平成11年12月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(長谷川忠久君) 政和会の長谷川忠久でございます。
 本年8月、岩手県総合計画が策定されました。第何次という言葉を冠することなく、新しい岩手・21世紀へのシナリオ──みんなで創る夢県土いわてと表題を付したところに、知事の意欲的な取り組みをかいま見ることができます。この総合計画は多くの県民の皆様方が参画し、衆知を集めて策定されたと同時に、増田知事の岩手に対する理想、理念、哲学等を本格的に体現したものであり、名実ともに増田県政が21世紀に向かって船出するための海図であり羅針盤であると解しているところでございます。
 世紀末の現在、重苦しい閉塞感が私たちの周りに漂っております。経済不況が長引いている上、21世紀もさほど明るいとは思えないからではないでしょうか。総合計画は、計画策定の目的のほかに、この閉塞感を少しでも打破し、県民の皆様が夢と期待を抱き、積極的、能動的に社会活動や経済活動に参画し活躍をする土壤をつくり出すこともまた大きな目的であり、夢県土への第一歩であると考えております。県民の皆様方が、この閉塞感に打ち負かされ、あすに諦念を抱き消極的、受動的な行動をとるようになれば、岩手のあすもまたないのでございます。県民の皆様が、あすを信じ、夢を持ち、積極的、能動的に行動するための原点となる指針が総合計画そのものであり、当分の間岩手の基本政策の中心をなし、21世紀の岩手の姿を形成するものでありますので、あらゆる角度から検証をしなければならないと考えているところでございます。
 私は、総合計画に記載されている新しい時代の潮流は、我が国周辺における地域紛争や世界的な経済混乱がなければ、21世紀初頭はこのように推移するのかなとの思いを共有するものでございまして、その対応といたしまして、基本構想、基本計画、実施計画、そして地域計画を含めて積極的に事業を推進する姿勢が貫かれていると考えられるところから、全体といたしましては高く評価いたしまして、了とするものでございます。
 しかし、私は知事よりも10歳年上でありますが、10歳の差、ジェネレーションギャップを痛切に感じながらこの総合計画を読まなければなりませんでした。内容が斬新過ぎるのか、私の頭がかた過ぎるのか、腕組みをいたしまして沈思黙考をして初めてわかったような気がする、そういう文章や言葉が多く、県民の皆様に素直に理解していただけるのかなと心配になったのでございます。理念が先行し過ぎていないか、県職員の皆様方が具体の施策を展開するためには相当の御苦労が伴うのではないかと心配するのは、何も私が年をとり過ぎたからばかりではないと思います。
 また、総合計画でありますから、総花的であるという批判は当たらないとは思います。一つのプロジェクトが多くの分野に効果を及ぼす時代でありますから、総花的でなければならないことも理解できるのでありますが、2010年の岩手県がどのような姿になっているのか、この総合計画からは明確に描くことは難しいのではないかと思います。夢県土と一言で片づけずに、岩手の2010年の未来像を平易な言葉で語りかけていただきたいと思いますし、岩手県総合計画、新しい岩手・21世紀へのシナリオをどのように評価しておられるのか、また、知事みずから各地を回って県民の皆様方に説明をされておられますけれども、今後より多くの県民の皆様方の理解が必要であると思います。どのようにして理解を得ていくのか、その方策についてお伺いいたします。
 次に、この総合計画のもととなっている新しい時代の潮流に相反する意見についての評価を求めます。
 21世紀は、ボーダーレス社会からボーダーフル社会へと移行するという考え方がございます。それは、21世紀には地球上で爆発的に人口が増加する。その結果、食料・資源・エネルギーが不足し、環境汚染も深刻化する。そして先進国、途上国を問わず、世界各地で物資の奪い合い、環境汚染のなすり合いが始まる。国境を強化しての食料・資源・エネルギーの確保は、一国の閉鎖体制では対応できないから、農業国と工業国のブロック化、資源保有国と製品生産国のタイアップ、ブロック化が必然となる。結果、国境というボーダーは薄くなるけれども、ブロックというボーダーは逆に強くなるというのがボーダーフルということでございます。
 また、高齢化と少子化の結果といたしまして、人口減少社会が到来するのでありますけれども、それは地域間の競争の激化、淘汰の時代を迎えるという意見もあるわけでございます。
 さらに、環境、ひと、情報の観点から、岩手独自のカラーを打ち出すことは大変難しいのではないかと思っております。環境の世紀を迎え、他の都道府県も環境政策への対応を強化する中で、環境首都を目指す本県は他より進んだ施策をどこに見いだすのか、ほかとの違いをどう強調するのか。創造性豊かな人材はかけがえのない財産であることに疑いを挾む余地はありませんが、創造性を発揮するためには基本的な知識や技術が必要であり、現在の学校教育のあり方を等閑視するわけにはいかないのでございます。それでは、今の学校教育をどう改善するかに戻ってしまいます。家庭教育から学校教育、社会教育まで含めた中で、次代の岩手を担う人づくりをどう進めるのか。情報社会が急激に進展する中で地域コミュニティー形成がどうなるのか、情報からの落伍者の心をどう救うのか、情報社会の進展は結の心を薄くするのではないのか、社会と人の心のすき間をどう埋めていくのか、それぞれ課題は多いと思います。これらの考え方についての評価をただします。
 さらに、これまでの岩手県行政を振り返って考えなければならないのは、横並びという考え方ではないでしょうか。これまで岩手県は、同じような港湾を同じような思想のもとで四つも整備をしてまいりました。青森県は八戸港を、宮城県は、最近は石巻港もありますけれども、仙台港を、秋田県は秋田港を、山形県は酒田港を、福島県は石炭火力発電所の立地による相馬港を特殊な例といたしまして、小名浜港をというように、東北各県は拠点となる港湾を重点的に整備してきたのでございます。横並びの思想が悪かったと言うつもりは全くございません。知事がよく使われる右肩上がりでない時代、そして、国、地方とも財政の窮迫する今、これからも横並びでよいのかという疑問が残ります。また、地域の特性を生かして地域づくりを行うことと相反していないかとの疑問も残るのでございます。
