の消灯や適切な空調の温度管理、公用車のアイドリングストップなどの徹底により、継続的に環境の改善を図ろうとするものであります。
 また、県庁外におきましては、本年6月に1、400人余りの職員が自主的に参加したわけでございますが、クリーンいわて行動の日の清掃活動を行うとともに、詳細は把握いたしておりませんけれども、このほかに野外活動のリーダーとして地域の環境学習に資する活動を行っている職員もおるというふうに聞いております。
 今後とも、これらの取り組みを進めるとともに、多くの職員に対して、環境保全に対する一層の意識の向上を図るための研修を継続してまいりたいというふうに考えております。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕
〇農政部長(佐藤徳兵衛君) まず、中山間地域への直接支払制度についてでありますが、直接支払制度の導入に当たって、現在、市町村におきましては対象農地の賦存状況について調査を行っているところでありますけれども、そのもととなる地形図が、国土調査を実施済みとか、そういう市町村は別でありますけれども、ほとんどの市町村で整備されていないと、こういうことで市町村にとっては大変容易でない作業をお願いしている状況にございます。今後の作業におきまして、傾斜度等についてさらに精査する必要がございますので、県といたしましては必要な情報の整備について今検討しているところであります。なお、事務費につきましては、本年度は予備調査ということで市町村の自主財源、自前、手弁当でお願いしておる状況でありますけれども、本格導入後の事務費につきましては、国において十分な財源措置を講じていただくように要望いたしているところであります。
 次に、新たな水田営農対策についてでありますが、国は平成12年度から5カ年を計画期間として、自給率の低い麦、大豆等の定着、拡大を図るため、作付の団地化や担い手への利用集積を進めることとし、こうした取り組みに対して重点的な助成措置を講じることとされております。一方、本県の麦、大豆等の作付の現状は、分散、しかも小規模な作付が多く湿害を受けやすいことなどから、収量が全国平均よりも低い水準にとどまっております。こうしたことを踏まえ、先般、岩手県水田農業推進基本方針を策定し、生産性や品質の向上に向けて、麦、大豆等の団地化を重点的に促進することとしたところであります。具体的には、水田の汎用化のための圃場整備や排水対策を実施し、栽培技術の徹底を図るとともに、農地流動化ステップアップ運動を通じて、担い手への利用集積を加速度的に進め、これら作物の経営メリットが発揮できる3ヘクタール以上の規模の団地化を図ってまいりたいと考えております。既に県内各地におきましてこうした大規模団地を形成する動きも見られますので、こうした取り組みを実証展示しながら、5カ年間の展望のもとに、稲作と他作物を組み合わせた体質の強い水田農業の確立に努めてまいる考えであります。
 次に、家畜排せつ物処理施設の整備に係る県計画の考え方についてでありますが、家畜のふん尿排出量は現在約428万トンと見込まれ、このうち117万トンがいわゆる野積み、素掘り状態となっているものと推定しております。こうした状況から、県といたしましては、今年中に処理施設整備計画を策定し、法律で義務づけられている5カ年以内に適正処理対策を講ずることとしておりますが、その基本的な考え方としては、家畜ふん尿は健康な土づくりの貴重な有機質資源として、完熟堆肥化による農地還元を主体に、計画的に施設整備を促進してまいる考えであります。この施設整備計画では、家畜ふん尿を畜産農家の自己完結型、それから耕種部門との連携型、堆肥センター整備型などに類型化して、それぞれのタイプに応じた低コストで効率的な施設、機械の導入を図ることとしております。具体的な施設整備に当たっては、畜産環境対策関連事業や制度資金を活用してまいる考えでありますけれども、いずれそれぞれの地域の実情を十分見きわめ、平成16年10月までの整備期間中にしっかりとした処理対策と堆肥の有効活用を図り、環境と共生する畜産振興に努めてまいりたいと考えております。
   〔土木部長中山隆君登壇〕
〇土木部長(中山隆君) まず、国道4号茨島以北の道路整備についてでございますが、御案内のとおり、国道4号盛岡滝沢道路懇話会は、国道4号の茨島から分レまでの道路のあり方につきまして検討を加え、提言をいただくことを目的として設立されたもので、各分野の方々や国、県、市、村で構成されております。これまでに国におきまして実施しました道路現況、歴史並びに自然環境調査や、この道路にかかわります盛岡以北の5市町村から無作為に選ばれました1万人の方々へのアンケート調査の結果につきまして、懇話会で御意見をいただいてきたところでございます。本年10月の第5回の懇話会におきまして、国から道路の4車線化に係る五つの提案が提示され、その内容につきまして議論されております。さらに、この計画区域に居住される方々にアンケート調査を実施する予定であるほか、地域住民の方々によって先月設置されました巣子地区まちづくり協議会、この中で示される地元の意向も踏まえまして、年度内に4車線化の案につきまして再度検討する予定となっております。
 また、茨島以北の整備完了時期についてでございますが、懇話会から御提言をいただいた後に整備計画を立案し、関係機関との協議、調整を経まして、都市計画決定等の手続を行うこととしております。このため、現時点では事業着手の時期は明確には定まっておりませんが、県といたしましては、本事業が盛岡都市圏の交通対策上、極めて重要な役割を担っていることから、関係する市町村とも連携を図りつつ、一日も早い整備が図られるよう国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、主要地方道盛岡環状線の道路状況に対する認識と取り組みについてでございます。