 みんなで創る夢県土いわては、みんなの意見を聞き、万機公論に決するということであれば、これからも横並びに行かざるを得ないのではないか、そういう不安も残るのでございます。現下の政治経済状況のもとで、施策の選択と重点化が何を置いても必要でございますけれども、実施計画に政策実現のための手法と過程をどのような考え方で盛り込んでいくのでしょうか。21世紀へのシナリオは、知事のリーダーシップのみがその成否を握ることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、昨年の3月に策定されました、新しい全国総合開発計画である21世紀への国土のグランドデザインと総合計画の関係について、殊にも、基本的コンセプトに参加と連携を据えた地域戦略プランとの関係についてでございます。
 御案内のとおり、地域戦略プランは国民の生活の質の向上を図り、将来にわたり生活に夢と希望を持てるようにするため、生活空間倍増戦略プランの一環といたしまして、国が行う全国的な施策とあわせ、地方が行う施策としての地域戦略のプランを策定、推進するものでございます。プランの策定は、複数の市町村が明確な一つのテーマに基づき、向こう5年間を視野に入れて行い、国がそれを認定する仕組みであり、認定されたプランに位置づけられた事業については、国において国庫補助事業の採択の面で配慮するなどの措置を講ずるというものでございます。本県におきましては、盛岡地域の岩手山麓グリーンRアンドRプランなど14プランが認定されており、そのうち岩手と宮城、また岩手と秋田の県境を越えたプランもあります。県内の全市町村が参加している状況にあると聞いておるところでございます。
 この地域プランは、国が調整能力を喪失した結果と意地悪く見ることもできますけれども、上手に機能すればすばらしい結果を生む事業ではないかと思います。自分たちの地域は自分たちでつくるという精神は、21世紀へのシナリオと共通するものがありますが、その関連をどうお考えでしょうか。岩手県版地域戦略プランを創設してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、地域計画と市町村の関係についてでございます。
 地方分権の進展に伴い、県と市町村は対等・協力の関係になります。理論的には、県の計画と市町村の計画が別の道を歩んでも不思議ではないのでございますが、実際には、地域計画は地方振興局主導のもとで、市町村との協議が十分に図られて策定されたものと思います。したがって、これから策定されるであろう市町村計画も、結果といたしまして総合計画の地域計画と整合がなされたものになるのだろうと考えております。
 しかし、策定されて間もないこともあろうと思いますが、地域計画への認識に微妙な温度差があるように思えてなりません。同じ事業であっても、事業の規模や立地する場所が違えば、事業の及ぼす効果はもとより、事業の性質まで変質することもあります。また、地域計画には2010年までの間に調査するもの、事業に着手するもの、完成させるもの等があります。市町村における地域づくりのための事業と地域計画の事業の優先順位が異なる場合があるわけでございます。市町村の協力がなければ地域計画は実効性を持たないことになるのでございますから、地方振興局ばかりではなく、総合企画調整機能を持つ本庁の部局も、市町村に入り、早急に協議を持たれ、私の心配を杞憂のものにしていただきたいのでございますが、いかがでございますでしょうか。
 次に、総合計画との関連における財政問題についてお伺いいたします。
 平成9年に財政構造改革法が制定されました。しかし、余りにも大きな経済の落ち込みは財政構造改革法を棚上げにさせ、景気回復が至上命題となりました。経済対策の名目で公共事業を中心に財政出動が幾度となく繰り返されてまいりました。今議会でも追加提案されるであろう補正予算案は、18兆円にも上るこの間の最大級の国の総合経済対策に対応するものでございます。これら対策により、平成11年度はわずかでもプラス成長が見込めるとされております。そして、今回の総合経済対策と来年度の予算編成を積極型にいたしまして、経済を安定成長の軌道に乗せたいとしているところでございます。
 しかし、経済の実態は官主導の減税や公共事業で民の一部にも明るさが見られることは確かでございますが、力強さが欠け、2000年以降プラス成長の道を歩むことができるかは疑問の残るところだと思います。
 一方、国は赤字国債をもって積極型の予算編成は可能でございますが、その限界も見え始めているのでございます。昨年暮れ、日銀による国債の買い取りが真剣に検討されたことや、国債発行額が本年度第2次補正予算だけでも7兆5、660億円追加発行され、今年度の国債発行額は過去最高の38兆6、000億円に達したことがそれを物語っております。
 また、当然のことといたしまして、岩手県も経済対策に追随してきた結果、県債残高が1兆1、260億円余となり、公債費の上昇が経常収支比率を押し上げ、財政の硬直化を招いております。このように考えるとき、財政構造改革に取り組む時期は切迫しているように思えてなりません。景気が回復した場合、財政構造改革が強行され、県財政は公債費負担が相対的に高くなり、また、公共事業などに依存度の高い県内産業界に微妙な影響を与えます。景気が回復しない場合には、際限のない県債の発行が強いられ、どちらの場合でも21世紀へのシナリオの実現のために難しい財政運営を余儀なくされると思うのでございます。
 そして、岩手県は総合計画の着実な推進を可能とするため、中期財政見通しを策定されました。この中期財政見通しは、主要な基金の残高の数値目標を撤廃せざるを得ない財政状況の中で、総合計画達成のため、厳しい財源調整と財政健全化努力を表明したものであると理解いたしております。右肩上がりでない経済社会において、2000年代の10年間も、安定した経済成長が続くと予想することは困難であります。そして、財政構造改革の推進が迫っている今、総合計画達成のためにさらなる財政見通しの変更が必要になると思うのでございます。本県の財政が岩手県総合計画、新しい岩手・21世紀へのシナリオの推進に影響を与える可能性について、どうお考えになっておられるかお伺いいたします。
 また、事業推進のためには経常収支比率の向上が必要であり、このような財政状況では人件費にまで切り込んでいかなければならないと思います。今年度は人事委員会の勧告をそのまま実施することによりまして、私たち議員も含め実質減少するのでございますが、これは本年度だけで済むのでしょうか。今後も人件費について思い切った検討を続けなければならないと思いますが、見通しをお示しいただきたいと思います。
 また、平成9年の経済成長、国は名目0.2%、実質マイナス0.4%、岩手県は名目マイナス0.6%、実質マイナス0.8%と発表されましたが、県が国を下回った要因はどこにあるとお考えかお伺いいたします。
 次に、実施計画の具体の事業である海洋環境国際共同研究事業についてでありますが、本事業は、国連大学との連携を図ることによって、その世界的研究ネットワークを活用し、沿岸生態系研究、海洋汚染防止研究、物質環境研究の3プログラムを行うこととされております。研究の中心となるは、本県沿岸に立地する東京大学海洋研究所や北里大学水産学部、海洋バイオテクノロジー研究所、岩手県水産技術センターなどの研究者であり、本年から3カ年で事業実施されるものと仄聞しているところでございます。
 海洋開発研究は、その重要性にもかかわらず、学術研究を除けば継続して研究されてきたとは言いがたいところがございます。それは、経済が低迷したときに見直される歴史であり、今回のブームは、私の知る限りにおいて3度目でございます。1度目は、東京オリンピック後の昭和40年代前半、2度目は、オイルショック後の50年代後半、そして今回でございます。海洋は水圧、光、通信などの壁が障害となり人類を遠ざけてまいりました。宇宙開発は大きく前進しておりますけれども、海洋はいまだ人類に扉を開こうとしていないと言っても過言ではないのでございます。海洋開発の困難性と海洋の持つさまざまな資源・エネルギーが、人々のロマンを刺激し、経済が手詰まりになったときにだけ急浮上してきたと考えられるのであります。岩手県沿岸地域の振興のためにも、国際的な食料や資源問題への対応のためにも、今回の研究事業は大きな意義を有するものと評価しております。
 しかし、海洋に関する研究は、その重要性を考えたとき、経済性を持たなければならないと思います。そうでなければ過去2度のように、ブームが去れば何も残らないということになりかねません。また、イベントも同じだと思いますが、研究事業もただやっただけでは大きな意義を持ちません。何かを県民に残さなければならないと思います。私は、本県は海洋エネルギーの実験場としては最も適した地域の一つであると考えてございます。潮力発電や温度差発電には適した場所とは言いがたいのでございますが、リアス式の隆起海岸は、環境には十分配慮しなければなりませんけれども、揚水発電には絶好の場所でございます。
 また、以前釜石湾口防のケーソンに波力発電装置を組み込めないかと提起したことがありますが、所管が運輸省と通産省にわたり縦割りが障害になった経験を持っていますけれども、働きかけ次第では、今なら久慈や釜石ではできるのではないかと考えております。今回の研究事業を契機に、神奈川県にある海洋科学技術研究センターの分室などを誘致し、経済的に海洋開発研究が継続され、海洋開発研究のメッカになるように努力したらいかがでしょうか、お伺いいたします。
 最後に、執行機関と議会との関係についてでございます。
 地方分権一括法の制定により、長年の懸案でありました地方分権が実行の段階に入ったのでございます。権限の委譲等により、知事の権限と責任はますます大きく重要になってまいります。同時に、執行部とチェック・アンド・バランスの関係にある議会も責任が大きくなり、過度の対立、擁護ではなく、批判と協力という観点から今以上に活性化していかなければ、県民の負託にこたえることができなくなると考えております。議員個人もまた、今まで以上に努力が求められる時代に突入してきたと言えます。そうでなくても価値観の多様化やボーダーレス化の進展により、議員の役割はより複雑化し、県内のみならず、国内的、国際的視点が必要となってきているのであります。
 議員活動も、執行機関との切磋琢磨の中で、議員発議も意見書の提出だけでなく、条例案の発議など、より幅広い諸活動が要請される時代を迎えております。議会には附属機関を設置できないがゆえに、県条例の実施機関に乗り情報を公開すべきという考え方もございますが、地方分権が実効を持つに至った今、執行機関と議会の関係を考えるとき、私は独自の条例が望ましい形だと考えているところでございます。最近、レジオネラ菌をめぐって情報公開に認識の欠如があったのでございますが、それを反省し、情報公開に対する姿勢、認識さえしっかりしていれば、県民の皆様の御理解は得られるものと確信いたしているところでございます。いずれにいたしましても、地方分権の推進により議会の権限も強化されなければなりません。そして、それに伴い、議員の身分も政治活動の自由も、より保障されなければならないと考えるものでございます。例えば、既に全国議長会で決定をいたしまして、法改正を要望している県の長期計画や基本政策にかかわる事項を議決案件に追加するという考え方がございます。これが実現すれば議会の権限が大幅に強化されることになりますが、こういった議決案件の拡大に対してどうお考えでございますか。
 また、議会は住民の代表機関であり、重要事項の決定、実施に当たっては、積極的に議会に報告、説明し、議会の意見を聴取するなど議会を積極的に活用していただきたいと思いますがいかがでしょうか。新聞を通じて重要案件を知るのではなくてでございます。地方分権時代を迎え、今後も社会経済が大きく変貌し、住民感覚も大きく変化する状況で、執行機関と議会は、競争的共存の姿勢で研さんを重ねていくしかないと考えております。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 長谷川忠久議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、岩手県総合計画の評価と県民の理解を得る方策について今お尋ねがございました。