 盛岡都市圏の外郭を形成いたします本路線は、全線にわたりましてほぼ2車線で整備されておりますが、盛岡市仙北町、それから滝沢村大釜及び役場の周辺などにおきましては、増大する交通量のため朝晩の通勤通学時に交通渋滞を引き起こしております。さらに、歩道がない区間もあるなど、交通安全の確保が課題となっているところでございます。この路線の今後の整備方針といたしましては、交通混雑している区間の整備を今後とも重点的に取り組むとともに、長期的な交通計画といたしましては、国道4号茨島以北の4車線化や国道46号の盛岡西バイパスから北進いたしまして、国道4号の分レの間で将来構想されております、いわゆる西回りバイパスとの機能分担のもとに計画的な整備を進めていく必要があると考えております。このため仙北町、本宮並びにJR滝沢駅周辺におきましてそれぞれ道路整備を進めているところでございますが、膨大な事業費を要するということで、その整備にはなお時間を要すると考えております。こういったことから、当面は隘路区間の渋滞対策を緊急に進めるため、新たに本年度から渋滞スポット解消街路事業を創設いたしまして、南仙北地区や滝沢村迫地区の渋滞対策を実施することとしております。今後とも本路線の重要性にかんがみ、交通渋滞等の課題の解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、木賊川の河川改修についてでございます。
 木賊川は滝沢村柳沢を源といたしまして、穴口地区で支川の巣子川と合流し、盛岡市上堂地区で北上川に注ぎます一級河川でございます。木賊川の沿川は、盛岡市のベッドタウンといたしまして近年市街化が進み、また流域の開発が進展いたしまして、現状では人口や資産の増加が著しいということから、出水時におきましては特に警戒が必要な地域であると考えております。このため、県といたしましては、遊水地の建設とその下流から北上川の合流点まで抜本的な河川改修を行うこととし、昭和61年度から国庫補助事業である広域基幹河川改修事業に着手しております。整備に当たりましては、下流の改修は莫大な事業費と長い期間を要することから、治水効果を早期に発現するために遊水地の建設を先行させることとし、現在第2遊水地の国有地の取得を平成13年度までに行い、平成14年度以降は、一部工事着手と残りの民有地を取得する予定としております。また、遊水地が完成するまでの間、下流の河川については、暫定ではございますが、県単独費によりまして河川改良事業などで引き続き河川断面の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 一方、ソフト対策といたしましては、昨年盛岡市が公表いたしました、出水時に浸水が予想される区域を示しました洪水ハザードマップを住民へ周知徹底を図っていくとともに、出水時には水防団と密に連携をとりながら対応していくなど、洪水被害の軽減に今後とも努めてまいりたいと考えております。
〇5番(柳村岩見君) 32点以上を超える項目といいますか、点でございましたので、まことに答弁に対して感謝を申し上げる次第であります。短くいたします。
 どの施策の推進に当たっても、計画策定、言葉は、あるいはまた文言は違いますが、指針であるとか、構想であるとか、ビジョンあるいは大綱、要綱、システム、体制、言葉は変わりますけれども、すべてにわたってその計画づくりが前提とされております。当然ながら事業推進に当たっては、国民あるいは県民の血税を財源としての事業執行であります。その事業執行に係る裏づけとしての計画がしっかりしているべきことは当然なことであります。ましてや国からの要請がある計画づくりも当然ございます。しかしながら、素朴な思いとして、まことにこの計画にかかっている期間とエネルギー、事業執行のエネルギーと時間を全く残さないのではないかと思われるほどの計画づくりの量であります。くどくどは聞きません。そのことへのバランス感覚をきっちり持つ必要があろうかと思います。このことは企画振興部長、御決意のほどをお尋ねして終わります。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) 県行政を進めるに当たりましては、長期的な見通しに立ってその進むべき方向性であるとか、あるいはその実現のための方策とか、こういったものを明らかにしながら、行うべき事業の目的であるとか内容を具体的にしてまいると、そしてそれに向かって計画的に、重点的に事業を推進することは肝要なことと認識をいたしております。そうした観点からそれぞれ計画を策定しているわけですが、その計画の策定には相当の時間、そして労力を必要とするものでございます。しかしながら、こうした計画を策定し、そしてそれを明らかにすることが、結果としてそれぞれのさまざまな施策の透明性も確保され、そして効果的で効率的な事業推進が図られることになるものと存じます。そして、それが県民に開かれた県政の推進とか、そして円滑で効率的な行政運営につながっていくものと認識をいたしてございます。ただ、その事業の推進に当たって計画策定等だけに時間をかけるということじゃなく、その計画に基づいて支障なく事業が実行されますよう、それぞれ努力してまいらなければならないと、かように存じてございます。
〇議長(山内隆文君) 次に、佐々木順一君。
   〔9番佐々木順一君登壇)(拍手)

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