 今回の総合計画は、みんなでつくり、みんなで進めるということを基本に計画づくりを進めてきたわけでありまして、その結果、2万5、000人、県民平均にいたしますと57人に1人の割合となる多くの方々の参画を得ることができました。県民の皆さんからいただいたこれらの貴重な御意見をもとに、自立、参画、創造による持続的な地域づくりを理念として、生活者、地域の視点に立って、2010年の岩手の将来像というものを描いているわけですが、そこでは2010年の県民の暮らしがどのように変わるのかということを、やはり県民の皆さんにわかりやすくお示しすることが必要であるということで、それを指標化することに努めまして、全体で207の指標を掲げております。このようにしてみんなでつくったこの計画は、21世紀の新しい岩手づくりに向けて、今後、県の行財政運営の基本指針としてのみならず、県民の皆さんが地域で活動する際のよりどころになるものと確信をしております。
 これからは、こうしてみんなでつくった計画をみんなで進めるために、まず初めに計画の内容を県民の皆さんに御理解をいただくことが大切でございますので、私自身はもちろんですが、職員が県内各地に出向く、いわゆる出前説明会を今積極的に行っております。60回近く今まで行っておりますし、まだこの出前説明会、30回以上は予定をしているところでございます。また、10月には、みんなで創る夢県土いわてフォーラムというものを開催いたしましたし、計画をコンパクトにまとめた印刷物を50万部ほど印刷しまして全世帯配布、写真やイラストなどを使ったわかりやすい概要版の作成、新聞やテレビなどの活用、県のホームページへの掲載、さらには、子供向けの副読本──これは今後つくるんですが、中学生向けに7万部ほど今考えております──の作成など、さまざまな方法により、計画について、県民の皆さんへの積極的な周知を図っていくこととしております。
 今後におきましても、県民の皆さんに計画を十分に理解をいただきますとともに、広く県民満足度というものを把握するためのアンケート調査を今後年1回は実施をするなど、引き続き幅広い参加をいただきながら、夢県土いわての実現に向けて、計画の着実な推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、実施計画の政策実現のための手法についてお尋ねがございました。
 右肩上がりの経済成長が見込まれない状況にありましては、施策の重点化を図りながら、財源の効率的な執行を進めていくことが一層重要になってきております。このため、総合計画では、環境、ひと、情報を岩手の未来を開く重要な視点として位置づけ、この三つの視点に対応した美しい国づくり、それから学びの里づくり、情報の森づくりを岩手の未来を拓く先導的プロジェクトとして位置づけております。また、一人一人の生活者の意欲や地域の元気を阻む要因をこれを壁というふうにとらえまして、それを乗り越えるための時間距離の短縮、中山間地域の活性化、独創的産業の創出など七つの課題対応プロジェクト、壁を七つそこで考えて、その壁を克服する七つの課題対応プロジェクトとして掲げておりまして、こうした先導的なプロジェクト、あるいは課題対応プロジェクトを重点的、優先的に今後推進してまいりたいと考えております。
 また、今後、2010年の県民の暮らしがどのように変わるのかということを示した、先ほど申し上げました207の指標がございますが、この指標を中心に総合計画の進行管理を行っていくこととしてございますが、進行管理に当たりましては、総合計画審議会に設置をした総合計画推進委員会の意見を踏まえながら、事務事業評価、公共事業評価などの政策評価もあわせ実施をして、その結果をすべて公表するなど、行政としての説明責任の徹底を図りながら、その時点時点において、最も効果的と考えられる施策を厳しく選択をしていきたいと考えております。
 また、計画の推進に当たっては、この計画の最も基本とする生活者や地域の視点に立ち、まずもって、地域の人々が主体的にそれぞれの特性に応じたさまざまな活動を意欲的に展開をしていくことが極めて重要でございますので、いわて地元学を初め、世代をつなぎ、地域をつなぐ取り組みを支援しながら、もちろん私自身も先頭に立って県民の皆さんと手を携え、全力でその実現に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、本県の財政が総合計画の推進に影響を与える可能性というお尋ねがございました。
 財政の中期見通しを先日見直して出したわけですが、この財政の中期見通しは、極めて厳しい財政事情にありながらも、基金の活用や交付税措置のある優良起債の導入などのいわゆる財源調整を図ることに加えまして、一方で行政改革の一層の推進などの財政健全化努力によって、計画に掲げております諸施策の着実な推進を可能とする財政運営の道筋を示したものでございます。この見通しについては、あくまでも現行制度を前提とした試算でありますので、今後の経済情勢や国の財政構造改革への取り組み動向、あるいは地方財政対策の動向などを見きわめながら、やはり随時見直しを図っていくべきものと考えております。特にも、我が国経済が回復軌道に乗った段階において取り組むこととされている国の財政構造改革の中で、歳出の縮減などがあるとすれば、依存財源の割合が高い本県の財政にとっては、税収の動向や地方交付税の充実の状況、さらには地方への税財源の委譲の状況いかんにもよるわけですけれども、少なからず影響が生ずるのではないかと懸念をいたしております。
 したがいまして、総合計画の推進に当たっては、財政構造改革の動向や今後の経済情勢の推移など、その時々の県財政を取り巻く環境を踏まえて、適時適切に将来の財政見通しを見直す必要があるというふうに思っておりますし、計画内容についても必要な調整を図りながら、計画目標の実現に向けて努力する考えでございますが、いずれにしても、まずもって経費の節減合理化などによりまして財源の捻出に努めるなど、この財政の健全化に向けて最大限の努力を傾注してまいります。
 最後に、執行機関と議会との関係についてお尋ねがございました。
 地方分権が実行段階を迎えて、地方の自治機能が拡充されることに伴いまして、我々執行機関を監視して、団体意思を決定する議会の役割はますます重要性を増してくるものと、このように認識をしております。申し上げるまでもなく、議決機関たるこの議会と執行機関たる長とは、お互いに対等の立場で、相互の抑制均衡のもとに公正かつ効率的な行政運営の確保が図られる仕組みとなっておりますが、議決事件につきましては、住民の権利義務にかかわる重要事項は団体意思の決定をすべきものとして現行制度において定められていると、このように認識をしておりまして、こうした議決事件の拡大は、相互の抑制均衡への影響など、議会と長との関係という地方自治制度の根幹にもかかわってくる問題でありまして、慎重に検討されるべきものと考えているところでございます。
 また、重要事項の決定、実施についての議会に対する報告、説明についてでございますが、もとより議会と執行機関の関係につきましては、議会が執行機関の監視機能を有しておりますので、緊張関係を保ちつつも対立するのではなくて、県政運営の基本方針の決定などに際しましては、意思決定機関である議会において十分な討議をいただいて、互いに知恵を出し合って、時には提言を私どもでもいただきながら、ともに県勢発展と住民福祉の向上を目指すべきものと承知をいたしております。このためには、お互いに情報を共有することが大切でございまして、議会に対する適切な情報提供に努めますとともに、県政の重要課題につきましては、県民の代表である議会、議員の皆様に説明、報告を積極的に行いまして、御理解を得ながら取り組んでいく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕
〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、新しい時代の潮流に関するさまざまな考えに対する評価についてでございます。
 総合計画では、交通や情報通信技術の発達などに伴い、地球的な規模での人、モノ、情報等の交流がますます活発化するなど、ボーダーレス化が今後さらに進んでいくものととらえているところでございます。今後、このボーダーレス化が進展する一方において、国などが相互の特性を補完する形で結びつくことにより、そのブロックなどのボーダーが強化されていくこと、これをいわゆるボーダーフル現象と理解してございますが、こうした事柄も踏まえながら、引き続き時代の潮流の変化を的確にとらえ、それに適切に対応していく必要があるものと考えております。
 また、人口減少社会の到来に伴う地域間競争の激化についてでございますが、総合計画の人口見通しの中で、少子・高齢化に伴う人口減少社会の到来について、具体的な数値をもって明らかにしたところでございまして、人口増加を前提としたこれまでの社会システムを見直ししていく必要があるものと考えてございます。このため、いわて地元学や新しい結づくりなどの新たな仕組みづくりに取り組むとともに、地域のさまざまな資源を最大限に活用しながら魅力ある地域づくりを進めていくことが重要であると考えてございます。
 次に、環境、ひと、情報の観点から本県の持つ可能性を現実のものにする上での課題に対する取り組みについてでございますが、まず環境につきましては、本県の持つ豊かな自然環境のもと、北東北3県が連携して子ども環境サミットを開催するとともに、国際連合大学、東京大学海洋研究所と本県の試験研究機関との共同で、海洋環境国際共同研究プロジェクトに取り組むなど、環境分野における先進的な取り組みを進め、環境に関するさまざまな情報が集まり、また発信する、日本の環境首都を目指してまいりたいと考えております。
 次に、ひとにつきましては、学校、家庭、地域社会の連携のもとに、豊かな自然や、地域に根差し、はぐくまれてきた文化などを教材として学び合うふるさと塾などを、いわば21世紀の寺子屋として県内各地で展開するとともに、豊かな心をはぐくむ教育推進事業や、体験活動を通して生きる力を育成する青少年ふるさと体験学習事業の推進などにより、健全な青少年の育成に積極的に取り組んでまいる考えでございます。
 また、情報につきましては、本県の広大な県土にあって、子供や高齢者、障害者を含むだれもが地域、世代を問わず高度情報化の恩恵を受けられるよう、いわて情報ハイウェイの整備に取り組むこととしており、来年度には一部システムが稼働できるものと考えてございます。さらに、公共施設等身近な場所での公共情報端末の設置など、だれでも、どこでも容易に情報通信ネットワークを利活用できる環境の整備に努めるとともに、新しい結づくりといった新たな仕組みづくりを積極的に提唱することにより、情報化ともども、活力ある地域社会の形成を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、地域戦略プランと岩手県総合計画、新しい岩手・21世紀へのシナリオとの関連についてでございます。
 地域戦略プランは、新・全国総合開発計画において提唱されております参加と連携による国土づくり、地域づくりの趣旨を踏まえ、複数の市町村が連携して地域みずからの主体性と創意工夫により、地域づくりのプランを策定し、このプランに位置づけられている事業を国及び県が重点的に支援するものでございます。このことは県の総合計画に掲げております自立、参画、創造による持続的な地域づくりの理念に合致し、さらには広域的な視点での地域づくりの趣旨にも沿うものでありますことから、県の総合計画等にもその内容が反映されており、本県における市町村の自主的な地域づくりを進める上で効果があるものと考えております。
 また、県版地域戦略プランの創設についてでございますが、現在進めている本県の地域戦略プランは、複数の市町村が連携してみずから策定した地域独自のものであり、このプランに盛り込まれた総額520億円に及ぶ事業を、国、県及び市町村が一体となって今後5年間で実施するものでございまして、まずもって当面は、現在のプランに掲げる事業の着実な実施を期してまいりたいと考えてございます。
 次に、総合計画の地域計画と市町村の関係についてでございます。
 地域計画の策定に当たりましては、それぞれの地方振興局が中心となって、地域の皆さんの御意見等をお聞きし、市町村との十分な協議を行い、本庁各部局との調整を図りながらも、地域が主体となった計画づくりに努めたところでございます。こうしてつくり上げた地域計画をみんなで進めていくため、計画策定後直ちに県・市町村連絡会議を開催し、それぞれの地方振興局長から地域計画について説明し、市町村長を初め、参加いただいた皆さんからも計画を推進していく上での率直な御意見、御提言をお聞かせいただいたところでございます。
 また、職員が地域に出かけて行う、いわゆる出前説明会でございますが、これにつきましても、地方振興局の職員が積極的に行っているところでございまして、これまで多くの市町村の議会議員の皆さん、並びに職員の皆さんに御参加いただいたところでございます。
 今後、地域計画を推進するに当たりましては、市町村との対等、協力を基本とし、地域計画と市町村計画とが一体となって、さまざまな施策を効果的に推進していくことが重要であると考えてございます。そのため、地方振興局はもちろん、本庁の各部局におきましても、積極的に現地に出かけ、市町村との連携のもとに、現場重視の地域経営を展開し、新しい岩手づくりに向けて一層努力を重ねてまいる必要があるものと考えております。
 次に、平成9年度における本県の経済成長率が国を下回った要因についてでございます。
 県内総生産と国内総生産それぞれの産業別の動向を見ますと、まず県内総生産の名目につきましては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動減などを背景にしまして、ウエートの大きい建設業が、民間住宅建設の大幅な減少、公共土木工事の減少によりまして、11.1%落ち込んだのを初めとして、卸売・小売業も、機械器具、建築材料、自動車等が不振だったことから、3.3%減と低迷したほか、金融・保険業等も減少しているところでございます。
 一方、国内総生産の名目でございますが、これにつきましては暦年値となりますが、建設業が3.6%の落ち込みにとどまり、また卸売・小売業は3.2%の──県は落ち込みましたが──こちらは増加を示しているほか、金融・保険業も増加しているところでございます。こうしたことから平成9年度の本県の経済成長率が国を下回った要因は、名目において、本県の建設業が国に比べ落ち込み幅が大きかったことや、卸売・小売業などが国とは逆に減少したことなどのためであって、このことが、実質においても国を下回ったことにつながったものと考えております。
 次に、海洋環境国際共同研究事業を契機とした、三陸地域を海洋研究のメッカにすることについてでございます。
 地球環境問題への関心の高まりに伴い、海洋研究においても環境の視点が重要になっておりますこと等から、県におきましては、今年度から三陸地域の海域を研究フィールドとして地球的なまたは地域的な海洋環境を保全するとともに、海洋資源及び水産業の持続的な発展に資することを目的として共同研究事業をスタートさせたところでございます。今後におきましては、この共同研究事業の着実な推進を図りながら、国際的な研究成果を積み上げ、その成果を広く内外に発信するとともに、国等における波力発電や海水揚水発電などの海洋開発の動向を見据え、海洋資源の利活用について検討を進めるほか、海洋科学技術センターが建造中の深海掘削船を核とした深海地球ドリリング計画、いわゆるOD21でございますが、この関連研究施設等の本県沿岸部への立地の促進に努めるなど、三陸地域における海洋研究の拠点機能を高めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 人件費の今後の見通しについてでありますが、本年度の給与改定は、昨年度の民間賞与の支給実績などを反映した人事委員会勧告を完全実施することとし、今議会に給与改定分を含み約38億円の給与費の減となる補正予算案を追加提案することとしておりまして、来年度以降も、人事委員会勧告を踏まえ、財政状況にも配意しながら、適切に措置してまいりたいと考えております。
 また、人件費につきましては、その総額を抑制することが重要と考えておりますが、本県では、これまでも2度にわたる行政改革大綱を初め、本年2月には行政システム改革大綱を策定し、事務事業の電算化・民間委託、定数の削減など、従来から他県に先駆け行財政改革を実施してきたところであります。その結果、定員抑制の取り組みが全国的にも最も進んでいるなど、効率的な行政執行体制が確保され、歳出総額に占める人件費の割合、すなわち人件費比率でありますが、これは平成10年度決算で24.3%と過去最低の水準となっており、また東北各県との比較におきましても、他県平均を2ポイント下回る水準となっております。
 今後におきましても、行政事務の電子化・データベース化による業務の効率化、民間委託の推進など事務事業の見直し、組織・機構の簡素合理化、スクラップ・アンド・ビルドの徹底を基本とした定員管理などにより、人件費総額の抑制に努め、健全な財政運営を確保し、県政における各般の事業を積極的に推進できるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
〇37番(長谷川忠久君) 私のフラストレーションはまだ解消されませんけれども、誠意を持って御答弁いただいたことに対しまして感謝は申し上げる次第でございます。二、三質問をさせていただきたいと思っておるわけでございます。
 一つは、まず財政についてでございます。財政につきまして知事の方から御答弁いただくというふうには思っておりませんで、多分総務部長の方から答弁されるんだろうと、こう思っておりまして、もうちょっと厳しく追及しようかと思ったわけでございますが、知事でございますので、若干やわらかくさせていただきたいと、こう思っておるところでございます。
 一つは、来年度の予算編成方針についてでございます。
 来年度の予算編成に伴います来年度の経済成長でございますけれども、例えばOECDは1.4%の経済成長と、IMFは1.5%の成長と、また民間のシンクタンクでも多くはプラス経済成長と、こういうふうに見込んでおるわけでございます。しかし、それもすべて条件つきでプラス成長と、こういうふうに見込んでおるわ 1点目として、端的にこれが来年度実施において、県下全市町村が支障なく実施が可能であると見ておられるのかどうか。
 2点目として、時間と経費を相当必要とするのでありましょう来年3月策定予定の市町村の介護保険事業計画は、現在策定作業がどの程度進んでいるのか、また、政府案決定となった場合、国の見直しの内容と現在策定中の計画との整合性はどうなのか。
 3点目として、全市町村すべてが介護認定審査会の設置を完了したと聞いておりますが、認定手続事務のけでございます。それで、どういう条件かと申しますと、一つは産業構造改革が進展すること、もう一つは年金や介護の観点で国民が安心をいたしまして民需が喚起されることと、あるいは為替レートであるとかアメリカの株価の問題等を挙げておるわけでございます。したがいまして、これらの条件が来年度そろって当てはまるということは大変難しいということでございまして、民間のシンクタンクでも逆に1%台のマイナス成長になるのではないかと、こういう研究者もおるわけでございます。
 そういう中におきまして、税収見通しでございます。もちろん予算編成におきましては、当然のことといたしまして国でも中期経済見通しであるとか、あるいは地方財政計画等を立案するわけでございまして、それに伴って予算編成をされるわけでございますけれども、私は、来年度の予算編成は格別に難しいと、そのように思っておるわけでございまして、例年ではない予算編成方針を示さなければならないのではなかろうかと考えておるところでございますが、いかがでしょうか。
 財政の中でも私は、先ほど知事のお話にもあったわけでございますけれども、経済の構造改革、財政の構造改革でございますけれども、適時適切にというお話があったわけでございまして、私は、先ほど示されました中期経済見通しでは多分済まんだろうなと実は思っておるわけでございます。22都道府県が財政危機に陥っている、岩手県は何とかなるやと、こういう甘い気持ちでは、とてもこれからの財政を語ってはいけないのではないかと、こう思っておるわけでございます。より厳しく財政を見て岩手県の総合計画を進めていただきたいということ、この辺は要望にしておきたいと思っておるところでございます。
 第2点でございますけれども、ボーダーレス社会、ボーダーフル社会についても一応御容認をいただいたわけでございます。先日でございますけれども、ある政務次官が辞職いたしたわけでございます。政務次官が使うような言葉ではない、そういう言葉を使って退任いたしたわけでございますが、これはやむを得ないことだと思っておるところでございます。しかし、私はその言葉の中で、抑止力を検討していかなければならないというのは的を射ているのではないかと実は思っておるわけでございます。もちろん核の抑止力を持てということではないわけでございます。しかし、日本が世界の中で経済的な地位を保っていくためには、ある程度の抑止力を持たなければならないと思っておるところでございます。
 その一つが国際交流ではなかろうかと、こう思っておるわけでございます。新しい総合計画の中に、国際交流につきましては、積極的に推進するという記述があるだけでございます。しかし、姉妹都市といいますか、姉妹地域を結ぶという記述はない。私が県議になりましてからも、国際的な姉妹都市、姉妹地域の締結の話はあったわけでございますけれども、2010年までの間に、その姉妹都市の問題がどうなるのかと、こういうことであるわけでございます。ボーダーフル社会ということになりますと、東アジアであるとか、あるいは環太平洋地域、北米大陸であるとか、あるいはオセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)ぐらいには、東アジアとともに私は姉妹都市を設けなければならないだろうと、こう思っておるわけでございます。それが日本がこの地球上で生存するための抑止力の一つにもなるのだろうと考えておるわけでございまして、この件に関しても御答弁をいただきたいと思っておるところでございます。
 3点目は、要望みたいなことになるわけでございますけれども、部長の方から海洋研究につきまして前向きな答弁をいただいたわけでございます。地球海底のドリリング計画を何とか岩手県に誘致したいと、ぜひ頑張っていただきたいものだと思っておるところでござます。
 私に言わせれば、第2次海洋開発ブームのときに、釜石に海洋バイオテクノロジー研究所ができたわけでございます。第1次は多分マンガン団塊と言いますか、マンガンノジュールという言葉がはやったわけでございます。第2次ブームが熱水鉱床であるとか、海洋エネルギー、波力であるとか、そういうものが流行いたしたわけでありまして、第3次ブームは、より広く海洋を研究していこうということになるんだろうと思っておるわけでございます。これからも持続的に、ぜひ海洋研究に力を注いでいただきたいと、こう思っておるわけでございます。
 本来私は、東京大学の海洋研究所も岩手県に持ってきてもいいんじゃないかというような──御案内のとおり、東京大学の海洋研究所は中野にございまして、あれは東京大学の海洋研究にふさわしい場所だとは私は全く思っておりませんで、岩手に持ってきた方が東京大学のために、あるいは日本の海洋研究のためになるんだという思いはあるわけでございます。そういうことをぜひ、質問にはいたしませんけれども、心の中にとめて、海洋開発のメッカにしていただきたいと思っておるところでございます。
 先ほど、横並びという話で四つの港の話をいたしたわけでございますけれども、一つの港に、例えば深海2000であるとか6000であるとか、あるいは南極観測船であるとか、そういうものが出入りする港がもし岩手県にあれば、これはすばらしいことではないのか。横並びも解消される、特色のある岩手県の港湾ができるのではなかろうかと、こう思っておるところでございます。これからもぜひ御努力を継続していただきたいということを要望いたします。
 以上でございます。
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 今、議員から財政関係についてお尋ねがございましたが、これから今月の末になります政府の予算編成の結果、そして、私どもの地方財政に最も関係いたします地方財政計画の枠組みを見ないとまだ何ともお答えできないところがありますが、先般の地域財政見通し、一応、基金の取り崩しなども含めて、財政の健全化を一方で維持しながら、総合計画の着実な達成に至る道筋を示したということでございます。もちろん財政状況が本県も非常に厳しくなっておりますので、これから危機感を持って財政の確保に努力していかなければならないというふうに思っておりますが、総合計画にいろいろ掲げております事業も大変大切な事業でございますので、とにかく可能な限り重点化を図って、そして施策を厳選するということ。それから、地方財政計画などの内容を十分に吟味しながらになりますけれども、国のさまざまな財政支援の措置を可能な限り取り込んで、そして施策を実行していきたいというふうに思っております。
 来年度の予算編成方針については、総務部長の方からお答え申し上げたいと思います。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕
〇総務部長(武居丈二君) 来年度の予算編成方針についてのお尋ねがございましたけれども、先ほど知事の御答弁にもございましたように、国のいろいろな動向がございまして、現在、鋭意国におきまして地方財政対策を含むさまざまな論議がされているところでございます。当面、来年度の本県の財政状況を見ますと、歳入面では県税等の収入がどうなっていくかという大変難しい見込みを立てなくてはいけないというふうに感じておりますし、また、国庫支出金の問題でございますとか、あるいは地方交付税の伸びがどのようになっていくかという問題がございます。それから、県債等の発行をどの程度にするかという問題も、これは国におきまして地方全体の財源不足が生じる場合に、財源対策債というものが打たれるわけですけれども、そうなった場合には、通常の県債の発行以外に財源対策のための起債をしなければいけないという状況も生じてきます。そういった歳入面の問題がございます。
 歳出面におきましては、公債費の増嵩が、これは当然のことながら、過去の経済対策等を行った結果として、それが据え置き期間を過ぎましてちょうど増嵩する時期に当たっておりますことから、一段と厳しい状況になってくるのではないかというふうに感じております。
 平成12年度の予算編成に当たりましては、行政システム改革大綱というものを策定したわけでございますけれども、その中でも財政健全化の目標というものを掲げておりまして、財政運営の健全化にも配慮しながら、例えば、歳入面では未利用地の処分でありますとか、使用料・手数料の見直し等、こういったものを行いながら歳入の確保を図っていく。一方、歳出面では、事務事業評価に基づく施策の優先順位の厳しい選択を行う。こういった中で、限られた財源を重点的かつ効果的に活用し得るように配意してまいりたいというふうに考えております。
 先ほど、長谷川議員の御指摘にもございましたように、とりわけ平成12年度は実質的に総合計画のスタートの年になりますものですから、そういった観点を踏まえて、一方で各般にわたる施策を積極的に展開していかなければいけない、そういう要請もございます。そういった意味で、予算編成に当たりましては大変難しいかじ取りを強いられることになります。先般まとまりました国の第2次補正予算に基づきまして、私どもも経済対策に適切に対応するという意味で、これから追加の補正予算を提案する予定にしてございますが、実はこういった追加の補正予算の中にも、平成12年度以降に行う総合計画の中に盛り込まれた事業の前倒し的意味合いの事業というものも多々入ってまいります。そういった意味で、本年度から来年度にかけましては、例えば今回の第2次補正予算絡みの事業というものは、実質的に15カ月予算という位置づけにもなりますことから、来年度、平成12年度の予算編成に当たりましては、本年度の第2次補正予算と一体化した形で、来年度以降の適切な財政運営がなされるように配意しながら予算編成を行ってまいりたいというふうに考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕
〇生活環境部長(村上勝治君) 姉妹都市づくりを進めるべきではないかというお話がございましたが、まず基本的には、姉妹友好提携を初めとした国際交流の推進、これは地域の活性化が図られる、それから、友好関係が構築されまして、広く国際平和への貢献に通ずるものというふうに私たちは認識いたしております。このようなことから、新しい総合計画におきましては、海外の自治体との友好関係の拡大による大学間の学術交流や伝統文化交流、物産交流など、それから住民、民間団体などさまざまな分野、レベルでの幅広い国際交流あるいは国際協力、この展開を図ることといたしております。
 県レベルで申し上げますと、時代の動向に柔軟に対応するため、引き続き姉妹提携先は特定せずに、個別課題ごとに相互の利益となるような交流を深めてまいりたい。今後とも東アジアなど、これまで交流の深い地域、例えば中国とか韓国がございますけれども、こことは現在行われているような交流を継続していく。それから、新たな地域とも相互の利益となるような分野やあるいは交流の可能性、これを見きわめながら相互理解、友好親善の実が上がるように積極的な施策を推進してまいりたい、そのように考えてございます。
〇議長(山内隆文君) 次に、水上信宏君。
   〔19番水上信宏君登壇〕(拍手)

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